JP3907456B2

JP3907456B2 - V belt for high load transmission

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Publication number: JP3907456B2
Application number: JP2001364555A
Authority: JP
Inventors: 茂樹奥野; 敬三野中
Original assignee: Bando Chemical Industries Ltd
Current assignee: Bando Chemical Industries Ltd
Priority date: 2001-11-29
Filing date: 2001-11-29
Publication date: 2007-04-18
Anticipated expiration: 2021-11-29
Also published as: JP2003166597A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、高負荷伝動用Ｖベルトに関し、特に、その伝動効率及び耐久性向上対策に係るものである。
【０００２】
【従来の技術】
コンバインやトラクタ等の農業用機械及び自動車等の変速装置として、変速時の操作性の向上や燃費の改善等を図る観点から、ベルト式無段変速装置の開発が進められている。このベルト式無段変速装置は、駆動軸及び従動軸の各々に溝間隔が可変なプーリを取り付けるとともに、この２個のプーリ間にＶベルトを巻き掛け、上記各プーリの溝間隔を調整して回転ピッチを変化させることで無段階に変速するように構成されている。
【０００３】
このようなＶベルトとして、例えば、特開２０００―１２０７７９号公報に開示されているように、エンドレスの一対のゴム製張力帯と、ベルト幅方向両側部に上記各張力帯を嵌合する嵌合溝及びプーリのベルト溝側部と接触する接触部を有する多数のブロックとで構成され、上記各張力帯の上下面に形成された凹溝と各ブロックの嵌合溝の上下面に形成された凸部とを互いに係合させることにより、各ブロックが両張力帯に係止されてベルト長手方向全長に亘って所定ピッチで並設されたいわゆるブロックＶベルトと呼ばれる高負荷伝動用Ｖベルトが知られている。上記各張力帯は、本体ゴムの上下面に耐摩耗性を向上させるための帆布部材が接着されて構成されている。この帆布部材は、ゴムを含浸させた後に本体ゴムと共に加硫することで該本体ゴムに接着されている。
【０００４】
上記Ｖベルトは、プーリの側圧を各ブロックで受けるとともに、動力伝達を張力帯で行うようになされており、従来のゴムＶベルトに比べて屈曲性が良く、高側圧に耐え得るようにすることが可能であり、また、金属Ｖベルトに比べて軽量化が図れて潤滑が不要になるとともに、騒音が少ない等の多くの利点を有している。
【０００５】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記高負荷伝動用Ｖベルトにおいては、その走行時の高負荷伝動中に各張力帯がブロックを介してプーリから高荷重を受けるために、各張力帯の上下面に形成された凹溝間の凸状のコグが変形する。そして、この張力帯のコグが一定以上変形すると、プーリから与えられる推力が効率よくベルト張力に変換されないために、ベルトの伝動能力が低下するという問題が生ずる。
【０００６】
更に、コグの過度の変形によってブロックの向きを一定に維持できなくなり、その結果、高負荷を伝動することができなくなってしまうことがある。
【０００７】
また、ベルト走行中に張力帯のコグが一定以上変形すると、プーリ溝に対するブロックの固定度が低下してブロックが揺動するために騒音が大きくなると共に、張力帯にクラックが発生し、ベルトの耐久性が低下するという問題が生ずる。
【０００８】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、張力帯表面のゴムの組成を所定範囲に特定することで、高負荷伝動用Ｖベルトの伝動効率及び耐久性を向上することを目的とするものである。
【０００９】
【課題を解決するための手段】
本発明は、張力帯のコグにおける硬度を所定範囲に特定するようにしたものである。
【００１０】
具体的に、本発明は、帆布にゴムを含浸させた帆布部材が本体ゴムの上下表面に接着される一方、上下両面に凹凸部が形成された張力帯と、上記張力帯の長さ方向に複数配置され、上記張力帯に凹凸部と噛み合わせて固定されたブロックとにより構成された高負荷伝動用Ｖベルトを前提として、上記張力帯の凸状のコグにおける平坦部の帆布部材の上からＪＩＳ−Ｃ硬度計を用いて測定される硬度が、７５以上且つ８３以下であり、上記帆布部材は、その長さ方向の貯蔵弾性率が温度１００℃、静荷重０．２９４ＭＰａ、動歪１％、周波数１０ Hz 及び引張モードの測定条件で、６０．２ＭＰａ以上且つ１３０ＭＰａ以下である。
【００１１】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【００１２】
図１から図３に示すように、本発明の実施形態に係る高負荷伝動Ｖベルトは、左右一対のエンドレスの張力帯１と、この張力帯１にベルト長さ方向に連続的に係止固定された多数のブロック７とにより構成されている。
【００１３】
上記各張力帯１は、硬質ゴムから成る本体ゴムである保形ゴム層２を備え、この保形ゴム層２の内部には、アラミド繊維等の高強度高弾性率の心線３がベルト長さ方向にスパイラル状にかつ平行に埋設されている。
【００１４】
上記保形ゴム層２の上面には、各ブロック７に対応してベルト幅方向に延びるＵ字状溝からなる多数の上側凹部４がベルト長さ方向全長に亘って所定ピッチで形成され、下面には、ベルト幅方向に延びるＵ字状溝からなる多数の下側凹部５が上記上側凹部４に対応してベルト長手方向全長に亘って所定ピッチで形成されている。上記保形ゴム層２の上下両面には、耐摩耗性を向上させるための帆布部材６が一体に接着されている。この帆布部材６は、例えば、ナイロン製の帆布にメタクリル酸亜鉛で補強された水素添加ニトリルゴムを含有するゴムを含浸させた後に加硫されて作製されている。
【００１５】
上記張力帯１において、上面の隣り合う上側凹部４，４間と、下面の隣り合う下側凹部５，５間とは、それぞれ台形凸状のコグ１５に形成されている。上面側のコグ１５は、下面側のコグ１５に比べ、その平坦部の幅が狭く形成されている。
【００１６】
上記保形ゴム層２を構成する硬質ゴムは、メタクリル酸亜鉛やアクリル酸亜鉛などの金属塩モノマーで強化された水素添加ニトリルゴムで、それに補強を目的として有機短繊維を全体に混入して強化することで、耐熱性に優れかつ永久変形し難い硬質ゴムとされたものが用いられている。また、上記硬質ゴムには、ＪＩＳ−Ｃ硬度計で測定したときに７５°以上のゴム硬度のものが用いられる。
【００１７】
そして、上記保形ゴム層２と心線３及び帆布部材６とは、その心線３及び帆布部材６に対する適切な接着処理により、ゴムの架橋時に強固に接着されて一体化されている。
【００１８】
本実施形態の特徴として、帆布部材６は、帆布に含浸されたゴムが、重合性有機酸の金属塩モノマーであるメタクリル酸亜鉛で補強された水素添加ニトリルゴムを含有するゴム組成物により構成されている。そして、張力帯１のコグの平坦部の帆布部材６の上からＪＩＳ−Ｃ硬度計を用いて測定される硬度（ＪＩＳ−Ｃ硬度）が７５以上且つ８３以下になるように帆布部材６の硬度が調整されている。尚、帆布に含有させるゴムは、アクリル酸亜鉛で補強した水素添加ニトリルゴムを含有するゴム組成物で構成するようにしてもよい。
【００１９】
上記帆布部材６は、ベルト長さ方向の貯蔵弾性率が、温度１００℃、静荷重０．２９ＭＰａ（３Kgf/cm2）、動歪１％、周波数１０Ｈｚ、引張モードの条件（Rheometrics 社製ＲＳＡIIによる）において、６０ＭＰａ以上且つ１３０ＭＰａ以下に調整するように構成することが望ましい。尚、帆布部材６は、ゴムのポリマー鎖の配向方向がベルトの幅方向とされている。
【００２０】
上記帆布に含浸させるゴムは、帆布部材６の作製時における加硫条件（１７０℃、２０分）で加硫したときの硬度（ＪＩＳ−Ｃ）が６８以上且つ８２以下になるように構成ことが望ましい。
【００２１】
また、上記帆布に含浸させるゴムは、帆布部材６の作製時における加硫条件（１７０℃、２０分）で加硫したときの、ポリマー鎖の配向方向と垂直方向における貯蔵弾性率が、温度１００℃、静荷重０．２９４ＭＰａ、動歪１％、周波数１０Hz及び引張モードの測定条件で測定したときに、６０ＭＰａ以上且つ１１０ＭＰａ以下になるように構成することが望ましい。
【００２２】
上記各ブロック７は、ベルト幅方向左右側部に上記各張力帯１を幅方向から着脱可能に嵌装せしめる切欠き溝状の嵌合部８を有している。この嵌合部８を除いた左右側面は、Ｖプーリのプーリ溝面（図示せず）に接触する接触部１１に構成されている。このブロック７の左右の接触部１１同士がなすベルト角度は、プーリ溝面の角度と同じとされている。
【００２３】
各ブロック７は、上記嵌合部８の上側に位置し且つベルト幅方向に延びる上側ビーム７ａと、上記嵌合部８の下側に位置し且つベルト幅方向に延びる下側ビーム７ｂと、両ビーム７ａ，７ｂの左右中央部同士を上下に接続するセンタピラー７ｃとにより、略Ｈ字状に形成されている。
【００２４】
そして、各ブロック７の嵌合部８にそれぞれ張力帯１を圧入して嵌合することで、各ブロック７が張力帯１にベルト長手方向に連続的に係止固定されている。すなわち、各ブロック７における各嵌合部８の上壁面には上記張力帯１上面の各上側凹部４に噛合する上側噛合部としての上側凸部９が、また嵌合部８の下壁面には張力帯１下面の各下側凹部５に噛合する下側噛合部としての下側凸部１０がそれぞれ互いに平行に配置されて形成されている。そして、この各ブロック７の両凸部９，１０をそれぞれ張力帯１の両凹部４，５に噛合せしめることで、ブロック７が張力帯１にベルト長さ方向に配列されて係止固定されている。相隣り合うブロック７同士がコグ１５によって繋がれるように、ブロックが張力帯に係止固定されている。この係止状態で各張力帯１の外側側面と各ブロック７の側面である接触部１１との双方がプーリ溝面に接触している。
【００２５】
上記各ブロック７は、図３に示すように、補強材１２と、該補強材１２の表面を被覆する硬質樹脂部１３とを備えている。補強材１２は、ブロック７の嵌合部８の上側に位置し且つ下端縁部が略水平に延びる上ビーム部１２ａと、嵌合部８の下側に位置し且つ上端縁部が上ビーム部１２ａの下端縁部と平行に略水平に延びる下ビーム部１２ｂと、両ビーム部１２ａ，１２ｂの左右中央部同士を上下に接続し且つ左右両端縁部が略上下方向に延びるピラー部１２ｃとからなる略Ｈ字状のものに形成されている。
【００２６】
上記硬質樹脂部１３は、例えば、繊維強化フェノール系樹脂により形成されている。硬質樹脂部１３は、補強材１２の上下両面、左右両側面及び嵌合部８を被覆するように形成されている。尚、硬質樹脂部１３は、ブロック７の嵌合部８の周囲部分と左右側面の接触部１１（プーリ溝面との摺動接触部）とにおいて補強材１２を被覆するようにしておけばよく、その他の部分は補強材１２が表面に露出していてもよい。
【００２７】
そして、上述の如く構成されたブロック７と張力帯１との組合わせからなる高負荷伝動Ｖベルトは、図外の駆動側及び従動側の２つの変速プーリ間に巻き掛けられてベルト式無段変速装置を構成する。
【００２８】
したがって、本実施形態においては、ベルト走行時の高荷重伝動中に各張力帯１がブロック７を介してプーリを介して高荷重を受けても、コグ１５の変形を一定範囲内に抑えることができて、高負荷伝動によっても安定して効率よく動力を伝達することができると共に、ブロック７の揺動を防止して、低騒音でベルト走行することができる。更に、張力帯１にクラックが発生せず、耐久性を向上させることができる。
【００２９】
【実施例】
次に、具体的に実施した実施例について説明する。高負荷伝動用Ｖベルトは、ベルト角度を２６度、ベルトピッチ幅を２５mm、ブロックピッチ（ベルト長さ方向）を３mm、ブロックの厚さを２．９５mm、ベルトの長さを６１２mmとした。
【００３０】
まず、帆布に含浸させる含浸ゴムの配合について表１に示す。
【００３１】
【表１】

【００３２】
表１に示すように、母体ゴムとして水素添加ニトリルゴム（日本ゼオン社製、商品名；ゼットポール2020）及びメタクリル酸亜鉛補強水素添加ニトリルゴム（日本ゼオン社製、商品名；ZSC-2295）を使用し、両ゴムの配合割合を振ってゴム（ｉ）〜ゴム（vi）の６種類の含浸ゴムを作製した。尚、表１には、両ゴムの配合割合を質量％で示している。各含浸ゴムは、両ゴム１００質量部に対して、酸化亜鉛（堺化学社製）が１０質量部、カーボンブラック（旭カーボン社製、商品名；旭#50）が３０質量部、パーオキサイド（日本油脂社製、商品名；ペルキシモンF40）が７質量部の割合でそれぞれ配合されている。
【００３３】
そして、上記ゴム（ｉ）〜ゴム（vi）の含浸ゴムをＭＥＫ（メチルエチルケトン）で溶解して糊ゴムを作成し、ナイロン製の帆布の原反を上記糊ゴムに含浸した後に乾燥させることでゴム含浸部材を作成した。尚、糊ゴムにおける含浸ゴムとＭＥＫとの混合比は、１対５の割合とした。そして、ゴム含浸部材における糊ゴムのゴム含浸量をゴム含浸部材１m^２当たりの質量から求めた。
【００３４】
上記ゴム（ｉ）〜ゴム（vi）の含浸ゴムを構成部材とするゴム含浸部材について帆布を長さ方向に４０％伸長させた状態でプレス架橋して帆布部材６を作製した。このプレス条件は、１７０℃、２０分とした。更に、この帆布部材６を使用して張力帯１を作製し、高負荷伝動用Ｖベルトを作製した。以下、各実施例及び比較例について説明する。
【００３５】
実施例１に係る高負荷伝動用Ｖベルトは、表２に示すように、張力帯１の帆布部材６が水素添加ニトリルゴム対メタクリル酸亜鉛補強水素添加ニトリルゴムの質量割合が２３対７７の含浸ゴム（ゴム（ii））をＭＥＫで溶解した糊ゴムを帆布に含浸させた後にプレス架橋して作製されている。尚、ゴム（ii）は、メタクリル酸亜鉛が質量百分率で２３％配合されている。
【００３６】
実施例２に係る高負荷伝動用Ｖベルトは、張力帯１の帆布部材６が水素添加ニトリルゴム対メタクリル酸亜鉛補強水素添加ニトリルゴムの質量割合が１５対８５の含浸ゴム（ゴム（iii））をＭＥＫで溶解した糊ゴムを帆布に含浸させた後にプレス架橋して作製されている。
【００３７】
実施例３に係る高負荷伝動用Ｖベルトは、張力帯１の帆布部材６が水素添加ニトリルゴム対メタクリル酸亜鉛補強水素添加ニトリルゴムの質量割合が５対９５の含浸ゴム（ゴム（iv））をＭＥＫで溶解した糊ゴムを帆布に含浸させた後にプレス架橋して作製されている。尚、ゴム（iv）は、メタクリル酸亜鉛が質量百分率で３０％配合されている。
【００３８】
実施例４及び５に係る高負荷伝動用Ｖベルトは、張力帯１の帆布部材６にゴム（ii）が使用されているが、表３に示すように、実施例１と異なり、実施例４では含浸量が１１０g/m²となっており、実施例５では含浸量が３１１g/m²となっている。尚、実施例１では含浸量が２２０g/m²となっている。つまり、実施例４及び５は、実施例１について糊ゴムの含浸量を増減させたものである。
【００３９】
実施例６及び７に係る高負荷伝動用Ｖベルトは、張力帯１の帆布部材６にゴム（iv）が使用されているが、実施例３と異なり、実施例で６は含浸量が１１１g/m²となっており、実施例７では含浸量が３０５g/m²となっている。尚、実施例３では含浸量が２２１g/m²となっている。つまり、実施例６及び７は、実施例３について糊ゴムの含浸量を増減させたものである。
【００４０】
【表２】

【００４１】
【表３】

【００４２】
上記各実施例では、張力帯１の帆布部材６は、重合性有機酸の金属塩モノマーとしてメタクリル酸亜鉛を用いているが、アクリル酸亜鉛を用いてもよい。
【００４３】
比較例１に係る高負荷伝動用Ｖベルトは、表２に示すように、張力帯１の帆布部材６が水素添加ニトリルゴム対メタクリル酸亜鉛補強水素添加ニトリルゴムの質量割合が３０対７０の含浸ゴム（ゴム（ｉ））をＭＥＫで溶解した糊ゴムに帆布を含浸した後にプレス架橋して作製されている。
【００４４】
比較例２に係る高負荷伝動用Ｖベルトは、張力帯１の帆布部材６が水素添加ニトリルゴム対メタクリル酸亜鉛補強水素添加ニトリルゴムの質量割合が０対１００の含浸ゴム（ゴム（ｖ））をＭＥＫで溶解した糊ゴムに帆布を含浸した後にプレス架橋して作製されている。
【００４５】
比較例３に係る高負荷伝動用Ｖベルトは、張力帯１の帆布部材６が水素添加ニトリルゴム対メタクリル酸亜鉛補強水素添加ニトリルゴムの質量割合が１００対０の含浸ゴム（ゴム（vi））をＭＥＫで溶解した糊ゴムに帆布を含浸した後にプレス架橋して作製されている。
【００４６】
比較例４及び５に係る高負荷伝動用Ｖベルトは、張力帯１の帆布部材６にゴム（ii）が使用されているが、表３に示すように、実施例１と異なり、比較例４では糊ゴムの含浸量が５１g/m²となっており、比較例５では糊ゴムの含浸量が４３３g/m²となっている。つまり、比較例４及び５は、実施例４及び５よりさらに含浸量を増減させたものである。
【００４７】
比較例６及び７に係る高負荷伝動用Ｖベルトは、張力帯１の帆布部材６にゴム（iv）が使用されているが、実施例３と異なり、比較例６では糊ゴムの含浸量が５０g/m²となっており、比較例７では糊ゴムの含浸量が４２８g/m²となっている。つまり、比較例６及び７は、実施例６及び７よりさらに含浸量を増減させたものである。
【００４８】
上記含浸ゴムのゴム硬度及び貯蔵弾性率を測定した。尚、含浸ゴムでは、１７０℃で２０分間プレスすることにより架橋させた後に、ゴム硬度及び貯蔵弾性率を測定した。また、帆布部材６の貯蔵弾性率を測定した。さらに、実施例及び比較例の各高負荷伝動用Ｖベルトについて、耐久性及び推力−張力変換率を測定すると共に、張力帯のコグにおける平坦部の硬度を帆布部材の上からＪＩＳ−Ｃ硬度計を用いて測定した。
【００４９】
上記貯蔵弾性率は、試験機としてRheometrics 社製ＲＳＡIIを使用し、測定条件として温度１００℃、静荷重０．２９ＭＰａ（３Kgf/cm²）、動歪１％、周波数１０Ｈｚ、引張モードで測定を行った。引張方向は、含浸ゴムではポリマー鎖の配向方向と垂直方向とし、帆布部材６ではベルトの長さ方向に対応した方向とした。
【００５０】
上記耐久性は、実施例及び比較例のそれぞれについて、図４に示す耐熱試験装置を用いたベルトの耐久走行試験により評価を行った。図４（ａ）は耐熱試験装置を上側から、図４（ｂ）は前側からそれぞれ見た概略断面図である。この耐熱試験装置は、前面上部の左右略中央位置に直径４０ｍｍの熱風入口２０ａが、上面の左側端部に直径９０ｍｍの熱風出口２０ｂがそれぞれ開口した耐熱ボックス２０を有している。この耐熱ボックス２０内の左側部（熱風出口２０ｂ側）には駆動軸２１に設けたピッチ円直径１２６．４３ｍｍの駆動プーリ２２が、また右側部には従動軸２３に設けたピッチ円直径７０．８ｍｍの従動プーリ２４が、互いに軸間距離１４８．５ｍｍを離して配置されている。そして、これら両プーリ２２，２４間に各実施例及び比較例の各ベルトＢを巻き掛け、耐熱ボックス２０内に熱風入口２０ａから熱風を送ってそれを熱風出口２０ｂから排出させながら、各ベルトＢを下記表４の条件で５００時間走行させた。そして、走行後において、張力帯１のクラックの発生の有無及びコグの変形の有無により耐久性を評価した。
【００５１】
【表４】

【００５２】
表２に示すように、上記含浸ゴムとしてゴム硬度（ＪＩＳ−Ｃ）が７１〜８０で且つ貯蔵弾性率が７０．２〜１０５．１ＭＰａであるゴム（ii）、ゴム（iii）及びゴム（iv）を使用した実施例１，２及び３では、耐久走行試験後において張力帯１のクラックの発生がなく、且つコグの変形が確認されなかった。更に、実施例１，２及び３では、推力−張力変換率が１．４以下と良好な値を示している。
【００５３】
一方、ゴム硬度が６６と低く、貯蔵弾性率が４８．８ＭＰａと低いゴム（ｉ）を使用した比較例１では、耐久走行試験後において張力帯１にクラックが発生し、且つコグの変形が確認された。これは、含浸ゴムの貯蔵弾性率が低過ぎるために、走行時にコグの変形が過度に大きくなってクラックが誘発されるためと考えられる。また、比較例１では、プーリ側圧によるコグの変形が大きいために、推力が張力に有効に変換されず、推力−張力変換率が２と高い値になっている。
【００５４】
比較例１より更に硬度が低く、貯蔵弾性率が低い比較例３では、比較例１と同様に、耐久走行試験後において張力帯１にクラックが発生し、且つコグの変形が確認された。
【００５５】
含浸ゴムとしてゴム硬度が８５と硬く、貯蔵弾性率が１２０．５ＭＰａと高いゴム（ｖ）を使用した比較例２では、耐久走行試験後においてコグの変形が確認されなかったものの、張力帯１にクラックが発生した。これは、貯蔵弾性率が高過ぎるために屈曲性が悪く、屈曲疲労性が低下してプーリに巻き付く際に発生する歪みによってクラックが発生するためと考えられる。尚、比較例２では推力−張力変換率が１．２と良好な値を示しているが、これは、コグの変形が小さいことによるものと考えられる。
【００５６】
表３に示すように、上記帆布部材６として貯蔵弾性率６０．２〜１３０ＭＰａのものを使用した実施例４，５，６及び７において、耐久走行試験後における張力帯１のクラックの発生がなく、且つコグの変形が確認されなかった。また、これら実施例では、推力−張力変換率が１．２〜１．４と良好な値を示している。尚、これら実施例４，５，６及び７における張力帯１のコグの硬度、つまり帆布部材６の表面の硬度は、７５〜８３となっている。
【００５７】
一方、貯蔵弾性率が４１．１ＭＰａ、５５ＭＰａと低い帆布部材６を使用した比較例４、６では、耐久走行試験後において張力帯１にクラックが発生し、且つコグの変形が確認された。つまり、硬度及び貯蔵弾性率が適正な範囲内にある含浸ゴムを使用しても、糊ゴムの含浸量が低い比較例４，６では、帆布の空隙に十分に含浸ゴムが充填されていないために、帆布部材６としての貯蔵弾性率が低くなり、耐久走行試験後において張力帯のコグに過度の変形が生じると共に張力帯１にクラックが発生したと考えられる。即ち、帆布部材６の貯蔵弾性率が低過ぎるために、走行時にコグの変形が一定以上に大きくなり、このコグの過度の変形によってクラックが誘発されると考えられる。尚、これらの張力帯１におけるコグの硬度は、７０、７２となっている。また、走行中におけるコグの変形が大きいために、上記同様に推力−張力変換率は高い値を示し、推力が張力に効率よく変換されていないことがわかる。
【００５８】
また、貯蔵弾性率が１３５、１５４と高い比較例５及び７では、耐久走行試験後においてコグの変形が確認されなかったものの、張力帯１にクラックが発生している。これは、硬度及び貯蔵弾性率が適正な範囲内にある含浸ゴムを使用しても、糊ゴムの含浸量が多いと帆布部材６の貯蔵弾性率が高くなり過ぎるために屈曲性が悪く、屈曲疲労性が低下してプーリに巻き付く際に発生する歪みによってクラックが発生するためと考えられる。これらの張力帯１におけるコグの硬度は、８４、８５となっている。尚、比較例５及び７では、コグの変形が見られず、推力−張力変換率は、１．４以下と良好な値を示している。
【００５９】
上記の如く糊ゴムの含浸量には最適範囲が存在するが、この範囲は原反帆布の材質や厚みによって変化するために、特定することが困難である。
【００６０】
【発明の効果】
以上説明してきたように、本発明によれば、ベルト走行時に高荷重が負荷されても、走行中のコグの変形を一定範囲内に抑えることができて、高負荷伝動によっても安定して効率よく動力を伝達することができると共に、ブロックの揺動を防止して、低騒音でベルト走行することができる。更に、張力帯にクラックが発生せず、耐久性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施形態１に係る高負荷伝動用Ｖベルトの構成を示す斜視図である。
【図２】実施形態１に係る高負荷伝動用Ｖベルトの構成を示す側面図である。
【図３】図２におけるＩ−Ｉ断面を示す断面図である。
【図４】（ａ）は耐熱試験装置を上側から見た断面図であり、（ｂ）は耐熱試験装置を前側から見た断面図である。
【符号の説明】
１張力帯
６帆布部材
７ブロック
１５コグ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a V-belt for high load transmission, and particularly relates to measures for improving transmission efficiency and durability.
[0002]
[Prior art]
Development of belt-type continuously variable transmissions is being promoted from the viewpoint of improving operability during shifting, improving fuel efficiency, and the like as transmissions for agricultural machines such as combines and tractors and automobiles. In this belt type continuously variable transmission, a pulley having a variable groove interval is attached to each of the drive shaft and the driven shaft, and a V belt is wound between the two pulleys to adjust the groove interval of each pulley. By changing the rotation pitch, the speed is changed continuously.
[0003]
As such a V-belt, for example, as disclosed in Japanese Patent Application Laid-Open No. 2000-12079, a pair of endless rubber tension bands and a fitting for fitting the tension bands on both sides in the belt width direction It is composed of a plurality of blocks having contact portions that come into contact with the belt groove side portions of the grooves and pulleys, and formed on the upper and lower surfaces of the concave grooves formed on the upper and lower surfaces of the tension bands and the fitting grooves of the blocks. A high load transmission V belt known as a so-called block V belt in which each block is locked to both tension bands and arranged in parallel at a predetermined pitch over the entire length in the longitudinal direction of the belt by engaging the projections with each other is known. It has been. Each of the tension bands is configured by adhering canvas members for improving wear resistance to the upper and lower surfaces of the main rubber. The canvas member is bonded to the main rubber by impregnating the rubber and then vulcanizing with the main rubber.
[0004]
The V-belt receives the pulley side pressure at each block and transmits power through a tension band. It is more flexible than a conventional rubber V-belt and can withstand high side pressure. In addition, as compared with the metal V-belt, the weight is reduced, lubrication is unnecessary, and there are many advantages such as less noise.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, in the high load transmission V-belt, since each tension band receives a high load from the pulley through the block during the high load transmission during the traveling, the concave grooves formed on the upper and lower surfaces of each tension band. The convex cogs in between are deformed. When the cogs of the tension band are deformed more than a certain level, the thrust applied from the pulley is not efficiently converted into belt tension, and thus the problem arises that the transmission capability of the belt is reduced.
[0006]
Furthermore, excessive deformation of the cogs may prevent the block orientation from being kept constant, and as a result, high loads may not be transmitted.
[0007]
Also, if the cog of the tension band is deformed more than a certain level while the belt is running, the degree of fixing of the block with respect to the pulley groove decreases and the block swings, resulting in increased noise and cracks in the tension band. There arises a problem that durability is lowered.
[0008]
This invention is made in view of this point, and it aims at improving the transmission efficiency and durability of the V belt for high load transmission by specifying the composition of the rubber | gum of the surface of a tension belt to a predetermined range. To do.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In the present invention, the hardness of the cogs of the tension band is specified within a predetermined range.
[0010]
Specifically, according to the present invention , a canvas member obtained by impregnating a canvas with rubber is bonded to the upper and lower surfaces of the main rubber, while a tension band having uneven portions formed on both upper and lower surfaces, and a length direction of the tension band. Assuming a high-load transmission V-belt that is arranged in plural and is fixed to the tension band in mesh with the concavo-convex part, from above the flat canvas member in the convex cog of the tension band hardness measured by using a JIS-C hardness scale state, and are 75 or more and 83 or less, the fabric member, the longitudinal direction of the storage modulus temperature 100 ° C., static load 0.294 MPa, dynamic strain of 1 %, A frequency of 10 Hz, and a tensile mode measurement condition of 60.2 MPa or more and 130 MPa or less.
[0011]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described in detail with reference to the drawings.
[0012]
As shown in FIGS. 1 to 3, the high-load transmission V-belt according to the embodiment of the present invention includes a pair of left and right endless tension bands 1, and the tension bands 1 are continuously locked and fixed in the belt length direction. And a large number of blocks 7.
[0013]
Each of the tension bands 1 includes a shape-retaining rubber layer 2 that is a main rubber body made of hard rubber. Inside the shape-retaining rubber layer 2, a high-strength, high-elasticity core wire 3 such as an aramid fiber is disposed in the belt length. It is buried spirally and parallel to the vertical direction.
[0014]
On the upper surface of the shape-retaining rubber layer 2, a large number of upper concave portions 4 made of U-shaped grooves extending in the belt width direction corresponding to the respective blocks 7 are formed at a predetermined pitch over the entire length in the belt length direction. A plurality of lower recesses 5 formed of U-shaped grooves extending in the belt width direction are formed at a predetermined pitch over the entire length in the belt longitudinal direction corresponding to the upper recesses 4. A canvas member 6 for improving wear resistance is integrally bonded to the upper and lower surfaces of the shape retaining rubber layer 2. The canvas member 6 is produced, for example, by impregnating a nylon canvas with a rubber containing hydrogenated nitrile rubber reinforced with zinc methacrylate and then vulcanizing.
[0015]
In the tension band 1, the upper

concave portions

4, 4 adjacent to each other on the upper surface and the lower

concave portions

5, 5 adjacent to each other on the lower surface are respectively formed as trapezoidal convex cogs 15. The cog 15 on the upper surface side is formed with a narrower width than the cog 15 on the lower surface side.
[0016]
The hard rubber constituting the shape-retaining rubber layer 2 is a hydrogenated nitrile rubber reinforced with a metal salt monomer such as zinc methacrylate or zinc acrylate, and it is reinforced by mixing organic short fibers for the purpose of reinforcement. Thus, a hard rubber that is excellent in heat resistance and hard to be permanently deformed is used. The hard rubber has a rubber hardness of 75 ° or more when measured with a JIS-C hardness meter.
[0017]
The shape-retaining rubber layer 2 and the core wire 3 and the canvas member 6 are firmly bonded and integrated when the rubber is cross-linked by an appropriate bonding process to the core wire 3 and the canvas member 6.
[0018]
As a feature of the present embodiment, the canvas member 6 is composed of a rubber composition in which the rubber impregnated in the canvas contains hydrogenated nitrile rubber reinforced with zinc methacrylate, which is a metal salt monomer of a polymerizable organic acid. ing. The hardness of the canvas member 6 is such that the hardness (JIS-C hardness) measured using a JIS-C hardness meter from above the flat canvas member 6 of the tension band 1 is 75 or more and 83 or less. Has been adjusted. The rubber contained in the canvas may be composed of a rubber composition containing hydrogenated nitrile rubber reinforced with zinc acrylate.
[0019]
The canvas member 6 has a storage elastic modulus in the belt length direction of a temperature of 100 ° C., a static load of 0.29 MPa (3 kgf / cm 2), a dynamic strain of 1%, a frequency of 10 Hz, and a tensile mode condition (according to RSAII manufactured by Rheometrics). In this case, it is desirable that the pressure is adjusted to 60 MPa or more and 130 MPa or less. In the canvas member 6, the orientation direction of the polymer chain of rubber is the width direction of the belt.
[0020]
The rubber impregnated in the canvas may be configured so that the hardness (JIS-C) when vulcanized under the vulcanization conditions (170 ° C., 20 minutes) at the time of producing the canvas member 6 is 68 or more and 82 or less. desirable.
[0021]
Further, the rubber impregnated in the canvas has a storage elastic modulus in the direction perpendicular to the orientation direction of the polymer chain when vulcanized under the vulcanization conditions (170 ° C., 20 minutes) at the time of producing the canvas member 6 at a temperature of 100. It is desirable that the temperature be set to 60 MPa or more and 110 MPa or less when measured under measurement conditions of ° C, static load 0.294 MPa, dynamic strain 1%, frequency 10 Hz, and tensile mode.
[0022]
Each of the blocks 7 has a notch groove-like fitting portion 8 in which the tension bands 1 are detachably fitted from the width direction on the left and right side portions in the belt width direction. The left and right side surfaces excluding the fitting portion 8 are configured as a contact portion 11 that contacts a pulley groove surface (not shown) of the V pulley. The belt angle formed by the left and right contact portions 11 of the block 7 is the same as the angle of the pulley groove surface.
[0023]
Each block 7 includes an upper beam 7a located above the fitting portion 8 and extending in the belt width direction, a lower beam 7b located below the fitting portion 8 and extending in the belt width direction, It is formed in a substantially H shape by a center pillar 7c that connects the left and right central portions of the

beams

7a and 7b up and down.
[0024]
The tension bands 1 are press-fitted and fitted into the fitting portions 8 of the blocks 7 so that the blocks 7 are continuously locked and fixed to the tension bands 1 in the belt longitudinal direction. That is, an upper convex portion 9 as an upper meshing portion meshing with each upper concave portion 4 on the upper surface of the tension band 1 is formed on the upper wall surface of each fitting portion 8 in each block 7, and on the lower wall surface of the fitting portion 8. Lower convex portions 10 as lower meshing portions meshing with the respective lower concave portions 5 on the lower surface of the tension band 1 are formed in parallel with each other. Then, by engaging the both

convex portions

9 and 10 of each block 7 with the both

concave portions

4 and 5 of the tension band 1, the block 7 is arranged in the tension band 1 in the belt length direction and locked and fixed. Yes. The blocks are locked and fixed to the tension band so that the adjacent blocks 7 are connected by the cogs 15. In this locked state, both the outer side surface of each tension band 1 and the contact portion 11 which is the side surface of each block 7 are in contact with the pulley groove surface.
[0025]
As shown in FIG. 3, each of the blocks 7 includes a reinforcing material 12 and a hard resin portion 13 that covers the surface of the reinforcing material 12. The reinforcing member 12 is located above the fitting portion 8 of the block 7 and has an upper beam portion 12a whose lower end edge extends substantially horizontally, and located at the lower side of the fitting portion 8 and whose upper end edge is an upper beam portion. A lower beam portion 12b extending substantially horizontally in parallel with the lower end edge of 12a, and a pillar portion 12c which connects the left and right central portions of both beam portions 12a and 12b vertically and has both left and right edge portions extending substantially in the vertical direction. It is formed in the substantially H-shaped thing.
[0026]
The hard resin portion 13 is formed of, for example, a fiber reinforced phenolic resin. The hard resin portion 13 is formed so as to cover the upper and lower surfaces, both the left and right surfaces, and the fitting portion 8 of the reinforcing material 12. The hard resin portion 13 only needs to cover the reinforcing material 12 at the peripheral portion of the fitting portion 8 of the block 7 and the contact portion 11 on the left and right side surfaces (sliding contact portion with the pulley groove surface). In other parts, the reinforcing material 12 may be exposed on the surface.
[0027]
A high-load transmission V-belt composed of the combination of the block 7 and the tension band 1 configured as described above is wound between two transmission pulleys on the driving side and the driven side, not shown, and is belt-type continuously variable. A transmission is configured.
[0028]
Therefore, in this embodiment, even if each tension belt 1 receives a high load via the pulley via the block 7 during the high load transmission during belt running, the deformation of the cogs 15 can be suppressed within a certain range. In addition, power can be stably and efficiently transmitted even with high load transmission, and the block 7 can be prevented from swinging, and the belt can be driven with low noise. Furthermore, no cracks are generated in the tension band 1 and durability can be improved.
[0029]
【Example】
Next, specific examples will be described. The high load transmission V-belt had a belt angle of 26 degrees, a belt pitch width of 25 mm, a block pitch (belt length direction) of 3 mm, a block thickness of 2.95 mm, and a belt length of 612 mm.
[0030]
First, Table 1 shows the composition of the impregnated rubber impregnated into the canvas.
[0031]
[Table 1]

[0032]
As shown in Table 1, hydrogenated nitrile rubber (manufactured by Zeon Corporation, trade name: Zetpol 2020) and zinc methacrylate reinforced hydrogenated nitrile rubber (manufactured by Zeon Corporation, trade name: ZSC-2295) are used as the base rubber. The rubbers (i) to (vi) were produced in various kinds of impregnated rubbers by changing the blending ratio of both rubbers. In Table 1, the blending ratio of both rubbers is shown in mass%. Each impregnated rubber is 10 parts by mass of zinc oxide (manufactured by Sakai Chemical Co., Ltd.), 30 parts by mass of carbon black (manufactured by Asahi Carbon Co., Ltd .; trade name: Asahi # 50), and peroxide (100 parts by mass of both rubbers). Nippon Oil & Fats Co., Ltd., trade name: Peroximon F40) is blended at a ratio of 7 parts by mass.
[0033]
Then, an impregnated rubber of the rubber (i) to rubber (vi) is dissolved with MEK (methyl ethyl ketone) to prepare a glue rubber, and after the impregnated nylon canvas is impregnated with the glue rubber, the rubber is dried. An impregnated member was prepared. The mixing ratio of the impregnated rubber and MEK in the glue rubber was set to a ratio of 1: 5. The rubber impregnation amount of the glue rubber in the rubber impregnated member was determined from the mass per 1 m ² of the rubber impregnated member.
[0034]
The rubber impregnated member having the rubber (i) to rubber (vi) impregnated rubber as a constituent member was press-crosslinked in a state where the canvas was stretched by 40% in the length direction to produce a canvas member 6. The pressing conditions were 170 ° C. and 20 minutes. Further, a tension band 1 was produced using the canvas member 6 to produce a V-belt for high load transmission. Hereinafter, each Example and a comparative example are demonstrated.
[0035]
As shown in Table 2, the high-load power transmission V-belt according to Example 1 is impregnated in which the canvas member 6 in the tension band 1 has a mass ratio of hydrogenated nitrile rubber to zinc methacrylate reinforced hydrogenated nitrile rubber of 23 to 77. It is manufactured by impregnating canvas with rubber paste (rubber (ii)) dissolved in MEK and then press-crosslinking. The rubber (ii) contains 23% by weight of zinc methacrylate.
[0036]
The high-load power transmission V-belt according to Example 2 is an impregnated rubber (rubber (iii)) in which the canvas member 6 in the tension band 1 has a mass ratio of hydrogenated nitrile rubber to zinc methacrylate-reinforced hydrogenated nitrile rubber of 15 to 85 This is made by impregnating canvas with paste rubber dissolved in MEK and then press-crosslinking.
[0037]
The high-load power transmission V-belt according to Example 3 is an impregnated rubber (rubber (iv)) in which the canvas member 6 in the tension band 1 has a mass ratio of hydrogenated nitrile rubber to zinc methacrylate reinforced hydrogenated nitrile rubber of 5 to 95 This is made by impregnating canvas with paste rubber dissolved in MEK and then press-crosslinking. The rubber (iv) contains 30% by mass of zinc methacrylate.
[0038]
In the high load transmission V-belt according to Examples 4 and 5, rubber (ii) is used for the canvas member 6 of the tension band 1, but as shown in Table 3, unlike Example 1, Example 4 In Example 5, the impregnation amount is 110 g / m ^2, and in Example 5, the impregnation amount is 311 g / m ² . In Example 1, the impregnation amount is 220 g / m ² . That is, in Examples 4 and 5, the impregnation amount of the adhesive rubber is increased or decreased with respect to Example 1.
[0039]
In the high load transmission V-belt according to Examples 6 and 7, rubber (iv) is used for the canvas member 6 of the tension band 1, but unlike Example 3, in Example 6, the impregnation amount is 111 g / has a m ^2, the impregnation amount in example 7 is a 305 g / m ^2. In Example 3, the impregnation amount is 221 g / m ² . That is, in Examples 6 and 7, the amount of glue rubber impregnated in Example 3 was increased or decreased.
[0040]
[Table 2]

[0041]
[Table 3]

[0042]
In each of the above embodiments, the canvas member 6 of the tension band 1 uses zinc methacrylate as the metal salt monomer of the polymerizable organic acid, but zinc acrylate may be used.
[0043]
As shown in Table 2, the high-load power transmission V-belt according to Comparative Example 1 is impregnated with the canvas member 6 in the tension band 1 having a mass ratio of hydrogenated nitrile rubber to zinc methacrylate reinforced hydrogenated nitrile rubber of 30 to 70. It is produced by impregnating canvas with rubber paste (rubber (i)) dissolved in MEK and then press-crosslinking.
[0044]
The high load transmission V-belt according to Comparative Example 2 is an impregnated rubber (rubber (v)) in which the canvas member 6 in the tension band 1 has a mass ratio of hydrogenated nitrile rubber to zinc methacrylate reinforced hydrogenated nitrile rubber of 0 to 100 This is made by impregnating canvas with glue rubber dissolved with MEK and then press-crosslinking.
[0045]
The high-load power transmission V-belt according to Comparative Example 3 is an impregnated rubber (rubber (vi)) in which the canvas member 6 in the tension band 1 has a mass ratio of hydrogenated nitrile rubber to zinc methacrylate-reinforced hydrogenated nitrile rubber of 100 to 0. This is made by impregnating canvas with glue rubber dissolved with MEK and then press-crosslinking.
[0046]
In the high load transmission V-belt according to Comparative Examples 4 and 5, rubber (ii) is used for the canvas member 6 of the tension band 1, but as shown in Table 3, unlike Example 1, Comparative Example 4 is used. , The impregnated amount of glue rubber is 51 g / m ² , and in Comparative Example 5, the impregnated amount of glue rubber is 433 g / m ² . That is, in Comparative Examples 4 and 5, the impregnation amount was further increased or decreased as compared with Examples 4 and 5.
[0047]
In the high load transmission V-belt according to Comparative Examples 6 and 7, rubber (iv) is used for the canvas member 6 of the tension band 1, but unlike Example 3, the Comparative Example 6 has an impregnation amount of glue rubber. 50 g / m ² , and in Comparative Example 7, the amount of impregnation of the glue rubber is 428 g / m ² . That is, in Comparative Examples 6 and 7, the impregnation amount was further increased / decreased compared to Examples 6 and 7.
[0048]
The rubber hardness and storage elastic modulus of the impregnated rubber were measured. In the impregnated rubber, the rubber hardness and the storage elastic modulus were measured after crosslinking by pressing at 170 ° C. for 20 minutes. Further, the storage elastic modulus of the canvas member 6 was measured. Further, for each of the high-load transmission V-belts of the example and the comparative example, the durability and the thrust-tension conversion rate are measured, and the hardness of the flat portion at the cog of the tension band is measured from above the canvas member by a JIS-C hardness meter. It measured using.
[0049]
The above storage elastic modulus is measured by using Rheometrics RSAII as a testing machine, measuring conditions of a temperature of 100 ° C., a static load of 0.29 MPa (3 kgf / cm ² ), a dynamic strain of 1%, a frequency of 10 Hz, and a tensile mode. It was. In the impregnated rubber, the tensile direction was a direction perpendicular to the polymer chain orientation direction, and in the canvas member 6, the tensile direction was a direction corresponding to the belt length direction.
[0050]
The durability was evaluated for each of the Examples and Comparative Examples by a belt running test using the heat resistance test apparatus shown in FIG. 4A is a schematic cross-sectional view of the heat resistance test apparatus as viewed from the upper side, and FIG. 4B is a schematic cross-sectional view as viewed from the front side. The heat resistance test apparatus has a heat resistant box 20 having a hot air inlet 20a having a diameter of 40 mm at a substantially central position on the left and right of the upper surface of the front surface and a hot air outlet 20b having a diameter of 90 mm being opened at the left end of the upper surface. A drive pulley 22 having a pitch circle diameter of 126.43 mm provided on the drive shaft 21 is provided on the left side (hot air outlet 20b side) of the heat-resistant box 20, and a pitch circle diameter provided on the driven shaft 23 is 70.43 mm on the right side. 8 mm driven pulleys 24 are arranged at a distance of 148.5 mm between the axes. Then, each belt B of each of the examples and comparative examples is wound between these

pulleys

22 and 24, and each belt B is sent while hot air is sent from the hot air inlet 20a into the heat resistant box 20 and discharged from the hot air outlet 20b. Was run for 500 hours under the conditions shown in Table 4 below. And after driving | running | working, durability was evaluated by the presence or absence of the generation | occurrence | production of the crack of the tension band 1, and the presence or absence of a deformation | transformation of a cog.
[0051]
[Table 4]

[0052]
As shown in Table 2, rubber (ii), rubber (iii) and rubber (iv) having a rubber hardness (JIS-C) of 71 to 80 and a storage elastic modulus of 70.2 to 105.1 MPa as the impregnated rubber. In Examples 1, 2 and 3 using), no cracks were generated in the tension band 1 after the endurance running test, and no deformation of the cogs was confirmed. Furthermore, in Examples 1, 2, and 3, the thrust-tension conversion rate is a favorable value of 1.4 or less.
[0053]
On the other hand, in Comparative Example 1 using rubber (i) having a low rubber hardness of 66 and a low storage elastic modulus of 48.8 MPa, cracks occurred in the tension band 1 after the durability running test, and deformation of the cogs was confirmed. It was done. This is presumably because the storage elastic modulus of the impregnated rubber is too low, so that the deformation of the cogs becomes excessively large at the time of running and induces cracks. Further, in Comparative Example 1, since the deformation of the cog due to the pulley side pressure is large, the thrust is not effectively converted into tension, and the thrust-tension conversion rate is a high value of 2.
[0054]
In Comparative Example 3, where the hardness is lower than that of Comparative Example 1 and the storage elastic modulus is low, as in Comparative Example 1, cracks occurred in the tension band 1 after the endurance running test, and deformation of the cogs was confirmed.
[0055]
In Comparative Example 2 in which rubber (v) having a rubber hardness as high as 85 and a storage elastic modulus as high as 120.5 MPa was used as the impregnated rubber, the deformation of the cogs was not confirmed after the endurance running test. A crack occurred. This is presumably because the storage elastic modulus is too high, the flexibility is poor, and the bending fatigue properties are reduced, and cracks are generated due to the strain that occurs when the pulley is wound. In Comparative Example 2, the thrust-tension conversion rate is a good value of 1.2, which is considered to be due to the small deformation of the cogs.
[0056]
As shown in Table 3, in Examples 4, 5, 6 and 7 using the canvas member 6 having a storage elastic modulus of 60.2 to 130 MPa, there was no crack in the tension band 1 after the durability running test. And no deformation of the cogs was confirmed. Further, in these examples, the thrust-tension conversion rate is a good value of 1.2 to 1.4. The cogs hardness of the tension band 1 in Examples 4, 5, 6 and 7, that is, the hardness of the surface of the canvas member 6 is 75 to 83.
[0057]
On the other hand, in Comparative Examples 4 and 6 using the canvas member 6 having a low storage elastic modulus of 41.1 MPa and 55 MPa, cracks occurred in the tension band 1 after the durability running test, and deformation of the cogs was confirmed. That is, even when using impregnated rubber having hardness and storage elastic modulus within appropriate ranges, in Comparative Examples 4 and 6 where the amount of glue rubber impregnated is low, the impregnated rubber is not sufficiently filled in the voids of the canvas. In addition, it is considered that the storage elastic modulus as the canvas member 6 was lowered, excessive deformation occurred in the cogs of the tension band after the endurance running test, and cracks occurred in the tension band 1. That is, since the storage elastic modulus of the canvas member 6 is too low, the deformation of the cogs becomes larger than a certain level during traveling, and it is considered that cracks are induced by the excessive deformation of the cogs. The hardness of the cogs in these tension bands 1 is 70 and 72. In addition, since the deformation of the cogs during traveling is large, the thrust-tension conversion rate shows a high value as described above, and it can be seen that the thrust is not efficiently converted into tension.
[0058]
Moreover, in Comparative Examples 5 and 7 having a high storage elastic modulus of 135 and 154, cracks occurred in the tension band 1 although no deformation of the cogs was confirmed after the durability running test. This is because even if an impregnated rubber whose hardness and storage elastic modulus are in the proper ranges is used, if the amount of glue rubber impregnated is large, the storage elastic modulus of the canvas member 6 becomes too high, so the flexibility is poor and the bending It is thought that cracks are generated due to strain generated when the fatigue property is lowered and the pulley is wound. The hardness of the cogs in these tension bands 1 is 84 and 85. In Comparative Examples 5 and 7, no cog deformation was observed, and the thrust-tension conversion rate was a favorable value of 1.4 or less.
[0059]
As described above, there is an optimum range for the amount of glue rubber impregnated, but this range varies depending on the material and thickness of the raw fabric, and is difficult to specify.
[0060]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, even when a high load is applied during belt running, deformation of the cog during running can be suppressed within a certain range, and stable and efficient even with high load transmission. Power can be transmitted well, and the block can be prevented from swinging, and the belt can be driven with low noise. Furthermore, no crack is generated in the tension band, and durability can be improved.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a perspective view showing a configuration of a high load transmission V-belt according to a first embodiment.
FIG. 2 is a side view showing the configuration of the high load transmission V-belt according to the first embodiment.
3 is a cross-sectional view taken along the line II in FIG. 2. FIG.
4A is a cross-sectional view of the heat resistance test apparatus as viewed from above, and FIG. 4B is a cross-sectional view of the heat resistance test apparatus as viewed from the front side.
[Explanation of symbols]
1 Tension belt 6 Canvas material 7 Block 15 Cog

Claims

While the canvas member in which the canvas is impregnated with rubber is bonded to the upper and lower surfaces of the main rubber, a tension band having uneven portions formed on both upper and lower surfaces,
In a high load transmission V-belt configured by a plurality of blocks arranged in the length direction of the tension band and fixed to the tension band by meshing with an uneven part,
Hardness measured by using a JIS-C hardness meter from the top of the canvas member of the flat portion of the convex cogs of the tension band state, and are 75 or more and 83 or less,
The canvas member has a storage modulus in the length direction of 60.2 MPa or more and 130 MPa or less under the measurement conditions of a temperature of 100 ° C., a static load of 0.294 MPa, a dynamic strain of 1%, a frequency of 10 Hz, and a tensile mode. A high load transmission V-belt characterized by the above.