図に対応して、本発明による光銃の射撃システムの実施の好ましい形態は、複数の着弾位置検出器が複数の射撃ボックスとともに配置されて設けられている。その射撃ボックス1の数は、図1に示されるように、5が例示されている。光弾である有限長のレーザービームが標的面に入射する入射点の位置を検出する着弾位置検出器2の数は、5が例示されている。1つの射撃ボックス1と、1つの着弾位置検出器2とは、位置的にも競技的にも1対1に対応し、1つの射撃ボックスから複数の着弾位置検出器2に光弾が発射されることは原則的にない。このような1対1に対応しない射撃が行われた場合、後述されるように、その射撃の光弾は検出されず又は無効化される。1つの射撃ボックス1は、2枚の仕切板3で仕切られて形成されている。着弾位置検出器2の前面には、正方形状又は円形状の標的板4が固着されている。図2は、1銃1標的の射撃競技のための配置を示している
が、n銃n標的の射撃競技が行われることは排除されない。
複数の標的板4の前面は、共通平面5を形成している。複数の射撃ボックス1には、共通射撃許容面6が形成されている。共通平面5と共通射撃許容面6とは互いに平行であり、且つ、ともに鉛直面である。レーザービームを発射するレーザー銃7は、共通射撃許容面6から着弾位置検出器2の側にはみ出さない限り、隣り合う2枚の仕切板3の間で自由に用いられることが競技規定により許可される。
着弾位置検出器2は、赤外線LEDにより生成される光円錐ビーム、光楕円錐ビーム、又は、矩形錐ビームのような錐状ビーム8を発射する。5つの着弾位置検出器2から発射される光楕円錐ビーム8のうちの1つは、それぞれに真向かいにある1つの射撃ボックス1に届き、2つの射撃ボックスに届くことは原則的にはない。レーザー銃7から発射されるレーザービーム(光弾)9は、そのビームを発射するレーザー銃7に固有に対応する信号を有する光弾である。レーザービーム9は、その平行光束性が高く、後述されるレンズにより光点状に標的板4に届く。
錐状ビーム8は、レーザービーム9が発射される発射条件信号であり、レーザー銃7の受光部で受信される。錐状ビーム8のパルス幅は、射撃ボックス1に位置対応する着弾位置検出器2に固有であり、隣り合う錐状ビームのパルス幅は互いに異なる。このように、複数の着弾位置検出器2から発射される錐状ビーム8は、それぞれに個別に対応するレーザー銃との関係で固有化された発射条件信号であることが好ましい。
図2は、着弾位置検出器2を詳細に示している。着弾位置検出器2の筐体と内部支持構造は、熱的歪みの大きさが許容範囲内に抑えられるように高剛性に設計されて組立てられている。着弾位置検出器2は、既述の標的板4の他に、位置検出用光学素子11を備えている。位置検出用光学素子11は、集光用レンズ12と位置検出用半導体素子13とを備えている。着弾位置検出器2は、更に、赤外線LED14を備えている。位置検出用半導体素子13として、CCDデバイス又はPSDが知られている。位置検出半導体素子13として、PSDがコストの点と検出速度の点で好適に用いられる。
PSD13は、2次元電流生成膜を有し、その膜にレーザービームが集光用レンズ12で集光されて当たる光点の座標位置(x,y)に2次元的に線形に対応する電流を2次元方向にその膜内で生成する。PSD13は、x軸方向に互いに逆方向に電流Ix1と電流Ix2を生成し、y軸方向に互いに逆方向に電流Iy1と電流Iy2を生成する。その光点座標(x,y)は、次式で表される。
x=k(Ix2−Ix1)/(Ix2+Ix1)
y=k(Iy2−Iy1)/(Iy2+Iy1)・・・(1)
従って、光点座標(x,y)は光点位置に1対1に対応して計算により決定される。(Ix2−Ix1)と(Iy2−Iy1)が共に零になる光点位置が、PSD13の機械的座標原点(0,0)として定められる。その機械的座標原点は、上式で規定される座標値が零になる位置であり、PSD13の電気的中心点に一致している。機械的座標原点は、着弾位置検出器2の高剛性の筐体構造上で固定されている。標的板4は、PSD13に対して規定される許容範囲の精度で2次元的に位置決めされる。
標的板4は、光散乱性光透過膜を有し、標的板4に到達する錐状ビーム8の断面上で直径が1mm程度である略円形像がその光散乱性光透過膜に形成される。その略円形像は、集光用レンズ12で集光されてPSD13の受光面に点状に実像(既述の光点)として形成される。
着弾位置検出器2の筐体の正面側部位には、図3に示されるように、鉛直方向に長い長楕円形状に赤外線透過窓形成スリット15が位置調整自在に固着されている。赤外線透過窓形成スリット15は、着脱自在に着弾位置検出器2に固着される。競技種目の変更に対応して、1つの着弾位置検出器2について、複数の赤外線透過窓形成スリット15を着脱自在に交換することが可能であることは好ましい。射撃ボックスが複数に配置される場合に対応して、赤外線透過窓形成スリット15を仮想的に設定されている平面上で水平方向に移動させ、複数位置で着弾位置検出器2の筐体に固着することができるように改変することは自由である。
赤外線LED14の光円錐ビームの発射領域は点ではなく多点状領域である。赤外線LED14の前方にレンズ系を配置することにより、赤外線LED14の発射領域を多点状領域としてではなく単点状領域として取り扱うことができる。その点状領域は、図4に点Pで代表的に示されている。点Pを含み共通平面5に直交する水平線(赤外線光軸)16と共通射撃許容面6との交点はQで示され、赤外線透過窓形成スリット15の水平方向幅はdで示され、射程距離はDで示され、点Pと共通平面5との間の距離はXで示され、射撃ボックス1の水平方向幅はaで示されている。特定される着弾位置検出器2と特定される射撃ボックス1との角度的位置関係により、スリット幅dは異なるが、比例関係により幾何光学的にスリット幅dはよい近似で次式により表される。
a/2(X+D)=d/2X
これから、
d=aX/(X+D)・・・(2)
ここで、aとDは規定値でありXは設計値である。式(2)より、赤外線透過窓形成スリット15のスリット幅dが決定される。赤外線透過窓形成スリット15の高さ方向幅は、競技者が射撃に際して伸ばす腕の手の高さ位置、又は、競技者が肩当て部を肩に当てて照準器を覗いて標的に視線を合わせる時の砲身本体の高さ位置を基準として定められる。
標的板4と着弾位置検出器2の筐体の前面側部位のそれぞれの複数箇所で、図3に示されるように、位置決め穴17が開けられている。着弾位置検出器2の側の位置決め穴17は、着弾位置検出器2の既述の機械的座標原点で規定される3次元座標系内で高精度に位置決めされ、着弾位置検出器2の側の位置決め穴17の相対的位置関係は、標的板4の側の位置決め穴17の相対的位置関係に厳密に一致している。標的板4は、競技種目により取り替えられるが、両側の位置決め穴17にピンを通すことにより、取り換えられた標的板4は常にPSD13の機械的座標原点に対して3次元的に厳密に調整可能に位置づけられている。
標的板4と集光用レンズ12との間には、円錐状カバー18が取り付けられている。円錐状カバー18は、標的板4に形成され標的板4で散乱される散乱光を迷光として集光用レンズ12に入射させない暗箱である。集光用レンズ12とPSD13とは、取付け基板19に取り付けられている。取付け基板19は、図3に示されるように、ボルト21により着弾位置検出器2の筐体部分に強固に高剛性に取り付けられている。着弾位置検出器2には、空冷用窓、後述される多様な電子回路ユニットが内蔵され、標的板4の標的中心点が規定の高さ位置になるように強固に据え付けられている台(図示されず)の上に設置される。
図5は、光線銃(レーザー銃)7の銃身本体部分23を示していて、当該ピストルのグリップ部分はその図示が省略されている。光源として、有色(又は、赤色)半導体レーザー発振素子24が用いられている。半導体レーザー発振素子24が生成する多発光点を単一化し、且つ、10m先で適正なビーム直径が得られるように、ビーム調整レンズ25が半導体レーザー発振素子24の光軸26に同軸的に配置されている。
銃身本体部分23の前方部位の下方部位に、フォトダイオード27が配置されている。フォトダイオード27は、赤外線LED14が発射する錐状ビーム8の一部分を銃身本体部分23の前端部位に開けられている赤外線取込み口28から取り込んで受光する。銃身本体部分23の下面部位には、射撃状態表示用LED29が露出的に配置されている。複数個の電池31は、銃身本体部分23の上方部位(上半分領域)に収納されている。このような電池31の配置は、その交換性を良好にする。重心調整は、スタビラーザー36により行われる。銃身本体部分23の下面部位にパワー入切スイッチ32が配置されている。射撃状態表示用LED29は、パワー入切スイッチ32の入動作により連続的に点灯する。
錐状ビーム8又はそれに含まれる光弾生成条件信号がフォトダイオード27により受信されれば、射撃状態表示用LED29は点滅的に又は連続的に発光する。射撃状態表示用LED29の連続発光の発光色を寒色に変色させることは、競技者の気が散らないようにするために好ましい。半導体レーザー発振素子24は、射撃者が引き金(図示されず)を引くことにより後述される制御回路により規定される光弾信号33を持つ光弾34を光軸26の線上に射出する。銃身本体部分23には、回転可能に、且つ、任意の回転位置で固定が可能であるスタビライザー36が装着されている。射撃者の肉眼光軸37は、銃身本体部分23の前端部位の上端面部位に取り付けられている十字線照準38の交点を介して標的に向かう。
引き金の引き動作によるレーザー銃7の動作モードとして、3通りが用意されている。第1モードは、錐状ビーム8の赤外線取込み口28を受信した場合に限って銃に個別的に対応する光弾信号33を含む光弾34を実射する本射モードである。第2モードは、錐状ビーム8の赤外線取込み口28を受信した場合に限って光弾信号33とその光弾信号を無効化する無効化信号とを含む光弾を実射する試射モードである。無効化信号は、本射モードの光弾を有効化する信号が存在しない形態又はその信号が改変された信号として実現され得る。例えば、そのような無効化のためには、図11(c1)に対応して後述される信号75−1が、”00”に設定される。
このような信号により、第2モードの光弾は、第1モードの光弾から区別され得る。第3モードは、引き金を引く動作の感触を確かめるだけであり光弾を発射しない感触確認モードであり、安全性を担保することができる。銃身本体部分23の下面部位に、図6に示されるように、本射モードと試射モードの選択は、スライドスイッチ39の位置変位により行われる。このようなスライドスイッチの採用により、銃身下方にあって競技者に見えない位置にあるスイッチのモード選択位置を競技者に感触で確認させることを可能にする。スイッチ類と点灯用ランプ類は、肉眼光軸37に対して鉛直方向に上下反対側に配置されることが好ましく、特に、スイッチ類は下側に配置されることが好ましい。競技者の肉眼光軸37の近辺には、目立つものがないことが好ましく、特に点灯ランプが配置されないことが好ましい。
図7は、本発明による光銃の射撃システムの実施の形態を示している。本システムは、既述の通り、レーザー銃7と着弾位置検出器2とから構成されている。着弾位置検出器2は、レーザー銃7に対して、錐状ビーム8と光弾34とにより双方向通信を実行する。レーザー銃7は、半導体レーザー発振素子24とビーム調整レンズ25とから構成されるLDユニット42とLDボード43とを備えている。
電池31の出力電力は、LDボード43を介してLDユニット42に供給される。LDボード43は、D/D変換器44と光弾信号出力制御ユニット45とを備えている。電池31の直流出力は、D/D変換器44を介して光弾信号出力制御ユニット45に入力される。第1スライドスイッチ39の入切により、モード選択器46はモード選択信号47を生成する。モード選択信号47は、光弾信号出力制御ユニット45に入力する。
光弾信号出力制御ユニット45は、第1モードに対応する第1レーザ生成電流48又は第2モードに対応する第2レーザ生成電流49を出力する。第1レーザ生成電流48又は第2レーザ生成電流49は、引き金が引かれた場合にトリガー信号発生器51から出力されるトリガー電気信号52が光弾信号出力制御ユニット45に入力されない場合には生成されず、且つ、第1レーザ生成電流48又は第2レーザ生成電流49は、錐状ビーム8の受信により生成するレーザー発射条件信号53が光弾信号出力制御ユニット45に入力されない場合には生成されない。従って、射撃ボックス1に入っていないレーザー銃7から光弾が発射されることはなく、安全性が担保されている。
着弾位置検出器2は、既述の通り、標的板4とPSD13と赤外線LED14を備えている。着弾位置検出器2は、更に、送受信信号制御ボード54とシステム制御用CPUボード55とを備えている。送受信信号制御ボード54は、送受信信号制御ユニット56とD/D変換器57を有している。着弾位置検出器2は、公衆電源58にスイッチ59を介して接続する。公衆電源58から取り入れられる電力は、A/Dパワー変換器60を介してD/D変換器57とPSD13とに入力される。着弾位置検出器2の前面壁の上方部位には、射撃許容を示して点灯する緑色射撃許容ランプ61と、射撃禁止を示して点灯する赤色射撃禁止ランプ62とが配置されている。
光弾信号33を含む光弾34は、標的板4で散乱する。その散乱光は、集光用レンズ12を介してPSD13の受光面上に集光する。位置検出用半導体素子13を含むPSDユニット67は、光弾34に対応する電流値信号63を出力する。電流値信号63は、集光点に対応する既述の式(1)で示される2組の2次元方向電流の電流値に対応している。電流値信号63は、送受信信号制御ユニット56に送信される。システム制御用CPUボード55は、緑色射撃許容ランプ61の点灯制御、赤色射撃禁止ランプ62の点灯制御、赤外線LED14の発射制御を実行する。
電流値信号63を処理して着弾状態値64を生成してシステム制御用CPUボード55に送信する。特に、システム制御用CPUボード55は、着弾状態値64に基づく得点計算を実行し、後述される表示を制御する。着弾状態値64に基づく得点計数処理制御は、システム制御用CPUボード55がLAN65を介して接続するパソコン66でも実行され得る。得点計数処理制御がシステム制御用CPUボード55で実行される場合には、その得点計数結果は着弾位置検出器2に配置されている表示ボード(図示されず)に直接に表示される。
図8は、光弾発射条件である錐状ビーム8と光弾信号33のタイムシーケンスを示している。競技者が本射モード又は試射モードを選択するスイッチを入れ、射撃ボックス1の中にレーザー銃7を持ち込み、特に、競技者が銃口を標的板4に向ければ、錐状ビーム8を受信するレーザー銃7の中で、競技者の意思とは無関係に、レーザー発射条件信号53がフォトダイオード27から出力される。錐状ビーム8は、着弾位置検出器2から一定時間間隔(=5ms)で発射されている。レーザー発射条件信号53に基づいて、光弾34の光弾信号のうちの一部である着弾位置検出用信号72がLDユニット42から発射される。光弾34の着弾位置検出用信号72は、PSD13で着弾位置検出信号74として受光される。着弾位置検出信号74は、PSD13を含むPSDユニット67と制御ユニット56とにより着弾状態値64に変換されてシステム制御用CPUボード55に入力される。
競技者がトリガーを操作してモード選択信号47が生成された場合は、1つの着弾位置検出用信号72に1対1に対応する光弾識別用信号73が半導体レーザー発振素子24で生成されてレーザー銃7から発射される。本射モード又は試射モードの光弾34は、着弾位置検出用信号72と光弾識別用信号73とから形成されている。位置検出用半導体素子13は、着弾位置検出用信号72を受信して着弾位置検出用信号72に対応する着弾位置信号74を出力し、光弾識別用信号73を受信して光弾識別用信号73に対応する光弾区別信号75を出力する。着弾位置検出信号74と光弾区別信号75は、PSDユニット67により電流値信号63と着弾状態値64に変換されて、システム制御用CPUボード55に入力される。
図8に示されるように、1回のトリガー操作に基づいて、光弾識別用信号73は3つが発射される。1つの着弾位置検出用信号72−1に時間的に対応して1つの光弾識別用信号73−1が発射される。他の1つの着弾位置検出用信号72−2に時間的に対応して他の1つの光弾識別用信号73−2が発射される。更に他の1つの着弾位置検出用信号72−3に時間的に対応して更に他の1つの光弾識別用信号73−3が発射される。このように、1回のトリガー操作に基づいて、着弾位置検出用信号72と光弾識別用信号73の組が3回発射される。
位置検出用半導体素子13は、このような3組に対応する3組の信号を出力する。位置検出用半導体素子13は、1つの着弾位置信号74−1とこれに時間的に対応する1つの光弾区別信号75−1を出力し、他の1つの着弾位置信号74−2とこれに時間的に対応する他の1つの光弾区別信号75−2を出力し、更に他の1つの着弾位置信号74−3とこれに時間的に対応する更に他の1つの光弾区別信号75−3を出力する。信号75−1と信号75−2と信号75−3の3つの信号は、1光弾群を形成する。
図9(a)は、着弾位置信号74と光弾区別信号75の基本ビット形式であるシリアルデータ79の構成を示している。シリアルデータ79の先頭ビット81はスタートビットであり、シリアルデータ79の後尾ビット82はストップビットである。図9(b)は、着弾位置信号74のビット形式を示している。先頭ビット81と後尾ビット82の間の8ビットは、(0,0,0,1,1,1,1,1)で表されている。スタートビットと3つの活性ビットの4ビットは、用いられる赤外線LED14の出力性能とフォトダイオード27の出力性能とが考慮されて少なくとも400μsのパルスが与えられている。
図9(c1),(c2),(c3)は、光弾区別信号75のビット形式を示している。先頭ビット81と後尾ビット82の間の8ビットのうちの先頭側の2ビットは、1回の引き金の引き動作に基づいて生成される1光弾群の3つの光弾区別信号75−1,2,3を互いに識別する1光弾群内識別信号は、2ビットで表現され、”1”と”2”と”3”とが存在している。
光弾区別信号75は、1光弾群内第1光弾信号75−1と、1光弾群内第2光弾信号75−2と、1光弾群内第3光弾信号75−3とから構成されている。先頭ビット81と後尾ビット82の間の8ビットのうちの後尾側の6ビットは、光弾34の発射順序識別番号を示し、引き金の引き回数に一致している。1単位ゲームでは、63発より少ない光弾の発射が可能である。
射撃開始前には、その6ビットは、(0,0,0,0,0,0)に初期設定されているので、1競技では(32+16+8+4+2+1)(=(64−1))で表される63回の引金引き回数が可能であり、63発の光弾34の射撃が可能である。
図9は、その光弾34の弾番号”111100”として15番目)を例示している。図9(b)に示される着弾位置信号74は400μsの合計パルス幅を持ち、図9(c1)と図9(c2)に示される1光弾群内第1光弾信号75−1,2は600μsの合計パルス幅を持ち、図9(c3)に示されるトリガキャラクタ信号75−3は400μsの合計パルス幅を持っている。例示される弾番号は、0が積極信号として表され1が消極信号として表されていて、その2進値は(1,1,1,1,0,0)であり、3つの光弾の弾番号は共通的に(8+4+2+1)で計算されて15である。
1光弾群内第1光弾信号75−1は、同一光弾群に第1番目に属することを示す同一光弾内第1番目信号75−1−1と、同一光弾群に共通に属することを示す第1共通信号75−1−2とを備えている。1光弾群内第2光弾信号75−2は、同一光弾群に第2番目に属することを示す同一光弾内第2番目信号75−2−1と、同一光弾群に共通に属することを示す第2共通信号75−2−2とを備えている。1光弾群内第3光弾信号75−3は、同一光弾群に第3番目に属することを示す同一光弾内第3番目信号75−3−1と、同一光弾群に共通に属することを示す第3共通信号75−3−2とを備えている。
一般的には、1光弾群内第j光弾信号75−jは、同一光弾群に第j番目に属することを示す同一光弾内第j番目信号75−j−1と、同一光弾群に共通に属することを示す第j共通信号75−j−2とを備えている。第1共通信号75−1−2の共通番号は、第2共通信号75−2−2の共通信号に同じである。後述されるように、引き金が1回引かれた場合、その1回の引きに対応して、散弾銃的に複数の光弾が時系列点上で発射される。このような発射は、機関銃的であるが、1回だけの一瞬の引き金動作で複数光弾が発射される点で機関銃とは異なっていて、後述されるように、従来の実弾射撃銃とは異なる形式の銃が実現する。
同一光弾内第1番目信号75−1−1と同一光光弾内第2番目信号75−2−1と同一光光弾内第3番目信号75−3−1とは、共に2ビットで表現されている。第1共通信号75−1−2と第2共通信号75−2−2と第3共通信号75−3−2は、共に6ビットで表現されている。
着弾位置信号74を複数光弾に共通に持たせることは、競技を多様化する。その多様化により、得点は、同一光弾内第1番目信号75−1−1と同一光弾内第2番目信号75−2−1とに基づいて共通番号について1つの得点として計算されることが可能であり、更に、得点は、同一光弾内第1番目信号75−1−1に基づく得点と同一光弾内第2番目信号75−2−1に基づく得点とが平均化されて計算され得る。引き金動作後の競技者の手指と銃身との微妙な相対的揺れが、その得点に反映される。第1着弾信号74−1の着弾位置と第2着弾信号74−2の着弾位置との間が軌跡化される。相対的揺れが大きければ得点が低く、相対的揺れが小さければ得点が高い。
光学系の揺らぎ又は銃振れにより、その3発は同一点に着弾する保証はなくそれらの得点は必ずしも同じではない。3発の3つの座標値の平均値がシステム制御用CPUボード55又はパソコン66で計算され、その平均値に対応する得点がシステム制御用CPUボード55で計算される。3発が更に多発化され得る。このような場合、得点は、第1着弾信号74−1の着弾位置と第2着弾信号74−2の着弾位置との間の相対的位置関係に対応して求められる。
第1着弾信号74−1と第2着弾信号74−2は、より多くの着弾信号のうちの2つの代表であり、複数光弾の着弾位置がより連続的に点列として軌跡化され、その軌跡は競技場内のスクリーンに表示される。着弾点列の集合を示す面積の大きさ、原点(標的中心)からの平均的離隔距離、原点まわりの角度的分布の広狭のような着弾位置態様は、競技者の手指と銃身の相対的運動を厳密に多様に表現することができる。このような射撃競技は、従来の実弾射撃競技では実現することができない。
トリガーが動作しない場合にも、レーザー銃7の銃口がに向けられている限り、着弾位置検出信号74は連発的に標的板4で受光される。このように受光される着弾位置検出信号74の着弾位置の軌跡が表示装置に表示される。このような軌跡は、競技者の腕の揺れを示す。競技者は着弾位置検出器2の上面側のような近辺に設置されているスクリーンのような表示面に表示される軌跡の揺れを見ながらトリガーを引くことができる。このような軌跡を大型スクリーンに映し出すことにより、観客に対するサービスを充実することができる。
図10は、データ検出タイミングを示している。1つの着弾位置信号74が拡大されて表されている。データ変換サイクル許可信号83が、着弾位置信号74の立下がり部位より規定時間遅れて出力される。次の着弾位置信号74が出力される前に、データ変換サイクル許可信号83の立上がり部位に同時的に同期して、データ変換サイクル信号84が生成される。着弾位置座標データ(x,y)は、データ変換サイクル信号84に同期して解読される。着弾位置座標データ(x,y)は、電流値信号63に含まれている。着弾点の座標位置(x,y)が式(1)に従ってシステム制御用CPUボード55又はパソコン66により計算される。着弾位置座標データ(x,y)は、パソコン66に送信されてパソコン66のメモリ部に格納され、更に、競技場内のスクリーンにリアルタイムに表示される。
図11は、データ解読タイミングを示している。データ変換サイクル許可信号83が制御ユニット56に入力すれば、データ変換サイクル信号84が制御ユニット56で生成される。制御ユニット56に入力されるBUSY信号85は、”L”に立下がり、赤外線LED14の出力はなくなる。第1変換データ選択信号86と第2変換データ選択信号87とは、送受信信号制御ユニット56から生成されて多重化される。第1変換データ選択信号86と第2変換データ選択信号87の組合わせは、(0,0)と(0,1)と(1,0)と(1,1)で表される4通りが存在する。
その組合せが(0,0)であれば着弾位置座標データ(x,y)は全く送受信信号制御ユニット56に送信されず、その組合せが(0,1)であれば着弾位置座標データ(x,y)のうちのx座標値対応信号が制御ユニット56に送信され、その組合せが(1,0)であれば着弾位置座標データ(x,y)のうちのy座標値対応信号が制御ユニット56に送信され、その組合せが(1,1)であれば着弾位置座標データ(x,y)のうちのx座標値対応信号とy座標値対応信号とが制御ユニット56に送信される。着弾位置座標データ(x,y)を座標値に変換するデータ変換が終了すれば、BUSY信号85は、”H”の状態に戻される。
図12は、レーザー銃7が出力する光弾34の着弾位置検出用信号72と光弾識別用信号73とを生成する光弾発生回路88を示している。光弾発生回路88は、フォトダイオード27の出力信号を増幅して同期化信号89を生成する増幅器91と、引き金の引き動作に基づいてトリガ信号92を生成するトリガ信号生成回路93とを備えている。同期化信号89を受けた光弾信号出力制御ユニット45は、レーザー発振電流94を出力する。同期化信号89とレーザー発振電流94は、同期出力素子95に入力する。レーザー発振電流94は、レーザー発振電流94のうちの同期化信号89のパルス幅に対応する時間幅分を着弾位置検出用信号72に対応する光弾対応電力72’として出力する。
トリガ信号92に基づいて光弾識別用信号73に対応する光弾対応電力73’が光弾信号出力制御ユニット45で生成される。光弾対応電力72’と光弾対応電力73’とが同期的遅延素子96に入力し、半導体レーザー発振素子24は、同期的遅延素子96の出力に基づいて、着弾位置検出用信号72と光弾識別用信号73を含む光弾34を出力する。
図13は、標的板4の詳細を例示している。標的板4は、その得点領域が10個の同心円で表される10領域に分けられている。最外側の環領域の得点は1点であり、中心の円領域の得点は10点である。標的板4としては、複数枚が用意され、既述の通り、位置決め穴17にピンを通すことにより組み付ける標的板4を交換的に取り付けることができる。
標的板4の円形の幾何学的精度は、競技者の腕前の精度に対して十分に高いが、PSD13の電気的、機械的、光学的精度は十分ではない。集光用レンズ12のPSD13に対する幾何学的位置精度、集光用レンズ12とPSD13との取り付けに関する機械的精度、PSD13の歪みに起因する電気的対称性に関する電気的精度は、調整により十分に高く保持されることが重要である。そのような調整器具が、用意されている。
その調整器具は、位置検出用光学素子11を固定する固定治具(図示されず)を2次元的に変位させて移動させる変位機構と、標的板4を固定する固定台とから構成されている。固定治具と変位機構の2次元的変位は、相対的に与えられる。このような固定治具と変位機構は、光学機器としてよく知られている。標的板4の受光面が変位機構の2次元的変位面に平行になり、且つ、位置検出用光学素子11の光軸がその受光面に直交するように、変位機構と固定治具の位置関係が予め適正に調整される。そのような変位機構に取り付けられたPSD13が、図3に示されるように着弾位置検出器2の指示構造に配置されて取り付けられている。標的板4は、そのような固定治具とともに着弾位置検出器2に取り付けられている。このような固定治具に、既述の位置決め穴17が開けられている。
レーザーが、標的板4の10得点領域の中心点に照射される。変位機構により位置検出用光学素子11を2次元方向に連続的に移動させる。その移動は、移動途中の各点でPSD13が生成する電流値Ix2,Ix1により表される式(1)の左辺の値が減少する方向に実行される。(Ix2−Ix1)と(Iy2−Iy1)とがともに零になる位置が、PSD13の電気的中心点として決定され、そのときの変位機構の2次元目盛が記録され、その目盛に対応して位置づけられるPSD13の電気的中心点が着弾位置検出器2の機械的原点として決定される。
その機械的原点に電気的中心点が一致しているPSD13を固定している変位機構により、x座標方向とy座標方向にPSD13を変位させて、(Ix2−Ix1)と(Iy2−Iy1)を測定する。次に、レーザースポット点を同心円間隔の長さだけ+x軸方向に移動させる。次にPSD13を(Ix2−Ix1)が零になるまで−x軸方向に移動させる。その−x軸方向への移動を示す変位機構の目盛を既述の原点対応目盛に対して読み取り、x’を定める。次に、レーザースポット点を同心円間隔の長さだけ+y軸方向に移動させる。次にPSD13を(Iy2−Iy1)が零になるまで−y軸方向に移動させる。その−y軸方向への移動を示す変位機構の目盛を既述の原点対応目盛に対して読み取り、y’1をめる。x軸方向とy軸方向にそれぞれにレーザースポットを標的板4の面上で移動させて、(Ix2−Ix1)と(Iy2−Iy1)とがそれぞれに零になる零
点を見出して、(x’,y’)を定める。
このような実測により、
x’=ax
y’=by
の関数関係が求められる。レンズなどを含む光学系の写像関係が理想的であれば、jとkは、同じであり不変数である。このような組(x’,y’)は、その位置における式(1)から求められる座標(x,y)と完全には、既述の非対称性により一致しない。その都度の(x’,y’)と(x,y)との関係は、領域ごとに近似的に線形関係で表される。
x’=jx
y’=ky
これらのjとkは、標的板4の第1象限〜第4象限に従って変動し、更に、原点からの距離によって変動する。標的板4の得点領域を複数領域に分けることが好ましい。複数領域の領域区別数をsで示せば、
x’=jsx
y’=ksy
この組(js,ks)が送受信信号制御ボード54又はシステム制御用CPUボード55にテーブルとして設定されている。
既述の歪み補正は、レーザー照射点の絶対的位置の固定と、標的板とPSDの間の相対的変位とに基づいて実行されているが、標的板とPSDの両方の固定と、レーザー照射点の変位とに基づいて実行され得る。レーザー照射点の変位により歪み補正を行う場合には、レーザーを標的板に照射し、その照射位置を視認してその座標(x,y)を人為的に読み取り、その視認位置に対応するPSDの出力座標(x’,y’)を記録する。(x,y)と(x’,y’)との変数変換は、既述の通りである。変数変換は、分割領域ごとに実行され、変数変換は分割領域ごとのテーブルで表現され得て、この場合は、計算は不要である。座標(x,y)は、直交座標に限られず、直交座標に代えられて極座標が用いられ得る。複数分割領域のそれぞれの領域の範囲は、PSDの電気的中心点より遠い領域で広くPSDの電気的中心点より近い領域で狭く設定されることは好ましい。
調整方法は、公式審判員の指導のもとで技術員により競技会場で実行され得る。このような技術員による調整は、簡単であることが望ましい。簡単な調整方法は、下記の通りに実行される。着弾位置検出器2の前方に、適当な光ビーム発生器を置く。着弾位置検出器2の前面を形成する標的板4に、縦横に5mm間隔で小さい穴が開けられた座標板を位置決めして取り付ける。
光ビーム発生器から発射される光ビームを座標板の中心点にある穴に照射する。着弾位置検出器2のPSDが出力する電気的座標値(x’,y’)は、(0,0)であるか、又は、それに近い座標値を示す。その電気的座標値(x’,y’)が(0,0)になるように、座標板とともに標的板4を微妙に移動させて標的板4の位置を調整する。標的板4の位置を調整しないで、PSD13の位置を調整することは可能である。このような調整により、PSD13の電気的原点(0’,0’)が、標的板4の機械的原点(0,0)に一致する。
このような機械的調整の次に、数学的調整が実行される。座標板の原点に対応する穴の隣りの穴に光ビームを照射する。この時の穴の座標(x,y)は、mm単位で、(0,5)、(5,0)又は(5,5)である。この場合にPSD13の出力が示す電気的座標値(x’,y’)は、必ずしも(5,5)に一致しているとは限らない。一般に、光ビームを照射した座標板の穴の機械的座標値(x,y)とその座標値に対応するPSD13の電気的座標値(x’,y’)とは一致しない。機械的座標値(x,y)と電気的座標値(x’,y’)との間で、既述の座標変換を行う。このような座標変換は、並進座標変換又は回転座標変換である。
このような座標変換による数学的調整は、図に示される4つの象限について実行される。機械的調整により定められた原点Oを含む象限イ,ウ,エ,オを採択する。象限イ,ウ,エ,オは、それぞれに、100mm×100mmの正方形領域であり、それぞれに原点Oを含んでいる。第1象限イについて、x軸方向とy軸方向に光点を5mm間隔で移動させて、その光点の座標(x,y)に対応するPSD出力に基づく座標(x’,y’)を測定し、既述の数学的調整を実行する。このような調整が他の3つの象限について実行される。
図14は、競技の全体システムを示している。一人の競技者のレーザー銃7に対応する標的板4を含む着弾位置検出器2は、他の競技者のレーザー銃7に対応する標的板4を含む着弾位置検出器2とともに、既述のLAN65を介してパソコン66に接続している。2つの標的板4と1つのパソコン66との接続は、スイッチングユニット96により選択的に切り換えられる。パソコン66には、競技者のゼッケン番号、弾番号、その弾番号に対応する得点、総得点、標的板4に光弾が命中した命中位置が同時的に又は時間間隔的に表示される。最終集計表は、パソコン66に接続するプリンタ97から出力される。標的板4は、25mの標的板4’と交換され得る。
トリガーの1回の引きに対応する1発の光弾には、図11(c1),(c2),(c3)に示されるような複数の要素弾が発射されている。このような複数の要素弾の各得点は平均化されるだけでなく、各要素弾ごとに得点を求めらることができる。このような得点計数方法は、トリガーを引いた後の手の微妙な振れに基づく得点差を与えることができ、更に、第n発目の光弾のj番目の要素弾の得点を個別に求めることにより、競技者の身体の揺れの特性を数値化することができ、1発のみの実弾発射の競技にはなかった新しいスポーツを提供することができる。更に、引き金の引き動作特性が複数光弾の着弾位置の標的板状の軌跡として数値化され、その軌跡の揺らぎを得点化すると共に、その揺らぎを知ることにより、実弾発射の引き金動作の矯正のために役立たせることができる。
着弾位置検出用信号と個別信号との複合化により、光線銃と標的との間の1対1の関係がより厳しく成立する技術を確立することができる。審判側主導により、レーザービームの発射が適正に拘束され、光線銃の安全性がより確実に確保される。位置検出信号と個別信号のシリアス化は、得点計算処理の正確さと速度向上を実現することができる。銃側信号生成は、競技内容を多様化することができる。
光銃から独立している標的ボックスは、自在に移動が可能であり、競技会場の任意の位置に随意に設置し、標的ボックスに対して射撃ボックスを位置づければ、競技開始の準備が即時的に可能であり、パソコン又はスクリーンのような表示装置と射撃ボックスの間の配線を行うことにより、ただちに競技を開始することができ、競技の運営が円滑である。