JP3896135B2 - 液晶表示素子および光学異方素子 - Google Patents

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本発明は、液晶表示素子およびこれに使用する光学異方素子に係わる。
液晶表示素子は、薄型軽量・低消費電力という大きな利点をもつ為、腕時計や電卓、日本語ワードプロセッサ、パーソナルコンピュータ等のディスプレイとしてだけではなく、液晶表示素子の利点を積極的に活用した新規な構想の製品にも活用されている。中でもパーソナルコンピュータなどに用いられる液晶表示素子は、大面積・大容量表示化しており、表示面の大きさが対角10インチ、640×480画素といったものが主流になってきた。このクラスの液晶表示素子に用いられている表示方式としては、大きく2つに分類できる。1つは、単純マトリクス方式、もう1つはアクティブマトリクス方式である。
単純マトリクス方式は、液晶を櫛形の透明電極が付いた2枚のガラス基板で挟んだだけの単純な構造をしている。それゆえ、単純マトリクス方式においては、液晶に高い性能が要求される。この性能を説明する前に、液晶表示素子の表示原理について説明する。液晶表示素子の表示は、液晶にかかる電圧を変化させて液晶分子の向きを変化させて表示を行っている。一般に、大きなコントラスト比を得るには大きな電圧差が必要である。しかし、640×480画素もの表示を実現するには、暗と明の電圧差は約1Vと小さく、1V差だけで液晶分子の大きな状態変化が要求される。これを実現するため、多くの研究がなされてきたが、1985年、シェーファらの研究グループは液晶分子の配列のねじれ角(ツイスト角)を大きくすることで配列の変化が電圧に対して敏感に変化し、また、大きなねじれ角で安定な配列を得るには、液晶分子はある程度の傾きを持っていることが必要であることを見いだした。この研究報告以来、これを実現するための配向技術が盛んに行われ実用化に成功した。
配列640×480画素もの表示を実現するには、一般にツイスト角は180゜以上必要であり、このようにツイスト角が大きいことから、この液晶をスーパーツイストネマティック(STN)と呼ばれた。しかし、初期のSTNディスプレイは背景が黄色で緑の文字表示など表示に色づきがあり、白黒の表示ではなかった。これは、ツイスト角が大きいためで、このような表示の着色を解消する手段として、液晶層の配列が逆の方向にねじれた第2の液晶セルを偏光板と液晶セルの間に配置することによって白黒表示を実現できることが例えば特許文献1に報告されている。
この白黒化の原理は、液晶分子がねじれ配列とされる第1の液晶セルを透過し旋光分散を生じた光を、第1の液晶セルと対象構造の第2の液晶セルに透過させることによって旋光分散を解消した。その結果、光の旋光分散に起因する着色が解消され、白黒表示を実現することができる。このような変換を正確に変換を行うには、光学補償板である第2の液晶セルは、第1の液晶セルとリタデーション値がほぼ同一で、かつねじれ方向が相互間で逆であり、それらの配置は、相互に最近接する液晶分子の配向方位が直交するように構成することが必要である。
この他の手段としては、前述した第2の液晶セルの替わりに光学異方性フィルムを用いる手法も種々提案されている。これは、光学異方性フィルムを液晶セル上に積層することにより、第2の液晶セルとほぼ同一な機能をもたせる手法である。
以上述べた光学補償によりSTNディスプレイでも白黒表示が可能となり、更にカラーフィルタとの組み合わせにより、より付加価値の高いカラー表示も実現することができる。しかし、単純マルチプレクス方式は、電圧平均化法に基づく時分割駆動を原理としている為、表示容量を増大するために走査線数を増加すると、光を遮断する際の電圧値と、光を透過させるの際の電圧値との差が著しく減少し、その結果コントラスト比が小さくなったり、液晶の応答速度が遅くなる本質的な問題がある。また、この様な従来技術は、液晶表示素子を見る時の方位や角度によって表示画が反転して見えたり、表示画が全く見えなくなったり、あるいは表示が色づくといった現象として観測され、より表示品位の高い液晶表示素子を実現する際、大きく問題となる。
一方、アクティブマトリクス方式は、各表示画素ごとに薄膜トランジスタやダイオードからなるスイッチング素子を具備しているため、走査線の数に関係なく各画素の液晶層に任意の電圧比を設定できる。従って、単純マトリクス方式の場合の様な特別な性能は液晶には要求されない。ツイスト角をSTNのように大きくする必要はなく、90゜とされている。
ツイスト角が90゜の液晶セル(TN)は、ねじれ角が小さく光がねじれに忠実に追随して旋光するために旋光分散が小さく、無彩色で高コントラストな表示が得られる。また、電圧に対する応答もSTNより速い。アクティブマトリクス方式とTNとを組み合わせることにより、大表示容量でコントラスト比が高く、応答速度が速い液晶表示素子が実現することができる。また、各画素毎にスイッチング素子があるため中間的電圧を印加できこれにより中間調表示も可能である。更に、カラーフィルタと組み合わせることにより、フルカラー表示も実現が容易である。
しかし、アクティブマトリクス方式の場合でも、2値表示をした場合にはそれほどでもないが、中間調を表示したときに、見る方向によって表示画が反転して見えたり、表示画が全く見えなくなったり、あるいは表示が色づくといった現象として観測され、より表示品位の高い液晶表示素子を実現する際、大きく問題となる。
このような表示の視角依存性を低減させる手段として、例えば特許文献2に、2枚の偏光板の間に液晶セルと光学異方性が厚み方向に負のポリマーフィルムである複屈折層を配置することが開示されている。一方、特許文献3に、螺旋ピッチ長と屈折率の積が400nm以下のコレステリック液晶相を示す液晶化合物(または高分子液晶)からなる複屈折層を液晶セル上に配置することが開示されている。これら2つの提案は、垂直配列(配向基板に対して液晶分子が垂直に配列したもの)した液晶セルの場合しか考案されてなく、TN方式やSTN方式のようなねじれた配列をした液晶セルの場合には考えられていない。また、特許文献4にツイスト角360゜以上の配列で、チルト角をもつ光学補償素子で液晶表示素子の視野角を制御する提案もあるが、階調表示をした場合には視野角拡大の効果がまだ十分とはいえない。
特公昭63−53528号公報 特開昭62−21423号公報 特開平3−67219号公報 特開平3−121578号公報
以上述べた液晶表示素子の基本的な表示原理は、液晶に印加する電圧により液晶分子の向きを変化させ、液晶セルに光学的な変化を生じさせて光制御を行なうところにある。
従って、液晶表示素子を傾けてみると液晶分子の向きが変化して見え方が変わる視角依存性があり、特に微妙な中間調を表示する場合、液晶分子の傾き具合を細かく変化させるのでより視角依存性が顕著である。
このような、液晶分子の配列の見え方の視角依存性により、表示画が反転して見えたり全く識別できなかったりするといった現象として観測され、特にカラーフィルターと組み合わせてフルカラー表示を行う際には、表示画の再現性が著しく低下し大きく問題となる。
本発明は上記不都合を解決するものであり、コントラスト比および表示色の視角依存性を改善した液晶表示素子およびこれに使用する光学異方素子を得るものである。
本発明は、以下に示す液晶表示素子および光学異方素子である。
(1) 2枚の偏光板と、これら2枚の偏光板間に配置された駆動用液晶セルを具備する液晶表示素子において、
前記偏光板と前記駆動用液晶セル間に、前記偏光板の法線に対して傾けた方向での旋光性が、前記偏光板の法線の方向での旋光性よりも大きく、前記偏光板の法線を基準にして対称的に傾けた旋光性の小さい第1の方向と旋光性の大きい第2の方向を有する光学異方素子を配置して、前記駆動用液晶セルの旋光性の非対称を前記光学異方素子が補償してなる液晶表示素子。
(2) 光学異方性物質層からなる光学異方素子において、前記光学異方性物質層を構成する光学異方性単位のそれぞれの光軸の向きが単一の軸上に揃って配列し、素子表面の法線に対して傾いた方向での旋光性が、前記法線の方向での旋光性よりも大きいことを特徴とする光学異方素子。
(3) 前記光学異方素子の光軸の角度が光学異方素子表面に対して、前記光学異方素子の層厚方向に連続的あるいは段階的に変化していることを特徴とする光学異方素子。
(4) 前記光学異方素子の光軸の角度が光学異方素子の一方の側の表面にほぼ平行であり、前記光学異方素子の他の側の表面の法線にほぼ沿うように前記光学異方素子の層内で変化している光学異方素子。
ここに、本発明における光学異方性単位とは、厚さのある光学異方素子が一例として複数の層の積層構造である場合、これらの各層をいう。各層はそれぞれが特定の方向を向いた光軸を有している単位であり、これを積層した場合に、光軸が徐々に連続的または段階的にその傾きを変化する構成を有する。本発明においては、光学異方素子が、層構造を有さないが、光軸が厚さ方向に変化する構成も、光学異方性単位の光軸が厚さ方向に連なって変化するものと定義する。
本発明によれば、液晶表示素子のコントラスト、表示色の視角特性が改善され、視認性にすぐれる高品位表示の液晶表示素子を提供することができる。
なお、本発明はTFTを用いたTN−LCDのみについて触れたが、MIMなどを用いたアクティブマトリクスおよびSTNなどのシンプルマトリクス液晶表示素子その他に応用しても優れた効果が得られることは言うまでもない。
本発明は、上記により課題を解決するものであり、液晶表示素子のコントラスト比や階調表示時の明るさ・表示色の視角依存性を同時に軽減する、もしくは、液晶表示素子のある特定のコントラスト比が得られる領域をある特定の方位、視角に制御しようとするものであるが、その作用について以下に説明する。
TNやSTNなどの液晶表示素子において、光が液晶表示素子の表示面に垂直に入射する場合と斜めに入射する場合とでは、液晶表示素子中を伝搬する光の偏光状態は異なり、この偏光状態の違いが表示画の反転現象や着色現象に直接反映する。この様な現象は、液晶表示素子の表示面を見る角度を表示面法線(正面)から大きく傾けていくと観測され、特に液晶層に電圧を印加する手段を有する液晶セル(以下駆動セルと呼ぶ)の液晶層に電圧が印加されている画素で顕著に見られる。
図23(a)、(b)は、従来のTN液晶表示素子の表示面(基板面)法線から左右および上下方向に0゜から60゜まで傾いた時の表示輝度の角度依存性を示す図である。1から8レベルと示されているのは、階調表示の各階調番号で、液晶セルに印加される電圧が順に異なっている。レベル1は0V、レベル8は5Vが液晶セルに印加されている。例えば、上方位の場合、ディスプレイの表示面の法線から傾ける角度(視角)を0゜(正面)から60゜へと大きくなるにつれて、輝度はだんだん大きくなっている。実際の表示では、表示色が白っぽくなる(白抜け)として観測される。
一方、図23(b)に示すように、下方位についてみると、視角を正面(0゜)から60゜へと傾けていくと、上方位とは逆に輝度は低下していく。この現象は、実際の表示画においては、表示色が暗くなる(黒つぶれ)として観測される。また、正面において、もっとも明るい表示レベル1とそれより低い階調レベル2は、上方位の視角35゜で大小関係が逆転しており、実際の表示画においては、写真のフィルムのネガの様な反転した表示(反転)として観測される。どの階調レベルに関しても視角変化しても透過率が変化しないのが理想である。しかし、実際のTNの視角特性は図23に示した様に左右方位の特性は比較的良いが、上下方位の特性が悪い。
このような現象がおきるのは上述のように液晶表示素子の視角特性は、液晶表示素子を入射する光の入射角度により偏光状態が異なることに起因するからであるが、これについてTN型を例に詳しく説明する。
図3にTN−LCD(TN型液晶素子)の動作原理を示す。図3(a)は電極3c、3dに電圧無印加時のTNセル中の液晶分子LMの配列状態を示している。電圧Vが印加されていない時には、液晶分子は基板に対してほぼ平行に液晶層の厚さ方向(図ではZ軸の方向)に液晶分子同士が平行になって連続的にねじれた配列をしている。液晶分子は分子長軸方向に光軸を有しており、液晶分子の並列配列がひとつの光軸面を形成する。この配列に入射光LA のうち偏光子Piにより偏光された光Liが入射すると、偏光面は液晶分子LMのねじれ配列に従って回転し、液晶層をでたところでは偏光面は、液晶層を入る前の偏光面に対し液晶層のツイスト角分回転する。この回転した方向に検光子Poの透過軸Potを合わせると透過光Loが得られる。
図3(b)は、電圧印加時のTNセル中の液晶分子の配列状態を示している。電圧Vの印加により液晶分子LMは立ち上がり、セルの中央付近の液晶分子LMcは電極近傍の液晶分子LMsよりも傾く。電極3c、3d近傍の液晶分子LMsの傾きが小さいのは、電極−液晶層界面の配向規制力(液晶を配列させるために必要)があるためである。電圧Vの大きさに応じて液晶分子の傾きが大きくなり、これと同時にねじれ配列も歪み、電圧が更に大きくなるとついにはねじれが解かれる。このような状態に偏光Liが入射すると、ねじれ配列ではないために、すなわち光軸面が単一の軸上にあるために、偏光面Lpは回転せず液晶層を進行し、液晶層を出たところでは偏光面は液晶層に入射する前と変わらない。従って、検光子Poの透過軸Potは偏光面Lpと直交するので偏光は透過できない。また、中間調を表示するには液晶層に印加する電圧の大きさをこれより小さく設定し、配列のねじれ配列を若干残し、液晶層を出射する偏光面を幾分回転させて中間の透過光を得る。
以上の原理により、TN素子は透過光をねじれ配列の歪みを利用して制御している。次に、斜め方向の光に対してはどのような現象が起きるのか説明する。
図4は中間調を表示する時の分子配列状態に斜めから光が入射する状態を説明する図である。図4(a)は、中間調表示時の分子配列状態LMint と2つの入射光の方向L、Uの関係を示す斜視図で、これをよりわかりやすくするため、Y軸方向から見た図を図4(b)、(c)に示す。ここに駆動用液晶セルの基板の法線方向をZ軸、基板面をXY軸で表している。上下の基板の電極3c、3d付近の液晶分子LMsは基板面に対してやや傾きをもって配列している。この傾きはプレチルトと呼ばれ、一般に、プレチルトとは基板−液晶界面における液晶分子の傾きのことを示し、その傾きの角度をプレチルト角α0という。電圧無印加時には、上下の基板3a、3b間にわたり同一の角度でもって傾いている。電圧Vが印加される領域にわたり所定の傾き(プレチルト)があると、電圧が印加された際の傾き方向がプレチルトの方向に揃うので、その結果均一な表示ができる。もし、プレチルトがない場合には、電圧が印加された時に液晶分子の傾く方向がまちまちとなり、傾き方向の異なる領域の境界に欠陥線が発生し表示品位を著しく低下させる原因となる。従って、均一な表示を得るにはプレチルトは不可欠であり、その角度は1゜から6゜が一般的である。液晶表示素子には、全てプレチルトが付与されている。
従って、図4(b)、(c)に示したように、特に中間調を表示した際には、液晶分子の配列状態はZ軸に対して非対称になる。図4(b)の+X軸から+Z軸の方向へ斜めに入射する偏光Lに関しては、図5のLM−Lに示した様に、配列は液晶分子LMに傾きがない状態(あたかも電圧無印加の配列状態)となり偏光面は大きく回転することができる。その結果、透過光は正面からの入射光(Z軸に平行な光)に対する出射光の強度よりも大きくなる。一方、図4(c)のようにこれと反対の基板法線を基準にして対称的な方位から(−X軸から+Z軸の方向へ斜めに)入射する偏光Uに対しては、図5のLM−Uに示した様に、配列は液晶分子LMが大きく傾いた状態(あたかも更に大きな電圧が印加された配列状態)となり偏光面は回転することができなくなる。その結果、透過光は正面からの入射光(Z軸に平行な光)に対する出射光の強度よりも小さくなる。図23との対応関係は、図4のLの方位は図23(b)の上方位に、図4のUの方位は、図23(b)の下方位に相当する。
以上説明したように、中間調での透過光の方位依存性は液晶分子の配列の非対称性に起因する。この配列の非対称性は、光が入射する方位により偏光面の回転(旋光性)角度が異なり、その結果透過率に変化を生じる。TN−LCDでは、上方位では旋光性が生じ、下方位では旋光性が減る傾向があるといえる。従って、これを改善するには上方位で旋光性が減り、下方位で旋光性が生じる光学異方素子を加えることにより、液晶表示素子の視角依存性を改善することができる。本発明の主旨は、如何にしてこのような特性をもつ光学異方素子を提供するかというところにある。
次に、具体的に本発明の光学異方素子について説明する。
まず、光学異方素子に要求される特性をまとめると、求められる特性は「上方位と下方位間で旋光の回転方向が逆」ということになる。図6は、本発明の光学異方素子の光軸の配列状態を示す図で、図6(a)は本発明の実施形態の光学異方素子の断面図であり、楕円で示されているのは光学異方素子を構成する光学異方体LDを示しており楕円の長軸が光軸OLに相当する。下側の基板3bから上側の基板3aにかけて長軸の傾きが連続的に変化しており、下の基板3b付近では基板面に対しほぼ平行で上の基板3a付近ではほぼ垂直である(ハイブリット配向)。この配列を上から見た例が図6(b)に示されている。図中の楕円内の矢印は、光軸の向きを示している。層内のそれぞれの光軸の向きが同一平面上にあり、すなわち単一の軸上に揃って配列している。図6(c)はZ軸から斜めに観測したときの配列図である。傾き方向は図中のXYZ軸で示されている。これと逆の斜め方向から見た図を図6(d)に示した。図6(c)、(d)から分かるように、図6(a)の配列をZ軸より斜めから観測すると、(c)では下から上に進行するに従い進行方向からみて左ねじれ、(d)ではこの逆の右ねじれで配列している。この様に斜め配列している光学異方素子により、先ほど述べた「上方位と下方位間で旋光の回転方向が逆」という性質が実現できる。
次に、この様な光学異方素子をどのように駆動用液晶セルと組み合わせると良好な補償効果が得られるかを次に説明する。
図7(a)は、図3、4、5に示した駆動用液晶セルを、図6と同様に矢印を加えて示した図で、符号Lipが入射光の偏光軸、符号Lopが出射光の偏光軸を表している。図7(a)は光学異方素子を、(b)は中間調に相当する電圧を印加した駆動用液晶セル(TN)をZ軸から見た図である。(c)はZ軸上から+X側に倒して見たときの光学異方素子の光軸の配列を示した図であり、図中に直線偏光が入射した場合の旋光状態を示した。この方向では光学異方素子は、入射光の偏光面を左方向に回転させる性質(左旋光能)がある。(d)に(c)と同じ方向から見たときの駆動セルの配列状態を示した。液晶分子は中間調に相当する電圧(液晶が動作する臨界電圧(しきい値電圧)よりやや大きい電圧)が印加されているため斜めに傾いており、この方向から見ると液晶分子の長軸方向の長さと短軸方向の長さがほぼ同じとなる配向部分が生じる。その為、入射偏光はあまり旋光せずに透過し、出射光の偏光軸Lopの方向は入射光の偏光軸Lipとほぼ変わらない。これが表示が暗くなる「黒つぶれ」と呼ばれる表示異常の原因であり、この場合、左回りに偏光を旋光させれば(旋光能を増加させる)これが改善される。それには、先ほど示した図(c)の光学異方素子がこれに適合する。図(c)の光学異方素子には左旋光能があり、駆動用液晶セルで足りない旋光を補う。
一方、これと逆方位について、図(e)、(f)を用いて説明する。図(e)(f)は、図(a)の光学異方素子をZ軸の方向から−X軸より観測したときの光軸の配列を示したもので、図の入射光に対して右に旋回させる特性をもつ(右旋光能)。図(f)は、図(d)と同様中間調の電圧が印加された状態であり、この方向からは実際には液晶分子が傾いているのにもかかわらず傾いていないように見え、その為大きな旋光能がでる。これが表示が必要以上に表示が明るくなる「白抜け」と呼ばれる表示異常の原因となり、左回りの旋光を抑制する右旋光を適用すれば余分な旋光を解消でき「白抜け」が改善される。図(e)の光学異方素子は右旋光能があり、これを駆動セルと組み合わせることで特性改善が得られる。
以上、光学異方素子表面に法線に対して傾いた方向での旋光性が、前記法線の方向での旋光性よりも大きいハイブリット配向の光学異方素子を例にして視野角拡大の原理説明をしたが、ハイブリット配向でねじれ配向した光学異方素子や、上下基板間で均一にチルト配向した光学異方素子でもハイブリット配向の光学異方素子と類似の特性が得られ、それは液晶表示素子の設計仕様に応じて選択することができる。
さらに図8(a)に示すように表裏面2d、2e間の層内光軸OLがスプレイ配列の光学異方素子を用いると、図8(b)、(c)で矢印TWに示すように、斜め方向から観測される配列のねじれ角は、より大きくなり良好な補償効果が得られる。またベンド配列についても同様である。
また、TNを例に説明したが、STNでも同様の原理が適用できるのでSTNの視角を改善する手段として用いることも可能である。
上述した光学異方素子は、主に「黒つぶれ」や「白抜け」の表示異常に関し大きな改善効果がある。発明者らは、光軸が光学異方素子の厚み方向で、光学異方性が負号の光学異方素子を更に付加すると、更に良い改良効果を得ることを見いだした。次に、光学異方性が負号の光学異方素子を用いる際に視野角特性が改善される原理について説明する。
駆動用液晶セルにしきい値電圧以上の電圧が印加された状態を3次元の屈折率楕円体で表すと図9に示すようになる。Z軸は液晶セルの厚み方向で、XY面は液晶セルの基板面に相当する。複屈折現象は、この屈折率楕円体RA の中心点をある方向からみた時の観測点と、屈折率楕円体RA の中心点とを結ぶ線の屈折率楕円体RA の中心点上の法線面が、屈折率楕円体RA を切断した時に形成される楕円状の切断面の形状(ここでは、2次元面内の屈折率体と呼ぶ)により示される。この2次元面内の屈折率体の長軸と短軸の長さの差が、常光と異常光の位相差に相当し、液晶セルを挟む偏光板の透過軸が互いに直交していれば、その位相差が零のとき液晶セルの透過光は遮断され、位相差が零ではないときにはその位相差と入射光の波長に応じた透過光が生じる。
液晶セルの基板面に垂直に光が入射した場合(すなわち液晶セルを真正面から見たとき)には、2次元面内の屈折率体RA4は円となり、常光と異常光の位相差は零となるが、液晶セルの基板面から傾いた方向RA1より光が入射した場合、屈折率体RA5は楕円となり、常光と異常光の位相差が生じ、真正面方向と斜め方向では液晶セルを透過する光の偏光状態は異なる。
図9の屈折率楕円体RA を見る角度、すなわち視角RA3を大きくしていくと視軸RA1の2次元面内の屈折率体RA5はnRA1 の長さ方向に大きくなり、視軸RA1の方向から見た時より大きい透過光が観測される。理想的には、どの方位でも視角を変化したとき、2次元面内の屈折率体の形状が変化しないことが望ましい。
このような光学的な補償は、図10に示すような円盤状の屈折率楕円体RB を図9の屈折率楕円体RA のZ軸上に配置する(すなわち液晶セルの上あるいは下に隣接して配置する)ことにより実現できる。こうすると、視角RA3を大きくしていったとき、屈折率楕円体RA の2次元面内の屈折率体RA5がnRA1 の長さ方向に大きくなるのに対して、屈折率楕円体RB のnRA2 の長さ方向の屈折率が大きくなり、その結果、合成された2次元面内の屈折率体は円になり、屈折率楕円体RA を光学的に補償することができ、視角特性が向上する。
実際の液晶表示素子では駆動用液晶セルの屈折率楕円体は、図9に示したように楕円の長軸は、表示面に対して垂直ではなく、若干傾いている。従って、これを補償する図10の光学異方素子の屈折率楕円体RB はこれに合わせて円盤形状の短軸が傾いているのが好ましい。
実際には図10に示すような屈折率楕円体は、光軸が連続的にねじれた配列をした光学異方性物質層からなる光学異方素子や、厚み方向よりも面内方向の屈折率の方が小さい材料で構成することにより実現できる。
以下に、光軸が連続的にねじれた配列をした光学異方性物質層からなる光学異方素子で光学異方性が負号の光学異方素子を実現する仕方について説明する。
一般に、駆動用液晶セルは、液晶セルに印加する電圧によって可視の波長領域の光(一般には380nmから750nmまでの領域)の偏光方向を積極的に変化させて表示している。
一方、本発明の光学補償用の光学異方素子の場合、光学異方性物質層の光軸が連続的にねじれているため、光学異方素子の光学条件によっては旋光性が生じることがある。ここで旋光性とは、光が媒質中を進行するに従ってその光の振動方向が、進行方向を軸として左または右に旋回する性質のことを示す。光軸が連続的にねじれた光学異方素子のリタデーション値を一定とした時、光軸のねじれピッチが長い場合、光はその光軸のねじれに従ってその偏光面を回転させるが、光軸のねじれピッチが短い場合、光はその光軸のねじれに追従できなくなり、旋光現象は起きない。光学異方素子の旋光性が大きいと、素子を透過する光の偏光面を変化させてしまいその結果、コントラスト比を減少させてしまったり、場合によっては光の波長により偏光面が種々変化し、光学異方素子を透過した光が着色するなどの問題が生じる。
従って、少なくとも光学異方素子の可視光に対する旋光性は、駆動用液晶セルの可視光に対する旋光性に比べて小さくなるようにすることが必要である。旋光性は、媒質を透過する光の波長と、光が透過する媒質により大きく依存する。旋光性の大小は、光軸の変化に対する媒質のリタデーション値の変化の度合いで表される。
従って、駆動用液晶セルの旋光性の大小は、駆動用液晶セルの液晶の常光に対する屈折率noと異常光に対する屈折率neとの差をΔn1 (=ne−no:屈折率異方性)、液晶層の厚みをd1 、液晶層のねじれ配列の角度(ツイスト角)をT1 とすると、
Δn1 ・d1 /T1 = R1 /T1 [1.1]
但し R1 =Δn1 ・d1 (リタデーション値)
で表せる。
同様にして補償用光学異方素子の旋光性の大小は、補償用光学異方素子の光学異方性物質層の屈折率異方性を△n2 、積層された光学異方性物質層の厚みをd2 、光学異方性物質層の光軸の総ねじれ角度をT2 とすると、
Δn2 ・d2 /T2 = R2 /T2 [1.2]
但し R2 =Δn2 ・d2で表すことができる。
従って、補償用光学異方素子の旋光性と駆動用液晶セルの旋光性の大小関係は、[1.1] 、[1.2] 式から、
(R1 /T1 )>(R2 /T2 ) [1.3]
となる。
光学異方性物質層の光軸が連続的にねじれている光学異方素子中の光の伝搬は、次式によって示されるパラメータで表せる(C.Z.Van Doorn ,Physics Letters42A, 7(1973) )。
f=λ/(p×Δn) [1.4]
但し λは真空中の光の波長(可視の波長範囲)
pは光軸のねじれピッチ長(p=d/T)。
f<<1の場合には、光学異方素子中の光は偏光面が光軸のねじれ角に従い変化し、旋光性を持つ。先述したように光学異方素子は旋光性が小さいことが望ましく、光学異方素子はf>>1の条件を満たすことが必要である。よって、光学異方素子は、[1.4] 式から、
p×△n<λ [1.5]
が成り立つことが必要である。
ところで、ツイスト角が非常に大きい、すなわち螺旋ピッチの長さが短い液晶をコレステリック液晶と一般に称すが、この液晶の螺旋ピッチの長さpとコレステリック液晶の平均屈折率nとの積n×pの値が、可視の波長範囲(条件によって異なり、短波長端は360nmから400nm、長波長端は760nmから830nmの範囲)にあると、選択散乱を生じる(J.L.Fergason ; Molecular Crystals. 1. 293(1966) )。このような現象はコレステリック液晶セルにだけ見られる現象ではなく、光学異方体の光軸が連続的にねじれた光学異方素子でも起こり得る。選択散乱が生じると光学異方素子の着色現象が生じ表示色が変化する。従って、光学異方素子を形成する光学異方性物質層の平均屈折率nと、光軸のねじれピッチpとの積n×pが可視の波長範囲から除くようにすると着色現象が防止できる。
また、光学異方素子は、高分子フィルムを延伸することにより光学異方性を生じさせた位相差フィルム(retardation film)を積層したものや、ねじれ配列させた液晶セル、ならびに高分子液晶をねじれ配列させた薄膜により実現できる。この場合、例えば駆動用液晶セルの基板の少なくともどちらか一方にこの高分子層を塗布することにより得られ、製造上容易となりより望ましい液晶表示素子が得られる。例えばポリシロキサン主鎖とし、側鎖にビフェニルベンゾエートとコレステリル基を適当な比で有したような高分子共重合体などを用いることなどができる。又は、アクリロイルオキシ基などを用いた重合性官能基を付与した紫外線により硬化する液晶を用いても本発明の光学異方素子を実現することが可能である。
以下本発明の液晶表示素子の実施形態を詳細に説明する。
(実施形態1)
図1および図2に本実施形態における液晶表示素子の断面図を示す。液晶表示素子は2枚の偏光板1、4(LLC2-92-18:SANRITZ社製)と、これらの間に視角補償用の光学異方素子である液晶セル2と駆動用液晶セル3とを挟む構成を有している。偏光板1は透明基板1aの内側に偏光膜1bを挟んで付けたものであり、偏光板4も同様に透明基板4aに偏光膜4bをつけて形成される。
光学異方素子として視角補償用液晶セル2はこれらの偏光板1、4間に配置され、透明基板2a, 2b間に液晶2cを介在させた液晶セル構造を有する。基板2a, 2bは表面にSiO2 を斜方蒸着し、間にねじれネマティック液晶にカイラル剤S811(E. Merck Co.,ltd 製) を混入した液晶層である光学異方性物質層がねじれ角が270゜で導入され、液晶分子は50°のプレチルト角を保ったまま下側基板2bから上側基板2aへと反時計回りにねじれている(左ねじれ)。視角補償用液晶セル2に用いた光学異方性物質層としての液晶材料の△nは0.189、螺旋ピッチは1 .33μm 、層厚は1μmである。
駆動用液晶セル3は視角補償用液晶セル2と偏光板4間に配置される。2枚の上側基板3aと下側基板3bとはそれぞれ透明電極3c、3dを形成しており、駆動電源3fに接続される。基板3a、3b間に正の誘電異方性をもつねじれネマティック液晶(ZLI−4287、E.Merck Co.Ltd.社製)にカイラル剤S811(商品名、E.Merck Co.Ltd.社製)を混入したものが、ねじれ角が90°で導入され、駆動電源3fからの印加電圧に応じて状態を変化する。電圧無印加時はねじれ配列を維持する。
駆動用液晶セル3に用いた液晶のΔnは0.093、液晶層の厚みは5.5μmである。駆動用液晶セル3の液晶分子は下側基板3bから上側基板3aへと反時計回りにねじれている(左ねじれ)。本セル3は90°ツイスト角のTNセルとして動作し、旋光作用により光制御する。
図2(a)は本実施形態における液晶表示素子の構成を示す分解斜視図である。(1.1) 及び(4.1) は2枚の偏光板1および4の透過軸であり、これらは互いに直交し(1.1) はY軸に対し基板の法線方向である+Z方向から見て反時計回りに135°で配置される。(3.1) 、(3.2) は駆動用液晶セル3の上側基板3aと下側基板3bのラビング軸すなわち配向処理方向で、これらは互いに直交し、Y軸に対しラビング軸(3.1) とのなす角は+Z方向から見て反時計回りで45°で配置される。
光学異方素子である視角補償用液晶セル2の(2.1) 、(2.2) はそれぞれ上側と下側の基板2a、2bのラビング軸で、これらは互いに直交し、視角補償用液晶セル2はラビング軸(2.2) が駆動用液晶セル3のラビング軸(3.1) と平行になるように配置される。すなわち、液晶分子LMの光軸OL (図6)はこれらラビング軸に沿って配置され、液晶層が基板のラビング処理された面に接する側における液晶層の光軸となる。
偏光板1は透過軸(1.1) が視角補償用液晶セル2のラビング軸(2.1) と直交するように配置した。
本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標系で電気光学特性を測定した。測定時の電圧値(駆動電源3fから駆動用液晶セル3の電極3c−3d間に印加する電圧)は、1Vから5Vまで変化させた。結果を図11に示す。図11は上下左右の4方位の印加電圧−透過率特性がそれぞれ示されており、正面から60゜まで視角を30゜ごと変化させたときの透過率を示している。理想は、どの視角でも正面(視角θ=0゜)の透過率曲線と同一であることである。正面の方向では、ある電圧を越えると電圧の増加と共に透過率が減少する。
図12は従来技術の比較例のTN−LCDの印加電圧−透過率特性図であるが、下方位の特性は視角が大きくなるに従い透過率が減少する。これは実際に階調表示をした場合には「黒つぶれ」が生じることに相当する。また、視角60゜での3V付近の透過率の再増加は、実際の表示では「反転」に相当する。上方位についてみれば、3Vの電圧で視角が0゜から60゜へと大きくなるにつれて、透過率は増加してゆく。これは実際の表示では「白ぬけ」に相当する。
本実施形態の場合、図11をみると、下方位の透過率の低下および、3V付近の透過率の再増加が改善されている。すなわち、下方位の黒つぶれと反転が改良されている。また上方位の白抜けも若干改良されているのが、3から5V領域の視角30、60゜の透過率の比較からわかる。
実際に本構成でカラーフィルターを液晶セル内に具備した画面サイズ対角10インチからなるTFT−LCDを作成したところ、方位や視角を変化させても表示内容が識別できる良好なフルカラー表示が得られた。
(比較例1)
実施形態1において、視角補償用液晶セル2が無い場合の電圧−透過率特性を測定した。測定結果を図12に示す。本比較例では角度によって上方位においては表示が白くなり、下方向においては表示が黒くなったり階調が反転したりする現象が見られた。
(比較例2)
実施形態1において、視角補償用液晶セル2の配向膜としてチルト角が1゜のポリイミドを用いて作製した。それ以外の条件は、実施形態1と全く同一である。電圧−透過率特性を測定した結果を図14に示す。視角補償用液晶セル2のプレチルト角が小さくなることで、正面方向で透過率が完全に下がりきらずコントラスト比の低下が生じる。また、斜め方向の特性も従来例の特性図12と比較すると分かる通り、上方位を除く方位の特性が悪くなった。
(実施形態2)
図13は本実施形態における液晶表示素子の構成を示す分解斜視図である。実施形態1において、光学異方素子である視角補償用液晶セル2は下側基板2bの液晶と接する面側にポリイミドAL−1051(日本合成ゴム製)が塗布され、その表面にラビング処理が施されている。プレチルト角は1゜である。一方、上側基板2aの液晶と接する側には、垂直配向処理が施されている。用いた液晶材料の△nは0.039で、液晶層の厚みは4.4μmである。液晶分子の光軸すなわち光学異方素子の光軸は、駆動用液晶セル3側でセルに平行で、層厚方向に連続的に変化して液晶セル3から離れた側でセル基板の法線方向にほぼ沿っている。ツイスト角は0°である。
(1.1) 及び(4.1) は偏光板1及び4の透過軸であり、これらは互いに直交し(1.1) はY軸に対し+Z方向から見て反時計回りに135゜で配置される。(3.1)と(3.2) は駆動用液晶セル3の上側と下側の基板3a, 3bのラビング軸で、これらは互いに直交し、Y軸に対しラビング軸(3.1) とのなす角は+Z方向から見て反時計回りで45゜で配置される。
視角補償用液晶セル2の光軸(2.2) は下側の基板2bのラビング軸で、駆動用液晶セル3の上側基板のラビング軸(3.1) に直交し、下側基板のラビング軸(3.2) と平行になるように配置される。
偏光板1の透過軸(1.1) は、駆動用液晶セル3の上側基板のラビング軸( 3.1) と平行になるように配置した。
本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標系で電気光学特性を測定した。測定時の電圧値(駆動電源3fから駆動用液晶セル3の電極3c−3d間に印加する電圧)は、1Vから5Vまで変化させた。結果を図15に示す。比較例1の電圧−透過率特性(図12)と比較すると、上下方向、特に下方位において、黒つぶれと階調の反転が減少し視角が拡大した。実際に本構成でカラーフィルターを液晶セル内に具備した画面サイズ対角10インチからなるTFT−LCDを作製したところ、方位や視角を変化させても表示内容が識別できる良好なフルカラー表示が得られた。
(実施形態3)
本実施形態の構成図を図16に示す。実施形態1において、第1の光学異方素子である視角補償用液晶セル2と駆動用液晶セル3との間に、光学異方性が厚み方向を光軸としたとき負号となる第2の光学異方素子である光学異方素子5を配置した。光学異方素子5は、光軸(図16中にnz と図示)が厚み方向のZ軸に対しXZ面内で60゜(δ)傾き、この光軸法線面の屈折率が光軸方向の屈折率より大きい。リタデーション値は−140nmである。本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標軸で定義される方位により電気光学特性を測定した結果を図17に示す。比較例1の特性図である図12と比較するとわかるように、実施形態1の上方位の特性がさらに改善されている。
(実施形態4)
本実施形態の構成を図18に示す。実施形態2において第1の光学異方素子である視角補償用液晶セル2と駆動用液晶セル3との間に、第2の光学異方素子として、負の光学異方性を持つ光学異方素子5を配置した。構成を図18に示す。光学異方素子5は、光軸(図18中にnZと図示)がZ軸と平行で、この光軸法線面の屈折率が光軸方向の屈折率より大きい。リタデーション値は−140nmである。本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標系で定義される方位により電気光学特性を測定した結果を、図19に示す。比較例1の特性図12と比較するとわかるように、実施形態2の上方位の特性が更に改良された。
(実施形態5)
実施形態2において視角補償用液晶セル2と駆動用液晶セル3との間にねじれ角が720゜の第2の視角補償用液晶セルを配置した。用いた液晶材料の△nは0.039、ピッチ長は3.5μmである。液晶層の厚みは7.0μmで、配向はポリイミド膜を上下基板間で反対方向にラビングすることにより水平に配向されている。第2の補償セルは、補償セルのラビング軸が、駆動用液晶セル3の下側基板のラビング軸と平行になるように配置した。本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標系で定義される方位により電気光学特性を測定した結果を、図20に示す。従来例である比較例1の特性図12と比較するとわかるように、実施形態2の上方位の特性が改良された。
(実施形態6)
構成を図21に示すように、実施形態2において光学異方性物質層を液晶層で形成した液晶セルからなる光学異方素子である視角補償用液晶セル2と駆動用液晶セル3との間に、負の光学異方性を持つ高分子共重合体でできた光学異方素子6を配置した。光学異方素子6は、光軸(図中にnz と図示)がZ軸と平行で、この光軸法線面の屈折率nx 、ny が光軸方向の屈折率nz より大きい。リタデーション値は−100nmである。視角補償用液晶セル2の液晶層の厚みは3.4μmである駆動用液晶セル3と偏光板4との間には、光学異方素子6と同一の光学異方素子7が駆動用液晶セル3側に配置され、視角補償用液晶セル5が光学異方素子7と偏光板4との間に配置される。視角補償用液晶セル5は、視角補償用液晶セル2と同一の配向膜で作製され上側の基板が(5.1) の矢印の方向にラビングされている。偏光板4の側の基板の視角補償用液晶セル5の液晶に接する側の基板表面には垂直配向処理が施されている。ラビング軸5.1は、駆動用液晶セル3の上側基板のラビング軸3.1と平行である。
本構成の液晶表示素子を図2(b)の座標系で定義される方位により電気光学特性を測定した結果を、図22に示す。従来例の特性を示す図12と比較するとわかるように、上下左右全ての方位に関し、本実施形態の方が実施形態2よりも視角特性が改良された。
(実施形態7)
実施形態2において視角補償用液晶セル2と5をポリシロキサン主鎖とし、側鎖にビフェニルベンゾエートとコレステリル基を適当な比で有したような高分子共重合体で作製したところ、実施形態6と同様な特性が得られた。さらに高分子共重合体で光学異方素子を作製することにより、より薄型の液晶表示素子が実現する。
本発明の実施形態1の構成を示す断面図。 本発明の実施形態1を説明するもので、(a)は構成を示す分解斜視図、(b)は電気光学特性を測定する座標系を説明する図。 TN−LCDの動作原理を説明する図。 TN−LCDの視角特性の発生原理を説明する図。 TN−LCDの視角特性の発生原理を説明する図。 本発明の光学異方素子の配列状態を示す図。 本発明の光学異方素子を用いた場合の光学補償原理を説明する図。 本発明におけるスプレイ配列の光学異方素子を用いた場合の光学補償原理を説明する図。 電圧印加時の駆動セルの屈折率楕円体を示す図。 厚み方向に屈折率異方性が負号の光学異方素子の屈折率楕円体を示した図。 実施形態1の液晶表示素子の電気光学特性。 従来例の液晶表示素子の電気光学特性。 実施形態2の構成を説明する図。 比較例の電気光学特性。 実施形態2の効果を説明する図。 実施形態3の構成を説明する図。 実施形態3の効果を説明する図。 実施形態4の構成を説明する図。 実施形態4の効果を説明する図。 実施形態5の効果を説明する図。 実施形態6の構成を説明する図。 実施形態6の効果を説明する図。 従来のTN−LCDの輝度の視角依存性を示す曲線図。
符号の説明
1、4…偏光板
2… 光学異方素子
2c… 光学異方性物質層
3… 駆動用液晶セル

Claims (4)

  1. 2枚の偏光板と、これら2枚の偏光板間に配置された駆動用液晶セルを具備する液晶表示素子において、
    前記偏光板と前記駆動用液晶セル間に、前記偏光板の法線に対して傾けた方向での旋光性が、前記偏光板の法線の方向での旋光性よりも大きく、前記偏光板の法線を基準にして対称的に傾けた旋光性の小さい第1の方向と旋光性の大きい第2の方向を有する光学異方素子を配置して、前記駆動用液晶セルの旋光性の非対称を前記光学異方素子が補償してなる液晶表示素子。
  2. 光学異方性物質層からなる光学異方素子において、前記光学異方性物質層を構成する光学異方性単位のそれぞれの光軸の向きが単一の軸上に揃って配列し、素子表面の法線に対して傾いた方向での旋光性が、前記法線の方向での旋光性よりも大きいことを特徴とする光学異方素子。
  3. 前記光学異方素子の光軸の角度が光学異方素子表面に対して、前記光学異方素子の層厚方向に連続的あるいは段階的に変化していることを特徴とする請求項2記載の光学異方素子。
  4. 前記光学異方素子の光軸の角度が光学異方素子の一方の側の表面にほぼ平行であり、前記光学異方素子の他の側の表面の法線にほぼ沿うように前記光学異方素子の層内で変化している請求項2記載の光学異方素子。
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