JP3895151B2 - ペット対応床材およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、住宅における床仕上げ材であって、特にイヌや猫などのペットを室内飼育する上で問題となる、これらペットの毛や、あるいはダニがつきにくいというメンテナンス性に優れた床材であって、また、緩衝性、滑りにくさを備えた分割置き敷きマット調の床材に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、室内飼育ペットに対応した床材にはムクが用いられてきた。それは、ムクの床材は、ペットのツメなどによる傷がつきにくく、また、万一傷がついても目立たないという利点と、毛やごみ、ほこりなど拭き掃除が容易であることが理由として挙げられる。
また、最近では、リビング等に使用される分割置き敷きのタイルカーペットも普及してきており、図3に示すように、表面をナイロン等からなるパイル糸(6)、基布にポリエステル不織布(7)を、そしてバッキング材(8)として塩化ビニール等を用いたものなどが一般的である。これらは、汚れた箇所、あるいは破損した箇所のみを取り外し、洗濯したり、取り替えたりすることができる。
【0003】
【発明が解決しょうとする課題】
ムク材の上記に挙げた利点は、あくまで人間にとってのメンテナンス性を重視したものに他ならない。本来、土上での生活を基本とする犬や猫等の動物にとって、ムクの表面は硬すぎるといえる。また、表面処理の結果、滑りやすく、ペットが日々生活する上でのマイナス面が指摘されてきた。具体的には、走ったり、止まったりという諸動作が意のままにならず、神経質な種類のペットには心理的な負担となり、また、ぎっくり腰やO脚の原因ともなっている。
また、人間自身にとっても、冬場は冷え、本来の靴を脱ぐという日本の生活習慣にも馴染みにくい。
【0004】
一方、表面パイル地タイルカーペットは、表面のパイル糸がペットのツメに引っかかり、一部がほつれ、破損したり、めくれたりといったことが起こりやすく、また、人やペットの毛が絡みつき、絡みついた毛は掃除機によってもなかなか取り除くことが困難である。さらに、ダニ等も寄生しやすく、放置すると非常に不衛生となることから、こまめに掃除機をかける必要がある。ペットを室内飼育する場合はなおさらである。また、家族にアトピー性皮膚炎を患う者がいる場合には深刻な問題である。
一部を取り外し洗濯可能なタイルカーペットであっても、その作業は容易ではない。
【0005】
また、最近、精神的な病を患う患者にとっては、イヌや猫との共同生活を通じた癒し効果が有効であると認められつつある。さらに、視覚障害者等、身体に負った障害のために、動物との共同生活を必然的に行う人がいる。これらのハンディを背負った人にとっても、従来のムク材、タイルカーペットの持つ、上記欠点は、いち早く解決が望まれているところであり、
本発明は、ペットを室内飼育する場合にあっても、メンテナンス性を損なうことなく、ダニの寄生を防ぎ、毛の絡みといった問題をも解決し、さらに、滑りにくさを備えた、人にもペットにも適する床材を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、請求項1記載のペット対応床材は、部分的積層構造を有し、第1層を床下地合板上に接する該床材の基材とし、該基材上面に、断面凹凸形状をなす第2層が接する構造をなし、かつ、該第1層は該第2層より硬い人造繊維によりなり、第2層の凸部には人造繊維を素材とする中空繊維または発泡状体を含み、第2層の全表面を、硬い被覆を構成すべく合成樹脂によりコーティングしてなることを要旨とする。
【0007】
請求項2記載のペット対応床材は、請求項1に記載の構成において、分割置き敷き可能とすることを要旨とする。
【0008】
請求項3記載のペット対応床材は、請求項1に記載の構成において、滑り抵抗値を0.3〜0.5( C.S.R 小野式)、かつ表面硬度を3h以上とすることを要旨とする。
【0009】
請求項4記載のペット対応床材製造方法は、第1層を床下地合板上に接する該床材の基材とし、さらに該基材上面に、断面凹凸形状をなす第2層が接し、かつ、該第1層は該第2層より硬い人造繊維によりなり、第2層の凸部には人造繊維を素材とする中空繊維または発泡状体を含み、第2層の全表面を、硬い被覆を構成すべく合成樹脂によりコーティングすることにより得られることを要旨とする。
【0012】
【発明の実施の形態】
請求項に記載した部分的積層構造とは、繊維を一様に編み込んだ構造でなく、部分的に層数の違いを有する構造をいい、具体的には図2に示すごとく、Q−Q´間においては、基材(1)、第2層(2)、中空繊維層(3)、第2層(2)そして表面コーティング層(図示せず)、以上の5層からなる一方、R−R´間においては、基材(1)、第2層(2)、表面コーティング層と3層からなるごとくである。
また、全体的積層構造とは、前記の部分的積層構造に相対する構造として表現したものであり、部分的に層数の違いのない積層構造を言い表したものである。
本発明の床材は、床下地合板上面に接する第1層となる基材は、該基材上面に接する第2層の材質よりやや硬い素材からなる人造繊維であり、いわゆる化学繊維と呼ばれるもので、例えば、レーヨン等の天然高分子に基づく化学繊維、又はナイロン、アクリル、ポリプロピレンなどの合成繊維をその素材とする。
また、第2層の材質は、前記基材よりやや柔らかい素材である人造繊維を使用し、その素材の具体例は前述のとおりである。そして、第2層には、ビスコースレーヨン、ポリアクリロニトリル、アクリル、ポリオレフィンなどを素材とする、連続或いは不連続な空洞を持つ中空繊維、または発泡体を部分的に使用し、緩衝部として、床材表面上に凸部として表れるように形成する。なお、これらの素材は、所望の硬度、効果を得られるものであれば、前述のものに限らない。なお、本発明の床材のサイズは500mm×500mmを基本とするが、このサイズに限られるものでなく、畳数に合わせたもの等でもよく、さらに施工の際には、現場で、所望の大きさにカットできるものである。また、凸部の長さを3.5mmとし、全厚は6.5mmとするが、これらの値も断熱性、クッション性など効果目的に応じて変更可能である。
【0013】
また、当該緩衝部分は、図2に示すように、表面一様に凹凸を形成し、凸部に前記中空繊維、あるいは発泡体を有する構造となっている。この凹凸形状は、図1に示すような縦長楕円状に限られず、他の形状からなるものであってよい。さらに、最終的にポリエステル系樹脂等により表面硬度3〜5hに、さらにはそれ以上の硬度にコーティングすることで、ペットのつめ等で穴が開いたりしない程度の硬い被覆を形成する。
なお、従来の表面パイル状のカーペットの全表面を同様にコーティングしてもよく、その際には、ペット等が接する全表面をコーティングすることで、毛などが絡みつかない床材となることも本願の特徴の一つである。
【0014】
なお、本願に係る床材の製造方法としては、金型等を利用し、少ない工程で製造する一体成形であっても良く、さらに発泡素材のみを原材料として図1や図2に示す形状に成形し、表面コーティングしてなる床材としても良い。
【0015】
[実施例1]
本発明の第一の実施例を、図1〜図3に基づいて説明する。本実施例は、分割置き敷き可能なタイルカーペットとして形成した本発明を、住宅におけるリビングの床仕上げ材として利用したものに関するものである。
【0016】
図1は本発明第一実施例の床材拡大表面図、図2は本発明第一実施例の床材断面で、図1上のP−P´線断面図、図3は従来のタイルカーペットの断面図を表わす。
【0017】
図中、(1)は基材、(2)は第2層、(3)は中空繊維、(4)は凸部、(5a)および(5b)は継ぎ目部、(6)はパイル糸、(7)はポリエステル不織布、(8)は塩化ビニール樹脂による裏面処理層を示す。
【0018】
床下地合板上に設置される本発明の基材(1)は、施工時の取り扱いを考慮して、ある程度の硬度を要し、第2層の材質と比較してやや硬い素材が適している。しかしながら、通常のタイルカーペットで用いられているポリエステル不織布を利用してもよく、その他、第2層との接着性を損なわない素材であれば、他の素材での代用が可能である。また、裏面は図示しないが、塩化ビニール樹脂により、或いは塩化ビニール樹脂とガラス不織布により仕上げ処理が施されている。
図2は、本実施例により、表面上に表れた中空繊維 (3)を含む緩衝部である凸部(4)の配列の様子を示す。当該中空繊維とは連続あるいは不連続な空洞を持つ繊維のことをいい、例えば、ビスコースレーヨン、ポリアクリロニトリル、ポリオレフィン繊維などが挙げられる。その他の素材であってもクッション性を有する素材、例えば、ポリウレタンや発泡体によってもよい。そして、凸部分(4)は長さ4.2mm、最大幅2mmであり、本実施例による当該凹凸形状の成形は型押し加工による。なお、図1に示す、継ぎ目部(5a)および(5b)は、隣接する床材との接合を考慮した形状となっている。
【0019】
製造最終段階において、全表面をポリエステル系樹脂により表面硬度3〜5hにコーティングすることで、ペットのつめ等で穴が開いたりしない程度の硬い被覆を形成する。なお、当該成形工程は、前述の凹凸成形加工と同時に行っても良い。また、人体帯電圧は1KV以下(20℃×20%RH)である。
【0020】
本願発明は、以上のような構造により、通常の表面パイル地のタイルカーペットと比べてクッション性を有し、また、製品バリエーションとして、凸部の長さを変えることで、別途新たな製造工程を増やすことなく容易に所望のクッション性を有する緩衝部分を形成することもできる。また、滑り抵抗値を0.3〜0.5(C.S.R小野式)と設定したことで、ペットの諸動作もより自然に近いものとなり好ましい。
【0021】
表面のコーティング処理により、ペットの糞尿処理も容易で、かつ、ペットのつめなどによる引っかき傷もつきにくい。また、毛が絡みつかず、ダニの寄生も心配ないことから、掃除が容易で日常の汚れは雑巾で拭き取ることができる。さらに、ポリ塩化ビニールシートのように表面がべたつくような不快感もない。そして、さらに、部分的に取り外しが可能であるので、汚れた部分だけを洗濯したり、取り替えたりすることも可能である。
【0022】
[実施例2]
本発明の第2の実施例を、図4(a)、図4(b)に基づき説明する。本実施例は緩衝部となる凸部(4)の配置のバリエーションを示すものである。当該凸部の配置の差異以外の要素、つまり、基材、第2層、中空繊維の材質、そして表面のコーティング素材は実施例1と同様である。なお、本実施例及び実施例1においては、中空繊維が部分的に緩衝部として利用されているが、第2層を形成する繊維に編み込んだ態様であってもよい。
【0023】
このようなバリエーションによっても、実施例1と同様に、毛の絡みやダニの寄生の心配することなく、衛生的に長期間、メンテナンス容易に使用しつづけることが可能である。
【0024】
[実施例3]
本発明の第3の実施例は、従来の表面パイル地タイルカーペット表面にコーティング処理を施すものである。当該表面処理は、前述実施例1及び2の場合と同様の処理により、表面のパイル地全面に亘り、人やペット等に適度な硬さの被覆を形成する。
【0025】
このタイプのカーペットの仕上げ処理としては、フッ素系防汚薬剤処理を行っているが、毛の絡みまでは防止できなかったが、上記の処理を施すことにより、従来の表面パイル地タイルカーペットを利用して、前記2つの実施例と同様に、毛の絡みやダニの寄生の心配することなく、衛生的に長期間、メンテナンス容易に当該タイルカーペットを使用しつづけることが可能である。
【0026】
【発明の効果】
以上、本発明によれば、タイルカーペットを長期間にわたりメンテナンス容易に使用することができる。ペットを室内で飼う場合であっても、ペットの抜け毛が絡まないことから、掃除が楽に行えることから衛生的である。また、緩衝部分による一定のクッション性を有するため、カーペットのような柔らかさを実現し、人およびペットの日常生活における諸動作が自然に行え、身体への悪影響の心配もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明第一実施例の床材拡大表面図
【図2】 本発明第一実施例の床材断面で、図1上のP−P´線断面図
【図3】 従来のタイルカーペットの断面図
【図4】(a) 緩衝部の配置のバリエーションを示す図
(b) 緩衝部の配置のバリエーションを示す図
【符号の説明】
1 基材
2 第2層
3 緩衝部分
4 凸部
5a 継ぎ目部
5b 継ぎ目部
6 パイル糸
7 ポリエステル不織布
8 塩化ビニール樹脂による裏面処理層
Claims (4)
- 部分的積層構造を有する床材であって、第1層を床下地合板上に接する該床材の基材とし、該基材上面に、断面凹凸形状をなす第2層が接する構造をなし、かつ、該第1層は該第2層より硬い人造繊維によりなり、第2層の凸部には人造繊維を素材とする中空繊維または発泡状体を含み、第2層の全表面を、硬い被覆を構成すべく合成樹脂によりコーティングしてなることを特徴とするペット対応床材。
- 請求項1に記載の床材であって、分割置き敷き可能とすることを特徴とするペット対応床材。
- 請求項1に記載の床材であって、滑り抵抗値を0.3〜0.5(C.S.R小野式)、かつ表面硬度を3h以上とすることを特徴とするペット対応床材。
- 部分的積層構造を有する床材であって、第1層を床下地合板上に接する該床材の基材とし、さらに該基材上面に、断面凹凸形状をなす第2層が接し、かつ、該第1層は該第2層より硬い人造繊維によりなり、第2層の凸部には人造繊維を素材とする中空繊維または発泡状体を含み、第2層の全表面を、硬い被覆を構成すべく合成樹脂によりコーティングすることにより得られることを特徴とするペット床材製造方法。
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