JP3871157B2 - Outboard motor exhaust structure - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、船外機の排気構造の技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】
船外機においては、エンジンの排気を水中に排出させているため、アイドル運転時において排気が抜けにくく、そのために排気の一部をアイドル膨張室に導き空気中に排気する方式が知られている。図8は、特開平8−284655号公報に提案されている従来の排気構造を示す断面図である。
【0003】
エンジンを支持するエンジン支持体201には、排気通路201a、冷却水通路201bが形成され、アッパケース206上に固定されている。エンジン支持体201の下部にはオイルパン202が固定されるとともに、このオイルパン202を貫通するように排気管203が固定され、排気管203の下方に主膨張室205が形成されている。排気管203の上部には、取付フランジ203bが溶着されるとともに、その下部にアイドル排気孔203aが形成され、また、アイドル排気孔203aに対向して所定の間隔をあけて遮蔽部材203cが溶着されている。そして、排気管203の取付フランジ203bをボルト204によりオイルパン202及びエンジン支持体201に固定している。
【0004】
アッパケース206にはオイルパン202と間隔を設けて仕切壁206aが一体に形成され、仕切壁206aには連通口206cが形成されている。これにより、仕切壁206aとアッパケース206間にアイドル膨張室207が形成され、アイドル膨張室207には外部に開口する空中排気口206bが形成されている。この構成により、アイドル運転時、排気の一部は、図示矢印に示す如く、排気管203のアイドル排気孔203a、オイルパン202とアッパケース206の間、連通口206cを経てアイドル膨張室207に入り、空中排気孔206bから排出されるようにし、また、エンジンを冷却した水がエンジン下方からエンジン支持体201の冷却水通路201bを経て、オイルパン202とアッパケース206の間及びオイルパン202と排気管203の間に流下し、オイルパン202及び排気管203を冷却するようにしている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の排気構造においては、アイドル運転時、排気を排気管203からアイドル排気孔203aを経て直角に曲げて排出させる構造のため、エンジン失火時等において負圧が増大し、排気管周囲の水およびエンジンから流下してくる冷却水がアイドル排気孔203aからエンジン内部に入ってしまうという問題を有し、また、高速出力時において排気が抜けにくく所望のエンジン性能が得られないという問題を有している。
【0006】
本発明は、上記従来の問題を解決するものであって、エンジンから流下してくる冷却水がアイドル排気孔からエンジン内部に入るのを防止するとともに、高速出力時のエンジン性能を向上させることができる船外機を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の船外機の排気構造は、ケーシング10に固定され、エンジン11を支持するエンジン支持体12と、前記ケーシング内にエンジン支持体の下方に取り付けられたオイルパン29と、該オイルパンを貫通するように取り付けられた排気管30と、前記オイルパンと排気管との間に形成された空間40と、該空間に接続される冷却水通路33bとを備え、請求項1においては、前記排気管30は上端にオイルパン取付フランジ30aを有し、該取付フランジに排気通路から分岐するアイドル排気孔30bを形成し、該アイドル排気孔の下方に排気管の外周を覆うように遮蔽部材30cを設け、オイルパン29の取付部29eの内周には、前記アイドル排気孔30bに対向して切欠部29mが形成されていることを特徴とする。なお、上記構成に付加した番号は、本発明の理解を容易にするために図面と対比させるもので、これにより本発明が何ら限定されるものではない。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しつつ説明する。図1は、本発明に係わる船外機の1実施形態を示す側面図である。船外機1は、船体2の後部に着脱自在に取り付けられるクランプブラケット3と、クランプブラケット3に水平軸5を介して上下方向に回動自在に枢支されるスイベルブラケット6と、このスイベルブラケット6に垂直軸を介して水平方向に回動自在に枢支されるステアリングブラケット7と、ステアリングブラケット7にマウント8を介して支持される推進ユニット9とを備えている。なお、ステアリングブラケット7と後述するガイドエキゾースト12間もマウントを介して支持されている。
【0009】
前記推進ユニット9は、ステアリングブラケット7に支持されるアッパケース10を有し、アッパケース10の上部にガイドエキゾースト12が固定され、このガイドエキゾースト12の上部にエンジン11が取り付けられている。また、エンジン11の下部を覆うロアカウリング13がガイドエキゾースト12に取り付けられ、ロアカウリング13にエンジン11の上部を覆うアッパカウリング15が着脱可能に取り付けられている。また、ガイドエキゾースト12にはその周囲を覆うエプロンカバー16が取り付けられ、さらに、アッパケース10の下部にはロアケース17が取り付けられ、全体としてケーシングを構成している。なお、19は冷却水取入口、20はプロペラ、21はステアリングハンドル、22はシフトレバーである。
【0010】
ガイドエキゾースト12に支持されたエンジン11は、例えば2気筒4サイクルエンジンであり、横置き状態に配設された2つの気筒と縦置き状態に配設されたクランク軸23を備えている。アッパケース10及びロアケース17内にはドライブシャフト25が縦方向に配設され、その上端はクランク軸23に連結され、その下端は傘歯車26を介してプロペラシャフト27に連結されている。ガイドエキゾースト12にはオイルポンプ28が配設され、またガイドエキゾースト12の下部にはオイルパン29が取り付けられ、このオイルパン29を貫通するようにエンジン11から延びる排気管30が取り付けられている。
【0011】
アッパケース10及びロアケース17内には冷却水供給管31がドライブシャフト25と略平行に縦方向に配設され、ドライブシャフト25の中間部には冷却水ポンプ32が設けられている。冷却水ポンプ32は、冷却水取入口19から吸入した水を冷却水供給管31を経てエンジン11のウオータージャケットに供給し、エンジン11を冷却した水は、エンジン下方に落下してオイルパン29及び排気管30を冷却する構成になっている。
【0012】
図2は、図1のオイルパン周辺の一部拡大断面図、図3は図2のX−X線に沿って矢印方向に見た断面図、図4はオイルパンの斜視図であり、図1で説明したアッパケース10、ガイドエキゾースト12、ドライブシャフト25、オイルパン29、排気管30、冷却水供給管31が示されている。図3において、アッパケース10はボルト34aによりガイドエキゾースト12に固定され、オイルパン29はボルト34bによりガイドエキゾースト12に固定されている。
【0013】
図2において、ガイドエキゾースト12には、ドライブシャフト25を軸支するオイルシール32、冷却水供給管31に接続される冷却水通路33a、エンジンを冷却した水が流下する冷却水通路33b、排気管30に接続される主排気通路35、オイルポンプ28(図1)の配設部36に溜まる水を排水させる水抜き孔37、アイドル用排気通路38が形成されている。
【0014】
図2〜図4において、ガイドエキゾースト12の下部にはオイルパン29が装着される。オイルパン29はアルミ合金で一体成形されるもので、外壁29a及び底壁29bと、外壁29aの三方と間隔を設けて形成された内壁29cとにより平面視で略環状に形成されたオイル溜29dと、内壁29cの上部に一体に形成された取付部29eと、この取付部29eに形成された排気接続路29fと、外壁29aのうち内壁29cがない面に形成された排気孔29gと、固定用フランジ29hと、固定用フランジ29hに形成された冷却水供給管支持孔29k及び排水孔29iと、取付部29eに形成された3つの排水孔29jとを備えている。排水孔29i、29jはガイドエキゾースト12に形成された冷却水通路33bに接続されている。
【0015】
一方、排気管30の上端部には取付フランジ30aが溶着にて固定されるとともに、取付フランジ30aには排気管30の外周に排気通路から分岐するアイドル排気孔30bが形成されている。また、取付フランジ30aには、アイドル排気孔30bの下方で排気管30の外周を覆うように所定の間隔をあけて遮蔽部材30cが溶着され、アイドル排気孔30bから排出される排気が下方に流れるようにしている。この遮蔽部材30cは排気が内壁29cに当たることにより生じる腐食を防止するためである。オイルパン29の取付部29eの内周には、前記アイドル排気孔30bに対向して切欠部29mが形成されている。
【0016】
そして、排気管30の取付フランジ30aをオイルパン29の取付部29eに当接し、ボルト39により排気管30をオイルパン29及びガイドエキゾースト12に固定している。このとき、排気管30の長さを排気管30の下端がオイルパン29の底壁29bと略面一になるように設計している。この構成により、エンジンの排気は、ガイドエキゾースト12の排気通路35、オイルパン29の排気通路29f及び排気管30を経て、オイルパン29及び排気管30の下方に形成された主膨張室41に排気され、また、排気管30の外周とオイルパン29の内壁29c間には空間40が形成され、この空間40は冷却水通路33bに接続され、エンジンから流下する冷却水により排気管30及びオイルパン29が冷却されるようになっている。
【0017】
アッパケース10の外壁10aには、オイルパン29と間隔をあけて隔壁10bが一体成形されており、外壁10aと隔壁10bの間にアイドル膨張室42が形成されている。アイドル膨張室42内には排気ガイド部材43が設けられ、また、アッパケース10の外壁10aには、アイドル膨張室42内の排気を外部に排出する空中排気孔44と排気と共に侵入した水を排出する水抜き孔45が形成されている。
【0018】
オイルパン29内には、図3に示すようにオイル吸入部28aが収納され、オイル供給管28bを経て図1のオイルポンプ28に接続されている。図2に示すように、オイルパン29の底部にはオイルを排出するためのドレン排出口46が形成されネジ47により封止されている。また、オイルパン29の底部にはゴム製のガイド部材49がドレン排出口46の周囲に固定され、このガイド部材49は垂直に下方に延び、アッパケース10の外壁10aに形成された貫通穴10cに挿入されている。オイルパン29の側面には、位置決め部材31aを介して冷却水供給管31が当接されている。
【0019】
図5は、図2のガイドエキゾースト12のアイドル用排気通路38を説明するための図であり、図5(A)は底面図、図5(B)は、図5(A)のB−B線に沿って矢印方向に見た断面図である。なお、図2のアイドル用排気通路38は図5(A)のC−C線に沿って矢印方向に見た断面図である。ガイドエキゾースト12には、切欠部12bを有するリブ12aが形成されており、このリブ12aにゴム製の絞り部材51が装着されている。絞り部材51は両端に二股状の係止片51aと中央部に形成された断面凹状の切欠部51bを有し、この切欠部51bによりアイドル用排気通路38を形成している。本例においては、切欠部51bの面積を任意に変えることにより、排気量の異なる機種に共通のガイドエキゾースト12を採用することができる。
【0020】
図6は、図2のガイドエキゾースト12の水抜き孔37の拡大断面図である。水抜き孔37の出口には逆止弁52が装着されている。逆止弁52は、ゴム製の弁本体52aに切り込みを入れて弁52を形成したもので、ガイドエキゾースト12に溜まる水は水抜き孔37から排水可能とし、船体の急減速時には追い波により水抜き孔37からの水の侵入を防止するようにしている。
【0021】
上記構成からなる本発明の作用について説明すると、アイドル運転時、排気の一部は、図示矢印に示す如く、排気管30のアイドル排気孔30b、排気孔29g、オイルパン29とアッパケース10の外壁10aの間、排気通路38を経てアイドル膨張室42に入り、空中排気孔44から排出される。また、ドライブシャフト25により駆動される冷却水ポンプ32により、冷却水取入口19から吸入した水を冷却水供給管31を経てエンジンのウオータージャケットに供給し、エンジンを冷却した水をエンジン下方からガイドエキゾースト12の冷却水通路33b、オイルパン29に形成された排水孔29i、29jを経て、オイルパン29とアッパケース10の外壁10aの間及びオイルパン29内部の空間40に流下させ、オイルパン29及び排気管30を冷却する。
【0022】
本実施形態においては、アイドル排気時において、排気が冷却水の流下方向に沿って流れるため、エンジン失火時等において負圧が増大し、排気管周囲の水およびエンジンから流下してくる冷却水がアイドル排気孔30bからエンジン内部に入ってしまうのを防止することができるとともに、高速出力時において排気が抜けやすくエンジン性能を向上させることができる。また、特に、2気筒4サイクルエンジンの場合には、クランク軸が1回転する毎に2気筒が交互に爆発するので、大きな負圧が生じ易く効果的である。
【0023】
図7は、本発明の参考例を示す図2と同様の一部拡大断面図である。なお、図2と同一の構成には同一番号を付けて説明を省略する。本参考例においては、排気管30の上部に筒状のアイドル排気管39dを空間40に向けて水平方向に取り付けたものである。この構成によりアイドル排気用の面積を大きくとることが可能となる。
以上
【0024】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1記載の発明によれば、アイドル排気時において、排気が冷却水の流下方向に沿って流れるため、エンジン失火時等において負圧が増大し、排気管周囲の水およびエンジンから流下してくる冷却水がアイドル排気孔からエンジン内部に入ってしまうのを防止することができ、
また、請求項2記載の発明によれば、アイドル排気用の面積を大きくとることが可能となり、
また、請求項3記載の発明によれば、さらに効果的にエンジンへの水入りを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係わる船外機の1実施形態を示す側面図である。
【図2】図1のオイルパン周辺の一部拡大断面図である。
【図3】図2のX−X線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【図4】図2のオイルパンの斜視図である。
【図5】図2のガイドエキゾーストのアイドル用排気通路を説明するための図であり、図5(A)は底面図、図5(B)は、図5(A)のB−B線に沿って矢印方向に見た断面図である。
【図6】図2のガイドエキゾーストの水抜き孔の拡大断面図である。
【図7】本発明の他の実施形態を示す図2と同様の一部拡大断面図である。
【図8】従来の船外機の排気構造を示す断面図である。
【符号の説明】
10…アッパーケース(ケーシング)11…エンジン
12…ガイドエキゾースト(エンジン支持体)、29…オイルパン
30…排気管、30a…取付フランジ、30b…アイドル排気孔
30c…遮蔽部材、30d…アイドル排気管、33b…冷却水通路
40…空間[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention belongs to the technical field of an exhaust structure for an outboard motor.
[0002]
[Prior art]
In an outboard motor, the exhaust of the engine is discharged into the water, so that it is difficult for the exhaust to escape during idle operation. For this reason, a method is known in which part of the exhaust is led to the idle expansion chamber and exhausted into the air. . FIG. 8 is a cross-sectional view showing a conventional exhaust structure proposed in Japanese Patent Laid-Open No. 8-284655.
[0003]
An exhaust passage 201 a and a
[0004]
A
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the conventional exhaust structure, the exhaust gas is bent from the
[0006]
The present invention solves the above-described conventional problems, and prevents cooling water flowing down from the engine from entering the engine through the idle exhaust hole, and improves engine performance at high-speed output. The purpose is to provide an outboard motor that can be used.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, an exhaust structure for an outboard motor according to the present invention is fixed to a
[0008]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings. FIG. 1 is a side view showing an embodiment of an outboard motor according to the present invention. The
[0009]
The
[0010]
The
[0011]
A cooling
[0012]
2 is a partially enlarged cross-sectional view around the oil pan in FIG. 1, FIG. 3 is a cross-sectional view taken along the line XX in FIG. 2, and FIG. 4 is a perspective view of the oil pan. 1 shows the
[0013]
2, the
[0014]
2 to 4, an
[0015]
On the other hand, an
[0016]
The mounting
[0017]
A
[0018]
As shown in FIG. 3, an
[0019]
FIG. 5 is a view for explaining the
[0020]
6 is an enlarged cross-sectional view of the
[0021]
The operation of the present invention having the above-described configuration will be described. During idle operation, a part of the exhaust is, as shown by the arrows in the figure, the idle exhaust hole 30b, the exhaust hole 29g, the
[0022]
In the present embodiment, during idle exhaust, the exhaust flows along the flow direction of the cooling water, so that the negative pressure increases during engine misfire and the like, and the water around the exhaust pipe and the cooling water flowing down from the engine It is possible to prevent the engine from entering the engine through the idle exhaust hole 30b, and the engine performance can be improved because the exhaust can easily escape during high-speed output. In particular, in the case of a two-cylinder four-cycle engine, since the two cylinders alternately explode every time the crankshaft makes one revolution, a large negative pressure is likely to be generated.
[0023]
FIG. 7 is a partially enlarged sectional view similar to FIG. 2 showing a reference example of the present invention. In addition, the same number is attached | subjected to the structure same as FIG. 2, and description is abbreviate | omitted. In this reference example , a cylindrical idle exhaust pipe 39 d is attached to the upper part of the
[0024]
【The invention's effect】
As is apparent from the above description, according to the first aspect of the present invention, the exhaust gas flows along the flow-down direction of the cooling water during idle exhaust, so the negative pressure increases during engine misfire and the like, and the exhaust pipe The surrounding water and cooling water flowing down from the engine can be prevented from entering the engine through the idle exhaust hole,
Further, according to the invention of
Further, according to the invention described in
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a side view showing an embodiment of an outboard motor according to the present invention.
FIG. 2 is a partially enlarged cross-sectional view around the oil pan of FIG.
3 is a cross-sectional view taken along the line XX of FIG. 2 as viewed in the direction of the arrow.
4 is a perspective view of the oil pan of FIG. 2. FIG.
5 is a view for explaining an idle exhaust passage of the guide exhaust of FIG. 2, FIG. 5 (A) is a bottom view, and FIG. 5 (B) is a line BB of FIG. 5 (A). It is sectional drawing seen in the arrow direction along.
6 is an enlarged cross-sectional view of a drain hole of the guide exhaust of FIG. 2. FIG.
7 is a partially enlarged cross-sectional view similar to FIG. 2, showing another embodiment of the present invention.
FIG. 8 is a cross-sectional view showing an exhaust structure of a conventional outboard motor.
[Explanation of symbols]
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