JP3871087B2 - 原位置岩盤剪断強度試験装置及び方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原位置岩盤剪断強度試験装置及び方法に関し、具体的には、例えばトンネルや地下発電所のように地下に大きな空洞を掘削する工事を行う際に、その掘削によって応力解放を受ける岩盤の掘削後の剪断強度を求める原位置岩盤剪断強度試験装置及び方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
土木工事の設計・施工に際しては、現地の土質調査を行って土や岩の強度を調べる必要がある。
これまでに、土や岩の強度を求めるための様々な試験方法が提案されており、工事の内容と土質とに応じて、それら試験方法のうちから実際に採用する試験方法が決定されている。
クラック等の弱面を含まない岩盤、それに粘土等では、土質の均質性が高く、乱さない状態の試料を採取することが容易であるか、或いはねり返した試料を使用して試験を行うことが可能であるため、現場から採取してきた試料を供試体とし、それを試験装置にかけて強度試験を行うのが一般的である。
これに対して、土質の均質性が低いか、或いは、乱さない状態の試料を採取することが困難で、しかも乱されることによって強度が著しく変動する可能性がある土や岩の強度を正確に求めたい場合には、試料を採取してくるのではなく原位置にある試料に対して強度試験を行う、いわゆる原位置強度試験が採用される。
例えば、クラック等の弱面がかなりの密度で分布している岩盤などは、このような条件に該当するものであるため、強度試験方法として原位置強度試験を採用することになる。
また地盤の安定解析のための試験としては、通常、剪断強度試験が行われている。岩盤の剪断強度を試験する従来の原位置強度試験方法としては、一面剪断試験法や、ブロック剪断試験法がある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、これら従来の原位置岩盤剪断強度試験方法には、掘削による応力解放を受けた状態での試験を行うことができないという問題があった。
例えば、クラック等の弱面がかなりの密度で分布している岩盤によって地山が構成されており、そこにトンネルや地下発電所のように大きな空洞を掘削する工事を行う場合には、掘削した空洞に隣接した部分の岩盤が、特にその空洞の天井部分の岩盤が、著しい応力解放を受けることになる。そしてこの応力解放によって、その岩盤内に元々あったクラック等の弱面が開き、岩盤の強度は低下する。
ところが、従来の原位置岩盤剪断強度試験方法では、このように掘削による応力解放を受けた状態での試験ができず、従ってその状態での岩盤強度を求めることができなかった。
応力解放を考慮できない従来の試験方法により求めた岩盤強度は、実際の掘削後の岩盤強度を過大評価したものとなるため、それに基づいて地下空洞の安定性の正確な評価を行うことはできない。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、掘削工事によって応力解放を受ける岩盤の掘削工事後の剪断強度を正確に求められる原位置岩盤剪断強度試験装置及び方法を提供することにある。
【0004】
前記目的を達成するため、本発明にかかる原位置岩盤強度試験装置は、試験対象岩盤において周囲を掘削することで原位置に切り出した供試体を囲繞する剪断リングと、前記剪断リングに囲繞された前記供試体に大きさが調節可能な垂直荷重を載荷するための垂直荷重載荷機構と、前記剪断リングに大きさが調節可能な水平荷重を載荷することにより前記供試体に大きさが調節可能な剪断荷重を載荷するための剪断荷重載荷機構と、垂直荷重の載荷に伴う前記供試体の垂直変位量を測定する垂直変位計と、剪断荷重の載荷に伴う前記供試体の剪断変位量を測定する剪断変位計とを備え、前記垂直荷重載荷機構は、前記供試体に載荷する垂直荷重を発生させるプレッシャバッグを備えたエアジャッキと、前記岩盤に固設されて該エアジャッキの反力を担持する反力担持構造体とを含んでおり、前記剪断荷重載荷機構は、前記供試体に載荷する剪断荷重を発生させるプレッシャバッグを備えたエアジャッキと、前記岩盤に固設されて該エアジャッキの反力を担持する反力担持構造体とを含んでいることを特徴とする。
また、本発明にかかる原位置岩盤剪断強度試験方法は、(a)試験対象岩盤において周囲を掘削することで原位置に切り出した供試体を剪断リングで囲繞するステップと、(b)前記剪断リングに囲繞された前記供試体にエアジャッキのプレッシャバッグで発生させた垂直荷重を載荷することで、該供試体に垂直応力を加えるステップと、(c)前記剪断リングにエアジャッキのプレッシャバッグで発生させた水平荷重を載荷して前記供試体に剪断荷重を載荷することで、該供試体に剪断応力を加えるステップと、(d)前記剪断応力を一定に保ったまま前記垂直応力を徐々に低下させて行き、前記供試体の剪断変位量が急増したときの垂直応力と剪断応力との組み合わせを求めるステップと、(e)前記ステップb、c、及びdを複数の垂直応力レベルで反復して行い、それら複数の垂直応力レベルの夫々において前記供試体の剪断変位量が急増したときの垂直応力と剪断応力との組み合わせを求めるステップと、(f)前記複数の垂直応力レベルの夫々で求めた垂直応力と剪断応力との組み合わせをプロットし、それを直線近似したときの切片から粘着力を、またその傾きから内部摩擦角を求めるステップとを備えることを特徴とする。
【0005】
本発明にかかる原位置岩盤剪断強度試験装置及び方法によれば、原位置に切り出した岩盤の供試体に垂直荷重及び剪断荷重を載荷して強度試験を行うため、乱さない状態での試料採取が困難な、例えばクラック等の弱面がかなりの密度で分布している岩盤の剪断強度試験も何ら問題なく行うことができ、しかも、それら荷重の大きさによって、その岩盤の掘削前の初期応力状態から掘削後の応力解放を受けた後の状態までも再現することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態について添付図面を参照して説明して行く。
図1は本発明にかかる原位置岩盤剪断強度試験装置の全体を示す断面図、図2は原位置岩盤剪断強度試験装置による試験を行うために岩盤から供試体を切り出した状態を示す斜視図、図3は図2の3−3線に沿った断面図、図4のAないしCは図3と同様の断面図であり原位置岩盤剪断強度試験装置をセッティングする手順を示した図、図5は本発明にかかる原位置岩盤剪断強度試験方法を説明するための応力状態図である。
図1には、岩盤Bの剪断強度を求めるために本発明の実施の形態にかかる原位置岩盤剪断強度試験装置10を原位置にセッティングした状態を示した。この岩盤Bには弱面であるクラックCがかなりの密度で分布している。
【0007】
原位置岩盤剪断強度試験装置10をセッティングするには、先ず、試験対象の岩盤Bを掘削して略々水平な平坦基準面Rを形成し、更にその平坦基準面Rに掘削工事を施して、図2及び図3に示すように、供試体周囲空間S1と剪断荷重載荷機構収容空間S2とを形成する。
特に、供試体周囲空間S1を掘削するときには、その空間S1の中央に軸心が鉛直方向に延在する略々円筒形の部分を残して掘削を行い、この残した略々円筒形の部分が、本発明にかかる原位置岩盤剪断強度試験の供試体Tとなる。従って以上の岩盤掘削工事は、前記空間S1及びS2を形成するステップであると同時に、供試体Tを原位置に切り出すステップでもある。
また、こうして供試体Tを原位置に切り出す際には、岩盤B内に元々存在しているクラックC等の弱面が供試体Tの内部に含まれるようにする。そのためには予め岩盤Bの調査を行ってクラックC等の弱面の分布や密度を調べ、それに応じて供試体Tの大きさを適切に定めるようにする。
ただし、供試体Tの大きさは、原位置岩盤剪断強度試験装置10の剪断リング12の大きさに応じて決まるものであるため、実際には、岩盤Bの調査結果に基づいて試験計画を立てる際に剪断リング12の大きさを選定し、その剪断リング12の大きさに適合した大きさの供試体Tを岩盤Bから切り出す。
このようにして、試験対象岩盤Bにおいて周囲を掘削することで原位置に切り出した供試体Tは、その底面部分が岩盤Bにつながったままであり、以前から存在していた場所(原位置)にそのまま存在している。従ってこの供試体Tは、全く乱されていない状態を維持している。ただし、切り出したことによって応力解放が発生しているため、クラックCは元の状態と比べて緩んでいる。そのため、この供試体Tを、乱されていないこの状態を保持したまま、その底面部分を切り離して原位置から移動させることは困難であり、採取した供試体を用いる剪断強度試験装置を使用してこの供試体Tの試験をすることは殆ど不可能である。
【0008】
剪断リング12は鋼製の部材であり、円筒形の本体部と、その上端及び下端に設けた水平フランジ部と、本体部の外周に放射状に設けられ上下の水平フランジ部の間を延在する複数の垂直リブとを有し、本体部の内側には、内径がDで高さがHの円筒形の空間(図4のA)が画成されている。また剪断リング12はその側部に、後述する剪断荷重載荷機構18から剪断荷重を受けるための支圧板14を備えている。
この略々円筒形の供試体Tは、岩盤Bから切り出されるものであるため、正確な円筒形からかなり外れた形状となることもある。そのため供試体Tは、その直径Dt(図3)を剪断リング12の内径Dより僅かに小さくしてあり、それによって供試体Tを剪断リング14で囲繞できるようにしてある。また、供試体Tはその高さHt(図3)を剪断リング14の高さHより僅かに高くしてあり、それによって供試体Tの頂部と剪断リング14の上端とを略々等しい高さにしたときに供試体Tの下端が供試体周囲空間S1の底面から離れるようにしてある。
【0009】
剪断強度試験装置10は、前記剪断リング14に加えて更に、垂直荷重載荷機構16と、剪断荷重載荷機構18と、垂直変位計60と、剪断変位計62とを備えている。
垂直荷重載荷機構16は、剪断リング12に囲繞された供試体Tに大きさが調節可能な垂直荷重を載荷するための機構である。
垂直荷重載荷機構16は、供試体Tの頂部に載置され供試体Tに垂直荷重を載荷するための円盤形の鋼製部材であるキャップ20を含んでおり、このキャップ20の直径Dc(図4のC)は、剪断リング12の内径Dより僅かに小さくしてある。垂直荷重載荷機構16は更に、夫々が水平に配設される鋼板製の3枚の垂直荷重載荷板を含んでおり、それら垂直荷重載荷板を下から順に、第1垂直荷重載荷板22、第2垂直荷重載荷板24、第3垂直荷重載荷板26と呼ぶことにする。
第1垂直荷重載荷板22は、その下面に取り付けられた複数のスライドニードルベアリング28を介してキャップ20上に載置されており、それらスライドニードルベアリング28は、剪断により供試体Tが横方向にスライドする際に、第1垂直荷重載荷板22とキャップ20との間に大きな摩擦力が作用するのを防止するために設けられている。
【0010】
第1垂直荷重載荷板22と第2垂直荷重載荷板24との間には、垂直荷重載荷機構16が供試体Tに載荷する垂直荷重を測定するための荷重測定手段であるロードセル30が設けられており、このロードセル30は、配線を介して不図示の荷重測定装置に接続されている。
第2垂直荷重載荷板24と第3垂直荷重載荷板26との間には、垂直荷重載荷機構16が供試体Tに載荷する垂直荷重を発生させるためのエアジャッキのプレッシャバッグ32が設けられている。プレッシャバッグ32は配管を介してレギュレータ34に接続されており、レギュレータ34は不図示の圧力空気供給源に接続されている。
垂直荷重載荷機構16は更に、エアジャッキを機能させるためにそのエアジャッキの反力を担持する反力担持構造体40を含んでいる。反力担持構造体40は岩盤Bに固設されるものであり、図1には反力担持構造体40のうちの反力ビーム42だけを示した。反力ビーム42はH鋼から成り、そのH鋼のフランジ部が水平になるように配設されており、この反力ビーム42の両端は、不図示のアンカー構造により岩盤Bに固定されている。
反力ビーム42の下面と第3垂直荷重載荷板26の上面とを当接させてあり、以上によって、エアジャッキのプレッシャバッグ32が発生した荷重が、第2垂直荷重載荷板24、ロードセル30、第1垂直荷重載荷板22、及びキャップ20を介して供試体Tに載荷されるようにしてある。従って、エアジャッキのレギュレータ34を操作することで、供試体Tに載荷する垂直荷重を制御することができる。
【0011】
剪断荷重載荷機構18は、剪断リング12に大きさが調節可能な水平荷重を載荷することにより、供試体Tに大きさが調節可能な剪断荷重を載荷するための機構である。
剪断荷重載荷機構18は、配管を介して接続したプレッシャバッグ46及びレギュレータ48で構成されたエアジャッキと、剪断荷重載荷機構18が供試体Tに載荷する剪断荷重を測定するための荷重測定手段であるロードセル50と、プレッシャバッグ46とロードセル50との間に垂直に配設された鋼板製の剪断荷重載荷板52と、エアジャッキを機能させるためにそのエアジャッキの反力を担持する反力担持構造体54とを含んでいる。
反力担持構造体54は岩盤Bに固設されるものであり、図示の実施形態では、岩盤Bに構築したコンクリート壁から成り、このコンクリート壁の垂直な側面と剪断荷重載荷板52との間にプレッシャバッグ46が配設されている。また、ロードセル50は、剪断荷重載荷板52に取り付けられており、配線を介して不図示の荷重測定装置に接続されている。
エアジャッキのレギュレータ48は不図示の圧力空気供給源に接続しており、このエアジャッキのプレッシャバッグ46によって、剪断荷重載荷機構18が供試体Tに載荷する剪断荷重を発生させている。発生した剪断荷重(水平方向の荷重)は、剪断荷重載荷板52及びロードセル50を介して剪断リング12の支圧板14に伝達され、剪断リング12から供試体Tに載荷される。従って、エアジャッキのレギュレータ48を操作することで、供試体Tに載荷する剪断荷重を制御することができる。
【0012】
垂直変位計60は、供試体Tを切り出した周囲の岩盤とキャップ20との間に装備され、キャップ20の垂直方向の変位量を検出することで、垂直荷重の載荷に伴う供試体Tの垂直変位量(圧縮量)を測定するようにしてある。
また、剪断変位計62は、供試体Tを切り出した周囲の岩盤と剪断リング12との間に装備され、剪断リング12の水平方向の変位量を検出することで、剪断荷重の載荷に伴う供試体Tの剪断変位量(移動量)を測定するようにしてある。
これら垂直変位計60及び剪断変位計62の出力は、配線を介して不図示の変位表示装置に接続されている。
【0013】
次に、本発明の実施の形態にかかる原位置岩盤剪断強度試験方法の実施手順について説明する。
この実施手順は、原位置岩盤剪断強度試験装置10のセッティングのためのステップ(A1)〜(A7)と、そのセッティングした装置10を使用して実際に供試体Tからデータを収集するステップ(B1)〜(B5)とを含んでいる。
原位置岩盤強度剪断試験装置10のセッティングのためのステップは以下の通りである。
(A1)先ず、上で説明したように掘削を行って、強度を求めたい試験対象の岩盤Bに略々円筒形の供試体Tを切り出す。また、このとき、垂直荷重載荷機構16の反力担持構造体40を設置するためのアンカー定着用の孔の掘削や、剪断荷重載荷機構18の反力担持構造体58のコンクリート壁を構築するための掘削も併せて行う。ただし反力担持構造体としては、上に説明したもの以外にも様々な構成のものを使用することができ、実際に使用する反力担持構造体の構成に合わせて掘削を行う(図2、図3)。
(A2)供試体Tを囲繞するように剪断リング12をセットする。このとき、剪断強度試験中に発生する供試体Tの高さの変化をなるべく拘束しないように、剪断リング12の内壁面に摩擦軽減用のグリースなどの潤滑材を塗布しておく。更に、供試体Tは必ずしも設計寸法通りの正確な円筒形に切り出せないため、剪断リング12の内壁面と供試体Tの外周との隙間にモルタル等の固結材Fを充填し、また供試体Tの上端面も剪断リング上端面に合わせて固結材Fで平らに整形しておく(図4のA)。更に、剪断強度試験中に発生する供試体Tの剪断面(SP:図1参照)の位置は、供試体Tとして切り出した岩盤部分の剪断リング12下端付近になるので、正しい剪断応力の値が求められるように、剪断リング12をセットする際には、剪断リング12の下端が供試体周囲空間S1の底部の岩盤に接しないようにする。
(A3)剪断荷重載荷機構18の反力担持構造体54であるコンクリート壁を構築する(図4のB)。
(A4)供試体Tの頂部にキャップ20をセットする(図4のC)。
(A5)垂直荷重載荷機構16の反力担持構造体40を岩盤Bに固設し、キャップ20とその反力担持構造体40の反力ビーム42との間に、第1垂直荷重載荷板22、ロードセル30、第2垂直荷重載荷板24、プレッシャバッグ32、及び第3垂直荷重載荷板26をセットすることで、垂直荷重載荷機構16のセッティングを完了する。また、剪断リング12の支圧板14と反力担持構造体54であるコンクリート壁との間に、ロードセル50、剪断荷重載荷板52、及びプレッシャバッグ46をセットすることで、剪断荷重載荷機構18のセッティングを完了する。
(A6)垂直変位計60を、供試体Tを切り出した周囲の岩盤とキャップ20との間にセットし、また、剪断変位計62を、供試体Tを切り出した周囲の岩盤と剪断リング12との間にセットする。
(A7)プレッシャバッグ32及び46をレギュレータ34及び48に夫々接続し、ロードセル30及び50を夫々の荷重測定装置に接続し、変位計60及び62を夫々の変位表示装置に接続する。
以上で、原位置岩盤剪断強度試験装置10のセッティングが全て完了する。
【0014】
セッティングが完了した原位置岩盤剪断強度試験装置10を使用して実際に供試体Tからデータを収集するステップは次の通りである。
(B1)レギュレータ34及び48を操作してプレッシャバッグ32及び46の空気圧を制御することにより、垂直荷重載荷機構16から供試体Tに載荷される垂直荷重と剪断荷重載荷機構18から供試体Tに載荷される剪断荷重とを調節し、掘削前の初期応力状態に相当すると推定される垂直応力(σN0)及び剪断応力(τ0 )を供試体Tに加える。供試体Tに加わる垂直応力の大きさは、載荷される垂直荷重を供試体Tの断面積(πD2 /4)で割った値に等しく、剪断応力の大きさは、載荷される剪断荷重を供試体Tの断面積で割った値に等しい。このときの供試体Tの応力状態は図5のA点に相当する。
(B2)次に、掘削による応力解放を再現するために、剪断応力は一定に保ったまま(τ=τ0 )で、垂直応力(σN )のみを供試体Tの剪断変位量が急増するまで徐々に低下させて行く。そして、剪断変位量が急増したときの垂直応力σN0F と剪断応力τ0 との組み合せ(σN0F 、τ0 )を求める。このときの供試体Tの応力状態は図5のA’点に相当する。この後、直ちに剪断荷重を除荷して剪断応力をゼロにする。これは図5の点A”に相当する。
(B3)上記のB2のステップを、垂直応力レベルを少しずつ低下させて複数の垂直応力レベル(σN0>σN1>σN2>σN3…)で反復して行う。またその際に各々の垂直応力(σNi)に対応して設定する剪断応力(τi )は、τi =τ0 ・(σNi/σN0)の式によって定める。
そして、それら複数の垂直応力レベルの夫々において供試体Tの剪断変位量が急増したときの応力の組み合わせ(σNiF 、τi )を求める(剪断変位量が急増を始めたら剪断荷重を除荷して、完全な破壊まで剪断しない逆段階載荷試験を行う)。
供試体Tのそれら試験における応力状態は、図5においてはB→B’→B”、C→C’→C”、D→D’→D”…などで表される。
(B4)前述の複数の垂直応力レベルにおける垂直応力と剪断応力との組み合わせ(σNiF 、τi )を、剪断応力〜垂直応力関係としてプロットし、それを直線近似して得たFUL線(図5)の切片から粘着力(CUL)を、またその傾きから内部摩擦角(φUL)求める。
(B5)以上の試験を数箇所の岩盤で実施し、その平均値やそのバラツキ範囲を求めるなどして、応力解放を受けた岩盤の剪断強度を求める。
【0015】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明にかかる原位置岩盤剪断強度試験装置及び方法によれば、原位置に切り出した岩盤の供試体に垂直荷重及び剪断荷重を載荷して強度試験を行うため、乱さない状態での試料採取が困難な、例えばクラック等の弱面がかなりの密度で分布している岩盤の剪断強度試験も何ら問題なく行うことができる。
また、供試体に載荷する垂直荷重及び剪断荷重を調節することでその岩盤の掘削前の初期応力状態から掘削後の応力解放を受けた後の状態までも再現することができるため、例えばトンネルや地下発電所などの地下空洞を掘削する場合において、掘削工事によって応力解放を受ける岩盤の掘削工事後の剪断強度を正確に求めることができる。
また特に、供試体に載荷する剪断荷重をエアジャッキのプレッシャバッグで発生させるようにしているため、垂直応力を除荷して行くときに供試体の剪断変位が急増してもそれに追随して一定の剪断応力を加えることができる。
また、供試体に載荷する垂直荷重をエアジャッキのプレッシャバッグで発生させるようにしているため、垂直荷重を正確且つ簡単に制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる原位置岩盤剪断強度試験装置の全体を示す断面図である。
【図2】原位置岩盤剪断強度試験装置による試験を行うために岩盤から供試体を切り出した状態を示す斜視図である。
【図3】図2の3−3線に沿った断面図である。
【図4】AないしCは、図3と同様の断面図であり、原位置岩盤剪断強度試験装置をセッティングする手順を示した図である。
【図5】本発明にかかる原位置岩盤剪断強度試験方法を説明するための応力状態図である。
【符号の説明】
10 原位置岩盤剪断強度試験
12 剪断リング
16 垂直荷重載荷機構
18 剪断荷重載荷機構
32 プレッシャバッグ
46 プレッシャバッグ
60 垂直変位計
62 剪断変位計
Claims (2)
- 試験対象岩盤において周囲を掘削することで原位置に切り出した供試体を囲繞する剪断リングと、
前記剪断リングに囲繞された前記供試体に大きさが調節可能な垂直荷重を載荷するための垂直荷重載荷機構と、
前記剪断リングに大きさが調節可能な水平荷重を載荷することにより前記供試体に大きさが調節可能な剪断荷重を載荷するための剪断荷重載荷機構と、
垂直荷重の載荷に伴う前記供試体の垂直変位量を測定する垂直変位計と、
剪断荷重の載荷に伴う前記供試体の剪断変位量を測定する剪断変位計とを備え、
前記垂直荷重載荷機構は、前記供試体に載荷する垂直荷重を発生させるプレッシャバッグを備えたエアジャッキと、前記岩盤に固設されて該エアジャッキの反力を担持する反力担持構造体とを含んでおり、
前記剪断荷重載荷機構は、前記供試体に載荷する剪断荷重を発生させるプレッシャバッグを備えたエアジャッキと、前記岩盤に固設されて該エアジャッキの反力を担持する反力担持構造体とを含んでいる、
ことを特徴とする原位置岩盤剪断強度試験装置。 - (a)試験対象岩盤において周囲を掘削することで原位置に切り出した供試体を剪断リングで囲繞するステップと、
(b)前記剪断リングに囲繞された前記供試体にエアジャッキのプレッシャバッグで発生させた垂直荷重を載荷することで、該供試体に垂直応力を加えるステップと、
(c)前記剪断リングにエアジャッキのプレッシャバッグで発生させた水平荷重を載荷して前記供試体に剪断荷重を載荷することで、該供試体に剪断応力を加えるステップと、
(d)前記剪断応力を一定に保ったまま前記垂直応力を徐々に低下させて行き、前記供試体の剪断変位量が急増したときの垂直応力と剪断応力との組み合わせを求めるステップと、
(e)前記ステップb、c、及びdを複数の垂直応力レベルで反復して行い、それら複数の垂直応力レベルの夫々において前記供試体の剪断変位量が急増したときの垂直応力と剪断応力との組み合わせを求めるステップと、
(f)前記複数の垂直応力レベルの夫々で求めた垂直応力と剪断応力との組み合わせをプロットし、それを直線近似したときの切片から粘着力を、またその傾きから内部摩擦角を求めるステップと、
を備えることを特徴とする原位置岩盤剪断強度試験方法。
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