JP3865187B2 - 置換フェニルエチレン前駆体およびその合成方法 - Google Patents

置換フェニルエチレン前駆体およびその合成方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般に、集積回路プロセスおよび製造に関する。特に、本発明は、液相安定性を改善し、高い堆積速度、低い抵抗率、および選択された集積回路表面への良好な接着性で、銅を堆積させることが可能なα−メチルスチレンなどの置換フェニルエチレンリガンドを有する前駆体および合成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
小型化が進み、安価で、かつより強力な電子製品に対する需要は、より大きな基板上でのより小さな形状の集積回路(IC)に対する必要性を次々と喚起している。このような需要はまた、回路をIC基板上により高い密度でパッケージすることへの需要を生み出している。より小さな形状のIC回路への要望は、構成要素と誘電体層との間の相互接続ができるだけ小さくなることを必要とする。従って、バイア相互接続部および接続線の幅を減少させるように研究が続けられている。相互接続部の導電性は、相互接続表面の面積が減少するにつれて減少し、その結果発生する相互接続部の抵抗率の増加はIC設計の障害となっている。高い抵抗率を有する導電体は、高いインピーダンスおよび大きな伝搬遅延を有する導電路を形成する。これらの問題は、信頼性のない信号タイミング、信頼性のない電圧レベル、およびICにおける構成要素間の長い信号遅延を引き起こす。伝搬の不連続性はまた、良好に接続されていない交差導電表面、または大幅に異なるインピーダンス特性を有する導電体の接続からも生じる。
【0003】
相互接続部およびバイアが共に低い抵抗率を有し、揮発成分のプロセス環境に耐える能力を有する必要がある。アルミニウムおよびタングステン金属は、電気的に活性な領域間での相互接続またはバイアを形成するため、集積回路の製造においてしばしば用いられる。これらの金属は一般に普及しており、なぜなら、特別な取り扱いを必要とする銅とは異なって、製造環境おける使用が簡単なためである。
【0004】
銅(Cu)は、電気回路における配線およびバイアのサイズを減少させることを目的にアルミニウムの代わりに用いるものとしては、自然な選択のようである。銅の導電率は、アルミニウムの約2倍であり、タングステンの3倍以上である。この結果、同じ電流を、アルミニウム配線のほぼ半分の幅の銅配線で流すことが可能である。
【0005】
銅の電子移動特性はまた、アルミニウムの電子移動特性よりもはるかに優れている。アルミニウムは、電子移動に起因して、銅よりも約10倍、劣化および破損しやすい。この結果、銅配線は、アルミニウム配線よりもはるかに小さな断面を有していても、電気的完全性をより良好に維持することができる。
【0006】
しかし、IC処理における銅の使用にも問題がある。銅は、ICプロセスにおいて用いられる多くの材料を汚染するので、通常、銅が移動するのを防止するためにバリアが立てられる。これらの半導体領域に移動する銅の元素は、関連するトランジスタの導電特性を著しく変更し得る。銅の使用に伴う別の問題は、銅をIC表面に堆積させるか、またはIC表面から除去するためには比較的高い温度が必要なことである。これらの高い温度は、関連のIC構造およびフォトレジストマスクを損傷し得る。
【0007】
選択されたIC特徴の形状が小さい場合、アルミニウムを堆積させる従来のプロセスを用いて、基板上またはバイアホール内に銅を堆積させることも問題である。即ち、IC中間層誘電体の配線および相互接続部において、アルミニウムの代わりに銅を用いる新しい堆積プロセスが開発されている。金属(アルミニウムまたは銅)をスパッタリングし、小さな直径のバイアを充填することは実用的ではない。なぜなら、ギャップ充填能力が良好でないためである。銅を堆積するために、まず、物理蒸着(PVD)、次いで、化学蒸着(CVD)技術が産業上開発された。
【0008】
PVD技術に関しては、IC表面は銅蒸気に曝され、銅は表面上で凝縮される。この技術は、表面に対して選択的ではない。銅が金属表面に堆積される場合、隣接する非導電性表面は、マスクされるかまたは引き続くプロセスの工程においてエッチング洗浄されなければならない。上述したように、フォトレジストマスクおよび他のいくらかの隣接するIC構造は、銅が処理される高温では損傷され得る。CVD技術は、どの表面に銅が堆積されるかについてより選択的であることから、PVD技術を改善したものと言える。CVD技術が選択的であるのは、金属表面への銅の堆積が、金属表面と銅蒸気との間の化学反応に依存するように設計されているからである。
【0009】
典型的なCVDプロセスにおいて、銅はリガンドまたは有機化合物と組み合せられ、銅化合物が揮発性となり、最終的には一定の温度で分解することを確実にすることを助ける。即ち、銅は、蒸発して気体になり、その後、その気体が分解すると固体として堆積される化合物内の元素となる。拡散バリア材料などの集積回路の選択された表面は、高い温度環境において銅気体または前駆体に曝される。銅気体化合物が分解すると、銅は選択された表面上に残される。CVDプロセスで用いるためにいくつかの銅気体化合物が利用可能である。銅気体化合物の構成が、少なくとも部分的に、選択された表面に堆積される銅の能力に影響を与えると一般に考えられている。
【0010】
銅金属薄膜は、多くの異なる種類の銅前駆体を用いることによって、化学蒸着により調製されている。1990年、D.B.Beachら、Chem.Mater.(2)216(1990)は、(η5−C55)Cu(PMe3)を用いてCVDにより純粋な銅膜を得、その後、1992年、H.K.Shinら、Chem.Mater.(4)788(1992)は、(hfac)Cu(PR3n(R=メチルおよびエチルならびにn=1および2)を用いて同じ結果を発表した。しかし、これらの銅前駆体は固体であり、銅薄膜CVD処理のための液体送達システムにおいては使用できない。更に、銅膜には、しばしば、マイクロプロセッサにおける相互接続部としては使用できない炭素および燐の不純物が混入する。
【0011】
Cu2+(hfac)2または銅(II)ヘキサフルオロアセチルアセトネート前駆体は、以前から、CVDにより銅をIC基板および表面に付与するために用いられてきた。しかし、これらのCu2+前駆体は、堆積された銅内に不純物を残すことが知られており、また、この前駆体を銅に分解するためには比較的高い温度が用いられなければならないことも知られている。
【0012】
1990年代初頭に行われた銅前駆体の研究は、一連のフッ化銅(I)βジケトネート錯体の評価に集中しており、フッ化銅(I)βジケトネート錯体は、銅金属薄膜の化学蒸着において使用される非常に有望な原料であることが証明されていた。フッ化銅(I)βジケトネート錯体は、まず、Gerald Doyleの米国特許第4,385,005号(1983年)および第4,425,281号(1984年)によって合成され、これらの特許において、Gerald Doyleは、合成方法および不飽和有機炭化水素の分離におけるその応用を提示した。米国特許第5,096,737号(1992年)、Thomas H.Baumらは、これらのフッ化銅(I)βジケトネート錯体を銅前駆体としてCVDによる銅薄膜の調製に応用する特許請求を行った。銅薄膜は、これらの前駆体を用いて化学蒸着によって調製されている。
【0013】
いくつかの液体銅前駆体のうち、1,6−ジメチル1,5−シクロオクタジエン銅(I)ヘキサフルオロアセチルアセトネート((DMCOD)Cu(hfac))およびヘキシン銅(I)ヘキサフルオロアセチルアセトネート((HYN)Cu(hfac))と混合された1,5−ジメチル1,5−シクロオクタジエン銅(I)ヘキサフルオロアセチルアセトネートは、詳細に評価された。(DMCOD)Cu(hfac)を用いて堆積された銅薄膜は、金属または金属窒化物基板に対して非常に良好な接着性を有するが、高い抵抗率(2.5μΩ・cm)および低い堆積速度を有する。(HYN)Cu(hfac)銅膜は、TiN基板に対して接着性が乏しく、高い抵抗率(約2.1μΩ・cm)を有する。他の化合物、ブチン銅(I)(hfac)((BUY)Cu(hfac))は、低い抵抗率(1.93μΩ・cm)を有する銅膜を与えるが、接着性に乏しく、比較的高価である。また、化合物は固体であるため、液体送達システムにおいて用いるのが困難である。一連のトリアルキルビニルシランを用いて安定化させた銅(I)(hfac)の発明(John A.T.Normanら、米国特許第5,085,731号(1992年))は、銅薄膜の特性を改善した。
【0014】
液体銅前駆体(hfac)Cu(TMVS)(ここで、TMVSはトリメチルビニルシランである)を用いて堆積された銅膜は低い抵抗率を有し、基板に対して適度の接着性を有する。この前駆体は、比較的低い温度、約200℃、で用いられ得るため有用である。この液体銅前駆体は、しばらくの間、CVDによる銅金属薄膜の調製のために使用されているが、依然としてトリメチルビニルシラン安定化剤としては、安定性、銅膜の接着性およびコストといったいくつかの欠点がある。また、前駆体は特に安定しておらず、冷蔵されていない場合貯蔵寿命が比較的短くなり得る。接着性、温度安定性、およびIC表面に堆積され得る速度を向上させるために、様々な成分が(hfac)Cu(tmvs)に加えられている。Nguyenらによって発明された「Method Of Using Water To Increase The Conductivity Of Copper Deposited With Cu(HFAC)TMVS」という名称の米国特許第5,744,192号は、前駆体および(hfac)Cu(tmvs)で堆積されたCuの電気導電率を向上させる方法を開示している。
【0015】
(hfac)Cu(tmvs)は35℃を上回ると不安定になり、分解し始めることが産業上一般に認識されている。この温度で保管された(hfac)Cu(tmvs)前駆体を使用すると、望ましくないプロセス結果を生じる。35℃未満の温度で保管された(hfac)Cu(tmvs)の効果もまた予測できない。「新鮮な」前駆体のバッチ、または室温より十分に低い温度で保管された前駆体は、予想可能なプロセスを保証するために使用される。
【0016】
メトキシのリガンドおよびメチル基を含むCu前駆体は、Senzakiらによって発明され、本特許と同じ譲受人に譲渡された、「Precursor with (Methoxy)(methyl)silylolefin Ligands to Deposit Cu and Method for Same」という名称の1997年1月7日に出願された同時係属出願第08/779,640号に開示されている。開示された前駆体は、1つまたは2つのメトキシ基がリガンドのシリコン原子に結合することを可能にする。即ち、前駆体は、メトキシ基をtmvsより多く有するが、tmovsよりも少なく提供されるリガンドを用いて「微調整(fine tuned)」され得る。メトキシ基内の酸素原子は、電子をCu原子に与え、Cu−オレフィン結合を強め、前駆体が保管されているときか、またはCuをIC表面に付与するために前駆体が加熱されているときの、前駆体の早発の分解を防止する。しかし、1つの炭素原子の炭化水素基、CH3(メチル)およびOCH3(メトキシ)のみが開示されている。
【0017】
アルキルのリガンドおよびアルキル基を含むCu前駆体は、Senzakiらによって発明された「Precursor with(Alkyloxy)(Alkyl)silylolefin Ligands to Deposit Copper」という名称の米国特許第5,767,301号に開示されている。開示されている前駆体は、アルコキシル基を有するリガンドのシリコン原子に結合されたアルキル基を表している。しかし、探究は、更に効果的な銅前駆体を求めて続けられている。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
本発明が解決しようとする課題は、低い抵抗率および良好な接着性で銅を効果的に堆積させる銅前駆体を提供することであり、他の課題は、安価に合成される前駆体を提供することである。
【0019】
更に他の目的は、より広範囲の温度にわたってCu(hfac)前駆体を安定にし、前駆体を保管中に液相のまま維持する方法を提供することである。
【0020】
更に他の目的は、Cu前駆体の熱安定性を向上させるために、水、H−hfac、H−hfac二水和物(H−hfac・2H2O)をCu前駆体と混合させる必要をなくすことである。
【0021】
【課題を解決するための手段】
選択された表面に銅(Cu)を化学蒸着(CVD)により堆積するための揮発性の銅(Cu)前駆体であって、該前駆体は、
Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)と、
以下の式を有する置換フェニルエチレンリガンドであって、
(C65)(R1)C=C(R2)(R3
ここで、Rが、C1〜C6アルキルからなる第1の群から選択され、RおよびRが、H、および1〜C6アルキルからなる群から選択される、置換フェニルエチレンリガンドが配位結合しているCu前駆体が提供される。
【0022】
前記Cu前駆体化合物において、R および が、互いに独立して変化してもよい。
【0023】
前記Cu前駆体化合物において、R がH3Cであり、 がHであり、且つ がHであってもよい。
【0024】
また、銅(Cu)前駆体混合物であって、上記Cu前駆体と、該前駆体の重量比による測定で約10%未満の置換フェニルエチレンを含む、混合物が提供される。
【0025】
選択された表面に銅(Cu)を化学蒸着(CVD)により堆積するための揮発性のCu前駆体であって、該前駆体は、以下の構造式を有し、
(hfac)Cu(C65)(R1)C=C(R2)(R3
ここで、R1は、C1〜C6アルキルからなる群から選択され、R2は、H、および1〜C6アルキルからなる群から選択され、R3は、H、および1〜C6アルキルからなる群から選択される、揮発性Cu前駆体が提供される。
【0026】
前記Cu前駆体において、R1がH3Cであり、R2がHであり、R3がHであってもよい。
【0027】
前記Cu前駆体と、前記置換フェニルエチレンを含む混合物が提供される。ここで、該置換フェニルエチレンが、以下の構造式を有し、
(C65)(R1)C=C(R2)(R3
ここで、R1は、C1〜C6アルキルからなる群から選択され、R2は、H、および1〜C6アルキルからなる群から選択され、R3は、H、および1〜C6アルキルからなる群から選択され、それにより該前駆体は液相において更に安定化されてもよい。
【0028】
前記Cu前駆体混合物において、前記置換フェニルエチレンが、前記前駆体混合物の約10重量%未満であってもよい。
【0029】
前記Cu前駆体を形成するために選択される前記置換フェニルエチレンリガンドが、前記Cu前駆体混合物に用いられる置換フェニルエチレンリガンドと同一であってもよい。
【0030】
銅(hfac)置換フェニルエチレン前駆体を合成する方法であって、a)溶媒中にCu2Oが均一に混合された溶液を形成する工程と、b)該工程a)の該溶液に置換フェニルエチレンを導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、c)該工程b)の該溶液にヘキサフルオロアセチルアセトン(hfac)を導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、d)固体材料を除去するために該溶液を濾過し、それにより任意の過剰なCu2Oを除去する工程と、e)該溶液から該溶媒を分離する工程と、f)該溶液中の結晶が全て溶解するまで撹拌する工程と、g)結晶が形成されるまで該溶液を放置する工程と、h)該固体材料を除去するために溶液を濾過し、それにより液相を形成する工程とを包含する方法が提供される。
【0031】
前記工程b)において、前記置換フェニルエチレンがα−メチルスチレンであってもよい。
【0032】
前記工程a)において、前記Cu2Oが割合で0.210モル、前記工程b)において、前記置換フェニルエチレンが割合で0.292モル、前記工程c)において、前記hfacが割合で0.292モルであってもよい。
【0033】
前記工程d)が、約10ミクロンより大きい固体材料を除去することを含んでもよい。
【0034】
前記工程d)が、前記溶液を濾過するためにセライトを使用することを含んでもよい。
【0035】
前記工程a)が、ジクロロメタンおよびテトラヒドロフラン(THF)を含む群から選択される溶媒を使用することを含んでもよい。
【0036】
前記工程g)において、寸法が2ミリから4ミリの範囲の結晶が形成されるまで、前記溶液が放置されてもよい。
【0037】
前記工程h)が、寸法が約1ミクロンより大きい固体材料を濾過することを含んでもよい。
【0038】
前記工程h)に引き続き、
i) 前記工程b)で用いた約10重量%未満の前記置換フェニルエチレンを前記溶液に添加し、それにより前記前駆体の前記液相安定性を改善する工程、を更に含んでもよい。
【0039】
前記工程i)が、約5%の置換フェニルエチレンを添加することを含んでもよい。
【0040】
銅(hfac)α−メチルスチレン前駆体を合成する方法であって、a)Cu2Oおよび溶媒が均一に混合された溶液を形成する工程と、b)該工程a)の該溶液にα−メチルスチレンを導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、c)該工程b)の該溶液にヘキサフルオロアセチルアセトンを導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、d)該溶液中の固体材料を除去するために該溶液を濾過し、それにより任意の過剰なCu2Oを除去する工程と、e)該溶液から該溶媒を分離する工程と、f)固体材料および結晶化した化合物を除去するために該溶液を濾過し、それにより液相安定前駆体を形成する工程とを包含する方法が提供される。
【0041】
前記工程a)において、前記Cu2Oが割合で0.91モル、前記工程b)において、前記α−メチルスチレンが割合で0.142モル、前記工程c)において、前記hfacが割合で0.136モルであってもよい。
【0042】
前記工程d)が、寸法が約10ミクロンより大きい固体を濾過することを含んでもよい。
【0043】
前記工程d)が、前記溶液の濾過を行うためにセライトを使用することを含んでもよい。
【0044】
前記工程f)が、寸法が約1ミクロンより大きい固体材料および結晶化した化合物を除去することを含んでもよい。
【0045】
前記工程d)に引き続き、且つ前記工程f)以前に、e1)前記溶液からの前記溶媒の分離を促進するために、約35℃で該溶液を加熱する工程を更に含んでもよい。
【0046】
前記工程a)が、ジクロロメタンおよびテトラヒドロフラン(THF)を含む前記群から選択される溶媒の使用を含んでもよい。
また、選択された表面に銅(Cu)を化学蒸着(CVD)により堆積させる方法において、上記いずれかの銅(Cu)前駆体が使用されてもよい。
さらに、選択された表面に銅(Cu)を化学蒸着(CVD)により堆積させる方法において、上記いずれかの銅(Cu)前駆体混合物が使用されてもよい。
【0047】
選択された表面に銅(Cu)を化学蒸着(CVD)により堆積させるための、揮発性の銅(Cu)前駆体化合物が提供される。前駆体化合物は、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)と、第1の炭素原子に結合される1つのフェニル基を含む置換フェニルエチレンリガンドとを含む。第1の炭素原子への残りの結合は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、 6 フェニル、およびC1〜C6アルコキシルを含む第1の群から選択され、第2の炭素原子は第2結合および第3結合を含む。上記第2結合および第3結合は、互いに独立して、H、C1〜C6アルキル、 6 フェニル、およびC1〜C6アルコキシルを含む群から選択される。それにより、高いCu堆積速度を可能にする安定した前駆体が形成される。
【0048】
好適には、第1結合はH3C、第2結合はH、且つ第3結合はHであり、それによりα−メチルスチレンリガンドが形成される。前駆体の液相安定性を更に強化するために、化合物は、前駆体混合物を形成するための添加物を含む。前駆体混合物は更に、安定した液相前駆体を容易にするために、該前駆体化合物の重量比による測定で約10%未満の置換フェニルエチレンを含む。前駆体化合物を形成するために用いられたものと同一の置換フェニルエチレンリガンドが、添加物として用いられる。
【0049】
銅(hfac)置換フェニルエチレン前駆体の合成する方法も、提供される。その方法は、
a)溶媒中にCu2Oが均一に混合された溶液を形成する工程と、
b)工程a)の溶液に置換フェニルエチレン、好ましくはα−メチルスチレン、を導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、
c)工程b)の溶液にヘキサフルオロアセチルアセトン(hfac)を導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、
d)固体材料の除去のために溶液を濾過し、それにより任意の過剰なCu2Oを除去する工程と、
e)溶液から溶媒を取り除く工程と、
f)溶液中の結晶前駆体が全て溶解するまで撹拌する工程と、
g)固体材料が沈澱するまで溶液を放置する工程と、
h)固体材料の除去のために溶液を濾過する工程とを包含し、それにより液相前駆体が形成される。
【0050】
特に、工程a)において、Cu2Oは割合で0.210モル、工程b)において、置換フェニルエチレンは割合で0.292モル、工程c)において、hfacは割合で0.292モルである。
【0051】
改善された液相安定性を確実にするために、その方法は、工程h)の後に、
i)工程b)で用いた約10重量%未満の置換フェニルエチレンを溶液に添加する工程を更に含む。好適には、工程i)は約5%の置換フェニルエチレンを添加する工程を含む。
【0052】
αーメチルスチレンリガンド前駆体の合成に特徴的な、第2の好適な合成方法が提供され、その方法は、
a)Cu2Oおよび溶媒が均一に混合された溶液を形成する工程と、
b)工程a)の溶液にα−メチルスチレンを導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、
c)工程b)の溶液にヘキサフルオロアセチルアセトンを導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、
d)溶液中の固体材料の除去のために溶液を濾過し、それにより任意の過剰なCu2Oを除去する工程と、
e)溶液から溶媒を分離する工程と、
f)固体材料および結晶化した化合物を除去するために溶液を濾過する工程とを包含し、それにより、液相安定前駆体が形成される。
【0053】
特に、工程a)において、Cu2Oは割合で0.91モル、工程b)において、α−メチルスチレンは割合で0.142モル、工程c)において、hfacは割合で0.136モルである。
【0054】
【発明の実施の形態】
本発明は、本願と同じ発明者による「Improved Copper Precursor and Synthesis Method」という名称の1998年11月10日に出願された仮出願第60/107,892号の利益の享受を求める。
【0055】
以下に説明される置換フェニルエチレンリガンド銅前駆体の合成は、安価である。トリメチルビニルシランの合成は100gあたり約$165を要し、それと比較して、α−メチルスチレンの合成は100gあたり約$0.60と、安価である。前駆体は室温において安定しており、貯蔵および取り扱いが容易である。室温において液相を維持するにもかかわらず、高温域では、非常に揮発性である。したがって、CVD液体送達ラインおよび気化器においては分解が全く起こらない。前駆体は、真空下90℃で、4分間安定である必要がある。更に、この前駆体は、金属、ならびに、W、Ti、TiN、Ta、TaN、Al、Pt、WNおよび類似のバリヤ材料などの金属窒化物基板への良好な接着性を有する。前駆体で堆積される銅は低抵抗率(<1.9μΩ・cm)、高い電子移動抵抗、および苛酷な表面形態への優れた適合性を有する。
【0056】
図1は、置換フェニルエチレンリガンドを備える本発明の前駆体の模式図である。揮発性銅(Cu)前駆体化合物10が、選択された表面へ銅(Cu)を化学蒸着(CVD)により堆積させるために用いられる。前駆体化合物10は、Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)および置換フェニルエチレンリガンドを含む。
【0057】
図2は、置換フェニルエチレンリガンド20の模式図である。置換フェニルエチレンリガンド20は、第1の炭素原子に結合される1つのフェニル基を含む。第1の炭素原子への残りの結合は、R1で表される、結合され得る分子の第1の群から選択される。R1の群は、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、 6 フェニル、C1〜C6アルコキシルを含む。第2の炭素原子は、R2およびR3で示される、第2および第3の分子群からそれぞれ選択される第2および第3結合を含む。第2および第3結合、R2およびR3は、H、C1〜C6アルキル、 6 フェニル、およびC1〜C6アルコキシルを含む群から選択される。第2および第3結合(R2およびR3)は、互いに独立して変化する。この方法で、高いCu堆積速度を可能にする、安定した前駆体が形成される。
【0058】
図3は、好適な実施態様でのα−メチルスチレンリガンド30の模式図である。第1結合(R1)はH3C、第2結合(R2)はH、および第3結合(R3)はHであり、それにより、α−メチルスチレンリガンドが形成される。
【0059】
安定した液相前駆体を改善および促進するために、本発明のいくつかの局面において、化合物10は添加物を含み、前駆体混合物を形成する。前駆体混合物は、更に、前駆体化合物の重量比による測定で、約10%未満の置換フェニルエチレン20(図2参照)を含む。
【0060】
揮発性銅(Cu)前駆体化合物10は、以下の構造式によって代替的に表される。
【0061】
(hfac)Cu(C65)(R1)C=C(R2)(R3
ここで、R1はC1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、 6 フェニル、C1〜C6アルコキシルを含む群から選択され、R2はH、C1〜C6アルキル、 6 フェニル、およびC1〜C6アルコキシルを含む群から選択され、且つ、R3はH、C1〜C6アルキル、 6 フェニル、およびC1〜C6アルコキシルを含む群から選択され、それにより、前駆体が置換フェニルエチレンリガンドから形成される。
【0062】
1がH3Cであり、R2がHであり、R3がHであることが好ましく、それによりα−メチルスチレンリガンドが形成される。
【0063】
本発明のいくつかの局面において、化合物は添加物を含み、Cu前駆体混合物を形成する。置換フェニルエチレンを更に含む混合物は、以下の構造式を有する。
【0064】
(C65)(R1)C=C(R2)(R3
ここで、R1はC1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、 6 フェニル、C1〜C6アルコキシルを含む群から選択され、R2はH、C1〜C6アルキル、 6 フェニル、およびC1〜C6アルコキシルを含む群から選択され、且つ、R3はH、C1〜C6アルキル、 6 フェニル、およびC1〜C6アルコキシルを含む群から選択され、それにより、前駆体が液相において更に安定化される。
【0065】
典型的には、添加物は、前駆体混合物の約10重量%未満である。前駆体を形成するために選択される置換フェニルエチレンリガンドは、前駆体混合物を形成するための添加物として用いられる置換フェニルエチレンリガンドと同一のものである。すなわち、前駆体がα−メチルスチレンリガンドを用いる場合、添加物もまたα−メチルスチレンである。
【0066】
上述の銅前駆体は2つの異なる方法によって合成される。従来(Doyle)の合成手法では、満足のゆく結果が得られなかった。ジクロロメタン中でα−メチルスチレン銅(I)ヘキサフルオロアセチルアセトネート((α−MS)Cu(hfac))を形成する際の、Cu2O,1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンとα−メチルスチレンとの間の反応により、半液体状、半結晶固体状の物質が生成される。固体部分は、気化プロセスにおいて送達するには不適当であり、取り除く必要がある。更に、分離された液体部分においては、時間の経過とともに、室温で、小さな結晶が連続的に沈澱される。この状態を改善するために、公表されている合成経路を改変して、2つの新たな合成方法を作成した。
【0067】
まず、公表されている方法から合成された生成物を、全ての小結晶が消失するまで、10時間、室温にて強く撹拌した。次いで、液体生成物を12時間放置した。この間に、大きな結晶が形成された。濾過(細孔径1μm)することで、液体部分から大結晶を分離し、次いで、安定化剤として5%(w/w)α−メチルスチレンが液体部分に加えられた。この方法を用いることで、優れた相安定性を有する銅液体前駆体が得られるが、その収率は高くなく、約40%である。1カ月放置された後、安定した液体原料において、結晶沈澱物は全く観測されなかった。
【0068】
図4は、銅(hfac)置換フェニルエチレン前駆体の合成方法における工程を示したフローチャートである。工程100ではCu2Oが提供される。工程102では、溶媒中に均一に混合されたCu2O溶液が形成される。工程102では、ジクロロメタンおよびテトラヒドロフラン(THF)を含む群から選択される溶媒を用いるられるが、ジクロロメタンを用いることが好ましい。工程104では、置換フェニルエチレンが工程102の溶液に導入され、均一に混合した溶液が形成される。好適な実施態様において、工程104では、α−メチルスチレンが置換フェニルエチレンとして含まれる。工程106では、ヘキサフルオロアセチルアセトン(hfac)が工程104の溶液に導入され、均一に混合された溶液が形成される。
【0069】
工程108では、固体材料を除去するために、溶液が濾過される。それにより、全ての過剰なCu2Oが除去される。典型的には、過剰なCu2Oが手法に加えられる。Cu2Oは安価であり、過剰の分量を加えることによって、手法におけるより高い収率が得られる。プロセスのこの工程において、不純物などの他の固体物質が除去される。本発明のいくつかの局面において、溶液を濾過するためにセライト(SiO2)が用いられる。セライトは、しばしば、10ミクロンから25ミクロンの範囲の孔径を有するセラミックフィルタに加えて、用いられる。したがって、工程108では、約10ミクロンより大きい固体材料が除去される。
【0070】
工程110では、溶液から溶媒が除去される。工程112では、溶液中の全ての結晶前駆体が溶解するまで、残余溶液を撹拌する。比較的小さいバッチについてさえ、この撹拌は達成するまで10時間かかり得る。工程114では、結晶が形成されるまで溶液が放置される。本発明のいくつかの局面において、工程114では、2ミリから4ミリの範囲の寸法を有する結晶が形成されるまで、溶液が放置される。本発明のいくつかの局面において、この工程は約12時間かかる。工程116では、固体材料を除去するために溶液が濾過される。工程116では、約1ミクロンより大きい寸法の固体材料が濾過される。小さいバッチで、シリンジ開口部に備えられる1ミクロン径のフィルタが、溶液を抽出するために用いられる。工程118では、生成物である液相前駆体が得られる。
【0071】
本発明のいくつかの局面において、工程a)は割合で0.210モルのCu2Oを含み、工程b)は割合で0.292モルの置換フェニルエチレンを含み、工程c)は割合で0.292モルのhfacを含む。上述の割合を維持することによって、前駆体が任意のバッチ分形成される。
【0072】
本発明のいくつかの局面において、更なる工程が工程116に続いて行われる。工程116a(図示せず)では、工程104で用いられる置換フェニルエチレンが、約10重量%未満で溶液に加えられ、それにより、前駆体の液相安定性が改善される。工程116aにおいて約5%の置換フェニルエチレンが添加されることが好ましい。
【0073】
収率を改善するために第2の合成方法が開発され、その中で、更なるα−メチルスチレンが反応中に導入された。この方法によって、収率が約87%に増加した。
【0074】
全ての操作は、空気を含まない乾燥したグローブボックスにおいて実施されるか、標準的なシュレンク(Schlenk)技術を用いて実施された。溶媒を合成前に精製した。ジクロロメタンおよびα−メチルスチレンは、使用の前に、窒素雰囲気下で環流され、水酸化カルシウム上で蒸留された。1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンはStremから購入され、精製せずに直接用いられた。
【0075】
有機金属銅(I)錯体の合成手法は、米国特許第4,385,005号においてDoyleにより最初に記載された。その特許では、一酸化銅が、ジクロロメタンまたはTHFにおいて、不飽和有機炭化水素および1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトンと反応された。その反応は、以下の式によって表される。
【0076】
【式1】
Figure 0003865187
ここで、Lは、不飽和有機炭化水素リガンドである。
【0077】
上記の合成手法によれば、(α−MS)Cu(hfac)の合成から、液相および結晶固体相の双方を含む生成物が得られる。濾過により、液体部分が固体部分より容易に分離された。12時間後、いくらかの小さな結晶が液体部分から沈澱した。NMRによる研究から、化合物の液体部分がCu(hfac)(α−MS)であることが示され、それは予想通りであった。それに対して、固体は未知の化合物であり、依然、調査中である。液体化合物の収率を改善するためにDoyleの合成手法が改変され、反応中に、5〜10%の更なるα−メチルスチレン(α−MS)が導入された。この改変された合成手法によって、純粋な液体Cu(hfac)(α−MS)が高収率で得られた。
【0078】
Cu(hfac)(α−MS)の合成において、Cu2O(13.0g、0.091モル)はCH2Cl2(50ml)に添加され、撹拌棒を備える100mlの丸底フラスコに加えられた。このCu2Oジクロロメタン溶液にα−メチルスチレン(18.5ml、0.142モル)が加えられ、室温で10分間撹拌された。次いで、この赤色の溶液を撹拌しながら、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロアセチルアセトン(19.2ml、0.136モル)が溶液に徐々に導入された。5分後、溶液の色が徐々に緑色に変化した。緑色の溶液は、更に10分間連続的に撹拌され、次いで、セライトを通して濾過された。緑色の濾液は真空下で4時間抽出され、次いで、更に30分間真空下で35℃に加熱し、除去を行った。これにより、緑色の液体有機金属銅化合物が生成され、次いで、その化合物は、微細なフィルタ(1μm)を通して濾過され、生成物49.19gが得られた(収率:87.38%)。
【0079】
収率の算出は以下のように行われた。α−メチルスチレンの沸点は高いので、α−メチルエチレンは全く損失されなかったと仮定された。次いで、Xを生成物中の遊離α−メチルスチレンの重量、YをCu(hfac)(α−MS)の重量、およびAを生成物の全重量とした。結果として、以下の式が得られる。
【0080】
X+Y=A
Y=(388.73/118.18)×(18.5×0.909・X)
ここで、Cu(hfac)(α−MS)およびα−メチルスチレンの分子量はそれぞれ388.73および118.18であり、α−メチルスチレンの密度は0.909g/mlである。したがって、
Y=1.4368(A−18.5×0.909)(A=49.19の場合、Y=46.511)であり、収率=(Y/53.23)・100%=87.38%が得られる。
【0081】
Cu(hfac)(α−MS)の特質についての主な調査が以下のように要約できる。
1)密度は約1.3g/mlである。
2)安定化剤として、5%のα−メチルスチレンを更に加えることによって、Cu(hfac)(α−MS)は、室温において、結晶または固体が沈澱することなく安定し、化合物は、真空下(0.02mmHg)において75℃で3時間安定する。次いで、非常に緩やかに、銅金属の沈澱を伴って分解を開始し、真空下(0.02mmHg)において100℃で、5分後に分解を緩やかに開始する。
【0082】
3)Cu(hfac)(α−MS)はヘキサン中に非常に低密度に溶解する。ベンゼン中においては、化合物は非常に良好に溶解するが、数日後に、銅の沈澱を伴って緩やかに分解する。
【0083】
NMR構造分析がQE300MHzNMR機器で実行された。結果は次の通りである。1H NMR(C66)δ1.67(s,3,(C65)(CH3)C=CH2),3.68(s,1,(C65)(CH3)C=CH2),4.26(s,1,(C65)(CH3)C=CH2),5.97(s,1,(CF3)C(O)CHC(O)(CF3)),7.00(multi.(C65)(CH3)C=CH2),7.24(multi.(C65)(CH3)C=CH2)。
【0084】
図5は、銅(hfac)α−メチルスチレン前駆体の好適な合成方法を示すフローチャートである。工程150ではCu2Oが提供される。工程152では、Cu2Oおよび溶媒の均一に混合された溶液が形成される。工程152では、ジクロロメタンおよびテトラヒドロフラン(THF)からなる群から選択される溶媒が使用される。工程154では、工程152の溶液にα−メチルスチレンが導入され、均一に混合された溶液が形成される。工程156では、工程154の溶液にヘキサフルオロアセチルアセトンが導入され、均一に混合された溶液が形成される。工程158では、溶液中の固体材料を除去するために溶液が濾過され、それにより過剰のCu2Oが除去される。工程158では、約10ミクロンより大きい寸法の固体が濾過される。典型的には、工程158では、溶液の濾過を行うためにセライトが使用される。工程160では溶液から溶媒が除去される。工程162では、固体材料および結晶化した化合物を除去するために、溶液が濾過される。工程162では、約1ミクロンより大きい寸法の固体材料および結晶化した化合物が除去される。工程164では、生成物である液相安定前駆体が形成される。
【0085】
特に、工程152では、割合で0.91モルのCu2Oが含まれ、工程154では、割合で0.142モルのα−メチルスチレンが含まれ、工程156では、割合で0.136モルのhfacが含まれる。
【0086】
本発明のいくつかの局面において、工程158の後、且つ工程162の前に更なる工程が含まれる。工程160aでは、溶液が約35℃に加熱され、溶液からの溶媒の除去が促進される。
【0087】
置換フェニルエチレンリガンドを備える、銅(hfac)前駆体が提供された。置換フェニルエチレンリガンドは、C1〜C6アルキル、C1〜C6ハロアルキル、 6 フェニル、H、C1〜C6アルコキシルを含む群から選択される分子への結合を含む。1つの改変例、α−メチルスチレンリガンド前駆体は、低温においては安定し、高温においては十分に揮発性であることが証明された。この前駆体で堆積される銅は抵抗率が低く、高い接着性を有する。上述の前駆体の収率を高める合成方法が提供される。
【0088】
【発明の効果】
新規の、改善された銅前駆体、およびその銅前駆体の合成方法が以上に開示された。前駆体、特にα−メチルスチレンリガンド前駆体は低温において安定性を有し、高温においては、十分な揮発性を有する。前駆体で堆積される銅は抵抗率が低く、高い接着性を有する。最後に、その前駆体の製造は安価である。上述の前駆体を高収率で生成する合成方法が開示された。他の変更および実施態様を行うことは当業者には明らかとなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】置換フェニルエチレンリガンドを備える本発明の前駆体の模式図である。
【図2】置換フェニルエチレンリガンドの模式図である。
【図3】好適な実施態様でのα−メチルスチレンリガンドの模式図である。
【図4】銅(hfac)置換フェニルエチレン前駆体の合成方法における工程を示したフローチャートである。
【図5】銅(hfac)α−メチルスチレン前駆体の好適な合成方法を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 揮発性銅(Cu)前駆体化合物
20 置換フェニルエチレンリガンド
30 α−メチルスチレンリガンド

Claims (28)

  1. 選択された表面に銅(Cu)を化学蒸着(CVD)により堆積するための揮発性の銅(Cu)前駆体であって、該前駆体は
    Cu+1(ヘキサフルオロアセチルアセトネート)と、
    以下の式を有する置換フェニルエチレンリガンドであって、
    (C65)(R1)C=C(R2)(R3
    ここで、Rが、C1〜C6アルキルからなる第1の群から選択され、RおよびRが、H、およびC1〜C6アルキルからなる群から選択される、置換フェニルエチレンリガンドとが配位結合しているCu前駆体
  2. およびRが、互いに独立して変化する、請求項1に記載のCu前駆
  3. がH3Cであり、RがHであり、且つRがHである、請求項1に記載のCu前駆
  4. Cu前駆体混合物であって、請求項1に記載のCu前駆体と、該前駆体の重量比による測定で約10%未満の置換フェニルエチレンを含む、混合物。
  5. 選択された表面に銅(Cu)を化学蒸着(CVD)により堆積するための揮発性のCu前駆体であって、該前駆体は、以下の構造式を有し、
    (hfac)Cu(C65)(R1)C=C(R2)(R3
    ここで、R1は、C1〜C6アルキルからなる群から選択され、
    は、H、および1〜C6アルキルからなる群から選択され、
    は、H、および1〜C6アルキルからなる群から選択される、揮発性Cu前駆体
  6. 1がH3Cであり、R2がHであり、R3がHである、請求項5に記載のCu前駆
  7. Cu前駆体混合物であって、請求項5に記載のCu前駆体と、置換フェニルエチレンを含み、該置換フェニルエチレンが、以下の構造式を有し、
    (C65)(R1)C=C(R2)(R3
    ここで、R1は、C1〜C6アルキルからなる群から選択され、
    2は、H、および1〜C6アルキルからなる群から選択され、
    3は、H、および1〜C6アルキルからなる群から選択され、それにより該前駆体は液相において更に安定化される、Cu前駆体混合物。
  8. 前記置換フェニルエチレンが、前記前駆体混合物の約10重量%未満である、請求項7に記載のCu前駆体混合物。
  9. 前記Cu前駆体を形成するために選択される前記置換フェニルエチレンリガンドが、前記Cu前駆体混合物に用いられる置換フェニルエチレンリガンドと同一である、請求項7に記載のCu前駆体混合物。
  10. 銅(hfac)置換フェニルエチレン前駆体を合成する方法であって、
    a)溶媒中にCu2Oが均一に混合された溶液を形成する工程と、
    b)該工程a)の該溶液に置換フェニルエチレンを導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、
    c)該工程b)の該溶液にヘキサフルオロアセチルアセトン(hfac)を導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、
    d)固体材料を除去するために該溶液を濾過し、それにより任意の過剰なCu2Oを除去する工程と、
    e)該溶液から該溶媒を分離する工程と、
    f)該溶液中の結晶が全て溶解するまで撹拌する工程と、
    g)結晶が形成されるまで該溶液を放置する工程と、
    h)該固体材料を除去するために溶液を濾過し、それにより液相を形成する工程と、
    を包含する方法。
  11. 前記工程b)において、前記置換フェニルエチレンがα−メチルスチレンである、請求項10に記載の方法。
  12. 前記工程a)において、前記Cu2Oが割合で0.210モル、前記工程b)において、前記置換フェニルエチレンが割合で0.292モル、前記工程c)において、前記hfacが割合で0.292モルである、請求項10に記載の方法。
  13. 前記工程d)が、約10ミクロンより大きい固体材料を除去することを含む、請求項10に記載の方法。
  14. 前記工程d)が、前記溶液を濾過するためにセライトを使用することを含む、請求項13に記載の方法。
  15. 前記工程a)が、ジクロロメタンおよびテトラヒドロフラン(THF)を含む群から選択される溶媒を使用することを含む、請求項10に記載の方法。
  16. 前記工程g)において、寸法が2ミリから4ミリの範囲の結晶が形成されるまで、前記溶液が放置される、請求項10に記載の方法。
  17. 前記工程h)が、寸法が約1ミクロンより大きい固体材料を濾過することを含む、請求項10に記載の方法。
  18. 前記工程h)に引き続き、
    i) 前記工程b)で用いた約10重量%未満の前記置換フェニルエチレンを前記溶液に添加し、それにより前記前駆体の前記液相安定性を改善する工程、を更に含む、請求項10に記載の方法。
  19. 前記工程i)が、約5%の置換フェニルエチレンを添加することを含む、請求項18に記載の方法。
  20. 銅(hfac)α−メチルスチレン前駆体を合成する方法であって、
    a)Cu2Oおよび溶媒が均一に混合された溶液を形成する工程と、
    b)該工程a)の該溶液にα−メチルスチレンを導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、
    c)該工程b)の該溶液にヘキサフルオロアセチルアセトンを導入し、均一に混合された溶液を形成する工程と、
    d)該溶液中の固体材料を除去するために該溶液を濾過し、それにより任意の過剰なCu2Oを除去する工程と、
    e)該溶液から該溶媒を分離する工程と、
    f)固体材料および結晶化した化合物を除去するために該溶液を濾過し、それにより液相安定前駆体を形成する工程と
    を包含する方法。
  21. 前記工程a)において、前記Cu2Oが割合で0.91モル、前記工程b)において、前記α−メチルスチレンが割合で0.142モル、前記工程c)において、前記hfacが割合で0.136モルである、請求項20に記載の方法。
  22. 前記工程d)が、寸法が約10ミクロンより大きい固体を濾過することを含む、請求項20に記載の方法。
  23. 前記工程d)が、前記溶液の濾過を行うためにセライトを使用することを含む、請求項22に記載の方法。
  24. 前記工程f)が、寸法が約1ミクロンより大きい固体材料および結晶化した化合物を除去することを含む、請求項20に記載の方法。
  25. 前記工程d)に引き続き、且つ前記工程f)以前に、
    1) 前記溶液からの前記溶媒の分離を促進するために、約35℃で該溶液を加熱する工程を更に含む、請求項20に記載の方法。
  26. 前記工程a)が、ジクロロメタンおよびテトラヒドロフラン(THF)を含む前記群から選択される溶媒の使用を含む、請求項20に記載の方法。
  27. 選択された表面に銅(Cu)を化学蒸着(CVD)により堆積させる方法における、請求項1〜3、5、6のいずれか1項に記載の銅(Cu前駆体の使用。
  28. 選択された表面に銅(Cu)を化学蒸着(CVD)により堆積させる方法における、請求項4、7〜9のいずれか1項に記載の銅(Cu)前駆体混合物の使用。
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