JP3860724B2 - 構造物の振動試験方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、構造物の振動に関する特性を測定する振動試験方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建物や橋などの構造物には固有の振動特性があり、これによって地震や風などの時々刻々変化する力を受けた時の構造物の挙動(応答)が決まるので、重要な構造物ではこの振動特性を取得するため、地震観測や振動試験が行われる。また、地震観測や振動試験によって得られる結果からは、構造物の劣化などを判断することも可能である。
【0003】
構造物の振動特性を調査する場合、地震観測以外の方法として従来は主として二つの方法によって実施されている。第一の方法は、震動源として用意されている起振機を用いるものである。建物屋上位置や建物内の床に起振機を設置し、建物(構造物)に対して強制的に水平又は上下方向に正弦波振動を生じさせて測定を行う。起振機の振動を制御することで振動周波数を変更した測定も行える。加振時の構造物の任意点での応答を計測することによって、構造物の固有振動数・振動モード・減衰定数などが算定できる。
【0004】
第二の方法は、構造物の常時微振動を利用するものである。構造物は、周囲の交通・風・波浪などによって常に微小振動をしており、これを利用することによって起振機などを設置せずに振動測定を行える。振動測定時には、構造物内(上)の適当な位置に振(震)動計測器を配置し、構造物の常時微振動を計測し、計測された波形を分析する事によって構造物の振動特性を把握できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、第一の方法(起振機を用いた方法)では、振動試験を実施する際に起振機の設置スペースを確保する必要があるが、その確保が困難である場合が多い。構造物の竣工前であれば、必要なスペース確保も比較的容易で設置方法も制限されないことが多いが、すでに使用されている構造物の場合は、スペース確保や設置方法(床へのアンカー設置など)も制限される。また、起振機は構造物に振動を生じさせるものであるため、大きなマスを有している場合も多く、構造物内の設備(エレベータ等)では起振機を上部階に搬送できずにクレーンなどを必要とする場合もある。
【0006】
第二の方法(常時微振動を用いる方法)は、通常高層ビルや煙突などの振動周期が長く減衰の小さいものに適用され、主に微小振動の測定に用いられる。この場合、強風時を避けノイズの影響の少ない(交通や工事などのノイズ発生源の少ない)夜間に実施する必要があるなどの制約を受ける。さらに、高振動数に対する高次振動モードを把握することは入力が小さいため困難な場合が多い。このように、従来の測定法は必ずしも万全ではなく、より簡便に振動試験を行うことができるような振動試験方法の開発が要望されていた。
【0007】
本発明の目的は、振動試験に際しての機器設置の労力を軽減しつつ、より簡便に振動試験を行うことを可能とする構造物の振動試験方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の構造物の振動試験方法は、構造物の内部又は周囲に常設され、一定周波数の振動を発生し得る既存設備を駆動し、該既存設備の発生する振動を利用して構造物の振動特性を測定するものであって、既存設備の設備点検時に、既存設備を停止させる際に周波数を徐々に低下させて所定測定点で振動の検出を行い、既存設備を再始動させる際に周波数を徐々に上昇させて他の所定測定点で振動の検出を行うことを特徴としている。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、構造物に常設されている地震計の出力ゲインを変更して、振動試験時の振動を検出することを特徴としている。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の発明において、構造物は発電所建屋であり、既存設備は構造物の内部に設置された発電用タービン又は非常用発電設備であることを特徴としている。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明の構造物の振動試験方法の実施形態について説明する。図1は、本発明の振動試験方法を行う試験時の建物の断面図である。
【0014】
図1に示される建物は、発電所における発電タービン建屋1である。この建屋1の内部には、発電タービン2が設置されている。タービン2は、通常時は高速回転で回転して発電しているが、その重量は重いので震動源となって建屋1のみならず周囲に振動を伝えている。タービン2の回転を利用して発電機部3で発電を行っている。建屋1の内部には、地震計(検出部)4が数カ所に設置されている。これらの地震計4は振動試験とは関係なく常設されているものである。
【0015】
そして、振動試験時に際して検出部を増やす必要が場合は、図1に示されるように、振動計測器(検出部)5を該当箇所に設置する。設置した振動計測器5は、既設の計測設備に接続するか、建屋1の外に停められた計測車6内の測定機器に接続する。なお、既設の地震計4については、計測車6内の測定機器に新たに接続し直してもよいし、そのまま既設設備で測定してもよい(この場合については追って詳しく説明する)。
【0016】
次に、振動試験の手順について説明する。上述した発電設備においては、所定期間毎に発電を停止して、即ち、タービン2の回転を停止させて定期点検が行われる。本実施形態の振動試験はこの定期点検時(設備によっては法規などで義務づけられている場合もある)に同時に行われる。点検と同時に行うことで、供用中の設備の運用スケジュールを振動試験のために変更する必要がなくなるので都合がよい。建屋1(既存設備:タービン2)の点検と共に常に振動試験を行うようにすれば、建屋1の振動特性の経時的変化を把握するのが容易になるという利点がある。
【0017】
タービン2の回転停止時には、タービン2はその回転数を徐々に低下させ、最終的に停止される。この際、タービン2の発生する振動の振動数も高周波側から低周波側に変化する。この周波数変化は振動試験時において入力振動周波数を連続的に変化させることになるので都合がよい。このときに、タービン2の回転によって発生する振動に対する建屋1の各部振動応答を測定する振動試験を行う。
【0018】
発電所などの発電機は通常50Hz又は60Hzの交流電力を発電しており、タービン2の発生する振動の主たる振動周波数もこれと等しい。この程度の周波数から低周波数側への移動で、構造物の振動特性を測定する場合の周波数帯域は十分にカバーされており都合がよい。また、定期点検終了後は発電再開のためにタービン2が回転数を徐々に上昇させて、最終的に以前の定常状態に復帰される。この際、タービン2の発生する振動の振動数は、今度は低周波側から高周波側に変化する。
【0019】
即ち、もう一度振動特性を測定する機会が得られる。あるいは、この二回の測定機会を、測定回数を増やさすことに用いずに、測定機器数の削減に利用することも可能である。例えば、必要な測定点が十カ所あるような場合に、タービン2の停止時に五カ所測定し、タービン2の回転再開時に残りの五カ所を測定するというようなことができる。このようにすれば、検出器の数を減らすことができる。
【0020】
上述したように、既設の地震計4を用いた振動特性の検出に、これらが既に接続されている地震観測システムを利用する場合について簡単に説明する。これらのシステムでは、地震時の振動を測定対象としていることから、大きな振動を検出することに最適化されていることがあり得る。このような場合、振動試験時における振動を十分に検出し得ない場合もあるので、このような場合は、入力に対する出力のゲインを上げて測定を行うと都合がよい。このような手法によって、既設の地震計4を利用して振動試験に際して必要となる機器をより一層削減することが可能となる場合がある。
【0021】
なお、本発明の振動試験方法は、上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、上述した実施形態においては、タービン2の発生する振動を利用してタービン2が設置された建屋についての振動試験を行うが、タービン2の発生する振動を利用して周囲の建物の振動試験を行うことも可能である。即ち、震動源となる既存設備は、試験対象となる建物の内部になくてはならないということはなく、試験対象となる建物の周囲にあってもよい。
【0022】
また、上述した実施形態では、正常時に定常的に運転される設備を震動源としたが、このようなものに限定されるということもない。例えば、大型空調設備などを震動源としても良く、このような空調設備は駆動負荷が変動するのが一般的であり、定常的に運転されるものであるとは限らない。あるいは、正常時には運転されずに非常にのみ運転されるような設備、例えば非常用発電設備などを震動源となる既存設備として利用することも可能である。このような非常用設備なども定期点検が行われる設備であるので、これを利用した試験方法は、上述した実施形態と同様に点検時に行うことによって得られる効果を享受し得るものとなる。また、本発明の振動試験方法は、上述したような建物への適用に限定されるものではなく、橋や煙突などの構造物などに対しても適用が可能である。
【0023】
【発明の効果】
本発明の振動試験方法によれば、既存設備が振動試験を目的として(他の目的[点検など]と同時でもよい)積極的に運転され、このときの既存設備の発生する振動を利用して振動試験が行われる。このため、本発明によれば、起振機などを設置することなく簡便に振動試験を行うことができ、これによって構造物の振動特性を把握するために必要なデータ(記録波形)を得ることができる。振動試験に際して起振機等の設置が必要ないので振動試験に伴うコストを削減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の振動試験を適用する建物の試験時の断面図である。
【符号の説明】
1…建屋(構造物)、2…発電タービン(既存設備)、3…発電機部、4…(既設の)地震計、5…振動計測器、6…計測車。
Claims (3)
- 構造物の内部又は周囲に常設され、一定周波数の振動を発生し得る既存設備を駆動し、該既存設備の発生する振動を利用して前記構造物の振動特性を測定する振動試験方法であって、
前記既存設備の設備点検時に、前記既存設備を停止させる際に周波数を徐々に低下させて所定測定点で振動の検出を行い、前記既存設備を再始動させる際に周波数を徐々に上昇させて他の所定測定点で振動の検出を行うことを特徴とする構造物の振動試験方法。 - 前記構造物に常設されている地震計の出力ゲインを変更して、振動試験時の振動を検出することを特徴とする請求項1に記載の構造物の振動試験方法。
- 前記構造物は発電所建屋であり、前記既存設備は前記構造物の内部に設置された発電用タービン又は非常用発電設備であることを特徴とする請求項1又は2に記載の構造物の振動試験方法。
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