JP3855035B2 - 原子のレーザー冷却方法およびその装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子のレーザー冷却方法およびその装置に関し、さらに詳細には、シリコン原子やゲルマニウム原子などのようにエネルギー準位における冷却下準位として複数の磁気副準位を有する各種の原子をレーザー冷却する際に用いて好適な原子のレーザー冷却方法およびその装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
近年、ボース・アインシュタイン凝縮の実証に始まって、原子波レーザーや非線形原子波光学の開拓など、原子のレーザー冷却の応用分野における進展には大変めざましいものがある。
【0003】
このレーザー冷却応用分野において、これまでレーザー冷却の対象とされてきたアルカリ金属原子などの代わりに、シリコンやゲルマニウムなどの半導体原子をレーザー冷却することが実現できるようになれば、工学的観点からも新たな展開を期待することができ、その応用分野は計り知れないものがある。
【0004】
このため、シリコンやゲルマニウムなどの半導体原子を含む各種の原子をレーザー冷却するための技術の提案が、強く要望されるようになってきている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記したような従来からの要望に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、シリコンやゲルマニウムなどの半導体原子を含む各種の原子をレーザー冷却することを可能にした原子のレーザー冷却方法およびその装置を提供しようとするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明による原子のレーザー冷却方法およびその装置は、以下に説明するような手法に基づいてなされたものである。
【0007】
ここで、原子のレーザー冷却とは、原子がレーザー光と衝突(散乱)して光の吸収と自然放出とを繰り返すことにより、原子の運動エネルギーを自然放出光に逃がし、その結果、原子が冷却される冷却法を意味するものである。
【0008】
こうした原子のレーザー冷却の過程は、原子を十分に減速する段階と十分に減速した原子を冷却する段階とに分けることができる。そして、こうした原子の減速や原子の冷却には、図1に説明されているような散乱力が働いている。
【0009】
以下、「散乱力による原子の減速」と「散乱力による原子の冷却」とについて、それぞれ詳細に説明する。
【0010】
まず、散乱力による原子の冷却について説明するが、この散乱力による原子の冷却とは、所謂、「ドップラー冷却」である。即ち、ドップラーシフトが、自然幅の数倍程度まで減速された原子の冷却には最も効果的に作用する。
【0011】
ここで、自然放出を使って原子の冷却を行うには、放出光子の平均エネルギーが吸収光子の平均エネルギーより大きくなるということが必要である。ドップラー冷却とは、ドップラー効果を利用することにより、放出光子の平均エネルギーが吸収光子の平均エネルギーより大きくなるという状態を実現するものである。特に、効果的な負の離調量は、共鳴の自然幅(半値半幅)程度である。
【0012】
ところで、シリコンの自然幅(半値全幅)は28MHz程度であることから、ドップラー冷却には、それと同程度以下、即ち、28MHz程度の線幅のレーザーが必要となる。また、このレーザーは、ドップラー冷却温度である220マイクロケルビンに到達するのに約130マイクロ秒かかるので、連続波(CW:Continuous Wave)光源とする必要がある。
【0013】
なお、シリコンの自然幅(半値全幅)と、ドップラー冷却温度と、ドップラー冷却温度である220マイクロケルビンに到達するのに要する時間(停止時間)とは、図2に示す数式により求められる。
【0014】
次に、散乱力による原子の減速について説明する。ここで、シリコンの融点は1414℃であり、一方、ゲルマニウムの融点は958.5℃であって、両者の融点はともに高融点である。
【0015】
電子ビーム蒸発により表面から飛び出したシリコン原子の速度は、約1000m/s(メートル毎秒)を中心としたボルツマン分布になる。その半値幅は約1500m/s以上と広く、共鳴する周波数領域で約6GHz(ギガヘルツ)ある。
【0016】
即ち、速度拡がりによるドップラー拡がり(ドップラー幅)は、融点温度で約6GHzである。
【0017】
従って、単一周波数コヒーレント光源を用いた場合には、その単一周波数コヒーレント光源の周波数を時間とともに変化させてチャープ冷却することにより、原子を減速することが可能となる。
【0018】
一方、原子を減速するには、ピコ秒レーザーを用いるようにしてもよい。即ち、フーリエ変換限界のパルスでは、100ピコ秒は10GHzの周波数帯域を持つことができる。つまり、ピコ秒レーザーを用いた場合には、ドップラー速度拡がりをしている原子ビームを同時に減速することができる。
【0019】
なお、ドップラー幅は、図3に示す数式により求められる。
【0020】
ここで、シリコン原子をレーザー冷却することが困難であるのは、上記したように冷却波長が短いという点だけではなく、基底状態におけるエネルギー準位、即ち、基底準位たる冷却下準位が複数の磁気副準位、具体的には3つの磁気副準位を有するという点に起因している。
【0021】
即ち、シリコン原子においては、基底準位たる冷却下準位として3つの磁気副準位が存在するため、アルカリ金属原子のような磁気光学トラップを作ることができず、このことがシリコン原子をレーザー冷却することの困難性の大きな原因となっていた。
【0022】
図4(a)(b)を参照しながらさらに詳細に説明すると、シリコン原子においては、基底状態におけるエネルギー準位、即ち、基底準位たる冷却下準位(3s3p2 3,J=1)は、磁気量子数mが「m=−1」、「m=0」および「m=+1」の3つの磁気副準位が縮退している。
【0023】
ここで、シリコン原子をレーザー冷却するためには、シリコン原子にレーザー光を照射して励起し、基底状態の冷却下準位から励起準位たる冷却上準位(3s3p4s ,J=0)へエネルギー準位を上げる必要がある。
【0024】
そして、シリコン原子はレーザー光の照射により励起されて冷却上準位へ上がることになるが、冷却下準位から冷却上準位へ励起されたシリコン原子は自然放出寿命を終えると、再び基底状態の冷却下準位へと戻ることになる。
【0025】
ところが、シリコン原子が冷却上準位から冷却下準位へ戻る際には、冷却上準位にあるシリコン原子は「m=−1」と「m=0」と「m=+1」との3つの磁気副準位へ3分の1ずつ均等に戻ることになる(図4(b)に示す連立微分方程式より解が得られる。)。
【0026】
一方、基底状態の冷却下準位の「m=−1」の磁気副準位にあるシリコン原子は、右回りの偏光(σ+)のレーザー光を照射された場合に冷却上準位へ励起されるものであり、また、基底状態の冷却下準位の「m=0」の磁気副準位にあるシリコン原子は、直線偏光(π)のレーザー光を照射された場合に冷却上準位へ励起されるものであり、また、基底状態の冷却下準位の「m=+1」の磁気副準位にあるシリコン原子は、左回りの偏光(σ−)のレーザー光を照射された場合に冷却上準位へ励起されるものである。
【0027】
従って、例えば、直線偏光のレーザー光をシリコン原子に照射することによりレーザー冷却を行おうとした場合には、基底状態の冷却下準位の中で「m=0」の磁気副準位にあるシリコン原子のみが冷却上準位へ励起されることになる。そして、冷却上準位へ励起されたシリコン原子は、自然放出寿命を経過した後にその3分の1ずつしか基底状態の冷却下準位の中の「m=0」の磁気副準位へ戻らないので、次第に基底状態の冷却下準位から冷却上準位へ励起されるシリコン原子の数が減って行き、アルカリ金属原子のような磁気光学トラップを作ることができないものであった。
【0028】
また、同様に、ゲルマニウム原子も冷却下準位として複数の磁気副準位が存在するため、レーザー冷却することが困難であった。
【0029】
本発明は、こうした困難性を克服するために、冷却下準位として複数の磁気副準位が存在する原子をレーザー冷却するにあたって、基底状態の冷却下準位たる複数の磁気副準位に応じた複数の偏光を有するレーザー光をそれぞれ、所定の時間間隔でずらして順次に原子に照射するようにしたものである。即ち、所定の時間毎に順番に異なる偏光のレーザー光を繰り返し照射するように、時間的にレーザー光の偏光を制御するものである。
【0030】
そして、このように所定の時間毎に順番に異なる偏光のレーザー光を繰り返し照射する場合に、1光子の吸収・放出に要する時間、即ち、原子の自然放出寿命の2倍の時間間隔で光子が次々と原子に当たるようにすると、基底状態の冷却下準位にある原子を効率的に冷却上準位へ励起することができる。
【0031】
そして、本発明のうち請求項1に記載の発明は、エネルギー準位における基底状態の冷却下準位として複数の磁気副準位を有する原子をレーザー冷却する原子のレーザー冷却方法であって、レーザー冷却の対象となる原子の基底状態の冷却下準位たる複数の磁気副準位に応じた複数の異なる偏光をそれぞれ有する所定波長のコヒーレント光を、所定の時間間隔でずらして順次に原子に照射するようにしたものである。
【0032】
また、本発明のうち請求項2に記載の発明は、本発明のうち請求項1に記載の発明において、上記所定の時間間隔を、1光子の吸収・放出に要する時間たる原子の自然放出寿命の略2倍の時間間隔としたものである。
【0033】
また、本発明のうち請求項3に記載の発明は、エネルギー準位における基底状態の冷却下準位として複数の磁気副準位を有する原子をレーザー冷却する原子のレーザー冷却装置であって、所定波長のコヒーレント光を発生するコヒーレント光源と、上記コヒーレント光源から出射されたコヒーレント光の偏光を制御して、所定の時間間隔で異なる偏光のコヒーレント光を原子に照射する偏光制御手段とを有し、上記偏光制御手段により照射されるコヒーレント光の偏光は、レーザー冷却の対象となる原子の基底状態の冷却下準位たる複数の磁気副準位に応じた複数の異なる偏光とそれぞれ対応したものである。
【0034】
また、本発明のうち請求項4に記載の発明は、エネルギー準位における基底状態の冷却下準位として複数の磁気副準位を有する原子をレーザー冷却する原子のレーザー冷却装置であって、レーザー冷却の対象となる原子の基底状態の冷却下準位たる複数の磁気副準位に応じた複数の異なる偏光をそれぞれ有する所定波長のコヒーレント光をそれぞれ出射する複数のコヒーレント光源を有し、上記複数のコヒーレント光源から出射される複数の異なる偏光をそれぞれ有する所定波長のコヒーレント光を、所定の時間間隔でずらして順次に原子に照射するようにしたものであり、上記複数のコヒーレント光源から出射されるコヒーレント光の偏光は、レーザー冷却の対象となる原子の基底状態の冷却下準位たる複数の磁気副準位に応じた複数の異なる偏光とそれぞれ対応したものである。
【0035】
また、本発明のうち請求項5に記載の発明は、本発明のうち請求項4に記載の発明において、上記複数のコヒーレント光源の少なくとも1つは、2つの異なる偏光のコヒーレント光を選択的に出射するようにしたものである。
【0036】
また、本発明のうち請求項6に記載の発明は、本発明のうち請求項3、請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の発明において、上記所定の時間間隔を、1光子の吸収・放出に要する時間たる原子の自然放出寿命の略2倍の時間間隔としたものである。
【0038】
また、本発明のうち請求項7に記載の発明は、エネルギー準位における基底状態の冷却下準位として複数の磁気副準位を有する原子をレーザー冷却する原子のレーザー冷却装置であって、所定波長のコヒーレント光を発生するコヒーレント光源と、半波長板と音響光学素子とを有し、上記コヒーレント光源から出射されたコヒーレント光の上記半波長板による偏光を制御して、所定の時間間隔で異なる偏光のコヒーレント光を原子に照射する偏光制御手段とを有し、上記音響光学素子を使用して時間的に周波数を変化させてチャープ冷却を行って原子を散乱力により減速するとともに、上記音響光学素子を使用して時間的に上記半波長板による偏光を分離するとともに周波数を最適化して原子を散乱力により冷却するようにしたものである。
【0040】
また、本発明のうち請求項8に記載の発明は、エネルギー準位における基底状態の冷却下準位として複数の磁気副準位を有する原子をレーザー冷却する原子のレーザー冷却装置であって、第1の波長のレーザー光を生成する第1のレーザー光生成システムと、第2の波長のレーザー光を生成するとともに上記第1のレーザー光生成システムにおいて生成された上記第1の波長のレーザー光を導入し、上記第1の波長のレーザー光と上記第2の波長のレーザー光との和周波混合により第3の波長のレーザー光を生成する第2のレーザー光生成システムとを有するコヒーレント光源と、半波長板と音響光学素子とを有し、上記コヒーレント光源から出射されたコヒーレント光の上記半波長板による偏光を制御して、所定の時間間隔で異なる偏光のコヒーレント光を原子に照射する偏光制御手段とを有し、上記音響光学素子を使用して時間的に周波数を変化させてチャープ冷却を行って原子を散乱力により減速するとともに、上記音響光学素子を使用して時間的に上記半波長板による偏光を分離するとともに周波数を最適化して原子を散乱力により冷却するようにしたものである。
【0041】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照しながら、本発明による原子のレーザー冷却方法およびその装置の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0042】
図5には、本発明による原子のレーザー冷却装置(以下、「本発明レーザー冷却装置」と適宜に称する。)の実施の形態の一例の概念構成説明図が示されている。なお、この図5に示す本発明レーザー冷却装置は、例えば、シリコン原子やゲルマニウム原子などのような各種の原子を冷却する際に用いることができるものである。
【0043】
即ち、この本発明レーザー冷却装置50は、所定の波長のコヒーレント光を発生して出射するコヒーレント光源部52と、コヒーレント光源部52から出射されたコヒーレント光の偏光を変化させる偏光制御部54とを有して構成されている。
【0044】
ここで、本発明レーザー冷却装置50のコヒーレント光源部52は、例えば、コヒーレント光として所定の波長のレーザー光を生成して出射する2段階の外部共振器型波長変換部として構成することができ、また、本発明レーザー冷却装置50の偏光制御部54は、例えば、時間的に偏光を制御することが可能な複屈折結晶から構成される電気光学素子と波長板との組み合わせよりなる位相変調器として構成することができる。なお、電気光学素子とは、複屈折結晶に印加した電界によって屈折率が変化し、そこを通過するレーザー光の位相を変化させるものである。
【0045】
ここで、本発明レーザー冷却装置50を用いてシリコン原子を冷却する場合において、例えば、コヒーレント光源部52として上記した2段階の外部共振器型波長変換部を用い、また、偏光制御部54として上記した位相変調器を用いる場合には、コヒーレント光源部52たる外部共振器型波長変換部の1段目では、波長746nmのレーザー光(例えば、波長746nmのNd:YVO第2高調波励起のリング型単一モードチタンサファイアレーザー光を用いることができる。)を外部共振器に導き、共振器内に配設したLBO結晶により波長373nmの第2高調波を40%の変換効率で発生させるようにする。
【0046】
続いて外部共振器型変換部の2段目では、この波長373nmのレーザー光と波長780nmのレーザー光(例えば、波長780nmの単一モード半導体レーザー光を用いることができる。)を第2の外部共振器に導き、2波長のレーザー光を同時共振をさせることにより各々の光強度を同時に増大させ、共振器内のBBO結晶による和周波混合により60mWを越える252nmの光を発生させるようにする。
【0047】
偏光制御部54では、複屈折結晶から構成される電気光学素子と波長板との組み合わせにより位相変調器を構成し、時間的に偏光を制御する。
【0048】
上記したように、電気光学素子とは、複屈折結晶に印加した電界によって屈折率が変化し、そこを通過するレーザー光の位相を変化させるものであるが、図6には、複屈折結晶によるレーザー光の位相の変化の様子が示されている。複屈折結晶によれば、図6(a)に示すように、o軸とe軸との間で位相が−π/2ずれた場合には、左回りの偏光(σ−)が実現される。また、図6(b)に示すように、o軸とe軸との間で位相のずれがない場合には、直線偏光(π)が実現される。さらに、図6(c)に示すように、o軸とe軸との間で位相がπ/2ずれた場合には、右回りの偏光(σ+)が実現される。
【0049】
ここで、図7に示すように、1光子の吸収・放出に要する時間は、自然放出寿命(τ)の2倍となる。
【0050】
具体的にシリコン原子について説明すると、自然放出寿命は5.5ns(ナノ秒)(τ=5.5ns)であり、自然放出寿命(τ)の2倍は11ns(2τ=11ns)である。
【0051】
従って、シリコン原子においては、11ns毎に光子が当たると効率的に1光子の吸収・放出が行われて、シリコン原子の冷却が行われる。
【0052】
ここで、周期は「11ns×4=44ns」であるので、偏光制御部54としての位相変調器の周波数fmが22.7MHz(メガヘルツ)より下であれば、効率よくシリコン原子の冷却を行うことができる。
【0053】
そして、図4(c)に示すように、自然放出寿命の略2倍の時間間隔である12.5ns毎に、シリコン原子に照射されるレーザー光の偏光を右回り偏光(σ+)と直線偏光(π)と左回りの偏光(σ−)とに順次に変化させることによって、シリコン原子を冷却することができる。
【0054】
シリコン原子をレーザー冷却する際に1つの偏光方向の光を用いる場合には、冷却下準位の3つの磁気副準位のうち2つの暗準位になっている冷却サイクルが閉じなくなるが、上記したように時間的に偏光方向を変化させることで、暗準位を作ることなく冷却サイクルを閉じることができる。このため、シリコン原子をレーザー冷却することができるようになる。
【0055】
なお、コヒーレント光としてレーザー光を照射するコヒーレント光源部52としては、散乱力によりシリコン原子を減速させる場合と、散乱力によりシリコン原子を冷却させる場合とに応じて、CWレーザー(連続レーザー)を用いたコヒーレント光源とピコ秒レーザーを用いたコヒーレント光源とを適宜に使い分けるようにすればよい。
【0056】
図5においては、単一のコヒーレント光源部52、より具体的には、1台のコヒーレント光源装置を用いて原子をレーザー冷却する場合の実施の形態について説明したが、次に、図8(a)(b)を参照しながら、複数のコヒーレント光源部、より具体的には、3台のコヒーレント光源装置を用いてシリコン原子やゲルマニウム原子などのような各種の原子をレーザー冷却する場合の実施の形態について説明する。
【0057】
即ち、図8(a)に示す本発明レーザー冷却装置80は、右回り偏光(σ+)のコヒーレント光(例えば、レーザー光)を照射する第1のコヒーレント光源部としての第1コヒーレント光源装置81と、この第1コヒーレント光源装置81から照射されたコヒーレント光を反射する反射ミラー82と、直線偏光(π)のコヒーレント光(例えば、レーザー光)を照射する第2のコヒーレント光源部としての第2コヒーレント光源装置83と、この第2コヒーレント光源装置83から照射されたコヒーレント光を反射する反射ミラー84と、左回り偏光(σ−)のコヒーレント光(例えば、レーザー光)を照射する第3のコヒーレント光源部としての第3コヒーレント光源装置85と、この第3コヒーレント光源装置85から照射されたコヒーレント光を反射する反射ミラー86とを有している。
【0058】
この図8(a)に示す本発明レーザー冷却装置80においては、図8(b)に示すように、原子の自然放出寿命の略2倍の時間間隔を開けて、第1コヒーレント光源装置81と第2コヒーレント光源装置83と第3コヒーレント光源装置85とを順次に交互に照射すればよい。
【0059】
次に、図9(a)(b)を参照しながら、複数のコヒーレント光源部、より具体的には、2台のコヒーレント光源装置を用いてシリコン原子やゲルマニウム原子などのような各種の原子をレーザー冷却する場合の実施の形態について説明する。
【0060】
即ち、図9(a)に示す本発明レーザー冷却装置90は、偏光を右回り偏光(σ+)と左回り偏光(σ−)とに交互に切り替えながらコヒーレント光(例えば、レーザー光)を照射する第1のコヒーレント光源部としての第1コヒーレント光源装置91と、この第1コヒーレント光源装置91から照射されたコヒーレント光を反射する反射ミラー92と、直線偏光(π)のコヒーレント光(例えば、レーザー光)を照射する第2のコヒーレント光源部としての第2コヒーレント光源装置93と、この第2コヒーレント光源装置93から照射されたコヒーレント光を反射する反射ミラー94とを有している。
【0061】
この図9(a)に示す本発明レーザー冷却装置90においては、図9(b)に示すように、それぞれ原子の自然放出寿命の略2倍の時間間隔を開けて、「第1コヒーレント光源装置90から右回り偏光(σ+)のコヒーレント光を照射→第2コヒーレント光源装置93から直線偏光(π)のコヒーレント光を照射→第1コヒーレント光源装置90から左回り偏光(σ−)のコヒーレント光を照射→第2コヒーレント光源装置93から直線偏光(π)のコヒーレント光を照射→第1コヒーレント光源装置90から右回り偏光(σ+)のコヒーレント光を照射→第2コヒーレント光源装置93から直線偏光(π)のコヒーレント光を照射→第1コヒーレント光源装置90から左回り偏光(σ−)のコヒーレント光を照射→・・・」という順番で照射する。
【0062】
次に、図10を参照しながら、原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の実施の形態の一例について説明する。
【0063】
この図10に示す原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の実施の形態の一例は、散乱力によるシリコン原子の減速を行うための光源(以下、「シリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源」と称する。)であり、例えば、図5に示す本発明レーザー冷却装置50のコヒーレント光源部52や、図8(a)に示す本発明レーザー冷却装置80の第1のコヒーレント光源部、第2のコヒーレント光源部あるいは第3のコヒーレント光源部や、図9(a)に示す第1のコヒーレント光源部あるいは第2のコヒーレント光源部として用いることができることは勿論であり、また、後述する図12に示す本発明レーザー冷却装置におけるコヒーレント光源として用いることができる。
【0064】
この図10に示すシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源100は、波長252.4nmのコヒーレント光を照射することができるように構成されており、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー101と、第1波長変換素子102と、第2波長変換素子103と、波長分散素子104と、半透過ミラー105と、全反射ミラー106と、レーザー波長分光部107と、周波数制御用エラーシグナル発生器108とを有して構成されている。なお、半透過ミラー105と、全反射ミラー106と、レーザー波長分光部107と、周波数制御用エラーシグナル発生器108とによって、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー101へフィードバック信号としてエラーシグナルを入力するためのフィードバック回路が形成されている。
【0065】
ここで、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー101は、波長757nmでパルス幅1ps〜1000ps(フーリエ変換限界パルスで周波数幅1000GHz〜1GHz)のコヒーレント光を出射する。
【0066】
まず、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー101から出射された波長757nmのコヒーレント光は第1波長変換素子102に入射され、第1波長変換素子102により波長757nmのコヒーレント光とその第2高調波の波長378nmのコヒーレント光とが得られる。
【0067】
そして、第1波長変換素子102から出射された波長757nmおよび波長378nmのコヒーレント光は第2波長変換素子103に入射され、第2波長変換素子103により波長757nmのコヒーレント光とその第2高調波の波長378nmのコヒーレント光とその第3高調波の252.4nmのコヒーレント光とが得られる。
【0068】
さらに、第2波長変換素子103から出射された波長757nm、波長378nmおよび波長252.4nmのコヒーレント光は波長分散素子104に入射され、波長分散素子104からは波長252.4nmのコヒーレント光のみ出射され、半透過ミラー105を透過してシリコン原子の散乱力による減速のために用いられる。なお、波長分散素子104は、例えば、プリズム、グレーティング、多層膜ミラーあるいはフィルターなどにより構成される。
【0069】
一方、半透過ミラー105により反射された波長252.4nmのコヒーレント光は、全反射ミラー106によって反射されて、波長計やシリコンホローカソード管などから構成されるレーザー波長分光部107に入射される。
【0070】
このレーザー波長分光部107において入射されたコヒーレント光の波長が計測され、その計測結果が周波数制御用エラーシグナル発生器108へ入力される。
【0071】
周波数制御用エラーシグナル発生器108においては、入力された計測結果に基づいて、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー101が常に波長757nmのコヒーレント光を発生するようにエラーシグナルをフィードバックする。
【0072】
こうしたフィードバック制御により、常に波長252.4nmのコヒーレント光をシリコン原子に照射することが可能となる。
【0073】
また、図11には、図10に示したシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源100の他の実施の形態の一例が示されている。なお、図10に示した構成と同一または相当する構成には、図10に用いた符号と同一の符号に「’」を付して示すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0074】
図11に示すシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源100’は、波長252.4nmのコヒーレント光を照射することができるように構成されており、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー101’と、第1波長変換素子102’と、第2波長変換素子103’と、波長分散素子104’と、半透過ミラー105’と、全反射ミラー106’と、レーザー波長分光部107’と、周波数制御用エラーシグナル発生器108’とを有して構成されている。なお、半透過ミラー105’と、全反射ミラー106’と、レーザー波長分光部107’と、周波数制御用エラーシグナル発生器108’とによって、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー101’へフィードバック信号としてエラーシグナルを入力するためのフィードバック回路が形成されている。
【0075】
ここで、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー101’は、波長1009.6nmでパルス幅1ps〜1000ps(フーリエ変換限界パルスで周波数幅1000GHz〜1GHz)のコヒーレント光を出射する。
【0076】
まず、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー101’から出射された波長1009.6nmのコヒーレント光は第1波長変換素子102’に入射され、第1波長変換素子102’により波長1009.6nmのコヒーレント光とその第2高調波の波長504.8nmのコヒーレント光とが得られる。
【0077】
そして、第1波長変換素子102’から出射された波長504.8nmのコヒーレント光は第2波長変換素子103’に入射され、第2波長変換素子103’により波長504.8nmのコヒーレント光とその第2高調波の波長252.4nmのコヒーレント光とが得られる(波長252.4nmは、波長1009.6nmの第4高調波である。)。
【0078】
さらに、第2波長変換素子103’から出射された波長504.8nmおよび波長252.4nmのコヒーレント光と第1波長変換素子102’から出射された波長1009.6nmのコヒーレント光とが、波長分散素子104’に入射され、波長分散素子104’からは波長252.4nmのコヒーレント光のみ出射され、半透過ミラー105’を透過してシリコン原子の散乱力による減速のために用いられる。なお、波長分散素子104’は、例えば、プリズム、グレーティング、多層膜ミラーあるいはフィルターなどにより構成される。
【0079】
一方、半透過ミラー105’により反射された波長252.4nmのコヒーレント光は、全反射ミラー106’によって反射されて、波長計やシリコンホローカソード管などから構成されるレーザー波長分光部107’に入射される。
【0080】
このレーザー波長分光部107’において入射されたコヒーレント光の波長が計測され、その計測結果が周波数制御用エラーシグナル発生器108’へ入力される。
【0081】
周波数制御用エラーシグナル発生器108’においては、入力された計測結果に基づいて、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー101’が常に波長1009.6nmのコヒーレント光を発生するようにエラーシグナルをフィードバックする。
【0082】
こうしたフィードバック制御により、常に波長252.4nmのコヒーレント光をシリコン原子に照射することが可能となる。
【0083】
次に、図12を参照しながら、原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源として図10に示す1台のシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源100を用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源)の実施の形態の一例について説明する。なお、図10に示した構成と同一または相当する構成には、図10に用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0084】
この本発明レーザー冷却装置110は、偏光制御部として、第1半波長板111と、位相変調器112と、第2半波長板113と、変調器ドライバー114と、周波数変換器115とが配設されている。
【0085】
ここで、周波数変換器115はモード同期周波数を入力され、そのモード同期周波数を周波数変換することにより、シリコン原子の自然放出寿命の略2倍の周期で変調器ドライバー114から変調信号が位相変調器112に出力されるように、変調器ドライバー114に制御信号を出力する。即ち、位相変調器112から出力されるコヒーレント光の偏光が、シリコン原子の自然放出寿命の略2倍の周期で切り替わるように設定されている。
【0086】
つまり、この偏光制御部により、波長252.4nmのコヒーレント光の偏光が、自然放出寿命の略2倍の周波数で切り替わるように制御されることになる。
【0087】
次に、図12に示す本発明レーザー冷却装置の他の実施の形態の一例として、図13を参照しながら、原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源として図11に示す1台のシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源100’を用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源)の実施の形態の一例について説明する。なお、図11に示した構成と同一または相当する構成には、図11に用いた符号と同一の符号を用いて示すこととし、また、図12に示した構成と同一または相当する構成には、図12に用いた符号と同一の符号に「’」を付して示すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0088】
この本発明レーザー冷却装置110’は、偏光制御部として、第1半波長板111’と、位相変調器112’と、第2半波長板113’と、変調器ドライバー114’と、周波数変換器115’とが配設されている。
【0089】
ここで、周波数変換器115’はモード同期周波数を入力され、そのモード同期周波数を周波数変換することにより、シリコン原子の自然放出寿命の略2倍の周期で変調器ドライバー114’から変調信号が位相変調器112’に出力されるように、変調器ドライバー114’に制御信号を出力する。即ち、位相変調器112’から出力されるコヒーレント光の偏光が、シリコン原子の自然放出寿命の略2倍の周期で切り替わるように設定されている。
【0090】
つまり、この偏光制御部により、波長252.4nmのコヒーレント光の偏光が、自然放出寿命の略2倍の周波数で切り替わるように制御されることになる。
【0091】
次に、図14を参照しながら、所定波長のコヒーレント光を発生する原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源としてCWレーザーを用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したシリコン減速/冷却用CWコヒーレント光源)の実施の形態の一例について説明する。
【0092】
この図14に示す本発明レーザー冷却装置120においては、上記したCWレーザーとして、具体的には、1台の波長252.4nmのCWレーザーを用いている。
【0093】
この本発明レーザー冷却装置120は、シリコン原子に関して散乱力による減速と散乱力による冷却との双方を実施することができる。
【0094】
即ち、本発明レーザー冷却装置120は、原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源として波長252.4nmのシリコン用CWレーザー121を用いるとともに、偏光制御部として、第1半波長板122と、位相変調器123と、第2半波長板124と、変調器ドライバー125と、発振器126と、第1レンズ127aと、音響光学素子128と、第2レンズ127bと、音響光学素子ドライバー129とが配設されている。
【0095】
ここで、シリコン原子を散乱力により減速する場合には、音響光学素子128を使用して時間的に周波数を変化させて、チャープ冷却を行う。
【0096】
また、シリコン原子を散乱力により冷却する際には、音響光学素子128は時間的に偏光を分離する効果と周波数を最適化するのに都合がよい。
【0097】
なお、シリコン用CWレーザー121と第1半波長板122との間に電気光学シフター(EOシフター)を追加で組み込んで周波数シフト量をかせいだ方がチャープ冷却には有効な場合があるので、適宜に電気光学シフターを当該位置に配設するようにしてよい。
【0098】
なお、波長252.4nmのシリコン用CWレーザー121としては、例えば、波長1009.6nmのファイバーレーザーや半導体レーザーの第4高調波を用いるようにしてもよいし、あるいは、波長504.8nmの半導体レーザーの第2高調波を用いるようにしてもよいし、あるいは、波長252.4.nmの半導体レーザーを用いるようにしてもよい。
【0099】
ここで、上記したシリコン用CWレーザー121として用いることのできるコヒーレント光源、即ち、原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源として適用できる深紫外域の波長のCWレーザー光を発生するコヒーレント光源の構成について、図15乃至図17を参照しながら詳細に説明する。
【0100】
図15には、シリコン用CWレーザー121として用いることのできるコヒーレント光源500の概略構成が示されており、このコヒーレント光源500は、第1の波長のレーザー光を生成する第1のレーザー光生成システムとしての第1段階(First stage)外部共振器型波長変換システム1000と、第2の波長のレーザー光を生成するとともに第1段階外部共振器型波長変換システム1000において生成された第1の波長のレーザー光を導入し、第1の波長のレーザー光と第2の波長のレーザー光との和周波混合により第3の波長のレーザー光を高効率に発生させる第2のレーザー光生成システムとしての第2段階(Second stage)外部共振器型波長変換システム2000とよりなる、2段階の外部共振器型波長変換システムから構成されている。
【0101】
そして、コヒーレント光源500の第1段階外部共振器型波長変換システム1000は、Nd:YVOレーザーの第2高調波により励起されて波長746nmのレーザー光を出射するリング型単一モードチタンサファイヤレーザー(Ti:sapphire laser 746nm)1002と、リング型単一モードチタンサファイヤレーザー1002から出射されたレーザー光を調整して出射するアイソレータ(ISR)1004と、アイソレータ1004から出射されたレーザー光のモード整合を行うためのモード整合用レンズ(ML)1006と、モード整合用レンズ1006から出射されたレーザー光が入射される共振器本体1008と、共振器本体から出射されたレーザー光を集光する第1集光レンズ1010と、第1集光レンズ1010から出射されたレーザー光をさらに集光する第2集光レンズ1012と、第2集光レンズ1012から出射されたレーザー光の光路を変えるための全反射ミラー1014と、全反射ミラー1014から出射されたレーザー光のモード整合を行うためのモード整合用レンズ(ML)1016と、共振器本体1008を構成する入力結合ミラー(M1)1008−1(後述する。)を透過したレーザー光の偏光を利用した誤差信号発生器(HC)1018と、誤差信号発生器1018から出力された誤差信号に基づいて共振器本体1008を構成する全反射ミラー(M2)1008−2(後述する。)の配設位置を微動するピエゾ素子(PZT)1008−5(後述する。)を駆動するサーボ機構(servo)1020とを有して構成されている。
【0102】
ここで、共振器本体1008は、モード整合用レンズ1006から出射された波長746nmのレーザー光を共振器本体1008内へ導入する入力結合ミラー1008−1と、ピエゾ素子1008−5の駆動により配設位置を微動する全反射ミラー1008−2と、全反射ミラー(M3)1008−3と、共振器本体1008の外部へレーザー光を出射する出力ミラー1008−4と、全反射ミラー1008−2の設定位置を微動するピエゾ素子1008−5と、全反射ミラー1008−3と出力ミラー1008−4とを結ぶ光路上に配置されたLiB結晶(LBO)1008−6とを有して構成されている。
【0103】
このLiB結晶1008−6は、波長746nmのレーザー光の第2高調波(波長373nm)を発生する。また、LiB結晶1008−6の切り出し角度は「θ=90°」、「φ=37.5°」であり、結晶長は15mmであり、入力側(全反射ミラー1008−3側)に波長746nmの無反射コーティングを施し、出力側(出力ミラー1008−4側)に746nmと373nmとの無反射コーティングを施した。
【0104】
入力結合ミラー1008−1は、波長746nmのレーザー光の2%を透過し、波長373nmのレーザー光は透過せず、波長746nmのレーザー光の98%を反射し、波長373nmのレーザー光の99.9%以上を反射するように設定されている。また、全反射ミラー1008−2は、波長746nmのレーザー光を透過せず、波長373nmのレーザー光を透過せず、波長746nmのレーザー光の99.9%以上を反射し、波長373nmのレーザー光の99.9%以上を反射するように設定されている。また、全反射ミラー1008−3は、波長746nmのレーザー光を透過せず、波長373nmのレーザー光を透過せず、波長746nmのレーザー光の99.9%以上を反射し、波長373nmのレーザー光の99.9%以上を反射するように設定されている。また、出力ミラー1008−4は、2重に多層膜コーディングが施されていて、波長373nmのレーザー光の95%を透過し、波長746nmのレーザー光の99.9%以上を反射するように設定されている。
【0105】
そして、上記した4枚のミラー(入力結合ミラー1008−1、全反射ミラー1008−2、全反射ミラー1008−3および出力ミラー1008−4)は、モード整合用レンズ1006から出射された波長746nmのレーザー光が、当該レーザー光を入射された入力結合ミラー1008−1を透過して全反射ミラー1008−2へ進行し、全反射ミラー1008−2から全反射ミラー1008−3へ進行し、全反射ミラー1008−3からLiB結晶1008−6を通過して出力ミラー1008−4へ進行し、出力ミラー1008−4から入力結合ミラー1008−1へ進行する光路となるように配置されている。従って、入力結合ミラー1008−1、全反射ミラー1008−2、全反射ミラー1008−3および出力ミラー1008−4によって囲まれた領域におけるレーザー光の光路は、X字形状に交差することになる。
【0106】
ここで、全反射ミラー1008−3からLiB結晶1008−6を通過して出力ミラー1008−4へ進行したレーザー光のなかの波長373nmのレーザー光は、その95%が透過して第1集光レンズ1010へ進行する。また、出力ミラー1008−4から入力結合ミラー1008−1へ進行したレーザー光のなかの波長746nmのレーザー光は、その2%が透過して誤差信号発生器1018へ進行する。
【0107】
そして、コヒーレント光源500の第2段階外部共振器型波長変換システム2000は、波長780nmのレーザー光を出射する単一モード半導体レーザー(LD 780nm)2002と、単一モード半導体レーザー2002から出射されたレーザー光を調整して出射するアイソレータ(ISR)2004と、アイソレータ2004から出射されたレーザー光のモード整合を行うためのモード整合用レンズ(ML)2006と、モード整合用レンズ2006から出射されたレーザー光が入射される共振器本体2008と、共振器本体2008から出射された波長252nmのレーザー光を反射してコヒーレント光源500の外部へ誘導する高反射ミラー(HR252)2010と、共振器本体2008を構成する入力結合ミラー(M5)2008−1(後述する。)を透過したレーザー光の偏光を利用した誤差信号発生器(HC)2012と、誤差信号発生器2012から出力された誤差信号に基づいて単一モード半導体レーザー2002を駆動するサーボ機構(servo)2014と、共振器本体2008を構成する入力結合ミラー(M6)2008−2(後述する。)を透過したレーザー光の偏光を利用した誤差信号発生器(HC)2016と、誤差信号発生器2016から出力された誤差信号に基づいて共振器本体2008を構成する全反射ミラー(M7)2008−3(後述する。)の配設位置を微動するピエゾ素子(PZT)2008−5(後述する。)を駆動するサーボ機構(servo)2018とを有して構成されている。
【0108】
ここで、共振器本体2008は、モード整合用レンズ2006から出射された波長780nmのレーザー光を共振器本体2008内へ導入する入力結合ミラー2008−1と、第1段階外部共振器型波長変換システム1000から出射された波長373nmのレーザー光を共振器本体2008内へ導入する入力結合ミラー2008−2と、ピエゾ素子2008−5の駆動により配設位置を微動する全反射ミラー(M7)2008−3と、共振器本体2008の外部へレーザー光を出射する出力ミラー(M8)2008−4と、全反射ミラー2008−3の設定位置を微動するピエゾ素子2008−5と、全反射ミラー2008−3と出力ミラー2008−4とを結ぶ光路上に配置されたβ−BaB結晶(BBO)2008−6とを有して構成されている。このβ−BaB結晶2008−6は、後述するように和周波混合により波長252nmのレーザー光を発生する。
【0109】
入力結合ミラー2008−1は、2重に多層膜コーディングが施されていて、波長780nmのレーザー光の2%を透過し、波長373nmのレーザー光の0.02%を透過し、波長780nmのレーザー光の98%を反射し、波長373nmのレーザー光の99.8%を反射するように設定されている。また、入力結合ミラー2008−2は、2重に多層膜コーディングが施されていて、波長373nmのレーザー光の2%を透過し、波長780nmのレーザー光の0.02%を透過し、波長373nmのレーザー光の98%を反射し、波長780nmのレーザー光の99.8%を反射するように設定されている。また、全反射ミラー2008−3は、波長746nmのレーザー光を透過せず、波長373nmのレーザー光を透過せず、波長746nmのレーザー光の99.9%以上を反射し、波長373nmのレーザー光の99.9%を反射するように設定されている。また、出力ミラー2008−4は、3重に多層膜コーディングが施されていて、波長252nmのレーザー光に対しては84%透過するが、波長373nmならびに波長780nmのレーザー光に対しては99.8%以上の反射率をもつ。
【0110】
そして、上記した4枚のミラー(入力結合ミラー2008−1、入力結合ミラー2008−2、全反射ミラー2008−3および出力ミラー2008−4)は、モード整合用レンズ2006から出射された波長746nmのレーザー光が、当該レーザー光を入射された入力結合ミラー2008−1を透過して入力結合ミラー2008−2へ進行し、入力結合ミラー2008−2から全反射ミラー2008−3へ進行し、全反射ミラー2008−3からβ−BaB結晶2008−6を通過して出力ミラー2008−4へ進行し、出力ミラー2008−4から入力結合ミラー1008−1へ進行する光路となるように配置されているとともに、第1段階外部共振器型波長変換システム1000から出射された波長373nmのレーザー光が、当該レーザー光を入射された入力結合ミラー2008−2を透過して全反射ミラー2008−3へ進行し、全反射ミラー2008−3からβ−BaB結晶2008−6を通過して出力ミラー2008−4へ進行し、出力ミラー2008−4から入力結合ミラー1008−1へ進行し、入力結合ミラー1008−1から入力結合ミラー2008−2へ進行する光路となるように配置されている。従って、入力結合ミラー2008−1、入力結合ミラー2008−2、全反射ミラー2008−3および出力ミラー2008−4によって囲まれた領域におけるレーザー光の光路は、X字形状に交差することになる。
【0111】
ここで、全反射ミラー2008−3へ進行したレーザー光のなかの波長252nmのレーザー光は、その84%が透過して高反射ミラー(HR252)2010へ進行する。また、出力ミラー2008−4から入力結合ミラー2008−1へ進行したレーザー光のなかの波長746nmのレーザー光は、その2%が透過して誤差信号発生器2012へ進行し、入力結合ミラー2008−1から入力結合ミラー2008−2へ進行したレーザー光のなかの波長373nmのレーザー光は、その2%が透過して誤差信号発生器2016へ進行する。
【0112】
次に、コヒーレント光源500における動作の概要について説明すると、まず、第1段階外部共振器型波長変換システム1000において、リング型単一モードチタンサファイヤレーザー1002から出射される波長746nmのレーザー光を共振器本体1008に導入し、共振器本体1008内で光強度を増強させ、共振器本体1008内のLiB結晶2008−6により第2高調波(波長373nm)を効率よく発生させる。
【0113】
続いて、第2段階外部共振器型波長変換システム2000において、第1段階外部共振器型波長変換システム1000で得られた第2高調波の波長373nmのレーザー光と単一モード半導体レーザー2002の波長780nmのレーザー光とを共振器本体2008に導き、波長373nmのレーザー光の共振を保ちつつ、共振器長を固定し、波長780nmのレーザー光の周波数を微調整し、安定化することによって両波長を二重に共振させる。この二波長同時に共振させることにより各々の光強度を同時に増大させ、共振器本体2008内のβ−BaB結晶2008−6による和周波混合により波長252nmのレーザー光を高効率に発生させるものである。
【0114】
次に、第1段階外部共振器型波長変換システム1000における第2高調波発生の詳細について説明する。
【0115】
第1段階外部共振器型波長変換システム1000においては、リング型単一モードCWチタンサファイヤレーザー1002から出力される波長746nmのレーザー光は、X字形状の光路を備えた共振器本体1008にモード整合用レンズ1006を通して導入される。この共振器本体1008は偏光を利用し、全反射ミラー1008−2に付設されたピエゾ素子1008−5に誤差信号をフィードバックしながら内部の光強度を増強している。
【0116】
上記したように、非線形光学結晶として用いたLiB結晶1008−6の切り出し角度は「θ=90°」、「φ=37.5°」であり、結晶長は15mmであり、入力側に波長746nmの無反射コーティングが施され、出力側に746nmと373nmとの無反射コーティングが施されている。
【0117】
また、外部共振本体1088の光路の1周の損失が2%と見積もれるため、入力結合ミラー1008−1の反射率を98%として、光学的なインピーダンス整合を図った。
【0118】
出力ミラー1008−4は、上記したように、2重に多層膜コーティングが施されていて、波長373nmのレーザー光の95%を透過し、波長746nmのレーザー光を99.9%を反射するように構成されている。なお、全反射ミラー1008−3および出力ミラー1008−4の焦点距離は100mmであり、共振器本体1008の光路の一周の長さは650mmとした。
【0119】
4枚のミラー(入力結合ミラー1008−1、全反射ミラー1008−2、全反射ミラー1008−3および出力ミラー1008−4)とLiB結晶2008−6との配置は、共振器本体1008のモードと入力ビームのモードとが一致し、LiB結晶2008−6の中央でのビームウエストサイズが最適になるように計算された最適値35μmになるように設定した。最適条件では、単一光路の変換効率が「9.1×10−5−1」になる。外部共振器1008から出射された第2高調波は、非線形結晶のウオークオフにより生じる縦横異なる発散角を補償するために、2枚の集光レンズ1010,1012により、横方向、縦方向を独立に平行化した。
【0120】
図16は、測定された第2高調波出力の入力基本波依存性を示している。最大500mWの第2高調波出力を得たが、これは、LiB結晶1008−6や出力ミラー1008−4の透過率を考慮すると、LiB結晶1008−6の直後では520mW以上の出力が出ていたことを意味する。入力基本波から第2高調波出力への変換効率は、実に40%以上である。
【0121】
測定されたエンハンスメント・ファクターは72で、単一光路の変換効率が最適値の65%の「5.9×10−5−1」になっていることを示している。この原因として、ミスアライメントによるビームウエストの食い違いなどがあげられる。不完全なコーティングによる損失を含む、一周の損失が1%と見積もられる。入力結合ミラー1008−1の反射率を最適化することにより、光学的なインピーダンス整合の向上を図ることができる。
【0122】
次に、第2段階外部共振器型波長変換システム2000における和周波発生の詳細について説明する。
【0123】
図15の下部に示す第2段階外部共振器型波長変換システム2000における共振器本体2008は、第1段階外部共振器型波長変換システム1000における共振器本体1008と同様にX字形状の光路を備えており、テーパー型増幅器半導体レーザー2002から出力される波長780nmのレーザー光の入力結合ミラー2008−1と、第1段階外部共振器型波長変換システム1000における共振器本体1008で得られた第2高調波(波長373nm)の入力結合ミラー2008−2を備えている。
【0124】
上記したように、これら2枚の入力結合ミラーはそれぞれの波長で98%の反射率を持つが、もう一方の波長に対しては99.8%以上の反射率を持つ。また、出力ミラー2008−4は、3重に多層膜コーティングしてあり、波長252nmに対しては84%透過するが、373nmならびに780nmの波長に対しては99.8%以上の反射率を持つ。
【0125】
全反射ミラー2008−3ならびに出力ミラー2008−4として曲率50mmの凹面鏡を使い、共振器長を第1段階外部共振器型波長変換システム1000における共振器本体1008の約半分の約300mmに設定した。
【0126】
また、第2段階外部共振器型波長変換システム2000の非線形結晶として、10mm長の47.4°カットβ−BaB結晶2008−6を用いている。β−BaB結晶2008−6の両端面で2つの入力光(波長780nmのレーザー光および第2高調波(波長373nmのレーザー光))に対しての無反射コーティングを施し、特に、出力側で波長252nm光に対して、95%の透過が得られるように更にコーティングしている。
【0127】
第2段階外部共振器型波長変換システム2000における共振器本体2008では、異なる2つの周波数の光を共振させるフィードバックループが形成されることになる。
【0128】
即ち、第1のフィードバックループにより、全反射ミラー2008−3に取り付けてあるピエゾ素子2008−5を使って、波長373nmの光を共振させるように共振器長を制御した。即ち、共振器長を固定した後、単一モード半導体レーザー2002の発振周波数がちょうど安定化した共振器周波数に一致するようにフィードバックをかけ、波長373nmのレーザー光と波長780nmのレーザー光との同一共振器での同時共振を実現した。
【0129】
図17に、波長780nmのレーザー光の入力パワーを横軸にとり、共振器本体2008から取り出した波長252nmのレーザー光の出力の測定値を縦軸にとって示す。波長373nmのレーザー光が480mW、波長780nmのレーザー光が380mWのとき、50mWの波長252nmのレーザー光を共振器本体2008から取り出すことができた。出力ミラー2008−4やβ−BaB結晶2008−6の透過率から、発生した波長252nmのレーザー光は60mWを越えていて、和周波の変換効率は7%と見積もられる。エンハンスメント・ファクターは、波長780nmのレーザー光に対して92、波長373nmのレーザー光に対して34、全共振器内損失は、波長780nmのレーザー光に対して0.6%、波長373nmのレーザー光に対して2.5%であった。これらの損失を考慮すると、共振器のフィネスは、波長780nmのレーザー光に対して241、波長373nmのレーザー光に対して141と計算できる。
【0130】
自由スペクトル域とフィネスとの関係から線幅を求めると、波長780nmのレーザー光に対して4.1MHz、波長373nmのレーザー光に対して7.1MHzと見積もることができた。
【0131】
この結果から、波長252nmのレーザー光の線幅は高々12MHzと見積もられ、シリコン原子のレーザー冷却遷移の自然幅の29MHz以内であることがわかる。
【0132】
また、単一モード半導体レーザー2002から出射されるレーザー光の波長を780nmから785nmに変化させ、最適な結晶の角度に調節すると、波長251nmから波長253nmまでの波長範囲を、ほぼ50mWの出力を低下させることなく同調することができた。同調範囲が広いことは、シリコンの同位体制御を容易に可能にするものである。
【0133】
なお、上記においては、本発明をシリコン原子の冷却に適用することを中心に説明したが、本発明はシリコン原子以外の他の原子にも同様に適用することができることは勿論である。
【0134】
以下、本発明をシリコン原子以外の他の原子に適用する一例として、本発明をゲルマニウム原子に適用する場合について説明する。
【0135】
まず、図18を参照しながら、ゲルマニウム原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の実施の形態について説明する。
【0136】
この図18に示すゲルマニウム原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の実施の形態の一例は、散乱力によるゲルマニウム原子の減速を行うための光源(以下、「ゲルマニウム減速用ピコ秒コヒーレント光源」と称する。)であり、例えば、図5に示す本発明レーザー冷却装置50のコヒーレント光源部52や、図8(a)に示す本発明レーザー冷却装置80の第1のコヒーレント光源部、第2のコヒーレント光源部あるいは第3のコヒーレント光源部や、図9(a)に示す第1のコヒーレント光源部あるいは第2のコヒーレント光源部として用いることができることは勿論であり、また、後述する図20に示す本発明レーザー冷却装置におけるコヒーレント光源として用いることができる。
【0137】
この図18に示すゲルマニウム減速用ピコ秒コヒーレント光源130は、波長271.0nmのコヒーレント光を照射することができるように構成されており、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー131と、第1波長変換素子132と、第2波長変換素子133と、波長分散素子134と、半透過ミラー135と、全反射ミラー136と、レーザー波長分光部137と、周波数制御用エラーシグナル発生器138とを有して構成されている。なお、半透過ミラー135と、全反射ミラー136と、レーザー波長分光部137と、周波数制御用エラーシグナル発生器138とによって、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー131へフィードバック信号としてエラーシグナルを入力するためのフィードバックループが形成されている。
【0138】
ここで、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー131は、波長813nmでパルス幅1ps〜1000ps(フーリエ変換限界パルスで周波数幅1000GHz〜1GHz)のコヒーレント光を出射する。
【0139】
まず、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー131から出射された波長813nmのコヒーレント光は第1波長変換素子132に入射され、第1波長変換素子132により波長813nmのコヒーレント光とその第2高調波の波長406.5nmのコヒーレント光とが得られる。
【0140】
そして、第1波長変換素子132から出射された波長813nmおよび波長406.5nmのコヒーレント光は第2波長変換素子133に入射され、第2波長変換素子133により波長813nmのコヒーレント光とその第2高調波の波長406.5nmのコヒーレント光とその第3高調波の271.0nmのコヒーレント光とが得られる。
【0141】
さらに、第2波長変換素子133から出射された波長813nm、波長406.5nmおよび波長271.0nmのコヒーレント光は波長分散素子134に入射され、波長分散素子134からは波長271.0nmのコヒーレント光のみ出射され、半透過ミラー135を透過してゲルマニウム原子の散乱力による減速のために用いられる。なお、波長分散素子134は、例えば、プリズム、グレーティング、多層膜ミラーあるいはフィルターなどにより構成される。
【0142】
一方、半透過ミラー135により反射された波長271.0nmのコヒーレント光は、全反射ミラー136によって反射されて、波長計やゲルマニウムホローカソード管などから構成されるレーザー波長分光部137に入射される。
【0143】
このレーザー波長分光部137において入射されたコヒーレント光の波長が計測され、その計測結果が周波数制御用エラーシグナル発生器138へ入力される。
【0144】
周波数制御用エラーシグナル発生器138においては、入力された計測結果に基づいて、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー131が常に波長813nmのコヒーレント光を発生するようにエラーシグナルをフィードバックする。
【0145】
こうしたフィードバック制御により、常に波長271.0nmのコヒーレント光をゲルマニウム原子に照射することが可能となる。
【0146】
また、図19には、図18に示したゲルマニウム減速用ピコ秒コヒーレント光源130の他の実施の形態の一例が示されている。なお、図18に示した構成と同一または相当する構成には、図18に用いた符号と同一の符号に「’」を付して示すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0147】
図19に示すゲルマニウム減速用ピコ秒コヒーレント光源130’は、波長271.0nmのコヒーレント光を照射することができるように構成されており、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー131’と、第1波長変換素子132’と、第2波長変換素子133’と、波長分散素子134’と、半透過ミラー135’と、全反射ミラー136’と、レーザー波長分光部137’と、周波数制御用エラーシグナル発生器138’とを有して構成されている。なお、半透過ミラー135’と、全反射ミラー136’と、レーザー波長分光部137’と、周波数制御用エラーシグナル発生器138’とによって、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー131’へフィードバック信号としてエラーシグナルを入力するためのフィードバックループが形成されている。
【0148】
ここで、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー131’は、波長1084nmでパルス幅1ps〜1000ps(フーリエ変換限界パルスで周波数幅1000GHz〜1GHz)のコヒーレント光を出射する。
【0149】
まず、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー131’から出射された波長1084nmのコヒーレント光は第1波長変換素子132’に入射され、第1波長変換素子132’により波長1084nmのコヒーレント光とその第2高調波の波長542nmのコヒーレント光とが得られる。
【0150】
そして、第1波長変換素子132’から出射された波長542nmのコヒーレント光は第2波長変換素子133’に入射され、第2波長変換素子133’により波長542nmのコヒーレント光とその第2高調波の波長271.0nmのコヒーレント光とが得られる。
【0151】
さらに、第2波長変換素子133’から出射された波長542nmおよび波長271.0nmのコヒーレント光と第1波長変換素子132’から出射された波長1084nmのコヒーレント光とが、波長分散素子134’に入射され、波長分散素子134’からは波長271.0nmのコヒーレント光のみ出射され、半透過ミラー135’を透過してゲルマニウム原子の散乱力による減速のために用いられる。なお、波長分散素子134’は、例えば、プリズム、グレーティング、多層膜ミラーあるいはフィルターなどにより構成される。
【0152】
一方、半透過ミラー135’により反射された波長271.0nmのコヒーレント光は、全反射ミラー136’によって反射されて、波長計やゲルマニウムホローカソード管などから構成されるレーザー波長分光部137’に入射される。
【0153】
このレーザー波長分光部137’において入射されたコヒーレント光の波長が計測され、その計測結果が周波数制御用エラーシグナル発生器138’へ入力される。
【0154】
周波数制御用エラーシグナル発生器138’においては、入力された計測結果に基づいて、モード同期(ロック)ピコ秒レーザー131’が常に波長1084nmのコヒーレント光を発生するようにエラーシグナルをフィードバックする。
【0155】
こうしたフィードバック制御により、常に波長271.0nmのコヒーレント光をゲルマニウム原子に照射することが可能となる。
【0156】
次に、図20を参照しながら、原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源として図18に示す1台のゲルマニウム減速用ピコ秒コヒーレント光源130を用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したゲルマニウム減速用ピコ秒コヒーレント光源)の実施の形態の一例について説明する。なお、図18に示した構成と同一または相当するの構成には、図18に用いた符号と同一の符号を用いて示すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0157】
この本発明レーザー冷却装置140は、偏光制御部として、第1半波長板141と、位相変調器142と、第2半波長板143と、変調器ドライバー144と、周波数変換器145とが配設されている。
【0158】
ここで、周波数変換器145はモード同期周波数を入力され、そのモード同期周波数を周波数変換することにより、ゲルマニウム原子の自然放出寿命の略2倍の周期で変調器ドライバー144から変調信号が位相変調器142に出力されるように、変調器ドライバー144に制御信号を出力する。即ち、位相変調器142から出力されるコヒーレント光の偏光が、ゲルマニウム原子の自然放出寿命の略2倍の周期で切り替わるように設定されている。
【0159】
つまり、この偏光制御部により、波長271.0nmのコヒーレント光の偏光が、自然放出寿命の略2倍の周波数で切り替わるように制御されることになる。
【0160】
次に、図20に示す本発明レーザー冷却装置の他の実施の形態の一例として、図21を参照しながら、原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源として図19に示す1台のゲルマニウム減速用ピコ秒コヒーレント光源130’を用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したゲルマニウム減速用ピコ秒コヒーレント光源)の実施の形態の一例について説明する。なお、図19に示した構成と同一または相当する構成には、図19において用いた符号と同一の符号を用いて示すこととし、また、図20に示した構成と同一または相当する構成には、図20に用いた符号に「’」を付して示すことにより、その詳細な説明は省略する。
【0161】
この本発明レーザー冷却装置140’は、偏光制御部として、第1半波長板141’と、位相変調器142’と、第2半波長板143’と、変調器ドライバー144’と、周波数変換器145’とが配設されている。
【0162】
ここで、周波数変換器145’はモード同期周波数を入力され、そのモード同期周波数を周波数変換することにより、ゲルマニウム原子の自然放出寿命の略2倍の周期で変調器ドライバー144’から変調信号が位相変調器142’に出力されるように、変調器ドライバー144’に制御信号を出力する。即ち、位相変調器142’から出力されるコヒーレント光の偏光が、ゲルマニウム原子の自然放出寿命の略2倍の周期で切り替わるように設定されている。
【0163】
つまり、この偏光制御部により、波長271.0nmのコヒーレント光の偏光が、自然放出寿命の略2倍の周波数で切り替わるように制御されることになる。
【0164】
次に、図22を参照しながら、所定波長のコヒーレント光を発生する原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源としてCWレーザーを用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したゲルマニウム減速/冷却用CWコヒーレント光源)の実施の形態の一例について説明する。
【0165】
この、図22に示す本発明レーザー冷却装置150においては、上記したCWレーザーとして、具体的には、1台の波長271nmのCWレーザーを用いている。
【0166】
この本発明レーザー冷却装置150は、ゲルマニウム原子に関して散乱力による減速と散乱力による冷却との双方を実施することができる。
【0167】
即ち、本発明レーザー冷却装置150は、原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源として波長271nmのゲルマニウム用CWレーザー151を用いるとともに、偏光制御部として、第1半波長板152と、位相変調器153と、第2半波長板154と、変調器ドライバー155と、発振器156と、第1レンズ157aと、音響光学素子158と、第2レンズ157bと、音響光学素子ドライバー159とが配設されている。
【0168】
ここで、ゲルマニウム原子を散乱力により減速する場合には、音響光学素子158を使用して時間的に周波数を変化させて、チャープ冷却を行う。
【0169】
また、ゲルマニウム原子を散乱力により冷却する際には、音響光学素子158は時間的に偏光を分離する効果と周波数を最適化するのに都合がよい。
【0170】
なお、ゲルマニウム用CWレーザー151と第1半波長板152との間に電気光学シフター(EOシフター)を追加で組み込んで周波数シフト量をかせいだ方がチャープ冷却には有効な場合があるので、適宜に電気光学シフターを当該位置に配設するようにしてよい。
【0171】
なお、波長271nmのゲルマニウム用CWレーザー151としては、例えば、波長1084nmのファイバーレーザーや半導体レーザーの第4高調波を用いるようにしてもよいし、あるいは、波長542nmの半導体レーザーの第2高調波を用いるようにしてもよいし、あるいは、波長271nmの半導体レーザーを用いるようにしてもよい。
【0172】
なお、上記した実施の形態においては、冷却対象の原子としてシリコン原子とゲルマニウム原子を取り扱ったが、これに限られるものではないことは勿論であり、冷却対象の原子として種々の元素の原子を取り扱うようにすることができる。
【0173】
即ち、取り扱う原子を構成する所定の種類の原子、例えば、各種の同位体の中の所望のものの原子共鳴線と一致もしくは正または負に離調した波長を備えたコヒーレント光を、コヒーレント光源装置から当該原子ビームに照射することにより、上記した実施の形態と同様の作用効果を得ることができる。
【0174】
【発明の効果】
本発明は、以上説明したように構成されているので、シリコンやゲルマニウムなどの半導体原子を含む各種の原子をレーザー冷却することを可能にした偏光制御による原子のレーザー冷却方法およびその装置を提供することができるという優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】中性原子に働く力(散乱力)の説明図である。
【図2】シリコンの自然幅(半値全幅)と、ドップラー冷却温度と、ドップラー冷却温度である220マイクロケルビンに到達するのに要する時間(停止時間)とを求める数式を示す図表である。
【図3】ドップラー幅を求める数式を示す図表である。
【図4】本発明の原理を示す説明図であり、(a)はエネルギー準位を示し、(b)は各エネルギー準位に存在するシリコン原子の数を求めるための連立微分方程式であり、(c)は各偏光のコヒーレント光を照射するタイミングを示すタイミングチャートである。
【図5】本発明による原子のレーザー冷却装置の実施の形態の一例の概念構成説明図である。
【図6】複屈折結晶によるレーザー光の位相の変化の様子を示す説明図であり、(a)はo軸とe軸との間で位相が−π/2ずれた場合に左回りの偏光(σ−)となることを示し、(b)はo軸とe軸との間で位相のずれがない場合に直線偏光(π)となることを示し、(c)はo軸とe軸との間で位相がπ/2ずれた場合に右回りの偏光(σ+)となることを示す。
【図7】1光子の吸収・放出に要する時間が自然放出寿命(τ)の2倍となることを示す説明図である。
【図8】第1乃至第3のコヒーレント光源として3台のコヒーレント光源装置を用いて原子をレーザー冷却する場合を示す説明図であり、(a)は本発明による原子のレーザー冷却装置の実施の形態の一例の概念構成説明図であり、(b)は各偏光のコヒーレント光を照射するタイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】第1および第2のコヒーレント光源として2台のコヒーレント光源装置を用いて原子をレーザー冷却する場合を示す説明図であり、(a)は本発明による原子のレーザー冷却装置の実施の形態の一例の概念構成説明図であり、(b)は各偏光のコヒーレント光を照射するタイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の実施の形態の一例を示す構成説明図であり、より詳細には、散乱力によるシリコン原子の減速を行うための光源としての原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の構成説明図である。
【図11】原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の他の実施の形態の一例を示す構成説明図であり、より詳細には、散乱力によるシリコン原子の減速を行うための光源としての原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の構成説明図である。
【図12】原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源として図10に示す1台のシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源を用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源)の実施の形態の一例の構成説明図である。
【図13】原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源として図11に示す1台のシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源を用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源)の実施の形態の一例の構成説明図である。
【図14】1台の波長252.4nmのCWレーザーを原子冷却に用いるコヒーレント光源として用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したシリコン減速/冷却用CWコヒーレント光源)の実施の形態の一例の構成説明図である。
【図15】図14において符号121により示す波長252.4nmのシリコン用CWレーザーとして用いることのできるコヒーレント光源の構成を示す概略構成説明図である。
【図16】図15に示すコヒーレント光源の第2高調波発生における入出力特性を示すグラフであり、波長746nmの入力光に対する波長373nmの出力光の入出力特性を示す。
【図17】図15に示すコヒーレント光源の波長252nm和周波発生における入出力特性を示すグラフであり、波長373nmの入力光を480mWで一定とした場合における、波長780nmの入力光に対する波長252nmの出力光の入出力特性を示す。
【図18】原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の実施の形態の一例を示す構成説明図であり、より詳細には、散乱力によるゲルマニウム原子の減速を行うための光源としての原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の構成説明図である。
【図19】原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の他の実施の形態の一例を示す構成説明図であり、より詳細には、散乱力によるゲルマニウム原子の減速を行うための光源としての原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源の構成説明図である。
【図20】原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源として図18に示す1台のゲルマニウム減速用ピコ秒コヒーレント光源を用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したゲルマニウム減速用ピコ秒コヒーレント光源)の実施の形態の一例の構成説明図である。
【図21】原子のレーザー冷却に用いるコヒーレント光源として図19に示す1台のゲルマニウム減速用ピコ秒コヒーレント光源を用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したシリコン減速用ピコ秒コヒーレント光源)の実施の形態の一例の構成説明図である。
【図22】1台の波長271nmのCWレーザーを原子冷却に用いるコヒーレント光源として用いた本発明レーザー冷却装置(偏光制御機能を付加したシリコン減速/冷却用CWコヒーレント光源)の実施の形態の一例の構成説明図である。
【符号の説明】
50 本発明レーザー冷却装置
52 コヒーレント光源部
54 偏光制御部
500 コヒーレント光源
1000 第1段階(First stage)外部共振器型波長変換システム
1002 リング型単一モードチタンサファイヤレーザー(Ti:sapphire laser 746nm)
1004 アイソレータ(ISR)
1006 モード整合用レンズ(ML)
1008 共振器本体
1008−1 入力結合ミラー(M1)
1008−2 全反射ミラー(M2)
1008−3 全反射ミラー(M3)
1008−4 出力ミラー
1008−5 ピエゾ素子(PZT)
1008−6 LiB結晶(LBO)
1010 第1集光レンズ
1012 第2集光レンズ
1014 全反射ミラー
1016 モード整合用レンズ(ML)
1018 誤差信号発生器(HC)
1020 サーボ機構(servo)
2000 第2段階(Second stage)外部共振器型波長変換システム
2002 単一モード半導体レーザー(LD 780nm)
2004 アイソレータ(ISR)
2006 モード整合用レンズ(ML)
2008 共振器本体
2008−1 入力結合ミラー(M5)
2008−2 入力結合ミラー(M6)
2008−3 全反射ミラー(M7)
2008−4 出力ミラー(M8)
2008−5 ピエゾ素子(PZT)
2008−6 β−BaB結晶(BBO)
2010 高反射ミラー(HR252)
2012 誤差信号発生器(HC)
2014 サーボ機構(servo)
2016 誤差信号発生器(HC)
2018 サーボ機構(servo)

Claims (8)

  1. エネルギー準位における基底状態の冷却下準位として複数の磁気副準位を有する原子をレーザー冷却する原子のレーザー冷却方法であって、
    レーザー冷却の対象となる原子の基底状態の冷却下準位たる複数の磁気副準位に応じた複数の異なる偏光をそれぞれ有する所定波長のコヒーレント光を、所定の時間間隔でずらして順次に原子に照射するようにした
    ものである原子のレーザー冷却方法。
  2. 請求項1に記載の原子のレーザー冷却方法において、
    前記所定の時間間隔は、1光子の吸収・放出に要する時間たる原子の自然放出寿命の略2倍の時間間隔である
    原子のレーザー冷却方法。
  3. エネルギー準位における基底状態の冷却下準位として複数の磁気副準位を有する原子をレーザー冷却する原子のレーザー冷却装置であって、
    所定波長のコヒーレント光を発生するコヒーレント光源と、
    前記コヒーレント光源から出射されたコヒーレント光の偏光を制御して、所定の時間間隔で異なる偏光のコヒーレント光を原子に照射する偏光制御手段と
    を有し、
    前記偏光制御手段により照射されるコヒーレント光の偏光は、レーザー冷却の対象となる原子の基底状態の冷却下準位たる複数の磁気副準位に応じた複数の異なる偏光とそれぞれ対応した
    ものである原子のレーザー冷却装置。
  4. エネルギー準位における基底状態の冷却下準位として複数の磁気副準位を有する原子をレーザー冷却する原子のレーザー冷却装置であって、
    レーザー冷却の対象となる原子の基底状態の冷却下準位たる複数の磁気副準位に応じた複数の異なる偏光をそれぞれ有する所定波長のコヒーレント光をそれぞれ出射する複数のコヒーレント光源を有し、
    前記複数のコヒーレント光源から出射される複数の異なる偏光をそれぞれ有する所定波長のコヒーレント光を、所定の時間間隔でずらして順次に原子に照射するようにしたものであり、
    前記複数のコヒーレント光源から出射されるコヒーレント光の偏光は、レーザー冷却の対象となる原子の基底状態の冷却下準位たる複数の磁気副準位に応じた複数の異なる偏光とそれぞれ対応した
    ものである原子のレーザー冷却装置。
  5. 請求項4に記載の原子のレーザー冷却装置において、
    前記複数のコヒーレント光源の少なくとも1つは、2つの異なる偏光のコヒーレント光を選択的に出射する
    ものである原子のレーザー冷却装置。
  6. 請求項3、請求項4または請求項5のいずれか1項に記載の原子のレーザー冷却装置において、
    前記所定の時間間隔は、1光子の吸収・放出に要する時間たる原子の自然放出寿命の略2倍の時間間隔である
    原子のレーザー冷却装置。
  7. エネルギー準位における基底状態の冷却下準位として複数の磁気副準位を有する原子をレーザー冷却する原子のレーザー冷却装置であって、
    所定波長のコヒーレント光を発生するコヒーレント光源と、
    半波長板と音響光学素子とを有し、前記コヒーレント光源から出射されたコヒーレント光の前記半波長板による偏光を制御して、所定の時間間隔で異なる偏光のコヒーレント光を原子に照射する偏光制御手段と
    を有し、
    前記音響光学素子を使用して時間的に周波数を変化させてチャープ冷却を行って原子を散乱力により減速するとともに、前記音響光学素子を使用して時間的に前記半波長板による偏光を分離するとともに周波数を最適化して原子を散乱力により冷却する
    ものである原子のレーザー冷却装置。
  8. エネルギー準位における基底状態の冷却下準位として複数の磁気副準位を有する原子をレーザー冷却する原子のレーザー冷却装置であって、
    第1の波長のレーザー光を生成する第1のレーザー光生成システムと、第2の波長のレーザー光を生成するとともに前記第1のレーザー光生成システムにおいて生成された前記第1の波長のレーザー光を導入し、前記第1の波長のレーザー光と前記第2の波長のレーザー光との和周波混合により第3の波長のレーザー光を生成する第2のレーザー光生成システムとを有するコヒーレント光源と、
    半波長板と音響光学素子とを有し、前記コヒーレント光源から出射されたコヒーレント光の前記半波長板による偏光を制御して、所定の時間間隔で異なる偏光のコヒーレント光を原子に照射する偏光制御手段と
    を有し、
    前記音響光学素子を使用して時間的に周波数を変化させてチャープ冷却を行って原子を散乱力により減速するとともに、前記音響光学素子を使用して時間的に前記半波長板による偏光を分離するとともに周波数を最適化して原子を散乱力により冷却する
    ものである原子のレーザー冷却装置。
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