JP3853181B2 - Method for separating steryl esters - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ステリルエステル(ステロールの脂肪酸エステル)を効率よく、高純度に精製する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ステロールの血中コレステロール値を低減させる機能が注目され、サラダ油、ドレッシング、マーガリン等にステロールあるいはステロール/ステリルエステル混合物が添加された商品が開発されている。そして、現在、ステロールあるいはステリルエステルの需要が高まりつつある。これらのステロールあるいはステリルエステルは、一般に植物油の精製工程の副産物中に存在するが、精製が困難であり、収率よく高純度のステリルエステルを得る新しい方法の開発が望まれている。
【0003】
これまでに、リパーゼを触媒として高純度のステロールを脂肪酸でエステル化し、ステリルエステルを製造する方法が開示されている(特公平5−33712号公報)。しかし、この方法では、高純度ステリルエステルを製造するには、高純度ステロールを原材料として使用しなければならず、製造されたステリルエステルはステロールより高価格となる。特開2000−302777号公報には、ビタミン、ステロール、脂肪酸、中性脂質、炭化水素などを含む混合物を、水を含む反応系でリパーゼ処理し、中性脂質の加水分解と同時にステロールを脂肪酸でエステル化してステリルエステルに変換した後、ステリルエステルを蒸留残渣として分離精製する方法が記載されている。この方法は植物油脱臭留出物を原料として用い、トコフェロールを精製する際に副産物として精製できるため高純度ステリルエステルの製造方法として優れている。
【0004】
この公報に記載の方法は、植物油脱臭留出物を蒸留して、その留分を原料として用い、植物油脱臭留出物の残渣(通常、スカム残渣といわれている)は廃棄物として廃棄されている。このスカム残渣中には、ステリルエステルが20〜70%含まれているため、その利用が求められているにも係わらず、ステリルエステルの有効な分離方法がない。そのため、このステリルエステルを含むスカム残渣は、未だに産業廃棄物として処理されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、近い将来のステロール、ステロール/ステリルエステル混合物、ステリルエステルの大量需要を予想すると、まだ利用されていない原料から高純度ステロールあるいはステリルエステルを効率よく精製する方法が望まれている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、ステリルエステルを含む混合物を出発原料として用い、ステリルエステルを高純度に精製する方法、特に、前記植物油脱臭留出物の蒸留残渣(スカム残渣)からステリルエステルを高純度に精製する方法を開発することを目的として研究を行い、本発明を完成するに至った。
【0007】
本発明は、ステリルエステルと中性脂質とを含む混合物からステリルエステルを分離する方法であって、該混合物中の中性脂質を加水分解、ケン化分解あるいはエステル交換する工程、および、該ステリルエステルを分離する工程、を含む方法を提供する。
【0008】
好ましい実施態様においては、前記中性脂質の加水分解あるいはエステル交換が、エステラーゼで行われる。
【0009】
好ましい実施態様においては、前記エステラーゼがリパーゼである。
【0010】
好ましい実施態様においては、前記ステリルエステルの分離が、高温、高真空下の蒸留である。
【0011】
さらに好ましい実施態様においては、前記混合物が植物油脱臭留出物の蒸留残渣である。
【0012】
さらに、本発明は ステリルエステルと中性脂質とを含む混合物からステリルエステルを分離する方法であって、該混合物に遊離脂肪酸または脂肪酸のアルコールエステルを添加し、該中性脂質中のジグリセリドをトリグリセリドに変換する工程、および、該ステリルエステルを分離する工程、を含む方法を提供する。
【0013】
好ましい実施態様においては、前記中性脂質中のジグリセリドのトリグリセリドへの変換がエステラーゼで行われる。
【0014】
また、 好ましい実施態様においては、前記エステラーゼがリパーゼである。
【0015】
好ましい実施態様においては、前記ステリルエステルの分離が、高温、高真空下の蒸留である。
【0016】
さらに好ましい実施態様においては、前記混合物が植物油脱臭留出物の蒸留残渣である。
【0017】
【発明の実施の形態】
(定義)
本発明においてステロールとは、β-シトステロール、ブラシカステロール、カンペステロール、スティグマステロールなどの、主に植物由来のステロールをいうが、これらに限定されない。
【0018】
ステリルエステルは、ステロールの脂肪酸エステルをいう。本発明においては、長鎖脂肪酸エステルが特に好ましく用いられる。長鎖脂肪酸としては、炭素数が12〜24程度の、飽和または不飽和の、直鎖または分岐脂肪酸が好ましく用いられる。
【0019】
中性脂質とは、特に断わらない限り、長鎖脂肪酸とグリセロールから構成される脂質をいい、モノグリセリド、ジグリセリド、トリグリセリドをいう。
【0020】
また低級アルコールとは、炭素数1〜10程度の直鎖あるいは分岐のアルコールをいい、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノールなどが例示される。
【0021】
(出発材料)
ステリルエステルと中性脂質とを含む混合物としては、特に制限はない。植物、微生物などいずれの起源のものでもよく、好ましくは植物由来のもの、さらに好ましくは、植物油脱臭留出物蒸留残渣(スカム残渣)が用いられる。例えば、植物油脱臭留出物を1.33〜26.66Pa(0.01〜0.2mmHg)の真空下で、180〜280℃で蒸留した蒸留残渣が、本発明の出発原料として用いられる。なお、この蒸留条件は一例であり、流下膜式蒸留装置、遠心式分子蒸留装置、高真空精密蒸留装置などの方法では、真空度、温度等の条件は変化することはいうまでもない。
【0022】
A.第1発明
本発明の第1の特徴は、このステリルエステルと中性脂質とを含む混合物中の中性脂質を加水分解、ケン化分解あるいは低級アルコールでエステル交換し、脂肪酸あるいは脂肪酸エステルを生成させる点にある。この反応において、ステリルエステルは加水分解、ケン化分解あるいはエステル交換をほとんど受けることがなく、反応液中のステリルエステルと脂肪酸あるいは脂肪酸エステルの沸点あるいは各種の溶媒に対する溶解度も大きく異なるため、ステリルエステルと脂肪酸あるいは脂肪酸エステルとの分離が容易となる。
【0023】
ステリルエステルと中性脂質とを含む混合物中の中性脂質を加水分解、ケン化分解あるいは低級アルコールでエステル交換し、脂肪酸あるいは脂肪酸エステルを生成させる方法には、酵素的方法と化学的方法とがある。
【0024】
(酵素法による加水分解)
酵素を触媒とする加水分解には、エステラーゼが用いられる。エステラーゼはエステル結合を加水分解する酵素をいい、ステリルエステルを加水分解せず中性脂質を加水分解する酵素であれば、微生物、植物、動物などいずれの起源の酵素であってもよい。特にリパーゼが好ましく用いられる。なお、リパーゼは水分量を限定することによりエステル化反応を優先して行うことができる。
【0025】
使用する酵素の形態は、遊離型であってもよいし、固定化したものを用いてもよい。反応系はステリルエステル/中性脂質混合物、水、酵素からなる混液を攪拌しながらインキュベートすればよい。水の量は、好ましくは5〜90重量%、より好ましくは20〜70重量%である。反応温度は、酵素が失活することなく、効率よく反応が進行する温度に設定すればよく、操作性を考慮して20〜50℃が好ましい。反応のpHは特に調整および制御する必要はない。有機溶媒は特に添加する必要はないが、もし加えるとすれば、ヘキサン、t-ブタノール、アセトン等が用いられる。酵素量は反応条件(反応温度、水分量、攪拌速度など)によって変化するため、適宜決定すればよい。反応時間も条件によって変わるため、適宜決定すればよい。一例を挙げると、リパーゼの場合、反応混液1g当たり5〜3000Uになるように添加し、反応時間は、操作性を考え、3〜72時間程度が好ましい。なお、リパーゼの1Uは、オリーブ油を基質として用いた加水分解反応で、1分間に1μmolの脂肪酸を遊離する酵素量をいう。
【0026】
(化学法による加水分解およびケン化分解)
化学的な方法を利用した中性脂質の分解には、通常、油脂の分解に適用されている方法を採用することができる。例えば、高温・高圧、無触媒で加水分解する方法、アルカリ触媒(NaOH、KOHなど)を用いた加水分解、NaOH、KOHなどの存在下でのケン化分解などがある。ステリルエステルの加水分解をできるだけ抑え、中性脂質の加水分解を優先して進行させるには、低級アルコール(メタノール、エタノールなどが好ましい)存在下での、NaOH、KOHなどによるケン化分解が好ましい。この反応では、反応系中に存在する中性脂質由来の脂肪酸量に対して等モル〜5モル等量のアルカリを加え、ステリルエステル/中性脂質の混合物に対して重量比で0.3〜2.0倍量の水と、重量比で0.1〜10倍量の低級アルコールを加えて加圧下、または還流させながらケン化分解を行う。反応時間は反応条件によって異なるため規定できないが、1〜24時間が好ましい。なお、化学的な方法を採用したときには、ステリルエステルもある程度加水分解されるおそれがある。
【0027】
(酵素法によるエステル交換)
酵素を触媒とする中性脂質のエステル交換反応は、低級アルコールとエステラーゼの存在下で行われる。水を含んだ反応系中では加水分解が進行する可能性があり、エステル交換に加えて加水分解も進行する。従って、中性脂質だけを効率よく低級アルコールでエステル交換するには、水を加えない反応系を構築することが好ましい。ステリルエステルと中性脂質を主成分とする混合物と、低級アルコール(メタノール、エタノールが好ましい)、および酵素からなる反応混液を、攪拌あるいは振盪しながらインキュベートすることにより選択的エステル交換を行うことができる。
【0028】
酵素としては、反応系中でステリルエステルをエステル交換せず中性脂質と低級アルコールを認識し、エステル交換反応を触媒する酵素であれば、微生物、植物、動物などいずれの起源の酵素であってもよい。エステラーゼ、特にリパーゼが好ましく用いられる。使用する酵素の形態は、遊離型であってもよいし、固定化したものを用いてもよいが、遊離型酵素を用いるときは可能な限り少量の水に溶かした酵素製剤を少量添加し、反応系中の水分量を高めない配慮をすることが好ましい。より好ましくは、固定化酵素を触媒として用い、反応系には水を加えない方がよい。また、固定化酵素を触媒として用いるときには、固定層型バイオリアクターを用いた反応系も効果的である。
【0029】
添加する低級アルコールの量は、中性脂質に含まれている脂肪酸量に対して等モル〜2モル等量で充分であるが、反応効率を高めるためにこれ以上加えても良い。ただ、ステリルエステル/中性脂質の混合物に溶解度以上の低級アルコールを加えると、リパーゼはエマルションになったアルコール滴と接触するため、不可逆的な失活を起こしてしまう(JAOCS, 76, 789-793, 1999; JAOCS, 77, 355-360, 2000)。この不可逆的な失活は低級アルコールを溶解度の限度内で逐次添加することによって防ぐことができる。反応温度は酵素が失活することなく、効率よく反応が進行する温度に設定すればよく、操作性を考慮して20〜50℃が好ましい。反応のpHは特に調整および制御する必要はない。有機溶媒は特に添加する必要はないが、もし加えるとすればヘキサン、t-ブタノール、アセトン等を用いることもできる。酵素量は反応条件(低級アルコールの量、反応温度、攪拌速度など)によって変化するが、3時間〜5日程度の反応で平衡状態に達する酵素量に設定することが好ましい。
【0030】
(化学法によるエステル交換)
化学的な方法を利用した中性脂質の低級アルコールによるエステル交換には、通常、油脂のエステル交換反応に適用されている酸触媒あるいはアルカリ触媒を用いる方法を採用することができる。この反応では、ステリルエステル/中性脂質の混合物に、その重量に対して0.1〜3%のアルカリ触媒(NaOH、KOH、Na−メチラート、Na−エチラートなどが好ましい)あるいは酸触媒(硫酸、塩酸などが好ましい)と、重量比で0.1〜10倍、好ましくは2〜6倍のの低級アルコール(メタノール、エタノールが好ましい)を加えて還流させながらエステル交換反応を行う。なお添加する低級アルコール量を増やすと、選択性が上昇して中性脂質が優先的にエステル交換されるようになる。反応時間は反応条件によって異なるため規定できないが、1〜24時間が好ましい。なお、化学的な方法を採用したときには、ステリルエステルもある程度エステル交換されることがある。
【0031】
B.第2発明
本発明の第2の特徴は、ステリルエステルと中性脂質とを含む混合物に遊離脂肪酸または脂肪酸のアルコールエステルを添加し、中性脂質中のジグリセリドをトリグリセリドに変換する点にある。この中性脂質中の部分グリセリド(主としてジグリセリド)を、酵素あるいは化学触媒を用いて遊離脂肪酸(好ましくは長鎖遊離脂肪酸あるいはその低級アルコールエステル)でエステル化し、トリグリセリドに変換することにより、ステリルエステルはほとんど反応を受けることがなく、反応液中のステリルエステルと生じたトリグリセリドとの沸点あるいは各種の溶媒に対する溶解度が大きく異なるため、ステリルエステルとトリグリセリドとの分離が容易となる。
【0032】
(酵素法によるトリグリセリド化)
酵素法による中性脂質のトリグリセリド化は、ステリルエステルと中性脂質との混合物、長鎖脂肪酸(またはそのエステル)、酵素からなる反応液を攪拌あるいは振盪しながらインキュベートするとよい。用いられる酵素としては、反応系中で部分グリセリドと長鎖脂肪酸のエステル化を効率よく触媒する酵素であれば、微生物、植物、動物などいずれの起源の酵素であってもよい。酵素としてはエステラーゼが好ましく、リパーゼがさらに好ましい。使用する酵素の形態は、遊離型であってもよいし、固定化したものを用いてもよい。遊離型酵素を用いるときは可能な限り少量の水に溶かした酵素製剤を少量添加する配慮が好ましい。より好ましくは、固定化酵素を触媒として用い、反応系には水を加えない方がよい。また、固定化酵素を触媒とするときには固定層型バイオリアクターの利用も効果的である。
【0033】
この反応系において、エステル化反応によって生成してくる水はエステル化率の上昇を妨害する。したがって、減圧、窒素ガスの吹き込み、モレキュラーシーブスの添加などの手段により生成水を除去すると反応の効率を上げることができる。反応系に加える長鎖脂肪酸の量は、部分グリセリドのトリグリセリド化に必要な理論モル等量から10倍モル等量程度加えるとよい。反応温度は酵素が失活することなく、効率よく反応が進行する温度に設定すればよく、操作性を考慮して20〜50℃が好ましい。反応のpHは特に調整および制御する必要はない。有機溶媒は特に添加する必要はないが、もし加えるとすればヘキサン、t−ブタノール、アセトン等が用いられ。酵素量は反応条件(低級アルコールの量、反応温度、攪拌速度など)によって変化するが、3時間〜5日程度の反応で平衡状態に達する酵素量に設定することが好ましい。
【0034】
(化学法によるトリグリセリド化)
化学的な方法を利用した部分グリセリドの遊離脂肪酸(長鎖脂肪酸)または脂肪酸低級アルコールエステルによるトリグリセリド化反応には、油脂のエステル化に通常適用されている方法を採用することができる。本発明に適した反応形態としては、例えばステリルエステルと中性脂質との混合物に、部分グリセリドのトリグリセリド化に必要な理論等量から10倍モル等量の長鎖脂肪酸を加え、減圧下で窒素ガスを吹き込みながら、150℃〜300℃で攪拌しながら0.5〜24時間加温するとよい。また、この反応においてアルカリ触媒(KOH、NaOHなど)や金属触媒(SnO、ZnOなど)を用いると、反応温度を下げることができ、反応時間も短縮できる。
【0035】
C.ステリルエステルの分離
上記第1発明および第2発明の方法で中性脂質が加水分解あるいはケン化分解された、エステル交換された、あるいはトリグリセリド化された反応液から、ステリルエステルが分離される。ステリルエステルの分離方法としては、蒸留、膜分離、溶媒分画、クロマトグラフィー、あるいはそれらの組み合わせが挙げられる。
【0036】
特に、第1発明の加水分解反応およびエステル交換反応によって得られた反応物からステリルエステルを精製するには、蒸留および溶媒分画(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノール、酢酸エチル、アセトン、ヘキサンなどによる分画)が好ましく、第2発明のエステル化反応によって得られた反応物からステリルエステルを精製するには蒸留が好ましい。
【0037】
(溶媒分画)
第1発明による中性脂質の加水分解、ケン化分解あるいはエステル交換された反応液からステリルエステルを分離する方法に適している。加水分解反応物およびケン化分解反応物中にはステリルエステルと脂肪酸が主成分として含まれており、エステル交換反応物中にはステリルエステルと脂肪酸エステルが主成分として含まれている。脂肪酸および脂肪酸エステルは低級アルコール(好ましくはメタノール、エタノール、イソプロパノールなど、およびこれらの混合溶媒)には溶解するが、ステリルエステルは溶解しにくいという性質を利用し、ステリルエステルを不溶性画分として回収できる。
【0038】
(蒸留による分離方法)
第1および第2の発明による方法により、中性脂質が加水分解、ケン化分解、あるいはエステル交換されて生じる脂肪酸および脂肪酸エステル、あるいはトリグリセリド化されて生じるトリグリセリドは、ステリルエステルとの沸点の差が大きくなることから、蒸留方法が好ましい分離方法として採用される。これまで、分子蒸留によりステリルエステルを留出させて精製する方法は開示されていなかったが、本発明でこの分子蒸留による精製方法が好ましい精製手段の一つであることを見い出した。反応液を分子蒸留に負荷すると、脂肪酸あるいは脂肪酸エステルを留分として除去でき、得られた蒸留残渣を高温・高真空下で蒸留するとステリルエステルが留分として得られ、トリグリセリドや未知高沸点物質は残渣として除去することができるため、高純度のステリルエステルが得られる。さらにこの蒸留によって、脱色もできるため製品の品質を飛躍的に高めるという効果が得られる。
【0039】
蒸留装置としては、流下膜式蒸留装置、遠心式分子蒸留装置、高真空精密蒸留装置などを挙げることができる。蒸留する温度と真空度は、用いる蒸留装置によって異なるので、適宜決定すればよいが、高温、高真空下で蒸留することにより、ステリルエステルが留分として回収される。高温条件とは、250〜300℃をいい、好ましくは260〜300℃、より好ましくは270〜280℃をいう。高真空とは、1.33Pa(0.01mmHg)以下をいい、好ましくは0.67Pa(0.005mmHg)以下、より好ましくは、0.67〜0.133Pa(0.005〜0.001mmHg)である。0.40Pa(0.003mmHg)前後が好ましい。ステリルエステルを留分として回収する好ましい条件は、温度250〜300℃、真空度1.33Pa(0.01mmHg)以下であり、より好ましくは、温度260〜300℃、真空度0.67Pa(0.005mmHg)以下であり、さらに好ましい条件は、温度270〜280℃、真空度0.67〜0.133Pa(0.005〜0.001mmHg)である。温度270〜280℃、真空度0.40Pa(0.003mmHg)前後での蒸留が、好ましく用いられる。これらの条件は、一般的なものであり、用いる装置、条件により、変動することがあり得ることは、前記の通りである。
【0040】
第1の発明により中性脂質から生じたグリセロールは水洗で除去され、脂肪酸および脂肪酸エステルは、1.33〜66.65Pa(0.01〜0.5mmHg)、150℃〜200℃で留出させることができる。また、反応液中に微量存在しているトコフェロール、ステロール、炭化水素などは、1.33〜26.66Pa(0.01〜0.2mmHg)、180℃〜280℃で蒸留することにより、留出させることができる。従って、ステリルエステルは、上記成分から分離可能である。すなわち、植物油脱臭留出物の残渣中のステリルエステルは、脂肪酸および脂肪酸エステルが留分として回収され、さらにトコフェロール、ステロール、炭化水素などが留分として留去された残渣中に存在し得る。そして、その純度は90%以上になり得るが、わずかながら未知の高沸点物質が含まれていると考えられる。従来は、未知の高沸点物質、トリグリセリドおよびステリルエステルとの分離ができなかったが、本発明では、さらに前記高温・高真空下で蒸留するとステリルエステルを留出させることができることを認め、未知の高沸点物質、トリグリセリドを残渣として除去する方法の確立に成功した。
【0041】
本発明の第2の方法により中性脂質のトリグリセリド化(エステル化)反応によって得られた反応物からステリルエステルを精製するときにも、蒸留法による精製は効果的である。原料中に含まれ、反応後もそのままの分子形態で残存している遊離脂肪酸は1.33〜66.65Pa(0.01〜0.5mmHg)、150℃〜200℃で蒸留することにより、またトコフェロール、ステロール、炭化水素などは、1.33〜26.66Pa(0.01〜0.2mmHg)、180℃〜280℃で蒸留することにより留出させることができる。これらの留分を除去した後の残渣画分の主成分はステリルエステルとトリグリセリドである。この残渣を、本発明の高温・高真空条件(1.33Pa(0.01mmHg))以下、250〜300℃)で蒸留すると、ステリルエステルを留分として回収し、トリグリセリドが残渣として残るので、純度70%以上のステリルエステルを精製することができる。
【0042】
【実施例】
以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、この実施例が本発明を限定しないことはいうまでもない。
【0043】
なお、実施例において、出発原料、反応生成物などの定量、定性分析は以下の方法によった。ステロール、ステリルエステル、脂肪酸、ジグリセリド、およびトリグリセリドはガスクロマトグラフィー、あるいはTLC/FIDアナライザーにより分析した。ガスクロマトグラフィーは、DB−1htキャピラリーカラム(J&W Scientific社;0.25mm×5m)を用い、120〜280℃は15℃/分で、280〜370℃は10℃/分でそれぞれ昇温し、370℃で1分間維持した。注入口および検出器(FID)の温度は380℃であった。また、TLC/FIDアナライザー(イヤトロスキャン)による分析は、ベンゼン:クロロホルム:酢酸(容量比で50:20:0.7)で展開した後、さらにヘキサン:ジエチルエーテル(容量比で65:5)で展開してから定量した。
【0044】
(原料の調製例)
原料であるステリルエステルと中性脂質を含む混合物を調製し、得られた混合物の成分を分析した。薄膜式蒸留機を用い、大豆油脱臭留出物10kgを4.0Pa(0.03mmHg)、250℃で蒸留し7.1kgの留分と2.9kgの残渣を得た。残渣画分の組成を表1に示す。
【0045】
【表1】
【0046】
この残渣画分には、ステリルエステルが約43重量%、中性脂質が約40重量%含まれていた。
【0047】
(実施例1)ステリルエステル/中性脂質混合物の酵素による加水分解
サンプル瓶(50ml容量)に前記調製例により得られたステリルエステルと中性脂質混合物3g、水3ml、反応液1g当たり12Uのリパーゼ量からなる反応液を30℃で攪拌しながら16時間インキュベートした。用いた酵素は、Candida cylindracea(名糖産業(株)製、商品名:Lipase OF)、Rhizopus delemar(田辺製薬(株)製、商品名:タリパーゼ)、Pseudomonas aeruginosa(東洋紡績(株)製、商品名:LPL)、Pseudomonas sp.(天野エンザイム(株)製、商品名:Lipase-PS)、Pseudomonas glumae(旭化成(株)製)、およびAlcaligenes sp.(名糖産業(株)製、商品名:Lipase-QLM)であった。反応終了後の反応液中に存在する成分を表2に示す。
【0048】
【表2】
【0049】
この結果より、いずれのリパーゼを用いてもステリルエステルに影響を与えることなく、中性脂質を選択的に加水分解することができることがわかった。中でも、Candida cylindraceaのリパーゼ(Lipase-OF; 名糖産業)を触媒として用いると、少ない酵素量で中性脂質をほぼ完全に加水分解できることが分かった。
【0050】
(実施例2)ステリルエステル/中性脂質混合物の酵素法による加水分解
原料の調製例で得られたステリルエステル/中性脂質混合物1kg、水400g、反応混液1g当たり20UのCandida cylindraceaのリパーゼ(名糖産業, Lipase-OF)からなる反応混液を40℃で、攪拌しながらインキュベートした。反応の経時変化を表3に示す。
【0051】
【表3】
【0052】
この反応条件下、約10時間で、夾雑している中性脂質をほぼ完全に加水分解することができた。
【0053】
(実施例3)ステリルエステル/中性脂質混合物の化学法によるケン化分解
原料の調製例で得られたステリルエステル/中性脂質混合物100g、水100g、メタノール50g、および11.4gのKOH(中性脂質中の脂肪酸に対して1.5モル等量)からなる反応液を、還流しながら4時間反応させた。反応前後の反応液中の成分を表4に示す。
【0054】
【表4】
【0055】
設定した反応条件下で中性脂質は完全にケン化分解されたが、ステリルエステルは一部しかケン化分解されない為、アルカリ触媒を用いたメタノール中でのケン化分解を行っても中性脂質を選択的に加水分解できることが分かった。
【0056】
(実施例4)ステリルエステル/中性脂質混合物の酵素法によるエステル交換原料の調製例で得られたステリルエステル/中性脂質混合物10g、メタノール0.39g(中性脂質に含まれている脂肪酸量に対して等モル)、および固定化Candida antarcticaリパーゼ(Novozym 435:ノボザイムズ)0.4gからなる反応混液を30℃で振盪しながらインキュベートした。反応1日後にさらに0.39gのメタノールを添加し、合計3日間反応を行った。反応の経時変化を表5に示す。
【0057】
【表5】
【0058】
3日間の反応で中性脂質はほぼ完全に脂肪酸メチルに変換され、原料中に含まれていた微量の遊離脂肪酸もメチルエステルに変換された。
【0059】
(実施例5)ステリルエステル/中性脂質混合物のアルカリ触媒を用いたエステル交換
原料の調製例で得られたステリルエステル/中性脂質混合物100g、メタノール25g、および0.6gのKOHからなる反応液を、還流しながら6時間反応させた。 反応前後の反応液中の成分を表6に示す。
【0060】
【表6】
【0061】
設定した反応条件下で中性脂質は完全にエステル交換されたが、ステリルエステルは一部しかエステル交換されず、アルカリ触媒を用いた化学反応でも中性脂質を選択的にエステル交換できることが分かった。
【0062】
(実施例6)高純度ステリルエステルの精製
実施例2で得られた、24時間反応後の反応液を油−水分離し、910gの油層を得た。この油層を薄膜式蒸留機に負荷し、ステリルエステルの高純度精製を試みた。まず、180℃、26.66Pa(0.2mmHg)で留分1を399g回収した。次いで残渣画分を250℃、4.0Pa(0.03mmHg)で蒸留し、留分2を73g回収した。得られた残渣画分をさらに280℃、0.40Pa(0.003mmHg)で蒸留し、355g留分3と63gの残渣3を得た。それぞれの蒸留分画画分の成分を表7に示す。
【0063】
【表7】
【0064】
加水分解後の油分に存在したステリルエステルの内、95%は250℃、4.0Paの蒸留で残渣画分に回収された。この残渣中に含まれている高沸点物質の除去と脱色を目的とし、280℃、0.40Pa(0.003mmHg)で蒸留したところ、85%の回収率で純度96.8%のステリルエステルを精製することができた。
【0065】
本実施例で、蒸留法を採用することにより脂肪酸または脂肪酸エステルとステロールおよびステリルエステルは効率よく分離できることが分かった。実施例4に示した酵素法による選択的エステル交換の反応液中の成分は、脂肪酸の代わりに脂肪酸メチルが含まれている以外、本実施例に示した加水分解反応物と同じ組成である。したがって、実施例4の反応液からステリルエステルを精製するのにこの蒸留法が適用できる。
【0066】
また、実施例3に示したアルカリ触媒を用いた選択的ケン化分解の反応液中には、遊離脂肪酸、ステロール、ステリルエステルが混在しており、実施例5に示したアルカリ触媒を用いた選択的メタノリシスの反応液中には脂肪酸メチル、ステロール、ステリルエステルが混在していたが、本実施例に準じた蒸留条件を設定すれば、高純度ステリルエステルを収率よく精製することもできる。
【0067】
(実施例7)ステリルエステル/中性脂質混合物のエステル化と蒸留による精製
原料の調製例で調製したステリルエステル/中性脂質混合物1kgに大豆油由来の脂肪酸220g(ジグリセリドとステロール量に対して3モル等量)を加え、13.3〜26.6KPa(100〜200mmHg)の減圧下で窒素を吹き込みながら235〜250℃で攪拌しながら3時間反応を行った。反応前後の反応液成分を表8に示す。この条件下でジグリセリドのエステル化反応は効率よく進行し、ほぼ完全にトリグリセリドに変換された。また、ステロールの一部もエステル化され、ステロールエステルに変換されることが分かった。
【0068】
得られた反応液1kgを薄膜蒸留機に負荷し、ステリルエステルの精製を試みた。まず、180℃、26.66Pa(0.2mmHg)で蒸留し、136gの留分1を回収した。得られた残渣を250℃、4.0Pa(0.03mmHg)で蒸留し、留分2を67g回収した。得られた残渣画分をさらに280℃、0.40Pa(0.003mmHg)で蒸留し、475gの留分3と436gの残渣3を得た。それぞれの蒸留分画画分の成分を表8に示す。
【0069】
【表8】
【0070】
ステリルエステルを留出させる条件で、トリグリセリドも共沸したため、ステリルエステルの純度を77%以上に高めることはできなかった。しかし、ステリルエステルを食用油に溶解した形態で製品化することも考えられるため、ステリルエステルの精製という本来の目的は達成できた。
【0071】
【発明の効果】
ステリルエステルと中性脂質を含む混合物中の中性脂質を選択的に加水分解あるいはケン化分解する、エステル交換する、あるいはエステル化することにより、ステリルエステルが容易に分離されるようになる。特に、高温・高真空条件下、分子蒸留により、高純度のステリルエステルが得られる。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a method for efficiently purifying steryl esters (fatty acid esters of sterols) with high purity.
[0002]
[Prior art]
The function of reducing the blood cholesterol level of sterol has attracted attention, and a product in which sterol or a sterol / steryl ester mixture is added to salad oil, dressing, margarine and the like has been developed. Currently, the demand for sterols or steryl esters is increasing. These sterols or steryl esters are generally present in the by-products of the vegetable oil refining process, but are difficult to purify and development of new methods for obtaining high-purity steryl esters in high yields is desired.
[0003]
So far, a method for producing a steryl ester by esterifying a high-purity sterol with a fatty acid using a lipase as a catalyst has been disclosed (Japanese Patent Publication No. 5-33712). However, in this method, in order to produce a high-purity steryl ester, high-purity sterol must be used as a raw material, and the produced steryl ester is more expensive than sterol. JP 2000-302777 A discloses a mixture containing vitamins, sterols, fatty acids, neutral lipids, hydrocarbons and the like by lipase treatment in a reaction system containing water, and simultaneously with hydrolysis of neutral lipids, sterols are converted into fatty acids. A method is described in which after esterification and conversion to steryl ester, steryl ester is separated and purified as a distillation residue. This method uses a vegetable oil deodorized distillate as a raw material, and is excellent as a method for producing a high-purity steryl ester because it can be purified as a by-product when purifying tocopherol.
[0004]
In the method described in this publication, a vegetable oil deodorized distillate is distilled, the fraction is used as a raw material, and the residue of the vegetable oil deodorized distillate (usually referred to as scum residue) is discarded as waste. Yes. Since the scum residue contains 20 to 70% of steryl ester, there is no effective method for separating steryl ester despite the demand for its use. Therefore, the scum residue containing this steryl ester is still processed as industrial waste.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
Accordingly, when a large demand for sterols, sterol / steryl ester mixtures and steryl esters in the near future is expected, a method for efficiently purifying high-purity sterols or steryl esters from raw materials that have not yet been used is desired.
[0006]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors use a mixture containing a steryl ester as a starting material, and purify the steryl ester with high purity, in particular, purify the steryl ester with high purity from the distillation residue (scum residue) of the vegetable oil deodorized distillate. Research has been conducted with the aim of developing a method for achieving this, and the present invention has been completed.
[0007]
The present invention relates to a method for separating a steryl ester from a mixture containing a steryl ester and a neutral lipid, the step of hydrolyzing, saponifying or transesterifying the neutral lipid in the mixture, and the steryl ester Separating the process.
[0008]
In a preferred embodiment, the neutral lipid is hydrolyzed or transesterified with esterase.
[0009]
In a preferred embodiment, the esterase is a lipase.
[0010]
In a preferred embodiment, the separation of the steryl ester is distillation under high temperature and high vacuum.
[0011]
In a further preferred embodiment, the mixture is a distillation residue of a vegetable oil deodorized distillate.
[0012]
Furthermore, the present invention is a method for separating a steryl ester from a mixture containing a steryl ester and a neutral lipid, wherein a free fatty acid or an alcohol ester of a fatty acid is added to the mixture, and the diglyceride in the neutral lipid is converted into a triglyceride. There is provided a method comprising the steps of converting and separating the steryl ester.
[0013]
In a preferred embodiment, the conversion of diglyceride in the neutral lipid to triglyceride is carried out with esterase.
[0014]
In a preferred embodiment, the esterase is a lipase.
[0015]
In a preferred embodiment, the separation of the steryl ester is distillation under high temperature and high vacuum.
[0016]
In a further preferred embodiment, the mixture is a distillation residue of a vegetable oil deodorized distillate.
[0017]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
(Definition)
In the present invention, sterol refers to sterols mainly derived from plants such as β-sitosterol, brassicasterol, campesterol, stigmasterol, but is not limited thereto.
[0018]
Steryl ester refers to a fatty acid ester of sterol. In the present invention, long chain fatty acid esters are particularly preferably used. As the long chain fatty acid, a saturated or unsaturated, linear or branched fatty acid having about 12 to 24 carbon atoms is preferably used.
[0019]
The neutral lipid means a lipid composed of a long-chain fatty acid and glycerol unless otherwise specified, and means monoglyceride, diglyceride, and triglyceride.
[0020]
The lower alcohol means a linear or branched alcohol having about 1 to 10 carbon atoms, and examples thereof include methanol, ethanol, propanol, isopropanol, butanol, and isobutanol.
[0021]
(Starting material)
There is no restriction | limiting in particular as a mixture containing a steryl ester and a neutral lipid. It may be of any origin such as a plant or a microorganism, preferably a plant-derived one, more preferably a vegetable oil deodorized distillate distillation residue (scum residue). For example, a distillation residue obtained by distilling a vegetable oil deodorized distillate at 180 to 280 ° C. under a vacuum of 1.33 to 26.66 Pa (0.01 to 0.2 mmHg) is used as a starting material of the present invention. This distillation condition is an example, and it goes without saying that conditions such as the degree of vacuum and temperature change in methods such as a falling film distillation apparatus, a centrifugal molecular distillation apparatus, and a high vacuum precision distillation apparatus.
[0022]
A. 1st invention
The first feature of the present invention is that a neutral lipid in a mixture containing this steryl ester and a neutral lipid is hydrolyzed, saponified or transesterified with a lower alcohol to produce a fatty acid or a fatty acid ester. . In this reaction, the steryl ester is hardly subjected to hydrolysis, saponification decomposition or transesterification, and the boiling point of the fatty acid or fatty acid ester in the reaction solution or the solubility in various solvents is greatly different. Separation from fatty acid or fatty acid ester becomes easy.
[0023]
Enzymatic methods and chemical methods are used to produce fatty acids or fatty acid esters by hydrolyzing, saponifying or transesterifying neutral lipids in a mixture containing steryl esters and neutral lipids with lower alcohols. is there.
[0024]
(Enzymatic hydrolysis)
Esterase is used for the enzyme-catalyzed hydrolysis. An esterase refers to an enzyme that hydrolyzes an ester bond, and may be an enzyme of any origin such as a microorganism, a plant, or an animal as long as it does not hydrolyze a steryl ester but hydrolyzes a neutral lipid. In particular, lipase is preferably used. The lipase can be preferentially carried out by esterification by limiting the amount of water.
[0025]
The form of the enzyme to be used may be a free form or an immobilized form. The reaction system may be incubated while stirring a mixture of steryl ester / neutral lipid mixture, water, and enzyme. The amount of water is preferably 5 to 90% by weight, more preferably 20 to 70% by weight. The reaction temperature may be set to a temperature at which the reaction proceeds efficiently without inactivation of the enzyme, and is preferably 20 to 50 ° C. in consideration of operability. The pH of the reaction need not be adjusted and controlled. The organic solvent is not particularly required to be added, but if it is added, hexane, t-butanol, acetone or the like is used. Since the amount of enzyme varies depending on the reaction conditions (reaction temperature, water content, stirring speed, etc.), it may be determined as appropriate. Since the reaction time varies depending on the conditions, it may be determined appropriately. For example, in the case of lipase, it is added so as to be 5 to 3000 U per 1 g of the reaction mixture, and the reaction time is preferably about 3 to 72 hours in consideration of operability. Note that 1 U of lipase refers to the amount of enzyme that liberates 1 μmol of fatty acid per minute in a hydrolysis reaction using olive oil as a substrate.
[0026]
(Chemical hydrolysis and saponification)
For the degradation of neutral lipids using chemical methods, methods that are usually applied to the degradation of fats and oils can be employed. For example, there are a method of hydrolyzing without a catalyst at high temperature and high pressure, hydrolysis using an alkali catalyst (NaOH, KOH, etc.), saponification decomposition in the presence of NaOH, KOH, and the like. In order to suppress the hydrolysis of the steryl ester as much as possible and to promote the hydrolysis of the neutral lipid with priority, saponification decomposition with NaOH, KOH or the like in the presence of a lower alcohol (preferably methanol, ethanol, etc.) is preferable. In this reaction, an equimolar to 5 molar equivalent of alkali is added to the amount of fatty acid derived from the neutral lipid present in the reaction system, and 0.3 to 0.3 by weight with respect to the steryl ester / neutral lipid mixture. Saponification decomposition is carried out under pressure or reflux by adding 2.0 times the amount of water and 0.1 to 10 times the amount of lower alcohol by weight. Although the reaction time varies depending on the reaction conditions and cannot be specified, it is preferably 1 to 24 hours. In addition, when a chemical method is employ | adopted, a steryl ester may also be hydrolyzed to some extent.
[0027]
(Transesterification by enzymatic method)
The enzyme-catalyzed neutral lipid transesterification reaction is carried out in the presence of a lower alcohol and esterase. Hydrolysis may proceed in a reaction system containing water, and hydrolysis proceeds in addition to transesterification. Therefore, in order to efficiently transesterify only neutral lipids with a lower alcohol, it is preferable to construct a reaction system in which water is not added. Selective transesterification can be carried out by incubating a mixture of steryl ester and neutral lipid as a main component, a lower alcohol (preferably methanol, ethanol), and an enzyme with stirring or shaking. .
[0028]
As an enzyme, an enzyme of any origin, such as a microorganism, plant, or animal, can be used as long as it does not transesterify steryl esters in the reaction system and recognizes neutral lipids and lower alcohols and catalyzes the transesterification reaction. Also good. Esterases, particularly lipases, are preferably used. The form of the enzyme used may be free or immobilized, but when using the free enzyme, add a small amount of enzyme preparation dissolved in as little water as possible, It is preferable to take care not to increase the amount of water in the reaction system. More preferably, it is better to use an immobilized enzyme as a catalyst and not add water to the reaction system. In addition, when an immobilized enzyme is used as a catalyst, a reaction system using a fixed bed type bioreactor is also effective.
[0029]
The amount of the lower alcohol to be added is sufficient in the range of equimolar to 2 molar equivalents with respect to the amount of fatty acid contained in the neutral lipid, but may be added in order to increase the reaction efficiency. However, if a lower alcohol with higher solubility is added to the steryl ester / neutral lipid mixture, the lipase comes into contact with the alcohol droplets in the emulsion, causing irreversible inactivation (JAOCS, 76, 789-793). 1999; JAOCS, 77, 355-360, 2000). This irreversible deactivation can be prevented by successively adding lower alcohol within the limit of solubility. The reaction temperature may be set to a temperature at which the reaction proceeds efficiently without inactivation of the enzyme, and is preferably 20 to 50 ° C. in consideration of operability. The pH of the reaction need not be adjusted and controlled. The organic solvent is not particularly required to be added, but if added, hexane, t-butanol, acetone or the like can be used. The amount of enzyme varies depending on the reaction conditions (the amount of lower alcohol, reaction temperature, stirring speed, etc.), but it is preferably set to the amount of enzyme that reaches an equilibrium state in a reaction of about 3 hours to 5 days.
[0030]
(Chemical transesterification)
For transesterification of neutral lipids with lower alcohol using a chemical method, a method using an acid catalyst or an alkali catalyst, which is usually applied to the transesterification reaction of fats and oils, can be employed. In this reaction, 0.1 to 3% by weight of an alkali catalyst (NaOH, KOH, Na-methylate, Na-ethylate, etc. are preferred) or acid catalyst (sulfuric acid, Hydrochloric acid or the like is preferred) and 0.1 to 10 times, preferably 2 to 6 times, lower alcohol (methanol or ethanol is preferred) in a weight ratio is added and the ester exchange reaction is performed while refluxing. If the amount of the lower alcohol to be added is increased, the selectivity is increased and the neutral lipid is preferentially transesterified. Although the reaction time varies depending on the reaction conditions and cannot be specified, it is preferably 1 to 24 hours. When chemical methods are employed, steryl esters may be transesterified to some extent.
[0031]
B. Second invention
The second feature of the present invention is that a free fatty acid or an alcohol ester of a fatty acid is added to a mixture containing a steryl ester and a neutral lipid to convert diglyceride in the neutral lipid into triglyceride. By esterifying a partial glyceride (mainly diglyceride) in this neutral lipid with a free fatty acid (preferably a long-chain free fatty acid or its lower alcohol ester) using an enzyme or a chemical catalyst, and converting it into a triglyceride, Almost no reaction occurs, and the boiling point of the steryl ester in the reaction solution and the generated triglyceride or the solubility in various solvents are greatly different, so that the separation of the steryl ester and the triglyceride becomes easy.
[0032]
(Triglycerides by enzymatic method)
For the triglyceride formation of neutral lipids by enzymatic method, a mixture of steryl ester and neutral lipid, a long chain fatty acid (or ester thereof), and a reaction solution comprising an enzyme may be incubated with stirring or shaking. The enzyme used may be an enzyme of any origin such as a microorganism, a plant, or an animal as long as it efficiently catalyzes the esterification of a partial glyceride and a long chain fatty acid in the reaction system. As the enzyme, esterase is preferable, and lipase is more preferable. The form of the enzyme to be used may be a free form or an immobilized form. When using a free enzyme, it is preferable to add a small amount of an enzyme preparation dissolved in as little water as possible. More preferably, it is better to use an immobilized enzyme as a catalyst and not add water to the reaction system. Further, when an immobilized enzyme is used as a catalyst, it is effective to use a fixed bed type bioreactor.
[0033]
In this reaction system, the water produced by the esterification reaction hinders the increase in the esterification rate. Therefore, the reaction efficiency can be increased by removing the produced water by means such as decompression, nitrogen gas blowing, and addition of molecular sieves. The amount of the long-chain fatty acid added to the reaction system is preferably about 10 times the molar equivalent from the theoretical molar equivalent necessary for triglycerization of the partial glyceride. The reaction temperature may be set to a temperature at which the reaction proceeds efficiently without inactivation of the enzyme, and is preferably 20 to 50 ° C. in consideration of operability. The pH of the reaction need not be adjusted and controlled. The organic solvent is not particularly required to be added, but if it is added, hexane, t-butanol, acetone or the like is used. The amount of enzyme varies depending on the reaction conditions (the amount of lower alcohol, reaction temperature, stirring speed, etc.), but it is preferably set to the amount of enzyme that reaches an equilibrium state in a reaction of about 3 hours to 5 days.
[0034]
(Triglycerides by chemical method)
For the triglyceride reaction of a partial glyceride with a free fatty acid (long chain fatty acid) or a fatty acid lower alcohol ester using a chemical method, a method usually applied to esterification of fats and oils can be employed. As a reaction form suitable for the present invention, for example, to a mixture of steryl ester and neutral lipid, a long-chain fatty acid of 10 to 1 mole equivalent of a long-chain fatty acid, which is necessary for triglycerization of a partial glyceride, is added, and nitrogen is added under reduced pressure. It is good to heat for 0.5 to 24 hours, stirring at 150 to 300 degreeC, blowing in gas. In this reaction, when an alkali catalyst (KOH, NaOH, etc.) or a metal catalyst (SnO, ZnO, etc.) is used, the reaction temperature can be lowered and the reaction time can be shortened.
[0035]
C. Separation of steryl esters
The steryl ester is separated from the reaction solution in which the neutral lipid is hydrolyzed or saponified, transesterified, or triglycerized by the methods of the first and second inventions. Examples of the method for separating the steryl ester include distillation, membrane separation, solvent fractionation, chromatography, or a combination thereof.
[0036]
In particular, to purify the steryl ester from the reaction product obtained by the hydrolysis reaction and transesterification reaction of the first invention, distillation and solvent fractionation (preferably with methanol, ethanol, isopropanol, ethyl acetate, acetone, hexane, etc.) Fractionation is preferred, and distillation is preferred for purifying the steryl ester from the reaction product obtained by the esterification reaction of the second invention.
[0037]
(Solvent fractionation)
The method of the present invention is suitable for a method for separating steryl esters from a reaction solution obtained by hydrolyzing, saponifying or transesterifying neutral lipids. The hydrolysis reaction product and saponification decomposition reaction product contain steryl ester and fatty acid as main components, and the transesterification product contains steryl ester and fatty acid ester as main components. Fatty acids and fatty acid esters dissolve in lower alcohols (preferably methanol, ethanol, isopropanol, and mixed solvents thereof), but steryl esters can be recovered as an insoluble fraction by utilizing the property that steryl esters are difficult to dissolve. .
[0038]
(Separation method by distillation)
Fatty acids and fatty acid esters produced by neutral lipid hydrolysis, saponification degradation, or transesterification, or triglycerides produced by triglycerization by the methods according to the first and second inventions have a difference in boiling point from steryl esters. The distillation method is adopted as a preferable separation method because it becomes large. So far, a method for distilling and purifying steryl esters by molecular distillation has not been disclosed, but the present inventors have found that the purification method by molecular distillation is one of preferred purification means. When the reaction solution is loaded with molecular distillation, fatty acid or fatty acid ester can be removed as a fraction, and the resulting distillation residue can be distilled under high temperature and high vacuum to obtain a steryl ester as a fraction. Since it can be removed as a residue, a highly pure steryl ester is obtained. Furthermore, since the color can be removed by this distillation, the effect of dramatically improving the quality of the product can be obtained.
[0039]
Examples of the distillation apparatus include a falling film distillation apparatus, a centrifugal molecular distillation apparatus, and a high vacuum precision distillation apparatus. The temperature and degree of vacuum for distillation vary depending on the distillation apparatus used, and may be determined as appropriate. By distillation at high temperature and high vacuum, the steryl ester is recovered as a fraction. High temperature conditions refer to 250-300 ° C, preferably 260-300 ° C, more preferably 270-280 ° C. High vacuum refers to 1.33 Pa (0.01 mmHg) or less, preferably 0.67 Pa (0.005 mmHg) or less, more preferably 0.67 to 0.133 Pa (0.005 to 0.001 mmHg). is there. About 0.40 Pa (0.003 mmHg) is preferable. The preferable conditions for recovering the steryl ester as a fraction are a temperature of 250 to 300 ° C. and a vacuum degree of 1.33 Pa (0.01 mmHg) or less, more preferably a temperature of 260 to 300 ° C. and a vacuum degree of 0.67 Pa (0. 005 mmHg) or less, and more preferable conditions are a temperature of 270 to 280 ° C. and a degree of vacuum of 0.67 to 0.133 Pa (0.005 to 0.001 mmHg). Distillation at a temperature of 270 to 280 ° C. and a degree of vacuum of around 0.40 Pa (0.003 mmHg) is preferably used. These conditions are general and can vary depending on the apparatus and conditions used, as described above.
[0040]
Glycerol produced from the neutral lipid according to the first invention is removed by washing with water, and fatty acids and fatty acid esters are distilled at 1.33 to 66.65 Pa (0.01 to 0.5 mmHg) at 150 to 200 ° C. be able to. In addition, tocopherols, sterols, hydrocarbons, and the like that are present in trace amounts in the reaction solution are distilled by distillation at 1.33-26.66 Pa (0.01-0.2 mmHg), 180 ° C.-280 ° C. Can be made. Thus, steryl esters can be separated from the above components. That is, the steryl ester in the residue of the vegetable oil deodorized distillate can be present in a residue in which fatty acids and fatty acid esters are recovered as fractions, and tocopherol, sterols, hydrocarbons and the like are distilled off as fractions. And although the purity may be 90% or more, it is thought that a slightly unknown high boiling point substance is contained. Conventionally, separation from unknown high-boiling substances, triglycerides and steryl esters was not possible, but in the present invention, it was further recognized that steryl esters can be distilled by distillation under the high temperature and high vacuum. We have succeeded in establishing a method for removing high-boiling substances and triglycerides as residues.
[0041]
The purification by distillation is also effective when purifying steryl esters from the reaction product obtained by the triglyceride (esterification) reaction of neutral lipids by the second method of the present invention. The free fatty acid contained in the raw material and remaining in the molecular form after the reaction is distilled at 1.33 to 66.65 Pa (0.01 to 0.5 mmHg) at 150 to 200 ° C. Tocopherols, sterols, hydrocarbons and the like can be distilled by distillation at 1.33 to 26.66 Pa (0.01 to 0.2 mmHg) and 180 ° C to 280 ° C. The main components of the residue fraction after removal of these fractions are steryl esters and triglycerides. When this residue is distilled under the high temperature and high vacuum conditions of the present invention (1.33 Pa (0.01 mmHg) or less, 250 to 300 ° C.), steryl ester is recovered as a fraction and triglyceride remains as a residue. More than 70% of the steryl ester can be purified.
[0042]
【Example】
The present invention will be described below with reference to examples, but it goes without saying that the examples do not limit the present invention.
[0043]
In the examples, quantitative and qualitative analysis of starting materials, reaction products and the like were performed according to the following methods. Sterols, steryl esters, fatty acids, diglycerides, and triglycerides were analyzed by gas chromatography or TLC / FID analyzer. For gas chromatography, a DB-1ht capillary column (J & W Scientific; 0.25 mm × 5 m) was used, and the temperature was increased at 120 to 280 ° C. at 15 ° C./min and 280 to 370 ° C. at 10 ° C./min. Maintained at 1 ° C. for 1 minute. The inlet and detector (FID) temperature was 380 ° C. The analysis by TLC / FID analyzer (eartroscan) was developed with benzene: chloroform: acetic acid (volume ratio 50: 20: 0.7), and further hexane: diethyl ether (volume ratio 65: 5). Quantitatively after developing.
[0044]
(Examples of raw material preparation)
A mixture containing steryl ester as a raw material and neutral lipid was prepared, and the components of the obtained mixture were analyzed. Using a thin film distillation machine, 10 kg of soybean oil deodorized distillate was distilled at 4.0 Pa (0.03 mmHg) at 250 ° C. to obtain a 7.1 kg fraction and a 2.9 kg residue. The composition of the residue fraction is shown in Table 1.
[0045]
[Table 1]
[0046]
This residual fraction contained about 43% by weight of steryl ester and about 40% by weight of neutral lipid.
[0047]
Example 1 Enzymatic hydrolysis of a steryl ester / neutral lipid mixture
In a sample bottle (50 ml capacity), a reaction solution consisting of 3 g of the steryl ester mixture obtained in the above-mentioned preparation and neutral lipid mixture, 3 ml of water, and 12 U of lipase per gram of the reaction solution was incubated at 30 ° C. for 16 hours. The enzymes used were Candida cylindracea (manufactured by Meito Sangyo Co., Ltd., trade name: Lipase OF), Rhizopus delemar (manufactured by Tanabe Seiyaku Co., Ltd., trade name: Talipase), Pseudomonas aeruginosa (manufactured by Toyobo Co., Ltd., product) Name: LPL), Pseudomonas sp. (Amano Enzyme Co., Ltd., trade name: Lipase-PS), Pseudomonas glumae (Asahi Kasei Co., Ltd.), and Alcaligenes sp. Lipase-QLM). Table 2 shows the components present in the reaction solution after completion of the reaction.
[0048]
[Table 2]
[0049]
From this result, it was found that neutral lipids can be selectively hydrolyzed without affecting the steryl ester regardless of which lipase is used. In particular, Candida cylindracea lipase (Lipase-OF) was found to be able to hydrolyze neutral lipids almost completely with a small amount of enzyme.
[0050]
Example 2 Hydrolysis of steryl ester / neutral lipid mixture by enzymatic method
Stir the reaction mixture consisting of 1 kg of the steryl ester / neutral lipid mixture obtained in the raw material preparation example, 400 g of water and 20 U of Candida cylindracea lipase (named sugar industry, Lipase-OF) per gram of reaction mixture at 40 ° C. Incubated while. The time course of the reaction is shown in Table 3.
[0051]
[Table 3]
[0052]
Under these reaction conditions, the contaminating neutral lipid was almost completely hydrolyzed in about 10 hours.
[0053]
Example 3 Saponification degradation of steryl ester / neutral lipid mixture by chemical method
Reaction liquid comprising 100 g of steryl ester / neutral lipid mixture obtained in the raw material preparation example, 100 g of water, 50 g of methanol, and 11.4 g of KOH (1.5 molar equivalent to fatty acid in neutral lipid) Was reacted for 4 hours at reflux. Table 4 shows the components in the reaction solution before and after the reaction.
[0054]
[Table 4]
[0055]
Neutral lipids were completely saponified and decomposed under the reaction conditions set, but only a portion of the steryl ester was saponified and decomposed. It was found that can be selectively hydrolyzed.
[0056]
(Example 4) 10 g of steryl ester / neutral lipid mixture obtained in an example of preparing a transesterification raw material by an enzymatic method of a steryl ester / neutral lipid mixture, 0.39 g of methanol (the amount of fatty acid contained in the neutral lipid) And a reaction mixture consisting of 0.4 g of immobilized Candida antarctica lipase (Novozym 435: Novozymes) was incubated at 30 ° C. with shaking. One day after the reaction, 0.39 g of methanol was further added, and the reaction was performed for a total of 3 days. The time course of the reaction is shown in Table 5.
[0057]
[Table 5]
[0058]
In the reaction for 3 days, the neutral lipid was almost completely converted to fatty acid methyl, and a small amount of free fatty acid contained in the raw material was also converted to methyl ester.
[0059]
(Example 5) Transesterification of steryl ester / neutral lipid mixture using alkali catalyst
A reaction solution consisting of 100 g of the steryl ester / neutral lipid mixture obtained in the raw material preparation example, 25 g of methanol, and 0.6 g of KOH was reacted for 6 hours while refluxing. Table 6 shows the components in the reaction solution before and after the reaction.
[0060]
[Table 6]
[0061]
Neutral lipids were completely transesterified under the set reaction conditions, but steryl esters were only partially transesterified, and it was found that neutral lipids can be selectively transesterified even in chemical reactions using alkali catalysts. .
[0062]
Example 6 Purification of high purity steryl ester
The reaction liquid obtained after the reaction for 24 hours obtained in Example 2 was subjected to oil-water separation to obtain 910 g of an oil layer. This oil layer was loaded on a thin-film distillation machine to attempt high-purity purification of steryl esters. First, 399 g of fraction 1 was recovered at 180 ° C. and 26.66 Pa (0.2 mmHg). Subsequently, the residue fraction was distilled at 250 ° C. and 4.0 Pa (0.03 mmHg), and 73 g of fraction 2 was recovered. The obtained residue fraction was further distilled at 280 ° C. and 0.40 Pa (0.003 mmHg) to obtain 355 g fraction 3 and 63 g of residue 3. Table 7 shows the components of each distilled fraction.
[0063]
[Table 7]
[0064]
Of the steryl ester present in the oil after hydrolysis, 95% was recovered in the residue fraction by distillation at 250 ° C. and 4.0 Pa. For the purpose of removing high-boiling substances contained in the residue and for decolorization, distillation at 280 ° C. and 0.40 Pa (0.003 mmHg) yielded a steryl ester having a purity of 96.8% with a recovery rate of 85%. Could be purified.
[0065]
In this example, it was found that the fatty acid or fatty acid ester and sterol and steryl ester can be separated efficiently by employing the distillation method. The components in the reaction solution for selective transesterification by the enzymatic method shown in Example 4 have the same composition as the hydrolysis reaction product shown in this example except that fatty acid methyl is included instead of fatty acid. Therefore, this distillation method can be applied to purify the steryl ester from the reaction solution of Example 4.
[0066]
In addition, in the reaction solution for selective saponification decomposition using the alkali catalyst shown in Example 3, free fatty acid, sterol and steryl ester are mixed, and selection using the alkali catalyst shown in Example 5 is performed. Although the fatty acid methyl, sterol, and steryl ester were mixed in the reaction solution for mechanical methanolysis, the high-purity steryl ester can be purified with high yield by setting the distillation conditions according to this example.
[0067]
Example 7 Esterification of Steryl Ester / Neutral Lipid Mixture and Purification by Distillation
To 1 kg of the steryl ester / neutral lipid mixture prepared in the raw material preparation example, 220 g of fatty acid derived from soybean oil (3 molar equivalents relative to the amount of diglyceride and sterol) is added, and 13.3 to 26.6 KPa (100 to 200 mmHg) The reaction was carried out for 3 hours while stirring at 235 to 250 ° C. while blowing nitrogen under reduced pressure. Table 8 shows the reaction liquid components before and after the reaction. Under these conditions, the esterification reaction of diglyceride proceeded efficiently and almost completely converted to triglyceride. It was also found that part of the sterol was esterified and converted to a sterol ester.
[0068]
1 kg of the obtained reaction solution was loaded on a thin-film distiller, and purification of steryl ester was attempted. First, it distilled at 180 degreeC and 26.66 Pa (0.2 mmHg), and collect | recovered 136 g of fraction 1. FIG. The obtained residue was distilled at 250 ° C. and 4.0 Pa (0.03 mmHg), and 67 g of fraction 2 was recovered. The obtained residue fraction was further distilled at 280 ° C. and 0.40 Pa (0.003 mmHg) to obtain 475 g of fraction 3 and 436 g of residue 3. The components of each distilled fraction are shown in Table 8.
[0069]
[Table 8]
[0070]
Since the triglyceride was also azeotroped under the conditions for distilling the steryl ester, the purity of the steryl ester could not be increased to 77% or more. However, since it may be possible to commercialize the steryl ester in a form dissolved in edible oil, the original purpose of purifying the steryl ester could be achieved.
[0071]
【The invention's effect】
By selectively hydrolyzing or saponifying the neutral lipid in the mixture containing the steryl ester and the neutral lipid, transesterifying, or esterifying, the steryl ester can be easily separated. In particular, high-purity steryl esters can be obtained by molecular distillation under high temperature and high vacuum conditions.
Claims (8)
該混合物中の中性脂質を加水分解、ケン化分解あるいはエステル交換する工程、および
該ステリルエステルを250〜300℃、1.33Pa(0.01mmHg)以下の蒸留にて分離する工程、を含む方法。A method for separating a steryl ester from a mixture comprising a steryl ester and a neutral lipid, comprising:
A process comprising hydrolyzing, saponifying or transesterifying the neutral lipid in the mixture, and separating the steryl ester by distillation at 250 to 300 ° C. and not more than 1.33 Pa (0.01 mmHg). .
該混合物に遊離脂肪酸または脂肪酸のアルコールエステルを添加し、該中性脂質中のジグリセリドをトリグリセリドに変換する工程、および
該ステリルエステルを250〜300℃、1.33Pa(0.01mmHg)以下の蒸留にて得る工程、を含む方法。A method for obtaining a fraction having increased purity of steryl ester from a mixture containing steryl ester and neutral lipid,
Adding a free fatty acid or an alcohol ester of a fatty acid to the mixture to convert the diglyceride in the neutral lipid into a triglyceride, and subjecting the steryl ester to distillation at 250-300 ° C. , 1.33 Pa (0.01 mmHg) or less . Obtaining the method.
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