JP3850873B2 - エンジンオイルを最適温度に維持するためのシステム - Google Patents
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Description
本件出願は、“温度制御用流体の流れを制御するためのシステム”と題する、1995年9月12日付けのPCT出願番号第PCT/US95/11742号の関連出願である。
〔発明の属する技術分野〕
本発明は、ラジエターを装備する内燃式のガソリンエンジン或はディーゼルエンジンの内部の、温度制御用流体の流れを調節する1つ以上の流れ制御弁の状態を制御することにより、エンジンオイルを所望の温度に維持するためのシステムに関する。
〔従来の技術〕
イリノイ州South HollandのGoodheart-Willcox社の、1995年のGoodheart-Willcox Automotive Encyclopediaの169ページには、内燃機関で燃料が燃焼するに際し、燃料の熱エネルギーの約1/3が駆動力に変換され、残る1/3の熱エネルギーは使用されずに排気管から排出され、他の1/3の熱エネルギーは冷却システムで取り扱われることが記載される。この、冷却システムで取り扱う分の熱エネルギーはしばしば過小評価され、余り知られてもいない。
大抵の内燃機関では加圧型冷却システムを使用することにより、燃焼プロセスで発生する熱エネルギーを消散させている。加圧型冷却システムでは、水或は液体冷却材をエンジンの特定のパーツ(即ち、エンジンブロック、シリンダー、シリンダーヘッド、ピストン)を取り巻くウォータージャケットを貫いて循環させている。熱エネルギーはエンジンパーツからウォータージャケット内の冷却材に移行される。外気温が高い、或はエンジンが酷使される条件下では、移行される熱エネルギーは液体冷却材を沸騰(即ち、気化)させ、冷却システムを破壊させる程に大きなものとる。そうした破壊が生じないよう、高温となった冷却材はその沸点に達するずっと以前にラジエターを通して循環される。ラジエターは、冷却材が液状に維持されるべく、十分な熱エネルギーを周囲空気に消散させる。
外気温が低い、特に°F(-17.8℃)以下の時、或は冷えたエンジンを始動させる時には、冷却材が沸騰するための十分な高温となるのは稀であるから冷却材をラジエターに通す必要は無い。内燃機関は比較的高い温度状態で運転される時が最も効率が良くしかも汚染も最小であるので、そのような条件下では熱エネルギーを冷却材中に消散させる方が望ましくもある。オイルの粘度は温度と共に低下するのでエンジンが冷えている間のピストンとシリンダー壁との間の滑り摩擦量は、高温で運転中のエンジンのそれよりもずっと大きくなる。冷間運転中のエンジンではエンジン燃焼室内での燃焼も不完全なものとなり、高温運転中のエンジンよりも急速にスラッジが堆積する。エンジンが冷えている間、燃焼量を大きくするために富化燃料が提供される。こうした全ての因子は燃料の経済性を低下させると共に炭化水素の排出量を増大させる。
冷却材がラジエターを通らないようにするために、冷却システムにはサーモスタットが使用される。サーモスタットは逆止弁として作用し、ラジエターへの流れを阻止し或は許容する。米国特許第4,545,333号には、従来の代表的なサーモスタット制御式の冷却システムが示される。従来の大抵の冷却システムではワックスペレット式の、或はバイメタルコイル式のサーモスタットを使用する。これらのサーモスタットは自蔵式であり、予め較正しておいた温度値に従い開閉する。
実用的設計の制約上、冷却システムを広範囲の運転条件に適合させるための能力には限界がある。例えば、徐熱能力は、ラジエターの大きさ、冷却材の流速及び容積によって制限される。自蔵式の従来のワックスペレット或はバイメタルコイル式のサーモスタットは、冷却材の温度によってのみその状態が制御されるので、そうしたサーモスタットの状態をセッティングするに際して、周囲空気温度のようなその他の因子を考慮に入れることができない。
冷却システムを、自動車の要求に応じて一層注意深く調整し、従来の、比較的融通性に欠けるサーモスタットを改良しようとする提案が従来から数多く示されて来ている。
米国特許第5,121,714号には、エンジンオイル温度が所定値を上回る時、冷却材を2つの異なる流れとしてエンジンに送るための冷却システムが記載される。流れの一方はシリンダーヘッドを通り、他方はシリンダーブロックを通る。オイル温度が所定値以下となると、流れ制御弁がシリンダーブロックを通る流れを閉塞する。流れ制御弁は電子制御ユニット(以下、ECUとも称する)に連結される。ECUは、流れ制御弁及びその他のエンジン冷却システム部品に制御信号を送る。米国特許第5,121,714号では、冷却材を、それが所定値を越える温度となった場合にラジエターに通すための、従来の代表的なサーモスタット弁108も使用される。この米国特許には、特定例は記載されないものの、サーモスタット弁を電気制御式の弁と交換することができることも記載される。
米国特許第4,744,336号には、サーボ制御される弁内への冷却材流れを無限に変化させるための、ソレノイド作動されるピストン形式の流れ制御弁が記載される。ソレノイドはECUからのパルス信号を受ける。ECUは周囲温度、エンジンに出入りする冷却材の温度、燃焼温度、マニホルド圧、ヒーター温度、を計測する各センサーからの入力を受ける。
全てのエンジン冷却システムは、内燃機関の温度を可能な限り所定温度値に近い温度に維持することをその目標としている。エンジン冷却材の温度は一般的には、内燃機関の温度に追随するものであることから、エンジン冷却材の温度を制御することが、内燃機関温度の制御のための従来の方策であった。例えば、エンジン負荷が突然増大すると、内燃機関温度は、冷却材がこの事実を反映した温度になる以前に最適値を大きく上回るものとなるが、エンジン負荷がそのように突然増大する直前にサーモスタットが閉じていた時は、それが開放するまでの時間が長くなり、エンジンが無用にオーバーヒートする時間も長引いてしまう。
エンジンの始動或は暖機中には別の問題も生じる。エンジンの始動或は暖機中は冷却材温度は内燃機関温度よりも急速に上昇する。サーモスタットは冷却材温度によって作動することから、内燃機関温度が所定温度に達する以前にしばしば開放しそれにより、ウォータージャケット内の冷却材がエンジンを早期に冷却してしまう。冷却材温度が、所望の内燃機関温度をもたらすべく十分に調節され得ない場合には更に別のシナリオがある。
内燃機関温度が最適値に維持されないとエンジンオイルもまた最適温度とはならない。エンジンオイルの寿命はその使用状況に大きく左右され、エンジンが過冷或は過熱の何れかの状態で運転されると著しく短縮される。先に言及したように、冷間運転状態ではエンジンの燃焼室内での燃焼は不完全なものとなり、熱間運転状態におけるよりもスラッジが急速に堆積する。スラッジはエンジンオイルを汚染する。エンジンを高温状態下に運転するとエンジンオイルは早々に分解する。かくして、内燃機関温度がその最適値に定常的に維持されない場合にはエンジンオイルをより頻繁に交換する必要が生じる。
従来の冷却システムは、最適なエンジンオイル温度が周囲空気温度と共に変動すると言う事実を考慮していない。周囲空気温度が下がると内燃機関の構成部品の熱が周囲環境に一段と急速に放散されるので、流入エアによる内燃機関部品への冷却効果は増大する。この冷却効果に対抗して内燃機関部品の温度を最適運転温度に維持するためには、周囲空気温度が低い時のエンジンオイルの温度を、周囲空気温度が高い時よりもずっと高くすべきである。最新の冷却システムは、冷却材の温度に対してのみ応答することから、そうした温度差を考慮することができない。
要約すると、冷却材温度を使用して内燃機関温度を制御する従来方策は粗くしかも不正確である。従って、エンジン冷却システムの性能を改善するための数多くのアイデアが提案されているにも関わらず、エンジンの瞬間的な要求に応えつつ、冷却システムに要求される先に述べたその他の複数の機能を満足させる、もっと効率的な冷却システムに対する要望が尚、存在する。エンジン冷却システムの1つ以上の流れ制御弁の状態を、エンジン及び内燃機関の周囲の実際の空気温度を含む所定温度条件に従い制御するための温度制御システム並びに技術に対する要望が特に存在する。本発明はこうした要望を満たすものである。
〔解決しようとする課題〕
エンジン冷却システムの1つ以上の流れ制御弁の状態を、エンジン及び内燃機関の周囲の実際の空気温度を含む所定温度条件に従い制御するためのシステム及び方法を提供することである。
〔課題を解決するための手段〕
ラジエターを装備した液冷式の内燃機関における温度制御システムが、流れ制御弁を制御することにより、エンジン内の通路を通る温度制御用流体の流れを制御する。センサーが、エンジンオイルの温度のような、エンジンの状態温度を検出する。センサーは温度制御用流体の温度及び周囲空気温度をも好ましく検出する。エンジンコンピューターがセンサーからの信号を受け、受けた信号を予め決定された値と比較する。1実施例ではエンジンコンピューターがエンジンオイルの温度信号を予め決定された温度値と比較し、弁の作動を制御する。
別の実施例ではエンジンコンピューターがエンジンオイルの温度信号を予め決定されたエンジンオイルの温度値と比較する。エンジンコンピューターが、エンジンオイルの温度信号と予め決定されたエンジンオイルの温度値との比較に基き、予め決定された温度制御用流体の温度値を調節する。次いで、エンジンコンピューターが、温度制御用流体の温度信号を、調節された温度制御用流体の温度値と比較する。エンジンコンピューターは、温度制御用流体の温度信号と、調節された温度制御用流体の温度値との比較に基いて流れ制御弁を作動させる。
予め決定されたエンジンオイルの温度値と、予め決定された温度制御用流体の温度値とは周囲空気温度と共に変動するのが好ましい。従って、エンジンコンピューターは、検出した周囲空気温度を、曲線を画定する1組以上の値と比較することにより、予め決定された温度値を決定する。
本発明の前述した、及びその他の目的、特徴、利益は、以下の好ましい実施例の詳細な説明を付随する図面と共に参照することにより明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
図1は、エンジン内の温度制御用流体の流れを制御するための、油圧運転される電子式エンジン温度制御弁の1つの好ましい形態における平面図である。
図2は、図1を線2−2で切断した側方断面図である。
図3は、図1を線3−3で切断した別の側方断面図である。
図4は、図1を線4−4で切断した更に別の側方断面図である。
図5は、図2を線5−5で切断した、図1及び図2に示す弁の平面断面図である。
図6はエンジンの各パーツに連結されてなる、図1の弁の概略図である。
図7は、エンジンの複数の各部への温度制御用流体の流れを制御する、好ましい形態での複合機能を有する弁の、第1の位置にある場合の側方断面図である。
図8は、図7の弁の、第2の位置にある場合の側方断面図である。
図9は、エンジン内での温度制御用流体の流れを制御するための、ピストン形式の、油圧作動される電子式エンジン温度制御弁の側方断面図である。
図10は、図9の電子式エンジン温度制御弁の端面図である。
図11は、エンジン内の温度制御用流体の流れを制御するための、別態様でのピストン形の、油圧作動される電子式エンジン温度制御弁の側方断面図である。
図12は、図11の電子式エンジン温度制御弁の端面図である。
図13Aは、図7に示す本発明の実施例で使用する、静止ロッドシールの拡大断面図である。
図13Bは、図7の本発明の実施例で使用するガスケットシールの拡大断面図である。
図14AはGM社製3800CC横置きV6型エンジンの通常運転中における、本発明に従う電子式エンジン温度制御弁を使用する温度制御システムの1実施例の概略図である。
図14Bは、暖機運転中の、図14Aの温度制御システムの概略例示図である。
図14Cは、GM社製3800CC横置きV6型エンジンの暖機運転中における、ラジエターへの温度制御用流体の流れを制御する新規な電子式エンジン温度制御弁を使用する、本発明の温度制御システムの第2の実施例の概略例示図である。
図14Dは、温度制御用流体の一部がラジエターに流れ、一部がインテークマニホルド及びオイルパンを貫いて流れる状態を示す、通常の運転中での図14Cの温度制御システムの第2の実施例の概略例示図である。
図14Eは、GM社製3800CC横置きV6型エンジンの通常運転中における、遠隔操作される遮断弁(図8及び図33に示される)を使用する、本発明の温度制御システムの第3の実施例の概略例示図である。
図14Fは、温度制御用流体がラジエターを通して流動する通常運転中での、図14Eの温度制御システムの第3の実施例の概略例示図である。
図15は、ダイヤフラムの好ましい実施例を示すと共に弁ハウジングへのその付設状況を示す、図2の流れ制御弁の部分拡大分解斜視図である。
図16Aは、本発明における弁の状態或は位置を制御するための好適な作動液インジェクタの断面図である。
図16Bは、本発明における弁の状態或は位置を制御するための好適な作動液インジェクタの断面図である。
図16Cは、本発明における弁の状態或は位置を制御するための好適な、別形式での作動液インジェクタの断面図である。
図17は、本発明における弁の状態或は位置を制御するためのエンジンコンピューターに接続する、またエンジンコンピューターから接続する回路のブロックダイヤグラム図である。
図18は、図7に示す弁と共に使用するための、エンジンブロックを貫いてエンジンオイルパンに達する温度制御用流体の流路を示す、エンジンブロックのダイヤグラム図である。
図19は、温度制御用流体及び周囲空気の選択温度での、本発明の弁の状態を示すグラフである。
図20は、温度制御用流体及び周囲空気の選択温度での、本発明の弁の状態を示すグラフである。
図21は、従来のワックスペレット式或はバイメタルコイル式のサーモスタットにおける。図19及び図20におけると同一の、温度制御用流体及び周囲空気の選択温度位置での状態を示すグラフである。
図22Aは、温度制御用流体及び周囲空気の選択温度位置での本発明の複数の弁の状態を示すグラフである。
図22Bは、温度制御用流体及び周囲空気の選択温度位置での本発明の複数の弁の状態を示すグラフである。
図23は、図22Aに示される複数の弁を図22Aのスキームに従い制御した場合の実際の温度制御用流体の温度を、従来のサーモスタットを使用し、図21のスキームに従い制御した場合の実際のエンジン冷却材温度と比較したグラフである。
図24は、通常の(低い)エンジン負荷及び高エンジン負荷状況に対する、温度制御用流体及び周囲空気の選択温度での弁の状態を示すグラフである。
図25は、周囲空気の選択温度における最適なエンジンオイルの温度をプロットしたグラフである。
図26は、通常の(低い)エンジン負荷条件及び始動/暖機中における、温度制御用流体及び周囲空気の選択温度での本発明の弁の状態を示すグラフである。
図27は、図24及び図26に示す多様なエンジン運転条件に基いて弁の状態を決定するためのシステムを示すフローチャートである。
図28は、本発明における弁の状態或は位置を、図24及び図26に示す多様なエンジン運転条件に従って制御するための、エンジンコンピューターにまたエンジンコンピューターから接続する回路のブロックダイヤグラム図である。
図29は、図24から図28に示す本発明を使用する場合の、選択された周囲空気温度での実際のエンジンオイルの温度のグラフである。
図30は、図24から図28に示す本発明を使用する場合の、自動車運転中における温度制御用流体の温度並びにエンジンオイルの温度の傾向を示す線である。
図31Aは、暖機運転中の、エンジンを貫く、インテークマニホルド及びオイルパンを含む温度制御用流体の流路の理想化したダイヤグラム図である。
図31Bは、電子式エンジン温度制御弁が部分的に開放した状態での通常運転中の、エンジンを貫く、インテークマニホルド及びエンジンオイルパンを含む温度制御用流体の流路の理想化したダイヤグラム図である。
図32Aは、暖機運転中の、エンジンを貫く、インテークマニホルド及びエンジンオイルパンを含む温度制御用流体の流路を示す第2実施例の理想化したダイヤグラム図である。
図32Bは、通常運転中での、温度制御用流体の流路を示す、図32Aの第2実施例の理想化したダイヤグラム図である。
図33は、本発明に従う、絞り弁/遮断弁式の流れ制御弁を示すエンジンブロックの断面のダイヤグラム図である。
図34は、流路に取り付けた絞り弁/遮断弁の断面図である。
図35は、図34の絞り弁/遮断弁の分解斜視図である。
図36は、図34を線36-36で切断した、絞り弁/遮断弁の断面側面図である。
図37は、図34を線37-37に沿って切断した、絞り弁/遮断弁の断面側面図である。
図38は、2つの異なる流路内の温度制御用流体の流れを同時に制御するための環境にある場合の絞り弁/遮断弁の断面図である。
図39は、絞り弁/遮断弁による、ウォータージャケットの内外の流路における温度制御用流体の流れの制御状況を示す、エンジンブロック内のウォータージャケットのダイヤグラム図である。
図40は、サーモスタットが閉じている場合の、従来のエンジンを貫く冷却材循環流路のダイヤグラム図である。
図41は、サーモスタットが開いた状態での、従来のエンジンを貫く冷却材循環流路を理想化したダイヤグラム図である。
図42は、サーモスタットが開いた状態での、従来のエンジンを貫く冷却材循環流路の実際のダイヤグラム図である。
図43は、温度制御用流体の、エンジンの複数の各部への流れを制御する、複合機能を持つ好ましい形態での弁の側方断面図である。
図44Aは、内燃機関内での、本発明に従う、エンジン暖機を助成するためのバイパスウォータージャケットを含む温度制御システムの、別態様の実施例のダイヤグラム図である。
図44Bは、通常運転中の、図44Aに示す温度制御システムのダイヤグラム図である。
図45Aは、温度制御用流体の温度成分を調節するための1方法を例示するグラフである。
図45Bは、エンジン条件を説明する温度制御用曲線を調節した結果を例示するグラフである。
図45Cは、温度制御用流体の温度成分を調節するための別法を例示するグラフである。
図46は、エンジンが、変動負荷状況を受けつつある場合の実際のエンジンオイルの温度及び温度制御用流体の温度を表す経験的曲線である。
図47は、GM社製3800CC横置きV6型エンジンの、負荷変動状況を受けている場合に発生したデータを実際にプロットしたものである。
図48は、一定の、所望のエンジンオイル温度を使用する、本発明の別態様での実施例の斜視図である。
図49は、温度制御システムで使用するための電子的に支援されるサーモスタットの例示図である。
〔発明の実施の形態〕
本明細書で使用する特定の用語は都合上使用されるに過ぎないものであり、本発明を限定しようとするものではない。特に、“上方”、“下方”、“左”、“右”“水平”、“垂直”、“上向き”、“下向き”等の用語は図面に示される状態を説明するに過ぎない。実際、弁及び関連部品は任意の方向に配向することができる。例えば、図面に垂直に配向されたラジエターが示されるが、本発明の範囲内でこれを水平に配向することも可能である。
新規な電子式エンジン温度制御弁の好ましい実施例が図面に例示される。
図1には、新規な電子式エンジン温度制御弁10(今後、“EETC弁10”とも称する)の平面図が示され、このEETC弁10はエンジン温度を制御するための温度制御用流体の流路12(図面では流路12の一部分だけが見えている)に付設されている。EETC弁10は取り付けボルト14により流路12に付設され、2つの主要な補助部品、即ち弁機構16と、作動液インジェクタ18及び20により作動する一対のソレノイドとを含んでいる。作動液インジェクタ18は作動液の入口弁を、作動液インジェクタ20は作動液の出口弁を構成する。実際上は、作動液インジェクタ18、20は逆止弁である。図1では、弁ハウジングの補助部品として弁機構16の弁機構ハウジング22と、各作動液インジェクタ18、20のハウジング24、26が含まれることが示される。EETC弁10には、インサート30を介して弁ハウジングに取り付けた作動液圧力センサ28も含まれる。好ましい実施例ではインサート30は真鍮製のフィッティングである。
図1には、電気的端子32、34と、作動液インジェクタ18及び20の夫々と関連する作動液入口管36及び作動液出口管38も示される。これらの管は夫々、インサート30を介して弁ハウジングに導入する丈夫な管に付設される。各インサート30は図1では見えないが、作動液入口管36と関連するインサート30は図3に示されている。作動液入口管36は、エンジン潤滑用のエンジンオイルのような加圧作動液源に接続され、作動液出口管38は、オイルパンのような低圧の作動液リザーバに接続されている。電気式端子32、34は各々、その一端が夫々の作動液インジェクタ(図示せず)の内部のソレノイドに接続され、他端が、コンピューター化された電子制御ユニット(ECU)(図示せず)に接続される。
図2にはEETC弁10の、図1を線2−2に沿って切断した1つの側方断面が示される。本図ではEETC弁10は油圧作動式のダイヤフラム弁40である。ダイヤフラム弁40は、弁機構ハウジング22の内部で軸線Aに沿って第1及び第2の状態或は位置間を往復する。図2ではダイヤフラム弁40は、それが“閉鎖”状態と関連する第1の位置が実線で示され、また、“開放”状態と関連する第2の位置が点線で示されている。“閉鎖”状態では、ダイヤフラム弁40は流路開口42を通して温度制御用流体(今後、“TCF”とも称する)が流れないようにし、また“開放”状態である第2の位置では、そうした流れを許容する。開口42は、エンジンの図示されないラジエターに導通する。図2にはインジェクタ20と関連する電気的端子34及び作動液出口管38、作動液圧力センサ28、取り付けボルト14の一方も示される。
本明細書でTCFとして参照するものは斯界では、代表的に“クーラント”として知られるものである。クーラントは通常は流体の物質であり、内部に熱を生じるリアクタの任意部分を冷却するために使用される。しかしながら、以下に説明する通り、TCFはエンジン構成部品から熱エネルギーを除去するのみならず、特定の実施例では熱エネルギーをエンジンの特定の構成部品に送り込むためにも使用される。同様に、本明細書で参照される従来技術はエンジン冷却システムに関するものであるが、本発明は、エンジン温度制御システムにおいて独特の単数或は複数の弁を使用し、エンジン構成部品の冷却及び加熱の両機能を提供するものである。
再度図2を参照するに、ダイヤフラム弁40は弁機構ハウジング22の内部で往復作動する。弁機構ハウジング22は、バンドクランプ或はクリンプ48により相互に保持された、ハウジング胴部44とカバー46とから構成される。ハウジング胴部44は全体的に水平の隔壁50を含み、この隔壁50が、ハウジング胴部44を上方画室52と下方画室54とに分割する(隔壁50が3次元的には全体的に円筒形状の円盤であることを認識されよう)。隔壁50の中心には円形の穿孔が設けられ、往復作動する弁シャフト或はロッドが、以下に説明するようにこの穿孔を貫いて通過することができるようにしている。隔壁50の内縁部から垂直上方及び垂直下方には、前記円形の穿孔の外側周囲部分と一致する状態で円筒形状のカラー56が伸延する。カラー56は隔壁50と一体であり、下方画室54の下端は開口42に続いている。
先に説明したように、ダイヤフラム弁40は、開口42を通るTCFの流れを阻止する“閉鎖”位置と、その流れを許容する“開放”位置との間で往復作動する。ダイヤフラム弁40が“閉鎖”位置にある時、ウォーターポンプはTCFをウォータージャケットのみを通して流動せしめる。ヒーター或はデフロスタが作動されている時は、TCFは、室内ヒーターのための、代表的にはヒーターコアである熱交換器をも通して循環する。ダイヤフラム弁40が“開放”状態の時、ウォータージャケット及びヒーターの熱交換器を通して循環する以前に殆どのTCFがラジエターを通過する。
かくして、図2の実施例ではダイヤフラム弁40は従来のワックスペレット式のサーモスタットと同様の機能を果たす。しかしながら、そうした一定温度型のワックスペレット式サーモスタットとは異なり、ダイヤフラム弁40は電子的に制御されるので、特定のエンジン運転状況並びに周囲環境状況に合わせてコンピューター制御された信号に従って開閉させることができる。
ダイヤフラム弁40は、アッパーチャンバ58、ダイヤフラム60、プレート62、ロワーチャンバ64、シャフト或はロッド66、弁部材68、バイアススプリング70、を含む。ダイヤフラム60、プレート62、そしてバイアススプリング70はハウジング胴部の上方画室52内に配設される。ダイヤフラム60はこの上方画室52を、アッパーチャンバ58とロワーチャンバ64とに分画する。バイアススプリング70は、その一端部がプレート62の下方表面に当接する状態で座着し、他端部が、ハウジング胴部44の隔壁50の上方表面に当接する状態で座着する。ロッド66の一端部もまた、プレート62の下方表面に当接する状態で座着し、ハウジング胴部44の上方画室52及び下方画室54を貫いて伸延する。ダイヤフラム60はプレート62及びロッド66を介して弁部材68と機械的にリンクする。斯くして、ダイヤフラム60の位置はプレート62及びロッド66を介して弁部材68に伝えられそれにより、弁部材68は図で実線及び点線で示す第1の位置及び第2の位置間を往復作動する。
ハウジング胴部44のロワーチャンバ64には通気孔72が設けられ、ダイヤフラム弁40が第1及び第2の各位置間を移動する時、この通気孔を通してロワーチャンバ64にエアを出入りさせる。半径方向O−リング74が通路76からのTCFの漏洩を防止する。
ダイヤフラム弁40は開口42の周囲に沿ってガスケットシール78をも含んでいる。ガスケットシール78は、ダイヤフラム弁40が第1の位置にある場合に弁部材68が開口42を通る流れを遮断することができるようにする。本発明の好ましい実施例では、ガスケットシール78は弁部材68のための弁座としても機能する。ガスケットシール78は垂直方向断面が全体的に四角形であるが、本発明はその他の形状をも意図するものである。ガスケットシール78の1つの好ましい材料形式のものは、デラウェア州ウィルミントンのE.I.Du Pont DeNemours & Co.,の製造するViton(商標名)である。ロッド80の外側周囲部分の内側には、下方画室54内のTCFが弁機構のロワーチャンバ64内に漏れ出さないようにするためのO−リング80が配設される。
本発明の好ましい実施例では、ダイヤフラム60は極めて高い圧力にずっと容易に耐え得るような特別の構成を有している。ダイヤフラム60の詳細は図15を参照して更に完全に議論される。
ダイヤフラム弁のアッパーチャンバ58は、作動液流路82との間の開口84を通してこの作動液流路82と流体連通している。また作動液流路82は、図4に最も良く示されるように、通路76を通して作動液インジェクタ18の出口弁及び作動液インジェクタ20の入口弁とも流体連通し、更には、作動液圧力センサ28とも流体連通することで、この作動液流路内の圧力を監視してダイヤフラム弁の状態を制御することができるようにしている。エンジンの作動液流路に組み込むために好適な寸法のダイヤフラム弁は、代表的には200psi(1378.9kPa)の範囲の圧力に耐えることができる。強度的にはダイヤフラム弁は、圧力が過剰に高まれば最初に壊れる部品であるが、作動液流路内の圧力を監視することで、そうした圧力が弁部品の安全取り扱い範囲を越えないことが保証され得るようになる。
作動液流路内の圧力が所定限界値、例えば作動液の圧力損失が生じた場合のように限界値を越えた或はそれ以下となった時に作動液圧力センサ28からの信号をECUに送る警告システムを組み入れることができる。ECUは作動液圧力センサ28からの信号を受けるとオペレーターに好適な警告を表示する。更に、電子−機械的装置のようなオーバーライド機構を作動させてEETC弁を開放位置にロックし、EETC弁が故障している間のラジエターへの温度制御用流体の流れを維持させることもできる。
本発明の好ましい実施例では、ダイヤフラム弁は高圧環境に良好に耐えられるようにするための或る特徴を有している。図15には、高圧下における最良の結果を実現するために、ダイヤフラム弁をダイヤフラム弁機構ハウジング内に取り付けた、好ましいダイヤフラム弁の好ましい態様が分解斜視図で示される。
米国特許第4,484,541号に記載されたような、アッパーチャンバを真空化し且つこの真空を除去することにより作動及び不作動の各状態となる従来のダイヤフラム弁とは異なり、本発明のダイヤフラム弁40はアッパーチャンバ58を作動液を使用して加減圧することにより好ましく作動される。EETC弁を使用する本システムは、温度過剰に対してそれ程敏感ではないこと、より高精度でありしかも耐久性及び信頼性が高いこと、を含む多くの長所を含む点で真空作動式のシステムに勝るものである。上述の長所は、EETC弁を使用する本システムが環境的及び物理的な多くの極限的状況下で機能する必要があることから非常に重要な考慮事項である。従って、信頼できる作動源が必要である。エンジン内で最も信頼性のある作動源の1つは加圧されたエンジンオイルである。
EETC弁は一般に、エンジン性能を最適化するためのずっと高い温度で作動するが、そうした高温下でEETC弁を作動させるためには高い圧力(例えば約10ポンド(4.5Kg)の力)が必要となる。標準的な電子機械的ソレノイド形式の或は真空形式の弁は、最悪の条件下に運転上の問題を経験することがある。本発明の新規なEETC弁は、エンジンオイル量が減じた時、エンジンオイルが高温である時、或はオイルポンプが損耗した時、のようにオイル圧力が通常の50%未満でしかない場合にも、弁を作動させるために必要な力を提供するべく設計される。従って、記載されたEETC弁は、開示されたEETC弁を使用する冷却システムのために好ましいものである。
作動に際し、ダイヤフラム弁40は以下のように機能する。即ち、エンジン作動状態でダイヤフラム弁40を開放させたい時、ECUは作動液インジェクタ18のソレノイドに制御信号を送り、作動液インジェクタ18の入口弁を開放させると同時に、作動液インジェクタ20のソレノイドにも制御信号を送り、この作動液インジェクタ20の出口弁を、それが既に閉じていない場合には閉鎖させる。作動液入口管36からの加圧された作動液が、作動液流路82、開口84を通して流動してアッパーチャンバ58に入り、ダイヤフラム弁60及びプレート62を押し込む。ダイヤフラム弁60とプレート62とを押し込む作動液の流体圧力がバイアススプリング70の対向力に打勝つと、ダイヤフラム弁60は押し下げられ、弁部材68は下方に移動する。アッパーチャンバ58は、ダイヤフラム弁60とプレート62とが降下するに従い膨張する。アッパーチャンバ58に流体が充満するとアッパーチャンバ内の圧力が上昇する。アッパーチャンバ内の圧力が予め決定された圧力値に達したことを作動液圧力センサ28が検知すると、に動液圧力センサ28はECUをして、予め決定された時間作動すタイマーをスタートせしめる。タイマーが切れた後、ECUは作動液インジェクタ18のソレノイドに対しこの作動液インジェクタ18の入口弁を閉鎖させるための制御信号を送る。かくして、アッパーチャンバ58内の作動液はアッパーチャンバ58内部に捕捉されたままとなる。
アッパーチャンバー内の作動液の予め決定された圧力の水準、そして予め決定されたタイマーの作動時間は、弁部材68が開放、即ち第2の位置に達し得るようなものに経験的に決定される。作動液インジェクタのソレノイドを過度に作動させないために、開放した作動液インジェクタ18の入口弁は、ダイヤフラム弁40が所望の状態となった後は速やかに閉鎖すべきである。またダイヤフラム弁40は、作動液インジェクタ18を取り付けた流体システムの内圧よりも小さい圧力下では常に開放するようにも選択される。アッパーチャンバ58及び或は通路に捕捉されたエアを除去するために、ECUを短時間(例えば1秒間)、作動液インジェクタ20の出口を開放させるためにプログラムすることができる。このエア除去は自動車の油圧ブレーキシステムのエア抜きと類似している。
アッパーチャンバ58から作動液が漏れると、この漏れを作動液圧力センサ28が即座に検出する。ECUはこれに応答して作動液インジェクタ18のソレノイドに再度制御信号を送り、その入口弁を開放させる。作動液圧力センサ28は、圧力が再び所定値に戻ったことを検出すると、ECUをして予め決定された時間作動するタイマーを再スタートせしめる。このタイマーが切れると、ECUは作動液インジェクタ18のソレノイドに制御信号を送り、その入口弁を閉鎖させる。
EETC弁を開放するプロセスは、エンジン始動中には作動液源の圧力が通常の作動水準に達するまで自動的に遅延される。作動液としてエンジンオイルを使用する本発明の1実施例では、エンジンの臨界的な部品の全てを潤滑できるようにするまでの遅延時間は約2から3秒間である。
ダイヤフラム弁40を閉鎖しようとする場合は上述の各段階を逆順にて実行する。つまり、ECUが作動液インジェクタ18のソレノイドに対し、もしその入口弁が既に閉じていない場合はこれを閉鎖させるために制御信号を送る。同時に、ECUが作動液インジェクタ20のソレノイドに対し、その出口弁を開放させるための制御信号を送る。アッパーチャンバ58の内部の、加圧された作動液は開口84を通してアッパーチャンバ58を出、作動液インジェクタ20の開放された出口弁を通して作動液流路82に入り、次いで作動液出口管38に流入する。作動液出口管38は、図示されない作動液リザーバに接続される。アッパーチャンバ58内の作動液が空になるとバイアススプリング70がダイヤフラム60とプレート62とを押し上げるので弁部材68が上昇し、ダイヤフラム弁40を閉鎖させる。作動液圧力センサ28が、アッパーチャンバ58がもはや加圧されないことを検出すると、ECUはそれに応じて作動液インジェクタ20をしてその出口弁を開放させるための制御信号を送り出す。
ダイヤフラム弁40を閉鎖するために自動車のエンジンを作動させる必要は無い。かくして、“hot engine off soak”(即ち、高温のエンジンを停止させた後)の間は作動液がアッパーチャンバ58内に捕捉されたままであることからダイヤフラム弁40は開放し続ける。この機能は、サーモスタットのワックスペレットが再硬化するまでラジエターへの開放通路が維持される従来の冷却システムと似ている。エンジンが冷えた後、ECUは(自動車のバッテリーで作動される)ダイヤフラム弁40を先に説明したようにして閉鎖せしめる。
図3には図1を線3−3で切断した、ダイヤフラム弁である場合のEETC弁10の側方断面図が示される。本図では、エンジンブロックのウォータージャケットからダイヤフラム弁40を通してラジエターに続く通路からの全てのTCF流れがより明瞭に示される。先に言及したように、もしダイヤフラム弁40が閉じていると、TCFはラジエターに偏向されることなくウォータージャケットに直接戻る。
図3には作動液の入口弁を構成する作動液インジェクタ18と、この作動液インジェクタ18に通じる作動液入口管36とが、関連するインサート30と共に示される。先に言及したように、インサート30は真鍮製のフィッティングであるのが好ましい。作動液インジェクタ18の出口からアッパーチャンバ58までの作動液流路82は本図では見えないが、図4に明瞭に示されている。図4では、作動液入口管36と作動液インジェクタ18との間の流体連結部或は作動液流路も見えないが、この作動液流路は図6を参照することにより理解することができる。
図4には、図1を3−3に沿って切断した、ダイヤフラム弁である場合のEETC弁10の更に別の側方断面図が示される。本図には、作動液インジェクタ18の出口からアッパーチャンバ58に続く通路76への、また、作動液インジェクタ20から続く通路76への、アッパーチャンバ58からの、流体通路86が示される。作動液入口管36及び作動液出口管38間の、また作動液インジェクタ18及び作動液インジェクタ20間の流体連結部或は流路もまた図4では見えないが、図6との関連に於て理解され得るものである。
図5は、図1及び図2に示すEETC弁10を、図2の線5−5に沿って切断した水平方向での断面図である。図5には弁部品の内部構造が示されている。
図6には、EETC弁10を作動液源に接続するための好ましい実施例が示されている。本実施例では、作動液源はエンジンオイルである。図6ではオイルパン94はその一部が破除され、その内部のオイルポンプ90と、オイルリザーバ92とが見えている。斯界に周知の如く、オイルポンプ90のポンプ出口96は、図示しない分配ヘッダを介し、ポンプ圧力下に事実上全てのエンジン可動部分にオイルを供給する。作動液インジェクタ18に対する加圧された作動液源を提供するべく、作動液入口管36がポンプ出口96に連結される。加圧されたオイルライン内に、随意的な、交換自在のオイルフィルター98を配置することで、EETC弁10に向うオイル流れによる各インジェクタの目詰まりを確実になくすことができる。作動液インジェクタ20を出る作動液のための戻り流路を提供するために、作動液出口管38がオイルパン94内のオイルリザーバ92に連結される。
図7、8、13A、13B、15には、エンジンの複数のパーツに向うTCFの流れをも同時に制御する、EETC弁(参照番号100で示される)の別の好ましい形態が示される。1実施例において、EETC弁100はラジエター及びオイルパンに向う流体流れを制御する。本実施例でのEETC弁は米国特許第5,458,096号にその詳細が議論されている(本発明は任意のEETC弁の実施例に対して適用することが出来ることを銘記されたい。本明細書では簡易化のためにEETC弁10或はEETC弁100に対する参照がなされる)。
図14はGM社製3800cc横置きV6型エンジンにおける本発明に従う温度制御システムの1実施例を概略示すものである。本実施例では温度制御システムは、改変された多機能型のEETC弁100を含み、インテークマニホルド及びオイルパンに向うTCF流路を備えている。この、簡略化された図14Aには、ヒーターへの、またヒーターからのTCF流路は示されない。図14Aの温度制御システムは以下の如く機能する。
EETC弁100が第2の位置(即ちTCFがラジエターに向けて流れ、インテークマニホルド/オイルパンへのTCF流れが防止される)にある時、TCFはシリンダーブロック内に形成されたエンジンブロックジャケット200に入る。エンジンブロックジャケット200を出たTCFは、流路202’を通してシリンダーヘッドウォータージャケット202に供給される。ラジエター206に入ったTCFは、ラジエター通過中にこのラジエター206の裏側に位置付けた冷却ファン210からの空気流れにより冷却される。冷却されたTCFは、ラジエター出口通路214を通し、TCFポンプ212(例えばウォーターポンプ)に供給される。ポンプ212に供給されたTCFはエンジンブロックジャケット200及びシリンダーヘッドウォータージャケット202に再供給される。
図14Bには、EETC弁100が第1の位置(即ち、ラジエターへのTCF流れが防止され、インテークマニホルド/オイルパンへのTCF流れが許容される)にある場合の温度制御システムが例示される。本実施例では、絞り弁400が、エンジンブロックジャケット200からシリンダーヘッドウォータージャケット202に向うTCF流れを防止するために好ましく使用される。従って、少量のTCFのみがエンジンブロックジャケット200からシリンダーヘッドウォータージャケット202に供給される(図中では細い矢印で示される)。シリンダーヘッド内のTCFの質量が小さいことから、TCFは急速に高温化される。一方、エンジンブロックジャケット200内に拘束された分のTCFは、熱損失を防ぐための絶縁体として作用する。シリンダーヘッドウォータージャケット202を出たTCFは、EETC弁100により、ラジエター入口流路208への流入を防止される。そこでTCFはラジエター206をバイパスし、インテークマニホルドジャケット204に入る。TCFはインテークマニホルドジャケット204を出た後、バイパス流路216を通してオイルパン94に入り、次いで熱交換器218に入る。熱交換器218は、TCFからの熱をオイルパン94内のオイルに移行させ得るようにするためのU字型の伝熱管220を含むのが好ましい。熱交換器218を出たTCFは、エンジンブロック内に再循環されるべくポンプ212に戻る。
低温環境にある時、或はエンジンを先ず暖気する時は、エンジンオイルをできるだけ早くその通常作動温度にまで加熱し且つその温度に維持するべきである。従来のエンジン冷却システムではエンジン冷却材はこの目的を助成するためには使用されずに、従来システムは潤滑材をジャケットを通して即座に循環させることにより、エンジンブロックから、従ってエンジンオイルから熱を奪取し、潤滑油が素早くその最適温度に到達するのを妨げていたのである。
本発明は、TCFの一部分をオイルパン94を通して循環させることにより前記目的の達成を助成する。エンジンが低温環境にあって、EETC弁100が第1の位置にあると考えられる時、或は先ずエンジンを暖機する時には、オイルパン94内のオイルは、それが最も必要とする時に、暖められた或は高温のTCFを受けることとなる。この暖められた或は高温のTCFからオイルに移行する熱エネルギーは、エンジンオイルをしてその理想的な作動温度に一段と素早く到達可能ならしめる。実際、オイルパン94に分岐されるTCFはTCF循環によるエンジン熱の渦流損の幾分かを再捕捉する。
ここに説明する本発明の冷却システムによれば、エンジンオイルはエンジン停止後にTCFの熱エネルギーの幾分かを捕捉することができる。これと対象的に、従来の冷却システムでは冷却材中の熱エネルギーは環境中に無駄に放出される。本発明ではEETC弁100はエンジン冷却後には常に第1の位置にあることから、熱エネルギーは対流を介して、流路216からオイルパン94に移行することができる。もし周囲温度が非常に低い時、EETC弁100はエンジン作動中及び作動後にも第1の位置に止まることさえできる。かくして、対流によるエンジンオイルの加熱はエンジン停止後にも継続される。高温のTCFの質量は、エンジン停止後長時間に渡り、エンジンオイルを暖め続ける可能性を有している。結局、本発明は、エンジンが頻繁なオン/オフサイクルを受ける状況、例えば配送車における実質的な利益を提供する。
上述の如く、EETC弁100は別の態様においても作動され得る。例えば、第2の実施例では、ラジエターを通るTCF流れを物理的に制御するためにEETC弁100を組み込んでいる。ラジエターに向うTCF流れを止め、そして開放することにより、インテークマニホルド及びオイルパンを通るTCF流れが制御される。この状況は図14C及び図14Dにダイヤグラムによって示され、その作動は以下の如くである。EETC100が第1の位置にある時、ラジエターに向うTCF流れは防止され、オイルパン及びインテークマニホルドを通るTCF流れが許容される(例えば暖機相)。EETC弁が第2の位置にある時には(図14D)、ラジエターに向うTCF流れが許容される。インテークマニホルド及びオイルパンに向うTCF流れは物理的拘束を受けないが、ウォーターポンプからの圧力により、TCFの有意量がラジエターを通して流動する。この時、インテークマニホルド及びオイルパンを通るTCF流量は最小となる。
温度制御システムの第3の実施例が図14E及び図14Fに示される。弁300が、インテークマニホルド(図示せず)を取り巻くインテークマニホルドジャケットを通してのTCF流れを制御する。この目的上、弁300は弁チャンバに加えられる作動液の圧力によって、関連する通路を通るTCF流れを絞らない第1の位置から、関連する通路を通るTCF流れを絞る或は閉塞する第2の位置へと移動する任意の弁とすることができる。この目的に適した弁300の一例が図33から図39に記載されるが、弁300は、ピストン弁、ダイヤフラム弁その他のような作動液により作動される任意形式の弁を含み得るものである。更には、好ましい弁は作動液の流体圧力によって作動するが、本発明の範囲の内でその他の作動機構とすることも可能である。弁は、図では都合上、EETC弁100に極めて接近して位置付けられている。弁300は、インテークマニホルドジャケット204内へのTCF流れを高速及び或は閉塞するための任意の好適な位置に配置することができる。
温度制御システムは、EETC弁100がインテークマニホルドへのTCF流れ制御するような構成のものとすることもできる。EETC弁100を第2の位置に移動させたい場合、加圧された作動液を作動液出口管174に沿って同時に流動させて、インテークマニホルドへのTCF流れを制御する弁300のチャンバ(図示せず)に流入させる。チャンバに入った作動液が弁300を第1の位置(TCF流れを絞らない)から第2の位置(TCF流れを絞る或は防止する)に移動せしめる。EETC100弁を第1の位置に戻したい時は作動液を弁300からEETC弁100に戻し、次いで作動液インジェクタから排出する。こうして、EETC弁100が弁300の状態を決定する。
こうした制御スキームは、エンジンが高温の時にインテークマニホルドを通る熱エネルギー量を減らすことをその目的とするものである。代表的な内燃機関ではインテークマニホルドの理想的温度は約120°F(約48.9℃)である。そうしたエンジンでは、インテークマニホルドを約130°F(約54.5℃)よりも高温に加熱しても何の利益もない。実際、インテークマニホルドが余りに高温であると燃焼効率は低下する。これは、加熱される空気が膨張することに基づいている。空気体積が膨張すると、結局は体積当りの酸素分子数が減少する。燃焼には酸素が必要であるから、予め決定された体積中の酸素分子量が減ると燃焼効率は低下するのである。従来の空気冷却ジャケットでは冷却材を常にインテークマニホルドを通して送達している。エンジンが高温状態で作動する時、冷却材温度は代表的には約220°Fから約260°F(約104.4℃から約126.7℃)の範囲であるから、冷却材はインテークマニホルドの理想的な温度よりもかなり高温であり得る。であるのに、従来の冷却システムはインテークマニホルドを通して冷却材を送達し続け、その結果、インテークマニホルド温度は極めて高い温度範囲に維持されてしまう。
本第2実施例ではEETC弁100を使用して、インテークマニホルドを通るTCF流れを絞る或は防止することで、先に述べた所望されざる状況を回避している。EETC弁100が第1の位置にある時、TCF温度は、インテークマニホルドの温度をその理想的な作動温度よりも高くする温度よりも低いと考えられる。かくして、EETC弁が第1の位置にある場合にはインテークマニホルドを通るTCF流れが許容される。本スキームは、TCF流れをオイルパンに向けて分岐させるためのTCF流路の改変と共に、或はそうした改変を伴わずに機能する。
或は弁300は、そうではなく、インテークマニホルドジェケット204の端部に取り付けられそれにより、このインテークマニホルドジェケット204を通るTCFを“デッド・ヘッディング”させる。“デッド・ヘッディング”とはTCF流れが防止され、しかも尚、TCFが、エンジンのウォーターポンプがTCF流れをポンピングし続けることによってウォータージャケットの流路内に残留する状態を言う。また、“絞る”とは、本実施例では、TCF流れが部分的に防止され、しかも尚、TCFの一部分が、エンジンのウォーターポンプがTCFをポンピングし続けることによってウォータージャケットの流路内に残留する状態を言う。熱エネルギーは、TCFによって主にエンジンブロックに及びエンジンブロックから移行することから、TCFのデッドヘッディングはTCF流れを遮断するのとほぼ同じ効果がある。これは、部分的には、インテークマニホルドを通る空気により提供される冷却効果によるものである。この冷却効果により、インテークマニホルドのウォータージャケット内に“停滞した”TCFから熱が奪取される。この構成ではシリンダーヘッドとインテークマニホルドとの間のチャンネルが尚、開放されることから、インテークマニホルドジャケット204とシリンダーヘッド及びシリンダーブロックジャケット200、202間において尚、対流するTCFによる最小量の熱流れが生じる。しかしながら、インテークマニホルドジャケット204の始端に通じるTCF流路内に(図14E及び図14F参照)弁300を配置し、インテークマニホルドジャケット204を通るTCF流れと、インテークマニホルドジャケット204とシリンダーブロックジャケット200、202との間におけるTCFの対流熱流れとを共になくすことが一層好ましい。
EETC弁100が、ラジエター、オイルパン、そしてエンジンブロックウォータージャケットの一部(例えばインテークマニホルドの周囲部分)へのTCF流れを制御する、図14Aから図14Fに示す構成によれば、広範な周囲空気温度状況のみならず、エンジン暖機中における一層効率的なエンジン温度制御システムが創出される。気温が低く且つ暖機中の時、EETC弁100はTCFがインテークマニホルド及びオイルパンに流れるようにし、エンジンオイルやインテークマニホルドがそれらの理想的な作動温度にずっと速く達するようにする。エンジンが十分に暖い、或はエンジンが周囲温度が非常に高い状態下に作動する時は、オイルパン或はインテークマニホルドへの追加的な熱エネルギーは不要であるので、EETC弁100はオイルパン及びインテークマニホルドへのTCF流れを共に遮断する。
EETC弁100はインテークマニホルドの周囲部分以外のエンジンブロックウォータージャケット部分へのTCFをも制御することができる。別態様においては、図14E及び図14Fに示す弁300を、シリンダーブロックジャケット200或はシリンダーヘッドジャケット202部分を通るTCFを防止或は絞るべく配置することも可能である。別の実施例では、ウォータージャケットを閉鎖する/絞る複数の弁が、ダイヤフラム弁102からなるTCFシステムにより同時的に制御され得る。図14Fには、エンジンブロックジャケット200とシリンダーヘッドジャケット202との間のチャンネル202’の幾つかが絞られ/遮断される状態が例示される。
図14Aから図14Fに示す別態様では、シリンダーヘッド及び或はインテークマニホルドの一部に向かうTCF流れを防止或は減少させるための絞り弁/遮断弁の使用が例示されている。先に述べたように、こうした構成は、TCFが可能な限り速やかにその最適の作動温度に加熱されるので、エンジンが冷えている時、例えば暖機中である場合に有益である。エンジンオイルは、一定質量のTCFを、ラジエターを経ずにエンジンを通して流動させることによっても、結局は加熱されるが、そのためには所望以上に長い時間を要する。従って、こうした実施例では、シリンダーヘッド及び或はインテークマニホルドからの熱をエンジンオイルに振り分けてエンジンオイルを直接加熱する。これらの実施例ではEETC弁は図43に示すそれと類似のものであるのが好ましい。しかしながら、TCFはオイルパンに向う以前にインテークマニホルドに送られる。
制御されるTCF流路並びにEETC弁の位置、そして絞り弁/遮断弁が、選択するエンジン構成に基いて変更されるのは言うまでも無い。当業者には、本明細書により、本発明の範囲を逸脱することなく、記載された好ましい実施例を変更し得ることを容易に理解されよう。
EETC弁100は、従来のサーモスタットを使用する従来からのエンジン冷却システムに固有のデザイン上の妥協をなくすためにも使用され得る。図40及び図41に示す従来システムでは、そうしたエンジンを通して循環するTCFが簡略化されたダイヤグラムとして表されている。冷却材温度は点描の濃淡で表され、高温部分が濃く、低温部分が薄く表されている。図40はサーモスタット1200が閉じており、ウォータージャケット1202を出たTCFはオリフィス1204を介してウォーターポンプ1206のインテーク側に入った後、ウォータージャケット1202に戻る。かくして、TCFはラジエター1208を回避しつつ、エンジンウォータージャケット1202の内部を完全に循環する。図41ではサーモスタット1200が開放され、全てのTCFがラジエター1208を通してウォーターポンプのインテーク側に入り、次いでウォータージャケット1202に戻る。
図41には理想的なTCF流れが示される。TCFは最も抵抗の少ない流路を取ることから、大抵のTCFは、より拘束的なオリフィス1204よりも、サーモスタット1200に関する一層大きな開口を通して流動する。しかしながら、少量のTCFが尚、図42に示すようにオリフィス1204を通してウォーターポンプ1206のインテーク側に流入する。この少量のTCFはラジエター1208によっては冷却されないので、全体の温度が上昇してウォータージャケットに再度、しかも所望の高さよりも高い液面高さにまで流入する。
この問題を最小化するべく、サーモスタット1200に関する開口をできるだけ大きくし、オリフィス1204をできるだけ小さくする。しかしながら、仮にオリフィス1204を小さ過ぎると、ウォータージャケット1202が閉じた時にウォータージャケット1200を貫く循環路が、サーモスタット1200が閉じた時に厳しく絞られる。これは、おそらく、エンジンブロックの各部を早期にオーバーヒートさせ、しかもエンジン始動時及び低温環境での、ヒーターやインテークマニホルドのために入手し得る熱エネルギー量を減少させる。オリフィス1204が大き過ぎると、サーモスタット1200が開いている時、そこを通してのTCF流れのパーセンテージが大きくなる。従って、ウォータージャケット1202に戻るTCFの平均温度はエンジンを適切に冷却することは高温過ぎることになる。
かくして、従来のエンジン冷却システムでは、オリフィス1204の寸法決定に際しては常に、オリフィス1204の寸法を極値間で正しく均衡させねばならず、そのための、決して理想的ではない寸法に対する妥協を強いられる。理想的なエンジン冷却システムではオリフィス1204は、サーモスタット1200が閉じている時は大きく開き、サーモスタットが開くと閉じる。
図43にはこの理想的なエンジン冷却システムを創出するためのEETC弁100の使用状況が示される。この実施例は米国特許第5,458,096号に記載されているものである。
EETC弁100は従来のエンジン冷却システムにおける問題の1つ、特に、ターボシャージャー或はスーパーチャージャーが作動した時にエンジンブロック温度が突然ピーク値になると言う問題を解決するための予想モードにおいても使用することができる。そうした突然のピーク値化は結局、TCFの温度やエンジンオイルの温度を理想範囲を超える高さに急速に押し上げる。従来のエンジン冷却システムは代表的には、インテークマニホルドへのTCF流れを遮断することができないので、エンジンブロック温度が上昇すると既に過熱気味のインテークマニホルド周辺に不要な熱エネルギーを与えることにさえもなる。更には、もしエンジンが尚、暖機中である場合、従来のワックスペレット形式のサーモスタットは開くことさえもない。サーモスタットはTCF温度が、その開放温度範囲に達した時でさえも、ワックスの溶解に関するヒステリシスのために閉じている。
本発明ではEETC弁100を、ターボチャージャー或はスーパーチャージャーの温度上昇効果を低減させるために使用することができる。ターボチャージャー或はスーパーチャージャーが作動した時、EETC弁100に即座に信号を送り、この信号によってEETC弁100を、それが既に第2の位置にない時には第2の位置に移動せしめることができる。好ましいシステムでは、EETC弁100が第2の位置に移動すると、ターボチャージャー或はスーパーチャージャーが作動することによりエンジンオイルやインテークマニホルドの温度が急激に上昇することを見越して、エンジンオイルに向うTCF流れやインテークマニホルドを通るTCF流れが防止される。同様に、ラジエターを通るTCF流れが、エンジンブロック温度のピーク値への上昇を減少させる。ターボチャージャー或はスーパーチャージャーが作動しなくなった後、EETC弁はECUの指示する状態に短時間の内に復帰することができる。
図9から図12にはTCF流れを制御するためにピストンを使用するEETC弁の別態様での実施例が示される。この実施例は米国特許第5,458,096号に記載されている。
図16A及び図16Bには、本発明のEETC弁の状態或は位置を制御するために好適な、1つの好ましい作動液インジェクタ700が断面図で示されている。先に言及したように、作動液インジェクタ700はソレノイドによって作動され、電気端子702を含み、電気端子702の一端がソレノイド704に接続され、他端は図示されないECUに接続される。ソレノイド704が賦活されるとニードル弁706が押し上げられてその座708から離れ、オリフィス710をTCF流れに対して開放させる。ソレノイド704への給電が停止されると、バイアススプリング712がニードル弁706をその閉鎖位置に復帰させる。
図16Aには、加圧された作動液源からインジェクタを通して弁チャンバに向うTCFの流路が示される。図16Bには、弁チャンバからインジェクタを通して作動液源に向うTCFの流路が示される。かくして、本図における弁は図4における弁20の機能を果たす。
作動液インジェクタ700はヴァージニア州ニューポートニュースのSiemens Automotive社が商業的に製造するDEKAタイプII・底部フィールド型のインジェクタと類似のものである。このインジェクタは代表的には、調量したガソリンをエンジンの燃焼室に射出するために使用されるものであるが、その他の形式のTCFをそこを通して送る弁としても機能することができる。
TCFがエンジン潤滑油である場合、Siemens Automotive社の形式の前記インジェクタを、若干改変、例えばリフト或はストロークを大きくし(例えば、0.010インチ(0.0025mm)に代えて0.016インチ(0.004mm)とする)、流れオリフィス710をもっと大きいものとして(例えば直径0.06インチ(0.004mm)のもの)流れ容量を増大させるだけで、使用することが可能である。バイアススプリング712は、リバース位置で80psi(551kPa)までの圧力に対してシールする強い接極子ばねであるのが好ましい。ニードル弁706は、適宜なリフトを得るために3%シリコン鉄製の接極子707を含むのが好ましい。インジェクタの金属ハウジングは、ひねりスナップイン形式での組み立てが可能となるよう若干改変され且つ配列される。O−リングはずっと小さくしかも弁本体上に移動される。また、エンジンオイルにはガソリンのような腐蝕性がないので、Siemens Automotive社の形式の前記インジェクタの内部部品にはめっきを施す必要がない。更には、商業的に入手することのできるインジェクタに関連するフィルターは使用されない。
作動液インジェクタ700は逆流パターンで作動されるのが好ましい。つまり、TCFは作動液インジェクタ700を、この作動液インジェクタ700がガソリンエンジン内で通常使用される方向とは反対の方向に流動する。作動液インジェクタ700をこのように作動すると、弁チャンバからの圧力がニードル弁706を座708にシールさせる。これが、作動液インジェクタ700からの漏洩の恐れを小さくする。またこのシールが、“hot engine off soak”(即ち、高温のエンジンを停止させた後の時間)の間、もし開放状態が条件的に保証されるのであれば、EETC弁を開放し続けることをも保証する。
図16Cには、本発明のEETC弁の状態或は位置を制御するために好適な、別の形式の作動液インジェクタ800がその断面において示される。作動液インジェクタ800は、ヴァージニア州ニューポートニュースのSiemens Automotive社が商業的に製造するDEKAタイプI・上部フィード型のインジェクタと類似のものである。この形式のインジェクタでは、TCFはインジェクタの全長部分を貫いて流動する。図16Cには作動液インジェクタ800を貫く両方向への作動液流路が示されるが、各流れ方向は各1つの作動液インジェクタ800のみで使用する。作動液インジェクタ800は逆流パターンで、しかもフィルター無しで作動させることも好ましい。この形式のインジェクタには、DEKAタイプIIインジェクタに勝る数々の利点がある。
EETC弁に作動液インジェクタ800を使用する場合、作動液インジェクタ800の上部を、共通通路ではなくEETC弁の上部チャンバに直接連結する。これにより、入口弁及び出口弁を構成する各作動液インジェクタを物理的に相互に接近させる必要がなくなるので、パッケージ形態の一層の融通性を計れるようになる他、EETC弁内に捕捉維持される空気量も減るので、そうした捕捉空気をチャンバー充填時に排出させる必要性もなくすことができる。作動液インジェクタ800は作動液インジェクタ700よりも小型であり且つ安価である。この形式の作動液インジェクタの1つの欠点は、エンジンオイルのような作動液をそこを円滑に流通させるのが難しくなることである。
図17にはEETC弁の状態或は位置を制御するためのECU900への、またECU900からの回路がブロックダイヤグラム化して示されている。好ましい実施例でのECU900は、少なくとも以下に列挙する信号源からのセンサ出力信号を受ける。
1.空気清浄器(清浄側)その他の好適な位置に配置された周囲空気温度センサ。
2.エンジンブロック(或はシリンダーヘッドへの入口)の温度制御用流体のためのウォータージャケットの出口位置の温度センサ。
3.エンジンブロックの温度制御用流体のためのウォータージャケット。
4.エンジンブロック或はエンジンオイルの温度表示を提供する温度センサ。
5.エンジンブロックのエンジンオイルライン内の圧力センサ。
6.EETC弁のTCF通路内の圧力センサ。
ECU900はこれらセンサからの信号の幾つか或は全てを使用して、EETC弁の作動液インジェクタを開閉させる指令信号を発生する。先に言及したように、作動液の圧力信号は危険な運転状況を検出するためにも使用される。エンジンオイル、即ち作動液の圧力信号を使用して危険な運転状況を検出し及び或はエンジン潤滑システムがEETC弁を適正に運転させ得るように十分加圧されているかを判定することもできる。
従来からのワックスペレット式或はバイメタルコイル式のサーモスタットに替えるべく寸法付けされ且つエンジン潤滑システムに接続した作動液インジェクタを使用するダイヤフラム形式のEETC弁を開放させるための代表的な制御ルーチンは以下の通りである。
1.エンジン始動後であれば、エンジンオイルが適正に加圧されるまで適宜の時間まで待つ。エンジンオイルは40psi(275.8kPa)の最小圧力に達するまでに代表的には2乃至3秒間かかる。
2.作動液インジェクタのソレノイドを作動させて作動液インジェクタの弁を開放させる(作動液インジェクタの弁を、それが既に閉じているのでなければ閉鎖させる)。
3.チャンバー圧力が(作動液圧力センサで計測して)約25psi(172.3kPa)に達するまで待つ。
4.ECUの2秒タイマを作動させる。
5.2秒後、作動液インジェクタのソレノイドを停止させ、作動液インジェクタの弁を閉鎖させる。
6.作動液圧力センサが25psi(172.3kPa)以下への圧力降下を検出した時はステップ2から5を反復する。
エンジンオイルが暖い時にステップ2から5を完了するための合計時間は約6秒間である。エンジンオイルが冷えている時はステップ2の時間が長びくので合計時間も長くなる。
ECU900はTCF温度を安全範囲に維持するためのその他の制御機能をも実行することができる。例えば、周囲空気温度が極めて高い条件下ではTCF温度はEETC弁が完全に開放されている場合でさえも安全範囲を超えてしまう。代表的な従来の自動車ではオーバーヒート状況はダッシュボードに取り付けたエンジン警告灯その他を介してドライバーに知らされる。図17に示す新規なシステムは、ヒーターコアの弁を一時的に開放させ及び或は自動車の空調システムを遮断することによりこの状況に対応することができる。この方策の第1の目的は、エンジンブロックからの過剰の熱の除去を助成することであり、第2の目的は、エンジンの負荷を軽減して熱エネルギーの発生量を減少させることである。こうした方策を使用しても尚、TCF温度を安全範囲に低下させることができない場合は、システムはエンジン警告灯を作動させることができる。ダッシュボードに取り付けた別の警告灯によって、ECUが自動車の空調システムを緊急制御していることを表示させることも可能である。
同様に、周囲空気温度が極めて低い(華氏)零下温度である場合、エンジンブロックの熱エネルギーが、TCFの温度が許容最小水準に到達するまで失われないよう、ヒーターコアの弁は自動的に不作動化され或は絞られる。
ECU900が特定のパラメータに基いてEETC弁の状態或は位置を制御する様子の一例が図19〜図21に示される。以下にその詳細を説明する。
図18には、TCFが通路160からの、オイルパン内の熱交換器を貫く流路が概略示される。通路160を、その他のエンジンパーツ内に配設した別の通路や管に導通させ、TCFがそうしたパーツをも暖め或は加熱することができるようにすることもできる。例えば、追加的なTCF流路を、自動変速機のリザーバ、ブレーキシステムのマスターシリンダ或はABSシステム、ウィンドウォッシャ液その他の内部配管に導通させることができる。その場合、TCFはオイルパンに向って流れる時には常にそれらのパーツに向けて流動する。或は、1つ以上のこうしたエンジンパーツへのTCF流れを別の流れ制御弁を使用して制御することにより、TCFがオイルパンに向けて流動する時に、TCFが異なる温度パラメータに従い所望のエンジンパーツに対して選択的に流れるようにすることも可能である。
ここで説明したEETC弁は、従来からのワックスペレット式或はバイメタルコイル式のサーモスタットに代替させるべく設計されたものである。そうしたサーモスタットは代表的には、ラジエター入口通路をエンジンのウォータージャケットの出口に接続する開口部内に位置付けられる。従って、EETC弁はそうした開口部に嵌入するような寸法形状とされる。また、EETC弁ハウジングはEETC弁を、従来のサーモスタットを、エンジン内部に取り付けるのと同一態様で開口部内に取り付けられるようにするための孔を含んでいる。かくして、EETC弁はエンジンの既存のTCF流路に改装することができる。EETC弁を組み込むために必要なただ1つの追加的装置は、作動液インジェクタ及び作動液インジェクタに夫々接続するためのTCF流路と電線とである。これらの流路及び電線は、空間的に許されるのであればエンジン画室内に配置することもできる。TCF通路を、図14Aから図14F並びに図18に概略示す追加的な通路160及び或は216を提供させるように改変するのが望ましい。同様に、もしEETC弁を使用してインテークマニホルド流れのための制御弁300及び或はシリンダーヘッド弁400を制御する場合は、EETC弁から制御弁300に向う動液出口管174(図8)を設けるべきである。
EETC弁は、その所期の機能が正しく発揮されるのであれば、弁位置に関する先の議論にかかわらず、別の位置に移動することもできる。同様に、EETC弁を、そうした別の位置に適した寸法形状とすることもできる。
EETC弁は、エンジンブロックのTCF通路がラジエターに対して開閉される任意形態の内燃機関に対して好適なものである。
EETC弁の状態或は位置を制御する作動液はエンジンオイルであるのが好ましいが、内燃機関を動力源とする自動車に関連する任意形式の加圧された作動液とすることもできる。別の1実施例では作動液はパワーステアリングフルードであり、加圧された作動液源はパワーステアリングポンプの高圧ラインである。EETC弁からの作動液はパワーステアリングフルードリザーバに入る。この実施例ではパワーステアリングポンプが、常に高圧を提供するように改変される。つまり、高圧は、ステアリングホイールが回転されている時に加え、ステアリングホイールが回転されず且つエンジンが停止状態にある場合にもパワーステアリングポンプから分岐され得る。また、本実施例では、従来からの圧力調節弁を高圧ライン内に使用することにより、1000psi(6894kPa)にも達する可変のパワーステアリングユニット入力圧にも関わらず、約10から約120psi(69KPaから83KPa)の一定出力圧を達成する。このように、EETC弁は、パワーステアリングユニットの入力圧に関わらず、約120psi(827kPa)を越える圧力に露呈されることがない。
本発明は、EETC弁を制御するための、好ましくはないが別の手段の使用をも意図するものである。例えば、作動液を、この作動液を加圧する別のポンプに送ることができる。次いで、加圧された作動液はダイヤフラムを作動するための作動液インジェクタに入る。本発明の更に別の実施例では電子−機械的なサーボを使用して弁が作動され得る。当業者には、本発明の範囲内で可能とされる変更例を容易に認識されよう。
ウォータージャケットの部分を通してのデッド・ヘッディング(TCF流れが防止され、しかも尚、エンジンのウォーターポンプがTCFをポンピングし続けることによってウォータージャケットの流路内にTCFが残留する状態)或はTCF流れの拘束が、エンジンブロックからの熱の損失を減少させ、また、ウォータージャケットを通して循環するTCFの質量をも減少させる。これにより、循環するTCFの温度が、循環するこのTCFの質量がもっと大きかった場合よりも上昇する。これらの効果が共に、エンジンブロックを一段と急速に暖める。先に銘記したように、熱エネルギーは主にTCF流れによってエンジンブロックにまたエンジンブロックから移行される。従って、TCF流れをデッドヘッディング或は拘束することには、そうした流れを遮断するのとほぼ同じ効果がある。TCF流れをデッドヘッディング或は拘束すると、デッドヘッディング或は拘束された通路内にTCFの全て或は一部が有効に捕捉されるので、この捕捉されたTCFが絶縁体として作用する。つまり、ウォータージャケット内の温度のTCFが、エンジンから周囲環境に熱が簡単に消散してしまうのを防止する。これは主に、TCFが導体よりも良好な絶縁体であると言う事実によるものである。従って、この絶縁機能がエンジンブロックからの熱の損失量を減少させる。
EETC弁を構成するための幾つかの好ましい材料及び運転パラメーターは米国特許第5,458,096号に記載される。
ECU900を、EETC弁並びに関連する任意の、絞り弁/遮断弁(以下、単に流れ制御弁とも称する)300及び或は400の状態を制御するための特定の情報を使用してプログラムすることができる。
図19及び図20には、TCF温度と、周囲空気温度とに基いてEETC弁の状態を制御するための情報を使用してECU900をプログラムする場合の一例が示され、一方、図21には、同一の温度範囲内での、従来からのワックスペレット式或はバイメタルコイル式のサーモスタットの状態が示される。
先ず図21を参照するに、従来からのワックスペレット或はバイメタルコイル形式のサーモスタットは、予め選択した冷却材温度で開閉するように工場でセットされている。かくして、これらのサーモスタットの状態は周囲空気温度による影響を受けない。つまり、周囲空気温度がいかに冷え込んだところで、これらのサーモスタットは、冷却材温度が工場セット値となるまでは開くことはない。パーマネント形式の不凍材(アルコール形式の不凍材とは反対の)を使用する冷却システムで使用することを意図したサーモスタットは、代表的には、約188°F(86.7℃から約195°F(90.6℃)で開放し、約210°Fから約212°F(98.9℃から100℃)の間で完全に開放するように較正される。
本発明のEETC弁はコンピューター制御されることから、その状態を、広範囲の周囲空気温度並びにTCF温度に渡り、エンジン温度条件を最適化するべくセットすることが可能である。1実施例では、図17のECU900が、図19に示す曲線(以下、温度制御用曲線とも称する)に従いプログラムされる。図19の曲線は数学的な二次関数t1=f(t2)により定義される。ここで、t1はエンジンブロック内のTCFの温度、t2は周囲空気温度、t1及びt2は直交する座標軸の軸線(即ち、TCF成分及び周囲温度成分を有する予め決定された一組の温度値)である。前記曲線は、曲線の各側に一方の座標軸が存在してなる2つの領域に分割する。
運転に際し、ECU900は周囲空気温度とTCF温度とを継続的に監視し、EETC弁がどのような状態にあるべきかを決定する。周囲空気温度とTCF温度とが座標軸内で図19に示すグラフの領域1にある場合はEETC弁は閉鎖(或はそれが既に閉じていればそのままの状態に維持)される。同様に、もし前記2つの値がグラフの領域2にある時はEETC弁は開放(或は既に開放していればそのままの状態に維持)される。また、前記2つの値がグラフの曲線に一致する場合はECUは、2つの領域の何れか一方を自動的に選択するか或は2つの値の一方或は両方を、前記2つの値が曲線上に乗らないように変更するようにプログラムされる。
或はまた、EETC弁の状態を、単に実際のエンジンオイル温度に基いて制御することもできる。そうした実施例では、実際のエンジンオイル温度を、図25に示すような周囲空気温度の好ましい関数(即ち、周囲空気温度成分とエンジンオイル温度成分とを有する予め決定された一組の温度値)であるところの、予め決定された最適なエンジン温度と比較する。エンジンの実際の温度が所望の最適温度よりも低い時はEETC弁を閉じてエンジン温度を上昇させる。同様に、エンジンの実際の温度が所望の最適温度よりも高い時はEETC弁を開放させ、TCFをラジエターを通して循環させることによりエンジンを冷却させる。エンジンオイル温度を制御因子として使用する上での1つの欠点は、エンジンオイルを所定の温度にするまでのタイムラグが生じることである。更には、最新の自動車冷却システムにはTCFが越えてはならない上限及び下限の各温度が存在することである。
図19に示す曲線は、先に説明した従来のサーモスタットをEETC弁で代替する場合に、代表的な内燃機関のエンジン温度を最適化するために経験的に決定されたものである。図示されるように、曲線の少なくとも一部分はゼロではない傾斜を有している。しかしながらこの曲線は、エンジンとその補機の所望の運転パラメータに基づいて異なり得るものである。図19の曲線に従い制御されるEETC弁を使用するエンジンは排出物量が少なく、燃料経済性が良好であり、しかもサーモスタットを使用する同一のエンジンにおけるよりも空調システムの応答性が良い。こうした改良性は周囲温度が低い範囲で最大のものとなる。
EETC弁の幾つかの長所を例示するために、周囲空気温度が0°F(-17.8℃)である場合に先ずエンジンを始動する場合を考える。図21の従来システムと図19のEETC弁とは共に、冷却材或はTCF温度が約188°F(86.7℃)になるまでTCFがラジエターを貫いて流動するのを防止する。しかしながら、冷却材温度が約188°F(86.7℃)を越えると、従来システムはサーモスタットを開放させて幾分かの或は事実上全ての冷却材がラジエターを貫いて流れるようにしそれにより、冷却材温度を低下させる。ヒーターコアを通り抜ける冷却材の温度は、ラジエターを通らなかった場合よりも低くなる。そのために、自動車のヒーター/デフロスターが高温の空気(即ち熱)を車室内や窓に向けて送り出す能力は低下する。その上、エンジンブロックから貴重な熱エネルギーが無駄に除去されてしまうことにもなる。
周囲空気温度が0°F(-17.8℃)である時には周囲空気が有意の放熱子となるので、代表的な内燃機関はしばしば、ウォータージャケットを通る冷却材流れによって冷却する必要がない。更には、周囲空気温度が約0°F(-17.8℃)である時は、エンジンの燃焼によって放出される熱エネルギーは、しばしば、エンジンオイル温度或はエンジンブロック温度を、安全且つ最適な運転上所望される水準を超えて上昇させることがない。実際、周囲空気温度が0°F以下であれば、代表的な内燃機関のエンジンブロックの平均温度は150°F(65.6℃)未満であり、理想的な運転温度よりも低い。従って、周囲温度が0°F以下である時は排出物量を増大させ燃費を低下させる高いオイル粘度やスラッジ堆積が発生する状況は、従来のサーモスタット制御式の冷却システムを有するエンジンを運転する場合には事実上避け難かったのである。
同じエンジンを、EETC弁を含む温度制御システムを備えた状態で同じ周囲空気温度の中で運転する場合は、図19に示すように、TCF温度が約260°F(126.7℃)を越えない限りEETC弁は閉じたままとなる。TCF温度が約260°Fを越える状況はエンジンを非常に過酷に及び或は高速ででも運転しなければ生じることさえないのである。結局、エンジンウォータージャケットを通して流れるTCFは、エンジンブロックやエンジン潤滑油から貴重な熱エネルギーを無駄に逃がすことがない。更に、ヒーターコアを通して流れるTCFはもっと急速に高温となって、図21のシナリオにおける冷却材よりもずっと高い温度を保ち続けるので、デフロスタの除霜能力やヒーターの暖房能力が改善される。
図19の曲線を使用する温度制御システムではEETC弁を、本明細書で説明した任意の弁とすることができる。もしEETC弁を1つ以上の流れ制御弁300或は400と共に使用する時には、前記曲線を若干変更して最適の温度制御条件が得られるようにすることも可能である。詳しく説明すると、図19の曲線の、約58°Fから約80°F(約14.4℃から約26.7℃)の間の部分の傾斜を、図20に示す曲線の、約60°Fから約0°F(約15.6℃から約-17.8℃)の間の部分と同じ傾斜とすることができる。
EETC弁を追加的な流れ制御弁と共に使用する場合、排出物レベルはもっと低下し、燃費は一段と向上し、自動車の空調システムの応答性はEETC弁のみを使用するシステムよりもずっと向上する。EETC弁100を温度制御システムで使用すると、周囲空気温度が0°F(-17.8℃)の時には高温のTCFが事実上常にオイルパンを通して流動する。これによりオイル粘度が高まりエンジンスラッジの堆積も減少する。
EETC弁をインテークマニホルドの流れ制御弁300と共に使用する場合、図14Aから図14Cの温度制御システムに関して先に議論したように、インテークマニホルドが過剰に加熱するのが回避される結果、高温条件下におけるエンジン性能が改善される。
EETC弁をシリンダーヘッド及び或はシリンダーブロックと関連する流れ制御弁を共に使用すると、図14Aから図14Cに関して先に議論したように、エンジン温度を極めて正確に調節できるようになる。例えば、周囲空気温度が極めて低くEETC弁が閉じている時、1つ以上の流れ制御弁もまた閉じており、通常はエンジンブロックの特定部分を貫いて流れるはずのTCFを絞り及び或はデッドヘッディングする。TCFは、エンジンブロックの最も高温の部分、例えばシリンダーヘッドジャケットのシリンダーに最も近い部分のみを通して流れるようになっているのが好ましい。それにより、少なくとも2つの望ましい効果が得られる。その1つは、エンジンウォータージャケットの限定部分を通して流れるTCFがエンジンブロックやエンジンオイルから貴重な熱エネルギーを無駄に逃がさないことであり、1つは、ウォータージャケットを出る限定量のTCFが、もしTCFがエンジンブロックの全構成部品を通して流れる場合よりもずっと高温になることである。かくして、ヒーターコアを通して流れるTCFは一層急速に高温となり、しかも、エンジンブロックの全構成部品を通してTCFが流れる場合よりも高い温度を維持し続けるので、除霜能力や車室内暖房の能力が向上する。
図22Aは、図20の曲線と類似の曲線を使用する、弁の状態を示すグラフであるが、ここでは弁の状態は、EETC弁及び2つの流れ制御弁の状態を制御するためのものとされている。領域1ではEETC弁は閉じており、流れ制御弁は絞られた/閉鎖された状態にある。領域2ではEETC弁は開放され、流れ制御弁は絞られない/非閉鎖状態にある。
図23には、EETC弁と、2つの流れ制御弁とを装備し、各弁の状態が図22Aに示すスキームに従い制御される、GM社製3800cc横置きV6型エンジンのエンジンブロック内で測定したTCFの実際の温度の曲線が点で表す曲線で示されている。流れ制御弁は、シリンダーライナの周囲のTCF出口流れ内でV字型のエンジンブロックの各側に位置付けられ、完全に絞った状態ではエンジンブロックを通るTCF流れが約50%に絞られる。図23には、従来のワックスペレット式或はバイメタルコイル式のサーモスタットを使用し、弁の状態が図21のスキームに従って決定される場合の、エンジンブロック内で測定したエンジン冷却材の実際の温度が破線の曲線で示される。
従来のサーモスタットは冷却材温度を約180°Fから約190°F(約82.2℃から約87.8℃)の間の一定範囲内に維持しようとするが、周囲空気温度が非常に高い(例えば100°F(37.8℃))時は冷却材温度は、サーモスタットが完全に開放され、エンジンが高負荷下に連続運転されている場合でさえも、望ましい範囲を上回ってしまう。これは、自動車の冷却システムの、冷却材を冷却するための能力がラジエターの容量に依存しているからである。冷却材温度を常に200°F(93.3℃)以下に押えておくために十分に大型のラジエターを組み込むのは非実用的であり不経済でもある。かくして、自動車のエンジンに使用する流れ制御弁の形式に関わらず、冷却材温度は周囲空気温度が高い条件下ではその最適範囲を超えることとなる。
周囲空気温度が0°F(-17.8℃)以下のように非常に低い時には従来システムでの冷却材温度は望ましい範囲を下回り、周囲空気温度の低下と共に更に低下する。これが、燃費を著しく低下させ、先に議論した全ての理由から排出物量を著しく増大させる。スラッジの堆積もまた重大な問題となる。
EETC弁並びに流れ制御弁を使用する温度制御システムによれば改善されたTCF温度曲線が示される。これは、そうした温度制御システムではTCF温度をより広い周囲空気温度範囲を通して最適範囲に維持するからである。周囲空気温度が非常に高く(例えば100°F(37.8℃)しかもラジエターを通しての全TCF流れが開始された時、TCFの温度は従来システムにおける冷却材温度よりも若干低い。これは、EETC弁を通るTCF流量が、従来のワックスペレット形式のサーモスタットを使用する場合と比較してずっと多くなることによるものである。しかしながら、本発明の温度制御システムの冷却能力は尚、ラジエターの容量が一定であることによる制約を受ける。
周囲空気温度が低い時、特には0°F(-17.8℃)以下の時、本発明の温度制御システムはTCF温度を従来システムでのそれよりも著しく高い温度に維持する。これは、流れ制御弁が、エンジンブロックを通る冷却材の一部分を拘束或は捕捉する状態で配置されることによるものである。こうした流れの拘束が、エンジンブロックからの熱エネルギー損失を低下させ、流動する制限量のTCFがもっと高い温度に達することができるようにする。エンジンブロックからの熱エネルギーの損失は少なくとも2通りの方法によって低下される。第1には、ウォータージャケットを通るTCFの質量流れが少ないことにより、熱エネルギーが、そこから大気中に失われるところのTCFに移行する量も少なくなることであり、第2には、拘束され及び或は捕捉されるTCFがエンジンブロックの周囲部分に対する絶縁体として作用することである。流動する制限量のTCFは、従来の冷却システムの冷却材のそれよりもずっと高温であるから車室内の暖房能力及び除霜能力は向上する。更に、エンジンがより高温状態で運転されることから、エンジンからの排出物量も減少し、燃費も従来システムを使用する場合よりもずっと良くなる。またエンジン内部にスラッジが形成されにくくなる。
EETC弁及び流れ制御弁の状態を図22Aに示す曲線に従って制御するのに代えて、EETC弁及び流れ制御弁の状態を図22Bに示すような別個の曲線に従って制御することも可能である。別々の曲線を使用することにより、TCFの流れをもっと精密に調整し、図23に示すように実際の、一段と最適化されたTCF温度を実現することができる。周囲空気温度が非常に高い時には、EETC弁は常態で完全に開放されるべきであり、流れ制御弁は常態で完全に非絞り/非閉鎖状態であるべきである。しかしながら、エンジン運転条件を理想化するためには、中間の温度範囲ではEETC弁が閉じた後でさえも流れ制御弁の一方或は両方を開放常態に維持するのがもっと望ましい。図22Bにはこうした2重の状態が実現される領域3が示される。本発明の1実施例で用いるTCFの温度差は約15°F(8.3℃)とされる。
図22Bに示す曲線を使用する温度制御システムによれば、EETC弁が開いて冷却材がラジエターに流れる直前に、単数或は複数の流れ制御弁によってTCF通路を開放或は非閉塞状態とすることができる。この温度制御システムの1つの長所は、エンジンブロックのウォータージャケットを通して循環するTCFの温度が、EETC弁が開く前に流れ制御弁を開かせることにより一層均一化されるようになることである。これは、TCFの合計質量分が、TCF流れがラジエターに導入される前に、プログラムされた望ましい温度(EETC弁の温度制御用曲線によって決定されるような)に加熱されることによるものである。EETC弁及び或は流れ制御弁が開閉位置間で揺動しないようにするための時間遅延を組み入れることもできる。或はまた、以下に議論するように追加的な曲線が使用される。
流れ制御弁がその絞られた或は閉鎖された位置にある時、エンジンブロックの異なる部分でのTCF温度は著しく変化するものであり得る。例えば、ウォータージャケットの外側通路内のTCFはデッドヘッディングされることにより、ウォータージャケットの内側通路内のTCFよりも低温となる。流れ制御弁を開くと、高温及び低温のTCFが混合し、ウォータージャケットの異なる部分でのTCF音後の変動が減少する。かくして、TCFが連続的に加温されるに従い、EETC弁を開く時期を決定するところのTCF測定温度はずっと正確なものとなる。
GM社製3800ccV6型エンジンのような幾つかのエンジンでは、ウォータージャケットをエンジンブロックとシリンダーヘッドの間で接続するための、ランダムパターンで配置した開口を使用する。従って、流れ制御弁を、エンジンブロックとシリンダーヘッドとの間の連続するTCF流路を、エンジンブロック内のTCF質量分をより素早くウォームアップするために絞り或は閉鎖するよう正しく位置付ける必要がある。或はまた、エンジンのウォータージャケトそのものを、EETC弁と共に作動して追加的な効果を提供する設計形状のものとすることもできる。そうした実施例の1つが図44A及び44Bに例示され、全体が番号1400で示されている。これらの図では2つの個別のウォータージャケット流路1402、1404がエンジン内に夫々組み込まれている。ウォータージャケットは明瞭化のために、関連するエンジン部品の外側に概略示されている。しかしながらウォータージャケットはエンジン部品と一体化するのが好ましい。一方のウォータージャケット流路1402はウォーターポンプ1406からエンジンブロック1408を通りシリンダーヘッド1410及びインテークマニホルド1412に続く通常のウォータージャケット流路であり、他方のウォータージャケット流路1404はウォーターポンプ1406からシリンダーヘッド1410、インテークマニホルド1412、ヒーター/デフロスタ回路(図示せず)及びエンジンオイルパン1414へと直接導通し、エンジンブロック1408はバイパスする。2つのウォータージャケットの流路間に、これまでに説明したようなEETC弁或は、別態様としての回転弁1416を、TCFをエンジンの運転状況に応じて配向させるべく組み込む。図44Aにはエンジン暖機中における新規な温度制御システムが例示される。EETC弁100は閉鎖位置にあり、TCFがラジエターに流れないようにしている。これにより、実質的に全てのTCFがインテークマニホルド及びオイルパン1414に送られ、TCFとオイルとの間に熱交換が生じる。次いでTCFはウォーターポンプ1406を経て第2の回転弁1416に送られる。回転弁1416は、エンジン暖機中は、好ましくは全てのTCFをバイパス用のウォータージャケット流路1404を通してシリンダーヘッド1410及びインテークマニホルドに送る状態にある。ウォータージャケット流路1402は有効に閉鎖され、エンジンブロック内のTCF質量分を捕捉する。ウォータージャケット流路1404を流れるTCFは、シリンダーヘッドに入るとこのシリンダーヘッドの熱に露呈される質量が小さいことからその温度が急速に上昇する。一方、エンジンブロック1408内の捕捉されたTCFは絶縁体として作用し、無駄な熱損失を防止すると共に排出物量の減少、良好な燃費、そして暖房/除霜能力の向上をもたらす。絞り弁をシリンダーヘッド1410とインテークマニホルド1412との間(図14E及び図14Fと類似態様で)に組み込んでも良い。TCFが、先に説明したように燃料の燃焼上の悪影響を及ぼし得るところの予め決定された温度に達した時は、これらの流れ制御弁を作動させ、TCF通過流量を減少させ或は通さないようにすることができる。或はまた、EETC弁が、インテークマニホルドのみならずオイルパンに流入するTCFを制御するようにするのが更に好ましい。
エンジンブロック1408とシリンダーヘッド1410との間にも流れ制御弁(図示せず)を組込み、これら2つの部品間にエンジン暖機中はTCFが流れないようにすることもできる。しかしながら、ウォータージャケット流路1404を連続的に流動するTCFが、エンジンブロック1408からシリンダーヘッド1410に向うのTCF流れを妨害する。従って、流れ制御弁はウォータージャケットの設計形状次第では不要にもなる。
本明細書の従来技術の項の最後で、TCFの温度を利用して内燃機関温度を制御する従来方法は粗く且つ不正確であると述べ、またそうした従来方法が、TCFの温度を予め所望のレベルに維持させた場合でさえも、しばしばエンジンのオーバーヒート或はオーバークールを招くものであることも述べた。図19から図23を参照して説明した本発明によれば、そうしたエンジンのオーバーヒートやオーバークールの発生は著しく減少される。
内燃機関温度をもっと正確に制御するために、図19から図23を参照して説明する本発明を、EETC弁及び流れ制御弁を制御するための2つ以上の異なる温度制御曲線を使用するようなものに変更することができる。適宜の曲線は、実際のエンジンオイル温度を、予め選択したエンジンオイル温度値と比較することにより選択する。本発明の好ましい実施例では、そうした、予め選択したエンジンオイル温度値は、最適なエンジン性能と関連する温度(例えば、燃費を最大化し且つエンジンからの排出物量を最小化する温度)である。本発明の1実施例ではこの値が固定され得る。しかしながら、本発明の好ましい実施例ではそうした温度値は最新の周囲空気温度に関連される。
異なる曲線間での選択が行われることにより、エンジンの温度制御システムの性能は更に改善される。なぜなら、EETC弁及び流れ制御弁の状態の、実際の内燃機関温度(エンジンオイル温度で測定されるような)に対する応答性が、単一の曲線のみを使用して各弁を制御する時よりも良くなるからである。
図24は図20と全体的に類似しているが、3つのEETC弁曲線、即ち実線の“通常曲線”、点描線の“高負荷曲線”、×印線の“超高負荷曲線”が書き込まれている点で異なっている。“通常曲線”は図20に示す曲線と全体的に類似している。しかしながら、図24の各曲線はGM社製3800cc横置き型エンジンのための経験的データに基くものである。かくして、図24の“通常曲線”は、図20に示すGM社製3800cc横置き型エンジンのための最適化を必ずしも必要としない曲線とは若干異なる。多数の曲線を含む実施例の説明を簡略化するために、図24では弁の状態及び領域は記入されない。EETC弁の状態は、実際のエンジンオイル温度が、予め選択された温度値或はそれ以下となった時は常に“高負荷曲線”に従い、“通常曲線”と“高負荷曲線”との間での移動が頻繁になった時には“超高負荷曲線”に従い制御される。そうした頻繁な移動は、以下に説明するように、EETC弁が余りにしばしば閉じるので所望のエンジンオイル温度を維持することができなくなっていることを示すものである。
“通常曲線”は、自動車が低負荷状況で運転される場合に使用される。この状況はおよそ80%の時間において使用される。“高負荷曲線”は代表的には残りの時間に使用される。高負荷状況は、自動車が高速で運転される時、定員乗車時、或はトレーラー牽引時、或は周囲空気温度が高い時に山に登る時、等の場合に生じ得る。
“高負荷曲線”は、この“高負荷曲線”が約50°F(27.8℃)分、“通常曲線”から下方にずれていることを除き、全体的には“通常曲線”と同じ全体形状を有し得るものである。同様に“超高負荷曲線”も、この“超高負荷曲線”が約20°F(11.1℃)分、“高負荷曲線”から下方にずれていることを除き、全体的には“通常曲線”と同じ全体形状を有し得る。
予め選択されたエンジンオイル温度値は、エンジンの好ましい運転温度と関連する温度値である。エンジンには夫々、性能(馬力出力)や燃費を最大化し、エンジンからの排出物量を最小化するために最適な運転温度がある。燃費を最大化するために最適の温度は排出物量を最小化するためのそれと類似してはいるが、最適運転温度はそれらのパラメーター毎に異なり得る。本明細書で説明する例では、エンジン性能ではなく、燃費と排出物とに主たる注意が向けられる。かくして、予め選択されたものとしてここに説明するエンジンオイル温度は、燃費やエンジンからの排出物量によって定義されるものとしての内燃機関の性能を最流れ制御弁とを備える温度制御システムは低い周囲空気温度下においてはエンジンの馬力出力をも増大させる。
本発明の1実施例ではエンジンオイルの温度は固定される。つまり、最良の燃費と最低のエンジン排出物量とをもたらすただ1つの最適エンジンオイル温度が、最もしばしば遭遇する周囲空気温度に対して選択される。この実施例では実際のエンジンオイル温度(オイルパン内で測定されるような)が、この予め選択された最適温度値と比較され、比較の結果に基づき、先に説明したような適宜の温度制御用曲線を選択する。
本発明の好ましい実施例では、エンジンオイルの予め選択された温度値は固定されず、最新の周囲空気温度に基づいて選択される。従来技術の説明の項で、周囲空気温度が下がると内燃機関の部品から環境への熱の損失が一段と急速になり、また内燃機関部品に導入される空気によるそれら部品の冷却効果も増大すると述べた。これらの影響に対向し、内燃機関部品をその最適運転温度に維持するためには、周囲空気温度が低い時のエンジンオイル温度を、周囲空気温度が高い時よりも高温にするべきである。比較に用いる、予め選択された最適温度値を決定するために最新の周囲空気温度を測定し、プロット表示された値に基づいて最適エンジンオイル温度値を選択する。経験的データや既知のエンジン使用に基き、周囲空気温度に対する最適エンジンオイル温度値をプロットすることができる。
図25には、GM社製の3800cc横置き型エンジンのための、経験的に決定したそうしたプロット図が示される。図25に示すプロット図は、自動車が高所或は低所で運転される場合に、夫々上方或は下方にシフトさせ得る。プロット図を上方或は下方の何れに移動するかを決める上で、高所及び低所の各条件でエンジンを試験しておく必要がある。プロット図は、特定パラメーター(例えば燃費、エンジンからの排出物量、エンジン性能)が一段と重要なのであれば若干異なってくることは言うまでもない。その場合、図25に示す典型的なエンジン運手中の曲線を変更することができる。例えば、ECUは、例えば高速道路に進入してアクセルペダルを大きく踏み込むこと等により突然の急加速を命ぜられたことを表す信号を受けることがある。従って、曲線を、燃費をそれ程強調しない高性能を提供する曲線に変更或は変化させることができる。当業者には、本発明の範囲内で実施し得る温度制御システムの変更例を容易に認識されよう。
従来技術の説明に述べたように、エンジン冷却材の温度はエンジン始動時或は暖機時には内燃機関温度よりもずっと急速に上昇する。従来のサーモスタットはエンジン冷却材の温度により起動されるので、内燃機関温度がその最適値に達する前にしばしば開放し、その結果、ウォータージャケット内の冷却材がエンジンを早い内から冷却してしまう。先に説明したように、冷間運転中のエンジンから出る排出物は空気の主たる汚染源である。例えば、寒い季節に町中を走る運搬車或はタクシーは通常、短い距離を低速で走行し且つ頻繁に停車する。従って、エンジンが水や蒸気をクランクケースから追い出すに十分な高温となることは希であり、結局はスラッジが形成される。エンジンオイル内にスラッジが形成されないようにするにはエンジンオイル温度を高温に維持するのが望ましい。従来のサーモスタットは約195°F(90.6℃)で開くように設定されているが、この温度はエンジン始動時においては、スラッジ形成を防ぐために望ましい温度よりもかなり低いエンジンオイル温度に相当する。しかも、サーモスタットが開いて低温の冷却材がエンジンブロック内に流入することでオイルの温度上昇は遅れ、これが、最適のエンジンオイル温度値を得る上での“遅延”効果を招く。
新規なEETC弁と、エンジン始動時に特定の温度制御用曲線を使用することとにより、エンジンオイルは、従来からのサーモスタットを使用する冷却システムよりもずっと早く最適な温度値に達する。その結果、エンジンオイルはより長いエンジン運転時間に渡り最適温度或はそれに近い温度で作用する。更には、エンジンオイル温度が長いエンジン運転時間に渡り高温に維持されることから、クランクケースやオイルパン内でのスラッジ形成はほぼ完璧に防止される。エンジンオイル温度の上昇が早くなることで、エンジン始動時及び低温環境内でのエンジンからの排出物量が低下することで、環境上の著しい利益がある。追加的利益として、エンジンが素早く加熱されることから自動車の暖房能力や除霜の応答性及び効果も向上する。最適温度或はその近辺でエンジンが運転されることで、燃費もまた、冷間運転されるエンジンと比較して向上する。このように、EETC弁及び流れ制御弁を運転上の曲線と組み合わせることにより、エンジン性能を制御するための最適な温度制御システムが提供される。エンジン始動時は常に、TCF温度が最大作用レベル(例えば約240°Fから250°F(1156℃から121.1℃)の範囲に達するまでラジエターを介して熱が逃げることが無く、また、TCF温度は、好ましくはオイルパンで測定されるエンジンオイル温度がその最適な作用温度に達し且つ維持されるまで、そうした最大作用レベルに維持される。
図26には、2つのEETC弁曲線と、図24に示されるそれと類似の“通常曲線”と、“始動時/暖機時曲線”とが示される。“始動時/暖機時曲線”は全体的に“通常曲線”と類似しているが、約110°Fから約20°F(約43.3℃から約-6.7℃)の部分が“張り出し”ている点で異なっている。この張り出し部分の最大幅は、周囲空気温度が約85°F(29.4℃)である時の約100°F(36.1℃)分である。張り出しは周囲空気温度が約20°F(-6.7℃)に近づくに従い小さくなる。最大張り出し幅は従来のサーモスタットと比較した場合は約50°F(27.8℃)分である。
エンジン始動時或は暖機時にはエンジンオイル温度は殆ど常に、最適温度よりも低い。かくして、大抵の場合、自動車運転の初期段階においては“始動時/暖機時曲線”が使用される。図25から、エンジンオイル温度が最適温度に達したと判定されると“通常曲線”への切り替えが行われる。希ではあるが、エンジン始動時の初期エンジンオイル温度が最適温度よりも高いことがある。これは、エンジン停止時間が数秒間のみであった場合、或はエンジンを重負荷運転の短時間後に、夫々始動する場合に生じ得る。こうした場合、EETC弁は“始動時/暖機時曲線”ではなく“通常曲線”に従って作動する。
図24及び図26に例示する発明は同じ温度制御システムを使用するのが好ましい。かくして、EETC弁は自動車運転中は実際には少なくとも3つの曲線、つまり、順次する、始動/暖機時、通常運転時、そして高負荷運転時の各曲線に従う。所望であれば、超高負荷条件のための第4の曲線が含まれ得る。
図24及び図26はEETC弁の作動を例示するものであるが、同様の様式で流れ制御弁をも制御することができる。流れ制御弁は図22Bに示すようなそれら自体の曲線に従うのが好ましい。図22Bの曲線はEETC弁の曲線を下方にシフトさせたものである。もしこの特徴を図24に示せば曲線は合計4つとなる。4つ目の曲線は流れ制御弁のための通常曲線となる(流れ制御弁に対しては高負荷曲線は存在しない。なぜなら、高負荷条件では流れ制御弁は完全に引き込まれているからである)。図26には計4つの曲線が示される(従来技術の曲線を除く)。図26に追加された2つの曲線は、流れ制御弁のための通常曲線並びに始動時/暖機時曲線を表している。簡略化のためにこの特徴は説明のみとし、図では示さない。
図27には、図24及び図26の始動時/暖機時曲線と、通常曲線と、高負荷曲線とを使用する温度制御システムのためのフローチャートが示される。このフローチャートの各ステップは先の議論の中で完全に説明されている。
図28はEETC弁の状態或は位置を制御するための、ECU900にまたそこから連結する回路のブロックダイヤグラム図である。図28は、ECU900が図27のフローチャートに従うセンサー出力信号をプロセス処理する点を除き、図17と全体的に類似している。ECU900は、自動車が高緯度の場所で運転される時、図25のプロットを上方或は下方にシフトさせるための高度信号を設けることができる。図28には、図17の作動液圧力信号と、エンジンオイル流体圧力とは示されない。しかしながら、こうした特徴は図28を完全に実施する実施例では随意的に含まれ得るものである。
図28のECU900は、少なくとも以下に挙げる信号源からのセンサー出力信号を受けるのが好ましい。
1.空気清浄器(清浄側)その他の好適な位置における周囲空気温度センサー。
2.エンジンブロックのTCFのためのウォータージャケットの端部位置その他好適な位置における温度センサー。
3.エンジンオイルパン内の温度センサー或は、エンジンブロック或はエンジンオイルの温度を表示する温度。
4.高度センサー。
5.随意的な“高負荷”センサー。
ECU900はこれらセンサーからの信号の幾つか或は全てを受け、EETC弁の作動液インジェクタに開閉を指令する信号を発する。図27及び図28には流れ制御弁の操作は記載されないが、これらの弁もまたEETC弁と同じ原理に従い作動される。
先に議論した多数の曲線を使用する温度制御システムには、オイル交換期間が長くなると言う追加的な利益がある。運転時間のかなりのパーセンテージにおいて内燃機関温度がその最適値に維持されないと、オイルは頻繁に交換する必要がある。多数の曲線を使用する温度制御システムではこのパーセンテージが小さくなるのでオイルの寿命も延びるのである。
図29には、エンジンを多数の曲線に従い運転する上での利益がグラフによって示される。図29では選択された周囲空気温度での最適エンジンオイル温度が実線でプロットされている(図25に示すプロットと同じである)。図29では更に、EETC弁を備え、このEETC弁を図24及び図26に示す曲線に従い制御した場合のGM社製3800cc横置き型エンジンの、オイルパンで測定した実際のエンジンオイル温度が破線で示され(図29のプロットを発生する温度制御システムでは“超高負荷曲線”は使用されない)、また、比較のために、ラジエターに向う冷却材流れを約195°F(90.6℃)の温度で開くように較正した従来のサーモスタットで制御した場合の実際のエンジンオイル温度を一点鎖線で示している。
周囲空気温度が約60°F(15.6℃)未満の時、EETC弁を使用する冷却システムの性能は従来のサーモスタットよりも著しく優れている。つまり、EETC弁を使用する温度制御システムは実際のエンジンオイル温度をその最適な作用温度或は最適値に維持する。周囲空気温度が約70°F(21.1℃)を上回る時、エンジンの冷却システムがエンジンオイル温度をその最適値に維持する能力はラジエターの容量により制限される。かくして、どのような流れ制御弁を用いようとも、エンジンオイルは望む以上に高温となってしまう。しかしながら、図29に示すように、本発明を組み込むエンジンは尚、従来からのサーモスタットを使用する冷却システムのそれと比較して、より高い温度下において、最適なエンジン曲線に接近して運転される。これは、EETC弁が良好なTCF流れ容量、即ち、拘束性のサーモスタットによるよりも50%増しのTCF流れ容量を提供することによるものである。本発明のEETC弁は、より高い温度下で作動している時にはサーモスタットシステムよりも早く開き、従ってエンジンを可能な最低運転温度(図24に示す如く)に維持する。
周囲空気温度が0°F(-17.8℃)以下の範囲の時、従来のサーモスタットではエンジンオイル温度はスラッジが形成される温度範囲に降下してしまう。これは内燃機関温度がその最適運転温度よりも著しく低い場合でさえも、冷却材温度が従来のサーモスタットが開く程に十分な低温になってしまうことによるものである。
図29には、EETC弁、絞り弁/遮断弁、そして、エンジンオイルに熱を移行させるためのオイルパン管を使用する温度制御システムにおける実際のエンジンオイル温度もまた、×印線によって表されている。そうした温度制御システムは実際のエンジンオイル温度を、周囲空気温度が0°F(-17.8℃)であってもその最適値に維持する。周囲空気温度が0°F(-17.8℃)以上である場合、そうした温度制御システムは一般に、EETC弁のみを使用する温度制御システムのプロットを追随する。
図30は自動車運転時(及びエンジン始動時/暖機時)のTCF及びエンジンオイルの各温度傾向を曲線で表すグラフである。この図では周囲空気温度は約40°F(4.4℃)である。図25のプロットによれば、この温度での最適エンジンオイル温度は約240°F(115.6℃)である。
時間t0からt1まではエンジンは低負荷状況下に運転され、従って図24の“通常曲線”を追随する。実際のTCF温度は約220°F(104.4℃)であり、“通常曲線”から理解されるようにEETC弁は閉じている。実際のエンジンオイル温度は図29から予想されるように約238°F(114.4℃)である。
時間t1ではエンジンは高負荷状況となり、エンジンオイルは急速に加熱され、図25におけるその最適値を越える。従って、温度制御システムは図24の“高負荷曲線”に移行する。これによりEETC弁が開き、TCFがラジエターに入るようになる。時間t1及びt2の間にTCF温度は急速に降下し、約180°F(82.2℃)の低温で安定する。この時間中、前述のように急激に高温となったエンジンオイル温度は、低温となったTCFにより徐々に低下される。時間t2ではエンジンオイル温度は238°F(114.4℃)に戻り、温度制御システムは“通常曲線”に戻るのでEETC弁は閉じる。時間t2及びt3の間は、TCF温度はゆっくりと上昇する。またこの時間中エンジンオイル温度はゆっくりと降下し続け、次いで、より暖かいTCFがエンジンオイルを暖め始めるまでに時間の遅れがあることにより、上昇する。結局、エンジンオイル温度は238°F(114.4℃)で安定する。
時間t3の後、この曲線傾向が、高負荷状況が尚、維持される限りに於て反復される。かくして、温度制御システムは“通常曲線”と“高負荷曲線”との間を循環する。温度制御システムが“超高負荷曲線”を随意的に備えている場合はその曲線傾向を追従する。もし“超高負荷曲線”を追従する頻度が余りに高い時、温度制御システムは“通常曲線”と“超高負荷曲線”との間を循環するようになり、“高負荷曲線”は無視される。高負荷状況がなくなると温度制御システムは“通常曲線”に戻り、エンジンオイル及びTCFの各温度は時間t0の値で安定する。
多数の曲線を使用する実施例では、曲線変更時期をエンジンオイル温度によって決定するが、本発明の範囲内において内燃機関温度のそうしたエンジンオイル温度に代わる別のパラメーターを使用することもできる。例えば、エンジンブロックに埋め込んだサーミスタを使用して実際のエンジンオイル温度をもっと正確に読み取ることも可能である。
図31A及び図31Bには、図24から図30を参照して説明した温度制御システムのための、エンジンオイル加熱のための新規且つ随意的な特徴部分が例示される。図31AはEETC弁を備えるGM社製3800cc横置き型エンジンでの、EETC弁が閉じた状態でこのエンジンを貫く、理想化されたTCF循環流路のダイヤグラム図である。この図31AのTCF循環流路は図40の従来技術と、この図40における従来のサーモスタット1200がEETC弁100と置き換えられている点を除き類似している。また図31Aでは、ウォータージャケット1202の出口は、図40のそれのようにウォータージャケットポンプ1206の入口には直接入らず、ウォータージャケット1202の出口はTCF流路1300に入る。この構成は図14Aから図14Fに関して先に議論されている。よって、TCF流路1300は図14Aから図14Fにおける通路216に相当する。TCF流路1300はオイルパン1302を通して流れ、引き続きウォーターポンプ1206に入る。かくして、ウォータージャケット1202を出る好ましくは全てのTCFがウォーターポンプ1206に戻り、ウォーターポンプ1206から再循環される前に、オイルパン1302を流動する。TCF流路130には、図18に示す伝熱管220と類似の伝熱管1304が含まれる。例示目的上、図31ではこの伝熱管1304の長さとオイルパン1302の寸法形状とが誇張されている。
運転に際し、ウォータージャケット1202の出口位置の好ましくは全てのTCFが、EETC弁100が閉じている時は常に伝熱管1304を通して流れる。エンジン始動時/暖機時はEETC弁は常閉し、最もおそらくは、内燃機関温度はその最適値よりも冷えている。エンジン始動時/暖機時には、ウォータージャケット1202内のTCF温度はエンジンオイル温度よりも急速に上昇することから、伝熱管1304内の高温のTCFの熱エネルギーがオイルパン1302内のエンジンオイルに移行し、エンジンの素早い暖機が促進される。
図31Bは、EETC弁100が開いている時の図31Aの温度制御システムを例示している。実質的に全てのTCFがEETC弁を介してラジエター208に移動する。しかしながら、もしEETC弁がこのEETC弁を貫く流れを完全に防止しないように設計されている場合は、少量のTCFが尚、インテークマニホルドを通してオイルパンに流れる。
図32A及び図32Bは、TCFを利用してエンジンオイルを冷却することのできる温度制御システムの別の実施例が示される。図32Aは、図31Aと同様に、EETC弁が閉じた状態での、EETC弁を備えるGM社製の3800cc横置き型エンジンを貫く、理想化されたTCF循環流路のダイヤフラム図である。図32BではEETC弁は開放され、TCFのインテークマニホルド及びオイルパンへの通過は完全に防止されている。従って、この状態では全てのTCFがラジエター208を通して流動する。
図30を再度参照するに、エンジンが高負荷状況となり、エンジンオイル温度がその最適値を越えるとシステムは“高負荷曲線”に移行する。もしEETC弁がすでに開いていなければEETC弁は最もおそらくは開放しその結果、TCF温度は比較的急速且つ鋭く降下する。もしTCF流路1300内のTCFがエンジンオイルよりも冷えている場合には循環流路1304を流れるTCFがエンジンオイルの熱を奪取し、エンジンオイルの冷却を促進する。これにより、図30の時間t1から時間t2までの長さが短縮される。
EETC弁100が開放され、エンジンオイル温度が既に最適値或はその近辺の温度になっている場合があるが、その時はTCFが流路1300を流れるのは望ましくない。なぜならエンジンオイルが無用に冷却されてしまうからである。図32Aの流路1300には流れ制御用の弁は含まれないが、そうした弁を、エンジンオイル温度がその最適値を越えた時にのみTCFが確実に流路1300を流れるようにするために使用することができる。
流路1300を設けることによって、エンジンを切った時にTCF内の熱エネルギーがオイルパン1302に移行すると言う追加的な利益が生じる。これによりエンジン停止時のエンジンオイル温度をスラッジ形成条件となる温度よりも高くしておくことが助成される。図32A及び32Bに示す温度制御システムでは、全システムを通しての温度差が一層一様化されそれにより、TCF温度がエンジンオイル温度よりも低くなる。
本明細書で説明するEETC弁を1つ以上の流れ制御弁と共に使用することにより、システムの温度制御機能を、随意的なオイルパン加熱特性と共に或はそれ無しでEETC弁のみを使用した場合に達成し得るよりも高めることができる。上述したように、図14Aに示される流れ制御弁300及び400はその仕事に適した任意形式のもので良い。この仕事のために特に適した流れ制御弁の新規な1形式が図33から図39に示され且つ米国特許第5,458,096号に説明される。
流れ制御弁はターボチャージャー或はスーパーチャージャーを作動させることによって生じるエンジンブロック温度の突然のピーク値化を低減させるための、EETC弁に関して先に説明した予想モードと同一の様式での予想モードで使用することができる。ターボチャージャー或はスーパーチャージャーを作動すると、EETC弁を、各EETC弁がもし既にそうした状態となっていない場合に、絞らない/非閉鎖状態とする信号が流れ制御弁に即座に送られ得る。ターボチャージャー或はスーパーチャージャーの作動が停止された直後に、各EETC弁はECUによって指示される状態に復帰することができる。
周囲空気温度が非常に高い時、EETC弁及び流れ制御弁の状態が1つ以上の曲線に従い制御される温度制御システムの性能は、エンジン始動に際してサーモスタットが冷却材温度のみによって制御される冷却システムのそれよりもずっと良い。これは、設計者が、その時のTCF及び周囲空気の各温度に基いて期待されるエンジン運転状況を各曲線から予測することができるからである。従って、EETC弁の開放と、流れ制御弁の絞らない/非閉鎖状態とを、そうした状態が必要となることが期待されるエンジン運転状況を予測することにより、EETC弁を素早く開放させ、流れ制御弁を素早く絞らない/非閉鎖状態とすることができる。
例えば、周囲空気温度が100°F(37.8℃)である時、従来の自動車を直射日光下に放置しておくとすると、エンジンフード内や車内の温度は少なくとも120°F(48.9℃)にはなる。そして冷却材温度は少なくとも100°F(37.8℃)にもなる。ドライバーが車内に入りエンジンを始動すると、エアコンは代表的には即座にそのフルパワー運転状態に入る。高温であることと、エアコンシステムによりエンジンに過度の負担がかかることで冷却材温度は急速に上昇する。冷却材をラジエターに流してエンジンブロックを最適な運転温度に保つ必要があるのは明らかであるにも関わらず、サーモスタットは冷却材温度が適宜の温度に達するまでは開放せず、その間冷却材はラジエターに送られない。これにより、エンジンが十分に冷却されるまでの間に一時的な遅れが生じる。自動車が従来からのワックスペレット形式或はバイメタルコイル形式のサーモスタットを備えている場合は、サーモスタットのヒステリシスにより、冷却材がラジエターに流れるまでの時間の遅延はもっと大きくさえなる。こうした遅れは、エンジンブロック温度の突然のピーク値化を招き、結局、冷却材温度やエンジンオイル温度は、一時的に理想的範囲を超えたレベルに達してしまうこととなる。
しかしながら、もし自動車が、プログラムされた温度制御用曲線によって制御されるEETC弁及び或は流れ制御弁を備えていれば、全てのTCFはエンジン始動後に直ちにラジエターに流れ、従ってエンジンブロック温度が突然ピーク値に達する傾向は減少する。これは、図19、20、22A、22B、24、26に示される各曲線が、周囲空気温度が100°F(37.8℃)、TCF温度が100°F(37.8℃)以上であればEETC弁が開放されるべきであり、流れ制御弁が絞らない/非閉鎖状態となるべきであることを示していることに基く。エンジン始動後に各弁がこうした状態となり、作動液システムが正しい運転圧に達するまでに2、3秒の遅れがあることは勿論である。こうした予測特性は、プログラムされた温度制御用曲線に従い流れ制御弁の状態を制御する上での固有の利益である。
先に議論したように、本発明の1実施例ではECUが、周囲空気温度、エンジンオイル温度、TCF温度を表示する信号を受ける。ECUはこうした信号を1つ以上の温度制御用曲線と比較する。好ましい実施例ではECUはエンジンオイル温度を最適なエンジンオイル温度制御用曲線と比較する。ECUはこうした比較に基いてエンジンの運転状態(例えば通常負荷、高負荷或は超高負荷)を決定する。次いでECUは周囲空気及びTCFの実際の温度を1つの温度制御用曲線或は予め決定された一組の温度値と比較し、流れ制御用の弁(例えばEETC弁、絞り弁)の望ましい状態或は位置を決定する。予め決定された一組の温度値が、少なくとも周囲空気温度及びTCF温度の関数であるところの温度制御用曲線を画定するのが好ましい。好ましい温度制御用曲線の一部分はゼロではない勾配部分を有している。ECUはソレノイドに制御信号を送り、作動液インジェクタを開閉させ、これが結局、流れ制御用の弁を必要に応じて開閉せしめる。
本発明の別の実施例ではECUは実際のエンジンオイル温度をその最適値或は最適な温度制御用曲線を画定する一連の値と比較する。もし実際のエンジンオイル温度がその最適値或は所望のエンジンオイル温度値以上である時には、ECUは高負荷曲線に切り替えるのに代えて通常曲線を調節する。詳しく説明すると、ECUは通常曲線を所定量分だけ下方に移動し、各弁をそれらの状態或は位置間で作動せしめるところのTCF温度を低下させる。本発明の1実施例では、実際のエンジンオイル温度がその最適値を1°F分(0.56℃分)上回るごとに、弁を作動させるTCF温度成分は2°F分(1.1℃分)低くなる。これにより、温度制御用曲線は効果的に下方に移動することとなる。エンジン形状が異なれば、TCFの温度成分の、実際のエンジンオイル温度の1°F分の上昇に対する下方への移動量が異なってくるのは言うまでもない。例えば、実際のエンジンオイル温度がその最適値から1°F分上昇する時、TCFの作動温度は約1乃至10°F分の間の範囲内で低下され得る。更には、温度成分の下方への移動量は一定ではない(例えば、下方への移動量は実際のエンジンオイル温度と最適エンジンオイル温度との間の温度差が開くに従い増大し得る)ことも予測される。
更に別の実施例ではTCFの温度成分の下方への移動量は周囲空気の変化と共にもまた変化することができる。例えば、周囲空気温度が0°F(-17.8℃)である時、実際のエンジンオイル温度が最適エンジンオイル温度から1°F分上昇する毎にTCFの温度成分は1°F分低下し、周囲空気温度が50°F(10℃)の時には2°F分低下し、そして80°F(26.7℃)の時には3°F分低下する。本発明のこの実施例は図45のようにグラフ化して表すことができる。図45では温度制御用曲線は、検出された周囲空気温度に基きECUによって選択される。周囲空気温度の範囲を表す複数の温度制御用曲線がプロット線される。例えば約-60°F(-51.1℃)から約110°F(43.3℃)までの温度制御用曲線がプロットされる。各温度制御用曲線はTCFの温度成分を調節するための及び或は予め決定された1組の温度値を移動させるための関連する調節係数を有している。これらの調節係数は可変であり得る。ECUは、正確な調節係数を提供することを意図する温度制御用曲線間を補間するための形状とすることもできる。温度制御用曲線は例示した実施例では直線となっているが、これに代わる非−直線の温度制御用曲線を各周囲空気温度のために組み入れても良い。温度制御用曲線を移動させるためにただ1つの温度制御用曲線を使用することも可能である。プロット線の第1の軸線が検出した周囲空気温度を表し、第2の軸線が、エンジンオイル温度の1°F分の上昇の、相当する温度制御用曲線の下方への移動量(例えば1/1,1/2或は1/3)に対する比率を表し得る。
或は、温度制御用曲線を変更する以前に実際のエンジンオイル温度がその最適値を設定量超過するまで待つのも好ましい。例えば、実際のエンジンオイル温度がその最適値を3或は5°F分増大すると、TCFの、弁の作動を指令するところの設定点温度がそうした増大に相当する分だけ低下する。図45Bには本発明のこの様相がグラフで表され、実際に検出された複数のエンジンオイル温度に対する一連の個別の温度制御用曲線が含まれている。破線で表す各温度制御用曲線(NC’)は、実線で表した“通常”の温度制御用曲線(NC)を下方に移動したものである。明らかなように、所定の、検出されたエンジンオイル温度に対し、ただ1つの特定の温度制御用曲線或はただ1つの特定値が利用される。別の配列構成では、個別の温度制御用曲線に代えて等式及び或は換算係数を利用することにより、通常曲線に従い弁が作動される値を変更させることもできる。
多くの場合、実際のエンジンオイル温度がその最適値を越える量のみを使用してTCFの温度成分を変更すれば十分である。しかしながら、好ましい実施例では実際のエンジンオイル温度をその最適値或はその近辺に維持するための温度制御用曲線移動量を決定するために、エンジン負荷を監視する必要がある。
温度制御用曲線をエンジン負荷の関数として変化或は変更させるための1つの方法は、実際のエンジンオイル温度の変化量を監視することである。図45Cを参照するに、TCF温度成分のための及び或は、予め決定した1組の値を下方に移動させることを決定するための、換算係数或は調節係数に対する、実際のエンジンオイル温度の変化量を示す温度制御用曲線例が例示されている。もし、検出された実際のエンジンオイル温度の変化量が比較的小さい(R1)と、温度制御用曲線の下方移動量も小さい(S1)。他方、もし、検出された実際のエンジンオイル温度の変化量が比較的大きい(R2)、即ち高負荷状況にあると、温度制御用曲線の下方移動量も比較的大きくなる(S2)。例示した温度制御用曲線は直線で表されているがその他の温度制御用曲線形状、例えば指数温度制御用曲線、対数温度制御用曲線、温度制御用曲線その他に変えることもできる。更に、検出した実際のエンジンオイル温度の異なる変化量に対する、温度制御用曲線の異なる下方移動量を提供する階段関数を、それらに代えて使用することもできる。
使用中、エンジンコンピューターは、実際のエンジンオイル温度がその最適値を越えたことを検出すると、実際のエンジンオイル温度の変化量を決定し、この変化量から換算係数或は調節係数を決定する。次いでこの換算係数を通常曲線に適用し、この通常曲線を下方に移動させる。エンジンコンピューターは引き続き実際のエンジンオイル温度の変化量を監視し続け、その割り合いに応じて通常曲線を移動させる。温度制御システムには、生じる温度制御用曲線の移動量を最小化するための時間差が組み込まれる。
上述した実施例の効果を例示する、分析により決定した温度制御用曲線が図46に示される。図示された温度制御用曲線は一定の周囲空気温度60°F(15.6℃)に対するものである。時間t0からt1まではエンジンコンピューターが、通常曲線(レベル1)に従い、EETC弁及び絞り弁の開閉を制御する。時間t1ではエンジンコンピューターが実際のエンジンオイル温度がその、図25に示すそれと類似の最適オイル温度のための温度制御用曲線から好ましく決定されるところの最適値(例示実施例では約235°F(112.8℃))から上昇したことを検出する。エンジンコンピューターは温度制御用曲線の下方移動のための所定の係数(例えば、エンジンオイル温度の1°F分の上昇毎にTCFを2°F分降下させる)を提供するか或は、もっと好ましくは、エンジンオイル温度の変化量を決定しそしてその変化量から、温度制御用曲線の、必要な下方移動量を算出する。
EETC弁は、移動された新しい温度制御用曲線(レベル2)に従って開放し、時間t1及びt2間に示されるようにTCF温度を急激に降下せしめる。しかしながらエンジンオイルは、TCFによるエンジンオイル冷却効果が現れるまで上昇し続ける。
エンジンコンピューターは実際のエンジンオイル温度を監視し続ける。時間t2ではTCF温度は、移動された新しい温度制御用曲線の値で安定する。実際のエンジンオイル温度が尚、その最適値を上回る時、エンジンコンピューターは、時間t1及びt2間でのエンジンオイル温度の変化量を決定する。この変化量が大きい時はエンジンが高負荷状態のままであることを示している。従って、決定されたこの変化量に基き、エンジンコンピューターは温度制御用曲線の、追加的に必要となる下方移動量を決定する。次いで、流れ制御用の単数或は複数の弁が、そのように追加的に移動された温度制御用曲線(レベル3)に基いて制御される。
時間t3ではエンジンコンピューターが時間t2及びt3間におけるエンジンオイル温度の変化量を決定する。例示された実施例でのこの新しい変化量はそれ以前の変化量未満であるので、エンジンコンピューターは温度制御用曲線を下方に移動させない。それに代えて、エンジンコンピューターはレベル3での温度制御用曲線に基き、流れ制御用の単数或は複数の弁を制御し続ける。
時間t5ではエンジンコンピューターは時間t4及びt5間におけるエンジンオイル温度の変化量を決定する。この新しい変化量は低下していることから、エンジンコンピューターは温度制御用曲線をレベル1、即ち通常レベルに向けて温度制御用曲線を上方に移動させる。この結果、TCF温度は上昇し続け、一方、エンジンオイル温度は低下し、その最適作用温度への復帰を開始する。
時間t5及びt6間で表されるようにTCFを再加熱するには時間がかかるので、エンジンオイル温度をその最適作用温度に出来るだけ維持することができるように、TCF温度を不必要に低下させないことが重要である。
検出される周囲空気温度は、図46に示すTCFのための温度制御用曲線の変化量或は勾配に影響を与える。例えば、周囲空気温度が高いと時間t5及びt6間の温度制御用曲線の勾配は周囲空気温度が低い場合よりもきつくなる。これは、周囲空気温度が低い時(例えば0°F)にはエンジンオイル温度を長い時間高温状態を保ち、暖房及び除霜の各能力を高くしておくことがより好ましいと言う事実に基づいている。周囲空気温度が低いとエンジンオイル温度が過度に高温となる恐れは小さくなる。周囲空気温度がもっと暖かい場合にはエンジンオイル温度をその最適値の近辺に維持し、オーバーヒートを防ぐようにするのが望ましい。温度制御用曲線の温度の勾配は、かくして、周囲空気温度がそのように暖かい時にはきつくなる。
エンジン負荷を決定するための別法は、インテークマニホルドの吸気圧を監視することである。検出された吸気圧は一般に、最新のエンジン負荷の正確な表示を提供する。例えば、もし、検出された吸気圧が約4インチ(13.5kPa)未満である時はエンジンは高負荷状況で運転されている。従って、予め決定された第1の調節係数或は温度制御用曲線は、温度制御用曲線を減らす或は交換するために選択することが可能である。しかしながら、もし、吸気圧が約2インチ(6.77kPa)未満であれば、エンジンは極めて低い負荷状況下に運転されている。この場合、第2の調節係数は通常曲線を変化させるべく選択される。
更に別の方法では、エンジン加速の指令を監視することによりエンジン負荷が決定される。例えば、エンジンを大きく加速する指令が、高いエンジン負荷状況を表す。エンジンの加速量は、様々な方法、例えばアクセルペダルの踏み込み量、燃料噴射システムからの信号等から決定することができる。指令された加速に基いて通常曲線を変更させるための、予め決定された係数及び或は温度制御用曲線が選択される。
指令によるエンジン加速を使用する方法と、インテークマニホルドの吸気圧を使用する方法とでは共に、エンジンオイル温度に関して先に議論した、変化量監視のためのシステムと類似の監視システムをも組み込むことにより、これらの方法を更に最適化することも可能である。
図47にはGM社製3800cc横置き型エンジンに組み込んだ状態で本発明を実際にプロットしたグラフである。データは、自動車がかなりきつい勾配を登坂する際に記録されたものである。データは、エンジンオイル温度(温度制御用曲線A)、TCF温度(温度制御用曲線B)、周囲空気温度(温度制御用曲線C)、自動車の速度(温度制御用曲線D)、吸気圧(温度制御用曲線E)を表している。X軸は数分間の時間を表す。点Z1の位置では加速が指令され、自動車は毎時約55マイルから90マイル(88km/h〜145km/h)へと増速する。エンジン速度及び加速が増大すると吸気圧が減少し、エンジンオイル温度は上昇する。温度制御システムはエンジンオイル温度の上昇を検出し、TCF温度を低下させる。点Z2の位置では、温度低下したTCFがエンジンオイル温度を低下させ始める。図47には、検出されるエンジン負荷状況(加速速度、及び或は吸気圧)と、エンジンオイル温度並びにTCF温度との間の相関関係が明瞭に示されている。
上述の議論に基づけば、当業者には記載された例示実施例に対して本発明の範囲内で多くの変更を為し得ることを容易に理解されよう。例えば、温度制御用曲線そのものを、各弁の作動を制御するための1つ以上の等式と置換することができる。更に別の実施例では、ファジー論理を使用するコントローラにより各弁の作動を制御し及び或は温度制御用曲線を変更することもできる。
先に議論したような温度制御用曲線の変動或は下方への移動は、約50°F〜70°F(27.8℃〜38.8℃)の範囲に限定するのが好ましい。これは、TCFをかなり高い温度に維持することにより、暖房/除霜能力を実質的に低下させないようにするためである。
温度制御用曲線を調節するための前述の方法は、エンジンの始動時/暖機時にも利用することができる。例えば、もし実際のエンジンオイル温度が望ましい或は最適温度よりも予め決定した分下回る時は、温度制御用曲線に調節係数を適用し、この温度曲線を、プリセットした分だけ上方に移動する。この調節量は、周囲空気温度と共に、移動された温度制御用曲線が図26に示すエンジン始動時/暖機時の曲線に類にするように変動させるのが好ましい。
上述の議論は、エンジンオイル温度をその最適温度或はその近辺の温度に維持するようにエンジンオイル温度を制御する温度制御システムに対して向けられたものである。しかしながら、ある場合にはそうした最適値への制御は不要化され得る。この点、本発明の別の実施例では、各弁の作動を制御するために周囲空気温度と共に変動する温度制御用曲線は使用されない。それに代えて、エンジンオイル及び或はTCFの予め決定した1つ以上の温度値を使用して、周囲空気温度とは無関係に各弁が制御される。予め決定されたエンジンオイル温度及びTCF温度は、広範囲の周囲空気温度に渡り、エンジンにとって許容し得る温度を提供するように選択するのが好ましい。予め決定された値として、例えば、約260°F(126.7℃)の平均エンジンオイル温度値を使用することができる。
図48を参照するに、この実施例がグラフによって例示されている。本実施例では温度制御用曲線はエンジンオイル温度をその1つの温度或はその近辺の温度(記号A)に維持するように作動する。システムの作動は以下の通りである。エンジン内のセンサーがエンジンオイル温度を表示する温度を検出する。この検出は、例えば、オイルパン内のオイルの温度を直接検出することによって、或はエンジンブロック或はオイルパン自体の温度を検出することにより達成され得る。検出された温度を表す信号がエンジンコンピューターに送られ、エンジンコンピューターがこの信号を予め決定されたエンジンオイル温度の値と比較する。検出されたオイルの温度が予め決定されたエンジンオイル温度未満である時はエンジンオイルは比較的冷えた状態にある。この場合、TCFの流れを循環させるのは望ましく無い。エンジンコンピューターを、ラジエターとエンジン(例えばEETC弁)との間でのTCF流れを制御する弁の位置を決定するために使用することが可能である。エンジンコンピューターは色々の方法で弁の位置を決定することができる。もし弁が開放位置にある時(ラジエターとエンジンとの間でのTCF流れを許容する)は、エンジンコンピューターが弁を閉じさせる(ラジエターからのTCF流れを停止させる)信号を送るのが望ましい。
先の議論において、エンジンコンピューターは弁の位置を決定すると共に、エンジンオイル温度のみに基いて弁を自動的に閉鎖させる。しかしながら、エンジンコンピューターは弁の開閉を制御するためにTCFの温度を利用することも意図される。TCF温度を利用することにより、本温度制御システムではエンジンオイル温度を加熱する上での時間差(即ち、エンジンがエンジンオイルよりも速く加熱される)をずっと容易に収受することができるようになる。本実施例では、TCFの実際の或は検出した温度を表す信号がエンジンコンピューターに送られる。エンジンコンピューターはこの信号(即ち温度)をTCFの、予め決定した温度の少なくとも1つの値と比較する。実際に検出した温度がもしこの予め決定された温度以下である場合には、弁はおそらくその閉じた位置にあり、ラジエターとエンジンとの間でのTCF流れを防止している。弁をこの閉じた位置のままとしておくと、ラジエターから流れるTCFによっては冷却されないことから、エンジンオイル温度は上昇する。
他方、検出したTCF温度が予め決定された値よりもずっと高い時、弁は開放位置にあり、TCFがラジエターからエンジンに向けて循環することが出来るようにしている。しかしながら、エンジンオイル温度は比較的低いので弁をその閉じた位置とするのが望ましい。弁を閉じる(もし既に閉じていなければ)ために、エンジンコンピューターは予め決定したTCF温度を所定分上昇させる。これは、予め決定した温度値を調節する或は高めるのと等価である。上昇幅或は調節量は様々な係数に基づくものであり得る。上昇幅は、実際のエンジンオイル温度が予め決定したエンジンオイル温度値から下回る温度幅の関数であるのが好ましい。以上により、予め決定した温度値或は温度成分を移動或は調節することに関する詳細な議論が提供された。
実際のエンジンオイル温度を予め決定されたエンジンオイル温度値と比較するのとは無関係に、自動的に実際のTCF温度以上の温度となる温度幅分、予め決定したTCF温度値を調節或は上昇させることも望ましいことである。この場合、エンジンコンピューターは前記予め決定したTCF温度値を、実際のエンジンオイル温度が予め決定されたエンジンオイル温度値となるまで、そのように調節或は上昇された温度に維持する。別の実施例ではエンジンコンピューターは予め決定したTCF温度値を調節することはせずに、単に弁を、実際のエンジンオイル温度が予め決定されたエンジンオイル温度値となるまで、閉じた状態に維持する。
エンジンコンピューターが、エンジンオイル温度が予め決定されたエンジンオイル温度値を越えたことを表す信号を受けた時は、エンジンは比較的高温状態にある。この状態では、ラジエターからの冷えたTCFを、エンジンを取り巻くウォータージャケットを通して循環させるのが望ましい。先に議論したように、エンジンコンピューターは、弁の位置を決定し、次いで、弁を自動的にその所望の位置(例えば開放位置)とするために使用することができる。しかしながら、好ましい1実施例ではエンジンコンピューターは、実際の或は検出されたTCF温度をも使用する。エンジンコンピューターはTCF温度を予め決定されたTCF温度の少なくとも1つと比較し、もし実際に検出されたTCF温度がそれ以上である時は弁はすでに開放位置にあり、TCFラジエターとエンジンとの間を流れている。しかしながら、検出された実際のTCF温度が予め決定されたTCF温度未満である時は弁はおそらく閉じている。従って、この場合は弁を開放させてエンジンを冷却させるのが望ましい。そのために、エンジンコンピューターは予め決定されたTCF温度を、先に説明したと類似の様式で所定温度幅分、下方に移動させる。実際のTCF温度が、このように移動された、予め決定されたTCF温度を越えた時、弁は開放する。
図48にはTCFの上限温度(記号C)及び下限温度(記号D)もまた例示されている。これらの温度限界により、温度制御システムが暖房/除霜システムの有効性が著しく低下するのを防止する。
好ましい温度制御システムではエンジンコンピューターを使用して、実際のエンジンオイル温度値を予め決定されたエンジンオイル温度値と比較することに基いて、予め決定されたTCF温度値を継続的に移動或は調節する。かくして、移動された或は調節されたそのような予め決定されたTCF温度は、必ずしも弁を即座に作動せしめる値でははなく、移動された新しい温度値が、弁を一層急速に作動させるための実際の温度に対し、温度的に単に接近するだけである。好ましい実施例ではないが、別法では、予め決定されたTCF温度値は調節されない。それに代えて、検出された或は実際のTCF温度を調節し、次いで、予め決定されたTCF温度と比較する。当業者においては、エンジンオイル温度に基いて温度制御システムを制御するための別法を容易に実施することができる。それらの別法も請求の範囲に含まれるものである。
運転に際し、上記温度制御システムは以下の如く機能する。初期のエンジン始動時において、エンジンコンピューターが、エンジンオイル温度が約230°F(110℃)未満であることを検出した時、エンジンコンピューターは、エンジンオイル温度が、その通常作用温度であるところの約230°F(110℃)の温度或はその近辺の温度となったことを検出するまで、予め設定したTCFの温度値を約240°F(115.6℃)に上昇或はセットする。
引き続き、エンジンコンピューターは、エンジンオイルが約230°F(11O℃)よりも高温となったと判断すると、予め決定されたTCF温度をその通常運転温度(例えば約200°F(93.3℃)からもっと低い温度に移動させる。この移動は、予め決定されたTCF温度を、予め決定されたエンジンオイル温度値を実際のエンジンオイル温度が1°F(0.56℃)分越えるごとに2°F(1.1℃)分低下させることにより実施される。予め決定されたTCF温度の下方への移動限界温度は約170°F(76.7℃)である。
通常のエンジンオイル作動温度に達した後、エンジンコンピューターが仮にエンジンオイル温度が約230°F(110℃)未満であると判断するとエンジンコンピューターは、予め決定されたTCF温度の値を、その通常運転値(例えば約200°F(93.3℃))からもっと高い温度に移動させる。この移動は、予め決定されたTCF温度値を、実際のエンジンオイル温度が予め決定されたエンジンオイル温度を1°F(0.56℃)分下回るごとに2°F(1.1℃)分増大させることにより実施される。予め決定されたTCF温度値の上方への移動は約240°F(115.6℃)をもってその限界温度とするものである。
温度制御システムのための制御論理を、エンジンコンピューター内に代えて、弁に直接取り付けたコンピューターチップ或はプロセッサ内に組み込み得ることも意図される。従って、先の議論は弁を制御するためのエンジンコンピューターの使用に関わるものであったが、その他の電子的な制御機構をそうしたエンジンコンピューターに代えて使用することもまた意図される。
EETC弁を、ハウジング内に一体化された作動液インジェクタとして記載したが、作動液インジェクタが、往復作動するEETC弁部品から物理的に離隔され、この離隔された部分が作動液ラインにより連結された実施例も本発明の範囲に含まれる。同様に、流れ制御弁と関連する作動液インジェクタを、図38に示すように弁ハウジング内に一体化させるか、或は図33及び図34に示すように、往復作動する弁部材から物理的に離隔させることができる。或はまた、図38に示すような一体化された弁と関連する作動液インジェクタを使用して、作動液インジェクタを持たない別の流れ制御弁の状態を制御することも可能である。
好ましい実施例ではECUを、加圧された作動液をEETC弁に送り、弁部材146を作動させるために使用しているが、加圧された作動液を提供するためのもっと精密な手段は、EETC弁に導通しまたそこから出る作動液ライン内に取り付けたサーモスタット形式の装置である。サーモスタットは、作動液ライン内或はオイルパン内の作動液の温度が、好ましい実施例においてはエンジンオイル温度を表すべく選択された所定の温度を越えた場合に、加圧された作動液を提供する。この形式のシステムの欠点は、EETC弁内の作動液を、弁を閉じたい場合、即ちダイヤフラムを減圧させるに際して除去或は釈放させるための機構を追加しなければならないことである。
先に述べたように、本発明に於ける好ましい弁は作動液の使用を介して作動する。しかしながら、その他の形式の弁を本発明の範囲内で使用することもできる。例えば、図49を参照するに、電子的支援を受けるサーモスタット950が例示され、このサーモスタット950を本発明の1実施例で使用することが可能である。サーモスタット950はその従来通りの部分において、アウターハウジング952と、弁部材954と、ワックスペレット956と、リターンスプリング958とを含んでいる。ワックスペレット956は、ワックスペレット956が固化した場合に弁部材954を閉じるような設計形状とされる。リターンスプリング958は、ワックスペレット956が溶けた時に弁部材954を開放位置に偏倚させる形状となっている。従来からのサーモスタットの形状及び作動の詳細は当業者には良く知られている。
電子的支援を受けるサーモスタット950は、コイルのような加熱要素960を含んでいる。加熱要素960はワックスペレット956の周囲を或はそこを貫いて伸延し、電線962を介して電源(図示せず)と電気的に連結される。ECU900のようなコンピューターが、電線962に沿っての加熱要素960への電流の流れを制御する。加熱要素960は電流が供給された場合に高温に加熱されるよう設計される。この加熱要素960からの熱が、ワックスペレット956を約80°F(44.4℃)に加熱する。これにより、ワックスペレット956はそうでない場合よりもずっと早く溶けるようになる。誘電ヒーターのような加熱要素は斯界に周知であるからその詳細な説明は省略する。
本発明においてワックスペレット956をより有効に作用させるために、ワックスペレット956を、220°F及び226°F(104.4℃及び107.8℃)の間の温度で開き始め、236°F及び240°F(113.3℃及び115..6℃)の間の温度で完全に開くように較正する。こうした温度は現用のサーモスタット設計温度(例えば約180°F(82.2℃)よりも高いが、これにより温度制御システムは、TCF温度が220°F(104.4℃)に達し、温度制御システム内に増大された圧力(約7psi(48.263kPa)を提供するようになるまで、閉回路(即ち、ラジエターを含まない)状態に維持される。この増大された圧力を収受するために、ワックスペレット956は従来のペレットよりも若干大きめに作製するのが好ましい。より大型のリターンスプリング958や大型のハウジング952も必要である。
加熱要素960がワックスペレット956を、それが通常溶けるよりも前の80°F(44.4℃)の温度で溶かすことが出来るので、TCFの流れを様々なTCF温度に渡り制御することが可能となる。加熱要素960の温度限界が80°F(44.4℃)であることから、弁部材954が開く下限温度が一段と低くなる(例えば、160°F(71.1℃))。これにより、温度制御システムにおける暖房及び除霜の能力の低下防止が助成される。弁部材が閉じる上限温度は、ワックスペレット956それ自体の溶解温度によって240°F(115.6℃)に維持される。
以下に、電子的支援を受けるサーモスタット950の好ましい1実施例の作動を説明する。ECU900は実際のエンジンオイル温度或はエンジンブロック温度を表す信号を受ける。もし、実際のエンジンオイル温度が予め決定されたエンジンオイル温度(例えば、所定の、検出された周囲空気温度に対する望ましいエンジンオイル温度の値)未満である時、サーモスタットが従来通りの態様(例えばTCF温度が220°F/226°F(104.4℃/107.8℃)に達した時に開き始める)で作動する。しかしながら、もし実際のエンジンオイル温度が予め決定されたエンジンオイル温度よりも高い時は、ECU900は電線962への送電量を制御する。電線962を流れる電流が加熱要素960を加熱しそれが結局、ワックスペレット956を溶かし、サーモスタットの開放を開始せしめる。
説明した、電子的支援を受けるサーモスタット950によれば、TCFの流れを有効に制御するための簡単且つ軽量な装置が提供される。
新規なEETC弁及び流れ制御弁で使用する流入側の作動液インジェクタを、加圧された作動液源に引き入れ、各弁のチャンバを作動液で満たす必要がある。代表的な弁は、その状態を完全に変化させるために約6秒間そうした作動液源に引き入れるが、ただ1つの作動液インジェクタを使用して多数の流れ制御弁のチャンバを充填するシステムでは、それよりも若干長い時間が必要となる。こうした時間は、自動車の平均的な走行距離と比較すれば極めて短いものである。弁は通常の走行中は数回以上も変化することはなさそうであるから、加圧された作動液源に引き入れる時間の割合は極めて小さく、代表的にはドライブ1時間につき1分以下、或は2%未満である。従って、作動液システムの通常の機能に対する影響は、もしあったとしても僅かである。かくして、エンジンオイルポンプの出口側ラインが作動液源であれば、新規な前記各弁の作動は潤滑システムの通常の作用になんら有意の影響を与えるものではなく、既存のオイルポンプ或は潤滑システムをこれらの新規な各弁を収受するために改変する必要も無い。各ラインは、所望であればシリンダーヘッド或はシリンダーブロック自体から分岐させることもできる。かくして、既存のエンジン本体に対する変更の必要性は極めて小さい。
先に説明した好ましい新規なEETC弁及び流れ制御弁は、TCFが少なくとも1つの流路を通して拘束されずに流れようにするための第1の位置と、TCF流路を通るTCF流れを絞って拘束する第2の位置との間で往復作動する。TCF流れは部分的か或は完全に(例えば100%)絞られる。各弁は一方の位置で、偏倚用ばねによって偏倚され、ピストン部材を押圧する作動液圧により他方の位置に配置される。ピストン部材は、EETC弁ではダイヤフラムか或はピストンシャフトであるのが好ましく、流れ制御弁では別個のピストン及びシャフトの組み合わせが含まれる。
EETC弁及び流れ制御弁は、加圧され、完全に充填されたチャンバと関連する第1の位置と、加圧されず、空のチャンバと関連する第2の位置とを有するものとして示されるが、各弁は夫々逆の位置と関連する状態でも作動するような設計形状とすることもできる。つまり、各チャンバと変位用バネとの位置を逆にし、チャンバが加圧されず且つ空である時に弁が第1の位置にあり、チャンバが加圧され且つ完全に充填されている時に第2の位置にあるようにすることができる。そうした逆の形態も本発明の範囲に含まれる。
同様に、EETC弁及び流れ制御弁が、夫々のチャンバが部分的においてのみ充填され、加圧される第1の位置及び第2の位置の中間位置に配置される実施例も本発明の範囲に含まれる。特定の弁のための望ましい中間位置を実現するために、チャンバ圧及び或は充填時間或は空になるまでの時間は経験的に決定する必要がある。もし特定のEETC弁が、例えばチャンバを25psi(172kPa)に加圧しその後2秒間加圧し続けることにより完全に開放するのであれば、チャンバ内の圧力が15psi(103kpa)になるまでチャンバを加圧し続けることによって弁を所望の中間位置に配置することができる。或は、開放したEETC弁を中間位置に移動させたい場合は、チャンバ圧力を部分的に減圧することができる。この場合にも、所定の新規な弁に対する特定の圧力値と、追加的な時間とを経験的に決定する必要がある。これらの値を決定した後、ECUを、所望の単数或は複数の中間位置を実現するための圧力値でもって予めプログラムする。或は、弁位置変換機を用いるフィードバック制御システムをECUに接続しても良い。
本発明の温度制御システムを、内燃機関のサーモスタットに代わるものとして説明したが、本発明の温度制御システムは標準的なサーモスタットと共に使用することも可能である。この形式での実施例は、サーモスタットと直列状態のEETC弁を組み込んでいるのが好ましい。つまり、ラジエターに向う作動液ラインに、標準的なサーモスタットの他にEETC弁も取り付けられる。EETC弁が作動液流れを制御する時期はECUが決定する。EETC弁が、サーモスタットがうまく作動しない始動/暖機モードの初期においてエンジンを制御するのが好ましい。このモードではサーモスタットが、エンジンがその最適運転温度に達しない内にラジエターに続くラインを開放しないよう、サーモスタットの作動を妨害するための手段を組み込むべきである。サーモスタットの弁を、例えばピンを作動させることでその閉じた位置に固定することができる。ピンの作動は、先に議論した弁制御のための1つ以上の曲線に基いてECUにより制御され得る。従ってEETC弁は、TCFがその通常作動温度に達するまでシステムを制御する。
TCFがその通常作動温度に達すると、EETC弁のそれ以降の制御が抑制され、サーモスタットが釈放されてシステムを通常通り制御するようになる。サーモスタットは、周囲空気温度が、例えば0°F(-17.8℃)のような予め決定された温度以下に降下した時にはその固定を解除することもできる。
上記実施例は、既存のエンジンをもっと望ましい状態に改変し、記載された温度制御システムを完全に実施しようとする場合に利用される。記載した温度制御システムはエンジンの始動時/暖機時に、また低温時に重大な利益を提供することから、先に議論した改変実施例には、標準型のサーモスタットを使用するシステムに勝る利益がある。
本発明の別の特徴は、その他の色々のエンジンパラメーターを、TCF流れの制御と組み合わせて制御することができる点である。例えば、ラジエターを冷却するための電動ファンを制御することができる。ラジエターの出口側位置で測定されたTCF温度が約150°F及び160°F(65,6℃〜71.1℃)の間の値であり且つ自動車の速度が毎時35マイル(56.3km/h)未満である時、電動ファンが作動するように設計される。これは、自動車が比較的ゆっくりと移動し、TCF温度が高温化し始める運転状況に相当する。典型的にはオーバーヒートの殆どはこの運転状況で発生する。自動車が毎時35マイル(56.3km/h)以上の速度で移動する時は、ラジエターを貫き、エンジンブロックの周囲を流れる空気がTCF温度を下げる。電動ファンの制御を変更することも可能である。ECUを、電動ファンの制御を提供するようにプログラムすることができる。或はそれに代えて、別の電動ファン制御ユニットを利用することもできる。
ECUからの信号を利用して、スパークプラグによるスパークの発生を制御することも可能である。例えば、ラジエター内のTCF温度と、周囲空気温度とを監視することにより、燃料を最適状態で燃焼させるために必要なスパーク量を決定することができる。ラジエター内のTCF温度は、エンジンブロックを出る著しく変動するTCF温度と比較して比較的安定していることから、ラジエター内のTCF温度を使用するのが好ましい。当業者には、記載した新規な温度制御システムを使用することにより、内燃機関の運転状況に対するその他の改変を為し得ることを容易に理解されよう。
本発明の温度制御システムは追加的な必然的利益を提供する。周囲空気温度が低い場合の実際のTCF温度を上げるための手段(図23参照)を提供することにより、ヒーターの物理的寸法が小さくなる。これは、TCF温度が高くなるほど、車室内を暖房するために必要な熱エネルギーをTCFから取り出すためのヒーターコア表面積が小さくなることによるものである。
EETC弁及び1つ以上の流れ制御弁を使用するエンジンは、エンジンからの排出物量が少なく、燃費は従来からのサーモスタットのみを使用するエンジン冷却システムのそれよりもずっと良い。エンジン排出物の低減と燃費の改善とは、周囲空気温度が低い時及びエンジン始動時に最大となるので、本システムを使用するエンジンは自動車の排気物による汚染レベルを著しく低減させる可能性を提供する。新規なEETC弁及び絞り弁を組み込んだエンジンは、周囲空気温度が低い時、増大された馬力をも提供する。
現在、米国環境保護協会では、周囲空気温度が比較的暖かい時のエンジン排出物試験を実施している。こうした温暖時の試験では、エンジンを寒冷時に始動させた時の実際の汚染の影響は分からない。例えば、現在の試験手順では、自動車を12時間、68°Fから80°F(20℃から26.7℃)の周囲空気温度下で“cold soak”させる。つまり、自動車を12時間に渡り68°Fから80°F(20℃から26.7℃)の温度下に放置し、エンジンパーツをそうした温度に安定させる。次いでエンジンを始動して排出物を測定し、それが許容限度内であるかを見極めるのである。周囲空気温度が比較的暖かいことから、エンジンや触媒コンバーターは有効さ同温度へと急速に加熱される。この“cold soak”試験を、周囲空気温度が例えば28°Fから40°F(-2.2℃から4.4℃)といった著しく低い温度下で実施する必要があるとすれば、今日の大抵の自動車は最新の排出基準を満たすことができないであろう。EETC弁を、流れ制御弁或は、図44A及び図44Bに示すエンジンブロックバイパスシステムと共に使用するエンジンは、そうした低い周囲空気温度下での“cold soak”試験に際し、最新の排出基準を満たす上で現在のシステムに勝る実質的な改善を示すものである。
以上、記載された本発明は、自動車の冷却システム(Goodhert-Willcox Automotive Encyclopediaの第169頁からの発明の背景の引用に記載される)の取り扱う、過小評価された1/3の熱エネルギーを利用するための有効な手段を提供するものである。EETC弁、流れ制御弁、そしてこれらの弁の状態を決定するためのプログラムされた曲線の使用が、自動車の全ての要求に対してエンジン冷却システムの性能を効果的に調整するための基本構成である。
以上本発明を実施例を参照して説明したが、本発明の内で多くの変更を成し得ることを理解されたい。
Claims (15)
- ラジエター及びエンジンを備える液冷式の内燃機関における温度制御システムであって、
ラジエターと連通する通路に沿っての温度制御用流体の流れを制御するための流れ制御弁にして、温度制御用流体の前記通路に沿っての流れを阻止するための第1の状態と、該流れを許容するための第2の状態とを有する流れ制御弁と、
エンジンオイルの温度値を表示する温度を検出し、エンジンオイルの温度信号値を提供するための第1のセンサーと、
温度制御用流体の温度値を表示する温度を検出し、温度制御用流体の温度信号値を提供するための第2のセンサーと、
エンジンオイルの温度信号値と、温度制御用流体の温度信号値とを受けるためのエンジンコンピューターと、
を含み、
エンジンコンピューターが、エンジンオイルの温度信号値と、予め決定されたエンジンオイル温度値とを比較し、それにより、少なくともこの比較の関数として温度制御用流体の温度値を決定し、決定した温度制御用流体の温度値を温度制御用流体の温度信号値と比較し、それにより弁の望ましい状態を決定し、少なくとも、前記決定した温度制御用流体の温度値と温度制御用流体の温度信号値との比較の関数として、流れ制御弁の第1の状態及び第2の状態間での作動を制御するための信号を提供する、
温度制御システム。 - 周囲空気温度を検出し、該検出した周囲空気温度を表す周囲空気温度信号値を提供するためのセンサーを含み、
エンジンコンピューターが、周囲空気温度の信号値を受け、該周囲空気温度の信号値を、周囲空気温度の関数として変動するエンジンオイルの一組の温度値と比較することにより、予め決定されたエンジンオイルの温度値を決定する請求項1に記載の温度制御システム。 - 周囲空気温度を測定し、測定した周囲空気温度値を表す温度信号を提供するためのセンサを含み、
エンジンコンピューターが、エンジンオイルの温度信号値と、予め決定されたエンジンオイルの温度値との比較に基いて温度制御用曲線を選択することにより温度制御用流体の温度値を決定し、前記温度制御用曲線が、周囲空気温度成分と温度制御用流体の温度成分とを有する一組の点により画定され、エンジンオイルの温度信号値が予め決定されたエンジンオイルの温度値以下である時に第1の温度制御用曲線が選択され、エンジンオイルの温度信号値が予め決定されたエンジンオイルの温度値以上である時に第2の温度制御用曲線が選択され、エンジンコンピューターが、周囲空気温度の信号値と、温度制御用流体の温度信号値とを、選択された温度制御用曲線と比較することにより、弁の所望の状態を決定してなる請求項1に記載の温度制御システム。 - 第2の温度制御用曲線は、周囲空気温度値をx軸線上にプロットし、温度制御用流体の温度値をy軸線上にプロットした時は、全体的に第1の温度制御用曲線を下方に移動した状態に相当する請求項3に記載の温度制御システム。
- 第1の温度制御用曲線及び第2の温度制御用曲線の少なくとも一部分は、約100°F(37.8℃)から約260°F(126.7℃)の間の範囲における温度制御用流体の温度値と、約100°F(37.8℃)から約0°F(-17.8℃)の間の範囲における周囲空気温度値とによって画定される領域内で、全体的にゼロではない傾斜を有している請求項3に記載の温度制御システム。
- 第1の温度制御用曲線及び第2の温度制御用曲線の少なくとも一部分は、周囲空気温度値が全体的に0°F(-17.8℃)未満である領域内で、全体的にゼロである傾斜を有している請求項3に記載の温度制御システム。
- 第1の温度制御用曲線は、周囲空気温度値をx軸線上にプロットし、温度制御用流体の温度値をy軸線上にプロットした時、第1の温度制御用曲線が周囲空気温度値の選択された範囲内で急増する部分を除き、第2の温度制御用曲線と全体的に類似している請求項3に記載の温度制御システム。
- 温度制御用流体の温度値が周囲空気温度値の関数として変化し、エンジンコンピューターが、周囲空気温度の信号値と、エンジンオイルの温度信号値と予め決定されたエンジンオイルの温度値との比較とに基いて温度制御用流体の温度値を決定する請求項2に記載の温度制御システム。
- 流れ制御弁が電子的支援を受けるサーモスタットである請求項1〜8の何れかに記載の温度制御システム。
- エンジンコンピューターがエンジンオイルの温度信号値の、予め決定されたエンジンオイルの温度値を上回る大きさを判断し、エンジンコンピューターが、予め決定された温度制御用流体の温度値を前記大きさの関数として制御する請求項1〜9の何れかに記載の温度制御システム。
- 内燃機関の流れ制御弁にして、通路を通る温度制御用流体の流れを制御し且つ該温度制御用流体の通路を通る流れを防止する第1の状態と、該流れを許容する第2の状態とを有してなる流れ制御弁の前記各状態を制御するための方法であって、
エンジンオイルの温度値を表す温度信号を受けること、
温度制御用流体の温度値を表す温度制御用流体の温度信号を受けること、
を含み、
エンジンオイルの温度信号値と、予め決定されたエンジンオイルの温度値とを比較すること、
少なくとも該エンジンオイルの温度信号値と予め決定されたエンジンオイルの温度値とを比較することに基き、温度制御用流体の温度値を決定すること、
決定した温度制御用流体の温度値を温度制御用流体の温度信号値と比較すること、
流れ制御弁を、少なくとも該温度制御用流体の温度値を温度制御用流体の温度信号値とを比較することに基いて、その第1の状態及び第2の状態間で作動させること、
を含むことを特徴とする方法。 - 温度制御用流体の温度信号値が温度制御用流体の温度値よりも大きい時に流れ制御弁をその第2の状態とすることにより、また、温度制御用流体の温度信号値が温度制御用流体の温度値未満である時に流れ制御弁をその第1の状態とすることにより、エンジンオイルの温度信号値が実質的に予め決定されたエンジンオイルの温度値に維持される請求項11に記載の方法。
- 周囲空気温度信号値を受けること、
該周囲空気温度信号値に対する予め決定されたエンジンオイルの温度値を決定すること、を含み、前記予め決定されたエンジンオイルの温度値が、周囲空気温度の関数として変動する請求項11及び12の何れかに記載の方法。 - 周囲空気温度を表す温度信号を受けることを含み、
温度制御用流体の温度値が周囲空気温度の関数として変動し、温度制御用流体の温度値を決定することが、周囲空気温度信号値に相当する温度制御用流体の温度値を決定することを含んでいる請求項11及び12の何れかに記載の方法。 - 温度制御用流体の温度値を決定することが、
温度制御用流体の予め決定された温度値を提供すること、
エンジンオイルの温度信号値と、予め決定されたエンジンオイルの温度値とを比較することに基き、温度制御用流体の予め決定された温度値を調節すること、を含んでいる請求項11及び12の何れかに記載の方法。
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