JP3850689B2 - 水和ルチル型二酸化チタン光触媒及び水和処理方法 - Google Patents

水和ルチル型二酸化チタン光触媒及び水和処理方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は金属超微粒子を坦持する又は坦持しないルチル型二酸化チタン粒子からなる光触媒に関し、更に詳細には、ルチル型二酸化チタン粒子に化学吸着水や物理吸着水などの吸着水を強制的に水和させることにより、光触媒効率の向上を実現した水和ルチル型二酸化チタン光触媒及び水和処理方法に関する。
【0002】
一般に、二酸化チタンには、結晶構造の違いからアナターゼ型とルチル型が存在している。この内、光触媒として利用できる二酸化チタンはアナターゼ型に限られ、ルチル型は光触媒効果を発現しないとするのが常識であった。
【0003】
光触媒は水を分解して水素を生成する技術から始まり、現在では紫外線灯を利用した空気清浄機にまでその用途を拡大しているが、その光触媒の全てにアナターゼ型二酸化チタン(以後、アナターゼと称する)だけが利用されてきた。
【0004】
これに対し、ルチル型二酸化チタン(以後、ルチルと称する)のほとんどは白色顔料として利用され、例えば、繊維に練り込んで繊維の白色化処理に利用されたりすることが多かった。ルチルには光触媒効果がない或いは極めて小さいため、太陽光や紫外線灯の下でも繊維が分解されないという安心感があるため、アナターゼが利用できない多くの分野にルチルが活用されてきた。
【0005】
従って、一般的に言って、ルチルはアナターゼよりも利用分野が広く、生産量や販売量においてルチルはアナターゼよりも大量であり、その結果ルチルの生産価格及び販売価格はアナターゼよりも安いのが実情である。
【0006】
一方、アナターゼの光触媒効率にも限界が見えだしている。アナターゼが水分解に利用されだした初期段階と比較しても、アナターゼの光触媒効率がそれほど高くはないことが知られ出しており、光触媒においても何らかの技術上のブレイクスルーが必要な時期が到来してきた。
【0007】
このような観点から、本発明者等は、ルチルを光触媒として活用する研究を開始した。その第一段階として、ルチルの光触媒効率がアナターゼよりも何故極端に低いのかを解明し、この原因を逆用してルチルを光触媒として利用できないかという研究に着手した。
【0008】
ルチルが光を受けたときに、価電子帯に正孔が形成され、電子は伝導帯に励起される。電子は直ちに伝導帯の底まで緩和する。しかし、酸素電位が伝導帯の底より上方にあるため、電子は自然には酸素電位に遷移できず、この遷移不能性がルチルの低光触媒効率の原因であることが認識されるようになった。
【0009】
そこで、ルチルの表面にナノスケールの金属超微粒子を坦持させ、この金属超微粒子の量子効果により伝導帯に励起した電子を強制的にルチル表面に排出できるのではないかと着想するに到った。金属超微粒子の電子吸引力により電子を表面に排出できれば、即ち電子を酸素電位に移送できれば、空気中のO2をO2 -に還元でき、このO2 -の作用で有機物分解力を発揮するはずである。
【0010】
本発明者等は、この金属超微粒子担持光触媒に関し多数の実験を積み上げた結果、金属超微粒子の量子効果が強力に発揮されることを確認し、金属超微粒子を坦持したルチル型二酸化チタン光触媒を発明するに到った。この発明は既に特開平10−146531号として公開されている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者等は金属超微粒子を坦持したルチル型二酸化チタンの光触媒効率を更に向上させるために鋭意研究したが、金属坦持技術の改良だけでは光触媒効率の更なる向上は難しい段階に達してきた。
【0012】
つまり、光触媒効率を更に増大させるためには、ルチル型二酸化チタンが有する低光触媒性の別の新規な原因を解明することが必要である。この新規な原因を克服する技術を開発することによって、光触媒効率の一層の増大化を図ることが可能になる。
【0013】
従って、本発明は、ルチル型二酸化チタンが有する低光触媒性の新規な原因を解明し、この原因を克服することにより光触媒効率の増大化を図り、光触媒分野における新たなブレイクスルーを達成することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、ルチル型二酸化チタン粒子からなる光触媒において、ルチル型二酸化チタン粒子の表面に吸着水を水和させたことを特徴とする水和ルチル型二酸化チタン光触媒である。
【0015】
請求項2の発明は、ルチル型二酸化チタン粒子の表面に金属超微粒子を坦持させた金属坦持光触媒において、ルチル型二酸化チタン粒子の表面に吸着水を水和させたことを特徴とする水和ルチル型金属担持二酸化チタン光触媒である。
【0016】
請求項3の発明は、金属超微粒子を坦持する又は坦持しないルチル型二酸化チタン粒子を酸性水溶液又はアルカリ性水溶液に添加し、この水溶液を加熱しながら所定時間沸騰させ、この沸騰を必要により加圧しながら行い、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることを特徴とするルチル型二酸化チタン光触媒の水和処理方法である。
【0017】
請求項4の発明は、金属超微粒子を坦持する又は坦持しないルチル型二酸化チタン粒子を強酸性水溶液又は強アルカリ性水溶液に添加し、この水溶液を常温常圧下で所定時間保持して、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることを特徴とするルチル型二酸化チタン光触媒の水和処理方法である。
【0018】
請求項5の発明は、金属超微粒子を坦持する又は坦持しないルチル型二酸化チタン粒子を圧力容器中に配置し、このルチル型二酸化チタン粒子を高温高圧の水蒸気に曝露することにより吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることを特徴とするルチル型二酸化チタン光触媒の水和処理方法である。
【0019】
請求項6の発明は、金属超微粒子を坦持する又は坦持しないルチル型二酸化チタン粒子を圧力容器中に配置し、この圧力容器中で酸性水溶液又はアルカリ性水溶液を沸騰蒸発させて高温高圧の蒸気を生成し、この蒸気に前記ルチル型二酸化チタン粒子を曝露することにより、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることを特徴とするルチル型二酸化チタン光触媒の水和処理方法である。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る水和ルチル型二酸化チタン光触媒及び水和処理方法の実施形態を図面に従って詳細に説明する。
【0021】
まず、本発明者等は、ルチル型二酸化チタンの低触媒性能の新規な原因を発見するために、その電子状態のバンド構造図を基礎に光触媒のメカニズムを再検討することにした。
【0022】
図1は未処理のルチル型二酸化チタンの電子状態のバンド構造図である。ルチル粒子のバンドギャップは3.05eVであり、O2電位(還元電位)は3.13eVであることが分かっている。紫外線がルチル粒子の表面に照射されると、価電子帯の電子が伝導帯に励起し、価電子帯には正孔、伝導帯には励起電子が生成される。
【0023】
励起電子は直ちに伝導帯の底まで緩和(下降遷移)するが、この伝導帯の底はO2電位より0.08eVだけ下方に位置し、電子は自然にはO2電位に上昇遷移することはできない。もし伝導体の底にある電子がO2電位に上昇遷移できれば、空気中のO2をO2―にイオン化でき、このO2 -イオン(スーパーオキサイドアニオンともいう)により酸素付加反応がおこり、またOHラジカル(OH・)を生成することによって外部有機物質を分解することができる。
【0024】
つまり、電子過程におけるO2電位への難遷移性がルチル粒子の低触媒効率の原因である。この難遷移性は既にルチル粒子表面に金属超微粒子を担持することによって解決されている。しかし、このバンド構造図から別の新規な原因が推測できる。即ち、電子過程と対をなす正孔過程に着眼すれば、この正孔過程の進行を抑制する何らかの原因があるはずである。
【0025】
原理的には、価電子帯に生成された正孔はルチル粒子表面に移動し、ルチル表面の吸着水であるOH-を酸化してOH・(ヒドロキシルラジカル又はOHラジカルともいう)を生成する。正孔過程では、このOHラジカルが外部有機物質を分解する重要な因子であることが分かっている。従って、このOHラジカルが生成されなければ、正孔過程は進行しない。このOH・が生成されない原因として、ルチル表面にOH-イオンが存在しない、つまり水の不存在が考えられる。この水の不存在は図2を説明した後に考察する。
【0026】
図2は金属超微粒子を坦持したルチル型二酸化チタンの電子状態のバンド構造図である。ルチル粒子の表面に金属超微粒子を担持させる事によって、電子過程の促進を説明している。金属直径が1〜2nmの金属超微粒子がルチル粒子の表面に焼結して坦持されている。金属超微粒子の粒径は1〜2nmと極微小であるため、その電子波動関数は広がり、ルチル粒子の中に浸透して量子共鳴トンネリングを引き起こす。
【0027】
つまり、前述した伝導帯の励起電子は、ルチル内に浸透した金属の電子波動関数と共鳴して一気に外部のO2準位に遷移することができる。従って、金属超微粒子の坦持によって、ルチルの電子過程におけるO2準位への難遷移性は克服され、電子過程が促進された訳である。
【0028】
しかし、価電子帯に残された正孔のOH電位(酸化電位)への遷移性に関しては、全く解決していない。本来であれば、正孔はルチル表面のOH-から電子を奪って、OH-イオンをOH・に変化させ、このOHラジカルが周囲にある有機物質を分解するはずである。しかし、OH-イオンがルチル表面になければこの正孔過程は進行しない。OH-イオンは水分子のイオン化によって生成されるから、ルチル表面に吸着水がないことが正孔過程を遮断する原因と考えられる。
【0029】
ルチルの光触媒過程は電子過程と正孔過程の両者から構成され、金属超微粒子の坦持によって電子過程の効率化が達成された。しかし、水の不存在による正孔過程の遮断は従来から全く考慮されてこなかった。ルチル粒子の表面に水がない、又は極めて少ないという問題はルチル粒子の製造法自体に原因があると考えなければならない。
【0030】
一方、アナターゼ粒子の光触媒効率が高い事実は、電子過程と正孔過程の両過程がうまく進行している事を意味する。第1に、O2電位が伝導帯の底より下方に位置するため、励起電子がO2電位にスムーズに移行し、電子過程が遮断されていない。第2に、アナターゼ粒子の表面には吸着水が多いため、アナターゼの正孔過程も遮断されない。
【0031】
一般にルチル表面に水が少なく、アナターゼ表面に水が多く残留しているのは何故か。実際、各社によって市販されている二酸化チタン製品の含有水分を見ると、アナターゼの含有水分がルチルより多いことが分かる。アナターゼ型結晶は高温で熱処理するとルチル型結晶に相転移するので、アナターゼ型結晶粉末の熱処理温度は低く設定されているのが普通である。
【0032】
一方、ルチル型結晶粉末は顔料に用いられることが多く、顔料の含有水分規格は0.1%と設定されているため、ルチル粉末は高温焼成されることが常である。特に、金属超微粒子坦持ルチルでは、ルチル表面に金属超微粒子を坦持させる過程で500度以上の高温焼成を施している。従って、ルチル単体での焼成と金属坦持での焼成により、表面に対し2度の高温処理が行われる結果、表面吸着水がほとんどないと考えてもよい。
【0033】
図3はルチル型二酸化チタン粒子の非水和状態を示す表面状態図である。(A)では、TiO2結晶表面でTi原子のダングリングボンドにOH基が結合している。このルチル型TiO2結晶を焼成するとOH基が脱離し、(B)に示すように、TiO2結晶表面にはTi−O−Tiの形で酸素架橋が形成される。
【0034】
焼成温度が低い間は、OH基が脱離してもTiのダングリングボンドはまだ残留している。焼成温度が高くなるに連れて、ダングリングボンドがO原子と結合して酸素架橋が形成される。ダングリングボンドが存在すると再水和によるOH基の結合は可能であるが、ダングリングボンドが無くなって酸素架橋が形成されると、表面にOH基を付加(再水和)させることは困難になる。
【0035】
図4はルチル型酸化チタンの表面に水和処理(水分の吸着処理)を行ってOH基が再水和された表面状態図である。(A)には、TiO2表面にあるダングリングボンドがドット線で示されている。(B)には、このダングリングボンドに水和処理(H2O→H++OH-)を行って、Ti原子にOH基を付加し、O原子にH基を付加させた状態が示されている。この第1層のH基とOH基は表面に化学結合しているので、化学吸着水と呼ぶ。
【0036】
(C)には、第1層の化学吸着水にH2Oが多層に水素結合した状態が示されており、水素結合であるため物理吸着水と呼ぶ。このように、ルチル表面にH2Oを化学吸着させ、更にその上に物理吸着させる処理を水和処理と呼ぶ。
【0037】
このように、化学吸着水と物理吸着水がルチル表面に水和した状態が、光触媒の正孔過程を進行促進させるために重要な条件となる。従って、本発明ではルチルの正孔過程を進行させるために、ルチル表面に水和処理を行い、OH基を復活させる。OH基の復活が本発明の要点となる。
【0038】
前述では、OH基は正孔過程の進行に不可欠であると述べたが、表面水のH基が電子過程にも寄与し、電子過程の進行をも促進することを説明しておく。つまり、吸着水は正孔過程と電子過程の両過程を促進させる重要な因子であり、水和処理が光触媒効果の発現に必須であることを明らかにする。
【0039】
電子過程では次の4反応によりO2 -とOH・が生成される。第2式から分かるように、吸着水から生成されたH+がH22の生成に介在し、電子過程に直接関わっている事が分かる。
2+e- → O2 -
2O2―+2H+ → H22+O2
22+e- →OH・+OH-
22+O2 - → OH・+OH-+O2
【0040】
前述したように、この反応式で、H+イオンは吸着水に由来する。この様にして生成されたO2 -とOH・が下式のように作用し、CH3CHOの分解例では、CH3COOHを生成し、またCO2とH2Oにまで分解する。
CH3CHO+O2 -+H+ → CH3COOH+OH・
CH3CHO+10OH・ → 2CO2+7H2
【0041】
他方、下式のように、正孔過程では正孔(h+)がOH-と反応してOH・が生成され、このOH・によりCH3CHOがCH3COOHを生成し、更にこのCH3COOHをCO2とH2Oにまで分解する。前記電子過程で生成されたCH3COOHもこの正孔過程でCO2とH2Oにまで分解される。
OH-+h+ → OH・
CH3CHO+2OH・ → CH3COOH+H2
CH3COOH+8OH・ → 2CO2+6H2
【0042】
以上のように、電子過程の進行と正孔過程の進行とは相互に絡んでいることが分かる。つまり、水が無いことは両過程の進行を抑制することになる。このように、二酸化チタンの光触媒過程では、二酸化チタンに事前に水和処理しておくことが極めて重要であることが分かった。特にルチルでは、熱処理により表面水がほとんど無くなっており、この無水状態が光触媒効率の増大化を阻害しているのである。
【0043】
上記の反応過程は、所定濃度C0で存在したCH3CHO(アセトアルデヒド)を光触媒で分解する場合を示している。従って、CH3CHOの濃度の時間経過を測定し、時刻tでの濃度をC(t)とすると、C(t)=C0×exp(−k0t)で表される。この反応速度定数k0の大きさがCH3CHOを分解する効率を与える。
【0044】
最終的に、二つの経路を経てCO2とH2Oにまで分解される。第1はCH3CHOから直接に分解生成される過程と、第2はCH3CHOから中間物質として生成されたCH3COOHがCO2とH2Oに分解される過程である。下記の反応過程に示されるように、第1過程の反応速度定数をk1とし、第2過程の反応速度定数をk2とする。
CH3CHO → CO2+H2O (k1過程)
CH3COOH → CO2+H2O (k2過程)
【0045】
本発明では、光触媒効率、光触媒能、光触媒性などの用語は光触媒の反応効率を意味し、数値的には前記反応速度定数k0、k1、k2により規定される。これらの反応速度定数が大きいほど反応効率は高く、小さいほど反応効率は低いことを示している。これらの反応速度定数は後述する実施例の中で数値的に比較検討される。
【0046】
従って、本発明ではルチル型二酸化チタン粒子からなる光触媒において、ルチル型二酸化チタン粒子の表面に吸着水を水和させた水和ルチル型二酸化チタン光触媒を第1の発明とする。
【0047】
また、金属坦持した二酸化チタンでは、坦持処理における付加的熱処理で更に一層表面水が消失している。従って、本発明では、ルチル型二酸化チタン粒子の表面に金属超微粒子を坦持させた金属坦持光触媒において、ルチル型二酸化チタン粒子の表面に吸着水を水和させた水和ルチル型金属担持二酸化チタン光触媒を第2発明とする。
【0048】
そして、これらのルチル粒子及び金属担持ルチル粒子の表面に吸着水を水和させる方法を第3発明とする。この水和処理方法には、酸・アルカリ性水溶液による沸騰処理法、強酸・強アルカリ水溶液での常温常圧処理法、高温高圧水蒸気処理法及び酸・アルカリ水溶液の高温高圧蒸気処理法が含まれる。
【0049】
第1方法である酸・アルカリ性水溶液による沸騰処理法は、金属超微粒子を坦持する又は坦持しないルチル型二酸化チタン粒子を酸性水溶液又はアルカリ性水溶液に添加する工程と、この水溶液を加熱しながら所定時間沸騰させる工程と、この沸騰を必要により加圧しながら行う選択的工程により、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることから構成される。
【0050】
酸性水溶液又はアルカリ性水溶液は、酸又はアルカリを純水に添加して得られる。酸としては強酸・中酸・弱酸が利用され、またアルカリとしては強アルカリ、中アルカリ、弱アルカリがあり、公知の全ての酸・アルカリが使用できる。濃度は自在に選択できるが、塩酸や水酸化ナトリウムなどの強酸や強アルカリを純水で希釈すれば濃度を広範囲に可変でき、水和効果を最大化する濃度を利用する事が好ましい。特に、希酸・希アルカリを用いた場合にB処理と呼ぶ。必要なら加圧しながら沸騰させる事ができ、加圧条件によって沸騰温度を可変できる。また、沸騰処理時間も任意に調整できる。
【0051】
第2方法(B’処理)である強酸・強アルカリ水溶液での常温常圧処理法は、金属超微粒子を担持する又は担持しないルチル型二酸化チタン粒子を強酸性水溶液又は強アルカリ性水溶液に添加する工程と、この水溶液を常温常圧下で所定時間保持する工程により、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることから構成される。
【0052】
この方法は強酸性・強アルカリ性水溶液の中にルチルを入れて常温常圧下で処理することを特徴とし、以下ではB’処理と呼ばれる。常温常圧下で処理するため、保持時間を長くすると反応性が高くなる。
【0053】
第3方法(D処理)である高温高圧水蒸気処理法は、金属超微粒子を坦持する又は坦持しないルチル型二酸化チタン粒子を圧力容器中に配置する工程と、このルチル型二酸化チタン粒子を高温高圧の水蒸気に曝露する工程により、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることから構成される。
【0054】
この方法は酸やアルカリを使用せず、高温・高圧の水蒸気をルチル粒子又は金属担持ルチル粒子に吹き付けて水和させる点に特徴を有する。高圧とは任意の圧力を使用できる事を意味するが、この中でも2〜100(気圧)の高圧が好適である。また、蒸気温度は加圧条件で変化するからこの温度も自在に可変調整できる。特に、蒸気圧が2〜100気圧に相当する温度が好適である。高温高圧容器には、例えばオートクレーブなどが利用できる。
【0055】
第4方法(E処理)である酸・アルカリ水溶液の高温高圧蒸気処理法は、第1方法(B’処理)と第3方法(D処理)を加味した方法で、金属超微粒子を坦持する又は坦持しないルチル型二酸化チタン粒子を圧力容器中に配置する工程と、この圧力容器中で酸性水溶液又はアルカリ性水溶液を沸騰蒸発させて高温高圧の蒸気を生成する工程と、この蒸気に前記ルチル型二酸化チタン粒子を曝露すること工程により、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることから構成されている。
【0056】
酸性水溶液又はアルカリ性水溶液を沸騰蒸発させると、圧力容器中に酸性蒸気又はアルカリ性蒸気が高温高圧状態で充満し、この蒸気をルチル粒子又は金属担持ルチル粒子に吹き掛けて、これら粒子表面に吸着水を水和させるものである。圧力容器による圧力と温度が広範囲に可変できる事は第3方法と同様である。また、酸やアルカリも公知の材料を広範囲に利用できる。
【0057】
ルチル粒子又は金属担持ルチル粒子の表面に、Tiのダングリングボンドが残留していれば、化学吸着水と物理吸着水の水和処理が容易に行なえる。その場合、まず化学吸着水が水和し、次にこの化学吸着水に水素結合する形式で物理吸着水が水和されてゆく。物理吸着水は水素結合により複数層形成できるから、その層数を多くする事によって水和量の増大化を図る事ができる。
【0058】
【実施例】
[実施例1:各種処理のFTIR差スペクトルの測定(図5)]
平均粒径35nmのルチル粒子に平均粒径1〜2nmの白金を担持させ、ルチル1kgに対し白金3gを添加して形成された金属超微粒子担持ルチル粒子をR35Pt3で表現する。このR35Pt3の粉末にE処理、B処理または2種のB’処理を通して水和処理を施した。水和処理の詳細は次の通りである。
【0059】
E処理は次のように行なわれた。内容積6L(リットル)の圧力釜(Pressure Pot)の中に10gのR35Pt3粉末を投入し、120℃に加熱して1.5atmに加圧しながら1時間処理を行なった。このE処理はpH7の中性の飽和蒸気で行なわれているが、1.5atmの低圧処理であるため、D処理に分類せず、E処理に包含した。
【0060】
B処理は次のように行なわれた。2NのHCl水溶液500mLにR35Pt3の粉末を10g添加し、常圧下(1atm)で100℃にして0.5時間だけ沸騰処理を行なった。No.5の濾紙3枚を通して熱い状態のまま減圧水流ポンプで減圧濾過し、蒸留水で5回洗浄して乾燥させた。得られた試料をメッシュ篩で粉末状態に戻した。
【0061】
B’処理は、10gのR35Pt3の粉末を12Nの濃塩酸に常圧(1atm)、常温(15℃)下で浸漬した。一つ目は48時間浸漬し、二つ目は1週間浸漬した。2種の試料をNo.5の濾紙3枚を通して熱い状態のまま減圧水流ポンプで減圧ろ過し、蒸留水で5回洗浄して乾燥させた。
【0062】
図5は各種水和処理を施した金属担持ルチル(R35Pt3)のFTIR差スペクトル図である。ここでは、4種類の試料、即ち処理E(実線)、処理B(長破線)、処理B’(一点鎖線)、処理B’(短破線)に対しFTIR差スペクトルが測定された。FTIRは高速フーリエ変換された赤外吸収スペクトルで、差スペクトルとは処理されたR35Pt3と未処理のR35Pt3のFTIRの差を図示したものである。結果は図5に示されている。縦軸は強度及び横軸は波数(cm-1)を表している。
【0063】
3660cm−1付近にある肩は化学吸着水のOH基の伸縮振動(chemical stretching)を与え、3000〜3600cm−1の範囲にある大きな山は物理吸着水のOH基伸縮振動(physical stretching)である。また、1620cm−1付近のピークは物理吸着水のOH変角振動(physical bending)を表し、1600cm−1の肩部は化学吸着水のOH変角振動(chemical bending)である。12Nで1週間浸漬した試料(短破線)は差スペクトルがほとんどゼロであるのに対し、他の3試料では物理吸着水の山が大きくなっているのが分かる。これらの事実から、長時間の処理B’を除いて水和処理は効果があることが分かった。長時間処理では水洗浄しても表面にHClが残留し、H2Oが水和し難いと考えられる。
【0064】
[実施例2:E処理のFTIR差スペクトルの測定(図6)]
この実施例では、4種類のE処理された試料に対しFTIR差スペクトルを測定した。4試料とも圧力容器に10gのR35Pt3粉末を投入して処理された。使用された蒸気は希塩酸の飽和蒸気である。第1試料はpH7で1.5atm・1時間処理であり、第2試料はpH5で2.0atm・1時間処理であり、第3試料はpH3で2.0atm・1時間処理であり、第4試料はpH6で10atm・0.5時間処理である。
【0065】
図6は各種圧力で希塩酸蒸気処理(E処理)を施した金属担持ルチル(R35Pt3)のFTIR差スペクトル図である。圧力が低く、pHが中性に近いほど物理吸着水の吸着量が多くなっている。また、10atmという高圧力でも短時間で処理すれば、物理吸着水を水和できることが分かった。高圧は同時に高温を意味し、高圧状態を長時間保持すると高温により表面吸着水が脱離し易くなる。従って、高圧状態では高圧水蒸気が水和する過程と脱離する過程とが競合関係にあると考えられる。
【0066】
[実施例3:B’処理のGCマススペクトル測定(図7〜図9)]
平均直径が20nmのルチル粉末10gを濃度12Nの濃塩酸に浸漬し、15℃の温度条件で48時間保持し、B’処理した試料R20を作成した。このR20はルチル単体に対してB’処理を施したもので、金属担持していない点に特徴を有する。従って、このR20はB’処理、HCl、12N、48h、15℃と略記される。
【0067】
図7は試料R20を用いてCH3CHOを分解処理したGCマススペクトル図である。分解を開始してから時間が0分、2分、5分、10分、30分及び60分経過した時点でGCマススペクトルを測定した。横軸は保持時間(Retention Time)を示す。各スペクトルの縦軸は濃度を与える。
【0068】
GCマススペクトルはGC−mass法により測定された光触媒反応器内のガスクロマトグラフのスペクトルであり、分解されるCH3CHOだけでなく、分解生成物であるCO2やH2Oの生成量も同時に測定できる利点を有する。分解生成物にはCH3COOHもあるが、この酢酸は沸点がCH3CHOよりも高いため、液体状態でR20の表面に凝縮していると考えられ、その結果、ガススペクトルの中には検出されない。
【0069】
第5ピークはCH3CHOを示し、分解されるために時間経過と共に急速に減少して行くのが分かる。第2ピークはCO2、第4ピークはH2Oを示し、両者とも時間経過と共に濃度が高くなってゆくことが観察される。生成される酢酸(CH3COOH)は液体として光触媒の表面に付着しているため、スペクトルの中には現れない。第3ピークは参照用のXeガスを示す。Xeガスには各測定時における注入サンプル量のバラツキを補正するための基準ガスとしての役割がある。
【0070】
図8はR20によるCH3CHOの分解過程図である。縦軸は各成分ガスの濃度(ppm)を示し、横軸は経過時間(分)を示している。光触媒反応器にCH3CHOを100ppmだけ注入し、以後CH3CHOは減少し、CO2とH2Oは増加してゆく。中間生成物であるCH3COOHの濃度は直接測定された他の成分ガス濃度から計算によって求められた。
【0071】
CH3CHOの分解直線の傾斜から分解反応定数k0が求められる。また、CO2とH2OはCH3CHOとその中間生成物であるCH3COOHから生成されるので、分解反応定数k1、k2はこれらの濃度から算出される。
【0072】
図9は平均直径7nmのアナターゼによるCH3CHOの分解過程図である。前述したように、アナターゼは元来表面に吸着水を有した高性能の光触媒である。本発明により水和処理されたR20の性能を評価するために、アナターゼA07の分解過程を測定し、両者を比較した。A07は平均直径7nmのアナターゼである事を示している。
【0073】
図8と図9を比較すると、CH3CHOの濃度の減少傾斜がほとんど同じであり、本発明の処理で得られるルチルR20がアナターゼA07と同程度の光触媒効率を有する事が確認される。CH3COOHの濃度減少はA07が多少優勢であると思われるが、実験誤差を考慮すればほぼ同程度という事ができる。従って、金属を担持しないルチル粒子に関して本発明による処理が有効である事が確認された。
【0074】
[実施例4:分解速度定数k0、k1、k2の相互比較(図10〜図12)]
未処理のルチル試料と本発明の水和処理を施した7種の試料に関し、分解速度定数k0、k1、k2を測定した。未処理試料はR35、水和処理をした7種の試料は、R20−B、R20−D、R35Pt03−B’、R35Pt03−E、R35Pt03−D、R35Pt03−E’、R35Pt03−Eである。
【0075】
R20は平均直径20nmのルチル粒子、R35は平均直径35nmのルチル粒子、R35Pt03は1kgのルチルR35に対し白金を3g担持させる事を意味する。また、−B、−B’、−D、−E、−E’は本発明の水和処理の種類を示している。また、3種類の分解速度定数k0、k1、k2の意味は前述した通りである。
【0076】
これらの8種の試料を用いてCH3CHOを分解処理した結果、得られた分解速度定数は表1に示されている。
<表1>分解速度定数の一覧表
<番号> <試料名> <処理> <定数k0> <定数k1> <定数k2>
No.1 R35 未処理 4.4 0.90 0.033
No.2 R20-B B 13.8 1.4 0.055
No.3 R20-D D 5.2 2.1 0.24
No.4 R35Pt03-B' B’ 29.6 4.1 0.30
No.5 R35Pt03-E E 27.6 4.6 0.18
No.6 R35Pt03-D D 21.8 2.8 0.16
No.7 R35Pt03-E' E’ 29.6 4.3 0.16
No.8 R35Pt03-E E 19.7 3.4 0.42
【0077】
処理済試料のk0は未処理試料の3倍〜7倍の値を有し、本発明の水和処理を施す事によって光触媒効率が格段に向上したことを示している。k0だけでなく、k1及びk2の値もかなり改善されていることが分かる。
【0078】
R20−Dについてk0の値が5.2とそれほど改善されていないのは、D処理が高圧水蒸気処理であるため、ルチル粒子が団子状にくっ付いて大きくなり、CH3CHOの吸着能力が低下するためであると考えられる。しかし、k1及びk2の値を見ればOHラジカルの効果が発現している事が分かる。
【0079】
No.2及びNo.3は金属を担持しないルチルに対し本発明処理を施した試料で、水和処理の効果が明確に確認された。また、No.4〜No.8までの試料は金属超微粒子を担持したルチルに対し本発明処理を施した試料で、同様に水和処理の効果が確認された。従って、本発明はルチル及び金属担持ルチルの両者に対し光触媒効率の向上を達成するものである。
【0080】
No.4〜No.8までの試料のk0がNo.2とNo.3のk0よりも大きいのは、ルチルに金属を担持する事により電子過程が改善される結果であると考えられる。No.2〜No.8までの試料のk0、k1、k2がNo.1のそれらよりも大きいのは、水和処理を施す事によって正孔過程が改善される事を意味する。つまり、これらの結果から、粒径が1〜2nmの金属超微粒子の担持はルチルの電子過程を改善し、水和処理はルチルの正孔過程を改善する事が立証されたと言える。
【0081】
次に、図10〜図12により上記の改善の程度を考察する。図10は金属担持ルチル型二酸化チタンによるCH3CHO(k0)の分解過程図である。図11は金属担持ルチル型二酸化チタンによるCH3CHO→CO2(k1)の分解過程図である。また、図12は金属担持ルチル型二酸化チタンによるCH3COOH→CO2(k2)の分解過程図である。
【0082】
図10、図11及び図12には、平均直径35nmのルチル粒子に関して、分解反応定数k0、k1、k2の分解直線が描かれている。直径を35nmに統一するため、No.2及びNo.3の分解直線は図から除かれている。実線はNo.1の未処理試料の分解直線で、No.4〜No.8の分解直線群がNo.1よりも大きな傾斜を有している事が明瞭に確認される。表1の数値とこれらの図から、本発明の水和処理が光触媒効率の向上に関して極めて効果的であることが分かる。
【0083】
本発明は上記実施例に限定されるものではなく、本発明の技術的思想を逸脱しない範囲における種々の変形例・設計変更等をその技術的範囲内に包含するものであることは言うまでもない。
【0084】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、ルチル型二酸化チタン粒子の表面に吸着水を水和させることにより高触媒効率の水和ルチル型二酸化チタン光触媒を提供でき、従来顔料分野に制限されていた安価なルチルを光触媒領域にまで利用拡大することができる。従って、従来アナターゼに限定されていた光触媒に水和ルチルを加えて、光触媒の選択範囲を大きく拡大できる。
【0085】
請求項2の発明によれば、金属超微粒子を坦持させたルチル型二酸化チタン粒子の表面に更に吸着水を水和させることにより水和ルチル型金属担持二酸化チタン光触媒を提供でき、金属を担持しない水和ルチル型二酸化チタン光触媒よりも高触媒効率の光触媒を光触媒工業に提供できる。従って、水和金属担持ルチルを光触媒として利用可能にし、光触媒の選択範囲を大幅に拡大できる。
【0086】
請求項3の発明によれば、ルチル型二酸化チタン粒子を酸性水溶液又はアルカリ性水溶液に添加して加熱沸騰するだけで、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることができ、高光触媒効率の水和ルチル及び水和金属担持ルチルを安価に量産することができる。
【0087】
請求項4の発明によれば、ルチル型二酸化チタン粒子を強酸性水溶液又は強アルカリ性水溶液に添加して常温常圧下で所定時間保持するだけで、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることができる。加熱処理や加圧処理を必要としないから、極めて安価に水和ルチル及び水和金属担持ルチルを量産することができる。
【0088】
請求項5の発明によれば、ルチル型二酸化チタン粒子を圧力容器中に配置して高温高圧の水蒸気に曝露するだけで、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることができる。従って、公知のボイラー技術の利用によって極めて安価に水和ルチル及び水和金属担持ルチルを大量生産できる。
【0089】
請求項6の発明によれば、圧力容器中でルチル型二酸化チタン粒子を酸性水溶液又はアルカリ性水溶液の高温高圧蒸気に曝露するだけで、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させることができる。酸アルカリ処理と高圧処理を組み合わせることにより、高光触媒効率を有した水和ルチル及び水和金属担持ルチルを市場に供給できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】未処理のルチル型二酸化チタンの電子状態のバンド構造図である。
【図2】金属超微粒子を坦持したルチル型二酸化チタンの電子状態のバンド構造図である。
【図3】ルチル型二酸化チタン粒子の非水和状態を示す表面状態図である。
【図4】ルチル型酸化チタンの表面に水和処理(水分の吸着処理)を行ってOH基が再水和された表面状態図である。
【図5】各種水和処理を施した金属担持ルチル(R35Pt3)のFTIR差スペクトル図である。
【図6】各種圧力で希塩酸蒸気処理(E処理)を施した金属担持ルチル(R35Pt3)のFTIR差スペクトル図である。
【図7】試料R20を用いてCH3CHOを分解処理したGCマススペクトル図である。
【図8】R20によるCH3CHOの分解過程図である。
【図9】平均直径7nmのアナターゼによるCH3CHOの分解過程図である。
【図10】金属担持ルチル型二酸化チタンによるCH3CHOの分解過程図である。
【図11】金属担持ルチル型二酸化チタンによるCH3CHO→CO2の分解過程図である。
【図12】金属担持ルチル型二酸化チタンによるCH3COOH→CO2の分解過程図である。

Claims (6)

  1. ルチル型二酸化チタン粒子からなる光触媒において、ルチル型二酸化チタン粒子の表面に吸着水を水和させた水和ルチル型二酸化チタン粒子から形成され、この粒子が空気中で前記吸着水を水和状態に保持することを特徴とする水和ルチル型二酸化チタン光触媒。
  2. ルチル型二酸化チタン粒子の表面に金属超微粒子を持させた金属持光触媒において、ルチル型二酸化チタン粒子の表面に吸着水を水和させた水和ルチル型金属担持二酸化チタン粒子から形成され、この粒子が空気中で前記吸着水を水和状態に保持することを特徴とする水和ルチル型金属持二酸化チタン光触媒。
  3. 金属超微粒子を持する又は持しないルチル型二酸化チタン粒子を酸性水溶液又はアルカリ性水溶液に添加し、この水溶液を加熱しながら沸騰させ又は前記水溶液を加熱すると同時に加圧しながら沸騰させ、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させる水和処理方法であり、この粒子が空気中で前記吸着水を水和状態に保持することを特徴とするルチル型二酸化チタン光触媒の水和処理方法。
  4. 金属超微粒子を持する又は持しないルチル型二酸化チタン粒子を強酸性水溶液又は強アルカリ性水溶液に添加し、この水溶液を常温常圧下で保持して、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させる水和処理方法であり、この粒子が空気中で前記吸着水を水和状態に保持することを特徴とするルチル型二酸化チタン光触媒の水和処理方法。
  5. 金属超微粒子を持する又は持しないルチル型二酸化チタン粒子を圧力容器中に配置し、この圧力容器中を120℃以上の温度に加熱して加圧された水蒸気を生成し、この水蒸気に前記ルチル型二酸化チタン粒子を曝露することにより吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させる水和処理方法であり、この粒子が空気中で前記吸着水を水和状態に保持することを特徴とするルチル型二酸化チタン光触媒の水和処理方法。
  6. 金属超微粒子を持する又は持しないルチル型二酸化チタン粒子を圧力容器中に配置し、この圧力容器中で酸性水溶液又はアルカリ性水溶液を120℃以上の温度で沸騰蒸発させて加圧された蒸気を生成し、この蒸気に前記ルチル型二酸化チタン粒子を曝露することにより、吸着水をルチル型二酸化チタン粒子の表面に水和させる水和処理方法であり、この粒子が空気中で前記吸着水を水和状態に保持することを特徴とするルチル型二酸化チタン光触媒の水和処理方法。
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