本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、各図面に共通な要素には同一符号を付す。また、以下に説明する様々な実施の形態は、他の実施の形態で説明されている一部の構成を組み合わせることが可能である。本発明は、そのような一部の構成を組み合わせた実施の形態を含むものである。
(第1の実施の形態)まず第1の実施の形態について説明する。図1は第1の実施の形態によるアイリス画像入力装置の構成図である。アイリス7を撮影する撮影装置3は、アイリス画像からアイリスコードを生成して、個人認識を行なうパーソナルコンピュータ(以下、認識装置という)1とケーブル6で接続されている。被識別者8は、移動自在なハンディタイプの撮影装置3を手9で持ち、撮影装置3の撮影穴4をアイリス7の登録あるいは照合を行う一方の目10に近づけて撮影する。このとき後述の照明部13は良好なアイリス画像が撮影できるようにアイリスに向けて明かりを照射する。また被識別者8は、モニター2に映し出されたアイリス7の画像を他方の目11で確認しながら撮影装置3のスイッチ5を押して登録あるいは照合の操作を行う。なお、スイッチ5は、被識別者8が押下しやすいように、撮影穴4が設けられた面の背面に設けられている。また図中のWは、撮影穴4の中心が、撮影時にアイリスと対向する面の左右から均等な位置にあることを示している。
ところで、撮影装置3はアイリスを撮影するためのものである。そのため、以下のような工夫が望まれる。撮影装置3は、被識別者8が先端恐怖症の人物である場合があるので、被識別者8に恐怖心を与えないように、被識別者8の視覚に突起物が入らない形状となっていることが望まれる。そのため、撮影装置3は、撮影時にアイリスと対向する面(すなわち撮影穴4と照明部13が設けられた面)が平坦な面となっているのが望ましい。また同様の理由により、その平坦な面は、角がないように、円または楕円形であることが望ましい。また撮影装置3は、以下の2つの理由により、撮影穴4が平面の左右から均等な位置に設けられるのが望ましい。すなわち第1の理由は、撮影装置3の設計の自由度を高くするために、撮影装置3内部の中で一番大きい部品(メイン基板14)を撮影装置3内部の一番広く面積をとれる空間(すなわち撮影装置3内部の中央付近の空間)に配置するためである。第2の理由は、被識別者8が撮影穴4を自身のアイリスに感覚的に向け易くするために、撮影穴4を撮影装置3の幅の中央に位置するようにするためである。これは、撮影穴4が撮影装置3の幅の中央に位置するようになれば、撮影時において撮影穴4は被撮影者8の手の平の中央に位置するようになり、被識別者8は自分の手で撮影装置3を握って自身のアイリスを撮影するので、撮影穴4と自身のアイリスとを感覚的に位置合わせし易くなる。そのため、被識別者8は手軽に自身の適正なアイリス画像を撮影することができるようになる。さらに撮影装置3は、撮影穴4の位置が手の平に近くなる程、被識別者8が感覚的に撮影穴4の位置と自身のアイリスの位置とを合わせ易くなるので、上下も均等の位置に設けられることが望ましい。
また図1は、ケーブル6が、撮影装置3の下側(アイリス画像を取得するときに下側になる位置)から引出されていることを示している。このように、ケーブル6を撮影装置3の下側から引出しているのは、以下の2つの理由による。すなわち、第1の理由は、ケーブル6が撮影装置3の上側から引出されていると、ケーブル6が上から下に不安定に垂れ下がるため、被識別者8が撮影装置3を自在に動かそうとするのを妨げてしまうからである。また第2の理由は、ケーブル6が撮影装置3の上側から引出されていると、ケーブル6が撮影穴4の上を遮る場合があり、撮影装置3が良好なアイリス画像を取得できないときがあるからである。
図2は図1に示した撮影装置の構成を示す詳細図である。撮影装置3は内部にカメラ部12と照明部13とを固着したメイン基板14を有する。メイン基板14には下部ケース15が基板固定ネジ16a、16bにより取り付けられ、上部ケース17がメイン基板14を覆うように下部ケース15にケース止めネジ18a、18bにより取り付けてある。
上部ケース17にはスイッチ5が設けてあり、スイッチ5はコード線19によりメイン基板14の配線パターンに接続されてある。下部ケース15の撮影穴4には保護ガラス20がガラス固定ネジ21、21により取り付けてある。
メイン基板14の一方の面14aにはカメラケース22が設けてあり、カメラケース22内にカメラ部12と照明部13とが設けてある。照明光軸24はカメラ光軸23に対して交差角度θを有する。カメラケース22にはカメラ部12に設けられる可視光カットガラス25と照明部13に設けられる拡散ガラス26が嵌め込まれている。
メイン基板14の他方の面14b側にはレンズマウント27、CCD基板28が図示せぬネジにて取り付けてある。レンズマウント27は段差面27aをメイン基板14の他方の面14bに押し当ててカメラケース22内に突出した本体部29と、装置内に進入した光を収束するレンズ30が嵌め込まれたレンズ部31とに分かれる。
本体部29はカメラ光軸23に沿って貫通孔29aを有し、貫通孔29aの内面にはレンズ部31の外周面に設けられたオネジ31aと噛み合うようにメネジ29bが設けられてある。CCD基板28には、光を電気信号に変換するCCDセンサ32が搭載されてある。CCDセンサ32はレンズマウント27の貫通孔29aおよびレンズ部31の貫通孔を通じてレンズ30に対向している。
レンズ30の焦点距離は、撮影穴4から約0.5〜50cm以内のある値に固定して設定されている。レンズ30の焦点距離を最小約0.5cmとしたのは、目10やその睫が撮影穴4と接触しないようにするためである。これは、目10やその睫が撮影装置3に接触すると、目10やその睫、および撮影装置3に異物が付着する可能性があり、被識別者8に嫌悪感を与えるとともに、衛生上望ましくないからである。さらに、これは、目10やその睫が撮影装置3に接触した状態で、誰かが被識別者8や撮影装置3を押すと、被識別者8が怪我をする怖れがあるからである。またレンズ30の焦点距離を最大約50cmとしたのは、被識別者8が手9で自由に動かせる範囲を考慮したためである。
なお、レンズ30の焦点距離は被識別者8が眼鏡を装着する場合もあること、そして誰かが被識別者8や撮影装置3を押す可能性があることを考慮すると最小約2cmとするのが望ましい。またレンズ30の焦点距離は女性や子どもが操作する場合もあることを考慮すると最大約20cmとするのが望ましい。またレンズ30の焦点距離は、撮影装置3で目10を撮影していることを意識せずに、他方の目11でモニター2に表示されたアイリス画像を見ることを考慮すると最大約20cmとするのが望ましい。これは、両目の視界の中に撮影装置3が入ってしまうと、被識別者8の視線は撮影装置3とモニター2の間を動いてしまい、アイリスの位置が変わるため、適正なアイリス画像が取得できなくなるからである。つまり、適正なアイリス画像を取得するためには、アイリスの位置が変わらないようにする必要があり、そのためには、左右のそれぞれの目が意識せずに別々の物体を見れるようにする必要がある。左右のそれぞれの目が意識せずに別々の物体を見れる場合の視界の広さは、片方の目の中心から左右に約10〜20度以内づつである。そのため、被識別者8は、撮影装置3を目11から左右に約10〜20度以内の視界に入らないようにしてアイリスを撮影しなければ、適正なアイリス画像を取得することが難しくなる。目11から左右に約10〜20度以内の視界に入らない距離とは、目10から約20cm以内の距離である。したがって、被識別者8は撮影装置3を目10から約20cm以内の距離で撮影することが望ましく、そのためレンズ30の焦点距離は撮影穴4から約20cm以内のある値に固定して設定されることが望ましい。なお、レンズ30の焦点距離は材料の屈折率や形状、厚さによって特定される。
ところで、撮影装置3は、レンズ30を可動自在な構成にしてオートフォーカスできるようにすることも可能である。しかしながら、撮影装置3は、被識別者8が手軽に操作できるように、できるだけ軽量で薄くかつコンパクトにすることが望まれる。しかも、撮影装置3は、できるだけ安価なものになることも望まれる。これらの目的を達成するためには、撮影装置3から余分な構成をできるだけ排除する必要がある。そのため、本実施の形態では、撮影装置3はレンズ30を固定した構成にしている。また、撮影装置3は、自身が電源部を持たず、電源を認識装置1から供給されるように構成している。
照明部13は、3個の発光素子(LED)33a、33b、33cが取り付けられた照明台座34をメイン基板14の一方の面14aに固着して形成している。なお、図2では、33cは33aの後ろに隠れており、示されていない。
照明部13は、撮影装置3が鮮明なアイリス画像を撮影できるように、拡散ガラス26を介して照明ライン35内にある被識別者8の顔に光を照射する。ここで、撮影装置3とアイリス7との距離Lは、入力する被識別者8の顔の形状や被識別者8が眼鏡を装着している場合があること等を考慮して、約2.0cm以上とする。カメラ光軸23と照明光軸24との交差角度θは、撮影範囲内の照明強度のばらつきが10%以下であること、目に写る照明の反射点がアイリス7上にないこと、眼鏡に写る照明の反射点がアイリス7上にないこと等の条件が満たせるように設定する。
本発明では撮影装置3のカメラ部12にて撮影できる範囲の照明強度のばらつきが10%以内になるように、発光素子33a〜33cの上面に拡散ガラス26を配置している。発光素子33a〜33cの発光波長領域は、アイリス7で反射したときにアイリス7が明るくなるように所定の波長を有する近赤外光にしている。また、発光素子33a〜33cの照明強度は、目への安全性を考え、所定の照明強度以下とする。なお、本実施の形態では発光素子の個数を3個としたが、撮影装置3のカメラ部12で撮影できる範囲の照明強度のばらつきが10%以内にできるならば、個数を変更することは可能である。
図3は図1に示したアイリス画像入力装置のシステムブロック図である。認識装置1は中央処理装置35(以後CPU35と記す)、メモリ36、電源部37、インターフェース部38、画像入力部39、カメラドライバ40、照明ドライバ41を有する。電源部37は装置全体に電力を供給している。
CPU35は信号線42により画像入力部39に接続され、さらに信号線43でモニター2およびカメラ12のCCDセンサ32に接続されている。またCPU35は信号線44、46によりそれぞれカメラドライバ40、照明ドライバ41に接続され、さらに信号線45、47によりCCDセンサ32および照明部13にそれぞれ接続されている。さらにCPU35は信号線48、49で撮影装置3のスイッチ5、インターフェース部38にそれぞれ接続されており、バスライン50でメモリ36に接続されている。
レンズ部31を通して入射したアイリス7からの反射光はCCDセンサ32のCCD素子面に結像する。アイリス画像はCCD素子でコントラストに比例した電圧に変換され、映像信号として信号線43を通して画像入力部39へ送られる。このときの映像信号はモニター2へも送られ、図1に示すように、アイリス画像としてモニター2に表示される。
CPU35は画像入力部39に入力されたアイリス画像の映像信号をメモリ36に予め格納されてあるアイリスパターン化処理のプログラムにより個人認識ができるようなコードに変換する。その後、アイリスの登録処理の場合には撮影されたコードをメモリ36に記憶させ、アイリスの照合処理の場合にはメモリ36に予め登録されているコードを読み出して新規に撮影されたものと比較照合する。
また、CPU35はアイリスパターン化処理のときに、高品質な画像を受信できるように、カメラドライバ40を制御してCCDセンサ32の映像利得(ゲイン)、シャッター速度の値を変える。また、光量不足の場合には、照明ドライバ41を制御して、照明部13にある発光素子33の光量をアップさせる。
図4は第1の実施の形態の動作を説明するフローチャートである。認識装置1の図示せぬ電源スイッチがオンされると、電源部37から装置全体に電力が供給され、システムの立ち上げが開始される。その後、被識別者8は、図1に示すように、撮影装置3を手9で持ち、アイリスの登録あるいはアイリスの照合を行う目10を撮影装置3の撮影穴4に近づける。この実施例では、右目のアイリス7を登録する場合を示している。
ステップS1でCPU35はモニター2に「アイリスの登録」あるいは「アイリスの照合」のいずれかを選択させるための選択画面を表示させる。このとき、選択画面には、「アイリスの登録」を選択する場合は撮影装置3にあるスイッチ5を1回押下し、「アイリスの照合」を選択する場合はスイッチ5を2回押下する旨のメッセージが表示される。メッセージを見た被識別者8は撮影装置3にあるスイッチ5を1回、または2回押下する。
ステップS2でCPU35はスイッチ5が押下されたか否かを検出しており、スイッチ5の押下回数を検出する。
ステップS3でCPU35はスイッチ5の押下回数をメモリ36に記憶させる。また、このとき撮影装置3は所定間隔おきに被識別者8の目10のアイリス画像を撮影し続け、撮影したアイリス画像を順次認識装置1に出力する。認識装置1のCPU35は、撮影装置3から出力されるアイリス画像を順次メモリ36に記憶させる。メモリ36は、アイリス画像を複数フレーム記憶できる容量を有しており、撮影装置3から出力されるアイリス画像を順次記憶してゆく。そして、メモリ36は、容量一杯まで記憶したら、古いアイリス画像を消去して新しいアイリス画像を記憶する。また、認識装置1のCPU35は撮影装置3から出力されるアイリス画像をモニター2に表示させる。被識別者8は、モニター2に映し出された右目のアイリス画像を他方の目(すなわち左目)11で見ながら、アイリス画像の焦点が合うように(アイリス7の模様が鮮明に写るように)撮影装置3を前後に動かす。被識別者8は、このようにしてアイリス画像の焦点調整を行い、焦点が合ったときにスイッチ5を押下する。なお、このとき、被識別者8は、自分自身がスイッチ5を押下するので、撮影装置3がいつアイリスを撮影しているのかが分かる。そのため、被識別者8は、スイッチ5を押下する瞬間は動かないように、自分の動作を規制できる。その結果、本発明のアイリス画像入力装置は、アイリスがきちんと静止している良好な画像を取得することができる。
ステップS4でCPU35はスイッチ5が押下されたか否かを検出しており、スイッチ5の押下を検出する。
ステップS5でCPU35は、スイッチ5が押下されたことを検出すると、引き続き所定のフレーム数のアイリス画像をメモリ36に記憶させ続けた後、メモリ36に記憶させた複数フレームのアイリス画像の中から、登録または照合に用いるための条件を満たしているものを抽出し、それを個人認識できる信号データに変換してメモリ36に記憶させる。
なお、前記条件は、例えば以下の3つある。1つ目の条件は、アイリス画像が撮影の枠(フレーム)内に収まっていることである。2つ目の条件は、アイリス画像がフレームに対して所定以上の大きさになっていることである。3つ目の条件は、睫の影や照明の映り込みがアイリス領域の中で所定の大きさより小さいことである。
1つ目の条件は、フレームからはみ出しているアイリス画像は個人の特徴的な情報を少量しか抽出できないので個人認識することができず、このようなアイリス画像を排除するために設定されている。2つ目の条件は、フレームに対して所定以下の大きさのアイリス画像は画像が不鮮明なため個人の特徴的な情報が誤って抽出される可能性があり、このようなアイリス画像を排除するために設定されている。3つ目の条件は、睫の影や照明の映り込みがアイリス領域の中で所定の大きさより大きいアイリス画像は個人の特徴的な情報を少量しか抽出できないので個人認識することができず、このようなアイリス画像を排除するために設定されている。
ステップS6でCPU35はメモリ36が記憶しているステップS3でのスイッチ押下回数を参照して、処理が「アイリスの登録」であるのか、それとも「アイリスの照合」であるのかを判断する。処理が「アイリスの登録」の場合にはステップはステップS7に進み、処理が「アイリスの照合」の場合にはステップはステップS8に進む。
ステップS7でCPU35はモニター2に登録済みのメッセージを表示させて処理を終了する。
ステップS8でCPU35は予め登録してあるアイリスのパターンデータをメモリから読み出し、今回取得したアイリスのパターンデータと照合する。
ステップS9でCPU35は照合処理の判定結果を示すメッセージをモニター2に表示させて処理を終了する。
ところで、上記のステップでは、撮影装置3は所定間隔おきに取得したアイリス画像を順次認識装置1に出力し、認識装置1は撮影装置3から出力されるアイリス画像を順次メモリ36に記憶し続けている。そして、認識装置1は、スイッチ5が押下されたことを検出すると、引き続き所定のフレーム数のアイリス画像をメモリ36に記憶した後、メモリ36に記憶した複数フレームのアイリス画像の中から、登録または照合に用いるための条件を満たしているものを抽出し、それを個人認識できる信号データに変換してメモリ36に記憶している。本実施の形態では、アイリス画像入力装置がこのように動作するように構成することにより、撮影装置3から余分な構成を排除している。すなわち、撮影装置3は、アイリス画像を処理する機能を持たず、アイリス画像を認識装置1に出力する機能を持つだけの構成になっている。そのため、撮影装置3は軽量で薄くかつコンパクトな構成となっており、メーカは撮影装置3を安価に作ることができる。
なお、照合処理の判定結果の基準は、本装置に要求されるセキュリティの高さで決める。セキュリティは金銭や個人のプライバシーに関係する場合に高くなる。このような場合は、撮影されたアイリス画像の特徴データをできるだけ多く抽出し、登録することが望ましい。このようにすればそれだけ認識精度が向上するからである。但し、このようにすればそれだけ処理量が多くなり、照合判定を完了するまでの時間がかかる。照合処理の判定結果の基準は、認識精度の重要度と時間の重要度のバランスを考慮して設定する必要がある。
第1の実施の形態によれば、本発明のアイリス画像入力装置は、片手で携帯可能なアイリスを撮影してアイリス画像を取得する撮影装置と、前記撮影装置が取得したアイリス画像に基づいてアイリスに関する情報を登録または照合する認識装置と、前記認識装置に対し登録または照合の開始を指示するスイッチとを有し、前記撮影装置は、手のひらに収まるサイズの、アイリス撮影者が握る把持部を備え、撮影時にアイリスと対向する面に設けられた、アイリスに光を照射する照明手段と光を装置内に取り入れる撮影穴とを備え、内部に設けられた、前記撮影穴から装置内に進入した光を収束するレンズと前記レンズによって収束された光を電気信号に変換するCCD素子とを備え、前記レンズの焦点は、前記撮影穴から0.5〜50cm以内のある値に固定して設定されている。被識別者は、アイリス画像の焦点が合うように自分で撮影装置と目の間の距離を調整することができる。そのため、本発明のアイリス画像入力装置は、被識別者の背丈に関係なく、操作が容易で、速やかにかつ正確に被識別者のアイリスパターンのコードを取得することができる。
(第2の実施の形態)次に第2の実施の形態を説明する。第2の実施の形態は、アイリス画像をアイリスがどのように写っているのかを示す幾何学模様に変換してモニターに表示させたり、幾何学模様で示された部分を焦点が合っているのか否かを示す色に染めてモニターに表示させたり、目の状態を示すメッセージをモニターに表示させるようにした。
図5は目の画像と幾何学模様との対応を示す図である。図5の左側に示した目の画像のうち、(A)は目を大きく開けた最も理想的な状態を示しており、アイリス7がほぼ円形に見えている。(B)は目を細めた状態、あるいは目が細い人の目を示しており、(A)に比べ、アイリス7が上まぶたと下まぶたで少し隠れている。(C)は上目使いになっている状態を示しており、アイリス7が上まぶたで大きく隠れている。
図5の左側の画像から右側の画像への変換は、以下のようにして行われる。すなわち、まずCPU35は左側の画像(撮影された目の画像)から黒目部分51(アイリス7と瞳孔52を含めた部分)の位置を特定する。黒目部分51は画像の中で輝度が一番暗いので、CPU35は画像の中で輝度が一番暗くなっているところを探すことによって黒目部分51の位置を特定することができる。次にCPU35は黒目部分51の輪郭を求める。黒目部分51はその周囲の白目部分53と輝度差が大きいので、CPU35は輝度差が大きいところを探すことによって黒目部分51の輪郭を求めることができる。CPU35は、求めた黒目部分51の輪郭を図5(A)〜(C)の左側に示すように、円54、長円55、偏平な長円56等の幾何学模様に変換し、モニター2に表示させる。
被識別者8はモニター2に示された幾何学模様から、撮影された目がどのような状態になっているのかを知ることができる。そのため、被識別者8は目が理想的な状態になるように動作することができる。このようにして本発明のアイリス画像入力装置は被識別者8に目の開け方について注意を促すことができる。
更に本発明のアイリス画像入力装置は、アイリス画像の焦点が合っている場合に幾何学模様で示された部分を、例えば、緑あるいは青に染めて表示し、アイリス画像の焦点が合っていない場合に幾何学模様で示された部分を赤に染めて表示する。アイリス画像の焦点が合っているのか否かは、図2に示したように、照明光軸24とカメラ光軸23とが交差する位置にアイリス7があるのか否かで決まる。アイリス7が照明光軸24とカメラ光軸23の交差する位置にあるのか否かは、カメラ部12で撮影された画像のコントラストがCCDセンサ32の出力電圧に比例するので、CCDセンサ32の出力電圧を検出することで判定できる。なお、カメラのレンズにはある程度の被写界深度がある。被写界深度とは、画像の焦点が合っていると見なされる、撮影された画像の結像位置範囲を指す。CCDセンサ32は撮影された画像の結像位置が被写界深度内であれば同じ値の電圧を出力する。そのため、レンズ30の焦点距離にもよるが、アイリス7が照明光軸24とカメラ光軸23の交差する位置ではなく、その近辺の位置にある場合であっても、撮影された画像の結像位置が被写界深度内であればアイリス画像の焦点が合っていると見なされることになる。CPU35は、撮影装置3と撮影される目10との間の距離に応じて変化するアイリス画像のコントラストを求め、ある基準値以上になったとき焦点が合ったと判断する。
図6は幾何学模様、目の状態、被識別者への指示とを対応させたテーブルであり、メモリ36に格納されている。CPU35は、撮影された目10の幾何学模様に応じて、目の状態や被識別者への指示をメモリ36から読み出してモニター2に表示させる。このとき、CPU35は、焦点が合っているか否かを知らせるために幾何学模様で示された部分を上述した色に染めて表示させる。
第2の実施例によれば、アイリス画像が幾何学模様で示されるので、アイリス画像に生理的な嫌悪を感じる人であってもこのような感情を抱かせずにアイリス画像を撮影することができる。また、目の状態がモニターにメッセージで表示されるので、初心者であっても理想的なアイリス画像を取得するように動作することができる。また、幾何学模様のアイリス画像は被識別者のアイリスがカメラの焦点近辺の位置にあるのか否かを示す色に染められて表示されるので、被識別者はスイッチ押下のタイミングを容易に知ることができる。
(第3の実施の形態)次に第3の実施の形態を説明する。第3の実施の形態は、操作パネルをアイコンとしてモニター2に表示させるとともに、被識別者8の目の動きに連動して動くマークをモニター2に表示させるようにした。
被識別者8は、マークが目的のアイコンの位置にきた時点で撮影装置3のスイッチ5を2回押下することにより指示を入力することができる。この実施例のマークを動かす仕組みは以下のようになっている。すなわち、CPU35は、目11が動くときにこれと連動して目10が動くことを利用して目10の移動方向と移動量を検出し、検出した目10の移動方向と移動量に応じてモニター2の画面上のマークを移動させるようになっている。
図7は第3の実施の形態の操作パネルを示すモニター画面である。(A)はシステム起動時の画面2aであり、システム起動中を示すアイコン56が表示される。(B)は「アイリス登録処理」、「アイリス照合処理」、「中止」、「システム終了」のいずれかを選択する際の画面2bであり、いずれかを選択するためのアイコン57〜60と選択に使用するマーク61とが表示される。(C)はアイリス撮影状態である画面2cであり、撮影している目の画像62と処理の結果を示すアイコン63〜64が表示される。但し、アイコン63、64はアイリス撮影中、処理中はモニター画面に表示されず、処理終了後、処理の結果としていずれか一方が表示される。
第3の実施の形態のアイリス画像入力装置のシステムブロックは、図3に示した認識装置1に特徴検出手段と信号出力手段(ともに図示せず)を有する以外は第1の実施の形態とほぼ同じである。特徴検出手段は、カメラ部12で撮影された目10の画像62から、白目部分53以外の生体特徴、例えば瞳孔52を抽出し、瞳孔52の移動方向と移動量とを算出する。信号出力手段は、瞳孔52の移動方向と移動量とに応じてモニター2の画面上のマークを移動させる信号をモニター2に出力する。これらは、CPU35がメモリ36に格納してある制御プログラムに基づいて実行している。
図8は目の画像から抽出した瞳孔の位置を示す図である。瞳孔52は基本的に目の中で最も暗い部分であるため、CPU35は目の画像の中から容易に瞳孔52を抽出できる。しかも瞳孔52は目の画像の中で比較的大きく移動するので、CPU35はその移動方向・移動量を容易に算出できる。
図8(A)は正面を向いている目の画像62から瞳孔52を抽出した場合を示している。同図に示すように、CPU35は瞳孔52の位置を原点としてX軸65とY軸66を設定する。
図8(B)は被識別者8が目を左方向(矢印A)へ移動させた場合を示しており、移動後の瞳孔52の位置は(X1,Y1)となる。CPU35は原点からの移動量X1とY1を求めてモニター2の画面上のマーク61の移動量に変換し、マーク61を移動させる信号をモニター2に出力する。これによって、モニター2の画面上のマーク61が目的のアイコンに向かって移動する。なお、移動方向はX1とY1の符号によって決まる。
図8(C)は被識別者8が目を上方向(矢印B)へ移動させた場合を示しており、移動後の瞳孔の位置は(X2,Y2)となる。
図9は第3の実施の形態の動作を説明するフローチャートである。認識装置1の図示せぬ電源スイッチがオンされると、電源部37から装置全体に電力が供給される。そして、システムの立ち上げが開始され、図7(A)に示す画面2aがモニター2に表示される。その後、被識別者8は、図1に示すように、撮影装置3を手9で持ち、アイリスの登録あるいはアイリスの照合を行う目10(この実施例では、右目)を撮影装置3の撮影穴4に近づける。
ステップS1でCPU35はモニター2に図7(B)に示した画面2bを表示させる。被識別者8は他方の目11で選択するアイコン(例えばアイリス登録57)を見る。このとき、CPU35は、マーク61がアイリス登録57に向かって移動するようにモニター2に表示させる。被識別者8は、マーク61がアイリス登録57にきたときにスイッチ5を2回押下する。
ステップS2でCPU35は、処理が「アイリスの登録」であるのか、それとも「アイリスの照合」であるのかを判断する。処理が「アイリスの登録」の場合(アイリス登録57が選択された場合)にはステップはステップS3に進み、処理が「アイリスの照合」の場合(アイリス照合58が選択された場合)にはステップはステップS7に進む。
ステップS3で撮影装置3は所定間隔おきに被識別者8の目10のアイリス画像を撮影し続け、撮影したアイリス画像を順次認識装置1に出力する。認識装置1のCPU35は、撮影装置3から出力されるアイリス画像を順次メモリ36に記憶させる。メモリ36は、アイリス画像を複数フレーム記憶できる容量を有しており、撮影装置3から出力されるアイリス画像を順次記憶してゆく。そして、メモリ36は、容量一杯まで記憶したら、古いアイリス画像を消去して新しいアイリス画像を記憶する。また、認識装置1のCPU35は図7(C)に示した画面2cをモニター2に表示させる。被識別者8は、モニター2に表示された右目のアイリス画像を他方の目(すなわち左目)11で見ながら、アイリス画像の焦点が合うように(アイリス7の模様が鮮明に写るように)撮影装置3を前後に動かす。被識別者8は、このようにしてアイリス画像の焦点調整を行い、焦点が合ったときにスイッチ5を押下する。
ステップS4でCPU35はスイッチ5が押下されたか否かを検出しており、スイッチ5の押下を検出する。
ステップS5でCPU35は、スイッチ5が押下されたことを検出すると、しばらくの間引き続きメモリ36にアイリス画像を記憶させ続けた後、メモリ36に記憶させた複数フレームのアイリス画像の中から登録または照合に用いるための条件を満たしているものを抽出し、それを個人認識できる信号データに変換してメモリ36に記憶させる。
ステップS6でCPU35はモニター2の画面にアイコン63を表示させて登録済みであることを被識別者8に知らせる。
ステップS7で撮影装置3は所定間隔おきに被識別者8の目10のアイリス画像を撮影し続け、撮影したアイリス画像を順次認識装置1に出力する。認識装置1のCPU35は、撮影装置3から出力されるアイリス画像を順次メモリ36に記憶させる。メモリ36は、アイリス画像を複数フレーム記憶できる容量を有しており、撮影装置3から出力されるアイリス画像を順次記憶してゆく。そして、メモリ36は、容量一杯まで記憶したら、古いアイリス画像を消去して新しいアイリス画像を記憶する。また、認識装置1のCPU35は図7(C)に示した画面2cをモニター2に表示させる。被識別者8は、モニター2に映し出された右目のアイリス画像を他方の目(すなわち左目)11で見ながら、アイリス画像の焦点が合うように(アイリス7の模様が鮮明に写るように)撮影装置3を前後に動かす。被識別者8は、このようにしてアイリス画像の焦点調整を行い、焦点が合ったときにスイッチ5を押下する。
ステップS8でCPU35はスイッチ5が押下されたか否かを検出しており、スイッチ5の押下を検出する。
ステップS9でCPU35は、スイッチ5が押下されたことを検出すると、しばらくの間引き続きメモリ36にアイリス画像を記憶させ続けた後、メモリ36に記憶させた複数フレームのアイリス画像の中から登録または照合に用いるための条件を満たしているものを抽出し、それを個人認識できる信号データに変換してメモリ36に記憶させる。
ステップS10でCPU35は予め登録してあるアイリスのパターンデータをメモリから読み出し、今回取得したアイリスのパターンデータと照合する。
ステップS11でCPU35はモニター2の画面にアイコン63またはアイコン64を表示させて、照合処理の判定結果を被識別者8に知らせる。
なお、ステップS4、ステップS8でスイッチ5が押下されると、アイリスの登録処理またはアイリスの照合処理が開始される。このとき、処理が中々終了しない場合は、被識別者8は画面2cに表示されたマーク61でアイコン59やアイコン60を選択し、処理を中止させてもよい。アイコン59を選択した場合、画面は2cから2bに戻り、アイコン60を選択した場合、システムが終了する。
第3の実施例によれば、モニターに表示されたアイコンを見るだけでマークがそのアイコンに向かって移動するので、被識別者は目を撮影装置から離すことなく、指示を入力することができる。そのため、初心者にとっても操作しやすく、アイリス画像を入力しやすい。
(第4の実施の形態)次に本発明の第4の実施の形態を説明する。第4の実施の形態は、被識別者8が撮影装置を握りやすく、また目の位置を撮影穴に合わせやすい形状にした。また、第4の実施の形態は、アイリスの登録を開始するための起動スイッチであるスイッチ72とアイリスの照合を開始するための起動スイッチである73をモニター2の下部に設けた。
図10は第4の実施の形態によるアイリス画像入力装置の構成図である。図10において、アイリス7を撮影する撮影装置71は、アイリスパターンを画像処理して個人識別を実行する認識装置1とケーブル6で接続されている。被識別者8は、移動自在なハンディタイプの撮影装置71を手9で持ち、撮影装置71の撮影穴4をアイリス7の登録あるいは照合を行う目10に近づけて撮影する。そのときモニター2に映し出されたアイリス7の画像を他方の目11で確認しながらモニター2の下部にあるスイッチ72または73を押して登録あるいは照合の操作を行う。
なお、撮影穴4は、第1の実施例で説明したのと同じ理由により、平面上に、しかも平面の左右から均等な位置に設けられている。またケーブル6は、第1の実施例で説明したのと同じ理由により、撮影装置71の下側(アイリス画像を取得するときに下側になる位置)から引出されている。
図11、図12は第4の実施の形態の撮影装置を示す斜視図であり、図11は撮影装置の背面側を示し、図12は撮影装置の前面側を示す。両図において、撮影装置71の外形は、フロントカバー74とリアカバー75によって構成される。フロントカバー74とリアカバー75は互いにネジ80により固定されている。フロントカバー74とリアカバー75は、撮影部76と把持部77を形成している。
撮影部76は把持部77よりも幅の広い略円形の平面形状に形成されており、ここに撮影口78や照明口79が設けられている。なお、撮影口78は、後述のハーフミラー91によってカバーされた撮影穴4の一方の端部である。
把持部77は片手で握れるサイズでかつリヤカバー75が丸みを帯びた形状に形成されている。具体的には、把持部77のサイズは下部湾曲部の半径が約10mm〜30mmであり、リアカバー75の丸みは傾斜角度が約30度〜60度である。また把持部77は、撮影部76との境部にくびれ部81が形成されている。把持部77はこのような形状になっているので、被識別者8は、リアカバー75の丸み部分に手のひらを接触させ、親指と人差し指を把持部77のくびれ部81に押し当てることにより、把持部77をしっかりと握ることができる。
なお、反射部82は、被識別者8の目10の周囲が明るくなるように、外来光を反射しやい色で形成されている。具体的には、反射率が50%以上になる、白や白っぽい色、または鏡のような色になっている。反射部82をこのように形成した理由は、被識別者8の目10が光に反応して、瞳孔が小さくなるとともにアイリスが大きくなることによって、アイリスの撮影を良好に行なうことができるからである。
次に撮影装置の内部構造を説明する。図13は第4の実施の形態における撮影装置の内部構造を示す切欠斜視図、図14は撮影装置の内部ユニットを示す斜視図、図15は撮影装置の内部を示す側面説明図である。これらの図において、撮影装置71は、大ミラー84、小ミラー85、レンズユニット86およびCCDセンサ基板87から成るカメラ部88と、6個の発光素子(LED)89から成る照明部90とを有する。
大ミラー84は、フロント側(アイリスと対向する側)に、ハーフミラー91が取付けられ、ハーフミラー91と撮影口78が重なるようにフロントカバー74が取付けられている。ハーフミラー91は、一般的なハーフミラーと異なり、可視光を反射し、近赤外光だけを通過する特性をもっている。そのため、ハーフミラー91は、照明部90から照射された光のうち、可視光を反射するとともに、被識別者のアイリス表面で反射した近赤外光だけを通過させて大ミラー84へ到達させる。ハーフミラー91は、可視光を反射するので、被識別者8の目あるいはその周辺が写っている映像を映す。そのため、被識別者8は、モニター2を見なくても、自分の目がハーフミラー91の中央に位置するように撮影装置71を動かすことによって、アイリス画像の焦点を容易に合わせることができる。
照明部90は近赤外光の領域にピーク波長を持つ6個の発光素子89によって構成している。発光素子89はハーフミラー91の左右に3個ずつ配置され、撮影部76に形成された照明口79から光を照射する。発光素子89、および発光素子89を駆動する駆動回路(図示しない)がハンダ付けされた照明基板93は、フランジ92に取付けられている。フランジ92はミラーホルダー94の一部である。ミラーホルダー94には、ハーフミラー91を通過した入射光の光軸を90度曲げる大ミラー84が取付けられている。そのミラーホルダー94はレンズホルダー95と結合されている。レンズホルダー95にはレンズユニット86が嵌め込まれ、レンズユニット86はレンズマウント96に差し込まれている。レンズマウント96には小ミラー85およびCCDセンサ基板87が取付けられている。大ミラー84を反射した入射光はレンズユニット86を通り小ミラー85に達する。入射光は小ミラー85でさらに90度曲げられ、CCDセンサ基板87に配設されたCCDセンサに到達する。なお、レンズユニット86の焦点距離は、第1の実施の形態で説明したのと同じ理由により、撮影口78から約0.5〜50cm以内のある値(望ましくは約2〜20cmのある値)に固定して設定されている。
ここで上記構成を有するカメラ部88の製造工程について説明する。まず小ミラー85をレンズマウント96に取付け、CCDセンサ基板87を2本のネジ97でレンズマウント96に取付ける。次にレンズユニット86をレンズマウント96の穴に嵌め込んで所定の位置に合わせ、側面からネジ98で固定する。そのレンズユニット86をレンズホルダー95の穴に嵌め込む。次に大ミラー84をミラーホルダー94に取付け、発光素子89および発光素子89用の照明基板93をミラーホルダー94のフランジ92に取付ける。ミラーホルダー94をレンズホルダー95の穴に嵌め込む。つまりレンズホルダー95は、穴の一端にレンズユニット86が嵌め込まれ、穴の他端にミラーホルダー94が嵌め込まれた構造となる。このようにしてレンズユニット86とミラーホルダー94とレンズホルダー95は、図14に示すように一体の構成となり、しかも、レンズユニット86とミラーホルダー94の光軸が一致した構成となる。
次に、ハーフミラー91を撮影口78を覆うようにしてフロントカバー74に取付ける。その後、フロントカバー74を一体になったレンズユニット86とミラーホルダー94とレンズホルダー95に取付ける。このときフロントカバー74は、フロントカバー74のネジ孔がCCDセンサ基板87と照明基板93の各止め孔と位置合わせされ、図13に示すようにネジ99でレンズユニット86とミラーホルダー94とレンズホルダー95に固定される。次にコード孔100に図示しないコードを通して、フロントカバー74とリアカバー75をネジ101で固定する。
図16は第4の実施の形態のアイリス画像入力装置のシステムブロック図である。認識装置1の構成は第1の実施の形態のものと同様であり、CPU35、メモリ36、電源部37、インターフェース部38、画像入力部39、カメラドライバ40、照明ドライバ41を有する。電源部37は装置全体に電力を供給している。
CPU35は信号線42により画像入力部39に接続され、さらに信号線43でモニター2およびカメラ12のCCDセンサ32に接続されている。またCPU35は信号線44、46によりそれぞれカメラドライバ40、照明ドライバ41に接続され、さらに信号線45、47によりCCDセンサ32および照明部13にそれぞれ接続されている。さらにCPU35は信号線48、49で撮影装置3のスイッチ5、インターフェース部38にそれぞれ接続されており、バスライン50でメモリ36に接続されている。また認識装置1のCPU35はスイッチ部102に接続されており、CPU35はスイッチ部102の登録スイッチ72と照合スイッチ73の押下を検出する。
撮影装置71において、ハーフミラー91およびカメラ部88の光学系を通して入射したアイリス7からの反射光はCCDセンサ基板87上のCCD素子面に結像する。アイリス画像はCCD素子でコントラストに比例した電圧に変換され、映像信号として信号線43を通して画像入力部39へ送られる。このときの映像信号はモニター2へも送られ、そこで映像にできる信号へ変換された後、図10に示すように、アイリス画像が表示される。
CPU35は画像入力部39に入力されたアイリス画像の映像信号をメモリ36に予め格納されてあるアイリスパターン化処理のプログラムにより個人認識ができるようなコードに変換する。その後、アイリスの登録処理の場合にはメモリ36に記憶させ、アイリスの照合処理の場合にはメモリ36に予め登録されているコードを読み出して新規に撮影されたアイリスコードと比較照合する。なお、アイリスの登録処理は登録スイッチ72が押下された場合に実行され、アイリスの照合処理は照合スイッチ73が押下された場合に実行される。
また、CPU35はアイリスパターン化処理のときに、高品質な画像を受信できるように、カメラドライバ40を制御してCCDセンサ32の映像利得(ゲイン)、シャッター速度の値を変える。また、光量不足の場合には、照明ドライバ41を制御して、照明部36にある発光素子33の光量をアップさせる。
なお、LED89による照明は、アイリスコード処理法によって照明ドライバ41を制御することで任意に変化させることができる。具体的には、6個のLED89全部の光量制御、点滅制御、連続点灯制御等の制御パターンのほかに、6個の内の任意の数のLED89の光量制御、点滅制御、連続点灯制御等の制御パターンがある。これらは予めメモリ36に登録されているアイリスパターン化処理プログラムの仕様により選択できる。
第4の実施の形態の動作は前述の第1の実施の形態の動作とほぼ同様である。認識装置1の図示せぬ電源スイッチがオンされると、電源部37から装置全体に電力が供給され、システムの立ち上げが開始される。CPU35はモニター2にアイリスの登録、アイリスの照合の選択画面を表示する。選択画面には、アイリスの登録を選択する場合には登録スイッチ72を押下し、アイリスの照合を選択する場合には照合スイッチ73を押下する旨のメッセージが表示される。またCPU35は照明ドライバ41を介して照明基板93を駆動し、撮影装置71内の発光素子89を点灯させる。
被識別者8が図10に示すように、撮影装置71を手9で持ち、撮影する目10を撮影装置71の撮影口78に近づける。このとき被識別者8は、撮影装置71が丸みとくびれ部81を有しているので手のひらを丸みに当て、くびれ部81に親指と人差し指または親指と中指を当てることにより、撮影装置71を容易に持つことができる。
被識別者8は目の撮影を開始する。このとき撮影装置71の発光素子89が点灯することにより、被識別者8のアイリス7から反射した近赤外光がハーフミラー91を透過してカメラ部88へ入射するとともに、ハーフミラー91が可視光を反射して被識別者8の目10を映す。被識別者8は、ハーフミラー91に映った自分の目を見ることにより、自分の目がハーフミラー91の中央に映るように撮影装置71を容易に動かすことができる。なお、発光素子89の光軸は被識別者8の目の安全を確保するために、カメラ部88に入射するアイリスの反射光の光軸と平行になっている。
カメラ部88へ入射したアイリス7からの反射光104は、図15に示すようにまず大ミラー84で光軸を曲げられ、レンズユニット96を通り、小ミラー85で再度光軸を曲げられてCCDセンサ基板87上のCCDセンサに入力する。
なお、撮影装置71は、撮影口78から撮影装置71内に進入した光を複数のミラー(すなわち大ミラー84と小ミラー85)によって反射させてCCDセンサ32に導く構成になっている。撮影装置71をこのように構成する理由は、3つある。1つ目の理由は撮影装置71の厚さを薄くするためである。なぜなら、撮影口78から撮影装置71内に進入した光を直接CCDセンサで受ける構成にすると撮影装置71の厚さが厚くなってしまうので、撮影装置71の厚さを薄くするためには光を反射させてからCCDセンサで受けるように構成する必要があるからである。2つ目の理由は、CCDセンサ32が搭載されるCCDセンサ基板87を撮影装置71の内部で一番広く面積をとれる空間(つまり撮影装置71の内部の中央付近の空間)に配置するためである。なぜなら、CCDセンサ基板87は撮影装置71の構成物の中で特に大きなものであるので、CCDセンサ基板87を撮影装置71の内部で一番広く面積をとれる空間に配置しなければ撮影装置71が大型化するからである。3つ目の理由は、狭角レンズを使用するためである。狭角レンズは、光軸が被識別者8のアイリス7の中央から外れても広角レンズのようにアイリス画像が歪んだりせず、倍率の変動の少ない、解像度の高いアイリス画像が取得できる。しかしながら、狭角レンズは、長い焦点距離が必要である。そこで、本実施の形態では、反射光104を複数のミラーで反射させることによって、コンパクトな撮影装置71の内部で長い焦点距離を確保できるようにしている。しかも、撮影装置71は、反射光104の光路長を長くすることにより、狭角レンズを使用する場合でも、被識別者8の目10とハーフミラー91との間の距離を短くすることができる。そのため撮影装置71は発光素子89の照明強度を小さくすることができ、照明用の消費電力を少なくすることができる。また被識別者8が眼鏡をかけている場合に外来光が眼鏡に反射して、アイリス画像に映り込むことがある。このような場合、被識別者8は眼鏡を外してアイリスの撮影をしなければならなかった。しかし、こうした眼鏡に反射した外来光は、被識別者8の目10とハーフミラー91との間の距離を短くなることにより、カメラの撮影範囲に入らないようになる。したがって、撮影装置71は、被識別者8の目10とハーフミラー91との間の距離を短くすることにより、被識別者8が眼鏡を外さなくてもアイリスの撮影をすることができる。
またフロントカバー74の撮影部76とハーフミラー91の外形はともに円形となっている。撮影部76とハーフミラー91の外形がこのようになっているので、被識別者8がこれらを見るときに、被識別者8はこれらの外形の左右上下から均等の位置を目測することができる。そのため撮影装置71は、被識別者8が目の位置を位置合わせする際の精神的負担を小さくすることができる。
撮影装置71は自動焦点合せ機能を付加した構成にしてもよいし、付加していない構成にしてもよい。自動焦点合せ機能を付加した構成の撮影装置71は、被識別者8が自分の目がハーフミラー91の中央に映るように撮影装置71を動かすことによって焦点の合ったアイリス画像を取得することができる。自動焦点合せ機能を付加していない構成の撮影装置71は、被識別者8が自分の目がハーフミラー91の中央に映るように撮影装置71を動かした後に、モニター2に表示される画像を他方の目11で見ながら撮影装置71を目10に対して前後に動かすことによって焦点の合ったアイリス画像を取得することができる。自動焦点合せ機能を付加していない構成の撮影装置71は、このようにして焦点合わせができるので固定焦点レンズを使用することができ、装置を小型化することが可能である。
カメラの焦点がアイリス7に合ったときに被識別者8によってスイッチ72または73が押下されると、CPU35は、第1の実施の形態と同様に、アイリス画像を個人認識できる信号データに変換してメモリ36に記憶させる。このとき、CPU35は、撮影装置3から入力される複数フレームのアイリス画像をメモリ36に記憶させ続けておき、スイッチ5が押下されたことを検出すると、しばらくの間引き続きメモリ36にアイリス画像を記憶させ続けた後、メモリ36に記憶させた複数フレームのアイリス画像の中から登録または照合に用いるための条件を満たしているものを抽出し、それを個人認識できる信号データに変換してメモリ36に記憶させる。そして、CPU35は、登録スイッチ72が押下された場合はモニター2に登録済みのメッセージを表示して処理を終了し、照合スイッチ73が押下さらた場合は予め登録してあるアイリスのパターンデータをメモリから読み出し、今回登録したアイリスのパターンデータと照合して、照合結果のメッセージをモニター2に表示して処理を終了する。
(第5の実施の形態)次に第5の実施の形態を説明する。第5の実施の形態は、アイリスを撮影する撮影装置にポインティングデバイス(マウスやジョイスティック、感圧パネル等)を搭載したものである。図17、図18は第5の実施の形態の撮影装置を示す斜視図である。
図17、図18において、第5の実施の形態の撮影装置111では、撮影部76のフロントカバー74側に照明検出センサ112を配置している。照明検出センサ112は反射部82に配置されているので、アイリス撮影時に被写体から反射した発光素子89の光が照明検出センサ112に入力される。照明検出センサ112はフロントカバー74の内部に設けられている。
また把持部77のフロントカバー74側にはボールキャップ113が取付けられ、ボールキャップ113にはボール114が回転自在に配置されている。ボールキャップ113の上下部にはパット115が取付けられている。パット115は反射部82の表面との段差を調整するためのもので、パット115の表面は反射部82の面と同一平面状にある。これは、撮影装置111のフロントカバー74側を机に伏せてマウス動作を行なうときに、リアカバー75側を押してもがたつかないようにするためである。
リアカバー75には、右スイッチパット116と左スイッチパット117が設けられ、左右のスイッチパット116、117は後述するマウス動作の右スイッチおよび左スイッチを独立に押すことができるようにする。左右のスイッチパット116、117はそれぞれ支点118、119で回転でき、スイッチパット116、117の先端を押すことによりマウス動作の左右のスイッチを押すことができる。
また撮影装置111はケーブル120により外部装置に接続可能であり、ケーブル120はコネクタブロック121を有する。コネクタブロック121にはコネクタ122、123、124を有する。
図19は第5の実施の形態の撮影装置の構成を示すブロック図である。図19において、撮影装置111はカメラ部88、照明部90、照明検出センサ112、マウス部131および電源制御部132を有する。これら各部はコネクタを信号線を介してPCと接続できる。
マウス部131は、撮影装置111を任意の方向に移動させると、ボール114が撮影装置111の動きに同期して回転し、ボール114の回転量をX方向エンコーダ133とY方向エンコーダ134とで計測する。そのときの各方向の回転量あるいは回転量に関係した信号がマウスコネクタ135、信号線138およびコネクタ122を介して外部装置へ送られる。マウス部131は右スイッチ136および左スイッチ137を有し、これらのスイッチ136、137を押したときのオン/オフ信号もマウスコネクタ135、信号線138およびコネクタ122を介して外部装置へ送られる。
第5の実施の形態においては、アイリスを入力する場合、右スイッチ136を押下するとアイリス画像の登録を実行し、左スイッチ137を押下するとアイリス画像の照合を行なうように、外部装置(例えば、パソコン)に信号を送信する。なお、モニター2は、第4の実施の形態で説明したスイッチ72とスイッチ73が設けられた構成としてもよいし、これらが排除された構成としてもよい。
カメラ部88、照明部90および照明検出センサ112は電源制御部132に接続されている。照明検出センサ112は、被識別者8が撮影装置111を手に持ってアイリスを撮影する場合に、被識別者のアイリスまたは顔が照明部90からの光を受けて明るくなるので、この明るさを検出する。そして照明検出センサ112は検出信号を電源制御部132に送信する。逆に、照明検出センサ112は、被識別者8が撮影装置111を机においてマウスとして使用する場合に、照明部90からの光が入らないので明るさを検出しない。即ち、照明検出センサ112が明るさを検出したときはアイリス撮影を行なう場合であり、照明検出センサ112が明るさを検出しないときはマウス操作を行なっている場合である。電源制御部132は信号線138により照明検出センサ112に接続されている。電源制御部132は、照明検出センサ112からの信号によりカメラ部88と照明部90への入力電力をオン/オフ制御する。
電源制御部132は信号線139によりカメラ部88のCCDセンサ基板87に接続され、信号線140により照明部90の照明基板93に接続されている。また電源制御部132は電源コネクタ139を介してコネクタ124に接続されている。カメラ部88および照明部90は電源制御部132により電源が供給される。
電源制御部132は、CCDセンサ基板87と照明基板93への入力電圧が異なる場合に、外部装置から電源の供給を受け、電源をそれぞれの基板87、93の仕様の電圧に変換して基板87、93に供給する。そのため、電源制御部132は、外部装置の電源がACならばAC/DC変換部とDC/DC変換部の両方を備えた構成となる。なお、AC/DC変換部は、外部装置から電源制御部132にDCが供給される場合に不要となる。
カメラ部88はCCDコネクタ141が設けらている。CCDコネクタ141は信号線142によりCCDセンサ基板87に接続され、また信号線143によりコネクタ123に接続されている。即ち、CCDセンサ基板87から出力される画像信号はCCDコネクタ141を介してコネクタ123に送られる。
図20は第5の実施の形態において撮影装置をパソコン(PC)に接続したときのシステムブロック図である。
図20において、マウス部131に接続されたコネクタ122は、従来からあるマウスの信号線仕様に準拠しており、PC151のCPU152に接続されたマウス用信号線153と接続される。一方、カメラ部88に接続されたコネクタ123は、影像信号を出力するので、信号線155を介してPC151の画像入力部154に接続される。画像入力部154は、PC151がタワータイプやデスクトップタイプの場合、PC151本体のISAバスあるいはPCIバスと接続できるキャプチャボードに相当するものである。よって、画像入力部154は、コネクタ123の仕様を上記キャプチャボードで使用されているもの(例えばピンジャック、BNC等)と同じにしておくことで、同仕様の信号線155によりコネクタ123と接続できる。
また撮影装置111内の電源制御部132に接続されたコネクタ124は、信号線156により電源部157に接続されている。
CPU152は、信号線158によりモニター159に接続され、信号線160によりキーボード161に接続され、信号線162によりプリンタ163に接続されている。撮影装置111から入力される画像信号はCPU152で処理され、その処理結果がモニター159に出力表示される。また必要に応じてプリンタ163で印字出力される。
またCPU152は信号線164によりメモリ165に接続されている。メモリ165は被識別者のアイリス画像が登録されているとともに、新たに登録可能である。CPU152は画像入力部154で入力されたアイリス画像をメモリ165に登録する機能を有するとともに、新たに入力されたアイリス画像と登録済みのアイリス画像を照合して一致しているか否かを判断する機能を有する。
以上の構成を有する第5の実施の形態におけるアイリス画像の入力動作を説明する。登録または照合の入力はマウス部131の右スイッチ136または左スイッチ137によって行なう。第5の実施の形態は、登録または照合のためのアイリス画像の入力を撮影装置111に設けられた右スイッチ136または左スイッチ137を押すことによって行なうので、第4の実施の形態に比してさらに扱いが容易になっており、また撮影装置111に対する被識別者の目の位置がづれにくくなっている。
また第5の実施の形態は、アイリス画像を入力する際に、被識別者8が撮影装置111を手にとって机から離すと、照明検出センサ112は環境光の明るさを検出して電源制御部132に検出信号を送り、電源制御部132は照明部90に電源を供給する。これにより撮影装置111は、LED89が発光して、アイリスが撮影できるようになる。なお、第5の実施の形態におけるアイリスの撮影からアイリス画像の取得までの動作は、前記第4の実施の形態と同様である。取得されたアイリス画像は、PC151の画像入力部154に入力され、さらにCPU152で登録または照合に用いられる。
アイリスの撮影が終了すると、撮影装置111は例えば机の上に置かれる。このとき撮影装置111はフロントカバー74側を下に向けて置かれるので、フロントカバー74側が暗くなる。これを照明検出センサ112が検出し、電源制御部132に対して暗くなったことを示す信号を送る。これにより電源制御部132は照明部90への電源の供給を停止する。これにより消し忘れ等による不要な電力消費を防止することができる。
なお、明るさを検出する照明検出センサは第4の実施の形態の撮影装置71にも設けてもよいことはいうまでもない。
第5の実施の形態は、近年のPCがマウスを接続する構成のものが増えつつあり、マウスと撮影装置とを別々にPCに接続すると机の上の作業スペースが狭くなるという問題を解決するものである。即ち、第5の実施の形態は、撮影装置111にポインティングディバイスであるマウスの機能を追加したので、作業スペースを狭くすることなく、1つの装置でマウスによる作業とアイリス画像の入力作業を行なうことができるという効果を奏する。
図21、図22は第5の実施の形態の撮影装置の変形例を示す斜視図である。この変形例は、マウス部をフロントカバー側ではなく、リアカバー側に設けたものである。図21、図22において、撮影装置111は、リアカバー75の撮影部76側にボールキャップ113が設けられ、このボールキャップ113にボール114が回転可能に取付けられている。
ボール114をリアカバー75側に設けることにより、被識別者8は撮影装置111を手に持ってアイリスを撮影している状態でも指でボール114を回転させることができる。これにより、例えば、被識別者8は、撮影装置111を目10に向けたままの状態でボール114を指で動かしてモニター159に表示されたアイコンを選択し、アイリス画像入力装置に異なるアプリケーションを起動させることが可能となる。