JP3847745B2 - 核酸ハイブリッド形成の電気化学的検出 - Google Patents

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本発明は核酸のハイブリッド形成及び配列決定に関し、特に核酸のハイブリッド形成を定性的及び定量的に検出する方法並びに核酸の塩基配列決定法に関する。
DNAの突然発生の試料中の個々のDNA配列の検出は、遺伝子の同定、DNAのプロファイリング、及びDNA配列決定の新規なアプローチの基礎を提供する。DNAハイブリッド形成検出に対する一つのアプローチは、突然発生の試料中の配列への表面結合オリゴマーのハイブリッド形成を示す分析的応答を使用して分析されうる表面結合DNA配列の使用を含む。これらの分析方法は一般に、表面結合二重鎖中の単一塩基の不正対合に対し敏感でない、目的DNA鎖上の共有結合により結合されたラベルから発生するレーザ誘導蛍光を含む。例えば、Pirrung他へのアメリカ特許第5,143,854号及び5,405,783号;Fodor他のNature 364巻の55頁(1993年);BainsのAngew.Chem.107巻の356頁(1995年);及びNobleのAnalytical Chemistry 67(5)巻の201A頁(1995年)はこの応用のための外面又は”チップス(切れ端)”を示す。Hall他のBiochem. and Molec. Bio. Inter. 32(1) 巻の21頁(1994年)により提案された代わりの方法において、DNAハイブリッド形成は二重鎖DNAに対する比較として一本鎖DNAの酸化還元挙動の観測を含む電気化学的方法により検出された。この技術もまたDNA試料中の単一塩基不正対合に対し敏感でない。単一塩基不正対合を検出するための技術は、Nagai 他へのアメリカ特許第5,194,372号中に示されるような酵素による又は化学的な解裂検討を含む。しかし、これらの技術は、それらがより多い時間及び分離技術を必要とするかぎりにおいて有益ではない。
Mikkelson他へのアメリカ特許第5,312,527号は二重鎖核酸が酸化還元活性錯体に接触される、目的核酸を検出するためのボルタンメトリー配列選択的センサを記載する。その錯体は二重鎖DNAに対し非特異的に結合する。その錯体自身ボルタンメトリー信号を提供する酸化還元活性化合物であるため、その錯体は分析法において機能しない。
Hill他へのアメリカ特許第4,840,893号は配位子とアンチ配位子の間の競争的結合行動が順次電気化学的に検出される、核酸のための電気化学的分析を記載する。
従って、素早くて敏感であり、素早くオンライン適用されうる単一塩基対の不正対合を検出する方法を含む、DNAハイブリッド形成を検出する方法に対する技術的必要性が残されている。
一般に、本発明は、少なくとも一つの所定の塩基(例えば、アデニン、グアニン、6−メルカプトグアニン、8−オキソ−グアニン、及び8−オキソ−アデニン)を含む核酸の検出方法を提供する。その方法は、(a)核酸を、酸化還元反応で所定の塩基を酸化することのできる遷移金属錯体と反応する段階と;(b)酸化還元反応を検出する段階と;(c)所定の塩基での検出された酸化還元反応から核酸の存在若しくは不存在を決める段階とからなる。その方法の特定の実施例及び望まれる特定の目的に依存して、その発明は核酸がハイブリッド形成核酸を形成するために補足的な核酸と接触する段階を更に含む。
第一の様相として、本発明はDNAハイブリッド形成を検出する方法を提供する。その方法は、(a)ハイブリッド形成DNAを形成するためにDNA試料をオリゴヌクレオチドプローブと接触する段階と、(b)該オリゴヌクレオチドプローブは少なくとも一つの所定の塩基を有し、ハイブリッド形成DNAを、酸化還元反応で該オリゴヌクレオチドプローブ中の所定の塩基を酸化することのできる遷移金属錯体と反応する段階と、(c)酸化還元反応を検出する段階と、(d)所定の塩基での検出された酸化還元反応からハイブリッド形成DNAの存在又は不存在を決定する段階とを含む。以下詳細に検討されるように、酸化還元反応を検出する段階は、一般に所定の塩基からの電子の流れを測定することにより実施される。
第二の様相に従い、本発明はDNAハイブリッド形成を検出する別の方法を提供する。その方法は、(a)ハイブリッド形成DNAを形成するためにDNA試料をオリゴヌクレオチドプローブと接触する段階と、(b)オリゴヌクレオチドプローブは少なくとも一つの所定の塩基を有し、ハイブリッド形成DNAを、酸化還元反応で該オリゴヌクレオチドプローブ中の所定の塩基を酸化することのできる遷移金属錯体と反応する段階と、(c)酸化還元反応を検出する段階と、(d)検出された酸化還元反応の反応速度を測定する段階と、(e)測定された反応速度を一本鎖DNAとの遷移金属錯体の酸化還元反応の速度と比較する段階と、(f)測定された反応速度が一本鎖DNAとの遷移金属錯体の酸化還元反応の速度と実質的に同じであるか否かを決める段階を含む。
第三の様相に従い、本発明はDNAハイブリッド形成を検出するための装置を提供する。その装置は、(a)複数のDNA試料容器と、(b)該複数のDNA試料容器を運ぶための試料取扱手段と、(c)DNA試料容器のそれぞれにオリゴヌクレオチドプローブを配達するためのオリゴヌクレオチドプローブ配達手段と、(d)該複数のDNA試料容器のそれぞれに遷移金属錯体を配達するための遷移金属錯体配達手段と、(e)酸化還元反応を検出するための酸化還元反応検出器とを含む。
第四の様相に従い、本発明はDNAハイブリッド形成を検出するための第二の装置を提供する。その装置は、(a)DNA試料容器と、(b)DNA試料容器に複数のオリゴヌクレオチドプローブを配達するためのオリゴヌクレオチドプローブ配達手段と、(c)DNA試料容器に遷移金属錯体を配達するための遷移金属錯体配達手段と、(d)酸化還元反応を検出するための酸化還元反応検出器とを含む。
第五の様相に従い、本発明はDNAの配列決定法を提供する。その方法は、(a)オリゴヌクレオチドプローブは独特の酸化電位を有する所定の合成の塩基を含み、ハイブリッド形成DNAを形成するためにDNA試料を該オリゴヌクレオチドプローブと接触する段階と、(b)オリゴヌクレオチドプローブは所定数の所定の合成塩基を有し、ハイブリッド形成DNAを、酸化還元反応で該オリゴヌクレオチドプローブ中の所定の合成の塩基を酸化することのできる遷移金属錯体と反応する段階と、(c)酸化還元反応を検出する段階と、(d)検出された酸化還元反応の反応速度を測定する段階と、(e)所定の合成塩基と対にされた塩基を同定する段階とを含む。
本発明の前述及び別の様相は以下に設けられた詳細な記載中に詳細に説明される。
ここで使用される”核酸(nucleic acid)”の語はDNAとRNAの両方を含む何れかの核酸のことを言う。本発明の核酸は典型的にはポリヌクレイン酸、つまり、3’,5’ホスホジエステル結合により共有結合により結合された個々のヌクレオチドの高分子である。
ここで使用される”相補核酸(complementary nucleic acid)はハイブリッド形成核酸を作るために別の核酸と特異的に結合するオリゴヌクレオチドプローブを含む、何れかの核酸のことを言う。
”〜の存在若しくは不存在を決める”の表現は検出行動(例えば、DNAハイブリッド形成、RNAハイブリッド形成、目的核酸の検出等)の存在若しくは不存在を定性的に決定すること、及び定量的に決定することを含むことが意図される。
”ハイブリッド形成DNA(hybridized DNA)”及び”ハイブリッド形成核酸(hybridized nucleic acid)の語は二重鎖のDNA若しくは核酸を形成するためにハイブリッド形成される一本鎖DNA、又は三重ヘリックスDNA若しくは核酸を形成するためにハイブリッド形成される二重鎖DNA若しくは核酸のことを言う。
本発明の方法及び装置は時折ここでDNAに関して説明されるが、これは明確化を目的とするものであり、そして現発明の方法と装置はRNAのような他の核酸に適用されうることが理解されるべきである。
A.核酸増幅方法
本発明の工程はハイブリッド形成DNAを生産するためにオリゴヌクレオチドプローブへDNA試料を接触することを含むので、プローブと接触する前にDNAを増幅するための一定の適用が望ましい。選択された、若しくは目的の核酸配列の増幅は適当な手段により実施されうる。一般には、D. Kwoh及びT. KwohのAm. Biotechnol. Lab. 8巻の14−25頁(1990年)を参照のこと。適当な増幅技術の例は、限定はされないが、ポリメラーゼ連鎖反応(RNAに対する、逆転写酵素連鎖反応を含む)、リガーゼ連鎖反応、鎖置換増幅、転写酵素増幅(D,Kwoh他のProc. Natl. Acad Sci. USA 86巻の1173−1177頁(1989年)を参照)、自己支持配列複製(若しくは”3SR”)(J. Guatelli他のProc. Natl. Acad. Sci. USA 87巻の1874−1878頁(1990年)を参照)、Qβレプリカーゼシステム(P. Lizardi他のBiotechnology 6巻の1197−1202頁(1988年)を参照)、核酸配列ベース増幅(若しくは”NASBA”)(R. LewisのGenetic Engineering News 12(9)巻の1頁(1992年)、修復連鎖反応(若しくは”RCR”)(R. Lewisの上記のものを参照)、及びブーメランDNA増幅(若しくは”BDA”)(R. Lewisの上記のものを参照)を含む。適用生成物中に取り込まれる塩基は天然又は改良された塩基(増幅の前若しくは音に改良された)であり、続く電気化学的検出段階を最適にするために選択される。
ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)はまた公知の技術とともに実施される。例えば、アメリカ特許第4,683,195号;4,683,202号;4,800,159号;及び4,965,188号を参照のこと(ここに挙げられた全てのアメリカ特許の例の開示内容は例として組み込まれるべきものである。)。一般に、PCRは、初めに、各核酸の鎖に対して相補的である各プライマーの伸長生成物が合成されるように、ハイブリッド形成条件下で検出されるべき特異的な配列の各鎖に対する一つのオリゴヌレオチドプライマーと核酸試料(例えば、熱安定なDNAポリメラーゼの存在下)を処理し、ここでプライマーは、各プライマーから合成された伸長生成物がその補体から分離される時に他のプライマーの伸長生成物の合成のためのテンプレートといて働くことができるように、ハイブリッド形成する特異的な配列の各鎖に対して十分に相補的であり、そしてその後、配列若しくは検出されるべき配列が存在する場合にそれらのテンプレートからプライマー伸長生成物を分離するための変性条件下で試料を処理することを含む。これらの段階は望みの程度の増幅が得られるまで周期的に繰り返される。増幅された配列の検出は、反応生成物に対しハイブリッド形成することのでき、検出可能なラベルを保持するオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、本発明のオリゴヌクレオチドプローブ)を反応生成物に加え、その後公知の技術に従いそのラベルを検出することにより実施される。増幅されるべき核酸がRNAである場合、増幅は公知の技術に従う逆転写によりDNAへ初期転換することにより実施される。
鎖置換増幅(SDA)は公知の技術に従い実施される。一般には、G. Walker他のProc. Natl. Acad. Sci. USA 89巻の392−396頁(1992年);G. Walker他のNucleic Asids Res. 20巻の1691−1696頁(1992年)を参照のこと。例えば、SDAは単一の増幅プライマー又は一対の増幅プライマーを用いて実施され、後者と共に指数増幅が達成される。一般に、SDA増幅プライマーは、5’から3’の方向において、フランキング配列(重要でないDNA配列)、反応において使用される制限酵素のための制限部位、及び増幅及び/又は検出される目的配列に対しハイブリッド形成するオリゴヌレオチド配列(例えば、本発明のオリゴヌクレオチドプローブ)からなる。認識部位への制限酵素の結合を促進するために配され、制限部位がニッキングされた後DNAポリメラーゼのプライミング部位を提供するフランキング配列は好ましくは15から20ヌクレオチドの長さであり;制限部位はSDA反応中で機能的であり(即ち、非パリンドロミック認識部位の使用を通して満足される状態で、プライマーの鎖中に結合されたホスホロチオネート結合は続くニッキングを制限しない。);オリゴヌクレオチドプローブは好ましくは約13から15ヌクレオチドの長さである。
リガーゼ連鎖反応(LCR)もまた公知の技術に従い実施される。例えば、R. WeissのScience 254巻の1292頁(1991年)を参照のこと。一般に、一方の対は検出されるべき配列の一方の鎖に結合し、他方の対は検出されるべき配列の他方の鎖に結合する:オリゴヌクレオチドプローブの二つの対を用いて実施される。それぞれの対は共にそれが対応する鎖と完全に重なる。反応は初めに、検出されるべき配列の鎖を変性(例えば、分離)し、その後それぞれの対のオリゴヌクレオチドプローブが共に結合されるように鎖を熱安定なリガーゼの存在下で二対のオリゴヌクレオチドプローブと反応し、それから反応生成物を分離し、その後でその配列が望みの程度に増幅されるまでその工程を周期的に繰り返す。検出はPCRに関して上記したのと同様の方法でその後実施される。
B.オリゴヌクレオチドプローブ
上記のように、本発明の製造方法はDNAのハイブリッド形成の検出に有用である。製造方法の第一段階はハイブリッド形成DNAを形成するためにDNA試料をオリゴヌクレオチドプローブと接触させることを含む。本発明の方法において有用なオリゴヌクレオチドプローブは約4若しくは6の塩基と約80若しくは100の塩基若しくはそれ以上までとの間からなり、より好ましくは約8と約15塩基との間からなる何れかのプローブでありうる。オリゴヌクレオチドプローブは、この分野で良く知られる技術に従い広く多様な塩基配列の何れかを有して調製される。オリゴヌクレオチドプローブの調製に適当な塩基は、アデノシン、シトシン、グアニン、ウラシル、及びチミン等の天然に産するヌクレオチド塩基;並びに8−オキソ−グアニン、6−メルカプトグアニン、4−アセチルシチジン、5−(カルボキシヒドロキシエチル)ウリジン、2’−O−メチルシチジン、5−カルボキシメチルアミノ−メチル−2−チオリジン、5−カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ジヒドロウリジン、2’−O−メチルプスードウリジン、β,D−ガラクトシルケオシン、2’−O−メチルグアノシン、イノシン、N6−イソペンテニルアデノシン、1−メチルアデノシン、1−メチルプスードウリジン、1−メチルグアノシン、1−メチルイノシン、2,2−ジメチルグアノシン、2−メチルアデノシン、2−メチルグアノシン、3−メチルシチジン、5−メチルシチジン、N6−メチルアデノシン、7−メチルグアノシン、5−メチルアミノメチルウリジン、5−メトキシアミノメチル−2−チオウリジン、β,D−マンノシルケオシン、5−メトキシカルボニルメチルウリジン、5−メトキシウリジン、2−メチルチオ−N6−イソペンテニルアデノシン,N−((9−β−D−リボフラノシル−2−メチルチオプリン−6−イル)カルバモイル)トレオニン、N−((9−β−D−リボフラノシルプリン−6−イル)N−メチル−カルバモイル)トレオニン、ウリジン−5−オキシアセチック アシッド メチルエステル、ウリジン−5−オキシアセチック アシッド、ウィブトキソシン(wybutoxosine)、プスードウリジン、ケオシン、2−チオシチジン、5−メチル−2−チオウリジン、2−チオウリジン、2−チオウリジン、5−メチルウリジン、N−((9−β−D−リボフラノシルプリン−6−イル)カルバモイル)トレオニン、2’−O−メチル−5−メチルウリジン、2’−O−メチルウリジン、ウィブトシン(wybutosine)、及び3−(3−アミノ−3−カルボキシプロピル)ウリジン等の天然に存在しない又は”合成”のヌクレオチド塩基から選択される。オリゴヌクレチドのバックボーンは、DNA、RNA(RNAはDNAより好ましくないが)、カルボサイクル等の改良糖、及びフルオロ及びメトキシ等の2’置換を含む糖を含んで使用される。オリゴヌクレオチドは、少なくとも一つ、若しくは全てのヌクレオチド間結合ホスフェート残基が、メチルホスホネート、メチルホスホノチオエート、ホスホロモルホリデート、ホスホロピペラジデート及びホスホラミデート等(例えば、一つおきのヌクレオチド間結合ホスフェート残基が記載されたように改良される)の改良されたホスフェートであるオリゴヌクレオチドである。オリゴヌクレオチドはP. Nielsen他のScience 254 巻の1497−1500頁(1991年)に記載されたように”ペプチド核酸”である。オリゴヌクレオチドプローブは、少なくとも一部が少なくともDNA試料の配列の公知の一部の結合することのできる配列を保持することのみが必要である。それは、異なる塩基配列を有する数多くのオリゴヌクレオチドプローブとDNA試料を結合する幾つかの応用(例えば、二若しくはそれ以上の目的核酸が試料中に有る場合、又は単一の目的核酸が”サンドイッチ”分析中で二若しくはそれ以上のプローブにハイブリッド形成される場合)において望ましい。
C.ハイブリッド形成の方法論
DNA(若しくは核酸)試料は当業者に知られた適当な方法でオリゴヌクレオチドプローブと接触される。例えば、DNA試料は溶液中に溶解され、ハイブリッド形成を許す条件の下、DNA試料を含む溶液中にオリゴヌクレオチドプローブを溶解することによりオリゴヌクレオチドプローブと接触される。適当な条件は当業者にとって公知であり(例えば、Falkow他へのアメリカ特許第4,358,535号及び同様の物を記載する他のアメリカ特許例を参照のこと)、高い塩濃度条件を含む。他に、DNA試料は固体支持体上に固定されたオリゴヌクレオチドプローブと共に溶液中に溶解され、DNA試料はその上に固定されたオリゴヌクレオチドプローブを有する固体支持体をDNA試料を含む溶液中に浸すことによりオリゴヌクレオチドプローブと接触される。
D.酸化剤及び酸化還元反応
ハイブリッド形成段階は酸化段階に進むとき、ハイブリッド形成の後、ハイブリッド形成DNA(若しくは核酸)は酸化還元反応でオリゴヌクレオチドプローブ中の所定の塩基の酸化をすることのできる適当な酸化剤と反応される。所定の塩基は、選択された酸化剤との反応で酸化を受けるオリゴヌクレオチドプローブ中の天然に産するか又は合成のヌクレオチド塩基でありうる。所定の塩基は、所定の塩基が対にされないときに比べて対にされるときに独特の酸化速度を示す。所定の塩基は、4種の天然発生の塩基のそれぞれと対にされるとき、独特の酸化速度を示す。一般に、5’−モノヌクレオチド(例えば、5’−デオキシリボヌクレオチド又は5’−リボヌクレオチド)の塩基は触媒反応を使用して検出可能な10−1−1以上の速度定数を示す。適当な所定の塩基の例は、限定はされないが、グアニン、アデノシン、8−オキソ−グアニン、及び8−オキソ−アデノシン、8−ブロモ−グアニン、グアノシン、キサントシン、ウィオシン、プスードウリジン、6−メルカプトグアニン、8−メルカプトグアニン、2−チオキサンチン、6−チオキサンチン、6−メルカプトプリン、2−アミノ−6−カルボキシメチル−メルカプトプリン、2−メルカプトプリン、6−メトキシプリン、2−アセチルアミノ−6−ヒドロキシプリン、6−メチルチオ−2−ヒドロキシプリン、2−ジメチルアミノ−6−ヒドロキシプリン、2−ヒドロキシプリン、2−アミノプリン、6−アミノ−2−ジメチルアリル−プリン、2−チオアデニン、8−ヒドロキシアデニン、8−メトキシアデニンを含む。典型的には、所定の塩基は、グアニン、アデノシン、6−メルカプトグアニン、8−オキソ−グアニン、及び8−オキソ−アデニンからなる群より選択され、グアニンは現在好ましい天然に産する所定の塩基であり、6−メルカプトグアニンが現在好ましい合成による所定の塩基である。
酸化剤は、独特の酸化電位で所定の塩基と反応性を持つカチオン性、アニオン性、若しくはツヴィッターイオン性分子等の電荷を持つ分子である。従って、酸化剤の選択は選択された特異な所定の塩基に従い、当業者により素早く決定可能である。特に好ましい酸化剤は、触媒サイクルを完成して、金属錯体の還元された形態が再生されるような所定の塩基との金属−DNA電子移動の可能な遷移金属錯体を含む。本発明の方法にとって適当な遷移金属錯体の例は、例えば、ルテニウム2+(2,2’−ビピリジン)(”Ru(bpy) 2+”),ルテニウム2+(4,4’−ジメチル−2,2’−ビピリジン)(”Ru(Me−bpy) 2+”),ルテニウム2+(5,6−ジメチル−1,10−フェナントロリン)(”Ru(Me−phen) 2+”),鉄2+(2,2’−ビピリジン)(”Fe(bpy) 2+”),鉄2+(5−クロロフェナントロリン)(”Fe(5−Cl−phen) 2+”),オスミウム2+(2,2’−ビピリジン)(”Os(bpy) 2+”),オスミウム2+(5−クロロフェナントロリン)(”Os(5−Cl−phen) 2+”),ジオキソルテニウム1+ホスフィン、及びジオキソルテニウム1+ピリジン(”ReO(py) 1+”)と含む。酸化剤として有用なアニオン性錯体は:Ru(bpy)((SO−bpy) 2-及びRu(bpy)((CO−bpy) 2-であり、酸化剤として有用なツヴィッターイオン性錯体は、(SO−bpy2-が4,4’−ジスルホナト−2,2’−ビピリジンであり、(CO−bpy2−が4,4’−ジカルボキシ−2,2’−ビピリジンである、Ru(bpy)((SO−bpy)及びRu(bpy)((CO−bpy)である。ピリジン、ビピリジン及びフェナントロリンの適当な置換誘導体もまた前記の金属の何れかとの錯体中で使用される。適当な置換誘導体は、限定はされないが、4−アミノピリジン、4−ジメチルピリジン、4−アセチルピリジン、4−ニトロピリジン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビピリジン、5,5’−ジアミノ−2,2’−ビピリジン、6,6’−ジアミノ−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジエチレンジアミン−2,2’−ビピリジン、5,5’−ジエチレンジアミン−2,2’−ビピリジン、6,6’−ジエチレンジアミン−2,2’−ビピリジン、4,4’−ジヒドロキシル−2,2’−ビピリジン、5,5’−ジヒドロキシル−2,2’−ビピリジン、6,6’−ジヒドロキシル−2,2’−ビピリジン、4,4’,4”−トリアミノ−2,2’,2”−ターピリジン、4,4’,4”−トリエチレンジアミン−2,2’,2”−ターピリジン、4,4’,4”−トリヒドロキシ−2,2’,2”−ターピリジン、4,4’,4”−トリニトロ−2,2’,2”−ターピリジン、4,4’,4”−トリフェニル−2,2’,2”−ターピリジン、4,7−ジアミノ−1,10−フェナントロリン、3,8−ジアミノ−1,10−フェナントロリン、4,7−ジエチレンジアミン−1,10−フェナントロリン、3,8−ジエチレンジアミン−1,10−フェナントロリン、4,7−ジヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、3,8−ジヒドロキシ−1,10−フェナントロリン、4,7−ジニトロ−1,10−フェナントロリン、3,8−ジニトロ−1,10−フェナントロリン、4,7−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、3,8−ジフェニル−1,10−フェナントロリン、4,7−ジスペラミン−1,10−フェナントロリン、3,8−ジスペラミン−1,10−フェナントロリン、及びジピリド〔3,2−a:2’,2’−c〕フェナジンを含む。
酸化剤は、所定の塩基との酸化剤の酸化還元反応を達成するために、適当な技術に従いハイブリッド形成DNAと反応される。必要とされることの全ては、酸化剤は所定の塩基の選択的な酸化を達成するのに効果的な条件の下でハイブリッド形成DNAと反応されることである。例えば、遷移金属は、酸化剤と所定の塩基との間の酸化還元反応は起こさせるのに十分な条件の下で、溶解されたハイブリッド形成DNAを含む溶液中に酸化剤を溶解することにより溶解されたハイブリッド形成DNAと反応される。他に、DNAが固体支持体上に固定された実施例においては、同じ固体支持体上に酸化剤を固定し、その固体支持体を酸化剤と所定の塩基の酸化還元反応を起こさせるのに十分な条件の下でその溶液中に浸すことにより酸化剤はハイブリッド形成DNAと反応される。その酸化還元反応は生じる溶媒はDNAを溶解するのに適当な溶剤であり、好ましくは水からなる。酸化還元反応を起こさせるのに適当な条件は当業者に知られている。
ハイブリッド形成DNA又は核酸において、酸化剤はDNAの小さい溝中で結合し、所定の塩基と酸化剤の間の密接な接触は二重(若しくは三重)らせんの独特の構造により妨げられる。所定の塩基残基のこの防御は、電子移動の速度を減じる溶媒を通した電子のトンネリングの必要をもたらす。溶媒の到達しやすさは所定の塩基と対にされるヌレオチド塩基の性質と共に変化する。そのトンネリング距離は式:
k/kss=exp(−βΔr)
に従い評価されえて、ここで、Δrは一本鎖と比較した二重鎖における距離の変化であり、kssは一本鎖DNA試料における所定の塩基の酸化に対する速度定数である。即ち、所定の塩基と酸化剤の間のトンネング距離は各塩基対合に対して及び不対DNAに対して異なる。従って、電子移動速度定数は対となった(若しくは不正対合された)塩基の同一性を示す。電子移動に対する駆動力が再配列エネルギ(λ)より大きくないとすると、反応物の接近と結合された仕事項で補正された、駆動力に対するRTlnkのプロットは、マーカス理論に従い、1/2の傾きを持つ直線を形成する。マーカス理論に基づくと、絶対速度定数は以下の式:
k=νexp[−β(r−r)]exp[−(ΔG+λ)/4λRT]
に従い計算されえて、ここで、νは拡散律速における速度定数(1011−1−1)であり、rは活性化された錯体中の反応物と生成物の間の距離であり、rは反応物と生成物の最も近接した距離であり、βは介在する媒体の影響である。上記のように、所定の塩基はハイブリッド形成DNAの内部に取り込まれているので、このことは電子が超えて酸化剤へとトンネリングすべき有限の距離を負わせる。即ち、rはrと等しくない。水に対するβは約3A−1である。βに対するこの比較的大きな値は、電子移動速度定数における大きな変化がトンネリング距離のとても小さな変化によってもたらされるであろうことを示す。所定の塩基と、所定の塩基と対にされた塩基との間のDNAのコンフォメーションは所定の塩基と対にされた塩基に依存し、所定の塩基と対にされた塩基は電子が所定の塩基と酸化剤の間をトンネリングしなければならないトンネリング距離に影響する。トンネリング距離と所定の塩基と対にされた特定の塩基の間の相関がそのために確立される。
E.酸化還元反応の検出
酸化還元反応の生起は当業者に知られた適当な手段に従い検出される。例えば、酸化還元反応の生起は、酸化還元反応の生起を示す電気的信号における変化を観測するための検出電極を使用して検出される。典型的には、酸化剤とハイブリッド形成DNAの間の電子移動に対して敏感な検出電極が反応ハイブリッド形成DNA及び酸化剤を含む溶液と接して設置される。一般に、参照電極及び補助電極もまた検出電極と共にその溶液中と接して設置される(殆どの電流は補助電極を通る)。適当な検出電極は当業者によく知られ、例えばガラス状カーボン電極又はインディウム チン オキサイド電極を含む。同様に、適当な参照電極もまた当業者によく知られ、例えば銀/塩化銀電極を含む。
酸化還元反応に伴われた電気信号の検出はハイブリッド形成DNAの存在又は不存在の決定を可能にする。ハイブリッド形成DNAの存在又は不存在の決定段階は、典型的には(i)酸化還元反応の反応速度を測定する段階と、(ii)測定された反応速度を、一本鎖DNAとの遷移金属錯体の酸化還元反応速度と比較する段階と、(iii)測定された反応速度が一本鎖DNAとの遷移金属錯体の酸化還元反応速度と実質的に同じであるか否かを決める段階とを含む。反応速度を測定する段階は適当な手段により実施される。例えば、相対反応速度は、掃引速度、プローブ濃度、目的物濃度、媒剤、緩衝液、温度、及び/又は電気化学的方法の関数として電流を比較することにより決められる。
酸化還元反応速度は当業者に知られた適当な手段に従い測定される。典型的には、酸化還元反応速度は酸化還元反応の生起に結合された電気信号の測定により測定される。例えば、酸化還元反応に結合された電気信号は、検出電極との電気的伝達における適当な装置を提供することにより測定される。適当な装置は、ハイブリッド形成DNAと酸化剤との反応の酸化還元反応速度の測定を提供するために発生される電気信号を測定することができる。電気信号はサイクリックボルタンメトリー、通常のパルスボルタンメトリー、クロノアンペロメリー、及び矩形波ボルタンメトリーを含む電気化学的方法の何れかに特異的なものであり、サイクリックボルタンメトリーは最近好まれている形態である。
測定された反応速度はその後一本鎖DNAとの遷移金属錯体の知られた酸化還元反応速度と比較される。既に詳細に検討たように、ハイブリッド形成若しくは一本鎖のDNAに何れにおいても、酸化剤と所定の塩基との間のトンネリング距離は、酸化剤と所定の塩基との間の反応の酸化還元反応速度に影響する。従って、ハイブリッド形成DNAは一本鎖のDNAに比べ異なる酸化還元反応速度を示す。所定の塩基でのハイブリッド形成DNAの存在若しくは不存在は、測定された酸化還元反応速度が、酸化剤と一本鎖DNA中の所定の塩基との酸化還元反応速度と同じものであるか否かを決めることにより決定されうる。更に、酸化剤と所定の塩基との間のトンネリング距離は、各可能な塩基対合が他のものから区別されるような所定の塩基とその相手との間の結合距離に従って異なる。所定の塩基とその塩基対との間の結合距離は所定の塩基と対にされる塩基に依存する。例えば、アデノシンと対にされたグアニンの酸化に対する酸化還元速度はシトシンと対にされたグアニンの酸化に対する酸化還元速度と異なり、次にそのシトシンと対にされたグアニンの酸化に対する酸化還元速度はグアニンと対にされたグアニンの酸化に対する酸化還元速度と異なり、またグアニンと対にされたグアニンの酸化に対する酸化還元速度はチミンと対にされたグアニンの酸化に対する酸化還元速度と異なる。特に、グアニンの酸化に対する酸化還元速度は、一本鎖のグアニンはアデノシンと対にされたグアニンより大きく、アデノシンと対にされたグアニンはグアニンと対にされたグアニンより大きく、グアニンと対にされたグアニンはチミンと対にされたグアニンより大きく、チミンと対にされたグアニンシトシンと対にされたグアニンより大きいという傾向に従う。従って、本発明の方法は所定の塩基又は所定の塩基に隣接する塩基対での単一塩基対の不正対合を検出に有用である。
好都合なことに、多様な天然発生の塩基のそれぞれと対にされた場合の所定の塩基の酸化の酸化還元反応速度間の差異はまた、所定の塩基と対にされた塩基の同定を可能にする。所定の塩基と対にされた塩基は(i)検出された酸化還元反応の反応速度を測定し、(ii)測定された反応速度を、所定の塩基と結合されたアデノシン、シトシン、グアニン、若しくはチミンを有するDNAと酸化剤の4つの異なる公知の酸化還元反応速度のそれぞれと比較し、(iii)公知の反応速度のどれが測定された反応速度と実質的に同じであるかを決めることにより同定される。反応速度は上記の技術に従い測定される。同様に、所定の塩基と結合されたアデノシン、シトシン、グアニン、若しくはチミンを有するDNAと酸化剤の4つの異なる酸化還元反応のそれぞれの反応速度はこれらの反応速度が知られているような同じ技術に従い測定される。ハイブリッド形成DNAとの酸化剤の酸化還元反応の測定された反応速度はその後、所定の塩基と結合されたアデノシン、シトシン、グアニン、若しくはチミンを有するDNAと酸化剤の公知の酸化還元反応速度公知と比較される。例えば、所定の塩基と対にされた塩基は、測定された酸化還元反応速度と実質的に同じである酸化還元反応速度を有する公知の塩基対合を決めることにより決定される。
F.DNA配列決定
本発明は、(a)オリゴヌクレオチドプローブは独特の酸化電位を有する所定の合成塩基を含み、ハイブリッド形成DNAを形成するためにDNA試料を該オリゴヌクレオチドプローブと接触する段階と、(b)オリゴヌクレオチドプローブは所定数の所定の合成塩基を有し、ハイブリッド形成DNAを、酸化還元反応で該オリゴヌクレオチドプローブ中の所定の合成塩基を酸化することのできる遷移金属錯体等の酸化剤と反応する段階と、(c)酸化還元反応を検出する段階と、(d)検出された酸化還元反応の反応速度を測定する段階と、(e)所定の合成塩基と対にされた塩基を同定する段階とからなるDNAの配列決定方法も提供する。
ここまでに検討された方法に従い、DNA試料は、当業者に知られえた技術に従い、オリゴヌクレオチドプローブと接触する段階の前に増幅される。合成塩基はここまでに記載された塩基の群、及び当業者に知られた他の合成塩基から選択される。合成塩基は4つの天然発生の塩基、即ちアデノシン、シトシン、グアニン、及びチミンの酸化電位と比較して独特の酸化電位を有する必要があることが唯一の制限である。ハイブリッド形成DNAを酸化剤と反応し、酸化還元反応を検出し、反応速度を測定するオリゴヌクレオチドプローブとDNA試料を接触する段階は、ここまでに記載されたように実施される。所定の合成塩基と対にされた塩基を同定する段階は、(i)測定された反応速度を、所定の合成塩基と結合されたアデノシン、シトシン、グアニン、若しくはチミンを有するDNAと酸化剤の4つの異なる公知の酸化還元反応速度のそれぞれと比較する段階と、(ii)公知の反応速度の中で測定された反応速度と実質的に同じものを決める段階とを含む。
別の実施例において、オリゴヌクレオチドプローブは第二の所定の合成塩基を更に含む。第二の所定の合成塩基は、第一の所定の合成塩基の酸化電位と異なる独特の酸化電位を有する。この実施例において、所定の塩基と酸化剤の酸化還元反応を検出する段階は、同様の第二の所定の合成塩基と酸化剤の酸化還元反応を検出する段階を更に含む。加えて、酸化還元反応速度の測定段階は、同様の酸化剤による第二の所定の塩基と酸化の酸化還元反応速度の測定を含む。更に、所定の合成塩基と対にされた塩基を同定する段階は、同様の第二の所定の合成塩基と対にされた塩基を同定する段階を更に含む。この実施例に従い、両方の所定の塩基の酸化還元反応が検出され、結局、各所定の合成塩基と対にされた塩基がここまでに記載の方法を用いて同定される。当業者にとって明らかであるように、各所定の合成塩基は他の全ての所定の合成塩基の酸化電位と異なり、そして4種の天然発生の塩基のそれぞれの酸化電位と異なる独特の酸化電位を示す場合、前記の方法は2以上の所定の合成塩基を用いて実施される。所定の塩基と対にされた各塩基がここに記載の方法に従い同定されるのみではなく、DNAは、DNA試料中の各塩基を同定するための異なる部位に所定の合成塩基を有する十分な数の異なるオリゴヌクレオチドプローブを用いて前記の方法の段階を繰り返すことにより配列決定される。言い換えると、DNA試料は、各プローブ配列が少なくとも一の所定の合成塩基を含み、その合成塩基は各オリゴヌクレオチドプローブ中でプローブ配列に沿って異なりそして計算された部位に置かれる、十分な数のオリゴヌクレオチドプローブを提供することにより配列決定される。この方法では、酸化剤とのハイブリッドDNAの酸化還元反応の繰り返しの検出、酸化還元反応速度の測定、及び所定の合成塩基と対にされた塩基の同定がDNA試料の配列の塩基対塩基の同定をもたらす。
G.装置
本発明はまた、本発明の方法を実施するのに有用な装置を提供する。一のかかる例証としての装置が図3に模式的に示される。一般に、装置は多数のDNA試料容器10からなる。駆動アセンブリ11は多数のDNA試料容器を運ぶ試料取扱手段として配される。液体貯蔵器12、供給ライン13及びバルブ14は各DNA試料容器にオリゴヌクレオチドプローブを配達するためのオリゴヌクレオチドプローブ配達手段として配され、対応する液体貯蔵器15、供給ライン16及びバルブ17は多数のDNA試料容器のそれぞれに遷移金属錯体を配達するための酸化剤配達手段として配される。駆動装置21及びプローブ22を含むプローブアセンブリ20は酸化還元反応を検出するための酸化還元反応検出手段として配される。操作中、DNA試料は試料容器10中に事前堆積される。駆動アセンブリ11はその後、試料容器10を連続的にオリゴヌクレオチドプローブ配達手段及びそれぞれの試薬をその中に配達するための酸化剤配達手段の下方に輸送する。試薬配達後、それぞれの試料容器は駆動手段によりプローブ22の下方の位置まで進められ、プローブ22は酸化還元反応の検出のために駆動装置21により試料容器中に前進される。サイクリックボルタモグラムに実施に必要な付加電極がプローブ22とともに運ばれる。多様な構成要素の操作及びデータの収集は一般用途のコンピュータ上をランするソフトウェアプログラム等の適当なコントローラ30を用いて実施される。
前記装置多くの変化はもちろん等業者にとって明白である。多数のDNA試料容器は等業者に知られた適当な容器であり、DNA試料を含むことのできるマイクロタイタープレート、試験管、ペトリ皿、培養バイアル、固体支持体等を含む。試料取扱手段は、DNA試料容器を運ぶことのできる、当業者に知られた適当に設計された試料容器の取扱手段である。
各DNA試料容器にオリゴヌクレオチドプローブを配達するための適当なオリゴヌクレオチドプローブ配達手段はこの分野で良く知られている。例えば、一の実施例に従い、オリゴヌクレオチドプローブ配達手段はその上にオリゴヌクレオチドプローブは固定される固体支持体からなる。このオリゴヌクレオチドプローブ配達手段は、DNA試料とオリゴヌクレオチドプローブのハイブリッド形成をもたらす適当な条件下でのDNA試料とオリゴヌクレオチドプローブとの間の十分な接触を可能にする必要がある。多数のDNA試料容器のそれぞれに酸化剤を配達するための適当な酸化剤配達手段はこの分野で良く知られている。例えば、一の実施例に従い、酸化剤は酸化剤配達手段からなる固体支持体に取り付けられる。酸化還元反応を検出する酸化還元反応検出器は、一の実施例に従い所定の塩基の酸化を検出することのできる一若しくはそれ以上の電極からなる。適当な検出電極及び参照電極は本発明の方法への例と共にここまでに記載される。好ましくは、電極は酸化還元反応の酸化還元反応速度を測定する手段を用いた電気的伝達の中にある。酸化還元反応速度を測定する適当な手段はここまでに記載されたように当業者に知られている。
本発明の装置の別の実施例において、DNAハイブリッド形成検出の装置は、(a)DNA試料容器と;(b)DNA試料容器に複数のオリゴヌクレオチドプローブを配達するためのオリゴヌクレオチドプローブ配達手段と;(c)DNA試料容器に酸化剤を配達するための酸化剤配達手段と;(d)酸化還元反応を検出するための酸化還元反応検出器とからなる。この装置は、その開示内容がここで例として完全に取り込まれる、Pirrung他へのアメリカ特許第5,143,854号及び第5,405,783号; Fodor他のNature 364巻の555頁(1993年);BainsのAngew. Chem. 107巻の356頁(1995年);及びNoble のAnalytical Chemistry 67(5)巻の21頁(1995年)に記載される等の固定されたプローブを用いた使用に適合される。
上記のように、DNA試料容器は当業者に知られた適当な容器である。オリゴヌクレオチドプローブ配達手段は好ましくはその上に固定された多数のオリゴヌクレオチドプローブを有する固体支持体であり、それはDNA試料容器へプローブを配達することができる。例えば、一の実施例に従い、その上に固定された多数のオリゴヌクレオチドプローブを有する固体支持体は、DNA試料の一若しくはそれ以上のオリゴヌクレオチドプローブとのハイブリッド形成を可能にするのに十分な条件下でDNA試料容器内でDNA試料と接触される。
DNA試料容器に酸化剤を配達するための適当な酸化剤配達手段はここまでに記載される。好ましい酸化剤配達手段はその上に固定された酸化剤を有する固体支持体からなる。一の実施例に従い、酸化剤及び多数のオリゴヌクレオチドプローブは同じ固体支持体上に固定される。
本発明に従う装置はDNA試料の変化の診断的な分析を行なうのに有用である。多数のオリゴヌクレオチドプローブは単一試料内での多様なDNAの分析と検出を可能とし、そのため、病原やウイルス等を含むDNAの変化に対する単一試料のスクリーニングに有用な道具を提供する。
H.RNAハイブリッド形成検出、RNA配列決定及びRNA不正対合検出
ここではまた、RNAハイブリッド形成検出法、RNA配列決定法及びRNA不正対合検出法が開示される。かかる方法の実施に有用なRNAは、限定は去れないがリボソームRNA、転移RNA若しくは病原RNA(例えば、レトロウイルス、HIV−1他等のRNAウイルスから得られたRNA)を含む。本発明の第一の様相は、従って、(a)ハイブリッド形成RNAを形成するためにRNA試料をオリゴヌクレオチドプローブと接触する段階と;(b)該オリゴヌクレオチドプローブは少なくとも一つの所定の塩基を有し、ハイブリッド形成RNAを、酸化還元反応で該オリゴヌクレオチドプローブ中の所定の塩基を酸化することのできる遷移金属錯体と反応する段階と;(c)酸化還元反応を検出する段階と;(d)所定の塩基での検出された酸化還元反応からハイブリッド形成RNAの存在又は不存在を決定する段階とからなるハイブリッド形成RNAを検出する方法である。
さらに限定すると、ハイブリッド形成RNAを検出する方法は、(a)ハイブリッド形成RNAを形成するためにRNA試料をオリゴヌクレオチドプローブと接触する段階と、(b)オリゴヌクレオチドプローブは少なくとも一つの所定の塩基を有し、ハイブリッド形成RNAを、酸化還元反応で該オリゴヌクレオチドプローブ中の所定の塩基を酸化することのできる遷移金属錯体と反応する段階と、(c)酸化還元反応を検出する段階と、(d)検出された酸化還元反応の反応速度を測定する段階と、(e)測定された反応速度を一本鎖RNAとの遷移金属錯体の酸化還元反応の速度と比較する段階と、(f)測定された反応速度が一本鎖RNAとの遷移金属錯体の酸化還元反応の速度と実質的に同じであるか否かを決める段階とからなる。
RNA配列決定の方法は、(a)オリゴヌクレオチドプローブは独特の酸化速度を有する所定の塩基を含み、ハイブリッド形成RNAを形成するためにRNA試料を該オリゴヌクレオチドプローブと接触する段階と、(b)オリゴヌクレオチドプローブは所定数の所定の塩基を有し、ハイブリッド形成RNAを、酸化還元反応で該オリゴヌクレオチドプローブ中の所定の塩基を酸化することのできる遷移金属錯体と反応する段階と、(c)酸化還元反応を検出する段階と、(d)検出された酸化還元反応の反応速度を測定する段階と、(e)所定の合成塩基と対にされた塩基を同定する段階とからなる。 オリゴヌクレオチドプローブ、ハイブリッド形成の方法論、酸化剤、酸化還元反応の検出、及びこれらの方法の実施に有用な装置は上記セクションA−H中に実質的に示されており、当業者に知られた原則(例えば、ウラシルを塩基であるチミンに置き換える)に従い核酸試料としてRNAを用いた使用に対し適用される。
I.目的核酸上の所定の塩基の検出
既に特に記載された方法において、金属錯体は一本の及び二本鎖のDNA又は核酸から電気化学的電流を得るために使用される。グアニン等の所定の塩基は電気的信号を与え、この信号は二重鎖DNAに対してよりはるかに弱い。かかる方法は高い構造的感応を有効に示し、単一塩基不正対合を識別することができる。かかる方法はそのため、DNAの配列決定に対し特に有用である。しかし、かかる方法の二つの欠点は:(a)プローブの鎖からハイブリッドへ進む上で負の信号があること、及び(b)信号の増幅が無いことである。以下の技術はこれらの問題の解決を提供する。加えて、以下の技術は診断的な分析に対し特に有用であり、核酸の定量的な検出に対し特に有用である。
前記した観点において、ここでも開示されるのは、目的核酸が少なくとも一の所定の塩基を含み、同じものを含むと推定される試験試料中での目的核酸の存在と不存在を検出する方法である。上記方法と反対に、本発明においては所定の塩基はオリゴヌクレオチドプローブ上よりむしろ、目的核酸上に置かれる。
その方法は目的核酸を含む試験試料上で実施される。(限定されないが)生検試料等の組織試料並びに血液、痰、尿及び精液試料等の生物学的液体、バクテリア培養、土壌試料、食物試料他を含む、目的核酸を含むと推定される何れかの試験試料が用いられる。目的核酸は、試験の特定の目的に従って、動物、植物若しくは微生物の(例えば、ウイルス、プロカリオチック及びユーカリオチックバクテリア、原生動物、菌類、プロトクチスタ他)を含む何れかの起源ものである。試料は本方法の実施の前に当業者に知られた明確な技術に従い処理又は精製され;望みであるなら、核酸は本方法が実施される前にそこで消化され、砕かれ及び/又は増幅(上記参照)される。
図4に模式的に示されるように、方法は、(a)ハイブリッド形成核酸を形成するために目的核酸と特異的に結合するオリゴヌクレオチドプローブに試験試料を接触する段階と;(b)ハイブリッド形成核酸を、酸化還元反応で所定の塩基を酸化する遷移金属錯体に接触する段階と;(c)ハイブリッド形成核酸と結合された酸化還元反応の存在若しくは不存在を検出する段階と;(d)所定の塩基での検出された酸化還元反応から試験試料中の目的核酸の存在若しくは不存在を決める段階とからなる。図4に示されたように、オリゴヌクレオチドプローブは、検出段階の前に生じる分離段階を伴い(例えば、段階(a)と(b)の間又は段階(b)と(c)の間)、ハイブリッド形成核酸からの試験試料の分離を促進するために固体支持体上に固定される。更に、オリゴヌクレオチドプローブは、溶液、及び(例えば、オリゴヌクレオチドプローブと結合する媒介物質により、又はビオチンがオリゴヌクレオチドプローブに結合され、アビジンが固体支持体上に固定されるビオチン−アビジン結合相互作用により)試料からハイブリッド形成核酸分離するために提供された他の手段の中で自由に提供される。
好ましくは、目的核酸はオリゴヌクレオチドプローブが含むより少なくとも10以上多い所定の塩基を含み、又はより好ましくはオリゴヌクレオチドプローブが含むより少なくとも50若しくは100以上多い所定の塩基を含む。目的核酸がオリゴヌクレオチドプローブより多い所定の塩基を含むとき、より大きな電流の増加が有益に得られる。
加えて、オリゴヌクレオチドプローブは所定の塩基の無いこと、又は少なくとも実質的に所定の塩基の無いこと(即ち、プローブからの信号が妨害せず、又は目的核酸からの信号であると間違えられない十分に少ない所定の塩基を含む)が好ましい。目的核酸に簡単にハイブリッド形成する天然発生の塩基の配列が利用できない場合、レドックス不活性(以下で検討される)な別の塩基の利用の計画が用いられる。
図4に示されるように、目的核酸は好ましくはオリゴヌクレオチドプローブより長く、少なくとも一の所定の塩基はハイブリッド形成核酸中でオリゴヌクレオチドプローブにハイブリッド形成されない(即ち、”突出”塩基である)。好ましくは少なくとも10,50,若しくは100の所定の塩基が、それにより検出された電気化学的信号の実質的な増幅を提供する”突出”塩基である。
例えば、何れのグアニン残基も含まないオリゴヌクレオチドプローブ(例えば、A,T,及びCのみ)が用いられる。この鎖の存在下のRu(pby) 2+のサイクリックボルタモグラムはオリゴマーの無いそれととても似ている。この鎖はその後、目的核酸がオリゴヌクレオチドプローブより長いとすると、重なり塩基対領域と突出領域の何れか又は両方にグアニンを含む(図4には目的核酸の鎖に隣接する”G”により示される)目的の鎖とハイブリッド形成される。多数のグアニンが検出されるため、信号はハイブリッド形成された数に比べ増幅される。ゲノムDNA又はRNAが目的の鎖である場合、大きな信号増幅を与える多数の突出グアニンが出会う。例えば、リボソームRNAは特定の生体に対し1000個と同じ程度の多くのグアニンを含み、従ってハイブリッド形成結果毎におよそ1000倍の増幅を提供する。例えば、一の好ましい実施例において、目的の鎖上の所定の塩基に対する分析は、媒介物質の存在下で掃引されたときに低度の背景信号を与える、電極表面の近くに向けられた固体表面上の(好ましくはレドックス活動しない)プローブの鎖の固定を含む。固体表面はその後、所定の塩基を含む目的の鎖の溶液と接触される。ハイブリッド形成が生じるとすると、目的の鎖はこのとき、電極のすぐ近くにあり、電流の増加が検出される。
核酸の定量。本発明は核酸の定量検出に特に良く適合する。このセクションに記載された場合では、酸化剤(例えば、Ru(pby) 2+)によるハイブリッドの酸化に対する速度定数はディジタルシミュレーションによりサイクリックボルタモグラム(若しくは他の電気信号)から決めることができる。殆どの条件下で、この反応は二次の速度論に従い、即ち速度=k[Ru(bpy) 2+][DNA]であり、ここでkは特定のプローブ−目的物ハイブリッドに対して特異的な速度定数であり、[Ru(bpy) 2+]は酸化剤の濃度であり、そして[DNA]はハイリッド(DNA−RNAハイブッドでありうる)の濃度である。k及び[Ru(bpy) 2+]が公知とすると、ハイブリッドの量を決めることができる。実際、目的DNA及びRNAを含む異なる量の標準溶液を用いて得られた電流増加に対する較正曲線が構成され、ハイブリッドの量を直接に得るために電流増加が使用された。この量はその後直接に目的物質の量と比較される。例えば、M. Holodniy 他のJ. Virol. 69巻の3510−3516頁(1995年);J. Mellors他のScience 272巻の1167−1170頁(1996年)参照のこと。
オリゴヌクレオチドプローブ、ハイブリッド形成の方法論、酸化剤及び酸化還元反応の方法、酸化還元反応の検出、並びにこれらの方法の実施に有用な装置は上記セクションA−Hに示される通りである。
J.レドックス不活性な代用塩基
上記セクションHに記載された方法の一つの不利な点は、オリゴヌクレオチドプローブが好ましくは実質的な数の所定の塩基(例えば、グアニン)を含まないことである。この問題に対する解決は、プローブの鎖の中でグアニンと置換し(即ち、グアニンのように、他の塩基が核酸二重鎖の中で示すよりも高い結合親和性を持つ塩基)、適当な反応条件下で酸化剤により酸化されることのない代用塩基を使用することである。グアニンが所定の塩基である場合のかかる代用塩基の例はイノシン及び7−デアザ−グアニンである。
その結果、目的核酸は少なくとも一の所定の塩基を含み、プローブ若しくは捕獲核酸は代用のレドックス不活性な塩基を含むとき、目的核酸の検出方法は、(a)ハイブリッド形成核酸を形成するために目的核酸と特異的に結合する相補核酸に目的核酸を接触する段階と;(b)ハイブリッド形成核酸を、酸化還元反応で所定の塩基を酸化することのできる遷移金属錯体に接触する段階と;(c)酸化還元反応を検出する段階と;(d)所定の塩基での検出された酸化還元反応からその核酸の存在若しくは不存在を決める段階とからなる。目的核酸中の所定の塩基はグアニンであり目的核酸はシトシン(相補核酸中でグアニンと普通に結合する)を含む場合、相補核酸はハイブリッド形成核酸中でシトシンと結合する代用塩基を含む。代用塩基はイノシン及び7−デアザ−グアニンからなる群から選択される。反応段階は典型的には、代用塩基を酸化すること無く所定の塩基の選択的な酸化を達成するのに十分な条件の下で核酸と遷移金属錯体を反応することからなる。
オリゴヌクレオチドプローブ、ハイブリッド形成の方法論、酸化剤及び酸化還元反応の方法、酸化還元反応の検出、並びにこれらの方法の実施に有用な装置は上記セクションA−Iに示される通りである。
K.ターミナルトランスフェラーゼを用いた所定塩基の高分子化
上記セクションHに記載された方法の別の実施例は所定塩基の付加的なものを提供するためにターミナルトランスフェラーゼを用いて目的核酸を伸長することを含む。図7に示されるように、かかる方法は、(a)オリゴヌクレオチドプローブはターミナルトランスフェラーゼによる伸長のために遮断される終端を有し、ハイブリッド形成核酸を形成するために目的核酸と特異的に結合する該オリゴヌクレオチドプローブに試験試料を接触する段階と;(b)オリゴヌクレオチドプローブを、所定の塩基からなる目的核酸の伸長生成物を生成するためにターミナルトランスフェラーゼの存在下で所定の塩基を含む溶液に接触する段階と;(c)オリゴヌクレオチドプローブを、酸化還元反応で所定の塩基を酸化する遷移金属錯体に接触する段階と;(d)酸化還元反応の存在若しくは不存在を検出する段階と;(e)所定の塩基での検出された酸化還元反応から試験試料中の目的核酸の存在若しくは不存在を決める段階とからなる。試験試料は好ましくは検出段階の前でオリゴヌクレオチドプローブから分離され、より好ましくは上記段階(a)と(b)の間でプローブから分離される。分離は固定されたプローブの使用により実施され、又はそのプローブは上記セクションHで記載されたように溶液中に自由に備えられる。
オリゴヌクレオチドプローブ、ハイブリッド形成の方法論、酸化剤及び酸化還元反応の方法、酸化還元反応の検出、並びにこれらの方法の実施に有用な装置は上記セクションA−Iに示される通りである。
L.サンドイッチ分析
上記セクションHの方法の別の実施例は、図8に模式的に示される所謂”サンドイッチ”分析である。サンドイッチ分析において、目的核酸は捕獲プローブ、目的核酸、及び信号プローブからなる3つの(又はそれ以上の)部分のハイブリッドの一部である。
同じものを含むと推定される試験試料中の目的核酸の存在若しくは不存在を検出する方法は、(a)捕獲プローブは目的核酸に特異的に結合するものであり、オリゴヌクレオチド捕獲プローブを提供する段階と;(b)試験試料を、ハイブリッド形成核酸を形成するために捕獲プローブに接触する段階と;(c)信号プローブは目的核酸に特異的に結合するものであり、ハイブリッド形成核酸サンドイッチを生成するために信号プローブは少なくとも一の所定の塩基を含むものであり、オリゴヌクレオチド信号プローブをハイブリッド形成核酸に接触する段階と;(d)ハイブリッド形成核酸サンドイッチを、酸化還元反応で所定の塩基を酸化する遷移金属錯体に接触する段階と;(e)ハイブリッド形成核酸と結合された酸化還元反応の存在若しくは不存在を検出する段階と;(f)所定の塩基での検出された酸化還元反応から試験試料中の目的核酸の存在若しくは不存在を決める段階とからなる。分離段階は上記段階(b)と段階(c)との間にあり、又は上記段階(c)と段階(d)の間にあり、試験試料は好ましくは捕獲プローブから分離される。分析形式(例えば、突然発生又は同種発生)に従い、オリゴヌクレオチド捕獲プローブは固体支持体(例えば、高分子ビーズ、板、若しくはマイクロタイタープレートウェルの内部表面)、又は上記のように試験試料からハイブリッド形成核酸を分離するために提供された代わりの手段の上に固定される。
多数の”サンドイッチ”分析形式が知られている。分析形式の選択は重大ではなく、適当な形式が本発明の実施するために用いられる。例えば、Ranki他へのアメリカ特許第4,486,539号に記載されるように、オリゴヌクレオチド捕獲プローブは固体支持体上に固定される。Kurn他へのアメリカ特許第4,868,104号に記載されるように、オリゴヌクレオチドプローブは高分子形成ユニット含み、その高分子化によりハイブリッド形成核酸のサンドイッチは分離される。M.S. Urdea のClinical Chem. 39巻の725−726頁(1993年)に記載されるように、信号プローブは直線状又は分枝形状である。固定されたポリヌクレオチドにオリゴヌクレオチド捕獲プローブを結合するメディエイタポリヌクレオチドが、Stabinskyへのアメリカ特許第4,751,177号に記載されるように、用いられる。R. Goodsonの欧州特許出願第0 238 332号:W. Harrison の欧州特許出願第0 139 489号、及びN. Dattagupta の欧州特許出願第0 192 168号に記載されるように、オリゴヌクレオチドプローブは特異的な結合対(例えば、ビオチン)の一部分、及び固体支持体上に固定された(例えば、アビジン)、結合対の他の部分との第二の結合相互作用により試験試料から分離されたハイブリッド形成核酸のサンドイッチに連結される。
オリゴヌクレオチドプローブ、ハイブリッド形成の方法論、酸化剤及び酸化還元反応の方法、酸化還元反応の検出、並びにこれらの方法の実施に有用な装置は上記セクションA−Kに示される通りである。
M.背景のグアニン信号存在下での所定の塩基の検出
オリゴヌクレオチドプローブ中の所定の塩基の存在はグアニンの酸化から生成される背景信号の存在下であっても検出される。不正対合の検出は、4つの自然の塩基(A,T/U,C及びG)の存在下でオリゴヌクレオチドプローブ中の所定の塩基を検出する能力に依存するからである。そのため、所定の塩基は他の4つの塩基より素早く酸化されうるものでなければならない。
本発明は背景のグアニンの信号の存在下での所定の塩基の電気化学的検出のために有用なオリゴヌクレオチドプローブを提供する。そのオリゴヌクレオチドプローブは上記のセクションBで示された何れかのオリゴヌクレオチドプローブからなり、そのオリゴヌクレオチドプローブ中の少なくとも一つのプリン塩基は式I:
Figure 0003847745

のプリン置換基である。オリゴヌクレオチドプローブは意図されたその結合の相手に従い、望みのように前記式の多数の塩基(例えば、1、2若しくは3から5,10,若しくは15まで又はそれ以上)を含みうる。かかるオリゴヌクレオチドプローブの特定例、及びその調製に有用なヌクレオチドは、式II:
Figure 0003847745

ここで:
はHO−P(O)(OH)−O−,ヌクレオチド、若しくはオリゴヌクレオチドであり;
は−H,ヌクレオチド、若しくはオリゴヌクレオチドであり;
は−H,−OH,ハロ(例えば、フロロ、クロロ)、アルコキシ(例えば、メトキシ又はエトキシ等のC1−C4アルコキシ)、アミノ、若しくはアジド;
は−O−又は−CH−、である
の化合物である。
上記式I及び式IIと関連して記載されるようなオリゴヌクレオチドプローブは公知の技術に従い作られ、当業者にとって容易に明白となるように以降に置かれた例の開示の中で改良される。
式IIの化合物の一の好ましい実施例において、RはHO−P(O)(OH)−O−である。式Iの化合物の別の好ましい実施例において、RはHである。Rがヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドであるとき、ホスホジエステル結合は3’末端まである。Rがヌクレオチド若しくはオリゴヌクレオチドであるとき、ホスホジエステル結合は5’末端まである。
式Iの化合物は、上記のセクションA−Mで記載された本発明の方法において利用されるオリゴヌクレオチドプローブ中の塩基として有利に含まれる。オリゴヌクレオチドプローブはもちろん多数の塩基を含むが、オリゴヌクレオチドプローブが背景のグアニンの存在下で所定の塩基の検出のために使用されるべきものであるとき、少なくとも一の式Iの塩基を含む必要がある。オリゴヌクレオチドプローブは長さが5,10,50若しくは100に近い塩基対である。式IIの化合物の特定例は6−メルカプトグアノシン5’−モノホスフェート(6−S−GMP)である。
N.電極構造
上記の方法に従う核酸中の所定の塩基の電気化学的検出に有用な電極は、(a)その上に作用表面を有する導電性基板と;(b)作用表面に接続された高分子層とからなる。高分子層は核酸に結合するものであり(例えば、疎水性相互作用又は何れか他の適当な結合技術)遷移金属錯体に対し浸透性である(即ち、遷移金属錯体は高分子と結合された核酸へ移動できる)。導電性の基板は金属基板又は半導体基板を含む非金属基板である(例えば、金、ガラス状カーボン、インジウムのドープされた酸化スズ、他)。導電性基板は、その端に形成された作用表面を有する伸長プローブ、又はその一の側面に形成された作用表面を有するフラットシート等のいずれかの物理形態をとる。高分子層は、作用表面への高分子層のクランプ、電極上への高分子溶液の蒸着、又は電解高分子化による等、何れかの適当な手段により作用電極に接続される。例となる高分子は、限定はされないが、ナイロン、ニトロセルロース、ポリスチレン、及びポリ(ビニルピリジン)を含む。高分子層の厚みは重要ではないが、100オングストローム(A)から1,10、若しくは100μmでも可能である。その電極はセクションA−Mに記載された全ての方法で実質的に使用されうる。その結果、一般に、本発明は核酸を検出する方法を提供し、該核酸は少なくとも一の所定の塩基を含み、その方法は、(a)電極はその上に形成された作用表面と該作用表面に接続された上記の高分子層を有する導電性基板からなり、該核酸を含む試料を該電極に接触する段階と;(b)該核酸を、酸化還元反応で所定の塩基を酸化することのできる遷移金属錯体と反応する段階と;(c)該電極を通る電流の流れを測定することにより酸化還元反応を検出する段階と;(d)所定の塩基での検出された酸化還元反応から該核酸の存在又は不存在を決定する段階とからなる。
O.超小型電子装置
上記技術の利点はそれらが超小型電子装置を用いて実施されることである。上記の方法における核酸種の電気化学的検出に有用な超小型電子装置は、第一及び第二の反対の面を有する超小型電子基板と;該第一の面上の導電性電極と;該導電性電極に隣接して該第一の面上に固定されたオリゴヌクレオチド捕獲プローブとからなる。捕獲プローブは、プローブで、又はそのプローブにハイブリッド形成された目的核酸で生じる酸化還元反応が隣接電極で検出されるように、隣接電極に十分近く配置される。
図9及び図10に示される実施例において、超小型電子装置20は第一の反対の面に多数の分離電極21と、各分離電極に隣接して固定された多数の分離オリゴヌクレオチド捕獲プローブとを有する。他と異なり、それぞれ結合された電極を伴う、多数の分離オリゴヌクレオチドプローブを備えることにより、異なるハイブリッド形成結果の変化を検出できる単一の、小型装置が提供される。装置が電線を引かれ、又は別なやり方で効果的にここに記載の方法の検出及び決定段階を実施するのに必要な電子装置と結合されるように、各電極は実質的に適当な接点23に実質的に接続される。
核酸は公知の技術により超小型電子装置の基板上の適当な位置に固定される。例えば、Pirrung 他へのアメリカ特許第5,405,783号を参照。超小型電子装置の基板は半導体(例えばシリコン)又は簡便な超小型電子技術を用いて処理されうる半導体ではない物質(例えば、ガラス)である。電極は金属又は多結晶シリコン等の非金属導電性物質である。電極は堆積物エッチング等の簡便な超小型電子処理技術を使用して形成されうる。適当な超小型電子構造の変化及び組立技術は当業者に良く知られている。例えば、S. M. SzeのVLSI Technology (1983年);S. K. GhandhiのVLSI Fabrication Principles (1983年)を参照。
以下の例は本発明を説明するために提供され、それを限定すると解されるべきではない。これらの例において、cm/sは秒毎の平方センチメートルを意味し、Mはモル濃度を意味し、M−1−1は秒毎のモル毎を意味し、eVはエレクトロンボルトを意味し、Vはボルトを意味し、nmはナノメートルを意味し、GMPはグアニン5’−モノホスフェートを意味し、ITOはスズでドープされた酸化インジウム電極を意味する。サイクリックボルタモグラムは公知の技術に従い、EG+G Princeton Applied Research Potentiostat/Galvanostatのモデル273Aを用いて取得された。ITO作用電極は、米国、ミネソタ州55082−1234、スティルウォーターの北47番通り13960のデルタ テクノロジー.Ltd.から入手可能な、部品番号CH−501N−1514のITOコートされたソーダライムガラスシートから製作される。ナイロン膜は米国、イリノイ州60005のアーリントン ハイトのクリアーブルック ドライブ2636のアマシャム Corp.からカタログ番号RPN 1210BのハイボンドN+(HYBOND−N+)ナイロン膜として入手できる。
Ru(bpy) 2+のサイクリックボルタモグラムの測定
一回のボルタンメトリースイープの間に観測される金属錯体の酸化された形によるDNAの酸化の多数回のターンオーバーにより生成された接触強化を用いた、ウシサイモスDNAを伴う及び伴わないRu(bpy) 2+のサイクリックボルタモグラムが図1に示される。図1では、均一な線は700mMのNaCl/50mMのリン酸ナトリウム緩衝液中、25mV/sでの50μMのRu(bpy) 2+のスキャンを表し、点線は50μMのRu(bpy) 2+と3.0mMの(ヌクレオチド)ウシサイモスDNAのボルタモグラムを表す。DNAの拡散係数(即ち、2.0×10−7cm/s)は金属錯体のそれ(8.0×10−6cm/s)に比べすっと小さいため、DNA結合レドックス対のボルタンメトリーは結合された及び結合されない形態に関する方形図によって分析されるべきである。この現象は一般に結合形態に対して劇的に減少した電流をもたらすが;しかし、十分に高いイオン強度(〔Na=0.8M〕)では、金属錯体の結合は電流応答に影響するためには弱すぎる。この場合、電流は単純なEC’の機構によって分析される。
Ru(bpy) 2+→Ru(bpy) 3+(E)
Ru(bpy) 3++DNA→Ru(bpy) 2++DNAox(C’)
サイクリックボルタモグラムの分析
サイクリクボルタモグラムは、DIGSIMTMデータ分析パッケージを使用し、背景を差引されたものと、完全な電流−電位曲線をフィットすることにより分析された。入力パラメータは、全て分離実験において決められた金属錯体に対するE1/2及び金属錯体に対する拡散係数であった。そのため、フィッティングから得られた唯一のパラメータは式2に対する二次の速度定数k=9.0×10−1−1であった。この同じ速度定数は広い範囲の掃引速度で決められた。
Ru(bpy) 3+によるDNAの酸化に対する速度定数は二つの分離実験で確認された。第一番目に、矩形波ボルタモグラムは、COOLTMアルゴリズムとフィッティングすることにより式2に対する擬一次のkobsを得るために使用された。COOLTMアルゴリズムはDIGSIMTMと大きく異なるフィッティングアプローチを使用するが、しかし、DNAに対するkobsのプロットは線形であり、DIGSIMTMを用いたサイクリックボルタモグラムのフィッティングから得られた速度定数と一致する、二次の速度定数k=8.2×10−1−1を与えた。第二番目に、Ru(bpy) 3+の標準試料が用意され、流れの止められたラピッドスキャン中で直接にDNAと反応された。350及び600nmの間の時間依存スペクトルの全体分析は、Ru(bpy) 3+が中間体を伴うこと無く12×10−1−1の速度定数できれいにRu(bpy) 2+へ転換されることを示した。こうして、Ru(bpy) 3+によるDNA酸化の速度定数は、劇的に異なるフィッティングプロトコルを用いる二つの独立な電気化学的測定により、そして完全可視スペクトルのフィッティングを用いる非電気化学的ストップドフロー技術により明確に確立された。
サイクリックボルタモグラムの分析
電子移動に対する駆動力が再配列エネルギ(λ)よりも有意に小さいとすると、駆動力に対するRT ln k のプロットは(反応物の接近と結合された仕事項に対し補正された場合) 、1/2の傾きをもつ直線を形成する。異なるレドックス電位を持つ多数のMetal(bpy) 3+誘導体によるDNAの酸化に対する速度定数は、以下の表1に示される。
マーカス理論は電子移動速度の駆動力依存を述べ、絶対速度定数は以下の式:
k=νexp[−β(r−ro)]exp[−(ΔG+λ)/4λRT]
によって分析されえて、ここで、νは拡散律速における速度定数(1011−1−1)であり、rは活性化された錯体中の反応物と生成物の間の距離であり、rは反応物と生成物の最も近接した距離であり、βは介在する媒体の影響を示す。二重らせんの内部へのグアニンドナーの取込みは、電子が超えて結合金属錯体へトンネリングすべき有限の距離、即ちr≠r、を負わせる。しかし、グアニン5’−モノホスフェート(GMP)が電子受容体として用いられるとすると、金属錯体を伴うグアニンの直接拡散が可能である(r=r)。Fe(bpy) 3+及びGMPに対し、ストップドフローにより測定された速度定数は2.6×10−1−1である。関連の反応に対して知られたλの値は1−1.5eVの範囲内にあり、1.1±0.1Vのグアニン+/0連結に対するΔGを与える。
表1.Ru(bpy) 2+によるDNAオリゴマー中のグアニンの酸化に対する速度定数
Figure 0003847745
速度定数を決めるために使用されるDNA濃度はグアニンヌクレオチドのモルに基づく。
溶媒を通るトンネリングの確立された距離。β(HO)=3Å及びkSS=1.8×10−1−1で、k/kSS=exp[−βΔr]に従い計算された距離。
速度定数はグアニン濃度に相関するので、GG不正対合に対して観測された速度は一つのグアニンを含む他のオリゴマーに関して規格化された。
図2に、一本鎖である5’−AAATATAGTATAAAA(C)及びそれの相補鎖へハイブリッド形成されたものの存在下でのRu(bpy) 2+のサイクリックボルタモグラムがある。図2では、掃引速度は25mV/sであり、(A)は25μMのRu(bpy) 2++100μMの(グアニンヌクレオチド中の)二重鎖完全ハイブリッド形成DNA(5’−AAATATAGTATAAAA)・(3’−TTTATATCATATTTT)を表し、(B)はGA不正対合(5’−AAATATAGTATAAAA)・(3’−TTTATATAATATTTT)を表し、(C)は一のグアニンヌクレオチド(5’−AAATATAGTATAAAA)を含む一本鎖のRu(bpy) 2+を表す。GMPの場合、一本鎖に対するr=r、及び1.8×10−1−1の速度定数はΔG(グアニン+/0)=1.1V及びλ=1.3eVを与え、GMP酸化からの値と一致する。一本鎖に対する劇的な増加がある一方、ハブリッド形成に関する電流において4倍の減少をもたらし、ほんの僅かの増加が完全にハイブリッド形成された二重鎖に対しこの掃引速度で観測された。Ru(bpy) 2+等の金属錯体は小さな溝中でDNAに結合することが知られており、従って二重鎖の酸化に対する150倍遅い速度定数(1.2×10−1−1)がグアニン残基と表面結合錯体の間の距離から得られる。金属錯体小さな溝中でドッキングされるとき、グアニンと金属錯体は密接した接触には至らず、電子はグアニン残基と金属錯体を分離する溶媒を通ってトンネリングする必要がある。水を通るトンネリングは非極性の媒体を通るよりもはるかに非効率的であり、水に対するβの値は約3Å−1であると確立されている。そのためトンネリング距離は:
k/kss=exp(−βΔr)
に従い計算されえて、ここで、Δrは一本鎖と比較した二重鎖における距離の変化である。この分析から、完全にハイブリッド化された二重鎖に対するΔrは1.7Åである。
水に対する大きな値は、電子移動速度定数における大きな差が、DNA構造における小さな摂動を順に反映しうる、トンネリング距離におけるとても小さな変化によりもたらされることを示す。また図2に示されるのは、GC塩基対がGA不正対合により置換されている同じ二重鎖の存在下のRu(bpy) 2+のボルタモグラムである。GA不正対合の取込みは標準二重鎖と比較してなまの電流における二倍の増加をもたらし、それは速度定数における16倍の変化に解釈される(kGA=1.9×10−1−1)。一本鎖、完全なハイブリッド形成二重鎖、及び3のGX不正対合の全てに対する速度データは表1に表示される。また一本鎖と比較した計算されたトンネング距離Δrが示される。推定されるように、G−プリン不正対合におけるグアニン残基は、二つの塩基がまだ不安定な対中の二つの水素結合により連結されているGT不正対合におけるより金属錯体に対してより近づきやすい。しかし、GT不正対合はまだ速度定数において簡単に検出できる4倍の変化を引き起こす。そのため、酸化速度定数は傾向G(一本鎖)>GA>GG>GT>GCに従う。これらの不正整合のそれぞれを別のものから区別する能力は、所定の塩基に隣接する塩基対での単一塩基対の不正対合に対してさえ敏感なハイブリッド形成の不正対合感応検出のための基礎を提供する。
プローブ鎖中の酸化を回避する改良塩基:グアニンに対するイノシンの置換
サイクリックボルタモグラムはインジウム チン オキサイド (ITO)作用電極(面積=0.32cm),Pt−ワイヤ対極、及びAg/AgCl参照電極を使用して取得された。図5で、0.70MのNaClを含む50mMのNa−ホスフェート緩衝液(pH7)中に溶解された25μMのRu(bpy) 2+及び75μMのオリゴヌクレオチドを含む試料が25mV/sでスキャンされた。図5において、(A)はオリゴヌクレオチド未添加であり、(B)は75μMのd〔5’−TTTTATACTATATTT〕を伴い、(C)はBとd〔5’−GGGAAATATAGTATAAAAGGG〕とからの75μMのオリゴマーのハイブリッドを伴う。作用電極はスズでドープされた酸化インジウムであり、参照電極はAg/AgClであり、対極はPtワイヤである。Cからのハイブリッドの二次構造は図中に示される。図6で、700mMのNaCl及び50mMのNa−ホスフェート緩衝剤(pH=6.8、〔Na=780mM〕)を含む緩衝水溶液中に溶解された50μMのRu(bpy) 2+及び0.3mMの5’−GMP若しくは5’−IMPの何れかを含む試料が2.5mV/sで0.0Vから1.4Vまでスキャンされた。Ru(bpy) 2+の不存在下でのモノヌクレオチドのスキャンは明確な酸化電流を示さなかった。新たにきれいにされたITO電極が各実験のために使用され、緩衝液のみの背景スキャンが引き続きのスキャンから差し引かれた。二次のグアニン酸化速度定数がDIGSIMTMソフトパッケージを使用して二段階機構にサイクリックボルタンメトリーのデータをフィッティングすることにより決められた。酸化速度以外の全てのパラメータは同じ電極での金属錯体単独のボルタモグラムから決められた。5’−GMPはSigmaから購入され、5’−IMPはU.S.Biochemicalから購入され、両方とも更なる精製無しに使用された。オリゴヌクレオチドはUNC Department of Pathology において調製され、モノヌクレオチドを除去するために3000−分子量のカットオフフィルターを通された。純粋さは逆相HPLCにより評価された。濃度は、Fasman,G.D. のCRC Handbook of Biochemistry and Molecular Biology; Vol.1, 1975年、CRC Press, ボカラトン、フロリダ州に記載されるように、260nmでの光吸収から決められた。図5のハイブリッドは90°C5分間の相補鎖の加熱及び2時間にわたる250°Cまでのゆっくりした冷却により調製された。
これらのデータは、イノシンがレドックス不活性なプローブ鎖を提供するためにプローブ中でグアニンの代わりに置換されるうることを示す。
プローブ鎖中の酸化を回避する改良塩基:7−デアザ−グアニン
この例は、レドックス不活性なプローブ鎖を提供するためにグアニンの代用である改良塩基として7−デアザ−グアニンが使用される以外は、上記例4と実質的に同じ方法で実施される。
7−デアザ−グアニンは僅か10−1−1の速度で酸化され、それはグアニンより2乗オーダーの大きさで遅く、レドックス不活性なプローブ鎖を提供するために十分遅い。
ITO電極に取り付けられたナイロン膜に結合されたウシサイモスDNAを使用する検出
ナイロンフィルムは、電気化学セル中に適合し、溶液に晒されるITO電極の一部を覆うように直径およそ6mmの円形形状に切断された。
金属錯体のサイクリックボルタモグラムのみを得る実験のために、ITO電極は緩衝液で初めに調整される。ナイロンのディスク(DNA無し)はその後電気化学セルに挿入され、200μLの200μMの金属錯体溶液がセル内にピペット注入される。Os(bpy) 2+の実験に対し、電気化学分析の前に、6分間の平衡時間が用いられた。Ru(bpy) 2+の実験に対し、電気化学分析の前に、15分間の平衡時間が用いられた。サイクリックボルタモグラムは25mM/sの掃引速度でPAR 273Aポテンシオスタットを使用して取得された。
DNAの実験に対し、DNA吸収ナイロンのディスクが適当な緩衝液中でITO電極の調整をした後、電気化学セル中に挿入される。適当な緩衝液中の200μLの200μMの金属錯体溶液がセル内にピペット注入され、適当な平衡時間(Os(bpy) 2+に対し6分間及びRu(bpy) 2+に対し15分間)の後25mM/sの掃引速度でサイクリックボルタモグラムが取られる。このナイロンディスクはおよそ5分間、5.8mMのウシサイモスDNAが水に溶解された溶液中に浸漬される。浸漬時間の変化は5分間から18時間の範囲で調査された。DNAは素早く(数分以内)ナイロンフィルムと結合し、従って短い浸漬時間が典型的には用いられる。低濃度の塩の条件下では、50mMのNa−ホスフェート緩衝液(pH=6.8,〔Na〕=80mM)が用いられる。高濃度の塩の条件下では、50mMのNa−ホスフェート緩衝剤及び700mMのNaCl(pH=6.8,〔Na〕=780mM)の溶液が用いられる。
ナイロン−ITO電極でのRu(bpy) 2+のサイクリックボルタモグラムが図11に示される。点線は、ナイロン膜が電極に取り付けられる前にウシサイモスDNA中に浸漬されたときのボルタモグラムを示す。溶液中観測されたものと対応する、DNAラベルされた膜に対する大きな接触電流がある。その実験はRu(bpy) 2+がナイロンフィルム中で自由に拡散すること及びDNAの拡散は接触電流を実現するために必要でないことを示す。図11はまた、媒介物質と固定されたDNAの間の増加された相互作用のため、より大きな接触電流がより低い塩の濃度で観測されることを示す。
図12Aは媒介物質としてOs(bpy) 2+を使用する同じ実験を示す。オスミウム錯体はグアニンを酸化せず、従ってグアニン存在下で観測された電流増加はDNA結合形成による媒介物質の前濃縮から生じなければならない。実際、Os(bpy) 2+に対する電流はナイロン電極でのDNA存在下のほうが、DNA不存在下より低い。実験は、DNAがナイロン電極に結合された時のRu(bpy) 2+に対する増加した電流はもっぱら所有の接触反応のためであり、3価の結合形成の違いにはよらない。塩濃度の効果は図12Bに示され、接触反応に対して観測される大きな塩の効果に比べ小さい。
ITO電極に取付けられたナイロン膜へのDNAの結合により、DNAは拡散してないが媒介物質はそうである実施例においてさえもDNAは検出されることを示した。この発見は、プローブ−目的物ハイブリッドが媒介物質の拡散層中にあるように固定されたプローブが電極に十分近い場合のDNAの検出を可能にする。
ITO電極に取り付けられたナイロン膜に結合されたRNAの検出
実験は、ベーカースイースト(Bakers Yeast)(Sigmaから入手)からのtRNAがウシサイモスDNAの代わりに使用される以外は、例6に記載されたように実施される。ナイロンフィルムのディスクは例6に記載されたようにtRNAの溶液に浸漬された。
Ru(bpy) 2+存在下のサイクリックボルタンメトリーは図13に示される。DNAを伴う場合のように、接触電流は両方の緩衝液で観測され、低濃度の塩でより大きい。tRNAはDNAと同じくカチオンと結合せず、そのため塩効果はあまり劇的でないので、高い及び低い塩濃度の間の電流において観測された違いは例6のDNAを伴い観測されたもののように劇的ではない。
図13における結果は、RNAはDNAに対するものと同じ方法において検出されうることを示し、これはRNA及びDNAの両方がグアニンを含むため生じる。糖−ホスフェートバックボーンの化学的構成は接触電流に影響しない。この観測に基づき、PNAの、炭素環、ホスホロチオエート、若しくは他の置換リボース結合等の他の改良されたバックボーンを含む一本鎖又は二重鎖と同じく、一本鎖及び二重鎖のDNA及びRNA、DNA−RNAハイブリッドの検出が可能である。
RNAの検出
RNAの定量検出のために、DNA(若しくはRNA,PNA,若しくは他の代わりのバックボーン)プローブが固体支持体上に固定される。プローブはプローブ鎖中のグアニンの代わりのイノシン又は7−デアザ−グアニンの置換によりレドックス不活性となるように改良される。固定されたプローブはその後、目的RNA(例えば、HIV又はヘパタイチスCからのもの)の溶液と接触される。固体表面はその後、RNAの鎖とハブリッド形成されたレドックス不活性な、固定されたプローブを含む。固体表面はそれからRu(bpy) 2+の溶液と接触され、媒介物質のサイクリックボルタモグラムが測定される。接触電流はハイブリッド形成結果を示し、電流の大きさは鎖中の知られたグアニンの数を基に結合されたRNAの鎖を定量するために用いられる。
RNAの不正対合検出のために、DNA(若しくはRNA,PNA,若しくは他の代わりのもの)プローブが固体支持体上に固定される。プローブ鎖中の所定の塩基は他の塩基に比べより容易に酸化される。表面は目的RNAの溶液と接触され、その後Ru(bpy) 2+若しくは他の媒介物質の溶液と接触される。ハイブリッド形成の結果(完全な対合、対形成しない、若しくは不正対合)はその後DNAに対するのと同じ方法で所定の塩基で決められる。
塩基の所定配列の検出
方法は例3記載のように実施される。図14中に4つ置かれたサイクリックボルタモグラムは、5’−Gによる電流が5’−GGGに対するものよりはるかに小さい5’−GGに対するものに比べ、はるかに小さいことを示す。この電流におけるとても大きな増加はGG及びGGG配列を含む一本鎖と二重鎖の両方に対して観測される。図15に示されるように、同じ鎖に対するGの追加による電流の増加は、Gが点々と配置されるとするとずっと小さいため、電流の増加は単純にGの数の増加によるものではない。GGGの5’−Gは単一のGよりはるかに容易に酸化されるので、GではなくGGGを酸化することのできる(より低いレドックス電位を持つ)媒介物質を選択することが可能である。
Ru(4,4’−ジメチル−ビピリジン) 2+のサイクリックボルタモグラムが単一のGオリゴヌクレオチド及びGGGオリゴヌクレオチドの存在下での繰り返しスキャンと共に図16に示される。示されるように、接触電流はGGGオリゴヌクレオチドの存在下でのみ観測される。この例は、より簡単に酸化された配列が背景グアニンの存在下で検出されうるような媒介物質の電位を調節する能力を示す。同じ計画はグアニンより容易に酸化されるようにするために誘導された単一の合成塩基を検出することに適用されうる。
例は、媒介物質の電位を低くし、更により容易に酸化されうる塩基又は塩基配列の識別が可能であることを示す。
背景天然グアニン存在下での所定のグアニン誘導体の検出
6−メルカプトグアノシン5’−モノホスフェート(6−S−GMP)の二ナトリウム塩
Figure 0003847745

が購入により入手可能な6−メルカプトグアノシン(Sigmaから)のリン酸化により調製される。リン酸化は、M. Yoshikawa他のBull. Chem. Soc. Jpn 42巻の3505頁(1969年)の製法に従いPOClを使用して行なわれる。6−S−GMPの二ナトリウム塩はボルタンメトリー分析の前にHPLCにより精製される。サイクリックボルタモグラムは、イノシン−5’−モノホスフェートの例のように高いイオン強度で実施される。作用電極は6−S−GMPの直接酸化を防ぐために表面に取り付けられたハイボンドN+ナイロン膜を有するITOである。対極はPtワイヤである。参照電極はAg/AgClである。掃引速度は25mV/sである。
サイクリックボルタモグラムの結果は図17中に4つ図示され、曲線AはRu(4,4’−Me−bpy) 2+単独(4,4’−Me−bpy=4,4’−ジメチル−ビピリジン)を示す。5’−GMPの添加に従い、Ru(Mebpy) 2+波の増大は観測されないが;しかし6−メルカプトグアノシン5’−モノホスフェート(6−S−GMP)の添加は劇的な電流増加を導く(曲線B)。5’−GMP存在下のピーク電流は曲線Aのそれと同一である。データは、背景天然グアニン存在下での6−メルカプトグアノシン塩基の検出が可能であることを示す。
目的鎖上の所定塩基とのDNAハイブリッド形成の検出
ナイロン膜(ハイボンドN+,アマシャム、480−600μg/cm)が、直径およそ6mmの円形状に切断される。そのナイロンディスクは水中のポリシチジリック アシッド(Sigmaから入手可能)の濃縮溶液中に置かれ、1時間の間浸漬される。ディスクはその後ポリシチジリック アシッド(poly〔C〕)溶液から移動され、パラフィルム上に置かれて乾燥される。ディスクは乾燥するに従い、追加の15μlのpoly〔C〕溶液がそのフィルムに3つの5μlアリコットにより添加される。ディスクは完全に乾燥される。乾燥されたナイロンディスクはその後、浸漬工程の間に強く結合されないpoly〔C〕を除去するために低濃度の塩の緩衝液(50mMのNa−ホスフェート、pH=6.8,〔Na〕=80mM)中、洗浄される。
対照実験として、poly〔C〕のしみ込まされたディスクが、添加の核酸にはさらされないが、他の全てのハイブリッド形成段階を受ける偽ハイブリッド形成製法に通される。そのディスクは400μlのミリQ水中に置かれ、1時間48°Cで加熱され、室温まで冷却される。ディスクはその水から移され、電気化学分析の前に低濃度の塩の緩衝液で洗浄される。このように調製されたディスクは図18及び19の両方の背景スキャン(A)を表す。
poly〔C〕のしみ込まされたディスクが400μlのポリグアニリック アシッド(Sigmaから入手可能)の水溶液中に置かれ、1時間48°Cで加熱され、室温まで冷却される。ディスクはその後そのポリグアニリック アシッド(poly〔G〕)溶液から移され、電気化学分析の前に低濃度の塩の緩衝液で洗浄される。水中のウシサイモスDNA(Sigmaから入手可能)が10分の間90°Cまで加熱されることにより変性(融解)される。poly〔C〕のしみ込まされたディスクが変性ウシサイモスDNA溶液中に置かれ、1時間48°Cで加熱され、室温まで冷却される。ディスクはその後そのウシサイモスDNA溶液から移され、電気化学分析の前に低濃度の塩の緩衝液で洗浄される。対照として、poly〔C〕のしみ込まされていないディスクもまた同じ製法を受けた。ナイロンフィルム中への吸収による(ハイブリッド形成によるものではない)ウシサイモスDNA溶液の結合及び検出は対照膜中で観測される。
低濃度の塩の緩衝液によるITO電極の調整の後、上記のように処理されたナイロンディスクは電気化学セル中に挿入される。200μlの200μMのRu(bpy) 2+溶液がそのセル内にピペット注入され、15分間の平衡時間の後サイクリックボルタモグラムがとられる。掃引速度は25mV/secである。
サイクリックボルタモグラムは図18に報告される。プローブ配列poly〔C〕はハイボンドN+ナイロン膜上に固定され、ハイブッド形成プロトコルが緩衝液中で実施される(”偽ハイブリッド形成”)。膜はITO作用電極に取り付けられ、Ru(bpy) 2+のサイクリックボルタモグラムが得られる(A)。膜はpoly〔G〕の溶液中に浸され、ハイブリッド形成は同じプロトコルに従い実施される。Ru(bpy) 2+のサイクリックボルタモグラムはその後測定され(B)、そして大きな電流増加がハイブリッド形成されたpoly〔G〕目的物の接触酸化のために得られる。図19に示されるように、分析は明確な配列に対し特異的である。図19は、ハイブリッド形成製法が緩衝液中(A)又は一本鎖のウシサイモスDNAの溶液中(B)で実施される場合のpoly〔C〕膜に対するボルタンメトリーを比較する。図19は目的配列が存在しないとすると、電流増加は得られないことを示す。
ナイロン改良されたガラス状カーボン電極でのDNA検出
図20はナイロンフィルム上のDNAの固定の前(A)及び後(B)に取り付けられた該ナイロンフィルムを持つガラス状カーボン電極のサイクリックボルタモグラム(又は”CV”)を示す。
ナイロン膜(ゼータ−プローブ、バイオ−ラッド、80−100μg/cm)は直径およそ5mmで円形状に切断された。形作られたナイロンディスクはガラス状カーボン電極表面を覆い、樹脂スリーブにより位置を保持される。金属錯体のCVのみが得られた実験のために、ガラス状カーボン電極は初めに低濃度の塩の、50mMのNa−ホスフェート緩衝液(pH=6.8,〔Na〕=80mM)で調整された。ナイロンディスク(DNA無し)はその後電極に取り付けられ、400μlの200μMのRu(bpy) 2+溶液が電気化学セルの中にピペット注入された。15分間の平衡時間が電気化学分析の前に用いられた。サイクリックボルタモグラムは25mV/secの掃引速度を用いPAR 273Aポテンシオスタットを使用して取得された。典型的なDNA実験において、ガラス状カーボン電極は低濃度塩のNa−ホスフェート緩衝液中で最初に調整される。ナイロンディスクは水に溶解された5.8mMのウシサイモスDNAの溶液中におよそ5分間浸漬された。ディスクはその後その溶液から移され、適当な位置に保持するようにスリーブを使用してガラス状カーボン電極に配置された。400μlの200μMの(Ru(bpy) 2+溶液が電気化学セル内にピペット注入され、15分間の平衡時間の後25mV/secの掃引速度によりサイクリックボルタモグラムがとられた。
以上の記載は本発明の説明であり、それを限定するものとして解すべきものではない。本発明は、そこに含まれるべき請求の範囲の同等物と共に、以下の請求の範囲により範囲が明らかにされる。
ウシサイモスDNAと伴う及び伴わないRu(bpy) 2+のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 一本鎖(C)及び相補鎖にハイブリッド形成されたもの(A&B)として5’−AAATATAGTATAAAAの存在下のRu(bpy) 2+のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 本発明の方法を実施するために有用な一の例証となる装置の模式図である。 所定の塩基が目的核酸上に置かれたDNAの定量的な検出のために特に有益な検出方法の模式図である。 pH7の、0.7MのNaClを含む50mMのリン酸ナトリウム緩衝液中、25mV/sの掃引速度でのRu(bpy) 2+(25μM)のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 イノシン及びグアニンの構造が図中に示される、(A)Ru(bpy) 2+(25μM),(B)イノシン5’−モノフォスフェート(0.3mM)を伴うRu(bpy) 2+(25μM)、及び(C)グアノシン5’−モノフォスフェート(0.3mM)を伴うRu(bpy) 2+(25μM)のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 所定の塩基が末端トランスフェラーゼの伸長生成物上にある図4の発明の代替の実施例を模式図である。 サンドイッチ分析形式で実施された図4の発明の代替となる実施例の模式図である。 本発明の方法を実施するのに有用な超小型電位装置の上面図による模式図である。 図9に示された装置の一部の側面図である。 緩衝液浸漬ナイロンでのRu(bpy) 2+(200μM)、高濃度の塩(700mMの添加NaCl)緩衝液中のDNA吸収ナイロンでのRu(bpy) 2+(200μM)、及び低濃度の塩(即ち、NaCl未添加)緩衝液中のDNA吸収ナイロンでのRu(bpy) 2+(200μM)の、ナイロン改良されたITO電極を使用したサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 緩衝液中又はDNA中に浸漬されたナイロン改良ITO電極を使用したOs(bpy) 2+(200μM)のサイクリックボルタモグラムである、700mMの添加されたNaClを伴うサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 緩衝液中又はDNA中に浸漬されたナイロン改良ITO電極を使用したOs(bpy) 2+(200μM)のサイクリックボルタモグラムである、NaCl未添加のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 緩衝液浸漬ナイロンでのRu(bpy) 2+(200μM)、高濃度の塩(700mMの添加NaCl)緩衝液中のtRNA吸収ナイロンでのRu(bpy) 2+(200μM)、及び低濃度の塩(即ち、NaCl未添加)緩衝液中のtRNA吸収ナイロンでのRu(bpy) 2+(200μM)のサイクリックボルタモグラムを示す、ナイロン改良されたITO電極でのサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 掃引速度が25mV/sである、Ru(bpy) 2+(25μM)単独及びn=1(G),2(GG),又は3(GGG)である5’−AAATATAGn TATAAAA(鎖中100μM)を伴うもののサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 掃引速度が25mV/sである、Ru(bpy) 2+(25μM)単独及びn=1,2,又は3である5’−AAATAT(AGT)nATAAAA(鎖中100μM)を伴うもののサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 掃引速度が25mV/sである、25μMのルテニウム(4,4’−ジメチルビピリジン) 2+(又は”Ru(4,4’−Me −bpy) 2+”)単独(一様)並びに5’−AAATATAGTATAAAA(ドット)及び5’−AAATATAGGGTATAAAA(ダッシュ)を伴うもの(鎖中100μM)のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 曲線(A)が単独のRu(4,4’−Me −bpy) 2+を表し、曲線(B)が0.70mMの6−メルカプトグアノシン 5’−モノホスフェートの存在下でのRu(4,4’−Me −bpy) 2+を表す、掃引速度が25mV/sでの、0.7MのNaClを伴う50mMのリン酸ナトリウム緩衝液(pH7)中の0.2mMのRu(4,4’−Me −bpy) 2+のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 膜はポリ〔C〕にしみ込まされ、緩衝液中(A)及びポリ〔G〕の濃縮溶液中(B)でハイブリッド形成プロトコルを受ける、ハイボンドN+ナイロン膜が取り付けられたITO作用電極での200μMのRu(bpy) 2+のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 膜はポリ〔C〕にしみ込まされ、緩衝液中〔A〕及び変性ウシサイモスDNAの濃縮溶液中でハイブリッド形成プロトコルを受ける、ハイボンドN+ナイロン膜が取り付けられたITO作用電極での200μMのRu(bpy) 2+のサイクリックボルタモグラムを示すグラフである。 DNA無しのナイロン改良されたガラス状電極(A)又はそのナイロンフィルムへのDNAの吸収の後(B)での、200μMのRu(bpy) 2+のサイクリックボルタモグラム(掃引速度=25mV/s)を示すグラフである。

Claims (27)

  1. 超小型電子基板と、
    該基板上の導電性酸化還元検出電極と、
    該検出電極と隣接し、非導電性層にて固定化された特異結合対の第一の要素であって、サンプル中に存在する特異結合対の第二の要素と反応可能である前記第一の要素とからなり、
    前記検出電極に電位を印加すると生じる酸化還元反応が検出可能である、結合対の要素の電気化学的検出に有用である超小型電子装置。
  2. 前記超小型電子基板はサンプル容器を有し、該容器は該導電性酸化還元検出電極と該固定化された第一の要素とを有する、請求項1に記載の超小型電子装置。
  3. 前記超小型電子基板は、複数の導電性酸化還元検出電極と、複数の固定化第一の要素とを有する前記容器を具有する、請求項2に記載の超小型電子装置。
  4. 導電性金属を有する導電性基準電極をさらに有する、請求項3に記載の超小型電子装置。
  5. 導電性金属を有する導電性補助電極をさらに有する、請求項3又は4に記載の超小型電子装置。
  6. 前記酸化還元反応は各導電性酸化還元検出電極からの電気的接続を介して検出可能である、請求項5に記載の超小型電子装置。
  7. 特異結合対の複数の第一の要素内の何れかの要素は、複数の第一の要素内の何れかの他の要素と同じ、又は異なる、請求項6に記載の超小型電子装置。
  8. 特異結合対の複数の第一の要素内の各要素は複数の第一の要素内の他の要素とは異なる、請求項7に記載の超小型電子基板。
  9. 該第一の要素は核酸及びタンパク質からなる群から選択された、請求項6に記載の超小型電子装置。
  10. 特異結合対の該第一の要素はオリゴヌクレオチド捕捉プローブを含み、該オリゴヌクレオチド捕捉プローブは長さで4乃至100のヌクレオチドである、請求項9に記載の超小型電子装置。
  11. 酸化還元反応検出器をさらに有する、請求項6に記載の超小型電子装置。
  12. 該基板はシリコンである、請求項6に記載の超小型電子装置。
  13. 該基板はガラスである、請求項6に記載の超小型電子装置
  14. 該超小型電子装置は一つ以上のサンプル容器を具備する、請求項6に記載の超小型電子装置。
  15. 何れかのサンプル容器内の特異結合対の複数の第一の要素は、他の何れかのサンプル容器内の複数の第一の要素と同じ、又は異なる、請求項14に記載の超小型電子装置。
  16. 各サンプル容器内の特異結合対の複数の第一の要素は他のサンプル容器内の複数の第一の要素と同じである、請求項15に記載の超小型電子装置。
  17. 特定のサンプル容器内の複数の第一の要素のうちの何れかの要素は該特定のサンプル容器中の他の何れかの要素と同じ、又は異なる、請求項14に記載の超小型電子装置。
  18. 特定のサンプル容器内の複数の第一の要素のうちの各要素は、該特定のサンプル容器内の他の何れかの要素とは異なる、請求項17に記載の超小型電子装置。
  19. 各サンプル容器は超小型基板と、導電性酸化還元検出電極と、特異結合対の固定化第一の要素とを有する、請求項14に記載の超小型電子装置。
  20. 該第一の要素は核酸及びタンパク質からなる群から選択された、請求項14に記載の超小型電子装置。
  21. 特異結合対の該第一の要素はオリゴヌクレオチド捕捉プローブを有し、該オリゴヌクレオチド捕捉プローブは長さで4ないし100のヌクレオチドである、請求項14に記載の超小型電子装置。
  22. 酸化還元反応検出器をさらに有する、請求項14に記載の超小型電子装置。
  23. 該基板はシリコンである、請求項14に記載の超小型電子装置。
  24. 該基板はガラスである、請求項14に記載の超小型電子装置。
  25. 各導電性酸化還元検出電極はポテンシオスタットと電気的に接続されており、サンプル容器はサンプルと、電解質溶液とを有し、各検出電極は溶液と電気化学的に接触しており、電位が電極に印加された条件にて、電極と酸化還元電極に関与可能である電気化学的媒体物を含む、請求項16に記載の超小型電子装置。
  26. 該酸化還元反応を検出する酸化還元反応検出器をさらに有し、サンプルが特異結合対の第二の要素を含む際には、サンプルは特異結合対の第二の要素を含まないときよりも、電流が一層検出可能である、請求項25に記載の超小型電子装置。
  27. 超小型電子装置は複数のサンプル容器と、各該サンプル容器は電解質溶液を含み、その溶液は電気化学的に接触した該導電性酸化還元検出電極を有し、溶液は電気化学的媒介物を有する、請求項25に記載の超小型電子装置。
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