JP3839684B2 - Method for manufacturing thin film magnetic element - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば固定磁性層(ピン(Pinned)磁性層)の磁化の方向と外部磁界の影響を受けるフリー(Free)磁性層の磁化の方向との関係で電気抵抗が変化するいわゆる薄膜磁気素子に係り、特に狭トラック化に対応できる薄膜磁気素子の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図34は、従来の製造方法によって形成された薄膜磁気素子の構造をABS面から見た断面図である。
【0003】
図34に示す薄膜磁気素子は、巨大磁気抵抗効果を利用したGMR(giant magnetoresistive)素子の1種であるスピンバルブ型薄膜磁気素子と呼ばれるものであり、ハードディスクなどの記録媒体からの記録磁界を検出するものである。
【0004】
このスピンバルブ型薄膜磁気素子は、下から基板8、反強磁性層1、固定磁性層(ピン(Pinned)磁性層)2、非磁性導電層3、フリー磁性層(Free)4で構成された多層膜9と、この多層膜9の上層に形成された一対の縦バイアス層6,6及びこの縦バイアス層6,6の上に形成された一対の電極層7,7とで構成されている。
【0005】
前記反強磁性層1及び縦バイアス層6,6にはFe−Mn(鉄−マンガン)合金膜やNi−Mn(ニッケル−マンガン)合金膜、固定磁性層2及びフリー磁性層4にはNi−Fe(ニッケル−鉄)合金膜、非磁性導電層3にはCu(銅)膜、また電極層8,8にはCr膜が一般的に使用される。
【0006】
図34に示すように、固定磁性層2の磁化は、反強磁性層1との交換異方性磁界によりY方向(記録媒体からの漏れ磁界方向;ハイト方向)に単磁区化され、フリー磁性層4の磁化は、前記縦バイアス層6,6からの交換異方性磁界の影響を受けてX方向に揃えられることが望ましい。
【0007】
すなわち固定磁性層2の磁化と、フリー磁性層4の磁化とが、直交することが望ましい。
【0008】
このスピンバルブ型薄膜磁気素子では、縦バイアス層6,6上に形成された電極層7,7から、フリー磁性層4、非磁性導電層3及び固定磁性層2に検出電流(センス電流)が与えられる。ハードディスクなどの記録媒体の走行方向はZ方向であり、記録媒体からの洩れ磁界がY方向に与えられると、フリー磁性層4の磁化がXからY方向へ向けて変化する。このフリー磁性層4内での磁化の方向の変動と、固定磁性層2の固定磁化方向との関係で電気抵抗が変化し(これを磁気抵抗効果という)、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界が検出される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従来、図に示されるスピンバルブ型薄膜磁気素子を製造するときには、基板8上に、反強磁性層1、固定磁性層(ピン(Pinned)磁性層)2、非磁性導電層3、フリー磁性層(Free)4を順次連続成膜して多層膜9を形成し、さらに、この多層膜9の上層に縦バイアス層6,6及び電極層7,7を連続的に成膜していた。
【0010】
反強磁性層1から電極層7,7まで成膜した後に、まず固定磁性層2の磁化方向をY方向に揃えるための第1の磁場中アニールを行い、次にフリー磁性層4の磁化方向をX方向に揃えるための第2の磁場中アニールを行う必要がある。
【0011】
しかし、反強磁性層1から電極層7,7まで成膜した後に、第1の磁場中アニール及び第2の磁場中アニールを行うと、第2の磁場中アニールの際に反強磁性層1と固定磁性層2の界面に作用する交換異方性磁界がY方向からX方向に傾き、固定磁性層2の磁化方向とフリー磁性層4の磁化方向が非直交になり、出力信号波形の対称性が得られなくなる度合(アシンメトリー)が増大するという問題が生じていた。
【0012】
上述した問題は、特に反強磁性層1と縦バイアス層6が同じ組成を有する反強磁性材料によって形成されるときに顕著に現れる。
【0013】
本発明は上記従来の課題を解決するためのものであり、第1反強磁性層と第2反強磁性層が、固定磁性層及びフリー磁性層を含む他の層を介して上下に積層されているスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法において、前記第1反強磁性層を第1の磁場中アニールにかけた後、前記第2反強磁性層の積層及び第2の磁場中アニールを行うことにより、固定磁性層の磁化とフリー磁性層の磁化とを直交させることができるスピンバルブ型薄膜磁気素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の薄膜磁気素子の製造方法は、(a)基板上に、基板側から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層の順に積層した多層膜を成膜する工程と、
(b)前記多層膜を、第1の熱処理温度、第1の大きさの磁界中で、磁場中アニールして前記固定磁性層の磁化方向を所定の方向に固定する工程と、
(c)前記多層膜上に第2反強磁性層を成膜する工程と、
(d)前記第2反強磁性層が積層された多層膜を、第2の熱処理温度、第2の大きさの磁界中で磁場中アニールすることにより、前記フリー磁性層の両端部の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と直交する方向に固定する工程、
を有することを特徴とするものである。
【0015】
本発明では、前記多層膜上に第2反強磁性層を積層しない状態で、前記多層膜を、磁場中アニールして前記固定磁性層の磁化方向を所定の方向に固定するので、前記多層膜上に第2反強磁性層を積層した状態では、前記第2反強磁性層に交換異方性磁界が発生していない。
【0016】
すなわち、前記第2反強磁性層の交換異方性磁界は、前記(d)の工程において始めて生じ、前記フリー磁性層の磁化方向を所定の方向に移動させることが容易になる。従って、前記フリー磁性層の両端部の磁化方向を、前記固定磁性層の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になる。
【0017】
なお、前記(a)の工程を、同一真空成膜装置内において行うことが好ましい。
【0018】
本発明では、前記(d)の工程において、前記第2の熱処理温度を、第1反強磁性層が交換結合磁界を失うブロッキング温度より低い温度に設定することが好ましい。
【0019】
さらに、本発明では、前記(d)の工程において、前記第2の磁界の大きさを前記第1反強磁性層の交換異方性磁界より小さくすることが好ましい。
【0020】
前記(a)の工程において、前記多層膜の最上層に他の反強磁性層を積層する工程を有すると、前記多層膜の最上層の酸化を防ぐことができるので好ましい。
【0021】
本発明では、前記他の反強磁性層を伝導電子のスピン状態を保存する鏡面反射を生じる確率の高いエネルギーギャップを形成可能な材料によって構成することにより、前記他の反強磁性層を、伝導電子の平均自由行程を鏡面反射効果により延長する鏡面反射層として機能するようにできる。
【0022】
前記他の反強磁性層が鏡面反射層として機能するときは、前記フリー磁性層の膜厚が、15〜45Åの範囲に設定されることが好ましい。
【0023】
フリー磁性層の膜厚が15Åより薄いと強磁性材料層として機能するように形成することが難しくなり充分な磁気抵抗効果を得ることができない。
【0024】
また、フリー磁性層の膜厚が45Åより厚いと前記鏡面反射層に到達する前に散乱されてしまうアップスピンの伝導電子が増加して鏡面反射効果(specular effect)によって抵抗変化率が変化する割合が減少するため好ましくない。
【0025】
前記鏡面反射層となる前記他の反強磁性層は、例えばNiMnSb,PtMnSbなどの半金属ホイッスラー合金の、単層膜または多層膜として構成されることができる。
【0026】
これらの材料を用いることにより、隣接する層との間に、充分なポテンシャル障壁を形成することが可能であり、その結果充分な鏡面反射効果を得ることができる。
【0027】
なお、前記他の反強磁性層の厚さが0より大きく30Å以下であることが好ましい。
【0028】
前記他の反強磁性層の厚さが0より大きく30Å以下であると、前記(b)の工程において前記他の反強磁性層に交換結合磁界が発生しないので、前記他の反強磁性層の磁化方向が、前記固定磁性層の磁化方向と同一方向に固定されることを防ぐことができる。従って、前記(c)の工程において、前記他の反強磁性層の上層に前記第2反強磁性層を積層したときに、前記フリー磁性層の磁化方向が、前記固定磁性層の磁化方向と同一方向に固定されることを防ぐことができる。
【0029】
なお、前記他の反強磁性層の厚さが10Å以上30Å以下であることがより好ましい。
【0030】
前記(a)の工程において、前記フリー磁性層の上面または下面のうち、前記非磁性材料層から離れた方の面である上面に接して、非磁性層を積層してもよい。
【0031】
このとき、前記フリー磁性層の両端部は、前記非磁性層を介した前記第2反強磁性層とのRKKY結合により、その磁化方向が前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向へ向けられる。
【0032】
前記第2反強磁性層とのRKKY相互作用によって前記磁性層の磁化方向が揃えられるものは、前記第2反強磁性層と前記磁性層とが直に接しているものよりも交換結合力を強くすることができる。
【0033】
なお、前記非磁性層を導電性材料によって形成することが好ましい。前記非磁性層は、例えば、Ru,Cu,Ag,Auのうち1種または2種以上の元素を用いて形成することができる。特に、前記非磁性層がRuによって形成され、膜厚が8〜11Åであることが好ましい。
【0034】
本発明のように、前記非磁性層が導電性材料によって形成されていると、前記非磁性層をスピンフィルター効果を有するバックド層(backedlayer)として機能させることが可能になる。
【0035】
スピンフィルター効果を有するバックド層がフリー磁性層に接して設けられると、積層体内部においてセンス電流が流れる中心高さ位置を、バックド層がない場合よりも、このバックド層側に移動させることができる。すなわち、センス電流の中心高さ位置がフリー磁性層から離れ、フリー磁性層位置におけるセンス電流磁界の強度が低減し、このセンス電流磁界のフリー磁性層の変動磁界への影響が低減する。従って、アシンメトリーを小さくできる。
【0036】
ここで、アシンメトリーとは、再生出力波形の非対称性の度合いを示すものであり、再生出力波形が与えられた場合、波形が対称であればアシンメトリーが小さくなる。従って、アシンメトリーが0に近づく程再生出力波形が対称性に優れていることになる。
【0037】
前記アシンメトリーは、フリー磁性層の変動磁化の方向と固定磁性層の固定磁化の方向とが直交しているときに0となる。アシンメトリーが大きくずれるとメディアからの情報の読み取りが正確にできなくなり、エラーの原因となる。このため、前記アシンメトリーが小さいものほど、再生信号処理の信頼性が向上することになり、スピンバルブ薄膜磁気素子として優れたものとなる。
【0038】
また、本発明では、磁気抵抗効果に寄与するアップスピン電子の平均自由行程を伸ばし、いわゆるスピンフィルター効果により、大きな抵抗変化率が得られる。
【0039】
スピンバルブ型薄膜磁気素子にセンス電流を印可すると、伝導電子はおもに電気抵抗の小さい非磁性材料層付近を移動する。この伝導電子にはアップスピンとダウンスピンの2種類の電子が確率的に等量存在する。
【0040】
スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率は、これらの2種類の伝導電子の平均自由行程の行程差に対して正の相関を示す。
【0041】
ダウンスピンの伝導電子については、印加される外部磁界の向きにかかわらず、非磁性材料層とフリー磁性層との界面で常に散乱され、フリー磁性層に移動する確率は低いまま維持され、その平均自由行程はアップスピンの伝導電子の平均自由行程に比べて短いままである。
【0042】
一方、アップスピンの伝導電子については、外部磁界によってフリー磁性層の磁化方向が固定磁性層の磁化方向と平行状態になったときに、非磁性材料層からフリー磁性層に移動する確率が高くなり、平均自由行程が長くなっている。これに対し、外部磁界によってフリー磁性層の磁化方向が固定磁性層の磁化方向に対して平行状態から変化するに従って、非磁性材料層とフリー磁性層との界面で散乱される確率が増加し、アップスピンの伝導電子の平均自由行程が短くなる。
【0043】
このように外部磁界の作用によって、アップスピンの伝導電子の平均自由行程がダウンスピンの伝導電子の平均自由行程に比べて大きく変化し、行程差が大きく変化する。すると、伝導電子全体の平均自由行程も大きく変化し、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率(ΔR/R)が大きくなる。
【0044】
ここで、フリー磁性層にバックド層が接続されると、フリー磁性層中を移動するアップスピンの伝導電子がバックド層内にまで移動することが可能になり、バックド層の膜厚に比例してアップスピンの伝導電子の平均自由行程をさらに伸ばすことができる。このため、いわゆるスピンフィルター効果を発現させることが可能となり、伝導電子の平均自由行程の行程差が大きくなって、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率(ΔR/R)をより向上させることができる。
【0045】
また、本発明では、前記(c)の工程において、下面に切り込み部が形成されたリフトオフ用のレジスト層を前記フリー磁性層上に形成し、
前記多層膜上に前記第2反強磁性層を成膜した後、前記レジスト層を多層膜上から除去するようにしてもよい。
【0046】
さらに、前記第2反強磁性層を成膜した後、第2反強磁性層の上層に、トラック幅の間隔をあけて一対のレジストを積層し、前記第2反強磁性層の前記レジストによって挟まれた部位を基板表面に対して垂直方向に削り込み除去すると、薄膜磁気素子のトラック幅を正確に規定することができる。
【0047】
あるいは、前記(c)の工程において、前記多層膜上に前記第2反強磁性層を成膜した後、トラック幅の間隔をあけて一対のレジストを積層し、前記第2反強磁性層の前記レジストによって挟まれた部位を基板表面に対して垂直方向に削り込むことにより凹部を形成してもよい。
【0048】
本発明では、薄膜磁気素子のトラック幅が前記凹部の幅寸法によって決定される。すなわち、前記凹部の底面に重なる部分でのみ、前記フリー磁性層などの外部磁界によって磁化方向が変化する磁性層の磁化方向を変化させることができる。しかも、前記凹部は、一様の厚さで成膜された前記第2反強磁性層を、反応性イオンエッチング(RIE)やイオンミリングを用いて、前記非磁性層の表面に対する垂直方向に削るだけで形成することができるので、正確な幅寸法で前記凹部を形成することが可能になる。すなわち、薄膜磁気素子のトラック幅を正確に規定できる。
【0049】
本発明では、前記凹部の底面が前記第2反強磁性層内に位置するように、前記凹部を形成することができる。
【0050】
このとき、前記凹部の底面の下部に位置する前記第2反強磁性層の領域の厚さ、または前記凹部の底面の下部に位置する前記第2反強磁性層の領域と前記他の反強磁性層の領域の合計の厚さを0より大きく30Å以下にすると、前記凹部の底面の下部に位置する前記第2反強磁性層の領域、または前記凹部の底面の下部に位置する前記第2反強磁性層の領域と前記他の反強磁性層の領域に交換結合磁界が発生しないので好ましい。
【0051】
あるいは、前記凹部の底面が前記他の反強磁性層内に位置するように、前記凹部を形成してもよい。
【0052】
このとき、前記凹部の底面の下部に位置する前記他の反強磁性層の領域の厚さを0より大きく30Å以下にすると、前記凹部の底面の下部に位置する前記他の反強磁性層の領域に交換異方性磁界が発生しないので好ましい。
【0053】
また、前記凹部の底面が前記非磁性層内に位置するように前記凹部を形成してもよい。
【0054】
また、前記(a)の工程において、前記固定磁性層を、単位面積あたりの磁気モーメントの大きさが異なる複数の強磁性材料層を、非磁性中間層を介して積層することによって形成することが好ましい。
【0055】
固定磁性層が非磁性中間層の上下に強磁性材料層が積層されたものとして形成されると、これら複数層の強磁性材料層が互いの磁化方向を固定しあい、全体として固定磁性層の磁化方向を一定方向に強力に固定することができる。すなわち、第1反強磁性層と固定磁性層との交換結合磁界Hexを、例えば80〜160kA/mと、大きな値として得ることができる。従って、第1反強磁性層の磁化方向をハイト方向に向けるための磁場中アニールを行った後または行う前の、第2反強磁性層の磁化方向をトラック幅方向に向けるための磁場中アニールによって、固定磁性層の磁化方向がトラック幅方向に傾いて固定されることを防ぎつつ、第2反強磁性層による縦バイアス磁界を大きくすることができる。
【0056】
また、固定磁性層の固定磁化による反磁界(双極子磁界)を、複数層の強磁性材料層の静磁界結合同士が相互に打ち消し合うことによりキャンセルできる。これにより、固定磁性層の固定磁化による反磁界(双極子磁界)からの、フリー磁性層の変動磁化への寄与を減少させることができる。
【0057】
従って、フリー磁性層の変動磁化の方向を所望の方向に補正することがより容易になり、アシンメトリーの小さい対称性の優れたスピンバルブ型薄膜磁気素子を得ることが可能になる。
【0058】
また、固定磁性層の固定磁化による反磁界(双極子磁界)Hdは、素子高さ方向において、その端部で大きく中央部で小さいという不均一な分布を持ち、フリー磁性層内における単磁区化が妨げられる場合があるが、固定磁性層を上記の積層構造とすることにより双極子磁界HdをほぼHd=0とすることができ、これによってフリー磁性層内に磁壁ができて磁化の不均一が発生しバルクハウゼンノイズなどが発生することを防止することができる。
【0059】
ただし、本発明では、前記固定磁性層を単層の強磁性材料層として形成してもよい。
【0060】
前記(a)の工程において、前記フリー磁性層を、単位面積あたりの磁気モーメントの大きさが異なる複数の強磁性材料層を非磁性中間層を介して積層することによって形成することが好ましい。
【0061】
本発明では、前記非磁性中間層を介して隣接する前記強磁性材料層の磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態となり、前記フリー磁性層の膜厚を薄くすることと同等の効果が得られ、フリー磁性層の磁化が変動しやすくなり、磁気抵抗効果素子の磁界検出感度が向上するので好ましい。
【0062】
なお、前記強磁性材料層の単位面積あたりの磁気モーメントの大きさは、前記強磁性材料層の飽和磁化(Ms)と膜厚(t)の積で表される。
【0063】
なお、前記非磁性中間層を、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合金で形成することができる。
【0064】
なお、本発明では、前記複数の強磁性材料層の少なくとも一層を、以下の組成を有する磁性材料で形成することが好ましい。
【0065】
組成式がCoFeNiで示され、Feの組成比は9原子%以上で17原子%以下で、Niの組成比は0.5原子%以上で10原子%以下で、残りの組成比はCoである。
【0066】
また、前記非磁性材料層に最も近い位置に積層された前記強磁性材料層と前記非磁性材料層と間にCoFe合金あるいはCoからなる中間層を形成することが好ましい。前記中間層を形成するときには、前記複数の強磁性材料層の少なくとも一層を、以下の組成を有する磁性材料で形成することが好ましい。
【0067】
組成式がCoFeNiで示され、Feの組成比は7原子%以上で15原子%以下で、Niの組成比は5原子%以上で15原子%以下で、残りの組成比はCoである。
【0068】
さらに、本発明では、前記複数の強磁性材料層の全ての層を前記CoFeNiで形成することが好ましい。
【0069】
ところで本発明では、フリー磁性層が積層フェリ構造であり、単位面積あたりの磁気モーメントの大きさが異なる複数の強磁性材料層が、非磁性中間層を介して積層され、前記非磁性中間層を介して隣接する前記強磁性材料層の磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態である。
【0070】
この反平行磁化状態を適切に保つには、前記フリー磁性層の材質を改良して前記複数の強磁性材料層間に働くRKKY相互作用における交換結合磁界を大きくする必要性がある。
【0071】
前記強磁性材料層を形成する磁性材料としてよく使用されるものにNiFe合金がある。NiFe合金は軟磁気特性に優れるため従来からフリー磁性層などに使用されていたが、前記フリー磁性層を積層フェリ構造にした場合、NiFe合金で形成された強磁性材料層間の反平行結合力はさほど強くはない。
【0072】
そこで本発明では、前記強磁性材料層の材質を改良し、前記複数の強磁性材料層間の反平行結合力を強め、トラック幅方向の両側に位置するフリー磁性層の両側端部が外部磁界に対し揺らがないようにし、サイドリーディングの発生を適切に抑制できるようにすべく、前記複数の強磁性材料層のうち少なくとも一層、好ましくは全ての層にCoFeNi合金を使用することとしたのである。Coを含有させることで上記の反平行結合力を強めることができる。
【0073】
図29は、フリー磁性層を積層フェリ構造にした場合のヒステリシスループの概念図である。例えば第1フリー磁性層(F1)の単位面積あたりの磁気モーメント(飽和磁化Ms×膜厚t)は第2フリー磁性層(F2)の単位面積あたりの磁気モーメントよりも大きいとする。また外部磁界を図示右方向に与えたとする。
【0074】
第1フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントと第2フリー磁性層の単位面積あたりの磁気モーメントとのベクトル和(|Ms・t(F1)+Ms・t(F2)|)で求めることができる単位面積あたりの合成磁気モーメントは、0磁界から外部磁界を大きくしていってもある時点までは、一定の大きさである。この合成磁気モーメントが一定の大きさである外部磁界領域Aでは、前記第1フリー磁性層と第2フリー磁性層間に働く反平行結合力が、前記外部磁界よりも強いので、前記第1及び第2フリー磁性層の磁化は適切に単磁区化して、反平行状態に保たれている。
【0075】
ところが、さらに図示右方向への外部磁界を大きくしていくと、フリー磁性層の単位面積あたりの合成磁気モーメントは傾斜角を有して大きくなっていく。これは、前記外部磁界の方が、前記第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層間に働く反平行結合力よりも強いから、単磁区化していた第1のフリー磁性層と第2のフリー磁性層の磁化が分散して多磁区化状態となり、ベクトル和で求めることができる単位面積あたりの合成磁気モーメントが大きくなっていくのである。この単位面積あたりの合成磁気モーメントが大きくなっていく外部磁界領域Bでは、もはや前記フリー磁性層の反平行状態は崩れた状態にある。この単位面積あたりの合成磁気モーメントが大きくなり始める出発点の外部磁界の大きさをスピンフロップ磁界(Hsf)と呼んでいる。
【0076】
さらに図示右方向の外部磁界を大きくしていくと、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の磁化は再び単磁区化され、今度は外部磁界領域Aの場合と異なり、共に図示右方向に磁化され、この外部磁界領域Cでの単位面積あたりの合成磁気モーメントは一定値となる。この単位面積あたりの合成磁気モーメントが一定値となる時点での外部磁界の大きさを飽和磁界(Hs)と呼んでいる。
【0077】
本発明では、前記CoFeNi合金を第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層に使用すると、NiFe合金を使用した場合に比べて反平行状態が崩れるときの磁界、いわゆるスピンフロップ磁界(Hsf)を十分に大きくできることがわかった。
【0078】
本発明では、第1及び第2フリー磁性層にNiFe合金(比較例)及びCoFeNi合金(実施例)を用いて上記したスピンフロップ磁界の大きさを求めるための実験を以下の膜構成を用いて行った。
【0079】
基板/非磁性材料層(Cu)/第1フリー磁性層(2.4)/非磁性中間層(Ru)/第2フリー磁性層(1.4)
なお括弧書きは膜厚を示し単位はnmである。
【0080】
比較例での第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層には、Niの組成比が80原子%でFeの組成比が20原子%からなるNiFe合金を使用した。このときのスピンフロップ磁界(Hsf)は約59(kA/m)であった。
【0081】
次に実施例での第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層には、Coの組成比が87原子%で、Feの組成比が11原子%で、Niの組成比が2原子%からなるCoFeNi合金を使用した。このときのスピンフロップ磁界(Hsf)は約293(kA/m)であった。
【0082】
このように第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層にはNiFe合金を用いるよりもCoFeNi合金を用いる方が、スピンフロップ磁界を効果的に向上させることができることがわかった。
【0083】
次に、CoFeNi合金の組成比について説明する。CoFeNi合金は、非磁性中間層であるRu層と接することでNiFe合金を用いる場合より、磁歪が1×6-6〜6×10-6程度、正側にシフトすることがわかっている。
【0084】
前記磁歪は−3×10-6から3×10-6の範囲内であることが好ましい。また保磁力は790(A/m)以下であることが好ましい。磁歪が大きいと、成膜ひずみや、他層間での熱膨張係数の差などによって応力の影響を受けやすくなるから前記磁歪は低いことが好ましい。また保磁力は低いことが好ましく、これによってフリー磁性層の外部磁界に対する磁化反転を良好にすることができる。
【0085】
本発明では、非磁性材料層/第1フリー磁性層/非磁性中間層/第2フリー磁性層の膜構成で形成されるとき、前記CoFeNiのFe組成比は9原子%以上で17原子%以下で、Niの組成比は0.5原子%以上で10原子%以下で、残りの組成比はCoであることが好ましい。Feの組成比が17原子%よりも大きくなると、磁歪が−3×10-6よりも負に大きくなると共に軟磁気特性を劣化させて好ましくない。
【0086】
またFeの組成比が9原子%よりも小さくなると、磁歪が3×10-6よりも大きくなると共に、軟磁気特性の劣化を招き好ましくない。
【0087】
またNiの組成比が10原子%よりも大きくなると、磁歪が3×10-6よりも大きくなると共に、非磁性材料層との間でNiの拡散等による抵抗変化量(ΔR)及び抵抗変化率(ΔR/R)の低下を招き好ましくない。
【0088】
またNiの組成比が0.5原子%よりも小さくなると、磁歪が−3×10-6よりも負に大きくなって好ましくない。
【0089】
また上記した組成範囲内であれば保磁力を790(A/m)以下にすることができる。
【0090】
次に、前記非磁性材料層に最も近い位置に積層された前記強磁性材料層と前記非磁性材料層と間にCoFe合金あるいはCoからなる中間層を形成するとき、具体的には、例えば非磁性材料層/中間層(CoFe合金)/第1フリー磁性層/非磁性中間層/第2フリー磁性層の膜構成で形成されるとき、前記CoFeNiのFe組成比は7原子%以上で15原子%以下で、Niの組成比は5原子%以上で15原子%以下で、残りの組成比はCoであることが好ましい。Feの組成比が15原子%よりも大きくなると、磁歪が−3×10-6よりも負に大きくなると共に軟磁気特性を劣化させて好ましくない。
【0091】
またFeの組成比が7原子%よりも小さくなると、磁歪が3×10-6よりも大きくなると共に、軟磁気特性の劣化を招き好ましくない。
【0092】
またNiの組成比が15原子%よりも大きくなると、磁歪が3×10-6よりも大きくなって好ましくない。
【0093】
またNiの組成比が5原子%よりも小さくなると、磁歪が−3×10-6よりも負に大きくなって好ましくない。
【0094】
また上記した組成範囲内であれば保磁力を790(A/m)以下にすることができる。
【0095】
なお、CoFeやCoで形成された中間層はマイナス磁歪を有しているため、前記中間層を第1フリー磁性層と非磁性材料層間に介在させない膜構成の場合に比べて、CoFeNi合金のFe組成をやや少なくし、Ni組成をやや多くしている。
【0096】
また上記の膜構成のように、非磁性材料層と第1フリー磁性層間にCoFe合金あるいはCoからなる中間層を介在させることで、第1フリー磁性層と非磁性材料層間での金属元素の拡散をより効果的に防止することができて好ましい。
【0097】
本発明では、前記第1反強磁性層と前記第2反強磁性層を、同じ組成の反強磁性材料を用いて形成した場合でも、前記フリー磁性層の両端部の磁化方向を、前記固定磁性層の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になる。
【0098】
前記第1反強磁性層及び/又は前記第2の反強磁性層を、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で形成することが好ましい。
【0099】
ここで、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0100】
また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0101】
第1反強磁性層及び第2反強磁性層として、これらの適切な組成範囲の合金を使用し、これを熱処理することにより、大きな交換結合磁界を発生する第1反強磁性層及び第2反強磁性層を得ることができる。特に、PtMn合金であれば、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を有し、前記交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた第1反強磁性層及び第2反強磁性層を得ることができる。
【0102】
これらの合金は、成膜直後の状態では、不規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態する。
【0103】
なお、本発明では、第1反強磁性層と縦バイアス層を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成することができる。
【0104】
【発明の実施の形態】
図1から図5は、本発明の薄膜磁気素子の製造方法の実施の形態を示す断面図である。
【0105】
まず、基板11上に第1反強磁性層12を積層する。さらに第1固定磁性層13a、非磁性中間層13b、第2固定磁性層13cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層13が積層され、固定磁性層13の上層に非磁性材料層14、フリー磁性層15、非磁性層16及び他の反強磁性層17が積層されて、多層膜Aが形成される。図1は、多層膜Aが形成された状態を示す断面図である。
【0106】
第1反強磁性層12、固定磁性層13、非磁性材料層14、フリー磁性層15、非磁性層16及び他の反強磁性層17はスパッタ法や蒸着法などの薄膜形成プロセスによって形成される。
【0107】
第1反強磁性層12及び他の反強磁性層17は、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成する。
【0108】
第1反強磁性層12及び他の反強磁性層17として、これらの合金を使用し、これを熱処理することにより、大きな交換結合磁界を発生する第1反強磁性層12及び他の反強磁性層17を得ることができる。特に、PtMn合金であれば、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を有し、前記交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた第1反強磁性層12及び他の反強磁性層17を得ることができる。
【0109】
これらの合金は、成膜直後の状態では、不規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態する。
【0110】
第1反強磁性層12の膜厚は、トラック幅方向の中心付近において80〜300Åである。また、他の反強磁性層17の膜厚は、約30Åである。
【0111】
第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cは、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にNiFe合金またはCoにより形成されることが好ましい。また、第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cは同一の材料で形成されることが好ましい。
【0112】
また、非磁性中間層13bは、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0113】
非磁性材料層14は、固定磁性層13とフリー磁性層15との磁気的な結合を防止し、またセンス電流が主に流れる層であり、Cu,Cr,Au,Agなど導電性を有する非磁性材料により形成されることが好ましい。特にCuによって形成されることが好ましい。
【0114】
フリー磁性層15は、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にNiFe合金またはCoにより形成されることが好ましい。
【0115】
非磁性層16は、Ruによって形成され、膜厚は8〜11Åである。また、非磁性層は、Ru,Cu,Ag,Auのうち1種または2種以上の元素を用いて形成することもできる。
【0116】
次に、図1の多層膜Aを第1の熱処理温度、Y方向を向いた第1の大きさの磁界中で、第1の磁場中アニールを行い、第1反強磁性層12に交換異方性磁界を発生させ、固定磁性層13の磁化方向を図示Y方向に固定する。本実施の形態では、前記第1の熱処理温度を270℃、磁界の第1の大きさを800k(A/m)としている。
【0117】
ここで、他の反強磁性層17の膜厚は30Åである。他の反強磁性層17の膜厚が30Å以下であると、他の反強磁性層17を磁場中アニールにかけても不規則構造から規則構造への変態が生じず、交換異方性磁界が発生しない。従って、多層膜Aを第1の磁場中アニールにかけたときに、他の反強磁性層17には交換異方性磁界が発生せず、フリー磁性層15の磁化方向が図示Y方向に固定されることはない。
【0118】
多層膜Aを第1の磁場中アニールにかけたときに、他の反強磁性層17は、その表面から10〜20Å程度酸化する。そこで、多層膜Aの状態で他の反強磁性層17の表面をイオンミリングによって20Å程削り、酸化した部分を除去する。このように、本実施の形態では、多層膜Aの最上層に他の反強磁性層16が積層されているので、非磁性層16及びフリー磁性層15の酸化を防ぐことができる。
【0119】
次に、図2に示すごとく、多層膜A上に、第2反強磁性層である縦バイアス層18を成膜し、縦バイアス層18の上層に電極層19を成膜する。
【0120】
縦バイアス層18は、第1反強磁性層12及び他の反強磁性層17と同様に、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成する。
【0121】
縦バイアス層18の膜厚は、トラック幅方向の中心付近において80〜300Å、例えば200Åである。
【0122】
ここで、第1反強磁性層12、他の反強磁性層17、及び縦バイアス層18を形成するための、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記PtMn合金及び前記X−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0123】
また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。さらに、前記Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0124】
第1反強磁性層及び第2反強磁性層として、これらの適切な組成範囲の合金を使用し、これを熱処理することにより、大きな交換結合磁界を発生する第1反強磁性層及び第2反強磁性層を得ることができる。特に、PtMn合金であれば、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を有し、前記交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた第1反強磁性層及び第2反強磁性層を得ることができる。
【0125】
これらの合金は、成膜直後の状態では、不規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態する。
【0126】
なお、本実施の形態の薄膜磁気素子は、第1反強磁性層12と縦バイアス層18を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成することができる。
【0127】
電極層19は、例えば、Au、W、Cr、Taなどを用いて成膜される。
次に、図3に示すように、電極層19上にレジスト20,20を積層し、電極層19上をトラック幅Twの間隔を開けてマスキングする。
【0128】
さらに、図4に示すように、縦バイアス層18のレジスト20,20によってマスクされない部分を、イオンミリングまたは反応性イオンエッチング(RIE)などによって、基板11の表面11aに対して垂直方向に削り込むことにより凹部21を形成する。凹部21の側面21a,21aは、基板11の表面11aに対して垂直になっている。図4では、凹部21の底面21bが縦バイアス層17内に位置するように、凹部21を形成している。
【0129】
このとき、凹部21の底面21bの下部に位置する縦バイアス層18の領域と他の反強磁性層17の厚さの合計t1を0より大きく30Å以下にする。
【0130】
凹部21形成後、電極層19,19まで形成された多層膜Bを、第2の熱処理温度、X方向を向いた第2の大きさの磁界中で、第2の磁場中アニールを行い、縦バイアス層18に交換異方性磁界を発生させ、フリー磁性層15の磁化方向を図示X方向に固定する。本実施の形態では、前記第2の熱処理温度を250℃、磁界の第2の大きさを24k(A/m)としている。
【0131】
前記第2の熱処理後、レジスト層20,20を除去すると、図5に示されるような薄膜磁気素子を得ることができる。
【0132】
縦バイアス層18の交換異方性磁界は、第2の磁場中アニール工程において始めて生じる。従って、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層18の交換異方性磁界を図示X方向に向けるためには、前記第2の熱処理温度を、第1反強磁性層12が交換結合磁界を失うブロッキング温度より低い温度に設定し、前記第2の磁界の大きさを第1反強磁性層12の交換異方性磁界より小さくするだけでよい。また、第2の磁場中アニールをこれらの条件下で行えば、第1反強磁性層12と縦バイアス層18を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成しても、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層18の交換異方性磁界を図示X方向に向けることができる。すなわち、フリー磁性層15の磁化方向を、固定磁性層13の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になる。
【0133】
本実施の形態のように、凹部21の底面21bの下部に位置する縦バイアス層18の領域と他の反強磁性層17の厚さの合計t1を0より大きく30Å以下にすると、
凹部21の底面21bに位置する縦バイアス層18の領域では、第2の磁場中アニールによって不規則−規則変態が生じず、交換結合磁界が発生しない。
【0134】
すなわち、フリー磁性層15の磁化方向は、凹部21の底面21bに重なる領域以外のトラック幅方向両端部D,Dでのみ、縦バイアス層18との交換結合によって固定される。
【0135】
凹部21の底面21bに重なるフリー磁性層15の領域Eは、外部磁界が印加されない状態おいて、縦バイアス層18との交換結合によって磁化方向が固定された両端部D,Dにならって図示X方向に揃えられ、外部磁界が印加されるとその磁化方向が変化する。
【0136】
従って、薄膜磁気素子のトラック幅は、前記凹部の幅寸法Twによって決定される。上述したように、本発明では、凹部21は一様の厚さで成膜された縦バイアス層18を、反応性イオンエッチング(RIE)やイオンミリングを用いて、基板11の表面11aに対する垂直方向に削るだけで形成することができるので、正確な幅寸法Twで凹部21を形成することが可能になる。すなわち、薄膜磁気素子のトラック幅Twを正確に規定できる。
【0137】
なお、上記説明では縦バイアス層18の上層に電極層19を成膜した後、電極層19上に前記レジストを積層して、縦バイアス層18に凹部を形成したが、縦バイアス層18の上層にレジスト20,20を積層して、縦バイアス層18に凹部を形成した後、縦バイアス層18の上層に電極層19を積層してもよい。
【0138】
また、本実施の形態では、基板11上に直接第1反強磁性層12が積層されているが、基板11上にアルミナ層及びTa等からなる下地層を介して反強磁性層12が積層されてもよい。
【0139】
図5に示された本実施の形態の薄膜磁気素子の製造方法によって形成された薄膜磁気素子について説明する。
【0140】
縦バイアス層18が多層膜Aの上層に非磁性層16を介して積層されていると、フリー磁性層15は、縦バイアス層18とのRKKY相互作用によって磁化方向が揃えられる。RKKY相互作用は、反強磁性を有する厚さの反強磁性層(縦バイアス層18)の直下に位置する磁性層の領域との間にのみ作用し、反強磁性を有する厚さの反強磁性層の直下から外れた領域には作用しない。すなわち、前記RKKY相互作用は、凹部21の底面21bに重ならないトラック幅方向両端部D,Dにのみ働き、凹部21の底面21bに重なる領域Eには作用しない。
【0141】
従って、縦バイアス層18に形成された凹部21の幅寸法として設定されたトラック幅(光学的トラック幅)Twの領域が、実質的に記録磁界の再生に寄与し、磁気抵抗効果を発揮する感度領域となる。すなわち、本発明の薄膜磁気素子は、薄膜磁気素子の光学的トラック幅が磁気的トラック幅に等しくなるので、不感領域があるために磁気的トラック幅の制御が困難であるハードバイアス方式と比較して、記録媒体の高記録密度化に対応することが容易になる。
【0142】
また、薄膜磁気素子の形成時に設定されたトラック幅(光学的トラック幅)Twの領域に不感領域が生じないので、高記録密度化に対応するために薄膜磁気素子の光学的トラック幅Twを小さくしていった場合の再生出力の低下を抑えることができる。
【0143】
さらに、本実施の形態では薄膜磁気素子の側端面S,Sが基板11の表面11aに対して垂直となるように形成されることが可能なので、フリー磁性層15の幅方向長さのバラつきを抑えることができる。
【0144】
また、本実施の形態のように、縦バイアス層18とのRKKY相互作用によってフリー磁性層15の磁化方向が揃えられるものは、縦バイアス層18とフリー磁性層15とが直に接しているものよりも交換結合力を強くすることができる。
【0145】
また、本実施の形態のように、非磁性層16が導電性材料によって形成されていると、非磁性層16をスピンフィルター効果を有するバックド層(backedlayer)として機能させることが可能になる。
【0146】
スピンフィルター効果を有するバックド層(非磁性層16)がフリー磁性層15に接して設けられると、積層体内部においてセンス電流が流れる中心高さ位置を、バックド層がない場合よりも、このバックド層側に移動させることができる。すなわち、センス電流の中心高さ位置がフリー磁性層15から離れ、フリー磁性層15位置におけるセンス電流磁界の強度が低減し、このセンス電流磁界のフリー磁性層15の変動磁化への影響が低減する。従って、アシンメトリーを小さくできる。
【0147】
ここで、アシンメトリーとは、再生出力波形の非対称性の度合いを示すものであり、再生出力波形が与えられた場合、波形が対称であればアシンメトリーが小さくなる。従って、アシンメトリーが0に近づく程再生出力波形が対称性に優れていることになる。
【0148】
前記アシンメトリーは、フリー磁性層の変動磁化の方向と固定磁性層の固定磁化の方向とが直交しているときに0となる。アシンメトリーが大きくずれるとメディアからの情報の読み取りが正確にできなくなり、エラーの原因となる。このため、前記アシンメトリーが小さいものほど、再生信号処理の信頼性が向上することになり、スピンバルブ薄膜磁気素子として優れたものとなる。
【0149】
スピンフィルター効果について説明する。
図30及び図31はスピンバルブ型薄膜磁気素子においてバックド層によるスピンフィルター効果を説明するための模式説明図であり、図30はバックド層がない構造例を示す模式図であり、図31はバックド層のある構造例を示す模式図である。
【0150】
巨大磁気抵抗GMR効果は、主として電子の「スピンに依存した散乱」によるものである。つまり磁性材料、ここではフリー磁性層の磁化方向に平行なスピン(例えばアップスピン)を持つ伝導電子の平均自由行程λ-と、磁化方向に逆平行なスピン(例えばダウンスピン)を持つ伝導電子の平均自由行程λ-の差を利用したものである。図30及び図31では、アップスピンを持つ伝導電子を上向き矢印で表わし、ダウンスピンを持つ伝導電子を下向き矢印で表わしている。電子がフリー磁性層を通り抜けようとするときに、この電子がフリー磁性層の磁化方向に平行なアップスピンを持てば自由に移動できるが、反対にダウンスピンを持ったときには直ちに散乱されてしまう。
【0151】
これは、アップスピンを持つ電子の平均自由行程λ+が、例えば、50オングストローム程度であるのに対して、ダウンスピンを持つ電子の平均自由行程λ−が6オングストローム程度であり、10分の1程度と極端に小さいためである。フリー磁性層115の膜厚は、6オングストローム程度であるダウンスピンを持つ電子の平均自由行程λ-よりも大きく、50オングストローム程度であるアップスピンを持つ電子の平均自由行程λ+よりも小さく設定されている。
【0152】
従って、電子がフリー磁性層115を通り抜けようとするときに、この電子がフリー磁性層115の磁化方向に平行なアップスピンを持てば自由に移動できるが、反対にダウンスピンを持ったときには直ちに散乱されてしまう(フィルタアウトされる)。
【0153】
反強磁性層112上に積層された固定磁性層113で発生し、非磁性材料層114を通過するダウンスピン電子は、フリー磁性層115と非磁性材料層114との界面付近で散乱され、フリー磁性層115にはほとんど到達しない。つまり、このダウンスピン電子は、フリー磁性層115の磁化方向が回転しても平均自由行程に変化はなく、GMR効果による抵抗変化率に影響しない。従ってGMR効果にはアップスピン電子の挙動のみを考えればよい。
【0154】
固定磁性層113で発生したアップスピン電子はこのアップスピン電子の平均自由行程λ+より薄い厚さの非磁性材料層114中を移動し、フリー磁性層115に到達し、アップスピン電子はフリー磁性層115内を自由に通過できる。これは、アップスピン電子がフリー磁性層115の磁化方向に平行なスピンを持っているためである。
【0155】
固定磁性層の磁化方向とフリー磁性層の磁化方向が反平行となる状態では、アップスピン電子はフリー磁性層115の磁化方向に平行なスピンを持った電子でなくなる。すると、アップスピン電子は、フリー磁性層115と非磁性材料層114との界面付近で散乱されることになり、アップスピン電子の有効平均自由行程が急激に減少する。すなわち、抵抗値が増大する。抵抗変化率は、アップスピン電子の有効平均自由行程の変化量と正の相関関係を有する。
【0156】
図31に示すように、バックド層BAが設けられている場合には、フリー磁性層115を通過したアップスピン電子はバックド層BAにおいて、このバックド層B1の材料で決定される追加平均自由行程λ+bを移動した後散乱する。すなわち、バックド層BAを設けたことにより、アップスピン電子の平均自由行程λ+が追加平均自由行程λ+b分だけ延びる。
【0157】
バックド層として機能する非磁性層16を有する本実施の形態では、アップスピンの伝導電子の平均自由行程を伸ばすことができる。このため、外部磁界の印加によるアップスピン電子の平均自由行程の変化量が大きくなって、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率(ΔR/R)をより向上させることができる。
【0158】
また、本実施の形態では、他の反強磁性層17を鏡面反射層として形成することも可能である。他の反強磁性層17を鏡面反射層として形成するためには、他の反強磁性層17を、例えばNiMnSb,PtMnSbなどの半金属ホイッスラー合金の、単層膜または多層膜として形成すればよい。
【0159】
これらの材料を用いることにより、隣接する層との間に、充分なポテンシャル障壁を形成することが可能であり、その結果充分な鏡面反射効果を得ることができる。
【0160】
鏡面反射効果について説明する。図32及び図33は、スピンバルブ型薄膜磁気素子において鏡面反射層S1による鏡面反射効果を説明するための模式説明図である。スピンフィルター効果の説明において上述したように、GMR効果では固定磁性層113の固定磁化方向によって規定されるアップスピン電子の挙動のみを考えればよい。
【0161】
固定磁性層の磁化方向とフリー磁性層の磁化方向が平行となる状態では、図32及び図33に示すように、アップスピン電子は、非磁性材料層114からフリー磁性層115にまで到達する。そして、フリー磁性層115内部を移動してフリー磁性層115と鏡面反射層S1との界面付近に到達する。
【0162】
ここで図32に示す鏡面反射層がない場合には、アップスピン電子がフリー磁性層115中を移動し、その上面において散乱する。このため、平均自由行程は図に示すλ+となる。
【0163】
一方、図33のように、鏡面反射層S1がある場合には、フリー磁性層115と鏡面反射層S1との界面付近にポテンシャル障壁が形成されるため、アップスピン電子がフリー磁性層115と鏡面反射層S1との界面付近で鏡面反射(鏡面散乱)する。
【0164】
通常、伝導電子が散乱した場合には、その電子の持っているスピン状態(エネルギー、量子状態など)は変化する。しかし、鏡面散乱した場合には、このアップスピン電子はスピン状態が保存されたまま反射される確率が高く、再びフリー磁性層115中を移動することになる。つまり、鏡面反射よって、アップスピンの伝導電子のスピン状態が維持されるので、あたかも散乱されなかったようにフリー磁性層中を移動することになる。
【0165】
これは、アップスピン電子が鏡面反射した分、反射平均自由行程λ+sだけ平均自由行程が延びたことを意味する。
【0166】
固定磁性層の磁化方向とフリー磁性層の磁化方向が反平行となる状態では、アップスピン電子はフリー磁性層115の磁化方向に平行なスピンを持った電子でなくなる。すると、アップスピン電子は、フリー磁性層115と非磁性材料層114との界面付近で散乱されることになり、アップスピン電子の有効平均自由行程が急激に減少する。すなわち、抵抗値が増大する。抵抗変化率は、アップスピン電子の有効平均自由行程の変化量と正の相関関係を有する。
【0167】
鏡面反射層として機能する他の反強磁性層17を有する本実施の形態では、アップスピンの伝導電子の平均自由行程を伸ばすことができる。このため、外部磁界の印加によるアップスピン電子の平均自由行程の変化量が大きくなって、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率(ΔR/R)をより向上させることができる。
【0168】
スピンフィルター効果、鏡面反射効果によるアップスピンの伝導電子とダウンスピンの伝導電子の平均自由行程差の拡大はフリー磁性層の膜厚が比較的薄い場合により効果を発揮する。
【0169】
フリー磁性層115の膜厚が15Åより薄いと強磁性材料層として機能するように形成することが難しくなり充分な磁気抵抗効果を得ることができない。
【0170】
また、フリー磁性層115の膜厚が45Åより厚いと前記鏡面反射層に到達する前に散乱されてしまうアップスピンの伝導電子が増加して鏡面反射効果(specular effect)によって抵抗変化率が変化する割合が減少するため好ましくない。
【0171】
また、図5では、単位面積あたりの磁気モーメントが異なる前記第1固定磁性層13aと前記第2固定磁性層13cが、前記非磁性中間層13bを介して積層されたものが、一つの固定磁性層13として機能する。
【0172】
第1固定磁性層13aは第1反強磁性層12と接して形成され、磁場中アニールが施されることにより、第1固定磁性層13aと反強磁性層12との界面にて交換結合による交換異方性磁界が生じ、第1固定磁性層13aの磁化方向が図示Y方向に固定される。第1固定磁性層13aの磁化方向が図示Y方向に固定されると、非磁性中間層13bを介して対向する第2固定磁性層13cの磁化方向が、第1固定磁性層13aの磁化方向と反平行の状態で固定される。
【0173】
なお、第1固定磁性層13aの単位面積あたりの磁気モーメントと第2固定磁性層13cの単位面積あたりの磁気モーメントを足し合わせた単位面積あたりの合成磁気モーメントの方向が固定磁性層13の磁化方向となる。
【0174】
このように、第1固定磁性層13aと第2固定磁性層13cの磁化方向は、反平行となるフェリ磁性状態になっており、第1固定磁性層13aと第2固定磁性層13cとが互いに他方の磁化方向を固定しあうので、全体として固定磁性層13の磁化方向を一定方向に安定させることができるので好ましい。
【0175】
第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cは、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にNiFe合金またはCoにより形成されることが好ましい。また、第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cは同一の材料で形成されることが好ましい。
【0176】
図5では、前記第1固定磁性層13a及び前記第2固定磁性層13cを同じ材料を用いて形成し、さらに、それぞれの膜厚を異ならせることにより、それぞれの単位面積あたりの磁気モーメントを異ならせている。
【0177】
また、非磁性中間層13bは、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0178】
固定磁性層13が非磁性中間層13bの上下に第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13bが積層されたものとして形成されると、第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cが互いの磁化方向を固定しあい、全体として固定磁性層13の磁化方向を一定方向に強力に固定することができる。すなわち、第1反強磁性層12と固定磁性層13との交換結合磁界Hexを例えば80〜160kA/mと、大きな値として得ることができる。従って、第1反強磁性層12の磁化方向をハイト方向に向けるための第1の磁場中アニールを行った後の、縦バイアス層18の磁化方向をトラック幅方向に向けるための第2の磁場中アニールによって、固定磁性層13の磁化方向がトラック幅方向に傾いて固定されることを防ぎつつ、縦バイアス層18による縦バイアス磁界を大きくすることができる。
【0179】
また、本実施の形態では、固定磁性層13の固定磁化による反磁界(双極子磁界)を、第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cの静磁界結合同士が相互に打ち消し合うことによりキャンセルできる。これにより、固定磁性層13の固定磁化による反磁界(双極子磁界)からの、フリー磁性層15の変動磁化への寄与を減少させることができる。
【0180】
従って、フリー磁性層15の変動磁化の方向を所望の方向に補正することがより容易になり、アシンメトリーの小さい対称性の優れたスピンバルブ型薄膜磁気素子を得ることが可能になる。
【0181】
また、固定磁性層13の固定磁化による反磁界(双極子磁界)Hdは、素子高さ方向において、その端部で大きく中央部で小さいという不均一な分布を持ち、フリー磁性層15内における単磁区化が妨げられる場合があるが、固定磁性層13を上記の積層構造とすることにより双極子磁界HdをほぼHd=0とすることができ、これによってフリー磁性層15内に磁壁ができて磁化の不均一が発生しバルクハウゼンノイズなどが発生することを防止することができる。
【0182】
図6は、本発明の第2の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図である。
【0183】
この薄膜磁気素子の製造方法は、図1から図5に示された第1の実施の形態と、ほとんど同じであり、図4において、縦バイアス層18のレジスト20,20によって挟まれた部位を、イオンミリングまたは反応性イオンエッチング(RIE)などによって、基板11の表面11aに対して垂直方向に削り込むときに、凹部21の底面21bが他の反強磁性層17内に位置するように、凹部21を形成している点でのみ異っている。
【0184】
なお、本実施の形態では、凹部21の底面21bの下部に位置する他の反強磁性層17の領域の厚さt2を0より大きく30Å以下にし、凹部21の底面21bの下部に位置する他の反強磁性層17の領域に磁場中アニールによる不規則−規則変態を生じさせず、交換結合磁界が発生しないようにしている。
【0185】
従って、フリー磁性層15の磁化方向は、凹部21の底面21bの下部に位置する領域以外のトラック幅方向両端部D,Dでのみ、縦バイアス層18とのRKKY結合によって固定される。
【0186】
フリー磁性層15の凹部21の底面21bの下部に位置する領域Eは、外部磁界が印加されない状態おいて、縦バイアス層18とのRKKY結合によって磁化方向が固定された両端部D,Dにならって図示X方向に揃えられ、外部磁界が印加されるとその磁化方向が変化する。従って、薄膜磁気素子のトラック幅は、前記凹部の幅寸法Twによって決定される。
【0187】
凹部21の底面21bが他の反強磁性層17内に位置するように凹部21を形成する製造方法でも、第1の実施の形態と同様に、フリー磁性層15の磁化方向を、固定磁性層13の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になり、薄膜磁気素子のトラック幅Twを正確に規定できる。また、第1反強磁性層12と縦バイアス層18を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成しても、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層18の交換異方性磁界を図示X方向に向けることができる。
【0188】
図6に示された薄膜磁気素子は、図5に示された第1の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子が奏するその他の効果についても、図5に示された薄膜磁気素子と同等の効果を奏することができる。
【0189】
図7は、本発明の第3の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図である。
【0190】
この薄膜磁気素子の製造方法は、図1から図5に示された第1の実施の形態と、ほとんど同じであり、図4において、縦バイアス層18のレジスト20,20によって挟まれた部位を、イオンミリングまたは反応性イオンエッチング(RIE)などによって、基板11の表面11aに対して垂直方向に削り込むときに、凹部21の底面21bが非磁性層16内に位置するように、凹部21を形成している点でのみ異っている。
【0191】
本実施の形態では、フリー磁性層15の磁化方向は、凹部21の底面21bに重なる部分以外のトラック幅方向両端部D,Dでのみ、縦バイアス層18とのRKKY結合によって固定される。
【0192】
フリー磁性層15の凹部21の底面21bに重なる部分Eは、外部磁界が印加されない状態おいて、縦バイアス層18とのRKKY結合によって磁化方向が固定された両端部D,Dにならって図示X方向に揃えられ、外部磁界が印加されるとその磁化方向が変化する。従って、薄膜磁気素子のトラック幅は、前記凹部の幅寸法Twによって決定される。
【0193】
凹部21の底面21bが非磁性層16内に位置するように凹部21を形成する製造方法でも、フリー磁性層15の磁化方向を、固定磁性層13の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になり、薄膜磁気素子のトラック幅Twを正確に規定できる。また、第1反強磁性層12と縦バイアス層18を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成しても、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層18の交換異方性磁界を図示X方向に向けることができる。
【0194】
図7に示された薄膜磁気素子は、図5に示された第1の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子が奏するその他の効果についても、図5に示された薄膜磁気素子と同等の効果を奏することができる。
【0195】
図8は、本発明の第4の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図である。
【0196】
この薄膜磁気素子の製造方法は、図1から図5に示された第1の実施の形態と、ほとんど同じである。
【0197】
第1の実施の形態と異なる点は、図1において、フリー磁性層15の成膜後、非磁性層16を積層せず、フリー磁性層15の上層に他の反強磁性層17を直接積層した多層膜A1を形成し、この多層膜A1を第1の磁場中アニールにかけ、その後多層膜A1上に縦バイアス層18を積層する点でのみ異っている。
【0198】
図8の薄膜磁気素子は、フリー磁性層15の上層に他の反強磁性層17及び第2反強磁性層である縦バイアス層18が積層されているため、フリー磁性層15の磁化方向は、他の反強磁性層17及び縦バイアス層18との交換結合によって図示X方向にそろえられる。
【0199】
本実施の形態では、凹部21の底面21bの下部に位置する縦バイアス層18の領域の厚さと他の反強磁性層17の厚さの合計t4を0より大きく30Å以下にしており、凹部21の底面21bの下部に位置する縦バイアス層18及び他の反強磁性層17の領域では、第2の磁場中アニールによって不規則−規則変態が生じず、交換結合磁界が発生しない。
【0200】
すなわち、フリー磁性層15の磁化方向は、凹部21の底面21bの下部に位置する領域以外のトラック幅方向両端部D,Dでのみ、縦バイアス層18との交換結合によって固定される。
【0201】
フリー磁性層15の凹部21の底面21bの下部に位置する領域Eは、外部磁界が印加されない状態おいて、縦バイアス層18との交換結合によって磁化方向が固定された両端部D,Dにならって図示X方向に揃えられ、外部磁界が印加されるとその磁化方向が変化する。
【0202】
従って、薄膜磁気素子のトラック幅が前記凹部の幅寸法Twによって決定される。上述したように、本発明では、凹部21は一様の厚さで成膜された縦バイアス層を、反応性イオンエッチング(RIE)やイオンミリングを用いて、基板11の表面11aに対する垂直方向に削るだけで形成することができるので、正確な幅寸法Twで凹部21を形成することが可能になる。すなわち、薄膜磁気素子のトラック幅を正確に規定できる。
【0203】
フリー磁性層15の成膜後、非磁性層16を積層せずに他の反強磁性層17を積層する製造方法でも、フリー磁性層15の磁化方向を、固定磁性層13の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になる。
【0204】
また、第1反強磁性層12と縦バイアス層18を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成しても、第1の実施の形態と同様に、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層18の交換異方性磁界を図示X方向に向けることができる。
【0205】
図8に示された薄膜磁気素子は、図5に示された第1の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子が奏するスピンフィルター効果以外の効果については、図5に示された薄膜磁気素子と同等の効果を奏することができる。
【0206】
図9は、本発明の第5の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図である。
【0207】
この薄膜磁気素子の製造方法は、第4の実施の形態と、ほとんど同じであり、縦バイアス層18のレジスト20,20によって挟まれた部位を、イオンミリングまたは反応性イオンエッチング(RIE)などによって、基板11の表面11aに対して垂直方向に削り込むときに、凹部21の底面21bが他の反強磁性層17内に位置するように、凹部21を形成している点でのみ異っている。
【0208】
なお、本実施の形態では、凹部21の底面21bの下部に位置する他の反強磁性層17の領域の厚さt5を0より大きく30Å以下にし、凹部21の底面21bの下部に位置する他の反強磁性層17の領域に磁場中アニールによる不規則−規則変態を生じさせず、交換結合磁界が発生しないようにしている。
【0209】
従って、フリー磁性層15の磁化方向は、凹部21の底面21bに重なる領域以外のトラック幅方向両端部D,Dでのみ縦バイアス層18との交換結合によって固定される。
【0210】
フリー磁性層15の凹部21の底面21bの下部に位置する領域Eは、外部磁界が印加されない状態おいて、縦バイアス層18との交換結合によって磁化方向が固定された両端部D,Dにならって図示X方向に揃えられ、外部磁界が印加されるとその磁化方向が変化する。従って、薄膜磁気素子のトラック幅は、前記凹部の幅寸法Twによって決定される。
【0211】
凹部21は一様の厚さで成膜された縦バイアス層を、反応性イオンエッチング(RIE)やイオンミリングを用いて、基板11の表面11aに対する垂直方向に削るだけで形成することができるので、正確な幅寸法Twで凹部21を形成することが可能になる。すなわち、薄膜磁気素子のトラック幅を正確に規定できる。
【0212】
凹部21の底面21bが他の反強磁性層17内に位置するように凹部21を形成する製造方法でも、第4の実施の形態と同様に、フリー磁性層15の磁化方向を、固定磁性層13の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になり、薄膜磁気素子のトラック幅Twを正確に規定できる。また、第1反強磁性層12と縦バイアス層18を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成しても、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層18の交換異方性磁界を図示X方向に向けることができる。
【0213】
図9に示された薄膜磁気素子は、図8に示された第4の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子が奏するその他の効果についても、図8に示された薄膜磁気素子と同等の効果を奏することができる。
【0214】
図10は、本発明の第6の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図である。
【0215】
この薄膜磁気素子の製造方法は、図1から図5に示された第1の実施の形態と、ほとんど同じであり、図1において、フリー磁性層31を、単位面積あたりの磁気モーメントの大きさが異なる第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cを非磁性中間層31bを介して積層された、いわゆるシンセティックフェリフリー型のフリー磁性層として形成する点でのみ異っている。
【0216】
第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cは、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にNiFe合金により形成されることが好ましい。
【0217】
また、非磁性中間層31bは、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0218】
なお、第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14の間に、Coなどからなる拡散防止層が形成されていてもよい。この拡散防止層は第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14の相互拡散を防止する。
【0219】
なお、第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cは、それぞれの単位面積あたりの磁気モーメントが異なるように形成されている。単位面積あたりの磁気モーメントは、飽和磁化(Ms)と膜厚(t)の積で表される。従って、例えば、第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cを同じ材料を用いて形成し、さらに、それぞれの膜厚を異ならせることにより、第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cの単位面積あたりの磁気モーメントを異ならせることができる。
【0220】
なお、第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14の間に、Coなどからなる拡散防止層が形成される場合には、第1フリー磁性層31aの単位面積あたりの磁気モーメントと前記拡散防止層の単位面積あたりの磁気モーメントの和と、第2フリー磁性層31cの単位面積あたりの磁気モーメントを異ならせることが好ましい。
【0221】
なお、第2フリー磁性層31cの厚さtf2は0.5〜2.5nmの範囲であることが好ましい。また、第1フリー磁性層31aの厚さtf1は2.5〜4.5nmの範囲であることが好ましい。なお、第1フリー磁性層31aの厚さtf1が3.0〜4.0nmの範囲であることがより好ましく、さらに好ましくは3.5〜4.0nmの範囲であることである。第1フリー磁性層31aの厚さtf1が前記の範囲を外れると、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率を大きくすることができなくなるので好ましくない。
【0222】
図10では、単位面積あたりの磁気モーメントが異なる第1フリー磁性層31aと第2フリー磁性層31cが、非磁性中間層31bを介して積層されたものが、一つのフリー磁性層31として機能する。
【0223】
第1フリー磁性層31aと第2フリー磁性層31cの磁化方向は180度異なる反平行のフェリ磁性状態になっている。このとき、単位面積あたりの磁気モーメントが大きい方、例えば、第1フリー磁性層31aの磁化方向が、縦バイアス層18から発生する磁界の方向に向き、第2フリー磁性層31cの磁化方向が、180度反対方向に向いた状態になる。
【0224】
第1フリー磁性層31aと第2フリー磁性層31cの磁化方向が180度異なる反平行のフェリ磁性状態になると、フリー磁性層31の膜厚を薄くすることと同等の効果が得られ、飽和磁化が小さくなり、フリー磁性層31の磁化が変動しやすくなって、磁気抵抗効果素子の磁界検出感度が向上する。
【0225】
第1フリー磁性層31aの単位面積あたりの磁気モーメントと第2フリー磁性層31cの単位面積あたりの磁気モーメントを足し合わせた単位面積あたりの合成磁気モーメントの方向がフリー磁性層31の磁化方向となる。
【0226】
ただし、固定磁性層13の磁化方向との関係で出力に寄与するのは第1フリー磁性層31aの磁化方向のみである。
【0227】
また、第1フリー磁性層と第2フリー磁性層の磁気的膜厚の関係が異ならされていると、フリー磁性層31のスピンフロップ磁界を大きくできる。
【0228】
スピンフロップ磁界とは、磁化方向が反平行である2つの磁性層に対し、外部磁界を印加したときに、2つの磁性層の磁化方向が反平行でなくなる外部磁界の大きさを差す。
【0229】
図29は、フリー磁性層31のヒステリシスループの概念図である。このM−H曲線は、図10に示す構成のフリー磁性層に対してトラック幅方向から外部磁界を印加したときの、フリー磁性層の磁化Mの変化を示したものである。
【0230】
また、図29中、F1で示す矢印は、第1フリー磁性層の磁化方向を表わし、F2で示す矢印は、第2フリー磁性層の磁化方向を表わす。
【0231】
図29に示すように、外部磁界が小さいときは、第1フリー磁性層と第2フリー磁性層がフェリ磁性状態、すなわち矢印F1及びF2の方向が反平行になっているが、外部磁界Hの大きさがある値を越えると、第1フリー磁性層と第2フリー磁性層のRKKY結合が壊され、フェリ磁性状態を保てなくなる。これが、スピンフロップ転移である。またこのスピンフロップ転移が起きるときの外部磁界の大きさがスピンフロップ磁界であり、図29ではHsfで示している。なお、図中Hcfは、フリー磁性層の磁化の保磁力を示している。
【0232】
第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cの、それぞれの単位面積あたりの磁気モーメントが異なるように形成されているとフリー磁性層31のスピンフロップ磁界Hsfが大きくなる。これにより、フリー磁性層31がフェリ磁性状態を保つ磁界の範囲が広くなり、フリー磁性層31のフェリ磁性状態の安定度が増す。
【0233】
また本実施の形態では、第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cの少なくとも一方を、以下の組成を有する磁性材料で形成することが好ましい。
【0234】
組成式がCoFeNiで示され、Feの組成比は9原子%以上で17原子%以下で、Niの組成比は0.5原子%以上で10原子%以下で、残りの組成はCoである。
【0235】
これにより第1フリー磁性層31aと第2フリー磁性層31c間で発生するRKKY相互作用における交換結合磁界を強くすることができる。具体的には、反平行状態が崩れるときの磁界、すなわちスピンフロップ磁界(Hsf)を約293(kA/m)にまで大きくすることができる。
【0236】
よって、縦バイアス層18の下に位置する第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cの両側端部の磁化を適切に反平行状態にピン止めでき、サイドリーディングの発生を抑制することができる。
【0237】
なお第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cの双方を前記CoFeNi合金で形成することが好ましい。これにより、より安定して高いスピンフロップ磁界を得ることができ、第1フリー磁性層31aと第2フリー磁性層31cとを適切に反平行状態に磁化できる。
【0238】
また上記した組成範囲内であると、第1フリー磁性層31aと第2フリー磁性層31cの磁歪を−3×10-6から3×10-6の範囲内に収めることができ、また保磁力を790(A/m)以下に小さくできる。
【0239】
さらに、フリー磁性層31の軟磁気特性の向上、非磁性材料層14間でのNiの拡散による抵抗変化量(ΔR)や抵抗変化率(ΔR/R)の低減の抑制を適切に図ることが可能である。
【0240】
本実施の形態でも、フリー磁性層31の磁化方向を、固定磁性層13の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になり、薄膜磁気素子のトラック幅Twを正確に規定できる。また、第1反強磁性層12と縦バイアス層18を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成しても、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層18の交換異方性磁界を図示X方向に向けることができる。
【0241】
図10に示された薄膜磁気素子は、図5に示された第1の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子が奏するその他の効果についても、図5に示された薄膜磁気素子と同等の効果を奏することができる。
【0242】
図11は、本発明の第7の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側からみた断面図である。
【0243】
この薄膜磁気素子の製造方法は、図10に示された薄膜磁気素子の製造方法とほとんど同じであり、図1において、フリー磁性層31を、単位面積あたりの磁気モーメントの大きさが異なる第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cを非磁性中間層31bを介して積層された、いわゆるシンセティックフェリフリー型のフリー磁性層として形成するときに、第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14との間に中間層91が設けられる点で図10に示された薄膜磁気素子の製造方法と異なっている。中間層91はCoFe合金やCo合金で形成されることが好ましい。特にCoFe合金で形成されることが好ましい。
【0244】
中間層91が形成されたことで、非磁性材料層14との界面での金属元素等の拡散防止、及び、抵抗変化量(ΔR)、抵抗変化率(ΔR/R)の向上を図ることができる。なお中間層91は5Å程度で形成される。
【0245】
特に非磁性材料層14と接する第1フリー磁性層31aを上記組成比のCoFeNi合金で形成すれば、非磁性材料層14との間における金属元素の拡散を適切に抑制できるから、第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14間にCoFe合金あるいはCoからなる中間層91を形成する必要性は、第1フリー磁性層31aをNiFe合金などのCoを含まない磁性材料で形成する場合に比べて少ない。
【0246】
しかし第1フリー磁性層31aをCoFeNi合金で形成する場合でも、第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14との間にCoFe合金やCoからなる中間層91を設けることが、第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14間での金属元素の拡散をより確実に防止できる観点から好ましい。
【0247】
また第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14間に中間層91を設け、第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cの少なくとも一方をCoFeNi合金で形成するとき、前記CoFeNi合金のFeの組成比は7原子%以上で15原子%以下で、Niの組成比は5原子%以上で15原子%以下で、残りの組成比はCoであることが好ましい。
【0248】
これにより第1フリー磁性層31aと第2フリー磁性層31c間で発生するRKKY相互作用における交換結合磁界を強くすることができる。具体的には、反平行状態が崩れるときの磁界、すなわちスピンフロップ磁界(Hsf)を約293(kA/m)にまで大きくすることができる。
【0249】
よって、縦バイアス層18の下に位置する第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cの両側端部の磁化を適切に反平行状態にピン止めでき、サイドリーディングの発生を抑制することができる。
【0250】
なお本発明では、第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cの双方を前記CoFeNi合金で形成することが好ましい。これにより、より安定して高いスピンフロップ磁界を得ることができる。
【0251】
また上記した組成範囲内であると、第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cの磁歪を−3×10-6から3×10-6の範囲内に収めることができ、また保磁力を790(A/m)以下に小さくできる。さらに、前記フリー磁性層24の軟磁気特性の向上を図ることができる。
【0252】
図12は、本発明の第8の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図である。
【0253】
この薄膜磁気素子の製造方法は、第6の実施の形態と、ほとんど同じであり、多層膜A3を他の反強磁性層を積層しないものとして形成する点でのみ異っている。
【0254】
本実施の形成では、多層膜A3の最上層が非磁性層16であるため、第1の磁場中アニールにおいて、非磁性層16の表面が酸化する。従って、縦バイアス層18を積層する前に、非磁性層16の表面をイオンミリングなどで20Å程削って酸化した部分を除去する。
【0255】
本実施の形態でも、フリー磁性層31の磁化方向を、固定磁性層13の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になり、薄膜磁気素子のトラック幅Twを正確に規定できる。また、第1反強磁性層12と縦バイアス層18を同じ成の反強磁性材料を用いて形成しても、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層18の交換異方性磁界を図示X方向に向けることができる。
【0256】
図12に示された薄膜磁気素子は、図10に示された第6の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子が奏するその他の効果についても、図10に示された薄膜磁気素子と同等の効果を奏することができる。
【0257】
なお、第2から第5の実施の形態によって薄膜磁気素子を形成するときに、フリー磁性層15を、シンセティックフェリフリー型のフリー磁性層として形成してもよい。
【0258】
図13は、本発明の第9の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図である。
【0259】
第1の実施の形態と異なる点は、図1において、フリー磁性層15の成膜後、非磁性層16及び他の反強磁性層17を積層せず、最上層がフリー磁性層15である多層膜A4を形成し、この多層膜A4を第1の磁場中アニールにかけ、その後多層膜A4上に縦バイアス層を積層する点でのみ異っている。
【0260】
本実施の形態では、多層膜A4の最上層がフリー磁性層15であるため、多層膜A4を第1の磁場中アニールにかけたときに、フリー磁性層15の表面が酸化する。従って、縦バイアス層18を積層する前に、フリー磁性層15の表面をイオンミリングなどで20Å程削って酸化した部分を除去する。フリー磁性層15の膜厚は、磁気抵抗効果に大きく影響するので、始めにフリー磁性層15を成膜するときに、最終的な製品における膜厚よりもイオンミリングなどで削る厚さ分だけ、例えば20Å程度、厚く成膜しておくことが好ましい。または、縦バイアス層18を積層する前に、イオンミリングなどで削られた厚さ分だけ、フリー磁性層15を成膜しなおし、その後連続的に縦バイアス層18を成膜してもよい。
【0261】
図13の薄膜磁気素子は、フリー磁性層15の上層に第2反強磁性層である縦バイアス層18が積層されているため、フリー磁性層15の磁化方向は、他の反強磁性層17及び縦バイアス層18との交換結合によって図示X方向にそろえられる。
【0262】
本実施の形態では、凹部21の底面21bの下部に位置する縦バイアス層18の領域Eの厚さt6を0より大きく30Å以下にすると、凹部21の底面21bの下部に位置する縦バイアス層18の領域Eでは、第2の磁場中アニールによって不規則−規則変態が生じず、交換結合磁界が発生しない。
【0263】
すなわち、フリー磁性層15の磁化方向は、凹部21の底面21bの下部に位置する領域以外のトラック幅方向両端部D,Dでのみ、縦バイアス層18との交換結合によって固定される。
【0264】
フリー磁性層15の凹部21の底面21bの下部に位置する領域Eは、外部磁界が印加されない状態おいて、縦バイアス層18との交換結合によって磁化方向が固定された両端部D,Dにならって図示X方向に揃えられ、外部磁界が印加されるとその磁化方向が変化する。
【0265】
従って、薄膜磁気素子のトラック幅が前記凹部の幅寸法Twによって決定される。上述したように、本発明では、凹部21は一様の厚さで成膜された縦バイアス層を、反応性イオンエッチング(RIE)やイオンミリングを用いて、基板11の表面11aに対する垂直方向に削るだけで形成することができるので、正確な幅寸法Twで凹部21を形成することが可能になる。すなわち、薄膜磁気素子のトラック幅を正確に規定できる。
【0266】
また、本実施の形態では、多層膜A4を第1の磁場中アニールにかけて第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向け、その後縦バイアス層18を積層して、図示X方向の第2の磁場中アニールにかける。
【0267】
第2の磁場中アニールにおける前記第2の熱処理温度を、第1反強磁性層12が交換結合磁界を失うブロッキング温度より低い温度に設定し、前記第2の磁界の大きさを第1反強磁性層12の交換異方性磁界より小さくすることにより、第1反強磁性層12と縦バイアス層18を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成しても、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層18の交換異方性磁界を図示X方向に向けることができる。
【0268】
図13に示された薄膜磁気素子は、図5に示された第1の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子が奏するスピンフィルター効果以外の効果については、図5に示された薄膜磁気素子と同等の効果を奏することができる。
【0269】
なお、本実施の形態によって薄膜磁気素子を形成するときに、フリー磁性層15を、シンセティックフェリフリー型のフリー磁性層として形成してもよい。
【0270】
図14から図18は、本発明の第10の実施の形態の薄膜磁気素子の製造方法を説明するための断面図である。
【0271】
まず図14に示すように、基板11上に、図1と同じ多層膜Aを成膜する。なお、図14から図18では、図を見やすくするために、多層膜Aの最上層の他の反強磁性層17のみ明示してあるが、他の反強磁性層17の下層には、図1と同様に基板11側から第1反強磁性層12、固定磁性層13、非磁性材料層14、フリー磁性層15、非磁性層16が順次積層されている。
【0272】
第1反強磁性層12、固定磁性層13、非磁性材料層14、フリー磁性層15、非磁性層16及び他の反強磁性層17はスパッタ法や蒸着法などの薄膜形成プロセスによって形成される。
【0273】
次に、多層膜A上にリフトオフ用のレジスト層51を形成する。図15に示すように、レジスト層51には、その下面に切り込み部51a,51aが形成されている。多層膜Aのうちトラック幅Twの領域をレジスト層51によって完全に覆われた状態にしておく。
【0274】
図15の状態の多層膜Aを第1の熱処理温度、Y方向を向いた第1の大きさの磁界中で、第1の磁場中アニールを行い、第1反強磁性層12に交換異方性磁界を発生させ、固定磁性層13の磁化方向を図示Y方向に固定する。本実施の形態では、前記第1の熱処理温度を270℃、磁界の第1の大きさを800k(A/m)としている。
【0275】
ここで、他の反強磁性層17の膜厚は30Åである。他の反強磁性層17の膜厚が30Å以下であると、他の反強磁性層17を磁場中アニールにかけても不規則構造から規則構造への変態が生じず、交換異方性磁界が発生しない。従って、多層膜Aを第1の磁場中アニールにかけたときに、他の反強磁性層17には交換異方性磁界が発生せず、フリー磁性層15の磁化方向が図示Y方向に固定されることはない。
【0276】
多層膜Aを第1の磁場中アニールにかけたときに、他の反強磁性層17のレジスト層51によってマスクされていない領域が、その表面から10〜20Å程度酸化する。そこで、図16に示すごとく、多層膜Aの状態で他の反強磁性層17の表面を、他の反強磁性層17の表面に対し垂直方向から入射するイオンミリングによって20Å程削り、酸化した部分を除去する。このように、本実施の形態では、多層膜Aの最上層に他の反強磁性層16が積層されているので、非磁性層16及びフリー磁性層15の酸化を防ぐことができる。
【0277】
さらに図17に示す工程によって、前記多層膜Aの上層に第2反強磁性層である縦バイアス層41,41、及び電極層42,42を成膜する。本実施の形態では、この縦バイアス層41,41の成膜及び電極層42,42の成膜の際に使用されるスパッタ法は、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、あるいはコリメーションスパッタ法のいずれか1種以上であることが好ましい。
【0278】
図17に示すように本実施の形態では、多層膜Aの形成された基板11を、縦バイアス層41,41の組成で形成されたターゲット52に対し垂直方向に置き、これにより例えばイオンビームスパッタ法を用いることで、前記多層膜Aに対し垂直方向から縦バイアス層41,41を成膜する。
【0279】
レジスト層51の両端部によって覆われている領域は、スパッタ粒子が積層されにくい。従って、レジスト層51の両端部によって覆われている領域付近は、縦バイアス層41,41及び電極層42,42は膜厚が薄く形成され、縦バイアス層41,41及び電極層42,42の膜厚方向寸法がトラック両脇部分Sbにおいて減少している。
【0280】
なお図17に示すように、レジスト層51上にも縦バイアス層41,41と同じ組成の層41a及び電極層42,42と同じ組成の層42a,42aが形成される。
【0281】
縦バイアス層41,41は、第1反強磁性層12及び他の反強磁性層17と同様に、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成する。
【0282】
縦バイアス層41,41の両端部の膜厚は、80〜300Å、例えば200Åである。
【0283】
電極層42,42は、例えば、Au、W、Cr、Taなどを用いて成膜される。
【0284】
電極層42,42まで形成された多層膜Bを、第2の熱処理温度、X方向を向いた第2の大きさの磁界中で、第2の磁場中アニールを行い、縦バイアス層41,41に交換異方性磁界を発生させ、フリー磁性層15の磁化方向を図示X方向に固定する。本実施の形態では、前記第2の熱処理温度を250℃、磁界の第2の大きさを24k(A/m)としている。
【0285】
なお、本実施の形態ではフリー磁性層15の上面に接して非磁性層16が積層されている。このとき、フリー磁性層15は、非磁性層16を介した縦バイアス層41とのRKKY結合により、その磁化方向が図示X方向にそろえられる。
【0286】
前記第2の熱処理後、レジスト層51を除去すると、図18に示されたような薄膜磁気素子を得ることができる。
【0287】
縦バイアス層41の交換異方性磁界は、第2の磁場中アニール工程において始めて生じる。従って、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層41の交換異方性磁界を図示X方向に向けるためには、前記第2の熱処理温度を、第1反強磁性層12が交換結合磁界を失うブロッキング温度より低い温度に設定し、前記第2の磁界の大きさを第1反強磁性層12の交換異方性磁界より小さくするだけでよい。また、第2の磁場中アニールをこれらの条件下で行えば、第1反強磁性層12と縦バイアス層41を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成しても、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層41の交換異方性磁界を図示X方向に向けることができる。
【0288】
すなわち、本発明では、フリー磁性層15の磁化方向を、固定磁性層13の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になる。
【0289】
本実施の形態のように、他の反強磁性層17の厚さt7を0より大きく30Å以下にすると、縦バイアス層41が形成されていない領域では、第2の磁場中アニールによって不規則−規則変態が生じず、交換結合磁界が発生しない。
【0290】
すなわち、フリー磁性層15の磁化方向は、縦バイアス層41,41に重なる部分のトラック幅方向両端部でのみ、縦バイアス層41,41とのRKKY結合によって固定される。
【0291】
フリー磁性層15の縦バイアス層41,41に重ならない部分Eは、外部磁界が印加されない状態おいて、縦バイアス層41とのRKKY結合によって磁化方向が固定された両端部にならって図示X方向に揃えられ、外部磁界が印加されるとその磁化方向が変化する。従って、縦バイアス層41,41のトラック幅方向の間隔が、薄膜磁気素子のトラック幅Twとなる。
【0292】
なお、本実施の形態では縦バイアス層41,41の上層に電極層42,42を成膜した後、第2の磁場中アニールを行ったが、縦バイアス層41の積層後、第2の磁場中アニールを行った後、縦バイアス層41,41の上層に電極層42,42を積層してもよい。
【0293】
また、本実施の形態では、基板11上に直接第1反強磁性層12が積層されているが、基板11上にアルミナ層及びTa等からなる下地層を介して反強磁性層12が積層されてもよい。
【0294】
図18の薄膜磁気素子について説明する。
縦バイアス層41,41が多層膜Aの上層に非磁性層16を介して積層されていると、フリー磁性層15は、縦バイアス層41,41とのRKKY相互作用によって磁化方向が揃えられる。RKKY相互作用は、反強磁性を有する厚さの反強磁性層(縦バイアス層41,41)の直下に位置する磁性層の領域D,Dとの間にのみ作用し、反強磁性を有する厚さの反強磁性層の直下から外れた領域Eには作用しない。
【0295】
従って、縦バイアス層41,41の間隔寸法として設定されたトラック幅(光学的トラック幅)Twの領域が、実質的に記録磁界の再生に寄与し、磁気抵抗効果を発揮する感度領域となる。すなわち、本実施の形態の薄膜磁気素子は、薄膜磁気素子の光学的トラック幅が磁気的トラック幅に等しくなるので、不感領域があるために磁気的トラック幅の制御が困難であるハードバイアス方式と比較して、記録媒体の高記録密度化に対応することが容易になる。
【0296】
また、薄膜磁気素子の形成時に設定されたトラック幅(光学的トラック幅)Twの領域に不感領域が生じないので、高記録密度化に対応するために薄膜磁気素子の光学的トラック幅Twを小さくしていった場合の再生出力の低下を抑えることができる。
【0297】
ただし、本実施の形態では、縦バイアス層41,41の膜厚方向寸法がトラック両脇部分Sbにおいて減少している。このため、トラック両脇部分Sbにおけるフリー磁性層15と縦バイアス層41との交換結合の効果が減少してしまう。その結果、図18におけるフリー磁性層15のトラック両脇部分Sbの磁化方向が、X方向に完全に固定されず、外部磁界が印加されたときに変化してしまう。
【0298】
特に、磁気記録媒体における記録密度を向上させるために、狭トラック化を図った場合、本来トラック幅Twの領域内で読み取るべき磁気記録トラックの情報だけでなく、隣接する磁気記録トラックの情報を、トラック両脇部分Sbの領域において読み取ってしまうという、サイドリーディングが発生する可能性がある。
【0299】
さらに、本発明では薄膜磁気素子の前記多層膜の側端面S,Sが基板表面に対して垂直となるように形成されることが可能なので、フリー磁性層15の幅方向長さのバラつきを抑えることができる。
【0300】
また、本実施の形態のように、縦バイアス層41,41とのRKKY相互作用によってフリー磁性層15の磁化方向が揃えられるものは、縦バイアス層41,41とフリー磁性層15とが直に接しているものよりも交換結合力を強くすることができる。
【0301】
本実施の形態のように、非磁性層16が導電性材料によって形成されていると、非磁性層16をスピンフィルター効果を有するバックド層(backedlayer)として機能させることが可能になる。
【0302】
スピンフィルター効果を有するバックド層(非磁性層16)がフリー磁性層15に接して設けられると、積層体内部においてセンス電流が流れる中心高さ位置を、バックド層がない場合よりも、このバックド層側に移動させることができる。すなわち、センス電流の中心高さ位置がフリー磁性層15から離れ、フリー磁性層15位置におけるセンス電流磁界の強度が低減し、このセンス電流磁界のフリー磁性層15の変動磁界への影響が低減する。従って、アシンメトリーを小さくできる。
【0303】
また、本実施の形態では他の反強磁性層17を、例えばNiMnSb,PtMnSbなどの半金属ホイッスラー合金の単層膜または多層膜として形成することにより、他の反強磁性層17を鏡面反射層として機能させることができる。
【0304】
鏡面反射層である他の反強磁性層17は非磁性層16との界面においてポテンシャル障壁を形成し、フリー磁性層15及び非磁性層16中を移動するアップスピンの伝導電子を、そのスピンの状態を保存させたまま反射させることができアップスピンの伝導電子の平均自由行程をさらに延すことができる。つまり、いわゆる鏡面反射効果を発現させることが可能になり、アップスピンの伝導電子の平均自由行程とダウンスピンの伝導電子の平均自由行程の行程差をさらに大きくすることができる。
【0305】
すなわち、外部磁界の作用によって伝導電子全体の平均自由行程を大きく変化させることができ、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率(ΔR/R)を大きくさせることができる。
【0306】
スピンフィルター効果、鏡面反射効果によるアップスピンの伝導電子とダウンスピンの伝導電子の平均自由行程差の拡大はフリー磁性層15の膜厚が比較的薄い場合により効果を発揮する。
【0307】
フリー磁性層15の膜厚が15Åより薄いと強磁性材料層として機能するように形成することが難しくなり充分な磁気抵抗効果を得ることができない。
【0308】
また、フリー磁性層15の膜厚が45Åより厚いと他の反強磁性層17(鏡面反射層)に到達する前に散乱されてしまうアップスピンの伝導電子が増加して鏡面反射効果(specular effect)によって抵抗変化率が変化する割合が減少するため好ましくない。
【0309】
また、図18では、単位面積あたりの磁気モーメントが異なる第1固定磁性層13aと第2固定磁性層13cが、非磁性中間層13bを介して積層されたものが、一つの固定磁性層13として機能する。
【0310】
第1固定磁性層13aは反強磁性層12と接して形成され、磁場中アニールが施されることにより、第1固定磁性層13aと反強磁性層12との界面にて交換結合による交換異方性磁界が生じ、第1固定磁性層13aの磁化方向が図示Y方向に固定される。第1固定磁性層13aの磁化方向が図示Y方向に固定されると、非磁性中間層13bを介して対向する第2固定磁性層13cの磁化方向が、第1固定磁性層13aの磁化方向と反平行の状態で固定される。
【0311】
なお、第1固定磁性層13aの単位面積あたりの磁気モーメントと第2固定磁性層13cの単位面積あたりの磁気モーメントを足し合わせた単位面積あたりの合成磁気モーメントの方向が固定磁性層13の磁化方向となる。
【0312】
このように、第1固定磁性層13aと第2固定磁性層13cの磁化方向は、反平行となるフェリ磁性状態になっており、第1固定磁性層13aと第2固定磁性層13cとが互いに他方の磁化方向を固定しあうので、全体として固定磁性層13の磁化方向を一定方向に安定させることができるので好ましい。
【0313】
図18では、第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cを同じ材料を用いて形成し、さらに、それぞれの膜厚を異ならせることにより、それぞれの単位面積あたりの磁気モーメントを異ならせている。
【0314】
第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cは、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にNiFe合金またはCoにより形成されることが好ましい。また、第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cは同一の材料で形成されることが好ましい。
【0315】
また、非磁性中間層13bは、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0316】
固定磁性層13が非磁性中間層13bの上下に第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cが積層されたものとして形成されると、第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cが互いの磁化方向を固定しあい、全体として固定磁性層13の磁化方向を一定方向に強力に固定することができる。すなわち、第2反強磁性層12と固定磁性層13との交換結合磁界Hexを、例えば80〜160kA/mと、大きな値として得ることができる。従って、第2反強磁性層12の磁化方向をハイト方向に向けるための第1の磁場中アニールを行った後の、縦バイアス層18の磁化方向をトラック幅方向に向けるための第2の磁場中アニールによって、固定磁性層13の磁化方向がトラック幅方向に傾いて固定されることを防ぎつつ、縦バイアス層18による縦バイアス磁界を大きくすることができる。
【0317】
また、本実施の形態では、固定磁性層13の固定磁化による反磁界(双極子磁界)を、第1固定磁性層13a及び第2固定磁性層13cの静磁界結合同士が相互に打ち消し合うことによりキャンセルできる。これにより、固定磁性層13の固定磁化による反磁界(双極子磁界)からの、フリー磁性層15の変動磁化への寄与を減少させることができる。
【0318】
従って、フリー磁性層15の変動磁化の方向を所望の方向に補正することがより容易になり、アシンメトリーの小さい対称性の優れたスピンバルブ型薄膜磁気素子を得ることが可能になる。
【0319】
また、固定磁性層13の固定磁化による反磁界(双極子磁界)Hdは、素子高さ方向において、その端部で大きく中央部で小さいという不均一な分布を持ち、フリー磁性層15内における単磁区化が妨げられる場合があるが、固定磁性層13を上記の積層構造とすることにより双極子磁界HdをほぼHd=0とすることができ、これによってフリー磁性層15内に磁壁ができて磁化の不均一が発生しバルクハウゼンノイズなどが発生することを防止することができる。
【0320】
図19は、本発明の第11の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図である。
【0321】
この薄膜磁気素子の製造方法は、図14から図18に示された第10の実施の形態と、ほとんど同じである。
【0322】
第1の実施の形態と異なる点は、フリー磁性層15の成膜後、非磁性層16を積層せず、フリー磁性層15の上層に他の反強磁性層17を直接積層した多層膜A1を形成し、この多層膜A1を第1の磁場中アニールにかけ、その後多層膜A1上に縦バイアス層を積層する点でのみである。
【0323】
図19の薄膜磁気素子は、フリー磁性層15の上層に他の反強磁性層17及び第2反強磁性層である縦バイアス層41,41が積層されているため、フリー磁性層15の磁化方向は、他の反強磁性層17及び縦バイアス層41,41との交換結合によって図示X方向にそろえられる。
【0324】
本実施の形態では、他の反強磁性層17の厚さt8を0より大きく30Å以下にすると、縦バイアス層41,41が重ならない領域Eでは、第2の磁場中アニールによって不規則−規則変態が生じず、交換結合磁界が発生しない。
【0325】
すなわち、フリー磁性層15の磁化方向は、縦バイアス層41,41が重なるトラック幅方向両端部D,Dでのみ、縦バイアス層41,41との反強磁性結合によって固定される。
【0326】
フリー磁性層15の縦バイアス層41,41が重ならない領域Eは、外部磁界が印加されない状態おいて、縦バイアス層41,41との交換結合によって磁化方向が固定された両端部D,Dにならって図示X方向に揃えられ、外部磁界が印加されるとその磁化方向が変化する。従って、縦バイアス層41,41のトラック幅方向の間隔が、薄膜磁気素子のトラック幅Twとなる。
【0327】
フリー磁性層15の成膜後、非磁性層16を積層せずに他の反強磁性層17を積層する製造方法でも、第10の実施の形態と同様に、フリー磁性層15の磁化方向を、固定磁性層13の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になる。
【0328】
ただし、本実施の形態では、縦バイアス層41,41の膜厚方向寸法がトラック両脇部分Sbにおいて減少している。このため、トラック両脇部分Sbにおけるフリー磁性層15と縦バイアス層41との交換結合の効果が減少してしまう。その結果、図19におけるフリー磁性層15のトラック両脇部分Sbの磁化方向が、X方向に完全に固定されず、外部磁界が印加されたときに変化してしまう。
【0329】
特に、磁気記録媒体における記録密度を向上させるために、狭トラック化を図った場合、本来トラック幅Twの領域内で読み取るべき磁気記録トラックの情報だけでなく、隣接する磁気記録トラックの情報を、トラック両脇部分Sbの領域において読み取ってしまうという、サイドリーディングが発生する可能性がある。
【0330】
また、第1反強磁性層12と縦バイアス層41,41を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成しても、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層41,41の交換異方性磁界を図示X方向に向けることができる。
【0331】
図19に示された薄膜磁気素子は、図18に示された第10の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子が奏するスピンフィルター効果以外の効果については、図18に示された薄膜磁気素子と同等の効果を奏することができる。
【0332】
図20は、本発明の第12の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図である。
【0333】
この薄膜磁気素子の製造方法は、図14から図18に示された第10の実施の形態と、ほとんど同じであり、図14において、フリー磁性層31を、単位面積あたりの磁気モーメントの大きさが異なる第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cを非磁性中間層31bを介して積層された、いわゆるシンセティックフェリフリー型のフリー磁性層として形成する点、及び多層膜A3を他の反強磁性層を積層しないものとして形成する点でのみ異っている。
【0334】
本実施の形成では、多層膜A3の最上層が非磁性層16であるため、第1の磁場中アニールにおいて、非磁性層16の表面が酸化する。従って、縦バイアス層41を積層する前に、非磁性層16の表面をイオンミリングなどで20Å程削って酸化した部分を除去する。
【0335】
第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cは、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoNiFe合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にNiFe合金により形成されることが好ましい。
【0336】
また、非磁性中間層31bは、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0337】
なお、第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14の間に、Coなどからなる拡散防止層が形成されていてもよい。この拡散防止層は第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14の相互拡散を防止する。
【0338】
なお、前記第1フリー磁性層31a及び前記第2フリー磁性層31cは、それぞれの単位面積あたりの磁気モーメントが異なるように形成されている。単位面積あたりの磁気モーメントは、飽和磁化(Ms)と膜厚(t)の積で表される。従って、例えば、前記第1フリー磁性層31a及び前記第2フリー磁性層31cを同じ材料を用いて形成し、さらに、それぞれの膜厚を異ならせることにより、前記第1フリー磁性層31a及び前記第2フリー磁性層31cの単位面積あたりの磁気モーメントを異ならせることができる。
【0339】
なお、第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14の間に、Coなどからなる拡散防止層が形成される場合には、第1フリー磁性層31aの単位面積あたりの磁気モーメントと前記拡散防止層の単位面積あたりの磁気モーメントの和と、第2フリー磁性層31cの単位面積あたりの磁気モーメントを異ならせることが好ましい。
【0340】
なお、第2フリー磁性層31cの厚さtf2は0.5〜2.5nmの範囲であることが好ましい。また、第1フリー磁性層31aの厚さtf1は2.5〜4.5nmの範囲であることが好ましい。なお、第1フリー磁性層31aの厚さtf1が3.0〜4.0nmの範囲であることがより好ましく、さらに好ましくは3.5〜4.0nmの範囲であることである。第1フリー磁性層31aの厚さtf1が前記の範囲を外れると、スピンバルブ型薄膜磁気素子の磁気抵抗変化率を大きくすることができなくなるので好ましくない。
【0341】
図20では、単位面積あたりの磁気モーメントが異なる第1フリー磁性層31aと第2フリー磁性層31cが、非磁性中間層31bを介して積層されたものが、一つのフリー磁性層31として機能する。
【0342】
第1フリー磁性層31aと第2フリー磁性層31cの磁化方向は180度異なる反平行のフェリ磁性状態になっている。このとき、単位面積あたりの磁気モーメントが大きい方、例えば、前記第1フリー磁性層31aの磁化方向が、縦バイアス層41,41から発生する磁界の方向に向き、第2フリー磁性層31cの磁化方向が、180度反対方向に向いた状態になる。
【0343】
第1フリー磁性層31aと第2フリー磁性層31cの磁化方向が180度異なる反平行のフェリ磁性状態になると、フリー磁性層31の膜厚を薄くすることと同等の効果が得られ、飽和磁化が小さくなり、フリー磁性層31の磁化が変動しやすくなって、磁気抵抗効果素子の磁界検出感度が向上する。
【0344】
第1フリー磁性層31aの単位面積あたりの磁気モーメントと第2フリー磁性層31cの単位面積あたりの磁気モーメントを足し合わせた合成単位面積あたりの磁気モーメントの方向が前記フリー磁性層31の磁化方向となる。
【0345】
ただし、固定磁性層13の磁化方向との関係で出力に寄与するのは第1フリー磁性層31aの磁化方向のみである。
【0346】
また、第1フリー磁性層と第2フリー磁性層の磁気的膜厚の関係が異ならされていると、フリー磁性層31のスピンフロップ磁界を大きくできる。
【0347】
本実施の形態でも、薄膜磁気素子のトラック幅Twを正確に規定できる。また、第1反強磁性層12と縦バイアス層41,41を同じ組成の反強磁性材料を用いて形成しても、第1反強磁性層12の交換異方性磁界の方向を図示Y方向に向けたまま、縦バイアス層41,41の交換異方性磁界を図示X方向に向けることができる。
【0348】
図20に示された薄膜磁気素子は、図18に示された第10の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子が奏するその他の効果についても、図18に示された薄膜磁気素子と同等の効果を奏することができる。
【0349】
なお、第10及び第11の実施の形態によって薄膜磁気素子を形成するときに、フリー磁性層15を、シンセティックフェリフリー型のフリー磁性層として形成してもよい。
【0350】
なお、例えば図18に示された薄膜磁気素子の電極層42,42上に、図21に示すごとくレジスト層53,53をたて、図22に示すごとくレジスト層53,53ではさまれた領域を他の反強磁性層17までイオンミリングまたはRIEなどで削った後、レジスト層53,53を除去すると、図23のように、縦バイアス層41,41のトラック両脇側の側面41b、41bが基板11の表面11aに対して垂直な面になる。このため、フリー磁性層15と縦バイアス層41,41が重なっている領域では、フリー磁性層15と縦バイアス層41,41の交換結合の効果は一様である。すなわち、薄膜磁気素子のトラック幅をTwを正確に規定できる。
【0351】
図24から図28は、本発明の第14の実施の形態を示す断面図である。
図24は、本発明の第1の実施の形態において図1に示された多層膜、すなわち基板11上に第1反強磁性層12、第1固定磁性層13a、非磁性中間層13b、第2固定磁性層13cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層13、非磁性材料層14、フリー磁性層15、非磁性層16及び他の反強磁性層17が積層された多層膜A上に、第2反強磁性層である縦バイアス層18が積層された状態を示している。
【0352】
なお、多層膜Aの形成後、縦バイアス層18を積層する前に、多層膜Aを第1の熱処理温度、Y方向を向いた第1の大きさの磁界中で、第1の磁場中アニールにかけ、第1反強磁性層12に交換異方性磁界を発生させ、固定磁性層13の磁化方向を図示Y方向に固定する。本実施の形態では、前記第1の熱処理温度を270℃、磁界の第1の大きさを800k(A/m)としている。
【0353】
ここで、他の反強磁性層17の膜厚は30Åである。他の反強磁性層17の膜厚が30Å以下であると、他の反強磁性層17を磁場中アニールにかけても不規則構造から規則構造への変態が生じず、交換異方性磁界が発生しない。従って、多層膜Aを第1の磁場中アニールにかけたときに、他の反強磁性層17には交換異方性磁界が発生せず、フリー磁性層15の磁化方向が図示Y方向に固定されることはない。
【0354】
多層膜Aを第1の磁場中アニールにかけたときに、他の反強磁性層17は、その表面から10〜20Å程度酸化する。そこで、多層膜Aの状態で他の反強磁性層17の表面をイオンミリングによって20Å程削り、酸化した部分を除去する。反強磁性層17の表面を削った後、縦バイアス層18を成膜する。
【0355】
次に、図25に示すごとく、縦バイアス層18の表面に、トラック幅分より若干広い領域を覆うリフトオフ用のレジスト61を積層する。レジスト層61には、その下面に切り込み部61a,61aが形成されている。
【0356】
さらに図26に示す工程によって、縦バイアス層18の上層に電極層71,71を成膜する。本実施の形態では、電極層71,71の成膜の際に使用されるスパッタ法は、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、あるいはコリメーションスパッタ法のいずれか1種以上であることが好ましい。
【0357】
本実施の形態では、多層膜Aの形成された基板11を、電極層71,71の組成で形成されたターゲットに対し垂直方向に置き、これにより例えばイオンビームスパッタ法を用いることで、前記多層膜Aに対し垂直方向から電極層71,71を成膜する。
【0358】
レジスト層61の両端部によって覆われている領域は、スパッタ粒子が積層されにくい。従って、レジスト層61の両端部によって覆われている領域付近では、電極層71,71は膜厚が薄く形成され、電極層71,71に傾斜面71a,71aが形成される。電極層71,71は、例えば、Au、W、Cr、Taなどを用いて成膜される。なお、レジスト層61上には、電極層71,71と同じ組成の層71bが形成される。電極層71,71を成膜した後、レジスト層61を除去すると、図27に示す状態になる。
【0359】
さらに、図28に示すように、電極層71,71をマスクとして、縦バイアス層18の電極層71,71によって覆われていない部分を、イオンミリングまたは反応性イオンエッチング(RIE)などによって、削り込むことにより凹部81を形成する。凹部81の側面81a,81aは、電極層71,71の傾斜面71a,71aを含む傾斜面となっている。図28では、凹部81の底面81bが縦バイアス層18内に位置するように、凹部81を形成している。
【0360】
このとき、凹部81の底面81bの下部に位置する縦バイアス層18の領域と他の反強磁性層17の厚さの合計t9を0より大きく30Å以下にする。
【0361】
凹部81形成後、電極層71,71まで形成された多層膜B4を、第2の熱処理温度、X方向を向いた第2の大きさの磁界中で、第2の磁場中アニールを行い、縦バイアス層18に交換異方性磁界を発生させ、フリー磁性層15の磁化方向を図示X方向に固定する。本実施の形態では、前記第2の熱処理温度を250℃、磁界の第2の大きさを24k(A/m)としている。
【0362】
本実施の形態では、凹部81の底面81bの幅寸法がトラック幅Twを規定する。凹部81の底面81bの幅寸法は、図25に示した工程において、レジスト61の寸法を調節すること及び図28の工程において凹部81の深さ寸法を調節することにより規定することができる。
【0363】
なお、図28に示した工程において、凹部81の底面81bが他の反強磁性層17内に位置するように凹部81を形成してもよい。または、凹部81の底面81bが非磁性層16内に位置するように凹部81を形成してもよい。
【0364】
また、図24の工程において、多層膜Aの代わりに図8及び図9に示された多層膜A1上に縦バイアス層18を積層してもよい。あるいは、多層膜Aの代わりに図10に示された多層膜A2、図12に示された多層膜A3、図13に示された多層膜A4のいずれか上に縦バイアス層18を積層してもよい。これらの場合において、凹部81の底面81bは、縦バイアス層18内、他の反強磁性層17内、非磁性層16内のいずれかに位置するようにできる。
【0365】
なお、第1から第14の実施の形態において、固定磁性層13を単層の強磁性材料層として形成してもよい。
【0366】
また、図12または図20に示された薄膜磁気素子の製造方法でも、第1フリー磁性層31a及び第2フリー磁性層31cの少なくとも一方を、組成式がCoFeNiで示され、Feの組成比は9原子%以上で17原子%以下で、Niの組成比は0.5原子%以上で10原子%以下で、残りの組成はCoである組成を有する磁性材料で形成することが好ましい。
【0367】
これにより、第1フリー磁性層31aと第2フリー磁性層31c間で発生するRKKY相互作用における交換結合磁界を強くすることができる。具体的には、反平行状態が崩れるときの磁界、すなわちスピンフロップ磁界(Hsf)を約293(kA/m)にまで大きくすることができる。
【0368】
また上記した組成範囲内であると、第1フリー磁性層31a、及び第2フリー磁性層31cの磁歪を−3×10-6から3×10-6の範囲内に収めることができ、また保磁力を790(A/m)以下に小さくできる。
【0369】
さらに、フリー磁性層31の軟磁気特性の向上、非磁性材料層14間でのNiの拡散による抵抗変化量(ΔR)や抵抗変化率(ΔR/R)の低減の抑制を適切に図ることが可能である。
【0370】
また、第1フリー磁性層31aと非磁性材料層14との間に、CoFe合金やCo合金で形成される中間層91が設けられてもよい。
【0371】
中間層91が設けられる場合には、前記CoFeNi合金のFeの組成比を7原子%以上で15原子%以下で、Niの組成比を5原子%以上で15原子%以下で、残り組成比をCoとすることが好ましい。
【0372】
また、図5から図9、図13,図18,及び図19に示された薄膜磁気素子の製造方法において、フリー磁性層15をシンセティックフェリフリー型のフリー磁性層として形成し、第1フリー磁性層及び第2フリー磁性層の少なくとも一方を、組成式がCoFeNiで示され、Feの組成比は9原子%以上で17原子%以下で、Niの組成比は0.5原子%以上で10原子%以下で、残りの組成はCoである磁性材料で形成してもよい。
【0373】
また、第1フリー磁性層と非磁性材料層14との間に、CoFe合金やCo合金で形成される中間層が設けられる場合には、前記CoFeNi合金のFeの組成比を7原子%以上で15原子%以下で、Niの組成比を5原子%以上で15原子%以下で、残り組成比をCoとすることが好ましい。
【0374】
図5から図13、及び図18から図20に示された薄膜磁気素子、並びに図28に示された薄膜磁気素子を用いて磁気ヘッドを構成するときには、基板11と第2反強磁性層12の間に、アルミナなどの絶縁性材料からなる下地層、この下地層上に積層される磁性合金からなる下部シールド層、及びこの下部シールド上に積層される絶縁性材料からなる下部ギャップ層が形成される。薄膜磁気素子は前記下部ギャップ層上に積層される。また、この薄膜磁気素子上には、絶縁性材料からなる上部ギャップ層、及びこの上部ギャップ層上に積層される磁性合金からなる上部シールド層が形成される。また、前記上部シールド層上に書き込み用のインダクティブ素子が積層されてもよい。
【0375】
【発明の効果】
本発明では、前記第1反強磁性層及び前記固定磁性層を含む前記多層膜上に第2反強磁性層を積層しない状態で、前記多層膜を第1の磁場中アニールにかけ、前記固定磁性層の磁化方向を所定の方向に固定する。その後、前記多層膜上に第2反強磁性層を積層するので、成膜直後の前記第2反強磁性層には交換異方性磁界が発生していない。
【0376】
前記第2反強磁性層の交換異方性磁界は、第2の磁場中アニールにおいて始めて生じるので、前記フリー磁性層の磁化方向を所定の方向に移動させることが容易になる。従って、第2の熱処理温度を、第1反強磁性層が交換結合磁界を失うブロッキング温度より低い温度に設定することや、第2の磁界の大きさを第1反強磁性層の交換異方性磁界より小さくすることにより、前記フリー磁性層の磁化方向を、前記固定磁性層の磁化方向と直交する方向に固定することが容易になる。
【0377】
特に、前記第1反強磁性層と前記第2反強磁性層を同一の反強磁性材料によって形成する場合でも、前記フリー磁性層の磁化方向を、前記固定磁性層の磁化方向と直交する方向に容易に固定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の第1の実施の形態である薄膜磁気素子の製造方法の一工程を示す断面図、
【図2】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図1の次工程を示す断面図、
【図3】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図2の次工程を示す断面図、
【図4】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図3の次工程を示す断面図、
【図5】 本発明の第1の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図6】 本発明の第2の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図7】 本発明の第3の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図8】 本発明の第4の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図9】 本発明の第5の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図10】 本発明の第6の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図11】 本発明の第7の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図12】 本発明の第8の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図13】 本発明の第9の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図14】 本発明の第10の実施の形態である薄膜磁気素子の製造方法の一工程を示す断面図、
【図15】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図14の次工程を示す断面図、
【図16】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図15の次工程を示す断面図、
【図17】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図16の次工程を示す断面図、
【図18】 本発明の第10の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図19】 本発明の第11の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図20】 本発明の第12の実施の形態によって形成された薄膜磁気素子をABS面側から見た断面図、
【図21】 本発明の第13の実施の形態である薄膜磁気素子の製造方法の一工程を示す断面図、
【図22】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図21の次工程を示す断面図、
【図23】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図22の次工程を示す断面図、
【図24】 本発明の第14の実施の形態である薄膜磁気素子の製造方法の一工程を示す断面図、
【図25】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図24の次工程を示す断面図、
【図26】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図25の次工程を示す断面図、
【図27】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図26の次工程を示す断面図、
【図28】 本発明の薄膜磁気素子の製造方法における、図27の次工程を示す断面図、
【図29】 シンセティックフェリフリー型のフリー磁性層のヒステリシスループの概念図、
【図30】 バックド層によるスピンフィルター効果を説明するための模式説明図、
【図31】 バックド層によるスピンフィルター効果を説明するための模式説明図、
【図32】 鏡面反射層による鏡面反射効果を説明するための模式説明図、
【図33】 鏡面反射層による鏡面反射効果を説明するための模式説明図、
【図34】 従来の薄膜磁気素子の断面図、
【符号の説明】
11 基板
12 第1反強磁性層
13 固定磁性層
13a 第1固定磁性層
13b 非磁性中間層
13c 第2固定磁性層
14 非磁性材料層
15、31 フリー磁性層
16 非磁性層
31a 第1フリー磁性層
31b 非磁性中間層
31c 第2フリー磁性層
17 他の反強磁性層
18、41 縦バイアス層
19、42 電極層
[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a so-called thin film magnetic element in which the electrical resistance changes depending on the relationship between the direction of magnetization of a pinned magnetic layer (Pinned magnetic layer) and the direction of magnetization of a free magnetic layer affected by an external magnetic field. In particular, the present invention relates to a method of manufacturing a thin film magnetic element that can cope with a narrow track.
[0002]
[Prior art]
FIG. 34 is a cross-sectional view of the structure of a thin film magnetic element formed by a conventional manufacturing method as seen from the ABS surface.
[0003]
The thin film magnetic element shown in FIG. 34 is called a spin valve thin film magnetic element, which is a kind of GMR (giant magnetoresistive) element using the giant magnetoresistive effect, and detects a recording magnetic field from a recording medium such as a hard disk. To do.
[0004]
This spin-valve thin film magnetic element is composed of a substrate 8, an antiferromagnetic layer 1, a pinned magnetic layer (Pinned magnetic layer) 2, a nonmagnetic conductive layer 3, and a free magnetic layer (Free) 4 from the bottom. The multilayer film 9 includes a pair of vertical bias layers 6 and 6 formed on the multilayer film 9 and a pair of electrode layers 7 and 7 formed on the vertical bias layers 6 and 6. .
[0005]
The antiferromagnetic layer 1 and the longitudinal bias layers 6 and 6 are Fe—Mn (iron-manganese) alloy film or Ni—Mn (nickel-manganese) alloy film, and the pinned magnetic layer 2 and the free magnetic layer 4 are Ni—. A Fe (nickel-iron) alloy film, a Cu (copper) film for the nonmagnetic conductive layer 3, and a Cr film for the electrode layers 8 and 8 are generally used.
[0006]
As shown in FIG. 34, the magnetization of the pinned magnetic layer 2 is made into a single magnetic domain in the Y direction (the leakage magnetic field direction from the recording medium; the height direction) by the exchange anisotropic magnetic field with the antiferromagnetic layer 1, and free magnetic The magnetization of the layer 4 is desirably aligned in the X direction under the influence of the exchange anisotropic magnetic field from the longitudinal bias layers 6 and 6.
[0007]
That is, it is desirable that the magnetization of the pinned magnetic layer 2 and the magnetization of the free magnetic layer 4 are orthogonal.
[0008]
In this spin valve thin film magnetic element, a detection current (sense current) is passed from the electrode layers 7 and 7 formed on the longitudinal bias layers 6 and 6 to the free magnetic layer 4, the nonmagnetic conductive layer 3 and the fixed magnetic layer 2. Given. The traveling direction of a recording medium such as a hard disk is the Z direction. When a leakage magnetic field from the recording medium is applied in the Y direction, the magnetization of the free magnetic layer 4 changes from the X to the Y direction. The electric resistance changes depending on the relationship between the fluctuation of the magnetization direction in the free magnetic layer 4 and the fixed magnetization direction of the pinned magnetic layer 2 (this is referred to as the magnetoresistance effect), and the voltage based on the change in the electric resistance value. The leakage magnetic field from the recording medium is detected by the change.
[0009]
[Problems to be solved by the invention]
Conventionally, when manufacturing the spin-valve type thin film magnetic element shown in the figure, an antiferromagnetic layer 1, a pinned magnetic layer (pinned magnetic layer) 2, a nonmagnetic conductive layer 3, a free magnetic layer are formed on a substrate 8. (Free) 4 was successively formed to form a multilayer film 9, and longitudinal bias layers 6 and 6 and electrode layers 7 and 7 were continuously formed on the multilayer film 9.
[0010]
After film formation from the antiferromagnetic layer 1 to the electrode layers 7 and 7, first, annealing in the first magnetic field is performed to align the magnetization direction of the pinned magnetic layer 2 in the Y direction, and then the magnetization direction of the free magnetic layer 4. Need to be annealed in the second magnetic field to align them in the X direction.
[0011]
However, when the first magnetic field annealing and the second magnetic field annealing are performed after the antiferromagnetic layer 1 to the electrode layers 7 and 7 are formed, the antiferromagnetic layer 1 is subjected to the second magnetic field annealing. The anisotropy magnetic field acting on the interface between the pinned magnetic layer 2 and the pinned magnetic layer 2 is inclined from the Y direction to the X direction, and the magnetization direction of the pinned magnetic layer 2 and the magnetization direction of the free magnetic layer 4 are non-orthogonal. There has been a problem in that the degree of asymmetry (asymmetry) increases.
[0012]
The above-described problem is particularly noticeable when the antiferromagnetic layer 1 and the longitudinal bias layer 6 are formed of antiferromagnetic materials having the same composition.
[0013]
The present invention is to solve the above-described conventional problems, and the first antiferromagnetic layer and the second antiferromagnetic layer are stacked one above the other through other layers including a pinned magnetic layer and a free magnetic layer. In the manufacturing method of the spin valve thin film magnetic element, the first antiferromagnetic layer is annealed in the first magnetic field, and then the second antiferromagnetic layer is stacked and annealed in the second magnetic field. Accordingly, an object of the present invention is to provide a method for manufacturing a spin valve thin film magnetic element in which the magnetization of the pinned magnetic layer and the magnetization of the free magnetic layer can be orthogonal to each other.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
The method for producing a thin film magnetic element of the present invention comprises: , Board side To 1st antiferromagnetic layer, pinned magnetic layer, nonmagnetic material layer, free magnetic layer Laminated in the order of Forming a multilayer film; and
(B) fixing the magnetization direction of the fixed magnetic layer in a predetermined direction by annealing the multilayer film in a magnetic field having a first heat treatment temperature and a first magnitude;
(C) forming a second antiferromagnetic layer on the multilayer film;
(D) The multilayer film in which the second antiferromagnetic layer is laminated is annealed in a magnetic field at a second heat treatment temperature and a second magnitude magnetic field, thereby Both ends Fixing the magnetization direction in a direction orthogonal to the magnetization direction of the pinned magnetic layer;
It is characterized by having.
[0015]
In the present invention, the multilayer film is annealed in a magnetic field in a state where the second antiferromagnetic layer is not laminated on the multilayer film, so that the magnetization direction of the pinned magnetic layer is fixed in a predetermined direction. In the state where the second antiferromagnetic layer is laminated thereon, no exchange anisotropic magnetic field is generated in the second antiferromagnetic layer.
[0016]
That is, the exchange anisotropic magnetic field of the second antiferromagnetic layer is generated for the first time in the step (d), and it becomes easy to move the magnetization direction of the free magnetic layer in a predetermined direction. Therefore, the free magnetic layer Both ends of It becomes easy to fix the magnetization direction in the direction perpendicular to the magnetization direction of the pinned magnetic layer.
[0017]
The step (a) is preferably performed in the same vacuum film forming apparatus.
[0018]
In the present invention, in the step (d), the second heat treatment temperature is preferably set to a temperature lower than the blocking temperature at which the first antiferromagnetic layer loses the exchange coupling magnetic field.
[0019]
Furthermore, in the present invention, in the step (d), the magnitude of the second magnetic field is preferably made smaller than the exchange anisotropic magnetic field of the first antiferromagnetic layer.
[0020]
In the step (a), it is preferable to include a step of laminating another antiferromagnetic layer on the uppermost layer of the multilayer film because oxidation of the uppermost layer of the multilayer film can be prevented.
[0021]
In the present invention, the other antiferromagnetic layer is made of a material capable of forming an energy gap with a high probability of causing specular reflection that preserves the spin state of the conduction electrons, so that the other antiferromagnetic layer is made conductive. It can function as a specular reflection layer that extends the mean free path of electrons by the specular reflection effect.
[0022]
When the other antiferromagnetic layer functions as a specular reflection layer, the thickness of the free magnetic layer is preferably set in the range of 15 to 45 mm.
[0023]
If the thickness of the free magnetic layer is less than 15 mm, it is difficult to form the free magnetic layer so as to function as a ferromagnetic material layer, and a sufficient magnetoresistance effect cannot be obtained.
[0024]
In addition, when the thickness of the free magnetic layer is greater than 45 mm, the rate of change in resistance change due to specular effect due to increased up-spin conduction electrons scattered before reaching the specular reflection layer. Is not preferable because of a decrease.
[0025]
The other antiferromagnetic layer serving as the specular reflection layer can be configured as a single layer film or a multilayer film of a semi-metallic Whistler alloy such as NiMnSb and PtMnSb.
[0026]
By using these materials, it is possible to form a sufficient potential barrier between adjacent layers, and as a result, a sufficient specular reflection effect can be obtained.
[0027]
The thickness of the other antiferromagnetic layer is preferably greater than 0 and 30 mm or less.
[0028]
If the thickness of the other antiferromagnetic layer is greater than 0 and less than or equal to 30 mm, no exchange coupling magnetic field is generated in the other antiferromagnetic layer in the step (b). Can be prevented from being fixed in the same direction as the magnetization direction of the pinned magnetic layer. Therefore, in the step (c), when the second antiferromagnetic layer is stacked on the other antiferromagnetic layer, the magnetization direction of the free magnetic layer is the same as the magnetization direction of the pinned magnetic layer. It can prevent being fixed in the same direction.
[0029]
The thickness of the other antiferromagnetic layer is more preferably 10 to 30 mm.
[0030]
In the step (a), of the upper surface or the lower surface of the free magnetic layer, the surface away from the nonmagnetic material layer Is the top surface A nonmagnetic layer may be laminated in contact with the substrate.
[0031]
At this time, the free magnetic layer Both ends of Is oriented in a direction crossing the magnetization direction of the pinned magnetic layer by RKKY coupling with the second antiferromagnetic layer via the nonmagnetic layer.
[0032]
When the magnetization direction of the magnetic layer is aligned by the RKKY interaction with the second antiferromagnetic layer, the exchange coupling force is higher than that when the second antiferromagnetic layer and the magnetic layer are in direct contact with each other. Can be strong.
[0033]
The nonmagnetic layer is preferably formed of a conductive material. The nonmagnetic layer can be formed using, for example, one or more elements of Ru, Cu, Ag, and Au. In particular, the nonmagnetic layer is preferably made of Ru and has a thickness of 8 to 11 mm.
[0034]
When the nonmagnetic layer is formed of a conductive material as in the present invention, the nonmagnetic layer can function as a backed layer having a spin filter effect.
[0035]
When a back layer having a spin filter effect is provided in contact with the free magnetic layer, the center height position where the sense current flows inside the stacked body can be moved to the back layer side, compared to the case where there is no back layer. . That is, the position of the center height of the sense current is separated from the free magnetic layer, the intensity of the sense current magnetic field at the position of the free magnetic layer is reduced, and the influence of the sense current magnetic field on the variable magnetic field of the free magnetic layer is reduced. Therefore, asymmetry can be reduced.
[0036]
Here, the asymmetry indicates the degree of asymmetry of the reproduction output waveform. When the reproduction output waveform is given, the asymmetry becomes small if the waveform is symmetric. Therefore, the closer the asymmetry is to 0, the better the reproduced output waveform is.
[0037]
The asymmetry is 0 when the direction of variable magnetization of the free magnetic layer and the direction of fixed magnetization of the pinned magnetic layer are orthogonal to each other. If the asymmetry deviates greatly, the information cannot be read accurately from the media, which causes an error. For this reason, the smaller the asymmetry, the more reliable the reproduction signal processing, and the better the spin valve thin film magnetic element.
[0038]
In the present invention, the mean free path of up-spin electrons contributing to the magnetoresistance effect is extended, and a large resistance change rate is obtained by the so-called spin filter effect.
[0039]
When a sense current is applied to the spin valve thin film magnetic element, the conduction electrons move mainly in the vicinity of the nonmagnetic material layer having a small electric resistance. This conduction electron has a stochastic equal amount of two types of electrons, upspin and downspin.
[0040]
The magnetoresistive change rate of the spin valve thin film magnetic element shows a positive correlation with the difference in mean free path of these two types of conduction electrons.
[0041]
For down-spin conduction electrons, regardless of the direction of the applied external magnetic field, the electrons are always scattered at the interface between the nonmagnetic material layer and the free magnetic layer, and the probability of moving to the free magnetic layer remains low. The free path remains short compared to the mean free path of up-spin conduction electrons.
[0042]
On the other hand, for up-spin conduction electrons, when the magnetization direction of the free magnetic layer becomes parallel to the magnetization direction of the pinned magnetic layer due to an external magnetic field, the probability of transfer from the nonmagnetic material layer to the free magnetic layer increases. The mean free path is getting longer. In contrast, as the magnetization direction of the free magnetic layer changes from the parallel state to the magnetization direction of the pinned magnetic layer by an external magnetic field, the probability of being scattered at the interface between the nonmagnetic material layer and the free magnetic layer increases. The mean free path of upspin conduction electrons is shortened.
[0043]
As described above, due to the action of the external magnetic field, the mean free path of the up-spin conduction electrons is greatly changed compared to the mean free path of the down-spin conduction electrons, and the stroke difference is greatly changed. Then, the mean free path of the entire conduction electrons also changes greatly, and the magnetoresistance change rate (ΔR / R) of the spin valve thin film magnetic element increases.
[0044]
Here, when the backed layer is connected to the free magnetic layer, up-spin conduction electrons moving in the free magnetic layer can move into the backed layer, and in proportion to the thickness of the backed layer. The mean free path of up-spin conduction electrons can be further extended. As a result, a so-called spin filter effect can be realized, the difference in mean free path of conduction electrons is increased, and the magnetoresistance change rate (ΔR / R) of the spin valve thin film magnetic element is further improved. Can do.
[0045]
In the present invention, ,in front In the step (c), a lift-off resist layer having a cut portion formed on the lower surface is formed on the free magnetic layer,
After the second antiferromagnetic layer is formed on the multilayer film, the resist layer may be removed from the multilayer film.
[0046]
Further, after forming the second antiferromagnetic layer, a pair of resists are stacked on the second antiferromagnetic layer with an interval of a track width, and the second antiferromagnetic layer is formed by the resist. When the sandwiched portion is cut and removed in a direction perpendicular to the substrate surface, the track width of the thin film magnetic element can be accurately defined.
[0047]
Alternatively, in the step (c), after the second antiferromagnetic layer is formed on the multilayer film, a pair of resists are stacked with a track width interval, and the second antiferromagnetic layer is formed. The concave portion may be formed by cutting a portion sandwiched between the resists in a direction perpendicular to the substrate surface.
[0048]
In the present invention, the track width of the thin film magnetic element is determined by the width dimension of the recess. That is, the magnetization direction of the magnetic layer whose magnetization direction is changed by an external magnetic field such as the free magnetic layer can be changed only in the portion overlapping the bottom surface of the recess. In addition, the concave portion is formed by scraping the second antiferromagnetic layer formed with a uniform thickness in a direction perpendicular to the surface of the nonmagnetic layer by using reactive ion etching (RIE) or ion milling. Therefore, the concave portion can be formed with an accurate width dimension. That is, the track width of the thin film magnetic element can be accurately defined.
[0049]
In the present invention, the concave portion can be formed so that the bottom surface of the concave portion is located in the second antiferromagnetic layer.
[0050]
At this time, the thickness of the region of the second antiferromagnetic layer located below the bottom surface of the recess, or the region of the second antiferromagnetic layer located below the bottom surface of the recess and the other anti-strength When the total thickness of the magnetic layer region is greater than 0 and 30 mm or less, the second antiferromagnetic layer region located below the bottom surface of the recess or the second region located below the bottom surface of the recess. This is preferable because an exchange coupling magnetic field is not generated in the region of the antiferromagnetic layer and the region of the other antiferromagnetic layer.
[0051]
Or you may form the said recessed part so that the bottom face of the said recessed part may be located in said other antiferromagnetic layer.
[0052]
At this time, if the thickness of the region of the other antiferromagnetic layer located below the bottom surface of the recess is made larger than 0 and 30 mm or less, the thickness of the other antiferromagnetic layer located below the bottom surface of the recess is reduced. This is preferable because no exchange anisotropic magnetic field is generated in the region.
[0053]
Moreover, you may form the said recessed part so that the bottom face of the said recessed part may be located in the said nonmagnetic layer.
[0054]
In the step (a), the pinned magnetic layer may be formed by laminating a plurality of ferromagnetic material layers having different magnetic moments per unit area via a nonmagnetic intermediate layer. preferable.
[0055]
When the pinned magnetic layer is formed by laminating a ferromagnetic material layer above and below the nonmagnetic intermediate layer, the plurality of ferromagnetic material layers fix the magnetization direction of each other, and the magnetization of the pinned magnetic layer as a whole The direction can be strongly fixed in a certain direction. That is, the exchange coupling magnetic field Hex between the first antiferromagnetic layer and the pinned magnetic layer can be obtained as a large value, for example, 80 to 160 kA / m. Therefore, the annealing in the magnetic field for directing the magnetization direction of the second antiferromagnetic layer in the track width direction after or before performing the annealing in the magnetic field for directing the magnetization direction of the first antiferromagnetic layer in the height direction. Thus, the longitudinal bias magnetic field by the second antiferromagnetic layer can be increased while preventing the magnetization direction of the pinned magnetic layer from being tilted and pinned in the track width direction.
[0056]
Further, the demagnetizing field (dipole magnetic field) due to the fixed magnetization of the fixed magnetic layer can be canceled by canceling out the static magnetic field coupling of the plurality of ferromagnetic material layers. Thereby, the contribution to the variable magnetization of the free magnetic layer from the demagnetizing field (dipole magnetic field) due to the fixed magnetization of the fixed magnetic layer can be reduced.
[0057]
Accordingly, it becomes easier to correct the direction of the variable magnetization of the free magnetic layer in a desired direction, and it is possible to obtain a spin valve thin film magnetic element with small asymmetry and excellent symmetry.
[0058]
Further, the demagnetizing field (dipole magnetic field) Hd due to the fixed magnetization of the fixed magnetic layer has a non-uniform distribution that is large at the end and small at the center in the element height direction. However, if the pinned magnetic layer has the above-mentioned laminated structure, the dipole magnetic field Hd can be made substantially Hd = 0, thereby creating a domain wall in the free magnetic layer and nonuniform magnetization. It is possible to prevent occurrence of Barkhausen noise and the like.
[0059]
However, in the present invention, the pinned magnetic layer may be formed as a single ferromagnetic material layer.
[0060]
In the step (a), the free magnetic layer is preferably formed by laminating a plurality of ferromagnetic material layers having different magnetic moments per unit area via a nonmagnetic intermediate layer.
[0061]
In the present invention, the ferromagnetic material layer adjacent through the nonmagnetic intermediate layer is in a ferrimagnetic state in which the magnetization direction is antiparallel, and an effect equivalent to reducing the thickness of the free magnetic layer is obtained. This is preferable because the magnetization of the free magnetic layer tends to fluctuate and the magnetic field detection sensitivity of the magnetoresistive effect element is improved.
[0062]
The magnitude of the magnetic moment per unit area of the ferromagnetic material layer is represented by the product of the saturation magnetization (Ms) and the film thickness (t) of the ferromagnetic material layer.
[0063]
The nonmagnetic intermediate layer can be formed of one or more alloys of Ru, Rh, Ir, Cr, Re, and Cu.
[0064]
In the present invention, it is preferable that at least one of the plurality of ferromagnetic material layers is formed of a magnetic material having the following composition.
[0065]
The composition formula is CoFeNi, the composition ratio of Fe is 9 atomic% or more and 17 atomic% or less, the composition ratio of Ni is 0.5 atomic% or more and 10 atomic% or less, and the remaining composition ratio is Co. .
[0066]
Further, the ferromagnetic material layer and the nonmagnetic material layer laminated at a position closest to the nonmagnetic material layer, of An intermediate layer made of a CoFe alloy or Co is preferably formed therebetween. When forming the intermediate layer, it is preferable that at least one of the plurality of ferromagnetic material layers is formed of a magnetic material having the following composition.
[0067]
The composition formula is CoFeNi, the composition ratio of Fe is 7 atomic% or more and 15 atomic% or less, the composition ratio of Ni is 5 atomic% or more and 15 atomic% or less, and the remaining composition ratio is Co.
[0068]
Furthermore, in the present invention, it is preferable that all of the plurality of ferromagnetic material layers are formed of the CoFeNi.
[0069]
By the way, in the present invention, the free magnetic layer has a laminated ferrimagnetic structure, and a plurality of ferromagnetic material layers having different magnetic moments per unit area are laminated via a nonmagnetic intermediate layer. This is a ferrimagnetic state in which the magnetization directions of the adjacent ferromagnetic material layers are antiparallel.
[0070]
In order to maintain this antiparallel magnetization state appropriately, it is necessary to improve the material of the free magnetic layer and increase the exchange coupling magnetic field in the RKKY interaction acting between the plurality of ferromagnetic material layers.
[0071]
A NiFe alloy is often used as a magnetic material for forming the ferromagnetic material layer. NiFe alloy has been used for free magnetic layers because of its excellent soft magnetic properties. However, when the free magnetic layer has a laminated ferrimagnetic structure, the antiparallel coupling force between ferromagnetic material layers formed of NiFe alloy is Not so strong.
[0072]
Therefore, in the present invention, the material of the ferromagnetic material layer is improved, the antiparallel coupling force between the plurality of ferromagnetic material layers is increased, and both end portions of the free magnetic layer located on both sides in the track width direction are exposed to an external magnetic field. The CoFeNi alloy is used in at least one of the plurality of ferromagnetic material layers, and preferably in all the layers, in order to prevent fluctuations and appropriately suppress the occurrence of side reading. By containing Co, the antiparallel coupling force can be increased.
[0073]
FIG. 29 is a conceptual diagram of a hysteresis loop when the free magnetic layer has a laminated ferrimagnetic structure. For example, it is assumed that the magnetic moment per unit area (saturation magnetization Ms × film thickness t) of the first free magnetic layer (F1) is larger than the magnetic moment per unit area of the second free magnetic layer (F2). Assume that an external magnetic field is applied in the right direction in the figure.
[0074]
The vector sum (| Ms · t (F1) + Ms · t (F2) |) of the magnetic moment per unit area of the first free magnetic layer and the magnetic moment per unit area of the second free magnetic layer can be obtained. The combined magnetic moment per unit area is constant until a certain point even when the external magnetic field is increased from zero magnetic field. In the external magnetic field region A in which the resultant magnetic moment is a constant magnitude, the antiparallel coupling force acting between the first free magnetic layer and the second free magnetic layer is stronger than the external magnetic field. The magnetization of the two free magnetic layers is appropriately made into a single domain and kept in an antiparallel state.
[0075]
However, when the external magnetic field in the right direction in the drawing is further increased, the resultant magnetic moment per unit area of the free magnetic layer increases with an inclination angle. This is because the external magnetic field is stronger than the antiparallel coupling force acting between the first free magnetic layer and the second free magnetic layer, and thus the first free magnetic layer and the second free magnetic layer that have been made into a single magnetic domain. The magnetization of the layers is dispersed to form a multi-domain state, and the resultant magnetic moment per unit area that can be obtained by the vector sum increases. In the external magnetic field region B in which the resultant magnetic moment per unit area increases, the antiparallel state of the free magnetic layer is no longer in the broken state. The magnitude of the starting external magnetic field at which the resultant magnetic moment per unit area begins to increase is called the spin-flop magnetic field (Hsf).
[0076]
When the external magnetic field in the right direction in the figure is further increased, the magnetizations of the first free magnetic layer and the second free magnetic layer are made into single domains again, and this time, unlike the case of the external magnetic field region A, both are shown in the right direction in the figure. Magnetized and the resultant magnetic moment per unit area in the external magnetic field region C becomes a constant value. The magnitude of the external magnetic field at the time when the resultant magnetic moment per unit area becomes a constant value is called a saturation magnetic field (Hs).
[0077]
In the present invention, when the CoFeNi alloy is used for the first free magnetic layer and the second free magnetic layer, the magnetic field when the antiparallel state is broken, that is, the so-called spin flop magnetic field (Hsf), is sufficient as compared with the case of using the NiFe alloy. It was found that it can be greatly increased.
[0078]
In the present invention, an experiment for determining the magnitude of the above-described spin-flop magnetic field using NiFe alloy (comparative example) and CoFeNi alloy (example) for the first and second free magnetic layers is performed using the following film configuration. went.
[0079]
Substrate / nonmagnetic material layer (Cu) / first free magnetic layer (2.4) / nonmagnetic intermediate layer (Ru) / second free magnetic layer (1.4)
The parentheses indicate the film thickness and the unit is nm.
[0080]
For the first free magnetic layer and the second free magnetic layer in the comparative example, a NiFe alloy having a Ni composition ratio of 80 atomic% and a Fe composition ratio of 20 atomic% was used. The spin-flop magnetic field (Hsf) at this time was about 59 (kA / m).
[0081]
Next, in the first free magnetic layer and the second free magnetic layer in the example, the Co composition ratio is 87 atomic%, the Fe composition ratio is 11 atomic%, and the Ni composition ratio is 2 atomic%. A CoFeNi alloy was used. The spin-flop magnetic field (Hsf) at this time was about 293 (kA / m).
[0082]
Thus, it was found that the use of a CoFeNi alloy for the first free magnetic layer and the second free magnetic layer can improve the spin flop magnetic field more effectively than using a NiFe alloy.
[0083]
Next, the composition ratio of the CoFeNi alloy will be described. The CoFeNi alloy has a magnetostriction of 1 × 6 compared to the case of using the NiFe alloy by contacting the Ru layer that is a nonmagnetic intermediate layer. -6 ~ 6 × 10 -6 It is known to shift to the positive side.
[0084]
The magnetostriction is −3 × 10 -6 To 3 × 10 -6 It is preferable to be within the range. The coercive force is preferably 790 (A / m) or less. If the magnetostriction is large, the magnetostriction is likely to be affected by stress due to film formation strain or a difference in thermal expansion coefficient between other layers. Moreover, it is preferable that the coercive force is low, and this can improve the magnetization reversal of the free magnetic layer with respect to the external magnetic field.
[0085]
In the present invention, the Fe composition ratio of the CoFeNi is 9 atomic% or more and 17 atomic% or less when formed with a film configuration of nonmagnetic material layer / first free magnetic layer / nonmagnetic intermediate layer / second free magnetic layer. Thus, the composition ratio of Ni is preferably 0.5 atomic% or more and 10 atomic% or less, and the remaining composition ratio is preferably Co. When the composition ratio of Fe is greater than 17 atomic%, the magnetostriction is −3 × 10 -6 This is not preferable because it becomes more negative and deteriorates the soft magnetic characteristics.
[0086]
When the Fe composition ratio is smaller than 9 atomic%, the magnetostriction is 3 × 10. -6 And the deterioration of the soft magnetic properties is undesirable.
[0087]
When the composition ratio of Ni is larger than 10 atomic%, the magnetostriction is 3 × 10. -6 The resistance change amount (ΔR) and the rate of change in resistance (ΔR / R) due to Ni diffusion or the like between the nonmagnetic material layer and the resistance change rate (ΔR / R).
[0088]
When the composition ratio of Ni is smaller than 0.5 atomic%, the magnetostriction is −3 × 10 -6 It becomes unpreferably larger than the negative.
[0089]
Moreover, if it is in an above-described composition range, a coercive force can be 790 (A / m) or less.
[0090]
Next, when an intermediate layer made of a CoFe alloy or Co is formed between the ferromagnetic material layer and the nonmagnetic material layer that are stacked closest to the nonmagnetic material layer, specifically, When formed with a film structure of magnetic material layer / intermediate layer (CoFe alloy) / first free magnetic layer / nonmagnetic intermediate layer / second free magnetic layer, the Fe composition ratio of the CoFeNi is 7 atomic% or more and 15 atoms. The composition ratio of Ni is preferably 5 atomic% or more and 15 atomic% or less, and the remaining composition ratio is preferably Co. When the composition ratio of Fe is greater than 15 atomic%, the magnetostriction is −3 × 10 -6 This is not preferable because it becomes more negative and deteriorates the soft magnetic characteristics.
[0091]
When the Fe composition ratio is smaller than 7 atomic%, the magnetostriction is 3 × 10. -6 And the deterioration of the soft magnetic properties is undesirable.
[0092]
Further, when the composition ratio of Ni is larger than 15 atomic%, the magnetostriction is 3 × 10. -6 It becomes unpreferable to become larger.
[0093]
When the composition ratio of Ni is less than 5 atomic%, the magnetostriction is −3 × 10. -6 It becomes unpreferably larger than the negative.
[0094]
Moreover, if it is in an above-described composition range, a coercive force can be 790 (A / m) or less.
[0095]
In addition, since the intermediate layer formed of CoFe or Co has negative magnetostriction, the FeFe of the CoFeNi alloy is compared with a film configuration in which the intermediate layer is not interposed between the first free magnetic layer and the nonmagnetic material layer. The composition is slightly reduced and the Ni composition is slightly increased.
[0096]
Further, by interposing an intermediate layer made of a CoFe alloy or Co between the non-magnetic material layer and the first free magnetic layer as in the above film configuration, diffusion of the metal element between the first free magnetic layer and the non-magnetic material layer. Can be more effectively prevented.
[0097]
In the present invention, even when the first antiferromagnetic layer and the second antiferromagnetic layer are formed using antiferromagnetic materials having the same composition, the free magnetic layer Both ends of It becomes easy to fix the magnetization direction in the direction perpendicular to the magnetization direction of the pinned magnetic layer.
[0098]
The first antiferromagnetic layer and / or the second antiferromagnetic layer is made of a PtMn alloy or X—Mn (where X is any one of Pd, Ir, Rh, Ru, Os, Ni, and Fe). Or an alloy of Pt—Mn—X ′ (where X ′ is Pd, Ir, Rh, Ru, Au, Ag, Os, Cr, Ni, Ar, Ne, Xe, It is preferably formed of an alloy (which is one or more elements of Kr).
[0099]
Here, in the PtMn alloy and the alloy represented by the formula of X-Mn, Pt or X is preferably in the range of 37 to 63 at%. Further, in the PtMn alloy and the alloy represented by the formula of X-Mn, it is more preferable that Pt or X is in a range of 47 to 57 at%. Unless otherwise specified, the upper and lower limits of the numerical range indicated by-mean the following.
[0100]
In the alloy represented by the formula Pt—Mn—X ′, X ′ + Pt is preferably in the range of 37 to 63 at%. In the alloy represented by the formula of Pt—Mn—X ′, X ′ + Pt is more preferably in the range of 47 to 57 at%. Furthermore, in the alloy represented by the formula of Pt—Mn—X ′, X ′ is preferably in the range of 0.2 to 10 at%. However, when X ′ is one or more elements of Pd, Ir, Rh, Ru, Os, Ni, and Fe, X ′ may be in the range of 0.2 to 40 at%. preferable.
[0101]
As the first antiferromagnetic layer and the second antiferromagnetic layer, an alloy having an appropriate composition range is used, and heat-treating the alloy, the first antiferromagnetic layer and the second antiferromagnetic layer generate a large exchange coupling magnetic field. An antiferromagnetic layer can be obtained. In particular, in the case of a PtMn alloy, an excellent first antiferromagnetic layer having an exchange coupling magnetic field of 48 kA / m or more, for example, exceeding 64 kA / m, and having an extremely high blocking temperature of 380 ° C. for losing the exchange coupling magnetic field. Two antiferromagnetic layers can be obtained.
[0102]
These alloys have an irregular face-centered cubic structure (fcc) immediately after film formation, but undergo structural transformation to a CuAuI-type ordered face-centered tetragonal structure (fct) by heat treatment.
[0103]
In the present invention, the first antiferromagnetic layer and the longitudinal bias layer can be formed using an antiferromagnetic material having the same composition.
[0104]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
1 to 5 are sectional views showing an embodiment of a method for manufacturing a thin film magnetic element of the present invention.
[0105]
First, the first antiferromagnetic layer 12 is stacked on the substrate 11. Further, a synthetic ferri-pinned type pinned magnetic layer 13 comprising a first pinned magnetic layer 13a, a nonmagnetic intermediate layer 13b, and a second pinned magnetic layer 13c is laminated, and a nonmagnetic material layer 14 and a free magnetic layer are formed on the pinned magnetic layer 13. The layer 15, the nonmagnetic layer 16, and another antiferromagnetic layer 17 are laminated to form the multilayer film A. FIG. 1 is a cross-sectional view showing a state in which the multilayer film A is formed.
[0106]
The first antiferromagnetic layer 12, the pinned magnetic layer 13, the nonmagnetic material layer 14, the free magnetic layer 15, the nonmagnetic layer 16, and the other antiferromagnetic layer 17 are formed by a thin film formation process such as sputtering or vapor deposition. The
[0107]
The first antiferromagnetic layer 12 and the other antiferromagnetic layer 17 are each made of a PtMn alloy, or X—Mn (where X is any one of Pd, Ir, Rh, Ru, Os, Ni, Fe, or 2 Or an alloy of Pt—Mn—X ′ (where X ′ is any of Pd, Ir, Rh, Ru, Au, Ag, Os, Cr, Ni, Ar, Ne, Xe, Kr) Or one or more elements).
[0108]
These alloys are used as the first antiferromagnetic layer 12 and the other antiferromagnetic layer 17, and heat-treating them, the first antiferromagnetic layer 12 and other antiferromagnetic layers that generate a large exchange coupling magnetic field. The magnetic layer 17 can be obtained. In particular, in the case of a PtMn alloy, the excellent first antiferromagnetic layer 12 having an exchange coupling magnetic field of 48 kA / m or more, for example, exceeding 64 kA / m, and having an extremely high blocking temperature of 380 ° C. for losing the exchange coupling magnetic field, Another antiferromagnetic layer 17 can be obtained.
[0109]
These alloys have an irregular face-centered cubic structure (fcc) immediately after film formation, but undergo structural transformation to a CuAuI-type ordered face-centered tetragonal structure (fct) by heat treatment.
[0110]
The film thickness of the first antiferromagnetic layer 12 is 80 to 300 mm near the center in the track width direction. The thickness of the other antiferromagnetic layer 17 is about 30 mm.
[0111]
The first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are formed of a ferromagnetic material, for example, NiFe alloy, Co, CoNiFe alloy, CoFe alloy, CoNi alloy, etc. It is preferably formed of an alloy or Co. Further, the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are preferably formed of the same material.
[0112]
The nonmagnetic intermediate layer 13b is formed of a nonmagnetic material, and is formed of one kind of Ru, Rh, Ir, Cr, Re, or Cu or an alloy of two or more kinds thereof. In particular, it is preferably formed of Ru.
[0113]
The nonmagnetic material layer 14 is a layer that prevents magnetic coupling between the pinned magnetic layer 13 and the free magnetic layer 15 and through which a sense current mainly flows, and has non-conductive properties such as Cu, Cr, Au, and Ag. Preferably, it is formed of a magnetic material. In particular, it is preferably formed of Cu.
[0114]
The free magnetic layer 15 is formed of a ferromagnetic material, and is formed of, for example, a NiFe alloy, Co, CoNiFe alloy, CoFe alloy, CoNi alloy, or the like, and may be formed of NiFe alloy or Co. preferable.
[0115]
The nonmagnetic layer 16 is made of Ru and has a thickness of 8 to 11 mm. The nonmagnetic layer can also be formed using one or more elements of Ru, Cu, Ag, and Au.
[0116]
Next, the multilayer film A in FIG. 1 is annealed in the first magnetic field in the first heat treatment temperature and in the first magnitude magnetic field facing the Y direction, and the first antiferromagnetic layer 12 is exchanged. A isotropic magnetic field is generated to fix the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13 in the Y direction shown in the figure. In the present embodiment, the first heat treatment temperature is 270 ° C., and the first magnitude of the magnetic field is 800 k (A / m).
[0117]
Here, the film thickness of the other antiferromagnetic layer 17 is 30 mm. If the thickness of the other antiferromagnetic layer 17 is 30 mm or less, even if the other antiferromagnetic layer 17 is annealed in a magnetic field, the transformation from the irregular structure to the ordered structure does not occur, and an exchange anisotropic magnetic field is generated. do not do. Therefore, when the multilayer film A is annealed in the first magnetic field, no exchange anisotropic magnetic field is generated in the other antiferromagnetic layers 17 and the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is fixed in the Y direction shown in the figure. Never happen.
[0118]
When the multilayer film A is subjected to annealing in the first magnetic field, the other antiferromagnetic layer 17 is oxidized by about 10 to 20 mm from its surface. Therefore, the surface of the other antiferromagnetic layer 17 in the state of the multilayer film A is scraped by about 20 mm by ion milling to remove the oxidized portion. Thus, in the present embodiment, since the other antiferromagnetic layer 16 is laminated on the uppermost layer of the multilayer film A, oxidation of the nonmagnetic layer 16 and the free magnetic layer 15 can be prevented.
[0119]
Next, as shown in FIG. 2, the vertical bias layer 18 which is the second antiferromagnetic layer is formed on the multilayer film A, and the electrode layer 19 is formed on the vertical bias layer 18.
[0120]
As with the first antiferromagnetic layer 12 and the other antiferromagnetic layers 17, the longitudinal bias layer 18 is made of a PtMn alloy or X—Mn (where X is Pd, Ir, Rh, Ru, Os, Ni, An alloy of any one or more of Fe) or Pt—Mn—X ′ (where X ′ is Pd, Ir, Rh, Ru, Au, Ag, Os, Cr, Ni, Ar) , Ne, Xe, Kr) or an alloy thereof.
[0121]
The film thickness of the longitudinal bias layer 18 is 80 to 300 mm, for example 200 mm, near the center in the track width direction.
[0122]
Here, in the PtMn alloy and the alloy represented by the formula X-Mn for forming the first antiferromagnetic layer 12, the other antiferromagnetic layer 17, and the longitudinal bias layer 18, Pt or X is It is preferable that it is the range of 37-63at%. Further, in the PtMn alloy and the alloy represented by the formula of X-Mn, it is more preferable that Pt or X is in a range of 47 to 57 at%. Unless otherwise specified, the upper and lower limits of the numerical range indicated by-mean the following.
[0123]
In the alloy represented by the formula Pt—Mn—X ′, X ′ + Pt is preferably in the range of 37 to 63 at%. In the alloy represented by the formula of Pt—Mn—X ′, X ′ + Pt is more preferably in the range of 47 to 57 at%. Furthermore, in the alloy represented by the formula of Pt—Mn—X ′, X ′ is preferably in the range of 0.2 to 10 at%. However, when X ′ is one or more elements of Pd, Ir, Rh, Ru, Os, Ni, and Fe, X ′ may be in the range of 0.2 to 40 at%. preferable.
[0124]
As the first antiferromagnetic layer and the second antiferromagnetic layer, an alloy having an appropriate composition range is used, and heat-treating the alloy, the first antiferromagnetic layer and the second antiferromagnetic layer generate a large exchange coupling magnetic field. An antiferromagnetic layer can be obtained. In particular, in the case of a PtMn alloy, an excellent first antiferromagnetic layer having an exchange coupling magnetic field of 48 kA / m or more, for example, exceeding 64 kA / m, and having an extremely high blocking temperature of 380 ° C. for losing the exchange coupling magnetic field. Two antiferromagnetic layers can be obtained.
[0125]
These alloys have an irregular face-centered cubic structure (fcc) immediately after film formation, but undergo structural transformation to a CuAuI-type ordered face-centered tetragonal structure (fct) by heat treatment.
[0126]
In the thin film magnetic element of the present embodiment, the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layer 18 can be formed using antiferromagnetic materials having the same composition.
[0127]
The electrode layer 19 is formed using, for example, Au, W, Cr, Ta, or the like.
Next, as shown in FIG. 3, resists 20 and 20 are stacked on the electrode layer 19, and the electrode layer 19 is masked with an interval of the track width Tw.
[0128]
Further, as shown in FIG. 4, the portions of the vertical bias layer 18 that are not masked by the resists 20 and 20 are etched in a direction perpendicular to the surface 11a of the substrate 11 by ion milling or reactive ion etching (RIE). Thus, the recess 21 is formed. The side surfaces 21 a and 21 a of the recess 21 are perpendicular to the surface 11 a of the substrate 11. In FIG. 4, the recess 21 is formed so that the bottom surface 21 b of the recess 21 is located in the vertical bias layer 17.
[0129]
At this time, the total thickness t1 of the region of the longitudinal bias layer 18 located below the bottom surface 21b of the recess 21 and the thickness of the other antiferromagnetic layer 17 is set to be greater than 0 and 30 mm or less.
[0130]
After forming the recess 21, the multilayer film B formed up to the electrode layers 19, 19 is annealed in the second magnetic field in the second heat treatment temperature and in the second magnitude magnetic field facing the X direction. An exchange anisotropic magnetic field is generated in the bias layer 18 to fix the magnetization direction of the free magnetic layer 15 in the X direction shown in the figure. In the present embodiment, the second heat treatment temperature is 250 ° C., and the second magnitude of the magnetic field is 24 k (A / m).
[0131]
If the resist layers 20 are removed after the second heat treatment, a thin film magnetic element as shown in FIG. 5 can be obtained.
[0132]
The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layer 18 is generated only in the second magnetic field annealing step. Accordingly, in order to direct the exchange anisotropy magnetic field of the longitudinal bias layer 18 in the X direction in the figure while keeping the direction of the exchange anisotropy magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12 in the Y direction in the figure, The heat treatment temperature is set to a temperature lower than the blocking temperature at which the first antiferromagnetic layer 12 loses the exchange coupling magnetic field, and the magnitude of the second magnetic field is smaller than the exchange anisotropic magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12. Just do it. Further, if the second annealing in the magnetic field is performed under these conditions, the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layer 18 may be formed using antiferromagnetic materials having the same composition. The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layer 18 can be directed in the X direction in the figure while the direction of the exchange anisotropic magnetic field of the layer 12 is directed in the Y direction in the figure. That is, it becomes easy to fix the magnetization direction of the free magnetic layer 15 in a direction orthogonal to the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13.
[0133]
As in this embodiment, when the total thickness t1 of the region of the longitudinal bias layer 18 and the other antiferromagnetic layer 17 located below the bottom surface 21b of the recess 21 and the other antiferromagnetic layer 17 is greater than 0 and 30 mm or less,
In the region of the longitudinal bias layer 18 located on the bottom surface 21b of the recess 21, no irregular-regular transformation occurs due to the second magnetic field annealing, and no exchange coupling magnetic field is generated.
[0134]
That is, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is fixed by exchange coupling with the longitudinal bias layer 18 only at both ends D and D in the track width direction other than the region overlapping the bottom surface 21 b of the recess 21.
[0135]
The region E of the free magnetic layer 15 that overlaps the bottom surface 21b of the concave portion 21 is illustrated in the same manner as the two end portions D and D whose magnetization directions are fixed by exchange coupling with the longitudinal bias layer 18 in the state where no external magnetic field is applied. When the external magnetic field is applied, the magnetization direction changes.
[0136]
Accordingly, the track width of the thin film magnetic element is determined by the width dimension Tw of the recess. As described above, in the present invention, the concave portion 21 is formed in a vertical direction with respect to the surface 11a of the substrate 11 by using the reactive ion etching (RIE) or ion milling for the vertical bias layer 18 formed with a uniform thickness. Therefore, the recess 21 can be formed with an accurate width dimension Tw. That is, the track width Tw of the thin film magnetic element can be accurately defined.
[0137]
In the above description, the electrode layer 19 is formed on the vertical bias layer 18 and then the resist is laminated on the electrode layer 19 to form the recesses in the vertical bias layer 18. After the resists 20 and 20 are stacked on each other to form a recess in the vertical bias layer 18, the electrode layer 19 may be stacked on the upper layer of the vertical bias layer 18.
[0138]
In the present embodiment, the first antiferromagnetic layer 12 is directly laminated on the substrate 11, but the antiferromagnetic layer 12 is laminated on the substrate 11 via an underlayer made of an alumina layer, Ta, or the like. May be.
[0139]
The thin film magnetic element formed by the method of manufacturing the thin film magnetic element of the present embodiment shown in FIG. 5 will be described.
[0140]
When the longitudinal bias layer 18 is laminated on the upper layer of the multilayer film A via the nonmagnetic layer 16, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is aligned by the RKKY interaction with the longitudinal bias layer 18. The RKKY interaction acts only between the region of the magnetic layer located immediately below the antiferromagnetic layer (longitudinal bias layer 18) having a thickness having antiferromagnetism, and the antiferromagnet having a thickness having antiferromagnetism. It does not act on the region outside the magnetic layer. That is, the RKKY interaction acts only on both ends D and D in the track width direction not overlapping the bottom surface 21b of the recess 21 and does not affect the region E overlapping the bottom surface 21b of the recess 21.
[0141]
Therefore, the sensitivity of the region having the track width (optical track width) Tw set as the width dimension of the recess 21 formed in the longitudinal bias layer 18 substantially contributes to the reproduction of the recording magnetic field and exhibits the magnetoresistive effect. It becomes an area. In other words, the thin film magnetic element of the present invention has an insensitive area because the optical track width of the thin film magnetic element is equal to the magnetic track width, so that it is difficult to control the magnetic track width. Therefore, it becomes easy to cope with the higher recording density of the recording medium.
[0142]
In addition, since no insensitive area is generated in the area of the track width (optical track width) Tw set at the time of forming the thin film magnetic element, the optical track width Tw of the thin film magnetic element is reduced in order to cope with higher recording density. In this case, it is possible to suppress a decrease in reproduction output.
[0143]
Furthermore, in the present embodiment, the side end faces S, S of the thin film magnetic element can be formed so as to be perpendicular to the surface 11a of the substrate 11, so that the length of the free magnetic layer 15 varies in the width direction. Can be suppressed.
[0144]
Further, as in the present embodiment, when the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is aligned by the RKKY interaction with the longitudinal bias layer 18, the longitudinal bias layer 18 and the free magnetic layer 15 are in direct contact with each other. As a result, the exchange coupling force can be increased.
[0145]
Further, as in the present embodiment, when the nonmagnetic layer 16 is formed of a conductive material, the nonmagnetic layer 16 can function as a backed layer having a spin filter effect.
[0146]
When a back layer (nonmagnetic layer 16) having a spin filter effect is provided in contact with the free magnetic layer 15, the center height position in which the sense current flows in the stacked body is positioned more than the back layer without the back layer. Can be moved to the side. That is, the center height position of the sense current is separated from the free magnetic layer 15, the intensity of the sense current magnetic field at the position of the free magnetic layer 15 is reduced, and the influence of the sense current magnetic field on the variable magnetization of the free magnetic layer 15 is reduced. . Therefore, asymmetry can be reduced.
[0147]
Here, the asymmetry indicates the degree of asymmetry of the reproduction output waveform. When the reproduction output waveform is given, the asymmetry becomes small if the waveform is symmetric. Therefore, the closer the asymmetry is to 0, the better the reproduced output waveform is.
[0148]
The asymmetry is 0 when the direction of variable magnetization of the free magnetic layer and the direction of fixed magnetization of the pinned magnetic layer are orthogonal to each other. If the asymmetry deviates greatly, the information cannot be read accurately from the media, which causes an error. For this reason, the smaller the asymmetry, the more reliable the reproduction signal processing, and the better the spin valve thin film magnetic element.
[0149]
The spin filter effect will be described.
30 and 31 are schematic explanatory views for explaining the spin filter effect by the backed layer in the spin valve thin film magnetic element. FIG. 30 is a schematic view showing a structure example without the backed layer. FIG. It is a schematic diagram which shows the structural example with a layer.
[0150]
The giant magnetoresistive GMR effect is mainly due to “spin-dependent scattering” of electrons. In other words, the mean free path λ of conduction electrons having a spin parallel to the magnetization direction of the magnetic material, here the free magnetic layer (for example, upspin) - And the mean free path λ of conduction electrons with spins antiparallel to the magnetization direction (eg, downspin) - This is the difference between the two. 30 and 31, conduction electrons having an up spin are represented by upward arrows, and conduction electrons having a down spin are represented by downward arrows. When electrons try to pass through the free magnetic layer, they can move freely if they have an up spin parallel to the magnetization direction of the free magnetic layer, but on the contrary, if they have a down spin, they are immediately scattered.
[0151]
This is the mean free path λ of electrons with upspin. + However, for example, the average free path λ− of electrons having down spin is about 6 Å, which is about 50 Å, and is extremely small, about 1/10. The thickness of the free magnetic layer 115 is about 6 angstroms, and the mean free path λ of electrons having a down spin is about λ. - The mean free path λ of an electron with an upspin that is larger than 50 angstroms + Is set smaller than.
[0152]
Therefore, when electrons try to pass through the free magnetic layer 115, they can move freely if they have an up spin parallel to the magnetization direction of the free magnetic layer 115, but on the other hand, they immediately scatter when they have a down spin. (Filtered out).
[0153]
The down-spin electrons generated in the pinned magnetic layer 113 laminated on the antiferromagnetic layer 112 and passing through the nonmagnetic material layer 114 are scattered near the interface between the free magnetic layer 115 and the nonmagnetic material layer 114 and are free. The magnetic layer 115 is hardly reached. That is, the down-spin electrons do not change the mean free path even when the magnetization direction of the free magnetic layer 115 rotates, and do not affect the resistance change rate due to the GMR effect. Therefore, only the behavior of upspin electrons needs to be considered for the GMR effect.
[0154]
Up-spin electrons generated in the pinned magnetic layer 113 are the mean free path λ of the up-spin electrons. + It moves through the thinner nonmagnetic material layer 114 and reaches the free magnetic layer 115, and upspin electrons can freely pass through the free magnetic layer 115. This is because the up-spin electrons have a spin parallel to the magnetization direction of the free magnetic layer 115.
[0155]
In a state where the magnetization direction of the pinned magnetic layer and the magnetization direction of the free magnetic layer are antiparallel, the up-spin electrons are not electrons having a spin parallel to the magnetization direction of the free magnetic layer 115. Then, up-spin electrons are scattered in the vicinity of the interface between the free magnetic layer 115 and the nonmagnetic material layer 114, and the effective mean free path of the up-spin electrons sharply decreases. That is, the resistance value increases. The rate of change in resistance has a positive correlation with the amount of change in the effective mean free path of up-spin electrons.
[0156]
As shown in FIG. 31, the backed layer B A Is provided, the up-spin electrons that have passed through the free magnetic layer 115 are transferred to the backed layer B. A The additional mean free path λ determined by the material of the backed layer B1 + Scatter after moving b. That is, backed layer B A The mean free path λ of up-spin electrons + Is the additional mean free path λ + Extends by b.
[0157]
In the present embodiment having the nonmagnetic layer 16 functioning as a backed layer, the mean free path of up-spin conduction electrons can be extended. For this reason, the amount of change in the mean free path of up-spin electrons due to the application of an external magnetic field is increased, and the magnetoresistance change rate (ΔR / R) of the spin valve thin film magnetic element can be further improved.
[0158]
In the present embodiment, another antiferromagnetic layer 17 can be formed as a specular reflection layer. In order to form the other antiferromagnetic layer 17 as a specular reflection layer, the other antiferromagnetic layer 17 may be formed as a single layer film or a multilayer film of a semimetal Heusler alloy such as NiMnSb and PtMnSb. .
[0159]
By using these materials, it is possible to form a sufficient potential barrier between adjacent layers, and as a result, a sufficient specular reflection effect can be obtained.
[0160]
The specular reflection effect will be described. 32 and 33 are schematic explanatory views for explaining the specular reflection effect by the specular reflection layer S1 in the spin valve thin film magnetic element. As described above in the description of the spin filter effect, in the GMR effect, it is only necessary to consider the behavior of up-spin electrons defined by the fixed magnetization direction of the fixed magnetic layer 113.
[0161]
In a state where the magnetization direction of the pinned magnetic layer and the magnetization direction of the free magnetic layer are parallel, the up-spin electrons reach the free magnetic layer 115 from the nonmagnetic material layer 114 as shown in FIGS. Then, it moves inside the free magnetic layer 115 and reaches the vicinity of the interface between the free magnetic layer 115 and the specular reflection layer S1.
[0162]
Here, when there is no specular reflection layer shown in FIG. 32, up-spin electrons move in the free magnetic layer 115 and are scattered on the upper surface thereof. Therefore, the mean free path is λ shown in the figure. + It becomes.
[0163]
On the other hand, as shown in FIG. 33, when there is a specular reflection layer S1, a potential barrier is formed in the vicinity of the interface between the free magnetic layer 115 and the specular reflection layer S1, so Specular reflection (specular scattering) occurs near the interface with the reflective layer S1.
[0164]
Usually, when a conduction electron is scattered, the spin state (energy, quantum state, etc.) of the electron changes. However, in the case of specular scattering, the up-spin electrons have a high probability of being reflected while the spin state is preserved, and will move through the free magnetic layer 115 again. That is, since the spin state of the up-spin conduction electrons is maintained by the specular reflection, it moves in the free magnetic layer as if it was not scattered.
[0165]
This is because the reflection mean free path λ + It means that the mean free path is extended by s.
[0166]
In a state where the magnetization direction of the pinned magnetic layer and the magnetization direction of the free magnetic layer are antiparallel, the up-spin electrons are not electrons having a spin parallel to the magnetization direction of the free magnetic layer 115. Then, up-spin electrons are scattered in the vicinity of the interface between the free magnetic layer 115 and the nonmagnetic material layer 114, and the effective mean free path of the up-spin electrons sharply decreases. That is, the resistance value increases. The rate of change in resistance has a positive correlation with the amount of change in the effective mean free path of up-spin electrons.
[0167]
In this embodiment having another antiferromagnetic layer 17 functioning as a specular reflection layer, the mean free path of up-spin conduction electrons can be extended. For this reason, the amount of change in the mean free path of up-spin electrons due to the application of an external magnetic field is increased, and the magnetoresistance change rate (ΔR / R) of the spin valve thin film magnetic element can be further improved.
[0168]
The expansion of the mean free path difference between the up-spin conduction electrons and the down-spin conduction electrons due to the spin filter effect and the specular reflection effect is more effective when the free magnetic layer is relatively thin.
[0169]
If the thickness of the free magnetic layer 115 is less than 15 mm, it is difficult to form the free magnetic layer 115 so as to function as a ferromagnetic material layer, and a sufficient magnetoresistance effect cannot be obtained.
[0170]
Also, if the thickness of the free magnetic layer 115 is greater than 45 mm, the up-spin conduction electrons that are scattered before reaching the specular reflection layer increase, and the resistance change rate changes due to the specular effect. This is not preferable because the ratio decreases.
[0171]
In FIG. 5, the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c having different magnetic moments per unit area are stacked via the nonmagnetic intermediate layer 13b to form one pinned magnetic layer. It functions as the layer 13.
[0172]
The first pinned magnetic layer 13a is formed in contact with the first antiferromagnetic layer 12, and is annealed in a magnetic field, thereby causing exchange coupling at the interface between the first pinned magnetic layer 13a and the antiferromagnetic layer 12. An exchange anisotropic magnetic field is generated, and the magnetization direction of the first pinned magnetic layer 13a is pinned in the Y direction in the figure. When the magnetization direction of the first pinned magnetic layer 13a is pinned in the Y direction in the figure, the magnetization direction of the second pinned magnetic layer 13c opposed via the nonmagnetic intermediate layer 13b is the same as the magnetization direction of the first pinned magnetic layer 13a. Fixed in anti-parallel state.
[0173]
The direction of the combined magnetic moment per unit area obtained by adding the magnetic moment per unit area of the first pinned magnetic layer 13 a and the magnetic moment per unit area of the second pinned magnetic layer 13 c is the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13. It becomes.
[0174]
Thus, the magnetization directions of the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are in an antiparallel ferrimagnetic state, and the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are mutually connected. Since the other magnetization direction is fixed, it is preferable because the magnetization direction of the fixed magnetic layer 13 can be stabilized in a certain direction as a whole.
[0175]
The first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are formed of a ferromagnetic material, for example, NiFe alloy, Co, CoNiFe alloy, CoFe alloy, CoNi alloy, etc. It is preferably formed of an alloy or Co. Further, the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are preferably formed of the same material.
[0176]
In FIG. 5, the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are formed using the same material, and the film thicknesses of the respective layers are made different so that the magnetic moments per unit area are different. It is
[0177]
The nonmagnetic intermediate layer 13b is formed of a nonmagnetic material, and is formed of one kind of Ru, Rh, Ir, Cr, Re, or Cu or an alloy of two or more kinds thereof. In particular, it is preferably formed of Ru.
[0178]
When the pinned magnetic layer 13 is formed by laminating the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13b on and under the nonmagnetic intermediate layer 13b, the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are formed. However, the magnetization directions of the pinned magnetic layer 13 as a whole can be strongly fixed in a fixed direction. That is, the exchange coupling magnetic field Hex between the first antiferromagnetic layer 12 and the pinned magnetic layer 13 can be obtained as a large value, for example, 80 to 160 kA / m. Therefore, the second magnetic field for directing the magnetization direction of the longitudinal bias layer 18 in the track width direction after annealing in the first magnetic field for directing the magnetization direction of the first antiferromagnetic layer 12 in the height direction. By the middle annealing, the longitudinal bias magnetic field by the longitudinal bias layer 18 can be increased while preventing the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13 from being tilted and pinned in the track width direction.
[0179]
In the present embodiment, the demagnetizing field (dipole magnetic field) caused by the fixed magnetization of the pinned magnetic layer 13 is canceled by the mutual static magnetic field coupling of the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c canceling each other. Can be canceled. Thereby, the contribution to the variable magnetization of the free magnetic layer 15 from the demagnetizing field (dipole magnetic field) due to the fixed magnetization of the fixed magnetic layer 13 can be reduced.
[0180]
Therefore, it becomes easier to correct the direction of the variable magnetization of the free magnetic layer 15 to a desired direction, and it is possible to obtain a spin valve thin film magnetic element with small asymmetry and excellent symmetry.
[0181]
Further, the demagnetizing field (dipole magnetic field) Hd due to the fixed magnetization of the fixed magnetic layer 13 has a non-uniform distribution that is large at the end and small at the center in the element height direction. Although the magnetic domain formation may be hindered, the dipole magnetic field Hd can be made substantially Hd = 0 by making the pinned magnetic layer 13 have the above-described laminated structure, thereby forming a domain wall in the free magnetic layer 15. It is possible to prevent the occurrence of non-uniform magnetization and Barkhausen noise.
[0182]
FIG. 6 is a cross-sectional view of the thin film magnetic element formed according to the second embodiment of the present invention as seen from the ABS side.
[0183]
The method of manufacturing the thin film magnetic element is almost the same as that of the first embodiment shown in FIGS. 1 to 5. In FIG. 4, the portion sandwiched between the resists 20 and 20 of the longitudinal bias layer 18 is shown. The bottom surface 21b of the recess 21 is located in the other antiferromagnetic layer 17 when it is etched in a direction perpendicular to the surface 11a of the substrate 11 by ion milling or reactive ion etching (RIE). The only difference is that the recess 21 is formed.
[0184]
In the present embodiment, the thickness t2 of the region of the other antiferromagnetic layer 17 located below the bottom surface 21b of the recess 21 is set to be greater than 0 and 30 mm or less, and the thickness t2 is set below the bottom surface 21b of the recess 21. In the antiferromagnetic layer 17, no irregular-order transformation is caused by annealing in a magnetic field, and no exchange coupling magnetic field is generated.
[0185]
Therefore, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is fixed by RKKY coupling with the longitudinal bias layer 18 only at both ends D and D in the track width direction other than the region located below the bottom surface 21 b of the recess 21.
[0186]
A region E located below the bottom surface 21b of the recess 21 of the free magnetic layer 15 follows both ends D and D in which the magnetization direction is fixed by RKKY coupling with the longitudinal bias layer 18 in a state where no external magnetic field is applied. When the external magnetic field is applied, the magnetization direction changes. Accordingly, the track width of the thin film magnetic element is determined by the width dimension Tw of the recess.
[0187]
In the manufacturing method in which the recess 21 is formed so that the bottom surface 21b of the recess 21 is located in the other antiferromagnetic layer 17, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is changed to the fixed magnetic layer as in the first embodiment. Thus, it becomes easy to fix in the direction orthogonal to the magnetization direction of 13 and the track width Tw of the thin film magnetic element can be accurately defined. Even if the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layer 18 are formed using antiferromagnetic materials having the same composition, the direction of the exchange anisotropy magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12 is the Y direction shown in the figure. The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layer 18 can be directed in the X direction in the figure while being directed.
[0188]
The thin film magnetic element shown in FIG. 6 is equivalent to the thin film magnetic element shown in FIG. 5 with respect to other effects exhibited by the thin film magnetic element formed by the first embodiment shown in FIG. There is an effect.
[0189]
FIG. 7 is a cross-sectional view of the thin film magnetic element formed according to the third embodiment of the present invention as seen from the ABS side.
[0190]
The method of manufacturing the thin film magnetic element is almost the same as that of the first embodiment shown in FIGS. 1 to 5. In FIG. 4, the portion sandwiched between the resists 20 and 20 of the longitudinal bias layer 18 is shown. The recess 21 is formed so that the bottom surface 21b of the recess 21 is located in the nonmagnetic layer 16 when it is etched in a direction perpendicular to the surface 11a of the substrate 11 by ion milling or reactive ion etching (RIE). It differs only in the point that it forms.
[0191]
In the present embodiment, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is fixed by RKKY coupling with the longitudinal bias layer 18 only at both ends D and D in the track width direction other than the portion overlapping the bottom surface 21 b of the recess 21.
[0192]
A portion E that overlaps the bottom surface 21b of the recess 21 of the free magnetic layer 15 is illustrated in the same manner as both ends D and D whose magnetization directions are fixed by RKKY coupling with the longitudinal bias layer 18 in the state where no external magnetic field is applied. When the external magnetic field is applied, the magnetization direction changes. Accordingly, the track width of the thin film magnetic element is determined by the width dimension Tw of the recess.
[0193]
Even in the manufacturing method in which the recess 21 is formed so that the bottom surface 21 b of the recess 21 is located in the nonmagnetic layer 16, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 can be fixed in a direction orthogonal to the magnetization direction of the fixed magnetic layer 13. The track width Tw of the thin film magnetic element can be accurately defined. Even if the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layer 18 are formed using antiferromagnetic materials having the same composition, the direction of the exchange anisotropy magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12 is the Y direction shown in the figure. The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layer 18 can be directed in the X direction in the figure while being directed.
[0194]
The thin-film magnetic element shown in FIG. 7 is equivalent to the thin-film magnetic element shown in FIG. 5 with respect to other effects exhibited by the thin-film magnetic element formed by the first embodiment shown in FIG. There is an effect.
[0195]
FIG. 8 is a cross-sectional view of the thin film magnetic element formed according to the fourth embodiment of the present invention, as viewed from the ABS side.
[0196]
The method of manufacturing this thin film magnetic element is almost the same as that of the first embodiment shown in FIGS.
[0197]
The difference from the first embodiment is that in FIG. 1, after the formation of the free magnetic layer 15, the nonmagnetic layer 16 is not laminated, and another antiferromagnetic layer 17 is laminated directly on the free magnetic layer 15. The only difference is that the multilayer film A1 is formed, the multilayer film A1 is annealed in the first magnetic field, and then the longitudinal bias layer 18 is laminated on the multilayer film A1.
[0198]
In the thin film magnetic element of FIG. 8, the antimagnetic layer 17 and the longitudinal bias layer 18 which is the second antiferromagnetic layer are stacked on the free magnetic layer 15, so that the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is The other antiferromagnetic layers 17 and the longitudinal bias layer 18 are aligned in the X direction in the drawing by exchange coupling.
[0199]
In the present embodiment, the total thickness t4 of the region of the longitudinal bias layer 18 located below the bottom surface 21b of the recess 21 and the thickness of the other antiferromagnetic layer 17 is set to be greater than 0 and 30 mm or less. In the region of the longitudinal bias layer 18 and the other antiferromagnetic layer 17 located below the bottom surface 21b, no irregular-regular transformation occurs due to the second magnetic field annealing, and no exchange coupling magnetic field is generated.
[0200]
That is, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is fixed by exchange coupling with the longitudinal bias layer 18 only at both ends D and D in the track width direction other than the region located below the bottom surface 21 b of the recess 21.
[0201]
A region E located below the bottom surface 21b of the concave portion 21 of the free magnetic layer 15 follows both ends D and D in which the magnetization direction is fixed by exchange coupling with the longitudinal bias layer 18 in a state where no external magnetic field is applied. When the external magnetic field is applied, the magnetization direction changes.
[0202]
Accordingly, the track width of the thin film magnetic element is determined by the width dimension Tw of the recess. As described above, in the present invention, the concave portion 21 is formed in a vertical direction with respect to the surface 11a of the substrate 11 by using a reactive ion etching (RIE) or ion milling. Since it can be formed only by shaving, the concave portion 21 can be formed with an accurate width dimension Tw. That is, the track width of the thin film magnetic element can be accurately defined.
[0203]
Even in the manufacturing method in which another antiferromagnetic layer 17 is stacked without stacking the nonmagnetic layer 16 after the formation of the free magnetic layer 15, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is orthogonal to the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13. It becomes easy to fix in the direction.
[0204]
Further, even if the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layer 18 are formed using antiferromagnetic materials having the same composition, the first antiferromagnetic layer 12 can be exchanged differently as in the first embodiment. The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layer 18 can be directed in the X direction in the figure while the direction of the isotropic magnetic field is directed in the Y direction in the figure.
[0205]
The thin film magnetic element shown in FIG. 8 is the same as the thin film magnetic element shown in FIG. 5 for effects other than the spin filter effect exhibited by the thin film magnetic element formed by the first embodiment shown in FIG. Can produce the same effect.
[0206]
FIG. 9 is a cross-sectional view of the thin film magnetic element formed according to the fifth embodiment of the present invention as seen from the ABS side.
[0207]
The method of manufacturing this thin film magnetic element is almost the same as that of the fourth embodiment, and a portion sandwiched between the resists 20 and 20 of the longitudinal bias layer 18 is subjected to ion milling or reactive ion etching (RIE). The only difference is that the concave portion 21 is formed so that the bottom surface 21b of the concave portion 21 is located in the other antiferromagnetic layer 17 when the substrate 11 is cut in the direction perpendicular to the surface 11a. Yes.
[0208]
In the present embodiment, the thickness t5 of the region of the other antiferromagnetic layer 17 located below the bottom surface 21b of the recess 21 is set to be greater than 0 and 30 mm or less, and the other is located below the bottom surface 21b of the recess 21. In the antiferromagnetic layer 17, no irregular-order transformation is caused by annealing in a magnetic field, and no exchange coupling magnetic field is generated.
[0209]
Therefore, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is fixed by exchange coupling with the longitudinal bias layer 18 only at both ends D and D in the track width direction other than the region overlapping the bottom surface 21 b of the recess 21.
[0210]
A region E located below the bottom surface 21b of the concave portion 21 of the free magnetic layer 15 follows both ends D and D in which the magnetization direction is fixed by exchange coupling with the longitudinal bias layer 18 in a state where no external magnetic field is applied. When the external magnetic field is applied, the magnetization direction changes. Accordingly, the track width of the thin film magnetic element is determined by the width dimension Tw of the recess.
[0211]
The concave portion 21 can be formed by simply cutting a vertical bias layer formed with a uniform thickness in a direction perpendicular to the surface 11a of the substrate 11 by using reactive ion etching (RIE) or ion milling. It becomes possible to form the recess 21 with an accurate width dimension Tw. That is, the track width of the thin film magnetic element can be accurately defined.
[0212]
Even in the manufacturing method in which the recess 21 is formed so that the bottom surface 21b of the recess 21 is located in the other antiferromagnetic layer 17, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is changed to the fixed magnetic layer as in the fourth embodiment. Thus, it becomes easy to fix in the direction orthogonal to the magnetization direction of 13 and the track width Tw of the thin film magnetic element can be accurately defined. Even if the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layer 18 are formed using antiferromagnetic materials having the same composition, the direction of the exchange anisotropy magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12 is the Y direction shown in the figure. The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layer 18 can be directed in the X direction in the figure while being directed.
[0213]
The thin film magnetic element shown in FIG. 9 is equivalent to the thin film magnetic element shown in FIG. 8 with respect to other effects exhibited by the thin film magnetic element formed by the fourth embodiment shown in FIG. There is an effect.
[0214]
FIG. 10 is a cross-sectional view of the thin film magnetic element formed according to the sixth embodiment of the present invention, as viewed from the ABS side.
[0215]
The method of manufacturing this thin film magnetic element is almost the same as that of the first embodiment shown in FIGS. 1 to 5. In FIG. 1, the free magnetic layer 31 is made to have a magnitude of magnetic moment per unit area. The first and second free magnetic layers 31a and 31c are different from each other only in that they are formed as so-called synthetic ferri-free free magnetic layers stacked via a nonmagnetic intermediate layer 31b.
[0216]
The first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are formed of a ferromagnetic material, for example, NiFe alloy, Co, CoNiFe alloy, CoFe alloy, CoNi alloy, etc. It is preferable to form with an alloy.
[0217]
The nonmagnetic intermediate layer 31b is made of a nonmagnetic material, and is made of one or more alloys of Ru, Rh, Ir, Cr, Re, and Cu. In particular, it is preferably formed of Ru.
[0218]
A diffusion prevention layer made of Co or the like may be formed between the first free magnetic layer 31a and the nonmagnetic material layer. This diffusion prevention layer prevents mutual diffusion of the first free magnetic layer 31a and the nonmagnetic material layer.
[0219]
The first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are formed so that the magnetic moments per unit area are different. The magnetic moment per unit area is represented by the product of saturation magnetization (Ms) and film thickness (t). Therefore, for example, the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are formed by using the same material, and the film thicknesses thereof are different from each other. The magnetic moment per unit area of 31c can be varied.
[0220]
When a diffusion prevention layer made of Co or the like is formed between the first free magnetic layer 31a and the nonmagnetic material layer 14, the magnetic moment per unit area of the first free magnetic layer 31a and the diffusion prevention It is preferable to make the sum of the magnetic moment per unit area of the layer different from the magnetic moment per unit area of the second free magnetic layer 31c.
[0221]
The thickness tf2 of the second free magnetic layer 31c is preferably in the range of 0.5 to 2.5 nm. The thickness tf1 of the first free magnetic layer 31a is preferably in the range of 2.5 to 4.5 nm. The thickness tf1 of the first free magnetic layer 31a is more preferably in the range of 3.0 to 4.0 nm, and still more preferably in the range of 3.5 to 4.0 nm. If the thickness tf1 of the first free magnetic layer 31a is out of the above range, it is not preferable because the rate of change in magnetoresistance of the spin valve thin film magnetic element cannot be increased.
[0222]
In FIG. 10, a structure in which a first free magnetic layer 31a and a second free magnetic layer 31c having different magnetic moments per unit area are stacked via a nonmagnetic intermediate layer 31b functions as one free magnetic layer 31. .
[0223]
The magnetization directions of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are in an antiparallel ferrimagnetic state different by 180 degrees. At this time, the magnetic moment per unit area is larger, for example, the magnetization direction of the first free magnetic layer 31a is directed to the direction of the magnetic field generated from the longitudinal bias layer 18, and the magnetization direction of the second free magnetic layer 31c is It will be in the state of facing 180 degrees in the opposite direction.
[0224]
When the anti-parallel ferrimagnetic state in which the magnetization directions of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c differ by 180 degrees is obtained, an effect equivalent to that of reducing the film thickness of the free magnetic layer 31 is obtained, and saturation magnetization is obtained. Becomes smaller, the magnetization of the free magnetic layer 31 is likely to fluctuate, and the magnetic field detection sensitivity of the magnetoresistive element is improved.
[0225]
The direction of the combined magnetic moment per unit area obtained by adding the magnetic moment per unit area of the first free magnetic layer 31 a and the magnetic moment per unit area of the second free magnetic layer 31 c becomes the magnetization direction of the free magnetic layer 31. .
[0226]
However, only the magnetization direction of the first free magnetic layer 31 a contributes to the output in relation to the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13.
[0227]
Further, if the relationship between the magnetic film thicknesses of the first free magnetic layer and the second free magnetic layer is different, the spin flop magnetic field of the free magnetic layer 31 can be increased.
[0228]
The spin-flop magnetic field refers to the magnitude of the external magnetic field that causes the magnetization directions of the two magnetic layers to become non-anti-parallel when an external magnetic field is applied to two magnetic layers whose magnetization directions are anti-parallel.
[0229]
FIG. 29 is a conceptual diagram of a hysteresis loop of the free magnetic layer 31. This MH curve shows the change in the magnetization M of the free magnetic layer when an external magnetic field is applied to the free magnetic layer having the configuration shown in FIG. 10 from the track width direction.
[0230]
In FIG. 29, the arrow indicated by F1 represents the magnetization direction of the first free magnetic layer, and the arrow indicated by F2 represents the magnetization direction of the second free magnetic layer.
[0231]
As shown in FIG. 29, when the external magnetic field is small, the first free magnetic layer and the second free magnetic layer are in a ferrimagnetic state, that is, the directions of the arrows F1 and F2 are antiparallel. When the size exceeds a certain value, the RKKY coupling between the first free magnetic layer and the second free magnetic layer is broken, and the ferrimagnetic state cannot be maintained. This is the spin-flop transition. The magnitude of the external magnetic field when this spin-flop transition occurs is the spin-flop magnetic field, which is indicated by Hsf in FIG. In the figure, Hcf indicates the coercive force of magnetization of the free magnetic layer.
[0232]
If the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are formed so as to have different magnetic moments per unit area, the spin flop magnetic field Hsf of the free magnetic layer 31 increases. Thereby, the range of the magnetic field in which the free magnetic layer 31 maintains the ferrimagnetic state is widened, and the stability of the free magnetic layer 31 in the ferrimagnetic state is increased.
[0233]
In the present embodiment, it is preferable that at least one of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c is formed of a magnetic material having the following composition.
[0234]
The composition formula is CoFeNi, the composition ratio of Fe is 9 atomic% or more and 17 atomic% or less, the composition ratio of Ni is 0.5 atomic% or more and 10 atomic% or less, and the remaining composition is Co.
[0235]
Thereby, the exchange coupling magnetic field in the RKKY interaction generated between the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c can be strengthened. Specifically, the magnetic field when the antiparallel state collapses, that is, the spin flop magnetic field (Hsf) can be increased to about 293 (kA / m).
[0236]
Therefore, the magnetizations at both end portions of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c located under the longitudinal bias layer 18 can be appropriately pinned in an antiparallel state, and the occurrence of side reading can be suppressed. it can.
[0237]
Both the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are preferably formed of the CoFeNi alloy. Thereby, a high spin-flop magnetic field can be obtained more stably, and the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c can be appropriately magnetized in an antiparallel state.
[0238]
If the composition range is within the above range, the magnetostriction of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c is −3 × 10. -6 To 3 × 10 -6 The coercive force can be reduced to 790 (A / m) or less.
[0239]
Furthermore, it is possible to appropriately improve the soft magnetic characteristics of the free magnetic layer 31 and appropriately suppress the resistance change amount (ΔR) and the resistance change rate (ΔR / R) due to the diffusion of Ni between the nonmagnetic material layers 14. Is possible.
[0240]
Also in this embodiment, it becomes easy to fix the magnetization direction of the free magnetic layer 31 in a direction orthogonal to the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13, and the track width Tw of the thin film magnetic element can be accurately defined. Even if the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layer 18 are formed using antiferromagnetic materials having the same composition, the direction of the exchange anisotropy magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12 is the Y direction shown in the figure. The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layer 18 can be directed in the X direction in the figure while being directed.
[0241]
The thin film magnetic element shown in FIG. 10 is equivalent to the thin film magnetic element shown in FIG. 5 with respect to other effects exhibited by the thin film magnetic element formed by the first embodiment shown in FIG. There is an effect.
[0242]
FIG. 11 is a cross-sectional view of the thin film magnetic element formed according to the seventh embodiment of the present invention as seen from the ABS side.
[0243]
The method of manufacturing this thin film magnetic element is almost the same as the method of manufacturing the thin film magnetic element shown in FIG. 10, and in FIG. 1, the free magnetic layer 31 is a first having a different magnetic moment per unit area. When forming the free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c as a so-called synthetic ferrifree type free magnetic layer laminated via a nonmagnetic intermediate layer 31b, the first free magnetic layer 31a and the nonmagnetic material layer 14 is different from the method of manufacturing the thin film magnetic element shown in FIG. The intermediate layer 91 is preferably formed of a CoFe alloy or a Co alloy. In particular, it is preferably formed of a CoFe alloy.
[0244]
By forming the intermediate layer 91, it is possible to prevent diffusion of a metal element or the like at the interface with the nonmagnetic material layer 14, and to improve the resistance change amount (ΔR) and the resistance change rate (ΔR / R). it can. The intermediate layer 91 is formed with about 5 mm.
[0245]
In particular, if the first free magnetic layer 31a in contact with the nonmagnetic material layer 14 is formed of a CoFeNi alloy having the above composition ratio, diffusion of the metal element between the nonmagnetic material layer 14 can be appropriately suppressed. The necessity of forming the CoFe alloy or the intermediate layer 91 made of Co between the layer 31a and the nonmagnetic material layer 14 is compared to the case where the first free magnetic layer 31a is formed of a magnetic material not containing Co such as a NiFe alloy. Few.
[0246]
However, even when the first free magnetic layer 31a is formed of a CoFeNi alloy, it is possible to provide the first free magnetic layer 31a and the nonmagnetic material layer 14 with the intermediate layer 91 made of a CoFe alloy or Co. This is preferable from the viewpoint of more reliably preventing the metal element from being diffused between the layer 31a and the nonmagnetic material layer.
[0247]
When the intermediate layer 91 is provided between the first free magnetic layer 31a and the nonmagnetic material layer 14 and at least one of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c is formed of a CoFeNi alloy, the FeFe of the CoFeNi alloy is used. It is preferable that the composition ratio is 7 atomic% or more and 15 atomic% or less, the Ni composition ratio is 5 atomic% or more and 15 atomic% or less, and the remaining composition ratio is Co.
[0248]
Thereby, the exchange coupling magnetic field in the RKKY interaction generated between the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c can be strengthened. Specifically, the magnetic field when the antiparallel state collapses, that is, the spin flop magnetic field (Hsf) can be increased to about 293 (kA / m).
[0249]
Therefore, the magnetizations at both end portions of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c located under the longitudinal bias layer 18 can be appropriately pinned in an antiparallel state, and the occurrence of side reading can be suppressed. it can.
[0250]
In the present invention, it is preferable that both the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are formed of the CoFeNi alloy. Thereby, a high spin-flop magnetic field can be obtained more stably.
[0251]
If the composition range is within the above range, the magnetostriction of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c is −3 × 10. -6 To 3 × 10 -6 The coercive force can be reduced to 790 (A / m) or less. Further, the soft magnetic characteristics of the free magnetic layer 24 can be improved.
[0252]
FIG. 12 is a cross-sectional view of the thin film magnetic element formed according to the eighth embodiment of the present invention as seen from the ABS side.
[0253]
The method of manufacturing this thin film magnetic element is almost the same as that of the sixth embodiment, and is different only in that the multilayer film A3 is formed by not stacking other antiferromagnetic layers.
[0254]
In the present embodiment, since the uppermost layer of the multilayer film A3 is the nonmagnetic layer 16, the surface of the nonmagnetic layer 16 is oxidized during the first magnetic field annealing. Therefore, before the longitudinal bias layer 18 is deposited, the oxidized portion is removed by scraping the surface of the nonmagnetic layer 16 by about 20 mm by ion milling or the like.
[0255]
Also in this embodiment, it becomes easy to fix the magnetization direction of the free magnetic layer 31 in a direction orthogonal to the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13, and the track width Tw of the thin film magnetic element can be accurately defined. Even if the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layer 18 are formed using the same antiferromagnetic material, the direction of the exchange anisotropy magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12 is the Y direction shown in the figure. The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layer 18 can be directed in the X direction in the figure while being directed.
[0256]
The thin film magnetic element shown in FIG. 12 has the same effects as the thin film magnetic element shown in FIG. There is an effect.
[0257]
When forming the thin film magnetic element according to the second to fifth embodiments, the free magnetic layer 15 may be formed as a synthetic ferrifree free magnetic layer.
[0258]
FIG. 13 is a cross-sectional view of a thin film magnetic element formed according to the ninth embodiment of the present invention as viewed from the ABS side.
[0259]
The difference from the first embodiment is that in FIG. 1, after the formation of the free magnetic layer 15, the nonmagnetic layer 16 and other antiferromagnetic layers 17 are not stacked, and the uppermost layer is the free magnetic layer 15. The only difference is that a multilayer film A4 is formed, this multilayer film A4 is annealed in a first magnetic field, and then a vertical bias layer is laminated on the multilayer film A4.
[0260]
In the present embodiment, since the uppermost layer of the multilayer film A4 is the free magnetic layer 15, the surface of the free magnetic layer 15 is oxidized when the multilayer film A4 is subjected to annealing in the first magnetic field. Therefore, before the longitudinal bias layer 18 is stacked, the oxidized portion is removed by scraping the surface of the free magnetic layer 15 by about 20 mm by ion milling or the like. Since the film thickness of the free magnetic layer 15 greatly affects the magnetoresistive effect, when the free magnetic layer 15 is first formed, the thickness of the final product is less than the thickness of the final product by ion milling. For example, it is preferable to form a thick film about 20 mm. Alternatively, before the vertical bias layer 18 is stacked, the free magnetic layer 15 may be formed again by the thickness removed by ion milling or the like, and then the vertical bias layer 18 may be continuously formed.
[0261]
In the thin film magnetic element of FIG. 13, the longitudinal bias layer 18 that is the second antiferromagnetic layer is laminated on the free magnetic layer 15, so that the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is different from that of the other antiferromagnetic layer 17. And in the X direction shown in the figure by exchange coupling with the longitudinal bias layer 18.
[0262]
In the present embodiment, when the thickness t6 of the region E of the vertical bias layer 18 positioned below the bottom surface 21b of the recess 21 is set to be greater than 0 and 30 mm or less, the vertical bias layer 18 positioned below the bottom surface 21b of the recess 21 is formed. In the region E, no irregular-order transformation occurs due to annealing in the second magnetic field, and no exchange coupling magnetic field is generated.
[0263]
That is, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is fixed by exchange coupling with the longitudinal bias layer 18 only at both ends D and D in the track width direction other than the region located below the bottom surface 21 b of the recess 21.
[0264]
A region E located below the bottom surface 21b of the concave portion 21 of the free magnetic layer 15 follows both ends D and D in which the magnetization direction is fixed by exchange coupling with the longitudinal bias layer 18 in a state where no external magnetic field is applied. When the external magnetic field is applied, the magnetization direction changes.
[0265]
Accordingly, the track width of the thin film magnetic element is determined by the width dimension Tw of the recess. As described above, in the present invention, the concave portion 21 is formed in a vertical direction with respect to the surface 11a of the substrate 11 by using a reactive ion etching (RIE) or ion milling. Since it can be formed only by shaving, the concave portion 21 can be formed with an accurate width dimension Tw. That is, the track width of the thin film magnetic element can be accurately defined.
[0266]
In the present embodiment, the multilayer film A4 is annealed in the first magnetic field so that the direction of the exchange anisotropic magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12 is in the Y direction in the figure, and then the longitudinal bias layer 18 is laminated. , Annealing in the second magnetic field in the X direction shown in the figure.
[0267]
The second heat treatment temperature in the second magnetic field annealing is set to a temperature lower than the blocking temperature at which the first antiferromagnetic layer 12 loses the exchange coupling magnetic field, and the magnitude of the second magnetic field is set to the first antiferromagnetic strength. Even if the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layer 18 are formed using antiferromagnetic materials having the same composition by making the magnetic field 12 smaller than the exchange anisotropic magnetic field, the first antiferromagnetic layer 12 The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layer 18 can be directed in the X direction while the direction of the exchange anisotropic magnetic field is directed in the Y direction in the figure.
[0268]
The thin film magnetic element shown in FIG. 13 is the same as the thin film magnetic element shown in FIG. 5 except for the spin filter effect produced by the thin film magnetic element formed by the first embodiment shown in FIG. The same effect can be achieved.
[0269]
When forming a thin film magnetic element according to the present embodiment, the free magnetic layer 15 may be formed as a synthetic ferrifree free magnetic layer.
[0270]
14 to 18 are cross-sectional views for explaining a method of manufacturing a thin film magnetic element according to the tenth embodiment of the invention.
[0271]
First, as shown in FIG. 14, the same multilayer film A as in FIG. 1 is formed on the substrate 11. In FIG. 14 to FIG. 18, only the uppermost antiferromagnetic layer 17 of the multilayer A is clearly shown for easy understanding of the drawings. 1, the first antiferromagnetic layer 12, the pinned magnetic layer 13, the nonmagnetic material layer 14, the free magnetic layer 15, and the nonmagnetic layer 16 are sequentially stacked from the substrate 11 side.
[0272]
The first antiferromagnetic layer 12, the pinned magnetic layer 13, the nonmagnetic material layer 14, the free magnetic layer 15, the nonmagnetic layer 16, and the other antiferromagnetic layer 17 are formed by a thin film formation process such as sputtering or vapor deposition. The
[0273]
Next, a lift-off resist layer 51 is formed on the multilayer film A. As shown in FIG. 15, the resist layer 51 has cut portions 51a and 51a formed on the lower surface thereof. A region having a track width Tw in the multilayer film A is completely covered with the resist layer 51.
[0274]
The multilayer film A in the state of FIG. 15 is annealed in the first magnetic field in the first heat treatment temperature and in the first magnitude magnetic field facing the Y direction, and the first antiferromagnetic layer 12 is exchange anisotropically A magnetic field is generated to fix the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13 in the Y direction shown in the figure. In the present embodiment, the first heat treatment temperature is 270 ° C., and the first magnitude of the magnetic field is 800 k (A / m).
[0275]
Here, the film thickness of the other antiferromagnetic layer 17 is 30 mm. If the thickness of the other antiferromagnetic layer 17 is 30 mm or less, even if the other antiferromagnetic layer 17 is annealed in a magnetic field, the transformation from the irregular structure to the ordered structure does not occur, and an exchange anisotropic magnetic field is generated. do not do. Therefore, when the multilayer film A is annealed in the first magnetic field, no exchange anisotropic magnetic field is generated in the other antiferromagnetic layers 17 and the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is fixed in the Y direction shown in the figure. Never happen.
[0276]
When the multilayer film A is annealed in the first magnetic field, the region of the other antiferromagnetic layer 17 that is not masked by the resist layer 51 is oxidized by about 10 to 20 mm from the surface. Therefore, as shown in FIG. 16, the surface of the other antiferromagnetic layer 17 in the state of the multilayer film A is shaved and oxidized by about 20 mm by ion milling incident on the surface of the other antiferromagnetic layer 17 from the vertical direction. Remove the part. Thus, in the present embodiment, since the other antiferromagnetic layer 16 is laminated on the uppermost layer of the multilayer film A, oxidation of the nonmagnetic layer 16 and the free magnetic layer 15 can be prevented.
[0277]
Further, longitudinal bias layers 41 and 41, which are second antiferromagnetic layers, and electrode layers 42 and 42 are formed on the multilayer film A by the process shown in FIG. In the present embodiment, the sputtering method used when forming the vertical bias layers 41 and 41 and the electrode layers 42 and 42 is an ion beam sputtering method, a long throw sputtering method, or a collimation sputtering method. Any one or more are preferable.
[0278]
As shown in FIG. 17, in the present embodiment, the substrate 11 on which the multilayer film A is formed is placed in a direction perpendicular to the target 52 formed with the composition of the longitudinal bias layers 41 and 41, thereby, for example, ion beam sputtering. By using this method, the longitudinal bias layers 41 and 41 are formed in a direction perpendicular to the multilayer film A.
[0279]
In the region covered with both ends of the resist layer 51, the sputtered particles are difficult to be stacked. Accordingly, in the vicinity of the region covered by both ends of the resist layer 51, the vertical bias layers 41 and 41 and the electrode layers 42 and 42 are formed thin, and the longitudinal bias layers 41 and 41 and the electrode layers 42 and 42 The dimension in the film thickness direction decreases in the track side portions Sb.
[0280]
As shown in FIG. 17, the layer 41 a having the same composition as the longitudinal bias layers 41 and 41 and the layers 42 a and 42 a having the same composition as the electrode layers 42 and 42 are also formed on the resist layer 51.
[0281]
The longitudinal bias layers 41 and 41 are made of a PtMn alloy or X-Mn (where X is Pd, Ir, Rh, Ru, Os, etc.), similarly to the first antiferromagnetic layer 12 and the other antiferromagnetic layers 17. An alloy of any one of Ni and Fe, or Pt-Mn-X '(where X' is Pd, Ir, Rh, Ru, Au, Ag, Os, Cr, Ni) , Ar, Ne, Xe, or Kr).
[0282]
The film thickness of both ends of the longitudinal bias layers 41, 41 is 80 to 300 mm, for example, 200 mm.
[0283]
The electrode layers 42 are formed using, for example, Au, W, Cr, Ta, or the like.
[0284]
The multilayer film B formed up to the electrode layers 42 and 42 is annealed in the second magnetic field in the second heat treatment temperature and the second magnitude magnetic field facing the X direction, and the longitudinal bias layers 41 and 41 Then, an exchange anisotropic magnetic field is generated to fix the magnetization direction of the free magnetic layer 15 in the X direction shown in the figure. In the present embodiment, the second heat treatment temperature is 250 ° C., and the second magnitude of the magnetic field is 24 k (A / m).
[0285]
In the present embodiment, the nonmagnetic layer 16 is laminated in contact with the upper surface of the free magnetic layer 15. At this time, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is aligned with the X direction in the drawing by RKKY coupling with the longitudinal bias layer 41 via the nonmagnetic layer 16.
[0286]
When the resist layer 51 is removed after the second heat treatment, a thin film magnetic element as shown in FIG. 18 can be obtained.
[0287]
The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layer 41 is generated only in the second magnetic field annealing step. Therefore, in order to direct the exchange anisotropy magnetic field of the longitudinal bias layer 41 in the X direction in the figure while keeping the direction of the exchange anisotropy magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12 in the Y direction in the figure, The heat treatment temperature is set to a temperature lower than the blocking temperature at which the first antiferromagnetic layer 12 loses the exchange coupling magnetic field, and the magnitude of the second magnetic field is smaller than the exchange anisotropic magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12. Just do it. Further, if the second annealing in a magnetic field is performed under these conditions, the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layer 41 may be formed using antiferromagnetic materials having the same composition. The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layer 41 can be directed in the X direction in the figure while the direction of the exchange anisotropic magnetic field of the layer 12 is directed in the Y direction in the figure.
[0288]
That is, in the present invention, it becomes easy to fix the magnetization direction of the free magnetic layer 15 in a direction orthogonal to the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13.
[0289]
As in the present embodiment, when the thickness t7 of the other antiferromagnetic layer 17 is set to be greater than 0 and 30 mm or less, in the region where the longitudinal bias layer 41 is not formed, the second magnetic field annealing causes irregularity. No regular transformation occurs and no exchange coupling magnetic field is generated.
[0290]
That is, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is fixed by RKKY coupling with the longitudinal bias layers 41 and 41 only at both ends in the track width direction where the longitudinal bias layers 41 and 41 overlap.
[0291]
The portion E of the free magnetic layer 15 that does not overlap the longitudinal bias layers 41, 41 is in the X direction shown in the figure along the both ends of which the magnetization direction is fixed by RKKY coupling with the longitudinal bias layer 41 in the state where no external magnetic field is applied. When the external magnetic field is applied, the magnetization direction changes. Therefore, the distance between the longitudinal bias layers 41 and 41 in the track width direction becomes the track width Tw of the thin film magnetic element.
[0292]
In the present embodiment, the electrode layers 42 and 42 are formed on the upper layers of the longitudinal bias layers 41 and 41 and then annealed in the second magnetic field. However, after the longitudinal bias layer 41 is stacked, the second magnetic field is deposited. After performing the middle annealing, the electrode layers 42 and 42 may be laminated on the vertical bias layers 41 and 41.
[0293]
In the present embodiment, the first antiferromagnetic layer 12 is directly laminated on the substrate 11, but the antiferromagnetic layer 12 is laminated on the substrate 11 via an underlayer made of an alumina layer, Ta, or the like. May be.
[0294]
The thin film magnetic element of FIG. 18 will be described.
When the longitudinal bias layers 41 and 41 are laminated on the upper layer of the multilayer film A via the nonmagnetic layer 16, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is aligned by the RKKY interaction with the longitudinal bias layers 41 and 41. The RKKY interaction acts only between the regions D and D of the magnetic layer located immediately below the antiferromagnetic layer (longitudinal bias layers 41 and 41) having an antiferromagnetic thickness and has antiferromagnetism. It does not act on the region E outside the thickness of the antiferromagnetic layer having a thickness.
[0295]
Accordingly, the area of the track width (optical track width) Tw set as the distance between the longitudinal bias layers 41 and 41 substantially contributes to the reproduction of the recording magnetic field and becomes a sensitivity area exhibiting the magnetoresistance effect. That is, the thin film magnetic element of the present embodiment has a hard bias system in which control of the magnetic track width is difficult because there is a dead area because the optical track width of the thin film magnetic element is equal to the magnetic track width. In comparison, it becomes easier to cope with the higher recording density of the recording medium.
[0296]
In addition, since no insensitive area is generated in the area of the track width (optical track width) Tw set at the time of forming the thin film magnetic element, the optical track width Tw of the thin film magnetic element is reduced in order to cope with higher recording density. In this case, it is possible to suppress a decrease in reproduction output.
[0297]
However, in this embodiment, the film thickness direction dimensions of the longitudinal bias layers 41 and 41 are reduced in the track side portions Sb. For this reason, the effect of exchange coupling between the free magnetic layer 15 and the longitudinal bias layer 41 in the track side portions Sb is reduced. As a result, the magnetization direction of the track side portions Sb of the free magnetic layer 15 in FIG. 18 is not completely fixed in the X direction and changes when an external magnetic field is applied.
[0298]
In particular, when narrowing the track in order to improve the recording density in the magnetic recording medium, not only the information on the magnetic recording track that should be read within the area of the track width Tw but also the information on the adjacent magnetic recording track, There is a possibility that side reading occurs in the area of the track side portions Sb.
[0299]
Furthermore, in the present invention, the side end surfaces S, S of the multilayer film of the thin film magnetic element can be formed so as to be perpendicular to the substrate surface, so that variation in the length of the free magnetic layer 15 in the width direction is suppressed. be able to.
[0300]
Further, as in the present embodiment, when the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is aligned by the RKKY interaction with the longitudinal bias layers 41 and 41, the longitudinal bias layers 41 and 41 and the free magnetic layer 15 are directly connected. The exchange coupling force can be made stronger than that in contact.
[0301]
When the nonmagnetic layer 16 is formed of a conductive material as in the present embodiment, the nonmagnetic layer 16 can function as a backed layer having a spin filter effect.
[0302]
When a back layer (nonmagnetic layer 16) having a spin filter effect is provided in contact with the free magnetic layer 15, the center height position in which the sense current flows in the stacked body is positioned more than the back layer without the back layer. Can be moved to the side. That is, the position of the center height of the sense current is separated from the free magnetic layer 15, the intensity of the sense current magnetic field at the position of the free magnetic layer 15 is reduced, and the influence of the sense current magnetic field on the fluctuation magnetic field of the free magnetic layer 15 is reduced. . Therefore, asymmetry can be reduced.
[0303]
Further, in the present embodiment, the other antiferromagnetic layer 17 is formed as a single layer film or a multilayer film of a semimetal Whistler alloy such as NiMnSb, PtMnSb, for example, so that the other antiferromagnetic layer 17 is a specular reflection layer. Can function as.
[0304]
The other antiferromagnetic layer 17 which is a specular reflection layer forms a potential barrier at the interface with the nonmagnetic layer 16, and conducts up-spin conduction electrons moving through the free magnetic layer 15 and the nonmagnetic layer 16. The state can be reflected while the state is preserved, and the mean free path of up-spin conduction electrons can be further extended. That is, a so-called specular reflection effect can be realized, and the difference in the mean free path of up-spin conduction electrons and the mean free path of down-spin conduction electrons can be further increased.
[0305]
That is, the mean free path of the entire conduction electrons can be greatly changed by the action of the external magnetic field, and the magnetoresistance change rate (ΔR / R) of the spin valve thin film magnetic element can be increased.
[0306]
Expansion of the mean free path difference between the up-spin conduction electrons and the down-spin conduction electrons due to the spin filter effect and the specular reflection effect is more effective when the film thickness of the free magnetic layer 15 is relatively thin.
[0307]
If the thickness of the free magnetic layer 15 is less than 15 mm, it is difficult to form the free magnetic layer 15 so as to function as a ferromagnetic material layer, and a sufficient magnetoresistance effect cannot be obtained.
[0308]
Also, if the thickness of the free magnetic layer 15 is greater than 45 mm, the up-spin conduction electrons that are scattered before reaching the other antiferromagnetic layer 17 (specular reflection layer) increase, resulting in a specular effect. ) Is not preferable because the rate of change in the resistance change rate decreases.
[0309]
In FIG. 18, a single pinned magnetic layer 13 is formed by laminating a first pinned magnetic layer 13a and a second pinned magnetic layer 13c having different magnetic moments per unit area via a nonmagnetic intermediate layer 13b. Function.
[0310]
The first pinned magnetic layer 13a is formed in contact with the antiferromagnetic layer 12, and is subjected to annealing in a magnetic field, so that an exchange difference due to exchange coupling occurs at the interface between the first pinned magnetic layer 13a and the antiferromagnetic layer 12. A isotropic magnetic field is generated, and the magnetization direction of the first pinned magnetic layer 13a is pinned in the Y direction in the figure. When the magnetization direction of the first pinned magnetic layer 13a is pinned in the Y direction in the figure, the magnetization direction of the second pinned magnetic layer 13c opposed via the nonmagnetic intermediate layer 13b is the same as the magnetization direction of the first pinned magnetic layer 13a. Fixed in anti-parallel state.
[0311]
The direction of the combined magnetic moment per unit area obtained by adding the magnetic moment per unit area of the first pinned magnetic layer 13 a and the magnetic moment per unit area of the second pinned magnetic layer 13 c is the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13. It becomes.
[0312]
Thus, the magnetization directions of the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are in an antiparallel ferrimagnetic state, and the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are mutually connected. Since the other magnetization direction is fixed, it is preferable because the magnetization direction of the fixed magnetic layer 13 can be stabilized in a certain direction as a whole.
[0313]
In FIG. 18, the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are formed using the same material, and the film thicknesses of the respective layers are made different so that the magnetic moments per unit area are made different. Yes.
[0314]
The first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are formed of a ferromagnetic material, for example, NiFe alloy, Co, CoNiFe alloy, CoFe alloy, CoNi alloy, etc. It is preferably formed of an alloy or Co. Further, the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are preferably formed of the same material.
[0315]
The nonmagnetic intermediate layer 13b is formed of a nonmagnetic material, and is formed of one kind of Ru, Rh, Ir, Cr, Re, or Cu or an alloy of two or more kinds thereof. In particular, it is preferably formed of Ru.
[0316]
When the pinned magnetic layer 13 is formed by laminating the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c above and below the nonmagnetic intermediate layer 13b, the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c are formed. However, the magnetization directions of the pinned magnetic layer 13 as a whole can be strongly fixed in a fixed direction. That is, the exchange coupling magnetic field Hex between the second antiferromagnetic layer 12 and the pinned magnetic layer 13 can be obtained as a large value, for example, 80 to 160 kA / m. Therefore, the second magnetic field for directing the magnetization direction of the longitudinal bias layer 18 in the track width direction after annealing in the first magnetic field for directing the magnetization direction of the second antiferromagnetic layer 12 in the height direction. By the middle annealing, the longitudinal bias magnetic field by the longitudinal bias layer 18 can be increased while preventing the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13 from being tilted and pinned in the track width direction.
[0317]
In the present embodiment, the demagnetizing field (dipole magnetic field) caused by the fixed magnetization of the pinned magnetic layer 13 is canceled by the mutual static magnetic field coupling of the first pinned magnetic layer 13a and the second pinned magnetic layer 13c canceling each other. Can be canceled. Thereby, the contribution to the variable magnetization of the free magnetic layer 15 from the demagnetizing field (dipole magnetic field) due to the fixed magnetization of the fixed magnetic layer 13 can be reduced.
[0318]
Therefore, it becomes easier to correct the direction of the variable magnetization of the free magnetic layer 15 to a desired direction, and it is possible to obtain a spin valve thin film magnetic element with small asymmetry and excellent symmetry.
[0319]
Further, the demagnetizing field (dipole magnetic field) Hd due to the fixed magnetization of the fixed magnetic layer 13 has a non-uniform distribution that is large at the end and small at the center in the element height direction. Although the magnetic domain formation may be hindered, the dipole magnetic field Hd can be made substantially Hd = 0 by making the pinned magnetic layer 13 have the above-described laminated structure, thereby forming a domain wall in the free magnetic layer 15. It is possible to prevent the occurrence of non-uniform magnetization and Barkhausen noise.
[0320]
FIG. 19 is a cross-sectional view of the thin film magnetic element formed according to the eleventh embodiment of the present invention, as viewed from the ABS side.
[0321]
The method of manufacturing this thin film magnetic element is almost the same as that of the tenth embodiment shown in FIGS.
[0322]
A different point from the first embodiment is that the nonmagnetic layer 16 is not laminated after the formation of the free magnetic layer 15, and the multilayer film A 1 in which another antiferromagnetic layer 17 is laminated directly on the free magnetic layer 15. The multilayer film A1 is annealed in the first magnetic field, and then a longitudinal bias layer is laminated on the multilayer film A1.
[0323]
In the thin film magnetic element of FIG. 19, the other magnetic layer 17 and the longitudinal bias layers 41 and 41 as the second antiferromagnetic layer are stacked on the free magnetic layer 15. The direction is aligned in the X direction in the drawing by exchange coupling with the other antiferromagnetic layer 17 and the longitudinal bias layers 41 and 41.
[0324]
In the present embodiment, when the thickness t8 of the other antiferromagnetic layer 17 is set to be greater than 0 and 30 mm or less, in the region E where the longitudinal bias layers 41 and 41 do not overlap with each other, irregular-regularity is caused by the second annealing in the magnetic field. No transformation occurs and no exchange coupling magnetic field is generated.
[0325]
That is, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is fixed by antiferromagnetic coupling with the longitudinal bias layers 41 and 41 only at both ends D and D in the track width direction where the longitudinal bias layers 41 and 41 overlap.
[0326]
The region E of the free magnetic layer 15 where the longitudinal bias layers 41 and 41 do not overlap is located at both ends D and D whose magnetization directions are fixed by exchange coupling with the longitudinal bias layers 41 and 41 in a state where no external magnetic field is applied. Accordingly, they are aligned in the X direction shown in the figure, and their magnetization direction changes when an external magnetic field is applied. Therefore, the distance between the longitudinal bias layers 41 and 41 in the track width direction becomes the track width Tw of the thin film magnetic element.
[0327]
Even in the manufacturing method in which another antiferromagnetic layer 17 is stacked without stacking the nonmagnetic layer 16 after the free magnetic layer 15 is formed, the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is changed as in the tenth embodiment. It becomes easy to fix in the direction orthogonal to the magnetization direction of the fixed magnetic layer 13.
[0328]
However, in this embodiment, the film thickness direction dimensions of the longitudinal bias layers 41 and 41 are reduced in the track side portions Sb. For this reason, the effect of exchange coupling between the free magnetic layer 15 and the longitudinal bias layer 41 in the track side portions Sb is reduced. As a result, the magnetization direction of the track side portions Sb of the free magnetic layer 15 in FIG. 19 is not completely fixed in the X direction and changes when an external magnetic field is applied.
[0329]
In particular, when narrowing the track in order to improve the recording density in the magnetic recording medium, not only the information on the magnetic recording track that should be read within the area of the track width Tw but also the information on the adjacent magnetic recording track, There is a possibility that side reading occurs in the area of the track side portions Sb.
[0330]
In addition, even if the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layers 41 and 41 are formed using antiferromagnetic materials having the same composition, the direction of the exchange anisotropic magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12 is shown in the figure Y The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layers 41 and 41 can be directed in the X direction in the figure while being oriented in the direction.
[0331]
The thin film magnetic element shown in FIG. 19 is the same as the thin film magnetic element shown in FIG. 18 except for the spin filter effect produced by the thin film magnetic element formed by the tenth embodiment shown in FIG. The same effect can be achieved.
[0332]
FIG. 20 is a cross-sectional view of the thin film magnetic element formed according to the twelfth embodiment of the present invention, as viewed from the ABS side.
[0333]
The method of manufacturing this thin film magnetic element is almost the same as that of the tenth embodiment shown in FIGS. 14 to 18. In FIG. 14, the free magnetic layer 31 has a magnetic moment per unit area. The first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c, which are different from each other, are formed as a so-called synthetic ferri-free type free magnetic layer laminated through a non-magnetic intermediate layer 31b, and the multilayer film A3 is formed as another antireflection film. The only difference is that the ferromagnetic layer is not laminated.
[0334]
In the present embodiment, since the uppermost layer of the multilayer film A3 is the nonmagnetic layer 16, the surface of the nonmagnetic layer 16 is oxidized during the first magnetic field annealing. Therefore, before the longitudinal bias layer 41 is laminated, the oxidized portion is removed by cutting the surface of the nonmagnetic layer 16 by about 20 mm by ion milling or the like.
[0335]
The first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are formed of a ferromagnetic material, for example, NiFe alloy, Co, CoNiFe alloy, CoFe alloy, CoNi alloy, etc. It is preferable to form with an alloy.
[0336]
The nonmagnetic intermediate layer 31b is made of a nonmagnetic material, and is made of one or more alloys of Ru, Rh, Ir, Cr, Re, and Cu. In particular, it is preferably formed of Ru.
[0337]
A diffusion prevention layer made of Co or the like may be formed between the first free magnetic layer 31a and the nonmagnetic material layer. This diffusion prevention layer prevents mutual diffusion of the first free magnetic layer 31a and the nonmagnetic material layer.
[0338]
The first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are formed so as to have different magnetic moments per unit area. The magnetic moment per unit area is represented by the product of saturation magnetization (Ms) and film thickness (t). Therefore, for example, the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are formed using the same material, and the thicknesses of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are made different. 2 The magnetic moment per unit area of the free magnetic layer 31c can be varied.
[0339]
When a diffusion prevention layer made of Co or the like is formed between the first free magnetic layer 31a and the nonmagnetic material layer 14, the magnetic moment per unit area of the first free magnetic layer 31a and the diffusion prevention It is preferable to make the sum of the magnetic moment per unit area of the layer different from the magnetic moment per unit area of the second free magnetic layer 31c.
[0340]
The thickness tf2 of the second free magnetic layer 31c is preferably in the range of 0.5 to 2.5 nm. The thickness tf1 of the first free magnetic layer 31a is preferably in the range of 2.5 to 4.5 nm. The thickness tf1 of the first free magnetic layer 31a is more preferably in the range of 3.0 to 4.0 nm, and still more preferably in the range of 3.5 to 4.0 nm. If the thickness tf1 of the first free magnetic layer 31a is out of the above range, it is not preferable because the rate of change in magnetoresistance of the spin valve thin film magnetic element cannot be increased.
[0341]
In FIG. 20, a structure in which a first free magnetic layer 31a and a second free magnetic layer 31c having different magnetic moments per unit area are stacked via a nonmagnetic intermediate layer 31b functions as one free magnetic layer 31. .
[0342]
The magnetization directions of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c are in an antiparallel ferrimagnetic state different by 180 degrees. At this time, the magnetic moment per unit area is larger, for example, the magnetization direction of the first free magnetic layer 31a is directed to the direction of the magnetic field generated from the longitudinal bias layers 41, 41, and the magnetization of the second free magnetic layer 31c. The direction is in the opposite direction by 180 degrees.
[0343]
When the anti-parallel ferrimagnetic state in which the magnetization directions of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c differ by 180 degrees is obtained, an effect equivalent to that of reducing the film thickness of the free magnetic layer 31 is obtained, and saturation magnetization is obtained. Becomes smaller, the magnetization of the free magnetic layer 31 is likely to fluctuate, and the magnetic field detection sensitivity of the magnetoresistive element is improved.
[0344]
The direction of the magnetic moment per unit area obtained by adding the magnetic moment per unit area of the first free magnetic layer 31 a and the magnetic moment per unit area of the second free magnetic layer 31 c is the magnetization direction of the free magnetic layer 31. Become.
[0345]
However, only the magnetization direction of the first free magnetic layer 31 a contributes to the output in relation to the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13.
[0346]
Further, if the relationship between the magnetic film thicknesses of the first free magnetic layer and the second free magnetic layer is different, the spin flop magnetic field of the free magnetic layer 31 can be increased.
[0347]
Also in this embodiment, the track width Tw of the thin film magnetic element can be accurately defined. In addition, even if the first antiferromagnetic layer 12 and the longitudinal bias layers 41 and 41 are formed using antiferromagnetic materials having the same composition, the direction of the exchange anisotropic magnetic field of the first antiferromagnetic layer 12 is shown in the figure Y The exchange anisotropic magnetic field of the longitudinal bias layers 41 and 41 can be directed in the X direction in the figure while being oriented in the direction.
[0348]
The thin film magnetic element shown in FIG. 20 is equivalent to the thin film magnetic element shown in FIG. 18 with respect to other effects achieved by the thin film magnetic element formed by the tenth embodiment shown in FIG. There is an effect.
[0349]
When forming the thin film magnetic element according to the tenth and eleventh embodiments, the free magnetic layer 15 may be formed as a synthetic ferrifree free magnetic layer.
[0350]
For example, resist layers 53 and 53 are formed on the electrode layers 42 and 42 of the thin film magnetic element shown in FIG. 18 as shown in FIG. 21, and regions sandwiched between the resist layers 53 and 53 as shown in FIG. When the resist layers 53 and 53 are removed after the other antiferromagnetic layer 17 is removed by ion milling or RIE, as shown in FIG. 23, side surfaces 41b and 41b on both sides of the track of the longitudinal bias layers 41 and 41 are obtained. Becomes a surface perpendicular to the surface 11 a of the substrate 11. Therefore, in the region where the free magnetic layer 15 and the longitudinal bias layers 41 and 41 overlap, the effect of exchange coupling between the free magnetic layer 15 and the longitudinal bias layers 41 and 41 is uniform. That is, Tw can be accurately defined for the track width of the thin film magnetic element.
[0351]
24 to 28 are sectional views showing a fourteenth embodiment of the present invention.
FIG. 24 shows the multilayer film shown in FIG. 1 in the first embodiment of the present invention, that is, the first antiferromagnetic layer 12, the first pinned magnetic layer 13a, the nonmagnetic intermediate layer 13b, the first layer on the substrate 11. 2 on the multilayer film A in which the synthetic ferri-pinned pinned magnetic layer 13 comprising the pinned magnetic layer 13c, the nonmagnetic material layer 14, the free magnetic layer 15, the nonmagnetic layer 16 and the other antiferromagnetic layer 17 are laminated. The vertical bias layer 18 which is a 2nd antiferromagnetic layer is laminated | stacked.
[0352]
After the multilayer film A is formed and before the vertical bias layer 18 is stacked, the multilayer film A is annealed in the first magnetic field in the first heat treatment temperature and in the first magnitude magnetic field facing the Y direction. Then, an exchange anisotropic magnetic field is generated in the first antiferromagnetic layer 12 to fix the magnetization direction of the pinned magnetic layer 13 in the Y direction shown in the figure. In the present embodiment, the first heat treatment temperature is 270 ° C., and the first magnitude of the magnetic field is 800 k (A / m).
[0353]
Here, the film thickness of the other antiferromagnetic layer 17 is 30 mm. If the thickness of the other antiferromagnetic layer 17 is 30 mm or less, even if the other antiferromagnetic layer 17 is annealed in a magnetic field, the transformation from the irregular structure to the ordered structure does not occur, and an exchange anisotropic magnetic field is generated. do not do. Therefore, when the multilayer film A is annealed in the first magnetic field, no exchange anisotropic magnetic field is generated in the other antiferromagnetic layers 17 and the magnetization direction of the free magnetic layer 15 is fixed in the Y direction shown in the figure. Never happen.
[0354]
When the multilayer film A is subjected to annealing in the first magnetic field, the other antiferromagnetic layer 17 is oxidized by about 10 to 20 mm from its surface. Therefore, the surface of the other antiferromagnetic layer 17 in the state of the multilayer film A is scraped by about 20 mm by ion milling to remove the oxidized portion. After the surface of the antiferromagnetic layer 17 is shaved, the longitudinal bias layer 18 is formed.
[0355]
Next, as shown in FIG. 25, a lift-off resist 61 is stacked on the surface of the vertical bias layer 18 to cover a region slightly wider than the track width. The resist layer 61 has cut portions 61a and 61a formed on the lower surface thereof.
[0356]
Further, electrode layers 71 are formed on the vertical bias layer 18 by the process shown in FIG. In the present embodiment, it is preferable that the sputtering method used when forming the electrode layers 71 and 71 is at least one of an ion beam sputtering method, a long throw sputtering method, and a collimation sputtering method.
[0357]
In the present embodiment, the substrate 11 on which the multilayer film A is formed is placed in a direction perpendicular to the target formed by the composition of the electrode layers 71 and 71, thereby using the ion beam sputtering method, for example. Electrode layers 71 and 71 are formed from a direction perpendicular to the film A.
[0358]
In the region covered with both end portions of the resist layer 61, the sputtered particles are difficult to be stacked. Accordingly, in the vicinity of the region covered by the both ends of the resist layer 61, the electrode layers 71 and 71 are formed thin, and the inclined surfaces 71a and 71a are formed on the electrode layers 71 and 71, respectively. The electrode layers 71 and 71 are formed using, for example, Au, W, Cr, Ta, or the like. Note that a layer 71 b having the same composition as the electrode layers 71 and 71 is formed on the resist layer 61. When the resist layer 61 is removed after the electrode layers 71 are formed, the state shown in FIG. 27 is obtained.
[0359]
Further, as shown in FIG. 28, using the electrode layers 71 and 71 as a mask, the portions of the longitudinal bias layer 18 that are not covered with the electrode layers 71 and 71 are shaved by ion milling or reactive ion etching (RIE). As a result, the recess 81 is formed. The side surfaces 81 a and 81 a of the recess 81 are inclined surfaces including the inclined surfaces 71 a and 71 a of the electrode layers 71 and 71. In FIG. 28, the recess 81 is formed so that the bottom surface 81 b of the recess 81 is located in the vertical bias layer 18.
[0360]
At this time, the total thickness t9 of the region of the longitudinal bias layer 18 located below the bottom surface 81b of the recess 81 and the thickness of the other antiferromagnetic layer 17 is set to be greater than 0 and 30 mm or less.
[0361]
After the formation of the recess 81, the multilayer film B4 formed up to the electrode layers 71 and 71 is annealed in the second magnetic field in the second heat treatment temperature and in the second magnitude magnetic field facing the X direction. An exchange anisotropic magnetic field is generated in the bias layer 18 to fix the magnetization direction of the free magnetic layer 15 in the X direction shown in the figure. In the present embodiment, the second heat treatment temperature is 250 ° C., and the second magnitude of the magnetic field is 24 k (A / m).
[0362]
In the present embodiment, the width dimension of the bottom surface 81b of the recess 81 defines the track width Tw. The width dimension of the bottom surface 81b of the recess 81 can be defined by adjusting the dimension of the resist 61 in the process shown in FIG. 25 and adjusting the depth dimension of the recess 81 in the process of FIG.
[0363]
In the step shown in FIG. 28, the recess 81 may be formed so that the bottom surface 81 b of the recess 81 is located in the other antiferromagnetic layer 17. Alternatively, the recess 81 may be formed so that the bottom surface 81 b of the recess 81 is located in the nonmagnetic layer 16.
[0364]
24, the longitudinal bias layer 18 may be laminated on the multilayer film A1 shown in FIGS. 8 and 9 instead of the multilayer film A. Alternatively, instead of the multilayer film A, the longitudinal bias layer 18 is laminated on one of the multilayer film A2 shown in FIG. 10, the multilayer film A3 shown in FIG. 12, and the multilayer film A4 shown in FIG. Also good. In these cases, the bottom surface 81 b of the recess 81 can be located in any one of the longitudinal bias layer 18, the other antiferromagnetic layer 17, and the nonmagnetic layer 16.
[0365]
In the first to fourteenth embodiments, the pinned magnetic layer 13 may be formed as a single ferromagnetic material layer.
[0366]
Also, in the method of manufacturing a thin film magnetic element shown in FIG. 12 or 20, at least one of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c is represented by a composition formula CoFeNi, and the composition ratio of Fe is It is preferably formed of a magnetic material having a composition of 9 atomic% or more and 17 atomic% or less, a Ni composition ratio of 0.5 atomic% or more and 10 atomic% or less, and the remaining composition being Co.
[0367]
Thereby, the exchange coupling magnetic field in the RKKY interaction generated between the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c can be strengthened. Specifically, the magnetic field when the antiparallel state collapses, that is, the spin flop magnetic field (Hsf) can be increased to about 293 (kA / m).
[0368]
If the composition range is within the above range, the magnetostriction of the first free magnetic layer 31a and the second free magnetic layer 31c is −3 × 10. -6 To 3 × 10 -6 The coercive force can be reduced to 790 (A / m) or less.
[0369]
Furthermore, it is possible to appropriately improve the soft magnetic characteristics of the free magnetic layer 31 and appropriately suppress the resistance change amount (ΔR) and the resistance change rate (ΔR / R) due to the diffusion of Ni between the nonmagnetic material layers 14. Is possible.
[0370]
Further, an intermediate layer 91 formed of a CoFe alloy or a Co alloy may be provided between the first free magnetic layer 31a and the nonmagnetic material layer 14.
[0371]
When the intermediate layer 91 is provided, the composition ratio of Fe of the CoFeNi alloy is 7 atomic% or more and 15 atomic% or less, the composition ratio of Ni is 5 atomic% or more and 15 atomic% or less, and the remaining composition ratio is Co is preferred.
[0372]
Further, in the method of manufacturing the thin film magnetic element shown in FIGS. 5 to 9, 13, 18, and 19, the free magnetic layer 15 is formed as a synthetic ferrifree free magnetic layer, and the first free magnetic layer is formed. At least one of the layer and the second free magnetic layer has a composition formula of CoFeNi, the Fe composition ratio is 9 atomic% or more and 17 atomic% or less, and the Ni composition ratio is 0.5 atomic% or more and 10 atoms. % Or less, and the remaining composition may be made of a magnetic material that is Co.
[0373]
When an intermediate layer formed of a CoFe alloy or a Co alloy is provided between the first free magnetic layer and the nonmagnetic material layer 14, the Fe composition ratio of the CoFeNi alloy is set to 7 atomic% or more. Preferably, the composition ratio of Ni is 15 atomic% or less, the Ni composition ratio is 5 atomic% or more and 15 atomic% or less, and the remaining composition ratio is Co.
[0374]
When the magnetic head is formed using the thin film magnetic element shown in FIGS. 5 to 13 and 18 to 20 and the thin film magnetic element shown in FIG. 28, the substrate 11 and the second antiferromagnetic layer 12 are used. A base layer made of an insulating material such as alumina, a lower shield layer made of a magnetic alloy stacked on the base layer, and a lower gap layer made of an insulating material stacked on the lower shield are formed between Is done. A thin film magnetic element is laminated on the lower gap layer. On the thin film magnetic element, an upper gap layer made of an insulating material and an upper shield layer made of a magnetic alloy laminated on the upper gap layer are formed. Further, an inductive element for writing may be laminated on the upper shield layer.
[0375]
【The invention's effect】
In the present invention, the multilayer film is subjected to annealing in a first magnetic field in a state where a second antiferromagnetic layer is not laminated on the multilayer film including the first antiferromagnetic layer and the pinned magnetic layer, and the pinned magnetic layer is subjected to annealing. The magnetization direction of the layer is fixed in a predetermined direction. Thereafter, since the second antiferromagnetic layer is laminated on the multilayer film, no exchange anisotropic magnetic field is generated in the second antiferromagnetic layer immediately after the film formation.
[0376]
Since the exchange anisotropy magnetic field of the second antiferromagnetic layer is generated only in the second magnetic field annealing, it is easy to move the magnetization direction of the free magnetic layer in a predetermined direction. Therefore, the second heat treatment temperature is set to a temperature lower than the blocking temperature at which the first antiferromagnetic layer loses the exchange coupling magnetic field, or the magnitude of the second magnetic field is changed to the anisotropic exchange of the first antiferromagnetic layer. By making it smaller than the magnetic field, it becomes easy to fix the magnetization direction of the free magnetic layer in a direction orthogonal to the magnetization direction of the pinned magnetic layer.
[0377]
In particular, even when the first antiferromagnetic layer and the second antiferromagnetic layer are formed of the same antiferromagnetic material, the magnetization direction of the free magnetic layer is perpendicular to the magnetization direction of the pinned magnetic layer. Can be fixed easily.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view showing one step of a method for manufacturing a thin film magnetic element according to a first embodiment of the invention;
FIG. 2 is a cross-sectional view showing the next step of FIG. 1 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the present invention;
FIG. 3 is a cross-sectional view showing the next step of FIG. 2 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the present invention;
4 is a cross-sectional view showing the next step of FIG. 3 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the present invention;
FIG. 5 is a cross-sectional view of the thin film magnetic element formed according to the first embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 6 is a cross-sectional view of a thin film magnetic element formed according to a second embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 7 is a cross-sectional view of a thin film magnetic element formed according to a third embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 8 is a cross-sectional view of a thin film magnetic element formed according to a fourth embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 9 is a cross-sectional view of a thin film magnetic element formed according to a fifth embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 10 is a cross-sectional view of a thin film magnetic element formed according to a sixth embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 11 is a cross-sectional view of a thin film magnetic element formed according to a seventh embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 12 is a sectional view of a thin film magnetic element formed according to an eighth embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 13 is a cross-sectional view of a thin film magnetic element formed according to a ninth embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 14 is a cross-sectional view showing a step of the method for manufacturing a thin film magnetic element according to the tenth embodiment of the invention;
FIG. 15 is a cross-sectional view showing the next step of FIG. 14 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the invention;
FIG. 16 is a cross-sectional view showing the next step of FIG. 15 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the invention;
FIG. 17 is a cross-sectional view showing the next step of FIG. 16 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the invention;
FIG. 18 is a cross-sectional view of a thin film magnetic element formed according to a tenth embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 19 is a cross-sectional view of a thin film magnetic element formed according to an eleventh embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 20 is a cross-sectional view of a thin film magnetic element formed according to a twelfth embodiment of the present invention when viewed from the ABS side;
FIG. 21 is a cross-sectional view showing one step of a method for manufacturing a thin film magnetic element according to a thirteenth embodiment of the invention;
22 is a sectional view showing the next step of FIG. 21 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the invention,
FIG. 23 is a cross-sectional view showing the next step of FIG. 22 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the invention;
FIG. 24 is a cross-sectional view showing a step of the method for manufacturing a thin film magnetic element according to the fourteenth embodiment of the invention;
25 is a cross-sectional view showing the next step of FIG. 24 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the invention,
FIG. 26 is a cross-sectional view showing the next step of FIG. 25 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the invention;
27 is a cross-sectional view showing the next step of FIG. 26 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the invention,
28 is a cross-sectional view showing the next step of FIG. 27 in the method for manufacturing a thin film magnetic element of the invention,
FIG. 29 is a conceptual diagram of a hysteresis loop of a synthetic ferrifree free magnetic layer;
FIG. 30 is a schematic explanatory diagram for explaining a spin filter effect by a backed layer;
FIG. 31 is a schematic explanatory diagram for explaining a spin filter effect by a backed layer;
FIG. 32 is a schematic explanatory diagram for explaining the specular reflection effect by the specular reflection layer;
FIG. 33 is a schematic explanatory diagram for explaining the specular reflection effect by the specular reflection layer;
FIG. 34 is a sectional view of a conventional thin film magnetic element;
[Explanation of symbols]
11 Substrate
12 First antiferromagnetic layer
13 Fixed magnetic layer
13a First pinned magnetic layer
13b Nonmagnetic intermediate layer
13c Second pinned magnetic layer
14 Nonmagnetic material layer
15, 31 Free magnetic layer
16 Nonmagnetic layer
31a First free magnetic layer
31b Nonmagnetic intermediate layer
31c Second free magnetic layer
17 Other antiferromagnetic layers
18, 41 Longitudinal bias layer
19, 42 Electrode layer

Claims (33)

(a)基板上に、基板側から第1反強磁性層、固定磁性層、非磁性材料層、フリー磁性層の順に積層した多層膜を成膜する工程と、
(b)前記多層膜を、第1の熱処理温度、第1の大きさの磁界中で、磁場中アニールして前記固定磁性層の磁化方向を所定の方向に固定する工程と、
(c)前記多層膜上に第2反強磁性層を成膜する工程と、
(d)前記第2反強磁性層が積層された多層膜を、第2の熱処理温度、第2の大きさの磁界中で磁場中アニールすることにより、前記フリー磁性層の両端部の磁化方向を前記固定磁性層の磁化方向と直交する方向に固定する工程、
を有することを特徴とする薄膜磁気素子の製造方法。
(A) forming a multilayer film in which a first antiferromagnetic layer, a pinned magnetic layer, a nonmagnetic material layer, and a free magnetic layer are stacked in this order from the substrate side on the substrate ;
(B) fixing the magnetization direction of the fixed magnetic layer in a predetermined direction by annealing the multilayer film in a magnetic field having a first heat treatment temperature and a first magnitude;
(C) forming a second antiferromagnetic layer on the multilayer film;
(D) The magnetization direction of both ends of the free magnetic layer is obtained by annealing the multilayer film in which the second antiferromagnetic layer is laminated in a magnetic field having a second heat treatment temperature and a second magnitude. Fixing in a direction perpendicular to the magnetization direction of the pinned magnetic layer,
A method of manufacturing a thin film magnetic element, comprising:
前記(d)の工程において、第2の熱処理温度を第1反強磁性層のブロッキング温度より低い温度に設定する請求項1に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  2. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 1, wherein in the step (d), the second heat treatment temperature is set to a temperature lower than the blocking temperature of the first antiferromagnetic layer. 前記(d)の工程において、第2の磁界の大きさを第1反強磁性層の交換異方性磁界より小さくする請求項1または2に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  3. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 1, wherein in the step (d), the magnitude of the second magnetic field is made smaller than the exchange anisotropic magnetic field of the first antiferromagnetic layer. 前記(a)の工程において、前記多層膜の最上層に他の反強磁性層を積層する工程を有する請求項1ないし3のいずれかに記載の薄膜磁気素子の製造方法。  4. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 1, wherein the step (a) includes a step of stacking another antiferromagnetic layer on the uppermost layer of the multilayer film. 前記他の反強磁性層が、伝導電子の平均自由行程を鏡面反射効果により延長する鏡面反射層である請求項4に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  5. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 4, wherein the other antiferromagnetic layer is a specular reflection layer that extends a mean free path of conduction electrons by a specular reflection effect. 前記鏡面反射層を伝導電子のスピン状態を保存する鏡面反射を生じる確率の高いエネルギーギャップを形成可能な材料で構成する請求項5に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  6. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 5, wherein the specular reflection layer is made of a material capable of forming an energy gap with a high probability of causing specular reflection that preserves the spin state of conduction electrons. 前記鏡面反射層を半金属ホイッスラー合金によって構成する請求項6に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 6, wherein the specular reflection layer is made of a semi-metallic Whistler alloy. 前記半金属ホイッスラー合金を、NiMnSb,PtMnSbのいれか一つ以上の単層膜または多層膜によって構成する請求項7に記載の薄膜磁気素子の製造方法。Wherein the metalloid whistler alloys, NiMnSb, method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 7, constituted by PtMnSb Neu not Re one or more single-layer film or a multilayer film. 前記他の反強磁性層の厚さを0より大きく30Å以下とする請求項4ないし8のいずれかに記載の薄膜磁気素子の製造方法。  9. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 4, wherein the thickness of the other antiferromagnetic layer is greater than 0 and 30 mm or less. 前記他の反強磁性層の厚さを10Å以上30Å以下とする請求項9に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 9, wherein the thickness of the other antiferromagnetic layer is 10 to 30 mm. 前記フリー磁性層の膜厚を、15〜45Åの範囲に設定する請求項1ないし10のいずれかに記載の薄膜磁気素子の製造方法。  The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 1, wherein the thickness of the free magnetic layer is set in a range of 15 to 45 mm. 前記(a)の工程において、前記フリー磁性層の上面または下面のうち、前記非磁性材料層から離れた方の面である上面に接して、非磁性層を積層する請求項1ないし11のいずれかに記載の薄膜磁気素子の製造方法。12. The method according to claim 1, wherein, in the step (a), the nonmagnetic layer is laminated in contact with an upper surface, which is a surface away from the nonmagnetic material layer, of the upper surface or the lower surface of the free magnetic layer. A method for producing the thin film magnetic element according to claim 1. 前記第2反強磁性層とのRKKY結合により前記フリー磁性層の両端部の磁化方向が前記固定磁性層の磁化方向と交叉する方向へ向けられる請求項12に記載の薄膜磁気素子の製造方法。The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 12, wherein the magnetization direction of both end portions of the free magnetic layer is directed in a direction intersecting with the magnetization direction of the pinned magnetic layer by RKKY coupling with the second antiferromagnetic layer. 前記非磁性層を導電性材料によって形成する請求項12または13に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  14. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 12, wherein the nonmagnetic layer is formed of a conductive material. 前記非磁性層をRu,Cu,Ag,Auのうち1種または2種以上の元素を用いて形成する請求項12ないし14のいずれかに記載の薄膜磁気素子の製造方法。  15. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 12, wherein the nonmagnetic layer is formed using one or more elements of Ru, Cu, Ag, and Au. 前記非磁性層をRuによって形成し、膜厚を8〜11Åとする請求項15に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 15, wherein the nonmagnetic layer is formed of Ru and has a thickness of 8 to 11 mm. 記(c)の工程において、下面に切り込み部が形成されたリフトオフ用のレジスト層を前記フリー磁性層上に形成し、
前記多層膜上に前記第2反強磁性層を成膜した後、前記レジスト層を多層膜上から除去する請求項1ないし16のいずれかに記載の薄膜磁気素子の製造方法。
In step before SL (c), a resist layer for lift-off unit cuts the bottom surface is formed on the free magnetic layer,
17. The method for manufacturing a thin film magnetic element according to claim 1, wherein after the second antiferromagnetic layer is formed on the multilayer film, the resist layer is removed from the multilayer film.
前記第2反強磁性層を成膜した後、第2反強磁性層の上層に、トラック幅の間隔をあけて一対のレジストを積層し、前記第2反強磁性層の前記レジストによって挟まれた部位を基板表面に対して垂直方向に削り込み除去する請求項17に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  After forming the second antiferromagnetic layer, a pair of resists are stacked on the second antiferromagnetic layer with a track width interval, and sandwiched between the resists of the second antiferromagnetic layer. 18. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 17, wherein the removed portion is etched and removed in a direction perpendicular to the substrate surface. 前記(c)の工程において、前記多層膜上に前記第2反強磁性層を成膜した後、トラック幅の間隔をあけて一対のレジストを積層し、前記第2反強磁性層の前記レジストによって挟まれた部位を基板表面に対して垂直方向に削り込むことにより凹部を形成する請求項1ないし16のいずれかに記載の薄膜磁気素子の製造方法。  In the step (c), after forming the second antiferromagnetic layer on the multilayer film, a pair of resists are stacked with a track width interval, and the resist of the second antiferromagnetic layer is formed. The method for manufacturing a thin film magnetic element according to claim 1, wherein the concave portion is formed by cutting a portion sandwiched between the two in a direction perpendicular to the substrate surface. 前記凹部の底面が前記第2反強磁性層内に位置するように、前記凹部を形成する請求項19に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 19, wherein the recess is formed such that a bottom surface of the recess is located in the second antiferromagnetic layer. 前記凹部の底面の下部に位置する前記第2反強磁性層の領域の厚さ、または前記凹部の底面の下部に位置する前記第2反強磁性層の領域と前記他の反強磁性層の領域の合計の厚さを0より大きく30Å以下にする請求項20に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  The thickness of the region of the second antiferromagnetic layer located below the bottom surface of the recess, or the region of the second antiferromagnetic layer located below the bottom surface of the recess and the other antiferromagnetic layer 21. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 20, wherein the total thickness of the regions is greater than 0 and not greater than 30 mm. 前記多層膜の最上層に他の反強磁性層を形成し、前記凹部の底面が前記他の反強磁性層内に位置するように前記凹部を形成する請求項19に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  20. The thin film magnetic element according to claim 19, wherein another antiferromagnetic layer is formed on an uppermost layer of the multilayer film, and the recess is formed so that a bottom surface of the recess is located in the other antiferromagnetic layer. Production method. 前記凹部の底面の下部に位置する前記他の反強磁性層の領域の厚さを0より大きく30Å以下にする請求項22に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  23. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 22, wherein the thickness of the region of the other antiferromagnetic layer positioned below the bottom surface of the concave portion is set to be greater than 0 and 30 mm or less. 前記(a)の工程において、前記フリー磁性層の上面または下面のうち、前記非磁性材料層から離れた方の面である上面に接して、非磁性層を積層し、前記凹部の底面が前記非磁性層内に位置するように前記凹部を形成する請求項19に記載の薄膜磁気素子の製造方法。In the step (a), a nonmagnetic layer is laminated in contact with the upper surface or the lower surface of the free magnetic layer, which is the surface away from the nonmagnetic material layer, and the bottom surface of the recess is The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 19, wherein the recess is formed so as to be located in the nonmagnetic layer. 前記(a)の工程において、前記固定磁性層を、単位面積あたりの磁気モーメントの大きさが異なる複数の強磁性材料層を、非磁性中間層を介して積層することによって形成する請求項1ないし24のいずれかに記載の薄膜磁気素子の製造方法。  In the step (a), the pinned magnetic layer is formed by laminating a plurality of ferromagnetic material layers having different magnetic moments per unit area through a nonmagnetic intermediate layer. 25. A method of manufacturing a thin film magnetic element according to any one of 24. 前記(a)の工程において、前記フリー磁性層を、単位面積あたりの磁気モーメントの大きさが異なる複数の強磁性材料層を非磁性中間層を介して積層することによって形成する請求項1ないし25のいずれかに記載の薄膜磁気素子の製造方法。  26. In the step (a), the free magnetic layer is formed by laminating a plurality of ferromagnetic material layers having different magnetic moments per unit area via a nonmagnetic intermediate layer. The manufacturing method of the thin film magnetic element in any one of. 前記非磁性中間層を、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種あるいは2種以上の合金で形成する請求項25または26に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  27. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 25 or 26, wherein the nonmagnetic intermediate layer is formed of one or more alloys of Ru, Rh, Ir, Cr, Re, and Cu. 前記複数の強磁性材料層の少なくとも一層を、以下の組成を有する磁性材料で形成する請求項26または27に記載の薄膜磁気素子の製造方法。
組成式がCoFeNiで示され、Feの組成比は9原子%以上で17原子%以下で、Niの組成比は0.5原子%以上で10原子%以下で、残りの組成比はCoである。
28. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 26, wherein at least one of the plurality of ferromagnetic material layers is formed of a magnetic material having the following composition.
The composition formula is CoFeNi, the composition ratio of Fe is 9 atomic% or more and 17 atomic% or less, the composition ratio of Ni is 0.5 atomic% or more and 10 atomic% or less, and the remaining composition ratio is Co. .
前記非磁性材料層に最も近い位置に積層された前記強磁性材料層と前記非磁性材料層と間にCoFe合金あるいはCoからなる中間層を形成する請求項26または27に記載の薄膜磁気素子の製造方法。Thin film magnetic element according to claim 26 or 27 for forming an intermediate layer composed of a CoFe alloy or Co between said nonmagnetic material layer is stacked closest to the said ferromagnetic material layer non-magnetic material layer Manufacturing method. 前記複数の強磁性材料層の少なくとも一層を、以下の組成を有する磁性材料で形成する請求項29記載の薄膜磁気素子の製造方法。
組成式がCoFeNiで示され、Feの組成比は7原子%以上で15原子%以下で、Niの組成比は5原子%以上で15原子%以下で、残りの組成比はCoである。
30. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 29, wherein at least one of the plurality of ferromagnetic material layers is formed of a magnetic material having the following composition.
The composition formula is CoFeNi, the composition ratio of Fe is 7 atomic% or more and 15 atomic% or less, the composition ratio of Ni is 5 atomic% or more and 15 atomic% or less, and the remaining composition ratio is Co.
前記複数の強磁性材料層の全ての層を前記CoFeNiで形成する請求項28または30に記載の薄膜磁気素子の製造方法。  31. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 28, wherein all of the plurality of ferromagnetic material layers are formed of the CoFeNi. 前記第1反強磁性層と前記第2反強磁性層を、同じ組成の反強磁性材料を用いて形成する請求項1ないし31のいずれかに記載の薄膜磁気素子の製造方法。  32. The method of manufacturing a thin film magnetic element according to claim 1, wherein the first antiferromagnetic layer and the second antiferromagnetic layer are formed using antiferromagnetic materials having the same composition. 前記第1反強磁性層及び/又は前記第2の反強磁性層を、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で形成する請求項1ないし32のいずれかに記載の薄膜磁気素子の製造方法。  The first antiferromagnetic layer and / or the second antiferromagnetic layer is made of a PtMn alloy or X—Mn (where X is any one of Pd, Ir, Rh, Ru, Os, Ni, and Fe). Or an alloy of Pt—Mn—X ′ (where X ′ is Pd, Ir, Rh, Ru, Au, Ag, Os, Cr, Ni, Ar, Ne, Xe, The method of manufacturing a thin film magnetic element according to any one of claims 1 to 32, wherein the thin film magnetic element is formed of an alloy (which is any one element or two or more elements of Kr).
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