JP3827387B2 - バリケード - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、警察官が暴走族を取締まる時、事件が発生したときの一斉検問時などの車輛誘導装置、逃走阻止装置などに使用するバリードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、車輛誘導には警察官が道路に立つか、三角錐のプラスチックを道路に並べていた。また、検問を突破した車輛はパトカーが追跡して取押える方法が取られていた。一方、暴走族取締については、パトカー等の車輛で道路を封鎖する手段を採用したり、ネットを展張して捕獲するなどの手段が採用されていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
かかる検問における車輛誘導においては、警察官に大きな危険が伴い、三角錐程度のものでは簡単に検問が突破され易く、また、突破逃走車両を追跡する間に交通事故を起こして一般車が巻き添えになることも頻発する始末であった。また、暴走族取締では、プラスチックなどの剛板からなるバリケードでは、暴走族が衝突して怪我や人身事故を起こすなどの問題があった。
【0004】
本発明は、かかる従来技術に鑑み、安全に検問場所に誘導すると共に、暴走族、検問突破車の逃走をより安全に阻止することができ、かつ、短時間に展張し、かつ、折り畳むことができる上に、軽量で移送、運搬が容易であり、もって短時間に道路封鎖し、かつ、逮捕することができる優れたバリケードを提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を達成するために、次のような手段を採用する。すなわち、本発明のバリケードは、袋状物およびチューブ状物から選ばれた少なくとも1種の中空体を主体としてなるバリケードであって、かつ、該中空体は気体を充填することによって膨脹、展張させてバリケード骨格を形成するものであり、さらに、該中空体に高圧が掛かったときに作動する安全弁を装備するかまたは気体充填用ゴムホースと中空体とを切り離す安全装置を装備してなることを特徴とするものである。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明は、パトカーのトランクに入る大きさで、警察官が安全に、しかも簡単にセットでき、かつ短時間で展張して逃走を阻止する装置について鋭意検討したところ、道路端からエアーチューブを膨らましながら道路中央部または反対側の端まで転がして立上げて展張するという画期的な方法で見事に上述課題を達成することができることを究明したものである。
【0007】
すなわち、かかる手段によって、暴走族取締および検問時において、署員が道路の路肩から操作することで簡単に展張でき、確実、かつ、安全に逃走車両や暴走族を制圧することができたものである。
【0008】
すなわち、本発明のバリケードは、袋状物およびチューブ状物から選ばれた少なくとも1種の中空体を主体として構成されたものである。かかるバリケードは該中空体に気体を充填することによって、膨脹、展張させてバリケード骨格を形成させるものである。
【0009】
ここでいう中空体は、バリケードの機能の上から、主として合成樹脂および繊維布帛の少なくとも1種で構成されているものである。すなわち、天然ゴム、合成ゴム、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリアクリル系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系、ポリ塩化ビニル系などの合成樹脂およびこれらの樹脂からなる繊維を使用することができる。また、バリケードの機能として耐熱性や高強度が要求される場合には、前記合成樹脂の高重合度ポリマを高延伸倍率で製糸した高強度繊維や芳香族ポリアミド系繊維、PPS系繊維を使用することができる。
【0010】
本発明の技術思想は、エアバッグにあるものであり、したがって、該中空体が、エアバッグ構造体であるものは、当然含まれるものであり、折畳まれて収納されているものであってもよい。エアバッグを構成する袋状物およびチューブ状物などの中空体は、樹脂被膜製でも繊維布帛製、特に織物であっても、さらにこれらの複合品のいずれでもよいが、強度や耐熱性が要求される場合には、複合品の方が好ましい。いずれにしても、エアバッグである以上、該中空体を構成する基布は低通気性膜材であり、通常のエアバッグ用基布をそのまま使用することもできる。現在エアバッグは、ノンコート基布、つまり樹脂を使用しない基布で低通気性のものを使用する手段が軽量で安価であることから重宝されているが、バリケードでは、車両が衝突する可能性が高く、これに耐え得る強さが要求されるので、高強度繊維や耐熱繊維からなる基布のコート品が好ましい。いずれにしても該中空体としては、好ましくは耐気圧が500mAq以上、さらに好ましくは1000mAq以上であるものが望ましい。低いと高圧ガスを一気に吹き込んだ場合破裂する恐れがあり、ガスを入れ過ぎたときに容易に破裂するため良くない。コート用樹脂としては、塩化ビニル系樹脂またはウレタン系樹脂が使用される。塩化ビニル系樹脂は接着加工が容易で安価であるが、耐久性からエーテル系のポリウレタンが最適である。エポキシ系樹脂やアクリル系樹脂は硬く、折れ皺から穴があき耐久性に欠ける。コートは、両面が好ましいが、これに限定するものではない。すなわち片面加工でも樹脂面同志接着することもでき、貼合わせ面のみ接着剤で補強すれば接着力は十分である。
【0011】
かかるエアバッグはインシュレータにより気体を発生させて中空体を膨脹させる手段を採用しているが、他にも気体を注入して充填する手段、たとえば圧縮ガスを注入する手段を採用することもでき、これらの手段を併用してもよい。充填する気体としては、危険性の低い空気や窒素ガスのような不活性ガスが好ましく使用される。
【0012】
かかる中空体から構成されるバリケード骨格は、車両通行止め機能を有するもの、たとえば障害物となって通行できないものであれば、別に単なる袋状物であっても形状に拘ることなく使用することができる。バリケードの一般的な形状としては壁状のもの、たとえば長さ3〜10m、高さ0.5〜1.5m、幅0.5〜1.5mの大きさを有する中空体で構成された三角柱、四角柱、円柱および半円柱から選ばれた少なくとも1種からなるバリケードは、折畳んで巻取った中空体(チューブ)に空気または窒素ガス(圧縮ガス)を1方向の端から注入して、短時間で展張できるので、検問逃走阻止用として有効である。
【0013】
一般に道路の幅は1車線が約3mあり、長さ3〜10mは1〜3車線を閉鎖するもので、2車線の道路の場合1車線は予め車等で封鎖しておけば3mのエアーバッグで5秒以内の短時間で閉鎖できる。一方緊急の場合はエアーバッグのみで逃げ場をなくす必要があり、長さ約10mの2車線、片側3車線の道路全体を閉鎖するものである。長さが3m未満では道路に隙間ができ、逃げられてしまうため制止効果がなくなり、長さが10mを越えると展張時間が長くなり、重量も重く操作性が低下するので好ましくない。
【0014】
次に、高さは0.5〜1.5mが操作性と威圧感から好ましい。すなわち、高さが0.5m未満では車、バイク共に飛び越えられそうな感じになり制圧する効果が低く、高さが1.5mを越えると展張時間が長く、ガス使用量が多くなりすぎるので好ましくない。
【0015】
本発明のバリケードは、三角柱の場合、直径5〜20cmの長中空体(チューブ)3本と夫々直径5〜15cmの短中空体(チューブ)9〜12本を使用し、3本の長中空体(チューブ)の両端と中央1〜2か所を夫々3本の短中空体(チューブ)で連結して三角柱の骨格が形成される。かかる3辺に表生地を張って出来上がる。長さが3mの場合は長チューブの両端と中央部に合計9本の短チューブで骨格を形成し、長さが10mの場合は長チューブの両端と中間部に3.3m間隔で2か所に合計12本の短チューブを使用して骨格を形成する。このようにしてできたエアーバッグの長チューブ1か所または2か所から高圧ガスを送り込んでエアーバッグを短時間で膨らませることができる。
【0016】
四角柱の場合は三角柱と同様に長チューブ4本と長さに応じて短チューブ12〜20本とで骨格を形成し、安定感と大きさで威圧効果を高くすることができる。
【0017】
また、各チューブの太さは、長さに応じて変えるべきものである。すなわち、短いものは細くても展張する力があり、ガスを送る時間も短い。反面長チューブでは太くしないと展張力が得られず、展張時間が長くなり好ましくない。長チューブの直径は5〜20cmが適している。短チューブの直径は5〜15cmが適している。チューブの直径は全て一定でなくても良い。例えば、上部の長チューブ、下部の短チューブの直径を小さくして展張時間の短縮化と軽量化をはかることもできる。
【0018】
円柱形状の場合は外径50〜150cm、チューブ径5〜15cmのタイヤのチューブを利用したリングを3〜4本一定間隔で立てて並べ、タイヤのチューブに底辺に2本、頂点に1本の計3本の長チューブを固定して底辺の長チューブ1本で夫々のタイヤチューブと連結してガスを送り込むことで展張する。この場合多少展張に時間は掛るが加工性がよく、古チューブを利用すれば安価に製造できる。このようにバリケード骨格を、枠体形状で構成することもできる。
【0019】
このような本発明に係るバリケードは、該中空体に高圧が掛かったときに作動する安全弁を装備するかまたは気体充填用ゴムホースと中空体とを切り離す安全装置を装備してなり、この構成により、優れた安全性が得られる。さらに本発明のバリケードとしては、全構成部材を非金属材料で構成したものが最も安全性の上から好ましい。かかるバリケードは、蛍光塗料および再帰反射テープの少なくとも1種からなる識別模様を有するもの、たとえば矢印、止まれ、検問中などの文字を貼り付けて車輌誘導用として道路検問に使用すると、夜間でもバリケードが浮かび上がり、より遠くから発見でき、さらに威圧感がますので好ましい。
【0020】
高圧ガスを入れる容器はFRP複合ガスボンベが軽量であるため、人や車に損傷を与えにくく、適している。同様にゴムホース、布帛エアーバッグなどの非金属で構成することで安全性を追及した。また、安全面から高圧が掛かったときに作動する安全弁、車が該エアーバッグに当たり、引摺られた時にゴムホースとエアーバッグ本体を切離す安全装置が必要である。安全弁はガスの入れ過ぎ、衝突などにより約1000mAq の高圧で作動させて破裂を防止するものである。
ボンベ、ゴムホースを分離する装置はジョイント部に紐を取付けておき、ゴムホースが引張られ張力が掛ったときに紐が作動してゴムホースとエアーバッグ本体を切離すものである。
【0021】
本発明を図面により、以下説明する。
図1は、本発明の検問逃走阻止用エアーバッグの主要部の概略図である。
3本の長チューブ1が短チューブ2によって連結されて三角柱の骨組みが形成される。該三角柱にエアーボンベ6からゴムホース5を通じて2か所の長チューブから空気が入り短チューブが立上がり三角柱が形成される。該エアーバッグは安全装置として必要以上に圧力が掛かった時に働くリリース弁4とエアーバッグが引摺られたときにゴムホース、ボンベと本体を切離す継手を有する。
【0022】
図2は、本発明の長チューブと短チューブからなる三角柱に布帛を取付けた概略図である。黄色または橙色の布帛7の表面に赤の反射テープで止まれの表示文字8が貼付けてあり、乗用車または単車に対して威圧感を与え停止させるものである。万一、止まれずにエアーバッグに突入しても金属など硬い物は使用していなく、また上記のような安全装置があり、相手を怪我させることなく止めることができる。
【0023】
図3は、エアーチューブの断面構造の概略図の一例である。織物9の表裏両面に樹脂10を塗布したものである。樹脂加工は片面でも良いが、重ね合わせて接着ができる両面加工品がウエルダー等の縫製加工性は良い。
【0024】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例1
ナイロン糸420デニール使いの平織物を製織し、エーテル系のポリウレタンを表裏各100ミクロンの厚さに加工した。該加工布を長さ5mにカットし、直径15cmに丸めて重ね部をウエルダー加工して接着し長チューブを作成した。この時のチューブ生地接着面4.5cm2 (1.5×3cm)の引張り力は100kgであった。同様にして長さ1.3m,直径10cmの短チューブを加工した。該長チューブを両端と中央部の3か所に穴を開けて短チューブを差込み、折曲げてウエルダー加工して接続した。長チューブの一端は合わせて接着し、もう一方の端は継手のオス部と接着し三角柱の骨格を作成した。続いてポリエステル糸50デニールと100デニールのリップストップ織物を黄色に着色し赤の反射テープで止まれの文字を縫付けて表生地を作成した。三角柱の3面を表生地で覆い、表側と裏側には止まれの他に検問中などの文字を縫い付けた。かかる長さ方向に丸めたエアーバッグを150kg/cm2 の圧空を入れたガスボンベからゴムホースで接続し、エアーを出したところ空気が入るにつれてエアーバッグが道路を横断し一杯に延ばされてから1mの高さまで立ち上がった。この間の時間は6秒であり、50m後方の車を逃走阻止できるものであった。
【0025】
実施例2
実施例1と同様にして四角柱と半円柱型のエアーバッグを作成した。四角柱は長短チューブ本数が多くなり作成費用がやや高くなったが、展張した時の上部幅が広く、容積も大きくなり三角柱より威圧感が増し、乗り越えて突破できるものではなかった。一方、半円柱は該加工布をテープ状にして直径1mのリング型に巻付けて重ね部をウエルダー加工して作成した。さらに3本の長チューブ中2本を半円柱の頂点と半円柱の端末1か所に布テープで固定し、残りの1本の長チューブに半円柱の端末1か所を連結し、表生地を縫付けてエアーバッグを作成した。
このエアーバッグは長短チューブの連結部が少なく、加工が容易で安価に出来上がり、実用上の実施例1の三角柱と大差なく良好であった。
【0026】
比較例1
実施例1と同様の加工布を用い高さ1m,幅、奥行き0.5mの布帛1枚からなる長さ5mの4角柱を作成した。該エアーバッグは加工が容易で大変安価に仕上がった。しかし、このようにして作成したエアーバッグにガスボンベで空気を注入したところ充填ガス容量1300L(リットル)の小型のガスボンベ1本では膨らまず、3本以上のガスボンベが必要であることが判り実用的ではなかった。
【0027】
【発明の効果】
本発明の逃走阻止用エアーバッグによれば、パトカーのトランクに入る大きさで、警察官が安全に、しかも簡単にセットでき、道路端から短時間で展張して逃走を阻止する装置であり、道路検問中に逃走を阻止するため署員が道路中央に行く事なく逃走車を取押さえることができ、しかも相手を傷付ける危険がないものである。また、道路検問中の誘導用標識等の目的に使用できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この図は、本発明の検問逃走阻止用エアーバッグの主要部の概略図である。
【図2】この図は、本発明の長チューブと短チューブからなる三角柱に布帛を取付けた概略図である。
【図3】この図は、本発明のエアーチューブの断面構造の概略図の一例である。
【符号の説明】
1:長チューブ
2:短チューブ
3:リリースバルブ
4:継手
5:コムホース
6:ガスボンベ
7:布帛
8:表示文字
9:織物
10:樹脂

Claims (21)

  1. 袋状物およびチューブ状物から選ばれた少なくとも1種の中空体を主体としてなるバリケードであって、かつ、該中空体は気体を充填することによって膨脹、展張させてバリケード骨格を形成するものであり、さらに、該中空体に高圧が掛かったときに作動する安全弁を装備するかまたは気体充填用ゴムホースと中空体とを切り離す安全装置を装備してなることを特徴とするバリケード。
  2. 該中空体が、合成樹脂および繊維布帛の少なくとも1種で構成されているものである請求項1記載のバリケード。
  3. 該中空体が、エアバッグ構造体である請求項1または2記載のバリケード。
  4. 該中空体が、折畳まれて収納されているものである請求項1〜3のいずれかに記載のバリケード。
  5. 該気体を充填する手段が、該中空体に気体を注入および発生の少なくとも一つによるものである請求項1記載のバリケード。
  6. 該気体が、空気または窒素ガスである請求項1または5記載のバリケード。
  7. 該気体を充填する手段が、圧縮ガスを注入する手段およびエアバッグ膨脹手段であるインシュレータによる方法から選ばれた少なくとも1種である請求項1または5記載のバリケード。
  8. 該バリケード骨格が、長さ3〜10m、高さ0.5〜1.5m、幅0.5〜1.5mの大きさを有する中空体で構成されているものである請求項1記載のバリケード。
  9. 該バリケード骨格が、枠体形状を有するものである請求項1または8記載のバリケード。
  10. 該枠体形状が、三角柱状、四角柱状、円柱状および半円柱状から選ばれた少なくとも1種である請求項9記載のバリケード。
  11. 該三角柱状または四角柱状のバリケード骨格が、直径5〜20cmの長チューブ3〜4本とそれを連結する直径5〜15cmの短チューブ6〜20本とで形成されているものである請求項10記載のバリケード。
  12. 該円柱状または半円柱状のバリケード骨格が、外径50〜150cm、チューブ5〜15cmの3〜4本のリング状中空体と、それを連結する直径5〜20cmの長チューブ3〜4本とで形成されているものである請求項10記載のバリケード。
  13. 該中空体が、加硫ゴム等の合成ゴムである請求項1〜5、8〜12のいずれかに記載のバリケード。
  14. 該中空体が、合成繊維製布帛である請求項1〜5、8〜13のいずれかに記載のバリケード。
  15. 該合成繊維製布帛が、織物である請求項14記載のバリケード。
  16. 該中空体が、合成繊維製布帛と樹脂との複合材料である請求項1〜5、8〜14のいずれかに記載のバリケード。
  17. 該中空体が、耐気圧500mAq以上である請求項1〜5、8〜16のいずれかに記載のバリケード。
  18. 該樹脂が、塩化ビニル系樹脂またはウレタン系樹脂である請求項6記載のバリケード。
  19. 該バリケードが、全構成部材を非金属材料で構成したものである請求項1〜18のいずれかに記載のバリケード。
  20. 該バリケードが、蛍光塗料および再帰反射テープの少なくとも1種からなる識別模様を有するものである請求項1〜19いずれかに記載のバリケード。
  21. 該バリケードが、道路検問用である請求項1〜20のいずれかに記載のバリケード。
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