JP3826211B2 - 活魚計測装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、活魚計測装置に関するものであり、特には、活魚計数装置や活魚選別装置等に利用される。
【0002】
【従来の技術】
活魚の計数装置は特公平6−5555号に稚魚の計数装置が開示されている。ここでは、分流管および分流管の中間に介在させた魚検出部である透明スリ−ブの内側の幅員は魚の体長よりも小さくすることが好ましいとされ、これにより、水と共に給送される稚魚が各分流管に1尾ずつ入り、透明スリ−ブ内で1尾ずつ検出されるので正確に計数できるとされている。
【0003】
【解決しようとする課題】
しかしながら、育成槽内の魚は成長のバラツキが大きく、体長のバラツキが大きい。また、自らの力で泳ぐ泳力の強さは体長に略比例する。また、魚は流れに逆らって泳ぐという習性があると共に自らの力で泳ぐ際は隣の魚との間に必ず適当な間隙を保って泳ぐという習性がある。このような魚を、魚の大きさに対して水路の幅員が可変構造とされていない分流管および透明スリ−ブに水と共に給送すると次のような重大な問題がある。まず第1に、泳力のほとんど無い稚魚は流れに逆らって泳ぐけれど流速に抗しきれずに流されて(水と共に分流管に給送されて)尾部から分流管に入り、分流管および透明スリ−ブ内で詰まる場合がある。また、成長が早く泳力の強い魚は流速に抗して分流管に入っていかない。第2に、透明スリ−ブの内側の幅員を魚の体長よりも小さくしても魚は尾部から分流管に入る故(体長の数分の1程度の体幅しかない魚は複数列で分流管内に給送され得るし、都合良く1尾ずつ直列に透明スリ−ブ内に尾部から入ってきた後、下流の魚が流れに逆らって泳いで前進すると上流の魚と重なる場合がある)に透明スリ−ブ内で魚が重なって検出される場合があり計数精度が低下する。
【0004】
本発明は、上述従来の問題点を解決することを課題としてなされたもので、魚体のバラツキが大きい魚群の魚の体長や数を1尾ずつ正確に計測できる活魚計測装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1の活魚計測装置は、魚が泳行可能に水が満たされる水路にこの水路の水中を泳いで通る魚を検出できるセンサが備えられた活魚計測装置において、前記水路に形成され泳いで前進する魚が1尾ずつ通過可能な水路と前記センサとの間の水路に噴水孔が臨まされ、この噴水孔から前記魚が1尾ずつ通過可能な水路に向けて水を噴射可能とされていることを特徴とする。
【0006】
また、請求項2の活魚計測装置は、前記魚が1尾ずつ通過可能な水路が拡縮自在とされ泳いで前進する魚との摺接作用により拡開可能とされた水路径調節手段が前記水路の魚の入口と前記センサとの間に備えられたことを特徴とする。
【0007】
【作用】
上記本発明では、例えば、両端が開口される中空体の中空部に適宜手段によって水を充満させて水路を形成させた後、噴水孔から海水を噴出すると前記水路の魚の入口から外に向かう水流が発生する。この水流に逆らう方向に頭部を向ける魚を頭部から前記水路に進入させると、魚が自力で泳いで水路内を前進し中空体の基部内径より小さくされ水路径調節手段の先端が臨まされる水路部を通過する。この際、魚体の外径が水路径調節手段の先端が臨まされる水路内径より大きいと、この魚と水路径調節手段の先端との摺接作用により先端が中空部中心から離反する方向に移動させられて水路が拡開され魚が通過する。一方、魚体の外径が前記水路内径より小さいと魚は水路径調節部材と摺接することなく通過する。これにより、水路径調節手段の先端が臨まされる水路からは必ず魚が1尾ずつ、しかも、間欠的に出てくる作用を果たす。また、魚が1尾ずつ通過可能な水路を通過中の魚は噴水孔からの噴水流の抵抗を受けるが通過後の魚は広い水路を泳ぐのでこの抵抗の影響が小さい。このため、魚と魚との間隔が大きく離間された状態で計測室4に魚が1尾ずつ間欠的に進入するのでセンサが魚を1尾ずつ検出して正確に計測するという作用を果たす。
【0008】
【実施例】
以下に本発明に係わる活魚計測装置について望ましい実施例を図面に従って説明するが、これにより本発明は何等限定されるものではない。
【0009】
【実施例1】
図1は本発明に係わる活魚計測装置を利用した活魚分別装置の要部断面図である。本実施例の特徴とするところは、魚が飼育される生け簀Aが空中に配設される活魚計測装置を介して大小選別される生け簀A内の魚を収容する生け簀B,生け簀Cとそれぞれ連通して接続される点にある。
【0010】
図1において、1Aは海面に敷設され魚が飼育される生け簀A内の海中に一端が臨まされている可撓性を有す断面円形の樹脂製ホ−ス。なお、ホ−ス内径は生け簀A内の最も大きい魚が1尾ずつしか泳いで通過できない断面が好ましい。2aはパイプ2の外面から内面に向けて貫通され中心軸が水路径調節手段の先端が臨まされる水路に向けて延長される噴水孔。3はホ−ス1Aに着脱可能に接続されて中空部が連通される断面円形のパイプ2の内面からパイプ中心側に突出されホ−ス1Aに形成される水路より内径が小さい水路(生け簀A内の最も小さい魚が1尾ずつしか泳いで通過できない断面が好ましい)を形成し水路内を通過する魚との摺接作用により先端がパイプ中心から離反するように移動可能とされたスポンジ材から成る水路径調節手段
【0011】
4はパイプ2に着脱可能に接続されて中空部が連通され要部が透明材料から成り、ホ−ス1Aの内径が略内接円とされ生け簀A内の最大の魚が1尾ずつ泳いで通過可能とされる断面正方形のパイプから成る計測室。5は計測室4に着脱可能に接続されてホ−ス1Aの内径と略同一の中空部が連通されるパイプ。6はパイプ5に着脱可能に接続されて中空部が連通され分岐部に軸7を枢軸として枢動される網状の方向切替弁8を有すT字管から成るソ−タ。なお、ソ−タ6の一側端面に着脱可能に中空部が連通される可撓性を有す断面円形の樹脂製のホ−ス1Bの先端が海面に敷設された生け簀B内の海中に臨まされていると共に他側端面に同様のホ−ス1Cが同様の生け簀C内の海中に臨まされている。
【0012】
なお、19はチュ−ブ20を介して噴水孔2aから海水を水路内に噴出させてホ−ス1Aから生け簀Aに向かって流れる水流を発生させるポンプである。また、18は魚をホ−ス1Aに形成される水路内に追込む手段を構成する浮沈自在の移動子である。
【0013】
上述のように、ホ−ス1A,パイプ2,計測室4,パイプ5,ソ−タ6,ホ−ス1B,ホ−ス1Cが接続されて中空体1が形成され、この中空体1の中空部に水が充満され魚が泳いで前進可能に水路が形成可能とされている。
【0014】
例えば、前記中空体1の最も高所に配設されるパイプ5にチュ−ブ9,液面レベルスイッチ10,ソレノイドバルブ11を介して真空ポンプ12を接続して真空ポンプ12を作動させると、チュ−ブ9を介して中空体1の中空部が減圧され大気圧に押されて海水が中空体1の中空部に進入して中空部が海水によって充満された後、海水がチュ−ブ9を介してさらに高所に配設される液面レベルスイッチ10に達すると液面レベルスイッチ10が作動してコントロ−ラ16を介してソレノイドバルブ11を閉じさせてチュ−ブ9を介して真空ポンプ12と中空体1との連通状態を遮断すると中空体1の中空部は減圧状態が維持され海水が充満されて水路が形成される。
【0015】
また、計測室4の近くにはCCDカメラ14およびバックライト13が設けられCCDカメラ14は画像処理装置15と電線で接続されている。これらは公知の計測手段である。また、画像処理装置15と液面レベルスイッチ10とソレノイドバルブ11とがそれぞれコントロ−ラ16と電線で接続され、コントロ−ラ16の出力は表示器17と軸7に連結される図示しない駆動手段にそれぞれ接続されている。
【0016】
以上の構成において、その作用を図1を用いて説明する。真空ポンプ12が作動すると前述のように中空体1の中空部に水路が形成される。次いで、ポンプ19を作動させて噴水孔2aから海水を噴出させてホ−ス1Aから生け簀Aに向かって流れる水流を発生させると共に移動子18を浮上させると魚が自力で泳いでホ−ス1Aの先端から発せられる水流に逆らって頭部をホ−ス1Aの先端に向けて頭部からホ−ス1Aに進入してホ−ス1Aを通過してパイプ2を通過する。
【0017】
この際、魚体の外径が水路径調節手段3の先端が臨まされる水路内径より大きいと、この魚と水路径調節手段3の先端との摺接作用により先端がパイプ2の中心から離反する方向に移動させられて水路が拡開され魚が通過する。一方、魚体の外径が前記水路内径より小さいと魚は水路径調節手段3と摺接することなく通過する。これにより、水路径調節手段3により形成される水路からは必ず魚が1尾ずつ、しかも、間欠的に出てくる作用を果たす。また、水路径調節手段3により形成される水路を通過中の魚は噴水孔からの噴水流の抵抗を受けるが通過後の魚は広い水路を泳ぐのでこの抵抗の影響が小さく、計測室4内では前後の魚の間隔が確実に確保される。このようにして、計測室4には魚が1尾ずつ間欠的に進入するのでCCDカメラ14が魚を1尾ずつ正確に検出する。この検出信号を画像処理装置15に送るとその信号が魚の体長として変換されると共に1尾としてカウントされる。さらにこの信号を入力するコントロ−ラ16は魚の体長の大小信号を図示しない軸7の駆動手段に、魚の数を表示器17にそれぞれ出力する。
【0018】
図示しない軸7の駆動手段はコントロ−ラ16から魚の大小信号を受けた時、これらの信号に応じてそれぞれ方向切替弁8を切り替えて魚体大側の生け簀Bおよび魚体小側の生け簀Cへの出口水路を形成するホ−ス1B、ホ−ス1Cと連通させる。このようにして、魚は体長が正確に計測されて一定以上の体長の魚は生け簀Bに、一定以下の体長の魚は生け簀Cに自力で泳いで移動し、かつ、それぞれの数が表示器17に表示される。
【0019】
なお、上述のように入力された生け簀B及び生け簀Cに分別された魚の体長と数量デ−タをコントロ−ラ16で加工して図示しないプリンタ−に生け簀毎の魚の体長の母標準偏差,度数分布図,平均体長,数量等生産管理に必要な情報と好ましい給餌重量コメントの出力、また、コントロ−ラ16に接続されて水中に臨まされ魚の餌の捕食状況を観察する図示しない視覚装置からの情報も加味して給餌タイミング,給餌回数,給餌毎の餌の重量等も出力すると好ましい生産管理ツ−ルとしての利用ができる。
【0020】
【実施例2】
図2は本発明に係わる活魚計測装置を利用した活魚分別装置の第2実施例を示す平面図である。なお、上記第1実施例の説明で用いた図1に示した部分と同一部分には同一符号を付し、ここでは重複する説明を省略する。
【0021】
本実施例の特徴とするところは、図2でわかるように、魚が飼育される生け簀Aが水中に配設される活魚計測装置を介して大小選別される生け簀A内の魚を収容する生け簀B、生け簀Cとそれぞれ連通して接続される点にある。このため、活魚計測装置を構成する中空体の中空部に水を導入させるための真空ポンプが不要になるという効果がある。
【0022】
図2において、21はCCDカメラ14およびバックライト13と対向される部分が透明材料から成り端部が開口される中空部を有し水没されて前記中空部に水路が形成される中空体であり、魚が飼育される生け簀Aが中空体21を介して大小選別される生け簀A内の魚を収容する生け簀B、生け簀Cとそれぞれ連通して着脱自在に接続されている。この中空体21には実施例1と同様の作用を果たすために水路径調節手段3、計測手段、コントロ−ラ16、方向切替弁8、軸7、ポンプ19、噴水孔21aが備えられている。
【0023】
本実施例の作用は実施例1と同様であり、ポンプ19を作動させて噴水孔21aから海水を噴出させて中空体21から生け簀Aに向かって流れる水流を発生させると共に図示しない移動子18を浮上させると実施例1と同様に魚が自力で泳いで中空体21に形成される水路に進入して水路径調節手段3の先端が臨まされる水路を通過する。この際の作用は実施例1と同様であり、水路径調節手段3の先端が臨まされる水路からは必ず魚が1尾ずつ、しかも、間欠的に出てきてCCDカメラ14によって魚が1尾ずつ正確に検出される。この検出信号は実施例1と同様に処理され、一定以上の体長の魚は生け簀Bに、一定以下の体長の魚は生け簀Cに泳いで移動し、かつ、それぞれの数が表示器17に表示される。
【0024】
なお、上記生け簀Aと生け簀B,生け簀Cとを水面に配設される活魚計測装置を介してそれぞれ連通して接続することもできる。この際は中空体21の形状は天側が開口される断面U字状とすることができる。
【0025】
また、上記実施例では水路径調節手段は柔軟性を有し小さな外力の作用により容易に弾性変形するスポンジを利用する構成としたがこれに限るものではない。すなわち、図3のように一端が水路内面に支持される「く」字状の弾性体でもよい。このようにしても、泳いで前進する魚との摺接作用により「く」字状の弾性体31は水路中心から離反する方向に移動して「く」字状の弾性体31が臨まされる水路は魚が通過可能に拡開される。
【0026】
また、図4のように水路に開口する穴に挿入されて水路の中心に向けて進退自在とされる水路径調節手段32が泳いで前進する魚との摺接作用により後退して水路中心から離反する方向に移動する構成でもよい。なお、32aは弾性体を示す。要するに、泳いで前進する魚との摺接作用により水路中心から離反する方向に水路径調節手段の先端が移動する構成であればどのような構成でもよい。
【0027】
また、上記実施例では魚を検出するセンサとしてCCDカメラを使用する計測手段を使用したがこれに限るものではない。すなわち、特公平7−244159号に開示されているような超音波振動子によって魚を検出する超音波計数装置を使用してもよい。この際は超音波振動子を計測室4の水路に臨ませることが必要であるがバックライト13は不要になる。
【0028】
また、上記実施例では計測手段によって魚の体長を計測したが、図5に示すように、例えば、計測室4に対して直交する2方向から魚を検出するようにCCDカメラ14,14を配設して二つのカメラからの魚の検出信号を画像処理装置15で体積に変換できるのでこの体積情報と計測室4の水路内の水の比重を計測する比重計からの比重情報とをコントロ−ラ16に入力するとコントロ−ラ16が演算して魚の重量を出力することもできる。なお、魚の重量計測にも超音波振動子と画像処理装置との構成による計測装置を使うことができることは言うまでもない。
【0029】
【発明の効果】
泳ぐ魚が1尾ずつしか通過できない水路と該水路を通過した泳ぐ魚を検出できる計測センサとの間の水路に開口する水の噴出口を設け、該噴出口から噴出する水が魚が1尾ずつしか通過できない水路を介して魚の入口側に流れる水流を発生できるようにしたので、魚が1尾ずつしか通過できない水路から出る魚と計測センサの前に達する魚との間隔が大きく離間される。これにより、泳ぐ魚の重複が無くなり計測精度が向上する。
また、泳ぐ魚が1尾ずつしか通過できない水路を拡縮自在として泳いで前進する魚との摺接作用により該水路が拡開されるようにしたので魚体のバラツキが大きい魚群でも柔軟に1尾ずつ間欠的に隣接する計測室に供給できる効果を示す。これにより、計測手段が泳いでいる魚を1尾ずつ正確に計測できるという実用的に優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明による活魚計測装置を利用した活魚分別装置の要部断面図である。
【図2】本発明による活魚計測装置を利用した他の実施例の活魚分別装置の平面図である。
【図3】本発明の要旨とされる水路径調節手段の他の実施例を示す要部断面図である。
【図4】水路径調節手段のさらに他の実施例を示す要部断面図である。
【図5】計測手段の他の実施例を示す要部断面図である。
【符号の説明】
1,21 中空体 1A,1B,1C ホ−ス
2a,21a 噴水孔 2,5 パイプ
3,31,32 水路径調節手段 4 計測室
6 T字管 7 軸
8 方向切替弁 9 チュ−ブ
10 液面レベルスイッチ 11 ソレノイドバルブ
12 真空ポンプ 13 バックライト
14 CCDカメラ 15 画像処理装置
16 コントロ−ラ 17 表示器
18 移動子 19 ポンプ
20 チュ−ブ A,B,C 生け簀

Claims (2)

  1. 魚が泳行可能に水が満たされる水路にこの水路の水中を泳いで通る魚を検出できるセンサが備えられた活魚計測装置において、前記水路に形成され泳いで前進する魚が1尾ずつ通過可能な水路と前記センサとの間の水路に噴水孔が臨まされ、この噴水孔から前記魚が1尾ずつ通過可能な水路に向けて水を噴射可能とされていることを特徴とする活魚計測装置
  2. 前記魚が1尾ずつ通過可能な水路が拡縮自在とされ泳いで前進する魚との摺接作用により拡開可能とされた水路径調節手段が前記水路の魚の入口と前記センサとの間に備えられたことを特徴とする請求項1の活魚計測装置
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