JP3826016B2 - テープ状プリプレグ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テープ状プリプレグに係り、特に、長尺のテープ状プリプレグを形成してボビンに巻き取ったテープ状プリプレグの技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、航空機に使用される部品や、土木建築用の補強部材として、加工がしやすく、軽量で高強度な物が要求されている。そこで、強化繊維束に熱硬化樹脂を含浸させたテープ状プリプレグを使用し、所望の部品に加工・成形している。そして、このテープ状プリプレグは、シート状プリプレグを加工して製造されるので、シート状プリプレグの製造限界長さである数百メートル程度のものを裁断加工してなるテープ状プリプレグに同一幅のセパレータを貼りあわせてボビンに巻き取り、短尺のテープ状プリプレグとして提供されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来の数百メートル程度のテープ状プリプレグでは、複雑、かつ大型部品への加工・成形に対して十分に対応することができないといった問題がある。
【0004】
つまり、加工・成形途中でボビンに巻かれていたテープ状プリプレグがすぐに無くなってしまうので、一旦作業を中断し、テープ状プリプレグの補充を頻繁に行わなければならず、作業効率の面での不都合が生じている。
【0005】
また、複雑な形状の部品を加工している最中にテープ状プリプレグが無くなると、その時点から継続して作業を行うことができず、加工途中の部品を廃棄しなければならないといった問題も生じる。
【0006】
また、テープ状プリプレグと同一幅のセパレータを貼り合せてボビンに整列巻きしたものを引き出しながら使用する場合、プリプレグに含浸した樹脂によって隣接するプリプレグ側面同士が接着されている場合がある。この場合、接着したテープ状プリプレグに余計な引っ張り力が加わって引きちぎられたり、テープ状プリプレグ側面の繊維がほつれたりしてしまうといった問題もある。
【0007】
また、数百メートル程度のテープ状プリプレグをボビンにスパイラル巻きした場合、その綾角が必然的に大きくなってしまう。このような状態で巻かれたテープ状プリプレグを引き出しながら使用すると、プリプレグ同士が絡み合い、その結果、引きちぎられてしまうといった問題もある。
【0008】
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであって、加工・成形に適した長尺のテープ状プリプレグを提供することを主たる目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記目的達成するために以下のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、強化繊維束に樹脂を含浸させたテープ状プリプレグをボビンに巻き取ったテープ状プリプレグであって、短尺である複数本のテープ状プリプレグの端部同士を、その端部同士の樹脂が未硬化状態を維持したまま重ね合わせて接合し、かつ、これら接合部位を非接合部位の引っ張り応力と同レベルの引っ張り剪断応力を持つ長さ分だけ接合して長尺にしたテープ状プリプレグに、セパレータを重ね合わせてボビンに整列巻きにしている。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のテープ状プリプレグにおいて、前記短尺のテープ状プリプレグ同士の接合部の樹脂を加熱軟化させて接合している。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載のテープ状プリプレグにおいて、前記短尺テープ状プリプレグ同士の接合部を圧着して接合している。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のテープ状プリプレグにおいて、前記重ね合わせた接合部を形成する各テープ状プリプレグの少なくとも端点の2箇所を含むように接合している。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のテープ状プリプレグにおいて、前記接合されて長尺化されたテープ状プリプレグをボビンに巻き取るときの綾角が、0.5〜2.0°の範囲に設定されている。
【0015】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のテープ状プリプレグにおいて、前記長尺のテープ状プリプレグに貼り合わされるセパレータは、テープ状プリプレグの幅よりも広いことを特徴とするテープ状プリプレグ。
【0016】
【作用】
本発明の作用は次のとおりである。
すなわち、請求項1に記載の発明によれば、短尺のテープ状プリプレグを接合して長尺のテープ状プリプレグが形成されるとともに、セパレータと重ね合わされて整列巻きされ、長尺のテープ状プリプレグが形成される。
【0017】
また、請求項1に記載の発明によれば、テープ状プリプレグ同士が重ね合わされた接合部の樹脂が、未硬化状態で接合される。つまり、接合部の材質が変異(硬化)しないので、ムラ無く均一に整列巻きされる。また、この均一に整列巻きされたテープ状プリプレグを使用して部品を積層形成するときにおいても、接合部がそれ以外の部分の積層と同じ取り扱いが可能であり、加工・成形された部品などにムラが生じることがない。
【0018】
請求項2に記載の発明によればテープ状プリプレグ中の樹脂の加熱軟化接着で、請求項3に記載の発明によればプリプレグに含浸した樹脂がゲル化することのない圧着によって、それぞれテープ状プリプレグに含浸した樹脂同士が未硬化状態で接合される。
【0019】
請求項4に記載の発明によれば、テープ状プリプレグ同士の接合部において、各テープ状プリプレグの端点がそれぞれ接合される。つまり、接合部端部からの剥離が回避される。
【0020】
請求項5に記載の発明によれば、テープ状プリプレグの巻き取り時の条件に応じて巻き取り綾角が0.5〜2.0°の範囲で巻き取られてゆく。つまり、テープ状プリプレグが均一に整列巻きされてゆく。
【0021】
請求項6に記載の発明によれば、長尺のテープ状プリプレグには、テープ状プリプレグの幅よりも広い幅を有するセパレータが貼り合わされる。つまり、長尺のテープ状プリプレグに幅の広いセパレータを貼り合せてボビンに整列巻きすると、隣接するテープ状プリプレグの間にセパレータのはみ出し部分が介在し、隣接するテープ状プリプレグ側面同士が含浸された樹脂によって接着しないようにされている。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施例について図面を参照して説明する。
なお、本実施例では、強化繊維束に熱硬化樹脂を含浸させた幅5mm、厚み、0.15mm、長さ1000m以上のテープ状プリプレグをボビンに巻き取ったのものを例に採って説明する。ただし、テープ状プリプレグは上記条件に限定されるものではなく、適宜変更が可能である。以下、図を参照して説明する。
【0023】
図1は、短尺のテープ状プリプレグをボビンに重ね巻きした図、図2はテープ状プリプレグ同士の接合部の縦断面図、図3は接合されて長尺化されたテープ状プリプレグがボビンに整列巻きされた斜視図である。
【0024】
先ず、長さ1000m以上のテープ状プリプレグの形成、およびその構造について説明する。
本実施例に用いるテープ状プリプレグは、強化繊維束に炭素繊維の束を使用し、この炭素繊維の束に熱硬化剤が配合されたエポキシ樹脂を含浸したものである。なお、強化繊維としては、炭素繊維に限定されるものではなく、例えば、ガラス繊維、チラノ繊維、アラミド繊維などが挙げられる。
【0025】
また、熱硬化樹脂はエポキシ樹脂に限定されるものではなく、例えば、ビスマレイミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリイミド樹脂、フェノール樹脂などの熱硬化性樹脂が挙げられる。また、これらの樹脂に配合される硬化剤として、例えば、ジアミノジフェニルメタン、ジアミノジフェニルスルホンなどの芳香族や、脂肪族アミンなどのルイス酸媒体などが挙げられる。
【0026】
そして、上記テープ状プリプレグを用いて、図1に示す長さ、幅精度良く切断された150mの短尺のテープ状プリプレグTをボビンB1に巻き上げたボビン巻きP1が予め形成されて準備される。この短尺のテープ状プリプレグTには、幅5mm、厚み0.5μmのポリエチレン製のセパレータS1を重ね合わせてボビンB1にロール状に重ね巻きされたものである。
【0027】
この準備されたボビン巻きP1の短尺のテープ状プリプレグTからセパレータS1を剥離しながらテープ状プリプレグTを送り出し、複数個分のテープ状プリプレグTの端部同士を重ね合わせて順番に接合してゆくことにより、長さ1000m以上のテープ状プリプレグTが形成されることとなる。
【0028】
つまり、図2のテープ状プリプレグ接合部の縦断面図に示すように、テープ状プリプレグTの各端部E同士を例えば約5cmずつ重ね合わせ、各テープ状プリプレグTの最端部(端点)E1とE2のそれぞれ2箇所を接合している。なお、テープ状プリプレグTの端部の重ね合わせ長さは、このテープ状プリプレグTを使用して成形した部品の中に接合部が入り込んだ状態で、接合部以外の部分と同レベルの機械的特性を有する長さに設定されている。
【0029】
以下に東邦テナックス株式会社製の120℃硬化型エポキシ樹脂系プリプレグQ−U111(テープ幅:5mm、厚み:0.15mm、樹脂含有率:35%)を用いた場合の接合長さと引張強度の関係について説明する。
【0030】
具体的には、接合部の長さを3、5、10,15cmの4種類を使用し、120℃で2時間硬化した後、図2に示すテープ状プリプレグTの左右両端を試験機でチャックして1mm/minの試験速度で引張試験を行なったところ、表1に示す結果を得ることができた。
【0031】
【表1】
Figure 0003826016
【0032】
つまり、接合部なしの材料と、各接合部ありの材料の引張強度を比較すると、5cmの接合部を有する材料と、接合部なしの材料とが同等の機械的特性を有することがわかる。
【0033】
なお、接合条件としては、最端部E1とE2のそれぞれを、例えば、上下方向からヒータなどの加熱器で挟み込んで、例えば約100〜150℃で1.0〜2.5秒間、押圧しながら熱を付加して溶着している。つまり、本実施例では、テープ状プリプレグTに含浸されたエポキシ樹脂に配合されている硬化剤が反応せずに未硬化状態であり、かつ、エポキシ樹脂同士の層界面が互いに融合する程度に条件設定されている。
【0034】
ここで接合条件が、溶着温度が低すぎたり、溶着時間が短すぎたりすると、エポキシ樹脂同士の層界面の融合が不充分となり、接合強度が低下する。つまり、ボビンに1000m以上も巻くと自重が重くなる。その結果、ボビンからテープ状プリプレグTを引き出して使用する際に、その自重により過渡の引っ張り力が接合部Eに加わり、接合部Eが剥がれてしまうからである。
【0035】
逆に、溶着温度が高すぎたり、溶着時間が長すぎたりすると、硬化剤が反応して硬化してしまう。つまり、このテープ状プリプレグTをボビンに巻き取る時に、接合部Eが巻き取りアールになじまず、巻き取りムラが発生する。また、このテープ状プリプレグTを利用して部品加工・成形する際にも硬化した接合部Eがムラとなり均質な部品を構成することができなくなるからである。
【0036】
なお、接合条件は、上記条件に限定されるものではなく、テープ状プリプレグTの厚みや、使用する樹脂などによって適宜に設定変更される。
【0037】
また、接合部Eは、各テープ状プリプレグTの端部E1およびE2のそれぞれを接合するものに限定されず、重なり合う部分の全面を接合してもよいし、3箇所以上の複数箇所を接合するようにしてもよい。
【0038】
また、接合方法は、溶着に限定されるものではなく、例えば、圧着のように硬化剤が化学反応して硬化しない状態で接合できる方法でもよい。
【0039】
以上のように接合部分の硬化剤が硬化しない条件を持って溶着することによって、全長にわたって同一コンディションを有する長尺のテープ状プリプレグTを形成することができる。
【0040】
次に上記構造を有するテープ状プリプレグTをボビンに巻き取ったものについて説明する。
長尺化されたテープ状プリプレグTのボビン巻きP2は、図3に示すように、テープ状プリプレグTの上にセパレータS2が重ね合わされて円柱状のボビンB2に一緒に整列巻きされている。
【0041】
セパレータS2は、テープ状プリプレグTよりも幅の広い10mmのもので、その厚みは50μmのものが使用されている。つまり、セパレータS2は、テープ状プリプレグTに貼り合せたとき、幅方向に2.5mmずつはみ出すようになっている。このようにテープ状プリプレグTの幅方向に少しずつセパレータS2がはみ出すことによって、整列巻きしたときに隣接するテープ状プリプレグTの側面にセパレータS2が介在し、テープ状プリプレグTに含浸された樹脂によって側面同士が接着しないようになっている。
【0042】
なお、セパレータS2は、一般的に使用されるものであって、その素材は、例えば、ポリエチレンなどが挙げられる。
【0043】
また、テープ状プリプレグTとセパレータS2とは、ボビンB2に巻きムラが起こらないように、図4に示すように、ボビンB2の長手方向の軸心Xに直交するY軸と、このY軸に対するテープ状プリプレグTの傾きとがなす開き角θ(以下、「綾角θ」という)でもってボビンB2の長手方向にトラバース(綾振り)されながら順次に整列巻きされてゆく。このとき、綾角θの範囲は、ボビンB2に巻き取られてゆくテープ状プリプレグTの巻径と、巻き取られる位置、例えば、ボビンB2の中央領域と端部領域とでは異なり、0.5〜2.0°の範囲で逐次変更されて巻き取られている。さらに好ましい綾角θは、0.8〜1.5°である。
【0044】
綾角θが0.5°未満であると隣接するテープ状プリプレグTの側端部が互いに重なり合って巻き締まりが発生し、均一に整列巻きできないからである。
【0045】
逆に、綾角θが2.0°を越えると隣接するテープ状プリプレグT間に隙間が生じ、巻き弛みが発生してしまうからである。
【0046】
以上のように綾角θを制御してボビンB2に長尺化されたテープ状プリプレグTを巻き取ってゆくことにより、均一なテープ状プリプレグTのボビン巻きP2を形成することができる。
【0047】
次に、上記構成を有するテープ状プリプレグTのボビン巻きP2の製造工程について図を参照しながら具体的に説明する。
図5は長尺用のテープ状プリプレグTとボビン巻きP2の製造装置の一実施形態を示した概略構成図、図6は巻き取り部の要部構成を示した図である。
この製造装置1は、大きく分けて、短尺のテープ状プリプレグTを供給するテープ状プリプレグ供給部3と、接合機構部9と、セパレータS2を供給するセパレータ供給部11と、巻き取り部13とから構成されている。
【0048】
テープ状プリプレグ供給部3には、装置水平方向に取り付けられた固定軸5に、長さ150mのテープ状プリプレグTとセパレータS1とが一緒に重ね合わされて巻き取られた短尺のボビン巻きP1がボビン開口部を介して複数個並べて取り付けられている。そして短尺のボビン巻きP1からセパレータS1が剥離されながら順番にテープ状プリプレグTが送り出されてゆく。このとき、剥離されたセパレータS1は、短尺のボビン巻きP1の上方に設けられたロール7によって巻き取られてゆく。
【0049】
送り出されたテープ状プリプレグTは、ガイドローラR1を介して接合機構部9に送られるとともに、ヒータからなる接合機構部9を通過してゆく。この接合機構部9では、通過してゆくテープ状プリプレグTの終端部が来ると同時に、次の短尺のボビン巻きP1から送られてくるテープ状プリプレグTの先端部とが重ね合わされる。そして、重ね合わされたテープ状プリプレグTの各端部のそれぞれ2箇所が上下方向からヒータによって挟み込まれ、押圧されながら熱が印加されて溶着される。このとき、後段の巻き取り部13は一時停止する。接合が完了すると巻き取り動作が再開する。
【0050】
接合機構部9を通過したテープ状プリプレグTは、ガイドローラR2およびR3を介して巻き取り部13に送られる。同時にセパレータ供給部11からもセパレータS2が、ガイドローラR4を介して巻き取り部13に送られる。そして、ガイドローラR5でテープ状プリプレグTとセパレータS2とが重ね合わされて巻き取り部13のボビンB2に整列巻きされてゆく。
【0051】
巻き取り部13では、図6に示すように、基台15に設けられた2本のレール17上(図では1本)を、駆動部19がボビンB2の長手方向にトラバースするようになっている。さらに、レール17の両端部およびその手前部分にリミットスイッチSW(SW1、SW2)がそれぞれ備えられている。
【0052】
リミットスイッチSW1は、ボビン端部領域に巻き取られるテープ状プリプレグTがトラバース方向の転換をするときに、重なり合って不均一な巻き取り状態とならないように、駆動部19のトラバース速度の切り替えを行っている。
【0053】
つまり、駆動部19が一方の端部に向かって移動してリミットスイッチSW1を通過するとオン状態になり、駆動部19の移動速度が速くなる。そして、最端部の到達した駆動部19はリミットスイッチSW2により移動方向が切り替えられて、他方に向かって移動する。このときの移動速度は速いままである。そして、リミットスイッチSW1を通過すると速度が遅くなるようになっている。
【0054】
このように、テープ状プリプレグTが巻き取られるボビンB2の位置に応じて駆動部19のトラバースの移動速度を制御することによって、ボビンB2の全周にわたって、均一にテープ状プリプレグTを巻き取ることができる。もちろん、このとき、綾角θも制御されている。
【0055】
以上のように、上記実施例では、順番に供給される各テープ状プリプレグTの端部のそれぞれを温度および加熱時間を管理したヒータなどを用いて溶着することにより、接合部の熱硬化剤が未硬化状態を維持し、テープ状プリプレグTの互いの端部が融合して接合される。つまり、全長にわたって同一コンディションであるテープ状プリプレグTを形成することができる。
【0056】
さらに、この長尺化されたテープ状プリプレグTをボビンB2に整列巻きするときの綾角θおよびトラバース速度を管理することにより、巻きムラの無い均一な長尺のテープ状プリプレグTのボビン巻きP2を形成することができる。
【0057】
本発明は、上記の実施例に限らず、次のように変形実施することもできる。
セパレータS2が、テープ状プリプレグTの下に位置してボビンB2に巻き取られるように形成してもよい。
【0058】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、請求項1に記載の発明によれば、短尺のテープ状プリプレグ同士を接合した部分が、接合していない部分の引っ張り剪断応力と同レベルの強度を持つ長さ分だけ接合するとともに、セパレータと一緒に整列巻きにすることによって、長尺のテープ状プリプレグをボビン巻き形成することができる。すなわち、複雑で大型の部品の加工・成形を行う時にテープ状プリプレグを頻繁に交換する必要がない。
【0059】
また、請求項1に記載の発明によれば、短尺のテープ状プリプレグ同士を未硬化状態で接合して整列巻きにすることによって、巻きムラの無い均一なテープ状プリプレグを形成することができる。さらに、テープ状プリプレグの全長にわたって同一コンディションであるので、加工・成形部品にムラが発生することがない。
【0060】
請求項2および請求項3に記載の発明によれば、テープ状プリプレグの接合部の樹脂を加熱軟化させたり(請求項2)、または圧着(請求項3)によって接合したりすることによって好適にテープ状プリプレグ同士を未硬化の状態で接合することができる。
【0061】
請求項4に記載の発明によれば、接合部を形成する各テープ状プリプレグの端点をそれぞれ接合することによって、使用時もしくはボビンなどに整列巻きするときに端部からの剥離する不都合を回避することができる。
【0062】
請求項5に記載の発明によれば、テープ状プリプレグの巻き取り時の綾角を0.5〜2.0°の範囲に設定変更することによりテープ状プリプレグをボビンに均一に巻き取ることができる。
【0063】
請求項6に記載の発明によれば、テープ状プリプレグよりも幅広のセパレータをテープ状プリプレグに貼り合せる。つまり、ボビンに整列巻きしたときにテープ状プリプレグの幅方向に少しずつはみ出したセパレータが、隣接するテープ状プリプレグ間に介在することとなる。その結果、テープ状プリプレグの側面同士が接着するのを回避することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例に用いられる短尺のテープ状プリプレグをボビンにロール巻きした斜視図である。
【図2】本実施例のテープ状プリプレグ同士の接合面を示す縦断面図である。
【図3】本実施例に係る長尺のテープ状プリプレグをボビンに整列巻きした斜視図である。
【図4】テープ状プリプレグ巻き取り時の綾角を示した図である。
【図5】実施例装置の概略構成図である。
【図6】巻き取り部の要部構成を示した図である。
【符号の説明】
P1、P2 … ボビン巻き
S1、S2 … セパレータ
T … テープ状プリプレグ
E … 接合部
θ … 綾角
3 … テープ状プリプレグ供給部
9 … 接合機構部
13 … 巻き取り部

Claims (6)

  1. 強化繊維束に樹脂を含浸させたテープ状プリプレグをボビンに巻き取ったテープ状プリプレグであって、
    短尺である複数本のテープ状プリプレグの端部同士を、その端部同士の樹脂が未硬化状態を維持したまま重ね合わせて接合し、かつ、これら接合部位を非接合部位の引っ張り応力と同レベルの引っ張り剪断応力を持つ長さ分だけ接合して長尺にしたテープ状プリプレグに、セパレータを重ね合わせてボビンに整列巻きにしたことを特徴とするテープ状プリプレグ。
  2. 請求項1に記載のテープ状プリプレグにおいて、
    前記短尺のテープ状プリプレグ同士の接合部の樹脂を加熱軟化させて接合したことを特徴とするテープ状プリプレグ。
  3. 請求項1に記載のテープ状プリプレグにおいて、
    前記短尺テープ状プリプレグ同士の接合部を圧着して接合したことを特徴とするテープ状プリプレグ。
  4. 請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のテープ状プリプレグにおいて、
    前記重ね合わせた接合部を形成する各テープ状プリプレグの少なくとも端点の2箇所を含むように接合したことを特徴とするテープ状プリプレグ。
  5. 請求項1ないし請求項4のいずれかに記載のテープ状プリプレグにおいて、
    前記接合されて長尺化されたテープ状プリプレグをボビンに巻き取るときの綾角が、0.5〜2.0°の範囲であることを特徴とするテープ状プリプレグ。
  6. 請求項1ないし請求項5のいずれかに記載のテープ状プリプレグにおいて、
    前記長尺のテープ状プリプレグに貼り合わされるセパレータは、テープ状プリプレグの幅よりも広いことを特徴とするテープ状プリプレグ。
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