JP3820739B2 - 押釦スイッチ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は押釦スイッチに関するものであり、特に、二つのねじりコイルばねによって固定接点を開閉する押釦スイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種のねじりコイルばねを可動接点として使用する押釦スイッチとしては、例えば、特開平6−302245号公報、特開平7−147115号公報に開示されているように、押釦を付勢しているコイルばねの一端を可動接点とし、この可動接点をスイッチケースの内周壁面から内方に向けて突設している突部に摺動させながら突部の下方で突部の表面と同じ平面内に設けてある固定接点に摺動接触させて可動接触部と固定接点部とを導電するものが知られている。
【0003】
しかし、一般に、ねじりコイルばねは、引っ張りコイルばね、圧縮コイルばねとは異なって、常時、捩じりモーメントを受けるものであるため、一個のねじりコイルばねで所定のエネルギを吸収するには、ばね素線径を太く、又、コイル内径(コイル有効径)を大きくせざるを得ず、押釦スイッチ全体の小型化に寄与し難いと問題がある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明者等は図4に示す如き押釦スイッチを想定している。すなわち、同図に示すように、押釦スイッチ1を、ケース2内に二個のねじりコイルばね3,4を平面的に見てL字形に配置すると共に、これらねじりコイルばね3,4の力点側の腕5,6の先端部を上下に重ね合わせ、これら先端部同士の交点Yをその上方から図示しない押釦で押し下げるように構成し、これにより各ねじりコイルばね3,4に作用するねじりモーメントを小さくするのである。
【0005】
従って、係る構成によれば、素線径が細く、コイル有効径及びばねの巻数がともに小さい小型のねじりコイルばねとすることができる。
しかし、上記したL字形のレイアウトとすると、逆にばねの設置面積が増し、さらに、二つのねじりコイルばねの復元力によりばねの初期荷重が設定されるように構成すると、ばね同士の初期接触点にずれが生じ、これを原因とした押釦の初期荷重の変動又は不感帯が形成されるという問題がある。
【0006】
そこで、前記二つのねじりコイルばねの小型化が可能なようにばねのレイアウトを決定すると共に、前記二つのねじりコイルばねの初期接触ポイントを一定に設定し得る押釦スイッチを提供せられるために、
解決すべき技術的課題が生じてくるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記目的を達成するために提案されたものであり、絶縁樹脂材より成るケース内の一側に一対のねじりコイルばねを互いに直列に配設すると共に、これらねじりコイルばねの力点側腕をそれぞれ前記ケースの他側側へ延出させて該一方のねじりコイルばねの力点側腕の先端部を前記ケースの他側上部を貫通してこれに昇降自在に設けられた押釦の押圧面に下方から弾接させると共に、他方のねじりコイルばねの力点側腕の先端部を前記一方のねじりコイルばねの力点側腕に下方から弾接させ、前記ケースの一側底面に前記一方のねじりコイルばねが常時接触する固定接点を配設すると共に、他側底面に一方のねじりコイルばねの力点側腕の当接により前記固定接点と電気的に導通する固定接点を配設し、前記ケースに前記他方のねじりコイルばねの力点側腕のみを上方から支持して一方のねじりコイルばねの力点側腕との初期接触位置を所定位置に規制する腕押さえを設けた押釦スイッチを提供するものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態を図1乃至図3に従って詳述する。
図1は押釦スイッチの縦断正面図、図2は図1のII−II線矢視断面図であり、同図に示すように本実施の形態に係る押釦スイッチ10は、絶縁性樹脂材より成るケース11の開口部12をカバー13により閉塞し、このケース11内の一側と他側とにそれぞれ埋設されている第一導電板14、第二導電板15一対を、可動接点としての第一ねじりコイルばね16で開閉するよう構成されている。
【0009】
前記ケース11内の一側は、図2に示すように仕切壁17により第一ばね室18と第二ばね室19とに分割されており、この第一ばね室に18に前記第一ねじりコイルばね16が配設されている。この第一ねじりコイルばね18は、図2の断面図と図3の分解斜視図に詳細に示される如く、前記仕切壁17の一側面20とこれに対峙するケース21内面とにばねの両端部を支持し、さらに、コイル押さえ23によりばねのコイル部22を前記仕切壁17の他側側から支持している。
【0010】
そして、前記第一ねじりコイルばね16の支点側腕24は前記第一ばね室18の底面に埋設された第一導電板14の上面と常時、当接されている。
一方、前記第一ねじりコイルばね16の力点側の腕25は、前記ケース11内の一側より前記押釦27側へ延出されていて、前記カバー15の他側上部に設けられている筒状の押釦案内部26に昇降自在に挿入された押釦27の押圧面28と弾接し、この押釦27が最下位に押し下げられたとき、第一ねじりコイルばね16の力点側腕25の腕先端部29が前記ケース11他側の底面に埋設された第二導電板15に接触するように構成される。なお、前記押釦27は、その下端部が上部よりも拡径されていて、この拡径によりケース11外への抜け出しが規制される構成となっている。
【0011】
従って、押釦27を最下位まで押し下げる動作のみで第一導電板14と第二導電板15とを電気的に導通することが可能となり、押釦27の押下時に蓄えられた弾発力で第一導電板14と第二導電板15とを切離することができるが、上記したように前記第一ねじりコイルばね16のみでは、前記押釦27の押圧力に対する荷重負担が大きく、ばねの小型化を実現し得ない。
【0012】
そこで、前記第一ねじりコイルばね16に作用する押下力を分担すべく前記第二ばね室19に第二ねじりコイルばね30が配設されている。
この第二ねじりコイルばね30は、前記第一ねじりコイルばね16の配設と同様に、仕切壁17の他側面31とこれに対峙するケース内面32とに両端部を支持させ、且つ第二ばね室19の底面と前記ばね押さえ22にコイル部を支持させ、さらに支点側腕33をケースに支持させて配設されている。
【0013】
一方、第二ねじりコイルばね19の力点側腕34は前記第二ばね室19より前記押釦27側に適宜延びた後、前記第一ねじりコイルばね16の力点側腕25下方でL字状に折り曲げられ、この折り曲げられた腕先端部35を前記第一ねじりコイルばね16の力点側腕25に下方から弾接させるよう構成されている。
【0014】
従って、前記押釦27の押下開始時から前記第一導電板14、第二導電板15同士を導通するまで、前記第二ねじりコイルばね16によって前記第一ねじりコイルばね16を弾性支持することが可能とになり、これにより第一コイルねじりコイルばね16及び第二ねじりコイルばね30の負荷を軽減することができる。
【0015】
よって本実施の形態で採用する各ねじりコイルばねは16,30の素線径を細く、コイル巻数を少なく(3乃至5)、また、コイル有効径を小さくすることができ、これにより縦、横、高さが従来と比較して小さい小型の押釦スイッチ10とすることができる。
【0016】
そしてこの場合、前記第一ねじりコイルばね16の力点側腕25を支持する前記第二ねじりコイルばね30の支持点Xを、第一ねじりコイルばね16の力点側腕25の腕先端部29側よりも基端部側、好ましくは基端部寄りに設定して前記支持点Xからの腕の長さを長くすれば前記押釦27の操作力を可及的に軽減することが可能となり、さらに、第二ねじりコイルばね30のコイル部支持位置を第一ねじりコイルばね16のコイル部支持位置よりも高位に設定して、押釦27の下降とともに、前記支持点Xが第一ねじりコイルばね16の力点側腕25の腕先端部29側から腕基端部側へ移動するように構成すれば、一定の軽荷重で前記押釦27を押下げることが可能となる。
【0017】
従って、ばねの小型化とねじりストロークの拡大とを両立でき、小型でしかも釦操作の軽い押釦スイッチ10を提供することができる。
しかし、係る構成でも受け側、すなわち、第一ねじりコイルばね16と第二ねじりコイルばね30との初期接触位置を所定位置に規制することはできず、押釦27の初期動作の安定化を達成することはできない。
【0018】
そこで、図1乃至図3に示すように、前記カバー13の下面37に前記第二ねじりコイルばね30の力点側腕34の腕先端部35を上方より支持する腕押さえ38を一体成形し、この腕押さえ38により前記第二ねじりコイルばね30の力点側腕34の腕先端部35の初期位置を所定位置に規制している。この場合、前記腕押さえ38は、前記第一ねじりコイルばね16との干渉を避けてそのねじり動作が正しく行われるようにするために、前記第一ねじりコイルばね16の力点側腕25を挟んで左右一対設けられる。もちろん、この一対のばね押さえ38,38による第二ねじりコイルばね30の支持位置は、前記押釦27の初期押圧力に基づいて一義的に決定される。
【0019】
従って、前記一対の腕押さえ38,38は、基本的には、上記機能を有するものであればよく、その形態上、特別な制限はないが、前記カバー13との一体性及びコストダウンをも思料すると、図1乃至図3に示したように、カバー13の下面一側より他側へ延び且つカバー13下面よりケース底面側へ所定長さ延びた板状乃至ブロック状、又は、断面ほぼ逆T字状の形状とするのが好ましく、又、第二ねじりコイルばね30に対する腕押さえの支持面39も前記第二ねじりコイルばね30の力点側腕34の腕先端部35の両端部を含むその近傍を支持する広さとするのが望ましい。勿論、前記カバー13と別体で絶縁樹脂製の中間カバーを形成し、この中間カバーに前記腕押さえ38を一体成形することも可能であり、さらに、前記腕押さえ38,38を爪、係合孔等から成る係止手段により前記カバー13の下面に一体的に係止する構造としてもよい。
【0020】
よって、前記第一ねじりコイルばね16のねじり動作に何等影響を与えずに、予め設定した設定点に第一ねじりコイルばね16と第二ねじりコイルばね30との初期接触点を設定することが可能となり、一定の初期荷重、並びに一定の軽荷重で押釦27を動作し、前記一対の導電板(一対の固定接点)14,15の開閉することができる。
【0021】
次に、本実施の形態に係る押釦スイッチの作用を図1及び図2を参照して詳述する。
図1、図2において、押釦27が押し下げられると、この押釦27の押圧面28に下方から弾接している第一ねじりコイルばね16の力点側腕25は仕切壁17の一側面20を摺動案内面としてケース13の他側底面側、すなわち、第二導電板15側へねじられる。このとき前記第二ねじりコイルばね30の力点側腕25は前記腕押さえ38,38により上方から所定位置に支持されると共に、且つ前記第一ねじりコイルばね16の力点側腕25と弾接しているため、同時にねじられることになる。
【0022】
押釦27の押下げが進み、押釦27の下降が進むと、これに対応して第一ねじりコイルばね16の力点側腕25を支持する第二ねじりコイルばね30の力点側腕34の接触点(支持点)Xが第一ねじりコイルばね16の力点側腕25の腕先端部29側から基端部側へと移動し、この移動に連れて接触点Xよりの腕先端部29の長さが増加する。このため、ほぼ初期荷重と同じ大きさの押し下げ力で押釦27を下降させることができる。
【0023】
押釦27の下降が進み、第一ねじりコイルばね16の力点側腕25の腕先端部29がケース13の他側底面に埋設してある第二導電板15に当接すると、第一導電板14と第二導電板15とが電気的に導通しスイッチONとなる。
【0024】
次に、押釦27の押圧力を解除すると、押圧時に蓄積した弾発力が一気に開放され第一及び第二ねじりコイルばね16,30が復元し、第二導電板15から第一ねじりコイルばね16の力点側腕25の腕先端部29が離脱して、スイッチOFFとなる。もちろん押釦27は初期位置まで復帰する。
【0025】
尚、本実施の形態の説明にあっては、前記仕切壁17をケース13と一体に形成して各ねじりコイルばね16,30同士の短絡を防ぎ、且つその力点側腕25,39同士の干渉を防止しているが、短絡を防ぐには仕切壁17の両側面にそれぞれコーティング又は接着等の被覆により絶縁材の皮膜を形成しても良く、又、仕切壁17のずれを防ぐには仕切壁17をケース13に対して接着、又は一体モールドしても良い。
【0026】
尚、本発明は、本発明の精神を逸脱しない限り種々の改変を為すことができ、そして、本発明が該改変されたものに及ぶことは当然である。
【0027】
【発明の効果】
以上、本発明の一実施の形態に詳述したように、絶縁樹脂材より成るケース内の一側に一対のねじりコイルばねを互いに直列に配設し、ケースに他方のねじりコイルばねの力点側腕のみを上方から支持して一方のねじりコイルばねの力点側腕と他方のねじりコイルばねとの初期接触位置を所定位置に規制する腕押さえを設けたので、スイッチの小型化を達成でき、押釦の初期動作精度を可及的に安定させることができる、という優れた効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態に係る押釦スイッチの縦断正面図である。
【図2】図1のII−II線矢視断面図である。
【図3】本発明の一実施の形態に係る押釦スイッチを示す分解斜視図である。
【図4】従来の押釦スイッチを示す平面図である。
【符号の説明】
13 ケース
14 第一導電板(固定接点)
15 第二導電板(固定接点)
16 第一ねじりコイルばね(一方のねじりコイルばね)
25 第一ねじりコイルばねの力点側腕
27 押釦
28 押圧面
29 第一ねじりコイルばねの力点側腕の腕先端部
30 第二ねじりコイルばね(他方のねじりコイルばね)
34 第二ねじりコイルばねの力点側の腕
X 支持点(接触ポイント)
Claims (1)
- 絶縁樹脂材より成るケース内の一側に一対のねじりコイルばねを互いに直列に配設すると共に、これらねじりコイルばねの力点側腕をそれぞれ前記ケースの他側側へ延出させて該一方のねじりコイルばねの力点側腕の先端部を前記ケースの他側上部を貫通してこれに昇降自在に設けられた押釦の押圧面に下方から弾接させると共に、他方のねじりコイルばねの力点側腕の先端部を前記一方のねじりコイルばねの力点側腕に下方から弾接させ、前記ケースの一側底面に前記一方のねじりコイルばねが常時接触する固定接点を配設すると共に、他側底面に一方のねじりコイルばねの力点側腕の当接により前記固定接点と電気的に導通する固定接点を配設し、前記ケースに前記他方のねじりコイルばねの力点側腕のみを上方から支持して一方のねじりコイルばねの力点側腕との初期接触位置を所定位置に規制する腕押さえを設けたことを特徴とする押釦スイッチ。
Priority Applications (1)
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JP07813598A JP3820739B2 (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | 押釦スイッチ |
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JP07813598A JP3820739B2 (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | 押釦スイッチ |
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Family Applications (1)
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JP07813598A Expired - Fee Related JP3820739B2 (ja) | 1998-03-25 | 1998-03-25 | 押釦スイッチ |
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JP (1) | JP3820739B2 (ja) |
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1998
- 1998-03-25 JP JP07813598A patent/JP3820739B2/ja not_active Expired - Fee Related
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