JP3807580B2 - モジュール計測器 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、モジュール計測器に関し、特に仮想環境の構成や変更が容易で、仮想環境と実機環境との間で機能や動作を一致させることが可能なモジュール計測器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のモジュール計測器には大きく2種類あり、その1つは計測モジュールをエンジニアリング・ワークステーション(以下、EWSと呼ぶ。)やパーソナルコンピュータ等のスロットに挿入して構成するものである。
【0003】
また、2つめのモジュール計測器は複数の計測モジュールを専用の筐体に挿入すると共にこれらの筐体と前記EWS若しくはパーソナルコンピュータとをイーサネット、GP−IB(General Purpose Interface Bus)やSCSI(Small Computer Systems Interface)等の通信方式により通信を行い計測システムを構成するものである。
【0004】
図8はこのような従来のモジュール計測器の一例を示す構成ブロック図である。図8において1はパーソナルコンピュータ、2,3及び4は計測モジュールが挿入される筐体であるステーション、100は通信ケーブルである。また、パーソナルコンピュータ1及びステーション2,3及び4の間は互いにケーブル100で接続されると共に各種の通信方式により通信が行われる。
【0005】
ここで、図8に示す従来例の動作を図9を用いて説明する。図9はパーソナルコンピュータ1とステーション2との間の通信動作を説明する説明図である。パーソナルコンピュータ1はステーション2に対してデータ交換や制御等を行うため図9中”RQ01”に示すように要求信号を送信する。
【0006】
例えば、要求信号としてはモジュールの種類等の情報やユーザインタフェース画面情報の問い合わせ、ステーション2に挿入されている計測モジュールの電圧レンジやサンプリング周波数等の設定の変更、アクイジションの開始や終了等の動作指示やアクイジションしたデータの取得等がある。
【0007】
図9中”RQ01”に示すようにステーション2はパーソナルコンピュータ1からの要求信号を受信すると必要な処理を行った後にパーソナルコンピュータ1に図9中”RP01”に示すように応答信号を送信する。
【0008】
例えば、応答信号としては要求のあったモジュールの種類等の情報やユーザインタフェース画面情報、設定変更完了の情報、動作指示完了の情報やアクイジションしたデータ等がある。
【0009】
従って、パーソナルコンピュータ1は上述のような要求信号によりステーション2等に挿入された計測モジュール自体の個別情報を得たり、計測モジュールを制御して必要な情報を計測させると共に得られた情報をステーション2等から取得することにより計測システムを構成することになる。
【0010】
但し、図8に示すようなモジュール計測器の構成ではパーソナルコンピュータ1内部の制御プログラム(以下、コントロールソフトウェアと呼ぶ。)の開発時や評価時には実際に制御等すべき計測モジュールが挿入されたステーションを通信ケーブル100に接続する必要がある。また、客先や展示会等でデモンストレーションをする場合にも実際に制御等する計測モジュールが挿入されたステーションが必要になってしまうと言った問題点があった。
【0011】
そこで、実際に制御等する計測モジュールが挿入されたステーションが存在しない場合であっても、仮想的にその機能を提供してコントロールソフトウェアの開発や評価及びデモンストレーション等が可能なモジュール計測器が考えられている。図10はこのような仮想機能を備えた従来のモジュール計測器の一例を示す構成ブロック図である。
【0012】
図10において2,3,4及び100は図8と同一符号を付してあり、1aはパーソナルコンピュータ、200は実行ファイル形式であるコントロールソフトウェア、201及び204は通信機能、202はコントロールソフトウェア本体機能、203は仮想機能、205はステーションが有するシステムコールやオペレーティングシステム等の実機機能、206及び207はステーションに挿入されている計測モジュールの機能である実機モジュール機能である。
【0013】
パーソナルコンピュータ1a及びステーション2,3及び4の間は互いにケーブル100で接続されると共に各種の通信方式により通信が行われる。また、パーソナルコンピュータ1aにはコントロールソフトウェア200及び通信機能201が設けられ、例えば、ステーション4には通信機能204、実機機能205、実機モジュール機能206及び207がそれぞれ設けられる。
【0014】
ここで、図10に示す従来例の動作を説明する。実際にステーション4を制御する場合を考えると、パーソナルコンピュータ1aはコントロールソフトウェア200により要求信号を生成し、通信機能201を介して通信ケーブル100に要求信号を送信する。
【0015】
一方、ステーション4は通信機能204を介して通信ケーブル100から要求信号を受信し、実機機能205に取り込むと共に要求信号の内容を解析して実機モジュール機能206及び207の制御やデータ取得等を行う。そして、ステーション4はパーソナルコンピュータ1に対して応答信号を送信する。
【0016】
一方、仮想機能203を用いる場合を考えると、コントロールソフトウェア200内のコントロールソフトウェア本体機能202は仮想機能203から直接仮想的なステーションや仮想的な計測モジュールに関する情報やデータ等の供給を受けてコントロールソフトウェア200全体として動作する。
【0017】
この結果、実際に計測モジュールやステーションが存在しない場合であっても仮想機能203から得られる仮想的な情報及びデータ等によりコントロールソフトウェア200を動作させることが可能になる。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、図10に示す従来例では開発や評価の過程で新規の計測モジュールやステーションを追加した場合や計測モジュールやステーションを削除する場合には仮想機能203を修正することが必要となるが、仮想機能203がコントロールソフトウェア200と一体構造になっているために実行ファイル形式であるコントロールソフトウェア200自身を修正しなければならないと言った問題点があった。
【0019】
また、仮想機能203と実機モジュール機能206等とは同一の構成ではないので両者の機能や動作が必ずしも一致しない、言い換えれば、仮想機能203を用いて開発等したコントロールソフトウェアで実際に実機モジュール機能206等に接続した場合に機能や動作が一致しない恐れがあると言った問題点があった。
【0020】
さらに、通信機能201と仮想機能203とは異なるインターフェースでコントロールソフトウェア本体機能202に接続されるため、通信機能201を用いる場合のコントロールソフトウェア本体機能202の機能や動作と、仮想機能203を用いる場合のコントロールソフトウェア本体機能202の機能や動作とが異なってしまう場合があると言った課題があった。
従って本発明が解決しようとする課題は、仮想環境の構成や変更が容易で、仮想環境と実機環境との間で機能や動作等を一致させることが可能なモジュール計測器を実現することにある。
【0021】
【課題を解決するための手段】
このような課題を達成するために、本発明のうち請求項1記載の発明は、
複数の計測モジュールをコンピュータから制御することにより計測システムを構成するモジュール計測器において、
前記コンピュータ上から前記計測モジュールを制御するコントロールソフトウェアと、
前記コンピュータの実機環境選択時に用いられる通信機能と同一のインターフェースで前記コントロールソフトウェアにリンクされて前記コンピュータ上において仮想環境を提供する仮想機能とを備えたことにより、仮想環境の構成や変更が容易になる。また、通信機能と仮想ネットワークライブラリとは同一のインターフェースでコントロールソフトウェアに接続されるため、通信機能を用いる場合のコントロールソフトウェアの機能や動作と、仮想ネットワークライブラリを用いる場合のコントロールソフトウェアの機能や動作とは一致することになる。
【0022】
請求項2記載の発明は、
請求項1記載の発明であるモジュール計測器において、
前記仮想機能が、
前記通信機能と同一のインターフェースで前記コントロールソフトウェアにリンクされる仮想ネットワークライブラリと、この仮想ネットワークライブラリにリンクされ前記コンピュータ上において仮想環境を提供する仮想モジュール機能とから構成されることにより、仮想環境の構成や変更が容易になる。
【0023】
請求項3記載の発明は、
請求項2記載の発明であるモジュール計測器において、
前記仮想モジュール機能が、
前記計測モジュール単位の機能を前記コンピュータ上で実現する仮想モジュールで構成されることにより、仮想環境の構成や変更が容易になる。
【0024】
請求項4記載の発明は、
請求項3記載の発明であるモジュール計測器において、
前記仮想ネットワークライブラリが、
設定ファイルの内容に基づき前記仮想モジュールを選択して前記仮想ネットワークライブラリにリンクさせて仮想の計測モジュールを構成することにより、開発や評価の過程で新規の計測モジュールの追加若しくは削除の場合にはリンクさせる仮想モジュールを指定する設定ファイルの内容を変更すだけでよくなり、モジュール構成を自在に定義することが可能になる。
【0025】
請求項5記載の発明は、
請求項4記載の発明であるモジュール計測器において、
前記仮想ネットワークライブラリが、
設定ファイルの内容に基づき前記仮想モジュールを選択して前記仮想ネットワークライブラリにリンクさせて仮想のモジュールが挿入された仮想のステーションを構成することにより、仮想の計測モジュールが挿入された仮想のステーションを構成できるので開発や評価の過程で新規の計測モジュールやステーションの追加若しくは削除の場合にはリンクさせる仮想モジュールを指定する設定ファイルの内容を変更すだけでよくなり、ステーションとモジュール構成を自在に定義することが可能になる。
【0026】
請求項6記載の発明は、
請求項4記載の発明であるモジュール計測器において、
前記仮想モジュールが前記計測モジュールのソースコードの一部と共通化したことにより、仮想環境を用いて開発等したコントロールソフトウェアで実際に計測モジュールを制御した場合であっても機能や動作が一致することになる。
【0027】
請求項7記載の発明は、
請求項6記載の発明であるモジュール計測器において、
前記仮想モジュールに前記計測モジュールのソースコードのうちハードウェアに依存する機能をコンピュータ上で実現する仮想環境ライブラリをリンクさせることにより、仮想モジュールでは実行できないサービスを仮想モジュールに提供することが可能になる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下本発明を図面を用いて詳細に説明する。図1は本発明に係るモジュール計測器の一実施例を示す構成ブロック図である。図1において1bはパーソナルコンピュータ、200aは実行ファイル形式であるコントロールソフトウェア、201aは通信機能、208は仮想ネットワークライブラリ、209は設定ファイル、210及び211は仮想モジュール、212は仮想環境ライブラリである。
【0029】
また、201a,208,210,211及び212はそれぞれダイナミックリンクライブラリ(以下、単にDLLと呼ぶ。)と言う独立したファイルとして存在し実行時にリンクされるライブラリであり、208〜212は仮想機能50を、210及び211は仮想モジュール機能51をそれぞれ構成している。
【0030】
ここで、図1に示す実施例の動作を図2、図3及び図4を用いて説明する。図2〜図4はコントロールソフトウェア200a、仮想ネットワークライブラリ208、仮想モジュール210等及び仮想環境ライブラリ212のそれぞれ相互のリンク関係を示す説明図であり、213,214,215及び216は仮想モジュールである。
【0031】
初期処理としてコントロールソフトウェア200aが実機環境を選択する場合、コントロールソフトウェア200aはDLLである通信機能201aと動的にリンクされて従来例で説明したようにステーションとの間で要求信号及び応答信号の授受を行う。
【0032】
一方、初期処理としてコントロールソフトウェア200aが仮想機能50を選択する場合、図2に示すようにコントロールソフトウェア200aはDLLである仮想ネットワークライブラリ208と動的にリンクされる。
【0033】
そして、図3に示すように設定ファイル209で指定された仮想モジュールがコントロールソフトウェア200aにリンクされている仮想ネットワークライブラリ208に動的にリンクされる。
【0034】
例えば、設定ファイル209により仮想モジュール213〜216のうち仮想モジュール213〜215が指定されていたとすれば仮想モジュール213〜215が仮想ネットワークライブラリ208に動的にリンクされることになる。
【0035】
実行時には図4に示すようにコントロールソフトウェア200a、仮想ネットワークライブラリ208及び仮想モジュール213〜215は動的にリンクされる。ここで、図4中”RQ02”に示す要求信号がコントロールソフトウェア200aから仮想ネットワークライブラリ208を介して仮想モジュール213に送信され、図4中”RP02”に示す仮想モジュール213からの応答信号が仮想ネットワークライブラリ208を介して受信される。
【0036】
また、仮想モジュール213はコントロールソフトウェア200aからの要求信号が波形データ等の測定値の要求であった場合、仮想モジュール213は仮想環境ライブラリ212と動的にリンクされると共に図4中”PM01”に示すように仮想環境ライブラリ212に対して周波数、振幅サンプル周波数等の各種パラメータを送信する。
【0037】
各種パラメータを受信した仮想環境ライブラリ212は各種パラメータに基づき波形データを生成すると共に図4中”WD01”に示すように仮想モジュール213に対して生成した波形データを送信する。
【0038】
仮想モジュール213は受信した波形データをさらに仮想ネットワークライブラリ208を介してコントロールソフトウェア200aに応答信号として送信する。
【0039】
すなわち、コントロールソフトウェア200aにとっては動的にリンクするDLLが通信機能201a若しくは仮想ネットワークライブラリ208であるかによって実機環境若しくは仮想環境が提供されることになる。
【0040】
また、仮想モジュール210等に関しては実機モジュール機能ではないのでハードウェアの設定内容の変更、ハードウェアの制御及びアクイジションデータを返す等と言った直接ハードウェアを制御することはできないが、その他のソースコードを実機モジュール機能のソースコードと共通化することにより、ソースレベルで実機環境と仮想環境とが共通化されることになる。
【0041】
さらに、ハードウェアに依存する部分に関しては前述のように仮想環境ライブラリ212のような仮想的にデータ作成等をするDLLを仮想モジュールにリンクさせることにより実現される。
【0042】
ここで、より詳細な具体例を用いて説明する。図5は仮想機能により構成される仮想環境のイメージを示す説明図、図6は図5に示す仮想環境の実現するための設定ファイル209の一例を示すリスト、図7は仮想環境を用いて表示させた表示画面の一例を示す説明図である。
【0043】
例えば、図5に示すような仮想環境を実現する場合を考える。図5において1bは図1と同一符号を付してあり、5,6及び7は仮想の計測モジュールが挿入された8個のスロットを有する仮想ステーションである。
【0044】
図5中の表に示すように仮想ステーション5はステーションアドレス番号が”1”でステーション名が”LineUp”、仮想ステーション6はステーションアドレス番号が”2”でステーション名が”Oscilloscope”、仮想ステーション7はステーションアドレス番号が”3”でステーション名が”Digitizer”であり、それぞれが光ファイバケーブルによりパーソナルコンピュータ1bにネットワーク接続されることが想定されている。
【0045】
そして、この仮想環境を設定する設定ファイル209の内容は、例えば、図6に示すようになる。図6中”DST1”は仮想ステーション5のステーションアドレス番号及びステーション名を定義する定義文であり、図6中”DST2”及び”DST3”は仮想ステーション6及び7のステーションアドレス番号及びステーション名を定義する定義文である。このため、これらの定義文には図5中の表に示すステーションアドレス番号やステーション名がそれぞれ設定されている。
【0046】
また、図6中”SML1”に示すリストは仮想ステーション5に挿入される仮想の計測モジュール、言い換えれば、仮想ネットワークライブラリ208にリンクされる仮想モジュールを指定している。
【0047】
例えば、仮想ステーション5のスロット1に挿入されるの仮想モジュールは図6中”MD01”に示すモジュールは光通信を行うためのインターフェース・モジュールであり、仮想ステーション5のスロット2に挿入されるの仮想モジュールは図6中”MD02”はディジタルオシロスコープ・モジュールである。
【0048】
同様に、図6中”SML2”及び”SML3”に示すリストは仮想ステーション6及び7に挿入される仮想の計測モジュール、言い換えれば、仮想ネットワークライブラリ208にリンクされる仮想モジュールを指定している。
【0049】
そして、このように定義された設定ファイル209に基づきコントロールソフトウェア200aに動的にリンクされた仮想ネットワークライブラリ208に指定された仮想モジュールを更に動的にリンクさせることにより、図5に示すような仮想環境が構成される。
【0050】
このように構成された仮想環境により、例えば、パーソナルコンピュータ1bの表示画面上には図7に示すような表示画面が表示される。図7中”WD01”に示すウィンドウ画面には構成された仮想環境に存在する仮想ステーションが表示されている。図7中”IC01”はパーソナルコンピュータ1b自身を示すアイコン、図7中”IC02”、”IC03”及び”IC04”はそれぞれ仮想ステーション5,6及び7を示すアイコンである。
【0051】
そして、図7中”IC03”に示すアイコンをクリックすると図7中”WD02”に示すように仮想ステーション6に挿入された仮想の計測モジュールの機能を示すウィンドウ画面が表示される。
【0052】
この時、コントロールソフトウェア200aは仮想ネットワークライブラリ208を介して対応する機能モジュールに対して表示するユーザインターフェース画面情報を要求する要求信号を送信し、仮想モジュールからの応答信号に含まれるユーザインターフェース画面情報を用いて図7中”WD02”に示すようなウィンドウ画面を表示させることになる。
【0053】
また、図7中”MDL1”に示す部分には仮想ステーション6に挿入されている7種の仮想の計測モジュールを示しており、図7中”WD02”に示すウィンドウ画面内の図7中”SF01”に示す部分には仮想ステーション6の4番目のスロットに挿入されている仮想の計測モジュールの機能が表示されている。ここで、図6中”MD03”に示すように仮想ステーション6のスロット4に挿入されている仮想の計測モジュールは”10MHz Function Generator Module”である。
【0054】
そして、図7中”WD03”に示すウィンドウ画面には仮想ステーション6のスロット4に挿入されている仮想の計測モジュールである”10MHz Function Generator Module”の仮想の出力波形が表示される。
【0055】
この時、コントロールソフトウェア200aは仮想ネットワークライブラリ208を介して対応する機能モジュールに対して表示する波形データを要求する要求信号を送信する。
【0056】
そして、この要求信号を受信した仮想モジュールはみずから波形データを生成することはできないので、仮想環境ライブラリ212に対して各種パラメータを送信し、仮想環境ライブラリ212で生成された波形データを受信すると共に仮想ネットワークライブラリ208を介してコントロールソフトウェア200aに送信する。
【0057】
最後に、コントロールソフトウェア200aは仮想モジュールからの応答信号に含まれる波形データを用いて図7中”WD03”に示すようなウィンドウ画面を表示させることになる。
【0058】
この結果、コントロールソフトウェア200aに仮想ネットワークライブラリ208、仮想モジュール及び仮想環境ライブラリ212を適宜動的にリンクさせることにより仮想機能50を構成することにより、仮想環境の構成や変更が容易で、仮想環境と実機環境との間で機能や動作等を一致させることが可能になる。
【0059】
すなわち、仮想機能50を用いる場合にはコントロールソフトウェア200aは仮想ネットワークライブラリ208を介して仮想のステーションに挿入された仮想の計測モジュールに対して要求信号を送信し、仮想の計測モジュールからの応答信号を受信することになり、実機がなくてもコントロールソフトウェアの開発や評価及びデモンストレーション等を行うことが可能になる。
【0060】
また、開発や評価の過程で新規の計測モジュールやステーションの追加若しくは計測モジュールやステーションを削除する場合にはリンクさせる仮想モジュールを指定する設定ファイル209の内容を変更するだけでよくなり、コントロールソフトウェア200a自身の修正は不要であり、ステーションとモジュール構成を自在に定義することが可能になる。
【0061】
また、通信機能201aと仮想ネットワークライブラリ208とは同一のインターフェースでコントロールソフトウェア200aに接続されるため、言い換えれば、コントロールソフトウェア200aにとってはリンクされるDLLの違いにしか過ぎないので通信機能201aを用いる場合のコントロールソフトウェア200aの機能や動作と、仮想ネットワークライブラリ208を用いる場合のコントロールソフトウェア200aの機能や動作とは一致することになる。
【0062】
さらに、仮想モジュールはソースレベルで実機モジュール機能のソースコードと共通化されているので仮想機能50を用いて開発等したコントロールソフトウェアで実際に実機モジュール機能等に接続した場合であっても機能や動作が一致することになる。このため、計測モジュールの開発段階で実機モジュール機能が未完成の場合であっても実機モジュール機能のうちハードウェアの共通化部分の先行開発が可能になる。
【0063】
なお、図1等の説明においては制御装置としてパーソナルコンピュータを例示したが勿論これに限定される訳でなく一般的なコンピュータであっても構わない。
【0064】
また、図2においては紙面の都合上DLLである通信機能201aを仮想ネットワークライブラリ208よりも小さく表記したが勿論コントロールソフトウェア200aと同一のインターフェースでリンクされることになる。
【0065】
【発明の効果】
以上説明したことから明らかなように、本発明によれば次のような効果がある。
請求項1乃至請求項3の発明によれば、コンピュータ上から計測モジュールを制御するコントロールソフトウェアと、コンピュータの実機環境選択時に用いられる通信機能と同一のインターフェースでコントロールソフトウェアにリンクされてコンピュータ上において仮想環境を提供する仮想機能とを備えたことにより、仮想環境の構成や変更が容易になる。また、通信機能と仮想ネットワークライブラリとは同一のインターフェースでコントロールソフトウェアに接続されるため、通信機能を用いる場合のコントロールソフトウェアの機能や動作と、仮想ネットワークライブラリを用いる場合のコントロールソフトウェアの機能や動作とは一致することになる。
【0066】
また、請求項4及び請求項5の発明によれば、仮想ネットワークライブラリが、設定ファイルの内容に基づき仮想モジュールを選択して仮想ネットワークライブラリにリンクさせて仮想のモジュール若しくは仮想のステーションを構成することにより、仮想の計測モジュールが挿入された仮想のステーションを構成できるので開発や評価の過程で新規の計測モジュールやステーションの追加若しくは計測モジュールやステーションを削除する場合にはリンクさせる仮想モジュールを指定する設定ファイルの内容を変更すだけでよくなり、ステーションとモジュール構成を自在に定義することが可能になる。
【0067】
また、請求項6の発明によれば、仮想モジュールが計測モジュールのソースコードの一部と共通化したことにより、仮想環境を用いて開発等したコントロールソフトウェアで実際に計測モジュールを制御した場合であっても機能や動作が一致することになる。
【0068】
また、請求項7の発明によれば、前記仮想モジュールに前記計測モジュールのソースコードのうちハードウェアに依存する機能をコンピュータ上で実現する仮想環境ライブラリをリンクさせることにより、仮想モジュールでは実行できないサービスを仮想モジュールに提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るモジュール計測器の一実施例を示す構成ブロック図である。
【図2】相互のリンク関係を示す説明図である。
【図3】相互のリンク関係を示す説明図である。
【図4】相互のリンク関係を示す説明図である。
【図5】仮想機能により構成される仮想環境のイメージを示す説明図である。
【図6】仮想環境の実現するための設定ファイルの一例を示すリストである。
【図7】仮想環境を用いて表示させた表示画面の一例を示す説明図である。
【図8】従来のモジュール計測器の一例を示す構成ブロック図である。
【図9】パーソナルコンピュータとステーションとの間の通信動作を説明する説明図である。
【図10】仮想機能を備えた従来のモジュール計測器の一例を示す構成ブロック図である。
【符号の説明】
1,1a,1b パーソナルコンピュータ
2,3,4 ステーション
5,6,7 仮想ステーション
50,203 仮想機能
51 仮想モジュール機能
100 通信ケーブル
200,200a コントロールソフトウェア
201,201a,204 通信機能
202 コントロールソフトウェア本体機能
205 実機機能
206,207 実機モジュール機能
208 仮想ネットワークライブラリ
209 設定ファイル
210,211,213,214,215,216 仮想モジュール
212 仮想環境ライブラリ

Claims (7)

  1. 複数の計測モジュールをコンピュータから制御することにより計測システムを構成するモジュール計測器において、
    前記コンピュータ上から前記計測モジュールを制御するコントロールソフトウェアと、
    前記コンピュータの実機環境選択時に用いられる通信機能と同一のインターフェースで前記コントロールソフトウェアにリンクされて前記コンピュータ上において仮想環境を提供する仮想機能と
    を備えたことを特徴とするモジュール計測器。
  2. 前記仮想機能が、
    前記通信機能と同一のインターフェースで前記コントロールソフトウェアにリンクされる仮想ネットワークライブラリと、
    この仮想ネットワークライブラリにリンクされ前記コンピュータ上において仮想環境を提供する仮想モジュール機能とから構成されることを特徴とする
    請求項1記載のモジュール計測器。
  3. 前記仮想モジュール機能が、
    前記計測モジュール単位の機能を前記コンピュータ上で実現する仮想モジュールで構成されることを特徴とする
    請求項2記載のモジュール計測器。
  4. 前記仮想ネットワークライブラリが、
    設定ファイルの内容に基づき前記仮想モジュールを選択して前記仮想ネットワークライブラリにリンクさせて仮想の計測モジュールを構成することを特徴とする
    請求項3記載のモジュール計測器。
  5. 前記仮想ネットワークライブラリが、
    設定ファイルの内容に基づき前記仮想モジュールを選択して前記仮想ネットワークライブラリにリンクさせて仮想のモジュールが挿入された仮想のステーションを構成することを特徴とする
    請求項4記載のモジュール計測器。
  6. 前記仮想モジュールが前記計測モジュールのソースコードの一部と共通化したことを特徴とする
    請求項4記載のモジュール計測器。
  7. 前記仮想モジュールに前記計測モジュールのソースコードのうちハードウェアに依存する機能をコンピュータ上で実現する仮想環境ライブラリをリンクさせることを特徴とする請求項6記載のモジュール計測器。
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