JP3806082B2 - 動的経路制御方法および動的経路制御装置 - Google Patents

動的経路制御方法および動的経路制御装置 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パケットの転送サービスを行うパケット転送ネットワークに係り、特にユーザー間のトラフィックを効率的に経路制御する動的経路制御方法および動的経路制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ウェブ(Web )に代表される、従来のクライアントサーバー型のアプリケーションでは、都市部に密集したサーバーからの一極集中型のトラフィックが主であった。しかし、近年のP2P(Peer to Peer)技術に代表される新しいアプリケーションの進歩に伴って、クライアント間で直接データを交換する分散型のトラフィックが増加してきた。これに伴って、トラフィックを効率的に転送するために求められるネットワークの接続形態(トポロジ)も変化しつつある。
【0003】
従来のクライアントサーバー型のアプリケーションで扱われるトラフィックに関しては、都市部に設置されたサーバーを中心としたスター型のトポロジが効率的であった。しかし、P2P型のアプリケーションで扱われるトラフィックに関しては、スター型トポロジでは効率が悪い。なぜなら、地理的に非常に近い端末同士の通信であっても、その間の通信が必ずスターの中心に位置する接続点を経由しなければならないからである。
【0004】
現在の地域系キャリア(通信事業者)においては、エンドユーザーとインターネットサービスプロバイダ(ISP )とを接続するサービス(接続サービス)を提供している(例えば、非特許文献1参照)。このような接続サービスを利用しているユーザーAとユーザーBとの通信を考える。ユーザーAはプロバイダAに加入し、ユーザーBはプロバイダBに加入しているとすると、現在の接続サービスおよびインターネットのネットワーク構成では、ユーザーAとユーザーBとの間の一般的な通信経路は、ユーザーA→接続サービス網→プロバイダAの中継網→相互接続点→プロバイダBの中継網→接続サービス網→ユーザーBとなる。
【0005】
この通信経路が意味することは、例えば地理的に隣接したユーザーAとユーザーBとが同一の地域系キャリアの加入者装置に収容されていたとしても、ユーザーAとユーザーBとの間の通信が都市部の相互接続点までの中継回線の帯域を消費するということである。結果的に、地域系キャリアやプロバイダは、中継回線に無駄な投資を行わざるを得ず、エンドユーザーが経済的負担を強いられることになる。さらに、通信経路が長くなることにより遅延時間の増大を招くので、VoIP(Voice over IP )等のリアルタイム伝送を必要とするアプリケーションでは通信品質に致命的な影響を与える場合がある。
【0006】
このような場合に望まれる解決方法は、最もエンドユーザーに近い場所を経由してトラフィックを転送(ショートカット)することである。前記のユーザーAとユーザーBとの間の通信では、地域系キャリアの接続サービス網のみを経由して相互に通信を行えることが望ましい。
【0007】
また、近年、仮想プライベートネットワーク(VPN:Virtual Private Network)に代表される、特定のユーザー同士を接続する仮想的なネットワークを提供するサービスにおいても、同様の機能が求められている。従来のVPNでは、同一のVPNに接続する端末同士が通信する場合に、VPNユーザー同士を相互接続点を経由して接続する(例えば、非特許文献2参照)。したがって、VPNに属する端末装置のトラフィックはすべてこの相互接続点を通ることになるため、相互接続点には大きな負荷がかかる。また、相互接続点までの中継回線の帯域も消費されてしまう。このような場合に望まれる解決法としては、相互接続点を経由せずに最も端末装置に近い経路に沿ってトラフィックを転送することである。
【0008】
【非特許文献1】
「レイヤツートンネリングプロトコル(Layer Two Tunneling Protocol "L2TP" )」,RFC2661,インターネットエンジニアリングタスクフォース(Internet Engineering Task Force:IETF),1999年8月
【非特許文献2】
「企業向け低価格VPNサービス」,NTT西日本,2002年11月11日検索,インターネット<http://www.ntt−west.co.jp/ipnet/office/gaiyou.html>
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の接続サービスで用いられる技術においては、異なるISPに加入するユーザー同士が、ISPやその中継回線を経由せずに通信することは困難であった。その理由として、経路数が多いことと経路が頻繁に変更されることから、ISP接続サービスを提供するキャリア内での経路制御表の作成が困難な点が挙げられる。
【0010】
接続サービスを行うキャリアのネットワークでは、エンドユーザーのパケットを転送する際に、PPP(Point to Point Protocol )、L2TP(Layer2 Tunneling Protocol )やMPLS(MultiProtocol Label Switching )等のトンネリング技術を用いるのが一般的である。トンネリングとは、キャリアネットワークの入口部分と出口部分にそれぞれエッジルーターと呼ばれる装置を設置して、一方のISPあるいはエンドユーザーから受け取ったパケットに対して、経路制御表に基づいて内部(キャリアネットワーク)転送用ヘッダを入口エッジルーターで付加することにより、この内部転送用ヘッダの情報に基づいてキャリアネットワーク内部でパケットを転送し、最後にキャリアネットワークの出口において出口エッジルーターがパケットから内部転送用ヘッダを取り外して、他方のISPあるいはエンドユーザーにパケットを渡すという方法である。
【0011】
現在のインターネット接続サービスのように、エンドユーザーとISPとの間を1対1で接続する場合には、この方法は比較的容易に実装可能である。何故ならば、エッジルーターはエンドユーザー側エッジルーターとISP側エッジルーターとに大別できるが、特にエンドユーザー側のエッジルーターは、接続開始時にISP側エッジルーターへ向けてトンネルを設定すれば、あとはすべてのパケットをエンドユーザーとISP側エッジルーターとの間で転送すればよいからである。すなわち、あるエンドユーザーから送信されるパケットは、すべて同一のISP側エッジルーターに転送されるため、エンドユーザー側エッジルーターは少数の静的な経路制御表を維持するだけで事足りる。
【0012】
しかし、ISPに接続している任意のユーザー同士を、同一の地域系キャリアネットワーク内に閉じて相互にショートカット接続する場合や、VPNを利用する特定のユーザーグループ内で同時に複数の接続を行う場合、複数のエンドユーザー側エッジルーター間に直接トンネルを設定する必要があり、次のような問題点が発生する。
【0013】
[第1の問題点]
エッジルーター間のトンネル数の増大:エンドユーザー側エッジルーターは、エンドユーザーが利用するアドレスを識別しなければならない。1対1接続の場合にはトンネルは1つであり、エンドユーザーからのパケットを、その内容によらず常に1つのISP側エッジルーターへ転送すればよかった。しかし、任意のエンドユーザー間をショートカット接続するためには、エンドユーザーのパケットの宛先アドレスに応じて異なるエッジルーターにパケットを転送する必要がある。またそのために、あらかじめ接続される可能性のある全エンドユーザー間に静的にトンネルを設定し、ユーザーに割り当てられているアドレスを、トンネルに対応付けて記憶するための経路制御表が新たに必要になる。相互に接続する可能性のあるエッジルーターの数をNとすると、すべてのエッジルーターの組み合わせに対してあらかじめトンネルを設定する必要があるため、トンネルの数はNの2乗に比例する。たとえば、大規模なキャリアネットワーク内に1万台のエッジルーターが存在する場合、これらをあらかじめ相互に接続しておくためには1億本程度のトンネルを設定する必要があり、実現は非常に困難である。
【0014】
[第2の問題点]
経路制御表の規模の増大:現在の地域系キャリアの接続サービスにおいては、エンドユーザーの端末装置にアドレスを割り当てるのはISPである。すなわち、地域系キャリアネットワークの階層構造とはまったく無関係に、端末装置にアドレスが割り当てられる。したがって、地域系キャリアの経路制御表は階層構造を持たない(すなわち、集約することができない)ため、各端末装置に対して個別のエントリを登録する必要がある。たとえば1000万台の端末装置が同時に利用する場合には、地域系キャリアの経路制御表は少なくとも1000万エントリの大きさになる。
【0015】
[第3の問題点]
全エッジルーターに経路制御表が必要:ISP等を経由せず、地域系キャリアネットワークの加入者装置間で直接ユーザーのトラフィックをトンネリングするためには、全てのエッジルーターが上記の経路制御表を保持する必要がある。何故ならば、エンドユーザーが他のどのエンドユーザーに対して通信を行うかをあらかじめ知ることはできないため、各エッジルーターは、パケット転送時に参照できるように、すべての可能な接続先に対する経路の情報を保持しておかなければならないからである。したがって、ネットワークの規模に比例して加入者収容装置の経路制御表のサイズが大きくなる。上記の第1の問題点と併せて考えると、1000万台の端末装置が同時に利用するネットワークの場合には、すべてのエッジルーターが1000万エントリもの経路制御表を保持しなければ、リアルタイムにパケットを転送することができないことになる。現在実現されている最大規模の経路制御装置でも、同時に保持することができる経路制御表の規模は数万エントリ程度であり、大規模なネットワークでは全てのエッジルーターに経路制御表を保持させることが難しいことは明らかである。
【0016】
[第4の問題点]
経路情報の更新トラフィックの増大:前記経路制御表の内容は、非常に短い間隔で更新する必要がある。その理由は、エンドユーザーの端末装置が頻繁に接続/切断を繰り返す可能性があり、その度に端末装置のアドレスが変化する場合があるためと、ISPが動的ホストコンフィグレーションプロトコル(DHCP:Dynamic Host Configuration Protocol )等のプロトコルによって短い間隔でユーザーのIPアドレスを強制的に変更する場合とがあるためである。一般に端末装置数Nの増加によって、経路制御表を更新するトラフィック量はNの2乗に比例して増大する。これは、経路制御表が更新される頻度はNに比例し、さらに更新情報を通知するべき相手の数(エッジルーターの数)もNに比例するからである。したがって、経路制御表を更新するトラフィック量の増大は、特に大規模なネットワークを構築する際には深刻な課題となる。
【0017】
[第5の問題点]
サーバーを利用する場合の問題:経路制御表を全てのエッジルーターに持たせる代わりに、経路制御表を特定の経路サーバーに蓄積し、必要に応じて加入者装置から問い合わせる方法も考えられる。しかし、このような方法では、ネットワークに接続された全ての端末装置に関する経路制御情報を経路サーバーに蓄積しなければならない。この結果、大規模なネットワークにおいては経路情報の通知や問い合わせのためのトラフィックが増大し、経路サーバーの負荷の増大を招く。頻繁にアドレスが変更される不特定多数のユーザー同士が通信を行うネットワークにおいては、接続する端末装置数Nに対して、サーバーの経路情報の更新頻度はNに比例し、さらに問い合わせ頻度もNに比例する。
【0018】
[第6の問題点]
VPN事業者等が提供するVPNサービスにエンドユーザーが接続する場合には、アドレスの重複にも注意が必要である。一般にVPNにおいては、プライベートアドレスを利用するのが一般的である。しかし、プライベートアドレスはインターネット全体にわたって一意性が保証されているグローバルアドレスとは異なり、同一のVPN内のみでしか一意性が保証されていない。したがって、接続サービスを提供する事業者(地域系キャリア)が第1の問題点で述べたような経路制御表を作成する際、同一のアドレスを有し、かつ異なるVPNに接続する端末装置のエントリが多数発生することになる。しかも、ある端末装置がどのVPNに接続するかは、エンドユーザーとVPN事業者との間で合意されることであり、接続サービスを提供する事業者からは、どの端末装置がどのVPNに接続しているかを知る方法が存在しない場合が多い。このような場合、接続サービスを提供する事業者のエッジルーターは接続先の端末装置を一意に特定できないため、ショートカット接続を行うことはできない。
【0019】
本発明は、以上のような課題を解決するためのものであり、転送サービスを行うネットワーク内でユーザー間のトラフィックを効率的に経路制御するための動的経路制御方法および動的経路制御装置を提供することを目的としている。
【0020】
【課題を解決するための手段】
本発明は、接続事業者の内部ネットワークと、この内部ネットワークと異なるアドレス体系を有する外部ネットワークとから構成されるパケット転送ネットワークにおいてパケットの経路を制御する動的経路制御方法であって、第1のエッジルーターに接続された外部ネットワークの送元から第2のエッジルーターに接続された外部ネットワークの宛先へ転送されるパケットの経路を通知する経路通知パケットを、前記第1のエッジルーターで作成するステップと、前記経路通知パケットを前記第1のエッジルーターから前記外部ネットワークの宛先へ宛てて送出するステップと、前記外部ネットワークを経由して到着した前記経路通知パケットを前記第2のエッジルーターで受信するステップと、前記経路通知パケットに含まれる情報に基づいて、前記宛先から前記送元に至る前記内部ネットワーク内の新規経路を前記第2のエッジルーターで設定するステップと、前記第2のエッジルーターから前記第1のエッジルーターに対して前記新規経路を通知するステップと、前記第2のエッジルーターからの通知に基づいて、前記送元から前記宛先に至る前記内部ネットワーク内の新規経路を前記第1のエッジルーターで設定するステップと、前記外部ネットワークから入力した、前記送元と前記宛先との間で送受信されるパケットを前記新規経路を経由して転送するステップとを実行するようにしたものである。
また、本発明の動的経路制御方法の1構成例において、前記経路通知パケットは、前記送元を前記外部ネットワークにおいて識別するための第1の外部識別子と、前記宛先を前記外部ネットワークにおいて識別するための第2の外部識別子と、前記送元を収容する前記第1のエッジルーターを前記内部ネットワークにおいて識別するための内部識別子とを含むものである。
【0021】
また、本発明の動的経路制御装置は、内部ネットワークと外部ネットワークとの境界に設置された第1のエッジルーターと第2のエッジルーターとを有し、前記第1のエッジルーターは、前記外部ネットワークの送元から宛先へ転送されるパケットの経路を通知する経路通知パケットを作成する作成手段と、前記経路通知パケットを前記外部ネットワークの宛先へ宛てて送出する送信手段と、前記第2のエッジルーターからの通知に基づいて、前記送元から前記宛先に至る前記内部ネットワーク内の新規経路を設定する第1の設定手段と、前記外部ネットワークから入力した、前記送元から前記宛先へのパケットを前記新規経路を経由して前記第2のエッジルーターへ転送する第1の転送手段とを備え、前記第2のエッジルーターは、前記外部ネットワークを経由して到着した前記経路通知パケットを受信する受信手段と、前記経路通知パケットに含まれる情報に基づいて、前記宛先から前記送元に至る前記内部ネットワーク内の新規経路を前記第2のエッジルーターで設定する第2の設定手段と、前記第1のエッジルーターに対して前記新規経路を通知する通知手段と、前記外部ネットワークから入力した、前記宛先から前記送元へのパケットを前記新規経路を経由して前記第1のエッジルーターへ転送する第2の転送手段とを備えるものである。
また、本発明の動的経路制御装置の1構成例において、前記経路通知パケットは、前記送元を前記外部ネットワークにおいて識別するための第1の外部識別子と、前記宛先を前記外部ネットワークにおいて識別するための第2の外部識別子と、前記送元を収容する前記第1のエッジルーターを前記内部ネットワークにおいて識別するための内部識別子とを含むものである。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。図1は本発明の実施の形態に従うネットワークの構成を示すブロック図である。接続事業者(地域系キャリア)の内部ネットワークN10は、仮想回線L15によって相互に接続されたエッジルーターR11,R12,R13,R14を含む。
【0023】
ここでいうルーターとは、接続された仮想回線の間でパケットを転送する装置全般のことであり、スイッチ、ハブ、リピータ、パケット交換機等をルーターとして利用することができる。本実施の形態では1例として4つのエッジルーターR11,R12,R13,R14がある場合を示しているが、内部ネットワークN10内に任意の数のエッジルーターを設けることができる。エッジルーターとは、内部ネットワークN10と外部のネットワークとの境界に位置するルーターで、エッジルーター内で仮想回線を終端あるいは分岐したり、そのまま転送したりする機能を持つ。異なるエッジルーターの間で仮想回線の種類が異なってもよい。
【0024】
また、仮想回線とは、エッジルーター間を接続する仮想的な回線全般のことであり、仮想回線の種類としては、MPLSのラベルスイッチパス(LSP:Label Switched Path)、ATM(Asynchronous Transfer Mode)の仮想パス(VP:Virtual Pass )や仮想チャネル(VC:Virtual Channel )、フレームリレーのVPやVC、IPoverIPトンネル、IEEE802.1QのVLAN(Virtual Local Area Network)、L2TPのトンネル等を仮想回線として利用することができるが、これに限るものではない。同一の内部ネットワークにおいて、複数種類の仮想回線を混在して利用することも可能である。また、仮想回線をさらに上位の仮想回線に収容することも可能である。図1には示していないが、各仮想回線は任意の数のルーターを経由することができる。
【0025】
内部ネットワークN10内では、各エッジルーターR11,R12,R13,R14は、固有の識別子によって識別される。この識別子のことをここでは「内部アドレス」と呼ぶことにする。内部アドレスは、少なくとも内部ネットワークN10においてエッジルーターを一意に識別するためのものであり、この性質を有する限りさまざま識別子を内部アドレスとして用いることができる。例えば、IPアドレス、IPv6(Internet Protocol Version 6 )アドレス、ATMアドレス、電話番号、地理的な緯度経度、エッジルーターの管理番号等を内部アドレスとして利用することができるが、これに限るものではない。
【0026】
また、図1には示していないが、内部ネットワークが複数存在することもあり得る。この場合、内部アドレスは複数の内部ネットワークにわたって一意性が保証されていれば、異なる内部ネットワークに属する端末同士をショートカット接続するために利用することができる。例を挙げると、例えば地域系接続サービス事業者において、東京都の内部ネットワークと千葉県の内部ネットワークとが存在するときに、東京都に設置したエッジルーターと千葉県に設置したエッジルーターとの間で、各々を一意に識別できる内部アドレスを用いることにより、異なる内部ネットワークをまたがってショートカットを行うことが可能になる。
【0027】
各エッジルーターR11,R12,R13,R14は、仮想回線L25を介して加入者端末装置C11,C12やインターネットサービスプロバイダのネットワークN23,N24といった接続先と接続している。ここで、仮想回線L25は、これらの接続先とエッジルーターとを接続する手段を表すが、仮想回線L25を実現する具体的な媒体は接続先によって変えてもよい。例えば仮想回線として、イーサネット(登録商標)やADSL(Asymmetric Digital Subscriber Line),PPPoE(Point to Point Protocol over Ethernet(登録商標)),ATMのVCやVP、フレームリレーのVCやVP、無線LAN等を利用することができる。
【0028】
また、1つのエッジルーターが複数の仮想回線を収容し、それぞれの仮想回線が異なる接続先と接続することも可能である。例えば、図1には示していないが、エッジルーターR11が他の複数のインターネットサービスプロバイダや加入者端末装置と同時に接続することも可能である。
【0029】
さらに、エッジルーターの接続先は、接続事業者が接続サービスを提供する相手であれば、加入者端末装置やインターネットサービスプロバイダに限定されるものではない。エッジルーターの接続先としては、図1に示した接続相手以外にも、接続サービスに接続可能なネットワークや装置全般が含まれる。すなわち、インターネットやイントラネット、加入者のサーバーやLAN、他の接続事業者のエッジルーター等が接続先となり得る。
【0030】
また、図1では1例として加入者端末装置とインターネットサービスプロバイダとを接続する場合の接続形態を示しているが、接続事業者が接続サービスを提供する相手であれば、任意の相手間の接続が可能であり、これに限定されるものではない。例えば、インターネットサービスプロバイダ同士の接続や、インターネットサービスプロバイダとインターネットとの接続、加入者端末装置とイントラネットとの接続等の任意の組み合わせが可能である。
【0031】
なお、以後の説明で特に断りなく「外部ネットワーク」と呼ぶ場合には、プロバイダネットワークN23,N24やインターネットN30、加入者端末装置C11,C12など、内部ネットワークN10の外部にあるすべてのネットワークや端末装置を指すこととする。
【0032】
本実施の形態では、加入者端末装置C11,C12がそれぞれプロバイダネットワークN23,N24を経由してインターネットN30に接続している場合について説明を行う。従来の接続サービスにおいては、各加入者端末装置の接続先は固定されていた。すなわち、加入者端末装置C11とC12とが通信を行う場合には、図1に示したプロバイダネットワークN23、インターネットN30、プロバイダネットワークN24を通る通常経路P10に沿う必要があった。
【0033】
しかし、加入者端末装置C11,C12が同一の接続事業者の内部ネットワークN10に接続している場合には、インターネットサービスプロバイダやインターネットを経由することなく、例えば図1に示した短絡経路P20に沿って通信できることが望ましい。このような短絡経路P20に沿った通信は、例えばエッジルーターR11とR12との間に新たな仮想回線L16を設定し、加入者端末装置C11やC12からインターネットN30ヘ向けて送信されるパケットのうち、加入者端末装置C12やC11に宛てたパケットに関しては仮想回線L16を経由するように、エッジルーターR11やR12で経路制御を行うことにより、実現可能である。
【0034】
しかし、従来の技術でこのような経路制御を実現するには、前述の第1の問題点〜第6の問題点で述べたように多くの課題があり、実現が困難であった。これらの課題を解決し、効率的な経路で加入者同士の通信を可能とするような経路制御方法および経路制御装置を提供することが本発明の目的である。
【0035】
なお、図1では、短絡経路用の仮想回線L16として、加入者端末装置に接続した2つのエッジルーター間を接続する場合を示しているが、これに限るものではない。すなわち、本実施の形態の目的は、加入者端末装置C11とC12との通信を、他のインターネットサービスプロバイダやインターネット等を経由することなく、内部ネットワークN10内に閉じて行うことである。
【0036】
この目的のため、図1には示していないが、仮想回線L16の代わりにエッジルーターR13とR14との間や、エッジルーターR13とR12との間に短絡経路用の仮想回線を設定してもよい。エッジルーターR13とR14との間に仮想回線を設定する場合には、エッジルーターR13とR14との間で、本発明による経路制御を行うことが可能である。このとき、加入者端末装置C11からC12へのトラフィックは、エッジルーターR11→R13→R14→R12を順に経由する。また、エッジルーターR13とR12との間に仮想回線を設定する場合には、エッジルーターR13とR12との間で、本発明による経路制御を行うことが可能である。このとき、加入者端末装置C11からC12へのトラフィックは、R11→R13→R12を順に経由する。
【0037】
図2は、内部ネットワークN10および外部ネットワークにおけるアドレス割り当ての1例を示す図である。本実施の形態におけるアドレスの利用目的は、パケットの転送方式により大きく2つに分類することができる。一方のパケット転送方式は、パケットのヘッダに宛先アドレスが含まれる方式である。パケットを転送する際には、各経路制御装置がパケットの宛先アドレスをパケット単位で参照しながら、目的地までパケットを転送する。この方式の例としてIPパケットがある。パケットのヘッダに宛先アドレスが含まれる転送方式の場合には、アドレスは個々のパケットを転送するために利用される。
【0038】
もう一方のパケット転送方式は、パケットのヘッダに宛先アドレスが含まれない方式である。この方式では、パケットの転送に先立って、送信元と宛先との間に仮想的な回線が設定され、パケットはこの仮想回線を通って目的地まで転送される。複数の仮想回線が存在する場合には、これらを一意に識別するために、一般には仮想回線識別子が利用される。この仮想回線識別子は、たとえばATMのVPI(Virtual Path Identifier )やVCI(Virtual Channel Identifier)、MPLSのラベルのように、パケットのヘッダに明示的に含まれることもあれば、TDM(Time Division Multiplexing)のようにパケットのヘッダが明示的には識別子を含まない場合もある。いずれの場合においても、仮想回線を設定するためには送信元と宛先を特定する必要があり、このためにアドレスが利用される。本実施の形態においては、以上の2通りのいずれのパケット転送方式も利用することができる。
【0039】
図2に示すように、エッジルーターR11,R12,R13,R14は、それぞれ内部アドレスB11,B12,B13,B14によって識別される。また、外部ネットワークに属する加入者端末装置C11,C12は、外部ネットワークにおいて加入者端末装置を一意に識別するための識別子である外部アドレスA11,A12によってそれぞれ識別される。アドレスの割り当ては、内部ネットワークN10内と、外部ネットワーク(すなわち、プロバイダネットワークN23,N24、インターネットN30および加入者端末装置C11,C12)とは独立に行うことができる。
【0040】
加入者端末装置C11やC12は、プロバイダネットワークN23やN24から外部ネットワーク固有のアドレスの割り当てを受けることができる。これらのアドレス割り当ては、内部ネットワークN10のアドレス体系とはまったく独立して行うことができる。アドレスとしては第2層のMAC(Media Access Control)アドレスや、第3層のIPv4(Internet Protocol Version 4 )アドレス、IPv6アドレス等のアドレス体系を利用することができるが、これに限るものではなく、複数のアドレスを組み合わせて利用することも可能である。例えば、第3層のIPv4アドレスと第4層のポート番号との組に対して特定の経路を選択することが可能である。
【0041】
また、アドレス空間についても、グローバルに一意性が保証されているグローバルアドレスや、特定組織内でのみ一意性が保証されているプライベートアドレス等があるが、本実施の形態では、内部ネットワークN10であるか外部ネットワークであるかに関係なく、グローバルアドレスあるいはプライベートアドレスのいずれも利用することができる。
【0042】
さらに、図1には示していないが、外部ネットワークとして複数のVPNを利用することもできる。一般的なVPNと同様に、本実施の形態においても、あるVPNが他のVPNとは独立にアドレス割り当てを行うことが可能である。すなわち、あるVPNに属する端末装置が他のVPNに属する端末装置と重複するアドレスを用いることができる。
【0043】
図3は、本実施の形態における経路更新の手順を示すフローチャートである。図1や図2に関して説明したように、エッジルーターR11の配下に接続している加入者端末装置C11と、エッジルーターR12の配下に接続している加入者端末装置C12とは、初期状態においてはインターネットN30を経由する通常経路P10を使って通信を行っている。ここで、本実施の形態の最終的な目標は、加入者端末装置C11と加入者端末装置C12との間の経路が短絡経路P20となるように、エッジルーターR11やR12の経路制御表にエントリを追加することである。
【0044】
そのためには、エッジルーターR11は、エッジルーターR11の配下に接続している加入者端末装置C11の通信相手の外部アドレスと、この外部アドレスを持つ加入者端末装置がどのエッジルーターに収容されているかを知らなければならない。加入者端末装置C11の通信相手の外部アドレスに関しては、加入者端末装置C11から受信したパケットの宛先アドレスを確認することにより、通信相手の外部アドレスがA12であることを知ることができる。一方、外部アドレスA12を持つ加入者端末装置がどのエッジルーターの配下に接続しているかに関しては、以下の方法を用いて確認することができる。
【0045】
はじめに、エッジルーターR11は、エッジルーター自身の内部アドレスB11と、加入者端末装置C11の外部アドレスA11と、加入者端末装置C11の通信相手の外部アドレスA12とを含む経路通知パケットを作成する(図3ステップS01)。この経路通知パケットに含まれる3つのアドレス情報は、先にも述べたように、エッジルーターR11が加入者端末装置C11から受信したパケットの内容を見ることで、容易に知ることができるが、その他の方法を用いて取得してもよい。
【0046】
経路通知パケットの詳細なフォーマットについては、後述するが、少なくとも上記の3つのアドレス情報を含む。さらに、経路通知パケットのヘッダには、内部ネットワークN10や外部ネットワーク内でこのパケットを転送するために、加入者端末装置C11からC12へ向かう通常のパケットと同じ情報が含まれている。
【0047】
これにより、エッジルーターR11から送出された経路通知パケットは、加入者端末装置C11からC12へ転送される通常のパケットと同様に、通常経路P10に沿って内部ネットワークN10および外部ネットワーク内を転送される(ステップS02)。
【0048】
通常経路P10に沿って転送されてきた経路通知パケットは、エッジルーターR12において受信される。エッジルーターR12は、受信した経路通知パケットの内容を見ることで、このパケットに含まれるエッジルーターR11の内部アドレスB11と、加入者端末装置の外部アドレスA11,A12とを取得する(ステップS03)。
【0049】
次に、エッジルーターR12は、ステップS03で取得した情報から、配下の加入者端末装置C12の通信相手である加入者端末装置C11が、内部アドレスB11を持つエッジルーターR11に収容されていることを知る(ステップS04)。
【0050】
そして、エッジルーターR12は、エッジルーターR12とエッジルーターR11との間に短絡経路用の仮想回線L16を設定する(ステップS05)。仮想回線L16を設定する際には、仮想回線の種類によってどのような方法を使用してもよいが、エッジルーターR12側から先に、仮想回線L16を設定するためのトリガーをかける必要がある。何故なら、先のステップS04までの処理で、エッジルーターR12は仮想回線L16を設定する相手がエッジルーターR11であることが分かっているが、一方のエッジルーターR11は仮想回線L16を設定する相手がエッジルーターR12であることをまだ知らないからである。なお、エッジルーターR11とR12との間で既に仮想回線が設定されている場合には、改めて仮想回線を設定しなくともよい。
【0051】
最後のステップS06において、エッジルーターR11とR12とは、仮想回線L16を使って加入者端末装置C11とC12との間のトラフィックを転送するように、自身の経路制御表を更新する。例えばエッジルーターR12は、この短絡経路用の仮想回線L16を使って転送するパケットの宛先外部アドレスを、エッジルーターR11に対して送信することができる。経路制御表の具体的な更新内容に関しては、後述する。
【0052】
なお、以上の例では、経路通知パケットをエッジルーターR11から送信する場合を説明したが、経路通知パケットに含まれる内容をエッジルーターR11が加入者端末装置C11に通知することにより、加入者端末装置C11から経路通知パケットを送信するようにしてもよい。
【0053】
また、経路通知パケットをエッジルーターR12側から先に送信することもできる。この場合には、前述の図3の説明においてエッジルーターR11とR12の役割が逆転する。一般にネットワークに接続する任意の加入者端末装置や加入者ネットワークの間で、短絡経路用の仮想回線を利用したデータ転送を実現するためには、各エッジルーターが、経路通知パケットの送り手としても受け手としても動作するための機能を持つ必要がある。
【0054】
また、図1には示していないが、加入者端末装置がVPN等を使用しており、加入者端末同士でアドレスが重複する可能性がある場合には、経路通知パケットに含まれるアドレス情報は前記の3つだけでは不十分である。つまり、加入者端末装置がVPN等を使用する場合、異なる加入者端末装置が同じ外部アドレスを使用することがあるため、外部アドレスのみでは加入者端末装置を一意に識別することができない。この場合には、エッジルーターと配下の加入者端末装置とを接続する仮想回線L25の識別子等を経路通知パケットに含めることによって、エッジルーターR11やR12において、加入者端末装置を一意に識別することができる。
【0055】
本実施の形態で特徴的なことは、内部ネットワークN10の経路情報を、加入者端末装置間の通常のパケットと同様のヘッダ情報でカプセル化した上で外部ネットワークを経由して転送する点である。これにより、各エッジルーターは、他のエッジルーターに接続された通信相手の加入者端末装置のアドレスをあらかじめ知らなくても、短絡接続すべき通信相手のエッジルーターを容易に見つけ出すことが可能となる。
【0056】
図4に、内部ネットワークN10内を転送されるパケットPACのフォーマットの1例を示す。このパケットフォーマットは、通常のユーザーデータでも経路通知パケットでも共通に用いることができる。パケットPACは、ペイロード102とそれ以外のヘッダ103とを含んでいる。ヘッダ103は、内部宛先アドレス104と内部送元アドレス105とを含む内部ヘッダと、外部宛先アドレス106と外部送元アドレス107とを含む外部ヘッダとからなる。
【0057】
パケットPACを内部ネットワークN10内で転送する際には、内部ネットワーク転送用の内部ヘッダに基づいて転送される。接続する仮想回線L15,L25の種類や内部ネットワークN10の構成によっては、図4とは異なるフォーマットを使用することも可能である。また、内部ヘッダは必ずしもエッジルーターで付与する必要はない。加入者端末装置側であらかじめ内部ヘッダを付与してからエッジルーターに送信することも可能である。
【0058】
例えば、加入者端末装置とエッジルーターとの接続にPPPoEを使用し、外部のインターネットを経由して加入者端末同士が通信を行う場合には、内部ヘッダとしてPPPoEヘッダを利用することができる。この場合には、PPPoEの接続を識別する識別子が内部ヘッダに含まれ、外部ヘッダには送元加入者端末装置と宛先加入者端末装置のIPアドレスが含まれることになる。PPPoEを使用する場合、エッジルーターは、加入者端末装置から受け取ったPPPoEヘッダを他の方式の仮想回線へ乗せかえることもできるし、内部ネットワークN10の構成によってはそのまま転送してもよい。
【0059】
図5に、外部ネットワーク内を転送されるパケットPAC’のフォーマットの1例を示す。外部ネットワーク内を転送する際には、図5に示すように、外部宛先アドレス106と外部送元アドレス107とを含む外部ヘッダに基づいてパケットPAC’を転送することができる。
【0060】
以下の図6〜図8では、図3のステップS02において経路通知パケットが内部ネットワークN10および外部ネットワークを通過する際の、具体的なパケットの内容を例として示す。
【0061】
図6は、内部ネットワークN10内を転送される経路通知パケットPACの1例を示す図である。図6の例では、エッジルーターR11から送信された経路通知パケットPACがエッジルーターR11とR13との間の内部ネットワークN10(仮想回線L15)を通過する場合のパケットPACの内容を示している。エッジルーターR11は、加入者端末装置C11からのパケットPAC’を受信して、ヘッダ103を確認することにより、加入者端末装置C11の外部アドレスA11と、加入者端末装置C11の通信相手の外部アドレスA12とを取得する。
【0062】
続いて、エッジルーターR11は、外部ネットワーク転送用の外部ヘッダに外部送元アドレス107として加入者端末装置C11の外部アドレスA11を設定し、外部宛先アドレス106として通信相手の外部アドレスA12を設定し、内部ネットワーク転送用の内部ヘッダに内部送元アドレス105としてエッジルーターR11の内部アドレスB11を設定し、内部宛先アドレス104としてエッジルーターR13の内部アドレスB13を設定し、ペイロード102に内部送元アドレスとしてエッジルーターR11の内部アドレスB11を設定した経路通知パケットPACを作成する。そして、エッジルーターR11は、作成した経路通知パケットPACをエッジルーターR13に宛てて送出する。内部ヘッダの設定により、エッジルーターR11からR13まで、内部ネットワークN10を経由して経路通知パケットPACを転送することができる。
【0063】
前述のように、経路通知パケットPACは、送元のエッジルーターのアドレスと、送元の加入者端末装置のアドレスと、宛先の加入者端末装置のアドレスとを含んでいる必要がある。図6の例では、加入者端末装置のアドレスA11とA12とは外部ヘッダに含まれているため、ペイロード102の部分に少なくとも送元エッジルーターのアドレスB11を含んでいる必要がある。
【0064】
また、図6には示していないが、加入者端末装置がVPNに接続している場合には、すでに述べたように、エッジルーターとこの加入者端末装置とを接続する加入者仮想回線L25を識別するための識別子を、経路通知パケットPACに含める必要がある。
【0065】
図7は、外部ネットワーク内を転送される経路通知パケットPACの1例を示す図である。図7の例では、図6に示した経路通知パケットPACがエッジルーターR13で経路通知パケットPAC’に作り直され、エッジルーターR13から外部ネットワークヘ向けて転送される際のパケットPAC’の内容を示している。エッジルーターR13は、図6に示した経路通知パケットPACから内部ヘッダを取り除いたものを経路通知パケットPAC’とする。
【0066】
ここで重要なのは、図7に示すように外部ヘッダ中の外部送元アドレス107として加入者端末装置C11の外部アドレスA11が設定され、外部宛先アドレス106として加入者端末装置C12の外部アドレスA12が設定されているため、これらの加入者端末装置C11とC12の間で交換される通常のパケットと同様に、経路通知パケットPAC’が外部ネットワーク中を転送されることである。
【0067】
図8は、内部ネットワークN10内を転送される経路通知パケットPACの他の例を示す図である。図8の例では、エッジルーターR11から送信された経路通知パケットPAC(PAC’)がプロバイダネットワークN23、インターネットN30およびプロバイダネットワークN24を経由した後、エッジルーターR14とR12との間の内部ネットワークN10(仮想回線L15)を通過する場合のパケットPACの内容を示している。
【0068】
このとき、エッジルーターR14は、経路通知パケットPACをエッジルーターR12に転送するために、プロバイダネットワークN24から受信した経路通知パケットPAC’に内部ヘッダを付加する。内部ヘッダには、内部送元アドレス105としてエッジルーターR14の内部アドレスB14が設定され、内部宛先アドレス104としてエッジルーターR12の内部アドレスB12が設定される。それ以外の情報は、経路通知パケットPAC’のままでよい。
【0069】
図9は、エッジルーターR11が加入者端末装置C11から受信したパケットに対して適用する経路制御表T−11の1例を示す図、図10は、エッジルーターR12が加入者端末装置C12から受信したパケットに対して適用する経路制御表T−12の1例を示す図である。経路制御表T−11,T−12は、外部宛先アドレス201をキーにして、内部宛先アドレス202を検索するようになっている。
【0070】
初期状態の経路制御表T−11は、図9に示すように加入者端末装置C11から受信した全てのパケット(任意の外部宛先アドレスを有するパケット)を内部宛先アドレスB13、すなわちエッジルーターR13へ宛てて転送するように設定されている。一方、初期状態の経路制御表T−12は、図10に示すように加入者端末装置C12から受信した全てのパケットを内部宛先アドレスB14、すなわちエッジルーターR14へ宛てて転送するように設定されている。
【0071】
図11は、図3のステップS06で更新された後のエッジルーターR11の経路制御表T−11の1例を示す図、図12は、ステップS06で更新された後のエッジルーターR12の経路制御表T−12の1例を示す図である。ステップS03の処理により、エッジルーターR12は、図8に示した経路通知パケットPACを受信して、外部ヘッダから外部送元アドレス107として外部アドレスA11を取得し、外部宛先アドレス106として外部アドレスA12を取得し、ペイロード102から内部送元アドレスとして内部アドレスB11を取得する。これにより、エッジルーターR12は、配下の加入者端末装置C12の通信相手である加入者端末装置C11が、内部アドレスB11を持つエッジルーターR11に収容されていることを知る(ステップS04)。
【0072】
そして、エッジルーターR12は、図12に示すように、デフォルトの宛先の他に、外部宛先アドレスA11宛のエントリを経路制御表T−12に追加する(ステップS06)。このような経路制御表T−12の更新により、エッジルーターR12は、加入者端末装置C12から受信したパケットの外部宛先アドレスがA11であった場合には、このパケットを内部宛先アドレスB11で表されるエッジルーターR11に転送し、受信したパケットの外部宛先アドレスがA11以外であった場合には、パケットを内部宛先アドレスB14で表されるエッジルーターR14に転送する。
【0073】
また、エッジルーターR12は、ステップS06において、経路通知パケットPACの外部宛先アドレスA12で表される加入者端末装置C12(外部送元アドレスA11で表される加入者端末装置C11の通信相手)が内部アドレスB12を有するエッジルーターR12の先に接続されていることを、エッジルーターR11に通知する。
【0074】
このような通知を行うには、外部ヘッダに外部送元アドレス107として加入者端末装置C12の外部アドレスA12を設定し、外部宛先アドレス106として加入者端末装置C11の外部アドレスA11を設定し、内部ヘッダに内部送元アドレス105としてエッジルーターR12の内部アドレスB12を設定し、内部宛先アドレス104としてエッジルーターR14の内部アドレスB14を設定し、ペイロード102に内部送元アドレスとしてエッジルーターR12の内部アドレスB12を設定した経路通知パケットPACを作成して、エッジルーターR14に宛てて送出すればよい。この経路通知パケットPACは、エッジルーターR11で作成された経路通知パケットと逆の経路を辿ってエッジルーターR11に到着する。また、内部ネットワークN10の仮想回線L16を介してエッジルーターR11に通知してもよい。
【0075】
エッジルーターR12からの通知により、エッジルーターR11は、図11に示すように、デフォルトの宛先の他に、外部宛先アドレスA12宛のエントリを経路制御表T−11に追加する(ステップS06)。このような経路制御表T−11の更新により、エッジルーターR11は、加入者端末装置C11から受信したパケットの外部宛先アドレスがA12であった場合には、このパケットを内部宛先アドレスB12で表されるエッジルーターR12に転送し、受信したパケットの外部宛先アドレスがA12以外であった場合には、パケットを内部宛先アドレスB13で表されるエッジルーターR13に転送する。
【0076】
なお、経路制御表T−11,T−12の2つのフィールドは必ずしも図9〜図12のとおりである必要はなく、本質的には、加入者端末装置が利用する外部ネットワークのアドレス体系で表される宛先と、接続事業者の内部ネットワークN10のアドレス体系で表される宛先とを対応付けることができれば、アドレスの代わりにどのような識別子を用いることも可能である。
【0077】
また、宛先が1つの端末装置ではなく、複数の端末装置から構成されるネットワークの場合には、経路制御表T−11,T12のキーとなる1番目のフィールド201に、外部宛先アドレスだけではなく、宛先ネットワークアドレスや、アドレスマスクを利用することもできる。また、2番目のフィールド202についても、内部宛先アドレスの代わりに宛先エッジルーターを識別するための任意の識別子を利用することができる。また、図9〜図12には示していないが、加入者端末装置がVPNを利用する場合には、経路制御表T−11,T−12を検索するためのキーとしてVPN識別子や、加入者側仮想回線L25の識別子などを追加することも可能である。
【0078】
【発明の効果】
本発明によれば、外部ネットワークの送元から宛先へ転送されるパケットの経路を通知する経路通知パケットを第1のエッジルーターで作成して、この経路通知パケットを外部ネットワークの宛先へ宛てて送出し、経路通知パケットに含まれる情報に基づいて、宛先から送元に至る内部ネットワーク内の新規経路を第2のエッジルーターで設定し、第2のエッジルーターから第1のエッジルーターに対して新規経路を通知し、第2のエッジルーターからの通知に基づいて、送元から宛先に至る内部ネットワーク内の新規経路を第1のエッジルーターで設定し、送元と宛先との間で送受信されるパケットを新規経路を経由して転送するようにしたことにより、エッジルーター間で外部ネットワークを経由した経路情報の交換を行い、内部ネットワークの接続サービスを利用するユーザー(送元と宛先)間に内部ネットワークの新規経路(短絡経路)を設定するようにしたので、外部ネットワークを経由しない短絡経路を簡易に構成することができる。その結果、従来のように大量の経路情報を保持する必要がなくなり、無駄な中継回線のトラヒックの増加を抑制することができ、ネットワーク全体の設備コストを低減することができ、通信の品質を向上させることができる。
【0079】
また、経路通知パケットに、送元を外部ネットワークにおいて識別するための第1の外部識別子と、宛先を外部ネットワークにおいて識別するための第2の外部識別子と、送元を収容する第1のエッジルーターを内部ネットワークにおいて識別するための内部識別子とを設定することにより、送元から宛先へ転送されるパケットの通常経路を第2のエッジルーターに通知することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態に従うネットワークの構成を示すブロック図である。
【図2】 本発明の実施の形態における各装置へのアドレス割り当ての1例を示す図である。
【図3】 本発明の実施の形態における経路更新の手順を示すフローチャートである。
【図4】 内部ネットワーク内を転送されるパケットのフォーマットの1例を示す図である。
【図5】 外部ネットワーク内を転送されるパケットのフォーマットの1例を示す。
【図6】 内部ネットワーク内を転送される経路通知パケットの1例を示す図である。
【図7】 外部ネットワーク内を転送される経路通知パケットの1例を示す図である。
【図8】 内部ネットワーク内を転送される経路通知パケットの他の例を示す図である。
【図9】 本発明の実施の形態におけるエッジルーターの経路制御表の1例を示す図である。
【図10】 本発明の実施の形態におけるエッジルーターの経路制御表の他の例を示す図である。
【図11】 本発明の実施の形態におけるエッジルーターの更新後の経路制御表の1例を示す図である。
【図12】 本発明の実施の形態におけるエッジルーターの更新後の経路制御表の他の例を示す図である。
【符号の説明】
N10…接続事業者の内部ネットワーク、N23、N24…インターネットサービスプロバイダのネットワーク、N30…インターネット、R11、R12、R13、R14…エッジルーター、C11、C12…加入者端末装置、L15、L16、L25…仮想回線、P10…通常経路、P20…短絡経路、B11、B12、B13、B14…エッジルーターの内部アドレス、A11、A12…加入者端末装置の外部アドレス。

Claims (4)

  1. 接続事業者の内部ネットワークと、この内部ネットワークと異なるアドレス体系を有する外部ネットワークとから構成されるパケット転送ネットワークにおいてパケットの経路を制御する動的経路制御方法であって、
    第1のエッジルーターに接続された外部ネットワークの送元から第2のエッジルーターに接続された外部ネットワークの宛先へ転送されるパケットの経路を通知する経路通知パケットを、前記第1のエッジルーターで作成するステップと、
    前記経路通知パケットを前記第1のエッジルーターから前記外部ネットワークの宛先へ宛てて送出するステップと、
    前記外部ネットワークを経由して到着した前記経路通知パケットを前記第2のエッジルーターで受信するステップと、
    前記経路通知パケットに含まれる情報に基づいて、前記宛先から前記送元に至る前記内部ネットワーク内の新規経路を前記第2のエッジルーターで設定するステップと、
    前記第2のエッジルーターから前記第1のエッジルーターに対して前記新規経路を通知するステップと、
    前記第2のエッジルーターからの通知に基づいて、前記送元から前記宛先に至る前記内部ネットワーク内の新規経路を前記第1のエッジルーターで設定するステップと、
    前記外部ネットワークから入力した、前記送元と前記宛先との間で送受信されるパケットを前記新規経路を経由して転送するステップとを実行することを特徴とする動的経路制御方法。
  2. 請求項1記載の動的経路制御方法において、
    前記経路通知パケットは、前記送元を前記外部ネットワークにおいて識別するための第1の外部識別子と、前記宛先を前記外部ネットワークにおいて識別するための第2の外部識別子と、前記送元を収容する前記第1のエッジルーターを前記内部ネットワークにおいて識別するための内部識別子とを含むことを特徴とする動的経路制御方法。
  3. 接続事業者の内部ネットワークと、この内部ネットワークと異なるアドレス体系を有する外部ネットワークとから構成されるパケット転送ネットワークにおいてパケットの経路を制御する動的経路制御装置であって、
    内部ネットワークと外部ネットワークとの境界に設置された第1のエッジルーターと第2のエッジルーターとを有し、
    前記第1のエッジルーターは、
    前記外部ネットワークの送元から宛先へ転送されるパケットの経路を通知する経路通知パケットを作成する作成手段と、
    前記経路通知パケットを前記外部ネットワークの宛先へ宛てて送出する送信手段と、
    前記第2のエッジルーターからの通知に基づいて、前記送元から前記宛先に至る前記内部ネットワーク内の新規経路を設定する第1の設定手段と、
    前記外部ネットワークから入力した、前記送元から前記宛先へのパケットを前記新規経路を経由して前記第2のエッジルーターへ転送する第1の転送手段とを備え、
    前記第2のエッジルーターは、
    前記外部ネットワークを経由して到着した前記経路通知パケットを受信する受信手段と、
    前記経路通知パケットに含まれる情報に基づいて、前記宛先から前記送元に至る前記内部ネットワーク内の新規経路を前記第2のエッジルーターで設定する第2の設定手段と、
    前記第1のエッジルーターに対して前記新規経路を通知する通知手段と、
    前記外部ネットワークから入力した、前記宛先から前記送元へのパケットを前記新規経路を経由して前記第1のエッジルーターへ転送する第2の転送手段とを備えることを特徴とする動的経路制御装置。
  4. 請求項3記載の動的経路制御装置において、
    前記経路通知パケットは、前記送元を前記外部ネットワークにおいて識別するための第1の外部識別子と、前記宛先を前記外部ネットワークにおいて識別するための第2の外部識別子と、前記送元を収容する前記第1のエッジルーターを前記内部ネットワークにおいて識別するための内部識別子とを含むことを特徴とする動的経路制御装置。
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