JP3794862B2 - Power interrupter - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、動力の伝達経路上において、動力の伝達と遮断の切り換えに用いられるタンデム構造の動力断続装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
各種機器や車両において、異なる二つの動力源の回転を選択的に取り出して駆動する場合、動力の伝達経路上に動力断続装置を組み込み使用する必要がある。
【0003】
このような動力断続装置においては、例えば、一方動力源の回転を出力部材に伝達するとき他方動力源と出力部材の結合を解き、他方動力源の回転を出力部材に伝達するときは一方動力源と出力部材の結合を解き、又は、両動力源を出力部材に結合し、出力部材の回転と共に一方動力源で他方動力源を駆動するような機能が要求され、この機能を得るために、二つの動力源と出力部材の個々の結合と切り離しを行う二つのクラッチ機構の採用が必要になる。
【0004】
従来、上記のような動力断続装置は、二つのクラッチ機構を出力部材の軸方向に間隔をおいて配置し、一方のクラッチ機構に一方動力源と連なる入力部材を、他方のクラッチ機構に他方動力源と連なる入力部材をそれぞれ組み合わせた構造になっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような従来の動力断続装置は、二つのクラッチ機構を出力部材の軸方向に間隔をおいて分割配置する関係上、全長が軸方向に長くなり、組み込みスペースが狭い部分には使用することができず、採用できる部分に制約がある。
【0006】
そこで、この発明の課題は、軸方向に対してコンパクト化を図ることができ、組み込みスペースが狭い部分にも採用でき、用途の拡大を実現することができる動力断続装置を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記のような課題を解決するため、請求項1の発明は、動力源からの動力を断続させる装置であって、動力源と接続された入力部材とそれに嵌合して同軸心状に配置された出力部材の対向面の一方に円筒面を、他方にその円筒面との間で楔空間を形成する複数のカム面を形成し、上記入力部材と出力部材の対向面間に設けた保持器のポケットに、入力部材と出力部材の相対回転によって上記円筒面とカム面に係合する係合子を組み込み、弾性部材で上記保持器に係合子を係合しない中立位置に保持するための弾性を付勢して形成した2方向クラッチを、出力部材または入力部材が同一回転するように一体化して軸方向同軸上に2組配置し、両2方向クラッチのロックとフリーを、両2方向クラッチの間に配置した制御手段で各々の保持器を制御することによって行う構成を採用したものである。
【0008】
請求項2の発明は、請求項1の発明において、制御手段が、両保持器に対して作用しないニュートラル位置と、何れか一方の保持器に対して作用する結合位置とを切り換えることができるようになっている構成を採用したものである。
【0009】
請求項3の発明は、請求項1の発明において、制御手段が、何れか一方の保持器に対して常時作用するよう結合位置を切り換えることができるようになっている構成を採用したものである。
【0010】
請求項4の発明は、請求項1の発明において、制御手段が、両保持器に対して作用しないニュートラル位置と、何れか一方の保持器に対して作用する結合と、両保持器に対して作用する結合とを切り換えることができるようになっている構成を採用したものである。
【0011】
請求項5の発明は、請求項1乃至4の発明において、制御手段が、保持器と回転方向に結合した摩擦板と、この摩擦板に対する圧接部材と、該圧接部材を摩擦板に対して圧接する位置と離反する位置に移動させる機械的な移動部材とで形成されている構成を採用したものである。
【0012】
請求項6の発明は、請求項1乃至4の発明において、制御手段が、保持器と回転方向に結合した摩擦板と、この摩擦板に対する圧接部材と、該圧接部材を摩擦板に対して圧接する位置に移動させる電磁コイルとで形成されている構成を採用したものである。
【0013】
請求項7の発明は、動力源からの動力を断続させる装置であって、動力源と接続された入力部材とそれに嵌合して同軸心状に配置された出力部材の対向面の一方に円筒面を、他方にその円筒面との間で楔空間を形成する複数のカム面を形成し、上記入力部材と出力部材の対向面間に設けた保持器のポケットに、入力部材と出力部材の相対回転によって上記円筒面とカム面に係合する係合子を組み込み、弾性部材で上記保持器に係合子を係合しない中立位置に保持するための弾性を付勢して形成した2方向クラッチを、出力部材または入力部材及び保持器をそれぞれ同一回転するように一体化して軸方向同軸上に2組配置し、両2方向クラッチの何れか一方の端部に、保持器を制御することによって2方向クラッチのロックとフリーを行う制御手段を設けた構成を採用したものである。
【0014】
請求項8の発明は、請求項7の発明において、制御手段が、入力部材または出力部材と相対回転不能に嵌合された摩擦フランジと、保持器と回転不能、軸方向可動に嵌合されたアーマチュアと、摩擦フランジとアーマチュアを互いに吸引させる電磁石で形成されている構成を採用したものである。
【0015】
請求項9の発明は、請求項1乃至8の発明において、、前記入力部材が、2方向クラッチの係合子がロックするクラッチ面を有する別体の部材を有する構成を採用したものである。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図示例と共に説明する。
【0017】
図1乃至図5に示す第1の実施の形態において、回転断続装置11は、第1の動力軸と接続されて回転可能に配置された軸体である第1の入力部材12と、この第1の入力部材12と端部が互いに接近するよう同軸上に配置され、第2の動力軸と接続された回転可能の軸体である第2の入力部材13と、両入力部材12と13にわたって外嵌し、軸受14、14で回転可能に支持され、両入力部材12、13と同軸心状に配置された円筒状の出力部材15と、上記第1の入力部材12と出力部材15との間に設けられた第1の2方向クラッチ16と、上記第2の入力部材13と出力部材15との間に設けられた第2の2方向クラッチ17と、両2方向クラッチ16、17の間に配置され、両2方向クラッチ16、17のロックとフリーを制御する制御手段18とで構成され、出力部材15は、第1の2方向クラッチ16の外方部材と第2の2方向クラッチ17の外方部材として同一回転するよう一体化されている。
【0018】
上記第1の2方向クラッチ16と第2の2方向クラッチ17は、共に等しい構造を有し、同一部分に同一符号を付して説明する。
【0019】
図1と図2のように、出力部材15の内径面に円筒面19が形成され、これに対応するよう第1の入力部材12及び第2の入力部材13にスプラインを介して別体のカム部材20が一体に回転するよう固定され、このカム部材20の外径面に所定の間隔をおいて複数の平坦なカム面(クラッチ面)21が形成され、各カム面21は、出力部材15の円筒面19との間で円周方向の両側が狭幅になる楔状空間を形成している。
【0020】
前記第1の入力部材12及び第2の入力部材13に固定したカム部材20の外径面と出力部材15の円筒面19の間に保持器22が外嵌挿入され、保持器22の一端側は環状の支持部材23を介してカム部材20に回転自在に支持され、この保持器22には、図2のように、周方向にカム面21と同じ数のポケット24が形成され、その各ポケット24に係合子としてのローラ25が組み込まれている。
【0021】
ローラ25は、カム部材20の各カム面21に対してそれぞれ1個ずつ組み込まれており、保持器22によって周方向の何れかに所定量移動すると、カム面21と円筒面19の間に係合し、第1の入力部材12と出力部材15及び第2の入力部材13と出力部材15を一体化する。
【0022】
図3で示すように、保持器22とカム部材20の両者には、外端側で周方向の一部に切り欠き部26、27が設けられ、そこに弾性部材であるスイッチばね28を撓ませてその両端部28aをセットする。
【0023】
保持器22とカム部材20は、互いの切り欠き部26、27が合致しているときは、カム部材20のカム面21と保持器22のポケット24及びローラ25の位置関係は、図4で示した如くローラ25が中立位置になるよう設定されており、ローラ25と円筒面19の間に隙間aが存在する。従って、スイッチばね28がセットされていると、第1の入力部材12及び第2の入力部材13と出力部材15は係合されず、空転が可能な状態となる。
【0024】
図1で示すように、第1の2方向クラッチ16と第2の2方向クラッチ17の間に、両2方向クラッチ16と17のロックとフリーを出力部材15の外部から制御する制御手段18が設けられている。
【0025】
この制御手段18は、両2方向クラッチ16と17の隣接する端部に、保持器22と回転方向に結合され、軸方向に移動しないよう対向面間に所定の間隔を形成して拘束された2枚の摩擦板29と、この摩擦板29の対向面間に軸方向への移動が可能となるよう配置され、出力部材15と一体に回転する圧接部材30と、該圧接部材30を摩擦板29に対して圧接する位置と離反する位置に移動させる移動部材31とで形成されている。
【0026】
上記摩擦板29は、カム部材20に対して回転可能に嵌合する環状板で形成され、その外周部と保持器22の端部が切り欠きと突部の係合により、回転方向に一体となるよう結合され、また、圧接部材30は、出力部材15の内部に納まる径を有し、対向する摩擦板29間に位置する環状板32と、出力部材15の外側に位置する溝環33と、環状板32と溝環33を結合する複数本のアーム部34とからなり、出力部材15の略中間部には、アーム部34を内外に貫通させる長孔35がアーム部34の数だけ設けられている。
【0027】
この圧接部材30を軸方向に移動させるための移動部材31は、回転断続装置11の近接位置に第1、第2の入力部材12、13と軸心が平行するロッド36を、適宜固定部分への取付けによって軸方向に移動自在となるよう配置し、このロッド36に固定したフオーク部材37を前記圧接部材30における溝環33に、軸方向へは一体に移動し、圧接部材30の回転を許容するように結合し、ロッド36の途中と固定部分38の間に位置決め機構39を設けた構造になっている。
【0028】
位置決め機構39は、ロッド36に3つの凹部40、41、42を軸方向に並べて設け、固定部分に固定した保持部材43に凹部40、41、42の何れかに係合する弾性が付勢されたボール44を組み込んで形成され、ロッド36を凹部40、41、42の間隔で位置決め停止させることができるようになっている。
【0029】
中央の凹部41は、ニュートラル位置であり、この凹部41がボール44に係合しているとき、圧接部材30の環状板32は、図1に示すように、両2方向クラッチ16、17の摩擦板に対して接触しない中立位置にある。
【0030】
また、図1右側の凹部40は、第1の2方向クラッチ16のロック用で同左側の凹部42は、第2の2方向クラッチ17のロック用となる。
【0031】
図1のニュートラル状態からロッド36を左右何れかに移動させて左右何れかの凹部40、42をボール44に係合させれば、フオーク部材37を介してロッド36と一体に圧接部材30が移動し、環状板32は両2方向クラッチ16、17の何れかの摩擦板29、29に対して接触することになる。なお、環状板32と摩擦板29、29の接触面は、接触時のスリップ発生を防ぐため、粗面に形成してある。
【0032】
図示省略したが、上記ロッド36はロッド36の位置センサを有するモータや油圧等のリニアアクチュエータ等により移動させ、ニュートラル状態と第1又は第2の2方向クラッチ16、17のロックの状態の検出と保持が行えるようになっている。
【0033】
第1の実施の形態の回転断続装置11は上記のような構成であり、ロッド36がニュートラル位置にあるとき、摩擦板29、29に対して環状板32は非接触になり、第1及び第2の2方向クラッチ16、17は、スイッチばね28の作用により、上述のようにローラ25はカム面21に係合しない中立位置へ保持され、第1と第2の2方向クラッチ16、17は共に入力部材12、13と出力部材15の係合を解き、第1と第2の入力部材12、13の回転が出力部材15に伝達されない。
【0034】
第1の入力部材12が回転する状態で、ロッド36を図1の左側に凹部40がボール44に係合する位置に移動させると、ロッド36と一体に移動する圧接部材30の環状板32が第1の2方向クラッチ16の摩擦板29に圧接し、この状態で第1の入力部材12と出力部材15が相対回転しようとすると、圧接部材30の環状板32と摩擦板29の間に発生した摩擦力によって、保持器22と第1の入力部材12を一体化させるため、図5のように、ローラ25はカム面21の中立位置から楔空間の係合位置へ移動し、第1の2方向クラッチ16は第1の入力部材12と出力部材15を結合し、第1の入力部材12の回転が出力部材15に伝達される。
【0035】
このとき、第2の2方向クラッチ17は、第2の入力部材13と出力部材15の係合を解いているので、出力部材15の回転は第2の入力部材13に伝達されることはない。
【0036】
次に、第2の入力部材13が回転する状態で、ロッド36を図1の右側に凹部42がボール44に係合する位置まで移動させると、ロッド36と一体に移動する圧接部材30の環状板32は、第1の2方向クラッチ16の摩擦板29から離れ、これにより、第1の2方向クラッチ16はスイッチばね28の作用により、ローラ25がカム面21に係合しない中立位置へ移動し、第1の入力部材12と出力部材15の結合が解かれる。
【0037】
この後、圧接部材30は第2の2方向クラッチ17の摩擦板29に圧接し、上記した第1の2方向クラッチ16の場合と同様に第2の2方向クラッチ17がロックして第2の入力部材13と出力部材15を結合し、第2の入力部材13の回転が出力部材15に伝達される。
【0038】
このように第1の実施の形態の動力断続装置は、ニュートラルと第1の2方向クラッチ16のロック、第2の2方向クラッチ17のロックの選択ができる3モード型となる。
【0039】
図6は、動力断続装置の第2の実施の形態を示している。なお、上述した第1の実施の形態と同一部分については同一符号を付して説明に代え、相違する部分を説明する。それ以降の実施の形態についても同様である。
【0040】
この第2の実施の形態の動力断続装置11は、移動部材31として、圧接部材30の移動を電磁コイルで行うようにしたものであり、圧接部材30を挟む両側の位置にコイルばね等の弾性部材51を設け、該圧接部材30に両摩擦板29、29から離れた中立位置に常時位置する弾性を付勢し、圧接部材30の溝環33にアーマチュア52を回転可能で軸方向に一体動するよう嵌合し、アーマチュア52を挟む両側の位置に電磁コイル53と53を固定配置し、通電した側の電磁コイル53にアーマチュア52を磁力で吸引して移動させ、この移動で圧接部材30を第1又は第2の2方向クラッチ16、17の摩擦板29に圧接させ、第1又は第2の2方向クラッチ16、17のロックを選択する。
【0041】
このように、第2の実施の形態の動力断続装置は、電磁コイル53と53への通電を切れば、圧接部材30が中立位置に保持されてニュートラルとなり、何れかの電磁コイルへ53の通電を行うことで、第1の2方向クラッチ16のロック、第2の2方向クラッチ17のロックの選択ができる3モード型となる。
【0042】
図7に示す第3の実施の形態の動力断続装置は、第1の2方向クラッチ16のロックと第2の2方向クラッチ17のロックの選択ができる2モード型の例であり、圧接部材30にコイルばね等の弾性部材51で、第1、第2の2方向クラッチ16、17の何れか一方の摩擦板29に対して圧接する弾性を付勢したものである。図7では第2の2方向クラッチ17の摩擦板29に常時圧接する弾性を付勢している。なお、移動部材31は、図1の第1の実施の形態と略同様の構造を採用している。
【0043】
従って、第2の2方向クラッチ17は常にロック状態となり、このままでは第2の入力部材13の回転が出力部材15に伝達され、この状態から移動部材31のロッド36を弾性部材51の弾性に抗して、図5左側に移動させると、第2の2方向クラッチ17はロックが解けてフリーとなり、同時に第1の2方向クラッチ16がロックし、第1の入力部材12の回転が出力部材15に伝達される。
【0044】
この第3の実施の形態の動力断続装置においては、第1の2方向クラッチ16のロック、第2の2方向クラッチ17のロックの選択ができる2モード型となり、移動部材31のロッド36の位置決めは2つの凹部40、42を設けるだけでよく、ロッド36の位置を検出する必要はない。
【0045】
図8に示す第4の実施の形態の動力断続装置は、第3の実施の形態と同様の第1の2方向クラッチ16のロックと第2の2方向クラッチ17のロックの選択ができる2モード型において、圧接部材30の移動を電磁コイルで行うようにしたものであり、圧接部材30にコイルばね等の弾性部材51で、第1、第2の2方向クラッチ16、17の何れか一方の摩擦板29に対して圧接する弾性を付勢し、移動部材31は、圧接部材30の溝環33にアーマチュア52を軸方向に一体動するよう嵌合し、アーマチュア52に対して弾性部材51と同じ側の位置に電磁コイル53を配置したものである。
【0046】
この第4の実施の形態においては、電磁コイル53の通電を切った状態では、第2の2方向クラッチ17が常にロック状態となり、このままでは第2の入力部材17の回転が出力部材15に伝達され、この状態から電磁コイル53に通電すると、弾性部材51の弾性に抗してアーマチュア52を磁力で吸引して移動させ、この移動で圧接部材30を第1の2方向クラッチ16の摩擦板29に圧接させ、第1の2方向クラッチ16がロックし、第2の2方向クラッチ17をフリーにする。
【0047】
図9に示す第5の実施の形態の動力断続装置11は、第1の2方向クラッチ16と第2の2方向クラッチ17のロックとフリーが個々に選択でき、ニュートラル、第1の2方向クラッチ16のロック、第2の2方向クラッチ17のロック及び第1、第2の2方向クラッチ16、17の同時ロックの4モード型の例である。
【0048】
この第5の実施の形態においては、第1の2方向クラッチ16の圧接部材30にコイルばね等の弾性部材51で摩擦板29に対して離反する方向の弾性を付勢し、移動部材31として、圧接部材30の溝環33にアーマチュア52を回転可能で軸方向に一体動するよう嵌合し、アーマチュア52に対して弾性部材51と同じ側の位置に電磁コイル53を配置している。
【0049】
また、第2の2方向クラッチ17においても、これと同様に、圧接部材30にコイルばね等の弾性部材51で摩擦板29に対して離反する方向の弾性を付勢し、移動部材31として、圧接部材30の溝環33にアーマチュア52を回転可能で軸方向に一体動するよう嵌合し、アーマチュア52に対して弾性部材51と同じ側の位置に電磁コイル53を配置している。
【0050】
従って、第1、第2の2方向クラッチ16と17は、電磁コイル53、53への通電切れのとき、共にロックが解かれてフリーとなり、第1、第2の入力部材12、13の回転が出力部材15に伝わらないニュートラルの状態となる。
【0051】
また、何れかの電磁コイル53に対して通電すると、通電した側の第1又は第2の2方向クラッチ16と17がロックし、第1又は第2の2方向クラッチ16と17のロックが選択でき、第1、第2の入力部材12、13の何れかの回転を出力部材15に伝達でき、更に両電磁コイル53、53に対して同時に通電すると、第1と第2の2方向クラッチ16と17を同時にロックでき、第1と第2の入力部材12、13と出力部材15のすべてを連結することができる。
【0052】
図10と図11に示す第6の実施の形態の動力断続装置は、第1と第2の入力部材12、13の相対回転を可能にしたニュートラルの状態と、第1と第2の入力部材12、13と出力部材15のすべてを連結することができる2モード型の例である。
【0053】
この第6の実施の形態の動力断続装置11は、出力部材15が、第1の2方向クラッチ16の外方部材と第2の2方向クラッチ17の外方部材として同一回転するよう一体化され、両2方向クラッチ16と17の保持器22も同一回転するよう一体化されている。
【0054】
第1の2方向クラッチ16と第2の2方向クラッチ17は、図11(A)に示すように、第1と第2の入力部材12、13に固定した別体の円筒部材20aの外周面を円筒面19とし、これと対向する出力部材15の内周面に所定の間隔をおいて複数の平坦なカム面(クラッチ面)21が形成され、各カム面21は、円筒部材20aの円筒面19との間で円周方向の両側が狭幅になる楔状空間を形成し、それぞれに保持器22とローラ25を組み込んで形成されている。なお、保持器22を中立位置に保持するスイッチばね28は、図11(B)に示すように、その両端28aが保持器22の切り欠き26と出力部材15の切り欠き27aとに係合し、保持器22に設けたポケット24は、第1の2方向クラッチ16と第2の2方向クラッチ17で位相を合わせて形成されている。
【0055】
上記スイッチばね28は、図11(B)では保持器22の内側に配置したが、該スイッチばね28は、図11(C)のごとく、出力部材15の内周に沿うよう保持器22の外側に配置し、スイッチばね28の両端28aを内側に屈曲させ、その屈曲基部をストッパーピン54で出力部材15に固定し、両端28aを保持器22の切り欠き26に係合させ、保持器22を中立位置に保持するようにしてもよい。
【0056】
前記両2方向クラッチ16、17の何れか一方の端部、図示では第2の2方向クラッチ17の端部に、保持器22を制御する電磁クラッチ55が、第2の入力部材13と出力部材15の間に納まるように組み込まれている。
【0057】
上記電磁クラッチ55は、出力部材15の端部から外部に突出する固定部材56に電磁コイル57を取付け、この電磁コイル57に対して回転可能に外嵌するロータ58が第2の入力部材13に一体に回転するよう固定され、ロータ58と対面するアーマチュア59が保持器22と回転方向に一体で軸方向に可動となるよう結合されている。
【0058】
この第6の実施の形態の動力断続装置11は、上記のような構成であり、電磁コイル57に通電しないときは、第1の2方向クラッチ16と第2の2方向クラッチ17は、スイッチばね28で保持器22が中立位置に保持され、しかも両2方向クラッチ16、17のポケット24は位相が等しいので、共にフリーの状態となり、両入力部材12、13の回転は出力部材15に伝達されないと共に、両入力部材12、13は相対回転が可能になる。
【0059】
また、第2の入力部材13が回転する状態で、電磁コイル57に通電すると、電磁コイル57、ロータ58、アーマチュア59間で磁気回路が形成され、電磁コイル57の吸引でアーマチュア59がロータ58に圧接して摩擦トルクが発生する。ロータ58は第2の入力部材13と一体に回転し、アーマチュア59は保持器22と回転方向に結合されているので、アーマチュア59がロータ58に圧接すると、保持器22は第2の入力部材13と同方向に回動し、第2の2方向クラッチ17は、ローラ25が楔空間に対して食い込み、第2の入力部材13と出力部材15を結合して回転を伝達する。
【0060】
このとき、第1の2方向クラッチ16においても、そのローラ25が楔空間に対して食い込み、第1の入力部材12と出力部材15を結合し、出力部材15の回転を第1の入力部材12に伝達することができる。
【0061】
電磁コイル57への通電を切れば、アーマチュア59とロータ58の結合が解け、保持器22は中立位置に戻るため、両2方向クラッチ16、17はフリーとなり、出力部材15に対する回転の伝達が停止する。
【0062】
なお、上記の説明は、第2の入力部材13の回転を出力部材15に伝える場合を述べたが、第1の入力部材12の回転を出力部材15に伝えるのも、同様の作動によって行える。
【0063】
また、上記した実施の形態は、全てクラッチの軸側を入力部材とし、一体化された外輪側を出力部材とし、2つの軸入力部材から1つの外輪、すなわち出力部材へ動力が伝達された例であるが、同じクラッチ構成で、逆に入力部材を一体化された外輪側にし、2つの出力部材として、動力を2つの軸へ断続するためのクラッチとして使用できることもこの発明の範疇である。
【0064】
【発明の効果】
以上のように、この発明によると、2方向クラッチを、出力部材が同一回転するように一体化して軸方向同軸上に2組配置し、両2方向クラッチのロックとフリーを、両2方向クラッチの間又は一方2方向クラッチの端部に配置した制御手段で各々の保持器を制御することによって行うようにしたので、入力部材の回転の出力部材に対する伝達と遮断の切り換えが制御手段を制御するのみで行え、しかも、出力部材の共通化により、動力断続装置の軸方向の長さを短くしてコンパクト化を図ることができ、動力断続装置を組み込みスペースが狭い部分にも採用でき、用途の拡大が可能になる。
【0065】
また、両2方向クラッチに対する制御手段の構造を選ぶことにより、ニュートラルやロックの組み合わせからなる切り換えモードの選択肢が広い動力断続装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】動力断続装置の第1の実施の形態を示す縦断正面図
【図2】2方向クラッチの要部を示す縦断側面図
【図3】保持器とスイッチばねの関係構造を示す縦断側面図
【図4】2方向クラッチの要部を拡大した縦断側面図
【図5】2方向クラッチの要部を拡大したロック状態の縦断側面図
【図6】動力断続装置の第2の実施の形態を示す縦断正面図
【図7】動力断続装置の第3の実施の形態を示す縦断正面図
【図8】動力断続装置の第4の実施の形態を示す縦断正面図
【図9】動力断続装置の第5の実施の形態を示す縦断正面図
【図10】動力断続装置の第6の実施の形態を示す縦断正面図
【図11】(A)は第6の実施の形態における2方向クラッチの要部を示す縦断側面図、(B)は保持器とスイッチばねの関係構造を示す縦断側面図、(C)は同保持器とスイッチばねの関係構造を示す他の例の縦断側面図
【符号の説明】
11 動力断続装置
12 第1の入力部材
13 第2の入力部材
15 出力部材
16 第1の2方向クラッチ
17 第2の2方向クラッチ
18 制御手段
19 円筒面
21 カム面
22 保持器
24 ポケット
25 ローラ
28 スイッチバネ
29 摩擦板
30 圧接部材
31 移動部材[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a power interrupting device of a tandem structure used for switching between power transmission and interruption on a power transmission path.
[0002]
[Prior art]
In various devices and vehicles, when selectively driving the rotation of two different power sources, it is necessary to incorporate and use a power interrupting device on the power transmission path.
[0003]
In such a power interrupting device, for example, when the rotation of one power source is transmitted to the output member, the other power source and the output member are uncoupled, and when the rotation of the other power source is transmitted to the output member, the one power source In order to obtain this function, a function is required to uncouple the output member from each other or to connect both power sources to the output member and drive the other power source with one power source as the output member rotates. It is necessary to employ two clutch mechanisms for individually connecting and disconnecting one power source and the output member.
[0004]
Conventionally, the power interrupting device as described above has two clutch mechanisms arranged at intervals in the axial direction of the output member, an input member connected to one power source in one clutch mechanism, and the other power in the other clutch mechanism. The input members connected to the source are combined.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, the conventional power interrupting device as described above is used in a portion where the two clutch mechanisms are divided in the axial direction of the output member and spaced apart in the axial direction, so that the overall length becomes longer in the axial direction and the installation space is narrow. There are restrictions on the parts that cannot be used.
[0006]
SUMMARY OF THE INVENTION An object of the present invention is to provide a power interrupting device that can be made compact in the axial direction, can be adopted even in a portion where the installation space is narrow, and can realize expansion of applications.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
In order to solve the above problems, the invention of claim 1 is an apparatus for interrupting power from a power source, and is arranged coaxially with an input member connected to the power source and the input member. A retainer provided between the opposing surfaces of the input member and the output member, wherein a cylindrical surface is formed on one of the opposing surfaces of the output member, and a plurality of cam surfaces are formed on the other to form a wedge space between the cylindrical surfaces. In the pocket, an engagement member that engages with the cylindrical surface and the cam surface by the relative rotation of the input member and the output member is incorporated, and elasticity for holding the engagement member with the retainer in a neutral position by the elastic member. The two-way clutch formed by urging is integrated so that the output member or the input member rotates in the same direction, and two sets are arranged on the same axis in the axial direction. Each cage is controlled by the control means placed between them. It is obtained by employing the configuration in which by.
[0008]
According to a second aspect of the invention, in the first aspect of the invention, the control means can switch between a neutral position that does not act on both the cages and a coupling position that acts on one of the cages. The structure which becomes is adopted.
[0009]
The invention of claim 3 employs a configuration in which, in the invention of claim 1, the control means can switch the coupling position so as to always act on one of the cages. .
[0010]
According to a fourth aspect of the present invention, in the first aspect of the invention, the control means has a neutral position that does not act on both cages, a coupling that acts on one of the cages, and both cages. A configuration is adopted in which the coupling that acts can be switched.
[0011]
According to a fifth aspect of the present invention, in the first to fourth aspects of the present invention, the control means includes a friction plate coupled with the cage in the rotational direction, a pressure contact member for the friction plate, and the pressure contact member for pressure contact with the friction plate. The structure formed by the mechanical moving member moved to the position which moves and the position which leaves | separates is employ | adopted.
[0012]
According to a sixth aspect of the present invention, in the first to fourth aspects of the present invention, the control means includes a friction plate coupled to the cage in the rotational direction, a pressure contact member for the friction plate, and the pressure contact member for pressure contact with the friction plate. The structure formed with the electromagnetic coil moved to the position to perform is employ | adopted.
[0013]
The invention according to claim 7 is an apparatus for interrupting the power from the power source, wherein the input member connected to the power source and the cylindrical member on one of the opposing surfaces of the output member arranged coaxially and fitted to the input member. A plurality of cam surfaces forming a wedge space between the surface and the cylindrical surface are formed on the other side, and the input member and the output member are placed in pockets of the cage provided between the opposing surfaces of the input member and the output member. A two-way clutch formed by incorporating an engaging member that engages with the cylindrical surface and the cam surface by relative rotation and energizing elasticity to hold the engaging member in a neutral position that does not engage the engaging member with the retainer. The output member or the input member and the cage are integrated so as to rotate in the same direction, and two sets are arranged on the same axis in the axial direction, and the cage is controlled at either end of the two-way clutch by controlling the cage. Control to lock and free the direction clutch It is obtained by employing the structure in which a stage.
[0014]
The invention according to claim 8 is the invention according to claim 7, wherein the control means is fitted so as to be non-rotatable relative to the input member or the output member and non-rotatable and movable in the axial direction. A configuration in which an armature, an electromagnet that attracts the friction flange and the armature to each other is employed is employed.
[0015]
According to a ninth aspect of the present invention, in the first to eighth aspects of the present invention, the input member includes a separate member having a clutch surface on which an engagement element of a two-way clutch is locked.
[0016]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, embodiments of the present invention will be described with reference to the drawings.
[0017]
In the first embodiment shown in FIGS. 1 to 5, the
[0018]
Both the first two-
[0019]
As shown in FIGS. 1 and 2, a
[0020]
A
[0021]
One
[0022]
As shown in FIG. 3, both the
[0023]
When the
[0024]
As shown in FIG. 1, between the first two-way clutch 16 and the second two-way clutch 17, there is a control means 18 for controlling the lock and free of the two-
[0025]
The control means 18 is coupled to the adjacent ends of the two-
[0026]
The
[0027]
The moving
[0028]
The
[0029]
The
[0030]
Further, the
[0031]
When the
[0032]
Although not shown in the drawings, the
[0033]
The
[0034]
When the
[0035]
At this time, since the second two-way clutch 17 disengages the
[0036]
Next, when the
[0037]
Thereafter, the
[0038]
As described above, the power interrupting device according to the first embodiment is a three-mode type in which the neutral and the lock of the first two-way clutch 16 and the lock of the second two-way clutch 17 can be selected.
[0039]
FIG. 6 shows a second embodiment of the power interrupting device. The same parts as those in the first embodiment described above are denoted by the same reference numerals, and different parts will be described instead. The same applies to the subsequent embodiments.
[0040]
The
[0041]
As described above, in the power interrupting device of the second embodiment, when the energization to the
[0042]
The power interrupting device of the third embodiment shown in FIG. 7 is an example of a two-mode type in which the lock of the first two-way clutch 16 and the lock of the second two-way clutch 17 can be selected. In addition, an
[0043]
Accordingly, the second two-way clutch 17 is always in a locked state, and in this state, the rotation of the
[0044]
In the power interrupting device according to the third embodiment, a two-mode type is selected in which the lock of the first two-way clutch 16 and the lock of the second two-way clutch 17 can be selected, and the
[0045]
The power interrupting device of the fourth embodiment shown in FIG. 8 is a two-mode capable of selecting the lock of the first two-way clutch 16 and the lock of the second two-way clutch 17 as in the third embodiment. In the mold, the
[0046]
In the fourth embodiment, when the
[0047]
In the
[0048]
In the fifth embodiment, the
[0049]
Also in the second two-way clutch 17, similarly, the pressing
[0050]
Therefore, the first and second two-
[0051]
When one of the
[0052]
The power interrupting device of the sixth embodiment shown in FIGS. 10 and 11 includes a neutral state in which the first and
[0053]
The
[0054]
As shown in FIG. 11 (A), the first two-way clutch 16 and the second two-way clutch 17 are formed on the outer peripheral surface of a separate
[0055]
The
[0056]
An
[0057]
In the electromagnetic clutch 55, an
[0058]
The
[0059]
When the
[0060]
At this time, also in the first two-way clutch 16, the
[0061]
If the
[0062]
In the above description, the rotation of the
[0063]
In the above-described embodiments, the clutch shaft side is the input member, the integrated outer ring side is the output member, and power is transmitted from the two shaft input members to one outer ring, that is, the output member. However, it is also within the scope of the present invention that, with the same clutch configuration, the input member can be used as an integrated outer ring side, and can be used as two output members as a clutch for interrupting power to two shafts.
[0064]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, two-way clutches are integrated so that the output members rotate in the same manner and arranged in two sets on the same axis in the axial direction, and the two-way clutches are locked and free. Since each cage is controlled by the control means arranged between or one end of the two-way clutch, switching of transmission of the rotation of the input member to the output member and switching of the control controls the control means. In addition, by using a common output member, it is possible to reduce the axial length of the power interrupting device and make it more compact. Enlargement is possible.
[0065]
Further, by selecting the structure of the control means for the two-way clutch, it is possible to provide a power interrupting device with a wide selection of switching modes consisting of a combination of neutral and lock.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal front view showing a first embodiment of a power interrupting device.
FIG. 2 is a longitudinal side view showing a main part of a two-way clutch.
FIG. 3 is a longitudinal side view showing a relational structure between a cage and a switch spring.
FIG. 4 is an enlarged vertical side view of the main part of a two-way clutch.
FIG. 5 is a longitudinal side view of a locked state in which a main part of a two-way clutch is enlarged.
FIG. 6 is a longitudinal front view showing a second embodiment of the power interrupting device.
FIG. 7 is a longitudinal front view showing a third embodiment of the power interrupting device.
FIG. 8 is a longitudinal front view showing a fourth embodiment of the power interrupting device.
FIG. 9 is a longitudinal front view showing a fifth embodiment of the power interrupting device.
FIG. 10 is a longitudinal front view showing a sixth embodiment of the power interrupting device.
11A is a longitudinal side view showing a main part of a two-way clutch in a sixth embodiment, FIG. 11B is a longitudinal side view showing a relational structure between a cage and a switch spring, and FIG. Another example of a longitudinal side view showing the relationship between the cage and the switch spring
[Explanation of symbols]
11 Power interrupter
12 First input member
13 Second input member
15 Output member
16 First two-way clutch
17 Second two-way clutch
18 Control means
19 Cylindrical surface
21 Cam surface
22 Cage
24 pockets
25 Laura
28 Switch spring
29 Friction plate
30 Pressure welding member
31 Moving member
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