JP3790318B2 - 新規遺伝子および該遺伝子を含有する新規酵母 - Google Patents

新規遺伝子および該遺伝子を含有する新規酵母 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子、該遺伝子を含有するプラスミド、該プラスミドを有する酵母、該酵母の育種方法、該酵母を含有するパン生地および該パン生地の製造方法に関する。さらに詳しくは製パン、とりわけリタード工程を含むデニッシュやクロワッサンなどのペストリー、さらに全ての種類のパンにおける冷蔵および冷凍生地に適した酵母、並びにその育種方法、およびこの酵母を含有するパン生地、および該パン生地の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近の製パン業界においては、省力化によるパン製造工程の合理化と、その反面、多様な消費者ニーズに応えるため、冷凍生地法が盛んに行われるようになってきた。しかし、冷凍生地法においては生地の冷凍、輪送、保存、解凍等にコストがかかるだけでなく、さらに冷凍に耐え得る酵母の取得、生地の劣化等の問題点がある。たとえば、生地ミキシング後、冷凍過程において若干の発酵(いわゆる冷凍前発酵)が起こり、エチルアルコールが生地中に生成することによって酵母の冷凍耐性が低下したり、流通過程における冷凍庫の開閉あるいは保管条件の不良による温度上昇のため、せっかく冷凍した生地でも昇温による一部解凍が起こり品質が低下するなどの問題があった。
【0003】
これを解決する手段として、冷凍生地の製造においては冷凍前発酵を抑えるためにミキシング温度を極端に抑え、冷蔵庫のような低温下でミキシングを行い、かつ、急速に冷凍するためにスパイラル急速冷凍機を使用するなどの方法が採用されている。しかし、この方法は、多大なエネルギーを必要とする等の欠点がある。これらの問題点の解決のために、パン生地を冷凍させないで冷蔵状態で保管すると同時に生地の熟成をはかるいわゆる冷蔵生地法が検討されている。
【0004】
しかし、従来から使用されているパン酵母を用いて生地を低温で冷蔵保存しても、発酵速度は常温より遅くはなるものの発酵が進むため、せいぜい、一日程度しか冷蔵保存できないという問題点がある。このため、一部は実用化されているものの、広く応用されるまでには至っていないのが実状である。
【0005】
さらに、デニッシュやクロワッサンなどのペストリーの製造では、ロールインマーガリンをきれいに層状に折り込むため生地を低温処理するいわゆる「リタード法」がとりいれられている。しかしながら、このリタード工程における若干の生地発酵のために、ロールインマーガリンがきれいに折り込まれず、できたパンの層がきれいにならなかったり、生地の冷蔵保管が事実上できないため、成形残生地が活用できず、製パン工程の歩留まりの低下を招いている。
【0006】
そこで、パン生地の冷蔵保存あるいはリタード工程においては、低温状態における発酵力が弱い低温感受性の酵母が求められている。もちろん、該酵母は通常の発酵温度で一般酵母と遜色なく使用できる発酵力を持っていることはいうまでもない。低温で発酵が抑制され、休眠するか、または増殖しないが、通常の培養温度では正常に分裂、増殖する、いわゆる低温感受性酵母としては、リボソームサブユニットに関する低温感受性酵母(A.P.Surguchovら、Biochim.Biophys.Acta.,vo1.654 149‐155(1981)、M.Moritzら、Mol. Cell. Bio1.,vol.11 5681‐5692 (1991))、GTR1遺伝子に関する変異株(M.Bun-yaら、Mol.Cell.Biol.,vol.12 2958-2966(1992))等が知られている。低温感受性酵母の取得法としては、トリチウム自殺法を用いた低温感受性株の取得方法(B.S.Littlewoodら、Mutat.Res., vol.17 315‐322 (1973))等が知られている。しかし、これらの報告されている酵母は日常使用されているパン酵母ではなく、いずれもパン酵母に比べて発酵力が著しく低く、さらに、パンに求められる独特の風味等において劣るため製パン用酵母として利用することがむずかしい酵母である。
【0007】
低温で発酵力が抑制されるパン酵母の取得あるいは育種方法は、特開昭61-195637、特開平4-234939、特開平5-76348、特開平5-284896、特開平5-336872、あるいは特表平7-500006などに報告されている。しかし、いずれの育種方法も複雑で手間がかかり、効率的かつ効果的な育種が困難であるか、あるいは低温での発酵力が抑制される程度が低く実用性に乏しいという問題がある。
【0008】
低温感受性酵母に関する多くの開示から、低温感受性酵母が遺伝的背景に依存してその性質を示すことは明白な事実である。M.Bun-yaら、Mol.Cell.Biol.,vol.12,2958-2966(1992))はGTR1の欠失が酵母を低温感受性にする事を報告している。また、特表平7-500006公報にはlts1〜lts8が開示されているように、低温感受性に関する遺伝子(以下、低温感受性遺伝子)は複数存在し、また該低温感受性については、その感受性レベルにおいて差がある。このような事実は、パン酵母としてより実用性に即した低温感受性遺伝子の選択が重要な課題の一つであることを示している。
【0009】
このように酵母を低温感受性にする原因は、特定遺伝子の破壊(欠失)あるいは遺伝子産物の性質の変化が考えられるが、最適な低温感受性遺伝子の選択のためには、これら遺伝子を同定する必要がある。遺伝子産物の性質が変化する場合においては、例えば、低温感受性に関与する酵素の活性等を指標に、低温感受性を評価することにより最適化が可能になる。また、低温感受性遺伝子にin vitroで変異を導入し、酵母、大腸菌等を用いて発現させ、それらの酵素活性等を指標に評価することにより、低温感受性パン酵母の変異が良好なものかどうかを評価し得る。
【0010】
しかるに、現在取得されあるいは使用されている低温感受性のパン酵母は、いずれも突然変異によって偶然に得られた低温感受性株を育種しているにすぎず、その最も重要な低温感受性という性質が最適化されていない。むしろ、より複雑で手間のかかる育種方法で、低温感受性以外の性質を改善することにより、パン酵母に適した性質を有するように低温感受性株を育種しているのが実状である。またそのような育種すら行わず、単に低温感受性遺伝子を有するという理由のみでパン酵母として利用している場合もあり(特表平7−500006)、必ずしも、最 適な低温感受性酵母とはいえない。
【0011】
優れた低温感受性パン酵母を育種するためには、前述した最適な低温感受性遺伝子の選択に加えて、低温感受性遺伝子の組み合わせによる低温感受性の向上が重要である。例えば酵母は多くの代謝システムを有しているが、少なくとも酵母の代謝システムに関わる遺伝子の一つが低温感受性になることによって低温感受性の形質を示すようになると考えられる。しかし、各代謝システムによってその効果には当然差が生じる。同一代謝系に関連する低温感受性遺伝子を複数組み合わせる、あるいは異なる代謝系に関連する低温感受性遺伝子を複数組み合わせること等は優れた育種方法といえるが、一般的に行われている交雑、胞子形成、あるいは突然変異等の育種技術では困難なのが実状である。このように、低温感受性パン酵母の開発には、低温感受性を付与する遺伝子産物の評価等の確立による効率的な育種方法が望まれている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は、上記問題点を解決するためになされたものである。本願発明の目的は、低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子をクローニングし、その遺伝子を同定することにある。また、この遺伝子産物の機能をin vitroで評価することにより、優良な低温感受性パン酵母を育種し、さらに、複数の低温感受性遺伝子を有する株を育種するという従来の技術では非常に困難であった育種方法を容易に可能とする方法をも提供する。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子に関する。
【0014】
好適な実施態様においては、前記遺伝子が、エネルギー獲得系あるいは糖の膜透過系に関連する遺伝子である。
【0015】
好適な実施態様においては、前記遺伝子が、酵母の第11番染色体左腕に存在しており、以下の制限酵素地図を有するEcoRI-EcoRIの約5.2kb断片:
【0016】
【化4】
Figure 0003790318
【0017】
の中に存在する。
【0018】
好適な実施態様においては、前記遺伝子が、前記EcoRI-EcoRIの約5.2kb断片中のSacI-HpaIの約1.3kb断片中に存在する以下の配列(配列番号1:T1):
【0019】
【化5】
Figure 0003790318
【0020】
を有している。
【0021】
好適な実施態様においては、前記遺伝子が、約1.1kbの配列(配列番号2:T2):
【0022】
【化6】
Figure 0003790318
【0023】
を有する。
【0024】
好適な実施態様においては、前記遺伝子が、該遺伝子中の1または2以上のヌクレオチドが置換、付加または欠失した変異を有し、かつ、発酵力の調節が変異前と同等または向上された遺伝子である。
【0025】
本願発明は、また、上記の遺伝子を有する、低温で発酵力が調節される酵母に関する。
【0026】
本願発明は、さらに、低温で発酵が調節される既存の酵母に対して低温での発酵調節能に関して相補性を示す酵母であって、該相補性を示す酵母の遺伝子は、前記遺伝子中で1または2以上のヌクレオチドが置換、付加または欠失された変異を有することにより低温感受性を示す遺伝子である酵母に関する。
【0027】
また、本願発明は、低温で発酵が調節される既存の酵母に対して低温での発酵調節能に関して相補性を示す酵母に関する。該相補性を示す酵母は、前記遺伝子中で1または2以上のヌクレオチドが置換、欠失または付加された変異を有する遺伝子であって、前記5.2kb断片に含まれる遺伝子に対して相補性を示す遺伝子を有する。
【0028】
本願発明でいう「低温で発酵が調節される既存の酵母に対して低温での発酵調節能に関して相補性を示す酵母」とは、本願発明の酵母であって、該酵母あるいはその胞子株が接合能を有し、かつ低温感受性を示すとき、逆の接合型を示す別の低温感受性酵母と接合することで低温感受性を示さなくなる酵母である。従って、本願発明の酵母が別の低温感受性酵母に対して相補性を示した場合、低温感受性を発現させる遺伝子が、本願発明の酵母と他方の低温感受性酵母とでは異なることを意味する。
【0029】
また、本願発明は、低温で発酵が調節される酵母の遺伝子と相同組換えを起こし得る遺伝子を有する酵母に関する。この相同組換えを起こし得る遺伝子は、前記EcoRI-EcoRIの約5.2kb断片、あるいはその中に含まれるSacI-HpaIの約1.3kb断片に存在する約1.1kbの配列(配列番号2:T2)であり、1または2以上のヌクレオチドが置換、欠失または付加された変異を有する遺伝子である。
【0030】
また、本願発明は、低温で発酵が調節される酵母の遺伝子と相同組換えを起こし得る遺伝子を有する酵母に関し、低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子、エネルギー獲得系あるいは糖の膜透過系に関連する遺伝子中で1または2以上のヌクレオチドが置換、欠失または付加された変異を有する酵母である。
【0031】
本願発明は、さらに、上記の低温で発酵力を調節する遺伝子、あるいはその遺伝子と相同組換えを起こし得る遺伝子を有するプラスミドに関する。
【0032】
また、本願発明は、前記プラスミドを含有する、低温で発酵力が調節される酵母に関する。
【0033】
好適な実施態様においては、前記プラスミドが、それぞれ異なる2以上の発酵力を調節する遺伝子を含むプラスミドを含む、低温で発酵力が調節される酵母である。
【0034】
さらに、本願発明は、低温で発酵力が調節される遺伝子あるいはこの遺伝子を有するプラスミドを有し、低温で発酵力が調節される酵母を含有するパン生地に関する。好適な実施態様においては、パン生地が冷蔵生地である。
【0035】
さらに、本願発明は、前記酵母を含有するパン生地の製造方法に関する。
【0036】
さらに、本願発明は、それぞれ異なる低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子を複数含有する酵母の育種方法を提供する。
【0037】
この方法は、以下の工程:
低温において酵母の発酵力を調節する複数の遺伝子を単離する工程;
低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子を有する胞子株と、他の低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子を有する胞子株とを接合させて、二倍体酵母を作成する工程;
該二倍体酵母に胞子を形成させ、胞子株を取得する工程;
低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子を複数有する胞子株を、該単離した遺伝子をプローブとしてハイブリダイゼーションにより単離する工程;
および、該複数の遺伝子を有する胞子株どうしを接合させる工程;
を包含する。
【0038】
好適な実施態様においては、低温において酵母の発酵力を調節する2つの遺伝子を有する酵母の育種方法である。この方法は、低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子を1つ有する胞子株と、低温において酵母の発酵力を調節する他の遺伝子を1つ有する胞子株とを接合させて、低温において酵母の発酵力を調節する2つの遺伝子を有する胞子株を単離して、酵母を育種する方法である。
【0039】
別の好適な実施態様においては、低温において酵母の発酵力を調節する2つの遺伝子を有する胞子株と、低温において酵母の発酵力を調節する他の遺伝子を有する胞子株とを接合させて、3つ以上の改善された遺伝子を有する酵母を育種する方法である。
【0040】
これらの発明により、上記目的が達成される。
【0041】
以下、本願発明を詳細に説明する。
【0042】
本願明細書において、「遺伝子産物」とは、遺伝子がコードするポリペプチド、tRNA、rRNA等をいう。また「低温感受性」あるいは「低温において酵母の発酵を調節する」とは、20℃以下において野生型パン酵母に比べて発酵力(炭酸ガス発生)が抑制される性質を言う。
【0043】
本願発明の遺伝子は、酵母の第11番染色体左腕に存在するEcoRI-EcoRIの約5.2kb断片に存在する。好適には図1あるいは図2に示す制限酵素地図を有しており、より特定すると、約1.3kbのSacI-HpaI断片に存在する。この遺伝子は、Saccharomyces cerevisiae genome data base YKL098wと命名された、蛋白質コード可能な遺伝子である。
【0044】
以下、本願発明の遺伝子を変異株を利用して取得(クローニング)する方法について述べる。
【0045】
一般に、遺伝子のクローニングは、遺伝子の変異が優性か劣性かによって方法が異なる。変異が優性であるか劣性であるかは、交雑株の遺伝解析によって、遺伝学的に決めることができる。変異が優性の場合には、野生型の宿主親株が低温感受性に変化することを指標にすればよい。変異が劣性の場合には、低温感受性の親株が、形質転換によって野生型に復帰することを指標にすればよい。
【0046】
本願発明の低温で酵母の発酵力を調節する遺伝子の変異(以下、低温感受性遺伝子という場合がある)は、劣性と考えられるので、遺伝子のクローニングは、低温感受性宿主が野生型に復帰することを指標にして行い得る。
【0047】
従って、まず、低温感受性の酵母変異株を取得し、その変異株を宿主として、野生型に復帰させる遺伝子をスクリーニングすることにより、目的の遺伝子が取得され得る。
【0048】
発酵力を調節する遺伝子としては、解糖系の代謝に関与する酵素、あるいは間接的に解糖系に影響を与える、例えばtRNA、rRNA、あるいは糖の膜透過系に関するポリペプチド、または脂肪酸の合成系の酵素のように間接的に糖の膜透過に影響する酵素に関連した遺伝子が考えられる。これらの酵素あるいはポリペプチドをコードする遺伝子をクローニングすることにより、遺伝子が同定され得る。また未同定のポリペプチドをコードするDNA配列も見いだされ得る。これらの解析の結果、本願発明の低温で発酵力を調節する遺伝子、さらに該遺伝子を有する酵母が新規であるかどうかが明らかにされ得る。
【0049】
以下、まず、低温感受性の酵母変異株の取得、およびその低温感受性酵母を形質転換するために好適な宿主を創製することを説明し、次に、目的の遺伝子を有する染色体DNA(遺伝子)ライブラリーの作成、およびそのDNAライブラリーを用いて育種した宿主を形質転換し、目的の遺伝子をクローニングする方法を説明する。
【0050】
(低温感受性酵母の取得)
本願発明の遺伝子を取得するための低温感受性酵母は、自然界からのスクリーニング、ニトロソグアニジン、エチルメタンスルホネート(以下、EMSと記す)、紫外線照射等の変異処理、交雑や細胞融合などによる育種操作によって得られる。ここでは、変異処理して、目的とする酵母を取得する方法を開示するが、この方法に限らないことは言うまでもない。また、1段階の変異処理だけでは、不十分な場合は、変異処理を繰り返す方法、胞子を取得して戻し交雑する方法、細胞融合法などを併用し得る。
【0051】
(A)酵母の変異
ここでは、EMSによる変異法を説明する。使用する培地は以下の通りである。
【0052】
Figure 0003790318
まず、親株のスラントから、1白金耳、YPD培地 5mlに植菌し、30℃、16時間振盪培養する。培養終了後、3000rpm、10分で遠心分離して集菌し、0.1M、 pH7.0のリン酸バッファーで1回洗浄する。菌体を同じリン酸バッファー5mlに懸濁し、EMSを0.15ml添加し、30℃、2時間、時々攪拌しながら処理し、3000rpm、10分の遠心分離で集菌し、リン酸バッファーで洗浄後、20%Na2S2O3を5ml加えて、30℃、10分間静置してEMSを不活性化する。20%Na2S2O3処理を2回行い、生理食塩水5mlで3回洗浄し、ついで生理食塩水5mlに懸濁し、上記組成のYPD寒天プレートに適宜希釈して菌を塗布する。
【0053】
(B)低温感受性酵母のスクリーニング
B-1.1次スクリーニング:マイクロプレート法
ブロムクレゾールパープル(BCP)を用い、高いpHでは青紫色、低いpHでは黄色になるBCPの性質を利用して変異株をスクリーニングする方法である。
【0054】
YPD寒天プレートで生育した株を、1白金耳、YPD培地200μlが入ったマイクロプレートに植菌し、30℃、16時間静置培養する。マイクロプレートの各ウエルにBCP含有YPD培地(上記YPD培地にブロムクレゾールパープル(BCP)30mgを加えたもの)200μlを注入し、このマイクロプレート各2枚に、この培養ブロスを20μlずつそれぞれ移植し、それぞれ10℃および30℃で5時間静置培養する。30℃培養区では良好に生育し、そして良好に発酵するためにブロスのpHが下がり、ブロスの色が黄変するが、10℃培養区では良好に生育するが発酵が抑制されるためブロスのpHが下がらずブロスの色が黄変しない株を選択する。
【0055】
B-2.2次スクリーニング:マイセル法:
2次スクリーニングはマイセル発酵の前後の重量差が大きい株を選択する方法である。使用する培地は以下の通りである。
【0056】
糖蜜培地 マイセル液
糖蜜(糖として) 30g グルコース 80g
硫安 5g (NH4)2HPO 5g
燐安 3g KH2PO4 5g
尿素 2g 水 1000ml
水 1000ml
1次スクリーニングで得られた株を糖蜜培地5mlに1白金耳植菌して、30℃、24時間振盪培養する。この培養液5mlを糖蜜培地50mlに移植し、さらに30℃、24時間振盪培養する。培養後、2本のフラスコから、培養液を併せて80mlとり、3000rpm、10分遠心分離して集菌し、滅菌水で1回洗浄する。100mlのマイセル液に懸濁し、それぞれ50mlを、10℃で15時間、および30℃で5時間培養した。マイセル発酵の前後の重量差をもってマイセル発酵力とし、30℃で良く発酵しており、かつ10℃で発酵力が低い株を選択する。
【0057】
なお、低温下で発酵力が抑制される酵母を取得する観点からは、変異処理した酵母を、増殖する酵母を死滅させる薬剤を含有するYPD培地に接種し、低温下で嫌気状態で培養する工程を加えることが、より効果的である。低温で増殖する菌体が死滅するので、スクリーニングの効率はさらに向上するからである。増殖する酵母を死滅させる薬剤としては、例えば、ナイスタチン、アンホテリシンB、シクロヘキシミドなどが挙げられるが、比較的低濃度で増殖細胞死滅効果のある薬剤であればいずれでもよい。薬剤の培地中の濃度は、ナイスタチンの場合10μg/ml〜50μg/ml、アンホテリシンBの場合、100μg/ml〜500μg/ml、シクロヘキシミドの場合、1000μg/ml〜5000μg/mlが適当である。以上のようにして、低温感受性酵母が取得され得る。
【0058】
(形質転換用低温感受性酵母の育種)
一般的に実用酵母では外来のプラスミドDNAなどを受け入れる、いわゆる形質転換能力は極端に低い場合が多く、また外来遺伝子導入の際に指標として利用されるマーカーもないのが普通である。低温感受性パン酵母に高い形質転換能力と遺伝子マーカーを付与するためには、高形質転換能と遺伝子マーカーを有する実験室株との交雑による育種が効果的である。もちろん突然変異、細胞融合等の技術を利用することによっても育種し得ることはいうまでもない。
【0059】
低温感受性パン酵母としては、交雑による育種を実施するために、一倍体株を利用するのが望ましい。二倍体以上の株では一倍体を作製して用いることができる。高い形質転換能力を示す実験室株とは、例えば、プラスミドYCp50(8kb)による形質転換において形質転換能力が、約1,000形質転換体/μgDNA以上を示すものが好適である。しかし外来DNAを受け取る能力がわずかでもあれば、基本的には本願発明に用いることができる。なお形質転換方法によって形質転換効率は大きく影響を受けるが、一例としてBIO 101社製のALKALI CATI0N YEAST TRANSF0RMATI0N KIT等が使用できる。ただし形質転換法がこの方法に限定されないのはいうまでもない。遺伝子マーカーとしては、例えば、ura3、leu2、trp1、his3(Methods in Enzymology,vol.101,202‐211 R.Wu編 Academic Press)等の栄養要求性、セルレニン耐性(N.Nakazawaら、J.Ferment.Bioeng.vol.76,60‐63(1993))、G‐418耐性(T.D.Webster,Gene,vo1.26 243‐252(1983))等の薬剤耐性が利用され得る。その他、外来プラスミドの形質転換が確認できるマーカーであればどのようなものでも利用し得る。
【0060】
低温感受性パン酵母を宿主とする場合に、適当なマーカーを付与する方法について述べる。低温感受性の一倍体パン酵母と、形質転換能が約5,000形質転換体/μgDNAを示し、ura3、leu2、trp1等の遺伝子マーカーを有する一倍体実験室株とを交雑し、二倍体を作製する。その後、胞子形成培地(Methods in Yeast Genetics, Cold Spring Harbor Laboratory Press)を用いて胞子形成を行い、胞子嚢からマニピュレーション法にて胞子を分離する。得られた胞子株の低温感受性を前述の方法で調べる。更に栄養要求性を分析し、YCp50等の栄養要求マーカーを有するプラスミドあるいはpYI13Gなどの薬剤耐性マーカーを有するプラスミドを用いて、形質転換能を調べる。このようにして、低温感受性であり、形質転換能が高く、かつura3、leu2、trp1等のマーカーを一種あるいは複数種有する低温感受性酵母の宿主が育成され得る。
【0061】
(染色体DNAライブラリーの作成)
酵母染色体ライブラリーの作製は、酵母染色体DNAとYCp50、YEp13等のプラスミドを用いて、Maniatis等の方法(Mo1ecular Cloning、T.Maniatisら、Co1d Spring Harbor Laboratory Press)によって作製できる。酵母染色体DNAはHereford法(L.Herefordら、Cell,vol.18,1261‐1271(1979))や酢酸カリウム法(Current Protocols in Molecular Biology, F. M. Ausubel等編 John Wiley & Sons、New York(1989))を用いて抽出でき、DNA供与酵母は低温感受性遺伝子を含まなければどのような株でも用い得る。また、市販の遺伝子ライブラリー、例えばATCC37415、ATCC37323が利用され得る。ATCC37415あるいはATCC37323から調製されたライブラリーDNAを用いて形質転換を行い、選択マーカーによって形質転換株を選択する。形質転換株は、1,000〜l0,000株程度取得すればよい。上記ライブラリーはそれぞれYCpタイプ、YEpタイプのプラスミドのライブラリーであり、これらのプラスミドは酵母内で、コピー数が相違していることが知られている。
【0062】
(形質転換)
上記宿主への形質転換はプロトプラスト法(S.Harashimaら、Mol.Cell.Biol.,vo1.4,771‐778(1984))、酢酸リチウム法(H.Itoら、J. Bacteriol.,vol.153, 163‐168 (1983))、エレクトロポレーション法、エレクトロインジェクション法(酵母による遺伝子実験法、バイオマニュアルシリーズ、山本正幸編、羊土社)等によって行い得る。またBIO 101社製のALKALI CATI0N YEAST TRANSF0RMATI0N KIT等を用いても実施し得る。
【0063】
ATCC37415を用いて形質転換を行う場合は、選択培地としては、ウラシルを含まない最少培地であればどのような培地でもよく、好適には以下の組成の培地:
Yeast nitrogen base with amino acids 0.67%
Glucose 2.0 %
Casamino acids 0.4 %
Agar 2.0 %
が用いられ得る。
【0064】
ATCC37323を用いて形質転換を行う場合は、選択培地としては、ロイシンを含まない最少培地であればどのような培地でもよい。好適には以下の組成の培地:
Yeast nitrogen base without amino acids 0.67%
Glucose 2.0 %
L-leucine drop‐out mix* 0.2 %
Agar 2.0 %
*drop-out mixは、Methods in Yeast Genetics, A Laboratory Course Manual (M.D. Rose et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Pressに記載されている)が用いられ得る。
【0065】
(低温で酵母の発酵力を調節する遺伝子のクローニング)
目的の遺伝子のスクリーニングは、低温感受性宿主が野生型に復帰することを指標にして行い得る。その一例を述べると、形質転換株をYPGA培地にレプリカし、30℃で2〜3日間培養後、約45℃に保温した色素寒天培地を重層し、直ちに5℃にて一夜保温する。低温感受性酵母は低温で発酵力が著しく抑制されるため、BCPの色調は青紫色のままであるが、低温感受性が解除された株のBCPの色調は黄色に変化する。このようにして、低温感受性の形質を解除する遺伝子を含有するプラスミドで形質転換された株(陽性クローン)が多数選択され得る。
【0066】
また、上記方法とは異なる選択方法も用いられ得る。低温で発酵が著しく抑制される株は、低温でエネルギー獲得系が著しく抑制される株であり、このような株の低温における生育は、野生株に比べて著しく抑制される。形質転換した株を一夜YPD培地で培養後、YPD寒天培地にプレートする。形質転換株のうち5℃で約2カ月間培養後、野生株と同様にコロニーを作る株を多数分離できる。このようにして、複数の陽性クローンが取得され得る。
【0067】
(プラスミドの回収と制限酵素地図)
形質転換株からのプラスミドの抽出はHereford法や、酢酸カリウム法等によって行う。その後、常法に従って、抽出したDNAによりJM109あるいはHB101等の大腸菌を形質転換する。得られた形質転換株を培養し、プラスミドを抽出精製することによってプラスミドが回収され得る。プラスミド中に挿入された目的の遺伝子のマッピング(制限酵素地図の作成)は、市販の各種制限酵素を用いて行われ得る。このようにして、複数の陽性クローンの、それぞれのプラスミドのマッピングを行うと挿入されたDNA断片の共通部分が見いだされ得る。この共通部分に、低温において発酵力を調節する遺伝子が存在すると考えられる。
【0068】
(DNA塩基配列の決定)
低温で発酵力を調節する遺伝子断片の精製には、アガロースゲル電気泳動等が利用され得る。得られた遺伝子断片を、例えば、制限酵素Sau3AあるいはTthHB81等の4塩基を認識する酵素で切断し、マルチクローニングサイトを有するM13ファージ、例えばM13mp18あるいはM13mp19にサブクローニングして、DNAの塩基配列の決定を行う。またM13ファージの代わりにpUC18あるいはpUC19等のプラスミドベクター、pUC118あるいはpTV119Nなどを利用してDNA塩基配列の決定が行われ得る。
【0069】
DNA塩基配列の決定は、Sanger法あるいはMaxamーGilbert法(Molecular Cloning、T.Maniatisら、Cold Spring Harbor Laboratory Press)を用いて行われ得る。例えば、(株)パーキンエルマー ジャパンのTaq DyeDeoxyTM Terminator cycle sequencing Kitを用い、ABI373A DNAシーケンサーによって行うことができる。得られたDNA配列と種々のデーターベースとを比較することによってDNA配列中の遺伝子が同定され得る。国立遺伝学研究所DNAデータベースDDBJ(DNA Data Bank of Japan)等が利用され得る。
【0070】
(低温感受性遺伝子の性質の同定)
低温において発酵力を調節する遺伝子のうち、活性が比較的容易に測定できる遺伝子、例えば、解糖系の酵素群をコードする遺伝子の感受性の程度は、以下のようにして測定され得る。まず、目的の遺伝子産物の無細胞抽出液を調製し(山本正幸編、バイオマニュアルシリーズ10 酵母による遺伝子実験法、羊土社)、次に、in vitroで活性を測定することにより、各酵素の低温感受性が測定され得る。同種類の調節遺伝子を有する低温感受性酵母では、該遺伝子産物の低温における活性を測定することにより、低温感受性が高い株が選択され得る。他方、調節遺伝子が異種である低温感受性酵母間では、それぞれ野生型に対する遺伝子産物の低温における活性の減少の割合を相互に比較することにより、低温感受性の高い株が選択され得る。
【0071】
(変異部位の解析)
低温において発酵を調節する遺伝子が変異を受けている場合、その変異部位の解析には、野生型酵母と低温感受性となった変異型酵母との、それぞれの遺伝子の塩基配列を決定し、比較することが必要である。
【0072】
低温感受性酵母の親株である野生型酵母のDNAライブラリーを作成し、これを用いて、低温において発酵を調節する遺伝子をクローニングした場合には、そのクローニングした遺伝子に対応する低温感受性酵母の遺伝子断片を取得し、配列を比較することにより、変異部位が決定され得る。
【0073】
他方、親株のDNAライブラリーを使用せず、市販のDNAライブラリーを使用する場合には、クローニングした遺伝子断片に対応する、親株およびその変異株である低温感受性株の遺伝子断片の配列を比較する必要がある。
【0074】
クローニングしたDNAに対応するDNA(遺伝子)断片が親株あるいは低温感受性酵母に存在するか否かは、サザンハイブリダイゼーションによって決定され得る(Molecular Cloning, T. Maniatis ら、Cold Spring Harbor Laboratory Press)。
【0075】
酵母からの染色体DNAの抽出は、Hereford法や酢酸リチウム法等を用いて行われ得る。抽出したDNAは、前述した制限酵素地図をもとに種々の制限酵素で切断してアガロースゲル電気泳動を行い、ナイロンフィルターあるいはニトロセルロースフィルターにブロッティングする。プローブとして前記クローニングDNA断片の一部または全部を用い、アイソトープラベルあるいは蛍光ラベルを付し、サザンハイブリダイゼーションに使用する。蛍光ラベルとしては、アマシャムジャパン(株)製のFluorescein Gene ImagesTM random prime module等が利用され得る。また、蛍光ラベルの代わりに32Pラベルも用いられ得る。
【0076】
サザンハイブリダイゼーションの結果から、親株および低温感受性株とも前記クローニングDNA断片と同じ制限酵素マップを有するかどうかが明らかにされる。この情報をもとに親株、低温感受性株の染色体DNAを適切な制限酵素で切断し、目的DNA断片の存在する領域をアガロース電気泳動等で精製をする。このようにして得られたDNAを、例えば、pUC18あるいはpUC19等のプラスミドベクターの適切な制限酵素部位に挿入する。プラスミドベクターの代わりにλファージ等のファージベクターも使用され得る。サザンハイブリダイゼーションに使用するプローブを用いて、コロニーハイブリダイゼーション(Molecular Cloning, T. Maniatisら、Cold Spring Harbor Laboratory Press)を行えば、目的の DNA断片を有するクローンをスクリーニングできる。ファージベクターの場合はプラークハイブリダイゼーション法が用いられ得る。
【0077】
上記の方法によって、低温で発酵力を調節する遺伝子の野生型、変異型の両DNA断片をクローニングすることができる。これらの両DNA断片の塩基配列を決定し、比較することで、該DNAがコードしている遺伝子の変異部位が明らかとなる。
【0078】
(変異の最適化:目的遺伝子への変異の導入)
本願発明の低温で発酵力を調節する遺伝子をさらに最適化することにより、優良な低温感受性株が育種され得る。
【0079】
低温で発酵力を調節する遺伝子が、得られる変異のうち最適であるかどうかを検討するには、野生型遺伝子に人為的に変異を導入し、例えば、大腸菌を用いた発現システムを用いることで多数の変異遺伝子産物を得ることができる。発現システムとしては大腸菌のほか、酵母、枯草菌、動物細胞等のシステムが用いられ得る。遺伝子に人為的に変異を導入する方法としては、化学的または酵素的に変異を起こさせる方法がある。また変異の導入方法としては、ランダムに変異を導入する方法と部位特異的に変異を導入する方法がある。
【0080】
ランダムに変異を導入する方法として、薬剤を用いて化学的にDNAを変異させる方法がある。このような薬剤として、塩酸ヒドロキシルアミン、亜硝酸ナトリウム、ギ酸、ヒドラジンなどが用いられ得る。例えば、塩酸ヒドロキシルアミンを用いた変異では、まず、M13ファージ、例えば、M13mp19の二本鎖DNAに、低温で発酵力を調節する遺伝子のDNA断片を連結させる。連結されたDNAをE.coli JM109などに感染させて培養する。培養後、ファージDNAを調製して、得られたファージ粒子に変異反応を行う。変異反応は塩酸ヒドロキシルアミシを用いて行われ得る。塩酸ヒドロキシルアミンとしては、0.1Mから2M、好ましく は0.25M、pHが6.0から8.0、好ましくは6.0のものが用いられ得る。反応は37℃で、1時間から24時間行い得る。この変異反応を行ったファージ粒子を、E.coli JM109などに感染させ、変異が導入された二本鎖組換えDNAを回収する。回収された変異遺伝子は、プラスミドに移すことにより、調製され得る。
【0081】
亜硝酸ナトリウム、ギ酸、ヒドラジンなどを用いる変異方法は、基本的には、Myers K.Wらの示す方法(Science,vol.229,242‐247(1985))が用いられ得る。この方法は、調節遺伝子を組み込んだ組換えM13ファージから一本鎖DNAを調 製し、これを変異処理することによって行い得る。
【0082】
亜硝酸ナトリウムを用いる場合、0.5Mから2M、好ましくは1Mの濃度で行い、pHが酸性側、好ましくはpH4.3、4℃から37℃、好ましくは25℃の反応温度で、1分から5時間、好ましくは30分間反応させることにより行なわれ得る。
【0083】
ギ酸を用いる場合、12Mの濃度で、4℃から37℃、好ましくは15℃で、2分から10分間反応させることにより行われ得る。ヒドラジンを用いる場合、25℃で3分から10分間処理することによって行なわれ得る。
【0084】
これらの反応で変異された一本鎖DNAは、大腸菌DNAポリメラーゼのクレノー(Klenow)フラグメントあるいはSequenaseRなどを用いて二本鎖化し、プラスミドに組み込むことによって、変異遺伝子を調製し得る。
【0085】
また、酵素反応を用いるランダム変異の方法としては、PCR反応(ポリメラーゼ連鎖反応)を用いる方法(D. W. Leun等、Journal of Methods in Cell and Molecular Biology,vol.1,11‐15(1989))が挙げられる。これはTaq DNAポリメラーゼを用い、遺伝子の両端の配列を持つ合成DNA(DNAプライマー)からそれぞれ遺伝子を合成するものである。この場合の反応条件、例えば、通常の反応よりMgCl2濃度や基質(dNTPs)の濃度を上げる、あるいは、4種の基質のうち1種類のみの濃度を極端に低下させるなどの反応条件を用いて、TaqDNAポリメラーゼによる遺伝子合成に誤りを起こさせることにより、変異を有する遺伝子を調製することができる。
【0086】
遺伝子の変異を部位特異的に導入する方法としては、オリゴヌクレオチドを用いるin vitro部位特異的変異導入法、変異部位のカセット置換法、PCR反応を用いる方法などを挙げることができる。オリゴヌクレオチドを用いてin vitroで部位特異的に変異を導入する方法は、遺伝子を挿入したM13組換えファージから一本鎖DNAを調製し、変異させたい部分の変異後の配列を含む合成DNAプライマーを用いて、DNAポリメラーゼクレノー断片のような酵素により二本鎖化する方法である。二本鎖化されたDNAをE.coliに導入することによって、変異が導入された遺伝子が調製され得る。このin vitro部位特異的変異導入は、市販のキット、例えば宝酒造(株)の「MutanTM-K」あるいは「MutanTM-G」、アマシャム・ジャパン(株)の「オリゴヌクレオチドを用いた部位特異的in vitro変異体作製システムversion 2.0」を用いて、簡単に行い得る。
【0087】
変異部位のカセット置換法は、変異させたい部位を含む制限酵素断片を、変異を含む合成DNAでそっくり置換することによって行い得る。
【0088】
PCR反応を用いる変異導入は、イトウら(W. Itoら、Gene, vol.102, 67‐70(1991))の方法等に従って行ない得る。この方法は、変異させたい部位を含む 合成DNAプライマーと遺伝子末端の合成DNAとを用いてPCR反応を行ない、合成されたDNAと遺伝子全長のDNAとをハイブリダイズさせた後、酵素により伸長させて、変異させたい部位を含む遺伝子全長を合成するPCR反応を再び行う方法である。
【0089】
このようにして変異を導入した遺伝子を、大腸菌の発現ベクター、例えば、pKK233‐2、pKK233‐3(ファルマシアバイオテック社)に組み込み、JM105等の大 腸菌に導入する。これらの株を培養し、IPTG等の形質発現誘導剤を添加することによって所望のポリペプチドが発現され得る。発現されたポリペプチドの性質に従って抽出、精製が行われ得る。精製された遺伝子産物(ポリペプチド)を用いてそれぞれ高温(例えば30℃)、低温(例えば0℃〜20℃,好ましくは5℃〜15℃)で活性を測定し、温度による活性の差を求める。このうち高温では通常レベルかそれ以上の活性を示し、低温では野生型より著しく活性を減じる遺伝子産物が選択され得る。
【0090】
人為的に変異を導入した遺伝子の産物(ポリペプチド)の温度感受性を比較すると、突然変異等によって取得した低温感受性遺伝子が、さらに低温での発酵力抑制機能を向上できるかどうかを知ることができる。このため、この遺伝子産物の低温での発酵力抑制機能の向上が期待できる場合には、さらに多くの突然変異株のスクリーニングを実施し、優れた低温感受性を示す遺伝子を含有する酵母を選択することができる。このように遺伝子への人為的な変異導入は低温感受性を示す酵母のスクリーニングに有益な情報をもたらし、遺伝子のクローニングがそれを可能とする唯一の手段を提供する。
【0091】
また、この技術の応用例として、変異が導入された最適の遺伝子を選択し、その遺伝子を野生型パン酵母の遺伝子と置換し、優良菌株を育種し得る。一般的に、酵母ではin vivoにおける遺伝子の相同組換えを利用した遺伝子置換は比較的容易に実施でき、また、低温で発酵力を調節する2つ以上の遺伝子についても同様に遺伝子置換する事が可能である。このように本願発明は、遺伝子組換え技術を利用した低温感受性パン酵母の育種をも可能とする。
【0092】
(プラスミド)
上記の方法で得られた、目的とする低温において発酵力を調節し得る遺伝子は、適当なプラスミドに組み込むことが可能であり、酵母を形質転換する事ができる。プラスミドとしては、酵母の中で保持されるものであれば、いずれをも使用し得る。例えば、YIp、YEp、あるいはYCpに代表される酵母のプラスミドが使用され得る。好適には、YIp1、YIp5、YCp50、YEp13等のプラスミドが用いられ得る。
【0093】
このようにして取得された低温において発酵力を調節し得る遺伝子を有するプラスミドをパン酵母に導入し、形質転換された酵母が取得され得る。
【0094】
プラスミドには、それぞれ異なる2以上の発酵力を調節する遺伝子が含まれていてもよい。また、それぞれ異なる遺伝子を有するプラスミドを複数個、酵母に形質転換してもよい。
【0095】
(育種)
前述の方法によって低温で発酵力を調節する遺伝子を含有する酵母を多数取得できる。酵母の遺伝子間の異同は、相補性試験などの遺伝学的な方法を用いて判定し得る。ただし、遺伝子内部の変異の違いを明らかにするのは、困難な場合が多い。
【0096】
交雑等の育種技術を用いて、低温で発酵力を調節する遺伝子を一種類含有する酵母から、複数の異なる調節遺伝子を含有する酵母を育種することは優れた低温感受性酵母を提供する方法である。
【0097】
遺伝学的手法を用いた方法では、交雑等を含め、詳細な四分子解析を行うことが必要である。一般的に胞子株には、生育の悪い株あるいは全く発芽しない株が出現する場合があり、特に実用的なパン酵母においてこの傾向が強い。このため、四分子解析が困難になり、複数の、それぞれ異なる低温で発酵力を調節する遺伝子を含有する一倍体株の選別を容易に行うことができない場合が多い。このように、遺伝学的手法を用いた方法では、多大な労力と時間を要するのが実状である。
本願発明においては、実用的な酵母(例えばパン酵母)などの四分子解析の適用が困難な酵母を育種する方法が提供される。また、低温で発酵力を調節する複数の遺伝子を含有する酵母を容易に育種する方法も提供する。
【0098】
本願発明のような遺伝子は、栄養要求性等の明確なマーカーとは異なり、容易かつ正確に評価することができない。従って、遺伝子発現の程度をいちいち検討する必要がある。従って、従来から用いられている四分子解析のような方法では、形成された胞子すべての発酵力を検討しなければならないので効率的ではない。そこで、いったん、目的の遺伝子を単離した場合に、それを用いて実用酵母を育種する方法が提供される。
【0099】
以下、低温で発酵力を調節する複数の遺伝子を含有する酵母を育種する方法を説明する。
【0100】
まず、低温において酵母の発酵力を調節する複数の遺伝子を単離する。遺伝子の単離は、上記の方法で行われ得る。この単離された遺伝子は、育種の際のプローブに使用される。次に、低温感受性酵母に胞子を形成させ、低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子を有する胞子株を単離する。次に、異なる低温感受性遺伝子を有し、かつ接合型の異なる胞子株を接合させて、二倍体酵母を作成する。この二倍体酵母に胞子を形成させ、胞子株を取得する。この中から上記遺伝子をプローブとして、低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子を複数有する胞子株を検出し、単離する。このようにして選択した、発酵力を調節する複数の遺伝子を有し、かつ接合型が異なる胞子株どうしを接合して、目的の酵母を育種する事ができる。
【0101】
好適には、低温において酵母の発酵力を調節する2つの遺伝子を有する酵母が育種され得る。この方法は、低温において酵母の発酵力を調節する遺伝子を1つ有する胞子株と、低温において酵母の発酵力を調節する他の遺伝子を1つ有する胞子株とを接合させて、低温において酵母の発酵力を調節する2つの遺伝子を有する胞子株を単離して、酵母を育種する方法である。
【0102】
さらに、酵母の発酵力を調節する3つ以上の遺伝子を有する酵母を育種し得る。低温において酵母の発酵力を調節する2つの遺伝子を有する胞子株と、低温において酵母の発酵力を調節する他の遺伝子を有する胞子株とを接合させて、発酵力を調節する3つ以上の遺伝子を有する酵母を育種し得る。
【0103】
別の好適な実施態様においては、2つの改善された遺伝子を有する胞子株と、他の改善された遺伝子を有する胞子株と接合させて、3つ以上の改善された遺伝子を有する酵母を育種する方法である。
【0104】
2つの遺伝子を導入する場合をより具体的に説明する。一倍体である胞子の中から、互いに異なる2種類の低温感受性遺伝子をあわせ持つ株を選別するためには、M. D. Roseらの方法(Methods in Yeast Genetics, A Laboratory Course Manual、Cold Spring Harbor Laboratory Press)を用いたコロニーハイブリダイゼーションを実施するのが好適である。プローブとしては、例えば、遺伝子の変異部位の前後をコードするDNA配列に従って、変異塩基を中心に5'側、および3'側それぞれ10ヌクレオチドからなる21ヌクレオチドのプローブが好適に使用され得る。プローブの配列および鎖長は、野生型と変異型合成DNAとが、コロニーハイブリダイゼーションにおいて、解離条件として検出できるような差があれば、どのようなものでも使用し得る。γ-32P-ATPあるいは蛍光試薬にてDNAの末端をラベルすればプロ一ブとして用いられ得る。二種類のプローブについて変異型DNAにはハイブリダイズしたままであるが、野生型DNAからは解離する洗浄条件をそれぞれ決定する。
【0105】
まず、互いに異なる低温感受性遺伝子を含有し、接合型が異なる一倍体酵母どうしを接合させて二倍体株を作成する。二倍体化は交雑のみではなく、細胞融合等によっても行い得る。得られた二倍体栄養細胞を胞子形成培地に塗付することによって胞子形成を行ない、マニピュレーションやランダム胞子分離によって胞子を分離する。通常二倍体株から一倍体胞子が4つ分離される。得られた胞子株は両親の染色体を混合した形で受け継ぎ、その中には両親の相同染色体間で組み換えを起こしている染色体を含む場合もある。この胞子株の中から、上記の方法で二種類の遺伝子の変異型プローブにはハイブリダイズしたままであるが、野生型プローブからは解離してしまう染色体DNAを持つ胞子株を選択する。この株は二種類の低温感受性遺伝子をあわせ持つ胞子株であり、その中の互いに接合型の異なる株どうしを接合させて、2種類の低温感受性遺伝子を持つ二倍体株を作成し得る。こうして育種した株のほとんどは、親株が示す低温感受性よりも向上した低温感受性を有している。
【0106】
このようにして、目的の低温感受性の酵母が育種され得る。このようにして得られた酵母は、低温で発酵力が抑制されているため、冷蔵生地製法による製パンに使用される。
【0107】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本願発明をさらに詳細に説明するが、これらの実施例は本願発明を制限するものではない。
【0108】
なお、本願発明において使用される主な培地は下記のとおりである。
【0109】
(YPDA培地)
Bacto-yeast extract 1%
Bacto-peptone 2%
Glucose 2%
Adenine Hydorochloride 0.04%
YPDA寒天培地は、このYPDA培地に2%の寒天を加えた培地である。
【0110】
(糖蜜培地)
糖蜜(糖として) 3.0%
硫安 0.5%
燐安 0.3%
尿素 0.2%
(YPGA培地)
Bacto-yeast extract 1 %
Bact-polypeptone 2 %
Glycerol 3 %
Adenine Hydrochloride 0.04%
Bacto-agar 2 %
(カザミノ酸培地)
Yeast nitrogen base with amino acids 0.67%
Glucose 2.0 %
Casamino acids 0.4 %
Bacto-agar 2.0 %
(マイセル液)
Glucose 3 %
Diammonium hydrogen phosphate 0.5%
Potassium Dihydrogen phosphate 0.5%
(色素寒天培地)
Bacto-yeast extract 0.5%
Bacto-polypeptone 1 %
Sucrose 10 %
2%BCP/Et0H 1 %
Bacto-agar 0.8%
(最少培地)
Yeast nitrogen base without amino acids 0.67%
Glucose 2.0 %
drop-out mix* 0.2 %
Bacto-agar 2.0 %
*drop-out mixは、Methods in Yeast Genetics, a Laboratory Course Manual(M.D.Rose et al.,Cold Spring Harbor Laboratory Press)に記載されている。
(ロイシン非含有寒天培地)
Yeast nitrogen base without amino acids 0.67%
Glucose 2.0%
L-Leucine drop-out mix 0.2%
Bacto-agar 2.0%
【0111】
また、実施例に用いたプラスミド、ファージ、DNA、種々の酵素、大腸菌、酵母などを扱う詳しい種々の操作は、以下の雑誌、成書に記載されている。
1.蛋白質・核酸・酵素、26(4),(1981)臨時増刊「遺伝子操作」(共立出版)
2.蛋白質・核酸・酵素、35(14),(1990)臨時増刊「遺伝子操作1990」(共立出版)
3.バイオマニュアルシリーズ10「酵母による遺伝子実験法」山本正幸編集 羊土社
4.Methods in Yeast Genetics, A Laboratory Course Manua1, M.D.Roseら、
Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,New York
5.Molecular Cloning, a Laboratory Manual,Maniatisら、
Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor,New York
6.Methods in Enzymology, L.Grossmanら編,29巻 Academic Press
7.Methods in Enzymology, R.Wuら編,65巻 Academic Press
8.Methods in Enzymology, R.Wuら編,101巻 Academic Press
9.Methods in Enzymology, B.Kimmel編,152巻 Academic Press
10.Methods in Enzymology, G.Fink編,194巻 Academic Press
【0112】
(実施例1)
鐘淵化学工業株式会社保存の胞子株53R株を親株として用い、前記(A)の EMS法による変異を行い、前記(B)のスクリーニングを行った。その結果、53R-2-120、53R-2-170、および53R-5-89と命名した3株の低温感受性の一倍体酵母を得た。53R-2-170株は、工業技術院生命工学工業技術研究所に、Saccharomyces cerevisiae53R-2-170(FERM P-15666)として寄託されている。53R-5-89株は、工業技術院生命工学工業技術研究所に、Saccharomyces cerevisiae53R-5-89(FERM P-15667)として寄託されている。これらの株について、5℃低糖生地発酵力、30℃低糖生地発酵力を測定した。低糖生地での発酵力は、イースト工業会で定められた低糖生地発酵力に準じて、以下の原料配合:
小麦粉 100g
酵母 2g
庶糖 5g
食塩 2g
水 62g
により、生地を捏上温度が20±1℃になるようにミキシングし、生地をシリンダーにいれて、あらかじめスタート時の生地量を測定した。5℃、24時間発酵させた後の生地量とスタート時の生地量との差を5℃(低温)低糖生地発酵力とした。
【0113】
また、上記原料配合により、生地を捏上温度が30±1℃になるようにミキシングを行い、生地をシリンダーに入れてあらかじめスタート時の生地量を測定した。30℃、80分発酵させた後の生地量とスタート時の生地量との差を30℃低糖生地発酵力とした。結果を表1に示す。
【0114】
【表1】
Figure 0003790318
【0115】
変異株の5℃(低温)低糖生地発酵力は、対照株の53R、カネカレッドイーストに比べて非常に低く、30℃低糖生地発酵力は、対照とほぼ同等の値を示した。
【0116】
(実施例2)
親株53Rおよびこの株に由来する実施例1で取得した53R-2-120株の低温感受性酵母の形質転換能力を調べた。プラスミドとしてLEU2、G‐418耐性マーカーを有するpYE13G(ATCC37276)を0.1〜l0μg使用し、BIO 101社製ALKALI CATI0N YEAST TRANSF0RMATI0N KITを用いて形 質転換を行った。G‐418(250μg/m1)を含有するYPDA培地にて30℃3日間培養後、出現したコロニーをカウントした。対照としてSH2676株(接合型a:ura3-52、leu2-3、112、trpl、his1-29、pho3-1、pho5-1)を用いた。結果を表2に示す。
【0117】
【表2】
Figure 0003790318
【0118】
(実施例3)
低温感受性株53R-2-120の形質転換能を向上させ、かつ選択マーカーを付与するために形質転換能の高い実験室株と交雑した。SH2676株を交雑の片親として用いた。実施例2で示した方法を用いて、pYE13Gを用いてSH2676株を形質転換し、SH2676(pYE13G)を作製した。
【0119】
53R-2-120(接合型α)株、SH2676(pYE13G)株をそれぞれYPDA寒天培地にストリークし、30℃、2日間培養した。YPDA寒天培地に53R-2-120株とSH2676(pYE13G)株を十字にレプリカし、30℃、1日培養した。その後、250μg/m1のG-418を含有する最少培地にレプリカし、更に30℃、3日間培養した。生育してきたコロニーを単離し、Fowellの胞子形成培地にストリークし、30℃にて胞子を形成させた。胞子形成が認められた株を交雑株とした。各交雑株をYPDA培地にて数回継植しプラスミドを脱落させた。プラスミドの脱落の確認は、G-418感受性の復帰を指標として行った。
【0120】
交雑株53R-2-120/SH2676の胞子をマニピュレーションによって分離した。低温感受性でかつウラシル要求株のうち、生育が良く、低温感受性の色素プレートによる判定が明確であった53R-2-120/SH27(接合型α;ura3-52、leu2-3、112、trp1、his1-29、lts(低温感受性変異))(以下W27と略す)を選択した。この低温感受性でかつウラシル要求株の形質転換効率をYCp50を用いて測定した。結果を表3に示す。
【0121】
【表3】
Figure 0003790318
【0122】
(実施例4)
W27株の低温感受性を野生型に復帰させる遺伝子のクローニングを行った。野生株の遺伝子ライブラリーとしてM.Roseによって作製され、ATCCを通して分譲されているATCCNo.37415(Name of Library:CEN BANK)を使用した。BIO 101社製ALKALI CATI0N YEAST TRANSF0RMATI0N KITを用い、同キットのプロトコールに従って、W27株をCEN BANKのDNAを用いて形質転換した。形質転換株はカザミノ酸寒天培地にて30℃、2日間培養することによって得られた。
【0123】
形質転換株をYPGA培地と、マスタープレートとしてカザミノ酸寒天培地にレプリカし、30℃、2〜3日間培養した。YPGA培地で生育したコロニー上に色素寒天培地10m1を重層し、5℃で、一夜培養した後、黄色のハローを形成したコロニーをスクリーニングした。低温感受性株は、BCPの青紫色の色調を変化させなかった。約8、000株の形質転換株をスクリーニングした結果、4株の陽性株が得られた。これらの株をRTS301〜 RTS304とそれぞれ命名した。
【0124】
得られた陽性株4株からプラスミドを脱落させるために、5-フルオロオロチン酸を含む寒天培地(Methods in Enzymology, G.Fink編,vol.194,302‐319(1991))にそれぞれの株をストリークした。30℃で培養した結果、プラスミドの脱落した株がそれぞれ取得された。これらの株を再びYPGA培地にレプリカし、低温感受性の有無を色素寒天培地で調べた結果、4株のうち2株(RTS301およびRTS302)が低温感受性を示し、2株(RTS303およびRTS304)は低温感受性を示さなかった。2株の陽性株(RTS301、RTS302)からプラスミドの回収を行なった。2株からHereford法によりDNAを抽出精製し、E.coli HB101に形質転換し、プラスミドを回収した。それぞれをpRCAおよびpRCBと命名した。各プラスミドを用いて、W27株を宿主として、再度形質転換を行ない、それぞれ形質転換株を得た。各株について低温感受性の有無を色素寒天培地にて調べた結果、pRCAおよびpRCBはともに低温感受性を野生型に復帰させる事がわかった。
【0125】
以上の結果から、RTS301株およびRTS302株がそれぞれ保持するプラスミドpRCAおよびpRCBには、W27株の低温感受性を野生型に復帰させるDNA断片がクローニング化されていることが判明した。図1に、プラスミドpRCAに存在する上記DNA断片の制限酵素地図を示した。
【0126】
(実施例5)
次に、低温感受性を野生型に復帰させる遺伝子領域を特定するための実験を行った。pRCAをEcoRIで切断し、アガロース電気泳動後、切断された挿入DNA断片をGENE CLEAN(BIO 101社製)を用いて抽出した。DNA Ligation Kit ver.2を用いて、それぞれのDNA断片をEcoRIによって切断したpRS316(Robert S. Sikorskiら Genetics, 122:19-27 (1989))にライゲーションを行なった。E.coli HB101を形質転換し、得られた形質転換株からプラスミドを抽出した。プラスミドをEcoRI等種々の制限酵素で切断、解析を行なった結果、約5.2kbのEcoRI-EcoRI断片にW27株の低温感受性を野生型に復帰させる酵母染色体DNA断片を含むプラスミドpRCA6が得られた。プラスミドpRCA6はE.coli HB101に導入され、工業技術院生命工学工業技術研究所に、E.coli HB101(pRCA6)(FERM-15668)として寄託されている。
【0127】
このpRCA6をHindIIIによって切断し、DNA Ligation kit ver.2を用いてライゲーションを行なった。E.coli HB101を形質転換し、得られた形質転換株からプラスミドを抽出した。プラスミドをHindIII等種々の制限酵素で切断、解析を行なった結果、酵母染色体DNA内のHindIII部位からpRS3 16のHindIII部位までの約2.3kbが欠失したpRCA14が得られた。
【0128】
pRCA6をHpaIとSacIによって切断し、アガロースゲル電気泳動後GENE CLEAN (BIO 101社製)を用いて、約1.3kbの断片を抽出した。この抽出断片をSmaIとSacIによって切断したpRS316にDNALigation Kit ver.2を用いてライゲーションを行なった。E.coli HB101を形質転換し、得られた形質転換株からプラスミドを抽出した。プラスミドをSacI等種々の制限酵素で切断、解析を行なった結果、酵母染色体DNA内のHpaI部位からSacI部位までの約1.3kbが挿入されたpRCA16が得られた。
【0129】
pRCA6をHindIIIで切断し、上記の方法で約1.3kbの断片を抽出し、HindIIIによって切断したpRS316にライゲーションを行った。これを上記の方法で、形質転換、プラスミドの抽出、解析を行った結果、約1.3kbのHindIII断片が挿入されたpRCA19が得られた。
【0130】
それぞれのプラスミドの制限酵素地図を図2に示した。上記の方法で作製したpRCA6、pRCA14、pRCA16及びpRCA19それぞれを用いて前述した方法に従いW27株を形質転換し、カザミノ酸培地にて形質転換株を選択した。それぞれの形質転換株の低温感受性について色素寒天培地を用いて調べた。結果を表4に示した。
【0131】
【表4】
Figure 0003790318
【0132】
この結果からpRCA6のEcoRI部位からEcoRI部位までの約5.2kbのDNA断片上に、W27株の低温感受性を解除する遺伝子が存在し、更にはpRCA16のSacI部位からHpaI/SmaI部位までの約1.3kb DNA上にW27株の低温感受性を解除する遺伝子が存在している可能性が高いことが明らかになった。
【0133】
(実施例6)
実施例5において決定した低温感受性を解除する遺伝子領域、すなわちSacI部位からHpaI部位までの約1.3kbの塩基配列の決定を行なった。pRCA6のEcoRI切断を行ない、約5.2kbのDNA断片をアガロース電気泳動によって分離し、GENE CLEAN( BI0101社製)を用いて、同断片の抽出精製を行なった。同様にpRCA6のXbaI切断を行ない、約2.5kbのDNA断片をアガロース電気泳動によって分離し、同断片の抽出精製を行なった。更に、pRCA6をEcoRIおよびXbaIで切断し、約1.0kbのDNA断片をアガロース電気泳動によって分離し、同断片の抽出精製を行なった。次に約5.2kb、約2.5kb、約1.0kbのそれぞれのDNA断片をpUC118にサブクローニングした。常法に従って処理した後、(株)パーキンエルマージャパン社製のTaq DyeDeoxyTM Terminator Cycle Sequencing Kitを用い、同キットのプロトコールに従って反応を行なった。同社製のAB1373A DNAシークエンサーを用いて、DNA塩基配列の決定を行なった。配列表にpUC118にサブクローニングされたDNA断片の塩基配列をT1配列(配列番号1)、T3配列(配列番号3)、T4配列(配列番号4)、T5配列(配列番号5)として示した。この塩基配列をべ一スにデータベースDDBJを用いてホモロジー検索を行なった。その結果、約1.3kbのDNA断片は、DDBJエントリーネームSCHAPLAP(35757bp)に含まれることが明らかになった。更には、約1.1kbのオープンリーディングフレーム:YKL098wを含む事が明らかになった。同DNA断片は第11番染色体左腕に存在している。
【0134】
(実施例7)
野生型酵母53R及び低温感受性酵母53R-2-120から、実施例5および実施例6で決定した低温において発酵力を調節する約1.3kbの遺伝子領域のクローニングを行った。53R株および53R-2-120株の染色体DNAをHerford法によって調製し、各々の抽出DNAをSacIとHpaIとによって切断し、低温感受性遺伝子の全領域を含む約1.3kbの断片を回収した(図2参照)。この抽出断片をpUC118のSacI-SmaI部位にライゲーションし、JM109を形質転換しライブラリーを作成した。pRCA6の約1.3kbのSacI-HpaI断片をプローブとしてコロニーハイブリダイゼーションを行い、それぞれのライブラリーより陽性クローンを得た。それぞれの株より回収したプラスミドを種々の制限酵素を用いて解析した結果、目的クローンである事が確認できた。各々のプラスミドを鋳型とし、下記プライマー:
【0135】
【表5】
Figure 0003790318
【0136】
を用いて約1.3kbのSacI-HpaI/SmaI断片の塩基配列を決定した。塩基配列の決定は実施例6に準じて行った。その結果、図3から図6に示した通り、53R-2-120株では、YKL098wの289番目のシトシン(C)がチミン(T)に塩基置換し、グルタミン(CAG)がストップコドン(TAG)に変換している事が明らかになった。
【0137】
(実施例8)
実施例7で塩基配列を決定した、1.3kbのSacI-HpaI/SmaI断片の低温における発酵力調節能を調べた。実施例5に準じて、pRS316のSacI-SmaI部位に、上記DNA断片SacI-HpaIの約1.3kbをライゲーションし、53R株および53R-2-120株から、pRCA28およびpRCA29を得た。53R-2-120株をSH2676株と交雑育種した低温感受性酵母;W07株(接合型a)の形質転換株W07(pRS316)、W07(pRCA28)、及びW07(pRCA29)の低温感受性について、実施例4に準じ色素寒天培地を用いて調べた。更に、低温感受性をガス発生量によって測定した。形質転換株それぞれを寒天を含まないカザミノ酸液体培地5mlに植菌し、30℃一夜培養した。全量を同培地50mlに継植し、30℃一夜培養した。培養液のOD600を測定し、菌体量をそろえ、遠心分離によって集菌した。ガス発生量の測定は次のように行った。発酵液は、パン生地中の発酵パターンと良い相関が得られる、下記K10発酵液を用いた。
【0138】
【表6】
Figure 0003790318
【0139】
2.5mlのK10発酵液に菌体を懸濁し、アルミキャップをした試験管(15×130mm)に移し、220rpmの速度にて30℃または5℃で振盪培養し、経時的に重量を測定した。菌体の乾燥重量は105℃、5時間の乾燥処理後測定した。結果を表7及び図7および8に示した。30℃では、3株ともに同程度のガス発生量を示したが、5℃においてW07(pRCA28)株は著しいガス発生量の増加を示し、低温感受性が抑圧された。
【0140】
【表7】
Figure 0003790318
【0141】
(実施例9)
実施例1で取得した3株(接合型α)と別の低温感受性酵母との低温感受性についての相補性試験を実施した。プラスミドpRBC1(E.coli HB101に形質転換され、工業技術院生命工学工業技術研究所に、E.coli HB101(pRBC1)(FERM P-14888) として寄託されている。)にある酵母DNA領域と同じDNA領域に変異を持つ低温感受性酵母;9195/SH38A(接合型a;以下38Aと略す)と、プラスミドpRAB12(E.coli HB101に形質転換され、工業技術院生命工学工業技術研究所に、E.coli HB101(pRAB12)(FERM P-14889) として寄託されている。)にある酵母DNA領域と同じDNA領域に変異を持つ低温感受性酵母;9230/SH42C( 接合型a;以下42Cと略す)、更には53R-2-120をSH2676と交雑育種した低温感受性酵母;W07(接合型a)とを交雑し、得られた二倍体の低温感受性を色素寒天培地を用いて調べ、その相補性について評価した結果について表8に示す。
【0142】
【表8】
Figure 0003790318
【0143】
(実施例10)
低温感受性を解除するYKL098w遺伝子の破壊を行った。遺伝子破壊に用いたプラスミド作成の概略を図9に示した。まず、pBluescriptII KS+ (フナコシ株式会社)のSalI-XhoI部位にYEp13のLEU2断片を挿入したp506を作成した。次に、pRCA6の約2.3kbのEcoRI-HindIII断片をpUC118のEcoRI-HindIII部位に挿入したpRCA21を作製した。p506はSpeIとXhoIで切断し、pRCA21はSpeIとXbaIで切断し、各々をDNA blunting kit(宝酒造)により平滑末端化した後、実施例5に準じて、pRCA21にp506のLEU2断片を挿入したpRCA-d2を作成した。これにより、結果的にpRCA21中の酵母DNA遺伝子のSpeI-XbaI断片が削除され、LEU2遺伝子の挿入により、YKL098w遺伝子が破壊されている酵母遺伝子が得られた。
【0144】
遺伝子破壊を施す宿主としてSH2675株(接合型α:ura3-52、leu2-3、112、trp1、pho3-1、pho5-1)とSH2676株を交雑して得られた二倍体株SH2675/SH2676株を用いた。pRCA-d2約30μgを用いて実施例2に準じて形質転換を行い、ロイシン非含有寒天培地にて30℃で培養する事によって形質転換体を得た。形質転換体から、Hereford法によって染色体DNAを調製し、HindIIIで切断し、(株)パーキンエルマージャパン社製のFluorescein Gene ImagesTM random prime moduleを使って蛍光ラベルを行い、同キットを用いてサザンハイブリダイゼーションによる解析を行った。プローブは、pRCA6をEcoRIとHindIIIとで切断して得た約0.5kbのDNA断片と、pRCA6をXbaIとHindIIIとで切断して得た約0.8kbのDNA断片、及びp506をSpeIとXhoIとで切断して得た約2kbのLEU2断片を用いた。解析の結果、遺伝子破壊されたSH2675/SH2676(YKL098W::LEU2)が得られた事を確認した。
【0145】
SH2675/SH2676(YKL098W::LEU2)をFowell胞子形成培地で培養し、胞子を形成させ四分子解析を行った。その結果、表9に示した通り、全ての四分子について、生育が2:2分離を示し、二胞子の生育が非常に悪く、LEU2マーカーの分離から、この生育の悪い胞子株が遺伝子破壊された株であることが明らかになった。この事から、この低温感受性に関わる遺伝子は、生育に強く関与している遺伝子である事が判った。
【0146】
【表9】
Figure 0003790318
【0147】
【発明の効果】
本願発明の低温で酵母の発酵力を調節する変異遺伝子は、宿主のパン酵母に導入されれば、宿主を低温感受性とする。従って、冷蔵パン生地に好適に用いられ得る。さらに、本願発明の遺伝子及び育種の方法は、より実用性に優れた低温感受性酵母の育種に使用され得る。
【0148】
【配列表】
【0149】
【配列番号1】
Figure 0003790318
【0150】
【配列番号2】
Figure 0003790318
【0151】
【配列番号3】
Figure 0003790318
【0152】
【配列番号4】
Figure 0003790318
【0153】
【配列番号5】
Figure 0003790318

【図面の簡単な説明】
【図1】pRCAの挿入酵母染色体DNAの制限酵素地図を示す図である。
【図2】pRCA6、pRCA14,pRCA16,pRCA19の酵母染色体DNA部分の制限酵素地図を示す図である。
【図3】53R株及び53R-2-120株の約1.3kbSacI-HpaI断片のDNA塩基配列の比較対照を示す図である。
【図4】図3の続きである。
【図5】図4の続きである。
【図6】図5の続きである。
【図7】W07(pRS316)株、W07(pRCA28)株、およびW07(pRCA29)株の30℃におけるガス発生量を示す図である。
【図8】W07(pRS316)株、W07(pRCA28)株、およびW07(pRCA29)株の5℃におけるガス発生量を示す図である。
【図9】遺伝子破壊のためのプラスミド作成方法を示す図である。

Claims (7)

  1. 以下のうち下段の核酸配列:
    Figure 0003790318
    Figure 0003790318
    Figure 0003790318
    Figure 0003790318
    を有する、核酸分子。
  2. 請求項1に記載の変異型核酸分子を有する、プラスミド。
  3. 請求項1に記載の変異型核酸分子を有する、低温で発酵力が
    調節される酵母。
  4. 請求項記載のプラスミドを含有する、低温で発酵力が調節される酵母。
  5. 請求項に記載の酵母を含有するパン生地。
  6. 前記パン生地が冷蔵生地である、請求項記載のパン生地。
  7. 請求項に記載の酵母を含有するパン生地の製造方法。
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