JP3786371B6 - バンドトラヒックによる論理ネットワーク容量を最適にディメンジョニングするためのシステムおよび方法 - Google Patents
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Description
第35米国法典第119条(e)および第37連邦施行規則第1.78条(a)(1)に基づく優先権
仮出願でない本願は、ウロデック・ホレンダーおよびザボルクス・マロムソキーの名義により1995年7月14日に「一般的なタイプのトラヒックによる広バンドATMネットワークのための効率的なディメンジョニング方法」を発明の名称とし出願され、本願と同じ譲受人に譲渡された先の米国仮特許出願第60/001,169号(代理人整理番号第27946-00094)に基づく優先権を請求するものである。
関連出願とのクロスレファレンス
仮出願でない米国特許出願は1995年8月11日に出願された「広バンドトラヒックによる仮想パス容量を最適にディメンジョニングするシステムおよび方法を発明の名称とする継続中の仮出願でない米国特許出願第08/514,480号(代理人整理番号第27946-00094)および1995年8月11日に出願された「仮想パス広バンドネットワーク上で適応化ルーティングを行うためのシステムおよび方法」を発明の名称とする、仮出願でない米国特許出願第08/513,723号(代理人整理番号第27946-00095)に関連した要旨を含む。これら仮出願でない米国特許出願およびそれらの開示をここに参考例として引用する。
発明の背景
1.発明の技術分野
本発明は通信ネットワークを効率的にディメンジョニングする(大きさを定める)ためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、制限のある物理ネットワークに構成された論理リンクおよび仮想ネットワークをディメンジョニングするための技術に関する。
2.関連技術の説明
局部的な地理的領域に設けられた電話機器およびその他の通信デバイスはこれまではローカル交換機と称される交換機器により互いに接続されていた。ローカル交換機は次に幹線交換機により相互に接続されている。互いに分離された地理的領域内に位置し、異なるローカル交換機に接続された電話/データ機器は、通信ネットワークを構成するように共にリンクされたローカルおよび幹線交換機の複雑なグループを介して互いに通信するようになっている。よって1つの通信ネットワークは複数の相互に接続されたネットワーク要素、例えばローカル交換機、幹線交換機、移動無線交換機、長距離交換機およびこれらの組み合わから成る。各ネットワークレベルでは1つのネットワーク要素、例えば交換機から他のネットワーク要素へのトラヒックは異なる交換機を通過する種々のルートをとることができる。
ネットワーク内の通信設備の効率的なネットワークトラヒック管理を行うには、最終選択トラヒックルートで過度の輻輳を発生することなく各宛て先のトラヒック条件を処理するのに充分な数の回路が利用できなければならない。更にすべての最終選択ルートでネットワークの輻輳をできるだけ均一とし、リソースの効率的な利用を保証するために現実に設けられたルート内で使用されない容量を最小にすることも必要である。更にネットワークを運用する電話会社は予算が限られているので、各ネットワーク内の現在のリソースからの効率をできるだけ大きくしなければならない。
過去において、通信ネットワークにおけるトラヒック管理はネットワーク内のトラヒックパターンを定期的に調査し、トラヒック取り扱い量を効率的に高めるよう、回路およびルートのコンフィギュレーションを変える手法を含んでいた。更に特定のロケーションまたは特定の領域への、更にその領域内のローカルのイベントへの高い呼数密度を予想してネットワークにより多くのルートおよび回路を加えることができる。従来のネットワーク管理システムはサービスの質(QoS)を過度に低下することなく、ネットワークの利用率を効率的に最大にするよう、ネットワーク内の選択されたルート間のトラヒックの負荷の相対的分布を変えることもできる。しかしながら従来のトラヒックネットワーク管理システムおよび手法は、一般的にネットワーク全体の効率を最大にするよう、より高いレベルの抽象化でネットワーク内のルートおよび回路を再ディメンジョニングすることにより、再構成するためではなく、むしろ個々のトラヒック要求を処理するためにネットワーク内の回路およびルートの利用可能性を高めようとするものであった。
通信システムにおける物理ネットワークリソースを管理する効率を最大にしたいという固有のニーズの他に、最近の情報および通信技術の発展により多くの新しい経済的な機会および管理上の課題が発生した。通信サービスを提供するベンダーは常に顧客の新しい要求に直面しており、通信ネットワークを通した通常の音声通信を提供するだけではもはや充分ではない。今日のユーザーは音声信号だけではなくてリアルタイムのネットワークおよびパケット交換ネットワークにおいても、データ、オーディオ、ビデオおよびマルチメディア信号を伝送する能力を求めている。広バンドの通信設備を提供するための能力が大きくなることにより、非同期式転送モード(ATM)技術が次第に重要となりつつある。
ATM技術の主な特徴は、ネットワークリソースの利用がフレキシブルであることである。このようなフレキシビリティを活用する1つの可能な方法は、論理的に定められたリソースとなるように物理ネットワークリソースを完全または部分的に区分する方法がある。例えば部分的ネットワークを複数の仮想ネットワークに区分することにより、部分的ネットワークの運用、保守および管理をかなり簡略化できる。このような手法により、物理ネットワーク全体にわたる発呼ごとのトラヒックルーティングの問題を分析し、解決するタスクにより、各仮想ネットワークにおけるかなり簡単なルーティング問題へと縮小できる。個々の仮想ネットワークの各々は全体としての全物理ネットワークよりも複雑度が小さく、トラヒックルーティング問題の解決をより簡単にできる。
異なるトラヒックタイプ、異なるクラスのサービスが存在し、また専用ネットワーク内のトラヒックの要求量が変わることによっても物理リソースの区分化が必要とされる。顧客の利用ごとに別個の物理ネットワークを提供する代わりに、サービスプロバイダは1つの共通するATMの物理インフラストラクチャの上部に構成された多数の仮想ネットワークを設定できる。
仮想ネットワークストラクチャのコンフィギュレーションをこのようにフレキシブルにするには、効率的なディメンジョニングツール、方法およびアルゴリズムが必要である。将来提供される通信サービスの性質は予想が困難であるので、仮想ネットワークのリソースのコンフィギュレーションを管理するのに使用されるディメンジョニング方法はすべてのタイプの広バンドトラヒックを処理できなければならない。仮想ネットワークのコンフィギュレーションを、提供されるトラヒックのパターンの変化に適応させるために頻繁に改定しなければならない場合、ネットワークの再ディメンジョニングおよびコンフィギュレーション制御システムの計算の効率も高める必要がある。ネットワーク再ディメンジョニングおよびネットワークを再構成するために選択されるアルゴリズムは、各仮想ネットワークの時間長さよりも短い時間で計算を実行しなければならない。
ディメンジョニング技術は一般的なトラヒックの分布をモデル化できなければならないという条件により、現在の多くのディメンジョニング技術が除かれる。最も広く使用されているディメンジョニング方法は、アーランのブロッキング(閉塞)測度の使用から生じる制限のために、一般的なトラヒックモデルを処理することはできない。本発明の方法およびシステムはこれら欠点を克服するものである。
発明の概要
従って、本発明の課題は、一般的なトラヒック分布モデルを使用してユーザーがネットワークをディメンジョニングできるようにすることである。本発明の別の課題は、最小の計算リソースを使用してディメンジョニング計算を実行できるようにすることである。本発明の別の課題は、計算上の複雑度が低く、よって速度がより高速のディメンジョニングアルゴリズムを実現することにある。本発明の更に別の課題は、できるだけ短時間の間に再ディメンジョニング計算を実行できるようにすることである。本発明の別の課題は、仮想ネットワークのディメンジョニングおよび仮想パスをディメンジョニングする方法の効率を高めることにある。
1つの物理ネットワークが複数の物理リンクから成り、各物理リンクがあらかじめ指定された伝送容量を有する場合において、本発明のシステムおよび方法は一般的なトラヒックモデルをサポートするディメンジョニング技術を提供するものである。このディメンジョニングタスクは、種々の物理リンクにわたって負荷のバランスを取る問題と見なされる。仮想パスのディメンジョニングの問題に対する最適な解決案は、仮想パスの各々におけるブロッキングを種々のリンクにわたりできるだけ均一にした種々の仮想パスにわたって割り当てられる容量を選択することに対応する。
本発明の1つの特徴として、複数の交換機すなわちノードを相互接続する複数の物理リンクを有する通信ネットワークを効率的にディメンジョニングする方法が提供される。1つ以上の仮想パスに複数の物理リンクが関連し、仮想パスの各各は通信ネットワーク内の一対の交換機すなわちノードの間の個々の交換可能な接続を行う。仮想パスの各々には提供されるトラヒック量が指定され、通信ネットワークの各物理リンクに対し伝送容量の制限値が設定される。エントロピーブロッキング測度を使って通信ネットワーク上で提供されるトラヒックと他の計算パラメータとの間の関係がモデル化され、あらかじめ選択されたエラー界内で種種の仮想パスでのブロッキングの確率ができるだけ均一となるように、種々の物理リンクに対する伝送容量の制限を受ける複数の仮想パスに容量が割り当てられる。
【図面の簡単な説明】
添付図面と共に次の好ましい実施例の詳細な説明を参照すれば、本発明の方法およびシステムについてより完全に理解できよう。
図1は、内部で仮想パスのディメンジョニングを行うことができる、通信ネットワークを示すブロック図である。
図2は、ATMセル構造の例を示すブロック図である。
図3は、ATMネットワーク内の相互に接続された多数の仮想パスおよび仮想チャンネルを示すブロック図である。
図4は、ATMネットワークにおける仮想パスおよび仮想チャンネルのクロスコネクトによる交換を示すブロック図である。
図5は、サポートされるサービスクラスおよび規格のレイヤの種類を示すCCITT B-ISDN基準モデルを示す図である。
図6は、仮想専用回線(VLL)サービスを提供するATMネットワークを示す図である。
図7は、STMクロスコネクトを含む多階層状のSDHに基づくトランスポートネットワークを示す図である。
図8は、仮想パスと物理リンクとの間の位相的関係を示す図である。
図9は、物理ネットワーク上に構成された仮想パスをディメンジョニングするためのブッシュダウンアルゴリズムの種々のステップを示すフローチャートである。
図10は、本発明に関連したエントロピー確率関数の特性を示すグラフである。
図11は、図10に示されたエントロピー確率関数に関連したシフトパラメータの特性を示すグラフである。
図12は、本発明に関連したエントロピー確率関数を使用した仮想パスディメンジョニングアルゴリズムの種々のステップを示すフローチャートである。
図13は、本発明に関連した適応ディメンジョニングアルゴリズムにおける連続するステップを示すフローチャートである。
図4は、仮想パスを変えるためのエントロピー確率関数の一例を示す図である。
図15は、本発明に関連した適応ディメンジョニングアルゴリズムの計算ステップを示す図である。
図16は、6つのノードを有する物理ネットワークを示す図である。
図17は、図16の6つのノードのネットワークに構成された仮想パスの接続位相空間関係を示す図である。
図18は、物理パスと仮想リンクと仮想パスとの間の位相的関係を示すための3レイヤの抽象化モデルである。
図19は、仮想ネットワークのディメンジョニングに問題を等価的な仮想パスのディメンジョニングの問題に変換するためのコンパイル方法を示すフローチャートである。
図20は、図16の6ノードネットワークに重ねられた6つのリンクを有する仮想ネットワーク例を示す図である。
図21は、図16の6ノードネットワークに重ねられた5つの異なるサブネットワークを示す図である。
好ましい実施例の説明
従来のネットワークにおける輻輳制御
まず図1を参照すると、ここには複数のローカル交換機21〜26を含む従来の公衆通信ネットワークの略図が示されている。交換機の各々には複数のローカル加入者が接続されており、これら加入者は電話機器27で表示されている。ローカル交換機のうちの2つ、21および24は、これに関連するリモート加入者多重ステージ28および29を有しており、次にこれら多重ステージにはローカルの顧客27が接続されている。図1のネットワークは複数の幹線交換機31〜34も含み、これら幹線交換機31〜34は主に種々のローカル交換機を互いに相互接続し、ネットワークの種々の部分の間のルートを提供するようになっている。幹線交換機31は移動交換機35に接続されるように示されており、この移動交換機35は38で示される複数の移動無線電話加入者にサービスをする一対の図示された基地局36および37を含む。更に図示した交換機のうちの種々の交換機にデータベースおよびインテリジェントネットワークのような他の通信サービスも接続できる。ネットワーク内の交換機21〜35の間には複数の通信パス30が示されており、これら通信パスの各々はネットワーク内の種々の交換機間で音声および/またはデータ通信信号を伝送するためのケーブル、光リンクまたは無線リンクを含む複数の通信ケーブルを含むことができる。
図1のネットワークはネットワーク制御システム40も含み、このネットワーク制御システム40は各交換機へ制御信号を送信したり、各交換機からのトフラフィックデータを受信するための(点線で示された)通信リンク41により、ネットワーク内の交換機21〜35の各々に接続されている。ネットワーク制御システム40はネットワーク内の輻輳状態の軽減を微調整するよう、ネットワークの種々のトフラフィックルート内の通信パスをダイナミックに再構成するだけでなく、ネットワークの交換機内のアラームシステムを制御するようコマンド信号を発生する。
ATMシステムの概念
実現中の公衆通信トランスポートネットワーク内では、現在のところ多数の変化が生じる。公衆通信ネットワークの運用業者の主な目標の1つは、共通するインフラストラクチャ内のすべてのタイプの通信サービスのトランスポートおよび交換を取り扱うための1つのタイプの技術を配備することであった。かかる1つの技術として非同期式転送モード(ATM)技術がある。
ATMは極めて広いバンド幅の接続をうまく処理でき、かなりの「バンド幅のグラニュアリティ」を有するベアラーの通信ネットワークを構築することにより、これらニーズを満足するよう、現在のところ実現されている。「バンド幅のグラニュアリティ」なる用語は、発呼によって必要とされたバンド幅が発呼の時間全体にわたって自由に変わることができるネットワーク内の特性を意味する。
公衆通信ネットワークにおいて、ATM技術を使用することにより関連するサービスに対する共通した交換とトランスポートとが可能となり、広バンドグラニュアリティを高め、可変ビットレートのサービスおよびマルチメディアサービスをサポートすることが可能となる。これらの特徴によりATMは国際電信電話諮問委員会(CCITT)によって広バンドISDN(B−ISDN)サービスのための中核技術としてこれまで選択されている。これにも拘わらずATMには低速度の等時サービスに対し送信遅れがあること、ネットワーク内の複雑度が更に複雑になること、および新しい性能パラメータ(例えばセルの紛失および輻輳)が生じることを含む欠点があり、これらの欠点を、後述するように本発明のシステムが処理している。
ATMネットワークは独立同期デジタル階層(PDH)または同期式デジタル階層(SDH)またはその双方を使って実現できる。更にATMとSTM(同期式転送モード)との間の多数の変換から生じる制限およびその結果生じる性能の低下を処理できる時はいつも、ネットワークのベアラーとして純粋なATMを使用できる。
図2に示されたATMセル構造はATM技術の中心となるものである。1つのATMセルは53バイトの、すなわち53オクテットの固定長さを有し、この長さは5オクテットのヘッダーと48オクテットの情報フィールド(ペイロードとしても知られる)に分割される。このATMセルヘッダーは多数のフィールドとして構成され、その主な機能の1つは発信源ポイントから1つ以上の交換ノードを介し、宛て先ポイントまで、ATMセルをルーティングするのを助けることにある。交換ノード内の内部バッファの大きさを小さくし、これらバッファ内での待ち遅れを制限するために、各ATMセル内に保持される情報は比較的小さく維持される。このことはモデル化の見地から重要である。すなわちモデル化によりネットワークリソースの割り当ておよび制御を最適にするために、良好に確立された回路交換の数学的モデルの結果を使用することが可能となるからである。
ATMセルヘッダーの主な機能は、仮想接続を識別することである。2つのフィールドすなわちATMセルが属すのはどの仮想パスであるかを決定する仮想パス識別子(VPI)と、セルが属するのは仮想パス内のどの仮想チャンネルであるかを決定する仮想チャンネル識別子(VCI)内にATMセル内のルーティング情報が含まれる。
仮想チャンネルとはダイナミックに割り当て可能な端部から端部までの接続を意味する。光学的伝送リンクは毎秒何百万メガビットもトランスポートできるが、仮想チャンネルは毎秒リンクの数キロビットしか満すことができない。従って、単一伝送リンクで多数の同時仮想チャンネルをサポートできる。
他方、仮想パスとはエンドポイント間の半永久的な接続である。仮想パスの各各は多数の同時接続された仮想チャンネルをサポートできる。大きなグループの仮想チャンネルは単一ユニットとして取り扱い、共に交換されるので、仮想パスの総処理条件は仮想回路の総処理条件よりも小さく、よって(仮想)回路当たりの処理がより高速となり、この結果、ネットワークのリソースをかなり効率的に使用できるようになる。仮想パスのネットワーク管理は比較的簡単で、効率的である。
図2に示されるように、ATMセルヘッダーはネットワーク−ノード間インターフェース(NNI)と比較したユーザー−ネットワーク間インターフェース(UNI)で若干異なる。UNIは包括的なフロー制御(GFC)のための4ビットを含み、このUNIはターミナルとネットワーク間で利用できる容量の公平かつ効率的な使用を保証するのに使用される。ATMセルがユーザー情報を含むのか、または特殊なネットワーク情報、例えば保守用の情報を含むのかを表示するよう、ペイロードタイプのインジケータ(PTI)フィールドが使用される。セル紛失プライオリティ(CLP)フィールドは2レベルの優先権をコード化し、ネットワーク条件によりセルを廃棄しなければならなくなった時に、このフィールドが使用される。ヘッダー情報はヘッダーエラー制御(HEC)フィールド内に含まれるチェックサムにより保護されている。
ATMセルを使用することにより情報転送レートを実際のサービス条件に適応することが可能となる。単位時間当たりのセルの数を必要な容量に応じてデータを伝送するのに使用される物理的媒体の伝送ビットレートの限界まで増加できる。データセルの他に信号化およびメンテナンス用セルおよびアイドルセルもある。信号化セルはネットワーク内のエンドユーザー間またはネットワーク内のノード間で使用され、それらの機能はサービスすなわち接続を設定することにある。保守セルはATMレイヤを監督するが、アイドルセルは伝送媒体のレートまでの伝送容量を満たすのに使用される。
図3を参照すると、ここにはATMリンク内の仮想チャンネルおよび仮想パスの交換およびクロスコネクトを示すブロック図が示されている。交換機の設計者の観点から「VP交換」とは識別子フィールドすなわちより短いフィールド(VPI)の上部部分しか使用しないATMセルの交換を意味する。これと対照的に「VP/VC交換」では識別子されたフィールドの全体が使用される(VPIおよびVCIの双方)。VP/VCパスは複数の相互接続されたVP/VC長さから成り、VPまたはVCレベルのいずれかで交換およびクロスコネクトを行うことができる。仮想パス識別子(VPI)および仮想チャンネル識別子(VCI)は、ATM回路内の2−ティヤー処理およびルーチング構造を定める。ネットワークのアーキテクチャ上の観点から、仮想パス(VP)は個々の接続のバンドルすなわちATMネットワークのルートマップ内のあるタイプのハイウェイである。ネットワーク管理における重要なタスクはネットワークの性能を最適にするよう、かかる各ハイウェイ(すなわち仮想パス)に適性な量の伝送容量を割り当てることである。この最適化のタスクはバンド幅管理すなわち仮想パスのディメンジョニング技術の目的であり、下記に更に説明するように、本発明の1つの特徴の要旨となっている。
次に図4を参照すると、ここには仮想パスおよび仮想チャンネルクロスコネクトおよび交換の概念が示されている。仮想パスの識別子(VPI)および仮想チャンネル識別子(VCI)の値は特定のリンクに対してしか有効でない。各クロスコネクト/交換機では、ATMセルに対する識別をする物理ポートの値とVPI/VCIの値の組み合わせを有するセルに、新しいVPI/VCIの値が割り当てられる。次に下記の表1に示されるような変換テーブルの助けにより、ATMセルの一例のルーティングが実行される。
ATMセルはATMトランスポートシステム内の基本的な多重化ユニットであり、各セルすなわち情報ユニットは自己の接続およびルーティング情報を含む。このような特徴により各チャンネルが異なるビットレートを伝送できる直接の多重化または多重解除がイネーブルされる。仮想パス識別子(VPI)フィールドおよび仮想チャンネル識別子(VCI)フィールド内のヘッダー内に含まれる情報により、各ATMセルが識別され、ルート化される。上記のように仮想パス(VP)は2つの終端ポイント(すなわち交換システム、ローカルエリアネットワーク(LAN)ゲートウェイまたはプライベートネットワークゲートウェイの間の多重化された回路のバンドルとなっている。VPIは特定の仮想パスを識別するVPIの値と共に仮想パスの終端間のダイレクトな論理リンクを行う。
既に述べたようにATM技術内で使用される仮想パス概念により多数の仮想チャンネル(VC)を単一ユニットとして処理することが認められる。共通する特性、すなわち同じサービスの質(QoS)を有する仮想チャンネルをバンドルとしてグループ分けし、このバンドルを1つのユニットとしてトランスポートし、処理し、管理できる。このようなフレキシブルなバンドル化によりATMシステムの運用および保守が簡略化される。
ATMネットワーク内の半永久的なパスを提供するのに仮想パスと仮想チャンネルの双方を使用できる。パス内に沿ったクロスコネクト機器内またはマルチプレクサ内に「パス接続ケーブル」を設定することにより運用サポートシステムからルートを設定したり、解放したりする。ユーザーとネットワークの間、またはネットワーク内で信号を送ることにより接続を設定した状態で、オンデマンドの交換をするために仮想チャンネルを使用することもできる。
ATM技術の重要な特徴の1つは、そのプロトコルアーキテクチャに関連しており、いわゆる「コアアンドエッジ」原理を中心として構築される。トランスポートされる情報タイプ、例えば再伝送、フロー制御および遅延等化に固有なプロトコル機能は、ATMネットワークの「エッジ」におけるターミナル内で実行される。これにより簡単なセルトランスポート機能および交換機能しか含まない効率的な、サービスに依存しないコアネットワークが残る。このコアにおけるATMノード内では、情報フィールドにはエラーチェックもフロー制御もない。セル情報が単に読み出され、アドレスに影響を与え得る単一ビットの誤りを訂正するのにHECが使用され、次に宛て先に向かってこのセルが交換される。
提供されるサービスを高めるためにネットワークのエッジではATM適応化レイヤ(AAL)が使用される。図5に示されるようなB−ISDNサービスのためのCCITT基準モデルはAALがサービスに応じた機能を含むことを考慮したものがある。図5に示されるように、ATM規格には3つのレイヤがある。第1のレイヤとは物理インターフェースおよびフレーミングプロトコルを定める物理レイヤであり、第2のATMレイヤとは、選択される物理的媒体から独立しており、セル構造を定め、多重化および多重解除、並びに論理ネットワーク内のセルのフローを制御するためのVPI/VCI変換を行うレイヤであり、第3のレイヤとは、サービスとATMレイヤとの間の重要な適応化を行い、サービスから独立したATMトランスポートを可能にするレイヤである。AALは、元のサービスフォーマットとATMセルの情報フィールドとの間のマッピングを実行する。AALによって提供される機能の例としては可変長さパケットのデリニエーション、シーケンスナンバリング、クロックの回復および性能のモニタリングがある。
通信ネットワークへのATMの設置
顧客のローカルエリアネットワーク内およびその間で高速データ通信をサポートするのに、顧客の構内でATM技術の1つの用途を使用できる。更に音声およびビデオ通信、データ転送およびマルチメディアアプリケーションを含む、顧客の構内ネットワーク内のすべてのサービスに共通するインフラストラクチャリソースとしてATMを使用できる。
公衆通信ネットワーク内にATMノードが導入されるサービスの例としては、仮想専用回線(VLL)サービスを提供するサービスがある。VLLサービスは仮想パス概念に基づくものであり、インターフェイス構造を変更することなく回線容量を直接顧客のニーズに合わせたり、容易に変更することができる。ユーザー−ネットワーク間インターフェース(UNI)を通してユーザーにかなりの数の論理接続を提供できる。更にユーザーのニーズに合わせるよう、顧客の注文に合わせた質のサービスも提供できる。従って、サービスの多数のクラス、サービスクラスの質および性能パラメータを選択できる。例えば音声サービスは伝送遅延時間が短いことを必要とするが、高ビットエラーを許容でき、他方、データ通信はネットワーク遅延に対し、より許容度があるが、ビットエラーの影響を受けやすい。従って、特定アプリケーションのサービスレベルの質はサービスプロバイダと顧客との間で契約により同意し、適合性を保証するように手動また自動的に監査できる。
図6に示されるように、ATMネットワーク内で実行される、仮想チャンネルに基づくVLLサービスの一例が示されている。ネットワークターミナルA〜Eの各々はそれぞれフロー実施ノード601〜605を介してATMクロスコネクトノード611〜614に結合されている。ATMネットワークは複数のATMクロスコネクト611〜614から成り、これら接続は仮想パスのみならず仮想チャンネルレベルでもルーティングを行うことができる。潜在的な過負荷からネットワークを保護するよう、ATMネットワークのエッジにフロー実施機能601〜605が設けられている。接続を設定すると、接続によって同意した条件を破らないように、この機能は保証している。クロスコネクトノード611〜614の1つ以上にサービスを加えることにより、付加的サービスを実施できる。図6のネットワークにはターミナルCとDとの間の波形線621によって仮想パスの一例が示されている。ターミナルAとBとの間の第1仮想接続は点線631によって示されており、第2の仮想接続は点線632によって示されるようにターミナルCとEとの間の点線によって示されている。
図6に示された仮想専用回線ネットワークの他に、ネットワーク内のATMノードにサーバーを接続することにより、要求に応じて他のサービス、例えばSMDS/CBDSおよびフレームリレーを容易に増設できる。居住地エリアではオンデマンドビデオのような新しい豊富な娯楽サービスをユーザーに提供するのにATM技術を使用できる。ATMネットワークのフレキシビリティによって莫大な数のサービス、例えば遠隔地への教育、ホームショッピングおよびゲームをサポートすることが可能となる。
図7はSDHに基づく階層的トランスポートネットワークに重ねられたATMネットワークを示す。これらレイヤは顧客の構内ネットワークレイヤ701、ローカルトランスポートネットワークレイヤ702、地域的なトランスポートネットワークレイヤ703および国内トランスポートネットワークレイヤ704を含む。複数のATMビジネスネットワークノード711〜714が顧客の建物のターミナル715およびLAN716からローカルトランスポートネットワーク705内のSDHクロスコネクトモード722にサービスする複数のアドドロップマルチプレクサ(ADM)712のうちのそれぞれの1つへのデータのフローを制御する。次にローカルクロスコネクトノード722は地域的トランスポートネットワーク内の地域的クロスコネクトノード731を介して結合され、これらクロスコネクトノードのうちの2つはアドドロップマルチプレクサ732によって結合されている。地域トランスポートネットワークレイヤ702内ではATMアクセスノード723の一対およびアドロップマルチプレクサ721を含むSDHリングは、クロスコネクト722にサービスをし、B−ISDNサービスのための標準化されたアクセスレートであるフルのSTM−1(毎秒155メガビット)までの容量での加入者アクセスに対して使用される。
リモートマルチプレクサおよび最終ローカルループ接続を行う他のアクセスノードにより、このリングネットワーク上で現在のトラヒック、例えば通常の従来の電話サービス(POTS)も実施できる。ある位置から異なるサービスへアクセスするのに1つのATMアクセスノード723を共用でき、これらATMアクセスノードは異なるVP/VCを使って音声およびデータの双方を含むことができる。ATMアクセスノード72ではトランスポート容量の使用をより効率的にするためにATMトラヒックが集中化されている。
ATMアクセスノードのサイズは必要とされる容量に応じて小さいマルチプレクサから大きなクロスコネクトまで変わり得る。地域的トランスポートレイヤ703ではローカルエリア間のトラヒックをルーティングするのにクロスコネクト733が使用される。図7に示された国内トランスポートネットワークレイヤ703では、ATMを見ることはできない。図7に示されるような位置のATMオーバーレイネットワークでは、フレームリレーおよびSMDS/CDDSのようなサービスが容易に加えられる。適当なソフトウェアおよびハードウェアを加えることにより、アクセスおよび地域ノードの双方にB−ISDNのための機能を加えることもできる。図7にも示されているように、ネットワークのSDHおよびATM要素の双方に対し、必要なネットワーク管理機能を提供するように、ネットワーク管理システム750、例えばCCITTのTMN規格に従って作動するシステムを実現できる。
サブシステム750によるATMネットワークの管理は、本願の被譲渡人であるテレフォンアクチーエボラーゲットLMエリクソン社によって提供されるネットワーク管理システムの通信管理および運用サポート(TMOS)ファミリーに従って実現してもよい。かかるネットワーク管理は下記に詳細に示されるような本発明の要旨に従って実現される種々の機能、例えばルーティングアルゴリズムおよび輻輳制御を含んでもよい。
仮想パス容量のディメンジョニング
通信ネットワークをディメンジョニングする際に有効なモデルは、離散的位相空間および指定されたリンク容量を備えた第1の物理ネットワークレイヤと、仮想パスおよび特殊なルーティングを備えた第2の仮想パスレイヤとから成る、2つの階層的構造を扱うようなディメンジョニングの問題を処理することである。このモデルでは仮想パスにトラヒックの要求が与えられる。ネットワーク容量をディメンジョニングするタスクを処理するだけの場合、事実上既に仮想パスがルーティングされている。各仮想パスは多数の物理リンクを通って進むことができるが、単一パスのみから成るハイウェイをエミュレートする。各仮想パスは1つの特性ブロッキング値と、仮想パスと同じ数のモデル内の変数しか有しない1つの割り当てられた固有容量を有する。
「提供されるトラヒック」なる用語は、各仮想パスに沿った伝送容量に対する時間と共に変化する要求量を意味するのに使用される。「トラヒック要求量」なる用語は各リンクに対し提供されるトラヒックの時間平均された値を表示するのに使用される。ATMネットワーク上のトラヒックの特性を単一パラメータのポアッソン分布によってモデル化できる時、このトラヒックは斉時的な単一階級のトラヒックと称される。提供されるトラヒックが非斉時的である場合、トラヒックの特性は多階級のポアッソン分布を使用して通常モデル化される。
提供されるトラヒックは通常の分布によってもモデル化できる。このトラヒックを通常のトラヒックと称す。最終的にネットワークのディメンジョニングは測定によって決定される実際のトラヒックに基づいてもよい。
多数のユーザーの伝送リクエストは集合トラヒックストリームとなるように組み合わせることができる。例えば数人のユーザーがダラスからストックホルムへ同時にメッセージを送ることができる。このような多数の伝送を別々に管理する代わりに、これら伝送信号をグループとして組み合わせ、広バンド幹線を通してグループとして伝送するほうがより効率的である。上記のように仮想チャンネルはダイナミックに割り当て可能なエンド間接続であり、仮想パスは多数の仮想チャンネルを単一ユニットとして取り扱い、共に交換できるようにする論理構造である。このような統一された交換により、処理条件全体が低減され、更に伝送もスピードアップされる。仮想パスの管理は仮想チャンネルすなわち個々の物理回路の管理よりも簡単かつ効率的であるので、このような技術によってネットワークリソースの利用を大幅に改善できる。
仮想パスのディメンジョニングモデル
検討する基本モデルとは、固定されたルーティングの下で運用される接続指向ネットワークのモデルである。まず物理ネットワークを任意に接続されたリンクの集合Jから成るものと定義すると、各仮想パス(VP)すなわちルートrは要素がJのサブ集合である順序の決められたリストとなる。仮想パスと物理リンクとの関係はルーティングマトリックスχによって定義でき、そのマトリックスの要素は次のとおりである。
図8は、仮想パスと物理リンクとの間の位相空間的関係を示す。図8ではVP1は物理リンクP1とP2とから成り、仮想パスVP2は物理リンクP2とP3とから成る。
種々のVPに割り当てられる容量と物理リンクに割り当てられる対応する容量との量的な関係は、次のマトリックスフォームで示される。
χCVP=CPhys (式2)
ここで、χは上記の式1で定義されたタイプのルーティングマトリックスであり、CVPは仮想パス容量のベクトルであり、CPhysは物理リンク容量のベクトルである。
種々のVPに既に割り当てられた容量を示す物理リンク容量ベクトルCPhysは物理的リンクのいずれかで利用可能な物理的容量を越えることはできない。このような制限は簡単な制限式によって示すことができる。
ここで、
はK個の物理的リンクの各々で利用できる物理的容量を示すベクトルである。式3はベクトル不等式であるので双方のベクトルの対応する成分がこの不等式を満たさなければならないことを理解するのが重要である。図8に示された簡単な例では、ルーティングマトリックス(χ)は次のとおりである。
ここで、仮想パスの容量とVPに割り当てられた対応する物理リンク容量との間の関係は次のとおりである。
ここで、
は仮想パス容量のベクトルであり、
は物理リンクに割り当てられたベクトルである。
所定のルートrに対する発呼リクエストプロセスを固定したプロセスとすることができ、すべての通話を受け入れ、すべてのブロックを防止する無限容量を有するリソースがプロセスに与えられた場合、我々はこの固定プロセスに対する架空の占有分布について知っている。Xrはこのような架空の無限容量リソースの占有レベルを示し、一般に当技術分野では「提供されるトラヒック」と称される。
仮想パスディメンジョニングの問題は2つの目的を有する本発明のシステムおよび方法で定義される。まず第1に各仮想パスへ割り当てられる伝送容量は伝送コスト関数を最小にするように最適にする必要がある。第2に、どの物理リンクに対しても、このリンクを横断する種々の仮想パスへ割り当てられる容量は、その物理的リンクの物理的伝送容量制限量を越えてはならない。
種々の仮想パスへ割り当てできる物理的容量は
の範囲で実数値をとる連続関数によって近似できる。従って、リソース最適化タスクは離散的最適化およびこれに付随する複雑さのすべてを必要とするわけではない。本願で解決するディメンジョニングの問題では、異なるVP間で負荷を分けることについてはこれまで検討されていない。提供されるトラヒックは各仮想パスに対して定義されると見なす。更にネットワークは固定されたルーティングを有するので、仮想パスを選択することにより、提供されるトラヒックのルーティングが固定される。
プッシュダウンディメンジョニング技術
本発明では、仮想パスディメンジョニングのタスクを負荷バランシング問題として検討し、この負荷バランシング問題では負荷を適当に選択されたブロッキング測度の値とし、最適化の解決方法は仮想パスの各々でのブロッキングをできるだけ均一に分散させる、割り当てられたVP容量の選択に対応する。ブロッキング分布を均一にする1つの方法は、種々の仮想パス上でのブロッキングの値の発散を測定し、この発散を最小にすることである。このような方法は、標準的な最小化アルゴリズム、例えば周知のシミュレートされたアニーリング技術を使用して実現できる。
関連する解決方法は、まず最初に最大のブロッキング値を有する仮想パスを識別し、仮想パスが最大のブロッキングを有するVPでなくなるまで、他のVPから容量を再割り当てすることにより、この仮想パスに対するブロッキングを最小にする方法である。このような公式化は最小値−最大値最適化問題に対応し、下記のように分析的に公式化できる。
i番目の仮想パス上のブロッキングをB(VPi)と表示すると、最大のブロッキングを有するVPはmax(B(VPi))となり、ここで、すべてのVPに対する最大値がとられる。仮想パスの集合に対するブロッキング測度の最大値はVPディメンジョニング問題のための目的関数(コスト関数としても知られる)を定める。従って、この最適化方法の目的は下記の式に対応する目的関数の最大値を探すことである。
min max(B(VPi)) (式6)
ここで、最小値はすべての予想可能な構造に対して定義される。
この技術は、検討したすべてのVPの間で最大のブロッキング値をプッシュダウンするので、最適化問題を解くためにこの技術を使用するアルゴリズムをプッシュダウンアルゴリズムと称す。このアルゴリズムは均一なブロッキング分布が制限のないVPディメンジョニング問題の最良の解決案に対応するとの事実に従うものである。従って最良の解決案とは、VPの各々におけるブロッキングがエラー限界内で等しくされるように、各VPに容量を割り当てることである。しかしながらかかる解決案は種々の物理リンクの容量の制限のために常に実現できるというわけではない。物理リンクの制限された容量は、その物理リンクを横断するすべてのVPの間で分けなければならない。
図9は、物理ネットワーク上に構成される仮想パスをディメンジョニングするためのプッシュダウンアルゴリズムの実施例における種々のステップを示す。このディメンジョニングプロセスは種々のVPの接続位相空間を定義する902でスタートする。種々のVPはVPディメンジョニングセットとなるように集合される。次に、VPの各々が横断する物理リンクの順に903でVPをグループ分けする。904で各VPに対する伝送容量の初期の割り当てが行われる。905でブロッキングを低減するための目標の数字が選択される。目標をセットするには、まずブロッキング測度を選択しなければならない。本発明の好ましい実施例では、次の章で詳細に述べるエントロピー確率関数をブロッキング測度として使用する。ディメンジョニングアルゴリズムに対する終了条件を設定するのに、この目標値が使用される。
物理リンクの各々に対して906でVPの各々でのブロッキングを決定する。単一の物理リンクを横断する種々のVPは同一または類似のレベルのブロッキングに会わない場合、現在VPの各々に割り当てられている容量は902で改定され、VPのためのブロッキング値をエラー限界内で等しくする。割り当てられていない物理的容量を割り当てるか、生産性の低いVPからより生産性の高いVPへ更に割り当てられた容量を割り当てし直すことにより、VPに容量を加えることができる。このような容量の再調節は物理リンクのいずれかの容量の制限を侵すことなく実行される。
このプロセスの結果、1つ以上のリンクが908でこの最適化方法におけるボトルネックとして識別される。VPブロックが最大となり、容量の再割り当てによりそのブロックが低減できない物理リンクは、クリチカルリンクと称される。各クリチカルリンクは、その物理リンクを横断するVP上で達成できる最小のブロッキングを決定する。プッシュダウンアルゴリズムの主なタスクの1つは最適化方法の各ステージで所定の集合の仮想パスのためのクリチカルリンクリンクの集合を識別することにある。
908で一旦クリチカルリンクが識別されると、仮想パスの各々に対するブロッキングの値を等しくするように、このクリチカルリンクを横断する種々の仮想パス間で物理的容量を再割り当てすることができる。物理リンクがクリチカルリンクであると判ったとき、事実上、割り当てられていない容量がないことに留意すべきである。従って、アルゴリズムがディメンジョニング方法のこの段階に達した後にクリチカルリンクを通過するVP間で容量を再割り当てすることしか可能でない。
次に909において、まだディメンジョニングの必要なすべてのVPの集合から、容量が割り当てられたVPを除く。これに対応して910にて、先のステップで除かれたVPUの割り当てられた容量だけ利用可能な物理的容量を低減する。
従って、ディメンジョニングの問題はVPの他の集合に対する最大のブロッキングの確率を最小にする最適化の問題まで縮小できる。これによりこの方法を実行するのに再帰的に再入可能なアルゴリズムの使用が可能となる。
先のステップからのブロッキング値を他のディメンジョニングの問題における初期値として使用する。この最適化の方法は物理リンクの各々の容量のすべてが割り当てられるまで911にて再帰的に繰り返される。要約すれば、この欲張りタイプのアルゴリズムはすべてのVPの完全な集合をディメンジョニングすることから開始し、ディメンジョニングするよう残った仮想パスの集合がゼロの集合となったときに912で終了する。
ここに詳細に述べたタイプのどのディメンジョニングアルゴリズムの実行も、図9に示されたステップの順序と同じように従う必要はないと強調すべきである。ディメンジョニングアルゴリズムのステップの一部の実行順序は実行する細部および発散の事項に基づき、図9に示された順序と異なっていてもよい。
所定の集合のVPにおけるクリチカルリンクを分析的に識別する問題は、困難なタスクであることが証明されている。提供されたトラヒックおよび物理リンク容量の制限から直接クリチカルリンクを決定するための公知の技術はない。従って、プッシュダウンアルゴリズムはクリチカルリンクを識別するのに繰り返し方法を使用する。すべてのVPに対し均一の大きいブロック密度を使用することにより、すべてのVPに対しアルゴリズムを初期化する。選択される初期ブロッキング値はVP容量の最初に割り当てられた値の合計が種々の物理的リンクの利用可能な物理的容量を越えないように十分大きい値としなければならない。
最適化方法で残ったすべての仮想パスの集合でのブロッキングの程度をゆっくりと、かつ均一に低減することにより、クリチカルリンクを、横断する物理的リンクの物理的容量の制限を最初に破るリンクとして各レベルで識別する。
エントロピーブロッキング測度を使用したディメンジョニング
ディメンジョニングプロセスの各ステージでのクリチカルリンクを識別するための上記方法の速度および効率はモデル化で使用されるブロッキング測度の複雑度にクリチカルに依存する。これまではネットワークにおけるVP容量の最適割り当てを決定するために、アーランのブロッキング測度(時間輻輳ブロッキング式としても知られている)が使用されている。
ブロッキング測度としてエントロピー確率関数を使用する本技術は、アーランのブロック測度を使用して得られる結果よりも優れた結果を生じさせる。このようなエントロピー確率関数を使用することにより、任意トラヒック分布のモデル化が可能となり、ほとんどのケースでは他のブロッキング測度に基づく計算と比較して、より高速でこの計算を行うことができる。更にクリチカルリンクのための繰り返しサーチを大幅に改善でき、その結果はエントロピー確率関数が凸関数であるという事実から主に得られるものである。エントロピー確率関数を使用するディメンジョニングアルゴリズムを説明する前にエントロピー確率関数の特徴を研究することが有効である。
ブロッキング測度としてのエントロピー確率関数
先に述べたように、プッシュダウンアルゴリズムにとってブロッキング測度を選択することが重要である。エントロピー確率関数に基づくブロッキング測度の一般的な説明は次に述べ、提供されるトラヒックを単一階級のポアッソン分布と多階級のポアッソン分布により交互にモデル化する場合の状況例に適応する。
当業者にはエントロピー確率関数は公知であり、物理リンクレベルにおける輻輳をモデル化するのにこれまで使用されていた。例えばデジタルアンドアナログケーブルシステムズ(1990年)のJ・Y・ヒュイの「マルチレイヤトラヒックのための発呼の受け入れおよびバンド幅割り当てのための輻輳測度」を参考されたい。しかしながらこのエントロピー確率関数は仮想パスレベルまたはネットワークレベルのいずれかにおけるディメンジョニングまたはプランニングの問題のいずれかを解決する際のブロッキング測度としては、これまで使用されていなかった。更にエントロピー確率関数は物理リンクの有効な容量の概念を定義するのに使用されていた。本明細書に詳細に説明するエントロピー確率関数を使用するディメンジョニング技術はポアソン分布に従う、提供されるトラヒックだけに限定されるものではなく、更に本システムおよび方法は測定によって決定されるような分布を含む任意のタイプの提供されるトラヒック分布で同じように良好に働くことを理解することが重要である。
飽和ブロッキングの確率はトラヒック要求量が伝送容量の指定された値を越える確率であると定義できる。飽和の確率は提供されるトラヒック分布のテール部分の確率マスを示すのでテール確率とも称される。このテール確率への周知の近似方法、すなわちチェルノフ限界について以下説明する。
Xを任意に分布したランダム変数とし、Cを所定の値とする。次にsのすべての正の値に対し次の限界存在することを証明できる。
ここで、P(X>C)はランダム変数XがCよりも大きい値をとる確率である。
この限界の微分はマルコフ不等式に基づくものである。ln(E(esX))なる項は、対数積率(モーメント)母関数を示し、累積関数μ(s)とも称される。sに対して指数sC−μ(s)を最大にすることにより最も厳しい限界(チェルノフ限界としても知られる)が得られる。s=s*(s*は式C=μ'(s)の一義的な正の解である)でこのような最大値に達する。
μ'(s)はsと共に増加し、その根の一義性を保証することを証明することは容易である。μ"(s)≧0であるのでμ'(s)はsと共に増加する。これは二次微分が(シフトされた)分布の変化に等しいという事実によるものである。このような最大の指数はIx(C)によって示され、エントロピー確率関数と称される。このエントロピー確率関数は累積関数の凸状の共益変換関数であり、次の式で示すことができる。
であるので、次の不等式によって分布の左テールに対する同様な式を誘導できる。
エントロピー確率関数の分布の左右テール間の関係はパラメータSを使って次のように表すことができる。
I-X(−C(s))=IX(C(−s)) (式10)
従って、パラメータSの符号を変えることによりエントロピー確率関数の分布の右側テールを左側テールに切り換えることができ、またはこの逆に左側テールから右側テールに切り換えることもできる。
斉時的なポアッソントラヒックに対するエントロピー確率関数
提供されるトラヒックが斉時的である時の仮想パスをディメンジョニングするために、エントロピー確率関数を使用することをまず検討する。バンド幅要求パラメータp、平均発呼到達率rおよび各通話の平均時間h(平均保持時間とも称される)によって斉時的なポアッソントラヒックの特徴を決定できる。従ってトラヒック要求量ρは平均発呼到達率と平均保持時間との積、すなわちr*hである。斉時的トラヒックに対する累積関数を次の関係式で記述できる。
μ(s)=ρ(esP−1) (式11)
従って、斉時的なトラヒックに対する割り当て容量Cおよびエントロピー確率関数Iは次のように示される。
C=μ'(s)=ρpesP (式12)
および
I(C)=s*(C)・C−μ(s*(C)) (式13)
すなわち
I(C(s))=SρpesP−ρ(esP−1) (式14)
式12の解を関係式
に置換することにより、式14で示されるタイプの斉時的トラヒックに対するエントロピー確率関数を下記のような割り当てられた容量Cの関数だけで表示することも可能である。
図10は単位バンド幅要求量pの提供されるトラヒックの異なる値に対するエントロピー確率関数の特性を示すグラフである。図11は割り当てられた容量Cの関数としてプロットされたシフトパラメータsを示す。
図10および11に示されるように、エントロピー確率関数は3つの重要な性質を有する。第1に分布の平均値、すなわちC=ρの場合、最小値ゼロに達する凸関数である。第2に分布の平均値、すなわちC=ρでCの値が増加する場合、シフトパラメータsは負から正に変わる。図11から理解できるようにC<ρの時、シフトパラメータsは負であり、C>ρの時は正となる。第3にシフトパラメータsは単調関数であり、仮想パスに割り当てられる容量の関数と共に増加する。従って、変換パラメータsは確率分布シフトパラメータとして解釈できる。シフトパラメータが負の値をとると、確率分布はシフトパラメータのゼロの値に対応する確率分布と比較して左側にシフトする。シフトパラメータが正の値をとる時は確率の値は右側にシフトする。
多階級ポアッソントラヒックに対するエントロピー確率関数
トラヒックモデルは多階級ポアッソン分布を特徴とする、提供されるトラヒックに拡張でき、かかる提供されるトラヒックモデルで対応するエントロピー確率関数が次のように誘導される。
単一階級の分布に対するエントロピー測度を多階級の分布に対するエントロピー測度に置換すると、エントロピー確率関数は割り当てられる容量Cの項により明瞭に表示できなくなるという問題が生じる。このような問題を防止するために制御パラメータとしても使用されるシフトパラメータsの項でエントロピー確率関数を表示する。このパラメータの絶対値を増加することにより、割り当てられる容量を明瞭に変えることができるので、エントロピー測度を確実にインクリメントすることが可能となる。
Xiにより階級i(ここでiは数字1〜kまでの値をとる)のランダムトラヒックを表示する。ピークバンド幅要求量pi、平均発呼到達率riおよび各階級の保持時間hiをpi=rihiとなるように定め、ランダム変数Xiの累積値の予想値を次のように定める。
多階級トラヒック
に対するエントロピー確率関数
は飽和確率の負の対数の予想値である。
ここで、kはトラヒックの階級の数であり、Cはこのように集合状態の多階級トラヒックを伝送するVPに割り当てられる容量である。次の関係式はすべての分布に有効なエントロピー確率関数の一般的な性質を示す。
同様に、式
はCに対して凸状であることを証明できる。
多階級ポアッソントラヒックに対する対数モーメント発生関数は次の関係式で示される。
エントロピー確率関数は次の一般式
で示されるので、多階級トラヒックに対するエントロピー確率関数をシフトパラメータSの項で次のように表示できる。
ここで、割り当てられる容量Cを更に次のように関数によりシフトパラメータsに関係付けることができる。
単一階級のエントロピー測度を多階級のエントロピー測度に置換することにより、問題は分析的に、より複雑となる。エントロピー測度は割り当てられた容量Cの項で明瞭に表示できなくなるからである。このような複雑化は式22からシフトパラメータsを除くことができないことに起因する。
しかしながら式21はエントロピー確率関数をシフトパラメータsの項で表示しているので、変化するCの代わりにsを変えることができる。従って、式22を使うことによりアルゴリズムの各繰り返しステップで容量の値を計算できる。sの0の値はエントロピー測度のゼロの値に対応することに留意すべきである。すべてのVPに対しsをゼロに設定することによりディメンジョニングアルゴリズムを初期化する。
正常な分布をしたトラヒックに対するエントロピー確率関数
ポアッソンの提供されるトラヒック分布に基づくモデル以外のトラヒックモデルと共にエントロピー確率関数を使用することもできる。次に2つの他の重要なトラヒックモデルについて説明する。第1のトラヒックモデルは提供されるトラヒックの正常な分布に対するエントロピー確率関数に基づくものであり、このトラヒックモデルに対しエントロピー確率関数の対応する式が誘導される。第2のトラヒックモデルは提供されるトラヒックの分布に関する明瞭な仮定ではなくて、実際のトラヒックフローの測定から得られるエントロピー確率関数に基づくものである。
正常な分布のトラヒックに対するエントロピー確率関数は下記の式によって定義されることが証明されている。例えばR・S・エリス著、「エントロピー、大きい偏差および統計力学39」(シュプリンガー出版社、1985年)を参照されたい。
ここでmは平均値であり、σは正常な分布N(m,σ)の偏差値であり、更に次のように示される。
これら2つの関係式は制御パラメータsに直接関連してエントロピー確率関数に対する次の簡単な式を生じさせる。
従って、正常な分布のトラヒックの場合、エントロピー確率関数は簡単な(かつ凸状)の2次の関数であることが証明されている。
測定されたトラヒックに対するエントロピー確率関数
将来のネットワークで提供されるサービスの多様性は、今日利用できるサービスよりもかなり大きくなるので、将来の広バンドネットワークはネットワークに提供されるトラヒックのタイプが大きく変化するような経験をする可能性が極めて高い。従って、トラヒック分布の理想化された特定の表示に関する仮定に基づくすべてのモデルは、それら固有のフレキシビリティの無さのために不適当となり易い。トラヒックの測定値から誘導されるエントロピー確率関数を使用することにより、この困難なトラヒックモデル予想問題への1つの解決案が得られる。これまで説明したトラヒックモデルは通話レベルの時間スケール上で定められてきた。これと対照的に、トラヒック測定の統計は標準的なATMセルの時間スケール上で定められる。通話レベルの時間スケールはセルレベルの時間スケールの近似と見なすことができる。従って、通話レベルの時間スケール上での一定のバンド幅要求量を示す1つ以上のパラメータにより、通話中のランダムに変化するトラヒック要求量を要約することができる。
エントロピー確率関数はセルレベルでのトラヒック測定値から予想できることが、最近示唆された。例えばN・G・ダフィールド外によるATMトラヒックストリームのエントロピー:QoSパラメータを予測するためのツール(ダブリン高等研究所、1994年)を参考にされたい。
エントロピー確率関数に対するトラヒック過負荷の作用
各物理リンクでの平均提供トラヒックが、そのリンクでの対応する利用可能な物理的容量よりも小さければ、すなわち
であれば、エントロピー確率関数をブロッキング測度として解釈することが良好に働く。しかしながらこの条件は、現実の過負荷状態で破ることがある。斉時的なポアッソントラヒックおよび時間輻輳ブロッキング測度(すなわちアーランのブロッキング式)に基づく次の例を検討する。
表2は0.03の固定されたブロッキング値に対して計算された、割り当てられた容量および対応するトラヒック要求量の3つの値をリストアップしたものである。最後のケースではブロッキングが比較的小さくても、提供されるトラヒックは割り当てられる容量よりも大きくなることに留意すべきである。
この例は
が破られた時の過負荷状態をカバーするのにエントロピーブロッキング測度を拡張する必要があることを示している。数学的には、かかる拡張は容易に達成できる。先に示したように、エントロピー確率関数はE(Xk)で最小値がゼロとなる凸関数であり、エントロピー確率関数の左側ブランチは過負荷領域を定める(図10および11参照)。この領域では、エントロピー確率関数が増加することは割り当てられる容量が減少することおよび制御パラメータの値が負であることに対応する。過負荷領域をカバーするように制御パラメータの符号を変えることにより、エントロピー確率関数に基づくプッシュダウンアルゴリズムを容易に拡張できる。かかる拡張をするには元のディメンジョニングアルゴリズムをわずかに変更するだけでよい。
依然として残る問題は性質上、かなり概念的なものである。すなわちこの拡張をどのように解釈するかである。エントロピー確率関数の左側ブランチ領域は下記の確立マスの左側テールの近似値に対応する。
更に、割り当てられる容量Cの利用率のエントロピー測度として解釈できる。
初期状態では、割り当てられるリソースは物理リソースの容量を越えるので、すなわち
であるので、利用率がエントロピー確率関数の増加に対応するにつれ、この利用率を減少させなければならない。
過負荷領域における最適化の目的は、次のように解釈できる。この領域におけるエントロピー利用測度の分布の均一性を改善するために、リソースの最大コンシューマー(最低のエントロピーと有するVP)を識別し、この極端な代表物の利用率を低下させる。最大コンシューマーの利用を減少することは、過負荷領域における増加したエントロピー確率関数に対応する。従って、このような解決方法は最適化問題の最大−最小公式に対応する。当初、過負荷領域内に入る値でスタートすることにより、制約条件を適用することに留意すべきである。
再び(最良の利用が予想できない場合でも)リソースの最良の利用にエントロピー利用測度の均一な分布が対応していることを利用できる。制約条件を満たすよう、右側ブランチ領域に対しても同じ理由付けをした後に、各クリチカルリンクでのエントロピー利用測度を均一にする。更にVPのエントロピー利用率の値が等しくなるようにクリチカルリンクを横断するすべてのVPの容量を割り当てる。
先に述べたように、エントロピー曲線の右側領域での最適化の目的はブロッキングが最大のVP(すなわちエントロピーブロッキング測度が最小のVP)に割り当てられる容量を増加することである。このことは、最適化問題の最大値−最小値の公式化に対応する。用語「利用」を用語「ブロッキング」に置換し、用語「リソースの最大コンシューマー」を、左側領域に対する、先に公式化した最適化の対象における「最大のブロッキングを有するVP」なる用語に置換することにより、左側領域に対する最適化の対象を右側領域に対する最適化の問題に変換できることに留意すべきである。
エントロピー確率関数の左側および右側ブランチに対する最適化の対象のこれら2つの異なる公式化の結果、最適化方法は同じとなる。いずれのケースにおいてもエントロピー確率関数は増加しなければならない。このことは、制御パラメータsの絶対値を大きくすることによって達成できる。負荷が利用可能なリソースを越えない場合、シフトパラメータは正となり、種々の仮想パスに割り当てられる容量は利用可能な物理リソースのすべてが割り当てられるまで連続的に大きくできる。他方、負荷が利用可能なリソースを越えた場合、シフトパラメータは負となる。かかるケースでは、割り当てられる容量が物理リソースの制限内に収まるまで割り当てられる容量を徐々に減少する必要がある。
エントロピー確率関数を使用したVPディメンジョニングアルゴリズム
VPディメンジョニングの問題を効率的に解くために、我々はエントロピー確率関数の上記特徴を利用できる。先に説明したように、このVPディメンジョニング問題は提供されるトラヒック分布が所定の場合において、複数の所定のVP間で制限された物理ネットワークリソースを割り当てようとするものである。図12にブロッキング測度としてエントロピー確率関数を使用するVPディメンジョニングアルゴリズムの一実施例が示されている。
この方法は一連の初期化ステップ1202〜1206でスタートする。ディメンジョニングすべきVPのすべてを1202でVPディメンジョニング集合にまとめる。1203でネットワーク内の各物理リンクに対する伝送容量制限を指定する。1204でエントロピー確率関数に対する上限すなわちIMAXの一つの集合を仮想パスごとに1つずつ任意に指定する。
ステップ1202〜1204は実現する事項に応じて任意の順で実行できることに留意すべきである。更に提供されるトラヒック分布が打ち切りされた右側テールを有する現実的な可能性がある場合に限り、すなわち所定の有限値CMAXよりも大きいXの値に対しP(X>C)が0となる場合に限り、1204でIMAXを指定する。提供されるトラヒックの分布が打ち切りされた右側テールを有する場合は、ゼロブロッキングを達成するようにネットワークリソースのサイズを決定することは理論的に可能である。しかしながらかかる状況は実際には稀である。
上記以外の初期化のステップは1205において仮想パスの各々に対する大きいブロッキング値および等しいブロッキング値を選択することを含む。他の箇所で説明したように、エントロピー確率関数の値とVP上の対応するブロッキングとの間には逆の関係がある。従って、大きいブロッキング値はエントロピー確率関数の小さい値に対応する。これまで生じた関係を使用し、1205で種々のVPに対する初期容量の割り当て値も計算される。
1206では各物理リンクにわたってこれら初期容量の割り当て値を累積し、その物理リンクの予め指定された伝送容量と比較する。初期割り当て値は1つ以上の物理リンクで過負荷が生じるような値となっていれば、シフトパラメータsの負の値に基づく式を使用するように、次に続く計算ステップを変更する。この結果は過負荷状態に対するアルゴリズムはディメンジョニング問題がシフトパラメータsの負の値を表すことに対応するという事実に従う。
初期化方法に内在される別のステップは、提供されるトラヒックモデルを選択することにあり、このモデルが測定値に基づくものでない場合にはエントロピー確率関数I、割り当てられる容量Cおよびシフトパラメータsに対する対応する関係を誘導することにある。このステップは図12には示されていない。
初期化ステップ1202〜1206の後にディメンジョニング技術は再帰的ステップ1207〜1215を実行する。図12に概略が述べられた再帰的技術は2レベルの再帰方法を示し、ここではVPディメンジョニングアルゴリズムは、まず1つ以上の物理リンクがフル(すなわち100%)利用率に達するまで、1207〜1210に示されるようにVPディメンジョニング集合内のVPに繰り返し容量を割り当てる。
容量がフルに割り当てられた物理リンクをクリチカルリンクと称す。従ってステップ1207〜1210の真の作用は、クリチカルリンクを再帰的に識別することにある。クリチカルリンク識別方法は繰り返し方法の各ステージで1つの物理リンクのみをクリチカルリンクと識別し易いが、実施されるようなアルゴリズムは所定の時間において2つ以上のクリチカルリンクを等しく識別し、処理することができる。
本発明の一実施例では、提供されるトラヒックモデルに応じたエントロピー確率関数に対する関数式を使用する固定した量だけ、現在のエントロピー確率関数予想値を1207でインクリメントすることにより、クリチカルリンクの識別を行う。かかる式の例としては斉時的なポアッソントラヒックに対する式15、多階級ポアッソントラヒックに対する式21および正常な分布のトラヒックに対する式23および25がある。エントロピー確率関数予想値へのインクリメント量は時々負となり得ることに留意すべきである。このようなことは、ディメンジョニングアルゴリズムが最適値をオーバーシュートし、容量を過剰に割り当てる場合に生じ得る。
ディメンジョニング集合内のVPの各々に対し1208でシフトパラメータsの値を計算する。このシフトパラメータの値は対応するVPに対する図10のエントロピー確率−容量グラフの傾きを示すことに留意すべきである。エントロピー確率関数のインクリメント値を使って1209でディメンジョニング集合内のVPに割り当てるべきインクリメント状容量を計算する。ステップ1207〜1209は、実施事項に基づき、図12に示されるシーケンスと異なるシーケンスで実行してもよい。
次に、物理リンクの各々に対し、1210で種々のVPに割り当てられた容量を累積し、1211でその物理的リンクの総容量を比較する。あるリンクの割り当てられていない物理的容量が所定の限度よりも低下した場合、そのリンクをクリチカルリンクと判断する。
表6、9および12から判るように、3つのアルゴリズムはそれらのグローバル性能の点で極めて類似した結果を生じさせる。
仮想ネットワークのディメンジョニング
仮想パスは仮想ネットワークの特殊なケースであるので、VPディメンジョニングの問題は仮想ネットワークのディメンジョニングの問題に一般化できる。仮想ネットワークの概念には多数のアプリケーションがあるので、実際的な見地からこの一般化は重要である。例えば異なる仮想ネットワーク上で異なるサービスを提供できる。保証されたサービス品質(QoS)パラメータを提供するプロプリエタリー仮想ネットワークを必要とするユーザーもあれば、所定レベルの伝送リソースおよび他の仮想ネットワークからの分離を必要とする安全性を提供する仮想ネットワークを求めるユーザーもある。これらサービスを提供するには、VNディメンジョニングの問題を解く必要がある。
仮想ネットワークの概念は通信運用業者が他の運用業者から購入した伝送容量をリセールする状況にも適用できる。第1の運用業者は収入を最大にし、またはQoSの標準を維持するように、顧客の間に購入した伝送容量を割り当てることを願い、一方、リセラーの顧客はより低いレベルのリセラーとなり得る。従って、例えば長期契約によりかなりの量の伝送容量を購入する大きな組織は、ここのトラヒック容量の変化に基づき、組織の部門間に容量を再割り当てしたいことがある。このような再割り当てがVNディメンジョニング問題である。
仮想ネットワーク概念を適用する別の簡単な例として、ATMネットワークを通したインターネットプロトコル(IP)のパケットの転送に関連した例がある。これを行う1つの方法は、パケットの接続オリエントな転送を行うよう、ATMネットワークを通してVPの一つの集合を割り当てることである。しかしながら、単に一つの集合の仮想パスよりも仮想ネットワークを割り当てることによって、この仮想ネットワーク内の異なるパスを通して異なるパケットをルーチングできることが理解できる。このような接続の少ない転送モードは、接続オリエントな技術によって得られる利得よりも別の多重化利得を提供する。
VMディメンジョニング問題に対する抽象化モデル
ディメンジョニング問題全体の説明は多層状の表示に分解でき、この多層状の表示により他のレイヤの説明と無関係な形態で各レイヤ上のディメンジョニングの問題を説明できる。
本発明の一実施例では、仮想ネットワーク(VN)ディメンジョニング問題を解くためにこれまで3レイヤモデルを使用した。この3レイヤモデルは図18に示されている。この3レイヤモデルの最下レイヤは物理レイヤであり、この物理レイヤの上に物理ネットワークの位相空間および物理リンクソースが指定されている。通常、これらの使用はVNディメンジョニング問題の制限を構成する。しかしながら本明細書に詳細に説明する解法技術は物理ネットワークが変化しない状況のみに限定されるものでなく、ネットワークプラニングの問題を解くのにも適用できる。本明細書に述べるように、ネットワークプラニング問題は提供されるトラヒックパターンが一定の場合において、ネットワークの物理リンクへの容量の最適割り当てを探すことである。
図8に示された3レイヤモデルのうちの中間層は、仮想ネットワークレイヤであり、このレイヤの上に1つ以上の仮想ネットワークおよび仮想リンクの位相空間が記述される。各仮想ネットワークは1つ以上の仮想リンクから構成される。仮想ネットワークレイヤ上の各仮想リンクは、物理レイヤの1つ以上の物理リンクの一つの集合を示すことに留意すべきである。本明細書で解かれたモデル問題では、種々の仮想ネットワークを別個であると見なした。
図18の3レイヤモデルのうちの最上部レイヤは仮想パスレイヤである。仮想パスレイヤ上に定められた仮想パスは、下のレイヤの仮想ネットワーク上のトラヒックを抽象的に記述する。下方のレイヤ上の異なる仮想ネットワークに対応する上部レイヤ上の仮想パスは、このモデル例では重ねられていないことに留意すべきである。しかしながら異なる仮想ネットワークは下方のレイヤのリソースを共用したり、異なる仮想ネットワークに対応する仮想パスが集合されたトラヒックを伝送する仮想幹線に集合された状況をカバーするように、このモデルを拡張してもよい。
3レイヤのVNディメンジョニングの問題のN個のレイヤへの一般化
3レイヤの抽象化モデルは限定することなくN個のレイヤの抽象化モデル(ここでNは任意の正の整数である)に一般化できることに留意すべきである。N個のレイヤのケースでは、本明細書に説明する技術はレイヤN−2でリソースの制約を受けるレイヤN−1上でリンクをディメンジョニングできる。
3個〜N個のレイヤへのVNディメンジョニング問題の一般化を理解するために、運用業者がATMネットワークを維持するモデルの状況を検討する。このATMネットワークはマルチレイヤ階層のうちの底部レイヤ(インフラストラクチャ)と見なすことができる。更にATMネットワークレイヤの位相空間および物理リソースが固定され、従って、ディメンジョニング問題全体への制限を構成していると仮定する。
我々はATMネットワークレイヤの上部に1つ以上のサンドイッチレイヤを再帰的に構築できる。ここで、本明細書で使用するサンドイッチレイヤは隣接するレイヤの集合と定義できる。各サンドイッチレイヤはVNディメンジョニング問題を解くために使用されるモデルと同じ3レイヤ構造として見なすことができる。このサンドイッチよりも下のレイヤは再帰的に公式化されるVNディメンジョニング問題における制限物理インフラストラクチャと再帰的に見なすことができる。このような概念は単一サンドイッチ構造に関連するケースに対して示すことができる。
ATMネットワークレイヤの上部に複数の専用回線(この回線は仮想パスまたは論理リンクに等価的にできる)が定義されていると仮定する。次にこれら回線はサンドイッチが存在する時間に対して変化しないと考えることができるサンドイッチに対する新しい物理インフラストラクチャを構成すると考えることができる。次にこれら論理リンク(LL)をLLレイヤの上部に構築された仮想ネットワーク(VN)レイヤのための制限リソースとして使用できる。VNレイヤはLLレイヤとは同じでなく、更に可変である。すなわちサンドイッチ構造の存続時間中、多数の再コンフィギュレーション化を受けることがある。これらの再コンフィギュレーション化は時間と共に変化するユーザーの要求によって必要となり得る。例えばいくつかの物理的に分散された部門を有する大会社の通信ニーズは、新しい技術の採用により、または部門の成長もしくは他の部門の縮小により時間と共に変わり得る。各サンドイッチの上部レイヤにはトランスポートサービスが定義される。ネットワーク運用業者は仮想ネットワークを再コンフィギュレーションするための責任をとる。サンドイッチモデルの仮想ネットワークは、例えば相互接続されたローカルエリアまたはワイドエリアネットワークを示すことができる。仮想ネットワークの各々の上部にはトラヒックストリームを集合化するためのルートに対応するVPのレイヤが存在し得る。これらマッピングされたVPについては基本的な3レイヤのVNディメンジョニング問題を詳細に説明する本願のセクションで後に説明する。
ディメンジョニング問題を分析するには論理リンクレイヤは不要であることに留意すべきである。かかるレイヤをまだ含める主な理由は、サンドイッチ構造をATMネットワークレイヤから分離するためである。このようにATM運用業者が関与することなく、サンドイッチ運用業者によって仮想ネットワークの再コンフィギュレーション化を行うことができる。論理リンクの時間長さはサンドイッチ構造の時間長さに対応するので、これによってATMレイヤの管理が簡単になる。
VNディメンジョニング問題
ここで解く仮想ネットワーク(VN)のディメンジョニングの問題は次のように公式化できる。コンポーネントの物理リンク(PL)および指定された物理リンク容量に関し、指定された位相空間を有する物理ネットワークで始める。この物理ネットワークの上部に物理リソースを共用する多数の別個の仮想ネットワークを定義する。コンポーネントの仮想リンクに関し、各仮想ネットワークの位相空間構造を指定する。このVN位相空間はPN位相空間に関連し、VP位相空間は対応するVNに関連する。最終的に種々の仮想パス上で提供されるトラヒックも与えられる。このVNディメンジョニング問題の目標は位相空間またはリソースの制限を破ることなく、種々のVNおよびVPに容量を割り当てることである。
区分化の方式
一般にディメンジョニングの目的は、異なる区分間で相互作用(多重化)がなく、各区分内である程度の相互作用(すなわち多重化)が生じるように、物理インフラストラクチャを区分に分割することである。集合状態のトラヒックストリームはコンポーネントのトラヒックストリームの各々に対し必要とされる容量の合計よりも少ない伝送容量しか必要としない時は、多重化の利益が得られる。
ここで検討するモデルのVNのディメンジョニング問題では、異なる仮想ネットワーク間のリソースの区分化が完了していると仮定する。従って、このディメンジョニングモデルは2つ以上の仮想ネットワークが同じ物理リソースを共用していても、異なる仮想ネットワークに属すトラヒックストリームの多重化を処理しない。多数のトラヒックストリーム間で利用できる物理リソースを共用することは、単一の仮想ネットワーク内でのみ認められる。
上記モデルの多重化規則に一致する仮想ネットワークのディメンジョニングの問題に対する区分化の方式は少なくとも3つある。
a.仮想パス(VP)の区分化方式。ここでは2つの異なる仮想パス間で多重化が生じないように、各仮想ネットワーク上の各仮想パスを他のすべての仮想パスから区分(区分化)する。
b.仮想リンク(VL)の区分化方式。この方式では、異なる仮想リンク間で多重化がなく、一方、同じ仮想リンクを横断する異なるVPが下方のレイヤのリソースを共用することができるように、各仮想ネットワークの各仮想リンクを他の仮想リンクのすべてから区分化する。
c.物理リンク(PL)を区分化する方式。ここでは各仮想ネットワークを他のすべての仮想ネットワークから区分化する。ここでは異なる仮想ネットワーク間で多重化はないが、単一仮想ネットワーク内の仮想リンクは下方のレイヤのリソースを共用することが認められる。
ネットワーク管理の見地からVP区分化方式が最も複雑でない。しかしながらこの結果、他の2つの区分化方式と比較して、利用できる物理リソースの利用率が低くなる。これと対照的に、PL区分化方式は作業上最も複雑であるが、3つの区分化方式のうちで利用できる物理リソースの最高の利用率を提供する。これら3つの区分化方式の各々については後に詳細に検討する。
まずVP区分化方式を使用してVNディメンジョニング問題について検討する。次に仮想リンクが物理リソースの共用を認められない時のVNディメンジョニング問題について検討する。このことは上記VL区分化方式の使用に対応する。最後にVNディメンジョニング問題を別個の仮想リンクが物理リソースを共用することを認められる状況で検討する。このことは、上記PL区分化方式を使用することに対応する。下記に示すように、VNディメンジョニング問題は3つのすべての区分化方式に対して等価的なVPディメンジョニング問題に縮小できる。
先に詳細に述べた解法技術のいずれかを使用して種々の仮想リンクに対するリソースの割り当てを得るために、等価的VPディメンジョニング問題を解くことができる。PL区分化方式を使用する仮想ネットワークの一つの集合をエントロピーに基づくVPディメンジョニングアルゴリズムでディメンジョニングすることにより、本発明のシステムおよび方法について説明する。エントロピーに基づくディメンジョニングアルゴリズムの精度および測度については、その性能を他の2つの公知のアルゴリズムと比較することによって評価する。
VNディメンジョニング原理
VNディメンジョニング問題のレイヤ状の説明を統一的かつ効率的に扱うために、まずモデルおよび用語の表記を定義する必要がある。VN固有の構造マトリックスを用いて仮想ネットワークの仮想リンクと対応する物理リンクとの間のメンバーシップ関係を記述できる。この構造マトリックスはVPディメンジョニング問題を解く際に先に説明したルーチングマトリックスに概念的に類似している。ルーチングマトリックスはベースネットワークの上部に定められた仮想パスとベースネットワークのリンクとの間のメンバーシップ関係を記述することを思い出していただきたい。
階層的に分解されたVNディメンジョニング問題は下記に示すようなVPディメンジョニング問題に縮小できる。この縮小方法はコンパイル化の方法に類似する。仮想ネットワークの構造およびこの構造の上部に定められるトラヒック要求量を高レベルの仕様と見なすことができ、VPディメンジョニング問題は低レベルの仕様と見なすことができる。本発明のシステムおよび方法は高レベルの仕様を低レベルの仕様に手続き的にコンパイルするものであり、縮小されたVP構造をコンパイルされた構造を称すことにより、後にこの類似について強調する。このコンパイル方法は任意のVPディメンジョニングアルゴリズムと組み合わせて使用できることに留意すべきである。
仮想ネットワーク(VN)構造マトリックスは仮想ネットワークを構成する仮想リンクの位相空間的構造を記述するものである。各仮想ネットワークは仮想リンクの集合であり、仮想ネットワークにおける仮想リンクは下方の物理ネットワーク上で定められる物理リンクの抽象化であるので、VN構造マトリックスは物理ネットワーク上のパスの集合を記述する。
VN構造マトリックスは1と0から成り、一つの集合のメンバーシップ関係を記述する。この構造マトリックスは物理リンクを同じ数の行と仮想リンクと同じ下図の列とを有し、VN構造マトリックスの各列は、かかるメンバーシップ関係を定め単一仮想リンクを示す。メンバーシップ関係はすべての物理リンクの十分な集合のサブ集合として示される。従って、別ベクトルiの行pのうちの1の値は仮想リンクVLiが物理リンクPLpを横断することを示し、0の値はVLiが物理リンクPLpを横断しないことを示す。
各仮想リンクは対応するサブ集合を構成する物理リンク要素によって数学的に定義される。このサブ集合は仮想リンクに対する数学的な表記である。各仮想ネットワークは仮想ネットワークに属すすべての仮想リンクを記述する自己の構造マトリックスを有する。このマトリックスの表示により各リンクを物理リンクの集合の要約すなわちサブネットワークとすることができる。仮想パスは単なるサブネットワークの特殊なタイプにすぎない。従ってVPディメンジョニング問題はVNディメンジョニング問題の特殊なケースにすぎない。種々の仮想リンクの容量と物理リンクに割り当てられる対応する容量との間の定量的な関係は、仮想ネットワークレイヤおよび物理リンクネットワークレイヤの双方に対するリンク容量ベクトルを定義することによって得ることができる。マトリックス表記で表すと、この関係は次のフォームとなる。
ここでSkは仮想ネットワークkに対する構造マトリックスであり、Ckは仮想ネットワークkの仮想リンクの容量を定義する仮想容量ベクトルであり、
は仮想ネットワークkの種々の仮想リンクに割り当てられた物理的容量の対応するベクトルである。
仮想ネットワークのすべてに割り当てられる累積物理的容量は物理ネットワークの利用可能な容量を越えてはならない。このことは次の制限式によって表示できる。
ここで、
は利用可能な物理的容量を記述するベクトルであり、すべてのK個の仮想ネットワークに対して総和を行う。この式はベクトル不等式であるので、各ベクトルの対応する成分は不等式を個々に満足しなければならない。
VP区分化方式を使ったVNディメンジョニング問題
VP区分化方式を使用する時はVNディメンジョニング問題は物理的容量の制限を破ることなく、物理ネットワークリソースを最大に利用する仮想パスおよび仮想リンクに対する容量の割り当てを決定する問題となる。
VNディメンジョニング問題のためのVP区分化方式は、標準的なVPディメンジョニング問題と同じ構造を有する。仮想ネットワークの各々での仮想リンクの容量は予め分からないので、VNレイヤ上で指定されるVPディメンジョニング問題は物理ネットワークレイヤ上で指定される正確にされたVPディメンジョニング問題に重ねる必要がある。
このことは、各仮想ネットワークの構造を下方の物理ネットワークの構造に関連づける構造マトリックスSk、および仮想リンクに関し各仮想ネットワーク上のVPを記述するルーチングマトリックスχkを使用することによって行うことができる。仮想パスを仮想ネットワーク上のパスと見なすように、仮想リンクを物理ネットワーク上のパスと見なすことができることに留意すべきである。この再帰的定義はN個のレイヤのネットワークディメンジョニングモデルに拡張できる。
ルーチングマトリックスχkは仮想パスを仮想リンクにマッピングし、VN構造マトリックスSkは仮想リンクを物理リンクにマッピングするので、物理リンクに関し、仮想パスを直接定義する2つのマッピングSkおよびχkの重なりがあることは明らかである。このような所望する重なりは次のように表示される2つのマトリックスのブール積である。
Γk=sk▲×▼χk (式35)
通常のマトリックスの乗算が予想可能となり、その要素のすべてが0または1となるように大きさの一致する2つのマトリックスMとNが与えられると、2つのマトリックスのブール積はM▲×▼Nで表示され、マトリックスMとNとの再スケーリングされた通常のマトリックス乗算の積と定義され、ここではその結果生じるマトリックス内の0でない要素の各々は1に再スケーリングされる。
崩壊構造マトリックスとも称される組み合わされた構造マトリックスΓkは、各仮想ネットワーク上の固定されたルーチングの物理レイヤに対する写像を特定すると見なすことができる。このような方法によりVNレイヤ上の特定の仮想ネットワークに対するVPディメンジョニング問題を物理ネットワークレイヤに関する正確にされたVPディメンジョニング問題にマッピングできる。
仮想ネットワークレイヤ上のすべての仮想ネットワークは、同じ物理ネットワーク上で割り当てられるリソースと競合するので、すべての崩壊構造マトリックスΓkを次のような1つの構造マトリックスとなるように集合しなければならない。
CONCAT演算はマトリックスΓphysがすべての崩壊構造マトリックスΓkの集合であることを表示している。このマトリックスをコンパイルされた構造マトリックスと称すことができる。物理に、マトリックスの連接化により、この連接されたマトリックスのすべての列から成る新しいマトリックスが生じる。この連接化の順序はディメンジョニング方法には重要ではないが、計算精度のためにこの連接化の順序に関する情報を維持することがまた重要である。
コンパイルされた構造マトリックスΓphysの上記定義は、物理ネットワーク層に定められたすべてのマッピングされたパスの集合を記述するものと理解できるが、崩壊構造マトリックスΓkの各々はかかるマッピングされたパスのサブ集合しか記述しない。コンパイルされたVNディメンジョニング問題のマッピングされたパスは基本的VPディメンジョニング問題の仮想パスに類似する。まさにコンパイルされた構造マトリックスΓphysが得られるような、すべてのマッピングされたパスのかなりの集合を得るには、マッピングされたパスのすべてのサブ集合を集合する必要がある。
Γphysは既に定義されているので、次に集合されたVPをディメンジョニングし、Γphysによって定義されるVPの各々に割り当てられる容量を決定するために、任意のVPディメンジョニングアルゴリズムを次に適用できる。K個の仮想ネットワークの各々に割り当てられる対応する仮想リンク容量Ckは、ルーチングマトリックスχkを使って次のように計算できる。
Ck=χk・Vk (式37)
ここでVkは仮想ネットワークkに定められたパスに割り当てられる容量のベクトルを示す。式37は、VNディメンジョニングアルゴリズムの出力を示す。
コンパイル方法
図13には3レイヤ状モデルが示されている。ここでは物理ネットワークの上部に仮想ネットワークが定められ、仮想ネットワークの上部に仮想パスが定められている。VN層をVP層に関連付けるルーチングマトリックスは式1およびそれに付随する説明に定義されている。3つのリンクL1、L2およびL3を有するVN層に対しVN構造マトリックスを次のフォームを有する。
図18の例に対し物理ネットワークに関連して直接仮想パスを定義するコンパイルされた構造マトリックスΓおよび仮想リンクを物理リンクに関連付ける崩壊構造マトリックスの双方は同じである。その理由は、本例ではVNは1つしかないからである。
式39は仮想ネットワークレイヤが3つの仮想リンクL1、L2およびL3から成り、各リンクが2つの物理リンクの集合であることを示すと解釈できる。仮想リンクVLiが物理リンクPpを横断する場合、このことはVN構造マトリックスSの行pおよび列j内の1によって表示される。仮想パスVPおよびVPの各々は4つの物理リンクP1、P2、P3およびP4のうちの3つの集合である。仮想パスVPが物理リンクPpを横断する場合、このことはコンパイルされた構造マトリックスΓの行pおよび列i内の1によって表示される。
図19にはVP区分化方式のためのコンパイル方法の概略が示されている。まずN個のレイヤのVNディメンジョニング問題の上部の3つのレイヤを選択することにより1902で3レイヤの階層的構造を定義する。最も低いレイヤは物理ネットワークの位相空間および制限を記述し、中間レイヤはディメンジョニングすべき仮想ネットワークを記述し、上部レイヤは仮想ネットワークの各々の上部に定義されたルーチング構造(すなわちVP)を記述する。同時に、対応するVN構造マトリックスおよびVPルーチングマトリックスも1902で構築される。次に1903で対応する2レイヤ問題となるように3レイヤ問題の公式化を分解する。どの物理ネットワークの最初の上部レイヤ(VP)上のどのルートも、物理ネットワークのある物理容量を利用するので、崩壊構造における各マッピングされたルートに割り当てられる物理リソースを記述する、対応する崩壊ルーチングマトリックスを誘導できる。
次に1904で種々の物理リンクに関連し、各マッピングされたVPの位相空間を記述する単一のコンパイルされた構造マトリックスとなるように、種々のマッピングされたルートに対する崩壊構造マトリックスを連接する。次に各崩壊VPに割り当てるべき伝送容量を決定するために、VNディメンジョニング問題のコンパイルされた説明に1905で任意のVPディメンジョニングアルゴリズムを適用できる。かかるVPディメンジョニングアルゴリズムの例は限定することなく図9に示されたプッシュダウンアルゴリズムと、図12に示された基本的エントロピーに基づくVPディメンジョニングアルゴリズムおよび図13に示された適応VPディメンジョニングアルゴリズムを含む。最後に、各仮想ネットワークの各仮想リンクに割り当てるべき容量の値を計算するために、1906でVPルーチングマトリックスが使用される。
VLおよびPL区分化方式の概観
一般に、異なる仮想リンクは互いに相互作用し得る。すなわちこれらリンクは同じ物理リソースを共用できる。これによりこれらリンクに割り当てられるトラヒックを多重化できる。仮想リンクが互いに相互作用しないケースでは、各論理リンクに対し集合されたトラヒックストリームを定義しなければならない。他方、仮想リンクが互いに相互作用することが認められる場合、各物理リンクに対し集合されたトラヒックストリームを定義する必要がある。仮想リンク間の多重化が認められない場合、仮想ネットワークは専用物理ネットワークのように作動する。かかるネットワークは仮想リンク間の多重化を認めるネットワークと比較してかかるネットワークに割り当てられるリソースの利用率が低いので、かかるネットワークの管理はより容易である。
VL区分化方式
相互作用しない仮想リンクは、物理レイヤの頂部上のVPと見なすことができる。ここにおけるディメンジョニングタスクは各仮想リンクに割り当てるべき集合された提供されるトラヒックを決定することである。提供されるトラヒックは各仮想ネットワークの頂部上の仮想パスで指定されるので、このことはルーチングマトリックスから得ることができる。次のステップはすべての仮想リンクのグローバルな集合を得て、すべての物理リンクの集合に対するそれらの関係を判断することである。このようなグローバルな集合では各仮想ネットワークの仮想リンクの集合である。
仮想ネットワークの構造は提供される集合されたトラヒックにしか影響せず、仮想リンク容量をディメンジョニングする作用と無関係である。物理レイヤの見地から、各仮想リンクは仮想パスを構成するので、VL区分化方式を使用するVNディメンジョニング問題はVPディメンジョニング問題にも縮小されるので、先に詳細に説明したVPディメンジョニングアルゴリズムのいずれかの使用を可能にする。
R個のマッピングされたルートXr上で提供されるトラヒックは1つのルートトラヒックベクトルXに組み立てることができる。同様に、J個の仮想リンクU上で提供されるトラヒックはリンクトラヒックベクトルUに組み立てることができる。これらルートトラヒックベクトルとリンクトラヒックベクトルとは、下記のルーチングマトリックスχを使用して関連付けできる。
ベクトル表記すると、式40は下記のように表示される。
U=χ・X (式41)
djを仮想リンクjに割り当てられる容量とし、bjをパス(ルート)r上の対応する割り当てられる容量とすると、次のようになる。
ベクトル表記すると式42は次のようになる。
d=χ・b (式43)
仮想リンク容量djに対するエントロピーブロッキング測度IUj(dj)は次の式で表される。
提供されるトラヒックUjが所定の値の場合、仮想リンクj上のエントロピーブロッキング測度IUj(dj)を計算できる。従って物理ネットワーク上の仮想パスとして定義されるすべての仮想リンクの一つの集合が与えられると、VL区分化方式を使用するVNディメンジョニング問題もVPディメンジョニング問題にこの問題をマッピングすることによって解くことができる。
VP区分化方式とVL区分化との比較
割り当てられるルートリソースベクトルbに対応するように、割り当てられるリンクリソースベクトルdを定義すると、dVL<dVPとなる。ここでdVPはVP区分化方式に対する割り当てられるリンクリソースベクトルを示し、dVLはVL区分化方式に対する割り当てられるリソースベクトルを示す。この不等式は各仮想リンク上で集合される提供されるトラヒックを多重化することによって得られる利得を示している。
PL区分化方式
次に、同じ仮想ネットワークに属する異なる仮想リンクを多重化することが認められるケースを検討する。対応する提供されて集合されるトラヒックは、各物理区分、更にすべての区分の集合に対して決定する必要がある。これはルーチングマトリックスχおよび仮想ネットワーク構造マトリックスSを使用して行うことができる。各物理区分に対する提供され集合されたトラヒックは、集合された仮想リンクトラヒックの集合体と定義される。このような付加的集合体はVN構造マトリックスを使用して得ることができる。その理由は、VN構造マトリックスは種々の仮想リンクと対応する物理ネットワークとの間のメンバーシップ関係を定めているからである。J個の物理リンクの各々の上の提供され集合されるトラヒックをベクトルZで表示し、J個の物理リンクの各々に割り当てられる等価的容量をベクトルgで表示すると、先に述べた表記法を使って次の式が得られる。
対応するベクトル表記法で表記すると、次のような式となる。
z=S・U=S・χ・X (式46)
ここで複合マトリックスS.χはVPの提供されるトラヒックベクトルXを集合されたPLの提供されるトラヒックZに関連付けるものである。エントロピー確率関数のための対応する式は次のように示される。
ブール積Sk▲×▼χkとして式35で定義した崩壊構造マトリックスΓを使用して上記のように物理区分を定めるメンバーシップマトリックスを決定する。従って、PL区分化方式を使用するVNディメンジョニング問題はVPディメンジョニング問題に縮小できることが再び証明される。
VL区分化方式とPL区分化方式の比較
これら2つの方法の間の違いを理解し、その結果生じる容量の割り当てに対する集合されたトラヒックの多重化の作用を示すために、VL区分化方式とPL区分化方式とを比較することが有効である。図20に示され、図13に作表されたネットワーク構造について検討する。
表14に示された特性を有する多階級トラヒックがすべての仮想リンクに提供されると仮定する。
各物理リンクの容量を毎秒150メガビットと仮定する。
PL区分化方式のための結果
PL区分化方式を使用する場合、図20に示され、下記の表15の第1列にリストされた8つの物理リンク2001〜2008に対応するVNディメンジョニング問題の物理区分は8つ存在する。種々のリンク上で提供されたトラヒックから各区分で提供され集合されたトラヒックを誘導できる。例えば物理リンクP上の区分に提供される集合されたトラヒックを43.47単位とする。この値は表14にリストされた通話到達率ベクトルと保持時間ベクトルとのスカラー積の3倍に計算される。すなわち3*(0.25*30+0.01*240+0.051*90)と計算される。この区分を横断する区分リンクは3つあるので、提供され集合されるトラヒックは2つのベクトルのスカラー積の3倍となる。このようなPL区分化方式を使用するVNディメンジョニング問題の例は、これまでエントロピーに基づくVPディメンジョニングアルゴリズムを使用して解かれており、下記の表15にそれらの結果が示されている。
VL区分化方式のための結果
VNディメンジョニング問題でVL区分化方式を使用する場合、各仮想リンクに提供されるトラヒックは前と同じである。すなわち14.49単位すなわち(0.25*30+0.01*240+0.051*90)である。
仮想リンクを区分として処理する際に、異なる仮想リンクに割り当てられる容量は下記の表16にリストされている。
仮想ネットワークのルーチング構造は図20および表13に示されたままであることに留意すべきである。
次に多重化効果について検討することができる。例えば物理リンクP5-6を検討する。PL区分化方式の場合、この物理リンクを使用する3つの仮想リンクに割り当てられる総容量は48.7単位であり、この値はVL区分化方式における個々の割り当てられる容量の合計(すなわち16.7+16.7+16.7)である50.1単位よりも小さい。
従来のVLディメンジョニングアルゴリズムとの比較
これまでこのアルゴリズムにおける詳細に説明したVNディメンジョニング技術の性能を他のアルゴリズムと比較した。下記に示される結果はPL区分化方式(完全区分化方式とも称される)を使用するVNディメンジョニング問題に関係するものである。
図21に示された5つの仮想ネットワーク2101〜2105について検討する。基礎となる物理ネットワークの位相空間は図16および17を参照して本明細書に説明したものと同じである。図21に示されるような位相空間を備えた5つの仮想サブネットワークは図16および17に示された1つの物理ネットワークの共用リソースと見なされる。
図21に示された仮想ネットワーク2103は仮想リンク間の多重化が可能である一例を示す。物理リンクP5-6は3つの仮想リンクすなわちノード3からノード4および5を介し、ノード6まで延びるL3-6、ノード2からノード5および4を介してノード4まで延びるL2-4、およびL5-6が横断している。PL区分化方式の場合、これら3つの仮想リンクから提供されるトラヒックは物理リンクP5-6上の1つのトラヒックストリームに集合できる。これに対応し、ディメンジョニングアルゴリズムも容量を物理リンクP5-6に割り当てる。
本例では、すべての物理リンクが2400単位の同じ容量を有すると仮定する。これら5つの仮想サブネットワークに多階級のポアッソントラヒックを提供できる。本明細書で分析するモデル問題では的確に示される特性を有する各仮想リンクおよび各仮想サブネットワークに対しトラヒック要求量の4つの階級が提供される。階級i(ここでiは1〜4の間の整数値をとる)に対するトラヒック要求量ρiは、次の関係式によって関数的に決められるものと見なす。3ノードの仮想サブネットワークでは、
4ノードのサブネットワークに対しては、
同時にトラヒックの階級iに対するバンド幅要求量piは次のように見なす。
pi=0.064βi (式50)
ここでパラメータβは提供されるトラヒックの異質性、すなわち各階級自体が多数のレートのトラヒックを伝送できるとした場合の異なるクラスのバンド幅要求量の間の差を示すものである。βの単位値は斉時的なトラヒックを示す。パラメータαは4つのトラヒッククラスの間におけるトラヒック要求量の分布を示す。
下記の方法と他の2つのディメンジョニング方法とを比較した。これら他の方法は2つの極端な方法を代表するものであり、そのうちの一方は低速であるが、良好に工夫された理論的フレームワークに基づくもので、他方は高速であるがラフな理論的な簡略化に基づくものである。
これらベンチマークディメンジョニングアルゴリズムのうちの第1のアルゴリズムはA・ファラゴー、S・ブラーブヨルブ、W・ホレンダー、T・ヘンク、L・アスト、A・チェンテシーおよびZ・ジアーダによる共著論文「リソースの分離:ATMネットワークコンフィギュレーションを最適にするための効率的なツール」ネットワーク94国際ネットワークプラニングシンポジウムの議事録、83〜88(1994年ブダペスト)およびS・PチュンおよびK・W・ロス著「マルチレートの紛失のネットワークのための負荷を低減した近似化」、通信に関する第41回IEEE/ACMトランザクション、1222〜31(1993年)に詳細に説明されているような固定点アルゴリズムを使用したものである。このアルゴリズムは仮想ネットワークをディメンジョニングするための確立された方法を代表するものである。しかしながらこのアルゴリズムは極めて高速ではないので、基本的には本願に記載の新しいVNディメンジョニング技術を使用して得られる結果の精度を評価するのに主として使用される。このベンチマークアルゴリズムのための理論的なフレームワークは良好に開発されている。しかしながらこのフレームワークはリンクの独立性とディメンジョニング問題を過度に簡略化する負荷が低減された2つの仮定を具体化するものである。
第2のベンチマークディメンジョニング方法はA・ファラーゴ著論文「等価的リンクブロックキングの設定に基づく簡略化されたディメンジョニングモデル」ブダペスト工業大学、通信およびテレマチック部(1993年)に詳細に説明されているような等価的リンクブロッキング(ELB)アルゴリズムを使用したものである。このアルゴリズムは問題に関する実質的に理論的な仮定に基づく仮想ネットワークをディメンジョニングする、ラフで高速の方法を代表するものである。このアルゴリズムは新しいVNディメンジョニング技術の計算速度(すなわち実行時間)を評価するのに主に使用される。
これら方法を比較するのに3つの異なる評価パラメータ、すなわちネットワーク収入、最大ルーロブロッキングおよび実行時間を使用した。新しいVNディメンジョニング技術ではネットワーク収入も最大ルートブロッキング(時間輻輳測度としての)も発生しなかったので、これらパラメータを得るのに別の計算が必要であった。
本願のVNディメンジョニング技術を使用して得られる割り当て容量をこれらのベンチマークディメンジョニング技術への入力として使用した。このように時間輻輳ブロッキング測度およびベンチマークアルゴリズムで使用される関係式と同じパラメータの関係を使用する収入関数として計算されないパラメータを計算できる。本願において先に詳細に説明したように、エントロピー確率関数から他のネットワーク作動パラメータを得てもよい。
3つのVNディメンジョニングアルゴリズムの各々に対し16の場合の提供されるトラヒックに対する収入関数およびブロッキングパラメータを決定した。この比較の結果を図17〜20における三次元の表に示す。
エントロピーに基づくVLディメンジョニングアルゴリズムは固定点ベンチマークアルゴリズム方法よりも約2桁速くELBベンチマークアルゴリズムよりも約1桁速いことが分かった。
結論
本発明のシステムおよび方法において2つの相互に関連する方法、すなわちVPディメンジョニング問題とVNディメンジョニング問題について解いた。本明細書に詳細に説明した解法技術において、エントロピー確率関数をブロッキング測度として使用し、負荷バランシングをディメンジョニング技術として使用した。多数の例を用い、2つのベンチマークアルゴリズムと比較することにより、この方法の可能性について実証した。この新しいディメンジョニング方法は従来のディメンジョニング技術よりも2桁まで速い。このようなかなり高速の計算速度は計算精度を代償にすることによって得られたものである。従って、このような新しい方法はこれまで可能であったよりも良好な結果を提供するものである。またこの方法は、グローバリーに最適である。この方法はエンド間のブロッキング測度に基づくものであり、従来技術のリンクが独立していること、すなわち負荷が小さいとする仮定を必要としない。本発明によって提供される方法は、特定のトラヒック分布をとらず一般的なトラヒックで使用できるので、ATMネットワークをディメンジョニングするための実際的な重要性を有する。
将来、ATMネットワークは実際のトラヒック測定値に基づきディメンジョニングされる可能性が高い。本明細書に詳細に説明したディメンジョニングシステムおよび方法は一般的な提供されるトラヒックおよび測定値によって提供されるトラヒックの双方を処理できるディメンジョニングアルゴリズムを実現するための実際的なフレームワークを提供するものである。
以上で本発明の方法および装置の好ましい実施例を添付図面に示し、これまでの詳細な説明で説明したが、本発明は開示した実施例のみに限定されるものでなく、次の請求の範囲に記載した本発明の要旨から逸脱することなく、再配置、変更および置換が多数可能であると理解すべきである。
仮出願でない本願は、ウロデック・ホレンダーおよびザボルクス・マロムソキーの名義により1995年7月14日に「一般的なタイプのトラヒックによる広バンドATMネットワークのための効率的なディメンジョニング方法」を発明の名称とし出願され、本願と同じ譲受人に譲渡された先の米国仮特許出願第60/001,169号(代理人整理番号第27946-00094)に基づく優先権を請求するものである。
関連出願とのクロスレファレンス
仮出願でない米国特許出願は1995年8月11日に出願された「広バンドトラヒックによる仮想パス容量を最適にディメンジョニングするシステムおよび方法を発明の名称とする継続中の仮出願でない米国特許出願第08/514,480号(代理人整理番号第27946-00094)および1995年8月11日に出願された「仮想パス広バンドネットワーク上で適応化ルーティングを行うためのシステムおよび方法」を発明の名称とする、仮出願でない米国特許出願第08/513,723号(代理人整理番号第27946-00095)に関連した要旨を含む。これら仮出願でない米国特許出願およびそれらの開示をここに参考例として引用する。
発明の背景
1.発明の技術分野
本発明は通信ネットワークを効率的にディメンジョニングする(大きさを定める)ためのシステムおよび方法に関し、より詳細には、制限のある物理ネットワークに構成された論理リンクおよび仮想ネットワークをディメンジョニングするための技術に関する。
2.関連技術の説明
局部的な地理的領域に設けられた電話機器およびその他の通信デバイスはこれまではローカル交換機と称される交換機器により互いに接続されていた。ローカル交換機は次に幹線交換機により相互に接続されている。互いに分離された地理的領域内に位置し、異なるローカル交換機に接続された電話/データ機器は、通信ネットワークを構成するように共にリンクされたローカルおよび幹線交換機の複雑なグループを介して互いに通信するようになっている。よって1つの通信ネットワークは複数の相互に接続されたネットワーク要素、例えばローカル交換機、幹線交換機、移動無線交換機、長距離交換機およびこれらの組み合わから成る。各ネットワークレベルでは1つのネットワーク要素、例えば交換機から他のネットワーク要素へのトラヒックは異なる交換機を通過する種々のルートをとることができる。
ネットワーク内の通信設備の効率的なネットワークトラヒック管理を行うには、最終選択トラヒックルートで過度の輻輳を発生することなく各宛て先のトラヒック条件を処理するのに充分な数の回路が利用できなければならない。更にすべての最終選択ルートでネットワークの輻輳をできるだけ均一とし、リソースの効率的な利用を保証するために現実に設けられたルート内で使用されない容量を最小にすることも必要である。更にネットワークを運用する電話会社は予算が限られているので、各ネットワーク内の現在のリソースからの効率をできるだけ大きくしなければならない。
過去において、通信ネットワークにおけるトラヒック管理はネットワーク内のトラヒックパターンを定期的に調査し、トラヒック取り扱い量を効率的に高めるよう、回路およびルートのコンフィギュレーションを変える手法を含んでいた。更に特定のロケーションまたは特定の領域への、更にその領域内のローカルのイベントへの高い呼数密度を予想してネットワークにより多くのルートおよび回路を加えることができる。従来のネットワーク管理システムはサービスの質(QoS)を過度に低下することなく、ネットワークの利用率を効率的に最大にするよう、ネットワーク内の選択されたルート間のトラヒックの負荷の相対的分布を変えることもできる。しかしながら従来のトラヒックネットワーク管理システムおよび手法は、一般的にネットワーク全体の効率を最大にするよう、より高いレベルの抽象化でネットワーク内のルートおよび回路を再ディメンジョニングすることにより、再構成するためではなく、むしろ個々のトラヒック要求を処理するためにネットワーク内の回路およびルートの利用可能性を高めようとするものであった。
通信システムにおける物理ネットワークリソースを管理する効率を最大にしたいという固有のニーズの他に、最近の情報および通信技術の発展により多くの新しい経済的な機会および管理上の課題が発生した。通信サービスを提供するベンダーは常に顧客の新しい要求に直面しており、通信ネットワークを通した通常の音声通信を提供するだけではもはや充分ではない。今日のユーザーは音声信号だけではなくてリアルタイムのネットワークおよびパケット交換ネットワークにおいても、データ、オーディオ、ビデオおよびマルチメディア信号を伝送する能力を求めている。広バンドの通信設備を提供するための能力が大きくなることにより、非同期式転送モード(ATM)技術が次第に重要となりつつある。
ATM技術の主な特徴は、ネットワークリソースの利用がフレキシブルであることである。このようなフレキシビリティを活用する1つの可能な方法は、論理的に定められたリソースとなるように物理ネットワークリソースを完全または部分的に区分する方法がある。例えば部分的ネットワークを複数の仮想ネットワークに区分することにより、部分的ネットワークの運用、保守および管理をかなり簡略化できる。このような手法により、物理ネットワーク全体にわたる発呼ごとのトラヒックルーティングの問題を分析し、解決するタスクにより、各仮想ネットワークにおけるかなり簡単なルーティング問題へと縮小できる。個々の仮想ネットワークの各々は全体としての全物理ネットワークよりも複雑度が小さく、トラヒックルーティング問題の解決をより簡単にできる。
異なるトラヒックタイプ、異なるクラスのサービスが存在し、また専用ネットワーク内のトラヒックの要求量が変わることによっても物理リソースの区分化が必要とされる。顧客の利用ごとに別個の物理ネットワークを提供する代わりに、サービスプロバイダは1つの共通するATMの物理インフラストラクチャの上部に構成された多数の仮想ネットワークを設定できる。
仮想ネットワークストラクチャのコンフィギュレーションをこのようにフレキシブルにするには、効率的なディメンジョニングツール、方法およびアルゴリズムが必要である。将来提供される通信サービスの性質は予想が困難であるので、仮想ネットワークのリソースのコンフィギュレーションを管理するのに使用されるディメンジョニング方法はすべてのタイプの広バンドトラヒックを処理できなければならない。仮想ネットワークのコンフィギュレーションを、提供されるトラヒックのパターンの変化に適応させるために頻繁に改定しなければならない場合、ネットワークの再ディメンジョニングおよびコンフィギュレーション制御システムの計算の効率も高める必要がある。ネットワーク再ディメンジョニングおよびネットワークを再構成するために選択されるアルゴリズムは、各仮想ネットワークの時間長さよりも短い時間で計算を実行しなければならない。
ディメンジョニング技術は一般的なトラヒックの分布をモデル化できなければならないという条件により、現在の多くのディメンジョニング技術が除かれる。最も広く使用されているディメンジョニング方法は、アーランのブロッキング(閉塞)測度の使用から生じる制限のために、一般的なトラヒックモデルを処理することはできない。本発明の方法およびシステムはこれら欠点を克服するものである。
発明の概要
従って、本発明の課題は、一般的なトラヒック分布モデルを使用してユーザーがネットワークをディメンジョニングできるようにすることである。本発明の別の課題は、最小の計算リソースを使用してディメンジョニング計算を実行できるようにすることである。本発明の別の課題は、計算上の複雑度が低く、よって速度がより高速のディメンジョニングアルゴリズムを実現することにある。本発明の更に別の課題は、できるだけ短時間の間に再ディメンジョニング計算を実行できるようにすることである。本発明の別の課題は、仮想ネットワークのディメンジョニングおよび仮想パスをディメンジョニングする方法の効率を高めることにある。
1つの物理ネットワークが複数の物理リンクから成り、各物理リンクがあらかじめ指定された伝送容量を有する場合において、本発明のシステムおよび方法は一般的なトラヒックモデルをサポートするディメンジョニング技術を提供するものである。このディメンジョニングタスクは、種々の物理リンクにわたって負荷のバランスを取る問題と見なされる。仮想パスのディメンジョニングの問題に対する最適な解決案は、仮想パスの各々におけるブロッキングを種々のリンクにわたりできるだけ均一にした種々の仮想パスにわたって割り当てられる容量を選択することに対応する。
本発明の1つの特徴として、複数の交換機すなわちノードを相互接続する複数の物理リンクを有する通信ネットワークを効率的にディメンジョニングする方法が提供される。1つ以上の仮想パスに複数の物理リンクが関連し、仮想パスの各各は通信ネットワーク内の一対の交換機すなわちノードの間の個々の交換可能な接続を行う。仮想パスの各々には提供されるトラヒック量が指定され、通信ネットワークの各物理リンクに対し伝送容量の制限値が設定される。エントロピーブロッキング測度を使って通信ネットワーク上で提供されるトラヒックと他の計算パラメータとの間の関係がモデル化され、あらかじめ選択されたエラー界内で種種の仮想パスでのブロッキングの確率ができるだけ均一となるように、種々の物理リンクに対する伝送容量の制限を受ける複数の仮想パスに容量が割り当てられる。
【図面の簡単な説明】
添付図面と共に次の好ましい実施例の詳細な説明を参照すれば、本発明の方法およびシステムについてより完全に理解できよう。
図1は、内部で仮想パスのディメンジョニングを行うことができる、通信ネットワークを示すブロック図である。
図2は、ATMセル構造の例を示すブロック図である。
図3は、ATMネットワーク内の相互に接続された多数の仮想パスおよび仮想チャンネルを示すブロック図である。
図4は、ATMネットワークにおける仮想パスおよび仮想チャンネルのクロスコネクトによる交換を示すブロック図である。
図5は、サポートされるサービスクラスおよび規格のレイヤの種類を示すCCITT B-ISDN基準モデルを示す図である。
図6は、仮想専用回線(VLL)サービスを提供するATMネットワークを示す図である。
図7は、STMクロスコネクトを含む多階層状のSDHに基づくトランスポートネットワークを示す図である。
図8は、仮想パスと物理リンクとの間の位相的関係を示す図である。
図9は、物理ネットワーク上に構成された仮想パスをディメンジョニングするためのブッシュダウンアルゴリズムの種々のステップを示すフローチャートである。
図10は、本発明に関連したエントロピー確率関数の特性を示すグラフである。
図11は、図10に示されたエントロピー確率関数に関連したシフトパラメータの特性を示すグラフである。
図12は、本発明に関連したエントロピー確率関数を使用した仮想パスディメンジョニングアルゴリズムの種々のステップを示すフローチャートである。
図13は、本発明に関連した適応ディメンジョニングアルゴリズムにおける連続するステップを示すフローチャートである。
図4は、仮想パスを変えるためのエントロピー確率関数の一例を示す図である。
図15は、本発明に関連した適応ディメンジョニングアルゴリズムの計算ステップを示す図である。
図16は、6つのノードを有する物理ネットワークを示す図である。
図17は、図16の6つのノードのネットワークに構成された仮想パスの接続位相空間関係を示す図である。
図18は、物理パスと仮想リンクと仮想パスとの間の位相的関係を示すための3レイヤの抽象化モデルである。
図19は、仮想ネットワークのディメンジョニングに問題を等価的な仮想パスのディメンジョニングの問題に変換するためのコンパイル方法を示すフローチャートである。
図20は、図16の6ノードネットワークに重ねられた6つのリンクを有する仮想ネットワーク例を示す図である。
図21は、図16の6ノードネットワークに重ねられた5つの異なるサブネットワークを示す図である。
好ましい実施例の説明
従来のネットワークにおける輻輳制御
まず図1を参照すると、ここには複数のローカル交換機21〜26を含む従来の公衆通信ネットワークの略図が示されている。交換機の各々には複数のローカル加入者が接続されており、これら加入者は電話機器27で表示されている。ローカル交換機のうちの2つ、21および24は、これに関連するリモート加入者多重ステージ28および29を有しており、次にこれら多重ステージにはローカルの顧客27が接続されている。図1のネットワークは複数の幹線交換機31〜34も含み、これら幹線交換機31〜34は主に種々のローカル交換機を互いに相互接続し、ネットワークの種々の部分の間のルートを提供するようになっている。幹線交換機31は移動交換機35に接続されるように示されており、この移動交換機35は38で示される複数の移動無線電話加入者にサービスをする一対の図示された基地局36および37を含む。更に図示した交換機のうちの種々の交換機にデータベースおよびインテリジェントネットワークのような他の通信サービスも接続できる。ネットワーク内の交換機21〜35の間には複数の通信パス30が示されており、これら通信パスの各々はネットワーク内の種々の交換機間で音声および/またはデータ通信信号を伝送するためのケーブル、光リンクまたは無線リンクを含む複数の通信ケーブルを含むことができる。
図1のネットワークはネットワーク制御システム40も含み、このネットワーク制御システム40は各交換機へ制御信号を送信したり、各交換機からのトフラフィックデータを受信するための(点線で示された)通信リンク41により、ネットワーク内の交換機21〜35の各々に接続されている。ネットワーク制御システム40はネットワーク内の輻輳状態の軽減を微調整するよう、ネットワークの種々のトフラフィックルート内の通信パスをダイナミックに再構成するだけでなく、ネットワークの交換機内のアラームシステムを制御するようコマンド信号を発生する。
ATMシステムの概念
実現中の公衆通信トランスポートネットワーク内では、現在のところ多数の変化が生じる。公衆通信ネットワークの運用業者の主な目標の1つは、共通するインフラストラクチャ内のすべてのタイプの通信サービスのトランスポートおよび交換を取り扱うための1つのタイプの技術を配備することであった。かかる1つの技術として非同期式転送モード(ATM)技術がある。
ATMは極めて広いバンド幅の接続をうまく処理でき、かなりの「バンド幅のグラニュアリティ」を有するベアラーの通信ネットワークを構築することにより、これらニーズを満足するよう、現在のところ実現されている。「バンド幅のグラニュアリティ」なる用語は、発呼によって必要とされたバンド幅が発呼の時間全体にわたって自由に変わることができるネットワーク内の特性を意味する。
公衆通信ネットワークにおいて、ATM技術を使用することにより関連するサービスに対する共通した交換とトランスポートとが可能となり、広バンドグラニュアリティを高め、可変ビットレートのサービスおよびマルチメディアサービスをサポートすることが可能となる。これらの特徴によりATMは国際電信電話諮問委員会(CCITT)によって広バンドISDN(B−ISDN)サービスのための中核技術としてこれまで選択されている。これにも拘わらずATMには低速度の等時サービスに対し送信遅れがあること、ネットワーク内の複雑度が更に複雑になること、および新しい性能パラメータ(例えばセルの紛失および輻輳)が生じることを含む欠点があり、これらの欠点を、後述するように本発明のシステムが処理している。
ATMネットワークは独立同期デジタル階層(PDH)または同期式デジタル階層(SDH)またはその双方を使って実現できる。更にATMとSTM(同期式転送モード)との間の多数の変換から生じる制限およびその結果生じる性能の低下を処理できる時はいつも、ネットワークのベアラーとして純粋なATMを使用できる。
図2に示されたATMセル構造はATM技術の中心となるものである。1つのATMセルは53バイトの、すなわち53オクテットの固定長さを有し、この長さは5オクテットのヘッダーと48オクテットの情報フィールド(ペイロードとしても知られる)に分割される。このATMセルヘッダーは多数のフィールドとして構成され、その主な機能の1つは発信源ポイントから1つ以上の交換ノードを介し、宛て先ポイントまで、ATMセルをルーティングするのを助けることにある。交換ノード内の内部バッファの大きさを小さくし、これらバッファ内での待ち遅れを制限するために、各ATMセル内に保持される情報は比較的小さく維持される。このことはモデル化の見地から重要である。すなわちモデル化によりネットワークリソースの割り当ておよび制御を最適にするために、良好に確立された回路交換の数学的モデルの結果を使用することが可能となるからである。
ATMセルヘッダーの主な機能は、仮想接続を識別することである。2つのフィールドすなわちATMセルが属すのはどの仮想パスであるかを決定する仮想パス識別子(VPI)と、セルが属するのは仮想パス内のどの仮想チャンネルであるかを決定する仮想チャンネル識別子(VCI)内にATMセル内のルーティング情報が含まれる。
仮想チャンネルとはダイナミックに割り当て可能な端部から端部までの接続を意味する。光学的伝送リンクは毎秒何百万メガビットもトランスポートできるが、仮想チャンネルは毎秒リンクの数キロビットしか満すことができない。従って、単一伝送リンクで多数の同時仮想チャンネルをサポートできる。
他方、仮想パスとはエンドポイント間の半永久的な接続である。仮想パスの各各は多数の同時接続された仮想チャンネルをサポートできる。大きなグループの仮想チャンネルは単一ユニットとして取り扱い、共に交換されるので、仮想パスの総処理条件は仮想回路の総処理条件よりも小さく、よって(仮想)回路当たりの処理がより高速となり、この結果、ネットワークのリソースをかなり効率的に使用できるようになる。仮想パスのネットワーク管理は比較的簡単で、効率的である。
図2に示されるように、ATMセルヘッダーはネットワーク−ノード間インターフェース(NNI)と比較したユーザー−ネットワーク間インターフェース(UNI)で若干異なる。UNIは包括的なフロー制御(GFC)のための4ビットを含み、このUNIはターミナルとネットワーク間で利用できる容量の公平かつ効率的な使用を保証するのに使用される。ATMセルがユーザー情報を含むのか、または特殊なネットワーク情報、例えば保守用の情報を含むのかを表示するよう、ペイロードタイプのインジケータ(PTI)フィールドが使用される。セル紛失プライオリティ(CLP)フィールドは2レベルの優先権をコード化し、ネットワーク条件によりセルを廃棄しなければならなくなった時に、このフィールドが使用される。ヘッダー情報はヘッダーエラー制御(HEC)フィールド内に含まれるチェックサムにより保護されている。
ATMセルを使用することにより情報転送レートを実際のサービス条件に適応することが可能となる。単位時間当たりのセルの数を必要な容量に応じてデータを伝送するのに使用される物理的媒体の伝送ビットレートの限界まで増加できる。データセルの他に信号化およびメンテナンス用セルおよびアイドルセルもある。信号化セルはネットワーク内のエンドユーザー間またはネットワーク内のノード間で使用され、それらの機能はサービスすなわち接続を設定することにある。保守セルはATMレイヤを監督するが、アイドルセルは伝送媒体のレートまでの伝送容量を満たすのに使用される。
図3を参照すると、ここにはATMリンク内の仮想チャンネルおよび仮想パスの交換およびクロスコネクトを示すブロック図が示されている。交換機の設計者の観点から「VP交換」とは識別子フィールドすなわちより短いフィールド(VPI)の上部部分しか使用しないATMセルの交換を意味する。これと対照的に「VP/VC交換」では識別子されたフィールドの全体が使用される(VPIおよびVCIの双方)。VP/VCパスは複数の相互接続されたVP/VC長さから成り、VPまたはVCレベルのいずれかで交換およびクロスコネクトを行うことができる。仮想パス識別子(VPI)および仮想チャンネル識別子(VCI)は、ATM回路内の2−ティヤー処理およびルーチング構造を定める。ネットワークのアーキテクチャ上の観点から、仮想パス(VP)は個々の接続のバンドルすなわちATMネットワークのルートマップ内のあるタイプのハイウェイである。ネットワーク管理における重要なタスクはネットワークの性能を最適にするよう、かかる各ハイウェイ(すなわち仮想パス)に適性な量の伝送容量を割り当てることである。この最適化のタスクはバンド幅管理すなわち仮想パスのディメンジョニング技術の目的であり、下記に更に説明するように、本発明の1つの特徴の要旨となっている。
次に図4を参照すると、ここには仮想パスおよび仮想チャンネルクロスコネクトおよび交換の概念が示されている。仮想パスの識別子(VPI)および仮想チャンネル識別子(VCI)の値は特定のリンクに対してしか有効でない。各クロスコネクト/交換機では、ATMセルに対する識別をする物理ポートの値とVPI/VCIの値の組み合わせを有するセルに、新しいVPI/VCIの値が割り当てられる。次に下記の表1に示されるような変換テーブルの助けにより、ATMセルの一例のルーティングが実行される。
ATMセルはATMトランスポートシステム内の基本的な多重化ユニットであり、各セルすなわち情報ユニットは自己の接続およびルーティング情報を含む。このような特徴により各チャンネルが異なるビットレートを伝送できる直接の多重化または多重解除がイネーブルされる。仮想パス識別子(VPI)フィールドおよび仮想チャンネル識別子(VCI)フィールド内のヘッダー内に含まれる情報により、各ATMセルが識別され、ルート化される。上記のように仮想パス(VP)は2つの終端ポイント(すなわち交換システム、ローカルエリアネットワーク(LAN)ゲートウェイまたはプライベートネットワークゲートウェイの間の多重化された回路のバンドルとなっている。VPIは特定の仮想パスを識別するVPIの値と共に仮想パスの終端間のダイレクトな論理リンクを行う。
既に述べたようにATM技術内で使用される仮想パス概念により多数の仮想チャンネル(VC)を単一ユニットとして処理することが認められる。共通する特性、すなわち同じサービスの質(QoS)を有する仮想チャンネルをバンドルとしてグループ分けし、このバンドルを1つのユニットとしてトランスポートし、処理し、管理できる。このようなフレキシブルなバンドル化によりATMシステムの運用および保守が簡略化される。
ATMネットワーク内の半永久的なパスを提供するのに仮想パスと仮想チャンネルの双方を使用できる。パス内に沿ったクロスコネクト機器内またはマルチプレクサ内に「パス接続ケーブル」を設定することにより運用サポートシステムからルートを設定したり、解放したりする。ユーザーとネットワークの間、またはネットワーク内で信号を送ることにより接続を設定した状態で、オンデマンドの交換をするために仮想チャンネルを使用することもできる。
ATM技術の重要な特徴の1つは、そのプロトコルアーキテクチャに関連しており、いわゆる「コアアンドエッジ」原理を中心として構築される。トランスポートされる情報タイプ、例えば再伝送、フロー制御および遅延等化に固有なプロトコル機能は、ATMネットワークの「エッジ」におけるターミナル内で実行される。これにより簡単なセルトランスポート機能および交換機能しか含まない効率的な、サービスに依存しないコアネットワークが残る。このコアにおけるATMノード内では、情報フィールドにはエラーチェックもフロー制御もない。セル情報が単に読み出され、アドレスに影響を与え得る単一ビットの誤りを訂正するのにHECが使用され、次に宛て先に向かってこのセルが交換される。
提供されるサービスを高めるためにネットワークのエッジではATM適応化レイヤ(AAL)が使用される。図5に示されるようなB−ISDNサービスのためのCCITT基準モデルはAALがサービスに応じた機能を含むことを考慮したものがある。図5に示されるように、ATM規格には3つのレイヤがある。第1のレイヤとは物理インターフェースおよびフレーミングプロトコルを定める物理レイヤであり、第2のATMレイヤとは、選択される物理的媒体から独立しており、セル構造を定め、多重化および多重解除、並びに論理ネットワーク内のセルのフローを制御するためのVPI/VCI変換を行うレイヤであり、第3のレイヤとは、サービスとATMレイヤとの間の重要な適応化を行い、サービスから独立したATMトランスポートを可能にするレイヤである。AALは、元のサービスフォーマットとATMセルの情報フィールドとの間のマッピングを実行する。AALによって提供される機能の例としては可変長さパケットのデリニエーション、シーケンスナンバリング、クロックの回復および性能のモニタリングがある。
通信ネットワークへのATMの設置
顧客のローカルエリアネットワーク内およびその間で高速データ通信をサポートするのに、顧客の構内でATM技術の1つの用途を使用できる。更に音声およびビデオ通信、データ転送およびマルチメディアアプリケーションを含む、顧客の構内ネットワーク内のすべてのサービスに共通するインフラストラクチャリソースとしてATMを使用できる。
公衆通信ネットワーク内にATMノードが導入されるサービスの例としては、仮想専用回線(VLL)サービスを提供するサービスがある。VLLサービスは仮想パス概念に基づくものであり、インターフェイス構造を変更することなく回線容量を直接顧客のニーズに合わせたり、容易に変更することができる。ユーザー−ネットワーク間インターフェース(UNI)を通してユーザーにかなりの数の論理接続を提供できる。更にユーザーのニーズに合わせるよう、顧客の注文に合わせた質のサービスも提供できる。従って、サービスの多数のクラス、サービスクラスの質および性能パラメータを選択できる。例えば音声サービスは伝送遅延時間が短いことを必要とするが、高ビットエラーを許容でき、他方、データ通信はネットワーク遅延に対し、より許容度があるが、ビットエラーの影響を受けやすい。従って、特定アプリケーションのサービスレベルの質はサービスプロバイダと顧客との間で契約により同意し、適合性を保証するように手動また自動的に監査できる。
図6に示されるように、ATMネットワーク内で実行される、仮想チャンネルに基づくVLLサービスの一例が示されている。ネットワークターミナルA〜Eの各々はそれぞれフロー実施ノード601〜605を介してATMクロスコネクトノード611〜614に結合されている。ATMネットワークは複数のATMクロスコネクト611〜614から成り、これら接続は仮想パスのみならず仮想チャンネルレベルでもルーティングを行うことができる。潜在的な過負荷からネットワークを保護するよう、ATMネットワークのエッジにフロー実施機能601〜605が設けられている。接続を設定すると、接続によって同意した条件を破らないように、この機能は保証している。クロスコネクトノード611〜614の1つ以上にサービスを加えることにより、付加的サービスを実施できる。図6のネットワークにはターミナルCとDとの間の波形線621によって仮想パスの一例が示されている。ターミナルAとBとの間の第1仮想接続は点線631によって示されており、第2の仮想接続は点線632によって示されるようにターミナルCとEとの間の点線によって示されている。
図6に示された仮想専用回線ネットワークの他に、ネットワーク内のATMノードにサーバーを接続することにより、要求に応じて他のサービス、例えばSMDS/CBDSおよびフレームリレーを容易に増設できる。居住地エリアではオンデマンドビデオのような新しい豊富な娯楽サービスをユーザーに提供するのにATM技術を使用できる。ATMネットワークのフレキシビリティによって莫大な数のサービス、例えば遠隔地への教育、ホームショッピングおよびゲームをサポートすることが可能となる。
図7はSDHに基づく階層的トランスポートネットワークに重ねられたATMネットワークを示す。これらレイヤは顧客の構内ネットワークレイヤ701、ローカルトランスポートネットワークレイヤ702、地域的なトランスポートネットワークレイヤ703および国内トランスポートネットワークレイヤ704を含む。複数のATMビジネスネットワークノード711〜714が顧客の建物のターミナル715およびLAN716からローカルトランスポートネットワーク705内のSDHクロスコネクトモード722にサービスする複数のアドドロップマルチプレクサ(ADM)712のうちのそれぞれの1つへのデータのフローを制御する。次にローカルクロスコネクトノード722は地域的トランスポートネットワーク内の地域的クロスコネクトノード731を介して結合され、これらクロスコネクトノードのうちの2つはアドドロップマルチプレクサ732によって結合されている。地域トランスポートネットワークレイヤ702内ではATMアクセスノード723の一対およびアドロップマルチプレクサ721を含むSDHリングは、クロスコネクト722にサービスをし、B−ISDNサービスのための標準化されたアクセスレートであるフルのSTM−1(毎秒155メガビット)までの容量での加入者アクセスに対して使用される。
リモートマルチプレクサおよび最終ローカルループ接続を行う他のアクセスノードにより、このリングネットワーク上で現在のトラヒック、例えば通常の従来の電話サービス(POTS)も実施できる。ある位置から異なるサービスへアクセスするのに1つのATMアクセスノード723を共用でき、これらATMアクセスノードは異なるVP/VCを使って音声およびデータの双方を含むことができる。ATMアクセスノード72ではトランスポート容量の使用をより効率的にするためにATMトラヒックが集中化されている。
ATMアクセスノードのサイズは必要とされる容量に応じて小さいマルチプレクサから大きなクロスコネクトまで変わり得る。地域的トランスポートレイヤ703ではローカルエリア間のトラヒックをルーティングするのにクロスコネクト733が使用される。図7に示された国内トランスポートネットワークレイヤ703では、ATMを見ることはできない。図7に示されるような位置のATMオーバーレイネットワークでは、フレームリレーおよびSMDS/CDDSのようなサービスが容易に加えられる。適当なソフトウェアおよびハードウェアを加えることにより、アクセスおよび地域ノードの双方にB−ISDNのための機能を加えることもできる。図7にも示されているように、ネットワークのSDHおよびATM要素の双方に対し、必要なネットワーク管理機能を提供するように、ネットワーク管理システム750、例えばCCITTのTMN規格に従って作動するシステムを実現できる。
サブシステム750によるATMネットワークの管理は、本願の被譲渡人であるテレフォンアクチーエボラーゲットLMエリクソン社によって提供されるネットワーク管理システムの通信管理および運用サポート(TMOS)ファミリーに従って実現してもよい。かかるネットワーク管理は下記に詳細に示されるような本発明の要旨に従って実現される種々の機能、例えばルーティングアルゴリズムおよび輻輳制御を含んでもよい。
仮想パス容量のディメンジョニング
通信ネットワークをディメンジョニングする際に有効なモデルは、離散的位相空間および指定されたリンク容量を備えた第1の物理ネットワークレイヤと、仮想パスおよび特殊なルーティングを備えた第2の仮想パスレイヤとから成る、2つの階層的構造を扱うようなディメンジョニングの問題を処理することである。このモデルでは仮想パスにトラヒックの要求が与えられる。ネットワーク容量をディメンジョニングするタスクを処理するだけの場合、事実上既に仮想パスがルーティングされている。各仮想パスは多数の物理リンクを通って進むことができるが、単一パスのみから成るハイウェイをエミュレートする。各仮想パスは1つの特性ブロッキング値と、仮想パスと同じ数のモデル内の変数しか有しない1つの割り当てられた固有容量を有する。
「提供されるトラヒック」なる用語は、各仮想パスに沿った伝送容量に対する時間と共に変化する要求量を意味するのに使用される。「トラヒック要求量」なる用語は各リンクに対し提供されるトラヒックの時間平均された値を表示するのに使用される。ATMネットワーク上のトラヒックの特性を単一パラメータのポアッソン分布によってモデル化できる時、このトラヒックは斉時的な単一階級のトラヒックと称される。提供されるトラヒックが非斉時的である場合、トラヒックの特性は多階級のポアッソン分布を使用して通常モデル化される。
提供されるトラヒックは通常の分布によってもモデル化できる。このトラヒックを通常のトラヒックと称す。最終的にネットワークのディメンジョニングは測定によって決定される実際のトラヒックに基づいてもよい。
多数のユーザーの伝送リクエストは集合トラヒックストリームとなるように組み合わせることができる。例えば数人のユーザーがダラスからストックホルムへ同時にメッセージを送ることができる。このような多数の伝送を別々に管理する代わりに、これら伝送信号をグループとして組み合わせ、広バンド幹線を通してグループとして伝送するほうがより効率的である。上記のように仮想チャンネルはダイナミックに割り当て可能なエンド間接続であり、仮想パスは多数の仮想チャンネルを単一ユニットとして取り扱い、共に交換できるようにする論理構造である。このような統一された交換により、処理条件全体が低減され、更に伝送もスピードアップされる。仮想パスの管理は仮想チャンネルすなわち個々の物理回路の管理よりも簡単かつ効率的であるので、このような技術によってネットワークリソースの利用を大幅に改善できる。
仮想パスのディメンジョニングモデル
検討する基本モデルとは、固定されたルーティングの下で運用される接続指向ネットワークのモデルである。まず物理ネットワークを任意に接続されたリンクの集合Jから成るものと定義すると、各仮想パス(VP)すなわちルートrは要素がJのサブ集合である順序の決められたリストとなる。仮想パスと物理リンクとの関係はルーティングマトリックスχによって定義でき、そのマトリックスの要素は次のとおりである。
図8は、仮想パスと物理リンクとの間の位相空間的関係を示す。図8ではVP1は物理リンクP1とP2とから成り、仮想パスVP2は物理リンクP2とP3とから成る。
種々のVPに割り当てられる容量と物理リンクに割り当てられる対応する容量との量的な関係は、次のマトリックスフォームで示される。
χCVP=CPhys (式2)
ここで、χは上記の式1で定義されたタイプのルーティングマトリックスであり、CVPは仮想パス容量のベクトルであり、CPhysは物理リンク容量のベクトルである。
種々のVPに既に割り当てられた容量を示す物理リンク容量ベクトルCPhysは物理的リンクのいずれかで利用可能な物理的容量を越えることはできない。このような制限は簡単な制限式によって示すことができる。
ここで、
はK個の物理的リンクの各々で利用できる物理的容量を示すベクトルである。式3はベクトル不等式であるので双方のベクトルの対応する成分がこの不等式を満たさなければならないことを理解するのが重要である。図8に示された簡単な例では、ルーティングマトリックス(χ)は次のとおりである。
ここで、仮想パスの容量とVPに割り当てられた対応する物理リンク容量との間の関係は次のとおりである。
ここで、
は仮想パス容量のベクトルであり、
は物理リンクに割り当てられたベクトルである。
所定のルートrに対する発呼リクエストプロセスを固定したプロセスとすることができ、すべての通話を受け入れ、すべてのブロックを防止する無限容量を有するリソースがプロセスに与えられた場合、我々はこの固定プロセスに対する架空の占有分布について知っている。Xrはこのような架空の無限容量リソースの占有レベルを示し、一般に当技術分野では「提供されるトラヒック」と称される。
仮想パスディメンジョニングの問題は2つの目的を有する本発明のシステムおよび方法で定義される。まず第1に各仮想パスへ割り当てられる伝送容量は伝送コスト関数を最小にするように最適にする必要がある。第2に、どの物理リンクに対しても、このリンクを横断する種々の仮想パスへ割り当てられる容量は、その物理的リンクの物理的伝送容量制限量を越えてはならない。
種々の仮想パスへ割り当てできる物理的容量は
の範囲で実数値をとる連続関数によって近似できる。従って、リソース最適化タスクは離散的最適化およびこれに付随する複雑さのすべてを必要とするわけではない。本願で解決するディメンジョニングの問題では、異なるVP間で負荷を分けることについてはこれまで検討されていない。提供されるトラヒックは各仮想パスに対して定義されると見なす。更にネットワークは固定されたルーティングを有するので、仮想パスを選択することにより、提供されるトラヒックのルーティングが固定される。
プッシュダウンディメンジョニング技術
本発明では、仮想パスディメンジョニングのタスクを負荷バランシング問題として検討し、この負荷バランシング問題では負荷を適当に選択されたブロッキング測度の値とし、最適化の解決方法は仮想パスの各々でのブロッキングをできるだけ均一に分散させる、割り当てられたVP容量の選択に対応する。ブロッキング分布を均一にする1つの方法は、種々の仮想パス上でのブロッキングの値の発散を測定し、この発散を最小にすることである。このような方法は、標準的な最小化アルゴリズム、例えば周知のシミュレートされたアニーリング技術を使用して実現できる。
関連する解決方法は、まず最初に最大のブロッキング値を有する仮想パスを識別し、仮想パスが最大のブロッキングを有するVPでなくなるまで、他のVPから容量を再割り当てすることにより、この仮想パスに対するブロッキングを最小にする方法である。このような公式化は最小値−最大値最適化問題に対応し、下記のように分析的に公式化できる。
i番目の仮想パス上のブロッキングをB(VPi)と表示すると、最大のブロッキングを有するVPはmax(B(VPi))となり、ここで、すべてのVPに対する最大値がとられる。仮想パスの集合に対するブロッキング測度の最大値はVPディメンジョニング問題のための目的関数(コスト関数としても知られる)を定める。従って、この最適化方法の目的は下記の式に対応する目的関数の最大値を探すことである。
min max(B(VPi)) (式6)
ここで、最小値はすべての予想可能な構造に対して定義される。
この技術は、検討したすべてのVPの間で最大のブロッキング値をプッシュダウンするので、最適化問題を解くためにこの技術を使用するアルゴリズムをプッシュダウンアルゴリズムと称す。このアルゴリズムは均一なブロッキング分布が制限のないVPディメンジョニング問題の最良の解決案に対応するとの事実に従うものである。従って最良の解決案とは、VPの各々におけるブロッキングがエラー限界内で等しくされるように、各VPに容量を割り当てることである。しかしながらかかる解決案は種々の物理リンクの容量の制限のために常に実現できるというわけではない。物理リンクの制限された容量は、その物理リンクを横断するすべてのVPの間で分けなければならない。
図9は、物理ネットワーク上に構成される仮想パスをディメンジョニングするためのプッシュダウンアルゴリズムの実施例における種々のステップを示す。このディメンジョニングプロセスは種々のVPの接続位相空間を定義する902でスタートする。種々のVPはVPディメンジョニングセットとなるように集合される。次に、VPの各々が横断する物理リンクの順に903でVPをグループ分けする。904で各VPに対する伝送容量の初期の割り当てが行われる。905でブロッキングを低減するための目標の数字が選択される。目標をセットするには、まずブロッキング測度を選択しなければならない。本発明の好ましい実施例では、次の章で詳細に述べるエントロピー確率関数をブロッキング測度として使用する。ディメンジョニングアルゴリズムに対する終了条件を設定するのに、この目標値が使用される。
物理リンクの各々に対して906でVPの各々でのブロッキングを決定する。単一の物理リンクを横断する種々のVPは同一または類似のレベルのブロッキングに会わない場合、現在VPの各々に割り当てられている容量は902で改定され、VPのためのブロッキング値をエラー限界内で等しくする。割り当てられていない物理的容量を割り当てるか、生産性の低いVPからより生産性の高いVPへ更に割り当てられた容量を割り当てし直すことにより、VPに容量を加えることができる。このような容量の再調節は物理リンクのいずれかの容量の制限を侵すことなく実行される。
このプロセスの結果、1つ以上のリンクが908でこの最適化方法におけるボトルネックとして識別される。VPブロックが最大となり、容量の再割り当てによりそのブロックが低減できない物理リンクは、クリチカルリンクと称される。各クリチカルリンクは、その物理リンクを横断するVP上で達成できる最小のブロッキングを決定する。プッシュダウンアルゴリズムの主なタスクの1つは最適化方法の各ステージで所定の集合の仮想パスのためのクリチカルリンクリンクの集合を識別することにある。
908で一旦クリチカルリンクが識別されると、仮想パスの各々に対するブロッキングの値を等しくするように、このクリチカルリンクを横断する種々の仮想パス間で物理的容量を再割り当てすることができる。物理リンクがクリチカルリンクであると判ったとき、事実上、割り当てられていない容量がないことに留意すべきである。従って、アルゴリズムがディメンジョニング方法のこの段階に達した後にクリチカルリンクを通過するVP間で容量を再割り当てすることしか可能でない。
次に909において、まだディメンジョニングの必要なすべてのVPの集合から、容量が割り当てられたVPを除く。これに対応して910にて、先のステップで除かれたVPUの割り当てられた容量だけ利用可能な物理的容量を低減する。
従って、ディメンジョニングの問題はVPの他の集合に対する最大のブロッキングの確率を最小にする最適化の問題まで縮小できる。これによりこの方法を実行するのに再帰的に再入可能なアルゴリズムの使用が可能となる。
先のステップからのブロッキング値を他のディメンジョニングの問題における初期値として使用する。この最適化の方法は物理リンクの各々の容量のすべてが割り当てられるまで911にて再帰的に繰り返される。要約すれば、この欲張りタイプのアルゴリズムはすべてのVPの完全な集合をディメンジョニングすることから開始し、ディメンジョニングするよう残った仮想パスの集合がゼロの集合となったときに912で終了する。
ここに詳細に述べたタイプのどのディメンジョニングアルゴリズムの実行も、図9に示されたステップの順序と同じように従う必要はないと強調すべきである。ディメンジョニングアルゴリズムのステップの一部の実行順序は実行する細部および発散の事項に基づき、図9に示された順序と異なっていてもよい。
所定の集合のVPにおけるクリチカルリンクを分析的に識別する問題は、困難なタスクであることが証明されている。提供されたトラヒックおよび物理リンク容量の制限から直接クリチカルリンクを決定するための公知の技術はない。従って、プッシュダウンアルゴリズムはクリチカルリンクを識別するのに繰り返し方法を使用する。すべてのVPに対し均一の大きいブロック密度を使用することにより、すべてのVPに対しアルゴリズムを初期化する。選択される初期ブロッキング値はVP容量の最初に割り当てられた値の合計が種々の物理的リンクの利用可能な物理的容量を越えないように十分大きい値としなければならない。
最適化方法で残ったすべての仮想パスの集合でのブロッキングの程度をゆっくりと、かつ均一に低減することにより、クリチカルリンクを、横断する物理的リンクの物理的容量の制限を最初に破るリンクとして各レベルで識別する。
エントロピーブロッキング測度を使用したディメンジョニング
ディメンジョニングプロセスの各ステージでのクリチカルリンクを識別するための上記方法の速度および効率はモデル化で使用されるブロッキング測度の複雑度にクリチカルに依存する。これまではネットワークにおけるVP容量の最適割り当てを決定するために、アーランのブロッキング測度(時間輻輳ブロッキング式としても知られている)が使用されている。
ブロッキング測度としてエントロピー確率関数を使用する本技術は、アーランのブロック測度を使用して得られる結果よりも優れた結果を生じさせる。このようなエントロピー確率関数を使用することにより、任意トラヒック分布のモデル化が可能となり、ほとんどのケースでは他のブロッキング測度に基づく計算と比較して、より高速でこの計算を行うことができる。更にクリチカルリンクのための繰り返しサーチを大幅に改善でき、その結果はエントロピー確率関数が凸関数であるという事実から主に得られるものである。エントロピー確率関数を使用するディメンジョニングアルゴリズムを説明する前にエントロピー確率関数の特徴を研究することが有効である。
ブロッキング測度としてのエントロピー確率関数
先に述べたように、プッシュダウンアルゴリズムにとってブロッキング測度を選択することが重要である。エントロピー確率関数に基づくブロッキング測度の一般的な説明は次に述べ、提供されるトラヒックを単一階級のポアッソン分布と多階級のポアッソン分布により交互にモデル化する場合の状況例に適応する。
当業者にはエントロピー確率関数は公知であり、物理リンクレベルにおける輻輳をモデル化するのにこれまで使用されていた。例えばデジタルアンドアナログケーブルシステムズ(1990年)のJ・Y・ヒュイの「マルチレイヤトラヒックのための発呼の受け入れおよびバンド幅割り当てのための輻輳測度」を参考されたい。しかしながらこのエントロピー確率関数は仮想パスレベルまたはネットワークレベルのいずれかにおけるディメンジョニングまたはプランニングの問題のいずれかを解決する際のブロッキング測度としては、これまで使用されていなかった。更にエントロピー確率関数は物理リンクの有効な容量の概念を定義するのに使用されていた。本明細書に詳細に説明するエントロピー確率関数を使用するディメンジョニング技術はポアソン分布に従う、提供されるトラヒックだけに限定されるものではなく、更に本システムおよび方法は測定によって決定されるような分布を含む任意のタイプの提供されるトラヒック分布で同じように良好に働くことを理解することが重要である。
飽和ブロッキングの確率はトラヒック要求量が伝送容量の指定された値を越える確率であると定義できる。飽和の確率は提供されるトラヒック分布のテール部分の確率マスを示すのでテール確率とも称される。このテール確率への周知の近似方法、すなわちチェルノフ限界について以下説明する。
Xを任意に分布したランダム変数とし、Cを所定の値とする。次にsのすべての正の値に対し次の限界存在することを証明できる。
ここで、P(X>C)はランダム変数XがCよりも大きい値をとる確率である。
この限界の微分はマルコフ不等式に基づくものである。ln(E(esX))なる項は、対数積率(モーメント)母関数を示し、累積関数μ(s)とも称される。sに対して指数sC−μ(s)を最大にすることにより最も厳しい限界(チェルノフ限界としても知られる)が得られる。s=s*(s*は式C=μ'(s)の一義的な正の解である)でこのような最大値に達する。
μ'(s)はsと共に増加し、その根の一義性を保証することを証明することは容易である。μ"(s)≧0であるのでμ'(s)はsと共に増加する。これは二次微分が(シフトされた)分布の変化に等しいという事実によるものである。このような最大の指数はIx(C)によって示され、エントロピー確率関数と称される。このエントロピー確率関数は累積関数の凸状の共益変換関数であり、次の式で示すことができる。
であるので、次の不等式によって分布の左テールに対する同様な式を誘導できる。
エントロピー確率関数の分布の左右テール間の関係はパラメータSを使って次のように表すことができる。
I-X(−C(s))=IX(C(−s)) (式10)
従って、パラメータSの符号を変えることによりエントロピー確率関数の分布の右側テールを左側テールに切り換えることができ、またはこの逆に左側テールから右側テールに切り換えることもできる。
斉時的なポアッソントラヒックに対するエントロピー確率関数
提供されるトラヒックが斉時的である時の仮想パスをディメンジョニングするために、エントロピー確率関数を使用することをまず検討する。バンド幅要求パラメータp、平均発呼到達率rおよび各通話の平均時間h(平均保持時間とも称される)によって斉時的なポアッソントラヒックの特徴を決定できる。従ってトラヒック要求量ρは平均発呼到達率と平均保持時間との積、すなわちr*hである。斉時的トラヒックに対する累積関数を次の関係式で記述できる。
μ(s)=ρ(esP−1) (式11)
従って、斉時的なトラヒックに対する割り当て容量Cおよびエントロピー確率関数Iは次のように示される。
C=μ'(s)=ρpesP (式12)
および
I(C)=s*(C)・C−μ(s*(C)) (式13)
すなわち
I(C(s))=SρpesP−ρ(esP−1) (式14)
式12の解を関係式
に置換することにより、式14で示されるタイプの斉時的トラヒックに対するエントロピー確率関数を下記のような割り当てられた容量Cの関数だけで表示することも可能である。
図10は単位バンド幅要求量pの提供されるトラヒックの異なる値に対するエントロピー確率関数の特性を示すグラフである。図11は割り当てられた容量Cの関数としてプロットされたシフトパラメータsを示す。
図10および11に示されるように、エントロピー確率関数は3つの重要な性質を有する。第1に分布の平均値、すなわちC=ρの場合、最小値ゼロに達する凸関数である。第2に分布の平均値、すなわちC=ρでCの値が増加する場合、シフトパラメータsは負から正に変わる。図11から理解できるようにC<ρの時、シフトパラメータsは負であり、C>ρの時は正となる。第3にシフトパラメータsは単調関数であり、仮想パスに割り当てられる容量の関数と共に増加する。従って、変換パラメータsは確率分布シフトパラメータとして解釈できる。シフトパラメータが負の値をとると、確率分布はシフトパラメータのゼロの値に対応する確率分布と比較して左側にシフトする。シフトパラメータが正の値をとる時は確率の値は右側にシフトする。
多階級ポアッソントラヒックに対するエントロピー確率関数
トラヒックモデルは多階級ポアッソン分布を特徴とする、提供されるトラヒックに拡張でき、かかる提供されるトラヒックモデルで対応するエントロピー確率関数が次のように誘導される。
単一階級の分布に対するエントロピー測度を多階級の分布に対するエントロピー測度に置換すると、エントロピー確率関数は割り当てられる容量Cの項により明瞭に表示できなくなるという問題が生じる。このような問題を防止するために制御パラメータとしても使用されるシフトパラメータsの項でエントロピー確率関数を表示する。このパラメータの絶対値を増加することにより、割り当てられる容量を明瞭に変えることができるので、エントロピー測度を確実にインクリメントすることが可能となる。
Xiにより階級i(ここでiは数字1〜kまでの値をとる)のランダムトラヒックを表示する。ピークバンド幅要求量pi、平均発呼到達率riおよび各階級の保持時間hiをpi=rihiとなるように定め、ランダム変数Xiの累積値の予想値を次のように定める。
多階級トラヒック
に対するエントロピー確率関数
は飽和確率の負の対数の予想値である。
ここで、kはトラヒックの階級の数であり、Cはこのように集合状態の多階級トラヒックを伝送するVPに割り当てられる容量である。次の関係式はすべての分布に有効なエントロピー確率関数の一般的な性質を示す。
同様に、式
はCに対して凸状であることを証明できる。
多階級ポアッソントラヒックに対する対数モーメント発生関数は次の関係式で示される。
エントロピー確率関数は次の一般式
で示されるので、多階級トラヒックに対するエントロピー確率関数をシフトパラメータSの項で次のように表示できる。
ここで、割り当てられる容量Cを更に次のように関数によりシフトパラメータsに関係付けることができる。
単一階級のエントロピー測度を多階級のエントロピー測度に置換することにより、問題は分析的に、より複雑となる。エントロピー測度は割り当てられた容量Cの項で明瞭に表示できなくなるからである。このような複雑化は式22からシフトパラメータsを除くことができないことに起因する。
しかしながら式21はエントロピー確率関数をシフトパラメータsの項で表示しているので、変化するCの代わりにsを変えることができる。従って、式22を使うことによりアルゴリズムの各繰り返しステップで容量の値を計算できる。sの0の値はエントロピー測度のゼロの値に対応することに留意すべきである。すべてのVPに対しsをゼロに設定することによりディメンジョニングアルゴリズムを初期化する。
正常な分布をしたトラヒックに対するエントロピー確率関数
ポアッソンの提供されるトラヒック分布に基づくモデル以外のトラヒックモデルと共にエントロピー確率関数を使用することもできる。次に2つの他の重要なトラヒックモデルについて説明する。第1のトラヒックモデルは提供されるトラヒックの正常な分布に対するエントロピー確率関数に基づくものであり、このトラヒックモデルに対しエントロピー確率関数の対応する式が誘導される。第2のトラヒックモデルは提供されるトラヒックの分布に関する明瞭な仮定ではなくて、実際のトラヒックフローの測定から得られるエントロピー確率関数に基づくものである。
正常な分布のトラヒックに対するエントロピー確率関数は下記の式によって定義されることが証明されている。例えばR・S・エリス著、「エントロピー、大きい偏差および統計力学39」(シュプリンガー出版社、1985年)を参照されたい。
ここでmは平均値であり、σは正常な分布N(m,σ)の偏差値であり、更に次のように示される。
これら2つの関係式は制御パラメータsに直接関連してエントロピー確率関数に対する次の簡単な式を生じさせる。
従って、正常な分布のトラヒックの場合、エントロピー確率関数は簡単な(かつ凸状)の2次の関数であることが証明されている。
測定されたトラヒックに対するエントロピー確率関数
将来のネットワークで提供されるサービスの多様性は、今日利用できるサービスよりもかなり大きくなるので、将来の広バンドネットワークはネットワークに提供されるトラヒックのタイプが大きく変化するような経験をする可能性が極めて高い。従って、トラヒック分布の理想化された特定の表示に関する仮定に基づくすべてのモデルは、それら固有のフレキシビリティの無さのために不適当となり易い。トラヒックの測定値から誘導されるエントロピー確率関数を使用することにより、この困難なトラヒックモデル予想問題への1つの解決案が得られる。これまで説明したトラヒックモデルは通話レベルの時間スケール上で定められてきた。これと対照的に、トラヒック測定の統計は標準的なATMセルの時間スケール上で定められる。通話レベルの時間スケールはセルレベルの時間スケールの近似と見なすことができる。従って、通話レベルの時間スケール上での一定のバンド幅要求量を示す1つ以上のパラメータにより、通話中のランダムに変化するトラヒック要求量を要約することができる。
エントロピー確率関数はセルレベルでのトラヒック測定値から予想できることが、最近示唆された。例えばN・G・ダフィールド外によるATMトラヒックストリームのエントロピー:QoSパラメータを予測するためのツール(ダブリン高等研究所、1994年)を参考にされたい。
エントロピー確率関数に対するトラヒック過負荷の作用
各物理リンクでの平均提供トラヒックが、そのリンクでの対応する利用可能な物理的容量よりも小さければ、すなわち
であれば、エントロピー確率関数をブロッキング測度として解釈することが良好に働く。しかしながらこの条件は、現実の過負荷状態で破ることがある。斉時的なポアッソントラヒックおよび時間輻輳ブロッキング測度(すなわちアーランのブロッキング式)に基づく次の例を検討する。
表2は0.03の固定されたブロッキング値に対して計算された、割り当てられた容量および対応するトラヒック要求量の3つの値をリストアップしたものである。最後のケースではブロッキングが比較的小さくても、提供されるトラヒックは割り当てられる容量よりも大きくなることに留意すべきである。
この例は
が破られた時の過負荷状態をカバーするのにエントロピーブロッキング測度を拡張する必要があることを示している。数学的には、かかる拡張は容易に達成できる。先に示したように、エントロピー確率関数はE(Xk)で最小値がゼロとなる凸関数であり、エントロピー確率関数の左側ブランチは過負荷領域を定める(図10および11参照)。この領域では、エントロピー確率関数が増加することは割り当てられる容量が減少することおよび制御パラメータの値が負であることに対応する。過負荷領域をカバーするように制御パラメータの符号を変えることにより、エントロピー確率関数に基づくプッシュダウンアルゴリズムを容易に拡張できる。かかる拡張をするには元のディメンジョニングアルゴリズムをわずかに変更するだけでよい。
依然として残る問題は性質上、かなり概念的なものである。すなわちこの拡張をどのように解釈するかである。エントロピー確率関数の左側ブランチ領域は下記の確立マスの左側テールの近似値に対応する。
更に、割り当てられる容量Cの利用率のエントロピー測度として解釈できる。
初期状態では、割り当てられるリソースは物理リソースの容量を越えるので、すなわち
であるので、利用率がエントロピー確率関数の増加に対応するにつれ、この利用率を減少させなければならない。
過負荷領域における最適化の目的は、次のように解釈できる。この領域におけるエントロピー利用測度の分布の均一性を改善するために、リソースの最大コンシューマー(最低のエントロピーと有するVP)を識別し、この極端な代表物の利用率を低下させる。最大コンシューマーの利用を減少することは、過負荷領域における増加したエントロピー確率関数に対応する。従って、このような解決方法は最適化問題の最大−最小公式に対応する。当初、過負荷領域内に入る値でスタートすることにより、制約条件を適用することに留意すべきである。
再び(最良の利用が予想できない場合でも)リソースの最良の利用にエントロピー利用測度の均一な分布が対応していることを利用できる。制約条件を満たすよう、右側ブランチ領域に対しても同じ理由付けをした後に、各クリチカルリンクでのエントロピー利用測度を均一にする。更にVPのエントロピー利用率の値が等しくなるようにクリチカルリンクを横断するすべてのVPの容量を割り当てる。
先に述べたように、エントロピー曲線の右側領域での最適化の目的はブロッキングが最大のVP(すなわちエントロピーブロッキング測度が最小のVP)に割り当てられる容量を増加することである。このことは、最適化問題の最大値−最小値の公式化に対応する。用語「利用」を用語「ブロッキング」に置換し、用語「リソースの最大コンシューマー」を、左側領域に対する、先に公式化した最適化の対象における「最大のブロッキングを有するVP」なる用語に置換することにより、左側領域に対する最適化の対象を右側領域に対する最適化の問題に変換できることに留意すべきである。
エントロピー確率関数の左側および右側ブランチに対する最適化の対象のこれら2つの異なる公式化の結果、最適化方法は同じとなる。いずれのケースにおいてもエントロピー確率関数は増加しなければならない。このことは、制御パラメータsの絶対値を大きくすることによって達成できる。負荷が利用可能なリソースを越えない場合、シフトパラメータは正となり、種々の仮想パスに割り当てられる容量は利用可能な物理リソースのすべてが割り当てられるまで連続的に大きくできる。他方、負荷が利用可能なリソースを越えた場合、シフトパラメータは負となる。かかるケースでは、割り当てられる容量が物理リソースの制限内に収まるまで割り当てられる容量を徐々に減少する必要がある。
エントロピー確率関数を使用したVPディメンジョニングアルゴリズム
VPディメンジョニングの問題を効率的に解くために、我々はエントロピー確率関数の上記特徴を利用できる。先に説明したように、このVPディメンジョニング問題は提供されるトラヒック分布が所定の場合において、複数の所定のVP間で制限された物理ネットワークリソースを割り当てようとするものである。図12にブロッキング測度としてエントロピー確率関数を使用するVPディメンジョニングアルゴリズムの一実施例が示されている。
この方法は一連の初期化ステップ1202〜1206でスタートする。ディメンジョニングすべきVPのすべてを1202でVPディメンジョニング集合にまとめる。1203でネットワーク内の各物理リンクに対する伝送容量制限を指定する。1204でエントロピー確率関数に対する上限すなわちIMAXの一つの集合を仮想パスごとに1つずつ任意に指定する。
ステップ1202〜1204は実現する事項に応じて任意の順で実行できることに留意すべきである。更に提供されるトラヒック分布が打ち切りされた右側テールを有する現実的な可能性がある場合に限り、すなわち所定の有限値CMAXよりも大きいXの値に対しP(X>C)が0となる場合に限り、1204でIMAXを指定する。提供されるトラヒックの分布が打ち切りされた右側テールを有する場合は、ゼロブロッキングを達成するようにネットワークリソースのサイズを決定することは理論的に可能である。しかしながらかかる状況は実際には稀である。
上記以外の初期化のステップは1205において仮想パスの各々に対する大きいブロッキング値および等しいブロッキング値を選択することを含む。他の箇所で説明したように、エントロピー確率関数の値とVP上の対応するブロッキングとの間には逆の関係がある。従って、大きいブロッキング値はエントロピー確率関数の小さい値に対応する。これまで生じた関係を使用し、1205で種々のVPに対する初期容量の割り当て値も計算される。
1206では各物理リンクにわたってこれら初期容量の割り当て値を累積し、その物理リンクの予め指定された伝送容量と比較する。初期割り当て値は1つ以上の物理リンクで過負荷が生じるような値となっていれば、シフトパラメータsの負の値に基づく式を使用するように、次に続く計算ステップを変更する。この結果は過負荷状態に対するアルゴリズムはディメンジョニング問題がシフトパラメータsの負の値を表すことに対応するという事実に従う。
初期化方法に内在される別のステップは、提供されるトラヒックモデルを選択することにあり、このモデルが測定値に基づくものでない場合にはエントロピー確率関数I、割り当てられる容量Cおよびシフトパラメータsに対する対応する関係を誘導することにある。このステップは図12には示されていない。
初期化ステップ1202〜1206の後にディメンジョニング技術は再帰的ステップ1207〜1215を実行する。図12に概略が述べられた再帰的技術は2レベルの再帰方法を示し、ここではVPディメンジョニングアルゴリズムは、まず1つ以上の物理リンクがフル(すなわち100%)利用率に達するまで、1207〜1210に示されるようにVPディメンジョニング集合内のVPに繰り返し容量を割り当てる。
容量がフルに割り当てられた物理リンクをクリチカルリンクと称す。従ってステップ1207〜1210の真の作用は、クリチカルリンクを再帰的に識別することにある。クリチカルリンク識別方法は繰り返し方法の各ステージで1つの物理リンクのみをクリチカルリンクと識別し易いが、実施されるようなアルゴリズムは所定の時間において2つ以上のクリチカルリンクを等しく識別し、処理することができる。
本発明の一実施例では、提供されるトラヒックモデルに応じたエントロピー確率関数に対する関数式を使用する固定した量だけ、現在のエントロピー確率関数予想値を1207でインクリメントすることにより、クリチカルリンクの識別を行う。かかる式の例としては斉時的なポアッソントラヒックに対する式15、多階級ポアッソントラヒックに対する式21および正常な分布のトラヒックに対する式23および25がある。エントロピー確率関数予想値へのインクリメント量は時々負となり得ることに留意すべきである。このようなことは、ディメンジョニングアルゴリズムが最適値をオーバーシュートし、容量を過剰に割り当てる場合に生じ得る。
ディメンジョニング集合内のVPの各々に対し1208でシフトパラメータsの値を計算する。このシフトパラメータの値は対応するVPに対する図10のエントロピー確率−容量グラフの傾きを示すことに留意すべきである。エントロピー確率関数のインクリメント値を使って1209でディメンジョニング集合内のVPに割り当てるべきインクリメント状容量を計算する。ステップ1207〜1209は、実施事項に基づき、図12に示されるシーケンスと異なるシーケンスで実行してもよい。
次に、物理リンクの各々に対し、1210で種々のVPに割り当てられた容量を累積し、1211でその物理的リンクの総容量を比較する。あるリンクの割り当てられていない物理的容量が所定の限度よりも低下した場合、そのリンクをクリチカルリンクと判断する。
表6、9および12から判るように、3つのアルゴリズムはそれらのグローバル性能の点で極めて類似した結果を生じさせる。
仮想ネットワークのディメンジョニング
仮想パスは仮想ネットワークの特殊なケースであるので、VPディメンジョニングの問題は仮想ネットワークのディメンジョニングの問題に一般化できる。仮想ネットワークの概念には多数のアプリケーションがあるので、実際的な見地からこの一般化は重要である。例えば異なる仮想ネットワーク上で異なるサービスを提供できる。保証されたサービス品質(QoS)パラメータを提供するプロプリエタリー仮想ネットワークを必要とするユーザーもあれば、所定レベルの伝送リソースおよび他の仮想ネットワークからの分離を必要とする安全性を提供する仮想ネットワークを求めるユーザーもある。これらサービスを提供するには、VNディメンジョニングの問題を解く必要がある。
仮想ネットワークの概念は通信運用業者が他の運用業者から購入した伝送容量をリセールする状況にも適用できる。第1の運用業者は収入を最大にし、またはQoSの標準を維持するように、顧客の間に購入した伝送容量を割り当てることを願い、一方、リセラーの顧客はより低いレベルのリセラーとなり得る。従って、例えば長期契約によりかなりの量の伝送容量を購入する大きな組織は、ここのトラヒック容量の変化に基づき、組織の部門間に容量を再割り当てしたいことがある。このような再割り当てがVNディメンジョニング問題である。
仮想ネットワーク概念を適用する別の簡単な例として、ATMネットワークを通したインターネットプロトコル(IP)のパケットの転送に関連した例がある。これを行う1つの方法は、パケットの接続オリエントな転送を行うよう、ATMネットワークを通してVPの一つの集合を割り当てることである。しかしながら、単に一つの集合の仮想パスよりも仮想ネットワークを割り当てることによって、この仮想ネットワーク内の異なるパスを通して異なるパケットをルーチングできることが理解できる。このような接続の少ない転送モードは、接続オリエントな技術によって得られる利得よりも別の多重化利得を提供する。
VMディメンジョニング問題に対する抽象化モデル
ディメンジョニング問題全体の説明は多層状の表示に分解でき、この多層状の表示により他のレイヤの説明と無関係な形態で各レイヤ上のディメンジョニングの問題を説明できる。
本発明の一実施例では、仮想ネットワーク(VN)ディメンジョニング問題を解くためにこれまで3レイヤモデルを使用した。この3レイヤモデルは図18に示されている。この3レイヤモデルの最下レイヤは物理レイヤであり、この物理レイヤの上に物理ネットワークの位相空間および物理リンクソースが指定されている。通常、これらの使用はVNディメンジョニング問題の制限を構成する。しかしながら本明細書に詳細に説明する解法技術は物理ネットワークが変化しない状況のみに限定されるものでなく、ネットワークプラニングの問題を解くのにも適用できる。本明細書に述べるように、ネットワークプラニング問題は提供されるトラヒックパターンが一定の場合において、ネットワークの物理リンクへの容量の最適割り当てを探すことである。
図8に示された3レイヤモデルのうちの中間層は、仮想ネットワークレイヤであり、このレイヤの上に1つ以上の仮想ネットワークおよび仮想リンクの位相空間が記述される。各仮想ネットワークは1つ以上の仮想リンクから構成される。仮想ネットワークレイヤ上の各仮想リンクは、物理レイヤの1つ以上の物理リンクの一つの集合を示すことに留意すべきである。本明細書で解かれたモデル問題では、種々の仮想ネットワークを別個であると見なした。
図18の3レイヤモデルのうちの最上部レイヤは仮想パスレイヤである。仮想パスレイヤ上に定められた仮想パスは、下のレイヤの仮想ネットワーク上のトラヒックを抽象的に記述する。下方のレイヤ上の異なる仮想ネットワークに対応する上部レイヤ上の仮想パスは、このモデル例では重ねられていないことに留意すべきである。しかしながら異なる仮想ネットワークは下方のレイヤのリソースを共用したり、異なる仮想ネットワークに対応する仮想パスが集合されたトラヒックを伝送する仮想幹線に集合された状況をカバーするように、このモデルを拡張してもよい。
3レイヤのVNディメンジョニングの問題のN個のレイヤへの一般化
3レイヤの抽象化モデルは限定することなくN個のレイヤの抽象化モデル(ここでNは任意の正の整数である)に一般化できることに留意すべきである。N個のレイヤのケースでは、本明細書に説明する技術はレイヤN−2でリソースの制約を受けるレイヤN−1上でリンクをディメンジョニングできる。
3個〜N個のレイヤへのVNディメンジョニング問題の一般化を理解するために、運用業者がATMネットワークを維持するモデルの状況を検討する。このATMネットワークはマルチレイヤ階層のうちの底部レイヤ(インフラストラクチャ)と見なすことができる。更にATMネットワークレイヤの位相空間および物理リソースが固定され、従って、ディメンジョニング問題全体への制限を構成していると仮定する。
我々はATMネットワークレイヤの上部に1つ以上のサンドイッチレイヤを再帰的に構築できる。ここで、本明細書で使用するサンドイッチレイヤは隣接するレイヤの集合と定義できる。各サンドイッチレイヤはVNディメンジョニング問題を解くために使用されるモデルと同じ3レイヤ構造として見なすことができる。このサンドイッチよりも下のレイヤは再帰的に公式化されるVNディメンジョニング問題における制限物理インフラストラクチャと再帰的に見なすことができる。このような概念は単一サンドイッチ構造に関連するケースに対して示すことができる。
ATMネットワークレイヤの上部に複数の専用回線(この回線は仮想パスまたは論理リンクに等価的にできる)が定義されていると仮定する。次にこれら回線はサンドイッチが存在する時間に対して変化しないと考えることができるサンドイッチに対する新しい物理インフラストラクチャを構成すると考えることができる。次にこれら論理リンク(LL)をLLレイヤの上部に構築された仮想ネットワーク(VN)レイヤのための制限リソースとして使用できる。VNレイヤはLLレイヤとは同じでなく、更に可変である。すなわちサンドイッチ構造の存続時間中、多数の再コンフィギュレーション化を受けることがある。これらの再コンフィギュレーション化は時間と共に変化するユーザーの要求によって必要となり得る。例えばいくつかの物理的に分散された部門を有する大会社の通信ニーズは、新しい技術の採用により、または部門の成長もしくは他の部門の縮小により時間と共に変わり得る。各サンドイッチの上部レイヤにはトランスポートサービスが定義される。ネットワーク運用業者は仮想ネットワークを再コンフィギュレーションするための責任をとる。サンドイッチモデルの仮想ネットワークは、例えば相互接続されたローカルエリアまたはワイドエリアネットワークを示すことができる。仮想ネットワークの各々の上部にはトラヒックストリームを集合化するためのルートに対応するVPのレイヤが存在し得る。これらマッピングされたVPについては基本的な3レイヤのVNディメンジョニング問題を詳細に説明する本願のセクションで後に説明する。
ディメンジョニング問題を分析するには論理リンクレイヤは不要であることに留意すべきである。かかるレイヤをまだ含める主な理由は、サンドイッチ構造をATMネットワークレイヤから分離するためである。このようにATM運用業者が関与することなく、サンドイッチ運用業者によって仮想ネットワークの再コンフィギュレーション化を行うことができる。論理リンクの時間長さはサンドイッチ構造の時間長さに対応するので、これによってATMレイヤの管理が簡単になる。
VNディメンジョニング問題
ここで解く仮想ネットワーク(VN)のディメンジョニングの問題は次のように公式化できる。コンポーネントの物理リンク(PL)および指定された物理リンク容量に関し、指定された位相空間を有する物理ネットワークで始める。この物理ネットワークの上部に物理リソースを共用する多数の別個の仮想ネットワークを定義する。コンポーネントの仮想リンクに関し、各仮想ネットワークの位相空間構造を指定する。このVN位相空間はPN位相空間に関連し、VP位相空間は対応するVNに関連する。最終的に種々の仮想パス上で提供されるトラヒックも与えられる。このVNディメンジョニング問題の目標は位相空間またはリソースの制限を破ることなく、種々のVNおよびVPに容量を割り当てることである。
区分化の方式
一般にディメンジョニングの目的は、異なる区分間で相互作用(多重化)がなく、各区分内である程度の相互作用(すなわち多重化)が生じるように、物理インフラストラクチャを区分に分割することである。集合状態のトラヒックストリームはコンポーネントのトラヒックストリームの各々に対し必要とされる容量の合計よりも少ない伝送容量しか必要としない時は、多重化の利益が得られる。
ここで検討するモデルのVNのディメンジョニング問題では、異なる仮想ネットワーク間のリソースの区分化が完了していると仮定する。従って、このディメンジョニングモデルは2つ以上の仮想ネットワークが同じ物理リソースを共用していても、異なる仮想ネットワークに属すトラヒックストリームの多重化を処理しない。多数のトラヒックストリーム間で利用できる物理リソースを共用することは、単一の仮想ネットワーク内でのみ認められる。
上記モデルの多重化規則に一致する仮想ネットワークのディメンジョニングの問題に対する区分化の方式は少なくとも3つある。
a.仮想パス(VP)の区分化方式。ここでは2つの異なる仮想パス間で多重化が生じないように、各仮想ネットワーク上の各仮想パスを他のすべての仮想パスから区分(区分化)する。
b.仮想リンク(VL)の区分化方式。この方式では、異なる仮想リンク間で多重化がなく、一方、同じ仮想リンクを横断する異なるVPが下方のレイヤのリソースを共用することができるように、各仮想ネットワークの各仮想リンクを他の仮想リンクのすべてから区分化する。
c.物理リンク(PL)を区分化する方式。ここでは各仮想ネットワークを他のすべての仮想ネットワークから区分化する。ここでは異なる仮想ネットワーク間で多重化はないが、単一仮想ネットワーク内の仮想リンクは下方のレイヤのリソースを共用することが認められる。
ネットワーク管理の見地からVP区分化方式が最も複雑でない。しかしながらこの結果、他の2つの区分化方式と比較して、利用できる物理リソースの利用率が低くなる。これと対照的に、PL区分化方式は作業上最も複雑であるが、3つの区分化方式のうちで利用できる物理リソースの最高の利用率を提供する。これら3つの区分化方式の各々については後に詳細に検討する。
まずVP区分化方式を使用してVNディメンジョニング問題について検討する。次に仮想リンクが物理リソースの共用を認められない時のVNディメンジョニング問題について検討する。このことは上記VL区分化方式の使用に対応する。最後にVNディメンジョニング問題を別個の仮想リンクが物理リソースを共用することを認められる状況で検討する。このことは、上記PL区分化方式を使用することに対応する。下記に示すように、VNディメンジョニング問題は3つのすべての区分化方式に対して等価的なVPディメンジョニング問題に縮小できる。
先に詳細に述べた解法技術のいずれかを使用して種々の仮想リンクに対するリソースの割り当てを得るために、等価的VPディメンジョニング問題を解くことができる。PL区分化方式を使用する仮想ネットワークの一つの集合をエントロピーに基づくVPディメンジョニングアルゴリズムでディメンジョニングすることにより、本発明のシステムおよび方法について説明する。エントロピーに基づくディメンジョニングアルゴリズムの精度および測度については、その性能を他の2つの公知のアルゴリズムと比較することによって評価する。
VNディメンジョニング原理
VNディメンジョニング問題のレイヤ状の説明を統一的かつ効率的に扱うために、まずモデルおよび用語の表記を定義する必要がある。VN固有の構造マトリックスを用いて仮想ネットワークの仮想リンクと対応する物理リンクとの間のメンバーシップ関係を記述できる。この構造マトリックスはVPディメンジョニング問題を解く際に先に説明したルーチングマトリックスに概念的に類似している。ルーチングマトリックスはベースネットワークの上部に定められた仮想パスとベースネットワークのリンクとの間のメンバーシップ関係を記述することを思い出していただきたい。
階層的に分解されたVNディメンジョニング問題は下記に示すようなVPディメンジョニング問題に縮小できる。この縮小方法はコンパイル化の方法に類似する。仮想ネットワークの構造およびこの構造の上部に定められるトラヒック要求量を高レベルの仕様と見なすことができ、VPディメンジョニング問題は低レベルの仕様と見なすことができる。本発明のシステムおよび方法は高レベルの仕様を低レベルの仕様に手続き的にコンパイルするものであり、縮小されたVP構造をコンパイルされた構造を称すことにより、後にこの類似について強調する。このコンパイル方法は任意のVPディメンジョニングアルゴリズムと組み合わせて使用できることに留意すべきである。
仮想ネットワーク(VN)構造マトリックスは仮想ネットワークを構成する仮想リンクの位相空間的構造を記述するものである。各仮想ネットワークは仮想リンクの集合であり、仮想ネットワークにおける仮想リンクは下方の物理ネットワーク上で定められる物理リンクの抽象化であるので、VN構造マトリックスは物理ネットワーク上のパスの集合を記述する。
VN構造マトリックスは1と0から成り、一つの集合のメンバーシップ関係を記述する。この構造マトリックスは物理リンクを同じ数の行と仮想リンクと同じ下図の列とを有し、VN構造マトリックスの各列は、かかるメンバーシップ関係を定め単一仮想リンクを示す。メンバーシップ関係はすべての物理リンクの十分な集合のサブ集合として示される。従って、別ベクトルiの行pのうちの1の値は仮想リンクVLiが物理リンクPLpを横断することを示し、0の値はVLiが物理リンクPLpを横断しないことを示す。
各仮想リンクは対応するサブ集合を構成する物理リンク要素によって数学的に定義される。このサブ集合は仮想リンクに対する数学的な表記である。各仮想ネットワークは仮想ネットワークに属すすべての仮想リンクを記述する自己の構造マトリックスを有する。このマトリックスの表示により各リンクを物理リンクの集合の要約すなわちサブネットワークとすることができる。仮想パスは単なるサブネットワークの特殊なタイプにすぎない。従ってVPディメンジョニング問題はVNディメンジョニング問題の特殊なケースにすぎない。種々の仮想リンクの容量と物理リンクに割り当てられる対応する容量との間の定量的な関係は、仮想ネットワークレイヤおよび物理リンクネットワークレイヤの双方に対するリンク容量ベクトルを定義することによって得ることができる。マトリックス表記で表すと、この関係は次のフォームとなる。
ここでSkは仮想ネットワークkに対する構造マトリックスであり、Ckは仮想ネットワークkの仮想リンクの容量を定義する仮想容量ベクトルであり、
は仮想ネットワークkの種々の仮想リンクに割り当てられた物理的容量の対応するベクトルである。
仮想ネットワークのすべてに割り当てられる累積物理的容量は物理ネットワークの利用可能な容量を越えてはならない。このことは次の制限式によって表示できる。
ここで、
は利用可能な物理的容量を記述するベクトルであり、すべてのK個の仮想ネットワークに対して総和を行う。この式はベクトル不等式であるので、各ベクトルの対応する成分は不等式を個々に満足しなければならない。
VP区分化方式を使ったVNディメンジョニング問題
VP区分化方式を使用する時はVNディメンジョニング問題は物理的容量の制限を破ることなく、物理ネットワークリソースを最大に利用する仮想パスおよび仮想リンクに対する容量の割り当てを決定する問題となる。
VNディメンジョニング問題のためのVP区分化方式は、標準的なVPディメンジョニング問題と同じ構造を有する。仮想ネットワークの各々での仮想リンクの容量は予め分からないので、VNレイヤ上で指定されるVPディメンジョニング問題は物理ネットワークレイヤ上で指定される正確にされたVPディメンジョニング問題に重ねる必要がある。
このことは、各仮想ネットワークの構造を下方の物理ネットワークの構造に関連づける構造マトリックスSk、および仮想リンクに関し各仮想ネットワーク上のVPを記述するルーチングマトリックスχkを使用することによって行うことができる。仮想パスを仮想ネットワーク上のパスと見なすように、仮想リンクを物理ネットワーク上のパスと見なすことができることに留意すべきである。この再帰的定義はN個のレイヤのネットワークディメンジョニングモデルに拡張できる。
ルーチングマトリックスχkは仮想パスを仮想リンクにマッピングし、VN構造マトリックスSkは仮想リンクを物理リンクにマッピングするので、物理リンクに関し、仮想パスを直接定義する2つのマッピングSkおよびχkの重なりがあることは明らかである。このような所望する重なりは次のように表示される2つのマトリックスのブール積である。
Γk=sk▲×▼χk (式35)
通常のマトリックスの乗算が予想可能となり、その要素のすべてが0または1となるように大きさの一致する2つのマトリックスMとNが与えられると、2つのマトリックスのブール積はM▲×▼Nで表示され、マトリックスMとNとの再スケーリングされた通常のマトリックス乗算の積と定義され、ここではその結果生じるマトリックス内の0でない要素の各々は1に再スケーリングされる。
崩壊構造マトリックスとも称される組み合わされた構造マトリックスΓkは、各仮想ネットワーク上の固定されたルーチングの物理レイヤに対する写像を特定すると見なすことができる。このような方法によりVNレイヤ上の特定の仮想ネットワークに対するVPディメンジョニング問題を物理ネットワークレイヤに関する正確にされたVPディメンジョニング問題にマッピングできる。
仮想ネットワークレイヤ上のすべての仮想ネットワークは、同じ物理ネットワーク上で割り当てられるリソースと競合するので、すべての崩壊構造マトリックスΓkを次のような1つの構造マトリックスとなるように集合しなければならない。
CONCAT演算はマトリックスΓphysがすべての崩壊構造マトリックスΓkの集合であることを表示している。このマトリックスをコンパイルされた構造マトリックスと称すことができる。物理に、マトリックスの連接化により、この連接されたマトリックスのすべての列から成る新しいマトリックスが生じる。この連接化の順序はディメンジョニング方法には重要ではないが、計算精度のためにこの連接化の順序に関する情報を維持することがまた重要である。
コンパイルされた構造マトリックスΓphysの上記定義は、物理ネットワーク層に定められたすべてのマッピングされたパスの集合を記述するものと理解できるが、崩壊構造マトリックスΓkの各々はかかるマッピングされたパスのサブ集合しか記述しない。コンパイルされたVNディメンジョニング問題のマッピングされたパスは基本的VPディメンジョニング問題の仮想パスに類似する。まさにコンパイルされた構造マトリックスΓphysが得られるような、すべてのマッピングされたパスのかなりの集合を得るには、マッピングされたパスのすべてのサブ集合を集合する必要がある。
Γphysは既に定義されているので、次に集合されたVPをディメンジョニングし、Γphysによって定義されるVPの各々に割り当てられる容量を決定するために、任意のVPディメンジョニングアルゴリズムを次に適用できる。K個の仮想ネットワークの各々に割り当てられる対応する仮想リンク容量Ckは、ルーチングマトリックスχkを使って次のように計算できる。
Ck=χk・Vk (式37)
ここでVkは仮想ネットワークkに定められたパスに割り当てられる容量のベクトルを示す。式37は、VNディメンジョニングアルゴリズムの出力を示す。
コンパイル方法
図13には3レイヤ状モデルが示されている。ここでは物理ネットワークの上部に仮想ネットワークが定められ、仮想ネットワークの上部に仮想パスが定められている。VN層をVP層に関連付けるルーチングマトリックスは式1およびそれに付随する説明に定義されている。3つのリンクL1、L2およびL3を有するVN層に対しVN構造マトリックスを次のフォームを有する。
図18の例に対し物理ネットワークに関連して直接仮想パスを定義するコンパイルされた構造マトリックスΓおよび仮想リンクを物理リンクに関連付ける崩壊構造マトリックスの双方は同じである。その理由は、本例ではVNは1つしかないからである。
式39は仮想ネットワークレイヤが3つの仮想リンクL1、L2およびL3から成り、各リンクが2つの物理リンクの集合であることを示すと解釈できる。仮想リンクVLiが物理リンクPpを横断する場合、このことはVN構造マトリックスSの行pおよび列j内の1によって表示される。仮想パスVPおよびVPの各々は4つの物理リンクP1、P2、P3およびP4のうちの3つの集合である。仮想パスVPが物理リンクPpを横断する場合、このことはコンパイルされた構造マトリックスΓの行pおよび列i内の1によって表示される。
図19にはVP区分化方式のためのコンパイル方法の概略が示されている。まずN個のレイヤのVNディメンジョニング問題の上部の3つのレイヤを選択することにより1902で3レイヤの階層的構造を定義する。最も低いレイヤは物理ネットワークの位相空間および制限を記述し、中間レイヤはディメンジョニングすべき仮想ネットワークを記述し、上部レイヤは仮想ネットワークの各々の上部に定義されたルーチング構造(すなわちVP)を記述する。同時に、対応するVN構造マトリックスおよびVPルーチングマトリックスも1902で構築される。次に1903で対応する2レイヤ問題となるように3レイヤ問題の公式化を分解する。どの物理ネットワークの最初の上部レイヤ(VP)上のどのルートも、物理ネットワークのある物理容量を利用するので、崩壊構造における各マッピングされたルートに割り当てられる物理リソースを記述する、対応する崩壊ルーチングマトリックスを誘導できる。
次に1904で種々の物理リンクに関連し、各マッピングされたVPの位相空間を記述する単一のコンパイルされた構造マトリックスとなるように、種々のマッピングされたルートに対する崩壊構造マトリックスを連接する。次に各崩壊VPに割り当てるべき伝送容量を決定するために、VNディメンジョニング問題のコンパイルされた説明に1905で任意のVPディメンジョニングアルゴリズムを適用できる。かかるVPディメンジョニングアルゴリズムの例は限定することなく図9に示されたプッシュダウンアルゴリズムと、図12に示された基本的エントロピーに基づくVPディメンジョニングアルゴリズムおよび図13に示された適応VPディメンジョニングアルゴリズムを含む。最後に、各仮想ネットワークの各仮想リンクに割り当てるべき容量の値を計算するために、1906でVPルーチングマトリックスが使用される。
VLおよびPL区分化方式の概観
一般に、異なる仮想リンクは互いに相互作用し得る。すなわちこれらリンクは同じ物理リソースを共用できる。これによりこれらリンクに割り当てられるトラヒックを多重化できる。仮想リンクが互いに相互作用しないケースでは、各論理リンクに対し集合されたトラヒックストリームを定義しなければならない。他方、仮想リンクが互いに相互作用することが認められる場合、各物理リンクに対し集合されたトラヒックストリームを定義する必要がある。仮想リンク間の多重化が認められない場合、仮想ネットワークは専用物理ネットワークのように作動する。かかるネットワークは仮想リンク間の多重化を認めるネットワークと比較してかかるネットワークに割り当てられるリソースの利用率が低いので、かかるネットワークの管理はより容易である。
VL区分化方式
相互作用しない仮想リンクは、物理レイヤの頂部上のVPと見なすことができる。ここにおけるディメンジョニングタスクは各仮想リンクに割り当てるべき集合された提供されるトラヒックを決定することである。提供されるトラヒックは各仮想ネットワークの頂部上の仮想パスで指定されるので、このことはルーチングマトリックスから得ることができる。次のステップはすべての仮想リンクのグローバルな集合を得て、すべての物理リンクの集合に対するそれらの関係を判断することである。このようなグローバルな集合では各仮想ネットワークの仮想リンクの集合である。
仮想ネットワークの構造は提供される集合されたトラヒックにしか影響せず、仮想リンク容量をディメンジョニングする作用と無関係である。物理レイヤの見地から、各仮想リンクは仮想パスを構成するので、VL区分化方式を使用するVNディメンジョニング問題はVPディメンジョニング問題にも縮小されるので、先に詳細に説明したVPディメンジョニングアルゴリズムのいずれかの使用を可能にする。
R個のマッピングされたルートXr上で提供されるトラヒックは1つのルートトラヒックベクトルXに組み立てることができる。同様に、J個の仮想リンクU上で提供されるトラヒックはリンクトラヒックベクトルUに組み立てることができる。これらルートトラヒックベクトルとリンクトラヒックベクトルとは、下記のルーチングマトリックスχを使用して関連付けできる。
ベクトル表記すると、式40は下記のように表示される。
U=χ・X (式41)
djを仮想リンクjに割り当てられる容量とし、bjをパス(ルート)r上の対応する割り当てられる容量とすると、次のようになる。
ベクトル表記すると式42は次のようになる。
d=χ・b (式43)
仮想リンク容量djに対するエントロピーブロッキング測度IUj(dj)は次の式で表される。
提供されるトラヒックUjが所定の値の場合、仮想リンクj上のエントロピーブロッキング測度IUj(dj)を計算できる。従って物理ネットワーク上の仮想パスとして定義されるすべての仮想リンクの一つの集合が与えられると、VL区分化方式を使用するVNディメンジョニング問題もVPディメンジョニング問題にこの問題をマッピングすることによって解くことができる。
VP区分化方式とVL区分化との比較
割り当てられるルートリソースベクトルbに対応するように、割り当てられるリンクリソースベクトルdを定義すると、dVL<dVPとなる。ここでdVPはVP区分化方式に対する割り当てられるリンクリソースベクトルを示し、dVLはVL区分化方式に対する割り当てられるリソースベクトルを示す。この不等式は各仮想リンク上で集合される提供されるトラヒックを多重化することによって得られる利得を示している。
PL区分化方式
次に、同じ仮想ネットワークに属する異なる仮想リンクを多重化することが認められるケースを検討する。対応する提供されて集合されるトラヒックは、各物理区分、更にすべての区分の集合に対して決定する必要がある。これはルーチングマトリックスχおよび仮想ネットワーク構造マトリックスSを使用して行うことができる。各物理区分に対する提供され集合されたトラヒックは、集合された仮想リンクトラヒックの集合体と定義される。このような付加的集合体はVN構造マトリックスを使用して得ることができる。その理由は、VN構造マトリックスは種々の仮想リンクと対応する物理ネットワークとの間のメンバーシップ関係を定めているからである。J個の物理リンクの各々の上の提供され集合されるトラヒックをベクトルZで表示し、J個の物理リンクの各々に割り当てられる等価的容量をベクトルgで表示すると、先に述べた表記法を使って次の式が得られる。
対応するベクトル表記法で表記すると、次のような式となる。
z=S・U=S・χ・X (式46)
ここで複合マトリックスS.χはVPの提供されるトラヒックベクトルXを集合されたPLの提供されるトラヒックZに関連付けるものである。エントロピー確率関数のための対応する式は次のように示される。
ブール積Sk▲×▼χkとして式35で定義した崩壊構造マトリックスΓを使用して上記のように物理区分を定めるメンバーシップマトリックスを決定する。従って、PL区分化方式を使用するVNディメンジョニング問題はVPディメンジョニング問題に縮小できることが再び証明される。
VL区分化方式とPL区分化方式の比較
これら2つの方法の間の違いを理解し、その結果生じる容量の割り当てに対する集合されたトラヒックの多重化の作用を示すために、VL区分化方式とPL区分化方式とを比較することが有効である。図20に示され、図13に作表されたネットワーク構造について検討する。
表14に示された特性を有する多階級トラヒックがすべての仮想リンクに提供されると仮定する。
各物理リンクの容量を毎秒150メガビットと仮定する。
PL区分化方式のための結果
PL区分化方式を使用する場合、図20に示され、下記の表15の第1列にリストされた8つの物理リンク2001〜2008に対応するVNディメンジョニング問題の物理区分は8つ存在する。種々のリンク上で提供されたトラヒックから各区分で提供され集合されたトラヒックを誘導できる。例えば物理リンクP上の区分に提供される集合されたトラヒックを43.47単位とする。この値は表14にリストされた通話到達率ベクトルと保持時間ベクトルとのスカラー積の3倍に計算される。すなわち3*(0.25*30+0.01*240+0.051*90)と計算される。この区分を横断する区分リンクは3つあるので、提供され集合されるトラヒックは2つのベクトルのスカラー積の3倍となる。このようなPL区分化方式を使用するVNディメンジョニング問題の例は、これまでエントロピーに基づくVPディメンジョニングアルゴリズムを使用して解かれており、下記の表15にそれらの結果が示されている。
VL区分化方式のための結果
VNディメンジョニング問題でVL区分化方式を使用する場合、各仮想リンクに提供されるトラヒックは前と同じである。すなわち14.49単位すなわち(0.25*30+0.01*240+0.051*90)である。
仮想リンクを区分として処理する際に、異なる仮想リンクに割り当てられる容量は下記の表16にリストされている。
仮想ネットワークのルーチング構造は図20および表13に示されたままであることに留意すべきである。
次に多重化効果について検討することができる。例えば物理リンクP5-6を検討する。PL区分化方式の場合、この物理リンクを使用する3つの仮想リンクに割り当てられる総容量は48.7単位であり、この値はVL区分化方式における個々の割り当てられる容量の合計(すなわち16.7+16.7+16.7)である50.1単位よりも小さい。
従来のVLディメンジョニングアルゴリズムとの比較
これまでこのアルゴリズムにおける詳細に説明したVNディメンジョニング技術の性能を他のアルゴリズムと比較した。下記に示される結果はPL区分化方式(完全区分化方式とも称される)を使用するVNディメンジョニング問題に関係するものである。
図21に示された5つの仮想ネットワーク2101〜2105について検討する。基礎となる物理ネットワークの位相空間は図16および17を参照して本明細書に説明したものと同じである。図21に示されるような位相空間を備えた5つの仮想サブネットワークは図16および17に示された1つの物理ネットワークの共用リソースと見なされる。
図21に示された仮想ネットワーク2103は仮想リンク間の多重化が可能である一例を示す。物理リンクP5-6は3つの仮想リンクすなわちノード3からノード4および5を介し、ノード6まで延びるL3-6、ノード2からノード5および4を介してノード4まで延びるL2-4、およびL5-6が横断している。PL区分化方式の場合、これら3つの仮想リンクから提供されるトラヒックは物理リンクP5-6上の1つのトラヒックストリームに集合できる。これに対応し、ディメンジョニングアルゴリズムも容量を物理リンクP5-6に割り当てる。
本例では、すべての物理リンクが2400単位の同じ容量を有すると仮定する。これら5つの仮想サブネットワークに多階級のポアッソントラヒックを提供できる。本明細書で分析するモデル問題では的確に示される特性を有する各仮想リンクおよび各仮想サブネットワークに対しトラヒック要求量の4つの階級が提供される。階級i(ここでiは1〜4の間の整数値をとる)に対するトラヒック要求量ρiは、次の関係式によって関数的に決められるものと見なす。3ノードの仮想サブネットワークでは、
4ノードのサブネットワークに対しては、
同時にトラヒックの階級iに対するバンド幅要求量piは次のように見なす。
pi=0.064βi (式50)
ここでパラメータβは提供されるトラヒックの異質性、すなわち各階級自体が多数のレートのトラヒックを伝送できるとした場合の異なるクラスのバンド幅要求量の間の差を示すものである。βの単位値は斉時的なトラヒックを示す。パラメータαは4つのトラヒッククラスの間におけるトラヒック要求量の分布を示す。
下記の方法と他の2つのディメンジョニング方法とを比較した。これら他の方法は2つの極端な方法を代表するものであり、そのうちの一方は低速であるが、良好に工夫された理論的フレームワークに基づくもので、他方は高速であるがラフな理論的な簡略化に基づくものである。
これらベンチマークディメンジョニングアルゴリズムのうちの第1のアルゴリズムはA・ファラゴー、S・ブラーブヨルブ、W・ホレンダー、T・ヘンク、L・アスト、A・チェンテシーおよびZ・ジアーダによる共著論文「リソースの分離:ATMネットワークコンフィギュレーションを最適にするための効率的なツール」ネットワーク94国際ネットワークプラニングシンポジウムの議事録、83〜88(1994年ブダペスト)およびS・PチュンおよびK・W・ロス著「マルチレートの紛失のネットワークのための負荷を低減した近似化」、通信に関する第41回IEEE/ACMトランザクション、1222〜31(1993年)に詳細に説明されているような固定点アルゴリズムを使用したものである。このアルゴリズムは仮想ネットワークをディメンジョニングするための確立された方法を代表するものである。しかしながらこのアルゴリズムは極めて高速ではないので、基本的には本願に記載の新しいVNディメンジョニング技術を使用して得られる結果の精度を評価するのに主として使用される。このベンチマークアルゴリズムのための理論的なフレームワークは良好に開発されている。しかしながらこのフレームワークはリンクの独立性とディメンジョニング問題を過度に簡略化する負荷が低減された2つの仮定を具体化するものである。
第2のベンチマークディメンジョニング方法はA・ファラーゴ著論文「等価的リンクブロックキングの設定に基づく簡略化されたディメンジョニングモデル」ブダペスト工業大学、通信およびテレマチック部(1993年)に詳細に説明されているような等価的リンクブロッキング(ELB)アルゴリズムを使用したものである。このアルゴリズムは問題に関する実質的に理論的な仮定に基づく仮想ネットワークをディメンジョニングする、ラフで高速の方法を代表するものである。このアルゴリズムは新しいVNディメンジョニング技術の計算速度(すなわち実行時間)を評価するのに主に使用される。
これら方法を比較するのに3つの異なる評価パラメータ、すなわちネットワーク収入、最大ルーロブロッキングおよび実行時間を使用した。新しいVNディメンジョニング技術ではネットワーク収入も最大ルートブロッキング(時間輻輳測度としての)も発生しなかったので、これらパラメータを得るのに別の計算が必要であった。
本願のVNディメンジョニング技術を使用して得られる割り当て容量をこれらのベンチマークディメンジョニング技術への入力として使用した。このように時間輻輳ブロッキング測度およびベンチマークアルゴリズムで使用される関係式と同じパラメータの関係を使用する収入関数として計算されないパラメータを計算できる。本願において先に詳細に説明したように、エントロピー確率関数から他のネットワーク作動パラメータを得てもよい。
3つのVNディメンジョニングアルゴリズムの各々に対し16の場合の提供されるトラヒックに対する収入関数およびブロッキングパラメータを決定した。この比較の結果を図17〜20における三次元の表に示す。
エントロピーに基づくVLディメンジョニングアルゴリズムは固定点ベンチマークアルゴリズム方法よりも約2桁速くELBベンチマークアルゴリズムよりも約1桁速いことが分かった。
結論
本発明のシステムおよび方法において2つの相互に関連する方法、すなわちVPディメンジョニング問題とVNディメンジョニング問題について解いた。本明細書に詳細に説明した解法技術において、エントロピー確率関数をブロッキング測度として使用し、負荷バランシングをディメンジョニング技術として使用した。多数の例を用い、2つのベンチマークアルゴリズムと比較することにより、この方法の可能性について実証した。この新しいディメンジョニング方法は従来のディメンジョニング技術よりも2桁まで速い。このようなかなり高速の計算速度は計算精度を代償にすることによって得られたものである。従って、このような新しい方法はこれまで可能であったよりも良好な結果を提供するものである。またこの方法は、グローバリーに最適である。この方法はエンド間のブロッキング測度に基づくものであり、従来技術のリンクが独立していること、すなわち負荷が小さいとする仮定を必要としない。本発明によって提供される方法は、特定のトラヒック分布をとらず一般的なトラヒックで使用できるので、ATMネットワークをディメンジョニングするための実際的な重要性を有する。
将来、ATMネットワークは実際のトラヒック測定値に基づきディメンジョニングされる可能性が高い。本明細書に詳細に説明したディメンジョニングシステムおよび方法は一般的な提供されるトラヒックおよび測定値によって提供されるトラヒックの双方を処理できるディメンジョニングアルゴリズムを実現するための実際的なフレームワークを提供するものである。
以上で本発明の方法および装置の好ましい実施例を添付図面に示し、これまでの詳細な説明で説明したが、本発明は開示した実施例のみに限定されるものでなく、次の請求の範囲に記載した本発明の要旨から逸脱することなく、再配置、変更および置換が多数可能であると理解すべきである。
Claims (42)
- 伝送容量が限られた複数の相互接続された物理リンクを有し、一般的なトラヒックを伝送する通信ネットワーク上に定められた1組の1つまたは2つ以上の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法であって、前記仮想ネットワークの各々は相互接続された仮想リンクの組を有する、前記仮想ネットワークをディメンジョニングする方法が、
前記通信ネットワーク上の利用可能なリソースと要求量をモデル化するために第1、第2、第3のレイヤの少なくとも3つのレイヤを有するマルチレイヤ階層を定義する工程であって、前記第1のレイヤが物理ネットワークを表わす論理リンクを含み、前記第2のレイヤが1組の1つまたは2つ以上の仮想ネットワークを表わす仮想リンクを含み、前記第3のレイヤが複数の仮想パスを表わす仮想パスを含み、前記第2レイヤ上の前記仮想ネットワークの各々が前記第1のレイヤ上の定められた複数の物理リンクに関連しかつ前記第3のレイヤ上の前記仮想パスの各々が前記第2のレイヤ上の前記仮想ネットワークの組に関連する、前記マルチレイヤ階層を定義する工程と、
前記1つ又は2つ以上の仮想ネットワークの組の間でリソースシェアリングの範囲を定めるために区分化方式を選択する工程と、
前記マルチレイヤ階層の前記第2と第3のレイヤを複数の崩壊仮想パスを有する新規なレイヤに崩壊させることにより、前記仮想ネットワークの組のディメンジョニングを、等価なタスクである、修正された仮想パスの組のディメンジョニングに変換する工程と、
仮想パスディメンジョニングアルゴリズムを使用して、前記複数の論理リンクの伝送容量の制限を受ける前記崩壊仮想パスに容量を割り当てる工程と、
崩壊仮想パスと前記論理リンクとの間の既知の関係に基き、各仮想ネットワークの各仮想リンクに割り当てるべき容量を決定する工程と、を備えた仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。 - リソースシェアリングの範囲を定めるのに使用される前記区分化方式が仮想パスの区分化方式である、請求項1記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。
- リソースシェアリングの範囲を定めるのに使用される前記区分化方式が仮想リンクの区分化方式である、請求項1記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。
- リソースシェアリングの範囲を定めるのに使用される前記区分化方式が物理リンクの区分化方式である、請求項1記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。
- 種々の崩壊仮想パスに容量を割り当てる工程が、次の工程、すなわち、
前記通信ネットワークの各崩壊仮想パス上の提供されるトラヒックをモデル化するため適当なエントロピー確率関数を選択する工程であって、前記エントロピー確率関数Ix(C)は任意に分布するランダム変数Xが予め選択された値C以上である確率の負の対数の近似として計算でき、前記エントロピー確率関数は更に分布の平均値で最小値がゼロに達する凸関数である前記選択する工程と、
エントロピー確率関数をブロッキング測度として使用して前記一般的トラヒックに対する負荷バランシング問題を解くよう働く解法アルゴリズムを選択する工程と、
前記エントロピー確率関数を導入した前記負荷バランシングアルゴリズムを使用して、前記崩壊仮想パス上にできるだけ均一な負荷分布を発生するため計算システム上で計算を実行する工程と、
を備えたアルゴリズムにより実行される請求項1記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。 - トラヒック測定値によって前記エントロピー確率関数を決定する、請求項5記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。
- 通信ネットワーク上の提供されるトラヒックの特性を理想化することによって前記エントロピー確率関数を決定する、請求項5記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。
- 提供されるトラヒックの斉時的なポアッソン分布に対し、前記エントロピー確率関数を理想化する、請求項7記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。
- 提供されるトラヒックの多階級のポアッソン分布に対し、前記エントロピー確率関数を理想化する、請求項7記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。
- 提供されるトラヒックの正規分布に対し、前記エントロピー確率関数を理想化する、請求項7記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。
- 提供されるトラヒックの二項分布に対し、前記エントロピー確率関数を理想化する、請求項7記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。
- 前記複数の論理リンクの伝送容量の制限を受ける前記崩壊仮想パスに容量を割り当てる前記仮想パスディメンジョニングアルゴリズムは次の工程、すなわち、
前記複数の論理リンクを1つ又は2つ以上の仮想パスにマッピングする工程であって、前記仮想パスの各々が通信ネットワーク内の1対のノード間に個々に交換可能な接続を提供する前記マッピングする工程と、
各論理リンクの伝送容量を指定する工程と、
選択された複数の前記仮想パスをディメンジョニング集合に集合する工程と、
ブロッキング測度としてエントロピー確率関数を使用して伝送容量の初期値を前記ディメンジョニング集合内の各仮想パスに割り当てる工程であって、前記初期値の各々は等しくかつブロッキングを大きくするように選択された前記割り当てる工程と、
次のサブ工程、すなわち、
先のエントロピー確率関数予想値および先に計算されたシフトパラメータ値を使って各仮想パスに割り当てるべき容量を計算するサブ工程と、
各物理リンク上の割り当てられた総容量を知るために各論理リンクに対し前記仮想パスの全てに割り当てられる容量を合計するサブ工程と、
計算された値だけエントロピー確率関数の予想値をインクリメントするサブ工程と、
前記ディメンジョニング集合内の各仮想パスに対してシフトパラメータを再計算するサブ工程と、
前記論理リンクの割り当てられていない容量が実質的に0であるかどうかを判断するよう各論理リンクの前記総割当て容量と指定された容量とを比較するサブ工程と、
により論理リンクを横断する仮想パス間に容量が全部割り当てられた論理リンクをクリチカルリンクとして再帰的に識別する工程と、
クリチカルリンクとして識別された論理リンクを横断する仮想パスの各々上の現在割り当てられている容量を出力する工程と、
前記ディメンジョニング集合から各クリチカル論理リンクを横断するすべての仮想パスを除く工程と、
前記除かれた仮想パスに割り当てられた容量を補償するため前記論理リンクの指定された物理容量を再定義する工程と、
を備えた請求項1記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。 - 伝送容量が限られた複数の相互接続された物理リンクを有し、一般的なトラヒックを伝送する通信ネットワーク上に定められた1組の1つまたは2つ以上の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステムであって、前記仮想ネットワークの各々は相互接続された仮想リンクの組を有する、前記仮想ネットワークをディメンジョニングするシステムが、
前記通信ネットワーク上の利用可能なリソースと要求量をモデル化するために第1、第2、第3のレイヤの少なくとも3つのレイヤを有するマルチレイヤ階層を定義する手段であって、前記第1のレイヤが物理ネットワークを表わす論理リンクを含み、前記第2のレイヤが1組の1つまたは2つ以上の仮想ネットワークを表わす仮想リンクを含み、前記第3のレイヤが複数の仮想パスを表わす仮想パスを含み、前記第2レイヤ上の前記仮想ネットワークの各々が前記第1のレイヤ上の定められた複数の物理リンクに関連しかつ前記第3のレイヤ上の前記仮想パスの各々が前記第2のレイヤ上の前記仮想ネットワークの組に関連する、前記マルチレイヤ階層を定義する手段と、
前記1つ又は2つ以上の仮想ネットワークの組の間でリソースシェアリングの範囲を定めるために区分化方式を選択する手段と、
前記マルチレイヤ階層の前記第2と第3のレイヤを複数の崩壊仮想パスを有する新規なレイヤに崩壊させることにより、前記仮想ネットワークのディメンジョニングを、等価なタスクである、修正された仮想パスの組のディメンジョニングに変換する手段と、
仮想パスディメンジョニングアルゴリズムを使用して、前記複数の論理リンクの伝送容量の制限を受ける前記崩壊仮想パスに容量を割り当てる手段と、
崩壊仮想パスと前記論理リンクとの間の既知の関係に基き、各仮想ネットワークの各仮想リンクに割り当てるべき容量を決定する手段と、を備えた仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。 - リソースシェアリングの範囲を定めるのに使用される前記区分化方式が仮想パスの区分化方式である、請求項13記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。
- リソースシェアリングの範囲を定めるのに使用される前記区分化方式が仮想リンクの区分化方式である、請求項13記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。
- リソースシェアリングの範囲を定めるのに使用される前記区分化方式が物理リンクの区分化方式である、請求項13記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。
- 種々の崩壊仮想パスに容量を割り当てる手段が、次の手段、すなわち、
前記通信ネットワークの各崩壊仮想パス上の提供されるトラヒックをモデル化するため適当なエントロピー確率関数を選択する手段であって、前記エントロピー確率関数Ix(C)は任意に分布するランダム変数Xが予め選択された値C以上である確率の負の対数の近似として計算でき、前記エントロピー確率関数は更に分布の平均値において最小値がゼロに達する凸関数である前記選択する手段と、
エントロピー確率関数をブロッキング測度として使用して前記一般的トラヒックに対する負荷バランシング問題を解くよう働く解法アルゴリズムを選択する手段と、
できるだけ均一な負荷分布を前記崩壊仮想パス上に発生するため前記エントロピー確率関数を導入した前記負荷バランシングアルゴリズムを使用して、計算システム上で計算を実行する手段と、
を備えた請求項13記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。 - トラヒック測定値によって前記エントロピー確率関数を決定する、請求項17記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。
- 通信ネットワーク上の提供されるトラヒックの特性を理想化することによって前記エントロピー確率関数を決定する、請求項17記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。
- 提供されるトラヒックの斉時的なポアッソン分布に対し、前記エントロピー確率関数を理想化する、請求項19記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。
- 提供されるトラヒックの多階級のポアッソン分布に対し、前記エントロピー確率関数を理想化する、請求項19記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。
- 提供されるトラヒックの正規分布に対し、前記エントロピー確率関数を理想化する、請求項19記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。
- 提供されるトラヒックの二項分布に対し、前記エントロピー確率関数を理想化する、請求項19記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。
- 前記複数の論理リンクの伝送容量の制限を受ける前記崩壊仮想パスに容量を割り当てる前記仮想パスディメンジョニングアルゴリズムは次の手段、すなわち、
前記複数の論理リンクを1つ又は2つ以上の仮想パスにマッピングする手段であって、前記仮想パスの各々が通信ネットワーク内の1対のノード間に個々に交換可能な接続を提供する前記マッピングする手段と、
各論理リンクの伝送容量を指定する手段と、
選択された複数の前記仮想パスをディメンジョニング集合に集合する手段と、
ブロッキング測度としてエントロピー確率関数を使用して伝送容量の初期値を前記ディメンジョニング集合内の各仮想パスに割り当てる手段であって、前記初期値の各々は等しくかつブロッキングを大きくするように選択された前記割り当てる手段と、
次のサブ手段、すなわち、
先のエントロピー確率関数予想値および先に計算されたシフトパラメータ値を使って各仮想パスに割り当てるべき容量を計算するサブ手段と、
各物理リンク上の割り当てられた総容量を知るために各論理リンクに対し前記仮想パスの全てに割り当てられる容量を合計するサブ手段と、
計算された値だけエントロピー確率関数の予想値をインクリメントするサブ手段と、
前記ディメンジョニング集合内の各仮想パスに対してシフトパラメータを再計算するサブ手段と、
前記論理リンクの割り当てられていない容量が実質的に0であるかどうかを判断するよう各論理リンクの前記総割当て容量と指定された容量とを比較するサブ手段と、
により論理リンクを横断する仮想パス間に容量が全部割り当てられた論理リンクをクリチカルリンクとして再帰的に識別する手段と、
クリチカルリンクとして識別された論理リンクを横断する仮想パスの各々上の現在割り当てられている容量を出力する手段と、
前記ディメンジョニング集合から各クリチカル論理リンクを横断するすべての仮想パスを除く手段と、
前記除かれた仮想パスに割り当てられた容量を補償するため前記論理リンクの指定された物理容量を再定義する手段と、
を備えた請求項13記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。 - 前記マルチレイヤ階層の前記第2と第3のレイヤを複数の崩壊仮想パスを有する新規なレイヤに崩壊させることにより、前記仮想ネットワークの組のディメンジョニングを、修正された仮想パスの組をディメンジョニングするのと等価なタスクに変換する前記工程が更に次のサブ工程、すなわち、
前記崩壊仮想パスの各々に対し崩壊構造マトリックスを誘導するサブ工程と、
前記崩壊構造マトリックスを連接してコンパイルされた構造マトリックスにするサブ工程と、
を有する請求項1記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。 - K番目の崩壊仮想パスの前記崩壊構造マトリックスΓkは構造マトリックスSkとルーチングマトリックスχkのブール積であり、前記ブール積は式、
Γk=Sk▲×▼χk
による数学的表記によって表される請求項25記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。 - 前記複数の論理リンクの伝送容量の制限を受ける前記崩壊仮想パスに容量を割り当てる前記仮想パスディメンジョニングアルゴリズムはプッシュダウンアルゴリズム(図9)を含む請求項1記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。
- 前記複数の論理リンクの伝送容量の制限を受ける前記崩壊仮想パスに容量を割り当てる前記仮想パスディメンジョニングアルゴリズムは次のサブ工程、すなわち、
前記通信ネットワークの各仮想パス上の負荷をモデル化するため適当なエントロピー確率関数を選択するサブ工程と、
エントロピー確率関数をブロッキング測度として使用して前記一般的トラヒックに対する負荷バランシング問題を解くよう働く適応的解法アルゴリズムを選択する工程と、
できるだけ均一な負荷分布を前記仮想パス上に発生するよう、前記エントロピー確率関数を導入した前記負荷バランシングアルゴリズムを使用して、計算システム上で計算を実行するサブ工程と、
を備えた、請求項1記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。 - 各仮想ネットワークの各仮想リンクに割り当てるべき容量を決定する前記工程は、ベクトル関係式
Ck=χk・Vk
を用いて実施され、但し、Ckはk番目の仮想ネットワークに割り当てられた容量であり、χkはルーチングマトリックスであり、Vkはk番目の仮想ネットワーク上に定義されたパスに割り当てられた容量のベクトルを表す、請求項1記載の仮想ネットワークをディメンジョニングする方法。 - 前記マルチレイヤ階層の前記第2と第3のレイヤを複数の崩壊仮想パスを有する新規なレイヤに崩壊させることにより、前記仮想ネットワークのディメンジョニングを、修正された仮想パスの組をディメンジョニングするのと等価なタスクに変換する前記手段が更に次の手段、すなわち、
前記崩壊仮想パスの各々に対して崩壊構造マトリックスを誘導する手段と、
前記崩壊構造マトリックスを連接して、コンパイルされた構造マトリックスに帰する手段と、
を有する請求項13記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。 - K番目の崩壊仮想パスの前記崩壊構造マトリックスΓkは構造マトリックスSkとルーチングマトリックスχkのブール積であり、前記ブール積は式、
Γk=Sk▲×▼χk
による数学的表記によって表される請求項34記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。 - 前記複数の論理リンクの伝送容量の制限を受ける前記崩壊仮想パスに容量を割り当てる前記仮想パスディメンジョニングアルゴリズムはプッシュダウンアルゴリズム(図9)を更に含む請求項13記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。
- 前記複数の論理リンクの伝送容量の制限を受ける前記崩壊仮想パスに容量を割り当てる前記仮想パスディメンジョニングアルゴリズムは次の手段、すなわち、
前記通信ネットワークの各仮想パス上の負荷をモデル化するため、適当なエントロピー確率関数を選択する手段と、
エントロピー確率関数をブロッキング測度として使用して前記一般的トラヒックに対する負荷バランシング問題を解くよう働く適応的解法アルゴリズムを選択する手段と、
前記エントロピー確率関数を導入した前記負荷バランシングアルゴリズムを使用して、前記仮想パス上にできるだけ均一な負荷分布を発生するよう、計算システム上で計算を実行する手段と、
を有する請求項13記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。 - 各仮想ネットワークの各仮想リンクに割り当てるべき容量を決定する前記手段は、更にベクトル関係式、
Ck=χk・Vk
を用いる、但し、Ckはk番目の仮想ネットワークに割り当てられた容量であり、χkはルーチングマトリックスであり、Vkはk番目の仮想ネットワーク上に定義されたパスに割り当てられた容量のベクトルを表す、請求項13記載の仮想ネットワークをディメンジョニングするシステム。
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