JP3774388B2 - Magnetic detection element - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、CPP(current perpendicular to the plane)型の磁気検出素子に係り、特に、検出電流の分流を防いで、磁界検出感度を向上させることのできる磁気検出素子及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
図16は従来の磁気検出素子を記録媒体からの対向面側からみた断面図である。
【0003】
基板(図示せず)上に、NiFeなどからなる下部シールド層1、Cuなどからなる下部電極層2が形成されている。さらに、下部電極層2の上に、下地層3、シード層4、反強磁性層5、第1固定磁性層6a、非磁性中間層6b、第2固定磁性層6cからなる固定磁性層6、非磁性材料層7、第2フリー磁性層8a、非磁性中間層8b、第1フリー磁性層8cからなるフリー磁性層8、及び保護層9からなる多層膜Tが積層されている。
【0004】
第1フリー磁性層8c、第2フリー磁性層8a、第1固定磁性層6a、第2固定磁性層6cは、NiFeなどの磁性材料で形成される。また、非磁性材料層7はCuなどの導電性材料で形成され、非磁性中間層6b及び8bはRuなどで形成される。
【0005】
また、下地層3及び保護層9はTa等、シード層4はNiFe等、反強磁性層5はPtMnによって形成されている。
【0006】
多層膜Tの上層には、Cuなどからなる上部電極層10及びNiFeなどからなる上部シールド層11が積層されている。
【0007】
多層膜Tの両側領域には、フリー磁性層8に対向する位置にCoPtなどの硬磁性材料からなるハードバイアス層13,13が形成されている。ハードバイアス層13,13の上層と下層には、絶縁層12,12及び絶縁層14,14が形成されており、下部電極層2及び上部電極層10と多層膜Tの側端面Ts,Ts間の電気的絶縁をとっている。
【0008】
図16に示される磁気検出素子は、いわゆるCPP(current perpendicular to the plane)型の磁気検出素子であり、センス電流が多層膜Tの各膜面に対し垂直方向に流されるものである。
【0009】
検出対象の磁界(外部磁界)が磁気検出素子に印加される前の状態において、固定磁性層6の磁化方向とフリー磁性層8の磁化方向は、所定の角度をなしている。この状態の磁気検出素子に外部磁界が印加されると、フリー磁性層8の磁化方向が回転し、固定磁性層6の磁化方向とフリー磁性層8の磁化方向の相対角度が変化して、磁気検出素子の直流抵抗値及び出力電圧が変化する。
【0010】
CPP型の磁気検出素子は、多層膜Tの各膜面に対しほぼ水平方向にセンス電流が流されるCIP(current in the plane)型の磁気検出素子と比べて、発熱量(P)を一定として、前記多層膜Tの各膜面の面積を小さくしたときの、抵抗変化量ΔR及び出力ΔVを大きくすることができる。
【0011】
すなわち、素子サイズを小さくしていくと、CIP型よりもCPP型にする方が出力を大きくでき、CPP型は、今後の高記録密度化に伴う素子サイズの狭小化に適切に対応できる構造であると期待されている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
CPP型の磁気検出素子は、多層膜Tを構成する各層の膜面垂直方向に検出電流を流す構造のため、多層膜Tの側端面Ts,Tsから検出電流が洩れて分流すると、検出電流の電流密度が減少し、磁気検出素子の出力を向上させることが困難になる。従って、多層膜Tの側端面Ts,Tsは電気的に絶縁されていることが好ましい。
【0013】
しかし、図16に示されるように、一対のハードバイアス層13,13によって、フリー磁性層8に縦バイアス磁界を与える磁気検出素子では、多層膜Tの側端面Ts,Tsのうち絶縁層12,12及び絶縁層14,14と接している部分は電気的に絶縁されているものの、導電性の材料からなるハードバイアス層13,13に接している部分から検出電流が分流して、出力が低下してしまう。
【0014】
上述のように、CPP型の磁気検出素子は素子の膜面面積を小さくしたときに特に出力を大きくできるものであるが、素子の膜面面積を小さくしていくと素子の膜面面積に対する素子の側面面積の比率が大きくなり、多層膜Tの側端面Ts,Tsから検出電流が洩れて分流することの磁気検出素子の出力への影響が大きくなる。
【0015】
本発明は、上記従来の課題を解決するためのものであり、磁気検出素子を構成する多層膜の側端面の電気的絶縁を確実にとることができ、磁気検出素子の出力を容易に向上させることができる磁気検出素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
【0044】
【課題を解決するための手段】
発明は、固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層を有する多層膜、硬磁性材料からなり前記多層膜の前記フリー磁性層のトラック幅方向における側端面に対向する一対の縦バイアス層、並びに前記多層膜の上面に電気的に接続された上部電極層及び前記多層膜の下面に電気的に接続された下部電極層を有し、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流を供給する磁気検出素子において、
前記多層膜のトラック幅方向における側端面に、前記縦バイアス層と前記多層膜を電気的に絶縁する絶縁酸化膜が設けられており、
前記絶縁酸化膜の上にNiMnSbまたはPtMnSbから成る層が形成されることを特徴とするものである。
の場合、前記下部電極層は、前記多層膜の下面と接続されている部分が上方に突出しているものとして構成することができる。
【0064】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明における第1の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0065】
図1に示す磁気検出素子は、記録媒体に記録された記録信号を再生するためのMRヘッドである。記録媒体との対向面は、例えば磁気検出素子を構成する薄膜の膜面に垂直で且つ磁気検出素子のフリー磁性層の外部磁界(記録信号磁界)が印加されていないときの磁化方向と平行な平面である。図1では、記録媒体との対向面はX−Z平面に平行な平面である。
【0066】
なお、磁気検出素子が浮上式の磁気ヘッドに用いられる場合、記録媒体との対向面とは、いわゆるABS面のことである。
【0067】
また磁気検出素子は、例えばアルミナ−チタンカーバイト(Al23−TiC)で形成されたスライダのトレーリング端面上に形成される。スライダは、記録媒体との対向面と逆面側で、ステンレス材などによる弾性変形可能な支持部材と接合され、磁気ヘッド装置が構成される。
【0068】
なお、トラック幅方向とは、外部磁界によって磁化方向が変動する領域の幅方向のことであり、例えば、フリー磁性層の外部磁界が印加されていないときの磁化方向、すなわち図示X方向である。トラック幅方向のフリー磁性層の幅寸法が磁気検出素子のトラック幅Twを規定する。
【0069】
なお、記録媒体は磁気検出素子の記録媒体との対向面に対向しており、図示Z方向に移動する。この記録媒体からの洩れ磁界方向は図示Y方向である。
【0070】
図1では、下から順に、下地層23、シード層24、反強磁性層25、第1固定磁性層26a、非磁性中間層26b、第2固定磁性層26cからなるシンセティックフェリピンド型の固定磁性層26、非磁性材料層27、第2フリー磁性層28a、非磁性中間層28b、第1フリー磁性層28cからなるシンセティックフェリフリー型のフリー磁性層28、保護層29が下から順に積層された多層膜T1が形成されている。
【0071】
多層膜T1の下層には、基板(図示せず)上に、アルミナなどの絶縁性材料からなる下地層(図示せず)を介して、下部シールド層21、下部電極層22が成膜されており、多層膜T1の上層には、上部電極層30、上部シールド層31が形成されている。
【0072】
下部電極層22は多層膜T1の下面と電気的に接続されており、上部電極層30は多層膜T1の上面と電気的に接続されている。
【0073】
多層膜T1の両側領域の下部電極層22上と、多層膜T1の側端面T1s,T1s上には、絶縁酸化膜32,32が積層されている。この絶縁酸化膜32,32によって、多層膜T1のトラック幅方向における側端面T1s,T1sと下部電極層22、上部電極層30、ハードバイアス層35,35及びバイアス下地層34,34が電気的に絶縁されている。
【0074】
絶縁酸化膜32,32上には、絶縁層33,33が積層されている。絶縁層33,33上に、バイアス下地層34,34を介して、縦バイアス層であるハードバイアス層35,35が積層されている。ハードバイアス層35,35上には絶縁層36,36が積層されている。この絶縁層36,36によって、上部電極層30と、多層膜T1の側端面T1s,T1s、ハードバイアス層35,35及びバイアス下地層34,34が絶縁されている。
【0075】
図1に示すように上記した下地層23から保護層29の各層で構成される多層膜T1は、トラック幅方向(図示X方向)における側端面T1s,T1sが、フリー磁性層28の下面から保護層29の上面まで連続した傾斜面となっており、例えば多層膜T1は図1に示すような略台形状で形成される。
【0076】
図1に示される磁気検出素子は、いわゆるボトム型のスピンバルブ型磁気検出素子であり、固定磁性層26の磁化方向が、適正に図示Y方向に平行な方向に固定され、しかもフリー磁性層28の磁化が適正に図示X方向に揃えられており、固定磁性層26とフリー磁性層28の磁化が交叉している。記録媒体からの洩れ磁界が磁気検出素子の図示Y方向に侵入し、フリー磁性層28の磁化が感度良く変動し、この磁化方向の変動と、固定磁性層26の固定磁化方向との関係で電気抵抗が変化し、この電気抵抗値の変化に基づく電圧変化により、記録媒体からの洩れ磁界(記録信号磁界)が検出される。
【0077】
ただし、電気抵抗値の変化(出力)に直接寄与するのは第2固定磁性層26cの磁化方向と第2フリー磁性層28aの磁化方向の相対角であり、これらの相対角が検出電流が通電されている状態かつ記録信号磁界が印加されていない状態で直交していることが好ましい。
【0078】
この実施形態では、例えば上部電極層30から下部電極層22に向けてセンス電流が流れるため、センス電流は、多層膜内の各層を膜面と垂直方向に流れる。センス電流が、多層膜内の各層を膜面と垂直方向に流れる磁気検出素子をCPP型の磁気検出素子という。
【0079】
なお本発明では、トラック幅は約10nm以上で100nm以下であることが好ましい。より好ましくは60nm以下であることが好ましい。トラック幅が、上記数値範囲程度に狭小化されると、さらなる再生出力の向上を図ることができる。
【0080】
下部シールド層21、下部電極層22、下地層23、シード層24、反強磁性層25、固定磁性層26、非磁性材料層27、フリー磁性層28、保護層29、上部電極層30、上部シールド層31、絶縁酸化膜32,32、絶縁層33,33、バイアス下地層34,34、ハードバイアス層35,35、絶縁層36,36はスパッタ法や蒸着法などの薄膜形成プロセスによって形成される。
【0081】
下部シールド層21及び上部シールド層31はNiFeなどの磁性材料を用いて形成される。なお、下部シールド層21及び上部シールド層31は磁化容易軸がトラック幅方向(図示X方向)を向いていることが好ましい。下部シールド層21及び上部シールド層31は、電解メッキ法によって形成されてもよい。
【0082】
反強磁性層25は、PtMn合金、または、X―Mn(ただしXは、Pd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である)合金で、あるいはPt―Mn―X′(ただしX′は、Pd,Ir,Rh,Ru,Au,Ag,Os,Cr,Ni,Ar,Ne,Xe,Krのいずれか1または2種以上の元素である)合金で形成する。
【0083】
これらの合金は、成膜直後の状態では、不規則系の面心立方構造(fcc)であるが、熱処理によってCuAuI型の規則型の面心正方構造(fct)に構造変態する。
【0084】
反強磁性層25の膜厚は、トラック幅方向の中心付近において80〜300Å、例えば200Åである。
【0085】
ここで、反強磁性層25を形成するための、PtMn合金及びX−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、PtMn合金及びX−Mnの式で示される合金において、PtあるいはXが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。特に規定しない限り、〜で示す数値範囲の上限と下限は以下、以上を意味する。
【0086】
また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが37〜63at%の範囲であることが好ましい。また、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’+Ptが47〜57at%の範囲であることがより好ましい。さらに、Pt−Mn−X’の式で示される合金において、X’が0.2〜10at%の範囲であることが好ましい。ただし、X’がPd,Ir,Rh,Ru,Os,Ni,Feのいずれか1種または2種以上の元素である場合には、X’は0.2〜40at%の範囲であることが好ましい。
【0087】
これらの合金を使用し、これを熱処理することにより、大きな交換結合磁界を発生する反強磁性層25を得ることができる。特に、PtMn合金であれば、48kA/m以上、例えば64kA/mを越える交換結合磁界を有し、交換結合磁界を失うブロッキング温度が380℃と極めて高い優れた反強磁性層25を得ることができる。
【0088】
第1固定磁性層26a及び第2固定磁性層26cは、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にCoFe合金またはCoにより形成されることが好ましい。また、第1固定磁性層26a及び第2固定磁性層26cは同一の材料で形成されることが好ましい。
【0089】
また、非磁性中間層26bは、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0090】
第1固定磁性層26a及び第2固定磁性層26cは、それぞれ10〜70Å程度で形成される。また非磁性中間層の膜厚は3Å〜10Å程度で形成で形成される。
【0091】
なお固定磁性層26は上記したいずれかの磁性材料を使用した1層構造あるいは上記したいずれかの磁性材料からなる層とCo層などの拡散防止層の2層構造で形成されていても良い。
【0092】
非磁性材料層27は、固定磁性層26とフリー磁性層28との磁気的な結合を防止する層であり、Cu,Cr,Au,Agなど導電性を有する非磁性材料により形成されることが好ましい。特にCuによって形成されることが好ましい。非磁性材料層27は例えば18〜30Å程度の膜厚で形成される。
【0093】
また非磁性材料層27は、Al23やSiO2などの絶縁材料で形成されていてもよいが、本発明のようにCPP型の磁気検出素子の場合には、非磁性材料層27内部にも、膜面と垂直方向にセンス電流が流れるようにしなければならないので、非磁性材料層27が絶縁物であるときは、非磁性材料層27の膜厚を50Åに薄くして形成して絶縁耐圧を低下させる必要がある。また非磁性材料層2727をAl23やTaO2などの鏡面反射効果を有する材質で形成したときは、非磁性材料層27をスペキュラー膜や実効的な素子面積を低減させる電流制限層として機能させることもできる。
【0094】
第1フリー磁性層28c及び第2フリー磁性層28aは、強磁性材料により形成されるもので、例えばNiFe合金、Co、CoFeNi合金、CoFe合金、CoNi合金などにより形成されるものであり、特にNiFe合金またはCoFe合金、CoFeNi合金により形成されることが好ましい。
【0095】
非磁性中間層26bは、非磁性材料により形成されるもので、Ru、Rh、Ir、Cr、Re、Cuのうち1種またはこれらの2種以上の合金で形成されている。特にRuによって形成されることが好ましい。
【0096】
第1フリー磁性層28c及び第2フリー磁性層28aは、それぞれ10〜70Å程度で形成される。また非磁性中間層26bの膜厚は3Å〜10Å程度で形成で形成される。
【0097】
なお、第2フリー磁性層28aが2層構造で形成され、非磁性材料層27と対向する側にCo膜が形成されていることが好ましい。これにより非磁性材料層27との界面での金属元素等の拡散を防止でき、抵抗変化率(ΔR/R)を大きくすることができる。
【0098】
なおフリー磁性層28は上記したいずれかの磁性材料を使用した1層構造で形成されていても良い。
【0099】
また本実施の形態では、第1フリー磁性層28c及び第2フリー磁性層28aの少なくとも一方を、以下の組成を有する磁性材料で形成することが好ましい。
【0100】
組成式がCoFeNiで示され、Feの組成比は9原子%以上で17原子%以下で、Niの組成比は0.5原子%以上で10原子%以下で、残りの組成はCo。
【0101】
これにより第1フリー磁性層28cと第2フリー磁性層28a間で発生するRKKY相互作用における交換結合磁界を強くすることができる。具体的には、反平行状態が崩れるときの磁界、すなわちスピンフロップ磁界(Hsf)を約293(kA/m)にまで大きくすることができる。
【0102】
よって、第1フリー磁性層28c及び第2フリー磁性層28aの磁化を適切に反平行状態にできる。
【0103】
なお第1フリー磁性層28c及び第2フリー磁性層28aの双方をCoFeNi合金で形成することが好ましい。これにより、より安定して高いスピンフロップ磁界を得ることができ、第1フリー磁性層28cと第2フリー磁性層28aとを適切に反平行状態に磁化できる。
【0104】
また上記した組成範囲内であると、第1フリー磁性層28cと第2フリー磁性層28aの磁歪を−3×10-6から3×10-6の範囲内に収めることができ、また保磁力を790(A/m)以下に小さくできる。
【0105】
さらに、フリー磁性層28の軟磁気特性の向上、フリー磁性層28と非磁性材料層27間でのNiの拡散による抵抗変化量(ΔR)や抵抗変化率(ΔR/R)の低減の抑制を適切に図ることが可能である。
【0106】
なお、第2フリー磁性層28aと非磁性材料層27間にCoなどからなる拡散防止層を設け、第1フリー磁性層28c及び第2フリー磁性層28aの少なくとも一方をCoFeNi合金で形成するとき、CoFeNi合金のFeの組成比を7原子%以上で15原子%以下、Niの組成比を5原子%以上で15原子%以下、残りの組成比をCoにすることが好ましい。
【0107】
また、図1では、磁気的膜厚(Ms×t;飽和磁化と膜厚の積)が異なる第1固定磁性層26aと第2固定磁性層26cが、非磁性中間層26bを介して積層されたものが、一つの固定磁性層26として機能する。
【0108】
第1固定磁性層26aは反強磁性層25と接して形成され、磁場中アニールが施されることにより、第1固定磁性層26aと反強磁性層25との界面にて交換結合による交換異方性磁界が生じ、第1固定磁性層26aの磁化方向が図示Y方向に固定される。第1固定磁性層26aの磁化方向が図示Y方向に固定されると、非磁性中間層26bを介して対向する第2固定磁性層26cの磁化方向が、第1固定磁性層26aの磁化方向と反平行の状態で固定される。
【0109】
このように、第1固定磁性層26aと第2固定磁性層26cの磁化方向が、反平行となるフェリ磁性状態になっていると、第1固定磁性層26aと第2固定磁性層26cとが互いに他方の磁化方向を固定しあうので、全体として固定磁性層26の磁化方向を一定方向に強力に固定することができる。
【0110】
なお、第1固定磁性層26aの磁気的膜厚(Ms×t)と第2固定磁性層26cの磁気的膜厚(Ms×t)を足し合わせた合成の磁気的膜厚(Ms×t)の方向が固定磁性層26の磁化方向となる。
【0111】
図1では、第1固定磁性層26a及び第2固定磁性層26cを同じ材料を用いて形成し、さらに、それぞれの膜厚を異ならせることにより、それぞれの磁気的膜厚(Ms×t)を異ならせている。
【0112】
また、第1固定磁性層26a及び第2固定磁性層26cの固定磁化による反磁界(双極子磁界)を、第1固定磁性層26a及び第2固定磁性層26cの静磁界結合同士が相互に打ち消し合うことによりキャンセルできる。これにより、固定磁性層26の固定磁化による反磁界(双極子磁界)からの、フリー磁性層28の変動磁化への寄与を減少させることができる。
【0113】
従って、フリー磁性層28の変動磁化の方向を所望の方向に補正することがより容易になり、アシンメトリーの小さい対称性の優れたスピンバルブ型薄膜磁気素子を得ることが可能になる。
【0114】
ここで、アシンメトリーとは、再生出力波形の非対称性の度合いを示すものであり、再生出力波形が与えられた場合、波形が対称であればアシンメトリーが小さくなる。従って、アシンメトリーが0に近づく程再生出力波形が対称性に優れていることになる。
【0115】
アシンメトリーは、フリー磁性層28の磁化の方向と固定磁性層26の固定磁化の方向とが直交しているときに0となる。アシンメトリーが大きくずれるとメディアからの情報の読み取りが正確にできなくなり、エラーの原因となる。このため、アシンメトリーが小さいものほど、再生信号処理の信頼性が向上することになり、スピンバルブ薄膜磁気素子として優れたものとなる。
【0116】
また、固定磁性層26の固定磁化による反磁界(双極子磁界)Hdは、フリー磁性層28の素子高さ方向において、その端部で大きく中央部で小さいという不均一な分布を持ち、フリー磁性層28内における単磁区化が妨げられる場合があるが、固定磁性層26を上記の積層構造とすることにより双極子磁界Hdを小さくすることができ、これによってフリー磁性層28内に磁壁ができて磁化の不均一が発生しバルクハウゼンノイズなどが発生することを防止することができる。
【0117】
フリー磁性層28は、磁気的膜厚(Ms×t;飽和磁化と膜厚の積)の大きさが異なる第2フリー磁性層28aと第1フリー磁性層28cが、非磁性中間層26bを介して積層され、第2フリー磁性層28aと第1フリー磁性層28cの磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態である。このとき、磁気的膜厚(Ms×t)が大きい方、例えば、第2フリー磁性層28aの磁化方向が、ハードバイアス層から発生する磁界の方向(図示X方向)に向き、第1フリー磁性層28cの磁化方向が、180度反対方向(図示X方向と反平行方向)に向いた状態になる。
【0118】
第2フリー磁性層28aと第1フリー磁性層28cの磁化方向が180度異なる反平行のフェリ磁性状態になると、フリー磁性層の膜厚を薄くすることと同等の効果が得られ、単位面積あたりの実効的な磁気モーメントが小さくなり、フリー磁性層28の磁化が変動しやすくなって、磁気検出素子の磁界検出感度が向上する。
【0119】
第2フリー磁性層28aの磁気的膜厚(Ms×t)と第1フリー磁性層28cの磁気的膜厚(Ms×t)を足し合わせた合成の磁気的膜厚(Ms×t)の方向がフリー磁性層28の磁化方向となる。
【0120】
ただし、固定磁性層26の磁化方向との関係で出力に寄与するのは第2フリー磁性層28aの磁化方向のみである。
【0121】
保護層29は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成される。保護層29の膜厚は30Å程度である。
【0122】
ハードバイアス層35,35は、Co−Pt(コバルト−白金)合金やCo−Cr−Pt(コバルト−クロム−白金)合金などの硬磁性材料で形成される。これら合金の結晶構造は一般的にはバルクにおいて、面心立方構造(fcc)と稠密六方構造(hcp)の混相となる組成付近の膜組成に設定されている。
【0123】
バイアス下地層34,34は、Cr,Ti,W,Mo,V,Mn,Nb,Taのいずれか1種または2種以上の非磁性元素で形成されることが好ましい。例えば、CrやW50Mo50によって形成される。バイアス下地層34,34を結晶構造がbcc(体心立方格子)構造であるCrなどを用いて形成すると、ハードバイアス層35,35の保磁力及び角形比が大きくなりバイアス磁界を大きくできる。
【0124】
ここで上記の金属で形成されたバイアス下地層34,34とハードバイアス層35,35を構成するCoPt系合金のhcp構造の格子定数は近い値となるために、CoPt系合金はfcc構造を形成しづらくhcp構造で形成されやすくなる。このときhcp構造のc軸はCoPt系合金とバイアス下地層34,34の境界面内に優先配向される。hcp構造はfcc構造に比べてc軸方向に大きな磁気異方性を生じるため、ハードバイアス層35,35に磁界を与えたときの保磁力Hcは大きくなる。さらにhcpのc軸はCoPt系合金とバイアス下地層34,34との境界面内で優先配向となっているため、残留磁化が増大し、残留磁化/飽和磁化で求められる角形比Sは大きくなる。その結果、ハードバイアス層35,35の特性を向上させることができ、ハードバイアス層35,35から発生するバイアス磁界を増大させることができる。
【0125】
なお、下部電極層22及び上部電極層30はW,Ta,Cr,Cu,Rh,Ir,Ru,Auなどの導電性材料を用いて形成することができる。
【0126】
なお、下部電極層22、上部電極層30としてTaを用いる場合には、下部電極層22、上部電極層30の下層に、Crの中間層を設けることによってCrの上層に積層されるTaの結晶構造を低抵抗の体心立方構造にしやすくなる。
【0127】
また、下部電極層22、上部電極層30としてCrを用いる場合には、下部電極層22、上部電極層30の下層にTaの中間層を設けることにより、Crがエピタキシャルに成長して、抵抗値を低減できる。
【0128】
絶縁層33,33と絶縁層36,36は、アルミナ(Al23)や酸化ケイ素(SiO2)やAl−Si−Oなどの絶縁性材料を用いて形成することができる。
【0129】
なお、下地層23は、Ta,Hf,Nb,Zr,Ti,Mo,Wのうち少なくとも1種以上で形成されることが好ましい。下地層23は50Å以下程度の膜厚で形成される。なおこの下地層23は形成されていなくても良い。
【0130】
シード層24は、NiFe、NiFeCrやCrなどを用いて形成する。
なお、図1に示される磁気検出素子は各層の膜面と垂直方向にセンス電流が流れるCPP型であるため、シード層24にも適切にセンス電流が流れる必要性がある。よってシード層24は比抵抗の高い材質でないことが好ましい。従って、CPP型ではシード層24はNiFe合金、Crなどの比抵抗の低い材質で形成されることが好ましい。なおシード層24は形成されなくても良い。
【0131】
図1に示される本実施の形態の磁気検出素子では、多層膜T1のトラック幅方向(図示X方向)における側端面T1s,T1sに、縦バイアス層であるハードバイアス層35,35と多層膜T1を電気的に絶縁する絶縁酸化膜32,32が設けられている。
【0132】
従って、多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にとることができ、多層膜T1の導電性の材料からなるハードバイアス層35,35に接している部分から検出電流が分流することを防止して、磁気検出素子の出力を向上させることが容易になる。
【0133】
絶縁酸化膜32,32は、例えば、多層膜T1を構成する各層の材料が酸化されて形成された層、下部電極層の材料が酸化されて形成された層、金属材料又は半導体材料の酸化物層のうち1つまたは2つ以上を有するものとできる。
【0134】
図1では、多層膜T1が側端面T1s,T1sから所定の厚さ酸化されて形成された層、多層膜T1を構成する各層の材料が多層膜T1のミリング形成時に再付着したものが酸化されて形成された層と下部電極層の材料が酸化されて形成された層を合わせて第1酸化層F’,F’とし、第1酸化層F’,F’の上に、アルミニウム又はケイ素などの金属材料又は半導体材料の酸化物層である第2酸化層M’,M’が積層されている。
【0135】
なお、多層膜T1の側端面T1s,T1sから所定の厚さ酸化された層の、側端面T1s,T1sからの厚さ寸法(前記所定の厚さ)は、1nm〜5nmである。
【0136】
なお、図1では、下部電極層22の多層膜T1の両側領域が一部削られており、下部電極層22の多層膜T1の下面と接続されている部分が図示上方に突出した形状になっている。下部電極層22が凸型形状であると、下部電極層22と多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的短絡を確実に防ぐことが容易になり、磁気検出素子のトラック幅を一定に揃えることが容易になる。
【0137】
ただし、下部電極層22の多層膜T1の両側領域が削られず、下部電極層22が点線A,Aで示される平坦な上面を持つようにしても良い。また、下部電極層22の多層膜T1の両側領域に延びている部分の表面が酸化されて第1酸化層F’,F’の一部となってもよい。
【0138】
図1に示された磁気検出素子は、一対のハードバイアス層35,35によって、フリー磁性層28に縦バイアス磁界を供給するものである。従って、多層膜T1の側端面T1s,T1sに形成された絶縁酸化膜32,32の膜厚が厚すぎると、フリー磁性層28に適切な大きさの縦バイアス磁界を供給することができなくなる。一方、絶縁酸化膜32,32の膜厚が薄すぎると多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にとることができなくなり、ハードバイアス層35,35への分流が発生して磁気検出素子の出力が低下する。従って、絶縁酸化膜32,32の膜厚を薄くすることと、多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にとることを両立させることが必要になる。
【0139】
本発明では、アルミナ等の金属酸化物や酸化ケイ素などの半導体酸化物からなるターゲットを用いたスパッタ成膜によって、絶縁酸化膜32,32を成膜することも可能である。しかし、アルミナ等の金属酸化物や酸化ケイ素などの半導体酸化物をターゲットとして用いると、形成された絶縁酸化膜32,32にピンホールが生じやすくなり、多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にとることが難しくなる。
【0140】
そこで、図1では、絶縁酸化膜32,32を多層膜T1のトラック幅方向における側端面T1s,T1sに付着した金属層(多層膜T1を構成する各層の材料や下部電極層22の材料からなる層)や多層膜T1を側端面T1s,T1sから所定の厚さ、自然酸化或いはプラズマ酸化やラジカル酸化などの陽極酸化によって酸化させて形成した第1酸化層F’,F’と、第1酸化層F’,F’上に、アルミニウム(Al)などの金属材料やケイ素(Si)などの半導体材料をスパッタ成膜した後、この金属材料や半導体材料を自然酸化或いはプラズマ酸化やラジカル酸化などの陽極酸化によって酸化させて形成した第2酸化層M’,M’の多層構造を有するものとして示している。
【0141】
多層膜T1の側端面T1s,T1s上にまず金属や半導体を付着させ、後からこの金属や半導体を酸化させる方法を用いると、膜厚が薄くしかもピンホールの数が少ない絶縁酸化膜32,32を形成することが容易になる。
【0142】
本発明では、絶縁酸化膜32,32の膜厚tを3nm〜20nmとしてもピンホールが少なく多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にとることができる磁気検出素子を提供できる。
【0143】
多層膜T1の側端面T1s,T1sとハードバイアス層35,35の距離を調節して、フリー磁性層28に供給される縦バイアス磁界の大きさを調節したいときには、第2酸化層M’,M’の厚さを調節することにより絶縁酸化膜32,32の膜厚tを調節すればよい。
【0144】
なお、絶縁酸化膜32,32が、多層膜T1内を流れる伝導電子のスピン状態(エネルギー、量子状態など)を保持したまま鏡面反射するスペキュラー膜(鏡面反射膜)であることが好ましい。
【0145】
前述のように、絶縁酸化膜32,32は、例えば、多層膜T1を構成する各層の材料が酸化されて形成された層、下部電極層の材料が酸化されて形成された層、金属材料又は半導体材料の酸化物層のうち1つまたは2つ以上を有するものである。これらの層を適切な酸化膜とすることで、絶縁酸化膜32,32をスペキュラー膜として機能させることができる。
【0146】
特に、第2酸化層M’,M’を以下の材料からなる層として形成すると、絶縁酸化膜32,32を確実にスペキュラー膜として機能させることができるので好ましい。
【0147】
Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−Fe−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q−O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)のいずれか1種あるいは2種以上の酸化物。
【0148】
なお例えばFe−Oの中でもα−Fe23、Ni−Oの中でもNiO、Al−Q−Oの中でもAlQO、R−Oの中でもROとなる組成式を満たすことが好ましい。
【0149】
これら酸化物の形成は、構成元素のターゲットを用いてスパッタ成膜するか、酸素以外の構成元素のターゲットを用意し、多層膜T1の側端面T1s,T1sに酸素以外の構成元素の膜をスパッタ成膜した後、自然酸化、プラズマ酸化、あるいはラジカル酸化などによって、酸素以外の構成元素からなる膜を酸化させることによる。なお酸素以外の構成元素の膜すべてを酸化させないと適切に鏡面反射効果を有するスペキュラー膜を形成することはできない。
【0150】
また上記の酸化方法によって形成されたスペキュラー膜は、化学量論的な組成を有していた方が良いが有していなくても鏡面反射効果を発揮させることができる。
【0151】
上記のように化学量論的な組成を有さなくても十分な絶縁性を有するスペキュラー膜では、多層膜T1の側端面T1s,T1sとの界面付近に適切にポテンシャル障壁が形成され、鏡面反射効果を発揮することが可能になる。
【0152】
例えばスペキュラー膜をAl−Oで形成するとき、Al23で形成されたターゲットでスペキュラー膜をスパッタ成膜すると、化学量論的な組成を有するスペキュラー膜を形成することができないが、極端に酸素が少なくなければスペキュラー膜と多層膜T1の側端面T1s,T1sとの界面付近に適切なポテンシャル障壁を形成でき、鏡面反射効果を有効に発揮させることができる。
【0153】
あるいは第2酸化層M’,M’の代わりに、Al−N、Al−Q−N(ここでQはB、Si、O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−N(ここでRはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の窒化物からなる層を形成してもよい。
【0154】
なおAl−Nの中でもAlN、Al−Q−Nの中でもAlQN、R−Nの中でもRNとなる組成式を満たすことが好ましい。
【0155】
これら窒化物の形成は、構成元素のターゲットを用いてスパッタ成膜するか、例えば窒素以外の構成元素のターゲットを用意し、多層膜T1の側端面T1s,T1sに窒素以外の構成元素の膜をスパッタ成膜した後、窒素以外の構成元素からなる膜を窒化させることによる。
【0156】
または、第2酸化層M’,M’の代わりに、半金属ホイッスラー合金からなる層を形成してもよい。半金属ホイッスラー金属には、NiMnSb、PtMnSbなどを選択できる。
【0157】
絶縁酸化層32,32がスペキュラー膜として機能すると、素子面積の狭小化においてもアップスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ+を従来に比べて伸ばすことが可能になり、よってアップスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ+と、ダウンスピン電子を持つ伝導電子の平均自由行程λ-との差を大きくすることができ、従って再生出力の向上とともに、抵抗変化率(ΔR/R)の向上を図ることが可能になる。
【0158】
特に、磁気検出素子のトラック幅寸法が小さくなると、アップスピン電子を持つ伝導電子が多層膜T1の側端面T1s,T1sに到達する回数が増え、スペキュラー膜の持つ鏡面反射効果を有効に機能させることができ、抵抗変化率の向上を図ることができる。
【0159】
なお、図1では、絶縁酸化膜32,32を第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’の2層構造を有するものとして示しているが、本発明では絶縁酸化膜32,32を第1酸化層F’,F’だけからなるものとしてもよい。絶縁酸化膜32,32が第1酸化層F’,F’だけからなるときでも、第1酸化層F’,F’がスペキュラー膜として機能することが望ましい。
【0160】
または、絶縁酸化膜32,32を第2酸化層M’,M’だけからなるものとしてもよい。絶縁酸化膜32,32が第2酸化層M’,M’だけからなるときでも、第2酸化層M’,M’がスペキュラー膜として機能することが望ましい。
【0161】
また、第1酸化層F’,F’は、多層膜T1が側端面T1s,T1sから所定の厚さ酸化されて形成された層、多層膜T1を構成する各層の材料が多層膜T1のミリング形成時に再付着したものが酸化されて形成された層と下部電極層の材料が酸化されて形成された層のうち一つの層だけからなるものであってもよいし、2つ以上の層からなっていてもよい。
【0162】
なお、ハードバイアス層35,35は、フリー磁性層28を構成する第2フリー磁性層28aと第1フリー磁性層28cのうち、一方の磁化方向を揃えるだけでよい。図1では、ハードバイアス層35,35は第2フリー磁性層28aの側端面のみと対向するように形成され、第2フリー磁性層28aの磁化方向のみをそろえている。
第2フリー磁性層28aの磁化方向が一定方向に揃えられると、第1フリー磁性層28cは磁化方向が反平行となるフェリ磁性状態となり、フリー磁性層全体の磁化方向が一定方向に揃えられる。
【0163】
第1フリー磁性層28cの磁化方向とハードバイアス層35,35からの縦バイアス磁界方向は180°異なる向きであるが、本実施の形態では、ハードバイアス層35,35からの縦バイアス磁界が直接第1フリー磁性層28cに影響を及ぽす程度が小さいので、第1フリー磁性層28cの磁化方向の乱れを抑えることができる。
【0164】
図1に示される磁気検出素子では、ハードバイアス層35,35と下部電極層22の間に絶縁層33,33が形成されている。絶縁層33,33が形成されると、多層膜Tの側端面T1s,T1sからの洩れ電流の発生を抑えることが容易になると同時に、ハードバイアス層35,35を平坦な層として形成することができ、安定した縦バイアス磁界を発生させることができるようになる。
【0165】
また、下部電極層22及び上部電極層30が磁性材料によって形成され、下部電極層22及び上部電極層30がそれぞれ、下部シールド層及び上部シールド層の機能を有してもよい。
【0166】
図2は、本発明における第2の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0167】
図2に示される磁気検出素子は、第1酸化層F’,F’だけが多層膜T1の側端面T1s,T1sの全面上に成膜され、第2酸化層M’,M’は多層膜T1の側端面T1s,T1sのハードバイアス層35,35に対向する部分とその上下周辺でのみ多層膜T1とハードバイアス層35,35間の絶縁をとる構造である点で図1に示された磁気検出素子と異なっている。
【0168】
図2に示される本実施の形態の磁気検出素子でも、多層膜T1の側端面T1s,T1sのハードバイアス層35,35に対向する部分とその上下周辺では、絶縁酸化膜32,32が第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’の2層構造となっているので、多層膜T1の側端面T1s,T1sとハードバイアス層35,35の電気的絶縁を確実にとることができ、多層膜T1の導電性の材料からなるハードバイアス層35,35に接している部分から検出電流が分流することを防止して、磁気検出素子の出力を向上させることが容易になる。
【0169】
なお、図2でも、多層膜T1が側端面T1s,T1sから所定の厚さ酸化されて形成された層、多層膜T1を構成する各層の材料が多層膜T1のミリング形成時に再付着したものが酸化されて形成された層と下部電極層の材料が酸化されて形成された層を合わせて第1酸化層F’,F’とし、アルミニウム又はケイ素などの金属材料又は半導体材料の酸化物層を第2酸化層M’,M’としている。
【0170】
図2の磁気検出素子でも、第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’は、図1の磁気検出素子と同じ材料、同じ酸化方法で形成される。ただし、図1の磁気検出素子では、第1酸化層F’,F’、第2酸化層M’,M’、絶縁層33,33の順序で成膜していくが、図2の磁気検出素子では、第1酸化層F’,F’、絶縁層33,33、第2酸化層M’,M’の順序で積層していく。
【0171】
図2の磁気検出素子では、第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’が重なっている部分で、第1酸化層F’,F’の膜厚と第2酸化層M’,M’の膜厚の和tを3nm〜20nmとすると、多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にとることができ、なおかつフリー磁性層28に十分な大きさの縦バイアス磁界を供給できる磁気検出素子を提供できる。
【0172】
図3は、本発明における第3の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0173】
図3に示される磁気検出素子は、ハードバイアス層35,35と下部電極層22の間に絶縁層33,33が形成されずに、下部電極層22上に第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’からなる絶縁酸化膜32,32のみを介してバイアス下地層34,34及びハードバイアス層35,35が積層されている点で図1の磁気検出素子と異なっている。
【0174】
図3の磁気検出素子では、多層膜T1とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁性及び下部電極層22とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁性は絶縁酸化膜32,32の絶縁耐圧に依存している。
【0175】
図3に示される磁気検出素子でも、絶縁酸化膜32,32を第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’の2層構造を有するものとしているので、多層膜T1とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁を確実にとることができる。
【0176】
なお、図3でも、多層膜T1が側端面T1s,T1sから所定の厚さ酸化されて形成された層、多層膜T1を構成する各層の材料が多層膜T1のミリング形成時に再付着したものが酸化されて形成された層と下部電極層の材料が酸化されて形成された層を合わせて第1酸化層F’,F’とし、アルミニウム又はケイ素などの金属材料又は半導体材料の酸化物層を第2酸化層M’,M’としている。
【0177】
また、第2酸化層M’,M’をアルミニウム(Al)などの金属材料やケイ素(Si)などの半導体材料をスパッタ成膜した後、この金属材料や半導体材料を自然酸化或いはプラズマ酸化やラジカル酸化などの陽極酸化によって酸化させて形成することにより、膜厚が薄くしかもピンホールの数が少ない絶縁酸化膜32,32を形成することが容易になる。
【0178】
本発明では、絶縁酸化膜32,32の膜厚tを3nm〜20nmとしてもピンホールが少なく多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にとり、なおかつフリー磁性層28に十分な大きさの縦バイアス磁界を供給できる磁気検出素子を提供できる。
【0179】
また、アルミナなどの酸化物ターゲットを用いて絶縁酸化膜32,32をスパッタ成膜すると、多層膜T1の下面付近の屈曲部K,Kの周囲に十分な厚さの絶縁酸化膜32,32を堆積させることが難しいという問題が生じるが、第2酸化層M’,M’を金属材料または半導体材料の自然酸化あるいは陽極酸化によって形成することにより、屈曲部K,Kの周囲の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0180】
また、図3では、下部電極層22の多層膜T1の両側領域に延びている部分の表面が酸化されて第1酸化層F’,F’の一部となっており、下部電極層22とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁性が向上している。
【0181】
図4は、本発明における第4の実施形態の磁気検出素子を記録媒体との対向面側から見た部分断面図である。
【0182】
図4に示される磁気検出素子は、下から順に、フリー磁性層28、非磁性材料層27、固定磁性層26、及び反強磁性層25が積層されている、いわゆるトップスピンバルブ型の磁気検出素子である点で図3に示された磁気検出素子と異なっている。
【0183】
図4に示される磁気検出素子でも、多層膜T2とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁性及び下部電極層22とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁性は絶縁酸化膜32,32の絶縁耐圧に依存している。
【0184】
図4に示される磁気検出素子でも、絶縁酸化膜32,32を第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’の2層構造を有するものとしているので、多層膜T1とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁を確実にとることができる。
【0185】
なお、図4でも、多層膜T1が側端面T1s,T1sから所定の厚さ酸化されて形成された層、多層膜T1を構成する各層の材料が多層膜T1のミリング形成時に再付着したものが酸化されて形成された層と下部電極層の材料が酸化されて形成された層を合わせて第1酸化層F’,F’とし、アルミニウム又はケイ素などの金属材料又は半導体材料の酸化物層を第2酸化層M’,M’としている。
【0186】
また、第2酸化層M’,M’をアルミニウム(Al)などの金属材料やケイ素(Si)などの半導体材料をスパッタ成膜した後、この金属材料や半導体材料を自然酸化或いはプラズマ酸化やラジカル酸化などの陽極酸化によって酸化させて形成することにより、膜厚が薄くしかもピンホールの数が少ない絶縁酸化膜32,32を形成することが容易になる。
【0187】
本発明では、絶縁酸化膜32,32の膜厚tを3nm〜20nmとしてもピンホールが少なく多層膜T2の側端面T2s,T2sの電気的絶縁を確実にとり、なおかつフリー磁性層28に十分な大きさの縦バイアス磁界を供給できる磁気検出素子を提供できる。
【0188】
また、アルミナなどの酸化物ターゲットを用いて絶縁酸化膜32,32をスパッタ成膜すると、多層膜T2の下面付近の屈曲部K2,K2の周囲に十分な厚さの絶縁酸化膜32,32を堆積させることが難しいという問題が生じるが、第2酸化層M’,M’を金属材料または半導体材料の自然酸化あるいは陽極酸化によって形成することにより、屈曲部K2,K2の周囲の絶縁耐圧を向上させることができる。
【0189】
また、図4に示される磁気検出素子では、絶縁酸化膜32,32の膜厚、特に第2酸化層M’,M’を薄くしつつ、下部電極層22とハードバイアス層35,35間の電気的絶縁をとることができるので、フリー磁性層28が多層膜T2の下側に積層される場合でも、ハードバイアス層35,35をフリー磁性層28に確実に対向させることができる。
【0190】
図1に示された磁気検出素子の製造方法を説明する。
まず、図6に示されるように、図示しない基板上に、アルミナなどの下地層(図示せず)を介して、下部シールド層21、下部電極層22、並びに下地層23、シード層24、反強磁性層25、第1固定磁性層26a、非磁性中間層26b、第2固定磁性層26c、非磁性材料層27、第2フリー磁性層28a、非磁性中間層28b、第1フリー磁性層28c、及び保護層29からなる多層膜T1を成膜する。各層の材料は、図1に示された磁気検出素子の同じ符号をつけた層の材料と同じなので説明を省略する。
【0191】
各層の形成は例えばスパッタ成膜である。スパッタ成膜では、例えばDCマグネトロンスパッタ法、RFマグネトロンスパッタ法、イオンビームスパッタ法、ロングスロースパッタ法、コリメーションスパッタ法のいずれか、またはそれらを組み合せたスパッタ法などを使用できる。
【0192】
さらに、保護層29の上にレジスト層R1を形成する。レジスト層R1のトラック幅方向(図示X方向)における幅寸法を、フリー磁性層の上面の幅寸法で決定されるトラック幅と同程度で形成することが好ましい。
【0193】
そして図7に示す工程では、保護層29から下地層23までの各層で構成される多層膜T1のレジスト層R1に覆われずに表面が露出している領域及び下部電極層22の一部をイオンミリングなどで除去する。図7に示す工程におけるイオンミリングの、多層膜T1の上面T1aの法線方向(前記基板の表面の法線方向)に対する入射角度θ1は、5°〜20°である。
【0194】
図7に示されるイオンミリング工程で、レジスト層R1に覆われることにより除去されずに残された多層膜T1のトラック幅方向の側端面T1s,T1sに金属層H,Hが付着する。この金属層H,Hは多層膜T1の材料及び下部電極層22の材料が前記ミリング工程時に再付着したものである。
【0195】
金属層H,Hの厚さは多層膜T1の上層に行く程厚くなる。本発明では、多層膜T1の最上部での金属層H,Hの厚さは5nm〜10nmである。
【0196】
次に、図8に示すように、多層膜T1の表面に対する法線方向(前記基板の表面の法線方向)から角度θ2だけ傾いた入射角度のイオンミリングを行う。
【0197】
角度θ2は前述の角度θ1より大きく、例えば45°〜70°である。
角度θ2のイオンミリングを行うと、図8に示されるように、多層膜T1の側端面T1s,T1sをサイドミリングして、金属層H,Hを削って薄くできる。
【0198】
なお、金属層H,Hが完全に除去されるまでイオンミリングを行うと、多層膜T1の側端面T1s,T1sにミリング粒子が打ち込まれて磁気検出素子の磁界検出特性が低下する。従って、図8に示される工程では、金属層H,Hをわずかに残すように削り、多層膜T1の側端面T1s,T1sが損傷しないようにすることが好ましい。
【0199】
次に、多層膜T1の側端面T1s,T1sに残った金属層H,H及び多層膜T1を側端面T1s,T1sから所定の厚さ酸化させて第1酸化層F’,F’にさせる(図9)。
【0200】
なお、多層膜T1を側端面T1s,T1sから酸化させるときの前記所定の厚さは、1nm〜5nmである。
【0201】
また、下部電極層22の多層膜T1の両側領域に延びている部分の表面も酸化されて第1酸化層F’,F’の一部となる。
【0202】
酸化には自然酸化、或いはプラズマ酸化又はラジカル酸化などの陽極酸化のうちいずれか1種以上の酸化方法を用いることが好ましい。ただし、これ以外の酸化方法であっても良い。特に、酸化速度が速いことと酸化工程における膜の損傷度が低いことからラジカル酸化を用いることが好ましい。
【0203】
金属層H,H及び多層膜T1の側端面T1s,T1sから所定の厚さの部分を酸化させることにより、多層膜T1を構成する各層の電気的絶縁、特にフリー磁性層28と固定磁性層26間の電気的絶縁をとることができる。
【0204】
また、第1酸化層F’,F’は図1に示された磁気検出素子の絶縁酸化膜32,32の構成要素になるものである。金属層H,H及び多層膜T1を後から酸化させることにより均一で高密度の第1酸化層F’,F’を形成できるので、後の工程で形成されるハードバイアス層35,35からフリー磁性層28に十分な縦バイアス磁界を供給できるように第1酸化層F’,F’を薄くしても、第1酸化層F’,F’のピンホールを少なくして、多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にとることができるようになる。
【0205】
図8に示されたサイドミリング工程によって、金属層H,Hを薄くすると、金属H,Hを一回の酸化工程で完全に酸化させることも可能である。ただし、金属層H,Hを一回の酸化工程で完全に酸化できないときは、酸化工程を繰り返し行なっても良い。
【0206】
なお、金属層H,Hを削って薄くする工程を省略して、多層膜T1を削り出し形成した後、すぐに金属層H,Hを酸化させてもよい。
【0207】
または、金属層H,Hを完全に除去してしまい、多層膜T1を側端面T1s,T1sから所定の厚さ酸化させて第1酸化層F’,F’としてもよい。
【0208】
第1酸化層F’,F’の形成後、図10に示すように、第1酸化層F’,F’上及び下部電極層22上に、アルミニウムなどの金属材料またはケイ素などの半導体材料を、スパッタ粒子の入射方向が等方的であるスパッタ成膜法によって成膜し、金属材料層(または半導体材料層)M,Mを形成する。
【0209】
次に、図11に示す工程において、金属材料層(または半導体材料層)M,Mを酸化させて第2酸化層M’,M’にさせる。酸化には、自然酸化、或いはプラズマ酸化又はラジカル酸化などの陽極酸化のうちいずれか1種以上の酸化方法を用いることが好ましい。特に、酸化速度が速いことと酸化工程における膜の損傷度が低いことからラジカル酸化を用いることが好ましい。ただし、これ以外の酸化方法であっても良い。
【0210】
金属材料や半導体材料は、多層膜T1の側端面T1s,T1s上に緻密に付着させることが容易である。また、前記金属材料や前記半導体材料を多層膜T1の側端面T1s,T1s上に付着させた段階で、多少のピンホールが形成されても、前記金属材料や前記半導体材料を酸化させる段階でこれらのピンホールが埋められるので、形成された第2酸化層M’,M’はピンホールが少なくなり、多層膜T1の側端面T1s,T1sの電気的絶縁を確実にとることができるものとなる。
【0211】
本発明では、第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’からなる多層構造を有する絶縁酸化膜32,32を、多層膜T1の側端面T1s,T1sに形成することができるので、多層膜T1の側端面T1s,T1sと前記一対の縦バイアス層の電気的絶縁をより確実にとることができるようになる。
【0212】
しかも、第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’の膜厚を薄くしても必要な絶縁耐圧を有する層とすることができる。
【0213】
従って、第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’からなる絶縁酸化膜32,32の膜厚を薄くでき、後の工程で形成されるハードバイアス層35,35からフリー磁性層28に十分な縦バイアス磁界を供給できる。具体的には、前記絶縁酸化膜の膜厚を3nm〜20nmとすることができる。
【0214】
なお、第2酸化層M’,M’を形成するときに、本発明では、アルミナ等の金属酸化物からなるターゲットを用いたスパッタ成膜によって成膜することも可能である。また、酸化ケイ素などの半導体材料の酸化物からなるターゲットを用いたスパッタ成膜によって成膜することも可能である。
【0215】
ただし、アルミナ等の金属酸化物や酸化ケイ素などの半導体酸化物をターゲットとして用いると、形成された第2酸化層M’,M’の膜厚や組成が不均一になりやすく、ピンホールなどが生じやすくなって局所的に絶縁特性の弱い部分ができやすい。すると、絶縁特性の弱い部分に電流が集中して洩れ電流が発生したり、絶縁破壊が起きて、前記多層膜の側端面と前記一対の縦バイアス層が完全に導通して磁気検出素子の出力が著しく低下してしまうことがある。従って、上述したように、先に金属材料層(または半導体材料層)M,Mを成膜してから、酸化させて第2酸化層M’,M’にさせる方が望ましい。
【0216】
図11では、絶縁酸化膜32,32を構成する第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’が分離している様子を図示している。ただし、実際に形成された絶縁酸化膜32,32において、第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’が明確に分離した状態にあるとは限らない。
【0217】
なお、第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’を適切な酸化膜とすることにより、絶縁酸化膜32,32を、多層膜T1内を流れる伝導電子のスピン状態(エネルギー、量子状態など)を保持したまま鏡面反射するスペキュラー膜(鏡面反射膜)とすることが好ましい。
【0218】
本実施の形態では、絶縁酸化膜32,32を構成する第1酸化層F’,F’と第2酸化層M’,M’を、金属材料または半導体材料の自然酸化または陽極酸化(プラズマ酸化、ラジカル酸化)によって形成するので、均一で高密度な酸化膜として形成することができる。従って、絶縁酸化膜32,32の鏡面反射効果を増大させて磁気検出素子の出力を大きくすることができる。
【0219】
特に、第2酸化層M’,M’を以下の材料からなる層として形成すると、絶縁酸化膜32,32をスペキュラー膜として機能させることが容易になるので好ましい。
【0220】
Fe−O、Ni−O、Co−O、Co−Fe−O、Co−Fe−Ni−O、Al−O、Al−Q−O(ここでQはB、Si、N、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−O(ここでRはCu、Ti、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)のいずれか1種或いは2種以上の酸化物。
【0221】
なお例えばFe−Oの中でもα−Fe23、Ni−Oの中でもNiO、Al−Q−Oの中でもAlQO、R−Oの中でもROとなる組成式を満たすことが好ましい。
【0222】
上記した第2酸化層M’,M’を形成する際、酸化物ターゲットを用いて直接酸化膜を堆積させてもよいが、まず上記各化合物の酸素を除いた元素からなるターゲットを用意し、このターゲットを用いて多層膜の側端面にかけて、各化合物の酸素を除いた元素からなる膜を成膜する。具体的に言えば、例えば酸化物層O,OをTaOで形成する場合、まずTa膜を多層膜の側端面にかけて成膜する。次に、前記Ta膜を酸化する。酸化には自然酸化、プラズマ酸化、ラジカル酸化のうちいずれか1種以上の酸化方法を用いることが好ましい。またこれ以外の酸化方法であっても良い。
【0223】
なお上記した酸化工程で酸素を除いた元素から成る膜をすべて酸化し、これによって形成された酸化物層(スペキュラー膜)は化学量論的な組成に近く、隣接する多層膜との間に、十分なポテンシャル障壁を形成することが可能となる。この結果、十分な鏡面反射効果を得ることが可能になる。
【0224】
また上記した第2酸化層M’,M’の代わりに、Al−N、Al−Q−N(ここでQはB、Si、O、Ti、V、Cr、Mn、Fe、Co、Niから選択される1種以上)、R−N(ここでRはTi、V、Cr、Zr、Nb、Mo、Hf、Ta、Wから選択される1種以上)の窒化物の層を形成してもよい。
【0225】
なおAl−Nの中でもAlN、Al−Q−Nの中でもAlQN、R−Nの中でもRNとなる組成式を満たすことが好ましい。
【0226】
かかる場合、上記の窒化物の窒素を除いた元素から成る膜を、スパッタ成膜した後、前記膜を窒化させることで窒化物から成るスペキュラー膜を形成することができる。
【0227】
あるいは、第2酸化層M’,M’の代わりに半金属ホイッスラー合金の層を形成してもよい。金属ホイッスラー合金には、NiMnSb、PtMnSbなどを選択できる。これら半金属ホイッスラー合金を、スパッタ成膜することが好ましい。
【0228】
なお上記した第2酸化層M’,M’の成膜の際におけるスパッタ条件は、例えば磁気検出素子を形成する基板の温度を20℃〜100℃とし、前記基板とターゲット間の距離を100〜300mmとし、Arガス圧を10-5〜10-3Torr(1.3×10-3〜0.13Pa)とする。
【0229】
次に図12に示されるように、絶縁酸化膜32,32上に、絶縁層33,33、バイアス下地層34,34及びハードバイアス層35,35をスパッタ成膜する。ハードバイアス層35,35は少なくともフリー磁性層28のトラック幅方向における側端面に対向するように形成される。
【0230】
バイアス下地層34,34、ハードバイアス層35,35のスパッタ時におけるスパッタ粒子の入射角度は、例えば、多層膜T1上面に対する法線方向から5°〜45°である。
【0231】
ハードバイアス層35,35からフリー磁性層28に縦バイアス磁界が供給されて、フリー磁性層28の磁化は適切にトラック幅方向(図示X方向)に単磁区化される。
【0232】
次にハードバイアス層35,35上に絶縁層36,36をスパッタ成膜する。絶縁層36,36の膜厚は50〜200Å程度であることが好ましい。これにより上部電極層30から流れるセンス電流がハードバイアス層35,35に分流するのを抑制することが可能である。
【0233】
また絶縁層36,36のスパッタ時におけるスパッタ粒子の入射角度は、例えば、多層膜T1上面に対する法線方向から5°〜60°である。
【0234】
絶縁層33,33、バイアス下地層34,34、ハードバイアス層35,35、及び絶縁層36,36の材料は、図1に示された磁気検出素子と同じなので説明を省略する。
【0235】
なお、絶縁層33,33、バイアス下地層34,34、ハードバイアス層35,35及び絶縁層36,36の材料の層が、レジスト層R1の上面や側端面に付着する。
【0236】
そしてレジスト層R1を除去する。図12に示すように、レジスト層R1の上面や側面には、絶縁層36,36の材料などの層が付着しているからレジスト層R1を溶剤に浸して除去することは難しい。
【0237】
このため、スクラブ洗浄によって、レジスト層R1の上面などに付着した絶縁層36,36の材料などの層を一部除去してレジスト層R1の一部の表面を露出させた後、レジスト層R1を溶剤に浸しレジスト層R1を溶かして除去する。
【0238】
なおスクラブ洗浄には、例えばドライアイスの粒子を、レジスト層R1の表面に付着した絶縁材料などの層に衝突させて、絶縁材料などの層の一部を除去する方法などがある。
【0239】
レジスト層R1の除去後、多層膜T1の上面と電気的に接続される上部電極層30及び上部磁極層31を積層すると図1に示される磁気検出素子を形成できる。
【0240】
なお、図10に示される工程と図11に示される工程を繰り返し行い、第2酸化層M’,M’を多重構造とすることにより、多層膜T1の側端面T1s,T1sとハードバイアス層35,35の電気的絶縁をより確実にとることができる。
【0241】
また、図10に示される工程において第2酸化層M’,M’の膜厚を調節するか、または、図10に示される工程と図11に示される工程を繰り返し行い、第2酸化層M’,M’を多重構造として全体の膜厚を調節することにより、多層膜T1の側端面T1s,T1sとハードバイアス層35,35の距離を調節し、フリー磁性層28に供給される縦バイアス磁界の大きさを調節することができる。多層膜T1の有効幅は、図9に示された工程において、第1酸化層F’,F’を形成した段階で決定されるので、第2酸化層M’,M’の膜厚を変化させても、前記多層膜の有効幅が変化することを防止できる。
【0242】
図2に示される磁気検出素子を形成するときには、図8に示される工程の後、第1酸化層F’,F’、絶縁層33,33、第2酸化層M’,M’の順序で形成すればよい。
【0243】
図3に示される磁気検出素子を形成するときには、図11に示される工程の後、第2酸化層M’,M’上に直接バイアス下地層34,34を積層すればよい。
【0244】
図4に示される磁気検出素子を形成するときには、図6に示される工程において多層膜T1の代わりに、下から第1フリー磁性層28c、非磁性中間層28b、第2フリー磁性層28a、非磁性材料層27、第2固定磁性層26c、非磁性中間層26b、第1固定磁性層26a、反強磁性層25、及び保護層29が下から順に積層された多層膜T2を形成すればよい。
【0245】
また、図6に示された工程において下部電極層22を、図12に示された工程の後において上部電極層30を、それぞれ磁性材料によって形成することにより、下部電極層22及び上部電極層30が、それぞれ、下部シールド層及び上部シールド層の機能を有するようにしてもよい。
【0246】
図13は、図1に示された磁気検出素子の絶縁酸化膜32の拡大部分断面図である。
【0247】
絶縁酸化膜32は、多層膜を側端面から所定の厚さ酸化して形成された層O、ミリング工程時に再付着した多層膜を構成する各層の材料が酸化された層G及び下部電極層22の材料が酸化されて形成された層Lからなる第1酸化層F’、並びに第2酸化層M’から構成されている。
【0248】
ただし、実際に形成された絶縁酸化膜32において、これらの各層が明確に分離した状態にあるとは限らない
図14及び図15は、本発明の磁気検出素子を備えた磁気ヘッドを示した図である。なお図14はスライダを記録媒体との対向面側から見た斜視図、図15は図14に示すD−D線から切断し矢印方向から見た縦断面図である。
【0249】
図14及び図15に示すように、前記磁気検出素子を具備してなるGMRヘッドh1は、インダクティブヘッドh2と共にスライダのトレーリング側端部50aに設けられて磁気ヘッドを構成し、ハードディスク等の磁気記録媒体の記録磁界を検出及び記録することが可能になっている。
【0250】
図14に示すように、スライダ50の記録媒体との対向面(ABS面)52には、レール52a、52a,52aが形成され、各レール同士間は、エアーグルーブ52b、52bを構成している。
【0251】
図15に示すように、GMRヘッドh1は、スライダ50の側端部50a上に形成された磁性合金からなる下部シールド層53と、下部シールド層53に積層された下部電極層54と、記録媒体との対向面52から露出する本発明の磁気検出素子55と、上部電極層56と、上部シールド層57とから構成されている。
【0252】
上部シールド層57は、インダクティブヘッドh2の下部コア層と兼用とされている。
【0253】
インダクティブヘッドh2は、下部コア層(上部シールド層)57と、下部コア層57に積層されたギャップ層58と、コイル59と、記録媒体との対向面でギャップ層58上に接合され、かつ基端部60aにて下部コア層57に接合される上部コア層60とから構成されている。
【0254】
また、上部コア層60上には、アルミナなどからなる保護層61が積層されている。
【0255】
なお、図14及び図15において、図示X方向がトラック幅方向、図示Y方向が記録媒体からの洩れ磁界方向(ハイト方向)、図示Z方向が記録媒体の移動方向である。
【0256】
また本発明では、多層膜をトンネル型磁気抵抗効果型素子と呼ばれる磁気検出素子とすることもできる。トンネル型磁気抵抗効果型素子では、非磁性材料層24がAl23やSiO2などの絶縁材料で形成される。
【0257】
なお本発明における磁気検出素子は、ハードディスク装置に搭載される磁気ヘッドにのみ使用可能なものではなく、テープ用磁気ヘッドや磁気センサなどにも使用可能なものである。
【0258】
以上本発明をその好ましい実施例に関して述べたが、本発明の範囲から逸脱しない範囲で様々な変更を加えることができる。
【0259】
なお、上述した実施例はあくまでも例示であり、本発明の特許請求の範囲を限定するものではない。
【0260】
【発明の効果】
以上詳細に説明した本発明の磁気検出素子では、前記多層膜のトラック幅方向における側端面に、前記縦バイアス層と前記多層膜を電気的に絶縁する絶縁酸化膜が設けられている。従って、前記多層膜の前記フリー磁性層のトラック幅方向における側端面に対向する一対の縦バイアス層を形成しても、前記多層膜の側端面の電気的絶縁を確実にとることができ、磁気検出素子の出力を容易に向上させることができる。
【0261】
前記絶縁酸化膜は、例えば、前記多層膜を構成する各層の材料が酸化されて形成された層、前記下部電極層の材料が酸化されて形成された層、金属材料又は半導体材料の酸化物層のうち1つまたは2つ以上を有するものとできる。
【0262】
前記絶縁酸化膜を形成する方法として、前記多層膜のトラック幅方向における側端面に付着した金属層(前記多層膜を構成する各層の材料や前記下部電極層の材料からなる層)や前記多層膜を、自然酸化或いはプラズマ酸化やラジカル酸化などの陽極酸化によって酸化させたり、前記多層膜の側端面上に、アルミニウム(Al)などの金属材料やケイ素(Si)などの半導体材料をスパッタ成膜した後、この金属材料や半導体材料を自然酸化或いはプラズマ酸化やラジカル酸化などの陽極酸化によって酸化させる方法を用いることができる。
【0263】
前記多層膜の側端面上にまず金属や半導体を付着させ、後からこの金属や半導体を酸化させる方法を用いると、前記絶縁酸化膜の膜厚を薄くして前記フリー磁性層に適切な大きさの縦バイアス磁界を供給することと、前記絶縁酸化膜のピンホールの数を少なくし前記多層膜の側端面の電気的絶縁を確実にとることを両立させることが容易になる。
【0264】
本発明では、前記絶縁酸化膜の膜厚を3nm〜20nmとしてもピンホールが少なく前記多層膜の側端面の電気的絶縁を確実にとることができる磁気検出素子を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の磁気検出素子の断面図、
【図2】本発明の第2の実施の形態の磁気検出素子の断面図、
【図3】本発明の第3の実施の形態の磁気検出素子の断面図、
【図4】本発明の第4の実施の形態の磁気検出素子の断面図、
【図5】スペキュラー膜による鏡面反射効果を説明するための様式説明図、
【図6】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図7】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図8】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図9】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図10】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図11】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図12】本発明の磁気検出素子の製造方法の実施の形態を示す一工程図、
【図13】図1に示された磁気検出素子の絶縁酸化膜32の拡大部分断面図、
【図14】本発明の磁気検出素子が取りつけられた磁気ヘッドの斜視図、
【図15】図15に示された磁気ヘッドの断面図、
【図16】従来の磁気検出素子を示す断面図、
【符号の説明】
21 下部シールド層
22 下部電極層
23 下地層
24 シード層
25 反強磁性層
26 固定磁性層
26a 第1固定磁性層
26b 非磁性中間層
26c 第2固定磁性層
27 非磁性材料層
28 フリー磁性層
28a 第2フリー磁性層
28b 非磁性中間層
28c 第1フリー磁性層
29 保護層
30 上部電極層
31 上部シールド層
32 絶縁酸化膜
33、36 絶縁層
34 バイアス下地層
35 ハードバイアス層
R1 レジスト層
F’ 第1酸化層
M’ 第2酸化層
T1、T2 多層膜
[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a CPP (current perpendicular to the plane) type magnetic detection element, and more particularly, to a magnetic detection element capable of preventing detection current from being shunted and improving magnetic field detection sensitivity and a method of manufacturing the same.
[0002]
[Prior art]
FIG. 16 is a cross-sectional view of a conventional magnetic detection element as seen from the side facing the recording medium.
[0003]
A lower shield layer 1 made of NiFe or the like and a lower electrode layer 2 made of Cu or the like are formed on a substrate (not shown). Further, on the lower electrode layer 2, a pinned magnetic layer 6 comprising an underlayer 3, a seed layer 4, an antiferromagnetic layer 5, a first pinned magnetic layer 6a, a nonmagnetic intermediate layer 6b, and a second pinned magnetic layer 6c, A nonmagnetic material layer 7, a second free magnetic layer 8a, a nonmagnetic intermediate layer 8b, a free magnetic layer 8 composed of a first free magnetic layer 8c, and a multilayer film T composed of a protective layer 9 are laminated.
[0004]
The first free magnetic layer 8c, the second free magnetic layer 8a, the first pinned magnetic layer 6a, and the second pinned magnetic layer 6c are formed of a magnetic material such as NiFe. The nonmagnetic material layer 7 is made of a conductive material such as Cu, and the nonmagnetic intermediate layers 6b and 8b are made of Ru or the like.
[0005]
The underlayer 3 and the protective layer 9 are made of Ta, the seed layer 4 is made of NiFe, and the antiferromagnetic layer 5 is made of PtMn.
[0006]
On the multilayer film T, an upper electrode layer 10 made of Cu or the like and an upper shield layer 11 made of NiFe or the like are laminated.
[0007]
Hard bias layers 13 and 13 made of a hard magnetic material such as CoPt are formed on both sides of the multilayer film T at positions facing the free magnetic layer 8. Insulating layers 12 and 12 and insulating layers 14 and 14 are formed on the upper layer and the lower layer of the hard bias layers 13 and 13, respectively, and between the lower electrode layer 2 and the upper electrode layer 10 and the side end faces Ts and Ts of the multilayer film T. Electrical insulation is taken.
[0008]
The magnetic detection element shown in FIG. 16 is a so-called CPP (current perpendicular to the plane) type magnetic detection element, in which a sense current flows in a direction perpendicular to each film surface of the multilayer film T.
[0009]
Before the magnetic field to be detected (external magnetic field) is applied to the magnetic detection element, the magnetization direction of the pinned magnetic layer 6 and the magnetization direction of the free magnetic layer 8 form a predetermined angle. When an external magnetic field is applied to the magnetic sensing element in this state, the magnetization direction of the free magnetic layer 8 rotates, the relative angle between the magnetization direction of the pinned magnetic layer 6 and the magnetization direction of the free magnetic layer 8 changes, and magnetic The DC resistance value and output voltage of the detection element change.
[0010]
The CPP type magnetic sensing element has a constant heat generation amount (P) as compared to a CIP (current in the plane) type magnetic sensing element in which a sense current flows substantially horizontally with respect to each film surface of the multilayer film T. When the area of each film surface of the multilayer film T is reduced, the resistance change ΔR and the output ΔV can be increased.
[0011]
In other words, as the element size is reduced, the output can be increased by using the CPP type rather than the CIP type, and the CPP type has a structure that can appropriately cope with the narrowing of the element size accompanying the future increase in recording density. Expected to be.
[0012]
[Problems to be solved by the invention]
Since the CPP type magnetic detection element has a structure in which a detection current flows in the direction perpendicular to the film surface of each layer constituting the multilayer film T, if the detection current leaks from the side end faces Ts and Ts of the multilayer film T and is divided, The current density decreases and it becomes difficult to improve the output of the magnetic detection element. Therefore, the side end faces Ts and Ts of the multilayer film T are preferably electrically insulated.
[0013]
However, as shown in FIG. 16, in the magnetic detection element that applies a longitudinal bias magnetic field to the free magnetic layer 8 by the pair of hard bias layers 13, 13, the insulating layer 12, of the side end faces Ts, Ts of the multilayer film T, 12 and the portions in contact with the insulating layers 14 and 14 are electrically insulated, but the detection current is shunted from the portions in contact with the hard bias layers 13 and 13 made of a conductive material, and the output is reduced. Resulting in.
[0014]
As described above, the output of the CPP type magnetic sensing element can be increased particularly when the film surface area of the element is reduced. However, as the film surface area of the element is reduced, the element relative to the film surface area of the element is increased. The ratio of the side surface area of the multilayer film T increases, and the influence of the detection current leaking from the side end faces Ts and Ts of the multilayer film T on the output of the magnetic detection element increases.
[0015]
The present invention is for solving the above-described conventional problems, and can reliably secure the electrical insulation of the side end surfaces of the multilayer film constituting the magnetic detection element, thereby easily improving the output of the magnetic detection element. It is an object of the present invention to provide a magnetic sensing element that can be used and a method for manufacturing the same.
[0044]
[Means for Solving the Problems]
  BookThe invention includes a pinned magnetic layer, a multilayer film having a nonmagnetic material layer and a free magnetic layer, a pair of longitudinal bias layers made of a hard magnetic material, facing a side end face in the track width direction of the free magnetic layer of the multilayer film, and An upper electrode layer electrically connected to the upper surface of the multilayer film and a lower electrode layer electrically connected to the lower surface of the multilayer film, and supplies current in a direction perpendicular to the film surface of each layer of the multilayer film In the magnetic sensing element
  An insulating oxide film for electrically insulating the vertical bias layer and the multilayer film is provided on a side end face in the track width direction of the multilayer film,
  Said insulating oxide filmA layer of NiMnSb or PtMnSb is formed onIt is characterized by that.
ThisIn this case, the lower electrode layer can be configured such that a portion connected to the lower surface of the multilayer film protrudes upward.
[0064]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
FIG. 1 is a partial cross-sectional view of the magnetic detection element according to the first embodiment of the present invention as viewed from the side facing the recording medium.
[0065]
The magnetic detection element shown in FIG. 1 is an MR head for reproducing a recording signal recorded on a recording medium. The surface facing the recording medium is, for example, perpendicular to the film surface of the thin film constituting the magnetic detection element and parallel to the magnetization direction when the external magnetic field (recording signal magnetic field) of the free magnetic layer of the magnetic detection element is not applied. It is a plane. In FIG. 1, the surface facing the recording medium is a plane parallel to the XZ plane.
[0066]
When the magnetic detection element is used for a floating magnetic head, the surface facing the recording medium is a so-called ABS surface.
[0067]
The magnetic detection element is, for example, alumina-titanium carbide (Al2OThree-TiC) formed on the trailing end face of the slider. The slider is bonded to an elastically deformable support member made of stainless steel or the like on the side opposite to the surface facing the recording medium to constitute a magnetic head device.
[0068]
The track width direction is the width direction of a region where the magnetization direction varies due to an external magnetic field, and is, for example, the magnetization direction when the external magnetic field of the free magnetic layer is not applied, that is, the X direction shown in the figure. The width dimension of the free magnetic layer in the track width direction defines the track width Tw of the magnetic detection element.
[0069]
The recording medium faces the surface of the magnetic detection element facing the recording medium, and moves in the Z direction shown in the figure. The direction of the leakage magnetic field from the recording medium is the Y direction shown in the figure.
[0070]
In FIG. 1, in order from the bottom, a synthetic ferri-pinned type pinned magnetism comprising a base layer 23, a seed layer 24, an antiferromagnetic layer 25, a first pinned magnetic layer 26a, a nonmagnetic intermediate layer 26b, and a second pinned magnetic layer 26c. A synthetic ferrifree free magnetic layer 28 comprising a layer 26, a nonmagnetic material layer 27, a second free magnetic layer 28a, a nonmagnetic intermediate layer 28b, and a first free magnetic layer 28c, and a protective layer 29 are laminated in that order from the bottom. A multilayer film T1 is formed.
[0071]
Under the multilayer film T1, a lower shield layer 21 and a lower electrode layer 22 are formed on a substrate (not shown) via a base layer (not shown) made of an insulating material such as alumina. The upper electrode layer 30 and the upper shield layer 31 are formed on the upper layer of the multilayer film T1.
[0072]
The lower electrode layer 22 is electrically connected to the lower surface of the multilayer film T1, and the upper electrode layer 30 is electrically connected to the upper surface of the multilayer film T1.
[0073]
Insulating oxide films 32 and 32 are laminated on the lower electrode layer 22 in both sides of the multilayer film T1 and on the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1. By the insulating oxide films 32 and 32, the side end faces T1s and T1s in the track width direction of the multilayer film T1, the lower electrode layer 22, the upper electrode layer 30, the hard bias layers 35 and 35, and the bias base layers 34 and 34 are electrically connected. Insulated.
[0074]
Insulating layers 33 and 33 are stacked on the insulating oxide films 32 and 32. On the insulating layers 33 and 33, hard bias layers 35 and 35, which are longitudinal bias layers, are laminated via bias base layers 34 and 34, respectively. Insulating layers 36 and 36 are stacked on the hard bias layers 35 and 35. The insulating layers 36 and 36 insulate the upper electrode layer 30 from the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1, the hard bias layers 35 and 35, and the bias base layers 34 and 34.
[0075]
As shown in FIG. 1, the multilayer film T <b> 1 composed of the base layer 23 to the protective layer 29 described above protects the side end faces T <b> 1 s and T <b> 1 s in the track width direction (X direction in the drawing) from the lower surface of the free magnetic layer 28. For example, the multilayer film T1 has a substantially trapezoidal shape as shown in FIG.
[0076]
The magnetic detection element shown in FIG. 1 is a so-called bottom-type spin-valve magnetic detection element. The magnetization direction of the fixed magnetic layer 26 is appropriately fixed in a direction parallel to the Y direction shown in the drawing, and the free magnetic layer 28 is used. Of the pinned magnetic layer 26 and the free magnetic layer 28 cross each other. The leakage magnetic field from the recording medium penetrates in the Y direction of the magnetic detection element, and the magnetization of the free magnetic layer 28 fluctuates with high sensitivity. Electricity is related to the fluctuation of the magnetization direction and the fixed magnetization direction of the fixed magnetic layer 26. The resistance changes, and a leakage magnetic field (recording signal magnetic field) from the recording medium is detected by a voltage change based on the change in the electrical resistance value.
[0077]
However, it is the relative angle between the magnetization direction of the second pinned magnetic layer 26c and the magnetization direction of the second free magnetic layer 28a that directly contributes to the change (output) in the electric resistance value. It is preferable that they are orthogonal in a state where the recording signal magnetic field is not applied.
[0078]
In this embodiment, for example, a sense current flows from the upper electrode layer 30 toward the lower electrode layer 22, so that the sense current flows through each layer in the multilayer film in a direction perpendicular to the film surface. A magnetic detection element in which a sense current flows through each layer in the multilayer film in a direction perpendicular to the film surface is called a CPP type magnetic detection element.
[0079]
In the present invention, the track width is preferably about 10 nm or more and 100 nm or less. More preferably, it is 60 nm or less. When the track width is narrowed to the above numerical range, the reproduction output can be further improved.
[0080]
Lower shield layer 21, lower electrode layer 22, base layer 23, seed layer 24, antiferromagnetic layer 25, pinned magnetic layer 26, nonmagnetic material layer 27, free magnetic layer 28, protective layer 29, upper electrode layer 30, upper The shield layer 31, the insulating oxide films 32 and 32, the insulating layers 33 and 33, the bias underlayers 34 and 34, the hard bias layers 35 and 35, and the insulating layers 36 and 36 are formed by a thin film forming process such as sputtering or vapor deposition. The
[0081]
The lower shield layer 21 and the upper shield layer 31 are formed using a magnetic material such as NiFe. The lower shield layer 21 and the upper shield layer 31 preferably have an easy magnetization axis in the track width direction (X direction in the drawing). The lower shield layer 21 and the upper shield layer 31 may be formed by an electrolytic plating method.
[0082]
The antiferromagnetic layer 25 is a PtMn alloy or an X—Mn alloy (where X is one or more elements of Pd, Ir, Rh, Ru, Os, Ni, and Fe), Alternatively, Pt—Mn—X ′ (where X ′ is one or more elements of Pd, Ir, Rh, Ru, Au, Ag, Os, Cr, Ni, Ar, Ne, Xe, Kr) ) Made of alloy.
[0083]
These alloys have an irregular face-centered cubic structure (fcc) immediately after film formation, but undergo structural transformation to a CuAuI-type ordered face-centered tetragonal structure (fct) by heat treatment.
[0084]
The film thickness of the antiferromagnetic layer 25 is 80 to 300 mm, for example 200 mm, near the center in the track width direction.
[0085]
Here, in the PtMn alloy and the alloy represented by the formula of X—Mn for forming the antiferromagnetic layer 25, it is preferable that Pt or X is in the range of 37 to 63 at%. Further, in the PtMn alloy and the alloy represented by the formula of X—Mn, it is more preferable that Pt or X is in a range of 47 to 57 at%. Unless otherwise specified, the upper and lower limits of the numerical range indicated by means the following.
[0086]
In the alloy represented by the formula of Pt—Mn—X ′, X ′ + Pt is preferably in the range of 37 to 63 at%. In the alloy represented by the formula of Pt—Mn—X ′, X ′ + Pt is more preferably in the range of 47 to 57 at%. Furthermore, in the alloy represented by the formula Pt—Mn—X ′, X ′ is preferably in the range of 0.2 to 10 at%. However, when X ′ is one or more elements of Pd, Ir, Rh, Ru, Os, Ni, and Fe, X ′ may be in the range of 0.2 to 40 at%. preferable.
[0087]
By using these alloys and heat-treating them, the antiferromagnetic layer 25 that generates a large exchange coupling magnetic field can be obtained. In particular, in the case of a PtMn alloy, an excellent antiferromagnetic layer 25 having an exchange coupling magnetic field of 48 kA / m or more, for example, exceeding 64 kA / m, and an extremely high blocking temperature of 380 ° C. at which the exchange coupling magnetic field is lost can be obtained. it can.
[0088]
The first pinned magnetic layer 26a and the second pinned magnetic layer 26c are formed of a ferromagnetic material, for example, NiFe alloy, Co, CoFeNi alloy, CoFe alloy, CoNi alloy, and the like. It is preferably formed of an alloy or Co. The first pinned magnetic layer 26a and the second pinned magnetic layer 26c are preferably formed of the same material.
[0089]
The nonmagnetic intermediate layer 26b is formed of a nonmagnetic material, and is formed of one kind of Ru, Rh, Ir, Cr, Re, or Cu or an alloy of two or more kinds thereof. In particular, it is preferably formed of Ru.
[0090]
The first pinned magnetic layer 26a and the second pinned magnetic layer 26c are each formed with a thickness of about 10 to 70 mm. The nonmagnetic intermediate layer is formed with a thickness of about 3 to 10 mm.
[0091]
The pinned magnetic layer 26 may be formed of a single layer structure using any one of the magnetic materials described above or a two layer structure including a layer made of any one of the magnetic materials described above and a diffusion prevention layer such as a Co layer.
[0092]
The nonmagnetic material layer 27 is a layer that prevents magnetic coupling between the pinned magnetic layer 26 and the free magnetic layer 28, and may be formed of a nonmagnetic material having conductivity such as Cu, Cr, Au, or Ag. preferable. In particular, it is preferably formed of Cu. The nonmagnetic material layer 27 is formed with a film thickness of about 18 to 30 mm, for example.
[0093]
The nonmagnetic material layer 27 is made of Al.2OThreeAnd SiO2However, in the case of a CPP type magnetic sensing element as in the present invention, a sense current flows in the non-magnetic material layer 27 in a direction perpendicular to the film surface. Therefore, when the nonmagnetic material layer 27 is an insulator, it is necessary to reduce the dielectric strength by forming the nonmagnetic material layer 27 as thin as 50 mm. Further, the nonmagnetic material layer 2727 is made of Al.2OThreeAnd TaO2When the nonmagnetic material layer 27 is formed of a material having a specular reflection effect such as the above, the nonmagnetic material layer 27 can also function as a specular film or a current limiting layer that reduces the effective element area.
[0094]
The first free magnetic layer 28c and the second free magnetic layer 28a are formed of a ferromagnetic material, for example, a NiFe alloy, Co, CoFeNi alloy, CoFe alloy, CoNi alloy, etc. It is preferably formed of an alloy, a CoFe alloy, or a CoFeNi alloy.
[0095]
The nonmagnetic intermediate layer 26b is formed of a nonmagnetic material, and is formed of one kind of Ru, Rh, Ir, Cr, Re, or Cu or an alloy of two or more kinds thereof. In particular, it is preferably formed of Ru.
[0096]
The first free magnetic layer 28c and the second free magnetic layer 28a are each formed with a thickness of about 10 to 70 mm. The nonmagnetic intermediate layer 26b is formed with a thickness of about 3 to 10 mm.
[0097]
The second free magnetic layer 28a is preferably formed in a two-layer structure, and a Co film is preferably formed on the side facing the nonmagnetic material layer 27. Thereby, diffusion of a metal element or the like at the interface with the nonmagnetic material layer 27 can be prevented, and the resistance change rate (ΔR / R) can be increased.
[0098]
The free magnetic layer 28 may be formed in a single layer structure using any of the magnetic materials described above.
[0099]
In the present embodiment, it is preferable that at least one of the first free magnetic layer 28c and the second free magnetic layer 28a is formed of a magnetic material having the following composition.
[0100]
The composition formula is CoFeNi, the composition ratio of Fe is 9 atomic% or more and 17 atomic% or less, the composition ratio of Ni is 0.5 atomic% or more and 10 atomic% or less, and the remaining composition is Co.
[0101]
Thereby, the exchange coupling magnetic field in the RKKY interaction generated between the first free magnetic layer 28c and the second free magnetic layer 28a can be strengthened. Specifically, the magnetic field when the antiparallel state collapses, that is, the spin flop magnetic field (Hsf) can be increased to about 293 (kA / m).
[0102]
Therefore, the magnetizations of the first free magnetic layer 28c and the second free magnetic layer 28a can be appropriately antiparallel.
[0103]
Both the first free magnetic layer 28c and the second free magnetic layer 28a are preferably formed of a CoFeNi alloy. Thereby, a high spin-flop magnetic field can be obtained more stably, and the first free magnetic layer 28c and the second free magnetic layer 28a can be appropriately magnetized in an antiparallel state.
[0104]
If the composition range is within the above range, the magnetostriction of the first free magnetic layer 28c and the second free magnetic layer 28a is −3 × 10.-6To 3 × 10-6The coercive force can be reduced to 790 (A / m) or less.
[0105]
Furthermore, the soft magnetic characteristics of the free magnetic layer 28 are improved, and the resistance change (ΔR) and the rate of change in resistance (ΔR / R) due to the diffusion of Ni between the free magnetic layer 28 and the nonmagnetic material layer 27 are suppressed. It is possible to plan appropriately.
[0106]
When a diffusion prevention layer made of Co or the like is provided between the second free magnetic layer 28a and the nonmagnetic material layer 27, and at least one of the first free magnetic layer 28c and the second free magnetic layer 28a is formed of a CoFeNi alloy, It is preferable that the Fe composition ratio of the CoFeNi alloy is 7 atomic% or more and 15 atomic% or less, the Ni composition ratio is 5 atomic% or more and 15 atomic% or less, and the remaining composition ratio is Co.
[0107]
In FIG. 1, a first pinned magnetic layer 26a and a second pinned magnetic layer 26c having different magnetic film thicknesses (Ms × t; product of saturation magnetization and film thickness) are laminated via a nonmagnetic intermediate layer 26b. These function as one pinned magnetic layer 26.
[0108]
The first pinned magnetic layer 26a is formed in contact with the antiferromagnetic layer 25, and is subjected to annealing in a magnetic field, so that an exchange difference due to exchange coupling occurs at the interface between the first pinned magnetic layer 26a and the antiferromagnetic layer 25. A isotropic magnetic field is generated, and the magnetization direction of the first pinned magnetic layer 26a is pinned in the Y direction in the figure. When the magnetization direction of the first pinned magnetic layer 26a is pinned in the Y direction in the figure, the magnetization direction of the second pinned magnetic layer 26c opposed via the nonmagnetic intermediate layer 26b is the same as the magnetization direction of the first pinned magnetic layer 26a. Fixed in anti-parallel state.
[0109]
Thus, when the magnetization directions of the first pinned magnetic layer 26a and the second pinned magnetic layer 26c are antiparallel, the first pinned magnetic layer 26a and the second pinned magnetic layer 26c are separated from each other. Since the other magnetization directions are fixed to each other, the magnetization direction of the fixed magnetic layer 26 can be strongly fixed in a fixed direction as a whole.
[0110]
The combined magnetic film thickness (Ms × t) obtained by adding the magnetic film thickness (Ms × t) of the first pinned magnetic layer 26a and the magnetic film thickness (Ms × t) of the second pinned magnetic layer 26c. Is the magnetization direction of the pinned magnetic layer 26.
[0111]
In FIG. 1, the first pinned magnetic layer 26a and the second pinned magnetic layer 26c are formed using the same material, and the respective film thicknesses are made different so that the respective magnetic film thicknesses (Ms × t) are set. It is different.
[0112]
Further, the demagnetizing field (dipole magnetic field) caused by the fixed magnetization of the first pinned magnetic layer 26a and the second pinned magnetic layer 26c cancels each other out of the static magnetic field coupling of the first pinned magnetic layer 26a and the second pinned magnetic layer 26c. Cancel by matching. Thereby, the contribution to the variable magnetization of the free magnetic layer 28 from the demagnetizing field (dipole magnetic field) due to the fixed magnetization of the fixed magnetic layer 26 can be reduced.
[0113]
Accordingly, it becomes easier to correct the direction of the variable magnetization of the free magnetic layer 28 to a desired direction, and it is possible to obtain a spin valve thin film magnetic element with small asymmetry and excellent symmetry.
[0114]
Here, the asymmetry indicates the degree of asymmetry of the reproduction output waveform. When the reproduction output waveform is given, the asymmetry becomes small if the waveform is symmetric. Therefore, the closer the asymmetry is to 0, the better the reproduced output waveform is.
[0115]
Asymmetry is zero when the direction of magnetization of the free magnetic layer 28 and the direction of fixed magnetization of the pinned magnetic layer 26 are orthogonal. If the asymmetry deviates greatly, the information cannot be read accurately from the media, which causes an error. For this reason, the smaller the asymmetry, the more reliable the reproduction signal processing, and the better the spin valve thin film magnetic element.
[0116]
Further, the demagnetizing field (dipole magnetic field) Hd due to the fixed magnetization of the fixed magnetic layer 26 has a non-uniform distribution in which the end of the free magnetic layer 28 is large and small at the center in the element height direction. Although the formation of a single magnetic domain in the layer 28 may be hindered, the dipole magnetic field Hd can be reduced by forming the pinned magnetic layer 26 with the above-described laminated structure, thereby creating a domain wall in the free magnetic layer 28. Thus, it is possible to prevent the occurrence of non-uniform magnetization and Barkhausen noise.
[0117]
In the free magnetic layer 28, the second free magnetic layer 28a and the first free magnetic layer 28c having different magnetic film thicknesses (Ms × t; product of saturation magnetization and film thickness) are arranged via the nonmagnetic intermediate layer 26b. The second free magnetic layer 28a and the first free magnetic layer 28c are in a ferrimagnetic state in which the magnetization directions are antiparallel. At this time, the magnetic film thickness (Ms × t) is larger, for example, the magnetization direction of the second free magnetic layer 28a is directed to the direction of the magnetic field generated from the hard bias layer (X direction in the drawing), and the first free magnetic layer The magnetization direction of the layer 28c is in a state of being directed in the opposite direction by 180 degrees (the antiparallel direction to the X direction in the drawing).
[0118]
When the anti-parallel ferrimagnetic state in which the magnetization directions of the second free magnetic layer 28a and the first free magnetic layer 28c are 180 degrees different from each other is obtained, an effect equivalent to that of reducing the film thickness of the free magnetic layer is obtained. Effective magnetic moment is reduced, the magnetization of the free magnetic layer 28 is likely to fluctuate, and the magnetic field detection sensitivity of the magnetic detection element is improved.
[0119]
Direction of the combined magnetic film thickness (Ms × t) obtained by adding the magnetic film thickness (Ms × t) of the second free magnetic layer 28a and the magnetic film thickness (Ms × t) of the first free magnetic layer 28c. Is the magnetization direction of the free magnetic layer 28.
[0120]
However, only the magnetization direction of the second free magnetic layer 28a contributes to the output in relation to the magnetization direction of the pinned magnetic layer 26.
[0121]
The protective layer 29 is formed of at least one of Ta, Hf, Nb, Zr, Ti, Mo, and W. The thickness of the protective layer 29 is about 30 mm.
[0122]
The hard bias layers 35 and 35 are formed of a hard magnetic material such as a Co—Pt (cobalt-platinum) alloy or a Co—Cr—Pt (cobalt-chromium-platinum) alloy. The crystal structure of these alloys is generally set to a film composition in the vicinity of a composition that is a mixed phase of a face-centered cubic structure (fcc) and a dense hexagonal structure (hcp) in the bulk.
[0123]
The bias underlayers 34 and 34 are preferably formed of one or more nonmagnetic elements of Cr, Ti, W, Mo, V, Mn, Nb, and Ta. For example, Cr or W50Mo50Formed by. When the bias underlayers 34 and 34 are formed using Cr or the like whose crystal structure is a bcc (body-centered cubic lattice) structure, the coercive force and the squareness ratio of the hard bias layers 35 and 35 are increased, and the bias magnetic field can be increased.
[0124]
Here, since the lattice constants of the hcp structure of the CoPt alloy constituting the bias underlayers 34 and 34 and the hard bias layers 35 and 35 formed of the above metal are close to each other, the CoPt alloy forms an fcc structure. It is difficult to form with an hcp structure. At this time, the c-axis of the hcp structure is preferentially oriented within the boundary surface between the CoPt alloy and the bias underlayers 34 and 34. Since the hcp structure produces a larger magnetic anisotropy in the c-axis direction than the fcc structure, the coercive force Hc when a magnetic field is applied to the hard bias layers 35 and 35 is increased. Further, since the c axis of hcp is preferentially oriented in the boundary surface between the CoPt alloy and the bias underlayers 34, 34, the residual magnetization increases, and the squareness ratio S obtained by the residual magnetization / saturation magnetization increases. . As a result, the characteristics of the hard bias layers 35 and 35 can be improved, and the bias magnetic field generated from the hard bias layers 35 and 35 can be increased.
[0125]
The lower electrode layer 22 and the upper electrode layer 30 can be formed using a conductive material such as W, Ta, Cr, Cu, Rh, Ir, Ru, or Au.
[0126]
When Ta is used as the lower electrode layer 22 and the upper electrode layer 30, a crystal of Ta laminated on the upper layer of Cr by providing an intermediate layer of Cr under the lower electrode layer 22 and the upper electrode layer 30. It becomes easy to make the structure a low resistance body-centered cubic structure.
[0127]
Further, when Cr is used as the lower electrode layer 22 and the upper electrode layer 30, by providing an intermediate layer of Ta under the lower electrode layer 22 and the upper electrode layer 30, Cr grows epitaxially, resulting in a resistance value. Can be reduced.
[0128]
The insulating layers 33 and 33 and the insulating layers 36 and 36 are made of alumina (Al2OThree) And silicon oxide (SiO2And an insulating material such as Al—Si—O.
[0129]
The underlayer 23 is preferably formed of at least one of Ta, Hf, Nb, Zr, Ti, Mo, and W. The underlayer 23 is formed with a film thickness of about 50 mm or less. The underlayer 23 may not be formed.
[0130]
The seed layer 24 is formed using NiFe, NiFeCr, Cr, or the like.
Since the magnetic detection element shown in FIG. 1 is a CPP type in which a sense current flows in a direction perpendicular to the film surface of each layer, it is necessary for the sense current to appropriately flow through the seed layer 24 as well. Therefore, the seed layer 24 is preferably not a material having a high specific resistance. Therefore, in the CPP type, the seed layer 24 is preferably formed of a material having a low specific resistance such as a NiFe alloy or Cr. The seed layer 24 may not be formed.
[0131]
In the magnetic sensing element of the present embodiment shown in FIG. 1, the hard bias layers 35 and 35, which are longitudinal bias layers, and the multilayer film T1 are formed on the side end faces T1s and T1s in the track width direction (X direction in the drawing) of the multilayer film T1. Insulating oxide films 32 and 32 are provided for electrically insulating the two.
[0132]
Therefore, the side end faces T1s, T1s of the multilayer film T1 can be reliably insulated, and the detection current is shunted from the portion of the multilayer film T1 that is in contact with the hard bias layers 35, 35 made of a conductive material. This can be prevented and the output of the magnetic detection element can be easily improved.
[0133]
The insulating oxide films 32 and 32 are, for example, a layer formed by oxidizing the material of each layer constituting the multilayer film T1, a layer formed by oxidizing the material of the lower electrode layer, an oxide of a metal material or a semiconductor material It can have one or more of the layers.
[0134]
In FIG. 1, the layer formed by oxidizing the multilayer film T1 from the side end faces T1s and T1s to a predetermined thickness, and the material of each layer constituting the multilayer film T1 reattached during the milling of the multilayer film T1 are oxidized. The layer formed by oxidizing the material of the lower electrode layer and the layer formed by oxidizing the material of the lower electrode layer is used as first oxide layers F ′ and F ′, and aluminum or silicon is formed on the first oxide layers F ′ and F ′. Second oxide layers M ′ and M ′ that are oxide layers of the above metal material or semiconductor material are stacked.
[0135]
Note that the thickness dimension (the predetermined thickness) from the side end faces T1s and T1s of the layer oxidized from the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 by a predetermined thickness is 1 nm to 5 nm.
[0136]
In FIG. 1, a part of both side regions of the multilayer film T1 of the lower electrode layer 22 is cut off, and a portion connected to the lower surface of the multilayer film T1 of the lower electrode layer 22 has a shape protruding upward in the drawing. ing. If the lower electrode layer 22 has a convex shape, it becomes easy to reliably prevent an electrical short circuit between the lower electrode layer 22 and the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1, and the track width of the magnetic detection element is made uniform. It becomes easy.
[0137]
However, the both side regions of the multilayer film T1 of the lower electrode layer 22 may not be cut, and the lower electrode layer 22 may have a flat upper surface indicated by dotted lines A and A. Further, the surface of the portion of the lower electrode layer 22 extending to both sides of the multilayer film T1 may be oxidized to become a part of the first oxide layers F ′ and F ′.
[0138]
The magnetic detection element shown in FIG. 1 supplies a longitudinal bias magnetic field to the free magnetic layer 28 by a pair of hard bias layers 35 and 35. Therefore, if the insulating oxide films 32 and 32 formed on the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 are too thick, it is impossible to supply a longitudinal bias magnetic field having an appropriate magnitude to the free magnetic layer 28. On the other hand, if the insulating oxide films 32 and 32 are too thin, the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 cannot be reliably insulated from each other, and a shunt to the hard bias layers 35 and 35 occurs. The output of the magnetic detection element decreases. Therefore, it is necessary to reduce both the thickness of the insulating oxide films 32 and 32 and to ensure electrical insulation of the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1.
[0139]
In the present invention, the insulating oxide films 32 can be formed by sputtering using a target made of a metal oxide such as alumina or a semiconductor oxide such as silicon oxide. However, if a metal oxide such as alumina or a semiconductor oxide such as silicon oxide is used as a target, pinholes are likely to be generated in the formed insulating oxide films 32 and 32, and the electrical properties of the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 are increased. It is difficult to ensure the proper insulation.
[0140]
Therefore, in FIG. 1, the insulating oxide films 32 and 32 are made of metal layers (the material of each layer constituting the multilayer film T1 and the material of the lower electrode layer 22) attached to the side end faces T1s and T1s in the track width direction of the multilayer film T1. First oxide layers F ′ and F ′ formed by oxidizing the layer) and the multilayer film T1 from the side end faces T1s and T1s to a predetermined thickness by natural oxidation or anodic oxidation such as plasma oxidation or radical oxidation, and the first oxidation After a metal material such as aluminum (Al) or a semiconductor material such as silicon (Si) is formed on the layers F ′ and F ′ by sputtering, the metal material or semiconductor material is subjected to natural oxidation, plasma oxidation, radical oxidation, or the like. It is shown as having a multilayer structure of second oxide layers M ′ and M ′ formed by oxidation by anodization.
[0141]
When using a method in which a metal or semiconductor is first deposited on the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 and the metal or semiconductor is oxidized later, the insulating oxide films 32 and 32 having a small film thickness and a small number of pinholes are used. It becomes easy to form.
[0142]
According to the present invention, a magnetic detection element can be provided in which even if the thickness t of the insulating oxide films 32 and 32 is 3 nm to 20 nm, the pinholes are few and the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 can be reliably electrically insulated. .
[0143]
When the distance between the side end faces T1s, T1s of the multilayer film T1 and the hard bias layers 35, 35 is adjusted to adjust the magnitude of the longitudinal bias magnetic field supplied to the free magnetic layer 28, the second oxide layers M ′, M The film thickness t of the insulating oxide films 32 and 32 may be adjusted by adjusting the thickness of '.
[0144]
The insulating oxide films 32 and 32 are preferably specular films (specular reflection films) that perform mirror reflection while maintaining the spin state (energy, quantum state, etc.) of conduction electrons flowing in the multilayer film T1.
[0145]
As described above, the insulating oxide films 32 and 32 are, for example, a layer formed by oxidizing the material of each layer constituting the multilayer film T1, a layer formed by oxidizing the material of the lower electrode layer, a metal material, It has one or two or more of oxide layers of a semiconductor material. By making these layers into appropriate oxide films, the insulating oxide films 32 and 32 can function as specular films.
[0146]
In particular, it is preferable to form the second oxide layers M ′ and M ′ as layers made of the following materials because the insulating oxide films 32 and 32 can surely function as specular films.
[0147]
Fe-O, Ni-O, Co-O, Co-Fe-O, Co-Fe-Ni-O, Al-O, Al-Q-O (where Q is B, Si, N, Ti, V, 1 or more selected from Cr, Mn, Fe, Co, Ni), R—O (where R is selected from Cu, Ti, V, Cr, Zr, Nb, Mo, Hf, Ta, W) Any one or two or more oxides.
[0148]
For example, among Fe-O, α-Fe2OThreeAmong Ni-O, NiO, Al-Q-O, AlQO, and R-O preferably satisfy the composition formula of RO.
[0149]
These oxides are formed by sputtering using a target of a constituent element or by preparing a target of a constituent element other than oxygen and sputtering a film of a constituent element other than oxygen on the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1. After the film is formed, the film made of a constituent element other than oxygen is oxidized by natural oxidation, plasma oxidation, radical oxidation, or the like. Note that a specular film having a specular reflection effect cannot be formed properly unless all the films of constituent elements other than oxygen are oxidized.
[0150]
Further, the specular film formed by the above oxidation method should have a stoichiometric composition, but can exhibit a specular reflection effect even if it does not.
[0151]
As described above, in the specular film having sufficient insulation even if it does not have a stoichiometric composition, a potential barrier is appropriately formed in the vicinity of the interface with the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1, and specular reflection is performed. It becomes possible to demonstrate the effect.
[0152]
For example, when a specular film is formed of Al-O, Al2OThreeWhen the specular film is sputter-deposited with the target formed in (1), a specular film having a stoichiometric composition cannot be formed. However, if the amount of oxygen is extremely small, the specular film and the side end faces T1s, An appropriate potential barrier can be formed in the vicinity of the interface with T1s, and the specular reflection effect can be effectively exhibited.
[0153]
Alternatively, instead of the second oxide layers M ′ and M ′, Al—N, Al—QN (where Q is selected from B, Si, O, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni). A layer made of a nitride of RN (wherein R is one or more selected from Ti, V, Cr, Zr, Nb, Mo, Hf, Ta, and W). Good.
[0154]
Note that it is preferable to satisfy the composition formula of RN among AlQN and RN among AlN and Al-QN among Al-N.
[0155]
These nitrides are formed by sputtering using a target of a constituent element or by preparing a target of a constituent element other than nitrogen, for example, and forming a film of a constituent element other than nitrogen on the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1. After the sputter film formation, a film made of a constituent element other than nitrogen is nitrided.
[0156]
Alternatively, instead of the second oxide layers M ′ and M ′, a layer made of a semimetal Heusler alloy may be formed. NiMnSb, PtMnSb, or the like can be selected as the semimetal Whistler metal.
[0157]
When the insulating oxide layers 32 and 32 function as specular films, the mean free path λ of conduction electrons having up-spin electrons even when the element area is reduced.+Can be extended compared to the conventional case, and thus the mean free path λ of conduction electrons having up-spin electrons can be increased.+And the mean free path λ of conduction electrons with down-spin electrons-Therefore, it is possible to improve the reproduction output and the resistance change rate (ΔR / R).
[0158]
In particular, when the track width dimension of the magnetic detection element is reduced, the number of times that conduction electrons having up-spin electrons reach the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 increases, and the specular reflection effect of the specular film is effectively functioned. And the resistance change rate can be improved.
[0159]
In FIG. 1, the insulating oxide films 32 and 32 are shown as having a two-layer structure of the first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxide layers M ′ and M ′. The films 32 and 32 may be composed only of the first oxide layers F ′ and F ′. Even when the insulating oxide films 32 and 32 are composed only of the first oxide layers F ′ and F ′, it is desirable that the first oxide layers F ′ and F ′ function as specular films.
[0160]
Alternatively, the insulating oxide films 32 and 32 may be composed only of the second oxide layers M ′ and M ′. Even when the insulating oxide films 32 and 32 are composed only of the second oxide layers M ′ and M ′, it is desirable that the second oxide layers M ′ and M ′ function as specular films.
[0161]
The first oxide layers F ′ and F ′ are layers formed by oxidizing the multilayer film T1 from the side end faces T1s and T1s to a predetermined thickness, and the material of each layer constituting the multilayer film T1 is milling of the multilayer film T1. It may consist of only one layer among the layer formed by oxidizing the material reattached at the time of formation and the material of the lower electrode layer, or from two or more layers It may be.
[0162]
The hard bias layers 35, 35 need only have the same magnetization direction of the second free magnetic layer 28 a and the first free magnetic layer 28 c constituting the free magnetic layer 28. In FIG. 1, the hard bias layers 35 and 35 are formed so as to face only the side end face of the second free magnetic layer 28a, and only the magnetization direction of the second free magnetic layer 28a is aligned.
When the magnetization direction of the second free magnetic layer 28a is aligned in a certain direction, the first free magnetic layer 28c is in a ferrimagnetic state in which the magnetization direction is antiparallel, and the magnetization direction of the entire free magnetic layer is aligned in a certain direction.
[0163]
Although the magnetization direction of the first free magnetic layer 28c and the longitudinal bias magnetic field direction from the hard bias layers 35 and 35 are different from each other by 180 °, in this embodiment, the longitudinal bias magnetic field from the hard bias layers 35 and 35 is directly applied. Since the degree of influence on the first free magnetic layer 28c is small, it is possible to suppress disturbance in the magnetization direction of the first free magnetic layer 28c.
[0164]
In the magnetic detection element shown in FIG. 1, insulating layers 33 and 33 are formed between the hard bias layers 35 and 35 and the lower electrode layer 22. When the insulating layers 33 and 33 are formed, it becomes easy to suppress the leakage current from the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T, and at the same time, the hard bias layers 35 and 35 can be formed as flat layers. And a stable longitudinal bias magnetic field can be generated.
[0165]
Further, the lower electrode layer 22 and the upper electrode layer 30 may be formed of a magnetic material, and the lower electrode layer 22 and the upper electrode layer 30 may function as a lower shield layer and an upper shield layer, respectively.
[0166]
FIG. 2 is a partial sectional view of the magnetic detection element according to the second embodiment of the present invention as viewed from the side facing the recording medium.
[0167]
In the magnetic detection element shown in FIG. 2, only the first oxide layers F ′ and F ′ are formed on the entire side end surfaces T1s and T1s of the multilayer film T1, and the second oxide layers M ′ and M ′ are multilayer films. As shown in FIG. 1, the structure is such that insulation is provided between the multilayer film T1 and the hard bias layers 35 and 35 only at the portions of the side end faces T1s and T1s of the T1 facing the hard bias layers 35 and 35 and the upper and lower periphery thereof. It is different from the magnetic detection element.
[0168]
Also in the magnetic detection element of the present embodiment shown in FIG. 2, the insulating oxide films 32, 32 are first in the portion of the side end faces T1s, T1s of the multilayer film T1 facing the hard bias layers 35, 35 and the upper and lower periphery thereof. Since the oxide layer F ′, F ′ and the second oxide layer M ′, M ′ have a two-layer structure, electrical insulation between the side end faces T1s, T1s of the multilayer film T1 and the hard bias layers 35, 35 is ensured. It is possible to easily improve the output of the magnetic detection element by preventing the detection current from being shunted from the portion in contact with the hard bias layers 35, 35 made of a conductive material of the multilayer film T1. Become.
[0169]
In FIG. 2, the multilayer film T1 is formed by oxidizing a predetermined thickness from the side end faces T1s and T1s, and the material of each layer constituting the multilayer film T1 is reattached when the multilayer film T1 is milled. A layer formed by oxidation and a layer formed by oxidizing the material of the lower electrode layer are combined to form first oxide layers F ′ and F ′, and an oxide layer of a metal material or semiconductor material such as aluminum or silicon is formed. The second oxide layers M ′ and M ′ are used.
[0170]
Also in the magnetic detection element of FIG. 2, the first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxide layers M ′ and M ′ are formed by the same material and the same oxidation method as the magnetic detection element of FIG. 1. However, in the magnetic detection element of FIG. 1, the first oxide layers F ′ and F ′, the second oxide layers M ′ and M ′, and the insulating layers 33 and 33 are formed in this order, but the magnetic detection of FIG. In the element, the first oxide layers F ′ and F ′, the insulating layers 33 and 33, and the second oxide layers M ′ and M ′ are stacked in this order.
[0171]
In the magnetic sensing element of FIG. 2, the thickness of the first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxidation are the portions where the first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxide layers M ′ and M ′ overlap. When the sum t of the film thicknesses of the layers M ′ and M ′ is 3 nm to 20 nm, the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 can be surely electrically insulated and are sufficiently large for the free magnetic layer 28. Thus, it is possible to provide a magnetic detecting element capable of supplying a longitudinal bias magnetic field.
[0172]
FIG. 3 is a partial cross-sectional view of the magnetic detection element according to the third embodiment of the present invention as viewed from the side facing the recording medium.
[0173]
In the magnetic detection element shown in FIG. 3, the insulating layers 33 and 33 are not formed between the hard bias layers 35 and 35 and the lower electrode layer 22, and the first oxide layers F ′ and F ′ are formed on the lower electrode layer 22. 1 and the magnetic sensing element of FIG. 1 in that the bias underlayers 34 and 34 and the hard bias layers 35 and 35 are laminated only through the insulating oxide films 32 and 32 made of the second oxide layers M ′ and M ′. ing.
[0174]
In the magnetic sensing element of FIG. 3, the electrical insulation between the multilayer film T1 and the hard bias layers 35 and 35 and the electrical insulation between the lower electrode layer 22 and the hard bias layers 35 and 35 are the same as those of the insulating oxide films 32 and 32. Depends on the withstand voltage.
[0175]
Also in the magnetic detection element shown in FIG. 3, since the insulating oxide films 32 and 32 have a two-layer structure of the first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxide layers M ′ and M ′, the multilayer film T1. And electrical insulation between the hard bias layers 35 and 35 can be ensured.
[0176]
Also in FIG. 3, the multilayer film T1 is formed by oxidizing the side end faces T1s and T1s to a predetermined thickness, and the material of each layer constituting the multilayer film T1 is reattached when the multilayer film T1 is milled. A layer formed by oxidation and a layer formed by oxidizing the material of the lower electrode layer are combined to form first oxide layers F ′ and F ′, and an oxide layer of a metal material or semiconductor material such as aluminum or silicon is formed. The second oxide layers M ′ and M ′ are used.
[0177]
Further, after the second oxide layers M ′ and M ′ are formed by sputtering a metal material such as aluminum (Al) or a semiconductor material such as silicon (Si), the metal material or the semiconductor material is subjected to natural oxidation or plasma oxidation or radical. By forming the film by oxidation by anodic oxidation such as oxidation, it becomes easy to form the insulating oxide films 32 and 32 having a small film thickness and a small number of pinholes.
[0178]
In the present invention, even if the thickness t of the insulating oxide films 32 and 32 is 3 nm to 20 nm, the pinholes are few and the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 are securely insulated, and the free magnetic layer 28 is sufficiently large. Thus, it is possible to provide a magnetic detection element capable of supplying a vertical bias magnetic field.
[0179]
Further, when the insulating oxide films 32 and 32 are formed by sputtering using an oxide target such as alumina, the insulating oxide films 32 and 32 having a sufficient thickness are formed around the bent portions K and K near the lower surface of the multilayer film T1. Although it is difficult to deposit, the second oxide layers M ′ and M ′ are formed by natural oxidation or anodic oxidation of a metal material or a semiconductor material, thereby improving the dielectric strength around the bent portions K and K. Can be made.
[0180]
In FIG. 3, the surface of the portion of the lower electrode layer 22 extending to both sides of the multilayer film T1 is oxidized to become a part of the first oxide layers F ′ and F ′. The electrical insulation between the hard bias layers 35 is improved.
[0181]
FIG. 4 is a partial cross-sectional view of the magnetic detection element according to the fourth embodiment of the present invention as viewed from the side facing the recording medium.
[0182]
The magnetic detection element shown in FIG. 4 is a so-called top spin valve type magnetic detection in which a free magnetic layer 28, a nonmagnetic material layer 27, a pinned magnetic layer 26, and an antiferromagnetic layer 25 are laminated in order from the bottom. It differs from the magnetic sensing element shown in FIG. 3 in that it is an element.
[0183]
Also in the magnetic sensing element shown in FIG. 4, the electrical insulation between the multilayer film T2 and the hard bias layers 35 and 35 and the electrical insulation between the lower electrode layer 22 and the hard bias layers 35 and 35 are the insulating oxide film 32, 32 withstand voltage.
[0184]
Also in the magnetic detection element shown in FIG. 4, since the insulating oxide films 32 and 32 have a two-layer structure of the first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxide layers M ′ and M ′, the multilayer film T1. And electrical insulation between the hard bias layers 35 and 35 can be ensured.
[0185]
In FIG. 4 as well, the multilayer film T1 is formed by oxidizing a predetermined thickness from the side end faces T1s and T1s, and the material of each layer constituting the multilayer film T1 is reattached when the multilayer film T1 is milled. A layer formed by oxidation and a layer formed by oxidizing the material of the lower electrode layer are combined to form first oxide layers F ′ and F ′, and an oxide layer of a metal material or semiconductor material such as aluminum or silicon is formed. The second oxide layers M ′ and M ′ are used.
[0186]
Further, after the second oxide layers M ′ and M ′ are formed by sputtering a metal material such as aluminum (Al) or a semiconductor material such as silicon (Si), the metal material or the semiconductor material is subjected to natural oxidation or plasma oxidation or radical. By forming the film by oxidation by anodic oxidation such as oxidation, it becomes easy to form the insulating oxide films 32 and 32 having a small film thickness and a small number of pinholes.
[0187]
In the present invention, even if the thickness t of the insulating oxide films 32 and 32 is 3 nm to 20 nm, the pinholes are few and the side end faces T2s and T2s of the multilayer film T2 are securely insulated, and the free magnetic layer 28 is sufficiently large. Thus, it is possible to provide a magnetic detection element capable of supplying a vertical bias magnetic field.
[0188]
Further, when the insulating oxide films 32 and 32 are formed by sputtering using an oxide target such as alumina, the insulating oxide films 32 and 32 having a sufficient thickness are formed around the bent portions K2 and K2 near the lower surface of the multilayer film T2. Although it is difficult to deposit, the second oxide layers M ′ and M ′ are formed by natural oxidation or anodic oxidation of a metal material or a semiconductor material, thereby improving the dielectric strength around the bent portions K2 and K2. Can be made.
[0189]
Further, in the magnetic detection element shown in FIG. 4, the insulating oxide films 32 and 32, particularly the second oxide layers M ′ and M ′ are thinned, while the lower electrode layer 22 and the hard bias layers 35 and 35 are thinned. Since electrical insulation can be achieved, even when the free magnetic layer 28 is laminated below the multilayer film T2, the hard bias layers 35 and 35 can be reliably opposed to the free magnetic layer 28.
[0190]
A method for manufacturing the magnetic sensing element shown in FIG. 1 will be described.
First, as shown in FIG. 6, a lower shield layer 21, a lower electrode layer 22, an underlayer 23, a seed layer 24, an anti-reflection layer are formed on a substrate (not shown) via an underlayer (not shown) such as alumina. Ferromagnetic layer 25, first pinned magnetic layer 26a, nonmagnetic intermediate layer 26b, second pinned magnetic layer 26c, nonmagnetic material layer 27, second free magnetic layer 28a, nonmagnetic intermediate layer 28b, first free magnetic layer 28c And a multilayer film T1 made of the protective layer 29 is formed. Since the material of each layer is the same as the material of the layer which attached | subjected the same code | symbol of the magnetic detection element shown by FIG. 1, description is abbreviate | omitted.
[0191]
Each layer is formed by sputtering, for example. In the sputtering film formation, for example, a DC magnetron sputtering method, an RF magnetron sputtering method, an ion beam sputtering method, a long throw sputtering method, a collimation sputtering method, or a sputtering method combining them can be used.
[0192]
Further, a resist layer R 1 is formed on the protective layer 29. The width of the resist layer R1 in the track width direction (X direction in the drawing) is preferably formed to be approximately the same as the track width determined by the width of the upper surface of the free magnetic layer.
[0193]
In the step shown in FIG. 7, the region where the surface is exposed without being covered with the resist layer R1 of the multilayer film T1 composed of the layers from the protective layer 29 to the base layer 23 and a part of the lower electrode layer 22 are formed. Remove by ion milling. The incident angle θ1 of the ion milling in the step shown in FIG. 7 with respect to the normal direction of the upper surface T1a of the multilayer film T1 (the normal direction of the surface of the substrate) is 5 ° to 20 °.
[0194]
In the ion milling process shown in FIG. 7, the metal layers H and H adhere to the side end faces T1s and T1s in the track width direction of the multilayer film T1 remaining without being removed by being covered with the resist layer R1. The metal layers H and H are obtained by reattaching the material of the multilayer film T1 and the material of the lower electrode layer 22 during the milling process.
[0195]
The thicknesses of the metal layers H and H become thicker toward the upper layer of the multilayer film T1. In the present invention, the thickness of the metal layers H, H at the top of the multilayer film T1 is 5 nm to 10 nm.
[0196]
Next, as shown in FIG. 8, ion milling is performed at an incident angle inclined by an angle θ2 from the normal direction to the surface of the multilayer film T1 (the normal direction of the surface of the substrate).
[0197]
The angle θ2 is larger than the aforementioned angle θ1, and is, for example, 45 ° to 70 °.
When ion milling at an angle θ2 is performed, as shown in FIG. 8, the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 are side-milled, and the metal layers H and H can be cut and thinned.
[0198]
If ion milling is performed until the metal layers H and H are completely removed, milling particles are driven into the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1, and the magnetic field detection characteristics of the magnetic detection element are degraded. Therefore, in the step shown in FIG. 8, it is preferable that the metal layers H and H are shaved so as to remain slightly so that the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 are not damaged.
[0199]
Next, the metal layers H and H remaining on the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 and the multilayer film T1 are oxidized to a first oxide layer F ′ and F ′ by oxidizing the side surfaces T1s and T1s to a predetermined thickness ( FIG. 9).
[0200]
The predetermined thickness when the multilayer film T1 is oxidized from the side end faces T1s and T1s is 1 nm to 5 nm.
[0201]
Further, the surface of the portion of the lower electrode layer 22 extending to both sides of the multilayer film T1 is also oxidized and becomes a part of the first oxide layers F ′ and F ′.
[0202]
For the oxidation, it is preferable to use at least one oxidation method of natural oxidation or anodic oxidation such as plasma oxidation or radical oxidation. However, other oxidation methods may be used. In particular, it is preferable to use radical oxidation because of a high oxidation rate and a low degree of film damage in the oxidation step.
[0203]
A portion having a predetermined thickness is oxidized from the metal layers H and H and the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1, thereby electrically insulating each layer constituting the multilayer film T1, particularly the free magnetic layer 28 and the fixed magnetic layer 26. Electrical insulation can be taken between them.
[0204]
The first oxide layers F 'and F' are components of the insulating oxide films 32 and 32 of the magnetic detection element shown in FIG. By uniformly oxidizing the metal layers H and H and the multilayer film T1 later, the uniform and high-density first oxide layers F ′ and F ′ can be formed, so that it is free from the hard bias layers 35 and 35 formed in the later steps. Even if the first oxide layers F ′ and F ′ are thinned so that a sufficient longitudinal bias magnetic field can be supplied to the magnetic layer 28, the pinholes in the first oxide layers F ′ and F ′ are reduced, and the multilayer film T1 is formed. The side end faces T1s and T1s can be reliably insulated from each other.
[0205]
When the metal layers H and H are thinned by the side milling process shown in FIG. 8, it is possible to completely oxidize the metals H and H in one oxidation process. However, when the metal layers H and H cannot be completely oxidized by a single oxidation step, the oxidation step may be repeated.
[0206]
Alternatively, the metal layers H and H may be oxidized immediately after the multilayer film T1 is cut and formed by omitting the thinning process of the metal layers H and H.
[0207]
Alternatively, the metal layers H and H may be completely removed, and the multilayer film T1 may be oxidized to a first thickness from the side end faces T1s and T1s to form the first oxide layers F ′ and F ′.
[0208]
After the formation of the first oxide layers F ′ and F ′, as shown in FIG. 10, a metal material such as aluminum or a semiconductor material such as silicon is formed on the first oxide layers F ′ and F ′ and the lower electrode layer 22. Then, film formation is performed by a sputtering film formation method in which the incident direction of sputtered particles is isotropic, and metal material layers (or semiconductor material layers) M and M are formed.
[0209]
Next, in the step shown in FIG. 11, the metal material layers (or semiconductor material layers) M and M are oxidized into second oxide layers M ′ and M ′. For the oxidation, it is preferable to use at least one oxidation method of natural oxidation or anodic oxidation such as plasma oxidation or radical oxidation. In particular, it is preferable to use radical oxidation because of a high oxidation rate and a low degree of film damage in the oxidation step. However, other oxidation methods may be used.
[0210]
A metal material or a semiconductor material can be easily adhered densely on the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1. In addition, even if some pinholes are formed when the metal material or the semiconductor material is deposited on the side end faces T1s, T1s of the multilayer film T1, the metal material or the semiconductor material is oxidized at the stage. Therefore, the formed second oxide layers M ′ and M ′ have fewer pinholes, and the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 can be reliably insulated from each other. .
[0211]
In the present invention, the insulating oxide films 32 and 32 having a multilayer structure including the first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxide layers M ′ and M ′ are formed on the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1. Therefore, the side end faces T1s, T1s of the multilayer film T1 and the pair of vertical bias layers can be more reliably electrically insulated.
[0212]
Moreover, even if the thicknesses of the first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxide layers M ′ and M ′ are reduced, a layer having a required withstand voltage can be obtained.
[0213]
Therefore, the thickness of the insulating oxide films 32 and 32 composed of the first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxide layers M ′ and M ′ can be reduced, and the hard bias layers 35 and 35 formed in the subsequent process can be reduced. A sufficient longitudinal bias magnetic field can be supplied to the free magnetic layer 28. Specifically, the thickness of the insulating oxide film can be 3 nm to 20 nm.
[0214]
In forming the second oxide layers M ′ and M ′, in the present invention, the second oxide layers M ′ and M ′ can be formed by sputtering using a target made of a metal oxide such as alumina. Alternatively, the film can be formed by sputtering using a target made of an oxide of a semiconductor material such as silicon oxide.
[0215]
However, if a metal oxide such as alumina or a semiconductor oxide such as silicon oxide is used as a target, the film thickness and composition of the formed second oxide layers M ′ and M ′ tend to be non-uniform, and pinholes and the like are generated. It becomes easy to occur and a part with a weak insulating characteristic is easy to be made locally. Then, current concentrates on a portion having weak insulation characteristics, leakage current is generated, or dielectric breakdown occurs, and the side end face of the multilayer film and the pair of vertical bias layers are completely conducted to output the magnetic detection element. May be significantly reduced. Therefore, as described above, it is preferable to form the metal material layers (or semiconductor material layers) M and M first and then oxidize them to form the second oxide layers M ′ and M ′.
[0216]
FIG. 11 illustrates a state where the first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxide layers M ′ and M ′ constituting the insulating oxide films 32 and 32 are separated. However, in the actually formed insulating oxide films 32 and 32, the first oxide layers F 'and F' and the second oxide layers M 'and M' are not necessarily in a clearly separated state.
[0217]
The first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxide layers M ′ and M ′ are made appropriate oxide films, so that the spin states of conduction electrons flowing in the insulating film 32 and 32 in the multilayer film T1. It is preferable to use a specular film (specular reflection film) that mirror-reflects while maintaining (energy, quantum state, etc.).
[0218]
In the present embodiment, the first oxide layers F ′ and F ′ and the second oxide layers M ′ and M ′ constituting the insulating oxide films 32 and 32 are formed by natural oxidation or anodic oxidation (plasma oxidation) of a metal material or a semiconductor material. Therefore, it can be formed as a uniform and high-density oxide film. Therefore, the mirror reflection effect of the insulating oxide films 32 and 32 can be increased to increase the output of the magnetic detection element.
[0219]
In particular, it is preferable to form the second oxide layers M ′ and M ′ as layers made of the following materials because the insulating oxide films 32 and 32 can easily function as specular films.
[0220]
Fe-O, Ni-O, Co-O, Co-Fe-O, Co-Fe-Ni-O, Al-O, Al-Q-O (where Q is B, Si, N, Ti, V, 1 or more selected from Cr, Mn, Fe, Co, Ni), R—O (where R is selected from Cu, Ti, V, Cr, Zr, Nb, Mo, Hf, Ta, W) Any one kind or two or more kinds of oxides.
[0221]
For example, among Fe-O, α-Fe2OThreeAmong Ni-O, NiO, Al-Q-O, AlQO, and R-O preferably satisfy the composition formula of RO.
[0222]
When forming the second oxide layers M ′ and M ′ described above, an oxide film may be directly deposited using an oxide target. First, a target made of an element excluding oxygen of each of the above compounds is prepared, Using this target, a film made of an element excluding oxygen of each compound is formed on the side end face of the multilayer film. Specifically, for example, when the oxide layers O and O are formed of TaO, a Ta film is first formed over the side end face of the multilayer film. Next, the Ta film is oxidized. It is preferable to use at least one oxidation method of natural oxidation, plasma oxidation, and radical oxidation for the oxidation. Other oxidation methods may be used.
[0223]
In addition, the oxide layer (specular film) formed by oxidizing all the films composed of elements excluding oxygen in the above-described oxidation step is close to the stoichiometric composition, and between adjacent multilayer films, It is possible to form a sufficient potential barrier. As a result, a sufficient specular reflection effect can be obtained.
[0224]
Further, instead of the above-described second oxide layers M ′ and M ′, Al—N, Al—QN (where Q is B, Si, O, Ti, V, Cr, Mn, Fe, Co, Ni). One or more selected), RN (where R is one or more selected from Ti, V, Cr, Zr, Nb, Mo, Hf, Ta, W) to form a nitride layer Also good.
[0225]
Note that it is preferable to satisfy the composition formula of RN among AlQN and RN among AlN and Al-QN among Al-N.
[0226]
In this case, a specular film made of nitride can be formed by sputtering the film made of the above-described nitride element except nitrogen and then nitriding the film.
[0227]
Alternatively, a semi-metal Whistler alloy layer may be formed instead of the second oxide layers M ′ and M ′. NiMnSb, PtMnSb, or the like can be selected as the metal Heusler alloy. It is preferable to sputter deposit these half-metal Heusler alloys.
[0228]
The sputtering conditions for forming the second oxide layers M ′ and M ′ are, for example, that the temperature of the substrate on which the magnetic detection element is formed is 20 ° C. to 100 ° C., and the distance between the substrate and the target is 100 to 100 ° C. 300 mm, Ar gas pressure is 10-Five-10-3Torr (1.3 × 10-3To 0.13 Pa).
[0229]
Next, as shown in FIG. 12, insulating layers 33 and 33, bias underlayers 34 and 34, and hard bias layers 35 and 35 are formed on the insulating oxide films 32 and 32 by sputtering. The hard bias layers 35 and 35 are formed so as to face at least the side end surfaces of the free magnetic layer 28 in the track width direction.
[0230]
The incident angle of the sputtered particles at the time of sputtering the bias underlayers 34 and 34 and the hard bias layers 35 and 35 is, for example, 5 ° to 45 ° from the normal direction with respect to the upper surface of the multilayer film T1.
[0231]
A longitudinal bias magnetic field is supplied from the hard bias layers 35, 35 to the free magnetic layer 28, and the magnetization of the free magnetic layer 28 is appropriately single-domained in the track width direction (X direction in the drawing).
[0232]
Next, insulating layers 36 are formed on the hard bias layers 35 by sputtering. The film thickness of the insulating layers 36 is preferably about 50 to 200 mm. Thereby, it is possible to suppress the sense current flowing from the upper electrode layer 30 from being shunted to the hard bias layers 35 and 35.
[0233]
Further, the incident angle of the sputtered particles when the insulating layers 36 and 36 are sputtered is, for example, 5 ° to 60 ° from the normal direction to the upper surface of the multilayer film T1.
[0234]
The materials of the insulating layers 33 and 33, the bias underlayers 34 and 34, the hard bias layers 35 and 35, and the insulating layers 36 and 36 are the same as those of the magnetic detection element shown in FIG.
[0235]
The insulating layers 33 and 33, the bias underlayers 34 and 34, the hard bias layers 35 and 35, and the insulating layers 36 and 36 are attached to the upper surface and side end surfaces of the resist layer R1.
[0236]
Then, the resist layer R1 is removed. As shown in FIG. 12, since the layers such as the materials of the insulating layers 36 and 36 are attached to the upper surface and side surfaces of the resist layer R1, it is difficult to remove the resist layer R1 by immersing it in a solvent.
[0237]
For this reason, after scrub cleaning, a part of the material of the insulating layers 36 and 36 adhering to the upper surface of the resist layer R1 is partially removed to expose a part of the surface of the resist layer R1, and then the resist layer R1 is removed. The resist layer R1 is dissolved and removed by dipping in a solvent.
[0238]
The scrub cleaning includes, for example, a method in which dry ice particles are made to collide with a layer such as an insulating material attached to the surface of the resist layer R1 to remove a part of the layer such as the insulating material.
[0239]
After removing the resist layer R1, the magnetic detection element shown in FIG. 1 can be formed by laminating the upper electrode layer 30 and the upper magnetic pole layer 31 electrically connected to the upper surface of the multilayer film T1.
[0240]
It should be noted that the steps shown in FIG. 10 and the step shown in FIG. 11 are repeated, and the second oxide layers M ′ and M ′ have a multi-layer structure, so that the side end faces T1s and T1s of the multilayer film T1 and the hard bias layer 35 are formed. , 35 can be more reliably insulated.
[0241]
Further, in the step shown in FIG. 10, the thicknesses of the second oxide layers M ′ and M ′ are adjusted, or the step shown in FIG. 10 and the step shown in FIG. The vertical bias supplied to the free magnetic layer 28 is adjusted by adjusting the distance between the side end faces T1s, T1s of the multilayer film T1 and the hard bias layers 35, 35 by adjusting the overall film thickness with ', M' as a multiple structure. The magnitude of the magnetic field can be adjusted. Since the effective width of the multilayer film T1 is determined at the stage where the first oxide layers F ′ and F ′ are formed in the process shown in FIG. 9, the film thicknesses of the second oxide layers M ′ and M ′ are changed. Even if it makes it, it can prevent that the effective width | variety of the said multilayer film changes.
[0242]
When forming the magnetic sensing element shown in FIG. 2, after the step shown in FIG. 8, the first oxide layers F ′ and F ′, the insulating layers 33 and 33, and the second oxide layers M ′ and M ′ are arranged in this order. What is necessary is just to form.
[0243]
When forming the magnetic detection element shown in FIG. 3, the bias underlayers 34 and 34 may be laminated directly on the second oxide layers M ′ and M ′ after the step shown in FIG. 11.
[0244]
When forming the magnetic sensing element shown in FIG. 4, instead of the multilayer film T1, the first free magnetic layer 28c, the nonmagnetic intermediate layer 28b, the second free magnetic layer 28a, non A multilayer film T2 in which the magnetic material layer 27, the second pinned magnetic layer 26c, the nonmagnetic intermediate layer 26b, the first pinned magnetic layer 26a, the antiferromagnetic layer 25, and the protective layer 29 are sequentially laminated from the bottom may be formed. .
[0245]
Further, the lower electrode layer 22 and the upper electrode layer 30 are formed by forming the lower electrode layer 22 in the step shown in FIG. 6 and the upper electrode layer 30 after the step shown in FIG. However, they may have functions of a lower shield layer and an upper shield layer, respectively.
[0246]
FIG. 13 is an enlarged partial sectional view of the insulating oxide film 32 of the magnetic sensing element shown in FIG.
[0247]
The insulating oxide film 32 includes a layer O formed by oxidizing the multilayer film to a predetermined thickness from the side end face, a layer G formed by oxidizing the material of each layer constituting the multilayer film reattached during the milling process, and the lower electrode layer 22. A first oxide layer F ′ made of a layer L formed by oxidizing the above material and a second oxide layer M ′.
[0248]
However, in the actually formed insulating oxide film 32, these layers are not always in a clearly separated state.
14 and 15 are views showing a magnetic head provided with the magnetic detection element of the present invention. 14 is a perspective view of the slider as viewed from the side facing the recording medium, and FIG. 15 is a longitudinal sectional view taken along the line DD shown in FIG.
[0249]
As shown in FIGS. 14 and 15, the GMR head h1 including the magnetic detection element is provided at the trailing side end 50a of the slider together with the inductive head h2 to form a magnetic head. The recording magnetic field of the recording medium can be detected and recorded.
[0250]
As shown in FIG. 14, rails 52a, 52a, 52a are formed on the surface (ABS surface) 52 of the slider 50 facing the recording medium, and air grooves 52b, 52b are formed between the rails. .
[0251]
As shown in FIG. 15, the GMR head h1 includes a lower shield layer 53 made of a magnetic alloy formed on the side end portion 50a of the slider 50, a lower electrode layer 54 laminated on the lower shield layer 53, and a recording medium. The magnetic sensing element 55 of the present invention exposed from the surface 52 facing the upper surface, the upper electrode layer 56, and the upper shield layer 57.
[0252]
The upper shield layer 57 is also used as the lower core layer of the inductive head h2.
[0253]
The inductive head h2 is bonded onto the gap layer 58 at a surface facing the lower core layer (upper shield layer) 57, the gap layer 58 laminated on the lower core layer 57, the coil 59, and the recording medium. The upper core layer 60 is joined to the lower core layer 57 at the end 60a.
[0254]
A protective layer 61 made of alumina or the like is laminated on the upper core layer 60.
[0255]
14 and 15, the X direction in the figure is the track width direction, the Y direction in the figure is the direction of the leakage magnetic field from the recording medium (height direction), and the Z direction in the figure is the moving direction of the recording medium.
[0256]
In the present invention, the multilayer film may be a magnetic detecting element called a tunnel type magnetoresistive element. In the tunnel magnetoresistive element, the nonmagnetic material layer 24 is made of Al.2OThreeAnd SiO2Formed of an insulating material.
[0257]
The magnetic detecting element in the present invention can be used not only for a magnetic head mounted on a hard disk device but also for a magnetic head for tape, a magnetic sensor, and the like.
[0258]
Although the present invention has been described with reference to preferred embodiments thereof, various modifications can be made without departing from the scope of the present invention.
[0259]
The above-described embodiments are merely examples, and do not limit the scope of the claims of the present invention.
[0260]
【The invention's effect】
In the magnetic sensing element of the present invention described in detail above, an insulating oxide film that electrically insulates the vertical bias layer and the multilayer film is provided on the side end face in the track width direction of the multilayer film. Therefore, even if a pair of longitudinal bias layers facing the side end face in the track width direction of the free magnetic layer of the multilayer film is formed, the side end face of the multilayer film can be reliably insulated electrically, The output of the detection element can be easily improved.
[0261]
The insulating oxide film is, for example, a layer formed by oxidizing the material of each layer constituting the multilayer film, a layer formed by oxidizing the material of the lower electrode layer, an oxide layer of a metal material or a semiconductor material One or more of them.
[0262]
As a method of forming the insulating oxide film, a metal layer (a layer made of a material of each layer constituting the multilayer film or a material of the lower electrode layer) attached to a side end surface in the track width direction of the multilayer film or the multilayer film Is oxidized by natural oxidation or anodic oxidation such as plasma oxidation or radical oxidation, or a metal material such as aluminum (Al) or a semiconductor material such as silicon (Si) is formed on the side surface of the multilayer film by sputtering. Thereafter, a method of oxidizing the metal material or semiconductor material by natural oxidation or anodic oxidation such as plasma oxidation or radical oxidation can be used.
[0263]
When a method of first attaching a metal or semiconductor to the side end face of the multilayer film and then oxidizing the metal or semiconductor later is used, the insulating oxide film is thinned to an appropriate size for the free magnetic layer. It is easy to achieve both the supply of the vertical bias magnetic field and the reduction of the number of pinholes in the insulating oxide film to ensure electrical insulation of the side end surfaces of the multilayer film.
[0264]
According to the present invention, a magnetic detecting element can be provided in which even if the thickness of the insulating oxide film is 3 nm to 20 nm, there are few pinholes and electrical insulation of the side end face of the multilayer film can be ensured.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a cross-sectional view of a magnetic detection element according to a first embodiment of the present invention;
FIG. 2 is a cross-sectional view of a magnetic detection element according to a second embodiment of the present invention;
FIG. 3 is a cross-sectional view of a magnetic detection element according to a third embodiment of the present invention;
FIG. 4 is a cross-sectional view of a magnetic detection element according to a fourth embodiment of the present invention;
FIG. 5 is a style explanatory diagram for explaining a specular reflection effect by a specular film;
FIG. 6 is a process diagram showing an embodiment of a method for producing a magnetic sensing element of the present invention;
FIG. 7 is a process diagram showing an embodiment of a method for producing a magnetic sensing element of the present invention;
FIG. 8 is a process diagram showing an embodiment of a method for producing a magnetic sensing element of the present invention;
FIG. 9 is a process diagram showing an embodiment of a method for producing a magnetic sensing element of the present invention;
FIG. 10 is a process diagram showing an embodiment of a method for producing a magnetic sensing element of the present invention;
FIG. 11 is a process diagram showing an embodiment of a method for producing a magnetic sensing element of the present invention;
FIG. 12 is a process diagram showing an embodiment of a method for producing a magnetic sensing element of the present invention;
13 is an enlarged partial cross-sectional view of an insulating oxide film 32 of the magnetic detection element shown in FIG.
FIG. 14 is a perspective view of a magnetic head to which the magnetic detection element of the present invention is attached;
15 is a cross-sectional view of the magnetic head shown in FIG.
FIG. 16 is a cross-sectional view showing a conventional magnetic detection element;
[Explanation of symbols]
21 Lower shield layer
22 Lower electrode layer
23 Underlayer
24 Seed layer
25 Antiferromagnetic layer
26 Fixed magnetic layer
26a First pinned magnetic layer
26b Nonmagnetic intermediate layer
26c second pinned magnetic layer
27 Non-magnetic material layer
28 Free magnetic layer
28a Second free magnetic layer
28b Nonmagnetic intermediate layer
28c First free magnetic layer
29 Protective layer
30 Upper electrode layer
31 Upper shield layer
32 Insulating oxide film
33, 36 Insulating layer
34 Bias underlayer
35 Hard bias layer
R1 resist layer
F ′ first oxide layer
M ′ second oxide layer
T1, T2 multilayer film

Claims (2)

固定磁性層、非磁性材料層及びフリー磁性層を有する多層膜、硬磁性材料からなり前記多層膜の前記フリー磁性層のトラック幅方向における側端面に対向する一対の縦バイアス層、並びに前記多層膜の上面に電気的に接続された上部電極層及び前記多層膜の下面に電気的に接続された下部電極層を有し、前記多層膜の各層の膜面と垂直方向に電流を供給する磁気検出素子において、
前記多層膜のトラック幅方向における側端面に、前記縦バイアス層と前記多層膜を電気的に絶縁する絶縁酸化膜が設けられており、
前記絶縁酸化膜の上にNiMnSbまたはPtMnSbから成る層が形成されることを特徴とする磁気検出素子。
A multilayer film having a fixed magnetic layer, a nonmagnetic material layer, and a free magnetic layer, a pair of longitudinal bias layers made of a hard magnetic material, facing a side end face in the track width direction of the free magnetic layer of the multilayer film, and the multilayer film A magnetic sensing device having an upper electrode layer electrically connected to the upper surface of the substrate and a lower electrode layer electrically connected to the lower surface of the multilayer film, and supplying a current in a direction perpendicular to the film surface of each layer of the multilayer film In the element
An insulating oxide film for electrically insulating the vertical bias layer and the multilayer film is provided on a side end face in the track width direction of the multilayer film,
A magnetic sensing element, wherein a layer made of NiMnSb or PtMnSb is formed on the insulating oxide film .
前記下部電極層は、前記多層膜の下面と接続されている部分が上方に突出している請求項記載の磁気検出素子。The lower electrode layer, the magnetic detection element according to claim 1, wherein the lower surface and the connected portions of the multilayer film is projected upward.
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