JP3755001B2

JP3755001B2 - Atomic oscillation acquisition device and atomic clock

Info

Publication number: JP3755001B2
Application number: JP2002254631A
Authority: JP
Inventors: 京也福田
Original assignee: National Institute of Information and Communications Technology
Current assignee: National Institute of Information and Communications Technology
Priority date: 2002-08-30
Filing date: 2002-08-30
Publication date: 2006-03-15
Anticipated expiration: 2022-08-30
Also published as: JP2004096410A

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子発振取得装置、その原子発振取得装置を用いた原子発振取得方法及び原子時計に関し、より詳細には、セルの厚さが薄いためにセルの厚さを制御することにより原子振動の精度を制御することのできる原子振動取得装置などに関する。
【０００２】
【従来技術】
１９６７年に「秒」の定義にセシウム（¹³³Ｃs）原子のエネルギー遷移が採用されてから、このセシウム（¹³³Ｃs）原子のエネルギー遷移を用いて、いかに高い精度で時刻（時間）を測定するかの研究がなされてきた。この測定精度は、近年、１０^-13〜１０^-14のオーダまで上昇している。したがって、現在まで、このように高い精度の標準周波数信号を出力する原子周波数標準器が開発され実用化されている。
【０００３】
この原子周波数標準器に利用されるセシウム（¹³³Ｃs）原子の遷移は公知である（例えば、特開２００２−７６８９０号公報の図５を参照）。なお、一般にセシウム（¹³³Ｃs）原子の基底状態における超微細準位は、Ｆで示され、励起状態における超微細準位はＦ’で示される。
【０００４】
セシウム（¹³³Ｃs）原子の基底状態は、Ｆ（準位）＝４、３の超微細準位を有している。そして、一般的に標準周波数信号の作成に使用される遷移は［（Ｆ＝４，ｍＦ＝０）→（Ｆ＝３，ｍＦ＝０）］又は［（Ｆ＝４，ｍＦ＝０）←（Ｆ＝３，ｍＦ＝０）］である。ここで、ｍＦは磁気量子数である。この遷移を特にクロック遷移と称する。セシウム原子のエネルギー状態を一つの超微細準位に揃えるには、移動中の原子（原子ビーム）に対して、磁界を印加するか、又は、セシウム（¹³³Ｃs）原子のＤ2線（光）の波長λ（＝８５２．１ｎｍ）と同一波長を有するレーザー光（励起光）を印加（光ポンピング）すればよい。
【０００５】
従来の原子振動取得装置では、以下のようにして原子振動を取得していた。まずは、原子ビーム発生器としてのセシウム炉を、１０^-6Ｐａ（パスカル）程度の高真空状態に維持されたセシウム原子セル内に配設する。そのセシウム炉を加熱することにより蒸気状態になったセシウム（¹³³Ｃs）原子の原子ビームが出力される。このセシウム炉から出力された原子ビームの原子のエネルギー状態は、基底準位Ｆ＝４と基底準位Ｆ＝３とに均等に分布している。
【０００６】
このエネルギー状態の原子ビームに対して、第１のレーザー光源から出力されたセシウム（¹³³Ｃs）原子のＤ2線（光）と同じ波長を有しσ偏光された第１のレーザー光、及び第３のレーザー光源から出力されたＤ2線（光）と同じ波長を有したπ偏光された第３のレーザー光が照射される。この各励起光による光ポンピング作用により、原子ビームの基底準位Ｆ＝４のエネルギー状態の原子は励起準位Ｆ’＝４へ励起され、その後極く短時間（３０ｎｓ）でＦ＝４、Ｆ＝３へ落ちる。しかしながら、基底準位Ｆ＝３の原子は励起されないので、結果として、セシウム炉から出射された原子ビーム３の原子のエネルギー状態は基底準位Ｆ＝３に遷移することとなる。
【０００７】
エネルギー状態が基底準位Ｆ＝３に遷移された原子ビームは、例えばラムゼイ（Ramsey）型の空洞共振器へ入射される。
【０００８】
この空洞共振器には、水晶発振器で発振され、周波数合成・逓倍器１０で基底準位の周波数（励振周波数）９１９３ＭＨzに仮設定されたマイクロ波が印加されている。なお、水晶発振器の発振周波数はサーボ増幅器にて可変制御される。さらに、この空洞共振器には、原子ビームの進行方向に直交する方向に一様な静磁界（Ｃ磁界）が印加されている。この一様な静磁界（Ｃ磁界）を印加する理由は、空洞共振器を用いた所定のマイクロ波遷移の効率を上げると共に、不要なマイクロ波遷移を抑制するためである。
【０００９】
空洞共振器へ入射されたエネルギー状態が基底準位Ｆ＝３に遷移された原子ビームの原子は、この空洞共振状態の空洞共振器の両端に設けられた一対の貫通孔を通過する過程で、マイクロ波遷移が行われ、エネルギー状態が基底準位Ｆ＝４へ移る。
【００１０】
空洞共振器を通過してエネルギー状態が基底準位Ｆ＝４になった原子ビームの原子には、第２のレーザー光源から出力された第１のレーザー光に近い波長を有したσ偏光された第２のレーザー光（プローブ光に対応する。）が照射される。その結果、この第２のレーザー光によって、原子ビームの基底準位Ｆ＝４のエネルギー状態にある原子は励起準位Ｆ’＝５へ励起され、ごく短時間の後に蛍光を発して元の基底準位Ｆ＝４に戻ることを繰り返す。
【００１１】
この遷移する過程で放出される原子ビームの原子からの蛍光を光検出器で検出する。光検出器は、検出した蛍光の光量を電気信号（ビーム電流）に変換してサーボ増幅器へ送出する。サーボ増幅器は、水晶発振器の発振周波数ｆを順次変化させ、入力した光量（ビーム電流）が最大値となる発振周波数ｆを検出する。そして、この発振周波数ｆを標準周波数ｆSとする。このようにして原子振動を得ることができ、この原子振動を用いて原子時計を設計することができる（例えば、特開１０−２８４７７２号公報、特開２００１−２８５０６４号公報、特開２００２−７６８９０号公報、中桐ら, 電波研究季報 Vol. 29, No. 149 pp。 97-115 (1983)）。
【００１２】
以下原子振動の精度について説明する。一般に、原子振動の精度は、ＥＩＴ信号（スペクトル）の半値全幅が小さいほどよい。
そして、スペクトル（信号）の半値全幅は、Ｔ（原子とレーザー光が接触している時間）に逆比例する。したがって、Ｔを制御することが原子振動の精度を制御することにつながる。
図１に従来の原子発振取得方法におけるセルとレーザーの相互作用の様子を示す。従来の原子発振取得方法では、レーザーと接触する原子（１０）が多いほど強いＥＩＴスペクトルを得る。このため、セルの長さ（１３）はできるだけ大きくすることが望まれた。そのため、レーザー光（１２）のビーム径をｂ（１１）、原子の速度をｖとすると、レーザーと原子が相互作用する時間Ｔは、ｂ／ｖで求めることができた。すなわち、スペクトルの精度を表す半値全幅が、レーザー光のビーム径に依存していた。ビーム径による調整は必ずしも容易ではなく、ビーム径以外の方法を用いたスペクトル精度の調整方法を提供することが望まれていた。
【００１３】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、レーザーのビーム幅によらずに原子発振の精度を制御する原子発振取得方法、およびそのような原子発振取得方法を実現することができる原子発振取得装置などを提供することを目的とするものである。
【００１４】
【課題を解決するための手段】
上記課題は以下の発明により解決される。
（１）第１の発明は、「セシウム原子を封入したガスセルと、セシウム原子の励起光を前記ガスセルに照射する第１の光照射手段と、プローブ光を前記ガスセルに照射する第２の光照射手段と、前記ガスセルを通過したレーザー光の強度を測定する光強度測定手段と、を具備する原子時計であって、前記ガスセルが、筒状であり、かつ筒側面の長さが、１ｍｍ〜２ｍｍであり、前記励起光及びプローブ光の強度が、６０〜６５μＷ／ｃｍ ² であり、前記励起光のラビ周波数をΩ _c 、前記プローブ光のラビ周波数をΩ _p 、原子の励起状態からの自然放出確率をΓとしたときに、（Ω _c ² ＋Ω _p ² ）／Γ ² ＝０．０２〜０．０４であり、前記ガスセルに静磁場を印加した場合のセシウム原子のクロック遷移（ [F=3 、ｍ _F =0] ⇔ [F=4 、ｍ _F =0] ）に基づくＥＩＴ信号スペクトルを利用した、原子時計」である。
【００１５】
（２）第２の発明は、「セシウム原子を封入したガスセルと、セシウム原子の励起光を前記ガスセルに照射する第１の光照射手段と、プローブ光を前記ガスセルに照射する第２の光照射手段と、前記ガスセルを通過したレーザー光の強度を測定する光強度測定手段と、を用いたＥＩＴ信号スペクトルの取得方法であって、前記ガスセルが、筒状であり、かつ筒側面の長さが、１ｍｍ〜２ｍｍであり、前記励起光及びプローブ光の強度が、６０〜６５μＷ／ｃｍ ² であり、前記励起光のラビ周波数をΩ _c 、前記プローブ光のラビ周波数をΩ _p 、原子の励起状態からの自然放出確率をΓとしたときに、（Ω _c ² ＋Ω _p ² ）／Γ ² ＝０．０２〜０．０４であり、前記ガスセルに静磁場を印加した場合のセシウム原子のクロック遷移（ [F=3 、ｍ _F =0] ⇔ [F=4 、ｍ _F =0] ）に基づくＥＩＴ信号スペクトルの取得方法」である。
【００１６】
（３）第３の発明は、「上記の（２）に記載のＥＩＴ信号スペクトルの取得方法により得られたＥＩＴ信号スペクトルを用いた標準周波数信号の取得方法」である。
【００１７】
（４）第４の発明は、「前記標準周波数信号がマイクロ波である上記の（３）に記載の標準周波数信号の取得方法。」である。
【００１８】
【発明の実施の形態】
（本発明の装置）
本発明の原子発振取得装置は、気体原子を封入しレーザー光の照射を受けるガスセルと、前記ガスセルを通過したレーザー光の強度を測定する光強度測定手段を具備する。本発明の原子発振取得装置は、さらに２以上のレーザー発信装置など従来の原子時計に含まれる各種の装置を含んでいても良い。
図２に本発明の装置におけるセル中の気体原子とレーザー光の相互作用の様子を示す。セルの気体原子が封入されている部分の厚さ（１３）をＬとすると、Ｌは、レーザー光（１２）のビーム幅（１１）に比べ十分小さい。したがって、レーザー光と、気体原子（１０）が相互作用する時間Ｔは、レーザー光の幅に依存せず、Ｌに依存することとなる。すなわち、原子の速度をｖとして、Ｔは、Ｌ／ｖによることとなる。先に説明したとおり原子振動の精度は、Ｔに依存する。したがって、本発明の原子振動取得装置では、セルの厚さを制御することにより、原子振動の精度を制御することができる。なお、図２において、レーザー光（１２）は、例えば、円筒状のガスセル（１）の平らな面から、対向する平らな面へと進んでいる。
【００１９】
図３に本発明の原子振動取得装置の一例を示す。
図３に示されるように、一実施態様にかかる本発明の装置は、ガスセル（１）と、光強度測定手段（ＰｈｏｔｏＤｅｔｅｃｔｏｒ）（２）と、光照射装置（３）と、分離装置（Ｉｓｏｌａｔｏｒ）（４）と、Ｅ．Ｏ．（５）と、増幅器（Ｌｏｃｋ−ｉｎＡｍｐｌｉｆｅｒ）（６）と、同期装置（シンセサイザー）と（８）を含む装置からなる。
ここで、分離装置は、使用するあらゆる光学部品からの反射光が光照射装置（3）に戻るのを防ぎ、動作を安定にさせる装置として機能する。
また、Ｅ．Ｏ．は、電気光学変調器（Electro-Optical Modulator）を意味し、入射されるレーザー光から、EIT信号観測に必要な励起光（カップリング光）とプローブ光を作り出す装置として機能する。同期装置は、プローブ光の変調周波数と同期し、プローブ光に含まれているEIT信号を抽出する装置として機能する。以下、本発明の装置のいくつかの部材について説明する。
【００２０】
（ガスセル）
ガスセル（１）としては、原子時計に通常用いられているガスセルよりも気体原子を封入する部分の厚さが薄いものであれば特に限定されるものではない。
ガスセルは筒状、特に円筒状のものが好ましく、かつ筒側面の長さが、０．１ｍｍ〜５ｍｍであることが好ましく、１ｍｍ〜２ｍｍであればより好ましい。その筒の直径は、例えば、１０ｍｍ〜１００ｍｍが挙げられるが、特に限定されるものではない。
通常ガスセル内には、セシウムと共に緩衝気体として不活性ガスを封入する。不活性ガスとしては、窒素ガスやアルゴンガス、キセノンガスなどが挙げられる。緩衝気体の効果としては、光ポンピングされたセシウムのガスセル内壁との衝突によるエネルギー消失を防ぐことで、セシウムが下準位へ緩和して熱平衡状態へ近づこうとする時間（緩和時間）を延ばすことが挙げられる。しかし、緩衝気体はそれ自体の圧力変化または温度変化により共鳴マイクロ波周波数変化をもたらし、これらの変化の度合は、それぞれ圧力係数、温度係数と呼ばれている。また、緩衝気体の種類により、それぞれの係数は正特性若しくは負特性を持っている。そこで、通常緩衝気体には、上記２つの係数がそれぞれ正負逆特性を持つ２種類以上の不活性ガスを選択し、これらの係数を極力小さくする不活性ガスの圧力比（混合比）を決める。通常、２種類の不活性ガスを緩衝気体に用いる場合では、温度係数がゼロに近い値となるような混合比に設定する。また、ガスセル内に封入する緩衝気体の全圧力については、セシウムがガスセル内壁に衝突する確率およびセシウムが緩衝気体に衝突する確率を計算し、これらの和の逆数（緩和時間）が最大値となるようにに設定している。すなわち、ガスセルの寸法が決まれば、緩和時間が最大となるための緩衝気体の全圧力が計算できる。緩和時間の算出方法としては、「「周波数と時間」, 吉村他, 第５章,電子情報通信学会」に詳細な記述がある。
【００２１】
（光照射手段）
光照射手段としては、原子時計に用いられる公知のレーザーなどを用いることができる。本発明の装置は、１又は２つ以上の励起光と、１つのプローブ光を発信する１つ又は２以上の光照射手段を具備することが望ましい。
光照射手段は、例えば、キャリアガスと共に原子を封入したランプセルを高周波励振して放電させるランプ励起方式と、半導体レーザー（ＬaserＤiode：以下「ＬＤ」と記す。）を励起光としたＬＤ励起方式がある。ＬＤ励起方式では励起波長の選択的な光ポンピングを行うことができるので、ランプ励起方式と比較し、ポンピング効率および信号対雑音比を向上できるので好ましい。
【００２２】
（光強度測定手段）
光強度測定手段としては、光の強度を測定することができるものであれば、特に限定されるものではなく、公知の光強度測定手段を用いることができる。例えば、特開１０−２８４７７２号公報、特開２００１−２８５０６４号公報、特開２００２−７６８９０号公報、中桐ら, 電波研究季報 Vol. 29, No. 149 pp。 97-115 (1983)などに記載されたものを用いることができる。
【００２３】
（ＥＩＴ信号）
ＥＩＴ（Electro-magnetically Induced Transparency）信号スペクトルとは、例えば、セシウム原子の遷移を観測したスペクトルである。詳細は、例えば「THEORETICALANALYSIS OF Rb AND Cs D2 LINES IN SATURATION SPECTROCOPY WITH OPTICALPUMPING,S.Nakayama,JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS,Vol.23,No.7,pp.879-883,1984 、J. Kitching et. al. IEEE Vol. 49, No. 6, pp. 1313-1317 (2000)」
【００２４】
（作用）
本発明の原子発振取得装置は、公知の原子振動取得装置と同様にＥＩＴ信号から原子発振を取得する。この原子発振を用いれば、公知の方法（たとえば、特開１０−２８４７７２号公報、特開２００１−２８５０６４号公報、特開２００２−７６８９０号公報、中桐ら , 電波研究季報 Vol. 29, No. 149 pp 。 97-115 (1983) ，及び J. Kitching et al. IEEE vol.49, No.6, pp.1313-1317(2000) に記載の方法など）により原子時計を設計することができる。
【００２５】
（原子時計）
すべての物理量（時間、長さ、質量等）を決定するにはひとつの基準が必要である。例えば、振り子時計は、振り子の周波数を基準にした時計である。ここで、ｌを振り子の長さとすると、振り子の周波数は、次式で表すことができる。この周波数を基準として用いれば、時計を設計することができる。
【００２６】
【式３】

【００２７】
しかし、この振り子の周波数は、例えば、温度がかわると振り子の長さが変わるなど不確定な要素を多く含む。したがって、振り子を用いた時計には正確さにおいて限界がある。だからこそ、振り子時計は近年利用されなくなったのである。
【００２８】
上記セシウム原子の振動を基準として時計を設計すると、このセシウム原子の振動は変化が少ないので非常に正確な時計を設計することができるのである。なお、現在ではセシウム原子が吸収するマイクロ波の周波数を9,192,631,770 Hzと定義し、この周波数に基づいて原子時計が設計されている。理想的には、原子核と電子の間のクーロン力のみで一意に決まる、固有エネルギー状態のあいだのエネルギー差のみが遷移周波数に反映する。気体の状態では原子は単一で存在するので、周波数は一通り決定できる。しかしながら、これはあくまで理想であり、実際には、以下のような様々な要因があり、原子時計の正確さには限界がある。１）原子核と電子のクーロン力のほかにも電場、磁場が存在している。２）エネルギー固有値は無限時間の測定で得られて一意に決まることが理想だが、実際にはエネルギーと時間の不確定性関係により遷移周波数は幅を持つ（均一幅）。３）実際には原子同士が衝突する時に、遷移エネルギーはシフトする。そのため観測される周波数には衝突シフトが存在し、それば原子数密度に比例する。その他１次、２次ドップラー効果（２次は特殊相対論効果）、重力によるシフト（一般相対論効果）などが原子時計の正確さを妨げている。
【００２９】
（セシウム原子時計の構造）
先に説明したとおり、セシウム原子時計においては、通常セシウム原子とマイクロ波を２度相互作用(Tだけ時間間隔をおく)させてスペクトルを観測するRamsey共鳴と呼ばれる方法が用いられる。
本発明においても、得られた原子振動を基準として、原子時計を設計することができる。
【００３０】
【実施例】
（参考例１）
図３に示される装置を用いてセシウム原子のＥＩＴ信号を観測した。ガスセルの厚さは１ｍｍであった。
セシウム原子のエネルギー準位（光励起の様子など）を図４（ａ）に示す。また、セシウム原子のエネルギー準位の詳細を図４（ｂ）に示す。
本実施例においては、[Ｆ＝４、ｍ_F＝０]→[Ｆ'＝４、ｍ_F'＝０]遷移のエネルギーを与える光を励起光（カップリング光）とし、プローブ光を[Ｆ＝３、ｍ_F＝０]→[Ｆ'＝４、ｍ_F'＝０]遷移のエネルギー（９１９２．６ＭＨｚ）を中心として掃引した。ガスセルの厚さは１ｍｍであった。レーザー光の強度は、６４０μＷ／ｃｍ²であり、（Ω_c ²＋Ω_p ²）／Γ²＝０．２４であった。このようにして、掃引したプローブ光の吸収強度の変化（ＥＩＴ（Electro-magnetically Induced Transparency）信号）を図５（ａ）に示す。
図５（ａ）において、強い吸収スペクトルは、 [Ｆ＝３、ｍ_F＝０]→[Ｆ'＝４、ｍ_F'＝０]遷移のエネルギー（９１９２．６ＭＨｚ）における吸収ピークである。吸収線の均一幅は、約５ＭＨｚであった。
また、０．１ｍＴの磁場をガスセルに印加し、プローブ光の吸収強度を測定した。この結果を図５（ｂ）に示す。磁場の方向は、レーザー光の進行方向と一致させた。
図５（ｂ）においては、静磁場による超微細構造のゼーマン分裂による７つの信号が観測された。図５（ｂ）におけるそれぞれのピークは、図２（ｂ）における遷移に対応している。図６に示すように、図５（ｂ）のピークは、理論値とよく一致していた。図６中中、周波数が０以上の部分の◆、■、▲は、それぞれ（ｍ_F−ｍ_F' ）＝（３−３）、（２−２）、（１−１）の遷移を表し、周波数が０以下の部分の□、○、△は、それぞれ（−１、−１）、（−２、−２）、（−３、−３）の遷移を表す。それぞれの実測値の近辺にある線は、理論値を表す。
図５（ａ）及び図５（ｂ）から、磁場を加えない場合のスペクトル線幅が、磁場を加えた場合のスペクトルの線幅よりも広いことが分かる。このことは、残留磁場などにより、ゼーマン退縮が完全でないことを示している。
以上より、以下の実施例においては、精度よくスペクトル線幅を評価するために、セルに静磁場を加え、クロック遷移（ [F=3 、ｍ _F =0] ⇔ [F=4 、ｍ _F =0]）によるＥＩＴ信号にのみ着目することとした。
【００３１】
（参考例２）
レーザー光の強度が、６４μＷ／ｃｍ²であり、（Ω_c ²＋Ω_p ²）／Γ²＝０．０２４とした場合の、クロック遷移（[F=3 、ｍ _F =0] ⇔ [F=4 、ｍ _F =0]）によるＥＩＴ信号を図７に示す。図においては、実測値を、ローレンツカーブによりフィッッティングを行っている。図中の3つの信号ピークの真ん中が観測しているEIT信号である。その両側の二つのピーク間隔はプローブ光の変調周波数200kHzであり、線幅測定における周波数マーカーとして利用される。
【００３２】
（実施例１）
図８に、セルの厚さを１ｍｍ（▲：三角）、２ｍｍ（■：四角）、５ｍｍ（◆：ダイヤ）とし、レーザー光強度を変化させた場合のピークの線幅（半値全幅：ＦＷＨＭ）を表す。図中の縦軸は、ｋＨｚを表す。図中の黒い、三角、四角、ダイヤは実測値を表す。実測値を掃引し、レーザー光強度が０の場合の半値前幅を求めた。その結果を、白抜きの三角（△：セル厚１ｍｍ）、四角（□：セル厚２ｍｍ）、ダイヤ（◇：セル厚５ｍｍ）で表す。
これから、セルの厚さが１ｍｍの場合のＥＩＴ信号の半値全幅は、約１２０ｋＨｚであり、セルの厚さが２ｍｍの場合のＥＩＴ信号の半値全幅は、約４０ｋＨｚであり、セルの厚さが５ｍｍの場合のＥＩＴ信号の半値全幅は、約３０ｋＨｚであることがわかる。
【００３３】
（実施例２）
セルの厚さを変え、実施例１と同様にしてレーザー光強度が０の場合の半値前幅を求めた。図９の点（●）は実験結果からの求まったセルの厚さと、ＥＩＴ信号の半値全幅の値（ｋＨｚ）を表し、図９のグラフは理論値を表す。
【００３４】
【発明の効果】
本発明においては、原子時計などに用いられるレーザーのビーム直径に比較して薄いセルを用いている。この結果、ＥＩＴ信号の半値全幅が若干広くなったが、従来原子振動の精度を左右していたレーザーのビーム直径ではなく、セルの厚さを制御することにより、原子振動の精度を制御することができることとなった。
【図面の簡単な説明】
【図１】図１は、従来の原子発振取得方法におけるセルとレーザーの相互作用の様子を示す概要図である。
【図２】図２は、本発明の原子発振取得方法におけるセルとレーザーの相互作用の様子を示す概要図である。
【図３】図３は、本発明の原子発振取得装置の概要図である。
【図４】図４（ａ）及び図４（ｂ）は、セシウム原子のエネルギー準位を表す図である。
【図５】図５は、ＥＩＴ信号スペクトルを表す。図５（ａ）は、磁場をかけなかった場合、図５（ｂ）は、磁場をかけた場合のＥＩＴ信号スペクトルである。
【図６】図６は、ＥＩＴ信号スペクトルのピーク幅と磁場との関係を表す。図中、周波数が０以上の部分の◆、■、▲は、それぞれ（ｍ_F−ｍ_F' ）＝（３−３）、（２−２）、（１−１）の遷移を表し、周波数が０以下の部分の□、○、△は、それぞれ（−１、−１）、（−２、−２）、（−３、−３）の遷移を表す。それぞれの実測値の近辺にある線は、理論値を表す。
【図７】図７は、レーザー光の強度が、６４μＷ／ｃｍ²であり、（Ω_c ²＋Ω_p ²）／Γ²＝０．０２４とした場合の、クロック遷移（[F=3 、ｍ _F =0] ⇔ ([F=4 、ｍ _F =0]）によるＥＩＴ信号を表す。
【図８】図８は、セルの厚さを１ｍｍ（▲：三角）、２ｍｍ（■：四角）、５ｍｍ（◆：ダイヤ）とし、レーザー光強度を変化させた場合のピークの線幅（半値全幅：ＦＷＨＭ）を表す。図中の縦軸は、ｋＨｚを表す。図中の黒い、三角、四角、ダイヤは実測値を表す。実測値を掃引し、レーザー光強度が０の場合の半値前幅を求めた。その結果を、白抜きの三角（△：セル厚１ｍｍ）、四角（□：セル厚２ｍｍ）、ダイヤ（◇：セル厚５ｍｍ）で表す。
【図９】図９は、ガスセルの厚さと、ＥＩＴ信号スペクトルの半値全幅の関係を表す図である。図９の点（●）は実験結果からの求まったセルの厚さと、ＥＩＴ信号の半値全幅の値（ｋＨｚ）を表し、図９のグラフは理論値を表す。
【符号の説明】
１ガスセル
２光強度測定手段（ＰｈｏｔｏＤｅｔｅｃｔｏｒ）
３光照射装置
４分離装置（Ｉｓｏｌａｔｏｒ）
５Ｅ．Ｏ．（電気光学変調器）
６増幅器（Ｌｏｃｋ−ｉｎＡｍｐｌｉｆｅｒ）
７出力シグナル
８同期装置（シンセサイザー）
９参照周波数
１０気体原子
１１レーザー光の線幅
１２レーザー光
１３ガスセルの長さ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to an atomic oscillation acquisition apparatus, an atomic oscillation acquisition method using the atomic oscillation acquisition apparatus, and an atomic clock, and more specifically, an atomic oscillation by controlling the thickness of a cell because the thickness of the cell is small. The present invention relates to an atomic vibration acquisition device that can control the accuracy of the.
[0002]
[Prior art]
Or from the energy transitions of cesium ⁽¹³³ Cs) atoms is employed in the definition of "second" in 1967, using an energy transition of cesium ⁽¹³³ Cs) atoms, to measure the time (time) in how accurately Has been studied. This measurement accuracy has recently increased to the order of 10 ⁻¹³ to 10 ⁻¹⁴ . Therefore, until now, an atomic frequency standard that outputs such a high-accuracy standard frequency signal has been developed and put into practical use.
[0003]
The transition of the cesium ( ¹³³ Cs) atom used in this atomic frequency standard is known (see, for example, FIG. 5 of JP-A-2002-76890). In general, the hyperfine level in the ground state of the cesium ( ¹³³ Cs) atom is indicated by F, and the hyperfine level in the excited state is indicated by F ′.
[0004]
The ground state of the cesium ( ¹³³ Cs) atom has hyperfine levels of F (level) = 4 and 3. The transition generally used to create the standard frequency signal is [(F = 4, mF = 0) → (F = 3, mF = 0)] or [(F = 4, mF = 0) ← ( F = 3, mF = 0)]. Here, mF is a magnetic quantum number. This transition is particularly referred to as clock transition. In order to align the energy states of cesium atoms to one hyperfine level, a magnetic field is applied to the moving atom (atomic beam) or the D2 line (light) of the cesium ( ¹³³ Cs) atom is used. Laser light (excitation light) having the same wavelength as the wavelength λ (= 852.1 nm) may be applied (optical pumping).
[0005]
In a conventional atomic vibration acquisition apparatus, atomic vibrations are acquired as follows. First, a cesium furnace as an atomic beam generator is disposed in a cesium atomic cell maintained in a high vacuum state of about 10 ⁻⁶ Pa (pascal). By heating the cesium furnace, an atomic beam of cesium ( ¹³³ Cs) atoms in a vapor state is output. The energy state of the atoms of the atomic beam output from the cesium furnace is evenly distributed between the ground level F = 4 and the ground level F = 3.
[0006]
Relative atomic beam of the energy state, the first laser light σ polarized having the same wavelength as the D2 line (light) of the first cesium output from the laser light source ⁽¹³³ Cs) atoms, and the third Π-polarized third laser light having the same wavelength as that of the D2 line (light) output from the laser light source is irradiated. By this optical pumping action by each excitation light, atoms in the energy state of the atomic level F = 4 of the atomic beam are excited to the excitation level F ′ = 4, and then F = 4, F in a very short time (30 ns). Falls to = 3. However, since the atom of the ground level F = 3 is not excited, as a result, the energy state of the atom of the atomic beam 3 emitted from the cesium furnace transitions to the ground level F = 3.
[0007]
The atomic beam whose energy state has been shifted to the ground level F = 3 is incident on, for example, a Ramsey type cavity resonator.
[0008]
To this cavity resonator, a microwave oscillated by a crystal oscillator and temporarily set to a base level frequency (excitation frequency) 9193 MHz by the frequency synthesizer / multiplier 10 is applied. The oscillation frequency of the crystal oscillator is variably controlled by a servo amplifier. Further, a uniform static magnetic field (C magnetic field) is applied to the cavity resonator in a direction orthogonal to the traveling direction of the atomic beam. The reason for applying this uniform static magnetic field (C magnetic field) is to increase the efficiency of a predetermined microwave transition using the cavity resonator and to suppress unnecessary microwave transitions.
[0009]
The atoms of the atomic beam whose energy state incident on the cavity resonator is changed to the ground level F = 3 pass through a pair of through holes provided at both ends of the cavity resonator in the cavity resonance state. A microwave transition occurs and the energy state moves to the ground level F = 4.
[0010]
The atoms of the atomic beam that passed through the cavity resonator and whose energy state became the ground level F = 4 were σ-polarized with a wavelength close to that of the first laser beam output from the second laser light source. A second laser beam (corresponding to the probe beam) is irradiated. As a result, the atoms in the energy state of the ground level F = 4 of the atomic beam are excited to the excited level F ′ = 5 by the second laser light, and emit fluorescence after a very short time, thereby emitting the original base. Repeat the return to level F = 4.
[0011]
The fluorescence from the atoms of the atomic beam emitted in this transition process is detected by a photodetector. The photodetector converts the detected fluorescence light amount into an electric signal (beam current) and sends it to the servo amplifier. The servo amplifier sequentially changes the oscillation frequency f of the crystal oscillator, and detects the oscillation frequency f at which the input light quantity (beam current) becomes the maximum value. The oscillation frequency f is set as the standard frequency fS. In this way, atomic vibration can be obtained, and an atomic clock can be designed using this atomic vibration (for example, Japanese Patent Laid-Open Nos. 10-284772, 2001-285064, 2002-76890). No., Nakagiri et al., Radio Research Quarterly Vol. 29, No. 149 pp. 97-115 (1983)).
[0012]
The atomic vibration accuracy will be described below. In general, the accuracy of atomic vibration is better as the full width at half maximum of the EIT signal (spectrum) is smaller.
The full width at half maximum of the spectrum (signal) is inversely proportional to T (the time during which the atom and the laser beam are in contact). Therefore, controlling T leads to controlling the accuracy of atomic vibration.
FIG. 1 shows the interaction between a cell and a laser in a conventional atomic oscillation acquisition method. In the conventional atomic oscillation acquisition method, a stronger EIT spectrum is obtained as the number of atoms (10) in contact with the laser increases. For this reason, it was desired to make the cell length (13) as large as possible. Therefore, when the beam diameter of the laser beam (12) is b (11) and the velocity of the atoms is v, the time T during which the laser interacts with the atoms can be obtained by b / v. That is, the full width at half maximum representing the accuracy of the spectrum depends on the beam diameter of the laser light. Adjustment by beam diameter is not always easy, and it has been desired to provide a method for adjusting spectral accuracy using a method other than the beam diameter.
[0013]
[Problems to be solved by the invention]
An object of the present invention is to provide an atomic oscillation acquisition method that controls the accuracy of atomic oscillation regardless of the beam width of a laser, an atomic oscillation acquisition device that can realize such an atomic oscillation acquisition method, and the like. To do.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
The above problems are solved by the following invention.
(1) The first invention is as follows: “a gas cell in which cesium atoms are sealed; first light irradiation means for irradiating the gas cell with excitation light of cesium atoms; and second light irradiation for irradiating the gas cell with probe light. Means and a light intensity measuring means for measuring the intensity of laser light that has passed through the gas cell, wherein the gas cell is cylindrical and the length of the cylinder side is 1 mm to 2 mm. The excitation light and the probe light have an intensity of 60 to 65 μW / cm ² , the Rabi frequency of the excitation light is Ω _c , the Rabi frequency of the probe light is Ω _p , and spontaneous emission from the excited state of the atoms When the probability is Γ, (Ω _c ² + Ω _p ² ) / Γ ² = 0.02 to 0.04, and the clock transition of the cesium atom when the static magnetic field is applied to the gas cell ( [F = 3 _{, m F = 0] ⇔ [} F = 4, m F = 0]) to the basis E Using the T signal spectrum, it is an atomic clock ".
[0015]
(2) The second invention is as follows: “a gas cell in which cesium atoms are enclosed; first light irradiation means for irradiating the gas cell with excitation light of cesium atoms; and second light irradiation for irradiating the gas cell with probe light. And an EIT signal spectrum acquisition method using a light intensity measuring means for measuring the intensity of laser light that has passed through the gas cell, wherein the gas cell is cylindrical and the length of the cylinder side surface is 1 mm to ² mm, intensities of the excitation light and the probe light are 60 to 65 μW / cm ² , the Rabi frequency of the excitation light is Ω _c , the Rabi frequency of the probe light is Ω _p , and the excited state of atoms (Ω _c ² + Ω _p ² ) / Γ ² = 0.02 to 0.04, and cesium atom clock transition when a static magnetic field is applied to the gas cell [F = 3 , m _F = 0] ⇔ [F = 4 , m _F = 0] ) ”is a method for acquiring an EIT signal spectrum.
[0016]
(3) The third invention is “a method of acquiring a standard frequency signal using the EIT signal spectrum obtained by the method of acquiring the EIT signal spectrum described in (2) above”.
[0017]
(4) The fourth invention is “the method of acquiring a standard frequency signal according to (3) above, wherein the standard frequency signal is a microwave”.
[0018]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
(Device of the present invention)
The atomic oscillation acquisition apparatus of the present invention includes a gas cell that encloses gas atoms and receives laser light irradiation, and a light intensity measurement unit that measures the intensity of the laser light that has passed through the gas cell. The atomic oscillation acquisition device of the present invention may further include various devices included in a conventional atomic clock such as two or more laser transmission devices.
FIG. 2 shows the interaction between gas atoms in the cell and laser light in the apparatus of the present invention. When the thickness (13) of the portion of the cell in which the gas atoms are sealed is L, L is sufficiently smaller than the beam width (11) of the laser beam (12). Therefore, the time T during which the laser beam and the gas atom (10) interact does not depend on the width of the laser beam but depends on L. That is, T is based on L / v where the atomic velocity is v. As described above, the accuracy of atomic vibration depends on T. Therefore, in the atomic vibration acquisition device of the present invention, the accuracy of atomic vibration can be controlled by controlling the thickness of the cell. In FIG. 2, the laser beam (12) advances from, for example, a flat surface of the cylindrical gas cell (1) to an opposing flat surface.
[0019]
FIG. 3 shows an example of the atomic vibration acquisition apparatus of the present invention.
As shown in FIG. 3, the apparatus of the present invention according to one embodiment includes a gas cell (1), a light intensity measuring means (Photo Detector) (2), a light irradiation device (3), and a separation device (Isolator). ) (4); O. (5), an amplifier (Lock-in Amplifier) (6), a synchronizer (synthesizer), and a device including (8).
Here, the separation device functions as a device that prevents the reflected light from any optical component to be used from returning to the light irradiation device (3) and stabilizes the operation.
In addition, E.I. O. Means an electro-optic modulator and functions as a device that generates excitation light (coupling light) and probe light necessary for EIT signal observation from incident laser light. The synchronization device synchronizes with the modulation frequency of the probe light and functions as a device that extracts the EIT signal contained in the probe light. Hereinafter, some members of the apparatus of the present invention will be described.
[0020]
(Gas cell)
The gas cell (1) is not particularly limited as long as the thickness of the portion enclosing the gas atoms is smaller than that of the gas cell normally used for an atomic clock.
The gas cell is preferably cylindrical, particularly cylindrical, and the length of the side surface of the cylinder is preferably 0.1 mm to 5 mm, more preferably 1 mm to 2 mm. The diameter of the cylinder is, for example, 10 mm to 100 mm, but is not particularly limited.
Normally, an inert gas is enclosed as a buffer gas together with cesium in the gas cell. Examples of the inert gas include nitrogen gas, argon gas, and xenon gas. The effect of the buffer gas is to prevent the loss of energy due to the collision of the optically pumped cesium with the inner wall of the gas cell, thereby extending the time (relaxation time) for cesium to relax to the lower level and approach the thermal equilibrium state. Can be mentioned. However, the buffer gas brings about a resonant microwave frequency change by its own pressure change or temperature change, and the degree of these changes is called the pressure coefficient and the temperature coefficient, respectively. Depending on the type of buffer gas, each coefficient has a positive characteristic or a negative characteristic. Therefore, as the normal buffer gas, two or more kinds of inert gases having the above-described two coefficients having positive / negative / reverse characteristics are selected, and the pressure ratio (mixing ratio) of the inert gas that minimizes these coefficients is determined. Usually, when two types of inert gases are used for the buffer gas, the mixing ratio is set so that the temperature coefficient is close to zero. As for the total pressure of the buffer gas enclosed in the gas cell, the probability that cesium collides with the inner wall of the gas cell and the probability that cesium collides with the buffer gas is calculated, and the reciprocal of these sums (relaxation time) becomes the maximum value. Is set to That is, once the size of the gas cell is determined, the total pressure of the buffer gas for maximizing the relaxation time can be calculated. The calculation method of relaxation time is described in detail in “Frequency and Time”, Yoshimura et al., Chapter 5, IEICE.
[0021]
(Light irradiation means)
As the light irradiation means, a known laser used in an atomic clock can be used. The apparatus of the present invention preferably includes one or two or more light irradiation means for transmitting one or more excitation lights and one probe light.
As the light irradiation means, there are, for example, a lamp excitation method in which a lamp cell encapsulating atoms with a carrier gas is excited by high-frequency excitation and an LD excitation method in which a semiconductor laser (hereinafter referred to as “LD”) is used as excitation light. . Since the LD pumping method can perform selective optical pumping of the pumping wavelength, it is preferable because the pumping efficiency and the signal-to-noise ratio can be improved as compared with the lamp pumping method.
[0022]
(Light intensity measurement means)
The light intensity measuring means is not particularly limited as long as it can measure the light intensity, and a known light intensity measuring means can be used. For example, Japanese Patent Laid-Open No. 10-284772, Japanese Patent Laid-Open No. 2001-285064, Japanese Patent Laid-Open No. 2002-76890, Nakagiri et al., Radio Research Quarterly Vol. 29, No. 149 pp. Those described in 97-115 (1983) can be used.
[0023]
(EIT signal)
An EIT (Electro-magnetically Induced Transparency) signal spectrum is, for example, a spectrum in which transition of cesium atoms is observed. For details, see `` THEORETICALANALYSIS OF Rb AND Cs D2 LINES IN SATURATION SPECTROCOPY WITH OPTICALPUMPING, S.Nakayama, JAPANESE JOURNAL OF APPLIED PHYSICS, Vol.23, No.7, pp.879-883,1984, J. Kitching et.al. IEEE Vol. 49, No. 6, pp. 1313-1317 (2000) "
[0024]
(Function)
The atomic oscillation acquisition apparatus of the present invention acquires atomic oscillation from the EIT signal in the same manner as a known atomic vibration acquisition apparatus. If this atomic oscillation is used, a known method (for example, Japanese Patent Laid-Open No. 10-284772, Japanese Patent Laid-Open No. 2001-285064, Japanese Patent Laid-Open No. 2002-76890, Nakagiri et al. , Radio Research Quarterly Vol. 29, No. 149 pp . 97-115 (1983) and J. Kitching et al. IEEE vol.49, No.6, pp.1313-1317 (2000) , etc.) can be used to design an atomic clock.
[0025]
(Atomic clock)
One standard is needed to determine all physical quantities (time, length, mass, etc.). For example, a pendulum clock is a clock based on the pendulum frequency. Here, when l is the length of the pendulum, the frequency of the pendulum can be expressed by the following equation. If this frequency is used as a reference, a timepiece can be designed.
[0026]
[Formula 3]

[0027]
However, the frequency of the pendulum includes many uncertain factors such as the length of the pendulum changing when the temperature changes. Therefore, there is a limit to the accuracy of a watch using a pendulum. That's why pendulum clocks have not been used in recent years.
[0028]
When a timepiece is designed with reference to the vibration of the cesium atom, since the vibration of the cesium atom has little change, a very accurate timepiece can be designed. Currently, the frequency of microwaves absorbed by cesium atoms is defined as 9,192,631,770 Hz, and atomic clocks are designed based on this frequency. Ideally, only the energy difference between the intrinsic energy states, which is uniquely determined only by the Coulomb force between the nucleus and the electron, is reflected in the transition frequency. Since there is a single atom in the gaseous state, the frequency can be determined in full. However, this is only an ideal. Actually, there are various factors as described below, and the accuracy of the atomic clock is limited. 1) In addition to the Coulomb forces between nuclei and electrons, there are electric and magnetic fields. 2) Ideally, the energy eigenvalue is obtained by infinite time measurement and determined uniquely, but in reality the transition frequency has a width (uniform width) due to the uncertainty relationship between energy and time. 3) Actually, when the atoms collide, the transition energy shifts. Therefore, there is a collision shift in the observed frequency, which is proportional to the atomic number density. Other primary and secondary Doppler effects (secondary special relativistic effects), gravity shifts (general relativistic effects), and other factors hinder the accuracy of atomic clocks.
[0029]
(Cesium atomic clock structure)
As described above, in a cesium atomic clock, a method called Ramsey resonance is used in which a spectrum is observed by causing a cesium atom and a microwave to interact twice (with a time interval of T).
Also in the present invention, an atomic clock can be designed based on the obtained atomic vibration.
[0030]
【Example】
(Reference Example 1)
The EIT signal of cesium atoms was observed using the apparatus shown in FIG. The thickness of the gas cell was 1 mm.
FIG. 4A shows the energy level of the cesium atom (such as the state of photoexcitation). Details of the energy level of the cesium atom are shown in FIG.
In this embodiment, [F = 4, m _F = 0] → [F ′ = 4, m _{F ′} = 0] The light that gives the transition energy is the excitation light (coupling light), and the probe light is [F = 3, m _F = 0] → [F ′ = 4, m _{F ′} = 0] The sweeping energy was centered on the transition energy (9192.6 MHz). The thickness of the gas cell was 1 mm. The intensity of the laser beam was 640 μW / cm ² and (Ω _c ² + Ω _p ² ) / Γ ² = 0.24. FIG. 5A shows a change in the absorption intensity of the probe light thus swept (EIT (Electro-magnetically Induced Transparency) signal).
In FIG. 5A, the strong absorption spectrum is an absorption peak at the energy of the transition [F = 3, m _F = 0] → [F ′ = 4, m _{F ′} = 0] (9192.6 MHz). The uniform width of the absorption line was about 5 MHz.
Further, a magnetic field of 0.1 mT was applied to the gas cell, and the absorption intensity of the probe light was measured. The result is shown in FIG. The direction of the magnetic field was matched with the traveling direction of the laser beam.
In FIG. 5B, seven signals due to Zeeman splitting of the hyperfine structure due to the static magnetic field were observed. Each peak in FIG. 5 (b) corresponds to a transition in FIG. 2 (b). As shown in FIG. 6, the peak in FIG. 5 (b) was in good agreement with the theoretical value. In FIG. 6, ◆, ■, and ▲ where the frequency is 0 or more represent transitions of (m _F −m _{F ′} ) = (3-3), (2-2), (1-1), respectively. □, ◯, and Δ of the portion whose frequency is 0 or less represent transitions of (−1, −1), (−2, −2), and (−3, −3), respectively. The line in the vicinity of each measured value represents the theoretical value.
5A and 5B that the spectral line width when no magnetic field is applied is wider than the spectral line width when a magnetic field is applied. This indicates that Zeeman retraction is not complete due to residual magnetic field and the like.
As described above, in the following examples, in order to accurately evaluate the spectral line width, a static magnetic field is applied to the cell and clock transitions ( [F = 3 , m _F = 0] ⇔ [F = 4 , m _F = [0] ) We decided to focus only on the EIT signal.
[0031]
(Reference Example 2)
When the intensity of the laser beam is 64 μW / cm ² and (Ω _c ² + Ω _p ² ) / Γ ² = 0.024, the clock transition ( [F = 3 , m _F = 0] ⇔ [F = 4 and m _F = 0] ) are shown in FIG. In the figure, the actual measurement value is fitted by a Lorentz curve. The middle of the three signal peaks in the figure is the EIT signal observed. The interval between the two peaks on both sides is a probe light modulation frequency of 200 kHz, which is used as a frequency marker in line width measurement.
[0032]
Example 1
Fig. 8 shows the peak line width (full width at half maximum: FWHM) when the thickness of the cell is 1 mm (▲: triangle), 2 mm (■: square), 5 mm (♦: diamond), and the laser light intensity is changed. Represents. The vertical axis in the figure represents kHz. Black, triangles, squares and diamonds in the figure represent measured values. The measured value was swept, and the half width before the half value when the laser light intensity was 0 was obtained. The results are represented by white triangles (Δ: cell thickness 1 mm), squares (□: cell thickness 2 mm), diamonds (◇: cell thickness 5 mm).
From this, the full width at half maximum of the EIT signal when the cell thickness is 1 mm is about 120 kHz, the full width at half maximum of the EIT signal when the cell thickness is 2 mm is about 40 kHz, and the cell thickness is 5 mm. It can be seen that the full width at half maximum of the EIT signal is about 30 kHz.
[0033]
(Example 2)
The cell width was changed, and the half width before the half-value when the laser light intensity was 0 was determined in the same manner as in Example 1. The point (●) in FIG. 9 represents the cell thickness obtained from the experimental results and the full width at half maximum (kHz) of the EIT signal, and the graph in FIG. 9 represents the theoretical value.
[0034]
【The invention's effect】
In the present invention, a thin cell is used as compared with the beam diameter of a laser used in an atomic clock or the like. As a result, the full width at half maximum of the EIT signal is slightly widened, but the accuracy of atomic vibration can be controlled by controlling the cell thickness rather than the laser beam diameter, which has traditionally affected the accuracy of atomic vibration. It was possible to do.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic view showing a state of interaction between a cell and a laser in a conventional atomic oscillation acquisition method.
FIG. 2 is a schematic diagram showing a state of interaction between a cell and a laser in the atomic oscillation acquisition method of the present invention.
FIG. 3 is a schematic diagram of an atomic oscillation acquisition apparatus according to the present invention.
FIGS. 4A and 4B are diagrams showing energy levels of cesium atoms. FIG.
FIG. 5 represents an EIT signal spectrum. 5A shows the EIT signal spectrum when no magnetic field is applied, and FIG. 5B shows the EIT signal spectrum when the magnetic field is applied.
FIG. 6 shows the relationship between the peak width of the EIT signal spectrum and the magnetic field. In the figure, ◆, ■, and ▲ where the frequency is 0 or more represent transitions of (m _F −m _{F ′} ) = (3-3), (2-2), and (1-1), respectively. □, ○, and Δ in the portion where is 0 or less represent transitions of (−1, −1), (−2, −2), and (−3, −3), respectively. The line in the vicinity of each measured value represents the theoretical value.
FIG. 7 shows a clock transition ( [F = 3 , m when the intensity of the laser beam is 64 μW / cm ² and (Ω _c ² + Ω _p ² ) / Γ ² = 0.024). _F = 0] represents the EIT signal by ⇔ ([F = 4 , m _F = 0] ).
FIG. 8 shows the peak line width (half value) when the thickness of the cell is 1 mm (▲: triangle), 2 mm (■: square), 5 mm (♦: diamond), and the laser light intensity is changed. Full width: FWHM). The vertical axis in the figure represents kHz. Black, triangles, squares and diamonds in the figure represent measured values. The measured value was swept, and the half width before the half value when the laser light intensity was 0 was obtained. The results are represented by white triangles (Δ: cell thickness 1 mm), squares (□: cell thickness 2 mm), diamonds (◇: cell thickness 5 mm).
FIG. 9 is a diagram showing the relationship between the thickness of the gas cell and the full width at half maximum of the EIT signal spectrum. The point (●) in FIG. 9 represents the cell thickness obtained from the experimental results and the full width at half maximum (kHz) of the EIT signal, and the graph in FIG. 9 represents the theoretical value.
[Explanation of symbols]
1 Gas Cell 2 Light Intensity Measuring Means (Photo Detector)
3 Light irradiation device 4 Separation device (Isolator)
5 E. O. (Electro-optic modulator)
6 Amplifier (Lock-in Amplifier)
7 Output signal 8 Synchronizer (synthesizer)
9 Reference frequency 10 Gas atom 11 Line width of laser beam 12 Laser beam 13 Length of gas cell

Claims

A gas cell containing cesium atoms;
  First light irradiation means for irradiating the gas cell with excitation light of cesium atoms;
  Second light irradiation means for irradiating the gas cell with probe light;
A light intensity measuring means for measuring the intensity of the laser beam that has passed through the gas cell;
An atomic clock comprising:
  The gas cell is cylindrical, and the length of the cylindrical side surface is 1 mm to 2 mm.
The intensity of the excitation light and probe light is 60 to 65 μW / cm. ²² And
The rabbi frequency of the excitation light is Ω _cc ,
The rabbi frequency of the probe light is Ω _pp ,
When the spontaneous emission probability from the excited state of the atom is Γ,
  (Ω _cc ²² + Ω _pp ²² ) / Γ ²² = 0.02-0.04,
Clock transition of cesium atoms when a static magnetic field is applied to the gas cell ( [F = 3 , M _FF = 0] ⇔ [F = 4 , M _FF = 0] ) Based on EIT signal spectrum based on
Atomic clock.

A gas cell containing cesium atoms;
  First light irradiation means for irradiating the gas cell with excitation light of cesium atoms;
  Second light irradiation means for irradiating the gas cell with probe light;
A light intensity measuring means for measuring the intensity of the laser beam that has passed through the gas cell;
An EIT signal spectrum acquisition method using
  The gas cell is cylindrical, and the length of the cylindrical side surface is 1 mm to 2 mm.
The intensity of the excitation light and probe light is 60 to 65 μW / cm. ²² And
The rabbi frequency of the excitation light is Ω _cc ,
The rabbi frequency of the probe light is Ω _pp ,
When the spontaneous emission probability from the excited state of the atom is Γ,
(Ω _cc ²² + Ω _pp ²² ) / Γ ²² = 0.02-0.04,
Clock transition of cesium atoms when a static magnetic field is applied to the gas cell ( [F = 3 , M _FF = 0] ⇔ [F = 4 , M _FF = 0] ) Based EIT signal spectrum acquisition method.

A method for acquiring a standard frequency signal using the EIT signal spectrum obtained by the method for acquiring an EIT signal spectrum according to claim 2.

The method for obtaining a standard frequency signal according to claim 3, wherein the standard frequency signal is a microwave.