JP3738519B2 - エンジンの燃料噴射装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、ディーゼルエンジン又は直噴式ガソリンエンジン等のコモンレールから供給された増圧室内の燃料をインジェクタに形成された噴孔から噴射するエンジンの燃料噴射装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ディーゼルエンジン等のエンジンにおいて、燃焼室への燃料の噴射を制御する燃料噴射装置として、例えば、特開平3−965号公報や特開平4−171266号公報に開示されたものがある。これらの燃料噴射装置は、噴射ノズルの先端に形成された噴孔を開閉する針弁を有しており、噴孔を開放する方向に針弁に作用する燃料圧に対して、針弁を閉じる方向に作用するバランスチャンバ内の燃料圧を制御することにより、燃料噴射を制御するものである。
【0003】
上記両公報に開示されているエンジンの燃料噴射装置においては、バランスチャンバの壁面はインジェクタ本体の壁面と針弁の受圧面とで形成されている。針弁に燃料圧を作用させているバランスチャンバ内の燃料圧を開放することによって針弁に対して噴孔を閉じる方向に作用する力を減少させ、噴孔を開く方向に作用する燃料圧に基づく力によって針弁をリフトさせている。バランスチャンバ内の燃料圧の大きさは、バランスチャンバ内の燃料の排出路を三方弁又は二方弁によって開閉制御することによって制御されている。
【0004】
バランスチャンバからの排出路を閉鎖すべき状態であっても、上記の三方弁又は二方弁を用いた燃料噴孔装置ではバランスチャンバからの燃料のリークが避けられない。このような燃料のリークを防止するため、本出願人は、既に、バランスチャンバからの燃料の排出路を、バランスチャンバ内の燃料圧それ自体を利用することによって閉鎖して、バランスチャンバ内の燃料圧が高ければそれだけ排出路の閉鎖力を大きくしたエンジンにおける燃料噴射装置を提案している(特願平8−249088号)。
【0005】
この提案によるエンジンの燃料噴射装置が図3及び図4に記載されている。図4は、図3のバランスチャンバ及び開閉弁を中心とした要部拡大断面図である。この燃料噴射装置70によれば、インジェクタ本体1の上方肩部には燃料入口部2が形成されており、本体1の中央本体3には軸心に沿って中空部4が形成されている。また、中空部4には、後述する排出路の開閉を行う開閉弁5が配置されており、開閉弁5は、中央本体3の上部に位置するアクチュエータ6によって駆動される。アクチュエータ6は、固定キャップ8内によって本体1内に収納された圧電素子7から構成されている。圧電素子7は、コントロールユニット9からの制御信号を受けて作動し、開閉弁5を開く方向に駆動する。アクチュエータ6の出力部材であるプッシュロッド71は、圧電素子7から中空部4に延びており、且つ中央本体3に縮径して形成されたガイド部11と、ガイド部11よりもノズル先端側において中空部4に設けられたガイド片12とに対して、摺動可能に案内されている。プッシュロッド71は、アクチュエータ6の圧電素子7の作動により、高速で軸方向の往復動を繰り返す。
【0006】
コントロール部材13は中央本体3とノズル本体14との間に挟み付けられるように配置されており、ノズル本体14に係合する固定キャップ15を中央本体3のねじ部にねじ込むことにより、コントロール部材13とノズル本体14は、ともに中央本体3に対して結合されて、本体1の一部を構成している。ノズル本体14には中空穴16が形成されており、針弁17が、中空穴16内に隙間18を残す状態で摺動可能に挿通されていて、針弁17の回りに形成される隙間18は高圧燃料の通路を形成している。ノズル本体14の先端には燃料を内燃機関の燃焼室に噴射する噴孔19が形成されている。針弁17の先端はテーパ面となっており、針弁17が軸方向に移動することにより、ノズル本体14の中空穴16の先端に形成されたテーパ面20と座着又は離間して、噴孔19から燃料の噴射のための燃料の流れを遮断又は許容する。また、針弁17の中段に形成されたテーパ面21は、針弁17が噴孔19を開く方向に燃料圧を受ける受圧部を形成している。針弁17がリフトしてテーパ面20から離間すると、高圧燃料は噴孔19から燃焼室に噴射され、針弁17が下降してテーパ面20と当接すると燃料の流れを遮断して噴射を停止させる。
【0007】
高圧燃料供給源であるコモンレール(図示せず)から燃料入口部2に供給された燃料は、本体1に形成された燃料路22からコントロール部材13に形成された燃料路23を経て、更にノズル本体14に形成された燃料路24を経て、受圧部としてのテーパ面21が露呈された燃料溜まり25に至る。燃料溜まり25に至った燃料は、針弁17の回りに形成される隙間18を経て、針弁17が開弁したときに噴孔19から噴射される。
【0008】
また、コントロール部材13の中心軸からオフセットした位置において、本体1と係合しているピン28は、コントロール部材13が中央本体3に対して位置ずれを生じるのを防止している。また、図4に示すように、コントロール部材13にはノズル本体14側に開いた中空穴29が形成されている。中空穴29には、燃料圧を受ける受圧面31として後述の針弁17の端部が露呈しており、中空穴29の壁面と受圧面31とでバランスチャンバ30が形成されている。コントロール部材13のノズル本体14側の端面37において、燃料路23に連通し且つ径方向中心側に伸びる燃料の供給路32が形成されている。供給路32は、後述する針弁戻しばね46の第2ばね受け42の貫通孔42aを通じてバランスチャンバ30に連通しており、バランスチャンバ30内に高圧の燃料圧を供給する。更に、コントロール部材13の中央位置には、軸線方向に貫通する排出路33が形成されており、排出路33は、一端でバランスチャンバ30に開口し、他端で中央本体3の中空部4に開口している。
【0009】
開閉弁5は、アクチュエータ6のプッシュロッド71と当接した弁ステム34と、開閉弁5を閉じる方向に付勢するための弁ステム戻しばね35とを具備している。弁ステム34は、この発明の弁ステム部を構成している。弁ステム戻しばね35は、弁ステム34に係止された第1ばね受け36とコントロール部材13との間に圧縮状態で介装されており、常に弁ステム34に対して上方に付勢する力を与えている。
【0010】
弁ステム34は、コントロール部材13に形成されている排出路33を僅かな間隙を残して挿通し、且つバランスチャンバ30内に延びている。弁ステム34の端部には排出路33を開閉可能な弁傘38が設けられている。図4に示すように、弁傘38は、円錐状からなるテーパ面である弁フェース39を有している。弁フェース39は、排出路33のバランスチャンバ30側の開口に形成された円錐状の凹面をなす弁シート40に対して、丁度嵌まり合う形状を有している。圧電素子7が非駆動時には、プッシュロッド71は戻しばね7aによって復帰位置に戻され、開閉弁5は弁ステム戻しばね35が与えるばね力によって閉じる状態となり、この状態では、弁傘38の弁フェース39は、弁シート40に対して面接触状態に座着して排出路33を閉じている。圧電素子7に電流が供給されて駆動状態となると、開閉弁5の弁ステム34は弁ステム戻しばね35のばね力に打ち勝って図において下方に押し下げられる。このとき、弁傘38の弁フェース39は弁シート40から離れて排出路33のバランスチャンバ30側の開口を開くので、矢印で示す若干の燃料の流れがあり、バランスチャンバ30内の燃料圧は排出路33と弁ステム34との間隙を通って中空部4に解放される。
【0011】
中空穴29の上底壁面と針弁17の軸端44に取り付けられた第2ばね受け42との間には、コイルばねである針弁戻しばね46が圧縮状態で介装されている。針弁戻しばね46は、針弁17に対して噴孔19を通る燃料の流れを遮断する閉鎖方向に付勢している。供給路32からの燃料圧がバランスチャンバ30に達するように、第2ばね受け42には適宜の貫通孔42aが穿設されている。バランスチャンバ30内の燃料圧が針弁17の受圧面31に作用することに基づく力は、受圧面である針弁17のテーパ面21に作用する燃料圧及び針弁17に作用する針弁戻しばね46の戻し力とのバランスによって弁体のリフトを制御する。
【0012】
開閉弁5が排出路33を開放する際、弁傘38の弁フェース39が弁シート40から離れることによる有効開口面積は、開放弁5の作動範囲の殆どにおいて、排出路33と弁ステム34との間の間隙の通路断面積よりも小さくなるように設定されているので、開閉弁5の開度がバランスチャンバ30内の燃料圧の低下の程度を定めることになる。
【0013】
上記の燃料噴射装置の作動について説明すると、圧電素子7が駆動されていない状態では、弁ステム戻しばね35は第1ばね受け36を介して弁ステム34を付勢し、弁傘38の弁フェース39は弁シート40に当接しているので、開閉弁5は排出路33を閉じている。コモンレールからの高圧燃料は燃料入口部2から燃料路22,23及び24を通じて燃料溜まり25に供給されており、燃料溜まり25に供給された燃料は針弁17のテーパ面21に作用して針弁17をリフトする方向に付勢している。燃料は針弁17の外周のノズル本体14との間に形成される隙間18にも至り、隙間18は高圧燃料で満たされている。また、供給路32及び貫通孔42aを通じて燃料圧がバランスチャンバ30内に供給されており、燃料圧は針弁17の受圧面31に作用している。この状態では、受圧面31に作用する燃料圧に基づいて針弁17を閉じる側に付勢する力と針弁戻しばね46の戻し力との合力は、受圧面であるテーパ面21に作用する燃料圧に基づいて針弁17を開く方向に作用する力を上回っているので、針弁17は閉じて噴孔19からの燃料の噴射を停止している。
【0014】
コントロールユニット9からの制御により圧電素子7を駆動すると、弁ステム34は弁ステム戻しばね35の圧縮ばね力に抗して図において下方に付勢されて、弁傘38の弁フェース39が弁シート40から離れるので、開閉弁5は排出路33を開放することになる。供給路32は絞りとして機能しており、供給路32を流れる燃料よりも排出路33から流れ出る燃料の方が多いので、排出路33が開放されると、バランスチャンバ30内の燃料圧が中空部4に解放される。バランスチャンバ30内の燃料圧が解放されると、テーパ面21に作用する燃料圧に基づいて針弁17を開く方向に付勢する力が、針弁17の受圧面31に作用する燃料圧に基づいて針弁17を閉じる方向に付勢する力と針弁戻しばね46による戻し力との合力に打ち勝つので、針弁17がリフトされ、噴孔19から燃焼室への燃料噴射が行われる。開閉弁5が開く排出路33の有効開口面積によってバランスチャンバ30内の燃料圧の大きさが定まる。
【0015】
コントロールユニット9から圧電素子7への電流の供給が絶たれると、弁ステム戻しばね35のばね力によって開閉弁5は閉じられる。バランスチャンバ30内の燃料圧は供給路32からの燃料の供給により回復し、針弁17は燃料の噴射を停止する。回復した燃料圧は、弁傘38に作用して、弁ステム戻しばね35の作用に加えて弁フェース39を弁シート40に押し当てる方向に付勢する。したがって、バランスチャンバ30内の燃料圧が大きいほど開閉弁5の閉弁力も大きくなり、開閉弁5を通じての燃料のリークを阻止することができる。
【0016】
ところで、弁ステム34とプッシュロッド71とは、加工上及び組立上の理由から別体として製作されている。即ち、弁ステム34は、バランスチャンバ30内の燃料圧を解放する機能を奏する必要があるため、小型で高強度且つ高精度に製作する必要がある。また、プッシュロッド71はアクチュエータ6の駆動力をインジェクタの本体1内の長い距離に亘って伝えるため、充分な剛性を有する必要があり、比較的大型に製作される。更に、開閉弁5の弁傘38はバランスチャンバ30内にあって、弁ステム34が排出路33を貫通して延びる構造であるため、開閉弁5はバランスチャンバ30側から組み立てられる。大型のプッシュロッド71をバランスチャンバ30側から組み立てるのは不可能であるため、弁ステム34は、アクチュエータ6の出力部材であるプッシュロッド71とは別体に構成される。
【0017】
アクチュエータ6の駆動力を弁ステム34に伝達するため、アクチュエータ6のプッシュロッド71を開閉弁5の弁ステム34の端部に当接させた構造が採用される。燃料の噴射を停止するタイミングでは、プッシュロッド71はアクチュエータ6側の戻しばね7aによって戻し位置に復帰され、弁ステム34は、弁ステム34に付設された戻しばね35によって、開閉弁5の閉弁位置に戻される。戻しばね35によって開閉弁5が閉弁位置に戻るには、プッシュロッド71は、弁ステム34が閉弁位置に復帰するのを妨げることがあってはならず、そのため、プッシュロッド71の戻り量は弁ステム34の戻り量よりも少なくならないように設定される。
【0018】
アクチュエータ6のプッシュロッド71と開閉弁5の弁ステム34との間の間隙は、その設定及び管理が困難である。即ち、この間隙の設定が不充分であると、燃料噴射装置70の噴射特性に悪影響が生じる。即ち、当接面間の間隙が大き過ぎると、プッシュロッド71が間隙に相当するストロークを進む時間が長くなり且つ速度も速くなる。したがって、プッシュロッド71と開閉弁5の弁ステム34との衝突時の衝撃力が大きくなり、衝突面の摩耗も促進される。更に、開閉弁5を開放させようとするときに、アクチュエータのプッシュロッド71のストロークが大きくならないと開閉弁5が開放されなくなり、反対にプッシュロッド71が僅かでも戻ると開閉弁5が閉じることになる。このことは、燃料の噴射の正常なタイミングと比較すると、バランスチャンバ30内の燃料圧の低下が遅れて燃料噴射は遅く始まり、反対に燃料圧の回復が速すぎて燃料噴射は速く終了するので、燃料噴射期間が短くなって、充分な燃料の噴射量が得られなくなることを意味している。また、アクチュエータ6としては圧電素子7やソレノイドが採用されるが、アクチュエータ6としてソレノイドを採用したとき、ソレノイドの作用は間隙が小さいほど発揮する性能が大となる性質を持ち、間隙が大きくなると、電磁弁の駆動力が低下してその機能を充分に発揮させることができない。
【0019】
一方、上記間隙が狭過ぎると、場合によっては、アクチュエータ6の動作が終了しても、開閉弁5が閉じない事態にもなり、燃料の噴射が停止しないおそれもある。更に、上記間隙の調整も困難であり、上記のとおり衝突面の摩耗等により、経時(又は経年)的に噴射特性が変化する可能性もある。
【0020】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、アクチュエータの出力部材であるプッシュロッドと、ポペット弁タイプの開閉弁とを別体で構成して互いに当接させている上記のエンジンの燃料噴射装置においては、プッシュロッドと開閉弁との間隙を高い精度で設定する必要がなく、しかも、前記間隙の大きさが変化したとしても自動的に調整され、安定した燃料噴射を行わせることを可能にすることが望まれている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は、上記の課題を解決することであり、アクチュエータの駆動力を開閉弁に伝達する駆動力伝達系に自動間隙調整機構を配置することにより、上記駆動力伝達系内に間隙が発生したときであっても、自動間隙調整機構が間隙を吸収して、アクチュエータによる開閉弁の開閉動作を常に一定として、安定した燃料噴射を行うエンジンの燃料噴射装置を提供することである。
【0022】
この発明は、燃料を噴射する噴孔を備えた本体、前記本体の中空部内を往復動し且つ一端で前記噴孔を開閉する針弁、前記針弁のリフト量を制御するため燃料圧の受圧面となる前記針弁の他端が露呈しているバランスチャンバ、前記バランスチャンバに燃料圧を供給する供給路、前記バランスチャンバ内の燃料圧を解放する排出路、前記排出路を開閉するための開閉弁、及び前記開閉弁を開閉作動するための駆動力を発生させるアクチュエータを具備し、前記アクチュエータの前記駆動力を前記開閉弁に伝達する駆動力伝達系には、前記駆動力伝達系内に発生する間隙を吸収する自動間隙調整機構が設けられていることから成るエンジンの燃料噴射装置に関する。
【0023】
この発明によるエンジンの燃料噴射装置は、以上のように構成されているので、前記アクチュエータの前記駆動力を前記開閉弁に伝達する駆動力伝達系に間隙が発生すると、駆動力伝達系に設けられた自動間隙調整機構がその間隙を自動的に吸収するので、アクチュエータの出力動作は、駆動力伝達系においてガタツキなく開閉弁の開弁動作として伝達される。
【0024】
また、この発明によるエンジンの燃料噴射装置において、前記開閉弁は、排出路を貫通して前記バランスチャンバ内に延びた弁ステム部及び弁ステム部の先端に設けられ且つ閉弁状態で排出路の入口側開口部に形成された弁シートに対して接触する弁フェースを有する弁傘から成っている。このような構造を有する開閉弁を用いると、バランスチャンバ内の燃料圧は、開閉弁の閉弁に利用することができる。アクチュエータの駆動力は、弁ステムを押して、弁傘をバランスチャンバ内に押し込むように作動する。
【0025】
また、この発明によるエンジンの燃料噴射装置において、前記自動間隙調整機構は、前記駆動力伝達系に含まれる第1伝達部材、前記駆動力伝達系に含まれ且つ前記第1伝達部材と順次に前記駆動力を伝達する第2伝達部材、胴部と前記胴部の一端側を閉鎖する底部とを備え且つ前記第1伝達部材が前記胴部の他端側に嵌合することにより内部に調整用空間が形成されると共に前記第2伝達部材が前記底部に当接するカップ状バレル、前記第1伝達部材と前記カップ状バレルとの間に配設された圧縮ばね、及び前記カップ状バレルの前記底部に形成され且つ前記第2伝達部材によって開閉可能な開口を有する連通孔を具備し、前記カップ状バレルと前記第2伝達部材との間に発生する前記間隙を吸収するため前記間隙から前記連通孔を通じて前記調整用空間に液体が浸入可能であることから成っている。カップ状バレルと第2伝達部材との間に間隙が発生すると、第1伝達部材とカップ状バレルとの間に配設された圧縮ばねのばね力によってカップ状バレルが第1伝達部材側から押し出される。カップ状バレルに嵌入した第1伝達部材と底部とで区画される胴部内の空間が拡大して胴部内が負圧になるので、前記間隙から前記カップ状バレルの底部に形成された連通孔を通じて液体が胴部内に浸入する。胴部内に浸入した液体はその非圧縮性によって剛体として振る舞うので、アクチュエータからの駆動力は、第1伝達部材と第2伝達部材との間を伝わることになる。
【0026】
また、この発明によるエンジンの燃料噴射装置において、前記第1伝達部材はアクチュエータのプッシュロッドであり、前記第2伝達部材は開閉弁の弁ステム部である。即ち、アクチュエータのプッシュロッドと開閉弁の弁ステム部とで駆動力伝達系が構成され、且つプッシュロッドと弁ステム部とは、両者の間に間隙が形成され得る当接構造となる。
【0027】
更に、この発明によるエンジンの燃料噴射装置において、前記液体は、前記バランスチャンバから排出路を通じて排出され且つ本体内に滞留している燃料である。バランスチャンバから排出路を通じて排出された燃料は、本体内に滞留した後、燃料タンクへ回収されるが、自動間隙調整装置において胴部内に充填すべき液体として、バランスチャンバから排出された燃料を用いることにより、既存の液体が利用されて、自動間隙調整機構の構造、延いては燃料噴射装置の構造が簡単化されることになる。
【0028】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、この発明によるエンジンの燃料噴射装置の実施例を説明する。図1はこの発明によるエンジンの燃料噴射装置の一実施例を示す全体断面図、図2はその要部拡大断面図である。エンジンの燃料噴射装置の基本的な構造は、図3及び図4に示した燃料噴射装置70の構造と比較して、アクチュエータ6の駆動力の伝達系を構成するプッシュロッド10と開閉弁5の弁ステム部34との間に自動間隙調整機構50が介在されている点で異なる以外は同様の構造を有しており、同じ構成要素には同一の符号を付したので、再度の詳細な説明を省略する。この実施例のバランスチャンバ30及び開閉弁5を中心とする詳細な構造についても、図4に示した構造と同じものである。
【0029】
図1及び図2に示すこの発明によるエンジンの燃料噴射装置は、コモンレール噴射システム、或いはアキュムレータ噴射システム(図示せず)に適用される。燃料噴射ポンプからの燃料はコモンレールと称される共通の通路や蓄圧室に供給され、コモンレールに供給された燃料は、更に分岐管を通じて燃料噴射装置、即ち、インジェクタから各燃焼室に噴射される。図1を参照すると、この燃料噴射装置の本体1はシリンダヘッド等のベースに設けた穴部(図示せず)にシール部材を介して密封状態に取り付けられる。本体1の下端には、ノズルが密封状態に形成されている。
【0030】
図2に基づいて自動間隙調整機構50の構造について説明する。アクチュエータ6からの駆動力を伝達する駆動力伝達系に含まれる第1伝達部材としてのプッシュロッド10と、第2伝達部材としての弁ステム34との間には、自動間隙調整機構50が配設されている。アクチュエータ6のプッシュロッド10の先端部51の近傍には、後述する調整用の圧縮ばね61の一端が係止される鍔部52が一体的に形成されている。カップ状バレル54は、開放されている一側においてプッシュロッド10の先端部51が嵌入する胴部55と、胴部55の他側を閉鎖する底部57とを備えている。プッシュロッド10の先端部51の周面53と胴部55の内周面56との間は、燃料が僅かに漏れるリーク隙間となっている。
【0031】
カップ状バレル54の底部57は周囲において径方向に延びる鍔部58を有しており、鍔部58とプッシュロッド10の先端部51に形成された鍔部52との間に、自動間隙調整を行うために必要な力を与える調整用の圧縮ばね61が圧縮状態で配設されている。圧縮ばね61のばね力は、弁ステム戻しばね35のばね力よりも弱く設定されている。カップ状バレル54の底部57には、カップ状バレル54の外部と胴部55の内部に形成される調整用空間62とを連通する連通孔60が貫通して形成されている。駆動力伝達系に間隙が生じていない状態では、開閉弁5の弁ステム34の端面63とカップ状バレル54の底部57の底面59とは当接しており、連通孔60の開口が閉じられている。
【0032】
自動間隙調整機構50は以上のように構成されており、その作動について以下に説明する。初期設定時は勿論のこと、経年変化や摩耗等に起因して、弁ステム34の端面63と底部57の底面59との間に、間隙が形成され易い。即ち、アクチュエータ6が非駆動状態になり、プッシュロッド10が戻しばね7aによって後退させられて、弁ステム34が戻しばね35のばね力によって開閉弁5を閉弁したときに、弁ステム34の端面63とカップ状バレル54の底部57の底面59との間に間隙が発生する。このとき、鍔部52と鍔部58との間で圧縮状態に配設された圧縮ばね61がカップ状バレル54をプッシュロッド10の先端部51から押し出すように移動させる。
【0033】
このとき、カップ状バレル54の内部において、プッシュロッド10の先端部51と底部57との間に形成されている調整用空間62には、既に、バランスチャンバ30から排出路33を通じて排出された燃料が入り込んでいるが、上記圧縮ばね61のばね力によってカップ状バレル54が移動させられると、調整用空間62は軸方向に延び、調整用空間62内は負圧となって、弁ステム34の端面63と底部57の底面59との間に発生している間隙から連通孔60を通じて調整用空間62に燃料が更に浸入する。燃料の調整用空間62内への浸入に応じて、カップ状バレル54がプッシュロッド10から突出する突出量が増加し、プッシュロッド10と弁ステム34との間の間隙が吸収される。
【0034】
この動作は、底部57の底面59が弁ステム34の端面63に当接するまで続けられる。底面59が端面63に当接すると、圧縮ばね61のばね力は、より強力な弁ステム戻しばね35によって閉弁方向に付勢されている開閉弁5の弁ステム34によって支持され、カップ状バレル54の移動は停止する。同時に、連通孔60が弁ステム34の端面63により閉鎖され、それ以後、燃料の連通孔60を通じた調整用空間62への浸入が阻止される。以上のように、プッシュロッド10と弁ステム34との間に間隙が発生すると、調整用空間62への燃料の浸入によってプッシュロッド10からのカップ状バレル54の突出量が増加するので、駆動力伝達系に発生した間隙が自動的に吸収されて調整される。
【0035】
調整用空間62に浸入した燃料は、調整用空間62内に留め置かれるので、プッシュロッド10からの駆動力が作用するときには、剛体として振る舞い、弁ステム34に駆動力を伝達する。なお、調整用空間62に過剰な燃料が浸入した場合には、幾度かの燃料噴射が実行される過程において、プッシュロッド10の先端部51の周面53と胴部55の内周面56との間に僅かに形成されるリーク間隙を通じて燃料が解放されるため、正常な量の燃料が調整用空間62に保持されることになる。
【0036】
【発明の効果】
この発明は、上記のように構成されているので、次のような効果を奏する。即ち、この発明による燃料噴射装置は、燃料を噴射する噴孔を備えた本体、前記本体の中空部内を往復動し且つ一端で前記噴孔を開閉する針弁、前記針弁のリフト量を制御するため燃料圧の受圧面となる前記針弁の他端が露呈しているバランスチャンバ、前記バランスチャンバに燃料圧を供給する供給路、前記バランスチャンバ内の燃料圧を解放する排出路、前記排出路を開閉するための開閉弁、及び前記開閉弁を開閉作動するための駆動力を発生させるアクチュエータを具備し、前記アクチュエータの前記駆動力を前記開閉弁に伝達する駆動力伝達系には、前記駆動力伝達系内に発生する間隙を吸収する自動間隙調整機構が設けられているので、前記アクチュエータの前記駆動力を前記開閉弁に伝達する駆動力伝達系に間隙が発生すると、駆動力伝達系に設けられた自動間隙調整機構がその間隙を自動的に吸収し、アクチュエータの出力動作は、駆動力伝達系においてガタツキなく開閉弁の開弁動作として伝達されることとなって、駆動力伝達系内に間隙が発生したことによって開閉弁の開弁動作の遅れ等の不正常な開閉動作を回避し、安定し且つ確実な燃料噴射を得ることができる。また、この発明によるエンジンの燃料噴射装置において、前記自動間隙調整機構は、前記駆動力伝達系に含まれる第1伝達部材、前記駆動力伝達系に含まれ且つ前記第1伝達部材と順次に前記駆動力を伝達する第2伝達部材、胴部と前記胴部の一端側を閉鎖する底部とを備え且つ前記第1伝達部材が前記胴部の他端側に嵌合することにより内部に調整用空間が形成されると共に前記第2伝達部材が前記底部に当接するカップ状バレル、前記第1伝達部材と前記カップ状バレルとの間に配設された圧縮ばね、及び前記カップ状バレルの前記底部に形成され且つ前記第2伝達部材によって開閉可能な開口を有する連通孔を具備し、前記カップ状バレルと前記第2伝達部材との間に発生する前記間隙を吸収するため前記間隙から前記連通孔を通じて前記調整用空間に液体が浸入可能であることから成っているので、カップ状バレルと第2伝達部材との間に間隙が発生すると、第1伝達部材とカップ状バレルとの間に配設された圧縮ばねのばね力によってカップ状バレルが第1伝達部材側から押し出される。カップ状バレルに嵌入した第1伝達部材と底部とで区画される胴部内の空間が拡大して胴部内が負圧になるので、前記間隙から前記カップ状バレルの底部に形成された連通孔を通じて液体が胴部内に浸入する。胴部内に浸入した液体はその非圧縮性によって剛体として振る舞うので、アクチュエータからの駆動力は、第1伝達部材と第2伝達部材との間を伝わることになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明によるエンジンの燃料噴射装置の一実施例を示す断面図である。
【図2】図1に示す燃料噴射装置の要部拡大断面図である。
【図3】従来の燃料噴射装置を示す断面図である。
【図4】図3に示す燃料噴射装置の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1 本体
3 中央本体
4 中空部
5 開閉弁
6 アクチュエータ
10 プッシュロッド(第1伝達部材)
13 コントロール部材
14 ノズル本体
16 中空穴
17 針弁
19 噴孔
29 中空穴
30 バランスチャンバ
31 受圧面
32 供給路
33 排出路
34 弁ステム(第2伝達部材)
38 弁傘
39 弁フェース
40 弁シート
50 自動間隙調整機構
54 カップ状バレル
55 胴部
57 底部
60 連通孔
61 圧縮ばね
62 調整用空間

Claims (4)

  1. 燃料を噴射する噴孔を備えた本体、前記本体の中空部内を往復動し且つ一端で前記噴孔を開閉する針弁、前記針弁のリフト量を制御するため燃料圧の受圧面となる前記針弁の他端が露呈しているバランスチャンバ、前記バランスチャンバに燃料圧を供給する供給路、前記バランスチャンバ内の燃料圧を解放する排出路、前記排出路を開閉するための開閉弁、及び前記開閉弁を開閉作動するための駆動力を発生させるアクチュエータを具備し、前記アクチュエータの前記駆動力を前記開閉弁に伝達する駆動力伝達系には、前記駆動力伝達系内に発生する間隙を吸収する自動間隙調整機構が設けられていることから成るエンジンの燃料噴射装置において、
    前記自動間隙調整機構は、前記駆動力伝達系に含まれる第1伝達部材、前記駆動力伝達系に含まれ且つ前記第1伝達部材と順次に前記駆動力を伝達する第2伝達部材、胴部と前記胴部の一端側を閉鎖する底部とを備え且つ前記第1伝達部材が前記胴部の他端側に嵌合することにより内部に調整用空間が形成されると共に前記第2伝達部材が前記底部に当接するカップ状バレル、前記第1伝達部材と前記カップ状バレルとの間に配設された圧縮ばね、及び前記カップ状バレルの前記底部に形成され且つ前記第2伝達部材によって開閉可能な開口を有する連通孔を具備し、前記カップ状バレルと前記第2伝達部材との間に発生する前記間隙を吸収するため前記間隙から前記連通孔を通じて前記調整用空間に液体が浸入可能であることを特徴とするエンジンの燃料噴射装置。
  2. 前記開閉弁は、前記排出路を貫通して前記バランスチャンバ内に延びた弁ステム部及び前記弁ステム部の先端に設けられ且つ閉弁状態で前記排出路の入口側開口部に形成された弁シートに対して接触する弁フェースを有する弁傘から成ることを特徴とする請求項1に記載のエンジンの燃料噴射装置。
  3. 前記第1伝達部材は、前記アクチュエータのプッシュロッドであり、前記第2伝達部材は、前記開閉弁の前記弁ステム部であることを特徴とする請求項1又は2に記載のエンジンの燃料噴射装置。
  4. 前記液体は、前記バランスチャンバから前記排出路を通じて排出され且つ前記本体内に滞留している前記燃料であることを特徴とする請求項3に記載のエンジンの燃料噴射装置。
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