JP3724122B2 - 誘導発電機の突入電流出力変動抑制装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
この発明は、誘導発電機の突入電流および出力変動抑制する装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
風力発電に用いられる発電機としては、小形、軽量メンテナンスフリーおよび励磁装置、位相同期回路が不要などの点からかご形誘導発電機が多く採用されている。しかし、誘導発電機を系統に連系する場合、突入電流が流れるためそれを抑制する必要がある。この突入電流抑制方式としては後記表１に示す種々の方式がある。
【０００３】
また、風力発電機は構造が簡単で保守性能の高く、騒音が低い固定翼ストール制御が主流である。しかし、翼を固定しているために誘導発電機に与えるトルクが風力の変化によって変化し、それに伴い発電機出力も変動し、配電系統に影響を与える。
【０００４】
近年、系統補償装置として直列形系統補償装置が注目され実用化に向けて研究が行われている。これは次のような特長を有する。
【０００５】
（ａ）ＳＶＧ，ＳＶＣなど並列形系統補償装置は、負荷容量と同じ容量の装置が必要となるが、直列形は系統のリアクタンス分のみ電圧を補償すればよく、小容量化できる。
【０００６】
（ｂ）直列形系統補償装置は系統と直列に接続された電圧源とみなすことができる。電圧の補償量を調節することによって、上位系統の変動による下位系統の電圧変動を抑制できる。
【０００７】
（ｃ）補償電圧の位相を変化させて力率改善が可能である。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
表１に従来風力発電機の突入電流抑制方法の特徴を示す。
【０００９】
【表１】
【００１０】
表１から突入電流抑制する方式としてはソフトスタート方式が有効である。しかし、系統並列時の突入電流を抑制することはできるが、連系後の電圧・出力変動を抑制することができない。
【００１１】
この発明は、系統並列時の突入電流の抑制と連系後の電圧・出力変動を抑制できる誘導発電機の突入電流出力変動抑制装置を提供するものである。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
本発明は、配電系統とこれに連系する風力発電用の誘導発電機において、
前記配電系統の発電機側に直列変圧器，上位側に並列変圧器の各一次側をそれぞれ接続し、
並列変圧器の二次側に無効電力補償制御される並列補償用変換装置を接続し、
直列変圧器の二次側に無効電力補償制御および有効電力補償制御または位相制御される直列補償用変換装置を接続し、
且つ並列補償用変換装置と直列補償用変換装置の各直流側は共通のコンデンサを介して接続し、
前記誘導発電機への突入電流は直列変圧器の洩れインピーダンスにより抑制し、並列補償用変換装置および直列補償用変換装置で電圧変動の抑制と誘導発電機の出力変動を抑制するよう構成すると共に、
直列補償用変換装置と並列に、事故電流流入時の電流を流して直列補償用変換装置を保護するサイリスタ制御回路を接続したことを特徴としたものである。
【００１４】
【発明の実施の形態】
図１に実施の形態にかかる誘導発電機の突入電流出力変動抑制装置のシステム構成を示す。図において、ＩＧは配電系統Ｓに直列変圧器ＴＲS，遮断器ＣＢ2を介して接続された誘導発電機、１は系統Ｓに遮断器ＣＢ１，並列変圧器ＴＲPを介して接続された並列形系統補償用電力変換装置（以下単に並列補償用変換装置という）、２は上記直列変圧器ＴＲSの２次側に接続された直列形系統補償用電力変換装置（以下単に並列補償用電力変換器という）、３は直列補償用変換装置２と並列に接続された変換装置２のインバータを保護するサイリスタ制御回路である。変換装置１と２の直流側には共通の直流コンデンサＣが接続されている。
【００１５】
並列，直列補償用変換装置１，２のインバータはＩＧＢＴ，ＧＴＯ等の自励式半導体素子を用いて構成され、無効電力補償制御によりシステム上位側端子電圧Ｖt及び下位側端子電圧Ｖgを調整する。また、直列補償用変換装置２は事故電流流入時にサイリスタ制御回路３に電流を流して保護する。
【００１６】
上記システムは並列側を電流源、直流側を電圧源とした図２に示す等価回路で表すことができる。
【００１７】
並列補償用変換装置１は系統Ｓに無効電力ｊＱPARを供給し、直列補償用変換装置２は系統Ｓに有効・無効電力（ＰSER＋ｊＱSER）を供給する。電圧変動の抑制は無効電力を補償すればよいので、並列，直列双方の変換装置１，２を無効電力補償制御することによって無効電力ｊＱPAR，ｊＱSERを変化させ端子電圧Ｖt，Ｖgの電圧変動を抑制することができる。したがって、無効電力の補償を双方で分担することにより並列補償用変換装置２の容量を小さくすることができる。
【００１８】
また、誘導発電機ＩＧの出力変動は直列補償用変換装置２を有効電力補償制御することにより抑制できる。また出力変動は変換装置２の位相制御によってもでき、系統の力率改善が可能となる。
【００１９】
誘導発電機ＩＧ連系時の突入電流は直列変圧器ＴＲSの洩れインピーダンスＺTRにより抑制される。
【００２０】
【発明の効果】
この発明は、上述のように構成されているので、以下に記載する効果を奏する。
【００２１】
（１）直列変圧器のインピーダンスにより突入電流の抑制が可能である。
【００２２】
（２）直列補償用変換器により発電機上位系統電圧および出力の変動を抑制することが可能である。
【００２３】
（３）直列補償用変換器の位相制御により力率改善が可能である。
【００２４】
（４）直列変圧器の採用によりシステムの小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施の形態にかかるシステム構成図。
【図２】システム等価回路図。
【符号の説明】
１…並列補償用変換器
２…直列補償用変換器
３…インバータ保護用サイリスタ制御回路
ＩＧ…誘導発電機
Ｓ…配電系統
ＴＲP…並列変圧器
ＴＲS…直列変圧器。
【発明の属する技術分野】
この発明は、誘導発電機の突入電流および出力変動抑制する装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
風力発電に用いられる発電機としては、小形、軽量メンテナンスフリーおよび励磁装置、位相同期回路が不要などの点からかご形誘導発電機が多く採用されている。しかし、誘導発電機を系統に連系する場合、突入電流が流れるためそれを抑制する必要がある。この突入電流抑制方式としては後記表１に示す種々の方式がある。
【０００３】
また、風力発電機は構造が簡単で保守性能の高く、騒音が低い固定翼ストール制御が主流である。しかし、翼を固定しているために誘導発電機に与えるトルクが風力の変化によって変化し、それに伴い発電機出力も変動し、配電系統に影響を与える。
【０００４】
近年、系統補償装置として直列形系統補償装置が注目され実用化に向けて研究が行われている。これは次のような特長を有する。
【０００５】
（ａ）ＳＶＧ，ＳＶＣなど並列形系統補償装置は、負荷容量と同じ容量の装置が必要となるが、直列形は系統のリアクタンス分のみ電圧を補償すればよく、小容量化できる。
【０００６】
（ｂ）直列形系統補償装置は系統と直列に接続された電圧源とみなすことができる。電圧の補償量を調節することによって、上位系統の変動による下位系統の電圧変動を抑制できる。
【０００７】
（ｃ）補償電圧の位相を変化させて力率改善が可能である。
【０００８】
【発明が解決しようとする課題】
表１に従来風力発電機の突入電流抑制方法の特徴を示す。
【０００９】
【表１】
表１から突入電流抑制する方式としてはソフトスタート方式が有効である。しかし、系統並列時の突入電流を抑制することはできるが、連系後の電圧・出力変動を抑制することができない。
【００１１】
この発明は、系統並列時の突入電流の抑制と連系後の電圧・出力変動を抑制できる誘導発電機の突入電流出力変動抑制装置を提供するものである。
【００１２】
【課題を解決するための手段】
本発明は、配電系統とこれに連系する風力発電用の誘導発電機において、
前記配電系統の発電機側に直列変圧器，上位側に並列変圧器の各一次側をそれぞれ接続し、
並列変圧器の二次側に無効電力補償制御される並列補償用変換装置を接続し、
直列変圧器の二次側に無効電力補償制御および有効電力補償制御または位相制御される直列補償用変換装置を接続し、
且つ並列補償用変換装置と直列補償用変換装置の各直流側は共通のコンデンサを介して接続し、
前記誘導発電機への突入電流は直列変圧器の洩れインピーダンスにより抑制し、並列補償用変換装置および直列補償用変換装置で電圧変動の抑制と誘導発電機の出力変動を抑制するよう構成すると共に、
直列補償用変換装置と並列に、事故電流流入時の電流を流して直列補償用変換装置を保護するサイリスタ制御回路を接続したことを特徴としたものである。
【００１４】
【発明の実施の形態】
図１に実施の形態にかかる誘導発電機の突入電流出力変動抑制装置のシステム構成を示す。図において、ＩＧは配電系統Ｓに直列変圧器ＴＲS，遮断器ＣＢ2を介して接続された誘導発電機、１は系統Ｓに遮断器ＣＢ１，並列変圧器ＴＲPを介して接続された並列形系統補償用電力変換装置（以下単に並列補償用変換装置という）、２は上記直列変圧器ＴＲSの２次側に接続された直列形系統補償用電力変換装置（以下単に並列補償用電力変換器という）、３は直列補償用変換装置２と並列に接続された変換装置２のインバータを保護するサイリスタ制御回路である。変換装置１と２の直流側には共通の直流コンデンサＣが接続されている。
【００１５】
並列，直列補償用変換装置１，２のインバータはＩＧＢＴ，ＧＴＯ等の自励式半導体素子を用いて構成され、無効電力補償制御によりシステム上位側端子電圧Ｖt及び下位側端子電圧Ｖgを調整する。また、直列補償用変換装置２は事故電流流入時にサイリスタ制御回路３に電流を流して保護する。
【００１６】
上記システムは並列側を電流源、直流側を電圧源とした図２に示す等価回路で表すことができる。
【００１７】
並列補償用変換装置１は系統Ｓに無効電力ｊＱPARを供給し、直列補償用変換装置２は系統Ｓに有効・無効電力（ＰSER＋ｊＱSER）を供給する。電圧変動の抑制は無効電力を補償すればよいので、並列，直列双方の変換装置１，２を無効電力補償制御することによって無効電力ｊＱPAR，ｊＱSERを変化させ端子電圧Ｖt，Ｖgの電圧変動を抑制することができる。したがって、無効電力の補償を双方で分担することにより並列補償用変換装置２の容量を小さくすることができる。
【００１８】
また、誘導発電機ＩＧの出力変動は直列補償用変換装置２を有効電力補償制御することにより抑制できる。また出力変動は変換装置２の位相制御によってもでき、系統の力率改善が可能となる。
【００１９】
誘導発電機ＩＧ連系時の突入電流は直列変圧器ＴＲSの洩れインピーダンスＺTRにより抑制される。
【００２０】
【発明の効果】
この発明は、上述のように構成されているので、以下に記載する効果を奏する。
【００２１】
（１）直列変圧器のインピーダンスにより突入電流の抑制が可能である。
【００２２】
（２）直列補償用変換器により発電機上位系統電圧および出力の変動を抑制することが可能である。
【００２３】
（３）直列補償用変換器の位相制御により力率改善が可能である。
【００２４】
（４）直列変圧器の採用によりシステムの小型化が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図１】実施の形態にかかるシステム構成図。
【図２】システム等価回路図。
【符号の説明】
１…並列補償用変換器
２…直列補償用変換器
３…インバータ保護用サイリスタ制御回路
ＩＧ…誘導発電機
Ｓ…配電系統
ＴＲP…並列変圧器
ＴＲS…直列変圧器。
Claims (1)
- 配電系統とこれに連系する風力発電用の誘導発電機において、
前記配電系統の発電機側に直列変圧器，上位側に並列変圧器の各一次側をそれぞれ接続し、
並列変圧器の二次側に無効電力補償制御される並列補償用変換装置を接続し、
直列変圧器の二次側に無効電力補償制御および有効電力補償制御または位相制御される直列補償用変換装置を接続し、
且つ並列補償用変換装置と直列補償用変換装置の各直流側は共通のコンデンサを介して接続し、
前記誘導発電機への突入電流は直列変圧器の洩れインピーダンスにより抑制し、並列補償用変換装置および直列補償用変換装置で電圧変動の抑制と誘導発電機の出力変動を抑制するよう構成すると共に、
直列補償用変換装置と並列に、事故電流流入時の電流を流して直列補償用変換装置を保護するサイリスタ制御回路を接続したことを特徴とする誘導発電機の突入電流出力変動抑制装置。
Priority Applications (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15275197A JP3724122B2 (ja) | 1997-06-11 | 1997-06-11 | 誘導発電機の突入電流出力変動抑制装置 |
Applications Claiming Priority (1)
| Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
|---|---|---|---|
| JP15275197A JP3724122B2 (ja) | 1997-06-11 | 1997-06-11 | 誘導発電機の突入電流出力変動抑制装置 |
Publications (2)
| Publication Number | Publication Date |
|---|---|
| JPH114543A JPH114543A (ja) | 1999-01-06 |
| JP3724122B2 true JP3724122B2 (ja) | 2005-12-07 |
Family
ID=15547378
Family Applications (1)
| Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
|---|---|---|---|
| JP15275197A Expired - Fee Related JP3724122B2 (ja) | 1997-06-11 | 1997-06-11 | 誘導発電機の突入電流出力変動抑制装置 |
Country Status (1)
| Country | Link |
|---|---|
| JP (1) | JP3724122B2 (ja) |
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|---|---|---|---|---|
| JP4002763B2 (ja) | 1999-09-13 | 2007-11-07 | アロイス・ヴォベン | 電気ネットワークにおける電気エネルギを生成するための装置及び無効電力の調整方法 |
| JP2006109568A (ja) * | 2004-10-01 | 2006-04-20 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 発電装置、発電装置の系統連系方法、及び発電装置の系統連系制御プログラム |
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| CN109031179B (zh) * | 2018-07-04 | 2020-11-24 | 云南电网有限责任公司 | 主变ct极性和保护方向自适应校验方法 |
-
1997
- 1997-06-11 JP JP15275197A patent/JP3724122B2/ja not_active Expired - Fee Related
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|---|---|
| JPH114543A (ja) | 1999-01-06 |
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