JP3713538B2 - 二重共鳴を利用する放射温度測定装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本願発明は、物体からの熱放射の輝度を捉えて物体の温度を決定する放射温度測定装置に関する。特に、プランクの輻射法則に基づき温度目盛を実現する標準放射温度計に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、温度の測定技術として、放射温度計がある。測定対象の特定波長帯域の熱放射輝度から対象の温度を測定する温度計である。波長帯域を限定して測定された物体の熱放射輝度が、物体の温度と放射率によって、下記式で表されるプランクの輻射法則により決まる現象を利用している。
【数1】
左辺のLλ(λ、T)は波長λ,温度Tにおける黒体の分光放射輝度であり、c1,c2はそれぞれ放射の第一定数および第二定数であり、以下のとおりである。
c1=2πhc2=(3.741832±0.000020)×10-16 W・m2
c2=ch/k=(1.438786±0.000045)×10-2 m・K
【0003】
光検出器としては、例えば、可視領域においてはシリコンなどのフォトダイオードを用いる。分光放射輝度を測定する場合、測定波長帯域を選択するために分光器を用いる必要があるが、これは一般に大型で持ち運びに向かず、安定性も悪い。従って、通常は、波長選択を行うために小型で安定性の良い干渉フィルターを用いている。干渉フィルターにより選択する波長幅は、測定に十分な信号強度を得るために、ある幅を持たせ、例えば、400℃から2000℃を測定範囲とする測定波長900nmの温度計の場合、約80nmである(「放射測温と高温度標準」O plus E Vol.22 No.6 (2000))。従って、実際に観測される輝度信号Sと測定対象の温度Tの関係は、干渉フィルターの分光透過率と光検出器の分光感度を加味し、さらに、受光光学系の開口径やレンズの透過率など、装置に関わる係数を考慮し、プランクの輻射公式を近似的に表現した下記の式で表される。
【数2】
ただし、A,B,Cは、未定係数であり、A,Bは、測定波長帯やその帯域幅の情報を持っている。Cは感度係数である。
【0004】
このような従来技術の放射温度計を用いて温度目盛を実現する方法が<服部晋 他:狭波長帯域放射温度計の特性表示式,計量研究所報告, 32-1,29-34 (1983).>に記載されている。これによると、干渉フィルターの相対分光透過率と検出器の相対分光感度の積としての分光応答度の測定、検出器の信号強度の線型性の測定とその他装置係数を決定する手段としての参照温度定点(銅点)での測定を行うことで目盛が実現される。
【0005】
しかし、分光応答度の測定には非常に高度な技術が要求されるため、分光応答度測定精度の限界が高精度の温度目盛実現を妨げる最大要因となっている。さらに、干渉フィルターの透過波長は、経時変化するため、分光応答度測定は、定期的に繰り返す必要がある。また、干渉フィルターの透過波長はフィルターの温度にも敏感に影響されて変化するため、分光応答度測定を行った環境と実際にこの温度計を使って温度測定を行う環境とで室温が異なる場合、誤差を生じるという問題がある。
【0006】
従来の放射温度計は、検出器系における信号強度の非線型性があると大きな誤差を生じるため高精度の非線型評価を行う必要があるが、これは非常に困難で、十分な温度決定精度が得られない。
【0007】
従来の放射温度計を温度目盛を実現する標準放射温度計として用いる場合のもう一つの問題点として、参照温度定点での校正が必要とされる点が挙げられるが、この参照温度定点実現装置の誤差が温度目盛の精度の低下を招いている。
【0008】
さらに、温度の測定範囲が低温の場合、可視光領域では十分な熱放射が得られないため、赤外光領域で熱放射を捉える必要がある。しかし、赤外光の高精度検出は可視光に比べ困難で、検出器の受光感度も低く、出力応答の直線性も劣る。そのため、低温域での十分な温度測定精度が得られない。
【0009】
一方、特開平5−79920号公報においては、二色放射温度計が示されているが、これは、熱放射体の2つの波長における分光放射輝度L1、L2の比L1/L2がその放射体の温度の関数で表されることを利用した温度計である(図1参照)。光学系は、2波長の分光放射輝度を交互に測定するためのフィルター交換機構を有する。このような従来の二色温度計は、放射率比を一定と仮定して測定を行うことにより対象放射率の影響を受けずに温度測定を行うことを目的としている。しかし、輝度比の測定を用いることにより放射率の変動による効果は消去されるものの、干渉フィルター透過率や光検出器感度による影響は消去されないため、別途目盛が実現されている標準放射温度計との比較校正を経て温度測定に使用可能となる。従って、温度目盛の設定に用いる標準放射温度計としての機能は持っていない。
【0010】
また、特開平5−10822号公報においては、迷光雑音の遮蔽体と、波長、偏光測定角度のうち少なくとも1つ以上異なる条件で定義される2つの分光放射輝度信号を計測するための2組のフォトンカウンタと、演算装置、パラメータ入力装置、及び演算結果出力装置より構成される放射温度計測装置が記載されている。この装置も放射率の変動の影響を受けずに温度を測定することを目的にしており、測定物体表面の分光放射輝度に比例した光子数を異なる分光条件で2組のフォトンカウンタを使用することで計数し、2つの分光放射輝度に対応する分光放射率間の関係式を解くことによって放射率を自動的に計算しながら温度を求めるため、放射率の影響を受けず、測定精度の向上が図れる。フォトンカウンタを使用することにより、光子数の離散的計数が可能となり、S/N比が改善されることが特徴である。しかし、放射率の変動による効果は消去されるものの、干渉フィルター絶対透過率や光検出器絶対感度などは消去されないため、別途目盛が実現されている標準放射温度計との比較校正を経て温度測定に使用可能となる。従って、温度目盛の設定に用いる標準放射温度計としての機能は持っていない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来の放射温度測定技術の持つ上記問題点を克服し、高精度な温度目盛の実現が可能な標準放射温度計を得ることが課題である。すなわち、
【0012】
第一の課題は、放射温度計の分光応答度評価を不要にし、高精度の標準放射温度計を得ることである。
【0013】
第二の課題は、検出器系において信号強度に対する非線型性をなくし、温度決定の際の非線型測定による不確かさの影響をなくすことである。
【0014】
第三の課題は、参照温度定点での校正を不要にし、直接物体の温度を決定することを可能とすることである。
【0015】
第四の課題は、赤外領域の放射光を、高感度・高精度検出が可能な可視波長域の検出器で測定できるようにすることである。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本願発明は、上記課題を解決するために、測定対象からの熱放射の強度から対象温度を求める放射温度測定装置において、前記熱放射による原子又は分子のエネルギー準位間の光学遷移を持つ二重共鳴現象による波長変換手段および前記二重共鳴現象によって生じた光の強度変化の観測手段を有し、観測された光強度の変化から対象温度求めることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の原理及び作用】
二重共鳴現象は、二種類の電磁波を用いる分光法であり、通常、1つの電磁波は、測定対象の平衡分布をこわすために用いられ、他の電磁波は、その影響を検出するために用いられる。それぞれの電磁波の波長は、物質系のエネルギー準位間の2つの遷移に共鳴しているが、本願発明の下記の具体例のように、2つの遷移が1つのエネルギー準位を共有している場合を三準位二重共鳴という。使用する電磁波の種類によってマイクロ波−赤外二重共鳴や、ラジオ波−光二重共鳴などと呼ばれるが、本願発明は、赤外光をよりエネルギーの大きい可視光あるいは紫外光に変換する手段として二重共鳴を用いているため、可視−赤外二重共鳴、紫外−赤外二重共鳴と呼ぶ。
【0018】
本願発明の二重共鳴の手法による温度決定の原理を述べる。赤外および可視の遷移が1つの準位を共有する図2−1に示すような3準位系原子を選択し、図3のセル内に入れる。可視光遷移の準位にはあらかじめ原子の占有数が無いように設定する。測定対象物からの赤外光が入ると、赤外遷移が起こり、可視光遷移の準位に原子の占有が現れ、可視光遷移がおこる。この遷移が起こることにより、あらかじめ入れておいた可視光が吸収され、減少する。また、可視光遷移が起こることで、励起された原子の自然放出により蛍光が生じる。この際、可視光遷移が強い許容遷移となるような、たとえばD→P、P→S遷移の組み合わせになるようにしておくと効率よく赤外遷移をとらえることが出来る。ここでD、P、Sとは原子の電子状態の合成角運動量がそれぞれ2、1、0であることを表す。可視光の吸収強度、あるいは蛍光強度を検出器系で測定し、その信号を増幅器により増幅する。
【0019】
これにより、測定対象の表面温度とプランクの輻射公式によってつながっている熱放射輝度に比例した信号が得られる。したがって、この信号をプランクの輻射公式に代入し、温度を決定するといった信号処理系を介すことで、最終的に温度が求まる。図4にそのダイアグラムを示す。
【0020】
本願発明においては、二重共鳴の手法を用いることで、以下の原理で、従来の放射温度計による温度目盛設定方法に必要とされていた干渉フィルターの相対分光透過率と検出器の相対分光感度の積としての分光応答度の測定、検出器の信号強度の線型性の測定とその他装置係数を決定する手段としての参照温度定点(銅点)での測定を行うことなく、温度目盛が実現できる。
【0021】
原子あるいは分子のエネルギー準位間の光学遷移を利用した二重共鳴過程を波長選択に利用すれば、原子あるいは分子のエネルギー準位構造は、固有のもので、量子力学的に計算されているためエネルギー準位間の遷移周波数は、既知であり、変化しないため、別途分光応答度の測定が不要となり、高精度の標準放射温度計を得ることが可能となる。
【0022】
二重共鳴によって生じた光強度変化を観測する光検出器をフォトンカウンティング検出器にすることで、1光子単位の測定が可能となり、原理的に信号強度に対して線型な測定が可能である。従来の放射温度計の温度決定における大きな不確かさ要因であった信号強度に対する非線型応答性の影響がなくなり、十分な温度決定精度を得ることができる。
【0023】
同一の原子あるいは分子が持つ複数の二重共鳴遷移に対して、前記熱放射と複数の波長の異なる可視光あるいは紫外光レーザー、又は波長可変な可視光あるいは紫外光レーザーを共鳴させ、これによって生じた光の強度変化の観測を、前記複数の波長の異なる可視光あるいは紫外光レーザーの吸収強度の比または前記可視光あるいは紫外光レーザーの複数の波長における蛍光強度の比の測定により行うため、前記数式2における装置係数Cを消去することができる。従って参照温度定点での校正を不要にし、直接物体の温度を決定することが可能となる
【0024】
二重共鳴による波長変換手段により、測定対象である物体からの熱放射の赤外光を、これよりも波長の短い可視あるいは紫外光に変換する。これはエネルギーの低い光子をエネルギーの高い光子に変換することに相当するので、赤外もしくは紫外領域の測定を、高感度・高精度検出が可能な可視波長域で実施することが可能となる。
【0025】
2重共鳴の典型的な方法としては、図2に示すごとく三通りが主に考えられる。それらを第1遷移パターン、第2遷移パターンおよび第3遷移パターンと呼ぶことにする。もちろん、その他のパターンも存在しうることは明らかである。
【0026】
第1遷移パターンは、図2−1に示されるように、吸収・蛍光法であり、検出したい赤外光が入ると、S→P遷移が生じる。するとP準位の原子は常時入れておいた可視レーザー光を吸収してP→D遷移が生じ、D準位に励起されるので、可視レーザー光の一部に吸収ピークが観測されることになる。また、同時に、D→P遷移も起こるので、この遷移は蛍光により観測することもできる。
【0027】
第2の遷移パターンは、図2−2に示される。▲1▼の可視光を常時に入れておくことにより、原子をP準位に上げておく。次に、▲2▼のように、検出したい赤外光が入ると、原子は、D準位に励起されてしまうので、P準位からの可視光の蛍光が弱くなるものである。この方法は、その蛍光が減る(ほぼ蛍光がなくなる)様子を観測する方法である。蛍光がほぼゼロになる様子を観測するため、高感度な測定が可能である。
【0028】
第3の遷移パターンは、図2−3に示される。あらかじめ励起用レーザー光あるいは放電などにより、原子をD準位に励起しておく。そこに、検出したい赤外光が入ると、D→P遷移が生じ、原子がP準位に励起される。すると自然放出によりP→S遷移が生じ、蛍光を観測することができる。
【0029】
【実施の態様】
【実施例1】
本願発明を実施する装置の第一の実施例を図3に示す。
図3においては、測定対象である物体の放射光(赤外光)と可視レーザー光とをビームスプリッターで重ね合わせ、原子セルに導入する。そして、該セルからの透過光の吸収あるいはセルの側方に出射された蛍光を測定する。
上記可視レーザーとしては、周波数可変のプローブレーザー、つまり周波数可変なチタンサファイアレーザー、色素レーザー、あるいは半導体レーザーを使用することができる。原子セルからの透過光あるいは蛍光は、可視域の通常のシリコンフォトディテクターにより光を受け電気信号に変換する。電気信号に変換された後は、増幅器により信号を増幅し、その信号はオシロスコープ等によって観測することができる。この信号は測定対象の表面温度とプランクの輻射公式によってつながっている熱放射輝度に比例している。したがって、この信号をプランクの輻射公式に代入し、温度を決定するといった信号処理系を介すことで、最終的に温度が求まる。
複数の二重共鳴系を有する物質として、原子の場合には、超微細構造準位、分子の場合には、回転準位を利用する。
【0030】
物体の発する赤外光を可視光に変換して、可視光の吸収又は蛍光を測定する方法について、図5を参照しつつ説明する。
図5の(a)においては、ヘリウムの一重項状態を示している。
はじめ、準位21S0に放電によって原子を励起しておく。この21S0は、準安定状態であり、この状態に原子を励起させておけば、2μmの赤外遷移が起こると、P-Sの584nmの可視域の蛍光がでる。一般に基底状態と許容遷移で結ばれる第一励起状態の間の遷移は共鳴線という名前で呼ばれ、強い遷移である上、詳細に調べられている遷移でもある。
あるいは、2.0581μmの赤外遷移が起こると、P-Dの667.8nmの可視遷移も起こるので、この赤外遷移を可視光の吸収で観測することができる。
【0031】
【実施例2】
図5の(b)を参照して、Heの三重項状態を用いた例を説明する。はじめに、23S1に原子を励起させておく。23S1も準安定状態である。この遷移に原子を励起しておけば、1.083μmの赤外遷移が起こると、P-Dの587.5nmの可視遷移が起こる。したがってこの様子を587.5nmの可視光の吸収によって観測することができる。
【0032】
【実施例3】
図5の(a)と(b)の表す2つの系を2波長に対する二重共鳴系として用いることができる。
【0033】
【実施例4】
図6の左図に、ストロンチウムイオンにおける遷移の例を示す。
D-Pの1.09μm赤外遷移がおこると、P-Sの422nm遷移がおこるので、この様子を可視の蛍光で観測することができる。
【0034】
【実施例5】
図6の右図に、イットリビウムイオンにおける遷移の例を示す。
D-Pの2.4μm赤外遷移がおこるとP-Sの369nm遷移がおこるので、この様子を可視の蛍光で観測することができる。
【0035】
【実施例6】
図7に、カルシウム原子における遷移の例を示す。
Dの状態に放電等により原子を励起しておく。ここへ、5.5μmの赤外光が入射すると、P-Sの423nm遷移がおこるので、この様子を可視の蛍光で観測することができる。
【0036】
【実施例7】
図8に複数遷移における測定系の概念図、図9に、ナトリウム原子における遷移の例を示す。
818nmの赤外光と589.75nmの可視光および819.7nmの赤外光と389.15nmの可視光がそれぞれ共鳴している。818nmの赤外光が入ると、589.75nmの遷移からの蛍光が減少するので、これを測定する。他方の遷移についても同様である。この蛍光強度を光検出器で検出し、その比を測定することで、装置係数を消去することができ、定点校正が不要となる。
【0037】
【実施例8】
図10に、リチウム原子における遷移の例を示す。
27.956μmまたは27.953μmの赤外光が入ることにより、323.35nmの紫外光の吸収に変化が生じ、この変化を観測することができる。この蛍光強度を光検出器で検出し、その比を測定することで、装置係数を消去することができ、定点校正が不要となる。
【0038】
【実施例9】
実施例7、8において、原子または分子の二重共鳴における量子効率をあらかじめ測定し、二重共鳴現象によって生じた光強度変化を観測する光検出器をフォトンカウンティング検出器にすることで絶対測定が可能となり、熱力学的に温度決定ができる。
【0039】
【発明の効果】
本願発明は、二重共鳴の手法を用いることで、従来の放射温度計による温度目盛設定方法に必要とされていた干渉フィルターの相対分光透過率と検出器の相対分光感度の積としての分光応答度の測定、検出器の信号強度の線型性の測定とその他装置係数を決定する手段としての参照温度定点(銅点)での測定を行うことなく、温度目盛が実現でき、従来の課題を解決した。
また、測定対象である物体からの熱放射の赤外光を、これよりも波長の短い可視あるいは紫外光に変換することで、赤外もしくは紫外領域の測定を、高感度・高精度検出が可能な可視波長域で実施することが可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 プランクの輻射法則による放射強度の波長特性図
【図2】 二重共鳴法における原子遷移の典型例
【図3】 本願発明に係る装置の概念図
【図4】 温度決定のブロックダイアグラム
【図5】 ヘリウム原子における原子遷移の例
【図6】 Srイオン及びYbイオンにおける原子遷移の例
【図7】 カルシウム原子における原子遷移の例
【図8】 複数遷移における測定系の概念図
【図9】 ナトリウム原子における原子遷移の例
【図10】リチウム原子における原子遷移の例
Claims (11)
- 測定対象から放射される熱放射の分光強度を測定し、該測定対象の温度を求める放射温度測定装置において、該熱放射を原子又は分子の離散的なエネルギー準位に対応した光学遷移により構成される二重共鳴現象を利用する波長変換手段及び該二重共鳴現象によって生じた光強度を観測する観測手段を有し、該観測された光強度の変化から該測定対象の温度を求めることを特徴とする放射温度測定装置。
- 請求項1記載の放射温度測定装置において、前記波長変換手段において共鳴する遷移は、前記熱放射の光子と、前記熱放射の光子よりエネルギーの高い光子との間の共鳴遷移であることを特徴とする放射温度測定装置。
- 請求項1又は2記載の放射温度測定装置において、前記二重共鳴現象による波長変換手段は、前記熱放射の入射光学系、二重共鳴遷移を有する物質及び可視光又は紫外光レーザーから成り、前記二重共鳴現象によって生じた光の強度の観測手段は、前記可視光又は紫外光レーザーの光吸収強度を測定する光検出器であることを特徴とする放射温度測定装置。
- 請求項1又は2記載の放射温度測定装置において、前記二重共鳴現象による波長変換手段は、前記熱放射の入射光学系、二重共鳴遷移を有する物質及び可視光又は紫外光レーザーから成り、前記二重共鳴現象によって生じた光の強度の観測手段は、前記可視光又は紫外光レーザーによって励起された原子若しくは分子の自然放出により生じた蛍光強度を測定する光検出器であることを特徴とする放射温度測定装置。
- 請求項3又は4記載の放射温度測定装置において、前記二重共鳴現象による波長変換手段は、前記熱放射の入射光学系、前記二重共鳴遷移を有する物質及び原子又は分子を準安定状態に励起させるための励起源から成ることを特徴とする放射温度測定装置。
- 請求項5記載の放射温度測定装置において、前記二重共鳴現象によって生じた光強度の観測手段は、蛍光強度を測定する光検出器であることを特徴とする放射温度測定装置
- 請求項5記載の放射温度測定装置において、上記励起源は、光源又は放電装置であることを特徴とする放射温度測定装置。
- 請求項3ないし7のいずれかの請求項に記載された放射温度測定装置において、前記二重共鳴遷移を有する物質は、気体であることを特徴とする放射温度測定装置。
- 請求項3、4又は6のいずれかの請求項に記載された放射温度測定装置において、前記光検出器はフォトンカウンティング検出器であることを特徴とする放射温度測定装置。
- 請求項1記載の放射温度測定装置において、前記二重共鳴現象による変換手段は、前記熱放射の入射光学系、前記二重共鳴遷移を有する物質及び複数の波長の異なる可視光又は紫外光レーザーから成り、前記二重共鳴現象によって生じた光強度の観測手段は、前記複数の波長の異なる可視光若しくは紫外光レーザーの吸収強度又は前記可視光若しくは紫外光レーザーの複数の波長における蛍光強度を光検出器で検出し、その比を測定することを特徴とする放射温度測定装置。
- 請求項1記載の放射温度測定装置において、前記二重共鳴現象による波長変換手段は、前記熱放射の入射光学系、前記二重共鳴遷移を有する物質及び波長可変な可視光又は紫外光レーザーから成り、前記二重共鳴現象によって生じた光強度の観測手段は、前記波長可変な可視光若しくは紫外光レーザーの複数の波長における吸収強度の比又は前記可視光若しくは紫外光レーザーの複数の波長における蛍光強度の比を測定することを特徴とする放射温度測定装置。
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