JP3712195B2 - Method for detecting risk of onset of schizophrenia and / or severity factor using NMDA receptor subunit gene regulatory region - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ヒトN−メチル−D−アスパラギン酸(NMDA)受容体2Aサブユニット(NR2A)遺伝子の調節領域及びその検出方法に関し、より詳細には、ヒトNR2A遺伝子上流に存在する2塩基(GT)n/(CA)n反復配列の繰返し数を測定することを特徴とする精神分裂病の発症危険度及び/又は重症化因子の検出方法及びそのためのキットに関する。
【0002】
【従来の技術】
精神分裂病は、複雑な遺伝的背景を有する一般的且つ重篤な精神的疾患である。薬理学的又は他の生物学的研究によって種々の発症機構の仮説や原因となる遺伝子の候補が提唱されているが、精神分裂病の正確な病因については未だ明らかではない(Gainetdinov R.R. et al. Trends Neurosci. 24, 527-533 (2001)及びGlenthoj B.Y. & Hemmingsen R. Acta Psychiatr Scand Suppl. 395, 105-112 (1999)参照)。
【0003】
これまで、精神分裂病の罹患しやすさと関連する遺伝子多型としては、ドーパミンD3受容体の9番目のセリン/グリシンの多型が報告されている(Williams J. et al., Mol. Psychiatry, 1998, 3, 141-149)。しかしながら、上記一塩基多型では、罹患危険率が1.15倍上昇するという弱い効果しかもたないことと、細胞実験レベルでの病態への関与が不明であることが問題である。
【0004】
また、カテコールアミンの生合成経路の律速酵素であるチロシンヒドロキシラーゼ(TH)遺伝子の第一イントロン内に存在するマイクロサテライトDNAの特定の対立遺伝子が精神分裂病と関連していることが報告されている(特表平11−504809号公報参照)。該特定の対立遺伝子は、精神分裂病の1つの決定因子と考えられるが、極めて頻度が低いため、その他の重要な危険因子についても検討する必要がある。
【0005】
さらに、精神分裂病では、NMDA型グルタミン酸受容体の機能低下を示唆する間接証拠があり、「NMDA受容体機能低下説」が唱えられている。これは、フェンシクリジン(PCP)やケタミン等のNMDA受容体複合体の非競合型アンタゴニストを正常人に投与した場合に、精神分裂病の臨床的特徴と極めて類似した行動及び認識の欠如が認められることに基づいている。これらの症状は、正常な機能の過剰やひずみとして概念化され、典型的には、幻覚や妄想を含む陽性症状(Positive symptoms)と、正常な機能の減少や欠損を反映すると考えられている感情鈍麻や自閉性等からなる陰性症状(Negative symptoms)を含んでいる。NMDA受容体のアンタゴニスト(拮抗薬)は精神分裂病患者の症状を悪化させることもできる(Javitt D.C. & Zukin SR. Am.J. Psychiatr. 148, 1301-1308 (1991)及びMalhotra A.K. et al. Neuropsychopharmacology 17, 141-150 (1997)参照)。
【0006】
ヒトNMDA受容体複合体は、陽イオンチャンネル型の受容体であって、活性化されるとナトリウム、カリウムイオンだけでなくカルシウムイオンに対しても高い透過性を示す。この受容体複合体を構成するサブユニットには、NR1、NR2A、NR2B、NR2C、NR2D、NR3A及びNR3Bという7種類が存在し、NR1と4種類のNR2サブユニット及び2種類のNR3サブユニットの何れか1つとでヘテロダイマーを形成する(Dingledine R. et al. Pharmacol. Rev. 51, 7-61 (1991)参照)。NR2Aサブユニットは思春期以降に発現し、成人期を通じて安定して維持される(Watanabe M. et al. Neuroreport 3, 1138-1140 (1992)参照)。精神分裂病の患者の4分の3は16〜25歳の間に発病し、上述したNMDA受容体複合体の非競合型アンタゴニストは、思春期以前の個体には精神異常の特徴を誘導しない(Baldridge E. B. & Bessen H.A. Emerg. Med. Clin. North Am. 8, 541-550 (1990)及びReich D.L. & Silvag G. Can. J. Anaesth. 36, 186-197 (1989)参照)。
【0007】
しかし、このように精神分裂病との関連性が示唆されるヒトNMDA受容体については、これまで具体的な分子異常は同定されておらず、特にNR2Aサブユニットは精神分裂病の病態生理学にとって重要な候補であるだけでなく、分子的レベルでの解析が必要とされている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、NMDA受容体の遺伝子構造を解析することにより、精神分裂病との関連性を解明することを目的とする。また、その結果得られた知見に基づいて、精神分裂病の診断に有用な方法やその方法に使用するプライマー及びキットを提供することを目的とする。
【0009】
さらに、このような遺伝子の解析に基づいて、精神分裂病の新規な治療薬をスクリーニングする方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
精神分裂病は思春期以降に発病することから、本発明者等はNMDA受容体のうち思春期以降に発現する2Aサブユニットに注目し、このNR2A遺伝子の構造を詳細に研究した。その結果NR2A遺伝子上流のプロモーター領域に存在するマイクロサテライト反復配列(2塩基(GT)n/(CA)n反復配列)が多型性を有し、このマイクロサテライト反復配列多型の種類と、精神分裂病の罹患しやすさ、及び/又は症状の重症化との間に顕著な相関関係があることを見出すことによって本発明を完成した。
【0011】
すなわち、本発明の第1の視点において、ヒト核酸試料からヒトN−メチル−D−アスパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝子を得、その上流のプロモーター領域に存在する2塩基(GT)n/(CA)n反復配列の繰返し数を測定することを特徴とする精神分裂病の発症危険度及び/又は重症化因子の検出方法が提供される。
【0012】
前記検出方法の好ましい実施形態において、ヒト核酸試料がヒト血液から抽出したDNAであることを特徴とする。
【0013】
更に好ましい実施形態において、前記検出方法は、ヒト核酸試料から得られたヒトN−メチル−D−アスパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝子の上流領域を増幅し、増幅されたDNAの2塩基GT反復配列の繰返し数を測定することを特徴とする。
【0014】
別の好ましい実施形態において、前記ヒトN−メチル−D−アスパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝子の上流領域の増幅が、配列番号5に示す塩基配列のうち連続する18〜25の塩基配列からなるセンスプライマーと、配列番号6に示す塩基配列のうち連続する18〜25の塩基配列からなるアンチセンスプライマーとを用いたポリメラーゼ連鎖反応により増幅を行うことを特徴とする。
【0015】
更に別の好ましい実施形態において、前記センスプライマーと、前記アンチセンスプライマーとを用いて増幅されたDNA断片は80〜200塩基対であることを特徴とする。
【0016】
本発明の第2の視点において、配列番号3に示す塩基配列からなるセンスプライマーと、配列番号4に示す塩基配列からなるアンチセンスプライマーとからなるプライマー対が提供される。このプライマー対は、前記精神分裂病の発症危険度、及び/又は重症化因子の検出に用いることができる。
【0017】
本発明の第3の視点において、配列番号5に示す塩基配列のうち連続する18〜25の塩基配列からなるセンスプライマーと、配列番号6に示す塩基配列のうち連続する18〜25の塩基配列からなるアンチセンスプライマーとを含むことを特徴とする、ヒトN−メチル−D−アスパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝子の上流領域に存在する2塩基(GT)n/(CA)n反復配列の繰返し数を測定するためのキットが提供される。
【0018】
好ましい実施形態において、前記キットに含まれるセンスプライマーが配列番号3に示す塩基配列からなり、アンチセンスプライマーが配列番号4に示す塩基配列からなることを特徴とする。
【0019】
本発明の第4の視点において、下記一般式(1)
5’X(GT)nY3’ (1)
(式中、Xは配列番号1に示す塩基配列であり、Yは配列番号2に示す塩基配列であり、nは1〜100の整数である)で表される塩基配列からなるDNA断片と、これと機能的に連結されたレポーター遺伝子とを含むことを特徴とする組換えベクターが提供される。この組換えベクターを用いて、ヒトN−メチル−D−アスパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝子の転写促進物質及び/又は抑制物質をスクリーニングすることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本明細書において使用する「対立遺伝子」(allele)とは、特定の遺伝形質に関する2つ或はそれ以上の遺伝子の択一的な型の一つ一つの遺伝子型のことをいう。被験者が2つの同一の対立遺伝子を持つ場合には「ホモ接合性」(homozygous)と呼ばれ、2つの異なる対立遺伝子を持つ場合には「ヘテロ接合性」(heterozygous)と呼ばれる。また、「遺伝子型」(genotype)とは、着目する遺伝子座の対立遺伝子の組合せをいう。対立遺伝子型及び遺伝子型の統計的解析には、例えばモンテカルロ法(CLUMPプログラム、Sham P.C. & Curtis P. Ann. Hum. Genet. 59, 97-105 (1995)参照)を用いて行うことができ、CLUMPプログラムは、http://linkage.rockefeller.edu/.から入手できる。
【0021】
「連鎖不平衡」(linkage disequilibrium)とは、2つの対立遺伝子が所定の母集団において非独立的に遺伝することが認められるような場合をいう。2つの対立遺伝子が独立して遺伝する場合の予想される頻度は、第1の対立遺伝子の頻度と第2の対立遺伝子の頻度との積となるが、このような場合を「連鎖平衡」(linkage equilibrium)という。「ハプロタイプ」(haplotype)とは、2以上の対立遺伝子が一緒に遺伝する(連鎖不平衡)一組の対立遺伝子のことをいう。連鎖不平衡の強さを調べるにはハプロタイプの構築、頻度の推定が必要である。連鎖不平衡係数D(disequilibrium coefficient)は、D=h−p1p2で表され、hはハプロタイプの頻度、p1、p2は2つの遺伝子座における2つの対立遺伝子の頻度である。Dは正の値になったときに連鎖不平衡が強いということができる。 Hardy-Weinberg平衡、2つの遺伝子座の連鎖不平衡及びハプロタイプ頻度の推定は、Arlequinソフトウエア(Schneider等)を用いて行うことができ、http://anthropologie.unige.ch/arlequin/methods.htmlから入手することができる。
【0022】
「多型」(polymorphism)とは、遺伝子又はその一部において2以上の型が存在することをいう。多型部位は一塩基対の場合(SNP)も、或は一定の長さの塩基対の場合もある。「マイクロサテライト」(microsatellite)とは、ゲノム上で比較的豊富に存在する1〜6塩基程度の反復配列をいう。ヒトゲノムには多くの場所に分散して2塩基の反復配列(GT)n/(CA)nの存在が知られており、個体によってこの反復回数に相違が見られるケース(多型)が多く観察されている。これらのマイクロサテライト反復配列は、遺伝子の転写活性を調節する機能的役割を有することも報告されている。
【0023】
(NR2A遺伝子上流に存在するマイクロサテライト反復配列を含むDNA断片)
本発明に係るマイクロサテライト反復配列を含むDNA断片は、ヒト16番染色体(16p13.3)におけるNR2A遺伝子上流のプロモーター領域に存在する。図1はこのNR2A遺伝子の構造とマイクロサテライト反復配列及びその他の一塩基多型の存在する位置を示したものである。このマイクロサテライト反復配列(GT)nの繰返し数は、本発明者等の調べた被験者集団においては、11〜39回の範囲内で変動し、最も高頻度で見出される対立遺伝子は24回の繰返し数を有していた。本明細書の以下の実施例において詳細に説明するように、(GT)nの繰返し数が25回以上の対立遺伝子を有する被験者は精神分裂病に罹患しやすく、及び/又は症状の重症化を示す。また、上記繰返し数が増加するに従って、NMDA受容体遺伝子の転写活性が低下することが、この2塩基GT反復配列を含むDNA断片と機能的に結合したレポーター遺伝子の発現量を測定することによって示された。これらの結果は、精神分裂病の診断や治療或は新規な治療薬の開発においても、上記2塩基GT反復配列を含むDNA断片の有用性を示すものである。
【0024】
これらのDNA断片としては、例えば、ヒトN−メチル−D−アスパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝子上流に存在する2塩基GT反復配列を含むDNA断片であって、下記一般式(1)
5’X(GT)nY3’ (1)
(式中、Xは配列番号1に示す塩基配列であり、Yは配列番号2に示す塩基配列であり、nは1〜100の整数である)で表される塩基配列からなるDNA断片がある。上記一般式(1)において、配列番号1に示した塩基配列Xは、2塩基GT反復配列の上流の単一なゲノム塩基配列であり、配列番号2に示した塩基配列Yは、2塩基GT反復配列の下流の単一なゲノム塩基配列である。配列Yは、ヒトNMDA受容体遺伝子のプロモーター配列と転写開始部位(mRNAの5’末端に対応する配列)を含む。(GT)nが25回以上繰返す反復配列は精神分裂病患者において多く認められることから病気との関連性が示唆される。このDNA断片の下流に種々のレポーター遺伝子、例えばルシフェラーゼ遺伝子や緑色蛍光タンパク質(GFP)遺伝子等を連結し、脳由来の培養細胞に導入することにより、これらのレポーター遺伝子の発現産物(例えば、蛍光強度)に基づいて、精神分裂病と関連性の高いNR2A遺伝子の発現調節機構を容易に解析することができる。
【0025】
上記レポーター遺伝子を含むベクターは、当業者において公知のものの中から適宜選択して使用することができる。例えば、真核細胞のプロモーター配列とエンハンサー配列を除去したプラスミドに組換えホタルルシフェラーゼ遺伝子とポリアデニル化部位等を備えたベクターが市販されている(プロメガ社製、ルシフェラーゼレポーターベクター等)。これらのベクターのマルチクローニング部位に上記一般式(1)で表された塩基配列からなるDNA断片を挿入することによって、NR2A遺伝子の発現に関わる制御因子の機能を迅速且つ簡単に解析することができる。これらの組換えベクターをトランスフェクトした細胞では、レポーター遺伝子上流に適切な方向性で挿入したNR2A遺伝子のプロモーター活性を、発現させたレポーター遺伝子産物の量(例えばルシフェラーゼの酵素活性量)として測定することができる。
【0026】
このプロモーター活性の評価は、精神分裂病の診断や治療の方針を作成するにあたり、或は新規な医薬品の開発にとって極めて重要な手がかりとなる。例えば、試験管内の培養細胞系において、該DNA断片に含まれるNR2A受容体遺伝子の発現調節領域に働いてその転写を促進又は抑制するような物質(薬剤)のスクリーニングが可能となる。これによって精神分裂病の新規な治療薬を探索することができる可能性がある。
【0027】
具体的なスクリーニング方法としては、(a)候補化合物の存在下で培養した脳由来の細胞に、上記一般式(1)で表された塩基配列からなるDNAをルシフェラーゼ遺伝子と機能的に結合させた組換えベクターで形質転換し、一定時間培養後に該形質転換細胞の蛍光強度を検出する工程、(b)前記工程(a)で検出された蛍光強度を、前記候補化合物非存在下での蛍光強度と比較して、その蛍光強度を増強したり低下させたりする候補化合物を選択する工程、を含む。前記候補化合物としてはタンパク質、ペプチド、アミノ酸又はその誘導体、合成又は天然化合物などが挙げられるがこれらに限定されない。上記培養細胞の種類や培養方法、或はレポーター遺伝子の種類やそれに対応した検出方法等は当業者において容易に最適化することができる。
【0028】
(2塩基GT反復配列の繰返し数の測定方法、その方法に用いるプライマー対及びキット)
以下の実施例において詳細に説明するように、本発明は、ヒトNR2A遺伝子上流のプロモーター領域に存在する2塩基GT反復配列の繰返し数と精神分裂病との関連性に関する知見に基づいて、精神分裂病の発症危険度(罹患しやすさ)及び/又は症状の重症化因子を検出する方法、その方法に用いるプライマー対及びキットを提供する。
【0029】
一つの実施形態において、上記精神分裂病の発症危険度及び/又は症状の重症化因子の検出方法は、(a)被験者から核酸を含む試料を取得する工程、(b)該試料中におけるヒトNMDA受容体2Aサブユニット(NR2A)遺伝子の上流領域を増幅する工程、及び(c)該上流領域に存在する2塩基GT反復配列の繰返し数を測定する工程を含み、該2塩基GT反復配列が、少なくとも一方の対立遺伝子において25回以上繰り返すと、被験者が精神分裂病に罹患しやすく、及び/又は症状が重症化しやすいことを示唆する。
【0030】
本発明の検出方法は、被験者のゲノムDNAを含む核酸試料を用いて行う。これらの試料は被験者の組織、細胞、血液等を含む。特に、簡単な採血によって容易に得られる血液細胞(例えば静脈血から得られる白血球)が好ましい。その他、繊維芽細胞、上皮細胞、ケラチノサイトなどのような他の細胞も使用できる。更に、毛髪や皮膚等の乾燥試料を用いて行うこともできる。
【0031】
本発明の検出方法によれば、被験者からの核酸試料はポリメラーゼ連鎖反応(PCR)や連結酵素連鎖反応(LCR)等の適当な方法により増幅される。DNAを増幅するための種々の方法は当業者に公知であり、例えば、所望のDNA断片をクローン化したり、PCR、LCR、鎖置換増殖方法(Walker G. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 89, 392-396 (1992))、転写反応に基づいた増殖方法( Kwoh D. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 86, 1173-1177 (1989))、自己持続複製反応(Guatelli J. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 87, 1874-1878 (1990))、Q−βレプリカーゼシステム(Lizardi P. et al. Bio/Technology 6, 1197-1202 (1988))、核酸配列に基づいた増殖反応(NASBA)(Lewis R. Genetic Engineering News 12, 1 (1992))、修復連鎖反応(RCK)等により行うことができるがこれらに限定されない。
【0032】
増殖反応産物は、種々の方法により検出することができ、例えば、塩基配列の決定、一本鎖立体配置の解析、分子量の測定、及び制限酵素切断後の分子量測定等が含まれる。これらの2以上の技術を組合せて行う事もまた可能である。分子量の測定は最も簡便な方法として特に好ましく、当業者に公知の種々の方法がある。例えば、ポリアクリルアミド電気泳動やキャピラリー電気泳動、或は質量分析法(WO 94/16101, Cohen et al. Adv. Chromatogr. 36, 127-162 (1996), Griffin et al. Appl. Biochem. Biotechnol. 38, 147-159 (1993))によっても行うことができる。
【0033】
一本鎖立体配置多型(SSCP)による検出技術もまた、アクリルアミドゲル等に基づく分離方法であるが、非変性条件下で行われる。好適なキャピラリー電気泳動によって行うこともできる。この技術は、種々のDNA断片をそれらの立体配置(コンフォメーション)に従って識別し得る(Orita et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 86, (1989), Cotton Mutat. Res. 285, 125-144 (1993), Hayashi Genet. Anal. Tech. Appl. 9, 73-79 (1992))。
【0034】
本発明の好ましい実施形態において、以下の配列番号3及び配列番号4に示した塩基配列のプライマー対を用いるPCR法により、2塩基GT反復配列を含むDNA断片を増幅する。
5'-ATTCTGGCTCCCTGAGATCAGAG-3'(配列番号3)
5'-GCTGGGTACAGTTATCCCCCT-3'(配列番号4)
このプライマー対はそれぞれ23塩基及び21塩基の一本鎖DNAであって、本発明に係る2塩基GT反復配列の上流及び下流領域と特異的に結合し、その結果、約130塩基対のDNA断片が増幅される。増幅されたDNA断片は塩基配列の決定又はDNA分子量の解析の何れの方法によっても2塩基GT反復配列の繰返し数を測定することができる。増幅されたDNA断片の長さはプライマー対の設計によって任意の長さにすることができるが、DNA断片の長さがあまりに短いと塩基配列の決定が難しく、又その長さがあまり長いと分子量の解析が困難となる。増幅反応は、当業者にとって公知の技術である4種類のデオキシヌクレオチドリン酸(dNTPs)及びTaqポリメラーゼ等の耐熱性DNAポリメラーゼを含む。
【0035】
PCR法によるDNA断片の増幅は、2ヶ所以上のゲノム領域を同時に増幅する複合増幅(multiplex amplification)を含む。例えば、PCR産物の大きさが異なるようにプライマーを設計することによってDNA断片を同時に増幅し、及び解析することは当業者にとって公知である。或は、異なるDNA断片を増幅する際に、異なった標識(例えば蛍光波長の異なる色素)を持ったプライマーを用いることでもそれぞれを別々に検出することができる。その他、当業者において公知の技術を用いて2ヶ所以上のゲノム領域を同時に増幅することができる。
【0036】
本発明の特に好ましい態様において、増幅されたDNA断片は、その長さを測定することによって検出され得る。ポリアクリルアミドゲル電気泳動は、このような方法として当業者において周知であり、電気泳動用のゲルはポリアクリルアミドゲルの他にも適当なものを選択して使用することができる。アクリルアミドを使用する場合は、変性条件で3〜8%、好ましくは4-5%濃度のゲルが使用できる。その他、高性能ポリマーで作成されたキャピラリー電気泳動装置を用いることも可能である。適切な分子量マーカーを使用することによって、このような電気泳動の結果からそのDNA断片の大きさを正確に測定することは当業者において容易に行うことができる。
【0037】
質量分析法は、増幅されたDNA断片の分子量を検出する方法であり、大量の試料を高速で処理できる方法として、MALDI−TOF/MS (matrix assisted laser desorption ionization time-of-flight/mass spectrometry)がある。増幅されたDNA断片から塩、緩衝液、界面活性剤、タンパク質等の不純物を除去した後、MALDIプレートへスポットして質量分析される。即ち、DNA断片はレーザー光照射によりイオン化される。電荷を帯びた産物は質量分析機内に作られた電場内へ遊離し加速される。加速された電荷分子は真空空間を飛行し、測定板へと到達する。計測されるのはレーザー光照射から測定板までの飛行時間(time of flight)であり、この飛行時間は定められた電場空間、飛行空間においては荷電分子の質量/電荷により一義的に決まる。
【0038】
本発明に係るNR2A遺伝子の上流領域に存在する2塩基GT反復配列を含むDNA断片を増幅するためのプライマー対は、2塩基GT反復配列の両端の単一な塩基配列部分にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプライマー対を公知の方法で化学合成して用いることができる。これらの各プライマーは、25〜2500塩基対離れた領域においてハイブリダイズすることができるが、増幅産物の塩基配列の決定又は分子量の解析を容易にするため、増幅産物の大きさが100〜500塩基対であることが好ましい。より好ましくは、増幅産物の大きさは80〜200塩基対である。配列番号5に示した塩基配列は、2塩基GT反復配列の5’上流領域の塩基配列であり、この配列の中から連続する10〜30塩基の任意の一本鎖のDNA配列を選択してセンスプライマーとすることができる。配列番号6に示した塩基配列は、2塩基GT反復配列の3’下流領域の塩基配列であり、この配列の中から連続する10〜30塩基の任意の一本鎖のDNA配列を選択してアンチセンスプライマーを合成することができる。これらのオリゴヌクレオチドプライマーの長さは10〜30塩基の範囲内であれば良いが、好ましくは18〜25塩基のものを、更に好ましくは配列番号3及び配列番号4に示したそれぞれ23塩基及び21塩基のオリゴヌクレオチドプライマーを用いることができる。これらのプライマーは増幅されたDNA断片の検出を容易にするために標識することができる。標識としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光色素、ストレプトアビジン、アビジン、磁気ビーズ、抗原及び抗体等が用いられる。
【0039】
ヒトN−メチル−D−アスパラギン酸受容体2Aサブユニット遺伝子上流に存在する2塩基(GT)n/(CA)n反復配列の繰返し数を測定するためのキットには、これらのプライマー対を含むことができる。これらのプライマー対のほかに当業者にとって公知の他の構成試薬、例えば、DNAの抽出や精製用の試薬を含んでいても良い。その他、4種類のデオキシヌクレオチドリン酸(dNTPs)やTaqポリメラーゼ等の耐熱性DNAポリメラーゼ等も含まれ得る。
【0040】
(2塩基GT反復配列の繰返し数と精神分裂病との関連性)
精神分裂病患者及び対照被験者の各対立遺伝子について測定された2塩基GT反復配列の繰返し数の結果から、この2塩基GTが25回以上繰り返すと、精神分裂病に罹患しやすいことが分かる。例えば、図2は、本発明の実施例において解析された精神分裂病患者と対照者における(GT)nの対立遺伝子の分布を表すが、被験者対立遺伝子の中で最も頻度が高いのは24回の繰返しであること及び25回以上の繰返しを有する対立遺伝子は、対象者よりも精神分裂病患者に多いことが理解される。
【0041】
本発明の検出方法を用いた精神分裂病の診断は、1つの対立遺伝子型だけでも、または複数の対立遺伝子からなる遺伝子型を調べることによってもできる。例えば、(GT)nの繰返し数の測定や、この繰返し数が一定の範囲内にあるものをグループとして同定することもできる。(GT)nの繰返し数は一定の範囲にわたって分布するため、多くの種類の対立遺伝子が存在することになるが、これらをその繰返し数が25回以上のL型と、24回以下のS型に分類することによって、便宜上2つの対立遺伝子として解析することができ、更に連鎖不平衡やハプロタイプの解析を行うために適している。このような2つの対立遺伝子型に分類することが遺伝学的に妥当であることは後述する実施例において詳細に示される。実施例に示した表2はこのような分類に従って行った症例対照法の結果を示す。表2に示したデータに基づいて説明すると、遺伝子型がL/Lというタイプの個人は、健常人対照群では10%の頻度であるが、精神分裂病の患者では19%の頻度で存在することから、L/Lという遺伝子型を有する個人は他の遺伝子型に比べて精神分裂病の発症の可能性が約1.9倍高いということができる。
【0042】
本発明に係るマイクロサテライト反復配列の多型と精神分裂病患者の症状の重症度については、本発明の方法により測定された精神分裂病患者の2塩基GT反復配列の繰返し数と、臨床的な症状を観察することによって明らかにすることができる。臨床的症状の観察は、精神科の医師により、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル第4版(DSM−IV)に基づいて診断され、例えば、PANSS法を用いて行うことができる。
【0043】
また、本発明の検出方法は、他の任意の測定方法と組合せて診断の正確性を向上することができる。他の方法は、遺伝子検査であっても血清タンパク質の検査であっても何れでも良い。例えば、同じNR2A遺伝子の近傍に存在する一塩基多型との組合せでもよいし、他の遺伝子(NMDA受容体遺伝子であるか否かを問わない)であっても良い。或は、血清中の神経伝達物質の濃度測定と組み合わせることもできる。
【0044】
(薬理遺伝学)
また、すでに精神分裂病を発症している患者にとっては、その病因を解析することにより、適切な治療方針の可能性を見出すことができ、個人の遺伝的背景に基づいた薬理遺伝学を可能とする。例えば、本発明に係るマイクロサテライト反復配列についてL/L型の遺伝子型を有する精神分裂病患者または患者グループは、NMDA受容体の機能低下が病因となっている可能性があり、また、他の遺伝子型の患者に比べて症状が重症化しやすいことを予見でき、これらの知見に基づいて適切な治療薬や治療方針を計画することができる。例えば、神経伝達物質の1つであるグリシンは、アロステリック様の作用でNMDA受容体を活性化し、精神分裂病のある種の陰性症状を改善することが知られている。本発明の方法により、精神分裂病の病因としてNMDA受容体の機能の低下を検出することができれば、NMDA受容体を活性化することによる治療方法等が考えられ得る。
【0045】
【実施例】
以下に本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0046】
[実施例1] 被験者
精神分裂病の診断は、米国精神医学会の精神疾患の診断・統計マニュアル第4版(DSM−IV)に基づいた。少なくとも2人の経験豊かな精神科医が診察を行って、一致した結果を基に患者と診断した。血縁関係のない精神分裂症の患者は、175人の男性(平均年齢44.9±12.4)と128人の女性(平均年齢46.2±13.9)から構成された。対照被験者は、精神病でないことが文書で証明された病院のスタッフ、及び精神科医の簡単な面接によって精神医学的に問題の無いことが示された企業勤務者から集められ、121人の男性(平均年齢42.9±8.8)と184人の女性(平均年齢42.7±15.1)を含んだ。家系に基づいた関連性の検討を行うため、49人の精神分裂病患者とその両親を別に収集した。すべての被験者は日本中部に在住した。本発明における遺伝子解析は、理化学研究所と東京医科歯科大学の倫理委員会によって許可されたものであり、すべての被験者はインフォームドコンセントを与えた。
【0047】
[実施例2] NR2A遺伝子の構造と多型の解析
NR2AcDNAの5’末端を決定するためにMarathon-Ready cDNA kit (クロンテック社、Palo Alto, California)と、NR2AcDNAに特異的な2種類のプライマーGSP1: 5'-TCATCTCCAGGGCTGATGGCTGCGG-3'(配列番号7)及びGSP2:5'-ATTCTCAGCGCTCACCCGGTCCCAT-3' (配列番号8)とを用いてcDNAの5’末端の高速増幅(RACE)を行い、5’−RACE断片をクローニング及び塩基配列を決定した。さらに、26人の精神分裂病患者のNMDA、NR2Aサブユニット遺伝子のすべてのエクソン、スプライシングの境界領域及び5’上流領域をPCR直接塩基配列決定(PCR-direct sequencing)することによってDNA多型のスクリーニングを行った。プロモーター上流領域に存在する(GT)n反復配列は、PCR産物をTAベクター(インビトロジェン社、Carlsbad, California)にクローン化し、それらの塩基配列を決定した。
【0048】
マイクロサテライト反復配列多型を含むゲノムDNA断片を増幅するために、非標識の上流プライマー:5'-ATTCTGGCTCCCTGAGATCAGAG-3'(配列番号3)と蛍光標識した下流プライマー:5'-GCTGGGTACAGTTATCCCCCT-3'(配列番号4)とを用いた。ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、ExTaq DNAポリメラーゼ(宝酒造株式会社製)を用いて、初期変性を94℃で1分間行ったあと、94℃で15秒間、63℃で30秒間、72℃で45秒間のサイクルを40回、最後に72℃で2分間の伸長反応を1回行った。PCR産物はジーンスキャン(GeneScan)ソフトウエアを搭載したABI3700DNAシーケンサー(PEアプライドバイオシステム社)を用いて塩基配列を決定した。-1245位のCからTへの一塩基多型、1275位のGからAへの一塩基多型、及びイントロン10の101位のCからTへの一塩基多型は、PCRに基づいた制限酵素断片長多型(RFLP)によって解析した。
【0049】
その結果、NR2AcDNAの5’末端は、これまで報告されていた塩基配列(GenBank Acc. No. NM_000833.2)よりも135塩基対(bp)長いことを見出した。NR2A遺伝子のゲノム構造はcDNAの塩基配列と、GenBankに登録された対応するゲノム領域を含むBAC(bacterial artificial chromosome)クローンの塩基配列とを比較して決定した。これらのBACクローンの登録番号はAC007596(エクソン1〜3を含む)、AC026423(エクソン4を含む)及びAC006531(エクソン5〜14を含む)である。NR2Aゲノム遺伝子は、図1に示したように14個のエクソンからなり、ヒト16番染色体の16p13.3に少なくとも131キロ塩基対(kb)にわたって存在する。翻訳開始コドン(ATG)はエクソン3にあり、終止コドンはエクソン14にある。このNR2Aゲノムの遺伝子構造に基づいて、血縁関係のない26人の精神分裂病患者のNMDA、NR2Aサブユニット遺伝子のすべてのエクソン、スプライシングの境界領域及び第1エクソンの上流1094塩基対までの領域について変異のスクリーニングを行った。その結果、以下の5ヶ所の多型部位が認められた:-1245位のCからTへの一塩基多型(-1245C>T)、5’調節領域の(GT)nの反復配列、-351位のGからAへの一塩基多型(-351G>A)、1275位のGからAへの一塩基多型(1275G>A)、及びイントロン10の101位のCからTへの一塩基多型(IVS10+101C>T)である(塩基配列の番号は翻訳開始コドンのAを+1とし、イントロン部分は除いて計数した。但し、5’調節領域の(GT)nの反復回数はn=26とした。図1参照)。(GT)nの3’末端は-679位に位置した。調べた試料の中で、(GT)nの反復回数は11個から39個であった。-351位のGからAへの一塩基多型は、26人の患者のうち1人のヘテロ対立遺伝子に存在する稀な多型であった。
【0050】
[実施例3] マイクロサテライト反復配列多型及びSNPsの遺伝子型と精神分裂病との相関性の統計的解析
-351G>Aを除き、すべての塩基配列の変異を日本人の精神分裂病患者303人と対照者305人の試料について分類した。-1245C>T、1275G>A、及びIVS10+101C>Tの一塩基多型についての遺伝子型及び対立遺伝子型を比較したが、精神分裂病と対照群とで有意な差は認められなかった(それぞれ、P=0.36、0.73及び0.97)。すべての遺伝子型分布は、Hardy-Weinberg平衡の範囲内であった。これらの一塩基多型の間の連鎖不平衡解析の結果は、1275G>AとIVS10+101C>Tとの間には強い連鎖不平衡(精神病患者について:D=0.036、D’(標準化したD)=0.708、P<0.00001;対照者について:D=0.038、D’=0.702、P=0.00001)を示したが、-1245C>Tと1275G>A(P>0.05)及び-1245C>TとIVS10+101C>T(P>0.05)との間には連鎖不平衡は認められなかった。
【0051】
【表1】
NR2A遺伝子内に存在する一塩基多型の分布
【0052】
ヒトNR2A遺伝子の5’上流調節領域に存在するマイクロサテライト反復配列の対立遺伝子型(allele)及び遺伝子型(genotype)の比較は、モンテカルロ法により、CLUMPのプログラムを用いて行った。その結果、これらの対立遺伝子型と精神分裂病との間に顕著な相関(P=0.0178)が認められた。
【0053】
精神分裂病患者及び対照正常人の5’上流のプロモーター領域における2塩基GT反復配列の繰返し数の分布を図2に示した。繰返し数が24回よりも多い対立遺伝子の頻度は、対照群よりも精神分裂病患者の方が大きいことから、このマイクロサテライト対立遺伝子をその長さによって2つのクラスに分類した。すなわち、その繰返し数が25回以上のL型と、その繰返し数が24回以下のS型である(図2参照)。L型とS型の対立遺伝子は、それぞれ-1245Cと-1245Tの一塩基多型と連結していた(精神分裂病患者についてD(D’)=0.011(0.500)、P=0.015;対照者についてD(D’)=0.011(0.778)、P=0.004)。これらの結果は、マイクロサテライト反復配列について上記L型及びS型という2種類の対立遺伝子への分類が遺伝学的に妥当であることを示し、このことは更に後述する機能的解析によっても支持される。
【0054】
L型及びS型の2種類の対立遺伝子の分類に従って行った症例対照法の結果を表2に示した。その結果、この2種類の対立遺伝子に関する遺伝子型の分布は、精神分裂病の患者と対照群とで著しく異なっていた(CLUMP P=0.0035)。精神分裂病患者の試料の遺伝子型は、L/L型(P=0.004、χ2=8.42、df=1、オッズ比=1.98、95%信頼区間=1.24〜3.11)、及び(L/L+L/S)型(P=0.007、χ2=7.22、df=1、オッズ比=1.55、95%信頼区間=1.12〜2.13)の数が著しく多く、Cochran-Armitage直線性傾向テストの結果、少なくとも1つのL型の対立遺伝子の存在によって、精神分裂病の危険性が著しく増加することが分かった(P=0.003、χ2=9.07、df=2)。更に、精神分裂病患者におけるL型の対立遺伝子の頻度は、対照群のそれと明らかに異なった(P=0.0004、及びBonferroni相関後のP=0.0008、χ2=12.5、df=1、オッズ比=1.54、95%信頼区間=1.21〜1.95)(表2参照)。
【0055】
【表2】
マイクロサテライト反復配列の遺伝子型及び対立遺伝子型の分布
【0056】
-1245C>Tの一塩基多型と(GT)nの2種類の対立遺伝子によって規定されるハプロタイプの分布は、精神分裂病と対照群とで著しく異なった(CLUMP通常のカイ二乗P=0.0016)。-1245CとL型の(GT)nからなるハプロタイプは精神分裂病において過度に存在していた(P=0.001、χ2=10.2、df=1)。このことは、マイクロサテライト反復配列の周辺のゲノム領域が精神分裂病の素因を与えることが確認された。
【0057】
被験者である日本人集団は均一であると考えられるが、内在的な層別化のために症例対照法の結果に問題があり擬陽性の結果が得られる恐れもある。そこで、これを検証するため49の精神分裂病家系(精神分裂病患者とその両親)を用いて系統不平衡テスト(PDT、Martin E.R. et al. Am. J. Hum. Genet. 67, 147-154 (2000)参照)を行い、その結果を下記表3に示した。PDTを行うためのソフトウエアはhttp://wwwchg.mc.duke.edu.から入手した。系統不平衡テスト(PDT:pedigree disequilibrium test)は、多くの対立遺伝子の分析から生ずる統計的数値の上昇を、包括値(global score)を計算することにより是正することができる。この包括値を求めた結果、マイクロサテライト反復配列多型は全体として精神分裂病と関連していることが分かった(P=0.026、χ2=24.6、df=13)。表3に示したように、L型に分類される(GT)25と(GT)27の2つの対立遺伝子は、両親から患者である子孫に過度に伝達され、統計的な有意性(P=0.003)と傾向(P=0.070)を示した。
【0058】
【表3】
マイクロサテライト反復配列の系統不平衡テスト(PDT)結果
【0059】
[実施例4] プロモーター活性の測定のためのルシフェラーゼアッセイ
上記マイクロサテライト反復配列はNR2A遺伝子の上流の発現調節領域に存在していたため、この2塩基(GT)nがプロモーター活性に及ぼす影響を、試験管内におけるレポーターアッセイシステムを用いて検討した。
(GT)nの繰返しが12、24及び39であるホモ接合体DNAから、以下のプライマー対を用いて2塩基(GT)nを含むプロモーター領域のDNA断片を増幅した。
【0060】
5'-ATTCTGGCTCCCTGAGATCAGAG-3'(配列番号3)
5'-AAGCCCTAGGAGCTCCCCTCCA-3'(配列番号9)
【0061】
増幅したそれぞれのDNA断片は、エンハンサーのないpGL3−basicプラスミド(プロメガ社、Madison, Wisconsin)に結合した。マイクロサテライト反復配列のない組換え体も同時に構築した。ヒト神経芽細胞腫細胞を24穴プレートにそれぞれ1×105個ずつプレーティングし、10%牛胎児血清添加したダルベッコ最小必須培地(シグマ社製、St. Louis, Missouri)で増殖させた。この培養細胞に、各プロモーター断片を持ったpGL3−basicプラスミド1μgを、内部標準として用いたpRL−TKプラスミド0.1μgと共にLipofectAMINE 2000(Invitrogen社製)を用いて共形質転換(co-transfection)した。48時間後、細胞を収集し、溶解してPicagene Dual Seapansy kit reagents (Toyo B-Net社製)とLumat LB 9507蛍光光度計(Berthold Direct, Chicago,
Illinois)を用いて蛍光強度を測定した。
【0062】
その結果を図3に示した。図3の横軸に示した繰返し数の(GT)n反復配列を含むプロモーターの転写活性を、レポーター遺伝子の発現産物であるルシフェラーゼ活性を指標として縦軸にプロットした。レポーター遺伝子の転写活性は、(GT)nの長さが長くなるに従って抑制されていることが分かった。最も一般的な繰返し回数である24回の反復回数を有するプラスミドのプロモーター活性は、(GT)n繰返し配列を持たない組換え体の約半分であった。(GT)39の組換え体の活性は(GT)n繰返し配列を持たない組換え体の活性の約39%であった。
【0063】
[実施例5] MK801結合アッセイ
脳内において、NMDA受容体は皮質層で最も大量に発現されており、皮質層における受容体調節不全が精神分裂病の病理と関係づけられている。従って、遺伝子型の決定された死後脳の皮質層におけるNMDA受容体の結合部位の数を、トリチウム標識したMK801リガンドを用いて調べた。MK801((+)-5-methyl-10,11-dihydro-5H-dibenzo[a,d]cycloheptane-5,10-imine)はNMDA受容体のチャンネル孔に結合する非競合的なアンタゴニストであって高い親和性を有する。脳の解剖は、Toru等の方法(Toru M et al. Acta. Psychiatr. Scand. 78, 121-137 (1988))に従って行った。トリチウム標識したMK801結合実験はKornhuber等の方法の変法により行った。即ち、神経細胞膜の標品(0.2 mg/ml)を1 mlのアッセイバッファー中で、3 nM [3H]MK801 (Perkin Elmer, Boston, MA), 10μM glycine (シグマ社)及び10μMの非標識MK801と共に30℃、15時間インキュベートした。その後、反応液をワットマンGF/B濾紙(ケント社、UK)で濾過することによってインキュベートを停止した。
【0064】
その結果を図4に示した。図4に示したように、2つのL型対立遺伝子を有する被験者(L/L)は、S型のホモ接合性対立遺伝子を有する被験者(S/S)に比べて、図中の(a)前頭皮質、(b)頭頂皮質、(c)側頭皮質、及び(d)後頭皮質における[3H]MK801への特異的結合が11%〜5%減少していた。全皮質層のデータをまとめると、図4(e)に示したようにL/L遺伝子型の被験者試料はS/S遺伝子型の被験者試料よりも著しく結合部位が少なかった。
【0065】
[実施例6]精神分裂病の臨床症状と(GT)nの長さとの相関
本発明者等は次に、(GT)nの繰返し数によって規定される遺伝子型と精神分裂病の臨床的表現型との関係について調べた。精神分裂病の症状の重症度を評価するために、患者の遺伝子型を知らない2人の精神科医の一致した診断によるPANSS法を用いた。その結果を図5に示した。図5に示したように、より長い繰返し数を有するホモ接合性の対立遺伝子を持つ被験者は、陽性及び陰性症状共に大きなスコアを示した。(GT)23/(GT)23、(GT)24/(GT)24、及び(GT)25/(GT)25のホモ接合性の対立遺伝子を持った患者は、(GT)22/(GT)22のホモ接合性の対立遺伝子を持った患者に比べて、それぞれ50%、69%及び106%の陽性症状の増加を示した。(GT)nの長さと陽性症状の相関係数(r)は0.986(P=0.007)であった。同様に、(GT)nの繰返し数と陰性症状の重症度とのあいだにも正の相関性が認められた(r=0.882、P=0.05)。
【0066】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、ヒトNR2A遺伝子のプロモーター領域にある2塩基(GT)n/(CA)n反復配列の繰返し数を調べることにより、被験者が精神分裂病に罹患しやすく、及び/又は症状が重症化しやすいか否かが示される。この方法は精神分裂病の診断や治療薬の選択等、個人の遺伝的素因に基づいた医療の提供を可能とする。また、本発明の一般式(1)で表される塩基配列からなるDNA断片は、精神分裂病患者におけるNR2A遺伝子の発現調節機構の研究や、NR2A遺伝子の発現調節に効果のある薬剤のスクリーニングに有用である。
【0067】
【配列表】
【図面の簡単な説明】
【図1】NMDA受容体のNR2Aサブユニット遺伝子の構造と多型部位を示した図である。塩基配列の位置は、翻訳開始コドンのAを+1として計数し、表示した。箱型はエクソンを表示し、内部の数字はエクソンの大きさ(塩基対)を示す。水平方向の矢印は、該当領域の塩基配列がGenBankに登録されているBACクローンの番号を示す。
【図2】精神分裂病患者と対照者における(GT)nの対立遺伝子の分布を表す。対立遺伝子の大きさ(横軸)はGT反復配列の繰返し数を示す。
【図3】(GT)nのプロモーター活性に及ぼす影響を示す。ルシフェラーゼ活性(縦軸)は、24回の繰返し数を有する組換え体の蛍光強度に対する相対値で示す。それぞれの値は、4回の独立した形質転換実験(3重測定)の平均値±平均値の標準誤差(SEM)を示す。
【図4】死後脳の大脳皮質におけるトリチウム標識MK801の結合を表す。結合部位の数は、S/S遺伝子型(5人の精神分裂病患者及び7人の正常人)及びL/L遺伝子型(1人の精神分裂病患者及び1人の正常人)の個人の(a)前頭部、(b)頭頂部、(c)側頭部、(d)後頭部及び(e)全体の皮質について測定した。結合部位の数は、それぞれの部位について14人の被験者平均値に対する百分率(%)で表した。P=0.0054
【図5】症状の重症度とGT反復配列の長さの関係を表す。データ(縦軸)は、PANSS法による陽性及び陰性度の平均値±SEMを表す。診断された患者の数は、(GT)22/(GT)22遺伝子型については1人、(GT)23/(GT)23遺伝子型については2人、(GT)24/(GT)24遺伝子型については5人、及び(GT)25/(GT)25遺伝子型については5人である。[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a regulatory region of a human N-methyl-D-aspartate (NMDA) receptor 2A subunit (NR2A) gene and a method for detecting the same, and more particularly, to the two bases (GT) upstream of the human NR2A gene (GT ) n / (CA) n The present invention relates to a method for detecting a risk of developing schizophrenia and / or a severity factor, and a kit for the same, characterized by measuring the number of repetitions of the repetitive sequence.
[0002]
[Prior art]
Schizophrenia is a common and serious mental illness with a complex genetic background. Pharmacological and other biological studies have proposed hypothesis and causative genes for various pathogenic mechanisms, but the exact etiology of schizophrenia is not yet clear (Gainetdinov RR et al. Trends Neurosci. 24, 527-533 (2001) and Glentoj BY & Hemmingsen R. Acta Psychiatr Scand Suppl. 395, 105-112 (1999)).
[0003]
So far, the 9th serine / glycine polymorphism of dopamine D3 receptor has been reported as a genetic polymorphism associated with susceptibility to schizophrenia (Williams J. et al., Mol. Psychiatry, 1998, 3, 141-149). However, the above single nucleotide polymorphisms have the problem that they have only a weak effect of increasing the disease risk rate by 1.15 times, and their involvement in pathological conditions at the level of cell experiments is unclear.
[0004]
It has also been reported that a specific allele of microsatellite DNA present in the first intron of the tyrosine hydroxylase (TH) gene, which is the rate-limiting enzyme in the catecholamine biosynthesis pathway, is associated with schizophrenia. (Refer to Japanese Patent Publication No. 11-504809). The specific allele is considered a determinant of schizophrenia, but because it is so infrequent, other important risk factors need to be considered.
[0005]
Furthermore, in schizophrenia, there is indirect evidence suggesting a decrease in NMDA-type glutamate receptor function, and the “NMDA receptor function hypothesis” is advocated. This is due to the lack of behavior and recognition very similar to the clinical features of schizophrenia when noncompetitive antagonists of NMDA receptor complexes such as phencyclidine (PCP) and ketamine are administered to normal individuals. Is based on being. These symptoms are conceptualized as excess or distortion of normal function, typically positive symptoms, including hallucinations and delusions, and emotional dullness that is thought to reflect a decrease or loss of normal function. And negative symptoms such as autism. NMDA receptor antagonists can also exacerbate symptoms in schizophrenic patients (Javitt DC & Zukin SR. Am. J. Psychiatr. 148, 1301-1308 (1991) and Malhotra AK et al. Neuropsychopharmacology. 17, 141-150 (1997)).
[0006]
The human NMDA receptor complex is a cation channel type receptor, and when activated, exhibits high permeability not only to sodium and potassium ions but also to calcium ions. There are seven types of subunits constituting this receptor complex: NR1, NR2A, NR2B, NR2C, NR2D, NR3A, and NR3B. A heterodimer is formed with one of them (see Dingledine R. et al. Pharmacol. Rev. 51, 7-61 (1991)). The NR2A subunit is expressed after puberty and is stably maintained throughout adulthood (see Watanabe M. et al. Neuroreport 3, 1138-1140 (1992)). Three quarters of schizophrenic patients develop between the ages of 16 and 25, and the non-competitive antagonists of the NMDA receptor complex described above do not induce psychotic features in prepubertal individuals ( Baldridge EB & Bessen HA Emerg. Med. Clin. North Am. 8, 541-550 (1990) and Reich DL & Silvag G. Can. J. Anaesth. 36, 186-197 (1989)).
[0007]
However, no specific molecular abnormality has been identified so far for the human NMDA receptor, which has been suggested to be related to schizophrenia, and the NR2A subunit is particularly important for the pathophysiology of schizophrenia. In addition to being a good candidate, an analysis at the molecular level is needed.
[0008]
[Problems to be solved by the invention]
The object of the present invention is to elucidate the relationship with schizophrenia by analyzing the gene structure of the NMDA receptor. Another object of the present invention is to provide a method useful for diagnosing schizophrenia and a primer and kit used for the method based on the knowledge obtained as a result.
[0009]
It is another object of the present invention to provide a method for screening a novel therapeutic agent for schizophrenia based on such gene analysis.
[0010]
[Means for Solving the Problems]
Since schizophrenia develops after puberty, the present inventors focused on the 2A subunit expressed after puberty among NMDA receptors, and studied the structure of this NR2A gene in detail. As a result, a microsatellite repeat sequence (2 bases (GT)) present in the promoter region upstream of the NR2A gene n / (CA) n (Repeat sequence) has a polymorphism, and there is a significant correlation between the type of the microsatellite repeat sequence polymorphism and the susceptibility to schizophrenia and / or the severity of symptoms. The present invention was completed by finding.
[0011]
That is, in the first aspect of the present invention, a human N-methyl-D-aspartate receptor 2A subunit gene is obtained from a human nucleic acid sample, and 2 bases (GT) existing in the upstream promoter region. n / (CA) n There is provided a method for detecting the risk of developing schizophrenia and / or a severity factor characterized by measuring the number of repeats of a repetitive sequence.
[0012]
In a preferred embodiment of the detection method, the human nucleic acid sample is DNA extracted from human blood.
[0013]
In a further preferred embodiment, the detection method comprises amplifying the upstream region of the human N-methyl-D-aspartate receptor 2A subunit gene obtained from a human nucleic acid sample, and a 2-base GT repeat sequence of the amplified DNA. It is characterized by measuring the number of repetitions.
[0014]
In another preferred embodiment, the amplification of the upstream region of the human N-methyl-D-aspartate receptor 2A subunit gene is continuous among the nucleotide sequences shown in SEQ ID NO: 5. 18-25 Of the nucleotide sequence shown in SEQ ID NO: 6 18-25 Amplification is performed by polymerase chain reaction using an antisense primer comprising the nucleotide sequence of
[0015]
In still another preferred embodiment, the DNA fragment amplified using the sense primer and the antisense primer is 80 to 200 base pairs.
[0016]
In a second aspect of the present invention, there is provided a primer pair comprising a sense primer consisting of the base sequence shown in SEQ ID NO: 3 and an antisense primer consisting of the base sequence shown in SEQ ID NO: 4. This primer pair can be used to detect the risk of developing schizophrenia and / or a severity factor.
[0017]
In the third aspect of the present invention, the nucleotide sequence shown in SEQ ID NO: 5 is continuous. 18-25 Of the nucleotide sequence shown in SEQ ID NO: 6 18-25 2 bases (GT) existing in the upstream region of the human N-methyl-D-aspartate receptor 2A subunit gene, comprising an antisense primer consisting of the nucleotide sequence of n / (CA) n A kit is provided for measuring the number of repeats in a repeat sequence.
[0018]
In a preferred embodiment, the sense primer contained in the kit comprises the base sequence shown in SEQ ID NO: 3, and the antisense primer consists of the base sequence shown in SEQ ID NO: 4.
[0019]
In the fourth aspect of the present invention, the following general formula (1)
5'X (GT) n Y3 '(1)
(Wherein, X is the base sequence shown in SEQ ID NO: 1, Y is the base sequence shown in SEQ ID NO: 2, and n is an integer of 1 to 100), A recombinant vector comprising a reporter gene operably linked thereto is provided. Using this recombinant vector, it is possible to screen a transcription promoting substance and / or suppressing substance of the human N-methyl-D-aspartate receptor 2A subunit gene.
[0020]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
As used herein, “allele” refers to each genotype of an alternative type of two or more genes that are associated with a particular genetic trait. When a subject has two identical alleles, it is called “homozygous” and when two subjects have two different alleles, it is called “heterozygous”. A “genotype” refers to a combination of alleles at a locus of interest. Statistical analysis of alleles and genotypes can be performed using, for example, the Monte Carlo method (CLUMP program, see Sham PC & Curtis P. Ann. Hum. Genet. 59, 97-105 (1995)) The CLUMP program is available from http://linkage.rockefeller.edu/.
[0021]
“Linkage disequilibrium” refers to the case where two alleles are found to be inherited independently in a given population. The expected frequency when the two alleles are inherited independently is the product of the frequency of the first allele and the frequency of the second allele. linkage equilibrium). A “haplotype” refers to a set of alleles in which two or more alleles are inherited together (linkage disequilibrium). To examine the strength of linkage disequilibrium, it is necessary to construct a haplotype and estimate the frequency. The linkage disequilibrium coefficient D (disequilibrium coefficient) is expressed by D = h-p1p2, where h is the frequency of haplotypes, and p1 and p2 are the frequencies of two alleles at two loci. It can be said that the linkage disequilibrium is strong when D becomes a positive value. Hardy-Weinberg equilibrium, linkage disequilibrium of two loci and estimation of haplotype frequencies can be performed using Arlequin software (Schneider et al.), Http://anthropologie.unige.ch/arlequin/methods.html Can be obtained from
[0022]
“Polymorphism” means that two or more types exist in a gene or a part thereof. The polymorphic site may be a single base pair (SNP) or a fixed length base pair. “Microsatellite” refers to a repetitive sequence of about 1 to 6 bases present relatively abundantly on the genome. The human genome is distributed in many places and has 2 base repeats (GT) n / (CA) n There are many cases (polymorphisms) in which the number of iterations is different depending on the individual. These microsatellite repeats have also been reported to have a functional role in regulating gene transcriptional activity.
[0023]
(DNA fragment containing a microsatellite repeat sequence existing upstream of the NR2A gene)
The DNA fragment containing the microsatellite repeat sequence according to the present invention is present in the promoter region upstream of the NR2A gene in human chromosome 16 (16p13.3). FIG. 1 shows the structure of this NR2A gene and the positions where microsatellite repeat sequences and other single nucleotide polymorphisms exist. This microsatellite repeat sequence (GT) n The number of repeats fluctuated within the range of 11 to 39 in the subject population examined by the present inventors, and the allele found most frequently had 24 repeats. As will be described in detail in the following examples herein, (GT) n Subjects with alleles with 25 or more repeats are more likely to suffer from schizophrenia and / or exhibit severe symptoms. Moreover, it is shown by measuring the expression level of the reporter gene functionally linked to the DNA fragment containing the 2-base GT repeat sequence that the transcription activity of the NMDA receptor gene decreases as the number of repeats increases. It was done. These results show the usefulness of the above-mentioned DNA fragment containing the 2-base GT repeat sequence in the diagnosis and treatment of schizophrenia or in the development of new therapeutic agents.
[0024]
Examples of these DNA fragments include DNA fragments containing a 2-base GT repetitive sequence existing upstream of the human N-methyl-D-aspartate receptor 2A subunit gene, which have the following general formula (1):
5'X (GT) n Y3 '(1)
(Wherein, X is the base sequence shown in SEQ ID NO: 1, Y is the base sequence shown in SEQ ID NO: 2, and n is an integer of 1 to 100), and there is a DNA fragment consisting of the base sequence . In the above general formula (1), the base sequence X shown in SEQ ID NO: 1 is a single genomic base sequence upstream of the 2-base GT repeat sequence, and the base sequence Y shown in SEQ ID NO: 2 is a 2-base GT A single genomic base sequence downstream of a repetitive sequence. Sequence Y contains the promoter sequence of human NMDA receptor gene and the transcription start site (sequence corresponding to the 5 ′ end of mRNA). (GT) n Is frequently observed in schizophrenic patients, suggesting a relationship with the disease. By linking various reporter genes such as luciferase gene and green fluorescent protein (GFP) gene downstream of this DNA fragment and introducing them into brain-derived cultured cells, expression products of these reporter genes (for example, fluorescence intensity) ), It is possible to easily analyze the expression regulation mechanism of the NR2A gene highly related to schizophrenia.
[0025]
The vector containing the reporter gene can be appropriately selected from those known to those skilled in the art. For example, vectors comprising a recombinant firefly luciferase gene and a polyadenylation site on a plasmid from which a promoter sequence and an enhancer sequence of a eukaryotic cell have been removed are commercially available (such as a luciferase reporter vector manufactured by Promega). By inserting a DNA fragment comprising the base sequence represented by the above general formula (1) into the multicloning site of these vectors, it is possible to quickly and easily analyze the function of a regulatory factor involved in the expression of the NR2A gene. . In cells transfected with these recombinant vectors, the promoter activity of the NR2A gene inserted in the appropriate orientation upstream of the reporter gene should be measured as the amount of the expressed reporter gene product (for example, the amount of luciferase enzyme activity). Can do.
[0026]
This evaluation of promoter activity is an extremely important clue in developing a diagnosis or treatment policy for schizophrenia or in the development of a new drug. For example, in a cultured cell system in a test tube, it is possible to screen for a substance (drug) that acts on the expression regulatory region of the NR2A receptor gene contained in the DNA fragment to promote or suppress its transcription. This may enable the search for new therapeutic agents for schizophrenia.
[0027]
As a specific screening method, (a) a brain-derived cell cultured in the presence of a candidate compound was operably linked with a luciferase gene with a DNA comprising the base sequence represented by the general formula (1). A step of transforming with the recombinant vector, and detecting the fluorescence intensity of the transformed cell after culturing for a certain period of time; (b) the fluorescence intensity detected in the step (a) is the fluorescence intensity in the absence of the candidate compound; And a step of selecting a candidate compound that enhances or decreases its fluorescence intensity. Examples of the candidate compounds include, but are not limited to, proteins, peptides, amino acids or derivatives thereof, synthetic or natural compounds. Those skilled in the art can easily optimize the type and culture method of the cultured cells, the type of reporter gene, the detection method corresponding thereto, and the like.
[0028]
(Method for measuring the number of repeats of 2-base GT repeat sequence, primer pair and kit used in the method)
As will be described in detail in the following examples, the present invention is based on knowledge about the relationship between the number of repeats of 2-base GT repeats present in the promoter region upstream of the human NR2A gene and schizophrenia. Provided are a method for detecting a risk of developing a disease (susceptibility to disease) and / or a severity factor of symptoms, and a primer pair and a kit for use in the method.
[0029]
In one embodiment, the method for detecting the risk of developing schizophrenia and / or the severity factor of symptoms includes (a) obtaining a sample containing nucleic acid from a subject, and (b) human NMDA in the sample. Amplifying the upstream region of the receptor 2A subunit (NR2A) gene, and (c) measuring the number of repeats of the 2-base GT repeat sequence present in the upstream region, the 2-base GT repeat sequence comprising: Repeating 25 times or more in at least one allele suggests that the subject is likely to suffer from schizophrenia and / or that symptoms are likely to become severe.
[0030]
The detection method of the present invention is performed using a nucleic acid sample containing genomic DNA of a subject. These samples include subject tissues, cells, blood, and the like. In particular, blood cells (for example, leukocytes obtained from venous blood) that are easily obtained by simple blood collection are preferred. In addition, other cells such as fibroblasts, epithelial cells, keratinocytes and the like can be used. Furthermore, it can also carry out using dry samples, such as hair and skin.
[0031]
According to the detection method of the present invention, a nucleic acid sample from a subject is amplified by an appropriate method such as polymerase chain reaction (PCR) or ligated enzyme chain reaction (LCR). Various methods for amplifying DNA are known to those skilled in the art. For example, cloning of a desired DNA fragment, PCR, LCR, strand displacement propagation method (Walker G. et al. Proc. Natl. Acad. Sci USA, 89, 392-396 (1992)), transcription-based growth method (Kwoh D. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 86, 1173-1177 (1989)), self-sustaining replication Reaction (Guatelli J. et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 87, 1874-1878 (1990)), Q-β replicase system (Lizardi P. et al. Bio /
[0032]
Proliferation reaction products can be detected by various methods, and include, for example, determination of base sequence, analysis of single-stranded configuration, measurement of molecular weight, measurement of molecular weight after restriction enzyme cleavage, and the like. It is also possible to combine these two or more techniques. The measurement of molecular weight is particularly preferable as the simplest method, and there are various methods known to those skilled in the art. For example, polyacrylamide electrophoresis, capillary electrophoresis, or mass spectrometry (WO 94/16101, Cohen et al. Adv. Chromatogr. 36, 127-162 (1996), Griffin et al. Appl. Biochem. Biotechnol. 38 , 147-159 (1993)).
[0033]
A detection technique based on single-strand configuration polymorphism (SSCP) is also a separation method based on acrylamide gel or the like, but is performed under non-denaturing conditions. It can also be performed by suitable capillary electrophoresis. This technique can distinguish various DNA fragments according to their conformation (Orita et al. Proc. Natl. Acad. Sci. USA. 86, (1989), Cotton Mutat. Res. 285, 125 -144 (1993), Hayashi Genet. Anal. Tech. Appl. 9, 73-79 (1992)).
[0034]
In a preferred embodiment of the present invention, a DNA fragment containing a 2-base GT repeat sequence is amplified by a PCR method using a primer pair of the base sequences shown in SEQ ID NO: 3 and SEQ ID NO: 4 below.
5'-ATTCTGGCTCCCTGAGATCAGAG-3 '(SEQ ID NO: 3)
5'-GCTGGGTACAGTTATCCCCCT-3 '(SEQ ID NO: 4)
The primer pairs are single-stranded DNAs of 23 bases and 21 bases, respectively, which specifically bind to the upstream and downstream regions of the 2-base GT repeat sequence according to the present invention, and as a result, a DNA fragment of about 130 base pairs. Is amplified. The amplified DNA fragment can be measured for the number of repeats of the 2-base GT repeat sequence by any method of determining the base sequence or analyzing the DNA molecular weight. The length of the amplified DNA fragment can be set to any length depending on the design of the primer pair. However, if the length of the DNA fragment is too short, it is difficult to determine the base sequence, and if the length is too long, the molecular weight Analysis becomes difficult. The amplification reaction includes four types of deoxynucleotide phosphates (dNTPs) and thermostable DNA polymerases such as Taq polymerase, which are techniques known to those skilled in the art.
[0035]
Amplification of a DNA fragment by the PCR method includes multiplex amplification that simultaneously amplifies two or more genomic regions. For example, it is known to those skilled in the art to simultaneously amplify and analyze DNA fragments by designing primers such that the sizes of PCR products are different. Alternatively, when amplifying different DNA fragments, each can be detected separately by using primers having different labels (for example, dyes having different fluorescence wavelengths). In addition, two or more genomic regions can be simultaneously amplified using techniques known to those skilled in the art.
[0036]
In a particularly preferred embodiment of the invention, the amplified DNA fragment can be detected by measuring its length. Polyacrylamide gel electrophoresis is well known to those skilled in the art as such a method, and an appropriate gel other than polyacrylamide gel can be selected and used for electrophoresis. When acrylamide is used, a gel having a concentration of 3 to 8%, preferably 4 to 5%, can be used under denaturing conditions. In addition, it is also possible to use a capillary electrophoresis apparatus made of a high performance polymer. By using an appropriate molecular weight marker, it is easy for those skilled in the art to accurately measure the size of the DNA fragment from the result of such electrophoresis.
[0037]
Mass spectrometry is a method for detecting the molecular weight of an amplified DNA fragment. MALDI-TOF / MS (matrix assisted laser desorption ionization time-of-flight / mass spectrometry) There is. Impurities such as salts, buffers, surfactants, and proteins are removed from the amplified DNA fragments, and then spotted on a MALDI plate for mass spectrometry. That is, the DNA fragment is ionized by laser light irradiation. The charged product is released into the electric field created in the mass spectrometer and accelerated. The accelerated charged molecules fly through the vacuum space and reach the measurement plate. What is measured is the time of flight from the laser beam irradiation to the measurement plate, and this flight time is uniquely determined by the mass / charge of charged molecules in the defined electric field space or flight space.
[0038]
The primer pair for amplifying a DNA fragment containing a 2-base GT repeat sequence present in the upstream region of the NR2A gene according to the present invention is an oligonucleotide that hybridizes to a single base sequence portion at both ends of the 2-base GT repeat sequence Primer pairs can be chemically synthesized and used by known methods. Each of these primers can hybridize in a
[0039]
Two bases (GT) present upstream of the human N-methyl-D-aspartate receptor 2A subunit gene n / (CA) n A kit for measuring the number of repetitive sequences can contain these primer pairs. In addition to these primer pairs, other constituent reagents known to those skilled in the art, such as reagents for DNA extraction and purification, may be included. In addition, four types of deoxynucleotide phosphates (dNTPs), thermostable DNA polymerases such as Taq polymerase, and the like may be included.
[0040]
(Relationship between the number of repeats of 2-base GT repeats and schizophrenia)
From the result of the number of repetitions of the 2-base GT repeat sequence measured for each allele of the schizophrenic patient and the control subject, it can be seen that if this 2-base GT repeats 25 times or more, it is likely to suffer from schizophrenia. For example, FIG. 2 shows (GT) in schizophrenic patients and controls analyzed in the examples of the present invention. n Of alleles, the most frequent of the subject alleles is 24 repeats and alleles with 25 or more repeats are more common in schizophrenic patients than in subjects It is understood.
[0041]
Diagnosis of schizophrenia using the detection method of the present invention can be made by examining only one allele type or a genotype consisting of a plurality of alleles. For example, (GT) n It is also possible to measure the number of repetitions, and identify those having the number of repetitions within a certain range as a group. (GT) n Since the number of repeats is distributed over a certain range, there are many types of alleles, but these are classified into L-types with 25 or more repeats and S-types with 24 or less repeats. Can be analyzed as two alleles for convenience and is suitable for further analysis of linkage disequilibrium and haplotypes. The fact that it is genetically valid to classify into these two allelic types is shown in detail in the examples described below. Table 2 shown in the Examples shows the results of the case control method performed according to such classification. Describing based on the data shown in Table 2, individuals with a genotype of L / L are 10% more frequent in the healthy control group but 19% more often in schizophrenic patients. Therefore, it can be said that individuals with the L / L genotype are about 1.9 times more likely to develop schizophrenia than other genotypes.
[0042]
Regarding the polymorphism of the microsatellite repeat sequence according to the present invention and the severity of symptoms of schizophrenic patients, the number of repeats of 2-base GT repeat sequences of schizophrenic patients measured by the method of the present invention, and clinical It can be clarified by observing the symptoms. Observation of clinical symptoms is diagnosed by a psychiatrist based on the American Psychiatric Association's Psychiatric Disease Diagnosis and Statistical Manual, 4th Edition (DSM-IV), and can be performed using, for example, the PANSS method .
[0043]
Further, the detection method of the present invention can be combined with any other measurement method to improve the accuracy of diagnosis. The other method may be a genetic test or a serum protein test. For example, it may be a combination with a single nucleotide polymorphism existing in the vicinity of the same NR2A gene, or may be another gene (whether or not it is an NMDA receptor gene). Alternatively, it can be combined with measurement of neurotransmitter concentration in serum.
[0044]
(Pharmacogenetics)
In addition, for patients who have already developed schizophrenia, by analyzing the etiology, the possibility of an appropriate treatment policy can be found, and pharmacogenetics based on the individual's genetic background can be performed. To do. For example, a schizophrenic patient or patient group having an L / L genotype for a microsatellite repeat sequence according to the present invention may be caused by reduced NMDA receptor function, Compared with genotype patients, symptoms can be predicted to become more severe, and appropriate therapeutic drugs and treatment strategies can be planned based on these findings. For example, glycine, one of the neurotransmitters, is known to activate NMDA receptors with allosteric-like action and improve certain negative symptoms of schizophrenia. If the method of the present invention can detect a decrease in the function of the NMDA receptor as the etiology of schizophrenia, a therapeutic method by activating the NMDA receptor can be considered.
[0045]
【Example】
EXAMPLES The present invention will be described more specifically with reference to the following examples, but the present invention is not limited to these examples.
[0046]
[Example 1] Subject
Diagnosis of schizophrenia was based on the American Psychiatric Association's Psychiatric Diagnosis and Statistical Manual, Fourth Edition (DSM-IV). At least two experienced psychiatrists visited and diagnosed the patient based on the matched results. Unrelated schizophrenic patients consisted of 175 men (mean age 44.9 ± 12.4) and 128 women (mean age 46.2 ± 13.9). Control subjects were collected from hospital staff documented to be non-psychiatric and from business workers who were shown to be psychiatrically safe by a brief interview with a psychiatrist, with 121 men ( Average age 42.9 ± 8.8) and 184 women (average age 42.7 ± 15.1) were included. A separate collection of 49 schizophrenic patients and their parents was used to investigate relationships based on family. All subjects lived in central Japan. The gene analysis in the present invention was approved by the ethics committee of RIKEN and Tokyo Medical and Dental University, and all subjects gave informed consent.
[0047]
[Example 2] Structure and polymorphism analysis of NR2A gene
To determine the 5 ′ end of NR2A cDNA, Marathon-Ready cDNA kit (Clontech, Palo Alto, California), two kinds of primers GSP1 specific for NR2A cDNA: 5′-TCATCTCCAGGGCTGATGGCTGCGG-3 ′ (SEQ ID NO: 7) and GSP2: 5′-ATTCTCAGCGCTCACCCGGTCCCAT-3 ′ (SEQ ID NO: 8) was used for rapid amplification (RACE) of the 5 ′ end of the cDNA, and the 5′-RACE fragment was cloned and the nucleotide sequence was determined. Furthermore, screening of DNA polymorphisms by PCR direct sequencing of all exons, splicing border regions and 5 'upstream regions of NMDA, NR2A subunit genes of 26 schizophrenic patients Went. Present in the upstream region of the promoter (GT) n The repetitive sequence was determined by cloning the PCR product into a TA vector (Invitrogen, Carlsbad, California) and determining the base sequence thereof.
[0048]
In order to amplify a genomic DNA fragment containing a microsatellite repeat sequence polymorphism, an unlabeled upstream primer: 5′-ATTCTGGCTCCCTGAGATCAGAG-3 ′ (SEQ ID NO: 3) and a fluorescently labeled downstream primer: 5′-GCTGGGTACAGTTATCCCCCT-3 ′ ( SEQ ID NO: 4) was used. Polymerase chain reaction (PCR) was performed using ExTaq DNA polymerase (Takara Shuzo Co., Ltd.) for initial denaturation at 94 ° C. for 1 minute, 94 ° C. for 15 seconds, 63 ° C. for 30 seconds, and 72 ° C. for 45 seconds. This cycle was repeated 40 times, and finally, extension reaction was performed once at 72 ° C. for 2 minutes. The PCR product was sequenced using an ABI 3700 DNA sequencer (PE Applied Biosystems) equipped with GeneScan software. -Single nucleotide polymorphism from C to T at position -1245, single nucleotide polymorphism from G to A at position 1275, and single nucleotide polymorphism from C to T at position 101 in
[0049]
As a result, the 5 ′ end of NR2A cDNA was found to be 135 base pairs (bp) longer than the previously reported base sequence (GenBank Acc. No. NM — 000833.2). The genomic structure of the NR2A gene was determined by comparing the base sequence of cDNA with the base sequence of a BAC (bacterial artificial chromosome) clone containing the corresponding genomic region registered in GenBank. The accession numbers of these BAC clones are AC007596 (including
[0050]
[Example 3] Statistical analysis of correlation between microsatellite repeat sequence polymorphism and genotype of SNPs and schizophrenia
With the exception of -351G> A, all nucleotide sequence variations were classified in the samples of 303 Japanese schizophrenic patients and 305 controls. The genotypes and alleles of the -1245C> T, 1275G> A, and IVS10 + 101C> T single nucleotide polymorphisms were compared, but no significant difference was found between the schizophrenia and the control group ( P = 0.36, 0.73 and 0.97 respectively). All genotype distributions were within the range of Hardy-Weinberg equilibrium. The results of linkage disequilibrium analysis between these single nucleotide polymorphisms showed strong linkage disequilibrium between 1275G> A and IVS10 + 101C> T (for psychiatric patients: D = 0.036, D ′ (standardized) D) = 0.708, P <0.00001; for the control: D = 0.040, D ′ = 0.702, P = 0.00001), but showed −2455> A and 1275G> A No linkage disequilibrium was observed between (P> 0.05) and -1245C> T and IVS10 + 101C> T (P> 0.05).
[0051]
[Table 1]
Distribution of single nucleotide polymorphisms present in the NR2A gene
[0052]
The comparison of the allele and genotype of the microsatellite repeats present in the 5 ′ upstream regulatory region of the human NR2A gene was performed by the Monte Carlo method using the CLUMP program. As a result, a significant correlation (P = 0.178) was observed between these allele types and schizophrenia.
[0053]
The distribution of the number of repeats of 2-base GT repeats in the promoter region 5 'upstream of schizophrenic patients and normal controls is shown in FIG. Since the frequency of alleles with more than 24 repeats was greater in schizophrenic patients than in the control group, this microsatellite allele was classified into two classes according to its length. That is, the L-type having a repetition number of 25 or more and the S-type having a repetition number of 24 or less (see FIG. 2). The L-type and S-type alleles were linked to single nucleotide polymorphisms of -1245C and -1245T, respectively (D (D ′) = 0.111 (0.500), P = 0 for schizophrenic patients). .015; D (D ′) = 0.011 (0.777), P = 0.004) for controls. These results indicate that the classification of microsatellite repeats into the above-mentioned two types of alleles, L-type and S-type, is genetically valid, which is further supported by the functional analysis described later. The
[0054]
Table 2 shows the results of the case-control method performed according to the classification of the L-type and S-type alleles. As a result, the genotype distribution for these two alleles was significantly different between schizophrenic patients and the control group (CLUMP P = 0.0035). The genotype of the schizophrenic patient sample is L / L (P = 0.004, χ 2 = 8.42, df = 1, odds ratio = 1.98, 95% confidence interval = 1.24-3.11), and (L / L + L / S) type (P = 0.007, χ 2 = 7.22, df = 1, odds ratio = 1.55, 95% confidence interval = 1.12 to 2.13), and as a result of the Cochran-Armitage linearity trend test, at least one L-type The presence of the alleles of the gene was found to significantly increase the risk of schizophrenia (P = 0.003, χ 2 = 9.07, df = 2). Furthermore, the frequency of L-type alleles in schizophrenic patients was clearly different from that in the control group (P = 0.0004, and P = 0.0008 after Bonferroni correlation, χ 2 = 12.5, df = 1, odds ratio = 1.54, 95% confidence interval = 1.21 to 1.95) (see Table 2).
[0055]
[Table 2]
Genotype and allelic distribution of microsatellite repeats
[0056]
-1245C> T single nucleotide polymorphism and (GT) n The haplotype distribution defined by the two alleles was significantly different between schizophrenia and the control group (CLUMP normal chi-square P = 0.0016). -1245C and L type (GT) n The haplotype consisting of was excessively present in schizophrenia (P = 0.001, χ 2 = 10.2, df = 1). This confirmed that the genomic region surrounding the microsatellite repeat sequence predisposes to schizophrenia.
[0057]
The Japanese population is considered to be uniform, but there is a problem with the results of the case-control method due to the inherent stratification, and there is a possibility that false positive results can be obtained. In order to verify this, a systematic disequilibrium test (PDT, Martin ER et al. Am. J. Hum. Genet. 67, 147-154) was performed using 49 schizophrenic families (schizophrenic patients and their parents). (See 2000)), and the results are shown in Table 3 below. Software for performing PDT was obtained from http://wwwchg.mc.duke.edu. The pedigree disequilibrium test (PDT) can correct the increase in statistical values resulting from the analysis of many alleles by calculating a global score. As a result of obtaining this comprehensive value, it was found that the microsatellite repeat polymorphism is associated with schizophrenia as a whole (P = 0.026, χ 2 = 24.6, df = 13). As shown in Table 3, it is classified into L type (GT) 25 And (GT) 27 These two alleles were over-transmitted from the parents to the patient's offspring, showing statistical significance (P = 0.003) and trend (P = 0.070).
[0058]
[Table 3]
Systematic disequilibrium test (PDT) results of microsatellite repeats
[0059]
[Example 4] Luciferase assay for measurement of promoter activity
Since the microsatellite repeat sequence was present in the expression regulatory region upstream of the NR2A gene, this two bases (GT) n The effect of A on the promoter activity was examined using a reporter assay system in vitro.
(GT) n 2 bases (GT) from homozygous DNA with repeats of 12, 24 and 39 using the following primer pairs n A DNA fragment of the promoter region containing was amplified.
[0060]
5'-ATTCTGGCTCCCTGAGATCAGAG-3 '(SEQ ID NO: 3)
5'-AAGCCCTAGGAGCTCCCCTCCA-3 '(SEQ ID NO: 9)
[0061]
Each amplified DNA fragment was ligated to an enhancer-free pGL3-basic plasmid (Promega, Madison, Wisconsin). A recombinant without microsatellite repeats was also constructed. 1 × 10 human neuroblastoma cells each in a 24-well plate 5 Individually plated and grown on Dulbecco's minimum essential medium (Sigma, St. Louis, Missouri) supplemented with 10% fetal calf serum. The cultured cells were co-transfected with 1 μg of pGL3-basic plasmid having each promoter fragment using LipofectAMINE 2000 (Invitrogen) together with 0.1 μg of pRL-TK plasmid used as an internal standard. . After 48 hours, cells were collected, lysed and Picagene Dual Seapansy kit reagents (Toyo B-Net) and Lumat LB 9507 fluorimeter (Berthold Direct, Chicago,
The fluorescence intensity was measured using Illinois).
[0062]
The results are shown in FIG. The number of repetitions (GT) shown on the horizontal axis of FIG. n The transcriptional activity of the promoter containing the repetitive sequence was plotted on the vertical axis using the luciferase activity that is the expression product of the reporter gene as an index. The transcription activity of the reporter gene is (GT) n It turned out that it was suppressed as the length of became longer. The promoter activity of the plasmid with 24 repeats, the most common repeat, is (GT) n About half of the recombinants without repeat sequences. (GT) 39 The activity of the recombinant of (GT) n About 39% of the activity of the recombinant without the repeat sequence.
[0063]
[Example 5] MK801 binding assay
In the brain, NMDA receptors are most abundantly expressed in the cortical layer, and receptor dysregulation in the cortical layer is associated with the pathology of schizophrenia. Therefore, the number of NMDA receptor binding sites in the cortical layer of postmortem brain that was genotyped was examined using tritium labeled MK801 ligand. MK801 ((+)-5-methyl-10,11-dihydro-5H-dibenzo [a, d] cycloheptane-5,10-imine) is a non-competitive antagonist that binds to the channel pore of the NMDA receptor. Has high affinity. Brain dissection was performed according to the method of Toru et al. (Toru M et al. Acta. Psychiatr. Scand. 78, 121-137 (1988)). Tritium labeled MK801 binding experiments were performed by a modification of the method of Kornhuber et al. That is, a sample of neuronal membrane (0.2 mg / ml) was added in 3 ml of 1 n assay buffer. Three H] MK801 (Perkin Elmer, Boston, MA), 10 μM glycine (Sigma) and 10 μM unlabeled MK801 were incubated at 30 ° C. for 15 hours. Thereafter, the incubation was stopped by filtering the reaction solution through Whatman GF / B filter paper (Kent, UK).
[0064]
The results are shown in FIG. As shown in FIG. 4, subjects with two L-type alleles (L / L) are more likely to have (a) in the figure than subjects with S-type homozygous alleles (S / S). In the frontal cortex, (b) parietal cortex, (c) temporal cortex, and (d) occipital cortex [ Three Specific binding to H] MK801 was reduced by 11% to 5%. When the data of all cortical layers are summarized, as shown in FIG. 4 (e), the L / L genotype subject sample had significantly fewer binding sites than the S / S genotype subject sample.
[0065]
[Example 6] Clinical symptoms of schizophrenia and (GT) n Correlation with length
The inventors then (GT) n We investigated the relationship between the genotype defined by the number of repeats and the clinical phenotype of schizophrenia. To assess the severity of schizophrenic symptoms, the PANSS method with a consistent diagnosis of two psychiatrists who did not know the patient's genotype was used. The results are shown in FIG. As shown in FIG. 5, subjects with homozygous alleles with longer repeats showed large scores for both positive and negative symptoms. (GT) 23 / (GT) 23 , (GT) 24 / (GT) 24 And (GT) 25 / (GT) 25 Patients with a homozygous allele of (GT) 22 / (GT) 22 There was an increase in positive symptoms by 50%, 69%, and 106%, respectively, compared to patients with the homozygous alleles. (GT) n The correlation coefficient (r) between the length and the positive symptom was 0.998 (P = 0.007). Similarly, (GT) n There was also a positive correlation between the number of repetitions and the severity of negative symptoms (r = 0.882, P = 0.05).
[0066]
【The invention's effect】
According to the method of the present invention, 2 bases (GT) in the promoter region of the human NR2A gene n / (CA) n Examining the number of repeats in the repeat sequence indicates whether the subject is likely to suffer from schizophrenia and / or is symptomatic. This method makes it possible to provide medical care based on an individual's genetic predisposition, such as diagnosis of schizophrenia and selection of therapeutic agents. In addition, the DNA fragment comprising the base sequence represented by the general formula (1) of the present invention is used for the study of the NR2A gene expression regulation mechanism in schizophrenic patients and the screening of drugs effective in the regulation of NR2A gene expression. Useful.
[0067]
[Sequence Listing]
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 shows the structure and polymorphic site of the NMDA receptor NR2A subunit gene. The position of the base sequence was displayed by counting the translation start codon A as +1. The box type indicates the exon, and the number inside indicates the size (base pair) of the exon. The horizontal arrow indicates the number of the BAC clone in which the base sequence of the corresponding region is registered in GenBank.
FIG. 2 (GT) in schizophrenic patients and controls. n Represents the distribution of alleles. Allele size (horizontal axis) indicates the number of GT repeat repeats.
FIG. 3 (GT) n Shows the effect on the promoter activity. The luciferase activity (vertical axis) is shown as a relative value to the fluorescence intensity of the recombinant having 24 repetitions. Each value represents the mean value ± standard error of the mean value (SEM) of four independent transformation experiments (triplicate measurement).
FIG. 4 depicts the binding of tritium labeled MK801 in the cerebral cortex of postmortem brain. The number of binding sites for individuals with S / S genotypes (5 schizophrenic patients and 7 normal persons) and L / L genotypes (1 schizophrenic patient and 1 normal person) Measurements were made on (a) frontal, (b) parietal, (c) temporal, (d) occipital, and (e) total cortex. The number of binding sites was expressed as a percentage (%) of the average value of 14 subjects for each site. P = 0.0054
FIG. 5 shows the relationship between the severity of symptoms and the length of the GT repeat sequence. The data (vertical axis) represents the mean ± SEM of positive and negative degrees according to the PANSS method. The number of patients diagnosed is (GT) 22 / (GT) 22 1 for genotype, (GT) 23 / (GT) 23 2 for genotype, (GT) 24 / (GT) 24 5 people for genotype, and (GT) 25 / (GT) 25 There are 5 people for the genotype.
Claims (11)
5’X(GT)nY3’ (1)
(式中、Xは配列番号1に示す塩基配列であり、Yは配列番号2に示す塩基配列であり、nは1〜100の整数である)で表される塩基配列からなるDNA断片と、これと機能的に連結されたレポーター遺伝子とを含むことを特徴とする組換えベクター。The following general formula (1)
5′X (GT) nY3 ′ (1)
(Wherein X is the base sequence shown in SEQ ID NO: 1, Y is the base sequence shown in SEQ ID NO: 2, and n is an integer of 1 to 100), A recombinant vector comprising a reporter gene operably linked thereto.
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