JP3711901B2 - 位置測定システムおよび位置計算方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は移動端末の位置を測定する位置測定システムおよび上記システムの測位方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平7−181242号公報に、セルラ無線基地局を使った位置測定装置が示されている。まず、端末は基地局が送信する信号を受信する。そして、その伝搬遅延量から基地局と端末間の距離を求め、端末位置を計測する。端末位置の計測には三辺測量の原理が用いられるため、3局以上の基地局からの信号が受信できれば端末の位置を特定することができる。このとき、端末位置の推定誤差を抑えるためには、基地局は端末を重心とする三角形に配置されていることが望ましい。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
セルラ無線基地局を基準点とし、基地局と端末間の距離を基に三辺測量の要領で端末位置を求める場合、測位誤差は基地局と端末との位置関係により大きく変化する。特に信号が受信される基地局が全て同一直線上と扱われる配置にある場合、その直線に対して垂直方向への誤差が大きくなる。このように同一直線上と扱われる配置に基地局が存在する環境では、測位の対象である端末も上記直線上に存在する可能性が高いため、直線に対する垂直方向への測位誤差は、測位精度の劣化に直結する。
【0004】
上記より、測位に使用される基地局が全て同一直線上と扱われる配置に存在する場合、従来技術では精度の高い測位結果を得ることができないという課題が存在する。特に郊外の高速道路のような環境では、基地局は道路沿いに配置されているため、垂直方向に誤差が大きければ端末位置は道路外に算出される可能性が高くなる。これにより、利用者に対して上記位置測定システムは実際以上に測位精度が低いという印象を与えてしまう。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、測位に使用される基地局が全て同一直線上と扱われる配置に存在する場合、端末も上記直線上に存在すると仮定し、直線上に端末の位置を算出する位置計算方法によって解決される。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明による端末予想位置の変化を図1に示す。また、本発明の位置計算方法のフローチャートを図2に示す。測位を行う場合、まず端末にて周辺基地局からの信号の伝搬遅延量を測定する。端末、もしくは位置計算を行うサーバに実装されている測位部は上記測定結果を受け取り、信号が受信された基地局の位置情報をデータベースから入手する。上記基地局位置情報に基づいて、それらの基地局が同一直線上と扱われる配置に存在しているかどうかを検証する。ここで、基地局が同一直線上と扱われる配置に存在していることの検証方法は後述する。
【0007】
信号が受信された基地局のうち、1つでも同一直線上と扱われる配置に存在していない基地局があった場合は、その時点で基地局の配置状況の検証を終了し、2次元の端末位置測定法を行う。2次元の端末位置測定法としては、例えば各基地局の信号の相対伝搬遅延量より端末と各基地局間の距離差を求め、双曲線交会法により端末の座標を算出する方法がある。
【0008】
一方、全ての基地局が同一直線上と扱われる配置上にあると判断された場合は、位置算出方法として1次元端末位置算出方法を選択する。上記1次元位置算出方法とは、伝搬遅延量を測定した基地局が全て直線L上に存在する場合、測位の対象である端末も上記直線上にあると仮定し、直線L上に端末位置を求める方法である。
【0009】
1次元端末位置算出方法の例を図3にしたがって示す。端末位置を測位するために、端末にて周辺基地局からの信号の伝搬遅延量の測定を行い、直線Lの上に配置されたn個の基地局からの信号の伝搬遅延量が求まったものとする。このとき上記データベースより得られたk番目の基地局BS_kの座標を(x_k,y_k)とする。特にそれらの基地局の中で端末における測定結果の中で最も強い信号が受信された基地局を基準基地局BS_baseとし、このBS_baseの座標を(x_0,y_0)とする。
【0010】
次に端末と各基地局間、および端末とBS_base間の伝播遅延量の差から、各基地局から端末までの距離と基準基地局から端末までの距離の差Da_kを求める。距離差の導出方法としては、例えば特開平7−181242に述べられている方法がある。
【0011】
さらに直線L上に端末の仮位置T(x,y)を定め、その点からk番目の基地局BS_kまでの距離Dist_kを数1により求める。
【0012】
【数1】
Figure 0003711901
同様に、基準基地局BS_baseと端末との間の距離Dist_0を数2により求める。
【0013】
【数2】
Figure 0003711901
これより、基地局BS_kと端末間の距離、および基準基地局BS_baseと端末間の距離の差D_kは数3で求められる。
【0014】
【数3】
Figure 0003711901
この端末の仮位置T(x,y)と各基地局の座標より求めた距離差D_kと、各基地局からの信号の伝播遅延量の差より求めた距離差Da_kの差の評価関数をSとし、数4により上記Sを求める。
【0015】
【数4】
Figure 0003711901
このSが最小となるx,yを最小二乗法により求め、そのときの座標T(x,y)を端末位置とする。ただしT(x,y)は必ず直線L上の点とする。
【0016】
ここで前述の基地局配置状況確認アルゴリズムを図4に示す。最初に、端末において伝搬遅延量が測定された基地局の中から2つの基地局を選び、その2つの基地局を結ぶベクトルを求める。2つの基地局の選択方法としては例えば基準基地局と、信号が受信されている基地局の中で基準基地局に対して最も離れた場所にある基地局を用いるという方法がある。この2つの基地局を基準基地局Aと参照基地局Bとする。この2つの基地局を結ぶベクトルを基準ベクトルV0とする。
【0017】
次に上記2つ以外の基地局の中から1つの基地局Cを選ぶ。この基地局Cと基準基地局Aを結ぶベクトルV1を求める。このV1とV0の内積より、この2つのベクトルの成す角a1を求める。このa1が規定の範囲に該当する場合は、Cは基地局AとBとを結ぶ直線上にあると判断する。a1の範囲としては、例えば−5°<a1<5°、および175°<a1<185°等が考えられる。
【0018】
Cが直線上に配置されていないと判断された場合はその時点で基地局の配置状況の確認を中止する。Cが同一直線上と扱われる配置にあると判断された場合は、まだ配置確認が終わっていない基地局をCとして、上記のアルゴリズムを繰り返す。A、Bを除く全ての基地局について配置が確認された場合、全ての基地局が同一直線上と扱われる配置にあると判断する。なお、基地局の配置状況確認で用いられるベクトルは、全て上記データベースより得られた平面座標に基づいて算出された2次元ベクトルである。
【0019】
図5に、本発明からなる位置情報システムのうち、端末において周辺の基地局からの信号の伝搬遅延量を測定し、上記測定結果とそれらの基地局の座標を基に端末位置を算出する位置情報システムの構成を示す。上記システムは本発明の位置計算方法を用いて自身の位置を算出する端末1と、端末に対して周辺基地局の情報を送信する基地局情報サーバ2と、端末とネットワークの接続を仲介する基地局3と、ネットワーク4からなる。
【0020】
上記位置情報システムにおける端末1の構成例を図6に示す。上記端末1は、基地局情報サーバ2と通信するための通信部11と、端末位置算出のために必要な情報である位置測定情報を測定する位置情報測定部12と、端末1の位置を算出する測位部13を持つ。測位部13は、位置測定情報に含まれる基地局3が、同一直線上と扱われる配置上に存在するかを判定する基地局配置判定部14と、基地局配置判定部14に指示された端末位置算出方法で端末1の位置を算出する位置計算部15からなる。
【0021】
ユーザからの入力や、アプリケーションからの命令によって端末位置の測位を行う場合、まず通信部11を用いて基地局情報サーバ2に端末周辺の基地局3の情報を要求する。次に基地局情報サーバ2から送られてきた情報を基に、位置情報測定部12において位置測定情報を求める。位置測定情報としては、例えば周辺の基地局3から送信される信号の伝搬遅延量や信号の強度がある。測定された位置測定情報を測位部13に送り、端末1の位置を算出する。
【0022】
測位部13では、受け取った位置測定情報を基地局配置確判定部14に送り、測定結果に含まれている基地局3が同一直線上と扱われる位置に配置されているか確認する。全ての基地局3が同一直線上と扱われる位置に配置されていた場合は、位置計算部15に対して1次元の端末位置計算方法を用いるよう指示する。1つでも同一直線上と扱われる位置にない基地局3が存在した場合は、2次元の位置測定方法を用いるよう位置計算部15に指示する。
【0023】
図7に、他の実施例として、本発明からなる位置情報システムのうち端末において測位のために必要な情報を測定し、位置計算サーバがその測定結果と基地局の位置情報を基に端末の位置を計算する位置情報システムの構成を示す。上記システムは端末位置算出に必要な情報を測定する機能を持つ端末5と、本発明の計算方法を用いて端末の位置を算出する位置計算サーバ6と、端末に対して周辺基地局の情報の送受信を行う基地局情報サーバ2と、端末とネットワークの接続を仲介する基地局3と、ネットワーク4からなる。
【0024】
図7の位置情報システムにおける端末5の構成例を図8に示す。上記端末5は、測位のために必要な情報を測定する位置情報測定部12と、基地局情報サーバ2および位置計算サーバ6と通信を行う通信部11からなる。なお、前述の位置計算および基地局情報を1つのサーバで行うのも本発明の範疇である。
【0025】
端末5の位置を測定する場合、まず通信部11から基地局情報サーバ2に周辺基地局情報を要求する。次に上記サーバより与えられた周辺基地局3の情報を基に、位置情報測定部12において測位のために必要な情報である位置測定情報を測定する。位置測定情報としては、例えば周辺の基地局3から送信される信号の伝搬遅延量や信号の強度がある。上記位置測定情報を通信部11を通じて位置計算サーバ6に送る。端末5は上記位置計算サーバ6において算出された端末位置情報を受け取る。このとき、位置計算サーバ6が計算結果を第3者に対して通知するシステムも本発明の範疇である。
【0026】
図7の位置情報システムにおける、位置計算サーバ6の構成例を図9に示す。上記サーバ6は、端末5や基地局情報サーバ2との通信を行う通信部61と、端末から送られてきた位置測定情報に基づいて端末位置を算出する測位部13からなる。上記測位部13は、図6の端末の測位部13と同様の動作を行う。
【0027】
上記サーバ6は通信部61を通じて端末5から位置測定情報を受け、測位部13に上記位置測定情報を送る。測位部13では、まず上記位置測定情報を基地局配置判定部14に送り、上記位置測定情報において使用されている基地局3が同一直線上と扱われる位置に配置されていないか確認する。全ての基地局3が同一直線上と扱われる位置に配置されていた場合は、位置計算部15に対して1次元の端末位置計算方法を用いるよう指示する。1つでも同一直線上と扱われる位置にない基地局3が存在した場合は、2次元の位置測定方法を用いるよう位置計算部15に指示する。
【0028】
【発明の効果】
本発明の位置計算方法により、位置測定に使用される基地局が全て同一直線上と扱われる位置に配置されていた場合においても、正確な位置測定を行える可能性が高くなる。
【0029】
端末において信号が受信される全ての基地局が同一直線上と扱われる位置に配置されている場合は、上記直線上に端末が存在している可能性が非常に高いので、本発明のシステムを用いることで上記直線に対して垂直方向に発生する誤差を小さくすることができる。特に郊外の高速道路のように基地局が道路沿いに設置されている場合、端末位置を必ず上記道路に近い場所に算出するため、従来方式より高い測位精度を得ていることを利用者に実感させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の原理説明図。
【図2】本発明における位置計算方法のフローチャート。
【図3】本発明における1次元基地局配置の説明図。
【図4】本発明における基地局配置確認のフローチャート。
【図5】本発明における一実施例のシステム構成を示す概略図。
【図6】本発明における端末の構成例を示すブロック図。
【図7】本発明における他の実施例のシステム構成を示す概略図。
【図8】本発明における端末の他の構成例を示すブロック図。
【図9】本発明における位置計算サーバの構成例を示すブロック図。
【符号の説明】
1…位置測定機能を持つ端末、2…基地局情報サーバ、3…基地局、4…ネットワーク、5…位置計算機能を持たない端末、6…位置計算サーバ、11…通信部、12…位置情報測定部、13…測位部、14…基地局配置判定部、15…位置計算部、61…通信部。

Claims (4)

  1. 信号源から到来する特定信号の遅延量あるいは相対遅延量を測定し、信号源の位置情報と送信タイミングから端末の位置を測定する位置測定システムにおいて、上記信号源が全て1つの直線上か、もしくはそれに近い状況に配置されている場合、測位の対象である端末自体も上記直線上に存在すると仮定し、その直線上に端末位置を求める位置計算方法。
  2. 信号源から到来する特定信号の遅延量あるいは相対遅延量を測定し、信号源の位置情報と送信タイミングから端末の位置を測定する位置測定システムにおいて、上記信号源が全て1つの直線上か、もしくはそれに近い状況に配置されている場合、請求項1の計算方法を用いて測位を行う位置測定システム。
  3. 請求項2の位置計算システムにおいて、信号源からの信号を受信し、その受信結果に基づいて端末位置を算出する位置計算機能を持つ端末で、上記信号源が全て1つの直線上か、もしくはそれに近い状況に配置されている場合請求項1の位置計算方法を利用して端末位置を算出する位置計算機能を持つ端末によって構成される位置測定システム。
  4. 請求項2の位置計算システムにおいて、端末から送られてきた情報を基に端末位置を算出する位置計算機能を持つサーバで、上記信号源が全て1つの直線上か、もしくはそれに近い状況に配置されている場合請求項1の位置計算方法を利用して端末位置を算出する位置計算機能を持つサーバによって構成される位置測定システム。
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