JP3711553B2 - 発電機の保守装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、事業用の発電プラントにおける発電機の保守装置に関し、詳しくは、水素冷却部の保守作業の簡素化に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
図5に示すように、発電プラントにおける発電機では例えば再燃式蒸気タービンの場合、通常は、P(Primary)発電機1aと同一の設備を持つS(Secondary)発電機1bが設置されて並列運転が行われている。(図はクロスコンパウンド…並列形を示す)。このような大容量の発電機では、発熱部分である回転子や固定子(図示省略)の冷却を、部分的若しくは全体に冷却ガス(H2)を循環させることにより行なっている。
【0003】
H2を用いて回転子や固定子の冷却を行う発電機では、内部を循環する水素ガスH2の純度は一般に熱伝導方式を用いた水素純度検出器で測定される。
図6はH2により2台の発電機の冷却を行う従来装置の要部ブロック構成図である。図において、1aはP(Primary)発電機、1bはS(Secondary)発電機、V1〜V8は開閉バルブである。
【0004】
これらの発電機1a,1bには運転中は水素ボンベ2からH2が注入され、その純度(92%以上)は熱伝導度式H2検出器4a,4bにより検出されて指示計5a,5bに指示される。そして、水素純度が92%以下になると、計算機6側へ警報を発し、運転を停止させている。7は発電機内のH2を置換するC02ボンベ、3は発電機内に空気を送風するコンプレッサである。なお、S発電機1b側にもP発電機1a側と同様コンプレッサやH2,CO2を注入するためのボンベを有しているが図では省略する。
【0005】
図7において、通常の運転中はバルブV2,V4,V5,V6が開とされ、他のバルブは閉となっており、発電機1a,1b内には100%に近い純度の水素が満たされてその水素純度がH2検出器4aで測定され指示計5aに指示されている。
【0006】
このような従来の装置では、定期点検、メンテナンス、異常の確認等のような運転停止の場合、バルブV2を閉として水素の供給を遮断する。そして、図7に示すように装置内の水素ガス循環系に、ガス純度を検出するCO2純度計(熱伝導度式)10及び指示計10aを外部より接続する。
【0007】
図8は上述のような運転停止時のフローチャートを示すもので、まず、上述のCO2純度計の使用準備を行う(工程a)。なお、ここで使用するCO2純度計はH2及びAirの測定を行うもので、はじめにH2のキャリブレーションを行い(工程b)続いて、Airのキャリブレーションを行う(工程c)。これでガス置換のための準備が完了する(工程d)
【0008】
次に、バルブV8を開として発電機を含む系内のH2ガスを大気に放出する(工程e)。発電機1内の圧力が0.2〜0.3kgf/cm2程度になったことを確認し(工程f)、バルブV6を閉、V3,V7を開として発電機内にCO2ガスを導入(工程g)してその圧力が0.1〜0.3kgf/cm2程度になったことを確認する(工程h)。更に置換計10でH2純度が10%以下になったことを確認し(工程i)、これでCO2の置換が終了する(工程j)。
その後、バルブV3を閉、V1を開としてコンプレッサ3からAirを注入し発電機内のCO2をAirに置換する。そして置換計10の切替えスイッチを水素ガス測定側から空気測定側に切替え、今度は空気純度を監視し、空気純度が所定の値に達した時点でメンテナンス等を行なう。
【発明が解決しようとする課題】
ところで、この様な従来装置においては、通常の冷却動作に用いるH2検出器4と、メンテナンス等の時に用いる置換計10というように、2台の同じような構成の純度測定器を準備しなければならず、更に、メンテナンス作業時には置換計10を外部から設置しなければならない、という煩雑な作業を有していた。
【0009】
また、メンテナンス時に用いる置換計10は、ブリッジ構成の回路を有しているため、測定途中で水素ガス測定から空気ガス測定に切り換えるときに、切替え時の出力の追従が悪く、正確な測定ができないという問題があった。
【0010】
更に、系内の水分の影響による誤差を避けるために、水素純度検出器4と置換計10のガス検出部の前段に、はシリカゲル等の水分除去フィルター(図示省略)を設置せねばならず、構成を複雑にしていた。
指示計もこのような系では、H2,CO2,Airを測定するためのアナログ表示形式のものが3種類必要であった。
【0011】
本発明は、この様な従来技術の問題点を解決するためになされたもので、
ガス純度測定手段として振動式ガス密度計を用いることにより運転中のH2ガスの純度の他、メンテナンス時のH2、CO2、空気の純度も測定するようにして保守の簡素化を図った発電機の保守装置を実現することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
このような目的を達成するために本発明では、請求項1においては、
運転時は冷却ガスを循環させて発電機を冷却し、メンテナンス時には前記冷却ガスを放出して前記冷却ガス以外のガスを導入する発電機の保守装置において、
運転時及び保守時に前記冷却ガス及び冷却ガス以外のガス濃度を測定する振動式密度計と、該振動式ガス密度計の出力を表示するタッチ操作式液晶パネルとからなり、該タッチ操作式液晶パネルには発電機が運転状態であるか保守状態であるかを表示するとともに前記冷却ガス及び冷却ガス以外のガス濃度を表示するように構成したことを特徴とする。
【0013】
請求項2においては、請求項1記載の発電機の保守装置において、
冷却ガスは水素であることを特徴とする。
【0014】
請求項4においては、請求項1又は2記載の発電機の保守装置において、
冷却ガス以外のガスは空気、CO2ガス、窒素ガス若しくはこれらのいずれかの2以上の混合ガスであることを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下図面を用いて本発明を詳しく説明する。
図1は本発明の発電機の保守装置の実施の形態の1例を示す構成図である。図において、図6と同一要素には同一符号を付している。20a(20b)は振動式ガス密度計、21は液晶パネル制御装置、22は液晶パネルである。
【0017】
なお、本発明で使用する振動式密度計20の詳細な構成の説明は省略するが、従来の熱伝導度計の原理とは異なり内部を流れるガスの密度の測定をする。そのため、水分の影響を受けることはなく、また、運転時、メンテナンス時にかかわらず、流れるガスの種類に対応して切替えスイッチを切り換える必要はない。
【0018】
図2は振動式ガス密度計20の測定レンジを示すものでガス密度が0.090(kg/Nm3)のときに水素100%、1.239(kg/Nm3)のときに
Air100%、1.977(kg/Nm3)のときにCO2100%となるようになっている。
【0019】
この振動式ガス密度計20には液晶パネル制御装置21(レンジフリーコントローラ)が接続され、ガス純度値を上位の計算機に通信するとともに、警報を出力する。制御装置21には液晶パネル22が接続され、運転中の水素ガス純度、保守時の水素ガス純度、空気純度を表示する。
【0020】
更に、S発電機1b側の装置もP発電機1a側の装置と全く同様な構成とし、ガス密度計20bからの出力は制御装置21に入力される。そして、制御装置21には同様にS発電機1b側の出力が入力され、液晶パネル22にはP発電機の出力値とともに、S発電機の出力値も指示することができる。
【0021】
液晶パネル22の表示は、図3に示すように、常時、発電機1a側(#P)と発電機1b側(#S)の表示がされ、タッチ操作により、各々の「運転中」、「置換中」(保守時) を切り換えることができる。
図3において、図(a)は運転中(イ)が選択され(#P)のH2純度が99.0%(ロ)を示しており、(#S)のH2純度は91.0%(ハ)なので(ニ)の部分が例えば赤色になって警報色となっている状態を示している。
【0022】
図(b)は置換中(ホ)及び「H2 in CO2」(ヘ)が選択され、H2純度がいずれも97%となっていることを示している。
また図(c)は置換中(ホ)及び「Air in CO2」(ト)が選択され、H2純度がいずれも50%となっていることを示している。
【0023】
図4は本発明の保守装置を用いたフローチャートを示すもので、保守等に際しては液晶パネル22の「運転中」を確認し(工程a)、「H2純度」を呼び出して(工程b)、H2が92%以上であることを確認する(工程c)。これで保守のための準備が完了する(工程d)。
【0024】
次に、液晶パネルにて「H2 in CO2」を呼び出して(工程e)、バルブV2を閉、V8を開としてH2ガスの放出を行う(工程f)。そしてH2ガスの下降を確認し(工程g)、発電機内の圧力が0.2〜0.3kgf/cm2程度になったら(工程h)バルブV3を開としてCO2を機内に注入する。
【0025】
そして、機内圧の上昇(0.1〜0.3kgf/cm2)を確認し(工程j)H2の純度が10%以下になったら(工程k)バルブV3を閉、V1を開としてコンプレッサ3からAirを注入する。空気純度が所定の値に達した時点でメンテナンス等を行なう。
【0026】
本発明の構成の保守装置では2台の発電機の保守を液晶パネルを見ながらタッチ式で行うことができキャリブレーションも不要なので交換工程を大幅に短縮することができる。
【0027】
本発明の以上の説明は、説明および例示を目的として特定の好適な実施例を示したに過ぎない。したがって本発明はその本質から逸脱せずに多くの変更、変形をなし得ることは当業者に明らかである。例えば、バルブの位置や数、液晶パネルの構成などは必ずしも図示の通りでなくてもよい。また、発電機は水力や原子力を用いたものであってもよく、複数の発電機が単独に動作しているものであってもよい。更にガスの交換工程は図示の順序通りでなくても要は危険が伴わないで交換できればよい。特許請求の範囲の欄の記載により定義される本発明の範囲は、その範囲内の変更、変形を包含するものとする。
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、メンテナンス作業時にあっても新たな測定装置を外部から設置する必要はなく、測定途中で純度測定の対象ガスの種類が変わっても切替え操作は不要である。また、液晶パネルの採用により純度指示も一台の液晶パネルにて実現できるので、システム構成が簡素となるとともに誤操作の防止にも繋がる。
【0029】
また、系内に水分除去フィルターを設置しなくてもよく、簡素な設備を実現できる。これにより、運転時、保守時にあっても振動式ガス密度計のみを使用すればよい。ブリッジ回路構成ではないので、安定した出力を実現できガス測定部の前段に設置するフィルタも不要となる。
【0030】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発電機の保守装置の実施の形態の一例を示す構成図である。
【図2】本発明で使用する振動式ガス密度計の測定レンジを示す説明図である。
【図3】本発明で使用する液晶パネルの表示例を示す図である。
【図4】本発明の保守の作業工程を説明するフローチャートである。
【図5】発電プラントにおける並列運転例を示す構成図である。
【図6】従来の発電機の運転例を示す構成図である。
【図7】従来の発電機の保守装置の一例を示す構成図である。
【図8】従来の保守の作業工程を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
1 発電機
2 H2ガスボンベ
3 コンプレッサ
4 H2検出器
5 H2指示計
6 計算機
7 CO2ガスボンベ
10 置換計
20 振動式ガス密度計
21 液晶パネル制御装置
22 液晶パネル
V1〜V8 バルブ
Claims (3)
- 運転時は冷却ガスを循環させて発電機を冷却し、メンテナンス時には前記冷却ガスを放出して前記冷却ガス以外のガスを導入する発電機の保守装置において、
運転時及び保守時に前記冷却ガス及び冷却ガス以外のガス濃度を測定する振動式密度計と、該振動式ガス密度計の出力を表示するタッチ操作式液晶パネルとからなり、該タッチ操作式液晶パネルには発電機が運転状態であるか保守状態であるかを表示するとともに前記冷却ガス及び冷却ガス以外のガス濃度を表示するように構成したことを特徴とする発電機の保守装置。 - 冷却ガスは水素であることを特徴とする請求項1記載の発電機の保守装置。
- 冷却ガス以外のガスは空気、CO2ガス、窒素ガス若しくはこれらのいずれかの2以上の混合ガスであることを特徴とする請求項1又は2記載の発電機の保守装置。
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JP07930099A JP3711553B2 (ja) | 1999-03-24 | 1999-03-24 | 発電機の保守装置 |
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1999
- 1999-03-24 JP JP07930099A patent/JP3711553B2/ja not_active Expired - Fee Related
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