JP3706729B2 - Belt type continuously variable transmission system - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
巻き回されたベルトの有効径を変更することのできる可変径プーリを用いたベルト式無段変速システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、ベルト伝動装置は、例えば、自動車のカーコンプレッサ、オルタネータ、ウォーターポンプ、オイルポンプ等の補機を駆動するために用いられている。
このベルト伝動装置では、エンジンのクランク軸からプーリ及びベルトを介して一定の変速比で駆動力が伝達されており、クランク軸の回転数の増加と共に各種補機の回転数が増加する。その回転数の増加と共に各種補機の効率も増加するが、ある回転数以上では逆に効率が低下する。
【0003】
したがって、補機を必要以上に回転させることは、エネルギを無駄に消費し、補機の耐久性にも影響を与える。そこで、補機の回転数を調整し得るようにしたベルト伝動装置が提案されている。
例えば、公表特許公報平2−500261号に示すベルト伝動装置がある。この公報のベルト伝動装置では、巻き掛けられたベルトに対する有効径を変化させる可変径プーリが用いられている。
【0004】
この可変径プーリは、回転軸の回りに円形パターンに配列され且つ付勢手段によって径方向外方へ弾性的に付勢された多数のベルト係合棒を備えており、これら円形パターンの直径が可変径プーリの有効直径になっている。そして、上記多数のベルト係合棒を、付勢手段の付勢力に抗して径方向内方へ一括して移動させることにより、可変径プーリの有効径が変化されるようになっている。
【0005】
具体的には、互いに対向した一対の回転板に、互いに逆向きの渦巻き状に延びる多数の放射状溝をそれぞれ形成し、両回転板の対応する放射溝によって、上記ベルト係合棒の両端部をそれぞれ支持するようにしている。これにより、各ベルト係合棒は、両回転板の相対回転に伴って、円形パターンの配列のまま、有効直径を変化させることができる。一方、上記付勢手段としては、両回転板同士の間に介在し、且つ有効直径を増加させる方向へ両回転板同士を回転付勢するねじりコイルばねが用いられている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
このように、上記公報のベルト伝動装置では、その可変径プーリについて、上記多数のベルト係合棒を採用していて部品点数が多いうえに、これらベルト係合棒を円形パターンに配列した状態で円形パターンの直径を変化させねばならず、構造が複雑になる。このため、変速がスムーズに行えない。
【0007】
例えば、円形パターンの直径を変化させるべく上記多数のベルト係合棒が移動するときに、各ベルト係合棒の両端部と対応する放射溝との間にそれぞれ摩擦抵抗を生じるが、1本のベルト係合棒に関して摩擦箇所が2箇所あって且つベルト係合棒が多数あるので、摩擦箇所が非常に多い。その結果、摩擦抵抗が大きくなり、変速がスムーズに行なえない。
【0008】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、変速がスムーズなベルト式無段変速システムを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための課題解決手段として、請求項1記載の発明の態様は、回転軸の周囲を取り囲んで配置され軸方向に移動自在な一対のプーリ主体、これらのプーリ主体の互いの対向面に形成された一対のテーパ状の動力伝達面、これらの動力伝達面によって回転軸の軸心に対して偏心可能に挟持されると共に外周面に無端状のベルトが巻きかけられた動力伝達リング、および両プーリ主体を介して動力伝達リングを同心側へ付勢する付勢手段を含む可変径プーリと、変速比を調整するためにベルトの張力を調整するテンショナとを備え、このテンショナは、変位可能な支持部材によって回転自在に支持され且つベルトに係合するテンショナプーリと、このテンショナプーリを介してベルトに張力を付与する弾性部材と、ベルトの張力を調整するべく上記テンショナプーリの動作位置を上記支持部材を介して能動的に変更するアクチュエータとを含み、テンショナの弾性部材およびアクチュエータがベルトを介して動力伝達リングを偏心させようとする力と、可変径プーリの付勢部材が動力伝達リングを同心側へ付勢する力とが釣り合うことによって、上記動力伝達リングの位置が規定され、上記テンショナの弾性部材がベルトを介して動力伝達リングを偏心させようとする力が、可変径プーリの付勢部材が動力伝達リングを同心側へ付勢する力より小さくされ、上記アクチュエータは油圧アクチュエータからなり、上記テンショナは、テンショナプーリによって駆動されて油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、テンショナプーリと油圧ポンプとの間の駆動連結を断続するクラッチとを含み、このクラッチの操作によって上記テンショナプーリの動作位置が変更されることを特徴とするものである。
【0010】
本態様では、可変径プーリにおいてベルトと回転軸との間で動力伝達リングおよび両プーリ主体を介してトルクが伝達される。
また、テンショナの弾性部材およびアクチュエータがベルトを介して動力伝達リングを偏心させようとする合力と、可変径プーリの付勢部材が動力伝達リングを同心側へ付勢する力とが釣り合う位置に、上記動力伝達リングが変位することになる。例えば、アクチュエータによってテンショナプーリの動作位置がベルトの張力が増加する方向へ変更されると、動力伝達リングが付勢手段に抗して偏心側へ変位する結果、ベルトの有効径が小さくなる。一方、テンショナプーリの動作位置がベルトの張力が減少する方向へ変更されると、付勢手段の働きで動力伝達リングが同心側に変位する結果、ベルトの有効径が大きくなる。
【0011】
さらに、動力伝達リングを用いるので、一対の動力伝達面によってベルトが直接挟持される場合と比較して、ベルトの寿命を増加させることができる。また、動力伝達リングとしては、ベルトとは別の材料、例えば耐久性に優れ且つ摩擦係数が高くて動力伝達ロスの少ない樹脂を用いることも可能となる。なお、上記ベルトがゴム製であり、ベルトの周回方向に沿って延びるリブが複数並設されているとともに、上記動力伝達リングの外周面には、上記リブを嵌め合わせる複数の周溝が形成されていれば好ましい。この場合、ゴム製のベルトが張力を受ける方向である周回方向に沿ってリブを形成したので、ベルトが張力を受ける方向に関して、ベルトの肉厚を均一にでき、しかも、リブを設けることによって小型でありながらベルトの断面係数を大きくでき、ベルトの寿命を長くできる。ひいては、小型で長寿命のベルト無段変速システムを得ることができる。
【0012】
ここで、上記のアクチュエータとしては、油圧シリンダ、油圧モータ等の油圧アクチュエータが用いられる。
そして、クラッチを接続すると油圧ポンプが駆動され、この油圧ポンプから作動油を供給された油圧アクチュエータが、テンショナプーリを変位させる。これによりテンショナプーリの動作位置が変更されてベルトの張力が調整される。一方、クラッチを切ると、油圧ポンプおよび油圧アクチュエータが停止され、これにより、テンショナプーリが元の位置に戻され、ベルトの張力が変更前の元の状態に戻される。
このように変速比調整用のテンショナに内蔵した油圧ポンプを、必要時のみに駆動して不要時には停止させるので、省エネを達成できると共にポンプ寿命を長くすることができる。ここで、上記のクラッチとしては、電磁クラッチや遠心クラッチを用いることができる。また、エンジン負圧を用いて操作力を得るクラッチであっても良い。
また、上記可変径プーリに内蔵された付勢手段としては、プーリ主体を変位させるコイルスプリング、皿ばね等の弾性部材を用いる場合がある。また、遠心力によって旋回径を増大させてプーリ主体を変位させる慣性部材と、この慣性部材を収容し径方向外方へいくほど狭くなる収容空間を区画する部材とを用いる場合がある。さらに、油圧シリンダ、油圧モータ等の油圧アクチュエータを用いたり、或いは電動モータを用いる場合がある。
【0013】
また、請求項1記載の発明の態様では、上記テンショナの弾性部材がベルトを介して動力伝達リングを偏心させようとする力が、可変径プーリの付勢部材が動力伝達リングを同心側へ付勢する力より小さいので、下記の効果を奏することができる。
すなわち、テンショナのアクチュエータが働かない時には、本願のような可変径プーリを伴わない従来仕様の定速ベルト伝達式補機駆動システムに用いられると同様に、テンテョナはばね等の弾性部材の力でもってベルトに張力を与えるのみである。テンショナの弾性部材の力、言い換えればベルトを介して動力伝達リングを偏心させようとする力は、可変径プーリの付勢部材が動力伝達リングを同心側へ付勢する力よりも小さい。よって動力伝達リングは回転軸の軸心と同心状態を保っている。
【0014】
アクチュエータが働き、テンショナの弾性部材の力にさらにベルトに張力を与える力が付加され、その合力が、可変径プーリの付勢部材が動力伝達リングを同心側へ付勢する力(実際には動力伝達リングとプーリ主体の動力伝達面との間に摩擦抵抗力もあるので、それを付加した力)よりも大きくなると、動力伝達リングは回転軸の軸心に対し偏心し始め、付加された力に応じた偏心位置が規定され、動力伝達における所望の伝達(変速)比が得られる。この際、ベルトにはテンショナばかりか可変径プーリの付勢部材によっても張力が付与されることになり、張力付与が安定化し適切な張力が付与される。
【0015】
請求項2記載の発明の態様は、請求項1において、上記可変径プーリは自動車の駆動源に連なる出力軸、および補機の駆動軸の何れか一方に設けられ、上記テンショナプーリはベルトの緩み側に係合していることを特徴とするものである。
本態様では、本ベルト式無段変速システムを自動車の補機駆動システムに適用することにより、補機を不必要な高速で回転させることを防止でき、補機の耐久性を向上できるとともに省エネを達成できる。
【0016】
また、自動車の補機駆動システムは、各種の補機が密集しているエンジンルーム内に配置される関係上、できるだけ小型のものが望まれる。これに対して、本発明の変速比調整用のテンショナであれば、従来よりベルトの緩み側に配置されているオートテンショナと同様の配置にすることができるので、小型化を図ることができる。
【0017】
請求項3記載の発明の態様は、請求項1又は2において、上記可変径プーリは、両プーリ主体が相等しい変位量で回転軸の軸方向に互いに逆向きに変位するように両プーリ主体同士を関連させる機構をさらに含むことを特徴とするものである。
本態様では、両プーリ主体が互いに逆向きに相等しい変位量で変位するので、ベルトの走行中心の位置を常に一定に維持できる。変速によってベルトに不必要な力が負荷されたりプーリから脱落したりするおそれがない。
【0018】
請求項4記載の発明の態様は、請求項3において、上記両プーリ主体同士を関連させる機構は、両プーリ主体同士を互いの軸方向相対移動を許容しつつ一体回転可能に連結する第1の連結手段と、各プーリ主体をそれぞれ回転軸に動力伝達可能に連結する一対の第2の連結手段とを含み、上記一対の第2の連結手段は、それぞれ対応するプーリ主体の回転軸に対する相対回転を対応するプーリ主体の軸方向移動に変換する一対の変換機構を含むことを特徴とするものである。
【0019】
本態様では、トルク変動等によってベルトの張り側部分の張力が増大すると、この張り側部分が動力伝達リングをプーリ主体の径方向内方へ移動させようとして、両プーリ主体を互いに遠ざけようとする力が働く。一方、伝達トルクが、変換機構によって、両プーリ主体を近接させようとする力に変換され、付勢手段による付勢力に付加されて、上記遠ざけようとする力と均衡する。
【0020】
したがって、あるレベル以下のトルク変動があっても、可変径プーリの有効径が変化することがない。仮に両プーリ主体を近接させる力を付勢手段のみで得る場合には、付勢力を大きくすることが必要となって摩擦損失が大きくなるという欠点があるが、本発明では、負荷トルクに応じて両プーリ主体を互いに近接させる適切な力を得ることができ、結果として、付勢手段による付勢力を小さくできるので、摩擦損失を少なくすることができる。
【0021】
請求項5記載の発明の態様は、請求項3において、上記両プーリ主体同士を関連させる機構は、内径部および外径部がそれぞれ対応するプーリ主体に一体回転可能に係合され且つ径方向中間の所定部が該所定部を支持する連結手段を介して回転軸に動力伝達可能に連結されたダイヤフラムスプリングを含み、このダイヤフラムスプリングは上記付勢手段を兼用していることを特徴とするものである。
【0022】
本態様では、両プーリ主体、ダイヤフラムスプリングおよび連結部材を介してベルトと回転軸との間でトルクが伝達されることになる。両プーリ主体をダイヤフラムスプリングで直接付勢できるので、両プーリ主体をスムーズに動作させてスムーズな変速が可能となる。
また、連結手段により支持されるダイヤフラムスプリングの径方向中間の所定部は、ダイヤフラムスプリングの内径部と外径部とで互いに逆向きで等しい変位量を生じさせる位置に設定されており、これにより、両プーリ主体を軸方向に対称移動させてベルトの走行中心を一定に維持することができる。
【0023】
さらに、ダイヤフラムスプリングは両プーリ主体を一体回転可能に連結する機能と、両プーリ主体を介して動力伝達リングを同心側へ付勢する機能を果たすので、構造を簡素化することができる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の好ましい実施の形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
第1の実施の形態
まず、図1〜図7を参照して、本発明の第1の実施の形態としてのベルト式無段変速システムについて説明する。第1の実施の形態では、本ベルト式無段変速システムは、自動車に搭載され、車両の駆動源にて補機を駆動するための補機駆動システムとして適用されている。第1の実施の形態では、一の補機、例えばスーパーチャージャー等の従動プーリを可変径プーリとしてある構成に即して説明していく。ただし、駆動プーリを可変径プーリとすることも可能である。補機としては、上記のスーパーチャージャーの他、エアーポンプ、オルタネータ、エアコンディショナ用コンプレッサ、パワーステアリング用油圧ポンプ及びウォータポンプ等を例示することができ、本システムを複数の補機を駆動するシステムとして構成することもできる。この場合、1のシステムにおいて、1ないし2つ以上の従動プーリを可変径プーリとすることも可能である。
【0030】
全体構成
図1を参照して、本システム101では、無端状のベルト102を、車両の駆動源としてのエンジンのクランク軸に連なる駆動プーリ103、変速比調整用のテンショナ104のテンショナプーリ105、位置が固定されたアイドラプーリ106、および補機の回転軸に連なる可変径プーリ107に対して順次に巻き回している。
【0031】
テンショナプーリ105は、駆動プーリ103とアイドラプーリ106との間のベルト102の緩み側部分をたぐり寄せるようにして配置されている。テンショナ104は、エンジンケース等の固定部に揺動自在に支持された揺動アームからなる支持部材108を備えている。この支持部材108の中央部には該支持部材108の揺動の中心となる回動軸線109が設けられており、この回動軸線109を挟んで対向するように、支持部材108の両端が配置されている。支持部材108の一端には、上記テンショナプーリ105が回転自在に支持されていると共に、他端には、支持部材108を揺動変位させるための油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ110のロッド111の先端部が回転自在に連結されている。油圧シリンダ110のシリンダ端面とロッド111の先端部との間には、ロッド111を伸長方向に付勢する弾性部材としての圧縮コイルばね134が配置されている。この圧縮コイルばね134は支持部材108およびテンショナプーリ105を介してベルト102の緩み側部分を弾力的にたぐり寄せて張力を付与している。
【0032】
上記の油圧シリンダ110には、車両に搭載される電動ポンプからなる油圧ポンプ112から所要時に作動油が供給され、また、所要時に油圧シリンダ110から低圧側へ作動油が戻されるようになっている。図1では、油圧シリンダ110および油圧ポンプ112に関する油路構成の主要部分のみを概略化して示してあるが、詳細については、図3および図4を用いて後述する。113は油圧ポンプ112からの作動油を油圧シリンダ110に供給する否かで、油の流通を一方向のみ許容する逆止弁の状態と、油の双方向の流通を許容する状態とを択一的に選択する電磁弁である。
【0033】
テンショナプーリ105は、支持部材108の揺動変位に伴ってベルト102への張力を増す方向と減らす方向へ変位可能に設けられており、油圧シリンダ110によって、図1に示す第1の位置と図2に示す第2の位置との間に変位される。上記の第1の位置に対応して可変径プーリ107はベルト102に対して最大有効径となると共に、第2の位置に対応して可変径プーリ107は最小有効径となる。具体的には、本可変径プーリ107は、これに含まれる動力伝達リング(図2において206で示す)により代表して示されおり、この動力伝達リングが可変径プーリ107の中心となる回転軸線Kに対して偏心する。
【0034】
一方、テンショナプーリ105の動作は、コントローラ114によって制御されている。このコントローラ114は、可変径プーリ107の回転速度を検出する状態量検出手段としての第1の速度センサ115の出力信号、及びアイドラプーリ106の回転速度を検出する状態量検出手段としての第2の速度センサ116の出力信号を入力している。
【0035】
可変径プーリ107の回転速度は補機の回転軸の回転速度に等しく、アイドラプーリ9の回転速度はベルトの走行速度に相当(エンジンの回転速度に比例)している。
コントローラ114による制御としては、第2の速度センサ116からの出力信号を入力してエンジンの回転速度を検出し、例えば、エンジン回転数が所定レベルよりも低い状態でテンショナプーリ105を図2に示す第2の位置に変位させて動力伝達リングを偏心側に変位させておくことにより、エンジン回転数に対して補機の回転数を相対的に高くする。一方、エンジン回転数が所定レベル以上の状態では、テンショナプーリ105を図1に示す第1の位置に変位させて、動力伝達リングを同心側に変位させておくことにより、エンジン回転数に対して補機の回転数を相対的に低くすることができる。ここで、コントローラ114からの出力信号は電動ポンプからなる油圧ポンプ112(実際には油圧ポンプ112を駆動するモータ)および電磁弁113に出力され、これによりテンショナプーリ105の動作位置が変更されて、変速されるようになっている。また、コントローラ114は、第1の速度センサ115からの出力信号の入力により、可変径プーリ107の回転速度を検出し、この回転速度がエンジンの回転速度(すなわち、ベルト102の走行速度に相当)に対して所定の割合になるように、油圧シリンダ110によるテンショナプーリ20の変位量を調整する。
【0036】
油圧回路
次いで、図3および図4を参照して、油圧シリンダ110と油圧ポンプ112を含む油圧回路について説明する。油圧シリンダ110はロッド伸長時に拡張される第1の油室117と縮小される第2の油室118とを、ピストン119を挟んで有している。
【0037】
低圧側の油圧タンク120と上記第1の油室117とを連通する供給側油路121には、モータ122により駆動される油圧ポンプ112と、第1の油室117側への作動油供給のみを許容する逆止弁123とが、油圧タンク120側からこの順で配置されている。
供給側油路121において逆止弁123よりも第1の油室117側にある部分124は、電磁弁113を配した第1の連通油路125と、リリーフ弁126を配した逃がし油路127とをそれぞれ介して油圧タンク120に連通されている。
【0038】
電磁弁113は図3に示すように第1の連通油路125を、内蔵された逆止弁132によって油圧タンク120側への油の流れを阻止した状態で、油圧ポンプ112から第1の油室117への作動油供給を促す。また、電磁弁113は図4に示すように内蔵の連通路133によって第1の連通油路125を双方向に開放した状態で、第1の油室117と油圧タンク120との間の作動油の双方向の流通を許容する。リリーフ弁126は第1の油室117の圧が過度に高くなったときに、この圧を低圧の油圧タンク120側へ逃がすためのものである。
【0039】
また、低圧側の油圧タンク120と上記第2の油室118とは、互いに並列に配置された、逆止弁128を有する戻し側油路129と、可変絞り130を配した第2の連通油路131とをそれぞれ介して互いに連通されている。戻し側油路129に設けられた逆止弁128は、油圧タンク120側への油の流れのみを許容する。可変絞り130を配した第2の連通油路131は、油圧タンク120と第2の油室118との間の双方向の作動油の流通を、可変絞り130による所定の絞り抵抗をもって許容する。なお、可変絞り130に代えて固定絞りを用いても良い。
【0040】
以上のような油路構成では、図3に示すように、電磁弁113が第1の連通油路125を閉じることにより、油圧ポンプ112により第1の油室117に作動油を供給すると共に、第2の油室118からの作動油を戻し側油路129を介して油圧タンク120へ戻す。これにより、ロッド111が伸長すると共にこの伸長状態が保持される。これにより、ベルト張力が増大して可変径プーリ107の動力伝達リングが偏心側へ変位する。
【0041】
一方、図4に示すように、モータ122を停止させて油圧ポンプ112を停止させると共に、電磁弁113が第1の連通油路125の双方向の作動油流通を許容する状態にする。そうすると、ベルト張力により油圧シリンダ110のロッド111が短縮され、ベルト張力が減少して可変径プーリ107の動力伝達リングが同心側へ変位する。この状態で、ベルト102に発生する振動をテンショナ104を従来のオートテンショナと同様に機能させて減衰させる。具体的には、ベルト102の振動に伴ってテンショナプーリ105が微小変位すると、支持部材108が揺動変位し油圧シリンダ110のロッド111が伸縮する。
【0042】
ロッド111が伸長側へ(動力伝達リングが偏心側へ)変位する際には、この変位に対して、図4において破線矢符で示すように、第1の油室117への作動油の流入が第1の連通油路125を介して抵抗なく許容され、第2の油室118からの作動油の流出が戻し側油路129を介して抵抗なく許容される。また、弾性部材としての圧縮コイルばね134は縮められる。
【0043】
また、ロッド111が短縮側へ(動力伝達リングが同心側へ)変位する際には、図4において実線矢符で示すように、第1の油室117からの作動油の流出が第1の連通油路125を介して抵抗なく許容されると共に、第1の油室117への作動油の流入が第2の連通油路131の可変絞り130による抵抗を与えられて許容される。したがって、ベルト102の振動に追従して作動するテンショナプーリ105に対して、可変絞り130を含む流体回路および圧縮コイルばね134が協働してダイナミックダンパとして機能し、ベルト102の振動が減衰されることになる。
【0044】
上記の弾性部材としては、油圧シリンダ110に設けられる場合に限らず、支持部材108を弾力的に付勢するばね部材、例えばねじりコイルばね、引っ張りコイルばねおよび圧縮コイルばねを用いることもできる。
可変径プーリ
図5は可変径プーリ107の断面図である。図5を参照して、可変径プーリ107は、回転軸201の周囲に軸方向に移動自在な第1および第2の環状のプーリ主体202,203を備えており、これらプーリ主体202,203の互いの対向面にそれぞれ動力伝達面204,205を形成している。これら一対の動力伝達面204,205は互いに逆向きに傾斜したテーパ状にされており、両動力伝達面204,205によって、断面略台形形状の動力伝達リング206が、両プーリ主体202,203の軸心(回転軸201の回転軸線Kに相当)に対して偏心可能(図7参照)に挟持されている。
【0045】
この動力伝達リング206の外周面にはベルト102への伝動面208が形成され、この伝動面208にベルト102が巻き掛けられている。伝動面208には、ベルト102の周回方向に沿って延びる複数の互いに平行なリブ236とそれぞれ噛み合う複数の周溝237が形成されている。リブ236は例えば断面略V字形形状をしている。動力伝達リング206の両側面はそれぞれ対応する動力伝達面204,205と接触してトルクを伝達するテーパ状の動力伝達面209,210を構成している。
【0046】
ベルト102はゴム製のものが好ましく、また、動力伝達リング206としては、耐久性に優れ且つ摩擦係数が高い樹脂、例えば、フェノール樹脂に、炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維およびグラファイトを配合した樹脂材料を成形してなるものが好ましい。本樹脂であれば、高強度で耐摩耗性に優れているにもかかわらず、相手部材への攻撃性が穏やかであり、しかも温度にかかわらず安定した摩擦係数を持つ。また、樹脂材料中における炭素繊維、芳香族ポリアミド繊維およびグラファイトの含有割合としては、炭素繊維5〜30重量%、芳香族ポリアミド繊維5〜15重量%、グラファイト10〜15重量%の範囲にあることが、耐摩耗性を向上させ、摩擦係数をより安定させる点で好ましい。
【0047】
また、可変径プーリ107は、第1および第2のプーリ主体202,203を互いに近づく方向に付勢する付勢手段としてのダイヤフラムスプリング211を備えており、このダイヤフラムスプリング211は、回転軸201と連動回転する円板フランジ状の連結部212に複数の軸状部213を介して一体回転可能に連結されている。
【0048】
上記のダイヤフラムスプリング211の内径部214および外径部215は、第1および第2のプーリ主体202,203にそれぞれ一体回転可能に係合されている。これにより、両プーリ主体202,203とダイヤフラムスプリング211が回転軸201と一体に回転するようになっている。従動プーリである本可変径プーリ107では、ベルト102から、動力伝達リング206、両プーリ主体202,203およびダイヤフラムスプリング211を介して回転軸201へトルクが伝達される。
【0049】
図5および図6を参照して、ダイヤフラムスプリング211の内径部214および外径部215には、それぞれ円周等配に配置された放射状の連結溝216,217が形成されている。また、ダイヤフラムスプリング211の径方向の中間部において、上述した軸状部213を貫通させる支持孔231が円周等配に形成されている。
【0050】
第1のプーリ主体202は、円錐状の円板部218とこの円板部218の内周に形成された円筒状のボス部219とを備えている。円板部218は上記の動力伝達面204を形成している。また、ボス部219は回転軸201の周面に滑り軸受としてのブッシュ220を介して軸方向にスライド自在に支持されている。234は第1のプーリ主体202が回転軸201から抜脱することを防止するストッパであり、回転軸201の端部の周溝に嵌め入れられたスナップリングからなる。
【0051】
第2のプーリ主体203は、円錐状の円板部221とこの円板部221の内周に形成された円筒状のボス部222とを備えている。円板部221は上記の動力伝達面205を形成している。第2のプーリ主体203のボス部222は、第1のプーリ主体202のボス部219を取り囲み、この第1のプーリ主体202のボス部219によって滑り軸受としてのブッシュ223を介して軸方向にスライド自在に支持されている。
【0052】
第2のプーリ主体203の動力伝達面205の背面224の外周縁部には、ダイヤフラムスプリング211の外径部215の複数の連結溝217にそれぞれ嵌め入れられる複数の板状の連結突起233が円周等配で放射状に形成されている。第2のプーリ主体203の背面224がダイヤフラムスプリング211の外径部215によって押圧されて、第2のプーリ主体203が第1のプーリ主体202へ近づく方向に付勢されている。
【0053】
第1のプーリ主体202のボス部219は、第2のプーリ主体203のボス部222を貫通して第2のプーリ主体203の動力伝達面205の背面224側へ延びており、ボス部219が第2のプーリ主体203の背面側へ延びる部分を構成している。この背面側へ延びる部分としてのボス部219の端部には、当該端部とダイヤフラムスプリング211の内径部214とを一体回転可能に連結するための環状の連結部材225が設けられている。
【0054】
この連結部材225の内周部はボス部219の端部にねじ結合されて一体回転可能に固定されている。この連結部材225を介して伝達されるトルクがねじ締め方向に働くようにされており、固定が緩むことがないようになっている。
この連結部材225はダイヤフラムスプリング211の内径部214を軸方向に押すための円板状の押圧板部226と、この押圧板部226に円周等配で放射状に形成された複数の連結突起227とを形成している。上記の押圧板部226がダイヤフラムスプリング211の内径部214によって押圧され、連結部材225を介して第1のプーリ主体202が第2のプーリ主体203へ近づく方向に付勢されている。また、複数の連結突起227は、ダイヤフラムスプリング211の内径部214の複数の連結溝216にそれぞれ嵌め入れられている。
【0055】
上記の連結部212は、回転軸201に一体に形成された円板状のフランジ部228と、このフランジ部228の周囲を取り囲んで配置された環状部材229とを含んでいる。フランジ部228の外周面と環状部材229の内周面との間には、両者に例えば焼き付け等により接合されたゴム等の環状の弾性部材230が介在している。この弾性部材230は環状部材229とフランジ部228とを弾性的に連結してトルク伝達を可能にすると共に、環状部材229を回転方向に弾性支持することになる。
【0056】
また、上記の環状部材229には、当該環状部材229を軸方向に貫通して複数の貫通孔235が円周等配に形成され、各貫通孔235には上記軸状部213が挿通されて固定されている。これら軸状部213がダイヤフラムスプリング211の支持孔231に嵌め入れられ、ダイヤフラムスプリング211と連結部212とを一体回転可能に連結する。
【0057】
また、ダイヤフラムスプリング211は内径部214と外径部215とに互いに逆向きの集中荷重を受けた軸対称曲げの状態となるが、このとき各軸状部213によって、支持孔231の位置におけるダイヤフラムスプリング211の軸方向の変位が規制されることから、各軸状部213による支持半径dを所定に設定することにより、内径部214と外径部215とを相等しいストローク量で互いに逆向きに変位させることが可能となる。
【0058】
そして、上述したテンショナ104がベルト102の張力を調整することにより、ダイヤフラムスプリング211の付勢力に抗して動力伝達リング206を、両プーリ主体202,203を互いに離反させつつ図7に示すように偏心させて、巻きかけられたベルト102対する有効径Dを変化させることができる。
また、環状の弾性部材230をトルク伝達経路に介装してあるので、本可変径プーリ107を仮に駆動プーリに適用した場合には、回転軸201からベルト102へ伝達される駆動系の回転変動を上記弾性部材230によって吸収でき、また、本第1の実施の形態のように従動プーリに適用した場合には、ベルト102から回転軸201に伝達される駆動系の回転変動を上記弾性部材230によって吸収することができる。何れの場合においても、ベルト伝動を受ける従動側の機器(エンジンの補機等)に、不連続な回転が伝達されることを防止することができ、ひいては従動側の機器での振動や騒音の発生を防止し、また従動側の機器の耐久性を向上させることができる。
【0059】
特に、両プーリ主体202,203に一体回転可能に係合されたダイヤフラムスプリング211を介してトルクが伝達される。換言するとダイヤフラムスプリング211をトルク伝達経路に介装してあるので、ダイヤフラムスプリング211が上記弾性部材230と共働し、伝達されるトルクの変動を抑制することができる。したがって、不要な回転変動の伝達を抑制する効果が高い。
【0060】
また、本第1の実施の形態のように、可変径プーリ107を従動プーリに適用した場合、駆動トルクの変動に伴ってベルトの張力変動があった場合に、これに応じて動力伝達リング206が偏心側および同心側に微小変位し、さらに動力伝達リング206とプーリ主体202,203の接触点が円周方向に変動することにより上記張力変動を吸収することができる。
【0061】
また、仮に、可変径プーリ107を駆動プーリに適用した場合には、動力伝達リング206、両プーリ主体202,203、ダイヤフラムスプリング211および環状部材229を重り部材とし、弾性部材230をばね部材として、回転軸201を駆動している駆動系のねじれ振動を抑制するダイナミックダンパを構成することができる。その結果、回転軸201を駆動している駆動系のねじれ振動を抑制することができる。しかも、このダイナミックダンパでは、本可変径プーリに必須の構成である両プーリ主体202,203を重り部材として利用できるので、上記駆動系のねじれ振動の抑制を、簡単な構造にて大型化を招くことなく達成することができる。
【0062】
なお、本第1の実施の形態では、連結部212のフランジ部228を回転軸201と一体に形成したが、このフランジ部228を回転軸201とは別体に形成しスプライン結合等により回転軸201と一体回転可能に連結すると共にスナップリング等によって軸方向の移動を止めておいても良い。
本第1の実施の形態では、テンショナ104の弾性部材134および油圧アクチュエータとしての油圧シリンダ110がベルト102を介して動力伝達リング206を偏心させようとする合力と、可変径プーリ107の付勢部材としてのダイヤフラムスプリング211が動力伝達リング206を同心側へ付勢する付勢力(実際には動力伝達リングとプーリ主体の動力伝達面との間に摩擦抵抗力もあるので、それを付加した力)とが釣り合う位置に、上記動力伝達リング206が変位することになる。すなわち、油圧シリンダ110が働いて、前者の合力が後者の付勢力を上回ると、動力伝達リング206が偏心され、油圧シリンダ110が働かないときは、動力伝達リング206が同心位置に戻ることになる。
【0063】
以上説明した第1の実施の形態では下記の利点がある。すなわち、
1)油圧シリンダ110を作動させ、テンショナプーリ105の動作位置の変更によるベルト102の張力の変更を通じて、動力伝達リング206を同心側又は偏心側に変位させ、これにより可変径プーリ107のベルト102の有効径を変更して、変速することができる。
【0064】
特に、上記テンショナ104の弾性部材134がベルト102を介して動力伝達リング106を偏心させようとする力が、可変径プーリ107の付勢部材211が動力伝達リング206を同心側へ付勢する力より小さくしてあるので、下記の効果が得られる。すなわち、油圧シリンダ110が働かない時には、本願のような可変径プーリを伴わない従来仕様の定速ベルト伝達式補機駆動システムに用いられると同様に、テンテョナ104は弾性部材134の力でもってベルト102に張力を与えるのみであり、動力伝達リング206は回転軸201の回転軸線Kと同心状態を保つことになる。
【0065】
一方、油圧シリンダ110が働き、テンショナ104の弾性部材134および油圧シリンダ110がベルト102を介して動力伝達リング206を偏心させようとする合力と、可変径プーリ107の付勢部材としてのダイヤフラムスプリング211が動力伝達リング206を同心側へ付勢する付勢力よりも大きくなると、動力伝達リング206は回転軸201の回転軸線Kに対し偏心し始め、油圧シリンダ110により付加された力に応じた偏心位置が規定され、動力伝達における所望の伝達(変速)比が得られる。この際、ベルト102にはテンショナ104ばかりか可変径プーリ107の付勢部材211によっても張力が付与されることになり、張力付与が安定化し適切な張力が付与される。すなわち、ベルト102を介する張力バランスを用いて変速するので、安定且つスムーズな変速が可能となる。
【0066】
また、動力伝達リング206を用いることにより、ベルト102の寿命を増加させることができ、また、ベルト102と別材料で構成できる動力伝達リング206としては、耐久性に優れ且つ摩擦係数が高い樹脂を用いることも可能となり、耐久性および動力伝達効率を向上できる。
2)また、本実施の形態のように、本ベルト式無段変速システムを、自動車の補機駆動に適用することにより、補機を不必要な高速で回転させることを防止でき、補機の耐久性を向上できるとともに省エネを達成できる。
【0067】
3)また、本実施の形態の変速比調整用のテンショナ104であれば、従来よりベルト102の緩み側に配置されているオートテンショナの代替として配置することができるので、小型化を図ることができる。特に、本実施の形態では、変速比調整用のテンナョテ104に、ベルト102を押圧付勢するための弾性部材としての圧縮コイルばね134を設けており、上記1)でも説明したように通常のオートテンショナとしての機能を果たさせることができる。また、テンショナ104に含まれる油圧シリンダ110を含む油圧回路に粘性抵抗を発生する可変絞り130を設けてあるので、該可変絞り130と上記圧縮コイルばね134とが協働してダイナミックダンパとして機能することができる。
【0068】
4)また、ゴム製のベルト102が張力を受ける方向である周回方向に沿ってリブ236を形成したので、ベルト102が張力を受ける方向に関して、ベルト102の肉厚を均一にでき、しかも、リブ236を設けることによって小型でありながらベルト102の断面係数を大きくでき、ベルト102の寿命を長くできる。ひいては小型で長寿命のベルト式無段変速システムを得ることができる。
【0069】
5)動力伝達リング206を偏心させるために必要な、テンショナプーリ105のベルト102に対する押圧力を、弾性部材としての圧縮コイルばね134と油圧シリンダ110とで得ることになるので、油圧シリンダ110のみで得る場合と比較して、油圧シリンダ110が負担すべき力が少なくて済む。したがって、油圧シリンダ110やこれに油圧を供給すべき油圧ポンプ112の小型化を図ることができる。
【0070】
6)ダイヤフラムスプリング211の働きによって、両プーリ主体202,203が互いに逆向きに相等しい変位量で変位するので、ベルト102の走行中心の位置を常に一定に維持できる。変速によってベルト102に不必要な力が負荷されたりプーリから脱落したりするおそれがない。
7)両プーリ主体202,203をダイヤフラムスプリング211で直接付勢できるので、両プーリ主体202,203をスムーズに動作させてスムーズな変速が可能となる。また、ダイヤフラムスプリング211の内径部214と外径部215とで互いに逆向きに等しい変位量を生じさせるようにすることにより、両プーリ主体202,203を軸方向に対称移動させてベルト102の走行中心を一定に維持することができる。さらに、ダイヤフラムスプリング211は両プーリ主体202,203を一体回転可能に連結する機能と、両プーリ主体202,203を介して動力伝達リング206を同心側へ付勢する機能を果たすので、両機能を別部品で達成する場合と比較して構造を簡素化することができる。
【0071】
8)油圧シリンダ110に油圧を供給する油圧ポンプ112が電動ポンプからなるので、該電動ポンプのオンオフによりテンショナプーリ104の動作位置の変更が可能となり、省エネを達成できる。また、本システムを自動車に搭載する場合において、自動車に既に搭載されている油圧ポンプ(例えば動力舵取装置のオイルポンプ等)を、本システムの油圧ポンプに兼用して用いることも可能であり、この場合、小型化や省スペース化を図ることができる。
第2の実施の形態
次いで、図8〜図16は本発明の第2の実施形態に係るベルト式無段変速システムに用いられる可変径プーリ300を示している。図8を参照して、本第2の実施の形態が図5の(すなわち第1の)実施の形態と主に異なる構成について要約的に示すと、下記のイ)〜ニ)である。
【0072】
イ)第1の実施形態では、両プーリ主体を付勢する付勢手段としてダイヤフラムスプリング211を用いたが、本第2の実施の形態では、付勢手段として皿ばね310を用いたこと。したがって、本第2の実施の形態において、テンショナ104の弾性部材134および油圧シリンダ110がベルト102を介して動力伝達リング309を偏心させようとする合力と、本可変径プーリ300の付勢部材としての皿ばね310が動力伝達リング309を同心側へ付勢する付勢力との関係を、油圧シリンダ110によって能動的に変更することによって、変速が達成される。
【0073】
ロ)第1の実施形態では、付勢手段としてダイヤフラムスプリング211を介してトルク伝達したが、本第2の実施形態では、付勢手段としての複数の皿ばね310,310を介してトルク伝達されることがないこと。
ハ)本第2の実施形態では、両プーリ主体が回転軸の軸方向に互いに逆向きに相等しい変位量で変位するように、トルクカム機構T,Tを設けてあり、これらトルクカム機構T,Tは、回転軸301にトルク伝達可能に連結された第1および第2のプーリ主体305,306が回転軸301に対してそれぞれ生ずる回転角変位と軸方向変位とを変換する一対の変換機構からなる。
【0074】
ニ) 本第2の実施形態では、可変径プーリ300においてトルク変動を吸収するための弾性部材341を、回転軸301とこれの周囲を取り囲む中間部材302との間に介在させてあること。
詳述すると、図8を参照して、本可変径プーリは、補機の回転軸の同軸上に一体回転可能に連結された筒状の回転軸301の周囲に、焼き付けゴム等からなる環状の弾性部材341を介してトルク伝達可能に連結された筒状の中間部材302を備えている。この中間部材302には、一対の連結体303,304をそれぞれ介して第1および第2のプーリ主体305,306が連動回転可能に連結されている。
【0075】
両プーリ主体305,306間に区画されるV溝307には、回転軸301の軸線308に対して偏心可能であって外周面にベルト102への伝動面313を形成した動力伝達リング309が嵌め入れられている。また、本可変径プーリは、両プーリ主体305,306を互いに近接する方向に付勢する付勢手段として複数対の環状の皿ばね310,310を備えており、これらの皿ばね310,310は、連結体303,304を介して両プーリ主体305,306を付勢する。
【0076】
両プーリ主体305,306の互いの対向面からなる動力伝達面315,316同士の間に上記のV溝307が形成されている。動力伝達リング309の対向する周側面317,318が、これら動力伝達面315,316にそれぞれ接触して動力伝達するようになっている。
図8および図10を参照して、プーリ主体305は、V溝307を区画するためのテーパ面からなる動力伝達面面315を有する円形環状の主体部321を有している。この主体部321の内周部分から軸方向一方(他方のプーリ主体306側)に延びる複数の円弧状の嵌合突起322が円周等配に形成されている。また、主体部321の内周面には、隣接する嵌合突起322同士間に対応して、円弧状の嵌合溝323が円周等配に形成されている。さらに、主体部321は、動力伝達面315と反対側の面に筒状部324を形成している。両プーリ主体305,306は、左右対称の形状とされている。プーリ主体306に関しても、プーリ主体305と同様の主体部321、嵌合突起322および筒状部324を有している。
【0077】
図8,図9,図10および図11を参照して、筒状部324の内周には、両プーリ主体305,306同士の軸方向変位を案内する複数のガイド部材325が配置されている。これらのガイド部材325は、対応するプーリ主体305,306の嵌合突起322の外周を覆う円弧状のものからなり、筒状部324の内周面に円周等配に形成された複数の円弧状の保持溝326にそれぞれ嵌め入れられて保持されている。図12に示すように、このガイド部材325は、摩擦係数の少ない円弧状板からなるガイド主体327と、このガイド主体327の縁部を取り囲む、例えばゴム製のシール部材328とを有している。
【0078】
両プーリ主体305,306同士の相対的な軸方向変位を案内するガイド部材として、円筒状のブッシュ等の滑り軸受を設けることも考えられるが、そうした場合、ブッシュ内部に充填した潤滑油やグリースが漏れるおそれがあることの他、摺動する相手材のない部分にもブッシュを設けることになりスペースの無駄と強度不足の欠点があるので、本実施形態では、図13に示すように、各嵌合突起322にそれぞれ外接する円弧状のガイド部材325を設けた。つまり、内部に充填してある潤滑油やグリスが、図13において矢印329に示すように各嵌合突起322の縁部を伝わって、外部へ漏れださないように、各嵌合突起322の縁部にシール部材328が当接するようにしてあるので、上記の潤滑油等の漏れ出しを防止することができる。
【0079】
図14に示すように、両プーリ主体305,306は、互いの嵌合突起322を相手方の嵌合溝323に貫通させており、これにより、両プーリ主体305,306同士が互いに軸方向の相対移動を許容しつつ一体回転できるようにスプライン結合されている。各プーリ主体305,306の嵌合突起322,322が、互いに他方のプーリ主体306,305を貫通する部分を構成している。
【0080】
図8において左側のプーリ主体306は、右側の連結体303とスプライン結合されて一体回転可能とされている。また、図において右側のプーリ主体305は左側の連結体304とスプライン結合されて一体回転可能とされている。すなわち、図14を参照して、連結体303,304は、筒状部330の一端側外周に円周等配に複数の嵌合突起331を形成しており、この嵌合突起331を対応するプーリ主体305,306の嵌合突起322と互いに噛み合わせることにより、スプライン結合が達成されている。また、各連結体303,304は、プーリ主体305,306の嵌合突起322の内周面に係止されたスナップリングからなるストッパ333によって、軸方向に離脱することが防止されている。このストッパ333は、プーリ主体305,306の嵌合突起332の内周面に形成された溝に嵌められている。
【0081】
一方、図15を参照して、プーリ主体305,306の内周面と中間部材302の外周面との間に、両連結体303,304によって区画される収容空間334に、上記の皿ばね310,310が収容されている。これら環状の皿ばね310,310は、回転軸301と同心に配置されている。この収容空間334の外周は、各連結体303,304の外周面に嵌め込み固定された一対のシール部材としての薄肉円筒335,336によって区画されている。これらの薄肉円筒335,336は、互いにスライド自在に重合するように嵌め合わされており、連結体303,304同士の軸方向移動に伴って、互いの重合量を可変するようになっている。上記の薄肉円筒335,336は、例えばステンレス等の薄板からなる。
【0082】
上記の薄肉円筒335,336によって、収容空間334を覆っているので、内部に充填された潤滑油等が外部へ漏れ出すことを確実に防止できる。加えて、前述したシール部材328の働きで潤滑油等の漏れ出しを一層確実に防止することができる。
上記の皿ばね310,310は、互いに逆向きに配置されており、両連結体303,304を介して、両プーリ主体305,306を互いに離れる方向に付勢している。すなわち、各連結体303,304は、皿ばね310,310の付勢力によって、対応するストッパ333に常に押しつけられている。このため、各連結体303,304は、皿ばね310,310を軸方向に伸縮させながら、対応するプーリ主体306,305と軸方向に一体移動する。このため、両プーリ主体305,306のV溝307の幅の変化量と、複数の皿ばね310,310の全ストローク量とが互いに等しくなっている。
【0083】
図8を参照して、各連結体303,304は、中間部材302の外周面にそれぞれメタルブッシュ等の滑り軸受340を介して回転自在に支持されている。また、各連結体303,304は、中間部材302に対してカム結合している。すなわち、図16を参照して、各連結体303,304の内周面には、円周等配に複数の嵌合突起332が形成されており、各嵌合突起332は、筒状の中間部材302の軸方向両端部にそれぞれ円周等配に複数形成された嵌合溝337にそれぞれ嵌められている。
【0084】
これらの嵌合突起332と嵌合溝337は、互いに係合する傾斜状のカム面338,339によって接触している。そして、両連結体303,304同士でカム面338の傾斜方向が回転方向に関して逆向きに設定されている(同様に、中間部材302の両端同士でも、嵌合溝337のカム面339の向きが互いに逆向きに設定されている)ので、両連結体303,304が中間部材302に対して位相ずれを生ずると、両連結体303,304は互いに逆向きに等しい距離だけ軸方向変位するようにされている。その結果、両プーリ主体305,306同士が互いに等距離ずつ接近し或いは互いに等距離ずつ離れるようになっている。
【0085】
上記した嵌合突起322と嵌合溝323によって一対のプーリ主体306,305同士を互いの軸方向相対移動を許容しつつ一体回転可能に連結する第1の連結手段が構成されている。また、各連結体303,304と中間部材302とをそれぞれ連結する各一対のカム面338,339によって、それぞれトルクカム機構Tが構成されている。各連結体303,304とそれぞれに対応するトルクカム機構Tとで、各プーリ主体306,305をそれぞれ回転軸301に動力伝達可能に連結する第2の連結手段が構成されている。
【0086】
トルク伝達時に、互いに一体回転する両プーリ主体305,306が回転軸301に対する回転角変位を生じると、この回転角変位は、上記のトルクカム機構Tによって、両プーリ主体305,306を互いに等しい距離だけ近接又は離反させるような軸方向変位に変換されることになる。これにより、ベルト102の幅中心が常に一定に維持されることになる。
【0087】
例えば従動プーリに適用された本可変径プーリ300では、負荷トルクは、回転軸301に対してプーリ主体305,306を回転方向に位相ずれさせようとする力となる。この位相ずれさせようとする力は、上記のトルクカム機構Tによって変換されて、両プーリ主体305,306を互いに近接させようとする力となり、この力は、さらにテーパ面からなる動力伝達面315,316を介して、例えば図16に示す状態の動力伝達リング309の被挟持部分を、可変径プーリ8の径方向外方へ変位させようとする力、ベルト102の有効径Dを大きくしようとする力に変換される。
【0088】
そして、トルクの微小変動があった場合に、これに伴ってベルト2の張り側の部分に対応する動力伝達リング309が、両プーリ主体305,306間の間隔を拡げて可変径プーリ8の径方向内方へ入り込もうとするが、これを、上記皿ばね310,310による付勢力と、上記の動力伝達リング309を径方向外方へ変位させようとする力とによって抗して防止することができる。このように負荷トルクの変動によって有効径を小さくしようとする力が作用しても、これに抗する力をトルクカム機構Tによって生起できるので、負荷トルクの変動に起因した可変径プーリの有効径Dの変化を防止できる。
【0089】
なお、トルクカム機構として、ねじ機構を採用しても良い。また、付勢手段として、上記の皿ばね310,310に代えて、回転軸301と同心の圧縮コイルばねを用いることもできる。
本第2の実施形態では、第1の実施の形態で示した利点1)〜5),8)と同様の利点が得られる。加えて下記の利点がある。すなわち、
9)トルクカム機構Tの働きで、両プーリ主体305,306が互いに逆向きに相等しい変位量で変位するので、ベルト102の走行中心を常に一定に維持できる。したがって、変速によってベルト102に不必要な力が負荷されたり、プーリから脱落したりするおそれがない。
【0090】
10)可変径プーリ300への負荷トルクを、変速機構としてのトルクカム機構Tによって、両プーリ主体305,306を近接させようとする力に変換できるので、負荷トルクに応じて両プーリ主体305,306を互いに近接させる適切な力を得ることができ、結果として、付勢手段としての皿ばね310,311による付勢力を小さくできるので、摩擦損失を少なくすることができる。
【0091】
11)トルク伝達経路に介装した弾性部材341によって回転軸301とベルト7の間で伝達されるトルクの変動を抑制することができ、従動側の機器の振動、騒音を低減し、耐久性を向上させることができる。
また、本第2の実施形態の可変径プーリ300を駆動プーリとして用いた場合には、弾性部材341をばね部材とし、この弾性部材341によって回転方向に弾性支持される部材(すなわち中間部材302、両連結体303,304および両プーリ主体305,306)を重り部材としたダイナミックダンパを構成することができる。これにより、回転軸301を駆動する駆動系のねじれ振動を効果的に抑制することができる。
なお、本第2の実施の形態において、例えば、トルク変動を抑制し或いはねじれ変動を抑制する弾性部材は、トルクを伝達するものであれば、トルク伝達経路のどの位置に配置されても良い。また、ダイナミックダンパとして用いるときに、重り部材として大型化を招かない範囲でダミーウェイトを取り付けて減衰すべき振動周波数に合わせることも可能である。
第3の実施の形態
図17および図18は本発明の第3の実施の形態に係るベルト式無段変速システムに用いられるテンショナ10を示している。なお、図18(a),(b)は図17のV−V線に沿う断面に相当している。また、図18(a),(b)においては、簡単化のため、ベルト102の巻き掛け態様を図1とは若干異なるように示してあるが、実際には図1と同様である。
【0092】
これらの図を参照して、本第3の実施の形態が図1の(すなわち第1の)実施の形態と主に異なる構成は、本テンショナ10が、テンショナプーリ20とクラッチ85を介して連結された油圧源としての油圧ポンプ22と、この油圧ポンプ22からの作動油供給を受けて、上記テンショナプーリ20の動作位置を変更する油圧アクチュエータとしてのベーンモータ21とを内蔵していることである。
【0093】
テンショナプーリ20の動作は、コントローラ12によって制御されている。このコントローラ12には、図1の実施の形態と同様にして、可変径プーリ400の回転速度に関する第1の速度センサ115(図18では示さず)からの出力信号、及びアイドラプーリ106の回転速度に関する第2の速度センサ116(図18では示さず)からの出力信号が入力されるようになっている。
【0094】
上記のクラッチ85は、例えば電磁クラッチからなり、コントローラ12から信号を受けることにより、テンショナプーリ20と油圧ポンプ22の両者を駆動連結する状態と、駆動連結を断つ状態とに切り換えるものである。
そして、コントローラ12による制御としては、例えば、エンジン回転数が所定レベルよりも低い状態で、エンジン回転数に対して補機の回転数を相対的に高くし、また、エンジン回転数が所定レベル以上の状態で、エンジン回転数に対して補機の回転数を相対的に低くするように制御する。さらに、コントローラ12は、第2の速度センサ116からの出力信号の入力により、ベルト102の走行速度を検出し、この走行速度がエンジンの回転数に対して所定の割合になるように、ベーンモータ21によるテンショナプーリ20の変位量を調整する。
【0095】
テンショナ10の概略断面図である図17を参照して、このテンショナ10は、車両の駆動源のボディ等に固定される固定部材23と、この固定部材23に基端部25が回動軸線109の回りに揺動自在に支持された揺動部材24とを備えている。この揺動部材24の先端部26に、上記のテンショナプーリ20が、回転軸91および転がり軸受92を介して回動自在に支持されており、このテンショナプーリ20がベルト102に係合している。
【0096】
また、上記の回動軸線109と同心に配置されたねじりコイルばねからなる付勢部材28が、固定部材23と揺動部材24とに係合している。この付勢部材28は、テンショナプーリ20がベルト102を弾力的に押圧する方向(図18において時計回り)に上記揺動部材24を回動付勢している。60は揺動部材24の揺動角度を所定範囲内に規制するストッパピンである。
【0097】
上記の固定部材23は、ボス29を有する下部材30と、この下部材30にねじ31により一体的に固定された二重筒状の上部材32とを備えている。この上部材32は、図において下向きに開いた内筒部33と、図において上向きに開いた外筒部34とを有している。また、外筒部34には上記のねじりコイルばねからなる付勢部材28が収容されている。一方、揺動部材24の基端部25には、回転軸線Kと同心の筒状部71が形成されており、この筒状部71も付勢部材28の一部を収容している。
【0098】
上記の内筒部33は、筒状部35とこの筒状部35の上端に一体に形成された環状の第1の端面板36とからなり、この第1の端面板36の内面に隣接して、第2の端面板37が配置されている。そして、この第2の端面板37と上記固定部材23の下部材30および上部材32の内筒部33によって、ベーンモータ21のケーシング72が構成されている。
【0099】
一方、固定部材23の下部材30のボス29には、揺動部材24の基端部にねじ38によって一体回動自在に固定されたスリーブ39が、揺動自在に嵌め合わされている。このスリーブ39の内周面とボス29の外周面との間には、軸方向に並ぶ一対の筒状の摺動部材51が介在している。また、この摺動部材51よりも下方で、スリーブ39の内周面とボス29の外周面との間を密封する一対のOリング52が、軸方向に距離を隔てて配置されている。そして上記のスリーブ39がベーンモータ21のロータを構成しており、このロータを構成するスリーブ39の外周面には、径方向に延びる矩形板からなる複数のベーン40が円周等配に一体に形成されている[図18(a),(b)参照]。
【0100】
図18(a),(b)を参照して、ケーシング72内に円周等配に配置された断面扇形の仕切部材41によって複数の室に仕切られている。上記の仕切部材41を貫通した固定軸42(図17参照)が、第2の端面板36および仕切部材41を、固定部材23の下部材30に固定している。そして、上記の複数の室の各々に、上記のベーン40がそれぞれ収容されており、各室内がベーン40によって一対の油室54,55に仕切られている。
【0101】
各油室54,55は、吐出側油路80および戻り側油路81を介して油圧ポンプ22と接続されている。上記吐出側油路80には、ベーンモータ21側への作動油の流れのみを許容する逆止め弁82が配置されている。この逆止め弁82よりもベーンモータ21側の吐出側油路80は、絞り84を有する連通路83を介して戻り側油路81に接続されている。
【0102】
そして、テンショナプーリ20の動作位置を変更する場合には、図18(b)に示すように、油圧ポンプ22から吐出側油路80を通して高圧側の油室54に作動油が供給され、低圧側の油室55から戻り側油路81を通して作動油が油圧ポンプ22側へ排出されることにより、各ベーン40がロータとしてのスリーブ39と共に回転され、揺動部材24およびテンショナプーリ20を、ベルト張力を増す方向(図18において時計回り方向)に揺動変位させる駆動力が得られるようになっている。
【0103】
再び図17を参照して、上記のねじ38は、フランジ付カラー45を貫通して固定部材23の下部材30のボス29にねじ込まれている。これにより、フランジ付カラー45がねじ38の頭部とボス29の上端面との間で挟持された状態で回動不能に固定され、揺動部材24の揺動を支持する支軸となっている。46および49は摺動部材である。また、48はスリーブ39と揺動部材24とを一体回転可能に連結するピンである。
【0104】
第1および第2の端面板36及び37の各内周面とスリーブ39の外周面との間には、それぞれOリング61及び62が介在し、これにより、ロータとしてのスリーブ39とケーシング72の端面板36,37との間が密封されている。一方、固定部材23の下部材30と上部材32との合わせ面は、シール部材70によって密封されている。
【0105】
揺動部材24の先端部にはハブ86が設けられ、このハブ86内に二重筒状のヨーク87が嵌め込み固定されている。このヨーク87の内筒88と外筒89との間には界磁コイル90が固定されている。また、ヨーク87の内筒88は、テンショナプーリ20と一体回転する回転軸91を転がり軸受92を介して回動自在に支持している。
【0106】
この回転軸91の中間部には回転円板からなる入力側摩擦板93が一体に形成されている。この入力側摩擦板93には、回転円板からなる出力側摩擦板94が所定のクリアランスを設けて対向している。この出力側摩擦板94は、中央にボス部95を有しており、このボス部95は、揺動部材24の支持孔内に軸受96を介して回転自在で且つ軸方向に移動自在に支持されている。また、このボス部95の内周には、上記回転軸91の一端が挿入され、軸受97を介して回転自在で軸方向に相対移動自在に支持されている。また、出力側摩擦板94のボス部95に突設された軸100には、油圧ポンプ22のロータ99が一体回転可能に固定され、このロータ99を収容したポンプハウジング98が揺動部材24の先端部の底部に液密的に固定されている。この油圧ポンプ22の型式としては、例えばトロコイドポンプを示すことができる。
【0107】
上記のクラッチ85は、ヨーク87、界磁コイル90および各摩擦板93,94によって構成されている。このクラッチ85では、励磁電流が流されて界磁コイル90が励磁されると、これにより生ずる磁界の作用によって、出力側摩擦板94が入力側摩擦板93に吸引され、両摩擦板93,94同士の連結によってクラッチ85が接続状態となり、油圧ポンプ22がテンショナプーリ20に駆動連結される。
【0108】
これにより油圧ポンプ22が駆動され、図18(b)に示すように、油圧ポンプ22から逆止め弁82を有する吐出側油路80を介してベーンモータ21側へ高圧の作動油が供給される一方、ベーンモータ21から戻り側油路81を介して油圧ポンプ22に低圧の作動油が戻される。これにより、テンショナ10の弾性部材28と油圧アクチュエータとしての油圧ポンプ22が動力伝達リング206を偏心させようとする合力が、可変径プーリ300の付勢部材としてのダイヤフラムスプリング211が動力伝達リング206を同心側に付勢する付勢力よりも大きくなるので、ベーンモータ21が揺動部材24を図18(b)のように時計回りに揺動変位させてテンショナプーリ20の動作位置を変更することにより、ベルト102の張力を変更する。その結果、可変径プーリ8の有効径が小さくなるように変更される。
【0109】
一方、クラッチ85を切って油圧ポンプ22を停止させると、ベーンモータ21への作動油の供給が断たれてベーンモータ21が停止され、このとき、弾性部材28が動力伝達リング206を偏心させようとする力よりも付勢部材としてのダイヤフラムスプリング211が動力伝達リング206を同心位置へ付勢する付勢力のほうが大きいことから、図18(a)に示すように、ベルト102によって揺動部材24が元の状態に押し戻され、これにより、ベルト102の張力が変更前の元の状態に戻される。
【0110】
ここで、クラッチ85が切られて油圧モータ22およびベーンモータ21が停止した際、図18(a)に示すように、逆止め弁82が閉じられて高圧の作動油が吐出側油路80に滞留することになるが、この滞留している高圧の作動油は、図18(a)に破線で示すように、絞り84を有する連通路83、および戻り側油路81を経由して、油圧ポンプ22に徐々に戻される。
【0111】
仮にクラッチ85の切断時にベーンモータ21の作動油が急激に油圧ポンプ22側へ戻されると、これに伴って揺動部材24が振動する結果、ベルト102に振動が発生するおそれがある。これに対して、本実施形態では、クラッチ85の切断時に上述したように油圧が徐々に下げられるので、ベルト102の振動発生を防止することができる。
【0112】
本第3の実施形態では、第1の実施の形態の利点1)〜5)と同様の利点がある。加えて、下記の利点がある。すなわち、
12)クラッチ85の断続のみでベルト102の張力を変更できるので、従来必要であった複雑な油路構成や制御弁機構を用いることなく、構造を簡素化できる。
【0113】
13)また、内蔵の油圧ポンプ22を不要時に停止するので、省エネを達成できると共にポンプ寿命を長くすることができる。
14)しかも、クラッチ切断時にもベルト102に不要な振動を発生させることがなく安定している。
本第3の実施形態では、クラッチ85として電磁クラッチを用いたが、これに限らず、遠心クラッチを用いることができる。また、エンジン負圧を用いて操作力を得るクラッチを用いることもできる。
第4の実施の形態
次いで、図19,図20および図21は、本発明の第4の実施の形態を示している。まず、
図19(a),(b)を参照して、本システム400では、図1と同様に車両の駆動源の出力軸に連なる駆動プーリとしての可変径プーリ107(図5と同様の構成のもの)によって駆動される無端状のベルト102を、テンショナ401に含まれるテンショナプーリ403、位置が固定されたアイドラプーリ402、および上記可変径プーリ107に対して順次に巻き回している。ベルト102は、図示していないが、1ないし複数の補機の回転軸に設けられた従動プーリにも巻き回されている。補機としては、スーパーチャージャー、エアーポンプ、オルタネータ、エアコンディショナ用コンプレッサ、パワーステアリング用油圧ポンプおよびウオータポンプ等がある。
【0114】
変速比を調整するためのテンショナ401は、車両の駆動源のボディ等に固定される固定部材404と、この固定部材404に対して回動軸線405の回りに揺動変位自在な可動部材としての揺動部材406とを備えており、この揺動部材406の先端にテンショナプーリ403を回転自在に支持している。上記の固定部材404には、揺動部材406を駆動伝達機構407を介して駆動する駆動源としてのステッピングモータ408が支持されている。駆動伝達機構407は、ステッピングモー夕408の回転軸418の同軸上に一体回転可能に取り付けられたウォーム409と、このウォーム409と噛み合い且つ上記の回転軸線405の回りに回動自在に支持されたウォームホイール410とを含んでいる。
【0115】
419は車両の駆動源の回転速度に係わる信号Sを入力し該信号Sに基づいてステッピングモー夕406の動作を制御するコントローラである。具体的には、車両の駆動源の回転速度が所定値よりも遅い場合は、図19(a)に示すように揺動部材406を時計回り(テンショナプーリ403がベルト102に張力を与える第1の方向)に回動させて、駆動プーリとしての可変径プーリ107の有効径を小さくして、補機の回転速度を相対的に速くする。一方、車両の駆動源の回転速度が所定値よりも速い場合は、図19(b)に示すように揺動部材406を反時計回り(第1の方向の逆方向)に回動させて、ベルト102をたぐり寄せることにより、可変径プーリ107の有効径を相対的に大きくする。
【0116】
図20を参照して、ウオームホイール410は、上記回動軸線405を中心とする円周の等配に複数の連結孔411,…を貫通形成している一方、揺動部材406と一体回転可能に連結される後述する回動部材433は、上記回動軸線405を中心とする円周の等配に、上記複数の連結孔411,…内にそれぞれ遊嵌される複数の円柱状の連結突起412,…を一体に形成している。これにより、揺動部材406と一体回動する回動部材433と、ウォームホイール410とは回転方向に所定の遊び領域413を有して互いに駆動連結されている。すなわちウォームホイール410と揺動部材406とが遊び領域413を有して互いに駆動連結されている。
【0117】
図19および図20では図示していないが、テンショナ401は、テンショナプーリ403がベルト102に張力を与える方向に揺動部材406を付勢するねじりコイルばねからなる弾性部材414(図21参照)と、揺動部材406の揺動に摩擦抵抗を与える減衰力発生部材としての摩擦部材436(図21参照)とを含んでいる。
【0118】
本第4の実施の形態では、テンショナ401の弾性部材414およびアクチュエータとしてのステッピングモータ408が動力伝達リング206をベルト102を介して偏心させようとする力と、可変径プーリ107の付勢部材としてのダイヤフラムスプリング211が動力伝達リング206を同心位置へ付勢する力との関係を、ステッピングモータ408によって能動的に変更することにより、変速が達成される。
【0119】
図19(a)に対応する図20に示す状態では、連結突起412の両側に遊び領域413,413が形成されており、揺動部材406およびテンショナプーリ403が、ウォームホイール410側への連結を解かれている。一方、図19(b)に対応する図22に示す状態では、ウォームホイール410が時計回りに回動することにより、連結孔412の反回動側端部に回動部材433の連結突起411が係合され、両者に遊びがない状態で回動部材433、揺動部材406およびテンショナプーリ403を時計回りに回動させる。
【0120】
図21を参照して、上記揺動部材406の先端部431には、転がり軸受432を介してテンショナプーリ403が回動自在に支持されている。上記の固定部材404は、ボス416を有する下部材417を備えている。また、下部材417には、上記の回動軸線405と同心に配置されると共に一端および他端が固定部材404および揺動部材406にそれぞれ係合された上記のねじりコイルばねからなる弾性部材414が収容されている。
【0121】
一方、揺動部材406の基端部422には、回動軸線405と同心の筒状部423が形成されており、この筒状部423も弾性部材414の一部を収容している。弾性部材414はテンショナプーリ403がベルト102を弾力的に押圧する方向(図21において時計回り)に上記揺動部材406を回動付勢している。424は揺動部材406の揺動角度を所定範囲内に規制するストッパピンである。
【0122】
フランジ付カラー435と基端部422とで区画される収容空間427内に、上記の駆動伝達機構407としての、ウォーム409およびウオームホイール410、並びに上記の回動部材433が収容されている。
一方、固定部材404の下部材417のボス416には、揺動部材406の基端部422の内径側に配置されるスリーブ429が、揺動自在に嵌め合わされている。このスリーブ429の内周面とボス416の外周面との間には、軸方向に並ぶ一対の筒状の摺動部材430,430が介在している。
【0123】
上記の基端部422には、スラストブッシュ441、ウォームホイール410、スラストブッシュ442、フランジ付カラー435が、図における下方から順に嵌め合わされている。回動部材433は、基端部422に一体回動可能に連結されている。また、上記のスラストブッシュ441,442によって環状のウオームホイール410が回動自在に支持されている。そして、上述した如く、ウォームホイール410の連結孔411に回動部材433が遊嵌されている。
【0124】
ねじ428は、フランジ付カラー435を貫通して固定部材404の下部材417のボス416にねじ込まれている。これにより、フランジ付カラー435がねじ428の頭部とボス416の上端面との間で挟持された状態で回動不能に固定され、揺動部材406の揺動を支持している。
フランジ付カラー435のフランジ下面と揺動部材406の基端部422の間には、上記の摩擦部材436は挟持されている。摩擦部材436は揺動部材406の揺動に摩擦抵抗を与える減衰力発生部材として機能する。
【0125】
本実施の形態によれは、ステッピングモータ408によってテンショナプーリ403を時計回りに揺動変位させててベルト102をたぐり寄せることにより、可変径プーリ107のダイヤフラムスプリング211の付勢力に抗して動力伝達リング206を、両プーリ主体202,203を互いに離反させつつ図19(b)に示すように偏心させて、巻きかけられたベルト102に対する有効径を変化させることができる。一方、テンショナ401がステッピングモータ408によってテンショナプーリ403を反時計回りに揺動変位させてベルト102のたぐり寄せを解除すると、ダイヤフラムスプリング211の付勢力によって図19(a)に示すように動力伝達リング206は同心位置に戻されることになる。
【0126】
また、この状態で、テンショナ401において、揺動部材406の連結突起412とウォームホイール410の連結孔411との間に、揺動部材406の双方向の回動に対して遊び領域413,413が生じる。この状態では、可変径プーリ107側の弾性部材としてのダイヤフラムスプリング211が動力伝達リング206およびベルト102を介してテンショナプーリ403を反時計回りに付勢しようとする付勢力と、テンショナ401に内蔵した弾性部材414が揺動部材406を介してテンショナプーリ403を時計回りに付勢しようとする力とがバランスする位置にテンショナプーリ403が変位することになる。すなわち、テンショナ401の弾性部材414が揺動部材406およびテンショナプーリ403を弾性支持することにより、通常のオートテンショナと同様の機能も果たすことができ、ベルトの振動や張力変動を抑制することができる。
【0127】
特に、弾性部材414および摩擦部材436が協働してダイナミックダンパとして機能するので、ベルトの振動やベルトの張力変動を効果的に抑え、ベルトのスリップや鳴き等の発生を確実に防止することができる。
また、テンショナプーリ403が揺動するタイプにおいて駆動伝達機構407としてウォームギア機構を用いたので、テンショナプーリ403側からの逆入力の影響を駆動源としてのステッピングモータ408が受け難くなる結果、テンショナプーリ403の位置をより確実に保持することができる。
【0128】
また、ステッピングモータ408であれば停止により回転位置を保持できるので、位置決めが容易であると共に、回転位置を保持するための機構を別途に設ける必要がなく、サーボモータ等を用いる場合と比較して製造コストを安くすることができる。
第5の実施の形態
図23および図24は本発明の第5の実施の形態に係るシステムのテンショナを示している。本第5の実施の形態が第4の(図20の)実施の形態と主に異なるのは下記である。すなわち、図20の実施の形態では、可動部材を固定部材に対して揺動する揺動部材により構成したが、本第5の実施の形態では、可動部材を、固定部材に対して直線移動する直線動部材により構成した。また、図20の実施の形態では、駆動源としてのステッピングモー夕408の駆動力を可動部材に伝達するための駆動伝達機構をウォームギア機構により構成したが、本実施の形態では、ラックアンドピニオン機構により構成した。
【0129】
具体的に説明すると、本テンショナ450は、固定部材455と、この固定部材455に直線動可能に設けられた直線動部材456とを備えており、この直線動部材456の先端にテンショナプーリ403が回動自在に支持されている。上記の固定部材455には、上記の直線動部材456を駆動伝達機構451を介して駆動する駆動源としのステッピングモー夕408が支持されている。駆動伝達機構451は、スナッピングモータ408の回転軸418に一体回転可能に取り付けられたピニオン457と、このピニオン457と噛み合うラック歯を有し、直線動部材456の移動方向に延びて直線動部材456を押すことのできるラックバー458とを含んでいる。
【0130】
固定部材455は、直線動部材456のー部を収容してこれを進退自在に支持するシリンダ部459を有しており、このシリンダ部459の奥部に上記ラックバー458を収容して進退自在に支持する支持孔460を有している。
シリンダ部459の内周面には、直線動部材456を進退自在に支持する一対のブツシュ461,461が固定されている。また、シリンダ部457の最奥側の内周面には、直線動部材456の外周面に摺接して直線勤部材456の移動に摩擦抵抗を与える減衰力発生手段としての筒状の摩擦部材462が固定されている。
【0131】
また、固定部材455の支持孔460の内周面には、ラックバー458の一端452側をスライド自在に支持する一対のブッシュ463,463が固定されている。一方、ラックバー458の他端453側は、直線動部材456に形成された支持孔464内に導入され、支持孔464の内周面に固定されたブッシュ465によってスライド自在に支持されている。466はラックバー458の他端453との接触時の衝撃を緩衝する例えば樹脂製の緩衝部材である。
【0132】
直線動部材456の中間部外周にはフランジ部467が形成されており、このフランジ部467と、固定部材455に形成された環状段部468との間に、直線勤部材456をテンショナプーリ403がベルトに張力を与える方向(図において左方)に付勢する圧縮コイルばねからなる弾性部材469が介在している。本第5の実施の形態では、テンショナ450の弾性部材469およびアクチュエータとしてのステッピングモータ408がベルト102を介して動力伝達リング206を偏心させようとする力と、可変径プーリ107の付勢部材としてのダイヤフラムスプリング211が動力伝達リング206を同心位置に付勢する力との関係を、ステッピングモータ408によって能動的に変更することにより、変速が達成される。
【0133】
直線動部材456が固定部材455側へ後退した状態を示す図23が、図19(a)に示す動力伝達リング206が同心である状態に対応している。この状態では、図23に示すように、ラックバー458の他端453と緩衝部材466との間に所定の遊び領域470が形成されている。
また、直線動部材456がベルト102をたぐり寄せるように進出した状態を示す図24が、図19(b)に示す動力伝達リング206が偏心された状態に対応している。この状態では、ラックバー458の他端453と緩衝部材466が接触し、ラックバー458と直線動部材456は図において左方へ一体移動する。
【0134】
本第5の実施の形態では、動力伝達リング206が同心のときに、図23に示すように本テンショナ450に遊び領域470が設けられることから、テンショナプーリ403および直線動部材456が弾性部材469によって弾性支持される結果、通常のオートテンショナとしての機能を果たすことができる。ベルト102の振動や張力変動を抑制することができる。
【0135】
また、弾性部材469および摩擦部材462が協働してダイナミックダンパとして機能するので、ベルト102の振動やベルト102の張力変動を効果的に抑え、ベルト102のスリップや鳴き等の発生を確実に防止することができる。
また、テンショナプーリ403が直線動するタイプにおいて駆動伝達機構451としてラックアンドピニオン機構を用いたので、上述の揺動タイプと比べ駆動源とプーリとの間を離隔させうる自由度が大きいので、レイアウトによっては取付位置の自由度が増す。しかも、上述のウォームギア機構に比べ、さらに速度効率を高くとれるので、相対的に駆動源としての出力の小さいものが使用可能となる。
【0136】
また、ステッピングモー夕408であれば停止により回転位置を保持できるので、位置決めが容易であると共に、回転位置を保持するための機構を別途に設ける必要がなく、サーボモータ等を用いる場合と比較して製造コストを安くすることができる。
第6の実施の形態
次いで、図25は本発明の第6の実施の形態に係るシステムのテンショナを示している。本第6の実施の形態が第5の(図23の)実施の形態と異なるのは、駆動源としてステッピングモータに代えて油圧モータを用いたことである。
【0137】
具体的に説明すると、テンショナ490では、油圧モータ471として、例えば一対のギアを噛み合わせて構成されるギアモータを用いることができる。油圧モータ471の出力軸472から、第1ピニオン473、第1平歯車474、第2ピニオン475および第2平歯車476を介して、駆動伝達機構451(ラックアンドピニオン機構)のピニオン457が駆動されるようになっている。
【0138】
第1ピニオン473は、油圧モータ471の出力軸472に一体回転可能に固定されている。第1平歯車474と第2ピニオン475は一体回転可能に連結される共に、固定部材455によって回転自在に支持されている。ラックバー458と噛み合うピニオン457と、第2平歯車476とは一体回転可能に連結されている共に、これらは、第1ピニオン473に対して相対回転自在に固定部材455によって支持されている。
【0139】
また、油圧モー夕71の吸込口477および吐出口478にそれぞれ接続される一対の油路479,480は、例えは車両に搭載されるエンジンオイルの供給源481および低圧側482にそれぞれ接続される一対の油路483,484と方向制御弁485を介して接続されるようになっている。
この方向制御弁485は、供給源481を油圧モータ471の吸込口477に接続し、吐出口478を低圧側482に接続する第1の状態と、その逆の接続となる第2の状態と、吸込口477および吐出口478への接続を絶つ第3の状態(図25の状態に相当)とに切り替えるものである。他の構成については図23の実施の形態と同様であるので、図に同一符号を付してその説明を省略する。
【0140】
本第6の実施の形態では、テンショナ490の弾性部材469およびアクチュエータとしての油圧モータ471が動力伝達リング206を偏心させようとする力と、可変径プーリ107の付勢部材としてのダイヤフラムスプリング211が動力伝達リング206を同心位置に付勢する力との関係を、油圧モータ471によって能動的に変更することにより、変速が達成される。
【0141】
そして、本第6の実施の形態では、第5の(図23の)実施の形態と同様の作用効果を奏することに加えて、低圧の油圧源を用いても油圧モータ471により高いトルクを得ることができるので、例えば車両に組み込まれてエンジンオイル等の低圧の動力源を用いる場合に適している。
また、駆動源として仮に油圧シンリダのような直線往復運動型を用いた場合、低圧の動力源を用いるとシリンダ径を大きくしなければならず、シリンダ径を小さくするには別途高圧の動力源を必要とする問題があるが、本実施の形態のように回転型の駆動源である油圧モータ471を用いた場合には、省スペースを図ることができる。
第7の実施の形態
次いで、図26,図27および図28は本発明の第7の実施の形態を示している。
【0142】
本第7の実施の形態のシステム500では、テンショナ503と、このテンショナ503のテンショナプーリ504を伝動部材としてワイヤ505を介して駆動する駆動部材としての油圧シリンダ506とを備えている。テンショナプーリ504は、固定部材507に対して変位自在な可動部材508によって回転自在に支持されている。509はベルト102に張力を付与する方向にテンショナプーリ504を付勢する、例えば圧縮コイルばねからなる弾性部材である。
【0143】
油圧シリンダ506は車両の固定部、例えばエンジンルーム内でスペースに余裕のある位置に固定されている。油圧シリンダ506のロッド501の先端部にはワイヤ505の端部が固定されている。油圧シリンダ506へは、車両に搭載される油圧源としての油圧ポンプ553から圧油が供給される。また、油圧シリンダ506への作動油の給排を司る電磁弁554は、駆動源の回転速度に係わる信号S(例えばアイドラプーリ402の回転速度を検出する速度センサからの検出信号であっても良い)を入力するコントローラ555により制御される。他の主たる構成については、第4の(図19の)実施の形態と同様である。
【0144】
すなわち、テンショナ503の弾性部材509およびアクチュエータとしての油圧シリンダ506が動力伝達リング206を偏心させようとする力と、可変径プーリ107の付勢部材としてのダイヤフラムスプリング211が動力伝達リング206を同心位置に付勢する力との関係を、油圧シリンダ506によって能動的に変更することにより、変速が達成される。
【0145】
具体的には、駆動源の回転速度が所定値よりも遅い場合は、図26(a)に示すように油圧シリンダ506のロッド501を伸長させ、駆動プーリとしての可変径プーリ107の有効径を大きくして、補機の回転速度を相対的に速くする。一方、駆動源の回転速度が所定値よりも速い場合は、図26(b)に示すように油圧シリンダ506のロッド501を短縮して、ベルト102をたぐり寄せることにより、可変径プーリ107の有効径を相対的に小さくする。
【0146】
図27および図28を参照して、テンショナ503は、固定部材507と、この固定部材507に直線往復動自在に支持された可動部材508とを備えている。この可動部材508は、ベルト102が巻き回されるテンショナプーリ504を回動自在に支持しており、固定部材507と可動部材508によって、テンショナプーリ504をベルト102に張力を与える第1の方向Xとその逆の第2の方向Yに変位可能に支持するための支持部を構成している。また、テンショナ503は、可動部材508を介してテンショナプーリ504を第1の方向Xに付勢する圧縮コイルばね等からなる一対の弾性部材509を備えている。
【0147】
上記可動部材508は、一端にテンショナプーリ504を玉軸受等の転がり軸受510を介して回転自在に支持する支軸511と、この支軸511の他端を貫通させて固定した支持体512と、一端が支持体512に貫通されて固定された一対の支持棒513,513とを備えている。
これら支持捧513,513は、第1の方向Xへ延びており、固定部材507の後述する支持筒部514に内嵌された滑り軸受としてのブッシュ526に挿通されて第1および第2の方向X,Yへの直線往復動を案内されるようになっている。各支持捧513の他端にはフランジ状のストッパ515が設けられ、両ストッパ515に一体的に係合される座板部材516と、固定部材507の後述するブラケット部517との間に上記弾性部材509がそれぞれ介在している。これにより、一対の弾性部材509は、一対の支持棒513,513を介して可動部材508およびテンショナプーリ504を一体的に第1の方向Xへ弾性付勢している。
【0148】
上記の支軸511の他端面は、上記のワイヤ505の一端に固定された大径のエンド部材502を収容して保持する保持孔518を形成しており、また、支軸511および支持体512は、上記の保持孔518に横から連通してワイヤ505を貫通させる貫通孔519を有している。
上記の座板部材516は各支持棒513,513を貫通させる一対の貫通孔520,520と、これら一対の貫通孔520,520間の中央部に、ワイヤ505を進退自在に収容するケーブル521を遊嵌状態で貫通させる貫通孔522とを有している。
【0149】
上記の固定部材507は、ねじ523により固定対象物524に固定されるべース部525と、このべース部525のテンショナプーリ504側の端縁から垂直に立ち上がるブラケット部517とを備えている。このブラケット部517は、可動部材508の一対の支持棒513,513をそれぞれ貫通させる一対のブッシュ526,526を嵌め入れた一対の支持筒部514,514を第1の第1の方向Xへ延びるように形成している。
【0150】
ワイヤ505はケーブル521内に収容されており、ケーブル521の一端527はブラケット部517のケーブル端固定孔528に嵌め入れられ、固定されている。油圧シリンダ506によってワイヤ505の他端側が引かれると、ケーブル521の上記一端527からのワイヤ505の露出長が減少し、可動部材508と共にテンショナプーリ504が第1の方向Xへ引っ張られ、ベルト102がたぐり寄せられることになる。
【0151】
本第7の実施の形態では、テンショナ504を含むベルト式の無段変速システム500において、駆動部材としての油圧シリンダ506をテンショナ503から離れた位置であってスペースに余裕のある位置に配置し、該油圧シリンダ506が伝動部材としてのワイヤ505を介してテンショナプーリ504を遠隔操作するようにしたので、テンショナ503周辺の構造を簡素化でき、その結果、狭いスペースであっても、テンショナ503を自由にレイアウトすることが可能となる。 なお、本第7の実施の形態では、伝動部材としてワイヤを用いたが、リンク機構を用いることも可能である。
第8の実施の形態
図29に示す本第8の実施の形態は、図26に示した上記の第7の実施の形態の変更例を示している。第7の実施の形態では駆動部材として油圧アクチュエータを用いたが、本第8の実施の形態では、図29に示すようにコントローラ555からの信号により回転角変位を制御することのできるステッピングモータ等の電動モータ530を用いている。この場合、ワイヤ505の他方のエンド部材529を周上の所定位置に係止した状態でワイヤ505を巻き取るドラム531を設け、このドラム531を上記電動モータ530により回転駆動するようにしても良い。
第9の実施の形態
図30に示す本第9の実施の形態は、図26に示した第7の実施の形態の変更例を示している。上記第7の実施の形態では駆動部材として油圧アクチュエータを用いたが、本第9の実施の形態では、駆動部材として、図30に示すように、エンジンの吸気負圧により作動する受圧部材532を有するものを用いている。具体的に説明すると、第1および第2のケーシング533,534を組み合わせて内部に区画される空間が、受圧部材532と可撓性のメンブレン535によって第1室536および第2室537に仕切られており、第2室537は管路538を介してエンジンの吸気マニホールド547側と連通されている。この管路538には、当該管路538を開閉する電磁弁539が配置されており、この電磁弁539がコントローラ555によって制御される。
【0152】
受圧部材532は第1室536側にロッド540を一体に形成しており、このロッド540は第1ケーシング533のボス部541を貫通し、ロッド540の端部にワイヤ505のエンド部材529が固定されている。542はボス部541に固定されたスリーブ部材であり、スリーブ部材542とロッド540の間には、ロッド540を摺動自在に支持するための滑り軸受としてのブッシュ543と、シール部材544が配置されている。545は上記スリーブ部材542に固定されたステーであり、このステー545はワイヤ505のケーブル521の端部を固定する固定孔546を有している。
【0153】
メンブレン535は環状をしており、内周部は、受圧部材532の第1室536側の面に気密的に固定されると共に、径方向途中で折り返され、外周部が両ケーシング533,534の結合部分に気密的に固定されている。このメンブレン535は第1室536と第2室537とを仕切りつつ受圧部材532の変位を許容する。
【0154】
電磁弁539が開放されて、第2室537にエンジンの吸気負圧が導かれると、受圧板532が図において右方(図において白抜矢符で示す)へ変位し、これによりロッド540を介してワイヤ505がケーブル521から引き出されることになる。
本第9の実施の形態では、駆動源としてエンジンの吸気負圧を用いるので、油圧ポンプ等が不要となり、製造コストを安価にすることができると共に、油圧ポンプを駆動するための動力を削減することができ、省エネ上も好ましい。
第10の実施の形態
図31〜図36を参照して、本発明の第10の実施の形態のベルト式無段変速システムを説明する。
【0155】
図31は本システム600に用いられる可変径プーリの断面図である。図32(a),(b)は本システム600の要部を示す模式的構成図である。
本可変径プーリ659は、軸心となる回転軸線Kに対して図2(a)に示すように偏心した状態から図2(b)に示すように同心となる状態まで変位可能な動力伝達リング606を有しており、この動力伝達リング606に巻き掛けられたベルト102の有効径を変化させることのできるものである。
【0156】
この動力伝達リング606は第1および第2のプーリ主体602,603間に挟持されている。
本可変径プーリ659は駆動プーリおよび従動プーリの少なくとも一方に適用することができるが、本実施の形態では、従動プーリに適用された例に則して説明する。本システム600では、無端状のベルト102がテンショナ655の変位自在なテンショナプーリ656および固定式のアイドラプーリ658を介して可変径プーリ659の動力伝達リング606に巻き回されている。テンショナ655は、テンショナプーリ656がベルト102をたぐり寄せる方向へ付勢する弾性部材657を備えており、この弾性部材657はベルト102を介して動力伝達リング606を偏心させようとする。
【0157】
一方、可変径プーリ659は、後に詳述するが、動力伝達リング606をプーリ主体602,603を介して同心位置側へ付勢する付勢部材が備えられている。この付勢部材としては、両プーリ主体602,603同士の軸方向相対変位に応じて動力伝達リング606を介してベルト102に緩み側張力Gを発生させる弾性部材(図31ではダイヤフラムスプリング611に相当)と、可変径プーリ659の回転速度に応じて動力伝達リング606を介してベルト102に緩み側張力Hを発生させる慣性部材(図31では慣性部材647に相当)が含まれている。
【0158】
そして、これら可変径プーリ659の弾性部材および慣性部材がそれぞれ発生させる張力G,Hの合力(G+H)と、テンショナ655の弾性部材657により発生されるベルト102の張力Fとが釣り合う位置に、動力伝達リング606およびテンショナ655の弾性部材657が変位する。
上記慣性部材は回転速度に応じて遠心方向に変位し、プーリ主体602,603を介して動力伝達リング606を同心位置側へ付勢するものであり、回転速度に応じて変速比を調整する遠心式の変速比自動調整機構として機能する。
【0159】
すなわち、ベルト102の走行速度が比較的遅い状態では、慣性部材による張力Hが小さい。このため、図32(a)に示すように、テンショナ655の弾性部材657が縮み側に変位し、且つ動力伝達リング606が偏心側に変位した状態で、上記張力Fと張力G+Hとが釣り合うことになる。したがって、可変径プーリ659に関してベルト102の有効径が小さくなり、可変径プーリ659が設けられた回転軸の回転速度は駆動プーリの回転速度に比して相対的に早くなる。
【0160】
逆に、ベルト102の走行速度が速い状態では、慣性部材による張力Hが大きい。このため、図32(b)に示すように、テンショナ655の弾性部材657が伸び側に変位し、且つ動力伝達リング606が同心側に変位した状態で、上記張力Fと張力G+Hとが釣り合うことになる。したがって、可変径プーリ659に関してベルト102の有効径が大きく、可変径プーリ659が設けられた回転軸の回転速度は駆動プーリの回転速度に比して相対的に遅くなる。
【0161】
図33は駆動プーリの回転速度と、可変径プーリの回転速度との関係を示すグラフ図であり、同図において、駆動プーリの回転速度が回転速度V1に達するまでの領域▲1▼では動力伝達リング606が最大の偏心量で偏心しており、可変径プーリ659の回転速度は一定の増加割合で増大していく。回転速度V1から回転速度V2までの領域▲2▼では、次第に動力伝達リング606の偏心量を減少させて可変径プーリ659の有効径が増大していくので、可変径プーリ659の回転速度は領域▲1▼より増加の割合が低下する。そして、回転速度V3に達すると動力伝達リング6が同心状態となり、可変径プーリ659が最大有効径となり、回転速度V3以上の領域▲3▼では、領域▲1▼より少し少ない増加割合で可変径プーリ659の回転速度が増大する。
【0162】
図31および図34を参照して、本可変径プーリ659は、例えば自動車の補機の回転軸に一体回転可能に連結される回転軸301を備えており、上記した第1および第2のプーリ主体602,603は、この回転軸601の軸方向に移動自在であり環状をしている。これらプーリ主体602,603の互いの対向面にはそれぞれ円錐テーパ状の動力伝達面604,605が形成されている。これら一対の動力伝達面604,605は互いに逆向きに傾斜したテーパ状にされており、両動力伝達面604,605によって、上記した動力伝達リング606が、両プーリ主体602,603の軸心となる回転軸線Kに対して偏心可能に挟持されている。動力伝達リング606は断面略台形形状をしている。図31は動力伝達リング606が最大の偏心量で偏心した状態を示しており、図34は動力伝達リング606が同心位置にある状態を示している。動力伝達リング606の変位に応じてベルト102の有効径Dが変化される。Lはベルト102の幅中心の位置(以下、ベルトセンタLという)である。
【0163】
上記動力伝達リング606の外周面にはベルト102への伝動面608が形成され、この伝動面608にベルト102が巻き掛けられている。伝動面608にはベルト102のリブ136と噛み合う周溝137が形成されている。動力伝達リング606の両側面はそれぞれ対応する動力伝達面604,605と接触してトルクを伝達する動力伝達面609,610を構成している。
【0164】
また、可変径プーリは、第1および第2のプーリ主体602,603を互いに近づく方向に付勢する付勢手段としての、また両プーリ主体602,603を一体回転可能に連結する第1の連結手段としてのダイヤフラムスプリング611を備えており、このダイヤフラムスプリング611は、回転軸601と連動回転する円錐状の環状板からなる連結部612に複数の連結軸613を介して一体回転可能に連結されている。連結部612および複数の連結軸613により第2の連結手段が構成されている。連結部612の内周部は、回転軸601に一体に形成されたフランジ部138の外周部に、スプライン結合により一体回転可能に連結されており、また、図示していないスナップリングによって軸方向の移動を止められている。
【0165】
上記のダイヤフラムスプリング611の内径部614および外径部615は、第1および第2のプーリ主体602,603にそれぞれ一体回転可能に係合されている。これにより、両プーリ主体602,603とダイヤフラムスプリング611が回転軸601と一体に回転するようになっている。例えば本実施の形態のように本可変径プーリを従動プーリに適用した場合には、ベルト102から、動力伝達リング606、両プーリ主体602,603、ダイヤフラムスプリング611および回転軸601を介して補機の回転軸へトルクが伝達される。
【0166】
図31および図35を参照して、ダイヤフラムスプリング611の内径部614および外径部615には、それぞれ円周等配に配置された放射状の連結溝616,617が形成されている。また、ダイヤフラムスプリング611の径方向の中間部において、上述した連結軸613を貫通させてダイヤフラムスプリング611と連結部612とをトルク伝達可能に連結する連結孔631が円周等配に形成されている。
【0167】
図31を参照して、第1のプーリ主体602は、上記動力伝達面604を形成した円板部618と、この円板部618の内周に一体回転可能に固定され且つ回転軸601と同心に配置された軸部619とを備えている。この軸部619の一端にはテーパ部620が形成され、このテーパ部620に上記円板部618が嵌め込まれナット621により固定されている。
【0168】
また、軸部619の他端には、回転軸601と同心であって軸部619よりも径の大きい円筒伏のボス部622が一体に形成されている。このボス部622は、回転軸601の周面に滑り軸受としてのブッシュ623を介して軸方向にスライド自在に支持されている。
第2のプーリ主体603は、上記動力伝達面605を形成した円錐状の円板部624と、この円板部624の内周に形成された円筒状のボス部625とを備えている。第2のプーリ主体603のボス部625は、第1のプーリ主体602の軸部619およびボス部622の一部を取り囲み、これら第1のプーリ主体602の軸部619およびボス部622によってそれぞれ滑り軸受としてのブッシュ626,627を介して軸方向にスライド自在に支持されている。
【0169】
第2のプーリ主体603の動力伝達面605の背面628は動力伝達面605に平行な母線を持つ円錐状のテーパ面からなる。第2のプーリ主体603の外周縁部には断面L字形形状の環状フランジ部632が一体に延設されており、この環状フランジ部632のダイヤフラムスプリング611側の面には、ダイヤフラムスプリング611の外径部615の複数の連結溝617にそれぞれ嵌め入れられる複数の板状の連結突起629が円周等配で放射状に形成されている。第2のプーリ主体603の環状フランジ部632がダイヤフラムスプリング611の外径部615によって押圧されて、第2のプーリ主体603が第1のプーリ主体602へ近づく方向へ(図31において左方へ)付勢されている。
【0170】
第1のプーリ主体602の軸部619およびボス部622は、第2のプーリ主体603のボス部625を貫通して第2のプーリ主体603の動力伝達面605の背面628側へ延びており、ボス部622が第2のプーリ主体603の背面側へ延びる部分を構成している。この背面側へ延びる部分としてのボス部622の端部には、当該端部とダイヤフラムスプリング611の内径部614とを一体回転可能に連結するための環状フランジからなる連結部630が一体に形成されている。
【0171】
この連結部630の内周部はボス部622の端部にねじ結合されて一体回転可能に固定されている。この連結部630を介して伝達されるトルクがねじ締め方向に働くようにされており、固定が緩むことがないようになっている。
この連結部630はダイヤフラムスプリング611の内径部614を軸方向に押すための押圧面633と、この押圧面633に円周等配で放射状に形成された複数の連結突起634とを形成している。上記の押圧面633がダイヤフラムスプリング611の内径部614によって押圧され、連結部630、ボス部622および軸部619を介して第1のプーリ主体602が第2のプーリ主体603へ近づく方向へ(図31において右方へ)付勢されている。また、複数の連結突起634は、ダイヤフラムスプリング611の内径部614の複数の連結溝616にそれぞれ嵌め入れられている。
【0172】
上記の連結部612は、軸方向に貫通する複数の貫通孔635を円周等配に形成しており、各貫通孔635にはワッシャ部材640およびダイヤフラムスプリング611の連結孔631を貫通した上記連結軸613が挿通されて固定されている。すなわちダイヤフラムスプリング611は連結孔631の周辺部において、ワッシャ部材640と連結部612とによって挟持された状態となっており、これらワッシャ部材640および連結部612がダイヤフラムスプリング611と対向する部分は、ダイヤフラムスプリング611の変位時の傾斜を許容するように、連結軸613を中心とする円錐テーパ状の傾斜面641,642に形成されている。また、各連結軸613は回転軸601の軸方向に平行に形成されており、ダイヤフラムスプリング611の連結孔631に嵌め入れられてダイヤフラムスプリング611と連結部612とをトルク伝達可能に連結する。連結軸613としては、例えば頭付きリベットを用いることができ、リベットを用いた場合、先端をかしめて拡径させることにより、容易に固定が行える。
【0173】
図36を参照して、連結孔631は径方向に沿って長い長孔からなり、図36に示すように、その内面に径方向に沿って長い互いに平行な一対の係合面636,637を形成している。一方、上記連結軸613はいわゆる二面幅をとった断面形状をしており、連結孔631の一対の係合面636,637にそれぞれ係合する一対の係合面638,639を有している。
連結孔631の一対の係合面636,637は、対応する連結軸613の一対の係合面638,639よりも、ダイヤフラムスプリング611の径方向に長くなるように設定されている。また、各係合面636〜639は、ダイヤフラムスプリング611の軸方向(図36において紙面に垂直な方向)および径方向(図36において上下方向)に平行な面となっている。連結孔631の両係合面636,637間の幅は、連結軸613の両係合面638,639間の幅と略等しく設定されている。このようにして、上記連結軸613はダイヤフラムスプリング611の周方向Rの変位のみを規制するように連結孔631の内面に係合されていることになる。
【0174】
連結孔631の径方向位置(図31および図34において回転軸線Kからの距離dで示す)は、仮に連結軸613によって連結孔631の位置におけるダイヤフラムスプリング611の軸方向変位を規制した場合に、内径部614と外径部615とを相等しいストローク量で互いに逆向きに変位させることが可能となる位置である。
【0175】
再び図31および図34を参照して、第1のプーリ主体602のボス部622の外周には、第2のプーリ主体603の背面628と対向する対向面643を有する対向部材644が一体回転可能に固定されている。この対向部材644は円板部645とボス部646を有しており、ボス部646が第1のプーリ主体602のボス部622の外周に嵌められている。
【0176】
第2のプーリ主体603の背面628と、これに対向する対向部材644の対向面643との間に、慣性部材647を収容する環状の収容空間648が区画されている。この収容空間648の外方は、第2のプーリ主体603の断面L字形形状の環状フランジ部632によって区画され、また、収容空間648の内方は、第2のプーリ主体603のボス部625によって区画されている。第2のプーリ主体603の背面628がテーパ状に傾斜していることから、収容空間648は径方向外方にいくにしたがって幅が狭くなる断面くさび形形状をしている。
【0177】
慣性部材647は、上記収容空間648内を遠心方向に(図31に示す状態から図34に示す状態へと)変位することにより、ダイヤフラムスプリング611と協働して両プーリ主体602,603を介して動力伝達リング606を上記回転軸線Kと同心位置に付勢するものである。図31,図34および図37を参照して、慣性部材647は、転動部材としての円筒からなるころ649と、このころ649を軸方向に貫通する支軸部材650とを備えている。また、慣性部材647は、支軸部材650ところ649との間に介在してころ649と支軸部材650との相対回転を許容する、例えばメタル製のブッシュからなる軸受651を備えている。
【0178】
対向部材644の対向面643には、その縁部653,654に支軸部材650の両端部を支持した状態で、ころ649の転がり移動を案内する案内溝652が放射方向に形成されている。ころ649の外周面には軸方向に沿ってクラウニングを施すようにしても良い。慣性部材647は両プーリ主体602,603と連れ回りし、回転速度の増大に伴って増大する遠心力を発生する。この遠心力によって慣性部材647が旋回径を増大させ、収容空間648の狭い側(径方向外方)へ移動すると、両プーリ主体602,603が互いに近接され、動力伝達リング606が同心位置側へ変位することになる。
【0179】
本第10の実施の形態では、内蔵した慣性部材647の遠心力を用いる簡単な構造にて、可変径プーリ659の有効径Dを自動的に変更して、自動的に変速することができる。ひいては、本可変径プーリ659を用いたベルト式無段変速システム600において、変速比調整用のテンショナ、このテンショナを駆動させる駆動機構およびこの駆動機構の動作を制御するためのコントローラ等の機構を用いることは必要なく、一般的な受動型のテンショナ655(いわゆるオートテンショナ)を用いれば十分であるので、構造を格段に簡素化でき、製造コストや配置スペースを削減することができる。
【0180】
また、慣性部材647が収容空間648を区画する第2のプーリ主体603の背面628に転動するころ649を有しているので、慣性部材647をスムーズに変位させることができる結果、慣性部材647が収容空間648内に挟持されて動かなくなるといった事態の発生を未然に防止できる。
さらに、第2の連結手段としての連結部612が、両プーリ主体602,603を第1の連結手段としてのダイヤフラムスプリング611を介して一括して回転軸601に連結するので、各プーリ主体602,603を個別に回転軸601に連結する場合と比較して、構造を簡素化することができる。
【0181】
また、両プーリ主体602,603を一体回転可能に連結するダイヤフラムスプリング611が付勢部材を兼用するので、構造を簡素化できる。また、ダイヤフラムスプリング611が両プーリ主体602,603を直接付勢できるので、両プーリ主体602,603をスムーズに変位させることができる結果、スムーズな変速が可能となる。
【0182】
また、ダイヤフラムスプリング611の内径部614および外径部615に連結された両プーリ主体602,603を、相等しい変位量で対称に軸方向変位させることができるので、簡単な構造にてスムーズな変速を図りつつ、ベルトセンタLを一定に維持することができる。
両プーリ主体602,603の変位に伴ってダイヤフラムスプリング611が撓むが、仮に内径部614と外径部615とで軸方向変位が異なっていても、連結軸613がダイヤフラムスプリング611の連結孔631の部分の軸方向変位を許容するので、連結孔613の周辺に過大な応力が生じることかない。その結果、ダイヤフラムスプリング611の耐久性を向上することができる。また、動力伝達リング606の中心は常にベルトセンタの位置と一致するため、動力伝達リング606に振動や異常摩耗の発生はなくなる。
【0183】
特に、本実施の形態では、連結軸613が連結孔631の径方向に沿って長い一対の係合面636,637に接触するので、接触面積を広く確保でき、ダイヤフラムスプリング611に負荷される応力を一層軽減することができる。その結果、耐久性をより向上することができる。
また、両プーリ主体602,603はベルト102の幅方向変位に追随して、実際のベルトセンタLに見合う位置に変位することになり、簡単な構造でスムーズな変速が可能となる。
【0184】
上記の接触面積確保のために連結軸613の二面幅を広く確保すると、副次的に連結軸613の曲げ剛性を増大させることになり、これによりトルク負荷時の連結軸613の倒れを防止することができる結果、この倒れがダイヤフラムスプリング611やその連結孔631に及ぼす悪影響を防止することができる。
なお、本実施の形態において、ダイヤフラムスプリング611の連結孔631の周辺の軸方向変位を、連結軸613によって規制するようにすることもできる。この場合、連結軸613と連結孔631との間にユニバーサルジョイントを介在させても良い。
第11の実施の形態
次いで、図38,図39および図40は本発明の第11の実施の形態を示している。図38を参照して、本システムの可変径プーリ660が第10の実施形態の図31の可変径プーリと主に異なるのは、下記の1)〜3)である。すなわち、
1)図31の実施の形態では両プーリ主体602,603を一体回転可能に連結する第1の連結手段を、ダイヤフラムスプリング611により構成し、該ダイヤフラムスプリング611によって両プーリ主体602,603が互いに近づく方向に付勢する弾性部材を兼用するようにしたが、本第11の実施の形態では、第1の連結手段を、第1のプーリ主体662に固定された対向部材669と、第2のプーリ主体662とを連結する複数の連結軸689,690により構成する一方、弾性部材を第2のプーリ主体662と対向部材669との間に介在する圧縮コイルばね685により構成した。
【0185】
2)また、図31の実施の形態では、両プーリ主体602,603が互いに対称に軸方向に変位させることを、ダイヤフラムスプリング611の連結孔631の径方向位置dを所要に設定することにより達成したが、本第11の実施の形態では、第1の連結手段に含まれる連結軸690の両端に設けたローラ697,697を、第1のプーリ主体662および対向部材669にそれぞれ形成されたカム面700,701にそれぞれ係合させることにより達成した。各カム面700,701と、対応するカム面700,701にそれぞれ係合されるカムフォロワとしてのローラ697,697によって、各プーリ主体662,663の回転軸661に対する回転角変位を互いに逆向きの軸方向変位にそれぞれ変換する一対の変換機構T,T(トルクカム機構とも呼ぶ)が構成されている。
【0186】
3)本第11の実施の形態では、慣性部材および転動部材をボール682により構成した。
より具体的に説明すると、図38を参照して、可変径プーリ660は、回転軸661の周囲に回転自在で且つ軸方向に移動自在な第1および第2の環状のプーリ主体662,663を備えており、これらプーリ主体662,663の互いの対向面にそれぞれ動力伝達面664,65を形成している。これら一対の動力伝達面664,665は互いに逆向きに傾斜したテーパ状にされており、両動力伝達面664,665によって、断面略台形形状の動力伝達リング606が、両プーリ主体662,663の軸心Kに対して偏心可能に挟持されている。なお、図38は、動力伝達リング606が軸心Kに対して同心となった状態を示している。
【0187】
第1のプーリ主体662は、円錐状の円板部666と、この円板部666の内周に形成された円筒状のボス部667とを備えている。円板部666は上記の動力伝達面664を形成している。また、ボス部667は回転軸661の周面に滑り軸受としてのブッシュ668,668を介して軸方向にスライド自在に支持されている。ボス部667の端部は後述する対向部材669にねじ670により一体に結合されている。671は第1のプーリ主体662が回転軸661から抜脱することを防止するストッパであり、このストッパ671は、回転軸661の端部にねじ込まれるナット672により回転軸661に固定されている。
【0188】
第2のプーリ主体663は、孔付き円錐板の外周に円板を延設した形状の環状板部673と、この環状板部673の内周に延設された内筒部としてのボス部674と、環状板部673の外周に延設された外筒部675と、環状板部673の径方向中間部に形成された中間筒部676とを備えている。ボス部674、外筒部675および中間筒部676は何れも、第2のプーリ主体663の動力伝達面665の背面677側へ延びるように形成されている。第2のプーリ主体663のボス部674は、第1のプーリ主体662のボス部667の外周面に滑り軸受としてのブッシュ678を介して軸方向に移動自在に支持されている。
【0189】
上記の対向部材669は、環状の部材からなり、第2のプーリ主体663の背面677のテーパ状部分679に対向するテーパ状の対向面680を有している。そして、第2のプーリ主体663のボス部674と中間筒部676との間に、上記背面677のテーパ状部分679および対向部材669の対向面680とによって、収容空間681が形成されており、この収容空間681に、慣性部材および転動部材としての複数のボール682が収容されている。収容空間681は径方向外方へいくほど幅が狭くなる断面くさび形形状をしており、遠心力の増大に伴ってボール682が遠心方向へ変位することにより、両プーリ主体602,603を互いに近づけさせることができるようになっている。
【0190】
また、対向部材669は、上記対向面680よりも径方向内方に、内筒部683を有しており、この内筒部683の環状の端面部684は、ねじ670によって、第1のプーリ主体2のボス部667の端部に固定されている。これにより、対向部材669は第1のプーリ主体662と一体回転し且つ軸方向に一体移動するようになっている。
【0191】
対向部材669の内筒部683内には、両プーリ主体662,663が互いに近づく方向に付勢する弾性部材として、圧縮コイルばね685が収容されている。この圧縮コイルばね685の一端(図においての左端)は、第2のプーリ主体663のボス部674の先端の小径部686に嵌められた状態で、ボス部674の段付部687に係合しており、段付部687を介して第2のプーリ主体663を、第1のプーリ主体662側へ押圧付勢する。一方、圧縮コイルばね685の他端(図においての右端)は、対向部材669の内筒部683の端面部684に係合しており、端面部684を介して第1のプーリ主体662を、第2のプーリ主体663側へ押圧付勢する。また、圧縮コイルばね685は、対向部材669の内筒部683、および第2のプーリ主体663のボス部674の小径部686によって、伸縮を案内されるので、スムーズに変位できるようになっている。
【0192】
対向部材669の外周部688と、第2のプーリ主体663の外筒部675とは、第1の連結手段としての、放射方向に沿って配置された複数の連結軸689,690を介して、一体回転可能に連結されている。連結軸689は、一端が対向部材669の外周部688に固定されると共に、他端にブッシュ691を介してローラ692を回転自在に支持している(図39参照)。このローラ692は、第2のプーリ主体663の外筒部675に形成された、回転軸661と平行であって一端が開放した案内溝693に転動可能に嵌め入れられ係合している。
【0193】
一方、連結軸690の中間部は、回転軸661の周囲に一体に形成された二段筒状をした、第2の連結手段としての連結部694の外筒部695を径方向に貫通して固定されている。図38および図40(a),(b)を参照して、連結軸690の両端には、それぞれブッシュ696を介してローラ697が回転自在に支持されている。各ローラ697は、第2のプーリ主体663の外筒部675に形成された案内溝698、および対向部材669の外筒部695に形成された案内溝699にそれぞれ転動可能に嵌め入れられ係合されている。
【0194】
これらの案内溝698,699は、図40(a),(b)に示すように、互いに逆向きに傾斜しており、これら案内溝698,699の内面によってそれぞれカム面700,701が構成されている。これらのカム面700,701は、本可変径プーリ660への負荷トルクに応じて両プーリ主体662,663が回転軸661に対して回転角変位を生ずると、この回転角変位を両プーリ主体662,663の軸方向変位に変換し、図40(a),(b)に示すように、両プーリ主体662,663が互いに逆向きで相等しい変位量で軸方向変位するようにする(いわゆるトルクカム機構である。)。これにより、ベルトセンタLの位置が変速にかかわらず一定に維持されることになる。なお、図40(a)が、動力伝達リング606が同心位置となる図38の状態に対応して、図40(b)は動力伝達リング606が偏心した状態に対応している。
【0195】
なお、本第11の実施の形態において第10の(図31の)実施の形態と同様の構成については、図に同一符号を付して、その説明を省略した。
本実施の形態によれば、図31の実施の形態と同様にして、弾性部材としての圧縮コイルばね685および慣性部材としてのボール682がベルト102に与える張力の合力(G+H)と、テンショナ655の弾性部材657がベルト102に与える張力Fとが釣り合う位置に、動力伝達リング606が自動的に変位されることになり、内蔵のボール682からなる慣性部材の遠心力を利用した簡単な構造にて、自動的に可変径プーリ660の有効径Dを変更して自動変速を達成することができる。
【0196】
また、慣性部材として転動部材を兼用するボール682を用いたので、より構造を簡素化することができると共に、慣性部材が収容空間681内で挟持されて動かなくなるといった事態の発生を未然に防止できる。
また、負荷トルクが作用したときに、変換機構(トルクカム機構)Tに含まれるカム面700,701の働きで両プーリ主体662,663が互いに近づけられ、動力伝達リング606をクランプする力を増大できるので、動力伝達リング606と両プーリ主体662,663の動力伝達面664,665との間に滑りが発生することを防止することができる。その結果、効率の高い動力伝達が可能となる。
【0197】
さらに、上記のカム面700,701を案内溝698,699の内面に設けて、連結軸690の両端のローラ697,697を転動させるようにしたので、両プーリ主体662,663の回転軸661に対する相対回転を軸方向変位にスムーズに変換させることができる。その結果、変速をスムーズに行うことができる。
【0198】
また、上記のカム面700,701の働きで、両プーリ主体662,663を軸方向に対称に変位させることができるので、変速にかかわらず、ベルトセンタLを一定に維持することができる。
本発明は上記各実施形態に限定されるものではなく、例えば、本発明を自動車に搭載するものの他、一般機械のベルト式無段変速システムとしても使用することが可能である。
【0199】
【発明の効果】
請求項1記載の発明では、テンショナの弾性部材およびアクチュエータがベルトを介して動力伝達リングを偏心させようとする合力と、可変径プーリの付勢部材が動力伝達リングを同心側へ付勢する力とが釣り合う位置に、動力伝達リングが変位して当該動力伝達リングの偏心位置が規定され、ベルトの有効径が変更される。ベルトを介する力のバランスを用いて変速するので、安定且つスムーズな変速が可能となる。
【0200】
アクチュエータが働かない時には従来仕様の定速ベルト伝達式補機駆動システムに用いられると同様に、テンテョナはばね等の弾性部材の力でもってベルトに張力を与えるのみである。この弾性部材の力は可変径プーリの付勢部材が動力伝達リングを同心側へ付勢する力よりも小さいので、動力伝達リングは回転軸の軸心と同心状態を保つ。一方、アクチュエータが働き、その分のベルト張力がテンショナの弾性部材がベルトに与える張力に付加され、その合力が、可変径プーリの付勢部材が動力伝達リングを同心側へ付勢する力よりも大きくなると、動力伝達リングが付加された力に応じた偏心位置へと変位し、所望の変速比が得られる。この際、ベルトにはテンショナばかりか可変径プーリの付勢部材によっても張力が付与されることになり、張力付与が安定化し適切な張力が付与される。
また、クラッチの断続のみでベルト張力を変更でき構造を簡素化することができる。内蔵の油圧ポンプを不要時には停止するので、省エネを達成できると共にポンプ寿命を長くすることができる。
【0201】
請求項2記載の発明では、自動車の補機駆動において、補機を不必要な高速で回転させることを防止でき、補機の耐久性を向上できると共に省エネを達成できる。また、本発明の変速比調整用のテンショナであれば、従来よりベルトの緩み側に配置されているオートテンショナの代替として配置することができるので、小型化を図ることができる。
【0202】
請求項3記載の発明では、両プーリ主体が互いに逆向きに相等しい変位量で変位するので、ベルトの走行中心の位置を常に一定に維持できる。変速によってベルトに不必要な力が負荷されたりプーリから脱落したりするおそれがない。請求項5記載の発明では、可変径プーリへの負荷トルクを、変換機構によって、両プーリ主体を近接させようとする力に変換できるので、負荷トルクに応じて両プーリ主体を互いに近接させる適切な力を得ることができ、結果として、付勢手段による付勢力を小さくできるので、摩擦損失を少なくすることができる。
【0203】
請求項5記載の発明では、両プーリ主体をダイヤフラムスプリングで直接付勢できるので、両プーリ主体をスムーズに動作させてスムーズな変速が可能となる。また、ダイヤフラムスプリングの内径部と外径部とで互いに逆向きで等しい変位量を生じさせるようにすることにより、両プーリ主体を軸方向に対称移動させてベルトの走行中心を一定に維持することができる。さらに、ダイヤフラムスプリングは両プーリ主体を一体回転可能に連結する機能と、両プーリ主体を介して動力伝達リングを同心側へ付勢する機能を果たすので、構造を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態のベルト式無段変速システムの概略構成図であり、変速前の状態を示している。
【図2】図1のシステムの概略構成図であり、変速後の状態を示している。
【図3】図1のシステムにおいて、油圧シリンダを働かせるための油圧回路の概略図であり、変速後の状態に対応している。
【図4】図1のシステムにおいて、油圧シリンダを働かせるための油圧回路の概略図であり、変速前の状態に対応している。
【図5】図1のシステムにおける可変径プーリの縦断面図であり、動力伝達リングが回転軸と同心の位置にある状態を示している。
【図6】図5の可変径プーリのダイヤフラムスプリングの正面図である。
【図7】図5の可変径プーリの縦断面図であり、動力伝達リングが偏心した状態を示している。
【図8】本発明の第2の実施の形態のベルト式無段変速システムの可変径プーリの縦断面図であり、動力伝達リングが同心位置にある状態を示している。
【図9】図8の可変径プーリの半側面図である。
【図10】図8の可変径プーリのプーリ主体とガイド部材の分解斜視図である。
【図11】図8の可変径プーリのプーリ主体の嵌合突起の外周面にガイド部材が嵌められる状態を示す分解斜視図である。
【図12】図11のガイド部材の一部破断斜視図である。
【図13】図8の可変径プーリにおいて、プーリ主体の嵌合突起にガイド部材および連結体が組み合わされた状態を示す概略斜視図である。
【図14】図8の可変径プーリにおいて、互いに組み合わされた状態の両プーリ主体に連結体が組み合わされる状態を示す分解斜視図である。
【図15】図8の可変径プーリの内周近傍の部分の拡大断面図である。
【図16】図8の可変径プーリにおいて連結体および回転軸の分解斜視図である。
【図17】本発明の第3の実施の形態に係るベルト式無段変速システムのテンショナの断面図である。
【図18】(a)および(b)は図17のテンショナの動作を説明する一部断面を含む模式的平面図である。断面は図17のV−V線に沿う断面に相当する。
【図19】本発明の第4の実施の形態に係るベルト式無段変速システムの要部の概略構成図であり、(a)は変速前の状態を示し(b)は変速後の状態を示している。
【図20】図19のシステムに含まれるテンショナの部分断面正面図である。
【図21】図20のテンショナの縦断面図である。
【図22】図20のテンショナがベルトをたぐり寄せた状態を示すテンショナの部分断面正面図である。
【図23】本発明の第5の実施の形態に係るベルト式無段変速システムのテンショナの部分断面正面図である。
【図24】図23のテンショナがベルトをたぐり寄せた状態を示すテンショナの部分断面正面図である。
【図25】本発明の第6の実施の形態に係るベルト式無段変速システムのテンショナの部分断面正面図である。
【図26】本発明の第7の実施の形態に係るベルト式無段変速システムの概略構成図であり、(a)は変速前の状態を示し、(b)は変速後の状態を示している。
【図27】図26のシステムに含まれるテンショナの部分断面正面図である。
【図28】図27のテンショナの要部の縦断面図である。
【図29】本発明の第8の実施の形態に係るベルト式無段変速システムのテンショナの要部の概略図である。
【図30】本発明の第9の実施の形態に係るベルト式無段変速システムのテンショナの要部の部分断面側面図である。
【図31】本発明の第10の実施の形態のベルト式無段変速システムに含まれる可変径プーリの断面図であり、動力伝達リングが偏心した状態を示している。
【図32】図31の可変径プーリが従動プーリに適用されたベルト式無段変速システムの要部の概略図である。
【図33】駆動プーリと図31の可変径プーリとの回転速度の関係を示すグラフ図である。
【図34】図31の可変径プーリにおいて、動力伝達リングが同心にある状態を示す断面図である。
【図35】図31の可変径プーリのダイヤフラムスプリングの正面図である。
【図36】図31の可変径プーリのダイヤフラムスプリングの連結孔と連結軸の組み合わせ状態を示す略図である。
【図37】図31の可変径プーリにおいて第2のプーリ主体に固定される対向部材の要部を示す一部破断斜視図である。
【図38】本発明の第10の実施の形態のベルト式無段変速システムに含まれる可変径プーリの断面図であり、動力伝達リングが同心位置にある状態を示している。
【図39】図38の可変径プーリにおいて、第2のプーリ主体の外周面の一部を示す側面図である。
【図40】図38の可変径プーリにおいて、第2のプーリ主体、対向部材およびこれらを連結するローラ付の連結軸を示す概略図であって、(a)は動力伝達リングが同心位置にある状態に対応し、(b)は動力伝達リングが偏心した状態に対応する。
【符号の説明】
10 テンショナ
12 コントローラ
20 テンショナプーリ
21 ベーンモータ
22 油圧ポンプ(油圧アクチュエータ)
23 固定部材
24 揺動部材(支持部材)
28 弾性部材
85 クラッチ
101 ベルト式無段変速システム
102 ベルト
104 テンショナ
105 テンショナプーリ
107 可変径プーリ
110 油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
112 油圧ポンプ
114 コントローラ
134 圧縮コイルばね(弾性部材)
201 回転軸
202,203 プーリ主体
204,205 動力伝達面
206 動力伝達リング
211 ダイヤフラムスプリング(付勢部材)
300 可変径プーリ
301 回転軸
303,304 連結体
305,306 プーリ主体
309 動力伝達リング
310 皿ばね(付勢部材)
315,316 動力伝達面
322 嵌合突起
338,339 カム面
T トルクカム機構
400 ベルト式無段変速システム
401 テンショナ
403 テンショナプーリ
408 ステッピングモータ(アクチュエータ)
414 弾性部材
419 コントローラ
450 テンショナ
469 弾性部材
471 油圧モータ(油圧アクチュエータ)
490 テンショナ
500 ベルト式無段変速システム
503 テンショナ
504 テンショナプーリ
505 ワイヤ(伝動部材)
506 油圧シリンダ(油圧アクチュエータ)
509 弾性部材
530 電動モータ(アクチュエータ)
532 受圧部材
547 吸気マニホールド
553 油圧ポンプ(油圧アクチュエータ)
555 コントローラ[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a belt type continuously variable transmission system using a variable diameter pulley capable of changing the effective diameter of a wound belt.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, a belt transmission device has been used to drive auxiliary equipment such as a car compressor, an alternator, a water pump, and an oil pump of an automobile.
In this belt transmission device, the driving force is transmitted from the crankshaft of the engine through a pulley and a belt at a constant gear ratio, and the rotational speed of various auxiliary machines increases as the rotational speed of the crankshaft increases. As the number of rotations increases, the efficiency of various auxiliary machines also increases.
[0003]
Therefore, rotating the auxiliary machine more than necessary consumes energy wastefully and affects the durability of the auxiliary machine. Accordingly, a belt transmission device has been proposed that can adjust the rotational speed of the auxiliary machine.
For example, there is a belt transmission device disclosed in Japanese Patent Laid-Open No. 2-5000261. In the belt transmission device of this publication, a variable-diameter pulley that changes the effective diameter of the wound belt is used.
[0004]
This variable-diameter pulley includes a plurality of belt engaging rods arranged in a circular pattern around a rotation shaft and elastically biased radially outward by a biasing means. The effective diameter of the variable diameter pulley. The effective diameter of the variable-diameter pulley is changed by collectively moving the plurality of belt engagement rods radially inward against the urging force of the urging means.
[0005]
Specifically, a plurality of radial grooves extending in opposite spiral shapes are formed on a pair of rotating plates facing each other, and the opposite ends of the belt engaging rod are formed by corresponding radial grooves on both rotating plates. I try to support each one. Thereby, each belt engaging rod can change an effective diameter with the circular pattern arrangement | sequence with the relative rotation of both rotary plates. On the other hand, as the urging means, a torsion coil spring that is interposed between the two rotating plates and urges the rotating plates to rotate in the direction of increasing the effective diameter is used.
[0006]
[Problems to be solved by the invention]
As described above, in the belt transmission device of the above publication, the variable-diameter pulley employs the above-described many belt engagement rods and has a large number of parts, and the belt engagement rods are arranged in a circular pattern. The diameter of the circular pattern must be changed, which complicates the structure. For this reason, shifting cannot be performed smoothly.
[0007]
For example, when the plurality of belt engaging rods move to change the diameter of the circular pattern, a frictional resistance is generated between both ends of each belt engaging rod and the corresponding radial groove. Since there are two friction points on the belt engagement rod and there are many belt engagement rods, there are very many friction points. As a result, the frictional resistance increases and the gear shift cannot be performed smoothly.
[0008]
The present invention has been made in view of the above problems, and an object of the present invention is to provide a belt-type continuously variable transmission system in which shifting is smooth.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
As a problem-solving means for achieving the above object, an embodiment of the invention according to claim 1 is a pair of pulley main bodies arranged around the rotating shaft and movable in the axial direction, and these pulley main bodies are opposed to each other. A pair of tapered power transmission surfaces formed on the surface, a power transmission ring sandwiched between these power transmission surfaces so as to be eccentric with respect to the axis of the rotating shaft and an endless belt wound around the outer peripheral surface And a variable-diameter pulley including a biasing means that biases the power transmission ring concentrically through both pulley main bodies, and a tensioner that adjusts the tension of the belt in order to adjust the transmission ratio. A tensioner pulley rotatably supported by a displaceable support member and engaged with the belt, an elastic member for applying tension to the belt via the tensioner pulley, and a belt tension And an actuator that actively changes the operating position of the tensioner pulley via the support member for adjustment, and the elastic member of the tensioner and the force that causes the actuator to decenter the power transmission ring via the belt are variable. The position of the power transmission ring is defined by the balance between the biasing member of the diameter pulley and the force that biases the power transmission ring concentrically, and the elastic member of the tensioner causes the power transmission ring to be eccentric via the belt. The force to be applied is smaller than the force with which the biasing member of the variable diameter pulley biases the power transmission ring to the concentric side.The actuator is a hydraulic actuator, and the tensioner includes a hydraulic pump that is driven by a tensioner pulley and supplies hydraulic oil to the hydraulic actuator, and a clutch that intermittently connects the drive connection between the tensioner pulley and the hydraulic pump. In addition, the operation position of the tensioner pulley is changed by the operation of the clutch.It is characterized by this.
[0010]
In this aspect, in the variable diameter pulley, torque is transmitted between the belt and the rotating shaft via the power transmission ring and both pulley main bodies.
Further, the tension member's elastic member and actuator are located at a position where the resultant force that causes the power transmission ring to be eccentric via the belt and the force that the biasing member of the variable diameter pulley biases the power transmission ring to the concentric side are balanced. The power transmission ring is displaced. For example, when the operating position of the tensioner pulley is changed by the actuator in the direction in which the belt tension increases, the power transmission ring is displaced toward the eccentric side against the biasing means, and the effective diameter of the belt is reduced. On the other hand, when the operating position of the tensioner pulley is changed in the direction in which the belt tension decreases, the power transmission ring is displaced concentrically by the action of the biasing means, so that the effective diameter of the belt increases.
[0011]
Further, since the power transmission ring is used, the life of the belt can be increased compared to the case where the belt is directly sandwiched between the pair of power transmission surfaces. Further, as the power transmission ring, it is also possible to use a material other than the belt, for example, a resin having excellent durability and a high friction coefficient and less power transmission loss. The belt is made of rubber, and a plurality of ribs extending in the circumferential direction of the belt are provided side by side, and a plurality of circumferential grooves for fitting the ribs are formed on the outer peripheral surface of the power transmission ring. If it is, it is preferable. In this case, since the rib is formed along the circumferential direction, which is the direction in which the rubber belt receives the tension, the thickness of the belt can be made uniform in the direction in which the belt receives the tension. However, the sectional modulus of the belt can be increased and the life of the belt can be extended. As a result, a belt continuously variable transmission system having a small size and a long life can be obtained.
[0012]
Here, the actuator is a hydraulic actuator such as a hydraulic cylinder or a hydraulic motor.Is used.
When the clutch is connected, the hydraulic pump is driven, and the hydraulic actuator supplied with hydraulic oil from the hydraulic pump displaces the tensioner pulley. As a result, the operating position of the tensioner pulley is changed to adjust the belt tension. On the other hand, when the clutch is disengaged, the hydraulic pump and the hydraulic actuator are stopped, whereby the tensioner pulley is returned to the original position, and the belt tension is returned to the original state before the change.
As described above, the hydraulic pump built in the tensioner for adjusting the transmission gear ratio is driven only when necessary and stopped when not required, so that energy saving can be achieved and the pump life can be extended. Here, an electromagnetic clutch or a centrifugal clutch can be used as the clutch. Further, it may be a clutch that obtains operating force using engine negative pressure.
As the biasing means built in the variable diameter pulley, an elastic member such as a coil spring or a disc spring for displacing the pulley main body may be used. In some cases, an inertia member that displaces the pulley main body by increasing the turning diameter by centrifugal force and a member that accommodates the inertia member and defines an accommodation space that becomes narrower outward in the radial direction. Furthermore, a hydraulic actuator such as a hydraulic cylinder or a hydraulic motor may be used, or an electric motor may be used.
[0013]
Also, Claims1Aspects of the described inventionThenThe force that the elastic member of the tensioner tries to decenter the power transmission ring via the belt is smaller than the force that the biasing member of the variable diameter pulley biases the power transmission ring concentrically.Therefore, the following effects can be achieved.
IeWhen the tensioner actuator does not work, the tensioner is a belt with the force of an elastic member such as a spring, as used in a conventional constant speed belt transmission auxiliary machine drive system without a variable diameter pulley as in the present application. It only applies tension to the. The force of the elastic member of the tensioner, in other words, the force to decenter the power transmission ring via the belt is smaller than the force of the biasing member of the variable diameter pulley urging the power transmission ring concentrically. Therefore, the power transmission ring is kept concentric with the axis of the rotating shaft.
[0014]
The actuator works to add a force that tensions the belt to the force of the elastic member of the tensioner, and the resultant force is the force that the biasing member of the variable diameter pulley urges the power transmission ring concentrically (actually the power Since there is also frictional resistance between the transmission ring and the power transmission surface of the pulley, the power transmission ring begins to be eccentric with respect to the axis of the rotating shaft. A corresponding eccentric position is defined, and a desired transmission (transmission) ratio in power transmission is obtained. At this time, tension is applied to the belt not only by the tensioner but also by the urging member of the variable diameter pulley, so that the application of tension is stabilized and appropriate tension is applied.
[0015]
Claim2Aspects of the described invention are claimed.1The variable diameter pulley is provided on either the output shaft connected to the drive source of the automobile or the drive shaft of the auxiliary machine, and the tensioner pulley is engaged with the loose side of the belt. Is.
In this aspect, the belt-type continuously variable transmission system can be applied to an auxiliary drive system for an automobile, thereby preventing the auxiliary machine from rotating at an unnecessary high speed, improving the durability of the auxiliary machine and saving energy. Can be achieved.
[0016]
In addition, an automobile accessory drive system is desired to be as small as possible because it is arranged in an engine room where various accessories are densely packed. On the other hand, the speed ratio adjusting tensioner of the present invention can be arranged in the same manner as the auto tensioner that has been conventionally arranged on the loose side of the belt, so that the size can be reduced.
[0017]
Claim3Aspects of the described invention are claimed.1 or 2The variable diameter pulley further includes a mechanism for associating the two pulley main bodies with each other so that the two pulley main bodies are displaced in the opposite directions in the axial direction of the rotating shaft with the same displacement amount. .
In this aspect, since both pulley main bodies are displaced in equal amounts of displacement in opposite directions, the position of the running center of the belt can always be maintained constant. There is no risk of unnecessary force being applied to the belt or falling off the pulleys due to the speed change.
[0018]
Claim4Aspects of the described invention are claimed.3The mechanism for associating the two pulley main bodies includes a first connecting means for connecting the two pulley main bodies so as to be integrally rotatable while allowing relative movement of each pulley in the axial direction; A pair of second coupling means coupled so as to be capable of transmission, wherein the pair of second coupling means respectively convert a relative rotation of the corresponding pulley main body with respect to the rotation shaft into a corresponding axial movement of the pulley main body. The conversion mechanism is included.
[0019]
In this aspect, when the tension of the tension side portion of the belt increases due to torque fluctuation or the like, this tension side portion tries to move the power transmission ring inward in the radial direction of the pulley main body, and tries to move both pulley main bodies away from each other. Power works. On the other hand, the transmission torque is converted by the conversion mechanism into a force for bringing both pulley main bodies close to each other, added to the urging force by the urging means, and balanced with the force to move away.
[0020]
Therefore, even if there is a torque fluctuation below a certain level, the effective diameter of the variable diameter pulley does not change. If the force for bringing both pulley main bodies close is obtained only by the biasing means, it is necessary to increase the biasing force and there is a disadvantage that the friction loss increases. An appropriate force for bringing both pulley main bodies close to each other can be obtained, and as a result, the urging force by the urging means can be reduced, so that the friction loss can be reduced.
[0021]
Claim5Aspects of the described invention are claimed.3The mechanism for associating the two pulley main bodies includes a coupling means in which the inner diameter portion and the outer diameter portion are engaged with the corresponding pulley main body so as to be integrally rotatable, and the predetermined portion in the radial direction supports the predetermined portion. The diaphragm spring is connected to the rotary shaft so as to be capable of transmitting power, and the diaphragm spring also serves as the urging means.
[0022]
In this aspect, torque is transmitted between the belt and the rotating shaft via both pulley main bodies, the diaphragm spring, and the connecting member. Since both pulley main bodies can be directly urged by the diaphragm spring, both pulley main bodies can be operated smoothly to enable smooth speed change.
Further, the predetermined portion in the radial direction of the diaphragm spring supported by the connecting means is set at a position where the inner diameter portion and the outer diameter portion of the diaphragm spring are opposite to each other and generate an equal amount of displacement. Both pulley main bodies can be moved symmetrically in the axial direction to keep the belt running center constant.
[0023]
Further, the diaphragm spring has a function of connecting both pulley main bodies so as to be integrally rotatable, and a function of urging the power transmission ring to the concentric side via both pulley main bodies, so that the structure can be simplified..
[0029]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Preferred embodiments of the present invention will be described with reference to the accompanying drawings.
First embodiment
First, a belt-type continuously variable transmission system as a first embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS. In the first embodiment, the belt-type continuously variable transmission system is mounted on an automobile and applied as an auxiliary machine drive system for driving an auxiliary machine with a drive source of the vehicle. In the first embodiment, a description will be given according to a configuration in which a driven pulley such as a supercharger is used as a variable diameter pulley. However, the driving pulley can be a variable diameter pulley. Examples of auxiliary machines include air pumps, alternators, air conditioner compressors, power steering hydraulic pumps, water pumps, and the like in addition to the above supercharger, and this system is a system for driving a plurality of auxiliary machines. It can also be configured as. In this case, in one system, one or more driven pulleys may be variable diameter pulleys.
[0030]
overall structure
Referring to FIG. 1, in this
[0031]
The
[0032]
The
[0033]
The
[0034]
On the other hand, the operation of the
[0035]
The rotational speed of the
As the control by the
[0036]
Hydraulic circuit
Next, a hydraulic circuit including the
[0037]
A supply-
In the supply-
[0038]
As shown in FIG. 3, the
[0039]
Further, the low-pressure side
[0040]
In the oil path configuration as described above, as shown in FIG. 3, the
[0041]
On the other hand, as shown in FIG. 4, the
[0042]
When the
[0043]
Further, when the
[0044]
The elastic member is not limited to being provided in the
Variable diameter pulley
FIG. 5 is a sectional view of the
[0045]
A
[0046]
The
[0047]
The variable-
[0048]
The
[0049]
Referring to FIGS. 5 and 6,
[0050]
The first pulley
[0051]
The second pulley
[0052]
A plurality of plate-
[0053]
The
[0054]
An inner peripheral portion of the connecting
The connecting
[0055]
The connecting
[0056]
In addition, a plurality of through
[0057]
The
[0058]
Then, the
Further, since the annular
[0059]
In particular, torque is transmitted through a
[0060]
In addition, when the
[0061]
Further, if the
[0062]
In the first embodiment, the
In the first embodiment, the
[0063]
The first embodiment described above has the following advantages. That is,
1) The
[0064]
In particular, the force by which the
[0065]
On the other hand, the
[0066]
Further, the use of the
2) Further, as in this embodiment, by applying this belt type continuously variable transmission system to the driving of an auxiliary machine of an automobile, it is possible to prevent the auxiliary machine from rotating at an unnecessary high speed. It can improve durability and achieve energy saving.
[0067]
3) Further, the transmission
[0068]
4) Since the
[0069]
5) Since the pressing force with respect to the
[0070]
6) Since the pulley
7) Since both the pulley
[0071]
8) Since the
Second embodiment
8 to 16 show a variable-
[0072]
A) In the first embodiment, the
[0073]
B) In the first embodiment, torque is transmitted through the
C) In the second embodiment, the torque cam mechanisms T, T are provided so that both pulley main bodies are displaced in the axial direction of the rotary shaft in the same amount of displacement in opposite directions, and these torque cam mechanisms T, T Is composed of a pair of conversion mechanisms for converting the rotational angular displacement and axial displacement respectively generated by the first and second pulley
[0074]
D) In the second embodiment, the
Specifically, referring to FIG. 8, this variable-diameter pulley has an annular shape made of baked rubber or the like around a cylindrical
[0075]
The V-
[0076]
The V-
8 and 10, the pulley
[0077]
Referring to FIGS. 8, 9, 10, and 11, a plurality of
[0078]
As a guide member for guiding the relative axial displacement between the pulley
[0079]
As shown in FIG. 14, both pulley
[0080]
In FIG. 8, the left pulley
[0081]
On the other hand, referring to FIG. 15, the above-described
[0082]
Since the
The disc springs 310 and 310 are arranged in opposite directions, and urge the pulley
[0083]
Referring to FIG. 8, each of the
[0084]
The
[0085]
The above-described
[0086]
When the two pulley
[0087]
For example, in the
[0088]
Then, when there is a slight change in torque, the
[0089]
A screw mechanism may be employed as the torque cam mechanism. Further, as the biasing means, a compression coil spring concentric with the
In the second embodiment, advantages similar to the advantages 1) to 5) and 8) shown in the first embodiment can be obtained. In addition, there are the following advantages. That is,
9) Since the pulley
[0090]
10) Since the load torque applied to the variable-
[0091]
11) The fluctuation of the torque transmitted between the
Further, when the
In the second embodiment, for example, the elastic member that suppresses torque fluctuation or torsional fluctuation may be disposed at any position on the torque transmission path as long as it transmits torque. In addition, when used as a dynamic damper, it is possible to adjust the vibration frequency to be damped by attaching a dummy weight as long as the weight member does not increase in size.
Third embodiment
17 and 18 show a
[0092]
Referring to these drawings, the third embodiment is different from the first embodiment shown in FIG. 1 (that is, the first embodiment) in that the
[0093]
The operation of the
[0094]
The clutch 85 is composed of, for example, an electromagnetic clutch, and switches between a state in which both the
As the control by the
[0095]
Referring to FIG. 17, which is a schematic sectional view of the
[0096]
A biasing
[0097]
The fixing
[0098]
The inner
[0099]
On the other hand, a
[0100]
Referring to FIGS. 18A and 18B, the
[0101]
Each
[0102]
When the operating position of the
[0103]
Referring to FIG. 17 again, the
[0104]
O-
[0105]
A
[0106]
An input
[0107]
The clutch 85 includes a
[0108]
As a result, the
[0109]
On the other hand, when the clutch 85 is disengaged and the
[0110]
Here, when the clutch 85 is disengaged and the
[0111]
If the hydraulic oil of the
[0112]
The third embodiment has the same advantages as the advantages 1) to 5) of the first embodiment. In addition, there are the following advantages. That is,
12) Since the tension of the
[0113]
13) Since the built-in
14) Moreover, the
Although the electromagnetic clutch is used as the clutch 85 in the third embodiment, the present invention is not limited to this, and a centrifugal clutch can be used. A clutch that obtains operating force using engine negative pressure can also be used.
Fourth embodiment
Next, FIGS. 19, 20 and 21 show a fourth embodiment of the present invention. First,
Referring to FIGS. 19A and 19B, in this
[0114]
A tensioner 401 for adjusting a transmission gear ratio is a fixed
[0115]
[0116]
Referring to FIG. 20, the
[0117]
Although not shown in FIGS. 19 and 20, the tensioner 401 includes an elastic member 414 (see FIG. 21) composed of a torsion coil spring that urges the
[0118]
In the fourth embodiment, the
[0119]
In the state shown in FIG. 20 corresponding to FIG. 19A, the
[0120]
Referring to FIG. 21, a
[0121]
On the other hand, a
[0122]
A
On the other hand, a
[0123]
A
[0124]
The
The
[0125]
According to the present embodiment, power is transmitted against the biasing force of the
[0126]
In this state, in the tensioner 401, play
[0127]
In particular, since the
In addition, since the worm gear mechanism is used as the
[0128]
In addition, the stepping
Fifth embodiment
23 and 24 show a system tensioner according to a fifth embodiment of the present invention. The fifth embodiment is mainly different from the fourth (FIG. 20) embodiment as follows. That is, in the embodiment of FIG. 20, the movable member is configured by a swinging member that swings with respect to the fixed member, but in the fifth embodiment, the movable member is linearly moved with respect to the fixed member. The linear moving member is used. Further, in the embodiment of FIG. 20, the drive transmission mechanism for transmitting the driving force of the stepping
[0129]
More specifically, the
[0130]
The fixed
A pair of
[0131]
A pair of
[0132]
A
[0133]
FIG. 23 showing a state in which the
Further, FIG. 24 showing a state where the
[0134]
In the fifth embodiment, when the
[0135]
Further, since the
In addition, since the rack and pinion mechanism is used as the
[0136]
In addition, the stepping
Sixth embodiment
Next, FIG. 25 shows a tensioner of a system according to a sixth embodiment of the present invention. The sixth embodiment is different from the fifth (FIG. 23) embodiment in that a hydraulic motor is used as a drive source instead of a stepping motor.
[0137]
Specifically, in the
[0138]
The
[0139]
The pair of
This
[0140]
In the sixth embodiment, the
[0141]
In the sixth embodiment, in addition to the same effects as the fifth (FIG. 23) embodiment, high torque is obtained by the
Also, if a linear reciprocating motion type such as a hydraulic cylinder is used as the drive source, if a low pressure power source is used, the cylinder diameter must be increased. To reduce the cylinder diameter, a separate high pressure power source is required. Although there is a necessary problem, space can be saved when the
Seventh embodiment
26, 27 and 28 show a seventh embodiment of the present invention.
[0142]
The
[0143]
The
[0144]
That is, the
[0145]
Specifically, when the rotational speed of the drive source is slower than a predetermined value, the
[0146]
27 and 28, the
[0147]
The
These
[0148]
The other end surface of the
The
[0149]
The fixing
[0150]
The
[0151]
In the seventh embodiment, in the belt-type continuously
Eighth embodiment
The eighth embodiment shown in FIG. 29 shows a modification of the seventh embodiment shown in FIG. In the seventh embodiment, a hydraulic actuator is used as a driving member. However, in the eighth embodiment, as shown in FIG. 29, a stepping motor capable of controlling the rotational angular displacement by a signal from the
Ninth embodiment
The ninth embodiment shown in FIG. 30 shows a modification of the seventh embodiment shown in FIG. In the seventh embodiment, a hydraulic actuator is used as the driving member. However, in the ninth embodiment, as shown in FIG. 30, a
[0152]
The
[0153]
The
[0154]
When the
In the ninth embodiment, since the intake negative pressure of the engine is used as a drive source, a hydraulic pump or the like is not necessary, the manufacturing cost can be reduced, and the power for driving the hydraulic pump is reduced. It is possible to save energy.
Tenth embodiment
A belt type continuously variable transmission system according to a tenth embodiment of the present invention will be described with reference to FIGS.
[0155]
FIG. 31 is a cross-sectional view of a variable diameter pulley used in the
The variable-
[0156]
The
The
[0157]
On the other hand, the variable-
[0158]
The resultant force (G + H) of the tensions G and H generated by the elastic member and the inertia member of the variable-
The inertia member is displaced in the centrifugal direction according to the rotational speed, and urges the
[0159]
That is, when the running speed of the
[0160]
On the contrary, when the running speed of the
[0161]
FIG. 33 is a graph showing the relationship between the rotational speed of the drive pulley and the rotational speed of the variable-diameter pulley. In FIG. 33, in the region {circle around (1)} until the rotational speed of the drive pulley reaches the rotational speed V1, power is transmitted. The
[0162]
Referring to FIGS. 31 and 34, this variable-
[0163]
A
[0164]
The variable-diameter pulley is a first coupling that serves as a biasing means that biases the first and second pulley
[0165]
The
[0166]
Referring to FIG. 31 and FIG. 35,
[0167]
Referring to FIG. 31, the first pulley
[0168]
Also, a
The second pulley
[0169]
The
[0170]
The
[0171]
The inner peripheral portion of the connecting
The connecting
[0172]
The connecting
[0173]
Referring to FIG. 36, the connecting
The pair of engaging
[0174]
The radial position (indicated by the distance d from the rotation axis K in FIGS. 31 and 34) of the connecting
[0175]
Referring to FIGS. 31 and 34 again, a
[0176]
An
[0177]
The
[0178]
A
[0179]
In the tenth embodiment, the effective diameter D of the
[0180]
In addition, since the
Further, since the connecting
[0181]
Further, since the
[0182]
In addition, since both pulley
The
[0183]
In particular, in the present embodiment, the connecting
Further, both pulley
[0184]
If the two-sided width of the connecting
In the present embodiment, the axial displacement around the
Eleventh embodiment
Next, FIG. 38, FIG. 39 and FIG. 40 show an eleventh embodiment of the present invention. Referring to FIG. 38, the
1) In the embodiment of FIG. 31, the first connecting means for connecting both pulley
[0185]
2) Further, in the embodiment of FIG. 31, the pulley
[0186]
3) In the eleventh embodiment, the inertia member and the rolling member are constituted by the
More specifically, with reference to FIG. 38, the variable-
[0187]
The first pulley
[0188]
The second pulley
[0189]
The facing
[0190]
The opposing
[0191]
A
[0192]
The outer
[0193]
On the other hand, the intermediate portion of the connecting
[0194]
These guide
[0195]
Note that in the eleventh embodiment, identical symbols are assigned to the configurations similar to those in the tenth (FIG. 31) embodiment and descriptions thereof are omitted.
According to the present embodiment, similar to the embodiment of FIG. 31, the resultant tension (G + H) applied to the
[0196]
In addition, since the
Further, when load torque is applied, both pulley
[0197]
Further, the cam surfaces 700 and 701 are provided on the inner surfaces of the
[0198]
Further, the pulley surfaces 662 and 663 can be displaced symmetrically in the axial direction by the action of the cam surfaces 700 and 701, so that the belt center L can be kept constant regardless of the speed change.
The present invention is not limited to the above-described embodiments. For example, the present invention can be used as a belt-type continuously variable transmission system for a general machine, in addition to the present invention mounted on an automobile.
[0199]
【The invention's effect】
In the first aspect of the present invention, the resultant force of the tensioner's elastic member and actuator to decenter the power transmission ring via the belt, and the force of the variable diameter pulley biasing member biasing the power transmission ring concentrically. The power transmission ring is displaced to a position where the power transmission ring balances to define the eccentric position of the power transmission ring, and the effective diameter of the belt is changed. Since the speed is changed using the balance of the force through the belt, stable and smooth speed change is possible.
[0200]
When the actuator does not work, the tensioner only applies tension to the belt with the force of an elastic member such as a spring, as used in a conventional constant speed belt transmission auxiliary machine drive system. Since the force of the elastic member is smaller than the force of the urging member of the variable diameter pulley urging the power transmission ring to the concentric side, the power transmission ring keeps the concentric state with the axis of the rotating shaft. On the other hand, the actuator works and the belt tension is added to the tension applied to the belt by the elastic member of the tensioner, and the resultant force is greater than the force by which the biasing member of the variable diameter pulley biases the power transmission ring concentrically. When it becomes larger, the power transmission ring is displaced to an eccentric position corresponding to the applied force, and a desired gear ratio is obtained. At this time, tension is applied to the belt not only by the tensioner but also by the urging member of the variable diameter pulley, so that the application of tension is stabilized and appropriate tension is applied.
Further, the belt tension can be changed only by engaging / disengaging the clutch, and the structure can be simplified. Since the built-in hydraulic pump is stopped when not needed, energy saving can be achieved and the pump life can be extended.
[0201]
Claim2In the described invention, it is possible to prevent the auxiliary machine from rotating at an unnecessary high speed in the driving of the auxiliary machine of the automobile, thereby improving the durability of the auxiliary machine and achieving energy saving. In addition, the speed ratio adjusting tensioner of the present invention can be arranged as an alternative to the auto tensioner that is conventionally arranged on the loose side of the belt, so that the size can be reduced.
[0202]
Claim3In the described invention, both pulley main bodies are displaced in equal amounts of displacement in opposite directions, so that the position of the belt running center can always be maintained constant. There is no risk of unnecessary force being applied to the belt or falling off the pulleys due to the speed change. In the invention according to claim 5, since the load torque to the variable diameter pulley can be converted to a force for bringing both pulley main bodies close by the conversion mechanism, the two pulley main bodies can be brought close to each other according to the load torque. As a result, the urging force by the urging means can be reduced, so that the friction loss can be reduced.
[0203]
Claim5In the described invention, both the pulley main bodies can be directly urged by the diaphragm spring, so that both pulley main bodies can be operated smoothly and a smooth shift can be achieved. Further, by causing the inner diameter portion and the outer diameter portion of the diaphragm spring to generate equal displacements in opposite directions, both pulley main bodies are moved symmetrically in the axial direction to maintain the belt running center constant. Can do. In addition, the diaphragm spring has a function of connecting both pulley main bodies so as to be integrally rotatable and a function of urging the power transmission ring to the concentric side via both pulley main bodies, so that the structure can be simplified.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a schematic configuration diagram of a belt-type continuously variable transmission system according to a first embodiment of the present invention, showing a state before shifting.
FIG. 2 is a schematic configuration diagram of the system of FIG. 1, showing a state after shifting.
3 is a schematic diagram of a hydraulic circuit for operating a hydraulic cylinder in the system of FIG. 1, corresponding to a state after a shift.
4 is a schematic diagram of a hydraulic circuit for operating a hydraulic cylinder in the system of FIG. 1, and corresponds to a state before shifting.
5 is a longitudinal sectional view of a variable diameter pulley in the system of FIG. 1, showing a state in which a power transmission ring is concentric with a rotating shaft.
6 is a front view of a diaphragm spring of the variable diameter pulley of FIG. 5. FIG.
7 is a longitudinal sectional view of the variable diameter pulley of FIG. 5, showing a state in which the power transmission ring is eccentric. FIG.
FIG. 8 is a longitudinal sectional view of a variable diameter pulley of a belt-type continuously variable transmission system according to a second embodiment of the present invention, showing a state where a power transmission ring is in a concentric position.
9 is a half side view of the variable diameter pulley of FIG.
10 is an exploded perspective view of a pulley main body and a guide member of the variable diameter pulley of FIG.
11 is an exploded perspective view showing a state in which a guide member is fitted to an outer peripheral surface of a fitting projection mainly of a pulley of the variable diameter pulley of FIG. 8;
12 is a partially broken perspective view of the guide member of FIG. 11. FIG.
13 is a schematic perspective view showing a state in which the guide member and the coupling body are combined with the fitting protrusion mainly of the pulley in the variable diameter pulley of FIG.
14 is an exploded perspective view showing a state in which a coupling body is combined with both pulley main bodies in a state of being combined with each other in the variable diameter pulley of FIG. 8. FIG.
15 is an enlarged cross-sectional view of a portion near the inner periphery of the variable diameter pulley of FIG.
16 is an exploded perspective view of a coupling body and a rotating shaft in the variable diameter pulley of FIG.
FIG. 17 is a sectional view of a tensioner of a belt type continuously variable transmission system according to a third embodiment of the present invention.
18 (a) and 18 (b) are schematic plan views including a partial cross section for explaining the operation of the tensioner of FIG. The cross section corresponds to the cross section taken along the line VV in FIG.
FIG. 19 is a schematic configuration diagram of a main part of a belt-type continuously variable transmission system according to a fourth embodiment of the present invention, where (a) shows a state before shifting and (b) shows a state after shifting. Show.
20 is a partial cross-sectional front view of a tensioner included in the system of FIG.
21 is a longitudinal sectional view of the tensioner of FIG.
22 is a partial cross-sectional front view of the tensioner showing a state in which the tensioner of FIG.
FIG. 23 is a partial sectional front view of a tensioner of a belt-type continuously variable transmission system according to a fifth embodiment of the present invention.
24 is a partial cross-sectional front view of the tensioner showing a state in which the tensioner of FIG.
FIG. 25 is a partial sectional front view of a tensioner of a belt type continuously variable transmission system according to a sixth embodiment of the present invention.
FIG. 26 is a schematic configuration diagram of a belt-type continuously variable transmission system according to a seventh embodiment of the present invention, where (a) shows a state before shifting, and (b) shows a state after shifting. Yes.
27 is a partial cross-sectional front view of a tensioner included in the system of FIG. 26. FIG.
28 is a longitudinal sectional view of a main part of the tensioner of FIG. 27. FIG.
FIG. 29 is a schematic view of a main part of a tensioner of a belt type continuously variable transmission system according to an eighth embodiment of the present invention.
FIG. 30 is a partial sectional side view of a main part of a tensioner of a belt type continuously variable transmission system according to a ninth embodiment of the present invention.
FIG. 31 is a sectional view of a variable diameter pulley included in a belt type continuously variable transmission system according to a tenth embodiment of the present invention, showing a state where a power transmission ring is eccentric.
32 is a schematic view of the main part of a belt-type continuously variable transmission system in which the variable diameter pulley of FIG. 31 is applied to a driven pulley.
33 is a graph showing the relationship between the rotational speeds of the drive pulley and the variable diameter pulley of FIG. 31. FIG.
34 is a cross-sectional view showing a state where the power transmission ring is concentric in the variable diameter pulley of FIG. 31. FIG.
35 is a front view of a diaphragm spring of the variable diameter pulley of FIG. 31. FIG.
36 is a schematic view showing a combined state of a connection hole and a connection shaft of a diaphragm spring of the variable diameter pulley of FIG. 31. FIG.
37 is a partially broken perspective view showing a main part of an opposing member fixed to the second pulley main body in the variable diameter pulley of FIG. 31. FIG.
FIG. 38 is a cross-sectional view of a variable diameter pulley included in a belt type continuously variable transmission system according to a tenth embodiment of the present invention, showing a state where a power transmission ring is in a concentric position.
39 is a side view showing a part of the outer peripheral surface of the second pulley main body in the variable diameter pulley of FIG. 38. FIG.
40 is a schematic diagram showing the second pulley main body, the opposing member, and a connecting shaft with a roller for connecting them, in the variable diameter pulley of FIG. 38, wherein (a) shows the power transmission ring in a concentric position. Corresponding to the state, (b) corresponds to the state where the power transmission ring is eccentric.
[Explanation of symbols]
10 Tensioner
12 Controller
20 Tensioner pulley
21 Vane motor
22 Hydraulic pump (hydraulic actuator)
23 Fixing member
24 Swing member (support member)
28 Elastic members
85 clutch
101 Belt type continuously variable transmission system
102 belt
104 Tensioner
105 Tensioner pulley
107 Variable diameter pulley
110 Hydraulic cylinder (hydraulic actuator)
112 Hydraulic pump
114 controller
134 Compression coil spring (elastic member)
201 Rotating shaft
202, 203 Pulley main
204, 205 Power transmission surface
206 Power transmission ring
211 Diaphragm spring (biasing member)
300 Variable diameter pulley
301 Rotating shaft
303,304 Concatenated body
305,306 Pulley main
309 Power transmission ring
310 Disc spring (biasing member)
315, 316 Power transmission surface
322 Mating protrusion
338, 339 Cam face
T Torque cam mechanism
400 Belt type continuously variable transmission system
401 Tensioner
403 Tensioner pulley
408 Stepping motor (actuator)
414 Elastic member
419 Controller
450 Tensioner
469 Elastic member
471 Hydraulic motor (hydraulic actuator)
490 Tensioner
500 Belt type continuously variable transmission system
503 Tensioner
504 Tensioner pulley
505 Wire (Transmission member)
506 Hydraulic cylinder (hydraulic actuator)
509 Elastic member
530 Electric motor (actuator)
532 Pressure receiving member
547 Intake manifold
553 Hydraulic Pump (Hydraulic Actuator)
555 controller
Claims (5)
変速比を調整するためにベルトの張力を調整するテンショナとを備え、
このテンショナは、変位可能な支持部材によって回転自在に支持され且つベルトに係合するテンショナプーリと、このテンショナプーリを介してベルトに張力を付与する弾性部材と、ベルトの張力を調整するべく上記テンショナプーリの動作位置を上記支持部材を介して能動的に変更するアクチュエータとを含み、
テンショナの弾性部材およびアクチュエータがベルトを介して動力伝達リングを偏心させようとする力と、可変径プーリの付勢部材が動力伝達リングを同心側へ付勢する力とが釣り合うことによって、上記動力伝達リングの位置が規定され、
上記テンショナの弾性部材がベルトを介して動力伝達リングを偏心させようとする力が、可変径プーリの付勢部材が動力伝達リングを同心側へ付勢する力より小さくされ、
上記アクチュエータは油圧アクチュエータからなり、
上記テンショナは、テンショナプーリによって駆動されて油圧アクチュエータに作動油を供給する油圧ポンプと、テンショナプーリと油圧ポンプとの間の駆動連結を断続するクラッチとを含み、
このクラッチの操作によって上記テンショナプーリの動作位置が変更されることを特徴とするベルト式無段変速システム。A pair of pulley main bodies that are arranged around the rotation shaft and are movable in the axial direction, a pair of tapered power transmission surfaces formed on opposite surfaces of these pulley main bodies, and the rotation shaft by these power transmission surfaces A power transmission ring sandwiched in an eccentric manner with respect to the shaft center and having an endless belt wound around the outer peripheral surface, and a biasing means for biasing the power transmission ring concentrically via both pulley main bodies Including variable diameter pulleys,
A tensioner that adjusts the belt tension to adjust the gear ratio,
The tensioner includes a tensioner pulley that is rotatably supported by a displaceable support member and engages the belt, an elastic member that applies tension to the belt via the tensioner pulley, and the tensioner that adjusts the tension of the belt. An actuator for actively changing the operating position of the pulley via the support member,
The force of the tensioner's elastic member and actuator that causes the power transmission ring to be eccentric via the belt and the force that the biasing member of the variable-diameter pulley biases the power transmission ring concentrically balances the power. The position of the transmission ring is defined,
Force the elastic member of the tensioner to try to offset the power transmission ring through the belt, rot smaller than the force biasing member of the variable diameter pulley to urge the power transmission ring into concentric side,
The actuator is a hydraulic actuator,
The tensioner includes a hydraulic pump that is driven by the tensioner pulley and supplies hydraulic oil to the hydraulic actuator, and a clutch that intermittently connects the drive connection between the tensioner pulley and the hydraulic pump.
A belt type continuously variable transmission system characterized in that the operating position of the tensioner pulley is changed by operation of the clutch .
上記一対の第2の連結手段は、それぞれ対応するプーリ主体の回転軸に対する相対回転を対応するプーリ主体の軸方向移動に変換する一対の変換機構を含むことを特徴とする請求項3記載のベルト式無段変速システム。The mechanism for associating the two pulley main bodies with each other is capable of transmitting power to each of the rotation shafts, and a first connecting means for connecting the pulley main bodies so as to be integrally rotatable while allowing relative movement in the axial direction of each other. A pair of second coupling means coupled to
4. The belt according to claim 3, wherein the pair of second coupling means includes a pair of conversion mechanisms that convert relative rotation of the corresponding pulley main body with respect to the rotation shaft of the corresponding pulley main body into axial movement of the corresponding pulley main body. Type continuously variable transmission system.
このダイヤフラムスプリングは上記付勢手段を兼用していることを特徴とする請求項3記載のベルト式無段変速システム。 In the mechanism for associating the two pulley main bodies with each other, the inner diameter portion and the outer diameter portion are engaged with the corresponding pulley main body so as to be integrally rotatable, and a predetermined portion in the middle in the radial direction can transmit power to the rotating shaft via the connecting means. Including a diaphragm spring connected to
4. The belt-type continuously variable transmission system according to claim 3, wherein the diaphragm spring also serves as the urging means .
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- 1998-02-24 JP JP04249198A patent/JP3706729B2/en not_active Expired - Lifetime
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