JP3704331B2 - デジタル写真の作成方法及びその方法によって作成されたデジタル写真 - Google Patents

デジタル写真の作成方法及びその方法によって作成されたデジタル写真 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、動的要素とそれを取囲む静的要素で構成された被写体、特に動的要素として流動する水を含んで構成された被写体を撮影し、この写真をコンピューター画像処理手法によって、目視状態と実質的に合致するデジタル写真を作成する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
長年培われた銀塩写真の撮影において、滝や渓流等のように水を含んだ動的要素とそれを取り囲む風景等の静的要素から構成された被写体を撮影する場合、例えば大塚高雄著〔美しき日本の川〕に掲載された多数の写真(撮影条件を明記)で明らかなように、この動的要素を撮影する条件として、1/30秒等の所謂スロー・シャッター速度による撮影が推奨されてきた。最近発展普及したデジタル・カメラの仕様書でもこのことが引き継がれている。
然し、この伝統的撮影手法による写真は審美的評価は別として、現実に目視による認識と実質的に合致していると言えるかどうか甚だ疑問である。このスロー・シャッター速度による撮影は、高速回転体の力学的研究に際し行った写真撮影の経験に照らして、本願発明者が従来から持っていた疑問であった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本願発明は動的要素とそれを取り囲む静的要素で構成された被写体、特に動的要素として流動する水を含んで構成された被写体を撮影する場合を対象とし、被写体を構成する総ての要素を目視による認識と実質的に合致した写真(以下リアルな写真と称す)として許容出来るデジタル写真を作成する方法、即ち、コンピューター画像処理技術を適用することを前提として、前述の被写体の写真を撮影し、この撮影によって得たデジタル・データをコンピューター画像処理技術によって調整し、目視による認識と実質的に合致したリアルな写真としてのデジタル写真を作成することを目的とする。
【0004】
因みに、本願明細書で述べる「動的要素」とは時間的に変動する要素であり、外力が作用しない状態で物理的に静止している要素を静的要素と定義する。
又この明細書で説明するデジタル写真とはコンピューター画像処理による写真の修正加工をして作成されデジタル写真を指す。
尚、本願発明の原点である写真撮影は銀塩写真用写真機、デジタル・カメラによる写真撮影を共に含むものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決し、上記目的を達成するために下記の構成を有する。本発明の課題を解決する手段を開発するに至った経緯は、後記する。
【0006】
本発明は、第1に、動的要素と静的要素を含んで構成された被写体を撮影し、目視状態と実質的に合致するデジタル写真を作成する方法であって、
静的要素に対応する標準撮影条件で撮影し、この撮影データを基礎デジタル・データとしてコンピューター画像処理システムのコンピューターに格納し、モニタにデジタル画像を表示する第一のステップと、
前記被写体の動的要素の時間的変化速度に対応した複数のシャッター速度、適正露出で第一ステップの撮影と同一構図で撮影し、この動的要素撮影データをコンピューター画像処理システムのコンピューターに格納し、それぞれモニタにデジタル画像を表示する第二ステップと、
前記第二ステップで撮影し、モニタに表示されたデジタル画像の中から選択されたデジタル画像の明度とコントラストを相互に関連させて、出来るだけ動的要素のコントラストを維持させ、且つ静的要素部分を第一ステップでモニタに表示された画像状態に近い状態に維持させる条件に、前記選択されたデジタル画像を補正する第三ステップと、
前記第一ステップによる基礎デジタル・データによりモニタに表示されたデジタル画像の動的要素部分を第三ステップによる動的要素のデジタル・データに基づく動的要素画像と置換した合成デジタル画像をモニタに表示する第四ステップと、
前記第四ステップでモニタに表示された合成デジタル画像と画像構成、色調(明るさ、コントラスト、彩度、色バランス)が実質的に合致するデジタル写真画像を印刷する第五ステップ
を含んで構成されたことを特徴とするデジタル写真の作成方法である。
【0007】
第2に、本発明は、上記第1の発明において、更に第二ステップの写真撮影は、動的要素の時間的変化速度(推定)を含む内挿法的手法で数段のシャッター速度で、系列的に行うことを特徴とするデジタル写真の作成方法である。
【0008】
第3に、本発明は、上記第1または2の発明において、第二ステップの撮影のシャッター速度は1/125〜1/16000秒の範囲内で数段に分けて設定したシャッター速度であることを特徴とするデジタル写真の作成方法である。
【0009】
第4に、本発明は、上記第3の発明において、更に第二ステップの撮影をデジタル・カメラを使用して行い、その撮影は、露出調整値を負(マイナス)側に設定して行うことを特徴とするデジタル写真の作成方法である。
【0010】
第5に、本発明は、上記第1の発明において、第一ステップの撮影における標準撮影条件は、1/125秒を中心とし、1/60秒〜1/200秒のシャッター速度で適正露出で写真撮影を行うことを特徴とするデジタル写真の作成方法である。
【0011】
第6に、本発明は、上記第1の発明において、第五ステップにおける印刷は、モニタに表示されたデジタル画像の画像処理に使用したコンピューター画像処理システムを含む印刷システムで印刷することを特徴とするデジタル写真の作成方法である。
【0012】
第7に、本発明は、上記第1の発明において、写真撮影は、デジタル・カメラを使用して行うことを特徴とするデジタル写真の作成方法である。
【0013】
第8に、本発明は、上記第1の発明において、写真撮影は銀塩写真撮影を使用して実施し、印刷した写真をコンピューター画像処理システムのスキャナーでデジタル・データとしてシステムのコンピューターに格納して、このデジタル・データを使用して実施することを特徴とするデジタル写真の作成方法である。
【0023】
以下に、前記の課題を解決する手段である本発明の構成を開発するに至った経緯を示す。
【0024】
(第一実験)
この発明の目的を達成するため、どのようなシャター速度が適するか、又渓流や滝等の写真撮影の場合に推奨されてきた所謂スロー・シャッター速度による撮影が果たしてリアルな画像の写真を撮影するのに最適であるかどうかを検討した。即ち、皇居外苑の噴水広場の風景(噴水を主体とする風景)を被写体とし、カメラ(銀塩写真用カメラ)としてNikon F−80(商標)、ASA100のフィルム(コダックE100SW:商標)を使用し、露出値を±0、シャッター速度を1/15秒〜1/4000秒の範囲で9段階(詳細は第1表に示す)に分けて設定し、シャッター優先AEによる写真撮影を行った。この撮影したポジフィルムを街のフォトラボに依頼して現象して得たフィルムを第2表に示した第2コンピューター画像処理システム(第2表参照)のスキャナで読み取って、コンピューター(Macintosh G :商標)にデジタル・データとして格納し、モニタに表示されたデジタル画像を比較検討した。尚このカメラは絞りが自動的に調整されて適性露出を維持する機能を持っているので、参考迄にシャッター速度に対応する絞り値も第1表に示した。
【0025】
【表1】
Figure 0003704331
【0026】
【表2】
Figure 0003704331
【0027】
又、説明の便宜上、前述のコンピューター画像処理システムにおいて、モニタに表示されたデジタル画像をプリントする場合に、公知の色キャリブレーション手法(例えば、前記のアドビフォトショップ5.5(商標)使用)を適用すればこのデジタル画像の色(明度、コントラスト、彩度、色バランス)と実質的に合致した色のデジタル写真をプリントして作成することが容易に出来るので、煩雑な説明を避ける目的で、以下の説明では「図Xのデジタル写真に対応するモニタ表示のデジタル画像」を、説明を単純とするため、「図Xのデジタル画像」として表現した。
【0028】
図1〜図9で明らかなように、シャッター速度が極端に遅い場合(1/30秒以下)は、動的要素である噴水と静的要素(周囲の樹木等)のコントラストが低下し、単に噴流の状態で噴水が把握されるが、これに反しシャッター速度が1/60秒以上となると静的要素と動的要素のコントラストが高まり、噴水の水滴までも明瞭に把握されるることが判った。そしてこのような変化はシャッター速度の変化と非線形関係にあること、即ちある程度以上(この実験では1/500秒)となると変化が鈍化する事も判った。更にシャッター速度が速くなるに従って写真が暗くなることも認識された。目視の場合は単なる噴流状態としてでなく、落下する水滴も噴流に混在する状態であるとして認識されるのが現実であることから、前述のスロー・シャッター速度での撮影は本願発明の目的に沿わないことが確認された。因みに、撮影条件を自動的に調整する機能を持たないカメラを使用する場合でも、マニュアル操作でこの実験で明らかになったデータを基に絞り値とシャッター速度を調節すれば、同じ結果となることは自明である。
【0029】
(第二実験)
次いで、市販のデジタル・カメラ(EOS D−30:商標)を使用し、前述の撮影実験と同様、皇居外苑の噴水を中核とする風景写真をISO感度100、シャッター速度を数段に変更したシャッター速度優先(第3表にシャッター速度等を表示)で撮影し、この撮影で得られたデジタル・データをCFカードから第2表に示した画像処理第1システムのコンピューターGに格納し、モニタにデジタル画像(図10〜図23)を表示した。
【0030】
【表3】
Figure 0003704331
【0031】
この実験(第二実験)では露出条件を一定(±0)とし、シャッター速度を1秒〜1/4000秒の間で14段階に区分して設定れたシャッター速度で撮影し、この撮影実験で得られたデジタル画像を図10〜図23によって比較検討した。その結果、銀塩写真用カメラを使用した前述の第一実験の実験結果と殆んど一致していることが確認された。よってその詳細説明を省略する。尚、このカメラもシャッター速度の変更に対応して自動的に絞りを調節して適正露出に保持する自動調整機能を持っているので、シャッター速度に対応する絞り値も参考迄に第3表に示した。
【0032】
以上の実験によって銀塩写真撮影用カメラを使用しても、デジタル・カメラを使用しても、同様の結果を得ていることから、作業効率を考慮して後述の撮影実験では前述のデジタルカメラを使用している。
【0033】
(第三実験)
更に以上の実験結果を補足する意図で次の実験(第三実験)を行った。
即ち、この撮影実験ではISO感度を100、シャッター速度を1/500秒に固定し、−2、−1、±0、+1、+2の五段階に露出調整をして、写真画質への影響を調べた。以上の実験と同様にシャッター速度優先AEの撮影をしたので、絞り値の変化を記録したところ、これも当然のことながら8、5.6、4.0、3.5、と調整値が−側から+側に移るに連れて絞りが開き、+2となると絞りは3.5の限界を超えている。これらの撮影条件を第4表に示した。
【0034】
【表4】
Figure 0003704331
【0035】
この実験で得たデジタル画像(モニタ表示)を比較した結果、図24〜図27に示すように、露出調整値をマイナス側に移すことによって動的要素の細部に亘ってコントラストが強くなり、その結果動的要素がリアルに把握できること、その反面デジタル画像が次第に暗くなることが判った。
因みに、露出調整値+2の場合は絞り値は最少限界を超え、デジタル画像も白く飛んでいるので一連の添付図面から省略した。
【0036】
以上の実験結果から、銀塩写真撮影用カメラ、デジタル・カメラによる撮影の如何を問わず、特に流動する水を含んだ動的要素と静的要素で構成されている被写体を撮影し、動的要素を細部に亘ってリアルに把握するには所謂スローシャッター速度による撮影でなく、それより早いシャッター速度によって撮影することが必要であることを確認し、更に写真を暗目に撮影するのが望ましい事を認識した。因みに、適切なシャッター速度は後述の実施例1、2の実験結果から動的要素の時間的変化速度に対応することが望ましいことが判った。
【0037】
一般に、デジタル画像の暗さの修正がコンピューター画像処理手法を適用することによって容易に実施出来ることがよく知られているが、前述の実験の内容から、撮影条件の変更によるデジタル画像の暗さの変化が単なる明度の変化であるのか、階調の変化であるかによって取るべき対応が異るべきである。
【0038】
(第四実験)
この問題を解明する為に次の実験(第四実験)を行った。即ち、この実験の原デジタル画像並びに作業に使用する比較デジタル画像としてとして、前述の第二実験で得たデジタル画像の中から夫々図15、図22のデジタル画像を選択した(便宜上、夫々図28、29として示した)。そして図29のデジタル画像、即ち1/3000秒のシャッター速度で撮影した写真の暗さをデジタル画像(図28)の明るさに修正することを目的として、念の為コントラストの調整も含めて単なる明度の調整、明度−コントラストの組合せ調整、(トーンカーブによる)階調の調整を行って得たデジタル画像(図30〜図36)を比較した結果、単なる明度の調整、或いは単なるコントラストの調整は全く不適当であるのに対し、明度−コントラストの組合せ調整および(トーンカーブによる)階調の調整が採用出来ることを確認した。第5表はこれら調整作業の内容と図の関係を示している。
【0039】
【表5】
Figure 0003704331
【0040】
因みに、明度−コントラストの組合せ調整と階調の調整によって同様の結果が得られる事は、画像の物理的評価のバラメーターに関する理論的説明、例えば三宅洋一著:デジタルカラー画像の解析・評価(91頁)の説明からも理解出来る。
【0041】
ここで、モニタに表示されたデジタル画像の明るさの調整に明度−コントラストの組合せ調整方法を採用する場合に、最初に実施する明度の調整程度をどの程度とするかの問題が残されている。この問題は原画像(図29)の明るさを図28に近い明るさとなるように明度を調整し、次いでコントラストを調整してデジタル画像全体の明るさを図28に近似的に合致させる手法によって解決される事が確認された。この事は図31と図33を比較した場合に、明度・コントラストが共に実質的に合致していることから証明されている。
【0042】
又、公知の画像処理手法(トーンカーブダイアログボックスの入出力調整:例えばアドビフォトショップ5.5(商標)使用)で階調を調整して同様の結果をえることが出来ることも確認された(図36)。
参考までにこの階調調整のデータを第62図との関連で第8表に示した。
因みに、図62は階調調整の具体的内容を説明する目的で、データ表示座標点A、B、Cを付記した公知のトーンカーブである。
【0043】
これら一連の実験から、流動する水を含む動的要素と静的要素を撮影して得た写真を原点として、リアルなデジタル写真を作成するための撮影条件と、このデジタル写真をコンピューター画像処理によってリアルなデジタル写真に改質する手法が明らかになった。これが本願発明の原点となっている。
【0044】
本願発明は、前述の予備的実験によって得た結果を基礎として開発された。即ち、本願発明は動的要素とそれを取り囲む静的要素で構成された被写体、特に動的要素として流動する水を含んで構成された被写体をデジタル・カメラまたは銀塩写真用カメラを使用して動的要素の時間的変化速度に対応した高速シャッター速度で撮影し、撮影した写真をデジタル・データとしてコンピューター画像処理システムのコンピューターに格納(銀塩写真の場合はコンピューター画像処理システムのスキャナを介してコンピューターにデジタル・データとして画像データを格納し、デジタル・カメラデ撮影した場合は直接又はCFガード等の記憶媒体を介してコンピューターに格納)し、この画像処理システムのモニタに表示されたデジタル画像を単なる階調の調整、或いは明度とコントラストの組み合わ調整(始めに明度の調整、次いでコントラストの調整)することによって、特に水を含む動的要素に重点をおいたリアルなデジタル画像となるように修正し、モニタに表示されたこの修正デジタル画像によって目視による認識と実質的に合致したリアルなデジタル写真を作成することを基本的技術思想としている。因みに前述の高速シャッター速度とは後述の実施例の説明から明らかなように、1/350秒以上のシャッター速度を指す。
【0045】
【発明の実施の形態】
この基本的技術思想によって本願発明を現実に実施するためには、次のような種々の解決すべき問題がある。例えば、目視による認識と実質的に合致したデジタル画像であることの確認をどうするか、カメラによる写真撮影は動的要素の時間的変化速度に対応したシャッター速度で撮影するとしているが、具体的にどのようなシャッター速度を設定するか、又、動的要素部分がリアルな写真として撮影されたとしても、写真全体が暗く撮影されている場合は写真全体として目視による認識とかけ離れる結果となるので、どのような画像処理によって明るさの修正をするか等の解決すべき種々の問題がある。これらの問題処理は以下に述べる実施例の説明によって具体的に明らかにされている。
【0046】
【実施例】
既に述べたように、以下の実施形態の実験では撮影用カメラとして実施例4の実験(Nikon D1x(商標)使用)以外は前述のデジタル・カメラ(CannonD−30:商標)を使用(ISO感度を400に設定)し、第2表に示したコンピューター画像処理システム、即ち、コンピューターとして Macintosh G、G(商標);MOドライブとしてolympusサーボMO 640C(商標);プリンターとしてEPSON 2000C(商標)によって構成されたコンピューター画像処理システムを利用して実験を行っている。尚この実験では記録画素数を2160x1440;圧縮率を約1.3MB、撮影モードをシャッター優先(Tv)として撮影し、実施例4の場合は画質モードをFINE、シャッター優先として撮影している。
【0047】
〔実施例1〕
この実施例の実験では日光の竜頭の滝の直ぐ上流の渓谷を被写体として選択した。竜頭の滝は華厳滝、湯滝と共に日光国立公園の3大名滝として、特に紅葉時の風景は雑誌や絵葉書として内外に広く知られている。然し、これらの風景写真(絵葉書)では急速で落下する水流の大部分が白い帯の状態で表示されていて、目視による認識からかけ離れていることが解明出来た。そして更に、本願発明の目的を達成する為に前述の予備実験で認識した条件、即ち動的要素の時間的変化速度に対応したシャッター速度で撮影することの必要性を確認する結果となった。
【0048】
先ず第6表(撮影条件を表示)及び図37〜図43を参照してこの実施形態の実験の内容について説明する。
[シャッター速度の選定]:この撮影に使用した前記デジタル・カメラがコンパクト・カメラでありながら高い機能を以っていることを活用し、内挿法的[注:L岩波書店発行:数学辞典第3版;頁387C〕にシャッター速度の設定方法を採択し、1/30秒〜1/4000秒の範囲を第6表に示すように六段階に分けた撮影実験を行い、この撮影実験で得たデジタル画像の中から目的にあったデジタル画像を選択する手法を採用した。
【0049】
【表6】
Figure 0003704331
【0050】
[撮影結果(デジタル画像)]:前記シャッター速度に対応するデジタル画像(図37〜図42)から明らかなように、シャッター速度が前記標準シャッター速度1/125秒でも渓流は白い帯状の部分がかなり存在していること、シャッター速度がそれより上昇するに連れて写真全体が次第に暗くなるが、渓流の細部にわたったコントラストの相違が明瞭となってくること、然しある限界以上(具体的には1/750秒以上)ではこのコントラストの変化は鈍くなっていることが判った。これらのデジタル画像を比較して、渓流の細部にわたるコントラストが優れているので、画像処理対象のデジタル画像として図42のデジタル画像を選択した。
【0051】
〔画像暗さの修正〕:
前述の第四実験の結果から得た知見に基づいて、デジタル画像(図42)の明度とコントラストを、特に動的要素である渓流のコントラストを実質的に維持させながら、数段回に亘り漸進的に実施することによって、比較対照とした1/125秒のシャッター速度による撮影で得たデジタル写真(図38)の明るさと実質的に合致(目視による)した明るさのデジタル画像に改質する事が出来た。因みにこの画像処理では、比較対象として図38のデジタル画像をモニタに並列して表示させることによって、高い作業効率で目的を達成している。
【0052】
尚、この場合でも動的要素を一層リアルに表示させる必要がある場合は動的要素と静的要素を分離して前述の画像処理をし、特に動的要素の細部にわたるコントラストを強めに保持するように処理し、画像処理された動的要素と静的要素を公知の画像処理手法(例えばアドビフォトショップ5.5(商標)使用)で合成させることによって、この問題が解決された。
【0053】
1/125秒前後のシャッター速度、適性露出で撮影した写真が、従来から被写体の目視による認識と実質的に合致しているものとして認識されているので、この撮影条件で撮影して得たデジタル画像(図38)をこの画像処理における比較対象として採用した。因みにこのシャッター速度は天候や照明等の撮影条件、銀塩写真撮影の場合はフィルムの感度に応じて変える必要がある。又、現在普及している自動適正露出調整機能を持った写真機で撮影した写真、プログラム設定によって撮影した写真、多数の人々の目視による認識と実質的に合致しているとして許容されている写真、絵葉書や印刷物も前述の判断材料として採用出来ることは勿論である。
【0054】
以上の実験条件に従って、以下に述べる画像処理作業を実施した。即ち、前述の図42のデジタル画像(モニタ表示)で渓流を取り囲む樹木が前述の比較画像であるデジタル画像(38)の該当部分と較べて不自然に暗いので、この部分の明るさを修正する次の画像処理を行った。先ず、この部分を選択し、次いで明るさ(+27)→コントラスト(+10)の調整を行い、この部分と他の部分の境界の不自然さを消し、図43に示す最終デジタル画像を作成した。
【0055】
尚、前述の第一実験および第二実験の場合はシャッター速度を1/60秒で噴水を目視による認識状態として撮影出来るのに対して、この実験ではこの程度のシャッター速度では遅過ぎること、遅くとも1/250秒は必要であることが明瞭になった。「動的要素と静的要素を含んで構成されている被写体を撮影してリアルなデジタル写真を作成する為に必要な写真撮影のシャッター速度」は動的要素の時間的変化速度に対応して設定する必要のあることを、この事実が示しものである。従って、この実施例の実験で採用した内挿法的手法による複数のシャッター速度を採用する撮影手法は、使用カメラの優れた操作性の効果もあって、現実的に価値のある事が確認された。
【0056】
〔実施例2〕
この実施例は実施例1の実験当日引き続いて日光の湯滝を含む風景を被写体とした撮影実験である。この実験では実施例1の撮影実験と同様に、内挿法的シャッター速度の選定によって撮影している。即ちシャッター・速度優先(AE)とし、1/30秒〜1/4000秒の範囲で五段階のシャッター速度で撮影実験を行った。この実験の内容を第7表に示した。
【0057】
【表7】
Figure 0003704331
【0058】
この撮影で得られたデジタル・データをCFカードから前述のコンピューター画像処理第1システムのコンピューターGに格納し、モニタにデジタル画像として表示させ、モニタ表示のデジタル画像を比較したところ、シャッター速度が1/4000秒の場合(図45)が湯滝を良く表していると判断した。然しながら渓流部分がシャッター速度1/125秒で撮影したデジタル画像(図44)に比べて暗いので、このデジタル画像(図45)全体の明るさを渓流のコントラストを実質的に維持しながら階調の調節(第8表)によって調節してデジタル画像(図46)を作成したが、渓流の左部分を占める樹木部分が前述のデジタル画像(図44)に比べて未だ暗いので、デジタル画像(図44)の対応部分を公知の画像処理手法(例えば、アドビフォトショップ5.5(商標)使用)で切り取って、デジタル画像(図46)の対応部分と置換した結果、所望のデジタル画像(図47)をモニターに表示することが出来た。尚、渓流の左部分を占める樹木部分だけを対象(区分)とする上記公知の画像処理手法によってもこの問題を解消出来ることを確認した。その結果、このような色(明度、コントラスト、彩度、色バランス)の追加的修正は微細であっても、本願発明によるリアル名デジタル写真の作成にとって有効な作業であることが判った。因みに、他の実施例の実験でも追加的色の微細調整効果が確認されている。
尚、参考迄に、日光で市販されている絵葉書(湯滝)の複写を図48で示した。
【0059】
〔実施例3〕
この実施例は伊豆の城ケ岬海岸の岸壁に押しよせている波濤を含む風景を被写体とした実験結果を示している。
この被写体の場合、岸壁に押し寄せる波はほゞ一定の周期で岸壁に衝突して砕け散っているが、波自体は可なり早い速度で変形しているので、それをリアルな像として把握するためシャッター速度を高速とする必要があるので、実施例1、2で得た知見に基いて、1/125、1/250、1/500、1/4000秒の4段階のシャッター速度で撮影実験を行った。その結果実施例2の実験と同様に、シャッター速度を1/4000秒、露出調整値を+2とした撮影結果(図49)が最もリアルに波濤を示していることが判った。その反面波が衝突している岸壁が標準撮影条件(シャッター速度1/125秒、露出調整値±0)で撮影したデジタル・画像(図50)に比べると極端に暗い結果となっていることも認識された。
【0060】
そこで、デジタル画像(図49)の暗さを調整(階調の調整による)して、特に岸壁の明るさがデジタル画像(図50)に近い状態に修正して修正デジタル画像(図51)をモニタに表示させた(階調調整の内容は第8表参照のこと)。この階調調整の内容を表8に示している。然しデジタル画像(図50)の岸壁と較べると岸壁部分の細部要素間のコントラストが弱いことが判ったので、更にデジタル画像(図51)の明度(+37)、コントラスト(+50)の順で調整してデジタル画像(図52)をモニタに表示させた。次いでこのデジタル画像(図52)の岸壁部分を切り取ってデジタル画像(図51)の対応部分と置換し、この置換した岸壁部分とデジタル画像(図51)のオリジナル部分との境界部分の段差を前記した公知の画像処理手法で消去して所望のデジタル画像(図53)を作成した。
【0061】
【表8】
Figure 0003704331
【0062】
前述の画像処理の他に、次の手法によっても所望のデジタル画像を作成することが出来る。先ず前述のデジタル画像処理によって、デジタル画像(図52)をモニタに表示させ、次いでこのデジタル画像(図49)の明度を明るく調整(+55)した後、コントラストを調整(+8)することによってデジタル画像(図54)をモニタに表示させ、このデジタル画像(図54)の波の部分を切り取り、デジタル画像(図52)の対応部分と置換した後、置換した波の部分とデジタル画像(図52)のオリジナル部分との境界部分の段差を公知画像処理の手法(例えばアドビフォトショップ5.5のスタンプツールを使用)によって消去として所望のデジタル画像(図55)をモニターに表示させる事が出来た。
【0063】
前述の第四実験及び一連の実施例におけるデジタル画像処理作業は、画像処理第1システムのモニタに表示されたデジタル画像のデジタル・データをMOドライブでMOに記録させ、このMOを使用して画像処理第2システムのMOドライブを介してコンピューターGに格納し、このシステムのモニタにデジタル画像(50)として表示させ、このデジタル画像を対象として前述の画像処理作業→プリント作業を行っている。尚、画像処理第1システムから画像処理第2システムにデジタル・データを移した場合に生ずる色の変化は公知のキャリブレーション手法によって修正していることは勿論である。
【0064】
〔実施例4〕
この実施例はNikon D1x(商標)を使用(ISO感度400に設定)し、房総鴨川海岸に打ち寄せる太平洋の荒波を被写体として下記の撮影条件で撮影して行った実験である。
即ち、シャッター速度として1/30秒〜1/16000秒の範囲で11段階のシャッター速度(1/16000、1/10000、1/8000、1/5000、1/3200、1/1000、1/800、1/200、1/125、1/60、1/30秒)を設定し、シャッター速度優先オートで撮影した。因みに、このカメラの仕様説明書の記載で明らかなように、シャッター速度が1/6000秒〜30秒の場合は絞りが自動的に調整されて適性露出で撮影されるので、この機能を念頭において撮影している。
【0065】
実施例1〜3の実験と同様にCFカードからデジタル・データを画像処理第1システムのコンピューターGに格納し、MOドライブ→MO→デジタル画像処理第2システムのコンピューターGに格納の手順を踏み、モニター表示のデジタル画像を比較検討した結果は実施例1〜3と同様の実験結果を得た。説明の重複を避けるため、この実験で特に得られた結果について、1/125秒、1/800秒、1/1000秒、1/5000秒、1/16000秒のシャッター速度で撮影したデジタル写真を参照して説明する。尚、シャッター速度がある限度、具体的には1/6000秒を超えると写真画像全体が極端に暗くなり、この儘では資料として不適当であるので、公知のコンピューター画像処理によって明るさを修正(明度→コントラストの調整による)したデジタル画像(図56、図57、図58、図59、図60)を作成して、実験結果の検討資料とした。
【0066】
既に述べたように(例えば実施例1の説明)、シャッター速度を動的要素の時間的変化速度に対応させると写真全体が暗くなるが、動的要素を構成している細部のコントラストが強くなり、シャッター速度が更に高速となるに従ってその傾向が鈍化することが判っているが、この実施形態の実験でもその事実が確認された。即ち、シャッター速度が1/6000秒を超えると適性露出調整の限界を超えてデジタル写真全体が特に暗かったが、シャッター速度が1/16000秒のとなると岩礁に衝突して砕け散るダイナミックな波濤をリアルに捕らえたデジタル画像をモニタに表示することが出来た。そこで、このデジタル画像を対象とし、明度(+30)→コントラスト(+50)の画像処理をして図60のデジタル画像をモニタに表示した。
【0067】
然し、このデジタタル画像(図60)の中央を占める岩礁が波と比べて暗く、一様に塗り潰された状態であるので、1/125秒のシャッター速度で撮影して得たデジタル画像の岩礁部分を切り取り、デジタル画像(図60)の対応部分と置換(合成による)し、次いで、空の部分を選択して前記の公知の画像処理手法(明度+12)で明るく修正し、トリミングを変え、更に画像の縦横比率を変えて図61で示すデジタル画像を作成することが出来た。尚、図61のデジタル画像の彩度、画像を構成する要素相互間の色バランスを調整することによって作者独特の色(明度、コントラスト、彩度、色バランス)を持ったデジタル画像を作成することも出来る。
【0068】
以上述べた結果から、岩礁に衝突して砕け散る波濤を特に強調したデジタル画像を作成する場合(図61)を除き、1/500秒でも十分にリアルな波濤のデジタル写真が撮影出来ること、更に岩礁に衝突して砕け散る波濤に重点をおいて撮影する場合に、その部分の細部にわたってのコントラストをリアルに示した写真を撮影する為には、後処理(コンピューター画像処理)に要する手数、時間がかかるが、シャッター速度を1/16000秒で撮影した方が望ましいことも判った。然し、空の部分、岩礁部分の明るさを標準撮影条件(シャッター速度が1/125秒)で撮影したデジタル画像に近い状態に更に修正するデジタル加工が必要であった。
この結果から、岩礁に衝突して砕け散るリズミカルな波濤を特に強調する意図がある特別の場合は別として、自動的に適性露出調整機能が作用する範囲で、流動する波濤の次鑑定変化速度に対応したシャッター速度、即ち遅くとも1/500秒のシャッター速度を選択すれば、目的とするリアルなデジタル写真を撮影出来ることを改めて認識した。
【0069】
以上、本願発明の基本的技術思想を前述の実施例1〜4の説明で具体的に明らかにしたが、シャッター速度を高速とすると必然的に露出不足の方に撮影結果が変わり、写真画像が暗くなる程コンピューター画像処理に手数を要する結果となることが実施例の実験から確認された。一方、デジタル写真の急速な普及、発展と共に、デジタル・カメラの機能はここ数年の間に格段と進歩し、シャッター速度だけでなく、前述の撮影実験に使用したデジタル・カメラCannonD30(商標)、Cannon E−1(商標)等のように、ISO感度も1600迄段階的に設定出来る機材が市販されていることから、デジタル・カメラのISO感度を高めることによる影響を調べる目的で次の撮影実験、この撮影によって得たデジタル画像を現画像とするコンピューター画像処理として次の実験を行った。
【0070】
〔実施例5〕
この実施例は十和田国立公園の奥入瀬渓流(三乱の流れ)を被写体、前述のデジタル・カメラCannonD30(商標)を使用して、ISO感度を400、800、1600の3段階、1/125秒〜1/2000秒の段階的シャッター速度で撮影したデジタル写真を原写真画像とした結果を示すものである。
次に説明の重複を避ける為、第9表および図63〜図69を参照して問題点に焦点を絞って説明する。
【0071】
【表9】
Figure 0003704331
【0072】
(1)シャッター速度を早くするほど、当然のことながら、程度の差があっても写真画像が暗くなるが、ISO感度を高く設定しているので写真画像全体が明るくなり、暗さの変化も弱くなる。そして図66の場合は目視による認識に極めて近い結果を得ている。然しこの場合でも写真画像を構成する静的要素の樹木と水流の色バランスを画像処理によって微細調整する必要があった。
(2)このようにISO感度を高く設定すれば、低く設定した場合に比べて画像が暗くなることによる画像としての問題が緩和されるが、ISO感度を高く設定するとハレーションの為、前述(実験並びに実施形態の説明)のシャッター速度を不適切に設定すると、シャッター速度を高く設定した効果が損なわれる場合があるので、シャッター速度、更に露出補正値を慎重に設定する必要のあることが判った。
(3)又、原写真画像が図66の場合と異なっている場合(図64、図68)でも、実施例1〜4で明らかなように、コンピューター画像処理によって図66と大差ないデジタル画像に(図64、図68)に修正加工出来ることも確認している。
(4)図66(ISO感度800、シャッター速度1/500秒)を原写真画像とする場合は他の場合に比べて画像処理は微細調整であるので、シャッター速度を高く設定するのが望ましい。因みに、ISO感度を1600とした撮影実験では、過度に露出補正値を−側に設定したので、写真画像全体の色レベルが極端に暗い水準となり、コンピューター画像処理に過度の作業時間を必要とし、極端な場合は画像処理の限界を超える場合があった。幸いに市販されているデジタル・カメラは撮影直後であっても撮影結果をカメラのモニタ画面で目視によって確認出来るので、この確認によってこのような失敗を避けることが出来ることから、現実的には最初にプログラム撮影等の標準撮影条件で予備撮影をし、カメラのモニタ画像によって写真画像を構成する水流等の動的要素にハレーションが生じない程度のISO感度を露出補正値との関連で確認した後、ISO感度を選択し、流動する水流の流動速度との関係もあるが、遅くとも1/350秒以上の高速シャッター速度で撮影する事が望ましいことが明らかになった。
【0073】
又シャッター速度を高速として撮影し、写真画像全体が暗くなった場合に、動的要素細部のコントラストを損なうことなく画像全体の明るさを目視による認識に実質的に合致させる画像処理が必要となるが、モニタに比較対象となる適切な明るさのデジタル画像を表示することによってこの作業を容易に実施する事が出来る。
【0074】
又、モニタに表示されたデジタル画像の明るさを目視による認識と実質的に合致させる作業は、当然のことながら画像処理作業をするオペレーターの主観に影響される。画像の明るさに関しては、第四実験、及び一連の実施例の説明で明らかなように明度とコントラストに係わる問題であって、他の色要素(色のバランス)と共に、程度の差があっても、その認識に個人差があることを無視することは出来ない。然し、大多数の人はある変動の範囲内での認識を共有していることから、特定の人、例えば医学的に色盲と判定されている人の場合を除き、それら大多数の人々の目視による認識によって比較するデジタル画像の明度、コントラストが同じと判断出来る範囲を〔目視による認識と実質的に合致する〕と定義している。
【0075】
予備実験(第一実験〜第四実験)並びに実施例1〜5の説明から、滝や渓流等の流動水(動的要素)とそれを取り囲む樹木等(静的要素)を含んで構成される被写体を撮影し、目視による認識と実質的に合致したリアルなデジタル写真画像を作成する為には、従来から推奨されて来た所謂スロー・シャッター速度による写真撮影でなく、これら動的要素の時間的変動化、流動速度に対応したシャッター速度で撮影することが必須条件であることが明らかになった。
然しながら、シャッター速度を適切に設定しても、使用するフィルムのISO感度(デジタルカメラを使用する場合は設定ISO感度)や、レンズの絞り値、露出調整値、更に撮影現場の天候の撮影結果に対する影響を無視することは出来ないので、これらの条件を勘案して内挿法的にシャッター速度を選定した複数の写真画像(原写真画像)を撮影し、その中からリアルな動的要素の写真画像を摘出し、明度とコントラスト、または階調をデジタル画像処理によって調整することによって目視による認識と実質的に合致したリアルな写真画像を作成出来ることが確認された。
【0076】
又、自然風景を被写体とする場合は、動的要素の速度が被写体によって異なるので、撮影現場でその実態を把握することは現実に不可能であるが、動的要素の推定速度に対応したシャッター速度を挟んで前後に選択した複数のシャッター速度(実施例1で説明した内挿法的シャッター速度の設定による)で撮影し、これらの撮影による写真画像のデジタル画像を画像処理システムのモニターに表示させて、その中から動的要素の動的特性を如実に示しているデジタル画像を選択することによって、本願発明の目的が容易に達成することが出来る。因みに、現在市販されている銀塩写真用カメラ、デジタル・カメラの多くは、絞り値、シャッター速度、露出補正値の設定が可能であり、ISO感度を100〜1600の範囲で段階的に自由に設定出来るデジタル・カメラも市販されているので、仮に撮影現場の天候条件が予測と異なって、シャッター速度等の撮影条件を変更する必要があったとしても、前述の内挿法的シャッター速度による撮影は効果を発揮する。
【0078】
【発明の効果】
本願発明を実施するために使用する写真機は、前述の説明から明らかなように、銀塩写真撮影用カメラ、デジタル・カメラの何れでも差し支えないが、前者の場合は既に説明したように、撮影したフィルムの現象、現象したフィルムからコンピューター・画像処理システムのコンピューターにデジタル・データとしての格納が必要であり、その場合に避ける事が出来ない写真の色の変化を所謂キャリブレート手法で修正する必要がある等、デジタル・カメラを使用した場合に較べて煩雑な余分の手数を必要とする。この観点から本願発明を実施するためには後者、即ち前述の高速シャッター速度機能を有するデジタル・カメラを使用する事が推奨される。
【0079】
以上説明したように、本願発明によるデジタル写真の作成方法は、最初の作業ステップである写真撮影も特別の手数をかけることもなく容易に実施することが出来、その後のコンピューター画像処理も通常の画像処理技術水準でも容易に実施することが出来るので、今後益々発展する事が予想されるデジタル写真の発展に寄与することを期待する。
【図面の簡単な説明】
図1〜図47、図49〜図61および図63〜図69は各実施例の実験でモニタに表示したデジタル画像対応のデジタル写真(プリント)、図48は絵葉書の複写である。又図62は前述の実施例の実験で実施したデジタル画像の階調調整作業の内容を示すために作成した参考図である。
尚、本願明細書に添付した下記図面は特許・実用新案審査便覧28・02Aに基き、カラー写真(デジタル画像)をグレー・スケールに変換した対応写真(デジタル画像)を示すものであるが、その参考として、物件提出により、夫々に対応するデジタル写真(カラー写真)を提出する。
【図1】図1は噴水を中心とした風景を被写体とし、銀塩写真撮影用写真機を使用し、シャッター速度(1/15秒)で撮影した撮影実験(実施例1)の結果を示すデジタル写真である。
【図2】図2は、同じく、シャッター速度(1/30秒)で撮影した撮影実験(第一実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図3】図3は、同じく、シャッター速度(1/60秒)で撮影した撮影実験(第一実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図4】図4は、同じく、シャッター速度(1/125秒)で撮影した撮影実験(第一実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図5】図5は、同じく、シャッター速度(1/250秒)で撮影した撮影実験(第一実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図6】図6は、同じく、シャッター速度(1/500秒)で撮影した撮影実験(第一実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図7】図7は、同じく、シャッター速度(1/1000秒)で撮影した撮影実験(第一実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図8】図8は、同じく、シャッター速度(1/2000秒)で撮影した撮影実験(第一実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図9】図9は、同じく、シャッター速度(1/4000秒)で撮影した撮影実験(第一実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図10】図10は図1と同じ被写体を、デジタル・カメラを使用し、シャッター速度(1秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図11】図11は、同じく、シャッター速度(1/10秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図12】図12は、同じく、シャッター速度(1/20秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図13】図13は、同じく、シャッター速度(1/30秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図14】図14は、同じく、シャッター速度(1/60秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図15】図15は、同じく、シャッター速度(1/125秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図16】図16は、同じく、シャッター速度(1/250秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図17】図17は、同じく、シャッター速度(1/350秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図18】図18は、同じく、シャッター速度(1/500秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図19】図19は、同じく、シャッター速度(1/750秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図20】図20は、同じく、シャッター速度(1/1000秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図21】図21は、同じく、シャッター速度(1/2000秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図22】図22は、同じく、シャッター速度(1/3000秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図23】図23は、同じく、シャッター速度(1/4000秒)で撮影した撮影実験(第二実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図24】図24はデジタル・カメラを使用し、第一実験と同じ被写体を対象として、シャッター速度(1/500秒)を固定し、露出調整値を−2として撮影した撮影実験(第三実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図25】図25は、同じく、露出調整値を−1として撮影した撮影実験(第三実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図26】図26は、同じく、露出調整値を±0として撮影した撮影実験(第三実験)の結果を示すデジタル写真)である。
【図27】図27は、同じく、露出調整値を+1として撮影した撮影実験(第三実験)の結果を示すデジタル写真である。
【図28】図28は第三実験で比較対象とした原デジタル画像(図15と同じ)を示すデジタル写真である。
【図29】図29は第三実験で実施したデジタル加工用の原デジタル画像(図22と同じ)を示すデジタル写真である。
【図30】図30は図29のデジタル画像の明度調整(+35)を行って得たデジタル画像を示すデジタル写真である。
【図31】図31は図30のデジタル画像のコントラストを調整(+25)して得たデジタル画像を示すデジタル写真である。
【図32】図32は図29のデジタル画像の明度調整(+30)を調整して得たデジタル画像を示すデジタル写真である。
【図33】図33は図32のデジタル画像のコントラストを調整(+19)して得たデジタル画像を示すデジタル写真である。
【図34】図34は図33のデジタル画像の明度を調整(+50)して得たデジタル画像を示すデジタル写真である。
【図35】図35は図34のデジタル画像のコントラストを調整(+22)して得たでじたる画像を示すデジタル写真である。
【図36】図36は図29のデジタル画像の階調を調整して得たデジタル画像を示すデジタル写真である。
【図37】図37は日光の竜頭の滝の直ぐ上流に位置する渓谷を被写体として行った一連の実験において、シャッター速度を1/30秒に設定して撮影した場合のデジタル写真である。
【図38】図38は、同じく、シャッター速度を1/125秒に設定して撮影した場合のデジタル写真である。
【図39】図39は、同じく、シャッター速度を1/250秒に設定して撮影した場合のデジタル写真である。
【図40】図40は、同じく、シャッター速度を1/750秒に設定して撮影した場合のデジタル写真である。
【図41】図41は、同じく、シャッター速度を1/2000秒に設定して撮影した場合のデジタル写真である
【図42】図42は、同じく、シャッター速度を1/4000秒に設定して撮影した場合のデジタル写真である。
【図43】図43は図42を原画像として、コピューター画像処理によって静的要素を標準写真と色が実質的に合致するように画像処理を行って得たデジタル写真である。
【図44】図44は日光の湯滝を被写体として行った一連の実験において、シャッター速度を1/125秒に設定して撮影した場合のデジタル写真である。
【図45】図45は、同じく、シャッター速度を1/4000秒に設定して撮影した場合のデジタル写真である。
【図46】図46は図45のデジタル画像全体の明るさを階調を調節して作成したデジタル写真である。
【図47】図47は図46のデジタル写真対応のデジタル画像を画像処理して作成したデジタル写真である。
【図48】図48は日光で市販されている湯滝の絵葉書を複写したデジタル写真である。
【図49】図49は城ケ岬海岸の岸壁に押し寄せる波濤を被写体とし、シャッター速度を1/4000秒、露出調整値を+2として撮影したデジタル写真である。
【図50】図50は、同じ被写体を対象とし、シャッター速度1/125秒、標準露出調整値±0で撮影したデジタル写真である。
【図51】図51は図49対象のデジタル画像を階調を調整して図50の岸壁の明るさに近似させたデジタル写真である。
【図52】図52は図51のコントラストを調整して岸壁の明度、コントラスト共に図50に近似した状態としたデジタル写真である。
【図53】図53は図52の岸壁部分を切り取ってデジタル写真51に対応するデジタル画像の該当部分と置換(合成による)したデジタル写真である。
【図54】図54はデジタル写真図52対応のデジタル画像の明度を調整(+55)し、次いでコントラストを調整(+8)して作成したデジタル写真である。
【図55】図55は図54の波濤の部分を切り取って、デジタル写真(図52)対応のデジタル画像の対応部分と置換(合成による)して作成したデシタル写真である。
【図56】図56は鴨川海岸で太平洋から押しよせる波濤を被写体とし、シャッター速度を1/125秒に設定して撮影したデジタル写真である。
【図57】図57は、同じく、シャッター速度を1/800秒に設定して撮影したデジタル写真である。
【図58】図58は、同じく、シャッター速度を1/1000秒に設定して撮影したデジタル写真である。
【図59】図59は、同じく、シャッター速度を1/5000秒に設定して撮影したデジタル写真である。
【図60】図60は、同じく、シャッター速度を1/16000秒に設定して撮影したデジタル写真である。
【図61】図61は、図60に対応するデジタル画像の明度→コントラストを調整し、更に岩礁部分を画像処理して調整して作成したデジタル写真である。
【図62】図62は第四実験、実施例1、2で実施しタデジタル画像の明るさとコントラストを調整するために実施した階調調整のデータを示すための参考図である。
【図63】図63は、奥入瀬渓流(三乱の流れ)を被写体として行なった、一連の実験において、ISO設定値を400、シャッター速度を1/125秒に設定して撮影した場合のデジタル写真である。
【図64】図64は、同じく、ISO設定値を400、シャッター速度を1/500秒に設定した場合のデジタル写真である。
【図65】図65は、同じく、図63のデジタル写真を色修正したものである。
【図66】図66は、同じく、ISO設定値を800、シャッター速度を1/500秒に設定した場合のデジタル写真である。
【図67】図67は、同じく、ISO設定値を800、シャッター速度を1/125秒に設定した場合のデジタル写真である。
【図68】図68は、同じく、ISO設定値を800、シャッター速度を1/1000秒に設定した場合のデジタル写真である。
【図69】図69は、同じく、図67のデジタル写真を色修正したものである。

Claims (8)

  1. 動的要素と静的要素を含んで構成された被写体を撮影し、目視状態と実質的に合致するデジタル写真を作成する方法であって、
    静的要素に対応する標準撮影条件で撮影し、この撮影データを基礎デジタル・データとしてコンピューター画像処理システムのコンピューターに格納し、モニタにデジタル画像を表示する第一のステップと、
    前記被写体の動的要素の時間的変化速度に対応した複数のシャッター速度、適正露出で第一ステップの撮影と同一構図で撮影し、この動的要素撮影データをコンピューター画像処理システムのコンピューターに格納し、それぞれモニタにデジタル画像を表示する第二ステップと、
    前記第二ステップで撮影し、モニタに表示されたデジタル画像の中から選択されたデジタル画像の明度とコントラストを相互に関連させて、出来るだけ動的要素のコントラストを維持させ、且つ静的要素部分を第一ステップでモニタに表示された画像状態に近い状態に維持させる条件に、前記選択されたデジタル画像を補正する第三ステップと、
    前記第一ステップによる基礎デジタル・データによりモニタに表示されたデジタル画像の動的要素部分を第三ステップによる動的要素のデジタル・データに基づく動的要素画像と置換した合成デジタル画像をモニタに表示する第四ステップと、
    前記第四ステップでモニタに表示された合成デジタル画像と画像構成、色調(明るさ、コントラスト、彩度、色バランス)が実質的に合致するデジタル写真画像を印刷する第五ステップ
    を含んで構成されたことを特徴とするデジタル写真の作成方法。
  2. 請求項1に記載のデジタル写真の作成方法であって、第二ステップの写真撮影は、動的要素の時間的変化速度(推定)を含む内挿法的手法で数段のシャッター速度で、系列的に行うことを特徴とするデジタル写真の作成方法。
  3. 請求項1または2に記載のデジタル写真の作成方法であって、第二ステップの撮影のシャッター速度は1/125〜1/16000秒の範囲内で数段に分けて設定したシャッター速度であることを特徴とするデジタル写真の作成方法。
  4. 請求項3に記載のデジタル写真の作成方法であって、第二ステップの撮影をデジタル・カメラを使用して行い、その撮影は、露出調整値を負(マイナス)側に設定して行うことを特徴とするデジタル写真の作成方法。
  5. 請求項1に記載のデジタル写真の作成方法であって、第一ステップの撮影における標準撮影条件は、1/125秒を中心とし、1/60秒〜1/200秒のシャッター速度で適正露出で写真撮影を行うことを特徴とするデジタル写真の作成方法。
  6. 請求項1に記載のデジタル写真の作成方法であって、第五ステップにおける印刷は、モニタに表示されたデジタル画像の画像処理に使用したコンピューター画像処理システムを含む印刷システムで印刷することを特徴とするデジタル写真の作成方法。
  7. 請求項1に記載のデジタル写真の作成方法であって、写真撮影は、デジタル・カメラを使用して行うことを特徴とするデジタル写真の作成方法。
  8. 請求項1に記載のデジタル写真の作成方法であって、写真撮影は銀塩写真撮影を使用して実施し、印刷した写真をコンピューター画像処理システムのスキャナーでデジタル・データとしてシステムのコンピューターに格納して、このデジタル・データを使用して実施することを特徴とするデジタル写真の作成方法。
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