JP3703879B2 - ガスタービン用の燃焼器を運転する方法 - Google Patents

ガスタービン用の燃焼器を運転する方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、気体及び液体燃料が供給されるタービンに関し、特に、予混合モードの動作状態にある多数のノズルを有しているタービン用の燃焼器を運転する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
タービンは一般に、圧縮機セクションと、1つ以上の燃焼器と、燃料噴射システムと、タービン・セクションとを含んでいる。典型的には、圧縮機セクションは入口空気を加圧し、次にこの圧縮空気は順方向又は反対方向に燃焼器へ送られ、そこで圧縮空気は、燃焼器を冷却すると共に燃焼過程に空気を供給するために用いられる。多重燃焼器タービンでは、複数の燃焼器が通常、タービンの周りに環状に配列されており、移行ダクトが各燃焼器の出口端をタービン・セクションの入口端に連結して、燃焼過程からの高熱燃焼生成物をタービンに送る。
【0003】
NOx放出物及びCO放出物のような放出物(エミッション)を減少させる努力を続けた結果として、燃焼器の設計では様々な開発が行われている。過去には、例えば米国特許番号第4292801号及び同第4982570号に記載されているような二段燃焼器が設計された。更に、本出願人に譲渡された米国特許番号第5259184号には、単段、即ち単一燃焼室又は燃焼区域の二重モード(拡散及び予混合モード)燃焼器が開示されており、この燃焼器は、低いタービン負荷では拡散モードで、高いタービン負荷では予混合モードで動作する。この燃焼器では、複数のノズルが燃焼器の軸線の周りに環状に配列されている。各ノズルは、拡散燃料セクション又は管を含んでいるので、拡散燃料をノズルの下流の燃焼区域に供給することができ、又、専用の予混合セクション又は管を含んでいるので、予混合モードで、単一燃焼区域で燃焼させる前に燃料を空気と予混合することができる。更に具体的には、上述の特許には、環状に配列された拡散/予混合燃料ノズルが開示されており、この燃料ノズルは、燃焼器端部カバー・アセンブリに装着されており、ノズル内の同心環状通路を通して燃料をノズルチップ及びチップの上流のスワラに供給し、拡散及び予混合モードの燃料流れをそれぞれ与える。
【0004】
しかしながら、拡散モードから予混合モードへの移行期に、燃焼器は不安定になる傾向を示し、大きな振幅の燃焼騒音を発生することを見出した。その上、タービンの運転サイクルによる必要に応じて燃焼器への空気流と燃料流とを変化させるにつれて、燃焼器の安定性と騒音レベルとが悪影響を受けるおそれがある。燃焼器の安定性が不十分であると、結果として燃焼器のターンダウンが制限される。燃焼器の騒音レベルが受け入れられないほど高いと、結果として燃焼器の構造要素の早期摩耗又は高サイクル疲労亀裂が生じる。ドライ低NOx燃焼器を設計するためには、NOx放出量、CO放出量、燃焼動力学及び燃焼安定性が、空気力学的観点から考慮しなければならない因子である。燃焼過程の性質から、これらの因子は相互に依存する。
【0005】
前掲の米国特許番号第5259184号に開示された燃焼器の設計では、拡散モードから予混合モードへの燃料切り換え(トランスファ)を同時に行う。即ち、燃料をすべての拡散ノズルから同時にすべての予混合ノズルに切り換える。このために、燃料を拡散供給マニホールドから予混合供給マニホールドに向け直すだけで、燃料切り換えを行う。燃料ノズル端部カバーの内部を、5つの予混合ノズルのうち4つの予混合ノズルへの内部マニホールドに燃料を供給する燃料供給フランジと、5番目の予混合ノズルへの内部マニホールドに燃料を供給する燃料供給フランジとで分岐しているが、このマニホールド配置は、予混合モードで動作している間の発電機トリップ事故に対処するためにのみ設けられている。すべての予混合ノズルは、等しい流量の燃料を燃焼器に流すようになっている。従って、燃焼安定性と燃焼動力学とから、この単段型燃焼器を使用する上で、特に拡散モードから予混合モードへの移行期に困難が生じている。
【0006】
これらの問題を克服するために、本出願人により本出願と同日に出願された特開平8−54120号に記載されているように、拡散モードから予混合モードへの移行期の燃料供給、及び予混合モードでの定常状態動作中の燃料供給を段切り換え(ステージング)している。即ち、ノズルを通る燃料の流れの制御を変化させて、拡散モードの運転から予混合モードの運転への移行期の間に、及び予混合モードの運転の一部の間に、燃焼器に非対称な燃料流れを与える。上述の出願の発明では、移行の開始時に、5つの予混合ノズルのうち1つのノズルを作動させて予混合燃料を単一燃焼区域に流す一方、残りの4つのノズルは拡散モードでの動作を続ける。従って、5番目のノズルによって燃焼区域に供給される燃料の全燃料に対する割合は、拡散ノズルのいずれか1つによって供給される燃料の全燃料に対する割合よりも大きく、こうして、燃焼器を横切る非対称な燃料装填を実現する。負荷がそれよりも高いときには、拡散マニホールドからの燃料を停止し、燃料を予混合マニホールドから残りの4つの予混合ノズルに供給する。この移行期に、5番目のノズルの燃料/空気比は残りの4つの予混合ノズルのいずれよりも高い。従って、5番目のノズルは、リッチ(濃厚)且つ安定になり、残りの4つのノズルを安定化する。全負荷時には、予混合モードでの種々のノズル間での燃料分割は均等である。従って、移行期、及び全負荷未満での予混合運転中に、ノズルに不均等に燃料を供給することにより、燃焼器を横切る燃料のアンバランスの結果として、過酷な燃焼動力学、即ち大きな音響ノイズと共鳴とを防止する。
【0007】
しかしながら、燃焼器のノズル間で燃料/空気比を変化させることによって、NOx放出量及びCO放出量が増加する傾向があることを見出した。燃焼器の軸線の周りのノズルの環状配列において、予混合ノズルのすべてに供給する燃料の量が等しいか又はほぼ等しいときに、即ち、全数のノズルに対する1つのノズルの割合(%)に対応する全燃料に対する割合(%)の燃料を各ノズルに供給するときに、放出物レベルが最も低くなることが明らかである。燃焼器のノズルへの不均等な燃料供給を行うことにより達成される動的圧力レベルの低下が、負荷範囲の種々の部分でのNOx放出量及び/又はCO放出量の増加により相殺されることを見出した。従って、燃焼器のノズルに非対称な燃料供給を行うことにより動的圧力レベルは低くなるが、それは、予混合モードでの運転において放出物が増加するという犠牲を払って実現している。
【0008】
【発明の概要】
本発明によれば、燃焼器を横切る燃料を非対称に段切り換え(ステージング)するのに加えて、燃料を軸線方向にも段切り換え(ステージング)して、排気性能に悪影響を与えることなく、又、火炎安定性を低減することによる燃焼器の運転範囲を狭めることなく、低い動的圧力レベルを達成する。このことを達成するために、前掲の特許出願で開示した非対称な燃料供給を維持する。その上で、予混合モードの運転中に、全燃料の一部を全ノズルのうちの数本又はすべてにスワラの上流の位置で供給する。この燃料の再分配を、燃焼器に流れる全燃料流れを変化させることなく達成する。例えば、スワラの上流側に各ノズルから放射状に突出している複数の半径方向ペグを設けることにより、軸線方向上流の燃料噴射を行うことができる。又は、ノズル端部カバーから前方ケーシング・プレナムに延在しているペグから、又はケーシング外壁を通して燃料供給を受けるペグから、燃料を噴射することができる。
【0009】
上流燃料の量は、その全燃料に対する割合を固定しても可変としてもよい。上流燃料を他のマニホールドを通して供給することにより、他の制御弁を用いることで全燃料に基づく上流燃料の割合を変化させることができる。上流燃料が4つの予混合ノズル及び/又は1つの予混合ノズルと共通のマニホールドを共有する場合、上流燃料の流れは、これらのマニホールド内の燃料流れに対して固定した割合となる。共通マニホールド上の下流燃料噴射ペグに対する上流燃料噴射ペグの有効面積を適切に設定することにより、上述の割合を固定する。いずれの方法でも、4つの予混合ノズルと1つの予混合ノズルとの間での全燃料の分割を独立に制御することができる。更に、上流燃料を5つのノズルのすべてに均等に供給するか、又は1つの予混合ノズルと4つの予混合ノズルとの間で不均等に分割してもよい。いずれの場合にも、下流ペグを通して供給する燃料の分割を同時に調節することにより、1つの予混合ノズルと4つの予混合ノズルとの間での全燃料の分割を、やはり別々に制御することができる。
【0010】
本発明による好適な実施例では、予混合モードでの運転中に、ガスタービンの燃焼器にその燃焼器に沿った軸線方向に離れた複数の位置で燃料を流す工程と、燃焼器を横切る燃料の非対称な流れを生成するように下流の燃焼区域への燃料の流れを可変制御する工程とを含んでいるガスタービン用の燃焼器を運転する方法が提供される。
【0011】
本発明による他の好適な実施例では、燃焼器の周りに環状に配列された複数の燃料ノズルと、各ノズルの周りに設けられており、燃焼器を通過する空気を旋回させるスワラとを有しているガスタービン用の燃焼器を予混合運転モードで運転する方法であって、燃焼器に沿った軸線方向に離れた複数の位置で且つスワラの軸線方向両側から、ノズルの下流の燃焼区域に燃料を流す工程と、燃焼区域に燃焼器を横切る燃料の非対称な流れを与える工程とを含んでいるガスタービン用の燃焼器を予混合運転モードで運転する方法が提供される。
【0012】
本発明による他の好適な実施例では、複数のノズルを有しているガスタービン用の燃焼器を予混合モードで運転する方法であって、複数のノズルのうちの少なくとも数本を通して且つ燃焼器に沿った軸線方向に離れた複数の位置で、燃料を燃焼器に流す工程を含んでいるガスタービン用の燃焼器を予混合モードで運転する方法が提供される。
【0013】
従って、本発明の主要な目的は、タービン用の燃焼器において、予混合モードでの運転で、タービンの広範な負荷範囲にわたって、放出物に悪影響を及ぼすことなく、静かで安定した運転となるように燃焼器の燃料ノズルへの燃料を段切り換え(ステージング)する方法を提供することにある。
【0014】
【実施例】
図1において、ガスタービン10は、圧縮機12(一部のみを図示)と、複数の燃焼器14(1つのみを図示)と、タービン(図面では単一のブレード16で代表させている)とを含んでいる。特に図示していないが、タービンは共通軸線に沿って、圧縮機12に駆動連結されている。圧縮機12は入口空気を加圧し、次いでその圧縮空気を方向転換させて燃焼器14に流し、こうして圧縮空気を用いて燃焼器14を冷却すると共に、燃焼過程に空気を供給する。
【0015】
前述したように、ガスタービンは、ガスタービンの周囲に配置されている複数の燃焼器14を含んでいる。二重壁移行ダクト18が各燃焼器の出口端をタービンの入口端に連結しており、高熱の燃焼生成物をタービンに送り出す。クロス・ファイア管22(1つのみを図示)と組み合わされたスパーク・プラグ20によって、通常の態様で種々の燃焼器14での点火を行う。
【0016】
各燃焼器14は、実質的に円筒形の燃焼器ケーシング24を含んでいる。燃焼器ケーシング24は、開口した前端の位置でタービン・ケーシング26にボルト28によって固定されている。燃焼器ケーシング24の後端は、端部カバー・アセンブリ30によって閉じられている。端部カバー・アセンブリ30は、後で詳しく説明するように気体、液体燃料及び空気(そして、所望により水)を燃焼器14に供給するための通常の供給管、マニホールド及び関連した弁等を含んでいる。端部カバー・アセンブリ30は、複数(例えば、5つ)の燃料ノズル・アセンブリ32(便宜上、1つのみを図示)を受け入れており、これらの燃料ノズル・アセンブリは、燃焼器14の長さ方向軸線の周りに対称に円形配列を成して設けられている(図5を参照)。
【0017】
燃焼器ケーシング24内には、実質的に円筒形の流れスリーブ34が実質的に同心関係にて装着されている。流れスリーブ34の前端は、二重壁移行ダクト18の外壁36に連結されている。流れスリーブ34の後端は半径方向フランジ35によって、燃焼器ケーシング24の前方部分と後方部分を接合している突き合わせ継手37の位置で、燃焼器ケーシング24に連結されている。
【0018】
流れスリーブ34内には、燃焼ライナ38が同心に配設されている。燃焼ライナ38の前端は、移行ダクト18の内壁40に連結されている。燃焼ライナ38の後端は、燃焼ライナ・キャップ・アセンブリ42によって支持されており、一方、燃焼ライナ・キャップ・アセンブリ42は、複数の支柱39及び関連した装着用フランジ・アセンブリ41によって燃焼器ケーシング24内に支持されている(これは図5に明示されている。)。移行ダクト18の外壁36、及び燃焼器ケーシング24をタービン・ケーシング26にボルト28によってボルト締めしている位置の前方に延在している流れスリーブ34の部分には、それぞれの外周面にわたって配列した透孔(アパーチャ)44が形成されており、これにより空気が、(図1に流れ矢印で示すように)圧縮機12からこれらの透孔44を通って、流れスリーブ34とライナ38との間の環状空間内へ、燃焼器14の上流端又は後端に向かって反対方向に流れる。
【0019】
燃焼ライナ・キャップ・アセンブリ42は、各燃料ノズル・アセンブリ32当たり1つずつの複数の予混合管46を支持している。具体的には、各予混合管46は、その前端及び後端で前部プレート47及び後部プレート49によって燃焼ライナ・キャップ・アセンブリ42内に支持されており、前部プレート47及び後部プレート49の各々には、端部の開口した予混合管46と心合わせされた開口が設けられている。この配置は図5に明示されており、開口43が前部プレート47に設けられていることがわかる。前部プレート47(所定の配列の冷却孔が設けられた衝突板)をシールド板45によって燃焼器火炎の熱輻射から遮蔽することがよい。
【0020】
後部プレート49には、後方に延在している複数の浮遊カラー48(各予混合管46について1つ)が、後部プレート49の開口と実質的に心合わせ関係に配列されて装着されている。浮遊カラー48の各々は、空気スワラ50を包囲関係で燃料ノズル・アセンブリ32の半径方向最外側の管に支持している。これらの要素は、空気が以下の順路で流れるように構成されている。ライナ38と流れスリーブ34との間の環状空間に流れる空気は、再度反対方向に(端部キャップ・アセンブリ30とスリーブ・キャップ・アセンブリ42との間で)燃焼器14の後端に押し込まれ、次いで、スワラ50及び予混合管46に流れ、その後、予混合管46の下流のライナ38内の燃焼区域に入る。
【0021】
ここで図2、図3及び図4に移ると、各燃料ノズル・アセンブリ32は、後方供給部52と、前方送り出し部54とを含んでいる。後方供給部52は、液体燃料、噴霧用空気、拡散気体燃料及び予混合気体燃料を受け取る複数の入口を有していると共に、後述するように、これらの流体の各々を前方送り出し部54内の対応する通路に供給する適当な連結通路を有している。
【0022】
燃料ノズル・アセンブリ32の前方送り出し部54は、一連の同心管56及び58から構成されている。管56及び58は、配管64によって通路60に連結されている入口62から予混合気体燃料を受け取る予混合気体通路60を画定している。予混合気体通路60は、複数の(例えば、11個の)放射状燃料インジェクタ(ペグ)66とも連通している。燃料インジェクタ66の各々には、予混合管46内に配置されている予混合区域69に気体燃料を排出するための複数の燃料噴射ポート又は孔68が設けられている。噴射された燃料は、圧縮機12から反対方向に流れてきた空気と混ざり合って、放射状インジェクタ66の上流で燃料ノズル・アセンブリ32を取り囲んでいる環状スワラ50によって渦流とされる。
【0023】
予混合通路60は、燃料ノズル・アセンブリ32の前端又は吐き出し端でO(オー)リング72によって密封されているので(図3)、予混合燃料は放射状燃料インジェクタ66を通してしか外に出ることができない。
次に隣接する通路74は、同心管58と同心管76との間に形成されており、燃料ノズル・アセンブリ32の最前端のオリフィス78を通して拡散気体を燃焼器の燃焼区域70に供給する。ノズルの最前端又は吐き出し端は、予混合管46内に位置しているが、その前端に比較的近接している。拡散気体通路74は入口80から配管82を通して拡散気体を受け取る。
【0024】
第3の通路84は、同心管76と同心管86との間に画定されており、噴霧用空気をオリフィス88を通して燃焼器の燃焼区域70に供給し、ここで噴霧用空気は、オリフィス78から出てくる拡散燃料と混ざり合う。噴霧用空気は入口90から配管92を通して通路84に供給される。
燃料ノズル・アセンブリ32には又、当業者に理解され得る態様でNOxの低減を達成するために、(所望に応じて)水を燃焼区域70に供給する通路94が設けられている。水通路94は、管86と、隣接した同心管96との間に画定されている。水は、噴霧用空気オリフィス88より半径方向内側のオリフィス98を通してノズルから出る。
【0025】
燃料インジェクタ・ノズルを形成している一連の同心管のうち最も内側の管である管96自身は、液体燃料用の中心通路100を形成している。液体燃料は入口102から通路100に入る。液体燃料は、ノズルの中心の吐き出しオリフィス104を通してノズルから外に出る。当業者には理解され得るように、液体燃料供給機構は、バックアップ・システムとして設けられており、そしてタービンが平常の気体燃料モードにあるときには、通路100を通常、圧縮機吐き出し空気でパージする。
【0026】
図1及び図2を参照すると、本発明によれば、各ノズルごとに、スワラ50の上流に半径方向に延在している複数の燃料インジェクタ(ペグ)105が円周方向に間隔をあけて設けられている。図2に示すように、ペグ105は、各ノズルの外側管56の周りのマニホールド106と連通している。その結果、予混合燃料をマニホールド106に供給し、圧縮機からの空気の逆流中に噴射し、こうして予混合燃料が空気と共にスワラを通り、下流のインジェクタ66を通過して流れるようにする。このようにして、予混合燃料の噴射位置として軸線方向に離れた2つの位置、即ちスワラ50の上流と下流との位置が得られる。
【0027】
上述したノズルの動作を簡単に説明すると、拡散モードの運転時には、拡散気体燃料を入口80、配管82及び通路74を通して供給し、オリフィス78を介して燃焼区域70に吐き出し、そこで拡散気体燃料を噴霧用空気と混合し、スパーク・プラグ20によって点火して、ライナ38内の燃焼区域70で燃焼させる。負荷がもっと大きい場合には、予混合気体燃料を入口62及び配管64から通路60に供給し、下流の放射状インジェクタ66のオリフィス68を通して吐き出す。予混合燃料は、スワラ50を通して予混合管46に入ってくる空気と混ざり合い、得られた混合気は、拡散モードの運転時から予め存在する火炎によって、ライナ38内の燃焼区域70で点火される。予混合運転中、拡散通路74への燃料は停止されるが、予混合運転中には、予混合燃料をマニホールド106に供給して、スワラ50の上流の半径方向に突出しているペグ105を通して流す。従って、放射状ペグ105を通して圧縮機からの空気流に入る燃料流れは、スワラ50を通過して流れ、ペグ66から空気流中に噴射された予混合燃料と一緒になる。その結果、ペグ66及び105は、燃焼器への燃料流れを軸線方向に離れた位置で段切り換え供給(ステージング)する。
【0028】
前述したように、予混合モードの運転中に、不安定性と高振幅燃焼ノイズとを生じる傾向が発現する。本発明は、以下に説明する態様で、燃料ノズルへの燃料を段切り換え(ステージング)して、上述の傾向を抑制するか又はなくし、そして、放出物に悪影響を生じることなく、従来可能と考えられていたものよりも広いタービンの負荷範囲にわたって予混合モードでの運転を可能にする。
【0029】
ここで図6に移ると、種々のノズル32の拡散燃料入口通路80に拡散燃料を供給する拡散燃料マニホールド110が線図的に図示されている。弁112をマニホールド110に配置して、マニホールド110からノズルへの燃料の供給を開閉することができる。更に、弁114を1つ以上の拡散燃料ノズルへの拡散燃料ラインに配設することができる。図6には更に、予混合燃料を数本のノズルに供給するための第1の下流予混合マニホールド116と、燃料を残りの1つ以上のノズルに供給する第2の下流予混合マニホールド118とが示されている。第1及び第2の下流予混合マニホールド116及び118は、弁120及び122をそれぞれ有しており、これらの弁は、燃料を連結されたノズルに供給する開位置と燃料をノズルに供給しない閉位置との間で移動することができる。個別の弁を所望に応じて個別の供給ラインに配置することができる。尚、マニホールド弁及び燃料供給ラインに配設された弁はいずれも、通常の態様で操作される。第1の上流予混合燃料マニホールド130が設けられており、予混合燃料を4つのノズルの各々にそれらのノズルの周りのマニホールド106を介して供給する。第1の上流予混合燃料マニホールド130は、マニホールド130からノズルへの燃料の供給を開閉する弁132の制御の下にある。第2の上流予混合燃料マニホールド134が設けられており、予混合燃料を5番目の予混合ノズルにそのノズルの周りのマニホールド106を介して供給する。第2の上流予混合燃料マニホールド134に弁136が配設されており、マニホールド134から5番目のノズルへの燃料の供給を開閉する。
【0030】
燃焼器の動作中に燃料の段切り換え(ステージング)を行うために、始動時に、弁112を開いてマニホールド110からの拡散燃料を、ノズル32の各々に供給するか、又は例えば、弁114を閉じることにより若しくは1つ以上のノズルへの拡散燃料供給ラインを完全に除外することにより、全部よりも少ない数のノズルに供給する。今、すべてのノズル又は全部よりも少ない数のノズルに拡散燃料を供給した状態で、タービン燃焼器が拡散モードで動作しているので、タービンに負荷を掛ける。好適な運転形態では、図示のように、拡散燃料を5つのノズルのうち4つのノズルのみに供給し、5番目のノズルを拡散燃料マニホールドから完全に切り離し、始動時に5番目のノズルには空気のみを供給する。負荷を掛けるにつれて、例えばフルパワーの30%〜50%の範囲内で負荷を掛けるにつれて、燃焼器は、前掲の本出願人による特許出願(整理番号W400)(米国特許出願番号第08/258112号)に記載された態様で、拡散モードでの動作から予混合モードでの動作に移行する。
【0031】
予混合モードでの動作が確立されたら、燃料の一部を第1の下流予混合マニホールド116から第1の上流予混合マニホールド130に、又、第2の下流予混合マニホールド118から第2の上流予混合マニホールド134に切り換える調節を、弁120、132、122及び136の位置をそれぞれ適切に決めることによって開始する。好適な実施例では、第1及び第2の上流予混合マニホールド130及び134を組み合わせて、5つのノズル32のすべてに対称的に且つ同時に燃料を供給する単一の予混合マニホールドとする。
【0032】
更に、全負荷近く、即ち90%では、予混合ノズルの間での燃料分割を調節して実質的に等しい燃料流れを各予混合ノズルに与えるが、上流予混合インジェクタ105を通しての燃料流れの割合を下流インジェクタ66への全燃料流れの割合よりも著しく小さくする。従って、燃焼器に対する燃料分割を変化させることができるので、低NOx及びCO排気性能となるよう設計された、望ましい安定性と燃焼動力学特性とを呈する予混合ノズルを利用することが可能になる。
【0033】
上述した動作において、軸線方向に離間したインジェクタの各組に対して同様のシステムを用いることにより、上流インジェクタへの燃料の供給は下流インジェクタへの燃料の供給に追随する。もちろん、4つの上流予混合ノズルと1つの上流予混合ノズルとに共通の1つのマニホールドを用いることができ、これにより燃料流れは、下流マニホールドへの燃料流れに対して固定した割合となる。この割合(%)は、弁によって燃料流れを変化させるのではなくて、共通なマニホールド上の下流燃料噴射ペグに対する上流燃料噴射ペグの有効面積を適切に設定することにより固定される。別々の上流燃料マニホールドを有している上述した配置において、上流燃料の全燃料に対する割合(%)を固定としても可変としてもよい。又は、上流燃料を5つのノズルのすべてに均等に供給するか、又は1つの予混合ノズルと4つの予混合ノズルとの間で不均等に分割してもよい。いずれの場合でも、下流ペグを通して供給する燃料の分割を同時に調節することによって、1つのノズルと4つのノズルとの間での全燃料の分割を別々に制御することができる。更に他の代替案では、上流予混合燃料を単一マニホールドを通して5つのノズルのすべてに均等に配布することができる。従って、その単一マニホールドは、各ノズルを包囲しているマニホールド106に燃料を供給し、独立に制御された燃料供給部を有していることになるので、上流燃料対全燃料の比は可変となる。従って、上流燃料流れを増加させるにつれて、1つの予混合ノズル及び4つの予混合ノズルへの下流燃料流れを等しい割合で削減して、1つのノズルと4つのノズルとの間に一定の燃料分割を維持することができる。
【0034】
本発明は、その動作理論によって限定されるものではないが、燃料の軸線方向段切り換え(ステージング)の背後にある理論を論述して、放出物(エミッション)に悪影響を与えることなく動圧力レベルを低減させることを説明するための一助とする。燃焼器が低排気モードにあり、予混合モードの燃料のすべてを共通な軸線方向平面にあるインジェクタによって供給すると仮定すると、動的圧力振動は火炎区域から上流に移動する。これらの音響振動が1つの軸線方向位置にある主燃料噴射ペグの平面を横断すると、パルスを発生させ、このパルスは、燃料及び空気流の状態を変え、下流の火炎区域に擾乱を生じさせる。更に詳しくは、主燃料噴射ペグでの摂動が下流に伝播し、これが火炎区域に大きな又は小さな燃料/空気揺らぎの波を生成する。下流燃料噴射平面の上流に予混合燃料噴射用の追加の軸線方向平面を設けることにより、圧力振動を、圧力振動波間の干渉によって減衰させる。
【0035】
以上、本発明を現在のところ最も実用的且つ好適と考えられる実施例について説明したが、本発明は、開示した実施例に限定されず、本発明の要旨の範囲内に含まれる種々の変更及び均等構成を包含する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好適な実施例によるタービンの燃焼器の1つを示す断面図である。
【図2】上述の燃焼器の燃料噴射ノズルの断面図である。
【図3】ノズルの前方端の拡大断面図である。
【図4】ノズルを前方から見た図である。
【図5】燃焼ライナ・キャップ・アセンブリを前方から見た図である。
【図6】予混合燃料供給マニホールド及び拡散燃料供給マニホールドと組み合わせたノズルの配置を示す説明図である。
【符号の説明】
10 ガスタービン
14 燃焼器
32 燃料ノズル・アセンブリ
46 予混合管
50 スワラ
66 下流インジェクタ
105 上流インジェクタ
106 マニホールド

Claims (8)

  1. ガスタービン用の燃焼器を運転する方法であって、
    予混合モードでの運転中に、前記燃焼器に該燃焼器に沿った軸線方向に離れた複数の位置で燃料を流す工程と、
    前記燃焼器を横切る燃料の非対称な流れを生成するように、下流の燃焼区域への燃料の流れを可変制御する工程と、
    拡散モードでの運転中に燃料の非対称な流れを生成する工程と、
    拡散流れモードでの運転と予混合モードでの運転との間の移行期に燃料の非対称な流れを生成する工程と
    を備えたガスタービンの燃焼器の運転方法。
  2. ガスタービン用の燃焼器を運転する方法であって、前記燃焼器は、該燃焼器の軸線の周りに環状に配列された複数の燃料ノズルと、該ノズルの各々の周りに設けられており、前記燃焼器を通過する空気に渦を与えるスワラとを有しており、予混合モードでの運転中に、前記ノズルの下流の燃焼区域に前記スワラの軸線方向両側から燃料を流す工程と、前記燃焼区域に前記燃焼器を横切る燃料の非対称な流れを生成する工程とを備えたガスタービン用の燃焼器を運転する方法。
  3. 拡散モードでの運転中、及び拡散モードでの運転と予混合モードでの運転との間の移行期の両方で燃料の非対称な流れを生成する工程を更に含んでいる請求項2に記載の方法。
  4. 拡散モードでの運転と予混合モードでの運転との間の移行期、及び予混合モードでの運転中の両方で燃料の非対称な流れを生成する工程を更に含んでいる請求項2に記載の方法。
  5. ガスタービン用の燃焼器を運転する方法であって、前記燃焼器は、複数のノズルを有しており、
    拡散モードで動作している前記複数のノズルのうち少なくとも数本のノズルを通して燃料を該ノズルの下流の単一燃焼区域に流す工程と、
    拡散モードでの運転から予混合モードでの運転への移行期に、予混合モードで動作している前記複数のノズルのうち少なくとも1つのノズルを通して燃料を前記燃焼区域に流し、この際に前記拡散モードで動作している前記数本のノズルを維持する工程と、
    予混合モードでの運転中に前記燃焼器に該燃焼器に沿った軸線方向に離れた複数の位置で燃料を流す工程と
    を備えたガスタービン用の燃焼器を運転する方法。
  6. 前記ノズルは、前記燃焼器の軸線の周りに環状に配列されており、
    前記燃焼器を横切る燃料の非対称な流れを前記ノズルの下流の燃焼区域に生成するように、前記ノズルを通る燃料の流れを可変制御する工程と、
    前記燃焼区域の上流にスワラを設けて前記燃焼器に流れる空気を旋回させる工程と、
    燃料を前記燃焼器内に前記スワラの上流及び下流の軸線方向位置で噴射する工程と
    を更に含んでいる請求項5に記載の方法。
  7. 前記移行期の後に、すべてのノズルを予混合モードで動作させる工程を含んでいる請求項5に記載の方法。
  8. 前記移行期の後に、
    すべてのノズルを予混合モードで動作させる工程と、
    前記すべてのノズルが予混合モードで動作している間に、前記燃焼器を横切る燃料の非対称な流れを生成するように該すべてのノズルを通る燃料の流れを可変制御する工程と
    を更に含んでいる請求項5に記載の方法。
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