JP3701069B2 - 焼結炉のベルト駆動装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば焼結炉内で圧粉成形体を搬送する炭素製コンベアベルトの駆動装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば圧粉成形体を焼結炉内で搬送しながら焼結するような場合、搬送用のコンベアベルトとして耐熱性の高い炭素繊維を成形した炭素製コンベアベルトを使用しており、このようなコンベアベルトの駆動装置としては、例えば図3に示すように、キャタピラ式の駆動装置51を使用している。そしてこの駆動方式では、コンベアベルト52を上下に挟む一対のキャタピラベルト53、54を設け、例えば下方のキャタピラベルト54を固定レール55で支持する一方、上方のキャタピラベルト53を圧着レール56で上下動自在に支持し、この圧着レール56をスプリング57によってコンベアベルト52側に向けて押圧している。
【0003】
そして、例えば上方のキャタピラベルト53の駆動プーリ58にモータ60の駆動力を伝達するようにしており、駆動プーリ58を回転駆動することでキャタピラベルト53を回転させ、圧着するコンベアベルト52を連れ回すような状態で走行させるようにしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記のようなキャタピラ式の駆動装置51の場合、キャタピラベルト53とコンベアベルト52の摩擦力で走行駆動するようにしているため、ベルト間にスベリを無くして搬送効率を高めようとするとキャタピラベルト53の圧着力を増す必要がある反面、あまり圧着力を増すとコンベアベルト52の引張り負荷が大きくなってコンベアベルト52を破損させる虞れがあった。
そして、このようなコンベアベルト52の破損は、特にキャタピラベルト53、54とこのキャタピラベルト53、54から搬路下流側の直近のローラ61との間で発生頻度が最も高かった。すなわち、このキャタピラベルト53、54とローラ61との間は、コンベアベルト52に大きな引張り張力が作用する箇所であり、圧着力を増して連れ回し力を上げるに連れて大きな負荷がかかっていた。
【0005】
また、このような炭素製コンベアベルト52は、例えば400℃程度の温度以上で酸素に触れると酸化して急速に劣化し脆弱になるといわれており、炉内は例えば窒素雰囲気化で酸素との接触を避けながら昇温するようにしているが、例えばベルト52が破損したような場合は、400℃程度以下に降温するのを待って炉を開き修理等を行う必要があるため、修復時間には冷却時間も含めて例えば1回につき約50時間程度の多大の時間を要し、生産性が低下するという問題があった。
そこで、このようなコンベアベルト52の破損の頻度を低下させるための方策が望まれていた。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本発明は、請求項1において、予熱室、中間室、焼結処理室及び冷却室に区分される焼結炉内で、冷却室内に配設される上下の第1、第2ローラと、中間室内に配設される上下の第3、第4ローラの周囲に巻回され、ワークを搬送する無端状の炭素製コンベアベルトにキャタピラ駆動式のキャタピラベルトを圧着し、このキャタピラベルトの駆動走行によって前記炭素製コンベアベルトを連れ回し式に走行させるようにした焼結炉のベルト駆動装置であって、前記キャタピラベルトの駆動装置を搬路下流の冷却室に配設し、前記第1〜第4のローラのうち、少なくとも前記キャタピラベルトを中心にして前記炭素製コンベアベルトに引張り張力が生じる搬路下流側の直近の前記第2ローラを補助駆動し、この補助駆動する第2ローラと前記キャタピラベルトの駆動を同期させるようにした。
【0007】
この際、キャタピラベルトを中心にして炭素製コンベアベルトに引張り張力が生じる搬路下流側の直近の第2ローラを補助駆動して搬送方向に回転させれば、キャタピラベルトと直近第2ローラの間の炭素製コンベアベルトに生じる引張り張力を弱めることが出来、ベルト負荷を低減させてベルト破損の発生頻度を低下させることが出来る。
【0008】
また、補助駆動する第2ローラと前記キャタピラベルトの駆動を同期させるので、両者間の炭素製コンベアベルトに生じる引張り張力を一定に保つことが出来、安定したコンベア走行と炭素製コンベアベルトの耐久性向上が図られる。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について添付した図面に基づき説明する。ここで図1は焼結炉内に構成されるコンベアベルトの説明図、図2は本ベルト駆動装置を説明する部分拡大図である。
本発明のベルト駆動装置は、図1に示すような焼結炉1内に圧粉成形体を運び込み、焼結品を形成するためのコンベアベルトの駆動装置として構成され、まず焼結炉1の概要について説明する。
【0010】
焼結炉1は、図中左方の予熱室2から右方に向けて中間室3、焼結処理室4、冷却室5に区分され、予熱室2内から中間室3内にかけて第1コンベアベルト7が設けられるとともに、中間室3内から焼結処理室4、冷却室5内にかけて第2コンベアベルト8が設けられている。
【0011】
そしてこれら第1、第2コンベアベルト7、8はそれぞれが独立の周回軌道を走行するようにされ、例えば第1コンベアベルト7上に載置された不図示のパレット上に圧粉成形体を位置決めして搬送し、中間室3に運ばれたパレットを押出し式に第2コンベアベルト8上に受け渡し、焼結処理室4に向けて搬送して焼結した後、下流の冷却室5に搬送し、パレットと焼結品を払い出すようにしている。
【0012】
また以上のような第1、第2コンベアベルト7、8のうち、後述する本発明のベルト駆動装置15が適用される第2コンベアベルト8は、冷却室5内に配設される上下の第1、第2ローラ11、12と、中間室3内に配設される上下の第3ローラ13、第4ローラ14の周囲に巻回され周回走行するようにしている。そして冷却室5の下方には、ベルト8を走行駆動するベルト駆動装置15と、ベルト8にテンションをかけるテンションローラ16を配設している。
【0013】
ところで、このような焼結炉1内は高温状態下で運用され、例えば予熱室2では室温を約670℃から750℃、次いで800℃程度に段階的に高めるようにしており、焼結処理室4では約1150℃程度の温度にして圧粉成形体を焼結した後、室内下流側の徐冷部で約950℃から730℃程度まで徐々に冷やし、冷却室5では、例えば500℃程度まで冷却するようにしている。
【0014】
このため、前記第1、第2コンベアベルト7、8はこのような高温に耐え得る素材として、例えば炭素製繊維から成形しており、また、このような高温状態下の炉内に酸素が入り込むと炭素製のベルト7、8が酸化して急速に劣化するため、この炉内には、複数の窒素供給部17、…から窒素を送り込み、炉内を窒素ガスで置換するようにしている。
そして、外部から炉内に酸素が入り込まないよう、例えば中間室3と冷却室5の上部、及び焼結処理室4と冷却室5の境界部の下部には、それぞれシャッター18、…を設け、特に焼結処理室4内に酸素が入り込まないようにしている。
【0015】
それでは、本発明のベルト駆動装置15について、図2に基づき説明する。
本ベルト駆動装置15はキャタピラ駆動方式によってコンベアベルト8を走行させるようにしている。そしてこのベルト駆動装置15は、コンベアベルト8を上下に挟む一対のキャタピラベルト20、21を備え、例えば下方のキャタピラベルト21を固定レール22で支持する一方、上方のキャタピラベルト20を圧着レール23で上下動可能に支持し、この圧着レール23をスプリング19によって第2コンベアベルト8側に向けて押圧している。
【0016】
また、上方のキャタピラベルト20は、駆動プーリ24の回転駆動によって駆動プーリ24と従動プーリ25の周囲を周回走行するようにされ、この駆動プーリ24には、駆動源としてのモータ26の出力をVベルト27、減速機28、トルク伝達機構29を介して伝達するようにしている。
【0017】
また、この減速機28から出力される駆動力はベルト30を介して第2ローラ12にも伝達するようにしている。そしてこの第2ローラ12は、4ヵ所のローラ11〜14のうち、ベルト駆動装置15によって第2コンベアベルト8を駆動する場合に、第2コンベアベルト8に引張り張力が作用する方向の直近のローラである。
因みに、図の31は交流変換用のインバータである。
【0018】
以上のようなベルト駆動装置15において、キャタピラベルト20を第2コンベアベルト8に向けて圧着し、下方のキャタピラベルト21と挟み込んだ状態でモータ26を駆動しキャタピラベルト20を走行させれば、摩擦力によって第2コンベアベルト8も走行する。この際、通常であればベルト駆動装置15と第2ローラ12との間の第2コンベアベルト8には、大きな引張り張力が発生する。
【0019】
しかし、本案の場合は、キャタピラベルト20の駆動と同期して第2ローラ12を回転駆動するようにしているため、第2ローラ12の回転によって第2コンベアベルト8の走行が補助され、第2ローラ12とベルト駆動装置15の間の第2コンベアベルト8に生じる引張り張力が減少し、ベルト8にかかる負荷が軽減する。
またこの際、第2ローラ12とキャタピラベルト20の駆動は同期しているため、両者20、12間の第2コンベアベルト8に無理な力は作用せず円滑に走行する。
【0020】
このため、第2コンベアベルト8が破損する頻度が少なくなり、耐久性が向上する。
尚、補助駆動するローラは第2ローラ12だけでなく、その他の第1ローラ11等に伝達するようにしても良い。
【0021】
【発明の効果】
以上のように本発明は、予熱室、中間室、焼結処理室及び冷却室に区分される焼結炉内で、冷却室内に配設される上下の第1、第2ローラと、中間室内に配設される上下の第3、第4ローラの周囲に巻回され、ワークを搬送する無端状の炭素製コンベアベルトにキャタピラ駆動式のキャタピラベルトを圧着し、キャタピラベルトの駆動走行によって炭素製コンベアベルトを走行させるようにした焼結炉のベルト駆動装置であって、炭素製コンベアベルトが巻回される第1〜第4ローラのうち、キャタピラベルトを中心にして炭素製コンベアベルトに引張り張力が生じる搬路下流側の直近の第2ローラを補助駆動するようにしたため、キャタピラベルトと直近第2ローラの間の炭素製コンベアベルトに生じる引張り張力を弱めることが出来、炭素製コンベアベルトの負荷を低減して破損の発生頻度を低下させることが出来る。
【0022】
また、補助駆動するローラとキャタピラベルトの駆動を同期させるので、両者間に生じる炭素製コンベアベルトの引張り張力を一定に保つことが出来、安定したコンベア走行と炭素製コンベアベルトの耐久性向上が図られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】焼結炉内に構成されるコンベアベルトの説明図
【図2】本ベルト駆動装置を説明する部分拡大図
【図3】ベルト駆動装置の従来図
【符号の説明】
1…焼結炉、8…第2コンベアベルト、12…第2ローラ、15…ベルト駆動装置、20、21…キャタピラベルト、30…ベルト。

Claims (1)

  1. 予熱室、中間室、焼結処理室及び冷却室に区分される焼結炉内で、冷却室内に配設される上下の第1、第2ローラと、中間室内に配設される上下の第3、第4ローラの周囲に巻回され、ワークを搬送する無端状の炭素製コンベアベルトにキャタピラ駆動式のキャタピラベルトを圧着し、このキャタピラベルトの駆動走行によって前記炭素製コンベアベルトを連れ回し式に走行させるようにした焼結炉のベルト駆動装置であって、前記キャタピラベルトの駆動装置を搬路下流の冷却室に配設し、前記第1〜第4のローラのうち、少なくとも前記キャタピラベルトを中心にして前記炭素製コンベアベルトに引張り張力が生じる搬路下流側の直近の前記第2ローラを補助駆動し、この補助駆動する第2ローラと前記キャタピラベルトの駆動を同期させるようにしたことを特徴とする焼結炉のベルト駆動装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN111842881A (zh) * 2020-06-23 2020-10-30 哈尔滨鼎智瑞光科技有限公司 一种带冷却机构的金属烧结炉

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