JP3695493B2 - In-cylinder injection internal combustion engine control device - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は筒内噴射内燃機関における圧縮行程噴射モード時の燃料噴射タイミングを最適設定し、燃費の向上や燃焼の安定化を図ることのできる筒内噴射内燃機関の制御装置に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
近時、内燃機関からの有害排出ガス成分の低減や燃費向上等を図るべく、従来一般的な吸気管噴射型の内燃機関に代えて燃焼室に燃料を直接噴射する、所謂筒内噴射ガソリンエンジン(内燃機関)が提唱され、実用化されている。
ちなみに筒内噴射ガソリンエンジンでは、例えば燃料噴射弁からピストン頂部に設けたキャビティ内に燃料を噴射することで、その点火時に点火プラグの周囲に理論空燃比に近い空燃比の混合気を生成している。これにより全体に希薄な空燃比であっても確実な着火が可能となり、COやHCの排出量を減少させ、またアイドル運転時や低負荷走行時における燃費を大幅に向上させることができる。しかも燃料噴射量を増減させる際にも吸気管による燃料の移送遅れがないので加減速応答性を高めることができる。
【0003】
しかしその反面、キャビティ内に燃料を直接噴射するので、例えば要求燃料噴射量が増大する高負荷運転時に点火プラグの近傍の空燃比がオーバリッチとなって失火が生じる虞がある。このような問題を解決するべく、例えば特開平5−79370号公報や特開平7−102976号公報には、負荷に応じて圧縮行程噴射モード(後期噴射モード)と吸気行程噴射モード(前期噴射モード)とを切り換えることが提唱されている。
【0004】
具体的には低負荷運転時には圧縮行程中に、深皿部や凹状溝からなるキャビティ内に燃料を噴射することで、点火プラグの周囲に理論空燃比に近い空燃比(空気と燃料との重量比)の混合気を局部的に形成するようにしている[圧縮行程噴射モード]。一方、高負荷走行時には吸気行程中にキャビティ外に燃料を噴射することで、燃焼室内の全域に亘って均一な空燃比の混合気を形成し、これによって吸気管噴射型のものと同様に多量の燃料を燃焼させるようにしている[吸気行程噴射モード]。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで筒内噴射ガソリンエンジンでは、燃圧と要求燃料噴射量とに基づいて燃料噴射弁の開弁時間が設定された後、吸気行程や圧縮行程中に燃料の噴射が終了するようにその噴射終了時期が決定される。また噴射開始時期は、上記噴射終了時期と開弁時間とに基づいて決定される。特に圧縮行程噴射モードでは、点火時点におけるキャビティ内の燃料を確実に気化させて不完全燃焼を避けるべく、燃料の気化に要する時間やその噴霧の拡散に要する時間等を考慮した上で上記噴射終了時期と噴射開始時期とが決定される。
【0006】
しかしながら、圧縮行程噴射モードにおいては燃料の気化速度や噴霧の拡散速度はその雰囲気温度、具体的には内燃機関における筒内温度の影響を受けて変化し易いことが、本発明者らによる研究により明らかとなった。
即ち、噴霧をコンパクトに集結させて点火プラグ近傍に運ぶためには、噴霧が点火プラグに達する範囲内でその噴射時期を遅角することが好ましい。また燃料を十分気化させる為には、その噴射時期を進角する方が好ましい。更に燃料の気化速度は、圧縮圧が高くなる圧縮上死点に近付く程、気化のための温度確保と言う面で有利である。これらの原因により、設定すべき最適噴射時期は内燃機関温度によって変化する。
【0007】
この為、例えば暖機運転時のように内燃機関温度が低いような場合、燃料の気化が不十分になる等して点火プラグの周囲に最適な空燃比の混合気が局部的に形成され難くなり、燃焼不良(失火)が生じたり、有害排出ガス成分が多少増えることがあった。これ故、従来では専ら暖機時には、最適噴射時期が変化することで燃焼に与える影響を受けやすい圧縮行程噴射モードを禁止し、吸気行程噴射モードを設定するようにしている。しかし燃費等の観点から暖機時においても圧縮行程噴射モードを設定して、有害排出ガス成分の低減や燃費向上等を図ろうとする要求が強い。
【0008】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、その目的は、筒内噴射内燃機関の運転状態に拘わらず、その圧縮行程噴射モード時における失火や有害排出ガス成分の発生を効果的に抑えることのできる筒内噴射内燃機関の制御装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成するべく本発明は、主として圧縮行程で燃料を噴射する圧縮行程噴射モードを含む複数の燃料噴射モードを、運転状態に応じて選択的に切り換え可能な筒内噴射内燃機関の制御装置に係り、
特に圧縮行程噴射モードにおける燃料の噴射開始時期を、前記筒内噴射内燃機関が暖機後であるとして、噴射燃料量に応じてその燃料噴射が圧縮行程中に終了するタイミングとして設定する噴射時期設定手段と、前記筒内噴射内燃機関の機関温度を検出する温度検出手段と、検出された機関温度が上記暖機後の温度よりも低いときには、予め前記筒内噴射内燃機関に固有な値として機関温度に応じて求められている遅角を示す補正量Tとエンジン回転数に応じた補正係数K1とエンジン負荷に応じた補正係数K2とに従って、前記噴射時期設定手段にて求められた燃料噴射開始時期T inj
inj =T inj +T・K1・K2
として補正する補正手段とを具備したことを特徴としている。
【0010】
つまり圧縮行程噴射モードが設定されたとき、該圧縮行程噴射モードにおいて基準となる燃料噴射開始時期を、前記筒内噴射内燃機関が暖機後であることを前提とし、噴射燃料量に応じてその燃料噴射が圧縮行程中に終了するタイミングとして設定すると共に、筒内噴射内燃機関の温度を、例えばエンジン冷却水温度として検出し、この温度に応じて上記燃料噴射開始時期を筒内噴射内燃機関に固有な特性に応じて補正することで、該筒内噴射内燃機関の温度に拘わることなしに点火時における燃料の気化状態や噴霧の拡散状態を最適化し、点火プラグ周辺に局部的で、且つ理想的な空燃比の混合気を形成して失火や有害排出ガス成分の発生を効果的に抑えるようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
特に請求項2に示すように前記補正手段においては少なくとも機関温度が暖機後温度よりも低いとき、上記燃料噴射開始時期を、予め求められている筒内噴射内燃機関に固有な燃料気化率と燃料層状度とにより示される特性に応じて遅角補正することを特徴としている。
【0012】
更に請求項3に示すように前記補正手段に燃料噴射時期に対する遅角補正量の最大値を規定する手段を設け、これによって圧縮行程噴射モードを逸脱するような過度な遅角補正を防ぐようにしたことを特徴としている。
尚、前記筒内噴射内燃機関は、機関温度が高温である程、燃料噴射時期が進角すれば燃料の気化率が向上し、機関温度が低温である場合には燃料噴射時期に拘わらず燃料の気化率が変化しないものであって、更に燃料の層状度が機関温度に拘わらず同等であり、燃料噴射時期を遅角させた場合には燃料層状度が大きくなる特性を有するものからなる。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の一実施形態に係る筒内噴射内燃機関の制御装置について説明する。
図1は筒内噴射内燃機関の全体的なシステム構成図であり、図2は筒内噴射内燃機関(ガソリンエンジン)の要部縦断面図である。これらの各図において1は実施形態に係る自動車用の筒内噴射型直列4気筒ガソリンエンジン(以下、エンジンと略記す)であり、燃焼室を始めとして吸気装置やEGR装置等が筒内噴射専用に設計されている。
【0014】
即ち、この実施形態の場合、エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に点火プラグ3と共に電磁式の燃料噴射弁4が取り付けられており、燃焼室5内に燃料が直接噴射されるようになっている。またシリンダ6に上下摺動自在に保持されたピストン7の頂面には、その圧縮行程の後期に燃料噴射弁4からの燃料噴霧が到達する部位に位置して半球状のキャビティ8が形成されている。ちなみにこのエンジン1の圧縮比は、一般的な吸気管噴射型のものに比べて高く(本実施形態では12程度)設定されている。また動弁機構としてはDOHC4弁式のものが採用されており、シリンダヘッド2の上部には吸排気弁9,10をそれぞれ駆動するべく、吸気側カムシャフト11と排気側カムシャフト12とがそれぞれ回転自在に保持されている。
【0015】
一方、シリンダヘッド2には上記両カムシャフト11,12の間を抜けるようにして略直立方向に吸気ポート13が形成されている。この吸気ポート13を通過した吸気流が燃焼室5内で、後述する逆タンブル流を発生させる。また排気ポート14については通常(吸気管噴射型)のエンジンと同様に略水平方向に形成されているが、該排気ポート15の斜め下方には大径のEGRポート15(図2には図示せず)が分岐して設けられている。
【0016】
尚、図中16はエンジン冷却水温Twを検出する水温センサであり、17は各気筒の所定のクランク位置(例えばBTDC5°およびBTDC75°)でクランク角信号SGTを出力するベーン型のクランク角センサ、また19は点火プラグ3に高電圧を出力する点火コイルである。またクランクシャフトの半分の回転数で回転するカムシャフトには、気筒判別信号SGCを出力する気筒判別センサ(図示せず)が取り付けられ、上記クランク角信号SGTがどの気筒のものかが判別されるようになっている。
【0017】
さて図2に示すように吸気ポート13には、サージタンク20を有する吸気マニホールド21を介して、エアフローセンサ32,エアクリーナ22,スロットルボディ23,およびステップモータ式の第1のエアバイパスバルブ(#1ABV)24を備えた吸気管25が接続されている。更にこの吸気管25には、スロットルボディ23を迂回して前記吸気マニホールド21に吸入気を導入する大径のエアバイパスパイプ26が併設されており、その管路にはリニアソレノイド式で大型の第2のエアバイパスバルブ(#2ABV)27が設けられている。尚、エアバイパスパイプ26は前記吸気管25に準ずる流路面積を有したもので、第2のエアバイパスバルブ(#2ABV)27の全開時にはエンジン1の低中速域で要求される量の吸入気を適宜流通させる役割を担っている。
【0018】
また前記スロットルボディ23には、その流路を開閉するバタフライ式のスロットルバルブ28と共に、スロットルバルブ28の開度θTHを検出するスロットルセンサ29と、該スロットルバルブ28の全閉状態を検出するアイドルスイッチ30とが設けられている。尚、実際にはスロットルセンサ29からは開度θTHに応じたスロットル電圧VTHが出力され、このスロットル電圧VTHに基づいてスロットルの開度θTHが認識される。また前記エアフローセンサ32は吸入空気量Qaを検出するものであって、例えばカルマン渦式エアフローセンサが使用される。尚、上記吸入空気量Qaについては、サージタンク20にブースト圧センサを取り付け、このブースト圧センサにより検出される吸入管圧力から求めるようにしても良い。
【0019】
更に前記排気ポート14には、O2センサ40が取付けられた排気マニホールド41を介して、三元触媒42や図示しないマフラー等を備えた排気管43が接続されている。また前記EGRポート15は、大径のEGRパイプ44を介して吸気マニホールド21の上流に接続されており、その管路にはステップモータ式のEGRバルブ45が設けられている。
【0020】
さて図示しない車体後部に設置された燃料タンク50に貯留された燃料は、電動式の低圧燃料ポンプ51により吸い上げられ、低圧フィードパイプ52を介してエンジン1側に送給される。この低圧フィードパイプ52内における供給燃料の圧力(燃圧)は、リターンパイプ53の管路に介装された第1の燃圧レギュレータ54により比較的低圧(低燃圧)に設定されている。そしてエンジン1側に送給された燃料は、シリンダヘッド2に取り付けられた高圧燃料ポンプ55から高圧フィードパイプ56,更にはデリバリパイプ57を介して前記各燃料噴射弁4に送給される。
【0021】
尚、デリバリパイプ57内の燃圧は、リターンパイプ58の管路に介装された第2の燃圧レギュレータ59によって比較的高圧(高燃圧)に調圧される。この第2の燃圧レギュレータ59に取付けられた電磁式の燃圧切換弁60は、オン状態で燃料をリリーフしてデリバリパイプ57内の燃圧を低燃圧に低下させる役割を担う。また高圧燃料ポンプ55の潤滑や冷却等を行った燃料は、リターンパイプ61を介して燃料タンク50に還流される。
【0022】
さて前記エンジン1の総合的な制御を司るエンジン制御ユニット(ECU)70は、図示しない入出力装置,制御プログラムや制御マップ等を記憶した記憶装置(ROM,RAM等),中央処理装置(CPU),タイマカウンタ等を備えて構成される。そしてECU70は、前述した各種のセンサ類からの検出情報を入力し、燃料噴射モードや燃料噴射量を始めとして、点火時期やEGRガスの導入量等を決定し、燃料噴射弁4や点火コイル19,EGRバルブ45等をそれぞれ駆動制御する。またこのECU70には、図示しない多数のスイッチやその他のセンサ類が接続されると共に、各種警告灯や機器類等が接続されている。
【0023】
次に上述した如く構成される筒内噴射内燃機関(エンジン)における基本的なエンジン制御の流れについて簡単に説明する。
冷機時においてイグニッションキーをオン操作すると、ECU70は低圧燃料ポンプ51と燃圧切換弁60とをオンにし、燃料噴射弁4に低燃圧の燃料を供給する。この状態でイグニッションキーをスタート操作すると、図示しないセルモータによりエンジン1がクランキングされ、同時にECU70の制御の下で燃料噴射制御が開始される。但し、この時点においては燃料の気化率が低く、しかも燃圧も低いので、ECU70は比較的リッチな空燃比となるように燃料を噴射する。またこの始動時にはECU70によって第2のエアバイパスバルブ27が閉鎖しているため、燃焼室5への吸入気はスロットルバルブ28の隙間や第1のエアバイパスバルブ24から供給される。尚、第1および第2のエアバイパスバルブ24,27はECU70により一元管理されており、これらの開弁量はスロットルバルブ28を迂回する吸入気(バイパスエア)の必要導入量に応じてそれぞれ決定される。
【0024】
始動が完了してエンジン1がアイドル運転を開始すると、高圧燃料ポンプ55が定格の吐出作動を始める、これを受けてECU70は燃圧切換弁60をオフにして燃料噴射弁4に高圧の燃料を供給する。そしてエンジン冷却水温Twが所定値に上昇するまで、ECU70は始動時と同様に燃料を噴射してリッチな空燃比を確保すると共に、第2のエアバイパスバルブ27も継続して閉鎖する。ちなみにエア・コンディショナ等の補助機能品類の負荷の増減に応じたアイドル回転数の制御は、吸気管噴射型と同様に第1のエアバイパスバルブ24によって行われる。更に所定サイクルが経過してO2センサ40が活性化された場合、ECU70はO2センサ40の出力電圧に応じて空燃比フィードバック制御を開始し、有害排出ガス成分を三元触媒42により浄化させる。このように冷機時においては吸気管噴射型エンジンの場合と略同様の燃料噴射制御が行われる。
【0025】
一方、エンジン1の暖機が終了すると、ECU70は吸入空気量Qa、またはスロットル開度θTH等から得た目標平均有効圧Peとエンジン回転速度Neとに基づき、例えば図3に示す燃料噴射制御マップから現在の燃料噴射制御領域を検索する。そして燃料噴射モード、および燃料噴射量と燃料噴射時期とをそれぞれ決定して燃料噴射弁4を駆動する。更にはこれに関連して第1および第2のエアバイパスバルブ24,27やEGRバルブ45の開閉制御等も行う。尚、当然のことであるが、燃料噴射量は燃料噴射弁4の開弁時間幅と比例関係にある。
【0026】
ちなみにアイドル運転時や低速走行時等の低負荷域においては、図3のマップに示されるように圧縮リーン域となるため、ECU70は圧縮行程噴射モードを選択する。そして第2のエアバイパスバルブ27を開放し、リーンな平均空燃比(例えば30〜40程度)となるように燃料を噴射する。するとこの時点における燃料の気化率が上昇しているので、吸気ポート13から流入した吸気流は逆タンブル流を形成し、その燃料噴霧はピストン7のキャビティ8内に保存される。その結果、点火時点においては点火プラグ3の周囲には理論空燃比近傍の混合気が層状に形成されることになり、全体としてリーンな空燃比でも着火が可能となる。この状態における補助機能品類の負荷の増減に応じたアイドル回転数の制御は、例えば燃料噴射量を増減させることにより行われる。またこの制御領域においては、ECU70はEGRバルブ45を開放し、燃焼室5内に大量(例えば30%以上)のEGRガスを導入することによりNOxの大幅な低減を図る。
【0027】
これに対して定速走行時等の中負荷域では、その負荷状態やエンジン回転速度Neに応じて図3における吸気リーン域、或いはストイキオフィードバック域となるので、ECU70は吸気行程噴射モードを選択し、所定の空燃比となるように燃料を噴射する。即ち、吸気行程噴射モードの吸気リーン域にあっては、比較的リーンな空燃比(例えば20〜23程度)となるように第1および第2のエアバイパスバルブ24,27の開弁量と燃料噴射量とを制御する。またストイキオフィードバック域では、第2のエアバイパスバルブ27とEGRバルブ45とを開閉制御し、O2センサ40の出力電圧に応じて空燃比フィードバック制御を行う。
【0028】
この場合、吸気ポート13から流入した吸気流が形成する逆タンブル流による乱れの効果によってリーンな空燃比でも着火が可能となる。またストイキオフィードバック域では、その有害排出ガス成分を三元触媒42により浄化すると共にEGRバルブ45を制御し、燃焼室5内に適量のEGRガスを導入することにより、有害排出ガスとして発生するNOx等の低減が図られる。
【0029】
そして急加速時や高速走行時等の高負荷域にあっては、図3に示すオープンループ制御域となるため、ECU70は前期噴射モードを選択して第2のエアバイパスバルブ27を閉鎖し、スロットル開度θTHやエンジン回転速度Ne等に応じて比較的リッチな空燃比となるように燃料を噴射する。尚、中高速走行中の惰行運転時は図3に示す燃料カット域となる為、ECU70は燃料噴射を停止する。この燃料カットはエンジン回転速度Neが復帰回転速度より低下した場合や、アクセルペダルが踏み込まれた際、即座に中止される。
【0030】
さて基本的には上述した如く、運転状態に応じて複数の燃料噴射モードが選択的に切り換え設定される筒内噴射内燃機関において、本発明の一実施形態に係る圧縮行程噴射モード時における燃料噴射時期の設定と、エンジン冷却水温Tw等から検出される内燃機関温度に基づく上記燃料噴射時期の補正は次のようにして行われる。
【0031】
図4はその制御手順の一例を示すもので、内燃機関の運転状態を検出することから開始される[ステップS1]。この運転状態の検出は、前述した各気筒に対応したクランク角信号SGTや気筒判別信号SGCに基づいてクランクの回転に対する特定気筒を判別すると共にエンジン回転数Neを検出し、またスロットルバルブ28の開度θTHやその全閉状態を検出し、更には吸入空気量Qaを検出する等して行われる。このような運転状態の検出結果に従って内燃機関の負荷状態が判定され、前述した複数の燃料噴射モードが選択的に設定される。
【0032】
しかる後、どの燃料噴射モードが設定されているか、或いはどの燃料噴射モードを選択すべきかの判定が行われ[ステップS2]、圧縮行程噴射モードが設定されている場合には、以下に示す圧縮行程燃料噴射の制御を行う。尚、前述した吸気行程噴射モードやストイキオ域での空燃比フィードバック制御モードが選択設定された場合、これらの各モードに応じた制御が実行されるが、ここでは本発明の要旨と直接関係がないのでその説明を省略する。
【0033】
さて圧縮行程噴射モードが設定されると、先ず基準となる燃料の噴射時期および点火時期の計算が行われる[ステップS3]。この燃料噴射時期および点火時期の計算は、エンジンが暖機運転後の定常運転状態であることを前提として、筒内に噴射する燃料噴射量等に従い、点火プラグの周囲やキャビティ内に理論空燃比に近い空燃比(空気と燃料との重量比)の混合気が局部的に形成されるようなタイミングとして計算され、そのタイミングが設定される。
【0034】
即ち、エンジンが定常運転状態にあることを前提として、燃圧と要求燃料噴射量とから、その燃料量を筒内に噴射するに必要な燃料噴射弁の開弁時間を求め、圧縮行程中に燃料の噴射が終了するようにその噴射終了時期を決定する。しかる後、決定された噴射終了時期と前記開弁時間とに基づいて燃料の噴射開始時期を決定し、また前記噴射終了時期に基づいて点火時期を決定する。特にこの圧縮行程噴射モードでは筒内における燃料の気化に要する時間やその噴霧の拡散に要する時間等を考慮し、点火時点におけるキャビティ内の燃料が確実に気化し、且つその噴霧が広く拡散することなく点火プラグの周囲に集まって局部的に理論空燃比近傍の混合気が層状に形成されるようなタイミングとして前記燃料の噴射時期と点火時期とが決定される。
【0035】
以上のようにしてエンジンが定常運転状態にあることを前提とした圧縮行程噴射モードにおける燃料噴射時期Tinjと点火時期Tigとが基準タイミングとして設定されたならば、次に実際の機関温度の検出が行われる[ステップS4]。この機関温度の検出は、具体的には前述したエンジン冷却水温Twを検出することによってなされる。そしてこの検出した機関温度(エンジン冷却水温Tw)に従い、雰囲気によって変化する燃料の気化率や拡散度に起因する点火プラグ周囲の混合気の状態変化を補正するべく、前記燃料噴射時期Tinjと点火時期Tigとに対する補正演算を行う[ステップS5]。
【0036】
この補正演算は、例えば図5(a),(b),(c)に示すように予めエンジンに固有な特性として求められた、エンジン冷却水温Twに対して設定される前記燃料噴射時期Tinjと点火時期Tigの進角・遅角補正量Tと、エンジン回転数Neに応じて設定される補正係数K1、エンジン負荷に応じて設定される補正係数K2とに基づいて、
Tinj = Tinj + T・K1・K2
Tig = Tig + T・K1・K2
なる補正演算を施すことによってなされる。尚、この例では燃料噴射時期Tinjに対する補正処理と点火時期Tigに対する補正処理とを同一の補正量を用いて補正するものとなっているが、これらに対する補正量を相互に関連させながら別々に設定することも勿論可能である。
【0037】
即ち、燃料の噴射時期に応じた筒内における燃料気化率と燃料層状度について考察すると、その特性はエンジン形式に応じて若干異なり、ある形式のエンジンにおいては図6(a),(b)に示すような特性となり、また別の形式のエンジンにおいては図7(a),(b)に示すような特性となる。尚、図6(a)および図7(a)は燃料噴射時期に応じた燃料気化率、つまり或る噴射時期に筒内に噴射した燃料が点火プラグによって点火されるまでにどの程度気化されているを示している。また図6(b)および図7(b)は燃料噴射時期に応じた燃料層状度、つまり或る噴射時期に筒内に噴射した燃料が、燃焼室の一部に縮小した噴霧として形成されているか(層状度が大)、或いは燃焼室の全体に亘って均一に拡散しているか(層状度が小)を示している。
【0038】
しかして図6(a),(b)に示す特性を持つエンジンにあっては、機関温度が高温である程、燃料噴射時期が進角(アドバンス)すれば、その気化率が向上することが示される。つまり燃焼室に吸入される空気の温度が高いために燃料が気化し易く、気化時間を多く確保するように燃料噴射時期を進角すると、その気化率が益々向上することが示される。また機関温度が低温の場合には、燃料噴射時期に拘わらず燃料の気化率が殆ど変化せず、燃料噴射時期を遅角(リタード)しても、燃料の気化率のさほど大きく悪化しないことが示される。つまり燃焼室に吸入される空気の温度が低いために燃料が気化し難く、燃料の気化を促進する要因は、むしろ燃焼室に吸入された空気の圧縮による温度上昇によると考えられる。従ってこのような低温時には、燃料の噴射時期を遅角させても、燃料の気化率にはさほど影響が生じないと言える。
【0039】
これに対して燃料の層状度は、機関温度に拘わらず略同等であり、燃料の噴射時期を遅角させた場合、燃料層状度が大きくなる傾向がある。尚、圧縮行程噴射モードにおいては、所定の層状度以下では燃焼条件が成立しないため、所定の層状度以上となるように燃料の噴射時期を設定する必要がある。しかし燃料の噴射時期に応じた層状度は、エンジンの製造誤差やその経年変化に伴って変化するので、実際的には所定の層状度を得ようとする場合、或る程度の余裕を見込んで燃料の噴射時期を設定することが必要である。
【0040】
以上のことを勘案した場合、図6(a),(b)に示す特性を持つエンジンにあっては、高温時における最適燃料噴射時期は、燃料気化率が或る程度確保され、且つ層状度があまり低下しない範囲に設定することが望ましい。但し、この最適燃料噴射時期はエンジン形式等によって変化するので、図6(a),(b)に例示するタイミングよりも進角側、或いは遅角側に設定する場合も勿論あり得る。しかし低温時においては、上述した最適燃料噴射時期に燃料を噴射すると、その気化率が高温時に比較して大幅に低下しているので、燃焼が不安定になる虞がある。従ってこの場合には、燃料噴射時期を遅角することで燃料層状度の向上を図れば、低温時における燃料噴射時期の遅角による気化率の悪化が殆どないことから、燃料層状度の向上分だけ燃焼の安定化を図ることが可能となる。
【0041】
これに対して図7(a),(b)に示す特性を持つエンジンにあっては、先のエンジンと同様に機関温度が高温であれば、燃料噴射時期を進角(アドバンス)すればその気化率が向上することが示される。しかし機関温度が低温の場合には、燃料噴射時期を進角することで、高温時の場合程ではないが、その気化率が若干向上する。つまり燃焼室に吸入された空気の圧縮による温度上昇による気化率の向上効果が、前述したエンジンよりも若干高いと言える。具体的には、前記図6(a),(b)に示す特性を持つエンジンに比較して、例えば燃料の筒内流動が比較的小さく、低温時であると雖も燃料が、比較的断熱された筒内空気によって気化されるので、燃料噴射時期の進角によりその気化時間を長くすることで、気化率を高め得ると考えられる。
【0042】
またこのエンジンにおける層状度は、機関温度に拘わらず略同等であり、また燃料噴射時期を或る程度遅角しても層状度に殆ど変化がないことが示される。特にこのような傾向は、燃料の筒内流動が比較的小さいエンジンにおいて顕著である。従ってこの図7(a),(b)に示す特性を持つエンジンにあっては、前述したエンジンと同様に、高温時における最適燃料噴射時期は、燃料気化率が或る程度確保され、且つ層状度があまり低下しない範囲に設定することが望ましいと言える。その反面、機関温度が低い場合には、燃料噴射時期を進角して燃料気化率を少しでも向上させれば、この燃料噴射時期の進角による層状度の悪化が殆どないので、その分、燃焼の安定化を図ることが可能となる。
【0043】
前述した燃料噴射時期の補正は、このような観点に立脚してなされるもので、エンジンの形式に応じて予め求められている図5(a),(b),(c)に示す如き補正関数に基づいて実行される。
この補正関数である、エンジン冷却水温Twに対する進角・遅角補正量Tについて簡単に説明すると、このエンジンの場合、上記進角・遅角補正量Tは、例えば図5(a)に例示するようにエンジン1が安定動作する暖機後水温を基準としてエンジン冷却水温Twが上記暖機後水温よりも低い場合には、燃料噴射時期Tinjを遅角(リタード)した方が、燃焼の安定化を図り得ることが示される。また逆にエンジン冷却水温Twが上記暖機後水温を或る程度越えて高くなった場合には、燃料噴射時期Tinjを進角(アドバンス)した方が、燃焼の安定化を図り得ることが示される。燃料噴射時期Tinjに対する進角/遅角の補正量Tは、基本的には図5(a)に示すようなエンジンに固有な特性に基づき、機関温度(エンジン冷却水温Tw)に応じて決定される。尚、この進角/遅角補正量Tは、圧縮行程噴射を実現する所定の条件下でその最大値が規定された上で設定される(クリップ制御)。
【0044】
一方、エンジン回転数Neに関する補正係数K1、およびエンジン負荷に関する補正係数K2は、エンジンの運転状態に応じて前記進角/遅角補正量Tをそれぞれ補正する為のものである。これらの補正係数K1,K2についても、エンジンに固有な特性として予め求められる。特に補正係数K1は、エンジン回転数Neが或る回転数以上となったとき、進角/遅角補正量Tを増大させる如く設定されている。また補正係数K2は、エンジン負荷が或る程度以上に大きくなったとき、進角/遅角補正量Tを減少させる如く設定されている。
【0045】
前述したステップS5に示す補正演算では、先ず前記図5(a)に示す特性に従って、エンジンの安定動作状態における圧縮行程噴射モードにおいて最適化された燃料噴射時期Tinjを、更に最適化すべき補正量Tを、前記エンジン冷却水温Twに基づいて求めている。この補正量はクランク角を基準とした進角/遅角時間T、例えばCA5°,CA10°等として求められる。その上でこの進角/遅角時間Tを、前述した如くエンジン回転速度やエンジン負荷の状況に応じて補正するべく図5(a)(b)に示す特性からその補正係数K1,K2を求め、これを前記進角/遅角時間Tに乗じることにより、前記燃料噴射時期Tinjに対する補正量を決定する。
【0046】
この際、筒内に噴射した混合気の塊が拡散する前にこれを点火するように点火時期Tigを設定する。具体的には上述した如く進角/遅角補正したタイミングで噴射した燃料が、筒内で十分に気化する時間を確保し、且つ確実に点火して安定な燃焼を実現するべく、点火時期Tigについても前述したエンジン冷却水温Twに応じて進角/遅角制御する。
【0047】
尚、上述したようにして燃料噴射時期を遅角補正した場合、噴射燃料がピストン7の頂面のキャビティ8に衝突し易くなるが、その噴射タイミングが前述したように筒内圧力が高い状態であるので燃料は直ぐに気化して混合気を形成する。従って噴射燃料がキャビティ8等に付着して燃焼悪化が生じる等の不具合が生じることがない。
【0048】
以上のようにしてエンジン冷却水温Twに応じて燃料噴射時期Tinjおよび点火時期Tigを進角/遅角補正してそのタイミングが決定されたならば、その設定されたタイミングの下で圧縮行程噴射モードでの燃料噴射制御および点火制御を実行する[ステップS6]。そして燃料噴射モードが変更されるまで、エンジン冷却水温Twの変化に応じて上記補正量を変えながら圧縮行程噴射モードでのエンジン1の運転を行うことになる。
【0049】
かくして上述した如く圧縮行程噴射モード時における燃料噴射時期Tinjおよび点火時期Tigを内燃機関温度(エンジン冷却水温Tw)に応じて補正し、空燃比が最適化された状態の混合気を安定に形成した上で点火するように制御を実行する本装置によれば、例えばエンジン始動直後の暖機時であって機関温度が低い場合であっても筒内に噴射した燃料を確実に燃焼させることが可能となる。
【0050】
図8(a),(b)に内燃機関が低温(35℃)であるときの圧縮行程噴射モードにおける失火頻度とNOx排出量の実験例を示すように、内燃機関が暖機運転後の定常動作状態にある時を想定して計算される燃料噴射時期および点火時期の下でその制御を行う場合に比較して、燃料噴射時期および点火時期をリタード補正(例えば5°リタード,8°リタード)することにより失火の頻度を抑えることができ、またNOxの排出量も抑えることが可能となる。特に上述した燃料噴射時期Tinjおよび点火時期Tigの補正制御に加えてEGR量の補正制御を加えることにより、例えば失火頻度を更に低く抑えることが可能となる等の効果が奏せられる。つまり暖機運転を行う低温時であっても、燃料噴射時期および点火時期を遅角(リタード)補正することで効果的な圧縮行程噴射モードによる運転を実現することができ、燃費の向上を図ることが可能となる。
【0051】
尚、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば燃料噴射時期および点火時期に対する進角/遅角補正量は、内燃機関の仕様や燃料の性状に応じて定めれば良いものである。また上記進角/遅角補正量の最大値については圧縮行程噴射モードの条件を逸脱しないタイミングの範囲で設定すれば良く、回転数や負荷に基づく補正係数K1,K2についても、内燃機関の運転特性等に応じて定めれば良い。またエンジン冷却水温についても補正量Tや上記補正係数K1,K2については、予めテーブル上にマッピングしておき、そのマップデータから求めるようにしても良い。その他、本発明はその要旨の範囲で種々変形して実施することができる。
【0052】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、主として圧縮行程で燃料を噴射する圧縮行程噴射モードを含む複数の燃料噴射モードを、運転状態に応じて選択的に切り換え可能な筒内噴射内燃機関において、圧縮行程噴射モードにおいて基準となる燃料噴射開始時期を、該筒内噴射内燃機関が暖機後であるとして噴射燃料量に応じてその燃料噴射が圧縮行程中に終了するタイミングとして設定すると共に、前記筒内噴射内燃機関の機関温度に応じて前記燃料噴射開始時期を遅角補正する手段を備えているので、筒内噴射内燃機関の温度に拘わることなしに点火時における燃料の気化状態や噴霧の拡散状態を最適化し、その燃焼の安定化・確実化を図ることができる。そして失火や有害排出ガス成分の発生を効果的に抑えながら、燃費の向上を図ることができる。特に内燃機関温度が低温の暖機運転時での圧縮行程噴射モードによる運転を可能とすると言う、実用上多大な効果が奏せられる。
【0053】
また請求項2に示すように機関温度が暖機後温度よりも低いとき、エンジン固有の特性に応じて燃料噴射時期を進角/遅角補正するので、簡易にして効果的に安定な燃焼(運転)を実現することができる。更には請求項3に示すように進角/遅角補正量の最大値を規定する手段を備えるので、圧縮行程噴射モードを逸脱するような過度な進角/遅角補正を効果的に防ぐことができ、安定した圧縮行程噴射モードによる運転を実現し得る効果が奏せられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る筒内噴射内燃機関の全体的なシステム構成図。
【図2】本発明の実施形態に係る筒内噴射ガソリンエンジンの要部縦断面図。
【図3】筒内噴射ガソリンエンジンにおける燃料噴射制御の動作域の例を示す図。
【図4】実施形態に係る圧縮行程噴射モードにおける燃料噴射時期および点火時期の制御手順の例を示す図。
【図5】図4に示す制御処理において用いられる補正データの例を示す図。
【図6】或る形式のエンジンにおける、燃料噴射時期に対する燃料気化率と燃料層状度の関係を示す図。
【図7】別の形式のエンジンにおける、燃料噴射時期に対する燃料気化率と燃料層状度の関係を示す図。
【図8】低温時における燃料噴射時期および点火時期の遅角制御による効果を示す失火頻度およびNOx排出量についての特性図。
【符号の説明】
1 エンジン
2 シリンダヘッド
3 点火プラグ
4 燃料噴射弁
5 燃焼室
6 シリンダ
7 ピストン
8 キャビティ
13 吸気ポート
70 ECU
[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a control device for a direct injection internal combustion engine that can optimally set the fuel injection timing in the compression stroke injection mode in the direct injection internal combustion engine and improve fuel consumption and stabilize combustion.
[0002]
[Related background]
Recently, a so-called in-cylinder injection gasoline engine that directly injects fuel into a combustion chamber in place of a conventional intake pipe injection type internal combustion engine in order to reduce harmful exhaust gas components from the internal combustion engine and improve fuel efficiency. (Internal combustion engine) has been proposed and put into practical use.
Incidentally, in-cylinder injection gasoline engines, for example, by injecting fuel from a fuel injection valve into a cavity provided at the top of a piston, an air-fuel ratio mixture close to the stoichiometric air-fuel ratio is generated around the spark plug at the time of ignition. Yes. As a result, reliable ignition is possible even with a lean air / fuel ratio as a whole, CO and HC emissions can be reduced, and fuel efficiency during idling and low-load running can be greatly improved. Moreover, acceleration / deceleration responsiveness can be improved because there is no fuel transfer delay through the intake pipe when the fuel injection amount is increased or decreased.
[0003]
However, since the fuel is directly injected into the cavity, the air-fuel ratio in the vicinity of the spark plug may become overrich during high load operation where the required fuel injection amount increases, for example, and misfire may occur. In order to solve such a problem, for example, Japanese Patent Application Laid-Open Nos. 5-79370 and 7-102976 disclose a compression stroke injection mode (late injection mode) and an intake stroke injection mode (previous injection mode) according to the load. ) Is proposed.
[0004]
Specifically, during low-load operation, fuel is injected into a cavity made of a deep dish or a concave groove during the compression stroke, so that the air-fuel ratio (weight of air and fuel) is close to the theoretical air-fuel ratio around the spark plug. Ratio) mixture is locally formed [compression stroke injection mode]. On the other hand, during high-load driving, fuel is injected outside the cavity during the intake stroke to form a uniform air-fuel ratio mixture over the entire combustion chamber. The fuel is burned [intake stroke injection mode].
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
By the way, in the cylinder injection gasoline engine, after the opening time of the fuel injection valve is set based on the fuel pressure and the required fuel injection amount, the injection end timing is such that the fuel injection ends during the intake stroke or the compression stroke. Is determined. The injection start timing is determined based on the injection end timing and the valve opening time. In particular, in the compression stroke injection mode, in order to reliably vaporize the fuel in the cavity at the time of ignition and avoid incomplete combustion, the above-mentioned injection ends after taking into account the time required for fuel vaporization and the time required for the spray to diffuse. The timing and the injection start timing are determined.
[0006]
However, in the compression stroke injection mode, the fuel vaporization rate and the spray diffusion rate are likely to change under the influence of the ambient temperature, specifically the in-cylinder temperature in the internal combustion engine. It became clear.
That is, in order to collect the spray in a compact manner and carry it near the spark plug, it is preferable to retard the injection timing within a range where the spray reaches the spark plug. In order to sufficiently vaporize the fuel, it is preferable to advance the injection timing. Furthermore, the fuel vaporization rate is more advantageous in terms of securing the temperature for vaporization as it approaches the compression top dead center where the compression pressure increases. For these reasons, the optimum injection timing to be set varies depending on the internal combustion engine temperature.
[0007]
For this reason, for example, when the temperature of the internal combustion engine is low, such as during warm-up operation, it is difficult to locally form an optimal air-fuel ratio mixture around the spark plug due to insufficient fuel vaporization. As a result, poor combustion (misfire) may occur, and harmful exhaust gas components may increase somewhat. Therefore, conventionally, during the warm-up, the compression stroke injection mode, which is susceptible to the influence of combustion due to the change in the optimal injection timing, is prohibited and the intake stroke injection mode is set. However, there is a strong demand from the viewpoint of fuel consumption and the like to set the compression stroke injection mode even during warm-up to reduce harmful exhaust gas components and improve fuel consumption.
[0008]
The present invention has been made in consideration of such circumstances, and its purpose is to effectively prevent misfire and generation of harmful exhaust gas components in the compression stroke injection mode regardless of the operating state of the direct injection internal combustion engine. An object of the present invention is to provide a control device for a direct injection internal combustion engine that can be suppressed to a low level.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
  In order to achieve the above-described object, the present invention controls a direct injection internal combustion engine capable of selectively switching a plurality of fuel injection modes including a compression stroke injection mode in which fuel is mainly injected in a compression stroke according to an operating state. Involved in the equipment,
  In particular, the fuel injection start timing in the compression stroke injection mode is set as the timing at which the fuel injection ends during the compression stroke according to the amount of injected fuel, assuming that the in-cylinder injection internal combustion engine is warmed up. Means, temperature detecting means for detecting the engine temperature of the direct injection internal combustion engine, and the detected engine temperatureWhen the temperature is lower than the temperature after the warm-up, a correction amount T indicating a retardation that is obtained in advance according to the engine temperature as a value inherent to the direct injection internal combustion engine and a correction coefficient K1 according to the engine speed And the fuel injection start timing T determined by the injection timing setting means in accordance with the correction coefficient K2 corresponding to the engine load. inj The
T inj = T inj + T ・ K1 ・ K2
Correct asAnd a correction means.
[0010]
That is, when the compression stroke injection mode is set, it becomes a reference in the compression stroke injection mode.The fuel injection start timing is based on the premise that the in-cylinder injection internal combustion engine is after warm-up,Depending on the amount of fuel injectedAs the timing when the fuel injection ends during the compression strokeThe temperature of the in-cylinder injection internal combustion engine is detected as, for example, the engine cooling water temperature, and the temperature isFuel injection start timeIs corrected according to the characteristics inherent to the direct injection internal combustion engine, so that the fuel vaporization state and the spray diffusion state at the time of ignition are optimized without regard to the temperature of the direct injection internal combustion engine. In addition, a local and ideal air-fuel ratio mixture is formed to effectively suppress misfires and generation of harmful exhaust gas components.
[0011]
  In particular, when the engine temperature is at least lower than the temperature after warm-up, the fuel injection start timing is determined in advance in the correction means as a fuel vaporization rate specific to the in-cylinder injection internal combustion engine, which is obtained in advance. Depending on the characteristics indicated by the fuel stratificationDelay angle correctionIt is characterized by doing.
[0012]
  Furthermore, as shown in claim 3, the correction means is adapted to the fuel injection timing.Delay angle correction amountA means for defining the maximum value is provided so that excessive retardation correction that deviates from the compression stroke injection mode is prevented.
  In the cylinder injection internal combustion engine, the higher the engine temperature is, the better the fuel vaporization rate is when the fuel injection timing is advanced. When the engine temperature is low, the fuel injection timing is increased regardless of the fuel injection timing. The fuel vaporization rate does not change, the fuel stratification is the same regardless of the engine temperature, and the fuel stratification increases when the fuel injection timing is retarded.Become.
[0013]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, a control apparatus for a direct injection internal combustion engine according to an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings.
FIG. 1 is an overall system configuration diagram of a direct injection internal combustion engine, and FIG. 2 is a longitudinal sectional view of a main part of the direct injection internal combustion engine (gasoline engine). In these drawings, 1 is an in-cylinder injection type in-line four-cylinder gasoline engine (hereinafter abbreviated as an engine) according to an embodiment, and an intake device, an EGR device, and the like including a combustion chamber are dedicated to in-cylinder injection. Designed to.
[0014]
That is, in this embodiment, the cylinder head 2 of the engine 1 is provided with an electromagnetic fuel injection valve 4 together with a spark plug 3 for each cylinder, so that fuel is directly injected into the combustion chamber 5. It has become. A hemispherical cavity 8 is formed on the top surface of the piston 7 slidably held by the cylinder 6 at a position where fuel spray from the fuel injection valve 4 reaches later in the compression stroke. ing. Incidentally, the compression ratio of the engine 1 is set to be higher (about 12 in this embodiment) than that of a general intake pipe injection type. Further, a DOHC four-valve type is adopted as the valve operating mechanism, and an intake side camshaft 11 and an exhaust side camshaft 12 are respectively provided above the cylinder head 2 so as to drive the intake and exhaust valves 9 and 10 respectively. It is held rotatably.
[0015]
On the other hand, an intake port 13 is formed in the cylinder head 2 in a substantially upright direction so as to pass between the cam shafts 11 and 12. The intake air flow that has passed through the intake port 13 generates a reverse tumble flow that will be described later in the combustion chamber 5. Further, the exhaust port 14 is formed in a substantially horizontal direction as in a normal (intake pipe injection type) engine, but a large-diameter EGR port 15 (not shown in FIG. 2) is obliquely below the exhaust port 15. Z) is provided in a branched manner.
[0016]
In the figure, 16 is a water temperature sensor for detecting the engine cooling water temperature Tw, and 17 is a vane type crank angle sensor for outputting a crank angle signal SGT at a predetermined crank position (for example, BTDC 5 ° and BTDC 75 °) of each cylinder. Reference numeral 19 denotes an ignition coil that outputs a high voltage to the spark plug 3. Also, a cylinder discriminating sensor (not shown) that outputs a cylinder discriminating signal SGC is attached to the camshaft that rotates at half the number of revolutions of the crankshaft, and it is discriminated which cylinder the crank angle signal SGT belongs to. It is like that.
[0017]
As shown in FIG. 2, the intake port 13 is connected to an air flow sensor 32, an air cleaner 22, a throttle body 23, and a step motor type first air bypass valve (# 1ABV) via an intake manifold 21 having a surge tank 20. ) 24 is connected to the intake pipe 25. Further, the intake pipe 25 is provided with a large-diameter air bypass pipe 26 that bypasses the throttle body 23 and introduces intake air into the intake manifold 21. Two air bypass valves (# 2ABV) 27 are provided. The air bypass pipe 26 has a flow passage area similar to that of the intake pipe 25. When the second air bypass valve (# 2ABV) 27 is fully opened, the intake amount required in the low and medium speed range of the engine 1 is taken. It plays the role of distributing Qi as appropriate.
[0018]
The throttle body 23 includes a butterfly throttle valve 28 that opens and closes the flow path, a throttle sensor 29 that detects the opening θTH of the throttle valve 28, and an idle switch that detects the fully closed state of the throttle valve 28. 30 is provided. Actually, the throttle sensor 29 outputs a throttle voltage VTH corresponding to the opening degree θTH, and the throttle opening degree θTH is recognized based on the throttle voltage VTH. The air flow sensor 32 detects the intake air amount Qa. For example, a Karman vortex air flow sensor is used. The intake air amount Qa may be obtained from a suction pressure detected by the boost pressure sensor by attaching a boost pressure sensor to the surge tank 20.
[0019]
Further, the exhaust port 14 has O2An exhaust pipe 43 including a three-way catalyst 42 and a muffler (not shown) is connected through an exhaust manifold 41 to which the sensor 40 is attached. The EGR port 15 is connected to the upstream side of the intake manifold 21 via a large-diameter EGR pipe 44, and a step motor type EGR valve 45 is provided in the pipeline.
[0020]
The fuel stored in a fuel tank 50 installed at the rear of the vehicle body (not shown) is sucked up by an electric low-pressure fuel pump 51 and fed to the engine 1 via a low-pressure feed pipe 52. The pressure (fuel pressure) of the supplied fuel in the low pressure feed pipe 52 is set to a relatively low pressure (low fuel pressure) by the first fuel pressure regulator 54 interposed in the conduit of the return pipe 53. The fuel fed to the engine 1 side is fed from the high-pressure fuel pump 55 attached to the cylinder head 2 to the fuel injection valves 4 via the high-pressure feed pipe 56 and the delivery pipe 57.
[0021]
The fuel pressure in the delivery pipe 57 is adjusted to a relatively high pressure (high fuel pressure) by the second fuel pressure regulator 59 interposed in the pipe line of the return pipe 58. The electromagnetic fuel pressure switching valve 60 attached to the second fuel pressure regulator 59 plays a role of relieving the fuel in the on state and reducing the fuel pressure in the delivery pipe 57 to a low fuel pressure. Further, the fuel that has been lubricated or cooled by the high-pressure fuel pump 55 is returned to the fuel tank 50 via the return pipe 61.
[0022]
An engine control unit (ECU) 70 that controls the overall control of the engine 1 includes an input / output device (not shown), a storage device (ROM, RAM, etc.) that stores a control program and a control map, and a central processing unit (CPU). , Timer counter and the like. The ECU 70 inputs detection information from the various sensors described above, determines the fuel injection mode, the fuel injection amount, the ignition timing, the EGR gas introduction amount, and the like, and the fuel injection valve 4 and the ignition coil 19. , EGR valve 45 and the like are driven and controlled. The ECU 70 is connected to a number of switches (not shown) and other sensors, and various warning lights, devices, and the like.
[0023]
Next, a basic engine control flow in the cylinder injection internal combustion engine (engine) configured as described above will be briefly described.
When the ignition key is turned on when the engine is cold, the ECU 70 turns on the low-pressure fuel pump 51 and the fuel pressure switching valve 60 and supplies the fuel injection valve 4 with low fuel pressure. When the ignition key is started in this state, the engine 1 is cranked by a cell motor (not shown), and at the same time, fuel injection control is started under the control of the ECU 70. However, at this time, since the fuel vaporization rate is low and the fuel pressure is also low, the ECU 70 injects the fuel so that the air-fuel ratio becomes relatively rich. In addition, since the second air bypass valve 27 is closed by the ECU 70 at the time of starting, the intake air to the combustion chamber 5 is supplied from the clearance of the throttle valve 28 or the first air bypass valve 24. The first and second air bypass valves 24 and 27 are centrally managed by the ECU 70, and the valve opening amounts are determined according to the necessary introduction amount of intake air (bypass air) that bypasses the throttle valve 28, respectively. Is done.
[0024]
When the start is completed and the engine 1 starts idling, the high pressure fuel pump 55 starts the rated discharge operation. In response to this, the ECU 70 turns off the fuel pressure switching valve 60 and supplies high pressure fuel to the fuel injection valve 4. To do. Then, until the engine coolant temperature Tw rises to a predetermined value, the ECU 70 injects fuel in the same way as at the time of starting to ensure a rich air-fuel ratio, and the second air bypass valve 27 is also closed continuously. Incidentally, the control of the idle speed according to the increase / decrease of the load of the auxiliary function products such as the air conditioner is performed by the first air bypass valve 24 as in the intake pipe injection type. Furthermore, when a predetermined cycle elapses,2When the sensor 40 is activated, the ECU 702Air-fuel ratio feedback control is started according to the output voltage of the sensor 40, and harmful exhaust gas components are purified by the three-way catalyst 42. As described above, when the engine is cold, substantially the same fuel injection control as that of the intake pipe injection type engine is performed.
[0025]
On the other hand, when the warm-up of the engine 1 is completed, the ECU 70, for example, a fuel injection control map shown in FIG. 3 based on the target average effective pressure Pe obtained from the intake air amount Qa or the throttle opening θTH and the engine rotational speed Ne. The current fuel injection control region is retrieved from Then, the fuel injection mode, the fuel injection amount and the fuel injection timing are respectively determined and the fuel injection valve 4 is driven. Further, in connection with this, opening / closing control of the first and second air bypass valves 24 and 27 and the EGR valve 45 is also performed. Naturally, the fuel injection amount is proportional to the valve opening time width of the fuel injection valve 4.
[0026]
Incidentally, in a low load range such as during idling or low speed running, the ECU 70 selects the compression stroke injection mode because it is a compression lean range as shown in the map of FIG. Then, the second air bypass valve 27 is opened, and fuel is injected so that a lean average air-fuel ratio (for example, about 30 to 40) is obtained. Then, since the fuel vaporization rate at this time is increasing, the intake air flow that flows in from the intake port 13 forms a reverse tumble flow, and the fuel spray is stored in the cavity 8 of the piston 7. As a result, an air-fuel mixture in the vicinity of the theoretical air-fuel ratio is formed in a layer around the spark plug 3 at the time of ignition, and ignition is possible even with a lean air-fuel ratio as a whole. In this state, control of the idle speed according to increase / decrease in load of the auxiliary function products is performed by increasing / decreasing the fuel injection amount, for example. In this control region, the ECU 70 opens the EGR valve 45 and introduces a large amount (for example, 30% or more) of EGR gas into the combustion chamber 5 to significantly reduce NOx.
[0027]
On the other hand, in the medium load region such as when driving at a constant speed, the ECU 70 selects the intake stroke injection mode because it becomes the intake lean region or stoichiometric feedback region in FIG. 3 according to the load state and the engine speed Ne. Then, fuel is injected so that a predetermined air-fuel ratio is obtained. That is, in the intake lean region of the intake stroke injection mode, the opening amounts of the first and second air bypass valves 24 and 27 and the fuel are set so that the air / fuel ratio becomes relatively lean (for example, about 20 to 23). Control the injection amount. In the stoichiometric feedback region, the second air bypass valve 27 and the EGR valve 45 are controlled to open and close.2Air-fuel ratio feedback control is performed according to the output voltage of the sensor 40.
[0028]
In this case, ignition is possible even at a lean air-fuel ratio due to the effect of turbulence caused by the reverse tumble flow formed by the intake air flow that flows from the intake port 13. Further, in the stoichiometric feedback region, the harmful exhaust gas component is purified by the three-way catalyst 42 and the EGR valve 45 is controlled to introduce the appropriate amount of EGR gas into the combustion chamber 5 to generate NOx generated as harmful exhaust gas. Etc. can be reduced.
[0029]
In the high load range such as during sudden acceleration or high speed running, the open loop control range shown in FIG. 3 is established, so the ECU 70 selects the first injection mode and closes the second air bypass valve 27, Fuel is injected so that the air-fuel ratio becomes relatively rich according to the throttle opening θTH, the engine speed Ne, and the like. Note that the ECU 70 stops fuel injection because the fuel cut region shown in FIG. This fuel cut is immediately stopped when the engine rotational speed Ne falls below the return rotational speed or when the accelerator pedal is depressed.
[0030]
Basically, as described above, in a direct injection internal combustion engine in which a plurality of fuel injection modes are selectively switched according to the operating state, fuel injection in the compression stroke injection mode according to an embodiment of the present invention is performed. The correction of the fuel injection timing based on the setting of the timing and the internal combustion engine temperature detected from the engine coolant temperature Tw and the like is performed as follows.
[0031]
FIG. 4 shows an example of the control procedure, which starts from detecting the operating state of the internal combustion engine [Step S1]. This operation state is detected by determining a specific cylinder for crank rotation based on the crank angle signal SGT and cylinder discrimination signal SGC corresponding to each cylinder described above, detecting the engine speed Ne, and opening the throttle valve 28. This is performed by detecting the degree θTH and its fully closed state, and further detecting the intake air amount Qa. The load state of the internal combustion engine is determined according to the detection result of the operating state, and the plurality of fuel injection modes described above are selectively set.
[0032]
Thereafter, it is determined which fuel injection mode is set or which fuel injection mode should be selected [step S2]. If the compression stroke injection mode is set, the compression stroke shown below is performed. Controls fuel injection. In addition, when the above-described intake stroke injection mode or the air-fuel ratio feedback control mode in the stoichiometric region is selected and set, control according to each of these modes is executed, but here it is not directly related to the gist of the present invention. Therefore, the description is omitted.
[0033]
When the compression stroke injection mode is set, the reference fuel injection timing and ignition timing are first calculated [step S3]. The calculation of the fuel injection timing and the ignition timing is based on the assumption that the engine is in a steady operation state after the warm-up operation, and the stoichiometric air-fuel ratio around the spark plug and in the cavity according to the fuel injection amount injected into the cylinder. Is calculated as a timing at which an air-fuel ratio (weight ratio of air and fuel) close to is locally formed, and the timing is set.
[0034]
That is, on the premise that the engine is in a steady operation state, the opening time of the fuel injection valve required to inject the fuel amount into the cylinder is obtained from the fuel pressure and the required fuel injection amount, and the fuel is discharged during the compression stroke. The injection end timing is determined so that the injection ends. Thereafter, the fuel injection start timing is determined based on the determined injection end timing and the valve opening time, and the ignition timing is determined based on the injection end timing. In particular, in this compression stroke injection mode, taking into account the time required for vaporizing the fuel in the cylinder and the time required for the diffusion of the spray, the fuel in the cavity at the time of ignition is surely vaporized and the spray is diffused widely. The fuel injection timing and the ignition timing are determined as the timing at which the air-fuel mixture in the vicinity of the stoichiometric air-fuel ratio is locally formed in a layered manner around the spark plug.
[0035]
As described above, if the fuel injection timing Tinj and the ignition timing Tig in the compression stroke injection mode assuming that the engine is in a steady operation state are set as the reference timing, then the actual engine temperature is detected next. Performed [step S4]. Specifically, the engine temperature is detected by detecting the aforementioned engine coolant temperature Tw. Then, according to the detected engine temperature (engine cooling water temperature Tw), the fuel injection timing Tinj and the ignition timing are corrected in order to correct the change in the state of the air-fuel mixture around the spark plug caused by the fuel vaporization rate and diffusivity that change depending on the atmosphere Correction calculation for Tig is performed [step S5].
[0036]
For example, as shown in FIGS. 5A, 5B, and 5C, the correction calculation is performed in advance with the fuel injection timing Tinj set for the engine coolant temperature Tw, which is obtained in advance as a characteristic unique to the engine. Based on the advance / retard angle correction amount T of the ignition timing Tig, the correction coefficient K1 set according to the engine speed Ne, and the correction coefficient K2 set according to the engine load,
Tinj = Tinj + T ・ K1 ・ K2
Tig = Tig + T ・ K1 ・ K2
This is done by performing a correction calculation. In this example, the correction process for the fuel injection timing Tinj and the correction process for the ignition timing Tig are corrected using the same correction amount. However, the correction amounts for these are set separately while being correlated with each other. Of course, it is also possible.
[0037]
That is, when considering the fuel vaporization rate and the fuel stratification in the cylinder according to the fuel injection timing, the characteristics differ slightly depending on the engine type, and in a certain type of engine, as shown in FIGS. 6 (a) and 6 (b). In other types of engines, the characteristics shown in FIGS. 7A and 7B are obtained. 6A and 7A show the fuel vaporization rate according to the fuel injection timing, that is, how much the fuel injected into the cylinder at a certain injection timing is vaporized before being ignited by the spark plug. Shows that. FIG. 6B and FIG. 7B show the fuel stratification according to the fuel injection timing, that is, the fuel injected into the cylinder at a certain injection timing is formed as a reduced spray in a part of the combustion chamber. (The degree of stratification is large) or evenly diffused throughout the combustion chamber (the degree of stratification is small).
[0038]
Therefore, in the engine having the characteristics shown in FIGS. 6A and 6B, the higher the engine temperature is, the more the fuel injection timing is advanced. Indicated. That is, it is shown that the fuel is easily vaporized because the temperature of the air sucked into the combustion chamber is high, and that the vaporization rate is further improved when the fuel injection timing is advanced so as to secure a large vaporization time. Further, when the engine temperature is low, the fuel vaporization rate hardly changes regardless of the fuel injection timing, and even if the fuel injection timing is retarded (retarded), the fuel vaporization rate does not deteriorate so much. Indicated. That is, it is considered that the fuel that is difficult to vaporize because the temperature of the air sucked into the combustion chamber is low, and the factor that promotes the vaporization of the fuel is rather due to a temperature increase due to compression of the air sucked into the combustion chamber. Therefore, at such a low temperature, even if the fuel injection timing is delayed, it can be said that the fuel vaporization rate does not have much influence.
[0039]
On the other hand, the fuel stratification is substantially the same regardless of the engine temperature, and when the fuel injection timing is retarded, the fuel stratification tends to increase. In the compression stroke injection mode, the combustion condition is not established below a predetermined stratification level. Therefore, it is necessary to set the fuel injection timing so as to be at a predetermined stratification level or higher. However, since the stratification according to the fuel injection timing changes with engine manufacturing errors and changes over time, in practice, when obtaining a predetermined stratification, allow some margin. It is necessary to set the fuel injection timing.
[0040]
In consideration of the above, in an engine having the characteristics shown in FIGS. 6A and 6B, the optimum fuel injection timing at a high temperature is such that a certain degree of fuel vaporization rate is ensured and the stratification degree is It is desirable to set in a range that does not decrease so much. However, since the optimum fuel injection timing varies depending on the engine type and the like, it may of course be set to the advance side or the retard side with respect to the timing illustrated in FIGS. 6 (a) and 6 (b). However, when the fuel is injected at the optimum fuel injection timing described above at a low temperature, the vaporization rate is significantly lower than that at the high temperature, so that combustion may become unstable. Therefore, in this case, if the fuel stratification is improved by retarding the fuel injection timing, there is almost no deterioration in the vaporization rate due to the delay of the fuel injection timing at low temperatures. It is possible to stabilize the combustion only.
[0041]
On the other hand, in the engine having the characteristics shown in FIGS. 7A and 7B, if the engine temperature is high as in the previous engine, the fuel injection timing is advanced (advanced). It shows that the evaporation rate is improved. However, when the engine temperature is low, the vaporization rate is slightly improved by advancing the fuel injection timing, although not as much as when high. That is, it can be said that the effect of improving the vaporization rate due to the temperature rise due to the compression of the air taken into the combustion chamber is slightly higher than that of the engine described above. Specifically, compared to the engine having the characteristics shown in FIGS. 6A and 6B, for example, the in-cylinder flow of fuel is relatively small, and the fuel is relatively adiabatic at low temperatures. Since it is vaporized by the in-cylinder air, it is considered that the vaporization rate can be increased by extending the vaporization time according to the advance angle of the fuel injection timing.
[0042]
In addition, the stratification in this engine is substantially the same regardless of the engine temperature, and it is shown that there is almost no change in the stratification even if the fuel injection timing is retarded to some extent. Such a tendency is particularly remarkable in an engine in which the in-cylinder flow of fuel is relatively small. Therefore, in the engine having the characteristics shown in FIGS. 7 (a) and 7 (b), as in the case of the engine described above, the optimum fuel injection timing at a high temperature ensures a certain degree of fuel vaporization rate and is stratified. It can be said that it is desirable to set a range in which the degree does not decrease so much. On the other hand, when the engine temperature is low, if the fuel vaporization rate is improved by advancing the fuel injection timing, there is almost no deterioration of the stratification due to the advance of the fuel injection timing. It becomes possible to stabilize combustion.
[0043]
The above-described correction of the fuel injection timing is made on the basis of such a viewpoint, and the correction as shown in FIGS. 5A, 5B, and 5C, which is obtained in advance according to the type of the engine. It is executed based on the function.
The advance / retard angle correction amount T with respect to the engine coolant temperature Tw, which is this correction function, will be described briefly. In the case of this engine, the advance / retard angle correction amount T is exemplified in FIG. Thus, when the engine cooling water temperature Tw is lower than the above-mentioned water temperature after warming up with reference to the water temperature after warming up in which the engine 1 operates stably, combustion is stabilized by retarding the fuel injection timing Tinj (retarding). It can be shown that Conversely, when the engine cooling water temperature Tw becomes higher than the water temperature after warming up to some extent, it is shown that the advance of the fuel injection timing Tinj can stabilize the combustion. It is. The advance / retard angle correction amount T with respect to the fuel injection timing Tinj is basically determined on the basis of the engine-specific characteristics as shown in FIG. 5 (a) in accordance with the engine temperature (engine coolant temperature Tw). The The advance / retard angle correction amount T is set after a maximum value is defined under a predetermined condition for realizing the compression stroke injection (clip control).
[0044]
On the other hand, the correction coefficient K1 related to the engine speed Ne and the correction coefficient K2 related to the engine load are used to correct the advance / retard angle correction amount T according to the operating state of the engine. These correction coefficients K1 and K2 are also obtained in advance as characteristics unique to the engine. In particular, the correction coefficient K1 is set so as to increase the advance / retard angle correction amount T when the engine speed Ne exceeds a certain speed. The correction coefficient K2 is set so as to decrease the advance / retard angle correction amount T when the engine load becomes larger than a certain level.
[0045]
In the correction calculation shown in step S5 described above, first, the fuel injection timing Tinj optimized in the compression stroke injection mode in the stable operation state of the engine according to the characteristics shown in FIG. Is obtained based on the engine coolant temperature Tw. This correction amount is obtained as an advance / retard time T based on the crank angle, for example, CA 5 °, CA 10 °, etc. Then, the correction coefficients K1 and K2 are obtained from the characteristics shown in FIGS. 5 (a) and 5 (b) in order to correct the advance / retard time T according to the engine speed and the engine load as described above. By multiplying this by the advance / retard time T, a correction amount for the fuel injection timing Tinj is determined.
[0046]
At this time, the ignition timing Tig is set so that the air-fuel mixture mass injected into the cylinder is ignited before it diffuses. Specifically, as described above, the ignition timing Tig is used in order to ensure that the fuel injected at the timing of the advance / retard correction is sufficiently vaporized in the cylinder and to ignite surely and realize stable combustion. Also, the advance / retard control is performed according to the engine coolant temperature Tw described above.
[0047]
When the fuel injection timing is corrected as described above, the injected fuel easily collides with the cavity 8 on the top surface of the piston 7, but the injection timing is in a state where the in-cylinder pressure is high as described above. As a result, the fuel immediately vaporizes to form an air-fuel mixture. Therefore, there is no problem that the injected fuel adheres to the cavity 8 or the like and the combustion deteriorates.
[0048]
If the timing is determined by correcting the advance / retard angle of the fuel injection timing Tinj and the ignition timing Tig according to the engine coolant temperature Tw as described above, the compression stroke injection mode is set under the set timing. The fuel injection control and the ignition control are executed at [Step S6]. Until the fuel injection mode is changed, the engine 1 is operated in the compression stroke injection mode while changing the correction amount in accordance with the change in the engine coolant temperature Tw.
[0049]
Thus, as described above, the fuel injection timing Tinj and the ignition timing Tig in the compression stroke injection mode are corrected in accordance with the internal combustion engine temperature (engine cooling water temperature Tw), so that the air-fuel mixture with the air-fuel ratio optimized is stably formed. According to this apparatus that performs control so as to ignite, for example, even when the engine is warmed up immediately after the engine is started and the engine temperature is low, the fuel injected into the cylinder can be reliably burned. It becomes.
[0050]
As shown in FIGS. 8 (a) and 8 (b), an experimental example of misfire frequency and NOx emission in the compression stroke injection mode when the internal combustion engine is at a low temperature (35 ° C.), the steady state after the internal combustion engine is warmed up. The fuel injection timing and the ignition timing are retarded (for example, 5 ° retard, 8 ° retard) as compared with the case where the control is performed under the fuel injection timing and the ignition timing that are calculated assuming the operating state. By doing so, the frequency of misfires can be suppressed, and the amount of NOx emissions can also be suppressed. In particular, by adding correction control for the EGR amount in addition to the above-described correction control for the fuel injection timing Tinj and the ignition timing Tig, for example, it is possible to achieve an effect that the misfire frequency can be further reduced. In other words, even when the engine is warming up, the fuel injection timing and the ignition timing can be retarded (retarded) so that the operation in the effective compression stroke injection mode can be realized, thereby improving the fuel consumption. It becomes possible.
[0051]
In addition, this invention is not limited to embodiment mentioned above. For example, the advance / retard angle correction amount for the fuel injection timing and the ignition timing may be determined according to the specifications of the internal combustion engine and the properties of the fuel. The maximum value of the advance / retard angle correction amount may be set within a timing range that does not deviate from the compression stroke injection mode conditions. What is necessary is just to determine according to a characteristic etc. Further, regarding the engine coolant temperature, the correction amount T and the correction coefficients K1 and K2 may be previously mapped on a table and obtained from the map data. In addition, the present invention can be implemented with various modifications within the scope of the gist.
[0052]
【The invention's effect】
  As described above, according to the present invention, in the in-cylinder injection internal combustion engine capable of selectively switching a plurality of fuel injection modes including the compression stroke injection mode in which fuel is mainly injected in the compression stroke according to the operation state, The reference fuel injection start timing in the compression stroke injection mode is set as a timing at which the fuel injection ends during the compression stroke according to the amount of injected fuel, assuming that the in-cylinder injection internal combustion engine is warmed up. The fuel injection start timing is determined according to the engine temperature of the direct injection internal combustion engine.Delay angle correctionTherefore, the fuel vaporization state and the spray diffusion state at the time of ignition can be optimized and the combustion can be stabilized and ensured without regard to the temperature of the direct injection internal combustion engine. Further, it is possible to improve fuel efficiency while effectively suppressing misfire and generation of harmful exhaust gas components. In particular, there is a great practical effect that the operation in the compression stroke injection mode at the time of the warm-up operation at a low internal combustion engine temperature is possible.
[0053]
Further, as shown in claim 2, when the engine temperature is lower than the temperature after warm-up, the fuel injection timing is corrected in advance / retarded according to the characteristic of the engine, so that stable combustion (simple and effective) ( Driving). Furthermore, as shown in claim 3, since the means for defining the maximum value of the advance / retard angle correction amount is provided, excessive advance / retard angle correction that deviates from the compression stroke injection mode is effectively prevented. Thus, there is an effect that it is possible to realize the operation in the stable compression stroke injection mode.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is an overall system configuration diagram of a direct injection internal combustion engine according to an embodiment of the present invention.
FIG. 2 is a longitudinal sectional view of a main part of a direct injection gasoline engine according to an embodiment of the present invention.
FIG. 3 is a diagram showing an example of an operating range of fuel injection control in a direct injection gasoline engine.
FIG. 4 is a diagram showing an example of a control procedure of fuel injection timing and ignition timing in a compression stroke injection mode according to the embodiment.
FIG. 5 is a view showing an example of correction data used in the control process shown in FIG. 4;
FIG. 6 is a diagram showing the relationship between fuel vaporization rate and fuel stratification with respect to fuel injection timing in a certain type of engine.
FIG. 7 is a graph showing the relationship between fuel vaporization rate and fuel stratification with respect to fuel injection timing in another type of engine.
FIG. 8 is a characteristic diagram of misfire frequency and NOx emission showing the effect of retarding control of fuel injection timing and ignition timing at low temperatures.
[Explanation of symbols]
1 engine
2 Cylinder head
3 Spark plug
4 Fuel injection valve
5 Combustion chamber
6 cylinders
7 Piston
8 cavities
13 Intake port
70 ECU

Claims (4)

主として圧縮行程で燃料を噴射する圧縮行程噴射モードを含む複数の燃料噴射モードを運転状態に応じて選択的に切り換え可能な筒内噴射内燃機関であって、
前記圧縮行程噴射モードにおいて基準とする燃料噴射開始時期を、前記筒内噴射内燃機関が暖機後であると看做して噴射燃料量に応じてその燃料噴射が圧縮行程中に終了するタイミングとして設定する噴射時期設定手段と、前記筒内噴射内燃機関の機関温度を検出する温度検出手段と、検出された機関温度が上記暖機後の温度よりも低いときには、予め前記筒内噴射内燃機関に固有な値として機関温度に応じて求められている遅角を示す補正量Tとエンジン回転数に応じた補正係数K1とエンジン負荷に応じた補正係数K2とに従って、前記噴射時期設定手段にて求められた燃料噴射開始時期T inj
inj =T inj +T・K1・K2
として補正する補正手段とを具備したことを特徴とする筒内噴射内燃機関の制御装置。
A direct injection internal combustion engine capable of selectively switching a plurality of fuel injection modes including a compression stroke injection mode in which fuel is mainly injected in a compression stroke according to an operating state,
The fuel injection start timing used as a reference in the compression stroke injection mode is regarded as the timing at which the fuel injection ends during the compression stroke according to the amount of fuel injected, assuming that the in-cylinder injection internal combustion engine is warmed up. An injection timing setting means for setting, a temperature detection means for detecting the engine temperature of the direct injection internal combustion engine, and when the detected engine temperature is lower than the temperature after the warm-up, the direct injection internal combustion engine is set in advance. It is obtained by the injection timing setting means in accordance with a correction amount T indicating a retard angle obtained as a unique value according to the engine temperature, a correction coefficient K1 according to the engine speed, and a correction coefficient K2 according to the engine load. the fuel injection start timing T inj, which is
T inj = T inj + T ・ K1 ・ K2
A control device for a direct injection internal combustion engine, comprising: a correcting means for correcting as follows .
前記補正手段は、少なくとも機関温度が暖機後温度よりも低いとき、予め求められている前記筒内噴射内燃機関に固有な燃料気化率と燃料層状度とにより示される特性に応じて前記燃料噴射開始時期を遅角補正することを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射内燃機関の制御装置。  When the engine temperature is lower than the temperature after warm-up, the correction means is configured to perform the fuel injection according to a characteristic indicated by a fuel vaporization rate and a fuel stratification specific to the in-cylinder injection internal combustion engine that are obtained in advance. 2. The control apparatus for a direct injection internal combustion engine according to claim 1, wherein the start timing is corrected for delay. 前記補正手段は、燃料噴射開始時期に対する遅角の補正量の最大値を規定する手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載の筒内噴射内燃機関の制御装置。  2. The control apparatus for a direct injection internal combustion engine according to claim 1, wherein the correction means includes means for defining a maximum value of a correction amount of retardation with respect to a fuel injection start timing. 前記筒内噴射内燃機関は、機関温度が高温である程、燃料噴射時期が進角すれば燃料の気化率が向上し、機関温度が低温である場合には燃料噴射時期に拘わらず燃料の気化率が変化しないものであって、更に燃料の層状度が機関温度に拘わらず同等であり、燃料噴射時期を遅角させた場合、燃料層状度が大きくなる特性を有することを特徴とする請求項1〜3に記載の筒内噴射内燃機関の制御装置。  In the in-cylinder injection internal combustion engine, the higher the engine temperature, the better the fuel vaporization rate when the fuel injection timing is advanced, and the fuel vaporization regardless of the fuel injection timing when the engine temperature is low. The fuel stratification is the same regardless of the engine temperature, and the fuel stratification increases when the fuel injection timing is retarded. The control apparatus of the cylinder injection internal combustion engine of 1-3.
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