JP3691970B2 - 破損燃料集合体の検出方法およびその装置 - Google Patents

破損燃料集合体の検出方法およびその装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子力プラントで発生した破損燃料集合体を検知しその燃焼度を評価して、同定する方法およびその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
原子力プラントにおいては、炉心内の全核燃料のうち燃焼度が所定の値に達した部分(照射済燃料)を、1運転サイクルごとに新燃料と交換する燃料取替方式がとられており、たとえば1運転サイクルごとに燃焼度を評価し全燃料の約1/4ずつを新燃料と交換するなどされている。その場合、運転初期を除いて炉心内には1サイクル目〜4サイクル目の核燃料、すなわち4段階の異なる燃焼度の核燃料が常に装荷されている。
【0003】
プラントの運転中、燃料被覆に何らかの原因により破損が生じて核分裂生成物(以下FPと記す)の放出が起こった場合には、随時あるいはこのような定期交換の際に、該当する破損燃料集合体(以下リーカと記す)の同定と燃焼度の評価を行い、健全な燃料と交換することが行われている。
【0004】
原子力プラントには、このようなリーカの発生を検知し同定すなわちその炉内位置を知る目的で、破損燃料検出系が設けられている。通常運転時には、この破損燃料検出系によりサンプリングされた気体廃棄物(以下オフガスと記す)の放射能濃度および炉水中のヨウ素(I)の放射能濃度を常時監視して、これらの放射能濃度の上昇によりリーカの発生を検知することを行っている。通常、FPが放出する遅発中性子、β線、あるいはγ線などを検出して、放射能濃度の測定、核種分析、バックグラウンドとの比較などが行われている。
【0005】
一般に、リーカの検出に関しては、オフガスの放射能濃度変化を捕らえる方法が最も感度が高いとされている。これは、たとえばクリプトン(Kr)あるいはゼノン(Xe)などの希ガス成分が、他のFPに比べて燃料被覆のピンホールから炉水中に最も放出され易く、しかも燃料棒から炉水に放出された後ただちに蒸気系に移行し、他の元素と反応せずにオフガスサンプリング系に到達するという化学的性質を有しているからである。したがって、オフガスの放射能濃度の測定値が上昇したときには、リーカ発生に伴ってFPの希ガス成分の放出があったものと推定し得る。
【0006】
一方、Iは、希ガス成分に次いで燃料棒から炉水中に放出され易いFPであって、希ガス成分とは異なり炉水中に蓄積されるという化学的性質を有している。したがって、炉水中のI同位体の放射能濃度の測定値が上昇したときには、リーカ発生によりFPであるIの放出があったものと推定し得る。
【0007】
なお、発生したリーカの炉心内での位置によって、希ガス成分が多く放出される場合と、Iが多く放出される場合とがある。そのため、原子力プラントにおいては、オフガスの放射能濃度変化と炉水中のIの放射能濃度変化とを併せて捕らえることにより、より高い感度でリーカ発生の有無を検出するようにしている。
【0008】
従来より、リーカ発生が検知されたプラントにおいて、装荷されている燃料集合体のいずれが破損しているかを同定する、いわゆる破損燃料の位置決めの方法の一つとして、たとえば軽水炉ではシッピング法が知られている。このシッピング法は、原子炉停止期間中に測定対象の燃料集合体を周囲から隔離し、ある時間経過して崩壊熱により燃料温度が上昇した後、炉水中の燃料集合体の上部からIなどのFPを含んだ炉水を吸い上げるシッピングという操作を行ってその放射能を測定したり、あるいは炉水を空気により排除した状態でその空気中に拡散したKrやXeなどの希ガスのFPをサンプリングにより測定したりする方法である。
【0009】
シッピングにおけるこれら放射性核種の測定においても、リーカ発生の検知の場合と同様に、希ガスを測定する方法はバックグラウンドが小さいため感度が高く、Iの測定では炉水中に存在する成分がバックグラウンドとなるため、感度、精度が低目となる。
【0010】
測定対象の燃料集合体を周囲から隔離しシッピングにより炉水を取出すに際しては、通常、燃料集合体の上部にシッパーキャップとよばれる覆いをかぶせ、シッパーキャップ内に送気して燃料集合体内の炉水の上昇流を止め周辺と隔離して、破損燃料棒から放出される放射性核種を当該炉水中に蓄積させる。その後、放射性核種濃度が上昇した炉水を引き出し放射能測定を行って、リーカの位置決めが行われる。図9にそのような従来のシッパーキャップの一例の断面の概略が示されている。同図において、従来のシッパーキャップ100は燃料掴み具200に把持された状態で使用され、燃料集合体頂上部の燃料ハンドル300を覆って装着され、サンプリング管400と送気管500を備えている。
【0011】
なお、Iの測定にあたっては、シッパーキャップを使用しない方法もある。それは、燃料体を引きぬいて水深を小さくし、燃料体周辺の圧力を低下させることによりIを放出させ易くして、この炉水をサンプリングして評価するという方法である。
【0012】
さらにこのシッピングは、操作を行う場所の違いから、燃料体を取り出さずに原子炉炉心で行うインコアシッピングと、燃料体を炉心から取り出して行うアウトコアシッピングとに分けられる。前者のインコアシッピングは、燃料体を炉心から取り出す手間が掛からないが、炉水のバックグラウンドが高くなるので後者の方法に比べ検出感度と精度が劣る。また、後者のアウトコアシッピングは、前者に比べ検出感度、精度ともにすぐれるが、燃料体を炉心から取り出す工程が必要となるため実施には時間的な余裕が必要である。
【0013】
したがって、リーカの発生が検知された場合、リーカの同定のためにはまずインコアシッピングを行ない、インコアシッピングにより同定ができない場合には、燃料体を隣接する燃料プールに移動させてさらにアウトコアシッピングを行なって、再度測定するのが一般的である。
【0014】
ところで、リーカ発生が検知された場合には、同定に先立ちリーカの燃焼度を評価することが、従来より行われている。なぜならば、先に述べたように炉心内に装荷されている燃料は、燃焼度の違いによって数種類に分けられるので、上記方法によりリーカを同定する場合、リーカの燃焼度が予め判明していれば、シッピングの対象となる燃料集合体の数を格段に減らすことができるからである。たとえば、4サイクル目に交換するように構成されている場合には、燃焼度の違いによって4種類に分けることができ、すなわちシッピングの対象となる燃料集合体の数を1/4に絞り込むことができる。このようにリーカの燃焼度評価は、その後のプラント運転にも大きな影響を及ぼす。
【0015】
しかしながら、リーカの燃焼度に係わる情報は、オフガス中の希ガスおよび炉水中のIの同位体などの放射性核種の日常的に得られる測定値から得ることは難しい。それは、常時測定している放射性核種の半減期は長いものでも数日であるのに対して、燃焼度評価には数100日以上の半減期を持つ核種の定量が必要であり、そのような核種の日常的な定量はなされていないためである。
【0016】
そこで、リーカ発生が検知されたプラントでは、対象燃料集合体の燃焼度を推定する手段として、従来より炉水中のCs−137とCs−134の放射能を放射化学分析により測定し、その放射能強度比(Cs−134/137)の変化から燃焼度を評価することを行っている。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この放射能強度比(Cs−134/137)から燃焼度を評価する現行のリーカ燃焼度評価方法には、以下に示すような難点があった。
【0018】
まず、Csはその化学的性質から、希ガスやIにくらべて燃料棒から炉水中へ放出されにくく、通常の炉水中のCsの放射能濃度は検出下限より小さいという点である。そのため小規模のリーカでは炉水中のCsの放射能濃度が非常に小さく、炉水中Csの定量には50から100リットルもの炉水の処理が必要になる。したがって、測定に際してはCo−60やNa−24などの妨害核種の十分な除去が必要となるばかりでなく、これらの放射性核種による被ばくの低下対策を講じる必要もあった。
【0019】
また、炉水中でCsの通常の放射能濃度が検出下限より小さいということは、リーカ発生時に得られたCsの定量値に含まれるバックグラウンドの評価などが、燃焼度評価に与える誤差が大きいということにつながる。理論的には、より多くの炉水を処理して分析すれば、このような誤差を減らして評価の精度を向上させ得るが、100リットル以上もの炉水を分析しようとすれば、上記妨害核種の問題をさらに拡大させることになるため、そのような多量の炉水の分析は実施が困難である。また、放出されたCsの放射能濃度が検出下限より小さいリーカの場合には、その燃焼度を評価することすらできない。また、プラント停止後では炉水中のCs濃度はさらに低下するため、炉水試料をプラント運転中に採取しなければならないなど、現行のCsを用いたリーカ燃焼度評価方法はさまざまな難点を有していた。
【0020】
また、従来のシッピングの方法に関しても、以下に示すような難点があった。まず、シッパーキャップを用いるためキャップの装脱着の操作と、装着後のシッパーキャップ内に送気し炉水流量を調節して当該燃料体中の炉水を隔離する操作と、隔離した炉水中に破損燃料体から放射性核種が放出された後で、この炉水を採取、分析するという一連の複雑な操作を必要とするという点である。
【0021】
とくに、炉水を隔離する目的でシッパーキャップ内に送気し炉水流量を調節する操作には、細心の注意が必要であった。たとえば、送気の際にキャップ内が過度に加圧された状態になると、キャップと燃料集合体との隙間から気体が漏れて炉水の隔離が不十分になったり、あるいはキャップが脱落して再装着が必要になったりするなどの不都合を生じていた。
【0022】
さらに、インコアシッピングでは、先にも述べたように測定試料中にバックグラウンドとなる炉水中の放射性核種が含まれるため、もともと検出感度が余り高くないことに加えて、上記炉水流量の調節が、検出限界にも大きく影響していた。具体的には、炉水流量が大きい場合には炉水の隔離が不十分になってバックグラウンドが上昇することから、検出感度が著しく悪化し、流量が小さい場合には燃料の除熱が不十分となっていた。
【0023】
このようなことから、従来のシッパーキャップを用いて行うシッピング法は、炉水の十分な隔離のために炉水流量の微妙な調節を必要としており、そのために時間がかかることから、迅速な評価が必要なインコアシッピングには適した方法とはいいがたかった。さらに測定試料の迅速な採取には技術を要していた。
【0024】
一方、シッパーキャップを使用せず、燃料集合体を上下させ燃料体周辺の水深を変えて圧力変動により燃料体中の放射性核種の放出を促す方法では、放出された放射性核種がバックグラウンドの影響を一層受けやすくなり、検出限界値がさらに悪化するという難点を有していた。また、先にも述べたように、リーカ発生の上下方向位置によりIが多く放出される場合と希ガスが多く放出される場合があって、破損の規模と測定値の大きさとが必ずしも相関しないという難点もあった。
【0025】
したがって、原子力プラントでリーカの発生が検知されたとき、新たに特別な試料を採取することなくリーカの燃焼度を評価すること、さらには、炉水流量や炉水中のバックグラウンドの影響を受けることなく、迅速かつ高い検出感度でインコアシッピングを行うことが求められていた。
【0026】
本発明は、上記事情に対処するためになされたものであり、原子力プラントにおいて日常的に採取している試料から破損燃料集合体の燃焼度を容易に評価し、迅速かつ高い検出感度でインコアシッピングを行って破損燃料集合体を同定し得る破損燃料集合体の検出方法とその装置を提供することを、その目的としている。
【0027】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の本発明の破損燃料集合体の検出方法は、原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、照射中に発生する放射性気体廃棄物中のKr−85mに対するKr−85gの放射能強度比(Kr−85g/m)との相関関係を用いて、破損燃料集合体の発生が検知されたとき算出される該放射能強度比から、前記破損燃料集合体の照射日数を推定し、推定された照射日数に相当する燃焼度の燃料集合体に対して核分裂生成物の検出操作を行って、破損燃料集合体を同定することを特徴としている。
【0028】
請求項2に記載の本発明の破損燃料集合体の検出装置は、原子炉内で発生する放射性気体廃棄物試料を炉外に取出すサンプリング手段と、取出された前記試料からXe同位体を除去する妨害希ガス除去手段と、前記試料からXe同位体を除去して得られた気体を捕集する捕集手段と、捕集された前記気体中のKr同位体の放射線量を測定する測定手段と、測定されたKr同位体の放射線量からKr−85mに対するKr−85gの放射能強度比を算出して破損燃料集合体の燃焼度を評価する評価手段とを、具備することを特徴としている。
【0029】
請求項3に記載の本発明の破損燃料集合体の検出方法は、原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、炉水中のI−131〜I−135のいずれか1種に対するI−130の放射能強度比との相関関係を用いて、破損燃料集合体の発生が検知されたとき算出される該放射能強度比から、前記破損燃料集合体の照射日数を推定し、推定された照射日数に相当する燃焼度の燃料集合体に対して核分裂生成物の検出操作を行って、破損燃料集合体を同定することを特徴としている。
【0030】
請求項4に記載の本発明の破損燃料集合体の検出方法は、請求項3において、原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、炉水中のI−131〜I−135のいずれか1種に対するI−128の放射能強度比との相関関係をさらに用いて、破損燃料集合体の発生が検知されたとき算出される該放射能強度比から、前記破損燃料集合体の照射日数を推定し、推定された照射日数に相当する燃焼度の燃料集合体に対して核分裂生成物の検出操作を行って、破損燃料集合体を同定することを特徴としている。
【0055】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の詳細を図面にしたがって説明する。
【0056】
<第1の実施の形態>
請求項1に記載の本発明の検出方法について説明する。図1は、原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、照射中に発生する放射性気体廃棄物中のKr−85mに対するKr−85gの放射能強度比(Kr−85g/m)との関係を示すグラフである。半減期が4.5時間と短いKr−85mは、燃焼が始まるとすぐに飽和状態となり燃焼期間を通じて大きな変動はなくほぼ一定の値をとる。一方、Kr−85gは半減期が10年と長いため、燃焼によって燃料棒内に蓄積され燃焼の増加に伴ってその放射能強度も増加する。この放射能強度比と、照射日数すなわち燃焼度には、図1に示される関係が存在する。したがって、この放射能強度比が判れば、相当する燃焼度が一義的に求められることになる。
【0057】
ところで、半減期の異なるKr−85mとKr−85gとは、原子力プラントにおいて日常的に採取しているオフガス試料中に含まれている。したがって、オフガス試料の放射能濃度が上昇してリーカ発生が検知されたときに新たに採取しなくとも、手近のオフガス試料中のKr−85mとKr−85gの放射能を測定してその強度比(Kr−85g/m)を算出すれば、図1に示される相関関係に基づいてリーカの燃焼度を求めることができる。
【0058】
このように請求項1の発明によれば、ルーチンで測定されているオフガス試料を分析することにより半減期の長い核種が測定可能となるため、リーカ発生時、とくにプラント運転中に迅速にリーカの燃焼度を精度よく評価できる。さらに、Kr−85gの放射能量はKr−85mの10分の1から100分の1程度であるため、多量の試料を必要とせずに通常ルーチンの採取試料で十分に測定可能である。このようなことから、本発明の検出方法によれば、リーカが小さく炉水Cs測定による検出が困難な場合であっても検出が可能であり、検出感度は大幅に改善される。
【0059】
本発明の方法においてKr−85mとKr−85gそれぞれの放射能強度は、オフガス試料に対して行うγ線あるいはβ線の測定により得ることができる。
【0060】
<第2の実施の形態>
請求項2記載の本発明の検出装置のうちでγ線測定を用いた形態について説明する。図2は、オフガス試料のKr−85gの放射能量をγ線測定により得るようにした本発明の第2の実施の形態である破損燃料集合体の検出装置の構成を示す図である。
【0061】
本装置は、図2に示されるように、日常的に採取されているオフガス試料1を、N2 ガスを移送用気体(キャリヤーガス)2として試料ガス溜3からモレキュラーシーブを充填した希ガス分離カラム5に通し、オフガス試料1中に含まれるXeガスのみをカラム5に吸着させて除去した後、捕集管6に捕集したガスのKr−85gの514keVとKr−85mのγ線をGe半導体検出器7によって測定し、これをマルチチャンネル波高分析器8によりスペクトル解析して、両核種の放射能強度を比較するように構成されている。
【0062】
通常のルーチンによって採取されたオフガス試料中にはKrとXeとが含まれているが、測定しようとするKr−85g核種は、その放射能強度がXe同位体に比べ非常に小さい。よって採取した試料のγ線をGe検出器によって直接測定することはXeの放射線による妨害により困難であるが、本装置を用いることによって、Kr−85gの放射能量を測定することができる。そして、得られたKr−85gとルーチン測定から得られるKr−85mの両核種の放射能強度を比較し、この値から請求項1の方法によりリーカの燃焼度を算出できる。
【0063】
<第3の実施の形態>
請求項2記載の本発明の検出装置のうちでβ線測定を用いた形態(図示を省略)について説明する。これは、オフガス試料のKr−85gの放射能量をβ線測定により得るように構成したものである。この第3の実施の形態の、第2の実施の形態との相違点は、放射能強度測定手段としてGM型βγ検出器またはGM−NaI同時計数型β線シンチレーション検出器を用いる点であり、β線を測定することによって、第2の実施の形態よりもKr−85gの検出感度を上昇させ得る。
【0064】
なお、放射線検出器としてのGM型βγ検出器とGM−NaI同時計数型β線シンチレーション検出器との違いは次の通りである。すなわち、GM型βγ検出器ではKr−85mとKr−85gの両方の核種が計測されるため、Kr−85gの測定にあたっては、前もってオフガス試料を20時間以上冷却して半減期の短いKr−85mを減衰させた後でKr−85gを測定することが必要である。一方、GM−NaI同時計数型β線シンチレーション検出器の場合には、Kr−85gのβ線のみが測定できるため冷却によるKr−85mの減衰を行わせる必要がなく、迅速なデータ収集が可能となる。
【0065】
<第4の実施の形態>
請求項3に記載の本発明の検出方法について説明する。図3は、原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、照射中に発生する放射性気体廃棄物中のI同位体の放射能強度比との関係を示すグラフである。図3はI−133に対するI−130(I−130/133)の放射能強度比と照射日数(燃焼度)との関係を示している。リーカの燃焼度を求めるにあたって、これらの放射能強度比を用いる理由について以下に説明する。
【0066】
通常のルーチンで採取される炉水I試料中には、UやPuのFPであり半減期の異なる複数種のI同位体が含まれている。それらの同位体のうち、I−131〜I−135の半減期はそれぞれ異なってはいるものの、すべて原子炉運転期間に比較して十分に短い。したがって、これらの核種の放射能強度は燃料の燃焼度によらず、請求項1におけるKr−85mの場合と同様に、燃焼が始まるとすぐに飽和となり燃焼期間を通じて大きな変動はなくほぼ一定の値をとる。
【0067】
一方、I同位体の中でもI−129は半減期が107 年と長いため、燃焼によって燃料棒内に蓄積され燃焼の増加に伴ってその放射能強度もしだいに増加するが、その変化は直接には捕らえにくい。ところが、このように燃焼度の増加に伴って蓄積され増加するI−129から、比較的半減期の短い核種であるI−130が、中性子捕獲反応によって生成する。したがって、I−130の放射能強度はI−129の生成量を反映するものとして捉えることが可能であり、I−130の放射能強度を知ることによってこれを燃焼度の指標とすることができる。
【0068】
このように原子力プラントの炉水において、運転期間でほぼ一定値となるI−131〜I−135のいずれかの核種、たとえばI−133の放射能量を測定する一方、燃焼度の増加に伴って蓄積され増加するI−130の放射能量を同時に測定して両者の放射能強度比を求め、図3に示した放射能強度比と燃焼度の関係を用いることにより、リーカの燃焼度を評価することができるのである。
【0069】
なお、I−130の半減期は12時間と短いため、請求項3の発明よれば検出感度は従来に比べて上昇する。12時間というI−130の半減期は、リーカ発生後にプラントを停止した場合に生じるI追加放出時に、試料を採取し測定することを可能にさせる長さでもある。したがって本検出方法によれば、プラント停止後においてもリーカの燃焼度を評価することが可能となる。運転時と試料測定時までの半減期によるI−130の減衰については、同一試料中のI−131〜I−135の放射能強度比の変化によって補正できる。この追加放出による炉水中I濃度の上昇により、またI−130測定に際してI同位体のγ線スペクトル解析を採用することによって、本検出方法の検出感度は、通常のCs法に比べて10倍以上に上昇する。
【0070】
<第5の実施の形態>
請求項4に記載の本発明の検出方法について説明する。図4は、原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、照射中に発生する放射性気体廃棄物中のI同位体の放射能強度比との関係を示すグラフである。図4はI−133に対するI−128(I−128/133)の放射能強度比と照射日数(燃焼度)との関係を示している。本発明の検出方法においてリーカの燃焼度を求めるにあたって、これらの放射能強度比を用いる理由について以下に説明する。
【0071】
第4の実施の形態の項で説明したように、炉水中のI−131〜I−135の放射能強度は、燃料の燃焼度によらず燃焼期間を通じてほぼ一定の値をとる。
【0072】
の半減期はそれぞれ異なってはいるものの、すべて原子炉運転期間に比較して十分に短い。したがって、これらの核種の放射能強度は燃料の燃焼度によらず、請求項1におけるKr−85mの場合と同様に、燃焼が始まるとすぐに飽和となり燃焼期間を通じて大きな変動はなくほぼ一定の値をとる。請求項3はI同位体の中でもI−129に着目したものであったが、請求項4は、I−127に着目したものである。
【0073】
このI−127は、I−129同様にUやPuのFPであるIの安定同位体であり、中性子捕獲反応を行なって、半減期が25分と短い核種であるI−128を生成する。したがって、I−128の放射能強度はI−127の生成量を反映するものであり、I−128の放射能強度を知ることによって燃焼度の指標とすることができる。
【0074】
このように原子力プラントの炉水において、運転期間でほぼ一定値となるI−131〜I−135のいずれかの1核種、たとえばI−133の放射能量を測定し、燃焼度の増加に伴って蓄積され増加するI−128の放射能量を同時に測定して両者の放射能強度比を求め、図4に示した放射能強度比と燃焼度の関係を用いてリーカの燃焼度を評価することができるのである。
【0075】
請求項4に記載の発明によれば、I−128の半減期は25分と短いため従来に比べて検出感度が大幅に上昇するだけではなく、リーカ発生時でプラントを運転しているときに実施される通常のCs分析法に比べ、検出感度は10倍以上上昇する。
【0076】
なお、ここで請求項1、3、および4の方法と、従来のCs分析法との検出感度の比較について説明する。原子力プラントにおいて、Kr−85g、I−128、I−130、Cs−137の生成放射能強度を比較すると、Cs−137が一番大きく、次いでI−128とI−130とが同程度であり、Kr−85gが一番小さい。しかしながら、これら核種が炉水に放出される割合はそれぞれ異っているため、実際に炉水に放出されるこれら核種の放射能強度を比較すると、Kr−85gが一番大きく、次いでI−128とI−130とが同程度であって、Cs−137が一番小さくなる。この炉水中濃度ではIはCsの約10倍であることから、Iを用いた請求項3および4の方法では、従来のCs法に比べ検出感度が約10倍は改善されることになる。一方、KrについてもIと同様、通常のルーチンで採取された試料量で測定が可能であるため、請求項1の方法では、従来のCs法に比べ、Iを用いた請求項3および4の方法と同程度の検出感度改善が得られるのである。
【0077】
次に、シッパーキャップについて説明する。図5は本シッパーキャップの断面の概略図である。
【0078】
図5に示すように、本シッパーキャップ10は、燃料交換機のマスト20の先端の燃料掴み具30より上方の所定位置に頂部11が密着固定されており、検出操作対象の燃料集合体40の頂上部41に冠着されることにより、内部空間12に流体試料13を隔離可能な構造を有している。シッパーキャップの頂部11には、マストを挿通させることが可能に開口されたマスト取付部14と、そのマスト取付部14と挿通させたマスト外周とを密着固定させるために装着される止め具15とが設けられている。止め具15の形状にとくに制限はなく、たとえば取付けバンドなどが良好に使用可能である。
【0079】
本シッパーキャップ10のマストへの密着固定にあたっては、まずマスト20先端の燃料掴み具30の下にシッパーキャップ10を配した後、マスト取付部14に燃料掴み具30を下端から挿通させつつシッパーキャップ10を上方に移動させ、マスト20の燃料掴み具30より上方の所定の位置に頂部11が密着固定されるように、止め具15を装着する。あるいは、シッパーキャップ10のマスト取付部14に燃料掴み具30を挿通させた状態で、燃料掴み具30をマスト20に取付け、止め具15を装着してシッパーキャップ10をマスト20に密着固定するようにしてもよい。
【0080】
シッパーキャップ10の内部空間12は、燃料掴み具30が対象燃料集合体40の燃料ハンドル42を把持したときに、燃料掴み具30と燃料ハンドル42とを収容可能な形状を有している。そして、燃料集合体40の頂上部に冠着されるシッパーキャップ10の下縁部16には、密着固定手段としてバネ式チャンネルボックスホルダ17が設けられている。このホルダ17は、バネの弾性によりシッパーキャップ10の下縁部16内周を、燃料集合体40の燃料チャンネルボックスの側壁面外周43に密着固定させて、隔離された流体試料を前記内部空間に貯溜・保持を可能な構造を有している。シッパーキャップの頂部11近傍には試料移送用配管50の一端が開口しており、その試料移送用配管50の他端は測定手段(図示されていない)に接続されている。
【0081】
上記したように、本シッパーキャップはチャンネルボックスに強固に密着固定される構造を有するため、燃料交換機により燃料集合体を引上げている間も、燃料集合体中の燃料棒間に存在する炉水を周りから隔離して内部に貯溜させ保持することができる。したがって、リーカから放出された放射性核種は貯溜された炉水中に十分に蓄積される。
【0082】
出装置は、上記シッパーキャップと、上記シッパーキャップにより隔離され採取された試料の放射能強度を測定して核分裂生成物を検出する測定手段と、このシッパーキャップと測定手段とを接続し流体試料を測定手段に移送する試料移送用配管とを具備している。本検出装置は、液体試料あるいは気体試料のいずれに対しても適用が可能であって、測定手段の種類や試料移送用配管の構成は、目的に合わせ必要に応じて適宜選択することができる。
【0083】
次に、上記した検出装置を用いて行う、破損燃料集合体の検出方法について説明する。上記シッパーキャップ10を用いて流体試料の採取を行うにあたり、まず、燃料交換機のマスト20に固定されたシッパーキャップ10を、燃料交換機とともに降下させる。そして、燃料集合体上部タイプレートの燃料ハンドル42を燃料交換機の燃料掴み具30が掴むまで、降下させる。燃料掴み具30が燃料ハンドル42を掴むと、シッパーキャップ下縁部15がチャンネルボックスの側壁面外周43に密着し、シッパーキャップ10は燃料集合体40と一体化する。この後、燃料交換機のマスト20を上昇させると、チャンネルボックスと炉水との抵抗により、シッパーキャップ10はより強固にチャンネルボックスの側壁面外周43に固定される。シッパーキャップ10により採取された流体試料は、シッパーキャップ10に接続された試料移送用配管50を介して測定手段(図示されていない)に移送され、当該測定手段において試料の放射能強度が測定され、核分裂生成物が検出された場合に、対象燃料集合体が破損燃料集合体であると同定される。
【0084】
上記した検出方法によれば、シッパーキャップを燃料交換機を用いて対象燃料集合体に装着することが可能であるため、シッパーキャップの装着を迅速かつ確実に行うことができる。インコアシッピングに好適な方法である。さらにシッパーキャップは燃料集合体に強固に密着させる構造を有するため、従来のシッパーキャップのように加圧による脱落や気体の漏れがなく、十分に燃料集合体部分の排水ができる。したがって上記の検出方法によれば、対象燃料集合体を十分に隔離可能であり、そのため燃料温度を上昇させやすくなりリーカ検出の感度が上昇する。
【0085】
次に、他の検出装置について説明する。本装置は、図5に示される試料移送用配管50の測定手段(図示されていない)側の端部をシッパーキャップ側より減圧に保つ調圧手段(図示されていない)を備えている。調圧手段としては、たとえば真空ポンプを含む配管などが使用可能である。
【0086】
上記の検出装置を用いる検出方法においては、その調圧手段により得られるシッパーキャップ内外の圧力差により、シッパーキャップの内部空間に貯溜させた流体試料を測定手段に移送する。試料の移送を簡易にかつ迅速確実に行うことができる。
【0087】
6は、流体試料として気体試料、すなわちリーカ発生に伴って燃料棒から炉水中に放出されたFPの希ガス成分を試料として採用し、その放射能強度を測定するように構成された検出装置の概略図である。本装置は、前述した装置に、隔離用気体を導入する気体導入用配管と、移送される流体試料から気体試料を取り出す気−液分離手段をさらに設けて、気体試料を得るように構成されている。なお、シッパーキャップ10に関してはその構造について図5にすでに説明済みであるので、図6ではその概略のみ図示されている。また、燃料集合体への冠着の仕方についてもすでに説明済みであるので、ここでは説明を省略する。
【0088】
図6に示されるように、本装置においてシッパーキャップ10と測定手段70とを接続する試料移送用配管50の中間には、気−液分離手段であるタンク51が設けられている。すなわち気−液分離タンク51にはシッパーキャップ10からの試料入口となる試料移送用配管50の前半部分の一端と、測定手段70に気体試料を移送する試料出口となる試料移送用配管50の後半部分の一端が開口している。さらにシッパーキャップ10と気−液分離タンク51の頂部には、隔離用気体を導入する気体導入用配管60の一端がそれぞれ開口している。この気体導入用配管60の他端には隔離用気体としての窒素ガスの供給源62が接続されている。試料移送用配管50の後半部分の他端には、測定すべき気体試料を貯溜させるガス溜である試料チェンバ52と、シッパーキャップの10と測定手段70までの間を減圧に保つ調圧手段の主要素であるエアポンプ53とが接続されている。測定手段70は試料チェンバ52と検出器71とを含んでいる。測定手段70に試料チェンバ52を設けることにより、試料測定時に前回の試料中の放射性核種に因るバックグラウンド上昇を防止することができ、良好な検出感度が維持されるとともに、迅速な測定が可能となる。
【0089】
なお、図6において点線で示されている希ガス分離カラム54は使用せず、そのバイパスラインを使用する。希ガス分離カラム54については後で説明する。
【0090】
6に示され検出装置を用いて行う検出方法について説明する。本方法では、気体導入用配管60を介して隔離用の気体をシッパーキャップ10の内部空間に一定時間導入することにより、燃料棒間の空隙中に存在する隔離された炉水の温度上昇を図るとともに、燃料温度の上昇によって放出された気体の放射性核種を炉水とともに気体出口である試料移送用配管50を通して採取している。そして採取されたこの気一液混合流体から気一液分離手段51を用いて液体を分離し、得られた放射性希ガスである試料気体をガスチェンバ52上に導入し、放射能強度を測定してリーカを検出するようにしている。測定にあたっては、試料気体の全放射能強度をGM型放射線検出器により連続的に放射線測定を行った。
【0091】
図6に示す装置において試料の採取および測定は以下のようにして行われる。待機状態では予め全バルブを閉じておき、シッパーキャップ10の冠着に先立ちバルブV1,V7,V4を開きエアポンプ53を稼働させて、気一液分離タンク51以降のラインを減圧状態にしておく。シッパーキャップ10を冠着してV8を開き所定の時間、隔離用気体である窒素をシッパーキャップ10の内部空間に導入した後、V1、V7、V4を締めV5を開いて燃料集合体からの炉水と気体を気一液分離タンク51に導入し、炉水と、破損燃料棒から放出されて炉水中に含まれる放射性気体とを分離する。気一液分離タンク51の上部には放射性気体、下部には炉水が溜まる。ここでV5を閉める。次に気体導入用配管60のV2を開き、隔離用気体である窒素を気一液分離タンク51内に導入する。次いでV4,V7を開き窒素と全希ガスを試料チェンバ52に移送し、GM型放射線検出器71により放射能量を測定する。測定終了後、V1を開いて全ガスを排出し1バッチ測定を終了する。
【0092】
本方法は、移送用気体として窒素ガスを使用し試料気体の全放射能強度をGM型放射線検出器により連続的に放射線測定を行って、放射性気体であるKrとXeの全量を直接測定するため、最も迅速かつ検出感度良好な方法である。したがって、比較的破損孔が大きい燃料集合体で、迅速さがとくに要求される場合に有効である。
【0093】
6に示された装置を用いて行うの検出方法について説明する。本方法では、測定手段として同時係数型β線検出器を用いて試料気体の全β線強度を測定するようにした他は前述した方法と同様にして、破損燃料集合体の検出を行う。本方法によれば、放射性気体であるKrとXeのβ線全量を直接測定するため、バックグラウンドが低下して高い検出感度が得られる。
【0094】
6に示された装置を用いて行うの検出方法について説明する。本方法では、測定手段としてゲルマニウム半導体検出器を用いて試料気体のγ線のスペクトル解析により、Xe同位体の核種別放射能強度測定を行うようにした他は前述した方法と同様にして、破損燃料集合体の検出を行う。本方法によれば、炉水中のバックグラウンドと破損燃料棒からのIを識別でき、高い検出感度が得られる。
【0095】
図6に示され検出装置は、図6に点線で示されているように、試料移送用配管50の後半部分に希ガス分離カラム54を有する配管を備えている。上記配管は、気一液分離タンク51により分離して得られた気体を希ガス分離カラム54を通して、測定の妨害となる放射性希ガスであるXeを除去し、残部を測定対象の気体試料とするように構成されている。
【0096】
図6示された上記の装置を用いて行う検出方法では、試料の採取および測定は、V7の開閉の代わりにV3の開閉を行
【0097】
本方法では、移送用気体として窒素ガスを用い、希ガス分離カラムを使用し、全放射線強度を測定することにより、放射性気体であるKrとXeを分離可能で、炉水中であってもIから生成する微量のXeを除去し得るので、検出感度を上昇させ得る。
【0098】
6に示された検出装置を用いる検出方法では、測定手段として同時係数型β線検出器を用いて試料気体の全β線強度を測定する。
【0099】
7に示された検出装置について説明する。本装置は、シッパーキャップを用いて燃料集合体を隔離し、炉水中に溶解した放射性核種を測定することにより破損燃料集合体を検出することを目的として構成されている。なお、シッパーキャップ10に関して、その構造や燃料集合体への冠着の仕方についてはすでに説明済みであるので、ここでは説明を省略する。
【0100】
図7に示されるように、本装置においてシッパーキャップ10と測定手段70とを接続する試料移送用配管50の中間には、液溜56が設けられている。すなわち液溜56にはシッパーキャップ10からの試料入口となる試料移送用配管50の前半部分の一端と、測定手段70に気体試料を移送する試料出口となる試料移送用配管50の後半部分の一端が開口している。液溜56にはシッパーキャップの外部を内部より減圧に保つ調圧手段の主要素であるエアポンプ53が接続されている。さらにシッパーキャップ10と液溜56には気体導入用配管60の分岐した一端がそれぞれ開口している。この気体導入用配管60の他端には、必要に応じてシッパーキャップ10あるいは液溜56へ移送用気体としての空気を供給するエアコンプレッサ61が接続されている。試料移送用配管50の後半部分の他端には、測定すべき液体試料を貯溜させる試料チェンバ52が接続されている。なお、測定手段70は試料チェンバ52と検出器71とを含んでいる。
【0101】
図7に示された上記装置を用いて行う検出方法について説明する。本方法では、シッパーキャップ10を用いて燃料体を隔離し、隔離された燃料集合体の空隙に存在する炉水を、炉水中に放出された可溶性の放射性核種であるIとともに採取して試料チェンバ52上に導入し、放射能強度を測定してリーカを検出するようにしている。測定にあたっては、試料液体の全放射能強度をGM型放射線検出器により連続的に放射線測定を行った。図7に示す装置において試料の採取および測定は以下のようにして行われる。待機状態では予め全バルブを閉じておき、シッパーキャップ10の冠着に先立ちバルブV5を開きエアポンプ53を稼働させて、液溜56以降のラインを減圧状態にしておく。シッパーキャップ10を冠着してV3を開き、燃料集合体空隙の炉水を液溜56に導入する。この後V3を閉じ、シッパ−キャップ10は次の燃料体の装着操作にかかる。次にエアコンプレッサ61を稼働させ、V1、V2、V4を開いて圧縮空気を導入することにより、液溜56内の炉水を試料チェンバ52に移送する。
【0102】
本方法によれば、移送気体としてコンプレッサを使用した通常の空気が使用可能であり、炉水を直接濾過することにより気一液分離手段を必要とせず簡便な装置で検出が可能である。また、従来方法のように試料を実験室へ移送する必要がないため、リーカ検出が迅速に行える。
【0103】
図7に示された装置を用いて行う他の検出方法では、試料液体の核種別放射能強度をGe半導体検出器により核種別に測定する。
【0104】
図7に示された装置を用いて行う他の検出方法では、試料液体の核種別放射能強度をGe半導体検出器により核種別に測定しIを定量する。
【0105】
図8に示された検出装置について説明する。本装置は、シッパーキャップを用いて燃料集合体を隔離し、炉水中に溶解した放射性核種であるIを吸着により捕集してその放射能強度を測定することにより、破損燃料集合体を検出することを目的として構成されている。なお、シッパーキャップ10に関して、その構造や燃料集合体への冠着の仕方についてはすでに説明済みであるので、ここでは説明を省略する。
【0106】
本装置は、試料チェンバ52の代わりに、移送される液体試料中のI同位体を吸着捕集するI吸着フィルタ57を設けた他は、図7に示され装置と同様に構成されている。
【0107】
図8に示された上記装置を用いて行う検出方法について説明する。本方法では、液溜56内の炉水を試料チェンバ52に移送する代わりに、液溜56内の炉水を、I吸着フィルタ57を通過させてプール内に戻し、フィルタ57に吸着されたI同位体の放射能を測定するようにした他は前述した方法と同様にして、破損燃料集合体の検出を行う。測定にあたっては、フィルタ57に吸着されたI同位体の全放射能強度をGM型放射線検出器により連続的に測定する。
【0108】
図8に示された装置を用いて行う他の検出方法では、測定にあたってフィルタ57に吸着されたI同位体の核種別放射能強度をGe半導体検出器により測定する。
【0109】
本方法では、炉水中のIを連続的に捕集してその同位体強度比を測定するため、バックグラウンドの影響を最小限に抑えることが可能となり、リーカ検出感度と精度が飛躍的に向上する。
【0110】
また、他の破損燃料集合体の検出方法では、シッパーキャップを用いて燃料集合体を隔離し、図6に示す装置と図7または図8に示す装置の両方を組合わせた装置を用い、希ガスの放射能と炉水の放射能の両方を測定する。
【0111】
両者を測定することにより、燃料破損集合体の上下方向位置によりIが多く放出される場合と希ガスが放出される場合の両者に同時に対応可能であり、検出精度と感度を向上させることができる。
【0112】
また、他の破損燃料集合体の検出方法では、測定対象の核分裂生成物として、Kr−85とI−131を選択する
【0113】
また、他の破損燃料集合体の検出方法では、シッパーキャップを用いて図6、図7または図8に示された装置を用いた検出方法を実施するに際して、燃料体を隔離した後、燃料交換機により燃料体の引抜き量を3m以上燃料体長さ以下とする。
【0114】
このような引抜きにより燃料体の水深が浅くなり周辺の圧力が低下しリーカ内部に蓄積している放射性気体成分が放出される。また、気体を挿入した場合には燃料集合体引抜きと同時に挿入した気体の圧力を変化させることができ、これにより燃料温度を上昇させ蓄積している放射性気体成分の放出を加速できる。燃料集合体を引抜く際に全体を引抜いてはいないため、燃料集合体を再び元の位置まで挿入する場合には、あらためて挿入位置を決める操作が省略できる。したがって、燃料集合体の引抜き挿入操作を迅速に行い得る。
【0115】
なお、リーカからの放射性核種の放出は温度や圧力に大きく依存し、燃料棒の温度の上昇や燃料棒外部の圧力低下は、燃料棒内の放射性核種の放出を促すように作用する。したがって、本シッパーキャップを装着して炉水の隔離と燃料集合体の引抜きを行った場合には、引抜きによる燃料棒外圧の低下と隔離による燃料棒の温度上昇とを同時に十分に起こすことができるため、リーカ燃料棒からの放射性核種の放出が促進される。
【0117】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、原子力プラントにおいて日常的に採取している試料を用いて、迅速かつ高い検出感度で破損燃料集合体の燃焼度を評価することが可能である破損燃料集合体の検出方法とその装置が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、照射中に発生する放射性気体廃棄物中のKr−85mに対するKr−85gの放射能強度比(Kr−85g/m)との関係を示すグラフ。
【図2】オフガス試料のKr−85gの放射能量をγ線測定により得るようにした本発明の第2の実施の形態である破損燃料集合体の検出装置の構成を示す概略図。
【図3】原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、照射中に発生する放射性気体廃棄物中のI同位体の放射能強度比(I−130/133)との関係を示すグラフ。
【図4】原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、照射中に発生する放射性気体廃棄物中のI同位体の放射能強度比(I−128/133)との関係を示すグラフ。
【図5】本発明に係わるシッパーキャップの断面の概略図。
【図6】リーカ発生に伴って燃料棒から炉水中に放出されたFPの希ガス成分を試料として、その放射能強度を測定するように構成された本発明の実施の一形態の検出装置の概略図。
【図7】炉水中に溶解した放射性核種の放射能強度を測定するように構成された本発明の実施の一形態の検出装置の概略図。
【図8】炉水中に溶解した放射性核種であるIを吸着により捕集してその放射能強度を測定するように構成された本発明の実施の一形態の検出装置の概略図。
【図9】従来のシッパーキャップの断面の概略図。
【符号の説明】
1……オフガス試料、 2……移送用気体、 3……試料ガス溜、 5……希ガス分離カラム、 6……捕集管、 7……Ge半導体検出器、 、8……マルチチャンネル波高分析器、 10……シッパーキャップ、11……頂部、 12……内部空間、 13……流体試料、 14……マスト取付部、 15……止め具、 16……下縁部、20……燃料交換機のマスト、 30……燃料掴み具、 40……燃料集合体、41……頂上部、 42……燃料ハンドル、 43……燃料チャンネルボックスの側壁面外周、 50……試料移送用配管、 51……気−液分離タンク、 52……試料チェンバ、 53……エアポンプ、 54……希ガス分離カラム、 56……液溜、 57……I吸着フィルタ、 60……気体導入用配管、 61……エアコンプレッサ、 62……窒素ガス供給源、 70……測定手段、 71……検出器、 100……従来のシッパーキャップ、200……燃料掴み具、300……燃料集合体の頂上部の燃料ハンドル、 400……サンプリング管、 500……送気管

Claims (4)

  1. 原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、照射中に発生する放射性気体廃棄物中のKr−85mに対するKr−85gの放射能強度比(Kr−85g/m)との相関関係を用いて、破損燃料集合体の発生が検知されたとき算出される該放射能強度比から、前記破損燃料集合体の照射日数を推定し、推定された照射日数に相当する燃焼度の燃料集合体に対して核分裂生成物の検出操作を行って、破損燃料集合体を同定することを特徴とする破損燃料集合体の検出方法。
  2. 原子炉内で発生する放射性気体廃棄物試料を炉外に取出すサンプリング手段と、取出された前記試料からXe同位体を除去する妨害希ガス除去手段と、前記試料からXe同位体を除去して得られた気体を捕集する捕集手段と、捕集された前記気体中のKr同位体の放射線量を測定する測定手段と、測定されたKr同位体の放射線量からKr−85mに対するKr−85gの放射能強度比を算出して破損燃料集合体の燃焼度を評価する評価手段とを、具備することを特徴とする破損燃料集合体の検出装置。
  3. 原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、炉水中のI−131〜I−135のいずれか1種に対するI−130の放射能強度比との相関関係を用いて、破損燃料集合体の発生が検知されたとき算出される該放射能強度比から、前記破損燃料集合体の照射日数を推定し、推定された照射日数に相当する燃焼度の燃料集合体に対して核分裂生成物の検出操作を行って、破損燃料集合体を同定することを特徴とする破損燃料集合体の検出方法。
  4. 原子炉内に装荷された燃料集合体の照射日数と、炉水中のI−131〜I−135のいずれか1種に対するI−128の放射能強度比との相関関係をさらに用いて、破損燃料集合体の発生が検知されたとき算出される該放射能強度比から、前記破損燃料集合体の照射日数を推定し、推定された照射日数に相当する燃焼度の燃料集合体に対して核分裂生成物の検出操作を行って、破損燃料集合体を同定することを特徴とする請求項3記載の破損燃料集合体の検出方法。
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