JP3691512B6 - 熱交換器、液体凍結/冷却装置及び方法、並びにサーマル貯留システム - Google Patents

熱交換器、液体凍結/冷却装置及び方法、並びにサーマル貯留システム Download PDF

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技術分野
本発明は、一般に、熱伝達装置、及び、液体を蒸発、蒸留、凍結、加熱又は冷却するための方法に関し、特に、管/シェル型熱交換器(熱交換管とそれらを囲包するシェル(外殻)から成る熱交換器)と連携して用いられるホイップロッド(鞭状の棒)のための軌道駆動機に関する。
技術背景
流体を処理する場合、例えば板金製の熱交換表面の一方の面に沿って被処理液体を通し、熱交換表面の反対側の他方の面に沿って被処理液体(第1のプロセス流体)とは異なる温度の第2のプロセス流体を通すことによって被処理液体に熱を与えたり、それから熱を奪ったりすることが必要とされる用例が多々ある。流体間のこのような熱伝達、即ち熱交換は、ビルヂングの空調システムに一般に用いられるグリコール式チラー(冷却機)におけるように、プロセス流体を加熱又は冷却する作用を有し、又、海水を沸騰させることによって真水を生成するプロセス、又は水又は水溶液を部分凍結させることによって氷スラリーを生成するプロセスにおけるように、流体の相を変化させる作用をする場合もある。氷スラリーは、いろいろな用途を有するが、ビルヂングの空調システムにおいてピーク負荷時の電力需要を減少させるための「コールド」(氷水や冷水等の冷いもの)貯留のためや、加工工場へ輸送するために酪農農場に貯蔵されている牛乳や、漁船に貯蔵されている漁獲等の食物を冷凍するのに特に有用である。
熱交換器のサイズ、従って製造コストは、熱伝達係数の大きさによって決まる。熱伝達係数は、「ホット」(高温)流体の層、「ホット」流体と「コールド」(低温)流体を分離する熱交換壁、「コールド」流体の層、及び、熱交換壁のコールド面又はホット面に付着する堆積物を通る熱流に対する抵抗の度合によって左右される。これらの熱流抵抗体を通しての熱伝達を駆動する(進める)ためには、経済的な理由から、相当大きな温度勾配が必要とされる。しかるに、この高い温度勾配は、蒸発器又はフリーザ(冷凍器)の段数を制限するか、あるいは、蒸気圧縮機に高い揚程条件を課するので蒸発器又はフリーザのエネルギー効率を低下させる。
本出願人の米国特許第4,230,529号及び4,441,963号は、これらの問題を解決するための新しい解決法を開示している。それは、両端が開放した薄肉の垂直熱交換管を軌道運動又は動揺運動をするように駆動する方法である。熱交換管(「熱伝達管」又は単に「管」とも称する)の軌道運動は、管の内外表面における熱流抵抗(以下、単に「熱抵抗」とも称する)を減少させることによって熱伝達効率を高める。この運動は、蒸発させるべき液体を渦流にして管の内表面全体に全体的に薄い液膜(以下、単に「膜」とも称する)として分配させる働きをする。その結果、蒸発表面積が増大され、かつ、液体層の厚さを薄くすることにより熱抵抗が減少する。加熱された蒸気流の凝縮によって生じた液体が管の外表面に付着し、液体層の厚さを増大させ、液体層の熱抵抗を増大させる傾向があるが、管の軌道運動は、管の外表面から液滴を振り落とし、それによって管の外表面での熱伝達を促進する。
上記両特許は、そのような軌道運動する多数の管を1つの共通の容器内に保持することを教示している。それらの管は、偏心機構によって駆動され、水平平面内で動揺運動を受ける。軌道運動する管内の液体は、重力作用を受けて流下しながら、動連成によって駆動され管の内表面に沿って軌道回転せしめられる。この機構は、軌道運動に適合するように蒸発器内にクランク、軸受及び複雑なシールを設けることを必要とする。それらの部品は、製造及び組立が困難でコストが高く、厳密な公差にまで加工しなければならず、化学工業に使用された場合は腐蝕や汚染を受け易い。又、それらの部品は、摩耗し易く、その結果として、動揺する管のバランス(平衡)が失われ、それに伴って管の振動を生じることになる。
上記米国特許第4,230,529号は、又、質量の変化に対応したバランスを保つ働きをする軌道半径自動調節式自動バランス(平衡化)装置を開示している。しかしながら、ベース(基台)が動く場合、例えば、その装置が海上の船舶等の動く基準フレームに設置されている場合は、クランクの半径を固定しておかなければならず、それでも十分でない場合がある。
アイスクリーム製造機から複雑な蒸発器に至る多くの既知の熱伝達装置は、粘性液体を薄い均一に伸ばされた膜の形に延展するために管内で回転するように積極駆動される剛性のワイパーバーを用いている。積極駆動される剛性ワイパーは、1,000,000c.p.以上の粘性を有する流体(水の粘性は1c.p)を取扱うことができる。しかしながら、積極駆動される剛性ワイパー又はスクレーパを用いる従来の熱伝達装置には、幾つかの欠点がある。第1に、回転駆動軸を蒸発器又はフリーザ内に引き入れて密封することが必要とされる。第2に、剛性ワイパー又はスクレーパは剛性であり、固定(動かない)表面に対して密な間隙をもって移動するように構成しなければならないので、製造及び組立てが困難で、コスト高になる。その固定表面も、ワイパー又はスクレーパ及びその支持構造体も、厳密な公差にまで機械加工しなければならない。更に、従来の剛性ワイパー機構は、摩耗し易く、しかも、摩耗に対する許容度が比較的低い。(ここで、「積極駆動」とは、連れ回りなどのような受動的くどうではなく、積極的に即ち能動的に駆動することをいう。)
比較的粘性の低い流体、例えば1〜1,000c.p.の粘性を有する流体については、これらの問題を解決するために、供給液体の熱抵抗を減少させ、その蒸発量を増大させるために、供給液体を非常に薄い均一な膜の形に延展するホイップロッド(以下、単に「ロッド」とも称する)を管内に配設することが、米国特許第4,618,399号に開示されている。このホイップロッドは、蒸発の固形残留物の堆積を制御する働きもする。この特許によれば、ホイップロッドを取り付けるために、可撓性ケーブル、ベースとロッドの下端との間に連結された可撓性の非回転アンカー、やはりベースとロッドの下端との間に連結されたダブル自在継手等を含む幾つかの部品が必要とされる。このホイップロッドは、液膜延展器としては有効であるが、その取付機構には、幾つかの欠点がある。即ち、それは、全体的な材料費、組立コスト及び運転コストを増大させるばかりでなく、破損を起す。可撓性ケーブルの材料疲労が特に問題である。
米国特許第4,762,592号は、上述した先行技術の偏心クランク式駆動機構の製造、組立、摩耗及びバランスの問題を克服する軌道運動駆動機構を開示している。この改良された駆動機構は、蒸発器に取り付けられた回転釣り合い錘りと、蒸発器のためのばね式支柱懸架装置を使用する。釣り合い錘りが回転すると、釣り合い錘りと蒸発器の質量体が、互いの周りに相対的に軌道回転する。
この構成は、偏心クランク式駆動機構に随伴する上述の問題を克服するが、やはり幾つかの欠点を有する。例えば、液体流を搬送する多数の大型管を備えた商業用サイズにまで大規模化又は大型化された場合、大きな質量体を軌道運動させなければならないが、そのような大きな質量体は、動力所要量(特に始動時の)を増大させ、ばね式支柱懸架装置に対する負荷を増大させ、懸架装置の早期疲労破壊を招き易く、一般に、システムの建造及び運転コストを増大させる。又、そような大きな質量体は、船舶やその他の運搬手段等の動くベース(基台)ではなく、例えばコンクリートの床等の安定した運転プラットホームの上に設置することが望ましい。米国特許第4,762,592号は、動くプラットホームに対する解決策を提案しているが、その解決策は、装置が商業用サイズにまで大規模化された場合には、実用上、有用とはいえない。その1つの問題は、装置が商業用サイズにまで大規模化された場合、その装置のベースが、装置全体を軌道運動のために駆動するクランクに許容しがたいほどに高い負荷を課することである。
従来技術においては、軌道運動管法は、蒸発と蒸留に利用されているが、凍結(フリージング)には適用されていない。その1つの理由は、フリーザ(冷凍器)に適用したとすると、液体が凍結して熱伝達表面に付着し、熱流に対する抵抗を高めるので、軌道運動管法の性能上の利点を大幅に低下させてしまうことである。
現在、氷を用いるコールド貯留システムとして市販されているシステムには、2つの主要なタイプがある。1つは、1群の製氷機が開放貯留タンクの上に設置されている氷採取タイプと称されるものである。氷が一定の厚さまで成長する度に除霜サイクルによって周期的に氷がタンク内へ採取される。他の1つは、氷バンクタイプと称されるものであり、1群の安価な、通常はプラスチック製の熱伝達ユニットを使用し、コールド貯留に必要とされるすべての氷が、それらの熱伝達ユニットに各冷却サイクル毎に連続的に堆積するように構成されている。これらのいずれのタイプにおいても、製氷過程における水から冷媒への熱伝達効率が、望ましいほどには高くなく、従って、設備コストが高くなる。
当業界においては、製氷機を間断なく連続的に、かつ、ある程度高められた熱伝達特性をもって運転させることができるように、氷をスラリー状に生成する思想が、シカゴ・ブリッジ・アンド・アイアン・インコーポレイテッド等の会社によって試みられ、最近では、エレクトリック・パワー・リサーチ・インスチチュート(EPRI)によって試みられている。EPRIのスキームは、「スリッパリー・アイス」という商標名で発表されている。現在、このスリッパリー・アイス(ぬるぬるした滑りやすい軟氷)式コールド貯留システムの性能は、まだ、評価段階にあると考えられる。
スリッパリー・アイス式コールド貯留システムを開発するためのEPRIによる研究は、EPRIジャーナルの7/8月号に掲載された「コールド貯留:その費用及びエネルギーの節減」と題する論文に発表されている。このEPRIのスキームでは、水に酢酸カルシウムマグネシウムが添加される。EPRIによれば、この添加剤の使用により、熱交換表面から離れたところで液体プール中に氷が生成され、その結果、金属面に付着しないぬるぬるした状態の物質が生成される。この「スリッパリー・アイス」法の費用及びエネルギー節減上の利点は、1992年9月27日付けのニューヨークタイムズにもビルジングの冷房効率の改善」と題して発表された。この記事では、凍結させるべき水に自動車用の不凍剤を添加するのは、凍結点を過度に低下させることになるので望ましくないと報じられている。
「スリッパリー・アイス」法は、氷スラリーを機械的な助成手段なしで重力作用だけで冷却表面に沿って流下させるという点で魅力的である。スリッパリー・アイスは確かに有効に機能するが、それがどのように機能するのかは知られていない。更に、この「スリッパリー・アイス」法には幾つかの重大な欠点がある。第1に、氷がその初期粘着性というバリヤーを打ち破り、氷の結晶を重力作用により冷却表面に沿って流下させることができるようにするための、現在知られている添加剤は1種類しかない。このことは、処理すべき液体が食品である場合、その添加剤を使用することができないので、特に問題である。更に別の制約は、スリッパリー・アイスが生成されるようにするためには、熱流束、湿潤速度、及び添加剤濃度を制御しなければならないことである。又、熱伝達表面を電解研磨しなければならないという制約もある。
多くの場合、液体を流下する膜の形で熱交換器内を通すことを必要とされることは望ましくない。流下膜方式を採用せず、熱交換管を溢汪させるほどの流量で液体を供給するようにすれば、その液体供給圧は、液体を次の処理工程へ移行させるのに十分な圧力を有することになる。従って、流下膜式熱交換器を使用するシステムに通常必要とされる追加のポンプ及び液面高さ(レベル)制御システムを設けることによる装置の複雑化及びコスト高を回避することができる。しかしながら、従来は、軌道運動式熱交換器は流下膜での作動に限定されていた。その1つの理由は、装置全体が軌道運動するか、あるいは、シェル内の熱交換管が軌道運動するようになされているので、熱交換管を溢汪させると、軌道運動させなければならない質量が大幅に増大することである。その結果、作動のための所要電力を増大させ、部品の摩耗を激化させ、振動及びバランスの問題を大きくする。その上、溢汪管内でのホイップロッドの運動が管内の液体によって阻害されるか、あるいは、ロッドが管内の回転する液体と同調して運動することになり、熱伝達過程に及ぼすホイップロッドの作用が低減されてしまう。
ある種の応用例においては、熱交換管を垂直以外の向き(姿勢)に向けることが望ましい場合がある。例えば、熱交換器が船舶に搭載されている場合、波とともに揺れる船の縦揺れ及び横揺れを補償して熱交換管を垂直向きで作動させるための高価なジンバル機構が必要とされる。陸上に設置されたシステムの場合でも、設備の高さ制限に適合させるために、あるいは、ドアや既存の天井の下を通すことができるように、あるいは、規格輸送用コンテナに適合するユニットとして輸送できるように、熱交換管を非垂直向きに向けることが望ましい場合がある。
又、アンバランスな回転質量(例えば、ホイップロッド及び駆動部材)によって惹起される振動を少なくすることが望ましい場合もある。振動は、使用者にとって容易に知覚されるものであり、設備の耐久性や、熱交換器への配管接続部の疲労破損等の心配を起させる。又、振動は、消費電力を増大させ、取付装置に及ぼす応力を大きくする。従来、その解決法の1つとして、複数群の管を各群間に180°の位相差をおいて軌道運動させることが提案されている。例えば、上述した米国特許第4,230,529号及び4,441,963号はこの方法を開示している。特に、米国特許第4,230,529号は、軌道運動する釣り合い錘りを開示している。
最近の開発研究によれば、軌道運動式熱交換器ユニットが商業的に有用なサイズに大規模化され、熱伝達熱束(熱流)を最大限にする条件下で作動されるようになってきていることに伴って、新たな設計上の問題が浮上してきていることが判明している。軌道運動方式において、所望の表面積体容積比で大規模化を計る直接的な方法は、熱交換管の本数を増やすことである。例えば、重量20トンのフリーザ/チラーには、1.5in(3.81cm)径の管を42本設けることができる。30トンの海水脱塩(淡水化)用蒸気圧縮式蒸発器には、258本の熱交換管設けることができる。これほど多数の管を設けた場合、すべての管に正しい位相関係で所要のトルクを与え、部品の摩耗を許容し得る範囲に抑え、振動を少なくし、部品数を少なくし、組立てを容易にする上で重大な問題が生じ、商業用サイズの多数管熱交換装置にとって大きな障害となる。
既知の軌道運動駆動機構及び慣用のワイパー機構は、蒸気のような多数管熱交換装置の要件を充足することができない。管、又は容器と管の質量が、回転動力源と力の最終付与部との間に連結された偏心機構の軸受に極度の応力を与える。大きな力がかけられると、軸受及び駆動面に早期に摩耗を生じさせ、駆動列に遊びを生じ、各管群間の望ましい位相関係を喪失させることになる。大きな力は、又、駆動列中の摩擦を増大させる。歯車又はプーリの配列体を用いて多数の管の各々のためのホイップロッドにクランク運動を与えるには、たとえ摩耗を考慮しなくとも、困難な機械的設計の問題が生じ、歯車又はプーリの機械的配列体が供給流体に露呈されるか、あるいは、供給流体との適合性をはからなければならない場合には特にそうである。回転ワイパーブレードを熱交換表面に作用させるようにした、例えばサンウエル製のフリーザ/チラーのような既知のワイパー式システムにおいてさえ、摩耗問題の故に、ワイパーブレード組立体の初期の精密な公差設定が必要とされ、毎年1回当り何千ドルものコストをかけてワイパーブレード組立体の再調整を実施することが推奨される。実際上、摩耗は、性能に影響を及ぼすばかりでなく、運転コストにも大きな影響を与えることがある。
氷スラリー法において特別に考慮しなければならないことは、冷却速度が高い場合、熱交換管に生じる氷が、熱伝達効率を低下させるばかりでなく、管内を氷で埋めつくすほど成長し手最終的に管の中心にあるホイップロッドを凍結してしまうことがあるということである。又、通常、管の頂部より底部近くに多くの氷が存在するので、管の底部からの氷スラリーの流出にとっての機械的障害物の数及び大きさを減少させることが望ましい。このことからして、この氷スラリー法にとっては、ロッドを管の頂部で取り付けることが望ましい。それでも、管内で軌道運動するホイップロッドが受けるその運動に対する機械的抵抗は、管内の氷の量が変動することによりロッドの長さの関数として変化する。この現象は、熱交換器が高い熱束で作動されている場合特に起り易い。その結果、ホイップロッドが、管に対して「心合」せず、即ち、管の垂直軸線に整列せず、下端が上端より遅れて追従する歪んだ姿勢をとることになる。そのような歪みが少しでもあると、ロッドが管に完全に係合しているときのロッドの有益な動作が妨害されるので極めて望ましくない。
更に、管の外面における凝縮による熱流(熱束)抵抗を低下させるためのいろいろな構成が試みられてきたが、それらの技法は、蒸発又は沸騰が管の外表面で起る場合には有効ではない。凍結及び冷凍プロセスのエネルギー効率は、管の外表面における熱抵抗を減少させることによって高めることができることは明らかであるが、実際にそれを達成する装置又は技術は、今日までまだ知られていない。
従って、本発明の主要な目的は、溢汪モードでも、あるいは、流下膜モードでも作動することができ、垂直向きでも、非垂直向きでも、あるいは、固定ベース上でも、移動ベース上でも作動することができる軌道運動式熱交換器、そのような熱交換器を用いたサーマル貯留システム、及び熱交換方法を提供することである。
本発明の他の目的は、高粘性の液体及び管壁の固形付着物を処理するために駆動力として接線方向及び半径方向の力成分をホイップロッドに積極に作用させて多数の管を駆動することができるように容易に大規模化することができる管内ホイップロッド装着型(以下、単に「管内ロッド装着型」とも称する)軌道運動式熱交換器のための軌道運動駆動機構を提供することである。
本発明の更に他の目的は、凍結又は冷凍又は冷却のために用いられる熱交換管の外面における熱伝達を高めるための装置及び方法を提供することである。
本発明の更に他の目的は、比較的質量が小さく、比較的電力消費量の少ない軌道運動駆動機構を提供することである。
本発明の他の主要な目的は、ホイップロッドが熱交換管に対して平行な整列関係を維持するように自動調節することができるようにした管内ロッド装着型熱交換器を提供することである。
本発明の他の目的は、上述した利点を有し、かつ、駆動部品の摩耗にほとんど影響されることがなく、臨界的な公差を持たない軌道運動駆動機構を提供することである。
本発明の他の目的は、高い熱流束でフリーズ/チラーとして作動することができる熱交換器及びそのための軌道運動駆動機構を提供することである。
本発明の更に他の目的は、軌道運動式熱交換器の振動の量を減少させることである。
本発明の更に他の目的は、上述した利点を有し、かつ、部品数が少ないという点でも、組立てが容易であるという点でも製造コストが安く、分解が容易であるためメンテナンス費用も安い軌道運動式熱交換器を提供することである。
発明の概要
熱交換器は、第1プロセス流体を少くとも1本の薄肉の両端が開放した熱伝達管の一端へ供給する。管は、容器又はシェル(外側ハウジング)内に収容されており、シェルと管との間にシェル側チャンバーを画定する。シェル側チャンバーは、少くともその一部分は第2プロセス流体を管の外側表面に接触させる。第1プロセス流体と第2プロセス流体の間には温度差があり、一方の温度を「ホット」(高温)、他方を「コールド」(低温)と称する。熱交換管の内部は、第1プロセス流体で溢汪させるような溢汪作動モードとされる場合もあり、あるいは、熱交換管の内側表面(内壁)が第1プロセス液体の流下膜で被覆される流下膜作動モードとされる場合もある。流下膜モードの場合は、液体が全体的に熱交換器の頂部の供給点から底部に向かって重力の作用下で流下するように熱交換器、従って、熱交換管の向きが定められる。ただし、熱交換管は、必ずしも完全に垂直である必要はない。溢汪モードの場合は、熱交換管の向きに何ら制約はない。
蒸発、蒸留又は加熱(暖房等)用途においては、ホットな第2プロセス流体(例えば、スチーム)が熱伝達管の外側表面を被って流れ、その結果生じる熱伝達管の管壁を通しての半径方向内向きの熱流が、管内の第1プロセス流体を(蒸発又は蒸留用途においては)蒸発させ、(加熱用途においては)加熱する。
液体冷却用途においては、第2プロセス流体は、管の外側表面を被って流れるコールド流体(例えば、沸騰する冷媒)である。その結果生じる熱伝達管の管壁を通しての半径方向外向きの熱流が、管の内側表面上の液体(第1プロセス流体)の温度を低下させる。
液体凍結(フリーザ)用途においては、熱伝達管の管壁を通しての半径方向外向きの熱流が、管の内側表面上の第1プロセス液体を部分凍結(パーシャルフリーズ)させるのに十分な熱流出量とされる。
本発明によれば、各熱伝達管内に管の内側表面に沿って移動するように少くとも1つのホイップロッドを配置する。例えば、低粘性の流体を扱う流下膜作動モードに適する一実施形態においては、ホイップロッドが熱伝達管の内側表面に沿って回転移動させる際管の内側表面の形状に合わせて撓むようにホイップロッドの素材、形状及び取付態様が決められる。又、ロッドは、非円形形状とし、転動(自転)しない構成としてもよい。直線状又はその他の角形の断面形状を有するロッドの縁は、管の内側表面に付着した固形堆積物を除去する(掻取る又は削り取る)「のみ」として機能する切刃の形とすることができる。
ホイップロッドは、ほぼ管の軸線を中心として管の内側表面の周りに回転移動(軌道運動)するように直接的積極軌道運動駆動機構によって駆動される。管自体は、静止状態に保たれる。流下膜モードでは、ホイップロッドは液体を管の内側表面全体に分配(延展)する。凍結用途では、ロッドは、管の内側表面に沿って軌道運動し、液体流を円周方向に押し進めることによって液体流内に乱流を惹起するという重要な働きをもする。
ホイップロッドの質量は、管、プロセス流体及び管の支持構造体の質量に比べてはるかに小さいので、電力消費量及び駆動列に対する負荷を軽減し、かつ、海上船舶のような動く基準ベース(基台)上での信頼出来る作動を含め、溢汪モード又は非垂直向きでの作動を可能にする。
熱交換管の内部が流体で溢汪される用途においては、ホイップロッドをその両端から駆動する構成とすることが好ましい。熱交換管が流体で溢汪されない用途においては、ホイップロッドは、管及びロッドの上方に取り付けられた駆動プレートから懸架することが好ましい。
駆動プレートは、ロッドに対してほぼ直交する平面内に延設し、複数のホイップロッド又はホイップロッドの群を一緒に駆動するように構成する。本発明の軌道運動駆動機構の一実施形態においては、モータ駆動される少くとも1つの偏心クランクによって駆動プレートを上記平面内で軌道運動させる。フリーザ用途においては、単一の駆動プレートをロッドの上方に配置し、駆動プレートからロッドを懸架する。
多数の管による大規模作動の場合、又は、ホイップロッドに高いトルクを加える必要性がある場合は、本発明の積極ロッド駆動は、駆動プレート/クランク式(駆動プレートとクランクを組み合わせた方式)とすることが好ましい。
駆動プレートは、ロッドに対してほぼ直交する平面内で軌道運動するように、偏心器(クランク)を介して作動する回転動力源、又は、その均等動力源(例えば、90°の角度間隔を置いて配列された複数の同期リニア駆動機)によって駆動する。各管の一端内又はそれに近接したところにクランクを取り付ける。その取付部材は、管の端部に形成された凹部に滑入させることができるスパイダー状のブラケットとすることができる。クランクアームに取付けられたクランクピン(駆動ピン)を駆動プレートに形成した駆動穴又は軸受に係合させる。このクランクは、上記ブラケットによって支持された中心軸受又はブッシュを有しており、中心軸受に回転自在に支承されたクランク軸を管内へ突出させる。このクランク軸にロッドを取り付ける。かくして、駆動プレートの軌道運動は、すべての管内のすべてのロッドに同時にそれぞれのクランクを介して伝達される。
一実施形態においては、良好な動的バランス(平衡)を得るために上記クランク軸の周りに複数のロッドを等間隔に配置する。クランク軸とロッドとの取付部材として、クランク軸とロッドとの間に回転アームを介設し、その回転アームの端部に形成した半径方向のスロットにロッドを弛く嵌合し捕捉させて該スロットから懸架し、ロッドが、それに及ぼされる遠心力の応答して半径方向に移動することができるとともに、部品の摩耗や作動条件の変化に応じて半径方向に移動し自動調節することができるようにする。軌道運動駆動機構のこの構成は、1つの軌道運動を一連の管配列体内に配置された多数のロッドの同時回転運動に変換する。
駆動プレートの上記駆動穴は、対応する管への供給液通し開口としても機能するようにオーバーサイズ(クランクピンより大きいサイズ)とし、それによってクランクピンと駆動プレートの係合部を潤滑するようにすることが好ましい。この駆動列(電力伝達列)は、流下膜モードであれ、溢汪モードであれ、又、プロセス液体が水状であれ、粘性であれ、ホイップロッドを管壁から成長した固形堆積物を通し、プロセス液体を通して押し進めるのに十分な大きな接線方向のトルクを各管のところで創生する。
本発明によれば、又、回転によって創生されるロッドに及ぼされる遠心力を増大させることができ、ロッドが自動的にその半径方向の位置を変更することができるようにする補助半径方向力創生装置、即ち、非剛的取付装置を設けることができる。好ましい実施形態では、これらの補助半径方向力創生装置は、中心軸即ち上記クランク軸に固定されたロッドを半径方向外方へ付勢するためのばね押し取付部材である。ばね押し取付部材は、例えば、各ロッドの上端と下端に固定した対の板ばねとすることが好ましい。創生される補助力の大きさは、固形堆積物(例えばフリーザ用途においては氷)の半径方向内向きの成長に抵抗するのに十分であり、かつ、回転速度が低いことや、例えば垂直配列の管の頂部より底部に偏って氷が存在するなどのために管に沿ってのロッドの移動に対する抵抗が変動することに基因するロッドの斜め移動を防止するのに十分な大きさとする。
フリーザ用途においては、ホイップロッドの半径方向外方への最大移動行程を制限し、それによって、ホイップロッドと管の内側表面との間に狭い間隙を設定するためにクランク軸とロッドとの間に好ましくは金属のワイヤクリップのようなストッパーを固定することができる。この間隙は、ロッドの摩耗及び滑り摩擦を軽減する。氷の被膜が管壁に生じると、ロッドは、氷の半径方向内向きの成長をこの間隙の寸法に制限する。移動するロッドによって、又ある程度上記板ばね及びクリップによっても惹起される乱流は、氷結晶の管壁への付着を最少限にする。
フリーザ用途のための好ましい実施形態においては、管壁上にではなくプロセス流体内での結晶の生成を促進するために凍結点を純粋のプロセス流体のそれより低く押させるための添加剤をプロセス流体に添加する。プロセス流体が水である場合は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ミルク、海水、酢酸カルシウムマグネシウム、無水結晶を生成する無機塩類等の薬剤が好適な添加剤である。代表的な例では、3〜10%溶液が用いられる。
表面積対容積比を大きくすることが好ましく、熱流束密度を高くすれば更に表面積を小さくすることができる大型システムの場合とは異なり、小型システムにおいては、構造の簡略化や部品数等の別の条件が、単位面積当り又は単位容積当り基準での経済性よりしばしば優先される。例えば、単一の比較的大径の円筒体を設け、その円筒体内に軌道回転するように数本の自由回転(連れ回り回転)ホイップロッドを設ける単純構造の方が、各々1本のホイップロッドを備えた数本の小径の管を設け、各ロッドを上記軌道運動駆動機構によって軌道運動するように構成するより経済的である場合がある。
ホイップロッドを駆動するためにクランクを用いる構成は、各管内の複数のロッドを対応する単一のクランクに対していろいろな異なる位相角に設定することをも可能にする。各管内に単一のロッドを用いることが好ましい場合は、それらのロッドを上記米国特許第4,441,963号に記載された平衡化法と同じ論理で位相角が互いに180°異なる2つの群に組分けすることによってそれらのロッドの動的バランスを取ることができる。
凍結及び冷却ようとのために熱伝達管の外側表面における熱伝達を向上させるために、第2プロセス流体の流れに対して頂部と底部で開口した筒状ジャケットを熱伝達管の外側に被せて熱伝達管の外側表面との間に環状の熱サイフォンを画定することができる。第2のプロセス流体は、沸騰する冷媒であり、作動中管の外側表面に沿って2相流れとなって流れる。その場合、ジャケットは、滞留を創生し、沸騰した蒸気と液体との比較的密度の低い混合物が管の外側表面に沿って高速度の上向き流れを形成する。
【図面の簡単な説明】
本発明の上記及びその他の目的並びに特徴、及びそれらを達成する態様は、以下に添付図を参照して述べる本発明の実施形態の説明から一層明かになろう。
図1は、溢汪モードで非垂直向きで作動される本発明による軌道運動駆動式ホイップロッド付き開放管型熱交換器の一部破除された透視図である。
図2は、落下膜モードで垂直向きで作動される本発明による軌道運動駆動式ホイップロッド付き開放管型熱交換器の別の実施形態の一部破除された透視図である。
図3は、図1に示されたロッドの積極軌道運動駆動機構の一部破除された透視図であり、各熱伝達管の外表面に沿っての沸騰冷媒の流れを維持するための保熱ジャケットをも示す。
図4は、熱伝達管と軌道運動するホイップロッドの水平断面でみた概略図であり、落下膜モードで作動されているときにロッド及び管内の液体に作用する動的力を示す。
図4Aは、図4において作用する動的力を示す力ベクトル図である。
図5は、本発明の熱交換器のための軌道運動駆動プレートの詳細透視図であり、頂部軌道運動駆動プレートは、自由回転する動的にバランスされたホイップロッド多数の対の1つに積極駆動式に連結されている。
図5Aは、図5の実施形態に類似しているが、4本のホイップロッドを使用した変型実施形態を示す詳細透視図である。
図5Bは、単一ロッドの群を互いに180°位相をずらして駆動するようにしたバランス(平衡化)装置を示す概略上面図である。
図6は、図5及び7の軌道運動駆動機構の摩耗および公差に対する許容の大きさを示す概略上面図であり、5本の管の中心がa1・・・・a5で表され、それに組合わされた駆動プレートの連結点がb1・・・・b5で表されている。
図7は、図5の実施形態に類似しているが、1対のオフセットされた平たいホイップロッドと半径方向のばね押し補助取付部材を使用した変型実施形態を示す詳細透視図である。
図7Aは、図7の実施形態の変型例であり、4本のホイップロッドを使用した例を示す詳細透視図である。
図8は、本発明の熱交換器及び解氷バーナーを用いたサーマル貯留システムの概略図である。
好ましい実施形態の説明
図1は、ホイップロッドの軌道運動駆動機構を使用した本発明によるホイップロッド付き熱伝達装置又は熱交換器100を示す。熱伝達装置100は、基本的には、複数の熱伝達管又は熱交換管1とそれらを囲包した容器又はシェル(外殻)2から成る。頂部管板3と、下方管板4が、管1と協同して容器2の内部空間を画室又はチャンバー5,6及び8に分割している。画室8は、熱伝達管1の外側即ちシェル側空間である。内側即ち管側空間は、すべての管1内の内部空間と、頂部管板3より上の上方チャンバー5と、下方管板より下の下方チャンバー6を含む。
各管1は、銅又はスチールのような高熱伝達特性を有する材料で形成された薄肉管であり、内側熱伝達表面7と、外側熱伝達表面を有する。管の内表面又は外表面に熱伝達特性を高めるための溝等を形成する何らかの表面処理を施してもよい。
第1プロセス媒体Iは、導管又はノズル9,10を通してチャンバー8内へ導入し、導管11及び12を通してそれぞれ上方チャンバー5及び下方チャンバー6内へ、そして管1内へ導入することができる第2プロセス媒体IIと各熱伝達管1の壁を通して熱交換させることができる。例えば、海水の脱塩に適用される場合は、媒体IIは海水であり、媒体Iはスチールのような加熱された蒸気である。氷スラリーを生成する場合は、媒体IIは、管の壁にではなく、水の中に大きな氷の結晶を生成することを促進する添加剤を含有した水であり、媒体Iは、好ましくは、管の外表面で沸騰して2相の蒸気/泡流を生成する加圧された冷媒である。この場合、水に添加するための好適な添加剤は、エチレングリコール(自動車用不凍液)、プロピレングリコール、ミルク、海水、酢酸カルシウムマグネシウム、無水結晶を生成する炭酸水素ナトリウム等のある種の無機塩類等である。代表的な例では、3〜10%溶液が用いられる。好適な添加剤を使用すれば、非常に細かい粉末状の氷結晶が得られる。あまり有効でない添加剤を使用すると、大粒の扁平なフレークのような氷結晶が生じる。好適な溶液は、普通の家庭用フリーザに一晩入れておくと、どろどろした、撹拌し易い状態となるが、添加剤が不適当なものであったり、溶液の添加剤濃度が不適当であったりすると、凍結した塊体となる。
装置100を蒸発プロセスに用いる場合は、高い温度を有するチャンバー8内の媒体Iを用いて低い温度を有するチャンバー5内の媒体IIを蒸発させる。詳述すれば、スチームを導管10を通してチャンバー8内に導入し、各管1の外表面上で凝縮させて生じた凝縮液を出口導管9から流出させる。このスチームから放出される熱を用いて、媒体II、即ち、管板3の上方に通じる導管11を通して上方チャンバー5内に導入された流体を蒸発させる。供給物の一分配方法によれば、供給物(媒体II)を液体プールの形で管板3の上に分配される。この液体は、上方チャンバー5から各管1内に入り、管を通って流下する。チャンバー8内のスチームの凝縮によって放出された潜熱は、管1の壁を貫通し管内の液体を蒸発させる。それによって発生した蒸気は、各管1の上端を通り、出口11aを通って流出するか、あるいは、別の構成によれば、管1内を液体流の流と並流関係をなして流下し、チャンバー6の下端の出口導管12を通って流出する。
各管1内には、管内で軌道運動の態様で回転するように駆動されるホイップロッド24が設けられている。曲線矢印300で示されているこの軌道運動は、遠心力を創生し、各ロッド24を、その軸線が対応する管1の軸線に整列した状態で管1の内表面に押しつける働きをする。図2に示される落下膜式作動モード(以下、単に「落下膜モード」とも称する)では、ロッド24のこの軌道運動は、管内の液体流即ち供給液IIを薄い均一な液膜の形に延展してその蒸発を容易にし、それによって熱伝達係数を高める。図1に示される溢汪モードでは、供給液IIに乱流を起させ、管の内表面に付着する固形付着物を制御することができる。
ホイップロッド24の質量及び回転速度は、用途、作動モード、管の条件及びサイズ及びその他の要素に応じて当業者には明らかな態様で変更することができる。例えば、海水脱塩の用途においては、ロッドの軌道運動が、海水に溶解しているいろいろな成分が海水の蒸発中に析出してスケールを生じるのを防止するようにすることが望ましい。ある種の食品の濃縮プロセスに適用される場合は、ロッドは、濃縮された流体を、その濃縮物中の微妙な物質を損傷させないようにして流体の粘性に抗して押出すことができるようにすべきである。氷スラリーを生成する場合は、熱の流れ方向が管の内側から外側へ向けられるようにし、液体が管内を流下しながら冷却される間に氷の結晶が生成されるようにする。この応用例においては、ロッドの機能は、管1の内表面に付着して成長する氷結晶をその初期生成段階で破砕し剥離することである。
図1の構成においては、ロッド24は、管1内にそれ自体で立っている自立(フリースタンディング)部材とすることが好ましく、軌道運動300を行うことができるように、ロッドの下端を何らかの適当な低摩擦表面を有するプレート又はシェル2の下端壁又はカバー2a上に載せる。溢汪モードのための好ましい実施形態においては、ロッド24の軌道運動は、1対の互いに垂直方向に離隔させた水平駆動プレート22,22’によって作動される。これらの駆動プレート22,22’は、一端においてシェル2の端部カバー2aに係留され、他端において該プレート22,22’に係留された可撓軸93,93’によって支持することができる。可撓軸93,93’は、ねじり方向には剛性であるが、曲げ力に対しては可撓性である。自在継手を用いても同じ機能が得られる。プレート22,22’は、このように懸架されているので、並進運動に対しては自由であるが、ねじり運動に対しては自由ではない。
駆動プレート22,22’の中心にそれぞれブッシュ21,21’が装着されており、それらのブッシュを通して軸17が延設されている。軸17は、中心軸即ち主駆動クランク軸14に取り付けられたクランク16,18によって軌道回転するように駆動される。中心軸14は、軸受兼シール15を介して容器2に装着されたモータ13により駆動される。かくして、モータ13が作動すると、プレート22,22’を軌道運動させ、プレート22,22’が、それらに穿設された駆動穴23,23’内に捕捉されたロッド24を同様の軌道運動をするように駆動する。駆動穴23,23’の直径は、各ロッド24が管1内で軌道運動しながら自動調節することができるようにロッド24の外径より相当に大きくされている。
図1は、ホイップロッド付き熱交換器100が、海上での揺動運動中に傾けられる船のデッキを模して水平面から傾けられた平坦なプレート200に固定されたものとして示している。従って、熱交換器100は、非垂直向きに傾いている。このような動くベース上での作動の場合には、落下膜作動モードに関連して伝統的に慣用されている液面高さ制御器や供給液分配法は、有効ではない。供給液分配は、管側チャンバー1,5,6が完全に溢汪状態である(完全に液体で満たされている)ときは、チャンバー及び管の向きによっては全く影響されないので、供給液IIを管のどちらの端部からでも管内へ導入することができる。ホイップロッド24は、それぞれ該ロッドの両端に係合する2つの駆動プレート22,22’によって軌道運動するように駆動される。この駆動法は、ロッドの一端だけから駆動する方法より確実な駆動法であるが、移動するベース上での作動や非垂直向きでの作動において、又、管側チャンバー完全溢汪状態での作動においては極めて好ましい。
図2は、頂部管板2の上方に取り付けられた単一の駆動プレート22を用いた本発明の別の実施形態による軌道運動ロッド付き熱伝達装置又は熱交換器100’を一部破除された透視図で示す。図2の実施形態において図1のものと同様の部品は同じ番号で示されている。熱交換器100’の向き(姿勢)は、ほぼ垂直であり、ホイップロッド24は、駆動プレート22に穿設された穴23と各ロッド24の一端に固定された水平ピン25によって懸架されている。水平ピン25は、ロッド24が穴23に対してどのような位置を取っても穴23から抜け落ちることがないような寸法にされている。この取り付け構造は、簡単な「落し込み」組立て(ロッド24を上から穴23を通して落し込むことによって組立てる方法)を可能にし、修理やメンテナンスのための分解も容易にする。
熱伝達管1内でのロッド24の軌道運動は、やはり、モータ13によって、軸受15を貫通して延長した主駆動クランク軸14、クランク16及びクランクピン17’を介して駆動される。クランク16及びクランクピン17’は、軸14によって軌道回転せしめられ、その軌道駆動運動を駆動プレート22の中心の軸受21に伝達する。駆動プレート22は、クランク16の円運動に追従して、自軸回転ではなく、主駆動クランク軸14の中心線(管板3の中心線に一致している)を中心とする真円軌道運動をする。なぜなら、すべてのロッド24が、あたかもプレート22が多クランクによって案内されているかの如くにそれぞれ対応する管1の中心線を中心とする円運動をするように拘束されているからである。部品の摩耗及び製造公差を実質的に許容することができるこの多重駆動構成は、穴23をロッド24の径より相当に大きくすることによって得られる。限定する目的ではなく例として挙げれば、管1の内径を1.50in(3.81cm)、長さを4ft(1.22m)とし、ロッド24を管より多少長い3/8in(0.94cm)径のステンレス鋼製とした場合、穴23の直径は5/8in(1.59cm)とする。ロッド24と穴23との間のクリアランスは、熱交換器100’が図2に示されるように落下膜モードで作動される場合、各管への供給液の入口としても機能する。供給液は穴23とロッド24との係合部を潤滑するが、ロッド24は、穴23を氷粒等の異物で詰まるのを防止する働きをする。
ロッド24はその上端から懸架されているので、ロッドの下端には障害物が存在せず、従って、氷スラリー27はドレン穴28へ自由に流出することができ、導管12を通って適当なポンプ(図示せず)の吸入口へ流れ、ポンプによって貯留タンクへ送られ、又は、少くとも一部は再循環ループ管を通して熱交換器100’へ戻される。用例によっては、ロッド24を下方管板4を越えて容器の底壁近くにまで延長させることが望ましい場合もある。そうすることによってロッドの質量を大きくすることができ、それによって流れ内の氷スラリーの濃度が最大限に達して最も凍結し易い部位である管の下方の内表面に当接するロッドの接触圧力を増大させることができる。又、容器の底壁近くにまで延長されたロッド24は、氷スラリー27のドレン穴28への流れをよくするために氷スラリーを撹拌する働きもする。
熱交換器100’がフリーザ又はチラー作動される場合は、液体冷媒は入口導管9を通してチャンバー8内へ導入され、熱伝達管1の外表面に接触して蒸発される。それによって生じた蒸気は、出口10から凝縮器ユニット(圧縮機と、凝縮器と、受取り器と吸引アキュミュレータとの商業用標準組み合わせ機)へ通され、そこから入口導管9へ戻される。
冷媒を蒸発させることに伴う冷却効果により管1の内表面7に沿って流下する水から熱が奪われる。その結果として、水は部分凍結した氷スラリーとなる。水は、ホイップロッド24の軌道運動によって押し進められロッドの前で管の内表面に沿って回転し、ロッドの後方に薄い水幕を残す。この薄い水幕と、管の内表面が完全に濡らされることと、ロッドの運動により管内の流れの前方に乱流波が生じることとが相俟って、管1内の熱伝達特性が向上される。
このフリージング用途においては、供給水内での氷の結晶化の度合を高めることが望ましい。結晶の成長は、管壁のところでなく、ロッドの運動によって惹起される乱流流れの中に起るのが理想的である。5%塩化カルシウム溶液を用いたテストにおいて、単一の管を有するテストユニットから流出してきた流体は、最初は過飽和状態(平衡凍結温度より数°C低い温度に過冷却された状態)であったが、ある時点で過飽和状態を緩和するために微小結晶の群が自発的に凝集し、流体が白色になった。ブローダウン温度が急激に平衡値にまで上昇し、テスト時間中その温度に留まった。この自発的凝集(核形成)現象は、結晶の成長が管壁上にではなく、ホイップロッドの前で溶液内に起るという仮説を実証するものであるが、氷が生じる仕組みは明らかにはなっておらず、まだ定説は存在していない。
ホイップロッド24は、典型的な例では、約400〜700rpm又は約10回転/秒の速度で軌道回転する。これは、水が4ft(1.22m)の長さの管内を自由落下するのに必要な1/2〜1秒よりはるかに速い。従って、水は、常時ロッド24によって押されながら長い、浅い(傾斜角の小さい)らせん経路に沿って流れるので、結晶が管壁上で成長する機会が少なくなる。
冷媒側に関しては、冷媒に露出される表面積を増大させるための溝付表面等のいろいろな手段によって熱伝達性能を高めることができる。しかしながら、本発明者等は、図3に示されるように、垂直管型熱交換器では、上端と下端において冷媒の流れに対して開口した同心筒状ジャケット35を各熱伝達管1に被せ、パーコレーション作用により冷媒の循環を促進することが有利であることを見出した。ジャケット35は、冷媒の沸騰を熱交換管1とジャケット35の間の環状空間37に限定する。比較的軽い蒸気泡が、熱伝達表面に沿って急速に上昇する流体の流れを創生し強い対流が設定されると考えられる。その結果生じる高い蒸気速度が、沸騰側の膜係数を相当に改善し、熱流束を管全体に亙ってより均一にする剪断力を創生すると考えられる。この熱サイフォン管法は、最初は軌道運動式製氷機にのみ有益であると考えられたが、今では、シェル側で沸騰させる垂直管型熱交換器一般にとって有利であると考えられる。2相を分離するための外部分離容器を用いた複管板構造の場合、この熱サイフォン管構成及びその作動理論は、水平管型の熱交換器にも適用することができよう。
管1の外周をジャケット35で囲繞した構造で、外径1.5in(3.81cm)の鋼製熱伝達管と、700rpmで軌道運動する外径3/8in(0.94cm)のステンレス鋼製のホイップロッドを有するシステムの場合、軌道運動式フリーザの典型的な熱伝達係数は、約800BTU/時・ft2・°Fである。温度差を8°F(4.46°C)供給液への代表的な添加剤として5%のエチレングリコール又は3.5%の塩を使用し、冷媒としてR22を使用した。
図4及び4Aは、軌道運動する駆動プレート22の穴23によって押されて熱伝達管1と同心の円矢印300によって表されるように軌道運動せしめられるホイップロッド24と、供給液と、管1との相互作用の動力学を示す。流下する流体流41は、ホイップロッド24によってその軌道運動の前方へ押される。力60は、駆動プレート22,22’の穴23の運動から導出される力61によって管1内で軌道回転駆動されるロッド24の遠心力である。この遠心力60は、流体がロッド24によって押されるときにロッド24の表面に作用する流体力学的力63によって反作用を受ける。
図4Aは、これらの力ベクトルのバランスの物理的性質をより明瞭に示す力平衡図である。基本的には、ベクトル63の接線方向の成分は、モータ13によって供給されるく動力に直接関連するべく61によってバランスされる。ベクトル63の半径方向の成分は、ロッド24の速度、直径及び密度の関数である遠心力60によってバランスされる。ロッド24の速度及び直径は、ベクトル63の特性にも影響するので、ロッドの密度だけが独立した制御要素である。
完全な系においては、すべてのホイップロッドの遠心力と駆動プレートの遠心力の和が、その系全体に作用する回転撹乱力を創生し、系に振動運動を与える。
図4Aは、管1の全長の中点において管の中心線に対して垂直な平面内で作用する3つの力ベクトル60,61及び63の仮定的な平衡図であることにも留意されたい。この仮定図は、ロッド24がその両端に作用する2つの駆動プレート22,22’によって駆動される場合に、移動するロッド24に作用する力を明確に示している。ロッド24がその一端だけから駆動される場合は、駆動力61と反作用力63とが同じ平面内で作用しないのでロッドを傾けようとするモーメントが生じる。
このロッド傾動モーメントに対する反作用は、管の曲面とロッド24の剛性から生じる。具体的にいえば、遠心力60は、剛性のロッドを管1の中心線と平行に、曲率がゼロとなる部位で管壁に同一平面内で自動的に整列するように押しつける。かくして、ロッド24は、遠心力の作用を受けてあたかも軸受によって案内されているように管1の中心線と平行に公転する。先に述べたように、氷スラリーの生成のようなある種の応用例においては、氷が管(垂直向きであるとした場合)の上端より下端に多く堆積及び、又は成長する。熱交換器が高い熱流束で作動されているときは、この状況(氷が管の下端の方に多く堆積及び、又は成長する状況)が遠心力60のロッド整列作用を上回り、最終的に装置を凍結させてしまうことがある。この問題に対する本発明の解決策を図4を参照して以下に説明する。
流れ41は、非常な乱流である。現在までの研究では、フリーザ用途においては、氷の結晶形成の大部分がこの乱流流れ41内で生じると考えられている。初期段階においては、移動するロッドの後方に残された薄い膜の形に若干の氷が管の表面に形成されることがある。しかしながら、流れ41の乱流とロッド24の機械的作用が、上述した添加剤の作用と相俟って、この初期段階での氷生成物が成長して厚い、硬い氷片又は氷被膜となるのを防止すると考えられる。そのような氷片又は氷被膜が管壁に堅く付着すると、ロッド24では除去することは不可能である。
図5は、本発明の別の重要な特徴、即ち、単一の軌道運動駆動プレート22で、各熱伝達管1に1つづつ組合わされた多クランク40を駆動するように構成した軌道運動駆動機構を示す。この実施形態においても、やはり、他の実施形態のものと同様の部品は同じ番号で示されている。図5には、1本の管1だけが詳細に示されている。クランク40の回転自在の主駆動クランク軸44は、その中心線を管1と同心関係に維持するように、三脚スパイダー状ブラケット47によって固定されたブッシュ42によって案内される。ブラケット47は、管内へ弾発的に挿入することができ、自動的に心合するように1つの剛性アーム47aと2つの撓み自在アーム47bとで構成されている。管の周壁には、ブラケット47のアーム47a,47bに確実に弾発的に係合するための止め(図7)が設けられている。これらの止めは、管1を管板3に接合する通常の水圧スエージ加工の工程中に形成される。ブラケット47とクランク40は、組立て及びメンテナンスのための分解を容易にするために上から管1内へ挿入することができる。
クランク軸44の上端は、クランクアーム41に固定され、クランクアーム41は、駆動プレート22の穴23に捕捉されて駆動プレート22に機械的に連結されたクランクピン39を担持している。ピン39を受容する駆動プレート22の穴23は、先に述べたように、ピン39の径より大きくすることが好ましい。軸44の下端は、この実施形態では両端にスロット48,48’を有する平坦なアームの形として回転部材46に係合している。スロット48,48’は、ロッド24,24’に形成されたくびれた頚部49,49’に弛く嵌合する。それと同時にこの取付構造は、このクランク組立体がロッド24,24’及び管1の軸線に対してほぼ直交する平面内で軌道運動駆動プレート22の軌道運動によって回転駆動されるのと併行して、ロッドを管1内で転動させる。この実施形態は、垂直向きでの単一の頂部駆動プレートによる駆動機構に最も適しているが、非垂直向きでの作動におけるようにダブル駆動プレートによる駆動機構にも適用することができる。又、ロッド24の取り付けは、剛的ではないことも重要である。即ち、ホイップロッド24は、スロット48,48’内で半径方向に自由に移動することができ、それによって、ロッド自体は剛性であるが、自由に移動する融通性を有するという利点が得られ、かつ、従来の剛性のホイップロッドに随伴する精度及び公差の厳密さ及び摩耗の問題を回避する。
図6は、図2、5又は7の軌道運動駆動機構が部品の摩耗及び製造公差を吸収する仕組みを示す説明図であり、図を簡略にするために、図2、5又は7の管板3の中心Sの周りに単一の円上に等角度の間隔をおいて配列された5本の管から成る熱交換器に関連して示している。星形パターンa1−a2−a3−a4−a5は、管板3上の5本の管の配列パターンを表し、それらの点a1・・・・a5は、管の中心線であるとともに、図5及び7の実施形態におけるクランク44の中心線にも相当する。Sは、主駆動クランク軸14の中心線を表わす。原則的に、Sは、図に示されるように管配列パターンa1〜anの幾何学的中心に位置すべきである。点a間の太い線3−1、3−2、3−3、3−4及び3−5は、管板3の連結ウエブ又はそれに相当する構造部材(単一又は複数の部材)を表す(即ち、点a1〜a5は、管板3の構造部材によって互いに固定関係に連結されていることを示す)。
図6の点b1−b2−b3−b4−b5及びそれらの点を間を結ぶ細い線22−1・・・・22−5は、幾何学的中心Tを有する軌道運動駆動プレート22を表す。(詳述すれば、点b15は、駆動プレート22の穴23と個々のロッド駆動クランク40のクランクピン39との連結点を表し、点b1〜b5間を結ぶ細いセンサ22−1〜22−5は、点b1〜b5を互いに固定関係に連結する駆動プレート22の構造部材を表す。)原則的に、パターンaとbとは、同一であり、軌道運動駆動プレート22のパターンbが管板のパターンaから平行に変位(並進)したとき、すべての変位ベクトルr(r0、r1、r2、r3、r4、r5)が同一になる。rがクランクアーム41の半径によって一定に固定されているから、パターンbは、真円軌道運動をする。
部品の寸法公差の問題は、平行四辺形bi−T−S−ai−bi(b1−T−S−a1−b1〜b5−T−S−a5−b5)の各々について検査し、全ての平行四辺形の累積寸法誤差を算出することによって調べることができる。寸法誤差は、管配列パターンにおける摩耗、軸承部のがた及び製造公差と、ブラケット47の心ぶれ公差との組み合わせによって生じる。しかしながら、軌道運動駆動プレートの構造においては、すべての平行四辺形bi−T−S−ai−biの累積誤差は、駆動プレート22の穴23とクランクピン39との間に通常1/16in(1.5875mm)の遊隙を設けることによって容易に対処することができる。この遊隙は、各点biを囲繞する円Ci(図6ではC1〜C5)によって表されている。
本発明の軌道運動駆動プレート22を用いて1/2in(12.7mm)の半径rを有するクランク(軌道運動ロッド型であれ、図5の完全自立の慣用型であれ)を駆動した場合、各管1のクランクには主駆動クランク軸14に対して5°の位相のずれが生じる。このずれは、駆動プレート22に作用するクランクの反作用力の負荷パターンにごく僅かなずれとして移行される。しかしながら、実際の作動経験から、この軌道運動駆動プレートによる軌道運動駆動構成は、駆動穴23の寸法及び形状の広範な変動に対して実質的に不感症である(即ち、大きな許容性を有する)ことが実証された。要するに、この軌道運動駆動機構は、軌道運動を効率的に多数の管に同時に伝達するのみならず、駆動機構のどの部分における摩耗に対しても実質的に不感応であり、厳密な寸法公差をもって製造し又は組立てなければならない部品を必要としない。従って、この駆動機構は、耐久性がよく、メンテナンスが容易であり、比較的製造コストが安い。又、所要部品数も少ない。例えば、回転力を多数の管に伝達する複雑な歯車列がなく、大抵の応用例において下方の駆動プレート22’は必要とされない。
図7は、1対の180°対向したほぼ長方形の平たいホイップロッド50,50’を駆動するためにクランク組立体を使用する変型実施形態を示す。これらのホイップロッド50,50’は、(1)回転移動することにより管1内の供給液に乱流を惹起し、(2)管の内壁7に堆積し、又は内壁から成長する固形堆積物(例えば、フリーザとして使用される場合は氷結晶)を除去するために管の内壁7に近接してのみのような(テーパした)先行縁を有している。
この発明のもう1つの主要な特徴は、遠心力60(図4参照)を助成するためにロッド50,50’に補助的な半径方向の力を付与するための構成である。その目的のために、この実施形態では、1対の板ばね51,51’が設けられている。従って、管壁7に対するホイップロッド50,50’の係合力は、遠心力と、ばね51の重力成分と、ばね51,51’の弾性力との合計となる。この構成は、図5の実施形態におけるスロット48,48と同様に、ロッド50,50’のための非剛性の(ばね押し)取付構造を構成する。この「弛い」(弾性的な)半径方向の位置づけは、精密な機械的構造及び組立て及び厳密な公差を必要とすることなく本発明の目的を達成するのを助成する。
フリーザ/チラーに使用された場合、低速度で高いトルクで回転する図7に示されたような単純なばね押しホイップロッドは、それらのロッドが積極的に駆動されるものであれ、受動的に駆動されるものであれ、氷が管の内側表面7上に許容し得ないほどの厚さにまで被膜として形成されるのを許してしまうことがある。氷被膜が許容し得ないほどの厚さにまで成長すると、氷被膜は、この軌道運動機構の強い力によって単純に掻取られる。(管壁から削り取られた氷の結晶形状は、ある種の応用例にとっては好ましい形状である場合がある。)又、低速度、例えば100rpm未満の回転速度では、通常、ロッドの、管壁に対する圧接を維持し、管壁上の固形物の堆積を制御するの十分な遠心力を創生することはできない。ばね取付は、比較的低速での作動を可能にし、かつ、振動又はそれに関連する問題を軽減する。
サーマル貯留のための氷スラリーを生成する場合は、管表面7上にではなく、ホイップロッドの前方で乱流下向き流れ41中に結晶形成が生じるように仕向けることが望ましい。一旦氷が管表面に付着すると、掻取るのは比較的困難である。しかも、管表面に付着した氷の層は、更なる氷の成長を助長する。従って、ロッドが氷結によって管壁に固着されてしまう運転混乱状態を惹起するほどの厚い氷層が成長するおそれがある。そのような運転混乱状態から再開するには、長い溶解時間を必要とする。その場合、添加剤とホイップロッドが管壁上での氷の成長を制御できることを確認するために、作動条件に慎重な配慮を払わなければならない。
フリーザとしての作動、特に氷スラリーモードでの作動を容易にするために、図7に仮想線で示されるフック52,52’を一端においてホイップロッド50,50’に固定し、他端において中心クランク軸44に巻きつける。フック52,52’は、ばねフック51,51’の弾性力と遠心力60に応答してホイップロッド50,50’が軸44から離れる方向に移動する最大移動行程を設定する剛性のストッパーとして機能し、ホイップロッド50,50’と管1の内側表面7との間に典型的な例では数ミル(0.004in即ち0.010mm)の狭い正確な間隙を維持する。
各管内に互いに180°の角度間隔をおいて配置された2本のロッドは、管表面7に沿って移動する際自動的にバランス(平衡)を保つことができることが分かるであろう。もちろん、2本以上のロッドを用いることもできる。例えば図7Aに示されるように4本のロッドを90°の間隔をおいて配置した場合も、同様なバランス調節が得られ、軌道回転運動の速度を一定とした場合のロッドの作用を高めることができる。
小型システムの場合は、複数本の管の各々に1本づつホイップロッドを配置しそれらのロッドを軌道運動駆動機構や歯車列のような多重駆動機構によって駆動する構成とするよりは、図5Aに示されるように、1つの円筒体内に数本のホイップロッドを弛く懸架する構成とする方が経済的である。ホイップロッドの特性をテストするための実験的段階において、熱伝達ジャケット内に1つの管を同心的に配置し、数本のホイップロッドを図5Aに示されるのと同じ態様で駆動する構成が、極めて便利で経済的であることが判明した。
動的バランスを維持するためには、上述したようにクランクを用いて各管内での対のホイップロッドを駆動するようにすればよいことは容易に理解されよう。各管内に1本だけのホイップロッドが用いられる構成の場合は、動的バランスは、図5Bに示されるように180°移動角度がずれているロッドの群を対として組み合わせることによって達成することができる。図5Bでは、19本の管1内に1本づつ配置された19本のロッドが、小円24で表された10本のロッドの群と、小ドット24’で表された9本のロッドの群との2つの群に分割されている。一般に、動的バランスは、並進モード(平行移動)と、ねじりモードの両方で考慮しなければならない。目標は、2つの対向する、ほぼ同数のロッドから成るロッド群のC.G(重心)を共通の軸線(好ましくは全体の系の中心線)の周りに互いに180°の位相角をもって回転させることである。
図2の軌道運動ロッド構成の場合、例として上述した作動条件においては、上述した6000BTU/ft2・時の熱流束が実際上の上限である。この軌道運動ロッド構成は、その交換器を商業的に望ましいレベル、即ちほぼ6000BTU/ft2・時の熱流束値で作動させた場合、初期形成氷を除去し、運転混乱状態を回避するために中庸程度の能力を発揮するに過ぎないことが判明した。これは、回転するホイップロッドの管壁に対する係合力を、最良の条件下でも大きさに限度があり、しかも管壁に氷が堆積し軌道半径が短くなるにつれて小さくなる遠心力60だけに依存しているからである。この構成では、初期混乱が検出されたならば、回復所要時間を短縮するために即座に作動を停止するための警報を設けることが望ましい。
図7の構成を参照して説明すると、初期氷形成(樹枝状結晶の成長であると考えられる)が管表面7上に生じた場合、ばね作用により制御される間隙(ホイップロッドと管表面との間の間隙)が、氷のそれ以上の成長(間隙を越えての成長)を阻止するための緩やかな掻取り作用をする。これは、運転混乱状態を回避する上で重要である。この目的のために、ばね作用により制御される間隙は、剛的に取り付けられたロッド構成より高い融通性を提供する。
要約すれば、熱交換器全体又は熱交換管自体を軌道運動させるのとは異なり、ホイップロッドを軌道運動駆動プレートで「直接的に」駆動することは、被駆動質量を大幅に減少し、駆動機構に課せられる応力及び設計要件を緩和することができる。ただし、「直接的」駆動は、ホイップロッドを前方へ押し進めるのに必要とされる接線方向の力を供給することに限定されるので、管壁に対するホイップロッドの荷重(押圧力又は係合力)は、比較的小さい大きさの力である遠心力から間接的に生じるのであり、軌道運動駆動機構のトルク能力を完全には利用することができない。ホイップロッドを軌道運動駆動プレートでクランクを介して駆動することによって、特に追加の随意選択としてホイップロッドにばね荷重を掛けることによって、比較的高い粘性を有する流体を処理するための、特に氷スラリーを生成するための軌道運動駆動機構付き熱交換器の能力を完全に引き出すことができる。
図8は、完全な熱交換システムを示す。この例では、サーマル貯留システムは、本発明に従って構成された氷スラリー生成機100と、氷スラリー貯留タンク111と、貯留タンク111内の氷を融解することによって得られた該タンク内の貯留「コールド」即ち氷水又は冷水を受取り、ビルヂング112又はその他の設備へ分配するためのコールド分配システム118から成る。コールド分配システム118は、(コイル(熱交換用螺旋管)によって概略的に示されている)閉ループである。氷スラリー生成機100が溢汪モードで作動された場合、通常の循環ポンプ又は供給ポンプを用いるだけで液面高さ制御器を用いる必要なしに高層ビルへコールドを供給することができるという重要な利点を提供する。
冷却水(冷却された水)即ち「コールド」を分配するには、貯留された氷を融解(ここでは、「焼く」又は「焼解する」とも称する)しなければならない。氷スラリー生成機100の配置場所によっては、流体の循環を駆動又は助成するのに重力又は対流を利用することができる。氷スラリーを搬送し分配する場合は、それを氷スラリー貯留タンク111から分配システム118へポンプ送りしなければならない。そのようなサーマル貯留システムにおいては、氷を生成するための時間と、氷を「焼く」即ち「焼解」する(熱を加えて解かす)ための時間とがずらされており、通常、時間の長さも異なる。ある種の応用例(例えば、教会)においては、氷を生成し貯留しておく時間を長くし、氷を「焼解」する時間を比較的短くすることができる。
氷貯留のための1つの特別の問題は、タンク111内に貯留された氷スラリー中の氷が凝集して氷塊となり、水面上に浮上する傾向があることである。貯留氷スラリーが冷却水としてビル等へ供給されて使用された後、温水となった戻り水(使用済みの水)は、ポンプによって氷スラリー貯留タンク111内へ戻され、タンク111内の氷を「焼く」のに用いられる。しかしながら、この温水は、タンク内の水面上に浮いている氷塊112を通り抜けて流下してしまう傾向がある。その結果、氷の最大融解速度を低下させ、タンク内にその氷装入物の多くが残っているにも拘らず、温水をタンクの底にまで「ショートカット」(近道)させてしまう。この問題に対処するために、氷スラリー貯留タンク111の頂部に可動ノズル120を設置し、この可動ノズル120を再循環温水を氷塊112の全面にほぼ均一に分配するようなパターンで移動させる。
以上、溢汪モード又は流下膜モードで、固定基準ベース又は動く基準ベース上で垂直又は非垂直向きで作動することができる極めて能率的で効果的な熱伝達を可能にする新規な軌道運動駆動式熱交換器及びサーマル貯留システムを開示した。又、各熱交換管において高いトルクを付与することができ、随意選択として補助半径方向力の付与及びロッド/管壁間間隙制御を可能にした、管内ホイップロッド付きの多数の熱交換管を同時に作動させるための積極軌道運動駆動機構を開示した。駆動機構は、極めて信頼性及び耐久性が高く、部品及び組立体の通常の摩耗や公差に対して実質的に不感症である。又、この駆動機構は、たとえ、ホイップロッドを単一端駆動で作動させても、又、ホイップロッドの移動に対する管の内側表面の抵抗が円周方向に不均一であっても、ロッドが自動的に位置調節するのを可能にする。
本発明の駆動機構は、又、所要部品数が少ないこと、公差条件が緩いこと、組立が容易であること、及び修理又は日常メンテナンスのための分解が容易であることからコストが安いという利点がある。
又、本出願において、熱伝達管の外側表面における熱伝達を向上させるための保熱ジャケットを開示した。
本発明の熱交換器及び熱交換システムは、高い熱効率で作動し、コンパクトであり、規模の拡大縮小が自在であり、特別のポンプも、液面高さ制御器も必要なく、特に高層ビルに適用する場合でもコールド分配システムなしで、閉ループ系で作動することができる。
以上、本発明を好ましい実施形態に関連して説明したが、本発明は、詳細な説明及び添付図からいろいろな変更及び改変が可能であることは当業者には明らかであろう。例えば、ホイップロッド及びクランクピンは、駆動プレートに形成された穴に弛く保持されるものとして示されているが、それらは、コスト高になり、流体供給態様の選択肢(オプション)が少なくはなるが、軸受に装着してもよい。又、ホイップロッドは、上方駆動プレートからピンによって懸架されたものとして示されているが、それらは、下端において自立(フリースタンディング)するようにより精巧な手段によって懸架してもよく、両端を撓み自在に係留してもよく、あるいは、下端における接触力を増大させるピボット機構によって支持してもよい。ただし、これらの変型実施形態は、選択肢を少なくし、コスト高となり、特に氷スラリーの製造に用いられた場合固形物の堆積が生じ易いので、余り好ま敷くないと考えられる。
駆動プレートは、ここで説明した総体的な設計目的及び構造と矛盾しないいろいろな形態を取ることができ、その駆動源及び駆動プレートに対する駆動源の連結態様もいろいろな形態を取ることができる。例えば、駆動プレートは、複数のリング配列体をワイヤ又はアームの網状体で支持した剛性の閉ループフレームで形成することができる。各リングにホイップロッド又はクランクピンの一端を保持させる。又、駆動力は、単一のモータから主駆動軸及び偏心器(クランク)を介して供給されるものとして説明されているが、本発明の駆動帰国は、多数の駆動源を使用し、それらの作動を同期させる手段と、懸架された駆動プレートが一平面内でねじれることなく移動するように駆動プレートに連結された回転釣り合い錘りを設けてもよく、あるいは、駆動プレートの軌道運動を創生するように作動調整された互いに垂直関係に配置された上述のリニア駆動機を用いてもよい。

Claims (26)

  1. 静止状態に保たれ、ホット流体とコールド流体の間で熱伝達管の管壁を半径方向に貫通して熱を交換する少くとも1つの熱伝達管(1)を有し、ホット流体とコールド流体の一方が該管内を管の少くとも内側表面に沿って流れるプロセス流体であり、該管内にホイップロッド(24、24’、50、50’)が配設されて成る熱交換器において、
    遠心力を創成して前記ホイップロッドを前記管の内側表面に押しつけながら前記ホイップロッドを前記管の内側表面の周りに積極的に移動させるための駆動手段を備えており、該駆動手段は、駆動源(13)と、該駆動源を該ロッドに連結し、駆動源の出力を、管の内側表面に沿ってロッドの軌道運動に変換するための機械的連結手段(16、18、22、22’、23、23’、25、40、46、46’)を含み、それによって、移動するホイップロッドが前記プロセス流体と物理的に相互作用し、該プロセス流体から管の内側表面への固形物の堆積を制御し、前記熱伝達管及びホイップロッドは、該管が前記プロセス流体で溢汪される溢汪モード及び該管がプロセス流体の流下膜で被覆される流下膜モードで作動可能であると共に、垂直向き及び非垂直向きで作動可能であることを特徴とする熱交換器。
  2. 前記プロセス流体は、前記管の内部を完全に満たすようになされていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  3. 該熱交換器は、動く基準部材(200)上に設置されていることを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  4. 前記管及びホイップロッドは、非垂直の向きに設置されていることを特徴とする請求項2に記載の熱交換器。
  5. 前記機械的連結手段は、前記ホイップロッドに対してほぼ直交する方向に延設された少くとも1つの駆動プレート(22、22’)を含むことを特徴とする請求項1に記載の熱交換器。
  6. 前記機械的連結手段は、前記駆動プレートと前記ホイップロッドの間に作動的に連結されたクランク(40)を含むことを特徴とする請求項5に記載の熱交換器。
  7. 前記熱伝達管は、実質的に垂直向きであり、前記機械的連結手段は、前記ホイップロッドが該管に対して少くとも半径方向に自由に移動するのを可能にするように該ホイップロッドを懸架する手段(48、48’)を含むことを特徴とする請求項6に記載の熱交換器。
  8. 複数本の前記熱伝達管及びホイップロッドは、互いに平行に間隔をおいて配列されており、前記機械的連結手段は、熱伝達管及びホイップロッドと同じ複数本のクランク(40)を含み、該各クランクは、前記駆動プレートと前記ホイップロッドの少くとも1本との間に作動的に連結されていることを特徴とする請求項6に記載の熱交換器。
  9. 前記ホイップロッドの移動中該ホイップロッドに動的バランスを与えるように少くとも2本のホイップロッドが前記各熱伝達管内に配置されており、前記機械的連結手段は、各熱伝達管内の該少くとも2本のホイップロッドを一緒に、かつ、実質的に一定の角度関係をもって移動させるための手段(46、46’)を含むことを特徴とする請求項6、7又は8に記載の熱交換器。
  10. 前記ホイップロッドに補助半径方向力を及ぼすための補助力手段を含むことを特徴とする請求項9に記載の熱交換器。
  11. 前記補助力手段は、前記各クランクとそれに組合わされたホイップロッドとの間に連結されたばね手段(51、51’)を含むことを特徴とする請求項10に記載の熱交換器。
  12. 前記コールド流体は、前記熱伝達管の外側表面を被って流され、前記プロセス流体内に軟氷を生成するための冷媒であり、該プロセス流体は、前記半径方向の熱交換が該プロセス流体を凍結させるのに十分な量であるとき熱伝達管の内側表面にではなく該プロセス流体内に軟氷を生成するのを助成する添加剤を含有していることを特徴とする請求項8に記載の熱交換器。
  13. 前記冷媒は、前記熱伝達管の外側表面を被って流れる間に沸騰するようになされており、該熱伝達管の外側表面を被って流れる冷媒のための環状通路を画定するように熱伝達管を囲繞するジャケット(35)を有することを特徴とする請求項10に記載の熱交換器。
  14. 液体を凍結又は冷却するための液体凍結/冷却装置であって、
    静止状態に保たれ、高い熱伝達特性を有する材料で形成されており、凍結又は冷却すべき液体を熱伝達管の内側表面に接触させるようにして受け入れる熱伝達管(1)と、
    前記液体から前記熱伝達管の管壁を通して熱を抽出するための冷却手段と、
    前記熱伝達管内に配設された少くとも1つのホイップロッド(24、24’、50、50’)と、
    前記管の内側表面への凍結液体の堆積を制御するために、遠心力を創成して前記少くとも1つのホイップロッドを該管の内側表面に押しつけながら前記少くとも1つのホイップロッドを該管の内側表面の周りに駆動させるための駆動手段と、
    から成る液体凍結/冷却装置。
  15. 凍結液体の堆積の前記制御を容易にするための化学剤が前記液体内に溶解されていることを特徴とする請求項14に記載の液体凍結/冷却装置。
  16. 前記化学剤は、エチレングリコール、プロピレングリコール、ミルク、海水、酢酸カルシウムマグネシウム、及び、無水結晶を生成する無機塩類から成る群から選択されたものであることを特徴とする請求項15に記載の液体凍結/冷却装置。
  17. 前記冷却手段は、前記熱伝達管を囲包し、該熱伝達管の外側に密閉蒸発チャンバー(8)を画定するハウジング(2)を含み、該チャンバーは、循環する流体を受け入れて該流体を該熱伝達管の外側表面を被って沸騰させながら通流させ、該外側表面において該流体をそれに伝達される熱によって蒸発させるようになされており、該熱伝達管を囲繞する筒状部材(35)が該チャンバー内に配設されており、該筒状部材は、両端が開放しており、熱伝達管の外側表面との間に該チャンバー内で沸騰する前記流体のための環状の対流通路を画定し、両端において熱伝達管の外側表面との間に開放間隙を画定することを特徴とする請求項14に記載の液体凍結/冷却装置。
  18. 前記沸騰する流体は、冷媒であり、両端が開放した前記筒状部材は、前記熱伝達管に対して固定されており、該熱伝達管の外側表面を被って蒸気/泡混合状態で高速度で流れる該冷媒の環状流れを創生することを特徴とする請求項17に記載の液体凍結/冷却装置。
  19. 凍結可能な液体を用いるサーマル貯留システムであって、
    A.i)静止状態に保たれ、高い熱伝達特性を有する材料で形成されており、凍結又は冷却すべき液体を熱伝達管の内側表面に接触させるようにして受け入れる熱伝達管(1)と、
    ii)前記液体から前記熱伝達管を通して熱を抽出するための冷却手段と、
    iii)前記熱伝達管内に配設された少くとも1つのホイップロッド(24、24’、50、50’)と、
    iv)前記管の内側表面への凍結液体の堆積を制御するために、遠心力を創成して前記少くとも1つのホイップロッドを該管の内側表面に押しつけながら前記少くとも1つのホイップロッドを該管の内側表面の周りに駆動させるための駆動手段と、
    から成る液体凍結/冷却装置(100)と、
    B.該液体凍結/冷却装置によって生成されたスラリーを貯留するための貯留タンク(111)と、
    C.前記貯留タンク内に設けられた凍結液焼解手段と、
    D.該貯留タンクの底部から液体を、別の流体を冷却するため、熱交換器を通して循環させることにより該貯留タンク内に貯留されたコールドを使用するための手段(118)と、
    から成るサーマル貯留システム。
  20. 前記凍結液焼解手段は、使用済みの水を前記貯留タンク内に貯留された凍結液体内へ均一に分配するために該貯留タンク内の凍結液体の上方に設置された可動ノズル(120)を含むことを特徴とする請求項19に記載のサーマル貯留システム。
  21. 液体を凍結又は冷却するための液体凍結/冷却方法であって、
    静止状態に保たれ、高い熱伝達特性を有する材料で形成された熱伝達管(1)を準備し、
    凍結又は冷却すべき液体を前記熱伝達管の内部へ導入し、該液体を熱伝達管の内側表面に熱交換関係に接触させるようにして該熱伝達管内を通流させ、
    前記液体を前記熱伝達管内を通して通流させるのと併行して、該熱伝達管の外側表面を冷却することによって該液体から熱伝達管の管壁を通して熱を流出させ、
    少くとも1つのホイップロッド(24、24’、50、50’)を前記熱伝達管内に配設し、
    前記管の内側表面への凍結液体の堆積を制御するために、遠心力を創成して前記少くとも1つのホイップロッドを該管の内側表面に押しつけながら前記少くとも1つのホイップロッドを該管の内側表面に沿って移動させること、
    から成る液体凍結/冷却方法。
  22. 前記液体は水であり、該水に凍結液体の堆積の前記制御を容易にするための化学剤を添加する工程を含むことを特徴とする請求項21に記載の液体凍結/冷却方法。
  23. 前記冷却は、冷媒を沸騰させて、前記熱伝達管の外側表面に沿って蒸気/泡混合状態で高速度で流れる該冷媒の環状流れを創生することによって行われることを特徴とする請求項21に記載の液体凍結/冷却方法。
  24. ホイップロッドを移動させる前記工程は、前記熱伝達管を静止状態に保持したまま前記ホイップロッドを軌道運動するように積極的に駆動する操作を含むことを特徴とする請求項21に記載の液体凍結/冷却方法。
  25. 前記ホイップロッドの前記積極的機械的駆動は、該ホイップロッドの運動によって創生される遠心力を補助するために該ホイップロッドに積極的な半径方向の力を付与する操作を含むことを特徴とする請求項21に記載の液体凍結/冷却方法。
  26. 前記ホイップロッドの動的バランスを取るために複数本のホイップロッドを前記熱伝達管内に等角度に間隔をおいて配置することを特徴とする請求項21に記載の液体凍結/冷却方法。
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