JP3686054B2 - かさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法、および装置 - Google Patents

かさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法、および装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、かさ歯車等(ここでかさ歯車等とは、例えばベベルギヤやハイポイドギヤのようなかさ形をしたギヤをいう)のバックラッシュを設定・調整する方法、および装置に関するものである。より詳しくは、例えばラッピング盤や性能テスター等における一対のかさ歯車等間で、適正なバックラッシュを得るための設定・調整手段に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
上記ラッピング盤では、一対のかさ歯車等を互いに噛み合わせ擦り合わせることにより、ラッピング仕上げを行って歯車精度を高めている。また性能テスターでは、動きの伝達のために高精度で噛み合うかさ歯車等が用いられている。
【0003】
その際に、前者では一対のかさ歯車等間に適正なバックラッシュが得られていないと、狙いどおりのラッピング品質が得られず、それで得られる一対の歯車間のギヤノイズや振動の原因になったり、焼き付きを生じたりするし、また後者では遊びがあるために、歯車を用いて計測や位置決めをする場合に高精度に行えなかったりする。
【0004】
そこで、上記の噛み合った一対のかさ歯車等間には、大き過ぎず小さ過ぎず、適切なバックラッシュを設定・調整しておく必要がある。例えばラッピング盤では、ラッピング仕上げに先立って上記一対のかさ歯車等を、予め設定されたバックラッシュとなる位置に保持して、その位置で噛み合い回転させながら、一連のラッピング仕上げを行っている。
【0005】
かさ歯車等のギヤとピニオンとの噛み合いで、バックラッシュを設定・調整するのに従来は、ギヤ軸または/およびピニオン軸を軸方向へ移動させることで行っている。
【0006】
具体例としては、ピニオンとギヤとからなる一対のかさ歯車等をもつラッピング盤において、例えば本発明に関する図1で示したものと同様に、ピニオンまたはギヤをギヤの軸線方向へ相対位置を調節する送りネジ、それに螺合したナット部と、該ナット部と共に移動してギヤまたはピニオンを押圧する移動構成体とで構成し、送りネジを回転させて歯車対の歯面を押し付けるようにしてある。そして、その際のモータの電流値が予め定めた値になるときの移動構成体の位置を読み取り、その位置からバックラッシュ目標値/Kの値だけ送りネジを逆方向へ送ってバックラッシュを設定している(上記で、Kはギヤの用途や大きさ等に応じ予め判明しているギャップ量に対するバックラッシュへの換算係数を示す)。
【0007】
またより正確にするために、ギヤとピニオンの回転位置を数箇所変えて同様に移動構成体の位置を求め、平均位置または最小位置に対して同様にバックラッシュを設定している場合が多い。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来の傘歯車等のバックラッシュ設定・調整手段では、次のような問題点があった。
イ.送りネジ回転用のモータの電流で歯面の接触を検出するものであるため、送りネジとナット部との摩擦状態にバラつきがあると、歯面を押しつける荷重にバラつきが生じることになり、その結果移動構成体の位置もバラついてバックラッシュに差異が生じた。
【0009】
ロ.モータの電流設定値を安定化するためには、電流値に一定量の大きさが必要となるので、その結果歯面間の面圧が過大になって歯面を損傷するおそれがあった。
【0010】
ハ.上記でギヤとピニオンの回転位置を数箇所変えて測定をする場合には、バックラッシュの設定・調節作業に長時間を要した(目標時間は5秒程度であるが30秒を越えることになる)。
【0011】
本発明は、上記従来の傘歯車等のバックラッシュ設定・調整手段が有する問題点の解消を課題としたものである。即ち本発明の目的は、作業中に歯面を損傷するおそれもなく、短時間でしかも高精度に、傘歯車等のバックラッシュ設定・調整する手段を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
A 本発明に係るかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法は、
ピニオン1とギヤ2とからなる一対のかさ歯車等をもつ装置で、送りネジ手段3により移動構成体4が移動して、ピニオン1またはギヤ2をギヤ2の軸線方向へ相対的に移動させ、かさ歯車等のバックラッシュを設定・調整する方法において、
1)ピニオン1とギヤ2の間にバックラッシュが存在する状態下で、移動構成体4内でナット部6に套合した可摺動部材7の後面7bと、移動構成体4の後内面4bとの間のギャップ量を0とし、
2)送りネジ5の回転により移動構成体4を前方へ移動させて、ピニオン1とギヤ2の歯面同士が密着した状態にした後、さらに該送りネジ5を回転させることで可摺動部材7を押圧力に抗して前方へ移動させて、可摺動部材7の後面7bと移動構成体4の後内面4bとの間にギャップGを生じさせ、
3)そのギャップ量が予め定めた値に達した段階で、送りネジ5の回転を停止させて、その状態下で、ピニオン1またはギヤ2の一方に回転を与えながら、一定回転角毎にギャップ量を読み取り、
4)上記から、ギャップ最小値(GAPmin)、ギャップ最大値(GAPmax)、ギャップ最小値と最大値の差(GAPvar)、ギャップ平均値(GAPave)、停止位置ギャップ値(GAPo)のいずれか1つ、または2つ以上を得てデータ処理を行い、それに基づき適正な調整量を算出して、バックラッシュを設定・調整するようにしたものである。
【0013】
B 本発明に係るかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整装置は、
ピニオン1とギヤ2とからなる一対のかさ歯車等をもつ装置であって、送りネジ手段3により移動構成体4が移動して、ピニオン1またはギヤ2をギヤ2の軸線Xの方向へ相対的に移動させて、かさ歯車等のバックラッシュを設定・調整する装置において、
上記移動構成体4内で送りネジ5に螺合したナット部6に、前方へ共に移動可能に係止された可摺動部材7を套合させ、該可摺動部材7の後面7bと移動構成体4の後内面4bとの間に生じるギャップGを計測するギャップセンサ8を設けると共に、可摺動部材7と移動構成体4との間に、上記ギャップGを0にする方向へ押圧可能な押圧手段9を設け、かつ移動構成体4と可摺動部材7との間に、所定のギャップ量の状態時に両者4,7間を固定可能な固定手段10を設けたものである。
【0014】
【発明の実施の形態】
上記構成において、前方とは、両歯面間にバックラッシュが無くなるようにピニオン1またはギヤ2を前進させる方向で、前面とはその側の面を指し、また後方とは、歯面が当接した位置からバックラッシュが生じるようにピニオン1またはギヤ2を後退させる方向で、後面とはその側の面をいう。
【0015】
1)上記Aの設定・調整方法において求めたギャップ最小値と最大値の差(GAPvar)は、ギヤの用途や大きさ等に応じ予め判明しているギャップ量に対するバックラッシュへの換算係数Kを乗じて、その値を予め記憶させておいたバックラッシュの変動値の限界値と比較処理させる。
【0016】
そして、同値〔ギャップの最小値と最大値の差(GAPvar)に換算係数Kを乗じた値〕が上記限界値を越えた際には、その事実を表示盤上または記録紙上に表示させるようにして、バックラッシュの限界値を越えた場合に修正・調整を行えるようにしている。
【0017】
2)また上記Aの設定・調整方法で求めたギャップ平均値(GAPave)と停止位置ギャップ値(GAPo)は、上記と同じギャップ量に対するバックラッシュへの換算係数K、およびギヤの用途や大きさ等に応じて予め記憶させておいたバックラッシュ設定目標値とにより、次の式で調整量B1 を算出する。
〔調整量B1 =停止位置ギャップ値(GAPo)−ギャップ平均値(GAPave)+バックラッシュ目標値/K〕 式〔1〕
【0018】
そして、可摺動部材7 と一体化させた状態の移動構成体4を、この調整量B1 の分だけバックラッシュを生む方向へ後退させることにより、所望の目標値に近いバックラッシュに設定・調整するようにしておく。
【0019】
3)さらに上記Aの設定・調整方法で求めたギャップ最小値(GAPmin)を、上記2)の式〔1〕におけるギャップ平均値(GAPave)の代わりに使用してもよい。これは、ギャップ最小値(GAPmin)に基づいて調整量B2 を算出し、可摺動部材7と一体化させた移動構成体4を、この調整量B2 の分だけバックラッシュを生む方向へ後退させることにより、バックラッシュを目標値に近いものに設定・調整するものである。
【0020】
4)そして、上記2)の式〔1〕でのギャップ平均値(GAPave)の代わりに、次の式〔2〕で求められる値を使用してもよい。
〔ギャップ平均値(GAPave)−Y×〔ギャップ平均値(GAPave)−ギャップ最小値(GAPmin)〕,但し、0<Y<1とする。 式〔2〕
【0021】
これは、上記2)におけるギャップ平均値(GAPave)に基づいて算出した調整量B1 と、上記3)でギャップの最小値(GAPmin)に基づいて算出した調整量B2 との中間の値として調整量B3 を算出し、この調整量B3 の分だけ移動構成体4をバックラッシュを生む方向へ後退させて、バックラッシュを目標値に近いものに設定・調整しようとするものである。なお上記Yの値は、具体的には0<Y<1の範囲で任意にコンピュータへ入力可能としておけばよい。
【0022】
上記設定・調整方法を実施するために使用する装置は、例えばラッピング盤や性能テスター等の如くピニオン1とギヤ2とからなる一対のかさ歯車等をもつ装置であって、送りネジ手段3により移動構成体4が移動して、ピニオン1またはギヤ2をギヤ2の軸線Xの方向へ相対的に移動させて、バックラッシュの設定・調整を行うようにしてある。
【0023】
即ち、送りネジ手段3により移動可能な移動構成体4の内部では、送りネジ5に螺合したナット部6(例えばボールネジ)に可摺動部材7を套合させてあり、該可摺動部材7は前方へは摺動可能で後方へはナット部6の一部19で係止されている。該可摺動部材7の後面7bと移動構成体4の後内面aとの間にギャップGが生じるので、そのギャップGを計測するギャップセンサ8を設けてあり、解析手段へデータを送るようにしてある。
【0024】
また上記可摺動部材7と移動構成体4の前内面4aとの間には、上記ギャップGを0にするように押圧可能な押圧手段9を設けてある。該押圧手段9は、例えばコイル状バネを用いたり(例えば図3参照)、空圧または油圧シリンダを用いたり(例えば図5参照)すればよい。
【0025】
そして、上記移動構成体4と可摺動部材7との間には、所定のギャップ量の状態時に両者4,7間を固定可能に、例えば空圧または油圧式の固定手段10を設けてある。図において、11は送りネジ回転用のモータ、12はガイドレールを示す。
【0026】
本発明に係るかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法、および装置を使用する場合は、上記構造の装置により移動構成体4の後内面4bと可摺動部材7の後面7bとの間のギャップ量を、ギヤ2の一定回転角毎に読み取って、上記ギャップ最小値(GAPmin)等を得てデータ処理を行い、それに基づき上記の如く適正な調整量Bを算出して、所望のバックラッシュの設定・調整を行えばよい。
【0027】
上記本発明に係るバックラッシュの設定・調整手段は、上記のように、可摺動部材7と移動構成体4の前内面4aとの間に、上記ギャップGを0にする方向に押圧可能な押圧手段9を設けた構成になっており、従来のような送りネジで移動構成体を直接に移動させて歯車対の歯面に押しつけるものではない。
【0028】
そのため、従来のものと異なり、送りネジ5とナット部6間の摩擦状態のバラつきで、歯面を押し付ける荷重もバラついて、移動構成体4の位置がバラついたり、また過大な力が加わって歯車対にたわみが生じたりしないから、バックラッシュに差異が生じること無く、常に適正なバックラッシュを設定・調節することが可能となる。
【0029】
また従来のものと異なり、モータの電流設定値を安定化させるのに電流値に一定量の大きさを必要とするようなことがないと共に、モータの負荷トルクが一定の設定値になるまで移動構成体を歯車対に押し付けたりしないから、歯面間の面圧が過大になって歯面を損傷するようなおそれも無い。
【0030】
さらに従来のやり方と異なり、ギャップセンサ8で検出したギャップ量が予め設定した値に達したところで送りネジ5の回転を止め、この状態でピニオン1またはギヤ2の一方から回転を与えつつ一定回転角毎にギャップ量を読み取っていくものである。
【0031】
そのため、従来のように送りネジ回転用のモータの電流値が予め定めた値になる時の移動構成体の位置を読み取り、それを数箇所で行うものではなく、回転させながら計測するものであるから、数箇所で測定を行う場合も短時間で処理できて、目標時間内で処理が可能となる。
【0032】
【実施例】
図1ないし図5は、本発明に係るかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法を実施するための装置を示し、図6はギャップ量解析法の一例を示すものである。
【0033】
まず図1は、一対のピニオン1とギヤ2からなるかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整装置で、送りネジ手段3によりピニオン1側がギヤ2の軸線Xの方向へ移動して相対位置を調整する装置を示している。
【0034】
即ち、ピニオン1側は、ピニオンヘッド13に可回転に軸支されたスピンドル14にピニオン1が軸装されており、ピニオン回転用のモータ15で回転するとともに、該ピニオンヘッド13が後記送りネジ手段3によりギヤ2の軸線Xの方向へ移動可能としてある。他方のギヤ2側は、ギヤ2がギヤヘッド16に可回転に軸支されたスピドル(図示略)に軸装されており、その軸線Xの方向への移動はない。
【0035】
送りネジ手段3は、図3・図4で示す如く、送りネジ5に螺合されたナット部6の移動に伴ってヘッド移動構成体4が移動可能となっており、該移動構成体4が上記ピニオンヘッド13に固着され、ピニオン1がギヤ2の軸線Xの方向へ移動可能となる。
【0036】
上記移動構成体4内には、その前・後壁の孔17,18を貫通する如く、ギヤ2の軸線Xの方向と平行状に送りネジ5が横設してあり、該送りネジ5にはナット部5が螺合させてあるが、該ナット部5の後部端寄りに鍔部19を形成してあり、後記可摺動部材7の後面7bを係止可能としてる。
【0037】
上記ナット部5には、その筒状部分に可摺動部材7を套合させてあり、該可摺動部材7の後面7bの一部が上記ナット部6の鍔部19で係止され、ナット部6が前方向即ちバックラッシュを無くす方向へ移動する際に、該可摺動部材7も同時に前方向へ移動可能としてある。
【0038】
また該可摺動部材7には、移動構成体4の前内面4aとの間で、押圧手段9としてここではコイル状バネを周方向へ複数個を等間隔状に設けてある。押圧手段9としてのコイル状バネは、移動構成体4の前内面4aを前方向へ押圧することにより、該移動構成体4の後内面4bと可摺動部材7の後面7bとの間のギャップGを0にする方向に付勢させてある。なおこの押圧手段9は図5で示すような空圧または油圧式のシリンダを用いてもよい。
【0039】
上記移動構成体4の後内壁には、後内面4bと可摺動部材7の後面7bとの間に生じるギャップ量を計測するギャップセンサ8を設けてあって、別に設けた解析処理装置(図示略)へ接続させてある。
【0040】
また移動構成体4の内周壁と可摺動部材7の外周面との間には、両者4,7の軸線方向への移動を掛止するために、ここでは空圧式の固定手段10を設けてある。
【0041】
次に、図5は、一対のピニオン1とギヤ2からなるかさ歯車で、ギヤ2側がギヤ2の軸線Xの方向へ移動して相対位置を調整する送りネジ手段をもつ装置を示している。
【0042】
即ち、ギヤ2側は、ギヤ2がスピンドル(図示略)を介してギヤヘッド16に可回転に軸支されているが、該ギヤヘッド16は後記送りネジ手段3によりギヤ2の軸線Xの方向へ移動可能としてある。他方、ピニオン1側は、ピニオンヘッド13にスピンドル14を介してピニオン1が可回転に軸支されて、ピニオン回転モータ15で回転するが、ギヤ2の軸線Xの方向へ移動はしない。
【0043】
送りネジ手段3は、送りネジ5に螺合されたナット部6の移動に伴って移動するヘッド移動構成体4が固着されており、該移動構成体4の移動によりギヤヘッド14・ギヤ2がギヤ2の軸線Xの方向へ移動可能としてある。
【0044】
上記移動構成体4内には、その前・後壁の孔17,18を貫通する如くギヤ2の軸線Xの方向と平行状に送りネジ5を横設してあり、該送りネジ5にはナット部5が螺合させてあるが、該ナット部5の後部端寄りに鍔部19を形成してある。
【0045】
上記ナット部5に、その筒状部分に可摺動部材7を套合させてあり、該可摺動部材7の後面7bの一部が上記ナット部6の鍔部19で係止され、ナット部6が前方向即ちバックラッシュを無くす方向へ移動する際に、該可摺動部材7も同時に前方向へ移動可能としてある。
【0046】
また該可摺動部材7内には、移動構成体4の前内面4aとの間で、押圧手段としてここでは空圧式の押圧手段9を設けてある。この空圧式の押圧手段9としては、可摺動部材7の前面から凹所20を環状に形成してシリンダとし、そこに移動構成体4の前内面4aから環状の凸部21をピストンとして係合させてある。
【0047】
上記シリンダ内には可摺動部材7の後部から空気を注入可能としてあり、ピストン21を前方へ押すことにより、移動構成体4を前方向へ押圧し、可摺動部材7の後面7bと移動構成体4の後内面4b間のギャップGが0になるようにしてある。なおこの押圧手段9に、上記のようにコイル式バネを用いてもよい。
【0048】
他は上記実施例と同様であり、上記移動構成体4の後内壁には、後内面4bと可摺動部材7の後面7b間に生じるギャップ量を計測するギャップセンサ8を設けて、別に設けた解析装置(図示略)へ接続させてある。また移動構成体4の内周壁と可摺動部材7の外周面との間には、両者4,7の軸線方向への移動を掛止するために、ここでは空圧式の固定手段10を設けてある。
【0049】
上記いずれの装置においても、その作動状態およびそれを用いたバックラッシュの設定・調節は、次のように行えばよい。
上記ピニオン1とギヤ2の間にバックラッシュが存在する状態下で、固定手段10の固定を解除しておく。これにより、例えば図3のように、押圧手段9の押圧力で移動構成体4が前内面4aを前方へ押圧されるから、その後内面4bと可摺動部材7の後面7b間のギャップGが無くなってギャップ量が0になる。
【0050】
次いで送りネジ用モータ11により送りネジ5を回転させて、ナット部6・可摺動用部材7・押圧手段9を介して移動構成体4を前方即ちピニオン1とギヤ2間のバックラッシュが0になる方向へ移動させる。これで、ピニオン1とギヤ2の歯面同士が密着した状態となるさらに送りネジ5を回転させると、押圧手段9の押圧力に抗して可摺動部材7が前方へ移動するから、その後面7bと移動構成体4の後内面4bとの間にギャップGが生じる(上記図4参照)
【0051】
そのギャップ量をギャップセンサ8で検出して、ギャップ量が予め定めた値に達したところで、送りネジ5の回転を停止させる。その状態下でピニオン1またはギヤ2の一方に回転を与えながら、一定回転角毎にギャップ量を読み取り、そこからギャップ最小値(GAPmin)、ギャップ最大値(GAPmax)、ギャップ最小値と最大値の差(GAPvar)、ギャップ平均値(GAPave)、停止位置ギャップ値(GAPo)のいずれか1つまたは2つ以上を得て、データ処理を行う(図6参照)。
【0052】
上記で得たデータに加えて、ギャップ量に対するバックラッシュへの換算係数K、およびギヤの用途や大きさ等に応じて決まるバックラッシュ設定目標値とから、ここでは次の式で調整量B1 を算出する。
〔調整量B1 =停止位置ギャップ値(GAPo)−ギャップ平均値(GAPave)+バックラッシュ目標値/K〕
【0053】
そして、固定手段10で可摺動部材7と一体化させた移動構成体4を、この調整量B1の分だけバックラッシュを生む方向へ後退させることにより、目標値に近い所望のバックラッシュに設定・調整される。
なお、上記調整量B1 に限らず、別途算出した上記調整量B2 やB3 等によってもよいことは、上記のとおりである。
【0054】
【発明の効果】
以上で明らかなように、本発明に係るかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法および装置は、作業中に歯面を損傷するおそれもなく、短時間でかつ高精度に、かさ歯車等のバックラッシュを設定・調整することができる。
【0055】
即ち、従来のこの種の手段は、送りネジで移動構成体を直接に移動させて歯車対の歯面を押しつけ、送りネジ回転用のモータの電流で歯面の接触を検出するものであった。そのため、送りネジとナット部間の摩擦状態にバラつきが有ると、歯面を押しつける荷重にバラつきが生じ、移動構成体の位置にバラつきが生じたり、モータの電流設定値を安定化させるのに電流値に一定量の大きさを必要としたり、歯面間の面圧が過大になって歯面を損傷したり、数箇所で測定を行うには長時間を要したりした。
【0056】
しかし本発明に係るかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法および装置では、上記の如く、移動構成体の後内面と可摺動部材の後面との間のギャップ量をギヤの一定回転毎に読み取り、ギャップの最小値(GAPmin)等を得てデータ処理を行い、それに基づき適正な調整量を算出して、可摺動部材と一体化させた状態の移動構成体を、この調整量だけバックラッシュを生む方向へ後退させることにより、目標値に近い所望のバックラッシュに設定・調整するようにしてある。
【0057】
そのため、イ)従来手段の送りネジで移動構成体を直接に移動させて歯車対の歯面に押しつけるものと異なり、上記ギャップを0にする方向に押圧可能な押圧手段を介した構成になっているから、送りネジとナット部間の摩擦状態のバラつきで移動構成体の位置がバラつくようなことが無くなり、また過大な力が加わって歯車対にたわみが生じたりすることも無い。その結果、バックラッシュに差異が生じたりせずに適正なバックラッシュに設定・調節することができる。
【0058】
ロ)また従来手段と異なり、送りモータ回転用モータの電流設定値を安定化させるのに電流値に一定量の大きさを必要とするようなことが無いと共に、モータの負荷トルクが一定の設定値になるまで移動構成体を歯車対に押し付けたりしないから、歯面間の面圧が過大になって歯面を損傷するようなおそれを無くすことができる。
【0059】
ハ)さらに従来手段と異なり、ギャップセンサで検出したギャップ量が予め設定した値に達したところで送りネジの回転を止め、この状態でピニオンまたはギヤの一方から回転を与えつつ一定回転角毎にギャップ量を読み取っていくものである。従来のように、送りネジ回転用のモータの電流値が予め定めた値になる時の移動構成体の位置を読み取り、それを数箇所で行うものではなく、回転させながら計測するものであるから、数箇所で測定を行う場合も短時間で処理でき、目標時間内で処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係るかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法を実施するための装置の実施例で、ピニオン側を移動させるものの平面図である。
【図2】 本発明に係るかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法を実施するための装置の実施例で、ギヤ側を移動させるものの平面図である。
【図3】 図1で示したものの要部で、ギャップを0にした際の縦断正面図である。
【図4】 図1で示したものの要部で、ギャップが生じた際の縦断正面図である。
【図5】 図2で示したものの要部で、ギャップが生じた際の縦断正面図である。
【図6】 ギャップ量解析法の一例を示す図である。
【符号の説明】
1−ピニオン
2−ギヤ
3−送りネジ手段
4−移動構成体
4a−前内面
4b−後内面
5−送りネジ
6−ナット部
7−可摺動部材
7b−後面
8−ギャップセンサ
9−押圧手段
10−固定手段
11−モータ
12−ガイドレール
13−ピニオンヘッド
14−スピンドル
15−モータ
16−ギヤヘッド
17−孔
18−孔
19−鍔部
20−凹所
21−ピストン
X−軸線
G−ギャップ

Claims (7)

  1. ピニオン1とギヤ2とからなる一対のかさ歯車等をもつ装置で、送りネジ手段3により移動構成体4が移動して、ピニオン1またはギヤ2をギヤ2の軸線方向へ相対的に移動させ、かさ歯車等のバックラッシュを設定・調整する方法において、
    1)ピニオン1とギヤ2の間にバックラッシュが存在する状態下で、移動構成体4内でナット部6に套合した可摺動部材7の後面7bと、移動構成体4の後内面4bとの間のギャップ量を0とし、
    2)送りネジ5の回転により移動構成体4を前方へ移動させて、ピニオン1とギヤ2の歯面同士が密着した状態にした後、さらに該送りネジ5を回転させることで可摺動部材7を押圧力に抗して前方へ移動させて、可摺動部材7の後面7bと移動構成体4の後内面4bとの間にギャップGを生じさせ、
    3)そのギャップ量が予め定めた値に達した段階で、送りネジ5の回転を停止させて、その状態下で、ピニオン1またはギヤ2の一方に回転を与えながら、一定回転角毎にギャップ量を読み取り、
    4)上記から、ギャップ最小値(GAPmin)、ギャップ最大値(GAPmax)、ギャップ最小値と最大値の差(GAPvar)、ギャップ平均値(GAPave)、停止位置ギャップ値(GAPo)のいずれか1つ、または2つ以上を得てデータ処理を行い、それに基づき適正な調整量を算出して、バックラッシュを設定・調整するようにした、かさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法。
  2. 請求項1記載のかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法で求めたギャップの最小値と最大値の差(GAPvar)に、予め判明しているギャップ量に対するバックラッシュへの換算係数Kを乗じて、その値を予め記憶させておいたバックラッシュの変動値の限界値と比較処理し、同値が上記限界値を越えた際にその事実を表示するように処理を行うようにした、かさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法。
  3. 請求項1記載のかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法で求めたギャップ平均値(GAPave)、停止位置ギャップ値(GAPo)、予め判明しているギャップ量に対するバックラッシュへの換算係数Kと、予め記憶させておいたバックラッシュ設定目標値とから、次の式で求められる調整量Bを算出し、
    調整量B=停止位置ギャップ値(GAPo)−ギャップ平均値(GAPave)+バックラッシュ目標値/K
    可摺動部材7と固定させた状態の移動構成体4を、この調整量Bの分だけバックラッシュを生む方向へ後退させるようにした、かさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法。
  4. 請求項3記載のかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法において、
    ギャップ平均値(GAPave)に代えてギャップ最小値(GAPmin)を使用するようにした、かさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法。
  5. 請求項4記載のかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法において、
    ギャップ平均値(GAPave)に代えて、次の式で求められる値を使用するようにした、かさ歯車等のバックラッシュの設定・調整方法。
    ギャップ平均値(GAPave)−Y×〔ギャップ平均値(GAPave)−ギャップ最小値(GAPmin)〕 但し、0<Y<1とする。
  6. ピニオン1とギヤ2とからなる一対のかさ歯車等をもつ装置であり送りネジ手段3により移動構成体4が移動して、ピニオン1又はギヤ2をギヤ2の軸線方向へ相対的に移動させて、かさ歯車等のバックラッシュを設定・調整する装置において、 上記移動構成体4内で送りネジ5に螺合したナット部6に、前方へ共に移動可能に係止された可摺動部材7を套合させ、該可摺動部材7の後面7bと移動構成体4の後内面4bとの間に生じるギャップGを計測するギャップセンサ8を設けると共に、可摺動部材7と移動構成体4との間に、上記ギャップGを0にする方向へ押圧可能な押圧手段9を設け、かつ移動構成体4と可摺動部材7との間に、所定のギャップ量の状態時に両者4,7間を固定可能な固定手段10を設けたことを特徴とする、かさ歯車等のバックラッシュの設定・調整装置。
  7. 請求項6記載のかさ歯車等のバックラッシュの設定・調整機構において、
    ピニオン1またはギヤ2の一方に回転を与えながら、一定回転角毎にギャップ量を読み取り、ギャップ最小値(GAPmin)、ギャップ最大値(GAPmax)、ギャップ最小値と最大値の差(GAPvar)、ギャップ平均値(GAPave)、停止位置ギャップ値(GAPo)を各算出するデータ処理手段を備えてなる、かさ歯車等のバックラッシュの設定・調整装置。
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