JP3681023B2 - Tapered roller bearing and preload application method thereof - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、円錐ころ軸受ならびにその予圧付与方法に関する。ここでの円錐ころ軸受は、例えば自動車のトランスミッション装置の回転軸や自動車のデファレンシャル装置の入・出力軸などの支持軸受として用いられるものが挙げられる。
【0002】
【従来の技術】
従来から、円錐ころ軸受は、ラジアル荷重とアキシャル荷重との両方を支持することができることから、上述したような各種の用途がある。
【0003】
この円錐ころ軸受では、一般的に、低粘度の防錆油を塗布した状態で軸方向の荷重つまり予圧が付与された状態で使用対象に組み込まれる。
【0004】
ところで、従来から、円錐ころ軸受の各構成要素に製造公差が設定されているが、これらの要素を組み立てたときに、円錐ころの大端面と内輪の大鍔部とが当接せずに両者間に隙間ができることがある。
【0005】
このような状態の円錐ころ軸受を使用対象に組み込んで、規定の予圧を付与しても、前述の隙間が残存することがある。このような場合、後の円錐ころ軸受の回転に伴い各構成要素の相対位置関係が適正化して前述の隙間が無くなることがあり、これに伴い予圧が不足する結果になってしまう。
【0006】
このようなことから、円錐ころ軸受を使用対象に組み込んで、予圧を付与する前に、所要のアキシャル荷重をかけた状態で円錐ころ軸受の内・外輪を相対回転させるという、いわゆる馴染み運転を行うことにより、円錐ころ軸受の各構成要素の相対位置関係を適正化して、円錐ころの大端面と内輪の大鍔部との間の隙間を無くすこと(いわゆる沈み込み)が行われている。この後に、予圧を付与するのである。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上述した馴染み運転は、十分に注意して行う必要があって時間がかかるなど、面倒であることが指摘される。
【0008】
これに対して、この馴染み運転を短縮するかあるいは廃止するためには、円錐ころ軸受の各構成要素の製造公差を可及的に小さくし、円錐ころ軸受を組み立てるだけで、円錐ころの大端面と内輪の大鍔部との間の隙間を可及的に小さくできるように管理することが考えられている(例えば特開平2−256921号公報参照)。
【0009】
しかしながら、このような対策は、製造メーカーにおいて、高精度な加工が行えるような設備を必要とするなど、多大な設備投資といった負担を強いられ、軸受価格の高騰を余儀なくされることが指摘される。
【0010】
この他、実願平3−108424号公報に示すように、円錐ころ軸受の外輪軌道の延長線と内輪軌道の延長線との交差角度を、円錐ころの母線の延長線の交差角度よりも大きく設定することにより、馴染み運転において円錐ころを内輪の大鍔部側へ早期に変位できるようにして、馴染み運転を短縮できるようにしたものがある。なお、通常は、内・外輪の各軌道の延長線と円錐ころの円錐面の延長線とを一致させるように設計される。
【0011】
しかしながら、これについても、内・外輪と円錐ころとが軸方向で非接触となる領域が存在することになるために、いわゆる片当たりによるエッジロードが発生するなど、荷重負担能力や転がり動作について適正になりにくく、早期寿命に至ることが懸念される。
【0012】
さらに、実際に軸受の潤滑油として使用するギヤオイルなどの高粘度オイルを内・外輪の軌道に塗布しておいて馴染み運転を行うことによって馴染み運転を短縮することも考えられているが、近年は、ユーザー(組み付け作業者)が軸受を使用対象に組み込むときの使い勝手を良くする面から、できるだけ油分の付着していない軸受を好む傾向にあり、この点の不満が残る。
【0013】
したがって、本発明は、円錐ころ軸受において、価格高騰をもたらすことなくまた取り扱い性を向上できるようにしながら、馴染み運転を短縮できるようにすることを目的としている。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の第1の円錐ころ軸受は、使用対象に組み込まれた後潤滑油を用いず馴染み運転がなされた後潤滑油によって潤滑される円錐ころ軸受であって、鋼製の円錐ころまたは鋼製の内輪および外輪の軌道面の少なくとも一方に、前記馴染み運転の潤滑に用いられる、ポリフルオロアルキル重合体またはエポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、スルフォン基若しくはエステル基から選ばれる官能基付きのフルオロポリエーテル重合体と、パーフルオロポリエーテルとの混合物である含ふっ素重合体を乾燥処理した潤滑膜が形成されている。
【0015】
本発明の第2の円錐ころ軸受は、使用対象に組み込まれた後潤滑油を用いず馴染み運転がなされた後潤滑油によって潤滑される円錐ころ軸受であって、鋼製の円錐ころまたは鋼製の内輪および外輪の軌道面の少なくとも一方に、前記馴染み運転の潤滑に用いられる、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物の固体状の潤滑膜が形成され、前記固体状の潤滑膜は、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散添加されている。
【0016】
なお、前述の固体状の潤滑膜は、分子間が結合した3次元の網状構造を有している。また、固体状の潤滑膜は、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散添加されている。この末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体は官能基を有していないもの、例えば官能基なしのパーフルオロポリエーテルなどの含ふっ素重合体とするのが好ましい。
【0017】
本発明の第1の円錐ころ軸受の予圧付与方法は、使用対象に組み込まれた後潤滑油を用いず馴染み運転がなされた後潤滑油によって潤滑される円錐ころ軸受の予圧付与方法であって、鋼製の円錐ころまたは鋼製の内輪および外輪の軌道面の少なくとも一方に、馴染み運転の潤滑に用いられる、ポリフルオロアルキル重合体またはエポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、スルフォン基若しくはエステル基から選ばれる官能基付きのフルオロポリエーテル重合体と、パーフルオロポリエーテルとの混合物である含ふっ素重合体からなる潤滑膜を付着させる工程と、該潤滑膜を乾燥させる工程と、円錐ころ軸受の円錐ころおよび内輪と外輪とを各々ハウジング及び軸に組み込む工程と、円錐ころ軸受に所要のアキシャル荷重をかけた状態で円錐ころ軸受の内輪と外輪とを相対回転させ、円錐ころ軸受の円錐ころおよび内輪・外輪の相対位置関係を適正化して、円錐ころの大端面と内輪の大鍔部との間の隙間を無くす馴染み運転工程と、円錐ころ軸受に所定の予圧を付与する工程とを有する。
【0018】
本発明の第2の円錐ころ軸受の予圧付与方法は、使用対象に組み込まれた後潤滑油を用いず馴染み運転がなされた後潤滑油によって潤滑される円錐ころ軸受の予圧付与方法であって、鋼製の円錐ころまたは鋼製の内輪および外輪の軌道面の少なくとも一方に、馴染み運転の潤滑に用いられる、官能基としてイソシアネート基を有する含ふっ素重合体と末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体に結合しない流動可能な含ふっ素重合体とを所定の割合で混合したものを溶媒中に希釈してなる溶液を用いて、液状膜を付着させる工程と、前記付着した液状膜を硬化させることにより、網状構造の末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体を流動可能に分散添加された、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物の固体状の潤滑膜を形成する工程と、円錐ころ軸受の円錐ころおよび内輪と外輪とを各々ハウジング及び軸に組み込む工程と、円錐ころ軸受に所要のアキシャル荷重をかけた状態で円錐ころ軸受の内輪と外輪とを相対回転させ、円錐ころ軸受の円錐ころおよび内輪・外輪の相対位置関係を適正化して、円錐ころの大端面と内輪の大鍔部との間の隙間を無くす馴染み運転工程と、円錐ころ軸受に所定の予圧を付与する工程とを有する。
【0019】
上記本発明では、要するに、潤滑性が格段に優れていて摩擦抵抗の小さな潤滑膜を形成しているから、各構成要素の組み立て後にほんの少し回転させるだけで、円錐ころの大端面と内輪の大鍔部との間の隙間を無くすよう、円錐ころと内輪とが円滑に軸方向で相対変位するようになる(いわゆる沈み込み)。また、この潤滑膜は、従来のオイルを用いる場合のような付着による不快感が生じないので、ユーザーの軸受組み込み時の使い勝手が良好となる。
【0020】
しかも、潤滑膜は防錆油の代替剤として使用でき、組み込み後における運転初期など従来の防錆油では不充分な潤滑状況でも、内輪の大鍔部と円錐ころとの摺接部位に潤滑膜が途切れなく介在するので、充分な潤滑作用を発揮する。さらに、通常運転時に剥離しても、もともと潤滑性を有している樹脂組成物なので金属粉などの異物の様な悪影響を軸受に及ぼすことはない。
【0021】
また、潤滑膜を末端がイソシアネート官能基付含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物からなる固体状とする場合には、分子間が密に詰まった均質な構造であるので、潤滑作用が長期的に継続できるようになる。そのため、特に組み込み後の回転動作の長期安定化をもたらす。この固体状の潤滑膜に末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない含ふっ素を流動可能な状態で分散添加しているため、この末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が膜表面から滲み出て潤滑作用に寄与するので、沈み込み動作のより一層の円滑化に貢献できるようになる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明の詳細を図1ないし図7に示す実施例に基づいて説明する。
【0023】
図1ないし図3は本発明の一実施例にかかり、図1は、馴染み運転後の円錐ころ軸受の上半分の縦断面図、図2は、馴染み運転前の円錐ころ軸受の上半分の縦断面図、図3は、本実施例での馴染み運転の結果を示すグラフである。なお、図4は、比較例での馴染み運転の結果を示すグラフである。
【0024】
図例の円錐ころ軸受1は、一般的に周知の構成であり、内輪2と、外輪3と、複数の円錐ころ4と、保持器5とを備えており、適宜の使用対象に組み込まれる。この円錐ころ軸受1の全構成要素つまり内・外輪2,3、円錐ころ4および保持器5の表面全体には、後で詳細に説明する潤滑膜6が形成されている。
【0025】
なお、内・外輪2,3および円錐ころ4の素材は、例えばSAE規格5120鋼,4320鋼などの浸炭用鋼や、JIS規格SUJ2(高炭素クロム軸受鋼)とし、通常の焼入れ焼き戻し処理の他、浸炭処理または浸炭窒化処理と、その後の焼入れおよび焼き戻し処理とを含む硬化処理を適宜施している。
【0026】
潤滑膜6は、例えば官能基付きの含フッ素重合体からなり、この実施例では流動性を有する状態になっている。この官能基付きの含ふっ素重合体としては、フルオロポリエーテル重合体またはポリフルオロアルキル重合体が好ましい。フルオロポリエーテル重合体は、−CXF2X−O−という一般式(Xは1〜4の整数)で示される単位を主要構造単位とし、いずれも数平均分子量が1000〜50000の重合体とするものが挙げられる。ポリフルオロアルキル重合体は、下記化学式1に示すものが挙げられる。また、前述の官能基は、金属に対して親和性の高いもの(例えばエポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、イソシアネート基、スルフォン基またはエステル基など)が好ましく、例えば下記化学式2,3に示すものが挙げられる。このような含フッ素重合体は、単独で用いるか、または2種以上を併用して用いてもよい。その場合は、より耐摩耗性の優れた薄膜が得られるように、組み合わされた基が互いに反応して重合体をより高分子量化させるように配慮するのが望ましい。
【0027】
【化1】
【0028】
【化2】
【0029】
【化3】
【0030】
前述の官能基付きの含ふっ素重合体として、より詳しくは、パーフルオロポリエーテル(PFPE)あるいはその誘導体との混合物、具体的に例えばモンテカチーニ社の商品名フォンブリン(FONBLIN)Yスタンダード、フォンブリンエマルジョン(FE20、EM04など)またはフォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DEAL、FONBLIN Z DIAC、FONBLIN Z DISOC、FONBLIN Z DOL、FONBLIN Z DOLTX2000、FONBLIN Z TETRAOLなど)が好適に用いられる。
【0031】
次に、上述した潤滑膜6の形成方法の一例を説明する。
【0032】
(a) 潤滑膜6を得るための溶液を用意し、この溶液中に内・外輪2,3、円錐ころ4および保持器5をそれぞれ個別に浸漬するか、あるいはそれらを組み立てた完成状態の円錐ころ軸受1を浸漬して内・外輪2,3を相対回転させることにより、全構成要素の表面全体に液状膜を付着させる(付着処理)。この液状膜の付着はスプレーで行うようにしてもよい。ここで用意する溶液は、例えばフォンブリンエマルジョンFE20(フォンブリン濃度20mass%)を適当な希釈溶媒でフォンブリン濃度を0.25mass%にまで希釈したものである。なお、前述の希釈溶媒は、メタノール溶液、アルコール溶液や水などの揮発性のものの他、代替フロンとしてのフッ素系溶剤SV90Dなどとすることができる。フッ素系溶剤SV90Dの使用の場合には他の溶媒のように−OH(水酸)基を有しないので防錆効果が高い。
【0033】
(b) 液状膜を付着した軸受構成要素の個々あるいは完成状態の円錐ころ軸受1の全体を室温で自然乾燥するか、あるいは40〜50度で約3分間加熱して強制乾燥することにより、液状膜に含む溶媒を除去する(乾燥処理)。これにより、溶媒や油成分などの不要な発塵がない流動性を有する潤滑膜6が得られる。
【0034】
このようにすれば、円錐ころ軸受1の必要部位に潤滑膜6を形成することができる。なお、(a)、(b)は必要に応じて数回繰り返すようにしてもよく、最終的には、潤滑膜6の膜厚を例えば0.2μm以下に設定する。
【0035】
このような潤滑膜6を付着した円錐ころ軸受1では、使用対象に組み込んで内輪2をほんの少しだけ回転させることにより、円錐ころ軸受1の各構成要素の相対位置関係を適正化して、円錐ころ4の大端面4aと内輪2の大鍔部2aとの間の隙間Δl(図2参照)を無くすことができる。このように、いわゆる沈み込み動作が簡単かつ適正に行えるようになる。
【0036】
具体的に、実験を行っているので説明する。本実施例の実験結果を図3のグラフに、また、比較例の実験結果を図4のグラフにそれぞれ示している。試料軸受としては、呼び番号TR0708−1Rであり、ロット別の二つの同タイプの円錐ころ軸受を用いている。比較例は、本発明での潤滑膜の代わりに、一般的な防錆油(大同化学(株)製KP−3)を付着している。なお、グラフの縦軸の内輪浮き上がり量とは、円錐ころ4の大端面4aと内輪2の大鍔部2aとの間の隙間Δlのことであり、図3(a)、図4(a)の場合、隙間Δlが0.5mm、図3(b)、図4(b)の場合、隙間Δlが0.04mmとなっている。そして、各試料軸受について、馴染み回転動作を5回、10回と繰り返している。
【0037】
本実施例の実験結果は、図3(a)、(b)のグラフに示すように、半回転から1〜2回転で、円錐ころ軸受1の各構成要素の相対位置関係を適正化できて、隙間Δlを無くすことができた。一方、比較例の実験結果は、図4(a)、(b)のグラフに示すように、4〜10回転で、円錐ころ軸受1の各構成要素の相対位置関係を適正化できて、隙間Δlを無くすことができた。このように、本実施例は比較例に比べて馴染み運転をかなり軽減できると言える。
【0038】
以上説明したように、潤滑膜6により馴染み運転を軽減できるようになる。さらに、馴染み運転の後、予圧付与して、運転する場合、運転初期といった潤滑油が不足する状況でも、内輪2の大鍔部2aと円錐ころ4との摺接部位に潤滑膜6が途切れなく介在するので、潤滑作用を発揮する。しかも、潤滑膜6は防錆効果をもたらすので、従来では必要であった防錆油を付着せずに済むようになる。従来のオイルを用いる場合のような付着による不快感が生じないので、ユーザーニーズを満たすこともできる。つまり、防錆油を付着する代わりに潤滑膜6を形成すればよいので、手間が増えるということは全くない。
【0039】
このような円錐ころ軸受1の使用対象への組み込み手順を説明する。まず、上述したように潤滑膜6を形成した円錐ころ軸受1を用意し、この円錐ころ軸受1の円錐ころ4および内・外輪2,3を各々使用対象となるハウジングおよび軸に組み込む。この後、円錐ころ軸受1に所要のアキシャル荷重をかけた油潤滑状態で、円錐ころ軸受1の内・外輪2,3を相対回転させることにより、円錐ころ軸受1の円錐ころ4および内・外輪2,3の相対位置関係を適正化して、円錐ころ4の大端面4aと内輪2の大鍔部2aとの間の隙間Δlを無くす。この状態で、円錐ころ軸受1に所定の予圧を付与する。このように、円錐ころ軸受1の馴染み運転がきわめて迅速に完了するから、組み込んでから直ぐに予圧の付与作業へ移ることができ、作業性が良好となる。
【0040】
なお、本発明は上記実施例のみに限定されるものではなく、種々な応用や変形が考えられる。
【0041】
(1) 上記実施例では、潤滑膜6を内・外輪2,3、円錐ころ4、保持器5のすべてに形成しているが、少なくとも内・外輪1,2だけ、あるいは円錐ころ4だけに形成することができる。
【0042】
(2) 上記実施例では、潤滑膜6を内輪2、外輪3、円錐ころ4、保持器5の表面全体に形成しているが、潤滑膜6は、内・外輪2,3の軌道面か、円錐ころ4かの少なくとも一方に形成すればよい。この場合、例えば上記(a)の付着処理において、内・外輪2,3、円錐ころ4において不要箇所をマスキングした状態で用意した溶液中に浸漬するか、あるいは完成状態の円錐ころ軸受1の内・外輪2,3間にスポイドなどで注入して回転させるなどすればよい。
【0043】
(3) 上記実施例では、流動性を有する潤滑膜6を示しているが、下記するような固体状の潤滑膜6も本発明に含む。図5は、固体状の潤滑膜の構造を模式的に表した構造図、図6は、固体状の潤滑膜の硬化前の状態での性状分析結果を示すグラフ、図7は、固体状の潤滑膜の硬化後の状態での性状分析結果を示すグラフである。
【0044】
前述の固体状の潤滑膜6は、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物からなる。末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物は、−CXF2X−O−という一般式(Xは1〜4の整数)で示される単位を主要構造単位とし、いずれも平均分子量が数百万以上で硬化反応により分子間が結合した3次元の網状構造を有している。3次元の網状構造とは、化学構造上の表現であって、膜の断面が網状になっているのではなく、分子間が網状のように連続してつながって密に詰まった均質な構造になっていることを意味している。このような化合物としては、下記化学式4に示すような末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体を用いて、化学構造を変化させたものとすることできる。前述の末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体としては、パーフルオロポリエーテル(PFPE)の誘導体、具体的に例えばモンテカチーニ社の商品名フォンブリンZ誘導体(FONBLINZ DISOCなど)が好適に用いられる。
【0045】
【化4】
【0046】
次に、上述した潤滑膜6の形成方法の一例を説明する。
【0047】
(a) 固体状の潤滑膜6を得るための溶液を用意し、この溶液を用いて円錐ころ軸受1の任意の必要部位に液状膜を付着させる(付着処理)。ここで用意する溶液は、末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOC)〕を希釈溶媒(ふっ素系溶剤SV90D)で含ふっ素重合体の濃度を1mass%にまで希釈したものである。
【0048】
(b) 液状膜を付着した対象のみあるいは円錐ころ軸受1の全体を40〜50℃で約1分間加熱し、液状膜に含む溶媒を除去する(乾燥処理)。この時点では、液状膜のままであり、流動性を有している。
【0049】
(c) この後、例えば100〜200℃で20時間、加熱する(硬化処理)。これにより、液状間kの化学構造が変化することにより硬化反応して固体状の潤滑膜6が得られる。ちなみに、この硬化処理では、液状膜に存在している官能基つき含ふっ素重合体の個々について、下記化学式5〜8に示すような4種の硬化反応でもって末端のイソシアネート(NCO)が消失し、各官能基付き含ふっ素重合体が互いに結合することにより3次元の網状構造となる。結合は、化学式5,6に示すような硬化反応でもって、図5(a)に模式的に示すように直線的に架橋するとともに、化学式7,8に示すような硬化反応でもって、図5(b)に模式的に示すように3次元方向で架橋する。なお、図5では、下記化学式9に示すように、上記化学式4を簡略化して模式的に表している。
【0050】
【化5】
【0051】
【化6】
【0052】
【化7】
【0053】
【化8】
【0054】
【化9】
【0055】
このようにすれば、円錐ころ軸受1の必要部位に固体状の潤滑膜6を好適な膜厚で形成することができる。なお、(a)、(b)は必要に応じて数回繰り返すようにしてもよく、最終的には、潤滑膜6の膜厚を例えば0.2μm以下に適宜設定する。
【0056】
ここで、(a)で用意した溶液を濃縮乾燥しただけの状態(流動性がある状態)と、(a)で用意した溶液をステンレス鋼板などの試料に付着して硬化した状態とについて、その性状を分析したので説明する。
【0057】
前者は、FT−IR法(フーリエ変換−赤外分光、液膜法)で分析している。その結果は、図6のグラフに示すように、ふっ素系のピーク以外にNH(330cm−1)、N=C=O(2279cm−1)、NHC=O(1712cm−1,1546cm−1)、ベンゼン(1600cm−1)などのピークが見られ、ベンゼン環、NHC=O結合、イソシアネートが官能基として存在していることが確認できる。ここでは、薄膜と厚膜との場合についてそれぞれ調べているが、膜厚に関係なく分析が行えた。後者は、FT−IR法(フーリエ変換−赤外分光、高感度反射法)で分析している。その結果は、図7のグラフに示すように、ベンゼン環やNHC=O結合のピークが見られるが、イソシアネートのピークが見られない。つまり、これらの結果に基づき、上記化学式5〜8に示す硬化反応による官能基の化学構造変化が確認される。
【0058】
以上説明した固体状の潤滑膜6は、それ自体が3次元の網状構造をもって、被覆対象上に緻密に被覆されるとともに自己潤滑性を有するため、上記実施例と同様に沈み込み動作が円滑になる上、組み込み後の回転動作の長期安定化を実現できるようになる。この他、固体状であるから、衝撃荷重に対し若干ながらも緩衝作用を発揮するので、耐衝撃性に優れるものとなる。
【0059】
この実施例において、上記(c)の硬化処理については、加熱に代えて、紫外線、赤外線、γ線、電子線などの電磁波(光)のエネルギーを利用することができる。また、(b)の乾燥処理は、省略してもよい。
【0060】
この固体状の潤滑膜5の場合、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物中に、フルオロポリエーテルなどの末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない含ふっ素重合体を流動可能に分散添加した構造とすることもできる。この場合、具体的に、上記形成方法の(a)の付着処理において、用意する溶液を、末端がイソシアネートの官能基付き含ふっ素重合体〔例えば商品名フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z DISOCなど)〕と、含ふっ素重合体として官能基なし含ふっ素重合体〔例えば商品名フォンブリンZ誘導体(FONBLIN Z−60など)〕とを所定の割合で混合したものとすればよい。この場合では、(c)の硬化処理において、官能基なし含ふっ素重合体が、官能基付き含ふっ素重合体と結合しないので、これが、固体状の潤滑膜5の内部において流動可能となり、膜表面から滲み出るなどして潤滑作用を発揮することになる。
【0064】
【発明の効果】
本発明の円錐ころ軸受では、ほんの少しの回転を行うだけの極く簡単な馴染み運転でもって、円錐ころ軸受の各構成要素の相対位置関係を適正化して、円錐ころの大端面と内輪の大鍔部との間の隙間を無くすことができる。したがって、この円錐ころ軸受を使用対象へ組み込んだ後、直ぐに予圧の付与を行えるようになるなど、作業性が良好となり、煩わしさを解消できるようになる。
【0065】
また、馴染み運転を短縮するために軸受構成要素を精密加工する従来例のように、製造コストが高騰することが無く、また防錆油も使用せずに済むので低価格化に有利である。
【0066】
また、潤滑膜を末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物からなる固体状とする場合には、分子間が密に詰まった均質な構造であるので、潤滑作用が長期的に継続できるようになる。しかも、この固体状の潤滑膜に末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない含ふっ素重合体を流動可能な状態で分散添加しているため、この末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が膜表面から滲み出て潤滑作用に寄与するので、潤滑性の一層の向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかり、馴染み運転後の円錐ころ軸受の上半分の縦断面図
【図2】同実施例で、馴染み運転前の円錐ころ軸受の上半分の縦断面図
【図3】本実施例での馴染み運転の結果を示すグラフ
【図4】比較例での馴染み運転の結果を示すグラフ
【図5】固体状の潤滑膜の構造を模式的に表した構造図
【図6】固体状の潤滑膜の硬化前の状態での性状分析結果を示すグラフ
【図7】固体状の潤滑膜の硬化後の状態での性状分析結果を示すグラフ
【符号の説明】
1 円錐ころ軸受
2 内輪
3 外輪
4 円錐ころ
5 保持器
6 潤滑膜[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a tapered roller bearing and a preload application method thereof. Examples of the tapered roller bearing here include those used as support bearings such as a rotating shaft of an automobile transmission device and an input / output shaft of an automobile differential device.
[0002]
[Prior art]
Conventionally, tapered roller bearings can support both radial loads and axial loads, and thus have various uses as described above.
[0003]
In general, this tapered roller bearing is incorporated into a use object in a state where an axial load, that is, a preload is applied in a state where a low-viscosity rust preventive oil is applied.
[0004]
By the way, manufacturing tolerances are conventionally set for each component of the tapered roller bearing, but when these elements are assembled, the large end surface of the tapered roller and the large collar portion of the inner ring do not come into contact with each other. There may be gaps between them.
[0005]
Even when the tapered roller bearing in such a state is incorporated into the object of application and a prescribed preload is applied, the above-mentioned gap may remain. In such a case, the relative positional relationship of each component may be optimized with the subsequent rotation of the tapered roller bearing, and the above-described gap may be eliminated, resulting in insufficient preload.
[0006]
For this reason, a so-called familiar operation is carried out in which the tapered roller bearing is incorporated into the object of use, and the inner and outer rings of the tapered roller bearing are relatively rotated with a required axial load applied before applying the preload. Thus, the relative positional relationship between the components of the tapered roller bearing is optimized, and the gap between the large end surface of the tapered roller and the large collar portion of the inner ring is eliminated (so-called sinking). After this, a preload is applied.
[0007]
[Problems to be solved by the invention]
However, it is pointed out that the familiar operation described above is troublesome because it needs to be performed with great care and takes time.
[0008]
On the other hand, in order to shorten or eliminate this familiar operation, the manufacturing tolerance of each component of the tapered roller bearing is made as small as possible, and the tapered roller bearing is assembled by simply assembling the tapered roller bearing. It is considered that the gap between the inner ring and the large collar portion of the inner ring is managed so as to be as small as possible (see, for example, Japanese Patent Laid-Open No. 2-256921).
[0009]
However, it is pointed out that such measures impose a heavy burden on capital investment, such as requiring equipment capable of high-precision processing in the manufacturer, and inevitably increase the bearing price. .
[0010]
In addition, as shown in Japanese Patent Application No. 3-108424, the intersection angle between the extension line of the outer ring raceway of the tapered roller bearing and the extension line of the inner ring raceway is larger than the intersection angle of the extension line of the generatrix of the tapered roller. By setting, there is one in which the tapered operation can be shortened early by allowing the tapered roller to be displaced early toward the large collar portion side of the inner ring in the familiar operation. Normally, the extension line of each track of the inner and outer rings and the extension line of the tapered surface of the tapered roller are designed to coincide with each other.
[0011]
However, there is also a region where the inner and outer rings and the tapered rollers are not in contact with each other in the axial direction. There is a concern that it may be difficult to reach a short life span.
[0012]
Furthermore, it is also considered to shorten the familiar operation by applying a high-viscosity oil such as gear oil that is actually used as a lubricating oil for the bearing to the inner and outer races and performing the familiar operation. From the viewpoint of improving the ease of use when the user (assembler) installs the bearing in the object of use, there is a tendency to prefer a bearing with as little oil as possible, and this point remains unsatisfactory.
[0013]
Accordingly, an object of the present invention is to shorten the familiar operation of the tapered roller bearing while allowing the handleability to be improved without increasing the price.
[0014]
[Means for Solving the Problems]
The first tapered roller bearing of the present invention, there is provided a tapered roller bearing familiar operation without using a lubricating oil after it has been incorporated into the used target is lubricated by the lubricating oil after been made, manufactured steel tapered rollers or steel At least one of the raceways of the inner ring and the outer ring of the inner ring and a functional group selected from a polyfluoroalkyl polymer or an epoxy group, an amino group, a carboxyl group, a hydroxyl group, a mercapto group, a sulfone group, or an ester group, which is used for lubrication of the familiar operation A lubricating film is formed by drying a fluorine-containing polymer which is a mixture of a fluoropolymer having a group and a perfluoropolyether .
[0015]
The second tapered roller bearing of the present invention, there is provided a tapered roller bearing familiar operation without using a lubricating oil after it has been incorporated into the used target is lubricated by the lubricating oil after been made, manufactured steel tapered rollers or steel Solid lubrication of a fluorine-containing polymer compound formed by curing a fluorine-containing polymer having an isocyanate functional group at the end, which is used for lubrication of the familiar operation , on at least one of the raceway surfaces of the inner ring and the outer ring A film is formed, and the solid lubricating film is dispersed and added with a flowable fluorine-containing polymer that does not bond to the fluorine-containing polymer with an isocyanate functional group at the end.
[0016]
The solid lubricant film described above has a three-dimensional network structure in which molecules are bonded . The solid lubricating film is dispersed and added with a flowable fluorine-containing polymer whose terminal does not bind to the fluorine-containing polymer with an isocyanate functional group . The flowable fluorine-containing polymer in which the terminal is not bonded to the fluorine-containing polymer with an isocyanate functional group is a non-functional group-containing fluorine- containing polymer such as a perfluoropolyether having no functional group. preferable.
[0017]
A preload application method for a first tapered roller bearing according to the present invention is a preload application method for a tapered roller bearing that is lubricated by a lubricating oil after being used in a familiar operation without using the lubricating oil after being incorporated in a use object , Polyfluoroalkyl polymer or epoxy group, amino group, carboxyl group, hydroxyl group, mercapto group, sulfone group used for lubrication of familiar operation on at least one of steel tapered roller or steel inner ring and outer ring raceway surface Alternatively, a step of attaching a lubricating film comprising a fluoropolyether polymer having a functional group selected from ester groups and a fluoropolymer that is a mixture of perfluoropolyether, a step of drying the lubricating film, and a cone The process of incorporating the tapered roller and the inner and outer rings of the roller bearing into the housing and the shaft, respectively, and the axial load required for the tapered roller bearing Relatively rotating the inner and outer rings of tapered roller bearings in the state multiplied by, and optimizing the relative positional relationship between the tapered roller and the inner ring and outer rings of tapered roller bearings, the large end face of the tapered roller and the inner ring of the large rib portion A familiar operation step of eliminating the gap between the two, and a step of applying a predetermined preload to the tapered roller bearing.
[0018]
A preload application method for a second tapered roller bearing according to the present invention is a preload application method for a tapered roller bearing that is lubricated with lubricating oil after being used in a familiar operation without using the lubricating oil after being incorporated in a use object , A fluorine-containing polymer having an isocyanate group as a functional group and a fluorine-containing polymer having an isocyanate functional group at the end, which are used for lubrication of a familiar operation on at least one of a steel tapered roller or a steel inner ring and an outer ring raceway surface A step of adhering a liquid film using a solution obtained by diluting in a solvent a mixture of a flowable fluorine-containing polymer that does not bind to the liquid, and curing the adhering liquid film the ends of the network is flowable dispersion added flowable fluorine-containing polymer which does not bind with the isocyanate functional group with fluorine-containing polymer, terminal isocyanate officer Incorporating a step of forming a solid lubricating film of the base with a fluorine-containing polymer containing fluorine polymer compound formed by the hardening treatment, each housing and the shaft and a tapered roller and the inner ring and the outer ring of the tapered roller bearing a step, the inner ring and the outer ring of a tapered roller bearing while applying the required axial load to the tapered roller bearings are relatively rotated, by optimizing the relative positional relationship between the tapered roller and the inner ring and outer rings of tapered roller bearings, conical A familiar operation step of eliminating a gap between the large end face of the roller and the large collar portion of the inner ring, and a step of applying a predetermined preload to the tapered roller bearing.
[0019]
In short, according to the present invention, a lubricating film having a remarkably excellent lubricity and a low frictional resistance is formed. The tapered roller and the inner ring are smoothly displaced relative to each other in the axial direction so as to eliminate the gap between the flanges (so-called sinking). In addition, since the lubricating film does not cause discomfort due to adhesion as in the case of using conventional oil, it is easy for the user to install the bearing.
[0020]
In addition, the lubricating film can be used as a substitute for rust-preventing oil, and even if lubrication is insufficient with conventional rust-preventing oil, such as the initial operation after installation, the lubricating film is applied to the sliding contact portion between the inner ring large collar and the tapered roller. Since there is no interruption, sufficient lubricating action is exhibited. Further, even if it is peeled off during normal operation, the resin composition originally has lubricity, so that it does not have an adverse effect on the bearing as foreign matter such as metal powder.
[0021]
In addition, when the lubricating film is made into a solid state composed of a fluorine-containing polymer compound formed by curing a fluorine-containing polymer having an isocyanate functional group at the end, it has a homogeneous structure in which molecules are closely packed. As a result, the lubricating action can be continued for a long time. For this reason, the long-term stabilization of the rotation operation after the incorporation is brought about. Therefore the solid ends lubricating film of dispersed addition of fluoride containing that does not bind to with the isocyanate functional group-containing fluorine polymer in a state capable of flowing, the terminal does not bind with the isocyanate functional groups with a fluorine-containing polymer flow Since the possible fluoropolymer oozes out from the film surface and contributes to the lubricating action, it can contribute to further smoothing of the sinking operation.
[0022]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
The details of the present invention will be described based on the embodiment shown in FIGS.
[0023]
1 to 3 relate to an embodiment of the present invention, FIG. 1 is a longitudinal sectional view of an upper half of a tapered roller bearing after a familiar operation, and FIG. 2 is a longitudinal section of an upper half of the tapered roller bearing before a familiar operation. FIG. 3 and FIG. 3 are graphs showing the results of the familiar operation in this example. FIG. 4 is a graph showing the results of the familiar operation in the comparative example.
[0024]
The tapered
[0025]
The materials of the inner /
[0026]
The
[0027]
[Chemical 1]
[0028]
[Chemical formula 2]
[0029]
[Chemical 3]
[0030]
As the above-mentioned fluorine-containing polymer having a functional group, more specifically, a mixture with perfluoropolyether (PFPE) or a derivative thereof, specifically, for example, a trade name of Fonbrin (FONBLIN) standard of Montecatini, Fonbrin emulsion (FE20, EM04, etc.) or Fomblin Z derivatives (FONBLIN Z DEAL, FONBLIN Z DIAC, FONBLIN Z DISOC, FONBLIN Z DOL, FONBLIN Z DOLTX2000, FONBLIN Z TETRAOL, etc.) are preferably used.
[0031]
Next, an example of a method for forming the
[0032]
(A) A solution for obtaining the
[0033]
(B) Individually or completely the tapered
[0034]
In this way, the
[0035]
In the tapered
[0036]
Specifically, an experiment will be described. The experimental results of this example are shown in the graph of FIG. 3, and the experimental results of the comparative example are shown in the graph of FIG. The sample bearing has a nominal number TR0708-1R and uses two same type tapered roller bearings for each lot. In the comparative example, a general rust preventive oil (KP-3 manufactured by Daido Chemical Co., Ltd.) is attached instead of the lubricating film in the present invention. Note that the amount of lift of the inner ring on the vertical axis of the graph refers to the gap Δl between the
[0037]
As shown in the graphs of FIGS. 3 (a) and 3 (b), the experimental results of the present embodiment were able to optimize the relative positional relationship of each component of the tapered
[0038]
As described above, the familiar operation can be reduced by the
[0039]
A procedure for incorporating such a
[0040]
In addition, this invention is not limited only to the said Example, Various application and deformation | transformation can be considered.
[0041]
(1) In the above embodiment, the
[0042]
(2) In the above embodiment, the
[0043]
(3) Although the
[0044]
The aforementioned
[0045]
[Formula 4]
[0046]
Next, an example of a method for forming the
[0047]
(A) A solution for obtaining the
[0048]
(B) Only the object to which the liquid film is adhered or the entire tapered
[0049]
(C) Then, it heats, for example at 100-200 degreeC for 20 hours (curing process). As a result, the
[0050]
[Chemical formula 5]
[0051]
[Chemical 6]
[0052]
[Chemical 7]
[0053]
[Chemical 8]
[0054]
[Chemical 9]
[0055]
In this way, the
[0056]
Here, the state prepared by concentrating and drying the solution prepared in (a) (the state having fluidity) and the state prepared by attaching the solution prepared in (a) to a sample such as a stainless steel plate and curing the I will explain the properties.
[0057]
The former is analyzed by the FT-IR method (Fourier transform-infrared spectroscopy, liquid film method). As a result, as shown in the graph of FIG. 6, NH (330cm -1) in addition to the peak of fluorine, N = C = O (2279cm -1), NHC = O (1712cm -1, 1546cm -1), Peaks such as benzene (1600 cm −1 ) are observed, and it can be confirmed that a benzene ring, NHC═O bond, and isocyanate are present as functional groups. Here, the cases of the thin film and the thick film are examined, but the analysis can be performed regardless of the film thickness. The latter is analyzed by the FT-IR method (Fourier transform-infrared spectroscopy, high sensitivity reflection method). As a result, as shown in the graph of FIG. 7, the peak of the benzene ring and NHC═O bond is seen, but the peak of isocyanate is not seen. That is, based on these results, the chemical structure change of the functional group due to the curing reaction shown in the
[0058]
The
[0059]
In this embodiment, for the curing process (c), energy of electromagnetic waves (light) such as ultraviolet rays, infrared rays, γ rays, and electron beams can be used instead of heating. Further, the drying process (b) may be omitted.
[0060]
In the case of this
[0064]
【The invention's effect】
In the tapered roller bearing of the present invention, the relative positional relationship between the components of the tapered roller bearing is optimized by a very simple familiar operation with only a slight rotation, and the large end surface of the tapered roller and the inner ring are large. The gap between the buttocks can be eliminated. Therefore, after incorporating the tapered roller bearing into the object to be used, preload can be applied immediately, so that workability is improved, and troublesomeness can be eliminated.
[0065]
Further, unlike the conventional example in which the bearing components are precision processed in order to shorten the familiar operation, the manufacturing cost does not increase and the use of rust preventive oil is not required, which is advantageous in reducing the cost.
[0066]
In addition, when the lubricating film is made into a solid state composed of a fluorine-containing polymer compound formed by curing a fluorine-containing polymer having an isocyanate functional group at the end, it has a homogeneous structure in which the molecules are closely packed. As a result, the lubricating action can be continued for a long time. Moreover, this solid for lubrication film ends are dispersed added flowable state fluorine-containing polymer which does not bind with the isocyanate functional group-containing fluorine polymer, the terminal isocyanate functional groups with a fluorine-containing polymer Since the flowable fluorine-containing polymer that does not bind to the fluid oozes out from the film surface and contributes to the lubricating action, it can contribute to further improvement in lubricity.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a longitudinal sectional view of an upper half of a tapered roller bearing after a familiar operation according to an embodiment of the present invention. FIG. 2 is a longitudinal sectional view of an upper half of a tapered roller bearing before a familiar operation in the same embodiment. FIG. 3 is a graph showing the result of a familiar operation in this example. FIG. 4 is a graph showing the result of a familiar operation in a comparative example. FIG. 5 is a structural diagram schematically showing the structure of a solid lubricating film. FIG. 6 is a graph showing the result of property analysis in the state before solid lubricant film is cured. FIG. 7 is a graph showing the result of property analysis in the state after solid lubricant film is cured.
1
Claims (6)
鋼製の円錐ころまたは鋼製の内輪および外輪の軌道面の少なくとも一方に、前記馴染み運転の潤滑に用いられる、ポリフルオロアルキル重合体またはエポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、スルフォン基若しくはエステル基から選ばれる官能基付きのフルオロポリエーテル重合体と、パーフルオロポリエーテルとの混合物である含ふっ素重合体を乾燥処理した潤滑膜が形成されている、ことを特徴とする円錐ころ軸受。 A tapered roller bearing that is lubricated by a lubricating oil after being used in a familiar operation without using the lubricating oil after being incorporated into a use object ,
A polyfluoroalkyl polymer or an epoxy group, an amino group, a carboxyl group, a hydroxyl group, a mercapto group, a sulfone, which is used for lubrication of the familiar operation , on at least one of a steel tapered roller or a raceway surface of a steel inner ring and outer ring A tapered roller is characterized in that a lubricating film is formed by drying a fluoropolymer having a functional group selected from a group or an ester group and a fluoropolymer which is a mixture of a perfluoropolyether. bearing.
鋼製の円錐ころまたは鋼製の内輪および外輪の軌道面の少なくとも一方に、前記馴染み運転の潤滑に用いられる、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物の固体状の潤滑膜が形成され、前記固体状の潤滑膜は、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体が分散添加されている、ことを特徴とする円錐ころ軸受。 A tapered roller bearing that is lubricated by a lubricating oil after being used in a familiar operation without using the lubricating oil after being incorporated into a use object ,
At least one of the raceway surface of the inner ring and the outer ring made of steel tapered rollers or steel, the use in lubrication of familiar driving, fluorine-containing the terminal is formed by the curing treatment with an isocyanate functional group containing fluorine polymer A solid lubricating film of a polymer compound is formed, and the solid lubricating film is dispersed and added with a flowable fluorine-containing polymer that does not bond to the fluorine-containing polymer with an isocyanate functional group at the end. Characteristic tapered roller bearing.
鋼製の円錐ころまたは鋼製の内輪および外輪の軌道面の少なくとも一方に、馴染み運転の潤滑に用いられる、ポリフルオロアルキル重合体またはエポキシ基、アミノ基、カルボキシル基、水酸基、メルカプト基、スルフォン基若しくはエステル基から選ばれる官能基付きのフルオロポリエーテル重合体と、パーフルオロポリエーテルとの混合物である含ふっ素重合体からなる潤滑膜を付着させる工程と、
該潤滑膜を乾燥させる工程と、
円錐ころ軸受の円錐ころおよび内輪と外輪とを各々ハウジング及び軸に組み込む工程と、
円錐ころ軸受に所要のアキシャル荷重をかけた状態で円錐ころ軸受の内輪と外輪とを相対回転させ、円錐ころ軸受の円錐ころおよび内輪・外輪の相対位置関係を適正化して、円錐ころの大端面と内輪の大鍔部との間の隙間を無くす馴染み運転工程と、
円錐ころ軸受に所定の予圧を付与する工程と、
を有することを特徴とする円錐ころ軸受の予圧付与方法。A preload application method for a tapered roller bearing that is lubricated by a lubricating oil after a familiar operation is performed without using the lubricating oil after being incorporated into a use object ,
Polyfluoroalkyl polymer or epoxy group, amino group, carboxyl group, hydroxyl group, mercapto group, sulfone group used for lubrication of familiar operation on at least one of steel tapered roller or steel inner ring and outer ring raceway surface Or a step of attaching a lubricating film comprising a fluoropolyether polymer with a functional group selected from ester groups and a fluoropolymer that is a mixture of perfluoropolyether;
Drying the lubricating film;
Incorporating the tapered roller and the inner ring and the outer ring of the tapered roller bearing into the housing and the shaft, respectively;
The inner and outer rings of tapered roller bearings while applying the required axial load to the tapered roller bearings are relatively rotated, by optimizing the relative positional relationship between the tapered roller and the inner ring and outer rings of tapered roller bearings, large tapered roller A familiar operation process that eliminates the gap between the end face and the large collar of the inner ring,
Applying a predetermined preload to the tapered roller bearing;
A method for applying a preload to a tapered roller bearing.
鋼製の円錐ころまたは鋼製の内輪および外輪の軌道面の少なくとも一方に、馴染み運転の潤滑に用いられる、官能基としてイソシアネート基を有する含ふっ素重合体と末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体に結合しない流動可能な含ふっ素重合体とを所定の割合で混合したものを溶媒中に希釈してなる溶液を用いて、液状膜を付着させる工程と、
前記付着した液状膜を硬化させることにより、網状構造の末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体と結合しない流動可能な含ふっ素重合体を流動可能に分散添加された、末端がイソシアネート官能基付き含ふっ素重合体を硬化処理したことで形成された含ふっ素高分子化合物の固体状の潤滑膜を形成する工程と、
円錐ころ軸受の円錐ころおよび内輪と外輪とを各々ハウジング及び軸に組み込む工程と、
円錐ころ軸受に所要のアキシャル荷重をかけた状態で円錐ころ軸受の内輪と外輪とを相対回転させ、円錐ころ軸受の円錐ころおよび内輪・外輪の相対位置関係を適正化して、円錐ころの大端面と内輪の大鍔部との間の隙間を無くす馴染み運転工程と、
円錐ころ軸受に所定の予圧を付与する工程と、
を有することを特徴とする円錐ころ軸受の予圧付与方法。A preload application method for a tapered roller bearing that is lubricated by a lubricating oil after a familiar operation is performed without using the lubricating oil after being incorporated into a use object ,
A fluorine-containing polymer having an isocyanate group as a functional group and a fluorine-containing polymer having an isocyanate functional group at the end, which are used for lubrication of a familiar operation on at least one of a steel tapered roller or a steel inner ring and an outer ring raceway surface A step of adhering a liquid film using a solution obtained by diluting in a solvent a mixture of a flowable fluorine-containing polymer that is not bonded to a predetermined ratio ;
By curing the adhered liquid film, a flowable fluorine-containing polymer in which the end of the network structure is not bonded to the fluorine-containing polymer having an isocyanate functional group is dispersed and added in a flowable manner. A step of forming a solid lubricating film of a fluorine-containing polymer compound formed by curing a fluoropolymer ;
Incorporating the tapered roller and the inner ring and the outer ring of the tapered roller bearing into the housing and the shaft, respectively;
The inner and outer rings of tapered roller bearings while applying the required axial load to the tapered roller bearings are relatively rotated, by optimizing the relative positional relationship between the tapered roller and the inner ring and outer rings of tapered roller bearings, large tapered roller A familiar operation process that eliminates the gap between the end face and the large collar of the inner ring,
Applying a predetermined preload to the tapered roller bearing;
A method for applying a preload to a tapered roller bearing.
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