JP3676747B2 - シート押えバンド張り渡し具、およびそれによるシート押えバンド張り渡し工法 - Google Patents

シート押えバンド張り渡し具、およびそれによるシート押えバンド張り渡し工法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の目的】
この発明は、果樹園における雨避け施設や各種野菜、花卉類用としての温室ハウス、あるいは簡易車庫、簡易倉庫等の用に広く採用されている門型ハウスのビニールシート張設技術に関するものであり、特にビニールシートの耐久性を増強する目的で採用されるシート押えバンド(通称、マイカ線)の張り渡しを容易且つ正常な状態になし得るようにする新規な構造のシート押えバンド張り渡し具、およびその張り渡し具による新規な構成のシート押えバンド張り渡し工法を提供しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
経済的発展を続けてくる過程で、我々の日常生活には各方面で大きな変化が生じてきている。例えば、食生活一つを取り上げてみても、昨今では季節に全く係わりなく殆どあらゆる根菜類を入手でき、また、果実類でも、本来の収穫適期よりも相当早い時期に新鮮なものの食味が可能になっていて、季節感を無くすとして歓迎しない向きもないではないが、年間を通じて豊かな食材を味わうことができることから、その意味では極めて贅沢な食文化に浴しているとすることができよう。
【0003】
こうした豊富な食材の提供を可能にしている要因の一つが、規制緩和による外国産食材の輸入自由化によるものであり、我が国の農業事情を大きく左右する結果となって、それまでの農業形態から転換を余儀無くされ、高付加価値、高収益に繋がる作物栽培へと移行せざるを得ず、そうした栽培に欠かせない施設として、外界の季節の移り変わりや天候の変化に影響されない栽培、育成環境を、比較的簡便且つ経済的に実現可能とする門型ハウスがある。この施設は、円弧状に成形した鋼管を骨格体として等間隔に配置した上、それらを骨格支持体として長尺ビニールシートを被せ、トンネル状に組み立てて簡易温室あるいは簡易雨避け等にするようにした施設であり、今では全国津々浦々、何処にいってもこの門型ハウスを見掛けないところはない程までに多用され、各種根菜類から花卉類、そして高品質の果実類の栽培に威力を発揮している。
【0004】
ところが、この門型ハウスの導入は、単価自体は比較的低廉とはいうものの、設置する面積が拡大なために、全体としてかなりの経済的負担を強いられることになるものの、それでも施設の導入を避けられない農家にとっては、栽培作物の選択でカバーできる施設として利用できるところであれば、なるべく換金性の良い作物栽培を選択する等してある程度帳尻を合わせることができるとしても、そうではない農家、例えばサクランボ栽培農家等にとっては、設置後の施設管理を如何に経済的且つ効率的に実施できるかに掛かっており、それは、特に老齢化が進む農業事情の中において極めて深刻且つ重大な問題であるにも拘わらず、これまでのところでは、この施設管理に係わる適切な対応策の提案、指導は少なく、只管、その施設の所有者である農家の創意、工夫に任されていて、それができない農家では、施設業者に任せることとなって更に経営状態を悪化させ兼ねないというのが実情となっている。
【0005】
門型ハウスの導入を余儀無くされる農家に必要な施設管理としては、腐食する門型パイプフレーム脚部の補強、補修等も長期的には極めて重要な管理項目の一つといえるが、年間を通じ、育成、栽培状況や台風等といった気象条件等に応じてその都度必要となる厄介な管理項目に、長尺なビニールシートの張り替え作業があり、農家自らで実施するにしろ、施設業者に任せるにしろ、これまでは、脆弱な門型パイプフレーム上での危険を伴う作業を覚悟の人手による張り替えであったものが、最近では、動力を使い、門型パイプフレーム中途に配した大形ローラーを経由するようにして束にしたビニールシートを棟部辺りに引き上げた上、それらを門型パイプフレーム沿いに人手で左右に振り分け、張替えをするといった作業改善も少しずつなされるようになってきている。
【0006】
ところが、こうしてどうにか門型パイプフレーム上に掛けられたビニールシートも、そのままでは風にバタつき、用をなさないことから、それら張りのないビニールシートにテンションを掛けるため、隣接する門型パイプフレーム間辺りの位置毎のビニールシート上に、シート押えバンド、通称マイカ線を張り巡らす作業が必須となるものの、ビニールシートの掛けられた門型ハウスは、野菜や花卉類等向けの一般的のでも、高さが4〜5メートル、間口が10メートル前後にも及び、一方の桁側から他方の桁側へと門型ハウスの棟越しにシート押えバンドだけを掛け渡すことはかなり難しい作業となる。
【0007】
そのため、通常では、両桁側に夫々少なくとも一人ずつの作業者が居て、巻取られているシート押えバンドを、掛け渡しに必要となる以上の長さ分だけ用意した上、その一端に、ビニールシートを傷つける虞れのない錘を括り付け、一方の桁側の作業者が、それを分銅代わりにして他方の桁側に待機する作業者に向け、棟越しに投げ付けて門型ハウスを越すようにし、他方の桁側の作業者は、届いた錘を手繰り寄せて十分門型ハウスを越す分だけの長さを確保したところで、既に棟を越して所定のビニールシート上に掛け渡されているシート押えバンドで、門型ハウスを越す分だけの長さを残した辺りの適所を、地面に差したアンカー金具や門型ハウスの適宜箇所に仮着状にし、更に直ぐ隣の門型パイプフレーム間辺りの位置に相当するもう1箇所も同様にして仮着状にしてしまう。
【0008】
そして、今度は、その他方の桁側の作業者が、残したシート押えバンドの先端に付けたままとしてある錘を分銅代わりにして、一方の桁側に止まる作業者に向けて投げ返すと、錘に誘導されるようにして残しておいたシート押えバンドが棟を越し、さっき掛け渡し状としたシート押えバンドの直ぐ隣の門型パイプフレーム間辺りの位置のビニールシート上に掛け渡された状態となって一方の桁側の作業者にシート押えバンドの先端が届くことから、同作業者は、錘を解いてしまった上、夫々隣接する所定の門型パイプフレーム間辺りの位置に掛け渡された状態に納まっている各シート押えバンドの先端辺りを把持して強く引っ張りながら、同先端側を、先に他方の桁側で実施したと同様に、地面に差したアンカー金具や門型ハウスの適宜箇所に夫々仮着状にしてしまうと、それらシート押えバンドによって門型パイプフレーム間のビニールシートにテンションが掛かり、風によってバタつくことのない丈夫な状態にビニールシートが張設される。以下、同様にして全ての門型パイプフレーム間辺りの位置にシート押えバンドを掛け渡しては、強く張っていくようにすることにより、門型パイプフレームを骨格体として緊張状態にビニールシートで覆い尽くした門型ハウスが完成する。
【0009】
このシート押えバンドをビニールシート上に張り巡らしていく作業は、精々錘を使っての作業部分だけに器具らしきものが使用されるだけであって、今のところ、それら作業を機械化する上で有効となる手段を見い出すことは難しく、その掛け渡し作業の工程自体は、今後ともそのまま引き継がざるを得ないといえるが、こうして伝統的に実施してきているこのシート押えバンド掛け渡し作業において、単に錘を分銅代わりに使って作業する手段では、ビニールシート上に張り巡らされているシート押えバンドに捻りを生じさせたままに緊張させてしまうことが多く、その捻り箇所が原因となってビニールシートに緊張力が集中し、折角のビニールシートの耐久性に支障を来し、本来の寿命よりも短い間にビニールシートが破断して温室効果を弱めたり、サクランボ栽培のような果樹栽培では、雨漏りによる品質低下を来してしまう等といった弊害を惹起することとなり、このビニールシートの寿命の短縮化も、ハウス栽培農家にとって極めて厄介な問題の一つとなっている。
【0010】
この発明は、以上見てきた状況の如く、ハウス栽培農家における門型ハウスの各種管理項目の中、特に緊張状態にビニールシートを納めるためのシート押えバンド掛け渡し作業について、その全体的な工程の流れは、基本的に従前までのものから変えようはないにしても、掛け渡し過程でシート押えバンドに極力捻れ現象を生じさせてしまうことがない有効な手段はないものかと、自ら農業に携わるものの一人とし疑問を抱き、長年に渡る試行錯誤と様々な試作実験とを繰り返してきた結果、茲にきて遂に目的とする捻れを少なくするか、全くそれを生じさせないようにすることが可能な新規な構造からなるシート押えバンド張り渡し具と、それを使った新規な構成からなるシート押えバンド張り渡し工法とを開発、完成することに成功したものであり、以下では、具体的な実施例と共に、その構成に詳細な説明を加えていくことにする。
【0011】
この発明の基礎をなしているシート押えバンド張り渡し具は、基本的に次のとおりの構成から成り立っている。
即ち、平面形が角丸矩形状か長円盤状、楕円盤状またはそれらに近い形状で適宜肉厚を有し、陵を含む各部を滑らか表面仕上げにしてなる滑動用塊体の、平面形の縦横寸法で長い方を前後となし、それら前後側面略中央間を貫通するシート押えバンド挿通用の案内孔が、シート押えバンドの扁平断面よりやや大きい扁平断面で、且つ該扁平断面の厚さ方向が滑動用塊体厚さ方向に合致する如く規制して穿設されてなるものとした上、前後各側面に開口する案内孔を基準に左右対称となる位置には、Y字状端部に形成された誘導紐の当該Y字状端部を取着してなるものとした構成を要旨とするシート押えバンド張り渡し具である。
【0012】
この基本的な構成からなるこの発明のシート押えバンド張り渡し具には、平面形が角丸矩形状か長円盤状、楕円盤状またはそれらに近い形状で適宜肉厚を有し、陵を含む各部を滑らか表面仕上げにしてなる滑動用塊体の、平面形の縦横寸法で長い方を前後となし、それら前後側面略中央間を貫通するシート押えバンド挿通用の案内孔が、シート押えバンドの扁平断面よりやや大きい扁平断面で、且つ該扁平断面の厚さ方向が滑動用塊体厚さ方向に合致する如く規制して穿設されてなるものとした上、前後各側面に開口する案内孔を基準に左右対称となる位置には、Y字状端部に形成された誘導紐の当該Y字状端部を取着してなるものとする一方、滑動用塊体の上下何れかの面には、その面から突出することがないよう規制した配置で、前記案内孔に挿通されたシート押えバンドの何れか一方の端部用とする仮着部を組み込んでなるものとした押えバンド張り渡し具を包含している。
【0013】
同様に、平面形が角丸矩形状か長円盤状、楕円盤状またはそれらに近い形状で適宜肉厚を有し、陵を含む各部を滑らか表面仕上げにしてなる滑動用塊体の、平面形の縦横寸法で長い方を前後となし、それら前後側面略中央間を貫通するシート押えバンド挿通用の案内孔が、シート押えバンドの扁平断面よりやや大きい扁平断面で、且つ該扁平断面の厚さ方向が滑動用塊体厚さ方向に合致する如く規制して穿設されてなるものとした上、前後各側面に開口する案内孔を基準に左右対称となる位置には、Y字状端部に形成された誘導紐の当該Y字状端部を取着してなるものとする一方、滑動用塊体の上下何れかの面には、その面から突出することがないよう規制した配置で、前記案内孔に挿通されたシート押えバンドの何れか一方の適所用とするカッター部を組み込んでなる構成のシート押えバンド張り渡し具も包含する。
【0014】
更に、平面形が角丸矩形状か長円盤状、楕円盤状またはそれらに近い形状で適宜肉厚を有し、陵を含む各部を滑らか表面仕上げにしてなる滑動用塊体の、平面形の縦横寸法で長い方を前後となし、それら前後側面略中央間を貫通するシート押えバンド挿通用の案内孔が、シート押えバンドの扁平断面よりやや大きい扁平断面で、且つ該扁平断面の厚さ方向が滑動用塊体厚さ方向に合致する如く規制して穿設されてなるものとした上、前後各側面に開口する案内孔を基準に左右対称となる位置には、Y字状端部に形成された誘導紐の当該Y字状端部を取着してなるものとする一方、滑動用塊体の上下何れかの面または上下各面には、その面から突出することがないよう規制した配置で、前記案内孔に挿通されたシート押えバンドの何れか一方の端部用とする仮着部と、同何れか一方の適所用とするカッター部とをまとめてか、個別に組み込んでなるものとした構成からなるシート押えバンド張り渡し具もまた包含されている。
【0015】
シート押えバンドは、断面フィーダー線のような形状で、両端縁(2芯のもの)か、両端縁および中央(3芯のもの)に補強糸を埋込み状として強度を付与してなる巾1cm程度の可撓性および耐候性あるプラスチックテープであり、主として農業用門型ハウスに採用するものとして従前から広く一般に市販され続けている、例えば商品名「シンエース」(東京戸張株式会社製)、「キョージン」(中部農材株式会社製)、「マイカ線」(石本マオラン株式会社製)、あるいは「キョージンバンド」(タキイ種苗株式会社製)等によって代表されるあらゆるタイプのものを対象とする。
【0016】
滑動用塊体は、シート押えバンドを門型ハウスの棟越えに牽引、誘導するための錘としての機能と共に、その牽引、誘導過程においてビニールシート上に張り巡らしたときにシート押えバンドに捻りを生じさせないようにした張り渡しをする機能を果たすものであり、作業者が、手に握る上で支障がない形状を有すると共に、把持したままで対象となる門型ハウスの棟越えに投げる際にあまり負担にならず、しかも、シート押えバンドを牽引、誘導する上で必要となる錘としての機能を発揮するに足るだけの十分重さを具備していなければならず、更に、完全に門型ハウスを越え切れず、門型パイプフレームに掛けられたビニールシート上に落下したり、落下後に引きずられたりしたとしても、ビニールシートを傷めることがないようにした形状を有してなるものとしなければならない。
【0017】
したがって、それらの条件を満たすようにするため、全体平面形は、角丸矩形状か長円盤状、楕円盤状またはそれらに近い形状の横長形状のものとし、その縦横寸法は、骨格体である門型パイプフレームの間隔に比してあまりに小さすぎてしまい、ビニールシート上に落下したとき等に、全体の質量がビニールシートの一箇所に集中してしまうことがないよう配慮し、(10〜15)cm×(15〜20)cm程度のもので、その厚みも(2〜3)cm程度のものとするのが望ましく、上下両面は平坦なままでも勿論差し支えはないが、できれば中央が夫々外側に滑らかに膨らんだ形状のものとし、門型パイプフレーム間に凹面状に張られることとなるビニールシート面にできるだけ馴染んだ状態になる形状のものとすると極めて好都合のものとなり、また、ビニールシート面を傷めることがないよう、陵を含む各部を滑らか表面仕上げにしたものとしなければならず、木製、プラスチック製、アルミ合金製等、特に素材に限定はないものの、あまりに重さが嵩んでしまうようなものは避けなればならず、全体が密実なものの外、内部に空洞を有するようにしたもの等としても差し支えはない。
【0018】
また、この滑動用塊体には、その上下何れかの面または上下各面に、予めシート押えバンドの一端側に着脱自在に接続し、シート押えバンドを門型ハウスの反対桁側に牽引、誘導し得るようにする機能を果たすための仮着部と、後述する誘導紐を操作して滑動用塊体を動かし、シート押えバンドの捻れを取り除いた後、矯正された該シート押えバンドを強く引っ張りながら、その端部を地面に差したアンカー金具や門型ハウスの適宜箇所に夫々仮着状にする際に、不必要となるシート押えバンド部分を切り離してしまうときに用いる等、案内孔に挿通されたシート押えバンドの何れか一方の端部用とするか、同何れか一方の適所用とするための切断具として機能させるカッター部とを、滑動用塊体表面から突出することがないよう、例えば、後述する実施例に採用しているもののように刳り貫き部とし、その部分に配置するようにしたり、あるいは、側面その他適所に埋め込み状となし、ピボット状に回転、露出させたときだけ夫々の機能を果たし得るものにする等といった規制された配置構造によるものとしなければならず、これら仮着部とカッター部とは、後述した実施例のように、滑動用塊体一面側にまとめてしまうか、各面や同一面であっても個別になるように組み込んだものとすることもできる。
【0019】
案内孔は、シート押えバンドを自然の状態、即ち捻れていないままでしか挿通しないようにしてあって、中途に捻れがある場合には、その捻れ部分を押し出してしまうよう機能するものであり、シート押えバンドの扁平断面よりやや大きい扁平断面で、且つ該扁平断面の厚さ方向が滑動用塊体厚さ方向に合致する如く規制して、上記滑動用塊体の前後側面略中央間を貫通状とし、それら前後側面に夫々その扁平断面形に開口してなるものにすると共に、該開口には、後述する実施例において採用しているとおり、案内孔に引き込まれていくシート押えバンドが、その開口に達する直前において円滑に捻れ部分を押し出してしまい、捻れたまま不用意に開口から当該案内孔内に引き込まれて詰まってしまうことのないよう機能するようにした捻れ矯正片が、当該開口よりも更にシート押えバンドの扁平断面に近い大きさの扁平断面に形成したスリットを、当該開口に合致させるようにして添設、一体化されてなるものとすることもできる。
【0020】
誘導紐は、上記した案内孔にシート押えバンドを挿通した状態で、当該シート押えバンドを案内とするようにして前後何れかの方向に滑動用塊体を移動させていき、その移動過程で、該滑動用塊体から見た場合、当該シート押えバンドが開口から案内孔内に引き込まれていくような状態に操作する機能を果たすものであり、前後各側面に開口する案内孔を基準に左右対称となる位置を取着部となるようにして、Y字状端部に形成された誘導紐の当該Y字状端部を取着するようにし、このY字状端部配置によって、ビニールシート上において不用意に滑動用塊体が反転してしまうことがないようにした操作がなし得るようにするものであって、前後各側面に取着される各誘導紐とも、対象とする門型ハウスの骨格体である門型パイプフレーム以上の長さのものとする必要があり、タコ紐や麻紐、プラスチック紐等、柔軟性と耐久性とを備えていて、ビニールシートを痛めず、長期間に渡る継続した使用の可能な適宜素材によるものとする。
【0021】
なお、この誘導紐には、滑動用塊体の前後各側面から延びる誘導紐の中、少なくともシート押えバンド引き出し側となる案内孔の開口する後側面から延びる誘導紐の末端側に、シート押えバンドの一端を仮着した前記滑動用塊体を投げたときに、当該滑動用塊体共々、この操作用の誘導紐までも門型ハウスの上の何処かに飛んでいってしまわないようにするために、末端側を作業者の身体やその周りに止め置くことができるようにするクリップやフック、スナップ、キャッチャー等といった各種仮着具が組み込まれてなるものにすると、極めて好都合のシート押えバンド張り渡し具にすることができる。
【0022】
【関連する発明】
上述したこの発明の基礎をなすシート押えバンド張り渡し具に関連し、この発明には、以下のとおりの工程からなる構成を要旨とするシート押えバンド張り渡し工法が含まれている。
即ち十分な長さに用意されたシート押えバンドの一端側を、上記何れかの請求項記載のシート押えバンド張り渡し具の前側面でシート押えバンド引き入れ側となる案内孔開口に挿入し、後側面にある案内孔開口から適宜長さだけ引き出した上、仮着部を使ってその引き出したシート押えバンドの端部適所を仮着状にすると共に、同所側に取着された誘導紐を滑動用塊体に巻き付けて解けないようにし、前側面側に取着された誘導紐は弛ませ、末端だけを適宜仮着状にする滑動用塊体装着工程。
【0023】
既にビニールシートの張設された門型ハウスの一方の桁側に止まる作業者が、シート押えバンドを張り渡すべき門型パイプフレーム間の位置において、同所側から棟部越しに他方の桁側に向け、それら滑動用塊体を放り投げ、滑動用塊体を錘としてシート押えバンドを門型ハウスの所定箇所のビニールシート上に架け渡すシート押えバンド誘導工程。
【0024】
門型ハウスの他方の桁側に止まる作業者が、棟部越しに届いた滑動用塊体から誘導紐を解いて弛ませ、その末端だけを適宜仮着状にすると共に、後側面にある案内孔開口から適宜長さだけ引き出したシート押えバンドの端部も仮着部から解き放って直接か掛け金具を使うかして門型ハウスの裾側適所に取着するシート押えバンド誘導側端部取着工程。
【0025】
門型ハウスの一方の桁側に止まる作業者は、門型ハウスの他方の桁側に止まる作業者の前記工程が終わるのを待って、同所側からビニールシート面に沿って他方の桁側に延びる誘導紐を静かに引っ張り、滑動用塊体を他方の桁側から棟部越しに同所側までビニールシート面沿いに手繰り寄せ、その過程で、同所側から棟部越しに他方の桁側に誘導、架け渡したシート押えバンドの捻れを滑動用塊体前側面の案内孔開口によって正常な状態に戻してしまうシート押えバンド捻れ矯正工程。
【0026】
門型ハウスの一方の桁側に止まる作業者は、手許のシート押えバンド適所を切断し、手許に戻ってきた滑動用塊体をシート押えバンドから外した上、当該シート押えバンドの端部を引っ張って同所のビニールシートを緊張状にしたまま、直接か掛け金具を使うかして門型ハウスの裾側適所に取着するビニールシート緊張工程。
【0027】
以上の一連の工程を所定門型パイプフレーム間におけるシート押えバンド張り渡し工程となし、引き続き、門型ハウスの一方の桁側に止まる作業者は、横移動して直ぐ隣のシート押えバンドを張り渡すべき門型パイプフレーム間の位置において、十分な長さに用意された新たなシート押えバンドの一端側に対し、上記したシート押えバンド張り渡し工程としての一連の工程を、順次滑動用塊体装着工程以下、シート押えバンド誘導工程、シート押えバンド誘導側端部取着工程、シート押えバンド捻れ矯正工程、ビニールシート緊張工程へと繰り返し、以降も、同様にしてシート押えバンドを張り渡すべき門型パイプフレーム間で必要箇所全てにシート押えバンドを張り渡すようにしてなる、この発明の基礎をなす上記までのシート押えバンド張り渡し具によるシート押えバンド張り渡し工法である。
【0028】
この工法において、一方の桁側に位置する作業者および他方の桁側に位置する作業者は、同一人であることを妨げるものでなく、シート押えバンドの一端側を仮着する滑動用塊体装着工程を終えた滑動用塊体を一方の桁側から他方の桁側に投げ、シート押えバンド誘導工程に従って牽引、誘導したシート押えバンドが門型ハウスを跨ぐようにした状態で、誘導紐を一方の桁側に残して何時でも操作可能となるようにしたまま、同一人が他方の桁側に移動してシート押えバンド誘導側端部取着工程を済ませた後、再び同一人が一方の桁側に戻り、操作可能にしておいた誘導紐によってシート押えバンド捻れ矯正工程を実施し、引き続き、ビニールシート緊張工程を完了するようにした一連の工程により、所定門型パイプフレーム間に順次シート押えバンドを張り渡していくようにすることも、当然のことながらこの発明のシート押えバンド張り渡し工法に含まれている。
以下では、上記したこの発明ののシート押えバンド張り渡し具、およびそれによるシート押えバンド張り渡し工法の構成が、より一層明確なものとなるように代表的な一実施例を取り上げ、その構造について具体的な説明を加えていくこととする。
【0029】
【実施例1】
図1の誘導紐の一部を省略して示す平面図、図2のA〜A断面図、図3のシート押えバンドを滑動用塊体に装着した状態を示す斜視図には、この発明のシート押えバンド張り渡し具の代表的な一実施例を取り上げてある。
このシート押えバンド張り渡し具1の滑動用塊体2は、図2の断面図に示されているとおり、錘としての質量と強度、肉厚とを確保するための心材21と、その上下両面に添設、一体化して各面の滑らかさと耐摩耗性、意匠効果とを分担するようにした化粧板22,23、特に上面側の化粧板22にあっては、後述の仮着部3とカッター部4とを収容する空間形成のための材厚を有するようにしたものとから形成され、心材21は、その下面の左右巾方向の中央部分に、シート押えバンド6の扁平断面よりやや大きい扁平断面の溝を予め形成した上、下面側の化粧板23でその裏面全体を覆い尽くしてしまうようにすることにより、前後側面略中央間を貫通するようにしたシート押えバンド6挿通用の案内孔21aが形成され、前後各側面に開口21b,21bを有するものになるようにしてある。
【0030】
一方、上面側の化粧板22には、中央辺り適所が刳り貫かれたものに形成されており、それを滑動用塊体2の上面側に添設、一体化することにより、化粧板22の当該刳り貫き部分に収容空間部22aを確保したものとなし、同収容空間部22aを利用して仮着部3とカッター部4とを収容するようにしてあり、これら心材21と上下各面の化粧板22,23とは、接着剤を塗布して接着した上、埋込みボルト、ナット2a,2a,…で三者が強固に一体化されてなるものとすることにより、形成される滑動用塊体2は、その上下何れの面から何等突出したもののない平滑なものに形成されている。
【0031】
なお、この滑動用塊体2の平面形は、図1の平面図にあるとおり、角丸矩形状のものに形成すると共に、その陵部全てが角を丸めてなるものに形成してあって、陵を含む各部が滑らか表面仕上げとなるようにしてあることから、作業者がシート押えバンド誘導工程に従って滑動用塊体2を放り投げ、シート押えバンドを牽引、誘導する際に、仮令、滑動用塊体2が門型ハウスHに掛けてあるビニールシートSを直撃したとしても、滑動用塊体2によってビニールシートSを損傷してしまうような事態に至ることがないようにしてある。
【0032】
また、この実施例の滑動用塊体2の案内孔21aで、その前後各側面の開口21b,21bの中、シート押えバンド6引き入れ側となる前側面の案内孔21aの開口21bだけに、該開口21bよりも更にシート押えバンド6の扁平断面に近い大きさの扁平断面に規制したスリット21dを有する捻れ矯正片21cが、そのスリット21dを案内孔21aの開口21bに合うよう規制して取着されてなるものにしてあるが、この捻れ矯正片21cを、滑動用塊体2の前後各側面の開口21b,21b部分に取着してなるものとすれば、この滑動用塊体2のどちら側でも分け隔てなく前後側面として使用可能なものとすることができ、好都合のものになる。
【0033】
更に、この滑動用塊体2の上面側に添設、一体化した装飾板22の刳り貫き部分によって確保された収容空間部22aには、案内孔21aに挿通されたシート押えバンド6の何れか一方の端部用とするための仮着部3が、当該シート押えバンド6の挿通方向、即ち案内孔21a刳り貫き方向に直交状となるようにした姿勢に配した上、止めネジ31によって取着され、滑動用塊体2の上面からは突出しないよう規制したものとしてあり、シート押えバンド張り渡し具1として使用する際の最初の滑動用塊体装着工程において、十分な長さに用意されたシート押えバンド6の一端側を、滑動用塊体2の案内孔21a開口21bから挿入して後側面にあるもう一方の開口21bから適宜長さ分だけ引き出し、その引き出した部分の適所を、該仮着部3の下に強制的に潜り込ませることにより、同所が、止めネジ31を支持部とした仮着部3の弾発力によって滑動用塊体2心材21表面に押し付けられて仮着状となって、図中鎖線表示してあるもののような状態で、シート押えバンド6の一方の端部側が滑動用塊体2に仮着状になる。
【0034】
更に、上記仮着部3を納めた収容空間部22aの中には、仮着部3に略平行するようにした配置で、且つ当該収容空間部22a中にやや浮いた状態となるようにしてカッター部4が配され、止めネジ41によって着脱自在に固定されてなるものとしてあり、例えば、門型ハウスの他方の桁側におけるシート押えバンド誘導側端部取着工程段階で、後側面にある案内孔21aの開口21bから適宜長さだけ引き出して仮着部3に引っ掛けてあったシート押えバンド6を、その仮着部3から解き放ち、自由となったシート押えバンド6の端部を門型ハウスの裾側適所に直接取着するか、市販の適宜掛け金具を介して門型ハウスの裾側適所F1に取着してしまった後や、門型ハウスの一方の桁側におけるビニールシート緊張工程で、手許に戻ってきた滑動用塊体2をシート押えバンド6から外し、当該シート押えバンド6を引っ張りながら、その端部を門型ハウスの裾側適所に直接取着するか、市販の適宜掛け金具で門型ハウスの裾側適所F1に取着してしまった後に、不要となったシート押えバンド6部分を除去してしまうときに、それらシート押えバンド6部分をこのカッター部3の下に潜らせてUの字状に折り返した上、引っ張ることによって切断、除去してしまうようにするものである。
【0035】
以上のような構造に形成された滑動用塊体2には、前後各側面に開口する案内孔21aを基準に左右対称となる位置に、Y字状端部51に形成された誘導紐5の当該Y字状端部21aを取着してあり、この発明のシート押えバンド張り渡し具1を使い、一方の桁側から棟部越しに他方の桁側に向けて滑動用塊体2を門型ハウスHの棟部越しに放り投げる際に、滑動用塊体2が徒に回転してしまわないようにして、できるだけシート押えバンド6が捩れないようにしたり、特にシート押えバンド捻れ矯正工程において、門型ハウスの一方の桁側に止まる作業者が、同所側からビニールシートS面に沿って他方の桁側に延びる誘導紐5を静かに引っ張り、滑動用塊体2を他方の桁側から棟部越しに同所側まで手繰り寄せる過程で、ビニールシートS上において不用意に滑動用塊体2が反転してしまうことがない操作を確実になし得るようにしたものとしてある。
【0036】
なお、この誘導紐5,5の長さは、何れも門型ハウスHの一方の桁側からビニールシートS面に沿って他方の桁側までの範囲に渡る操作を必要とすることから、門型パイプフレームF以上の長さとした麻紐を使ったものとしてあり、その各先端には、滑動用塊体2を手繰り寄せてシート押えバンド6の捻れを矯正する操作をする際に、肝腎の誘導紐5が確実に所定の箇所に止まっているようにするために、誘導紐5の端部が、例えば作業者の腰ベルトに仮着しておくことができるようにするクリップ52を取り付けたものにしてある。
【0037】
【実施例2】
図4の使用状態を示す斜視図には、この発明のシート押えバンド張り渡し具1を使用して捻れを強制しながらシート押えバンドを門型ハウスに張り渡していく過程の一場面を示す代表的な事例が取り上げてあり、所定間隔をおいて立設した門型パイプフレームF,F,…を骨格体としてビニールシートSを掛けてある状態とした門型ハウスHの一方の桁側に作業者が立ち、既に他方の桁側の裾側適所F1に一端が取着してあるシート押えバンド6の他端を一方の手で軽く持ち、他方の手では、滑動用塊体2から伸びる誘導紐5の端部をしっかり掴んで静かに引っ張り、滑動用塊体2を他方の桁側から棟部越しに同所側までビニールシートS面沿いに手繰り寄せ、その過程で、同所側から棟部越しに他方の桁側に誘導、架け渡したシート押えバンド6を、滑動用塊体2前側面の案内孔21aの開口21bに添設してある捻れ矯正片21cより、捻れのない正常な状態に戻してしまうようにした、この発明の最も特徴的な工程の一つであるシート押えバンド捻れ矯正工程の一場面を示してある。
【0038】
【作用効果】
以上詳述してきたとおりの構成からなるこの発明のシート押えバンド張り渡し具、およびそれによるシート押えバンド張り渡し工法によれば、従前から一般に市販されている各種シート押えバンドの門型ハウスへの張り渡しに際し、その一端側を滑動用塊体の案内孔開口に挿入して他方の開口から適宜長さだけ引き出すようにして仮着すると共に、引き出した側にある誘導紐も適宜滑動用塊体に巻き付け状態にした上、これら滑動用塊体毎、一方の桁側から他方の桁側に向けて門型ハウスの棟部越しに放り投げて、先ずシート押えバンドを門型ハウスの所定箇所のビニールシート上に架け渡すようにするシート押えバンド誘導工程が、それ程の困難性もなく容易に実施可能にすると共に、門型ハウスの他方の桁側で、シート押えバンドの端部を門型ハウスの裾側適所に取着するシート押えバンド誘導側端部取着工程を終えた後、同所側からビニールシート面に沿って他方の桁側に延びる誘導紐を静かに引っ張って手繰り寄せる過程で、シート押えバンドの捻れを正常な状態に戻してしまうシート押えバンド捻れ矯正工程が簡単、確実に実施し得ることができ、従前までのような、苦労して張り渡したシート押えバンドが、捻れたままになってしまい、その捻れ部の摩擦によってビニールシートを傷めてしまうという弊害を無くすようにする工程が、シート押えバンドの張り渡し工程の中で同時に実施できることになり、経費の掛かるハウス栽培の維持、管理費を大幅に削減できるという極めて秀れた特徴が得られるものとなる。
【0039】
特に、この発明を代表する実施例として取り上げたものでは、市販の各種シート押えバンド(通称、マイカ線)6の一端側を滑動用塊体2に仮着状としたり、案内孔21aに挿通して引き出した余分なシート押えバンド6の切断処理等も、滑動用塊体2に組み込んだ仮着部3およびカッター部4を利用して簡単に目的達成可能になることから、シート押えバンド誘導工程、シート押えバンド誘導側端部取着工程、およびビニールシート緊張工程が円滑且つ迅速に実施できるものとなり、作業工程全体が簡素化されることになる上、この発明の最も特徴的な構成の一つであるシート押えバンド捻れ矯正工程においても、誘導紐5のY字状端部21aにより、シート押えバンド6の捻れの反動があっても、滑動用塊体2がビニールシートS上において不用意に反転してしまわないようにしたものとなり、また、案内孔21aの開口21bには、捻れ矯正片21cを添設して更に矯正効果が高められるようにしてある等の工夫があり、経済効率を高めるという狙いは更に確実に保証されることになるという大きな効果が得られるものとなっている。
【0040】
叙述の如く、この発明のシート押えバンド張り渡し具、およびそれによるシート押えバンド張り渡し工法は、その新規な構成によって所期の目的を普く達成可能にするものであり、厳しい農業環境下で農家経営の安定化を図るために門型ハウスの導入を余儀無くされている多くの農家に、その維持、管理費の大幅な削減を可能にし、栽培作物の生産性と付加価値との向上によって得られる利益の目減りを極力なくし、効率的な農家経営をなし得る一つの手段として高い評価がなされる外、ハウス栽培農家以外でも、例えば簡易車庫や簡易倉庫等といった施設として門型ハウスを利用する人々からも高く評価されることとなって、広く普及していくものになると予想される。
【図面の簡単な説明】
図面は、この発明を代表する一実施例としてのシート押えバンド張り渡し具と、それによるシート押えバンド張り渡し工法を説明するものである。
【図1】誘導紐の一部を省略して示す平面図である。
【図2】図1に対応した拡大A〜A断面図である。
【図3】シート押えバンドを滑動用塊体に装着した状態を示す斜視図である。
【図4】使用状態を示す斜視図である。

Claims (8)

  1. 平面形が角丸矩形状か長円盤状、楕円盤状またはそれらに近い形状で適宜肉厚を有し、陵を含む各部を滑らか表面仕上げにしてなる滑動用塊体の、平面形の縦横寸法で長い方を前後となし、それら前後側面略中央間を貫通するシート押えバンド挿通用の案内孔が、シート押えバンドの扁平断面よりやや大きい扁平断面で、且つ該扁平断面の厚さ方向が滑動用塊体厚さ方向に合致する如く規制して穿設されてなるものとした上、前後各側面に開口する案内孔を基準に左右対称となる位置には、Y字状端部に形成された誘導紐の当該Y字状端部を取着してなるものとしたことを特徴とするシート押えバンド張り渡し具。
  2. 平面形が角丸矩形状か長円盤状、楕円盤状またはそれらに近い形状で適宜肉厚を有し、陵を含む各部を滑らか表面仕上げにしてなる滑動用塊体の、平面形の縦横寸法で長い方を前後となし、それら前後側面略中央間を貫通するシート押えバンド挿通用の案内孔が、シート押えバンドの扁平断面よりやや大きい扁平断面で、且つ該扁平断面の厚さ方向が滑動用塊体厚さ方向に合致する如く規制して穿設されてなるものとした上、前後各側面に開口する案内孔を基準に左右対称となる位置には、Y字状端部に形成された誘導紐の当該Y字状端部を取着してなるものとする一方、滑動用塊体の上下何れかの面には、その面から突出することがないよう規制した配置で、前記案内孔に挿通されたシート押えバンドの何れか一方の端部用とする仮着部を組み込んでなるものとしたことを特徴とするシート押えバンド張り渡し具。
  3. 平面形が角丸矩形状か長円盤状、楕円盤状またはそれらに近い形状で適宜肉厚を有し、陵を含む各部を滑らか表面仕上げにしてなる滑動用塊体の、平面形の縦横寸法で長い方を前後となし、それら前後側面略中央間を貫通するシート押えバンド挿通用の案内孔が、シート押えバンドの扁平断面よりやや大きい扁平断面で、且つ該扁平断面の厚さ方向が滑動用塊体厚さ方向に合致する如く規制して穿設されてなるものとした上、前後各側面に開口する案内孔を基準に左右対称となる位置には、Y字状端部に形成された誘導紐の当該Y字状端部を取着してなるものとする一方、滑動用塊体の上下何れかの面には、その面から突出することがないよう規制した配置で、前記案内孔に挿通されたシート押えバンドの何れか一方の適所用とするカッター部を組み込んでなるものとしたことを特徴とするシート押えバンド張り渡し具。
  4. 平面形が角丸矩形状か長円盤状、楕円盤状またはそれらに近い形状で適宜肉厚を有し、陵を含む各部を滑らか表面仕上げにしてなる滑動用塊体の、平面形の縦横寸法で長い方を前後となし、それら前後側面略中央間を貫通するシート押えバンド挿通用の案内孔が、シート押えバンドの扁平断面よりやや大きい扁平断面で、且つ該扁平断面の厚さ方向が滑動用塊体厚さ方向に合致する如く規制して穿設されてなるものとした上、前後各側面に開口する案内孔を基準に左右対称となる位置には、Y字状端部に形成された誘導紐の当該Y字状端部を取着してなるものとする一方、滑動用塊体の上下何れかの面または上下各面には、その面から突出することがないよう規制した配置で、前記案内孔に挿通されたシート押えバンドの何れか一方の端部用とする仮着部と、同何れか一方の適所用とするカッター部とをまとめてか、個別に組み込んでなるものとしたことを特徴とするシート押えバンド張り渡し具。
  5. 滑動用塊体の前後各側面に開口する案内孔の中、少なくともシート押えバンド引き入れ側となる前側面の案内孔開口部分には、該開口よりも更にシート押えバンドの扁平断面に近い大きさの扁平断面に規制したスリットを有する捻れ矯正片が、そのスリットを案内孔の開口に合うよう規制して取着されてなるものとした、請求項1ないし4何れか記載のシート押えバンド張り渡し具。
  6. 滑動用塊体の前後各側面から延びる誘導紐の中、少なくともシート押えバンド引き入れ側となる案内孔の開口する前側面から延びる誘導紐の末端側には、クリップ等の仮着具が組み込まれてなるものとした、請求項1ないし5何れか記載のシート押えバンド張り渡し具。
  7. 滑動用塊体の上下各面が、門型ハウスの骨格パイプ間に張設されているビニールシートの凹面形状にできるだけ添設状となる凸面状に形成されてなるものとした、請求項1ないし6何れか記載のシート押えバンド張り渡し具。
  8. 十分な長さに用意されたシート押えバンドの一端側を、上記何れかの請求項記載のシート押えバンド張り渡し具の前側面でシート押えバンド引き入れ側となる案内孔開口に挿入し、後側面にある案内孔開口から適宜長さだけ引き出した上、仮着部を使ってその引き出したシート押えバンドの端部適所を仮着状にすると共に、同所側に取着された誘導紐を滑動用塊体に巻き付けて解けないようにし、前側面側に取着された誘導は弛ませ、末端だけを適宜仮着状にする滑動用塊体装着工程、既にビニールシートの張設された門型ハウスの一方の桁側に止まる作業者が、シート押えバンドを張り渡すべき門型パイプフレーム間の位置において、同所側から棟部越しに他方の桁側に向け、それら滑動用塊体を放り投げ、滑動用塊体を錘としてシート押えバンドを門型ハウスの所定箇所のビニールシート上に架け渡すシート押えバンド誘導工程、門型ハウスの他方の桁側に止まる作業者が、棟部越しに届いた滑動用塊体から誘導紐を解いて弛ませ、その末端だけを適宜仮着状にすると共に、後側面にある案内孔開口から適宜長さだけ引き出したシート押えバンドの端部も仮着部から解き放って直接か掛け金具を使うかして門型ハウスの裾側適所に取着するシート押えバンド誘導側端部取着工程、門型ハウスの一方の桁側に止まる作業者は、門型ハウスの他方の桁側に止まる作業者の前記工程が終わるのを待って、同所側からビニールシート面に沿って他方の桁側に延びる誘導紐を静かに引っ張り、滑動用塊体を他方の桁側から棟部越しに同所側までビニールシート面沿いに手繰り寄せ、その過程で、同所側から棟部越しに他方の桁側に誘導、架け渡したシート押えバンドの捻れを滑動用塊体前側面の案内孔開口によって正常な状態に戻してしまうシート押えバンド捻れ矯正工程、門型ハウスの一方の桁側に止まる作業者は、手許のシート押えバンド適所を切断し、手許に戻ってきた滑動用塊体をシート押えバンドから外した上、当該シート押えバンドの端部を引っ張って同所のビニールシートを緊張状にしたまま、直接か掛け金具を使うかして門型ハウスの裾側適所に取着するビニールシート緊張工程までの一連の工程を所定門型パイプフレーム間におけるシート押えバンド張り渡し工程となし、引き続き、門型ハウスの一方の桁側に止まる作業者は、横移動して直ぐ隣のシート押えバンドを張り渡すべき門型パイプフレーム間の位置において、十分な長さに用意された新たなシート押えバンドの一端側に対し、上記したシート押えバンド張り渡し工程としての一連の工程を、順次滑動用塊体装着工程以下、シート押えバンド誘導工程、シート押えバンド誘導側端部取着工程、シート押えバンド捻れ矯正工程、ビニールシート緊張工程へと繰り返し、以降も、同様にしてシート押えバンドを張り渡すべき門型パイプフレーム間で必要箇所全てにシート押えバンドを張り渡すようにした、請求項1ないし7何れか記載のシート押えバンド張り渡し具によるシート押えバンド張り渡し工法。
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