JP3676051B2 - 蒸気タービンの動翼 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、火力発電などに適用される蒸気タービンの動翼に関する。
【0002】
【従来の技術】
図2は火力発電などに使用されている従来の蒸気タービンの動翼の説明図である。図において、従来の蒸気タービンの動翼は翼身2の内部が総て中実構造になっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、従来の蒸気タービンの動翼は翼身2の内部が総て中実構造になっており、内部が中実構造の動翼は回転した場合に動翼を支えるロータ軸に遠心力による多大な負担が加わるため、運転温度を低く抑えるか、高価な材料を用いることなどを余儀なくされている。
【0004】
また、従来の蒸気タービンの動翼において、動翼の翼列を通過する蒸気の主流は主流が持つ速度エネルギにより発生する遠心力と翼身2の腹面側と背面側との圧力差とバランスしているが、壁近傍の境界層内部の蒸気は主流の速度が小さく、従って遠心力が小さいために翼身2の腹面側と背面側との圧力差とバランスすることができず、その低エネルギの蒸気が腹面側と背面側との圧力差により圧力の高い腹面側から圧力の低い背面側に翼列内を移動する二次流れ(クロスフロー)が発生する。
【0005】
従来の蒸気タービンの動翼においては、この翼列内を移動する二次流れが動翼の翼身2の後縁端から渦となって二次流れ損失となり、大きな動力損失の原因になっている。この翼列内を移動する二次流れによる二次流れ損失を低減させるには、翼身2の背面にこの二次流れの吸込み手段を設けることが有効であるが、従来の蒸気タービンの動翼においては翼身2の内部が総て中実構造になっているため、構造的に翼身2に吸込み手段を設けることができない。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る蒸気タービンの動翼は上記課題の解決を目的にしており、精密鋳造により製造され内部に外形に沿って中空部が設けられた翼身の背面におけるシュラウドに近い位置とベースに近い位置とに各々1個ずつ吸込み孔が開口し上記背面における境界層の蒸気を上記中空部内に吸込むとともに、上記翼身のベースまたはシュラウドに吹出し孔が開口し上記中空部内に吸込まれた蒸気をロータの軸方向に排出するようになっている。
【0007】
このように、本発明に係る蒸気タービンの動翼においては、精密鋳造により製造され翼身の内部が中空構造になっており、翼身の内部を外形に沿って中空構造にすることにより動翼が軽量化される。
【0008】
また、翼身の内部に中空部を設けるとともに、この翼身の背面におけるシュラウドに近い位置とベースに近い位置とに各々1個ずつ吸込み孔を設けて背面の境界層における蒸気を中空部内に吸込み、この蒸気を翼身のベースまたはシュラウドに開口した吹出し孔からロータの軸方向に排出することにより境界層の厚さを薄くして翼列間に発生する二次流れを防止することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の実施の一形態に係る蒸気タービンの動翼の説明図である。図において、本実施の形態に係る蒸気タービンの動翼は火力発電などに使用される蒸気タービンの動翼で、同図(a)に示すようにシュラウドの下端からベースの上部にかけて動翼の翼身が中空構造になっている。この翼身の背面には翼身の背面から蒸気を翼身の中空部へ導入する吸込み孔が設けられており、この吸込み孔から吸込んだ蒸気をベースまたはシュラウドに設けた吹出し孔から排出して翼身の背面における境界層の厚さを薄くするとともに、動翼を軽量化している。図における符号2は本蒸気タービンの動翼の翼身、1は翼身2のシュラウド、3は翼身2の翼根、4は翼根3に穿設されたピン孔、5は翼根3をロータ7に固定するストレートピン、6は翼身2の内部に設けられた中空部、7は蒸気タービンのロータ、8は翼身2の背面に開口した吸込み孔、9はベース10に開口した吹出し孔、10は本蒸気タービンの動翼のベースである。
【0010】
即ち、本蒸気タービンの動翼は同図(b)に示すように、精密鋳造により翼身2の内部を中空構造とし、3枚の動翼が1つのブロックを形成するように構成されている。動翼とロータ7との接続は、翼身2の下部に設けられている翼根3にピン孔4を設け、このピン穴4にストレートピン5をロータ7と共にくし刺し状に挿入することにより行われる。翼身2の背面には吸込み孔8が設けられており、この吸込み孔8から中空部6へ翼身2背面の境界層の蒸気を吸込むことにより、動翼の翼列間を通過する蒸気の二次流れを低減させるようにしている。
【0011】
吸込み孔8から流入する境界層の蒸気は翼身2の内部に設けられた中空部6を通り、動翼のベース10に設けられた吹出し孔9からロータ7の軸方向に排出される。なお、吹出し孔9は翼身2のシュラウド1にロータ7の軸方向に向けて設けてもよい。吸込み孔8は円形で、翼身2の背面におけるシュラウド1に近い位置とベース10に近い位置とに各1個ずつ設けられている。翼身2内部の中空部6は翼身2の外形に沿って形成され、シュラウド1の下端からベース10上部の吹出し孔9に連通可能な深さにまで空間を形成している。
【0012】
同図(c)は本蒸気タービンの動翼における蒸気の流れを示す。同図(c)に示すように、翼身2背面の境界層の蒸気は翼身2の背面に設けた吸込み孔8から翼身2の内部の中空部6内へ入り、翼身2の中空部6を経て吹出し孔9から外部へ排出される。このように、翼身2背面の境界層の蒸気の吸込み手段を設けることにより、翼列内を移動する二次流れ(クロスフロー)が防止されて翼身2の後縁端に発生する渦が解消される。また、精密鋳造により翼身2の内部を中空構造とすることにより、製造コストの大幅な削減と動翼の軽量化が図られる。
【0013】
従来の蒸気タービンの動翼は翼身の内部が総て中実構造になっており、内部が中実構造の動翼は回転した場合に動翼を支えるロータ軸に遠心力による多大な負担が加わるため、運転温度を低く抑えるか、高価な材料を用いることなどを余儀なくされている。また、従来の蒸気タービンの動翼において、動翼の翼列を通過する蒸気の主流は主流が持つ速度エネルギにより発生する遠心力と翼身の腹面側と背面側との圧力差とバランスしているが、壁近傍の境界層内部の蒸気は主流の速度が小さく、従って遠心力が小さいために翼身の腹面側と背面側との圧力差とバランスすることができず、その低エネルギの蒸気が腹面側と背面側との圧力差により圧力の高い腹面側から圧力の低い背面側に翼列内を移動する二次流れ(クロスフロー)が発生する。従来の蒸気タービンの動翼においては、この翼列内を移動する二次流れが動翼の翼身の後縁端から渦となって二次流れ損失となり、大きな動力損失の原因になっている。この翼列内を移動する二次流れによる二次流れ損失を低減させるには、翼身の背面にこの二次流れの吸込み手段を設けることが有効であるが、従来の蒸気タービンの動翼においては翼身の内部が総て中実構造になっているため、構造的に翼身に吸込み手段を設けることができない。
【0014】
これに対し、本蒸気タービンの動翼においては、優れた高温特性を有する新しい精密鋳造材料を用いて精密鋳造により動翼を製造しており、これにより鍛鋼材料を切削加工して製造する従来の蒸気タービンの動翼と比較して製造工数を大幅に低減して製造工期の短縮を可能にするとともに、製造コストを大幅に削減して信頼性の高い蒸気タービンの動翼を得ることが可能である。また、精密鋳造により翼身2の内部を中空構造にすることにより動翼を軽量化することができ、ロータ7に加わる負担を軽減することが可能である。また、翼身2の内部に外形に沿って中空部を設けるとともに、翼身2の背面におけるシュラウド1に近い位置とベース10に近い位置とに各々1個ずつ吸込み孔8を設けることにより、翼身2背面の境界層の蒸気を吸込み、吸込まれた蒸気を吹出し孔9からロータ7の軸方向に排出することができ、これにより境界層の厚さを薄くして翼列内を移動する二次流れを防止し、二次流れによる二次流れ損失を低減させて蒸気タービンの動翼の性能向上を図ることが可能である。
【0015】
【発明の効果】
本発明に係る蒸気タービンの動翼は前記のように構成されており、精密鋳造により製造され翼身の内部を中空構造にすることにより、製造工数を大幅に低減して製造工期の短縮を可能にするとともに、製造コストを大幅に削減して信頼性の高い蒸気タービンの動翼を得ることが可能である。また、動翼が軽量化されるので、ロータ軸に遠心力により加わる負担を軽減することが可能になる。
【0016】
また、翼身の内部に外形に沿って中空部を設けるとともに、この翼身の背面におけるシュラウドに近い位置とベースに近い位置とに各々 1 個ずつ吸込み孔を設けて背面における境界層の蒸気を中空部内に吸込み、この蒸気を吹出し孔からロータの軸方向に排出することにより境界層の厚さを薄くして翼列間に発生する二次流れを防止することができるので、二次流れ損失が低減されて動翼の性能が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1(a)は本発明の実施の一形態に係る蒸気タービンの動翼の正面図、同図(b)は同図(a)におけるB−B矢視断面図、同図(c)はその作用説明図である。
【図2】図2(a)は従来の蒸気タービンの動翼の平面図、同図(b)はその作用説明図である。
【符号の説明】
1 シュラウド
2 翼身
3 翼根
4 ピン孔
5 ストレートピン
6 翼身の中空部
7 ロータ
8 吸込み孔
9 吹出し孔
10 ベース
Claims (1)
- 精密鋳造により製造され内部に外形に沿って中空部が設けられた翼身と、該翼身の背面におけるシュラウドに近い位置とベースに近い位置とに各々1個ずつ開口し上記背面における境界層の蒸気を上記中空部内に吸込む吸込み孔と、上記翼身のベースまたはシュラウドに開口し上記中空部内に吸込まれた蒸気をロータの軸方向に排出する吹出し孔とを備えたことを特徴とする蒸気タービンの動翼。
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JP24676697A JP3676051B2 (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | 蒸気タービンの動翼 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP24676697A JP3676051B2 (ja) | 1997-09-11 | 1997-09-11 | 蒸気タービンの動翼 |
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JPH1181903A JPH1181903A (ja) | 1999-03-26 |
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Family Applications (1)
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Families Citing this family (2)
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1997
- 1997-09-11 JP JP24676697A patent/JP3676051B2/ja not_active Expired - Fee Related
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