JP3655195B2 - ケラチン物質のメイクアップ方法 - Google Patents

Description

【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ケラチン物質に、被膜形成組成物からなる第一被覆および固体粒子からなる第二被覆を適用することを含む、ケラチン物質のメイクアップ方法に関する。本発明は、本方法を実施するためのメイクアップキットにも関する。本発明に係る方法は、顔および身体の両方の皮膚、唇、および爪、睫毛、眉毛または髪のような表面成長体に適用することができる。本方法は、特に、爪をメイクアップするのに特に適している。
【０００２】
この被膜形成組成物は、マニキュア液（ネイルバーニッシュ）、フェイスパウダー、アイシャドー、ファンデーション、唇用のメイクアップ製品または身体用のメイクアップ製品とすることができる。
【０００３】
【従来の技術】
マニキュア液組成物は、一般的に、有機溶媒に溶解された、または水性媒体に粒子形態で分散された被膜形成ポリマーを含む。かかるバニッシュは、例えば、米国特許出願第４１５８０５３号公報および仏国特許出願第２５７８７４１号公報に記載されている。
【０００４】
一つ以上の組成物の被覆を爪に適用し、かつ乾燥させた後、これらのマニキュア液は、一般的に滑らかで、連続的かつ均質な、光沢のあるまたは光沢の無い被膜を形成する。一部の被膜は、優れた耐久力、並びに特に爪に対する優れた付着性、水、摩擦および衝撃に対する優れた耐性のような優れた化粧特性も備えている。
【０００５】
流行の変化に伴って、消費者は、オリジナルの、または特異なメイクアップ効果を付与する新規のメイクアップ製品を求めている。かくして、ヒトの皮膚または表面成長体のような支持体に対する適用が、市場で入手可能な製品を用いて現在得られる連続的かつ均質な被膜とは異なるメイクアップ効果を与えるメイクアップ製品を提供する必要がある。
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
かくして本発明の目的は、経時的に良好な耐久力を有すると同時に、皮膚および表面成長体にレリーフメイクアップを得るためのメイクアップ組成物を提供することである。
【０００７】
【課題を解決するための手段】
本願出願人は、新型の皮膚および／または表面成長体用のメイクアップが、被膜形成組成物と固体粒子を適用するための特異な方法を用いることによって得られることを見出した。この方法は、表面で多少均質に表面粒子を分散および維持することを可能にし、かくしてオリジナルのレリーフメイクアップ効果が得られ、ケラチン物質、例えば爪にボリュームとボディを付与する。さらに、このメイクアップは、メイクアップされた支持体に対する良好な付着性、および特に摩擦および衝撃に関して良好な耐久力を備える。さらに、前記粒子は、メイクアップの表面において、泡が存在するような印象を与える。
【０００８】
【発明の実施の形態】
特に、本発明の主題は、化粧品に許容できる媒体と少なくとも一つの第一被膜形成ポリマーとを含む第一被膜形成組成物からなる第一被覆をケラチン物質に適用し、当該第一被覆が乾燥する前に、当該第一組成物の化粧品に許容できる媒体に不溶性であって、かつ、８００ｋｇ／ｍ³ないし１００００ｋｇ／ｍ³の範囲の密度を備える、実質的に球形または卵形の本質的に固体粒子からなる第二被覆を、前記第一被覆の少なくとも一部に適用することからなる、ケラチン物質をメイクアップする方法である。
【０００９】
また、本発明の主題は、化粧品に許容できる媒体に少なくとも一つの第一被膜形成ポリマーを含む第一組成物、および実質的に球形または卵形であって、かつ、８００ｋｇ／ｍ³ないし１００００ｋｇ／ｍ³の範囲の密度を有する固体粒子を含むメイクアップキットである。
【００１０】
本発明では、第二被覆は、第一被覆が乾燥する前に、当該第一被覆の少なくとも一部、または全部に適用される。これは、第一被覆の端または中間、あるいは不連続的に、特に、はっきりしたまたはぼやけた輪郭を備え、不規則または規則的に配置された、対称または非対称の幾何学的パターンの形態（例えば点、四角、円または星の形状）で適用することができる。
【００１１】
本発明に係る方法では、第二被覆は、液体媒体と混合することなく、固体粒子を直接適用することによって得られ、第一被覆の表面に良好な分散を可能にする。
【００１２】
本発明の方法の第一の実施態様によれば、第二被覆は、第一被覆に、乾燥する前に固体粒子を散りばめることによって適用される。この粒子は、次いで、第一被覆と接触して、第一被覆の表面全体にわたって多少均一に分散される。第一被覆と接触しない過剰粒子は結合せず、かくしてメイクアップされた支持体が振られたとき、あるいは、過剰の粒子が目の細かいまたは粗いブラシまたは空気のパフを用いて除去される場合に、除去される。散在化は、有利にふるいまたはステンシルを介して行うことができる。
【００１３】
本発明の方法の第二の実施態様によれば、ケラチン物質に適用された第一被覆の表面は、乾燥前に、例えば容器に貯蔵された固体粒子と直接的に接触させられる。マニキュア液の場合には、指が、指皿の中に直接浸されてもよい。
【００１４】
本発明に係る方法は、均一な厚みの固体粒子の極めて均質な被覆を堆積および結合することを可能にし、かくして、オリジナルのレリーフメイクアップ効果を付与する。さらに、実質的に球形または卵形の粒子は、メイクアップに柔軟な感じを付与する。
【００１５】
かかる二層構造は、顔だけでなく、頭皮および身体の皮膚、唇のような粘膜、爪のような表面成長体のためのあらゆるメイクアップ製品に適用することができる。この構造は、偽爪、付け睫毛、かつら、または皮膚または唇用の付着パッチまたはディスク（例えばビューティースポット）のようなメイクアップアクセサリーにも適用することができる。
【００１６】
固体粒子の第二被覆に、化粧品に許容できる媒体に第二被膜形成ポリマーを含む第二被膜形成組成物の第三の被覆を適用することができる。この第三被覆は、特に、第一被覆上の第二被覆の非常に良好な耐久力を確実なものとすることができ、また特に、第三被覆の色が第一被覆の色および／または第二被覆の粒子の色と異なる場合に、色の濃淡（シェード）を付与することも可能にする。
【００１７】
本発明は、メイクアップ効果が、本発明に係る方法によって得られる、メイクアップ支持体にも関する。
【００１８】
本発明の他の主題は、良好な耐久力を備えた表面レリーフを用いたメイクアップ効果を得るための、上記第一組成物および固体粒子の使用である。
【００１９】
また、本発明の主題は、良好な耐久力を備えた表面レリーフを用いたメイクアップ効果を得るための、上記固体粒子の使用である。
【００２０】
本願発明者らは、驚くべきことに、本発明の方法にかかる固体粒子の適用が、メイクアップされた支持体に対して良好な付着性を備え、かつ特に摩擦や衝撃に対する優れた耐久力を有する、均一な表面レリーフを用いたメイクアップ効果を得ることを可能にすることを見出した。一方、上記被膜形成組成物に固体粒子を添加してしまうと、粒子が、組成物の貯蔵中に沈殿する傾向を備え、被膜形成組成物中のこれらの粒子を均一に分散させることは困難である。結局、例えば目の細かいブラシを用いたこの混合物の適用は、この混合物が不均一性であるために困難であり、この適用は、処理される支持体に堆積した粒子の均一な分散を与えない。かくして、本発明に係る方法は、固体粒子の均一な分散を含む均質なレリーフを用いたメイクアップ効果を得ることを可能にする。この方法は、飽和点まで第一被覆が被覆されるようにし、粒子の一定の厚さの被覆が形成されるようにする。
【００２１】
本発明の方法で用いられる固体粒子は、乾燥する前に第一被覆との良好な接触を可能にし、かくして第一被覆が乾燥した後に粒子の良好な耐久力を得ることを可能にするために、８００ｋｇ／ｍ³ないし１００００ｋｇ／ｍ³（０．８ないし１０ｇ／ｃｍ³）、好ましくは１０００ｋｇ／ｍ³ないし３０００ｋｇ／ｍ³（１ないし３ｇ／ｃｍ³）、さらに好ましくは２３００ｋｇ／ｍ³ないし３０００ｋｇ／ｍ³（２．３ないし３ｇ／ｃｍ³）の範囲の密度を有する。
【００２２】
有利に、固体粒子は、第一被覆に適用される際に、十分に分散するように実質的に球形である。
【００２３】
本発明に係る方法で用いられる固体粒子は、２．５μｍないし５ｍｍ、好ましくは５０μｍないし２ｍｍの範囲の平均粒径を有することができる。粒径が小さくなるほど、第一被覆上における粒子の耐久力がよくなる。また、これらの粒子は、特にステンシルを用いて、より細かく、より複雑なデザインを創造することを可能にする。
【００２４】
固体粒子は、上記の密度特性を満たすあらゆる材料から調製することができる。例えば、固体粒子は、ガラス、酸化ジルコニウム、炭化タングステン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレンまたはポリプロピレンのようなプラスチック、スチール、銅、黄銅またはクロムのような金属、木材、大理石、オニキス、翡翠、天然真珠、宝石（ダイアモンド、エメラルド、ルビーまたはサファイア）、アメジストまたはアクアマリンから選択された物質から調製することができる。例えばSigmund Lindner社から“Silibeads（登録商標）”の商品名で市販されているもののような、ガラスビーズを好ましく用いることができ、これらのビーズは、メイクアップにつやおよび光沢を付与する。
【００２５】
固体の、変形可能または変形不可能な粒子は、固いまたは中空の、無色または有色の、被覆または未被覆のものとすることができる。
【００２６】
本発明の方法によれば、第一および第二組成物の化粧品に許容できる媒体は、互いに独立して、水性媒体または有機溶媒を含むことができる。
【００２７】
本発明の方法のための組成物に用いられる被膜形成ポリマーの中では、ラジカル媒介型または重縮合型の合成ポリマー、天然由来のポリマーおよびこれらの混合物を挙げることができる。
【００２８】
表現“ラジカル媒介被膜形成ポリマー”は、不飽和、特にエチレン性不飽和を含むモノマーの重合によって得られた、各モノマーが単独重合（重縮合と対照的）しうるポリマーを意味する。
【００２９】
ラジカル媒介型の被膜形成ポリマーは、特に、ビニルポリマーまたはコポリマー、特にアクリルポリマーとすることができる。
【００３０】
ビニル被膜形成ポリマーは、少なくとも一つの酸性基を有するエチレン性不飽和を含むモノマーおよび／またはこれらの酸性モノマーのエステルおよび／またはこれらの酸性モノマーのアミドの重合から得られる。
【００３１】
アニオン性ラジカル媒介被膜形成ポリマー、すなわち酸性基を備えた少なくとも一つのモノマーを含むポリマーが、好ましく用いられる。
【００３２】
アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸またはイタコン酸のようなα,β−エチレン性不飽和カルボン酸を、酸性基を備えたモノマーとして用いることができる。アクリル酸（メタクリル酸）およびクロトン酸、より好ましくはアクリル酸（メタクリル酸）を、好ましく使用することができる。
【００３３】
酸性モノマーのエステルは、アクリル酸（メタクリル酸）のエステル（アクリラート（メタクリラート）とも呼ばれる）、特にアルキル、特にＣ₁−Ｃ₂₀アルキル、好ましくはＣ₁−Ｃ₈アルキルのアクリラート（メタクリラート）、アリール、特にＣ₆−Ｃ₂₀アリールのアクリラート（メタクリラート）、並びにヒドロキシアルキル、特にＣ₂−Ｃ₆ヒドロキシアルキルのアクリラート（メタクリラート）から有利に選択される。
【００３４】
アルキルアクリラート（メタクリラート）としては、メチルメタクリラート、エチルメタクリラート、ブチルメタクリラート、イソブチルメタクリラート、２-エチルヘキシルメタクリラートおよびラウリルメタクリラートを挙げることができる。
【００３５】
ヒドロキシアルキルアクリラート（メタクリラート）としては、ヒドロキシエチルアクリラート、２-ヒドロキシプロピルアクリラート、ヒドロキシエチルメタクリラートおよび２-ヒドロキシプロピルメタクリラートを挙げることができる。
【００３６】
アリールアクリラート（メタクリラート）としては、ベンジルアクリラートおよびフェニルアクリラートを挙げることができる。
【００３７】
特に好ましいアクリル酸（メタクリル酸）エステルは、アルキルアクリラート（メタクリラート）である。
【００３８】
本発明では、エステルのアルキル基は、フッ素化または過フッ素化されていてもよい。すなわち、アルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されていてもよい。
【００３９】
酸性モノマーのアミドとして、例えば、アクリルアミド（メタクリルアミド）特にＮ-アルキルアクリルアミド（メタクリルアミド）、特にＣ₂−Ｃ₁₂アルキルを挙げることができる。Ｎ-アルキルアクリルアミド（メタクリルアミド）としては、Ｎ-エチルアクリルアミド、Ｎ-ｔ-ブチルアクリルアミドおよびＮ-ｔ-オクチルアクリルアミドを挙げることができる。
【００４０】
ビニル被膜形成ポリマーは、ビニルエステルとスチレンモノマーから選択された少なくとも一つのモノマーの単独重合または共重合から得ることもできる。特に、これらのモノマーは、上記のような、酸性モノマーおよび／またはそのエステルおよび／またはそのアミドを用いて重合することもできる。
【００４１】
ビニルエステルの例として、ビニルアセタート、ビニルネオデカノアート、ビニルピバラート、ビニルベンゾアートおよびビニルｔ−ブチルベンゾアートを挙げることができる。
【００４２】
スチレンモノマーとしては、スチレンおよびアルファ−メチルスチレンを挙げることができる。
【００４３】
上記モノマーは、限定的なものではなく、アクリルおよびビニルモノマーの範疇に含まれる、当業者に周知のあらゆるモノマー（シリコーン鎖を用いて修飾されたモノマーを含む）を用いることができる。
【００４４】
本発明に従って用いられる水性分散物中のアクリル被膜形成ポリマーとしては、Zeneca社からNeocryl XK-90（登録商標）、Neocryl A-1070（登録商標）、Neocryl A-1090（登録商標）、Neocryl BT-62（登録商標）、Neocryl A-1079（登録商標）およびNeocryl A-523（登録商標）の商品名で市販されているもの、およびDow Chemical社からDow Latex 432（登録商標）の商品名で市販されているものを挙げることができる。
【００４５】
被膜形成ポリマーとして用いることができる重縮合物の中では、アニオン性、カチオン性、非イオン性または両性ポリウレタン、ポリウレタン−アクリル、ポリウレタン−ポリビニルピロリドン、ポリエステル−ポリウレタン、ポリエーテル−ポリウレタン、ポリ尿素、ポリ尿素−ポリウレタン、並びにこれらの混合物を挙げることができる。
【００４６】
被膜形成ポリウレタンは、例えば、脂肪族、環式脂肪族または芳香族ポリウレタン、ポリ尿素−ウレタンまたはポリ尿素コポリマーとすることができ、単独または混合物として、
− 脂肪族および／または環式脂肪族および／または芳香族ポリエステル由来の少なくとも一つの連鎖（シークエンス）、および／または
− 少なくとも一つの分枝状または非分枝状シリコーン連鎖、例えばポリジメチルシロキサンまたはポリメチルフェニルシロキサン、および／または
− フルオロ基を含む少なくとも一つの連鎖、
を含む。
【００４７】
本発明に従って用いることのできる水性分散物状のポリウレタン被膜形成ポリマーとしては、Goodrich社から“Avalure UR-405（登録商標）”、“Avalure UR-410（登録商標）”、“Avalure UR-425（登録商標）”および“Sancure 2060（登録商標）”の商品名で市販されているポリエステル−ポリウレタン、およびGoodrich社から“Sancure 878（登録商標）”およびICI社から“Neorez R 970（登録商標）”の商品名で市販されているポリエーテル−ポリウレタンを特に挙げることができる。
【００４８】
被膜形成重縮合物としては、ポリエステル、ポリエステルアミド、脂肪鎖ポリエステル、ポリアミドおよびエポキシエステル樹脂、アリールスルホンアミドとホルムアルデヒドの縮合から得られた樹脂、およびアリールスルホンアミドエポキシ樹脂を挙げることができる。
【００４９】
ポリエステルは、既知の方法で、ジカルボン酸と、ポリオール、特にジオールとの重縮合によって得ることができる。
【００５０】
ジカルボン酸は、脂肪族、脂環式または芳香族とすることができる。かかる酸の例としては、シュウ酸、マロン酸、ジメチルマロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、２,２-ジメチルグルタル酸、アゼライン酸、スベリン酸、セバシン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、フタル酸、ドデカンジオン酸、１,３-シクロヘキサンジカルボン酸、１,４-シクロヘキサンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、２,５-ノルボルナンジカルボン酸、ジグリコール酸、チオジプロピオン酸、２,５-ナフタレンジカルボン酸および２,６-ナフタレンジカルボン酸を挙げることができる。これらのジカルボン酸モノマーは、少なくとも二つのジカルボン酸モノマーと組み合わせて、あるいは単独で用いることができる。これらのモノマーの中では、フタル酸、イソフタル酸またはテレフタル酸が、好ましく選択される。
【００５１】
ジオールは、脂肪族、脂環式および芳香族ジオールから選択することができる。好ましいジオールは、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、１,３-プロパンジオール、シクロヘキサンジメタノールおよび４-ブタンジオールから選択される。使用することができるその他のポリオールは、グリセロール、ペンタエリトリトール、ソルビトールおよびトリメチロールプロパンである。
【００５２】
ポリエステルアミドは、二価酸とジアミンまたはアミノアルコールとの重縮合によって、ポリエステルと同様にして得られる。使用することができるジアミンは、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンおよびメタ-またはパラ-フェニレンジアミンである。使用することのできるアミノアルコールは、モノエタノールアミンである。
【００５３】
ポリエステルは、少なくとも一つの-ＳＯ₃Ｍ基［Ｍは、水素原子、アンモニウムイオンＮＨ₄ ⁺、または例えばＮａ⁺、Ｌｉ⁺、Ｋ⁺、Ｍｇ²⁺、Ｃａ²⁺、Ｃｕ²⁺、Ｆｅ²⁺またはＦｅ³⁺イオンのような金属イオンを示す］を有する少なくとも一つのモノマーを含むことができる。例えば-ＳＯ₃Ｍ基を含む二官能性芳香族モノマーを、特に用いることができる。
【００５４】
上記-ＳＯ₃Ｍ基を有する二官能性芳香族モノマーの芳香核は、例えば、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ジフェニル、オキシジフェニル、スルホニルジフェニルおよびメチレンジフェニル核から選択することができる。-ＳＯ₃Ｍ基を有する二官能性芳香族モノマーの例は、スルホイソフタル酸、スルホテレフタル酸、スルホフタル酸および４-スルホナフタレン-２,７-ジカルボン酸を挙げることができる。
【００５５】
イソフタラート／スルホイソフタラートをベースとするコポリマー、および特にジエチレングリコール、シクロヘキサンジメタノール、イソフタル酸およびスルホイソフタル酸の縮合によって得られたコポリマーは、本発明の主題を形成する組成物において好ましく用いられる。かかるポリマーは、例えば、Eastman Chemical Products社からEastman AQの商品名で市販されている。
【００５６】
任意に修飾された、天然由来のポリマーは、シェラック樹脂、サンダラックガム、ダンマー樹脂、エレミガム、コーパル樹脂、セルロースポリマー、例えばニトロセルロース、セルロースアセタート、セルロースアセトブチラート、セルロースアセトプロピオナート、エチルセルロースおよびこれらの混合物から選択することができる。
【００５７】
第一および／または第二被膜形成ポリマーは、本発明に係る各組成物の対応する化粧品に許容される媒体において、粒子の形態で溶解または分散される。第一および第二の被膜形成ポリマーは、一般に、それぞれ、第一および第二組成物の全重量に対して１ないし７０重量％の範囲の含量、さらに好ましくは１０ないし４０重量％の範囲の含量で存在することができる。
【００５８】
本発明に用いられる有機溶媒としては、
− メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジイソブチルケトン、イソホロン、シクロヘキサノンおよびアセトンのような室温で液状のケトン；
− エタノール、イソプロパノール、ジアセトンアルコール、２-ブトキシエタノールおよびシクロヘキサノールのような室温で液状のアルコール；
− エチレングリコール、プロピレングリコール、ペンチレングリコールおよびグリセロールのような室温で液状のグリコール；
− プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセタートおよびジプロピレングリコールモノ-ｎ-ブチルエーテルのような室温で液状のプロピレングリコールエーテル；
− エチルアセタート、メチルアセタート、プロピルアセタート、ｎ-ブチルアセタートおよびイソペンチルアセタートのような短鎖エステル（全部で３ないし８の炭素原子を含有する）；
− ジエチルエーテル、ジメチルエーテルまたはジクロロジエチルエーテルのような室温で液状のエーテル；
− デカン、ヘプタン、ドデカンおよびシクロヘキサンのような室温で液状のアルカン；
− トルエンおよびキシレンのような室温で液状の環状芳香族化合物；
− ベンズアルデヒドおよびアセトアルデヒドのような室温で液状のアルデヒド；
− これらの混合物
を挙げることができる。
【００５９】
これらの溶媒は、爪のメイクアップに特に適しており、かくして本組成物はマニキュア液を構成する。
【００６０】
有機溶媒を含有する組成物においては、有機溶媒は、各組成物の全重量に対して３０ないし９９重量％、好ましくは６０ないし９０重量％の範囲の含量で存在することができる。
【００６１】
本発明にかかる方法を実施するための組成物が水性媒体を含む場合には、かかる媒体は、本質的に、水または、特にＣ₁−Ｃ₅低級モノアルコールを含む水性-アルコール性混合物からなるものとすることができる。水性媒体を含む各組成物の水分含量は、組成物の全重量に対して３０ないし９９重量％、好ましくは６０ないし９０重量％の範囲とすることができる。
【００６２】
本発明にかかる方法における第一および／または第二組成物の被膜形成特性を改善するために、第一および第二組成物は、付加的な被膜形成剤を含むことができる。
【００６３】
かかる付加的な被膜形成剤は、所望の機能を満たすことができるとして当業者に周知のあらゆる化合物から選択することができ、特に可塑剤から選択することができる。
【００６４】
さらに、本発明にかかる方法を実施するための組成物の一つが組成物の媒体中に分散された粒子状の被膜形成ポリマーを含む場合には、付加的な被膜形成剤は合体剤(coalescers)から選択される。
【００６５】
また、本発明にかかる方法における各組成物は、かかる組成物に含めることができるものとして、当業者に周知のあらゆる添加剤、例えば、増粘剤、展着剤、湿潤剤、分散剤、抗起泡剤、防腐剤、ＵＶスクリーニング剤、染料、顔料、活性剤、界面活性剤、保湿剤、香料、中和剤、安定剤および酸化防止剤をさらに含むことができる。言うまでもなく、当業者であれば、本発明にかかる組成物の有利な特性が、予定した添加によって不利な影響を受けない、あるいは実質的に不利な影響を受けないように、これらの任意の付加的化合物および／またはその量を選択するのに注意を払うであろう。
【００６６】
本発明に係る各組成物は、当業者の通常の知識および当該技術分野の技術常識に基づいて、当業者によって調製される。
【００６７】
都合よく、本発明にかかる方法の第一および第二組成物は、例えば目の細かいまたは粗いブラシ、羽およびスポンジのような適切な、同一または異なる適用手段を備えた、別個の区画または容器に収容される。
【００６８】
本発明を、以下の実施例においてより詳細に説明する。
【００６９】
【実施例】
実施例１：
以下の組成を有するマニキュア液を調製した。

【００７０】
このマニキュア液の第一被覆を爪に適用し、その後、乾燥する前に、この被覆上に、Sigmund社から“Silibeads”art. 4500の商品名で市販されているガラスマイクロビーズ（密度＝２５００ｋｇ／ｍ³；粒径は約０．３から０．４ｍｍ）を散りばめた。第一被覆が乾燥した後、接触したマイクロビーズが、爪の表面に均質に固定および分散され、過剰のビーズが指を振ることによって除去された。かくしてｃｍ²当たり約８００ないし１０００ビーズが堆積された。
【００７１】
かくして、良好な耐久力、特に良好な付着強度および柔軟な感触を有するレリーフによるメイクアップ効果が、爪に得られ、さらに、このビーズは光を反射し、光沢、つや効果を与えた。
【００７２】
かかるメイクアップの耐久力を補強するために、以下の組成を有する第三の最終被覆を粒子上に適用することもできる。
− ニトロセルロース １５ｇ
− 可塑剤 ６ｇ
− 溶剤（ブチルアセタート、エチルアセタート） 全体を１００ｇとする量
【００７３】
実施例２：
以下の組成を有するマニキュア液を調製した。
・アクリルポリマーの分散物（４０％の固形分） ３８ｇ
・ポリウレタンの分散物（３０％の固形分） ５０ｇ
・コロイド状ケイ酸（Aerosil MOX80） ０．７ｇ
・添加剤（染料、活性剤） １．３ｇ
・水 全体を１００ｇとする量
【００７４】
このマニキュア液の第一被覆を爪に適用し、その後、乾燥する前に、この被覆上に、７９００ｋｇ／ｍ³の密度と、約２ｍｍの粒径を備えたスチールビーズを散りばめた。第一被覆が乾燥した後、接触したマイクロビーズが、爪の表面に均質に固定および分散され、過剰のビーズが指を振ることによって除去された。
【００７５】
かくして、良好な耐久力、特に良好な付着強度および柔軟な感触を有するレリーフによるメイクアップ効果が、爪に得られた。
【００７６】
実施例３：
以下の組成を有するマニキュア液を調製した。
− 被膜形成ポリマー（ニトロセルロース、樹脂） ２８ｇ
− 可塑剤 ７ｇ
− イソプロピルアルコール ５ｇ
− 約２．５の置換率を有するエチル化グアー（１） ３ｇ
− 顔料 １ｇ
− エチルアセタート／ブチルアセタート 全体を１００ｇとする量
（１）Aqualon社からN-Hance AG200（登録商標）の商品名で市販されているもの。
【００７７】
このマニキュア液の第一被覆を爪に適用し、その後、乾燥する前に、この被覆上に、Atochem社から“Orgasol D 2002 Nat Cos”の商品名で市販されているナイロンパウダー（密度＝１０２０ｋｇ／ｍ³；約２０μｍの粒径）を散りばめた。第一被覆が乾燥した後、接触した粒子が、爪の表面に均質に固定および分散され、過剰の粒子が指を振ることによって除去された。
【００７８】
かくして、柔軟な感触を有するレリーフによるメイクアップ効果が得られた。

Claims (36)

1. 化粧品に許容できる媒体と少なくとも一つの第一被膜形成ポリマーとを含む第一被膜形成組成物からなる第一被覆をケラチン物質に適用し、当該第一被覆が乾燥する前に、当該第一組成物の化粧品に許容できる媒体に不溶性であって、かつ、８００ｋｇ／ｍ^３ないし１００００ｋｇ／ｍ^３の範囲の密度を備える、実質的に球形または卵形の本質的に固体粒子からなる液体を含まない第二被覆を、前記第一被覆の少なくとも一部に適用することからなる、ケラチン物質をメイクアップする方法。
2. 固体粒子が、１０００ｋｇ／ｍ^３ないし３０００ｋｇ／ｍ^３の範囲の密度を有することを特徴とする、請求項１記載の方法。
3. 固体粒子が、２３００ｋｇ／ｍ^３ないし３０００ｋｇ／ｍ^３の範囲の密度を有することを特徴とする、請求項２記載の方法。
4. 固体粒子が、２．５μｍないし５ｍｍの範囲のサイズを有することを特徴とする、請求項１ないし３のいずれか一項に記載の方法。
5. 固体粒子が、実質的に球形であることを特徴とする、請求項１ないし４のいずれか一項に記載の方法。
6. 固体粒子が、ガラス、酸化ジルコニウム、炭化タングステン、ポリウレタン、ポリアミド、ポリテトラフルオロエチレン、ポリプロピレン、金属、木材、大理石、オニキス、翡翠、天然真珠、宝石、アメジストまたはアクアマリンからなる群から選択された物質からなることを特徴とする、請求項１ないし５のいずれか一項に記載の方法。
7. 固体粒子が、ガラスマイクロビーズであることを特徴とする、請求項１ないし６のいずれか一項に記載の方法。
8. 化粧品に許容できる媒体と少なくとも一つの第二被膜形成ポリマーとを含む第二被膜形成組成物からなる第三の被覆が、第二被覆に適用されることを特徴とする、請求項１ないし７のいずれか一項に記載の方法。
9. 第一および／または第二組成物が、溶媒を含むことを特徴とする、請求項８に記載の方法。
10. 第一および／または第二被膜形成ポリマーが、対応する化粧品に許容できる媒体中に溶解または粒子形態で分散されることを特徴とする、請求項８または９に記載の方法。
11. 第一および第二被膜形成ポリマーが、互いに独立して、ラジカル媒介ポリマー、重縮合物および天然由来のポリマーからなる群から選択されることを特徴とする、請求項８ないし１０のいずれか一項に記載の方法。
12. 第一および第二被膜形成ポリマーが、互いに独立して、ビニルポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびセルロースポリマーからなる群から選択されることを特徴とする、請求項８ないし１１のいずれか一項に記載の方法。
13. 第一および第二被膜形成ポリマーの含有量が、第一および第二組成物の全重量に対して、それぞれ１ないし７０重量％の範囲であることを特徴とする、請求項８ないし１２のいずれか一項に記載の方法。
14. 第一および／または第二組成物が、付加的な被膜形成剤、増粘剤、展着剤、湿潤剤、分散剤、抗起泡剤、防腐剤、ＵＶスクリーニング剤、染料、顔料、活性剤、界面活性剤、保湿剤、香料、中和剤、安定剤および酸化防止剤からなる群から選択された少なくとも一つの添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項８ないし１３のいずれか一項に記載の方法。
15. 付加的な被膜形成剤が、第一および第二組成物の全重量に対して０．５ないし２０重量％の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項１４記載の方法。
16. 第一および／または第二組成物が、マニキュア液、フェイスパウダー、アイシャドー、ファンデーション、または唇もしくは身体用のメイクアップ製品の形態であることを特徴とする、請求項８ないし１５のいずれか一項に記載の方法。
17. 第二被覆を構成する固体粒子を、第一被覆上に散りばめることによって、第二被覆を第一被覆上に堆積させることを特徴とする、請求項１ないし１６のいずれか一項に記載の方法。
18. 第二被覆を構成する固体粒子と第一被覆とを接触させることによって、第二被覆を第一被覆上に堆積させることを特徴とする、請求項１ないし１７のいずれか一項に記載の方法。
19. − 化粧品に許容できる媒体に少なくとも一つの第一被膜形成ポリマーを含む第一組成物、および
    − 実質的に球形または卵形であって、かつ、８００ｋｇ／ｍ^３ないし１００００ｋｇ／ｍ^３の範囲の密度を有する固体粒子
    を含むメイクアップキット。
20. 固体粒子が、２．５μｍないし５ｍｍの範囲のサイズを有することを特徴とする、請求項１９記載のメイクアップキット。
21. 固体粒子が、実質的に球形であることを特徴とする、請求項１９または２０記載のメイクアップキット。
22. 第二被膜形成組成物をさらに含むことを特徴とする、請求項１９ないし２１のいずれか一項に記載のメイクアップキット。
23. 第一および／または第二組成物が、溶媒を含むことを特徴とする、請求項２２に記載のメイクアップキット。
24. 第一および／または第二被膜形成ポリマーが、対応する化粧品に許容できる媒体中に溶解または粒子形態で分散されることを特徴とする、請求項２２または２３に記載のメイクアップキット。
25. 第一および第二被膜形成ポリマーが、互いに独立して、ラジカル媒介ポリマー、重縮合物および合成由来のポリマーからなる群から選択されることを特徴とする、請求項２２ないし２４のいずれか一項に記載のメイクアップキット。
26. 第一および第二被膜形成ポリマーが、互いに独立して、ビニルポリマー、ポリウレタン、ポリエステルおよびセルロースポリマーからなる群から選択されることを特徴とする、請求項２２ないし２５のいずれか一項に記載のメイクアップキット。
27. 第一および第二被膜形成ポリマーの含有量が、第一および第二組成物の全重量に対して、それぞれ１ないし７０重量％の範囲であることを特徴とする、請求項２２ないし２６のいずれか一項に記載のメイクアップキット。
28. 第一および／または第二組成物が、付加的な被膜形成剤、増粘剤、展着剤、湿潤剤、分散剤、抗起泡剤、防腐剤、ＵＶスクリーニング剤、染料、顔料、活性剤、界面活性剤、保湿剤、香料、中和剤、安定剤および酸化防止剤からなる群から選択された少なくとも一つの添加剤をさらに含むことを特徴とする、請求項２２ないし２７のいずれか一項に記載のメイクアップキット。
29. 付加的な被膜形成剤が、第一および／または第二組成物の全重量に対して０．５ないし２０重量％の範囲の含有量で存在することを特徴とする、請求項２８記載のメイクアップキット。
30. 第一および／または第二組成物が、マニキュア液、フェイスパウダー、アイシャドー、ファンデーション、もしくは唇または身体用のメイクアップ製品の形態であることを特徴とする、請求項２２ないし２９のいずれか一項に記載のメイクアップキット。
31. 第一および第二組成物をケラチン物質に適用するための手段を含むことを特徴とする、請求項２２ないし３０のいずれか一項に記載のメイクアップキット。
32. 前記手段が、目の細かいまたは粗いブラシ、羽およびスポンジからなる群から選択されることを特徴とする、請求項３１記載のメイクアップキット。
33. 第一および第二組成物と固体粒子が、別個の区画または容器に収容されることを特徴とする、請求項２２ないし３２のいずれか一項に記載のメイクアップキット。
34. 請求項１ないし１８のいずれか一項に記載の方法に従って得られるメイクアップを有する偽爪。
35. 化粧品に許容できる媒体と少なくとも一つの第一被膜形成ポリマーとを含む第一被膜形成組成物、および実質的に球形または卵形であって、８００ｋｇ／ｍ^３ないし１００００ｋｇ／ｍ^３の範囲の密度を備える固体粒子の、メイクアップ製品における、優れた耐久力を備えた表面レリーフを用いたメイクアップ効果を得るための使用。
36. 実質的に球形または卵形であって、８００ｋｇ／ｍ^３ないし１００００ｋｇ／ｍ^３の範囲の密度を備える固体粒子の、メイクアップ製品における、優れた耐久力を備えた表面レリーフを用いたメイクアップ効果を得るための使用。