JP3654926B2 - 多次元ディジタル導波管信号合成装置及び方法 - Google Patents

多次元ディジタル導波管信号合成装置及び方法 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、一般的には多次元進行波を表す信号を生成する装置及び方法に関し、具体的には複数の散乱用接合( scattering junctuion )によって相互接続されているディジタル導波管( waveguide ) 区分の多次元アレイを使用してこれらの信号を合成するための、計算が効率的な装置及び方法に関する。本発明の最初の好ましい実施例は、ドラムが発生する音のような音楽的な音を合成するために使用される。
【0002】
【従来の技術】
ディジタル信号処理及び音楽合成にディジタル導波管回路網を使用することは合衆国特許 4,984,276号に開示されており、該特許はディジタル残響のために、及びリード楽器並びに弦楽器が発生するような音楽的な音の合成のためにディジタル導波管回路網を有するディジタルプロセッサの使用を教示している。
本発明は、上記合衆国特許 4,984,276号に開示されているディジタル導波管回路網の延長もしくは特定の具体化に係わるものである。即ち、本願発明者らは、複数の四方向散乱用接合によって相互接続されたディジタル導波管の二次元マトリクスが、膜内を、もしくは音響面内を伝播する波をモデル化する極めて効率的な方法であることを見出した。
理想的な弦もしくは音響的な管に関する波動方程式に対する進行波解は、「ディジタル導波管」を使用して効率的にモデル化することができる。ディジタル導波管においては、任意の2つの進行波はそれらのそれぞれの左及び右方向へ独立的に伝播し、一方任意点における物理的な波の振幅は左向きの波及び右向きの波を加え合わせることによって得ることができる。導波管公式を線形システム及び回路網理論に差し込む( plug in ) 簡易さが物理的モデル化の研究を刺激した。一次元ディジタル導波管の多くの応用が知られている。二次元ディジタル導波管メッシュを開発した動機は、一次元モデルがドラム、反響板、ゴング(銅鑼)、ピアノ、及び他の音響構造への応用に対して余り望ましいものではないことが分かったからである。
【0003】
二次元の膜の場合には、進行波解は全ての方向へ進行する無限数の任意の平面波の積分和を含む。即ち、
【0004】
【数1】
Figure 0003654926
【0005】
この問題に対して数値解を用いて援助できる有限要素及び差方程式方法が知られている。しかしながら、これらの方法は2つの欠点を有している。即ち(1)これらの計算時間は実時間を達成するには程遠い長さであり、そして(2)不便なことには従来の問題公式は線形システム、フィルタ、及び回路網相互作用の物理モデルの場に限って適用されるものである。
この文書は、双方向遅延要素と多ポート散乱用接合の回路網に関するN次元波動方程式の公式化を提唱している。二次元膜の場合に不可欠な構造は、各双方向単位遅延( unit delay )の間の4ポート散乱用接合において互いに交差し合う並行水平導波管の層に重畳された並行垂直導波管の層である。4ポート接合は、等インピーダンスの場合には乗算を使用することなく実現することができ、計算費用を大幅に低下させる。図1は、図示の最初のたわみで励振した時に二次元メッシュ内を伝播する波の3つのスナップショットを図形的に示す。
メッシュを相互に接続された振動する弦の格子と見れば、各接合の4つのポートにおける変位速度は等しくなければならず、各接合における力の合計は0でなければならない。この場合には、2ポート双方向単位遅延内を進行する力もしくは速度波を有する直列散乱用接合が得られる。一方、メッシュを相互に接続された音響管の格子として見れば、各接合における圧力は等しくなければならず、各接合内への流れの合計は0でなければならない。この場合には、遅延単位を通って進行する圧力もしくは体積速度波を有する並列散乱用接合が得られる。
【0006】
導波管メッシュは線形システムであるから、双方向遅延要素内にモデル化されたどのような損失も、要望に応じてシステムの周囲に密集させ、併合させることができる。導波管メッシュはその境界条件もしくは初期値に関して限定するものは何もなく、直接的な手法で他のフィルタ及び導波管システム要素と組合わされる。さらに、それは並列プロセッサ装置に対して良好に適応する。散乱用接合計算は最初のパスで如何なる順序で遂行してもよく、次いで第2のパスで遅延計算を遂行することができる。導波管メッシュは容易に三次元及びN次元に拡張される。
二次元導波管メッシュは、数学的に、時間及び空間サンプリング間隔が等しくされまた波伝播の速度が20.5 空間サンプル/時間サンプルにされるような無損失における標準二次差方程式と等価である。
【0007】
Figure 0003654926
ここに、l及びmは空間サンプルを表し、nは時間を表す。
しかしながら、二次双曲線部分差方程式を含む初期値問題の数値的解は、通常は、少なくとも2つの先行時間フレームの値を保持する多段階時間計画を必要とする。導波管メッシュはこの構造を、新しい各時間フレームを1つの先行時間フレームから完全に計算することができる1段階時間計画まで縮小する。これは物理的な波動変数の代わりに進行波成分を使用することによって可能になるのである。
殆どの信号合成装置は汎用コンピュータ、ディジタルデータプロセッサ、もしくは特定目的ディジタル信号プロセッサの何れかを使用して実現されているから、常に計算効率が関心事である。汎用コンピュータにおいては、通常は乗算は加算よりも長時間を必要とする。ディジタル信号プロセッサを使用する場合には、乗算は加算と同じ時間で(例えば、1CPUクロックサイクルで)遂行することができるが、乗算回路は加算回路よりもかなり大きい空間を必要とするので、ベクトルデータ処理のために複数の並列乗算回路を設けると、同数の並列加算回路を設ける場合よりも遥かに高価になる。本発明の目的は、計算が効率的な実時間二次元進行波信号合成装置を提供することである。
【0008】
【発明の概要】
要約すれば本発明は、合成された出力信号のアレイを生成するために、1もしくはそれ以上の励振信号を濾波するように複数の接合によって相互接続された少なくとも1つの「導波管区分の二次元マトリクス」を有するディジタル導波管回路網を使用する信号合成装置に関する。このディジタル導波管回路網は複数の接合によって相互接続された複数の導波管区分の集合を有する。
各導波管区分は信号を逆方向に伝播させるために互いに並行する2つのディジタル遅延線を含み、各接合はその接合に接続されている導波管区分内の信号の反射及び伝播を制御するようにその接合に割当てられた反射及び伝播係数を有している。ディジタル導波管マトリクスの境界に沿う接合を除いて、各接合は少なくとも4つの導波管区分を通って流れる信号を分散させ、混合するように少なくとも4つの導波管区分を相互接続している少なくとも1つの4方向接合である。
ディジタル導波管回路網の指定された接合に結合されている少なくとも1つの信号源は、ディジタル導波管回路網に励振信号を供給する。さらに、パラメタメモリは、ディジタル導波管回路網が該回路網を通って伝播する信号をどのように濾波するかを制御する導波管制御パラメタと、1もしくは複数の信号源が発生する励振信号を管理する信号源パラメタとを含む制御パラメタの集合を記憶する。最後に、ディジタル信号プロセッサもしくは制御装置は、出力信号のアレイを合成するように選択された制御パラメタの集合を使用して信号源及びディジタル導波管回路網を動作させる。
【0009】
【実施例】
1.ディジタル信号
x(n),y(n),L(n),L(n)等は整数nによって指標付けられたディジタル信号を表す。時間指標nはサンプルされた時刻を表す。増加するnは時間的に前方への伝播を表し、x(n)は時点nにおける信号の値であり、x(n+1)は時点n+1における信号の値である、等々である。
2.単位遅延
図2に箱入り文字dで表されている単位遅延は、信号シーケンスを1時間サンプルだけ遅延させる。L及びRはそれぞれ左及び右を表す。下添字i及びoはそれぞれ入力及び出力を表す。例えばLi (n) は時間指標nにおける左側入力信号を表し、Ri (n) は時間指標nにおける右側入力信号を表す等々である。矢印は遅延オペレータを通って流れる信号の方向を表す。右向きの単位遅延では、左入力に示されている信号値は1時間サンプルの遅延の後に右側の出力へ移動する。この動作は代数的に、全ての整数nに対してRo (n) =Li (n−1)で表すことができる。同様に左向き遅延単位はLo (n) =Ri (n−1)によって定義される。
【0010】
3.遅延線
遅延線は、時間遅延の任意整数長まで単位遅延を延長したものである。これは入力信号、出力信号、及び任意遅延長(N時間サンプル)によって特徴付けられる。図3を参照する。L及びRはそれぞれ左及び右を表す。下添字i及びoはそれぞれ入力及び出力を表す。例えばLi (n) は時間指標nにおける左側入力信号を表し、Ri (n) は時間指標nにおける右側入力信号を表す等々である。矢印は遅延オペレータを通って流れる信号の方向を指示する。右向きの遅延線では、左入力に示されている信号値は、あるN時間サンプルの遅延の後に右側の出力へ移動する。この動作は代数的に、全ての整数nに対してRo (n) =Li (n−N)で表すことができる。同様に左向き遅延単位はLo (n) =Ri (n−N)によって定義される。
4.ディジタル導波管
ディジタル導波管は、1つの左向きの遅延線と1つの右向きの遅延線の重ね合わせである。図4を参照する。これは入力信号、出力信号、遅延長N、及び波動インピーダンスZによって特徴付けられる。1つの入力が各側に存在し、1つの出力が各側に存在する。各遅延線の遅延長は同一、即ちNサンプルである。
【0011】
デイジタル導波管要素の計算は、代数的に、全ての整数nに対してRo (n) =Li (n−N)、及びLo (n) =Ri (n−N)で表すことができる。導波管に関して定義される波動インピーダンスZは導波管に関する計算式内には数字で現れない。しかしながら、散乱用接合において相互接続されている幾つかの導波管が相互作用する様に影響を与える。これに関しては、後述する散乱用接合において詳述する。
ディジタル導波管を反対向きの矢印を有する1本の線で略記する表記法を導入すると、2本の分離した左及び右向きの遅延線で完全に表記するよりも視覚表示に便利である。図5を参照する。この表記法によれば、2本の遅延線要素が1本の2ポート回路網要素(ディジタル導波管)に単一化されるのですっきりする。
5.ポート
ポートは、入力・出力対として定義される。例えば、図4及び5のディジタル導波管は2ポート回路網要素であり、Li (n) 及びLo (n) が左側の1つのポートを構成し、Ri (n) 及びRo (n) が右側の1つのポートを構成している。
6.双方向単位遅延
双方向単位遅延は、遅延長Nを1時間サンプルであるとしたディジタル導波管の特別な場合である。図6は双方向単位遅延とその略記法を示すものである。双方向単位遅延は2つの入力・出力対と、1時間サンプルの遅延長と、波動インピーダンズZとによって特徴付けられる。双方向単位遅延要素の計算は代数的に、全ての整数nに対してRo (n) =Li (n−1)、及びLo (n) =Ri (n−1)で表すことができる。
【0012】
7.2ポート散乱用接合
図7に丸付き文字Sで示されている散乱用接合は、2もしくはそれ以上のディジタル導波管(もしくはディジタル導波管の特別な場合である双方向単位遅延)を相互接続するために使用される方法である。これは2もしくはそれ以上の入力・出力対、即ちポートによって特徴付けられる。入力から出力を計算する正確な方法は、それらに接続される導波管の波動インピーダンスに依存する。
2ポート散乱用接合は、2つの入力・出力対と、入力から出力を計算する散乱用アルゴリズムとを特徴とする。図7を参照されたい。
散乱用接合の出力の計算は、入力と、各ポートに接続される導波管の波動インピーダンスとに依存するが、接続される導波管の長さには依存しない。散乱用接合の計算アルゴリズムを説明するために、先ず2つの導波管と2ポート散乱用接合との回路網を構成することにする。図8を参照されたい。
左及び右入力・出力対を有する散乱用接合が図8の中心に描かれている。入力及び出力の下添字及びSは、それらが散乱用接合に関連付けられているものであって、周囲の導波管に関連するものではないことを表している。図の左側には、全てのパラメタが下添字Aで示されている導波管が描かれている。これを導波管Aと呼ぶ。同様に図の右側には、全てのパラメタが下添字Bで示されている導波管Bが描かれている。図中の4つの等号(=)は同等を、即ち、RoA(n) =LiS(n) 、RiA(n) =LoS(n) 、RoS(n) =LiB(n) 、及びRiS(n) =LoB(n) を表している。これら4つの同等はそれぞれ、導波管Aの右出力が散乱用接合Sの左入力に一致していること、導波管Aの右入力がSの左出力に一致していること、Sの右出力が導波管Bの左入力に一致していること、及びSの右入力が導波管Bの左出力に一致していることを表している。
【0013】
これらの値が一致しているので計算の順序を確立しなければならない。回路網要素の計算を順序付ける一般解は、以下のように取り扱われる。しかしながら、この例では導波管が先ず計算されてRoA(n) 及びLoB(n) が求められる。従って上述した同等性から散乱用接合の入力LiS(n) 及びRiS(n) が分かる。
さて、散乱用接合の計算は以下の2段階代数手順に従って進められる。
【0014】
段階1.一時値vJ を計算する。
J =2( ZA iS(n) +ZB iS(n))/(ZA +ZB )
段階2.vJ 及び入力から出力を計算する。
oS(n) =vJ −LiS(n)
oS(n) =vJ −RiS(n)
入力から出力を計算するために必要な乗算の回数を減少させるこの計算には、等価な他の公式も存在している。例えば、段階1において、予め値c1 =2ZA /(ZA +ZB ) 及びc2 =2ZB /(ZA +ZB ) を計算しておき、段階1を
J =c2 iS(n) +c2 iS(n)
に置換することができるから、計算は3回の乗算、1回の除算、及び1回の加算から2回の乗算及び1回の加算に減少する。
散乱用接合の計算は、相互接続された導波管ZA 及びZB の波動インピーダンスには依存するが、それらの遅延長NA 及びNB には依存しないことに注目されたい。
8.略記法
前述したのと同様に、図9に示す略記法を上記7項の2ポート散乱用接合の例にも使用することができる。散乱用接合SはZA 及びZB によって完全に表される。
9.Nポート散乱用接合
如何なる数の導波管も散乱用接合において相互に接続することができる。もしNの導波管を相互接続するのであれば、Nポート散乱用接合が必要である。もしNの導波管の波動インピーダンスがZk (但し、k=1、2、3・・・N)であれば、散乱用接合への入力はik (但し、k=1、2、3・・・N)であるので出力は上記7項で説明した2段階プロセスと同一のプロセスで入力から計算することができる。
【0015】
段階1.vJ =( 2Σ k Zk ik )/Σ k Zk (但し、kは1からNまで)等価的に、これを次の代数式で表すことができる。
J =2(Z1i1 + Z2i2 +…+ ZN iN )/(Z1 + Z2 +…+ ZN )
段階2.vJ 及び入力から出力を計算する。
k =vJ −ik (但し、k=1、2、3・・・N)。
異なる波動インピーダンスを有する導波管とNポート散乱用接合との接続の例を図10に示す。
【0016】
10.等インピーダンス4ポート散乱用接合
等インピーダンス4ポート散乱用接合は、Nポート散乱用接合の特別な例である。これは、波動インピーダンスが全て同一の値Zである4つの導波管を接続する4入力・出力対によって特徴付けられる。図11を参照されたい。散乱用接合の計算式は以下まで縮小されることは明白である。
段階1.一時値vJ を計算する。
J =( 1/2 )(i1 +i2 +i3 +i4)
段階2.vJ 及び入力から出力を計算する。
k =vJ −ik (但し、k=1、2、3、4)。
明らかにこの計算は7回の加算(もしくは減算)と1回の2による除算とを必要とする。もしこの計算をディジタル計算装置において固定小数点2進数で遂行すれば、2による除算は1ビットを右へけた送りすることによって実現することができる。従って、この計算には乗算もしくは除算を必要としない。
11.4ポート接合の計算の打切り方法
ディジタル計算装置によって散乱用接合を計算する場合、符号付き固定小数点2進算術で計算を進めることが一般的である。この場合、等インピーダンス4ポート散乱用接合における段階1のvJ の計算は2による除算が必要である。この演算は符号保存1ビット右けた送りによって効率的に実現することができる。この方法は、正の数の場合には0に向かって丸め、負の数の場合には0から遠去かるように丸めるような打切りをもたらす。これは両方の場合共切捨てである。この方法は時間の間中メッシュの値に負のオフセットを導入し、もしシステムの他の何処にも損失が無いものとすれば、結局は不安定をもたらすか、もしくはダイナミックレンジを狭くする。
12.4ポート接合の計算の丸め方法
代替方法は、正の値及び負の値の両者を0に向かって丸めることである。この場合、総合エネルギがメッシュに加えられることはない。しかしながら、メッシュ内には多数の散乱用接合が存在しているから、この方法はメッシュ内のエネルギの極めて急速な減衰をもたらし得る。もしこのような減衰が望ましくないか、もしくはシステムにおいて許容されなければ、エネルギ保存4ポート接合計算を使用すべきである。
【0017】
13.エネルギ保存4ポート接合計算
エネルギ保存計算方法は、2進数を右へけた送りする時には(1)端から外れてけた送りされるビット(低位ビットと呼ばれる)は0であって計算は正確であるか、もしくは(2)低位ビットが1であって誤差は正確に 0.5 であるような2つの場合しか存在しないという事実を利用する。散乱用接合を計算する際に、この誤差は4つのポートの出力に加え合わされるから、計算の段階2において4倍に拡大される。
エネルギ保存方法は、0.5 ×4=2である事実に着目する。低位ビットが0である場合に出力を計算する場合、接合計算の普通の切捨て方法が正確な結果を発生するから使用すべきである。低位ビットが1である場合には、2つのポートの出力を切上げ、他の2つのポートの出力を切下げるべきである。これで2つの出力は+0.5 だけ不正確になり、2つの出力は−0.5 だけ不正確になるから、システム内には総合オフセットは導入されなくなる。どのポートを切上げ、どのポートを切下げるかの選択は、任意に、またはある設計によって行うことができるか、もしくはランダムに、またはあるパターンで選択することができる。この方法は、劣化をもたらす損失を導入することがなく、且つ不安定度をもたらす、またはダイナミックレンジを狭くし得るオフセットを累積させることがない。
14.二次元ディジタル導波管メッシュ
二次元(2D)ディジタル導波管メッシュは双方向単位遅延の格子を等インピーダンス4ポート散乱用接合で相互に接続することによって構成される。図12にこのメッシュの一部のレイアウトを示す。メッシュ内の全ての導波管区分は双方向単位遅延の形状であり、それらの波動インピーダンスは全て互いに等しいものとしてある。従って、メッシュ内の散乱用接合の計算は相互接続された導波管の波動インピーダンスには依存しない。このメッシュは導波管長が1ではなく、等しくない場合を含むように一般化することができる。さらに、関連する波動インピーダンスはそれぞれ異なるから散乱用接合は最早等インピーダンスではない。等インピーダンス双方向単位遅延に構成されたメッシュは、その二次元でのレイアウトによって完全に特徴付けられ、全ての方向に如何なる任意の寸法及び形状にも拡張することができる。
【0018】
15.ディジタルフィルタ
ディジタルフィルタは入力信号i(n)と出力信号o(n)とによって特徴付けられ、出力信号の計算方法は入力信号の現在及び過去の値と、出力信号の過去の値とに基づく。図13を参照する。ディジタルジルタの計算は、代数的に以下のように定義される。
o(n)=Σ k k i(n−k)−Σ j j o(n−j)
ここにkは0からKまでを表し、jは1からJまでを表す。
等価的に以下のように書くことができる。
Figure 0003654926
aK 及び bJ は任意の定フィルタ係数であり、K及びJは共にフィルタ計算における項数を表す。フィルタはその係数によって完全に表される。
16.1・0フィルタ、1極フィルタ及び1・0・1極フィルタ
1・0フィルタは2つの係数a0 及びa1 と、計算方法o(n) =a0 i(n) +a1 i(n−1)とによって特徴付けられる。簡単な場合としてa0 =0.5 及びa1 =0.5 を与えて低域通過1・0フィルタを形成することができる。1極フィルタは2つの係数a0 及びb1 と、計算方法o(n) =a0 i(n) +b1 o(n−1)とによって特徴付けられる。簡単な場合としてa0 =0.5 及びb1 =−0.5 を与えて低域通過1極フィルタを形成することができる。1・0・1極フィルタは3つの係数a0 、a1 及びb1 と、計算方法o(n) =a0 i(n) +a1 i(n−1)+b1 o(n−1)とによって特徴付けることができる。簡単な場合としてa0 =0.5 、a1 =0.5 及びb1 =−0.5 を与えて高域通過1極フィルタを形成することができる。全域通過1・0・1極フィルタを形成するためにはa0 =0.5 、a1 =1及びb1 =−0.5 を与えればよい。
【0019】
17.理想反射フィルタ
理想反射フィルタは差方程式o(n) =−i(n) によって定義される。これはa0 =−1及びa1 =0を有する1・0フィルタを使用するのと等価である。
18.遅延線へのディジタルフィルタの導入
この場合には遅延線の出力が計算され、フィルタの入力に印加される。次いでフィルタはこの現在値と、その過去の入力及び出力から計算される。フィルタを遅延単位の前にもしくは後の何れに置くかは、線形システムの可換性から任意である。図14を参照されたい。
19.フィルタ付き導波管
フィルタ付き導波管は、フィルタ無し導波管が2つのフィルタが付いていない遅延線から構成されるのと全く同様に、2つのフィルタ付き双方向遅延線から構成することができる。右及び左向きの遅延線内のフィルタは同一である必要はなく、またフィルタは1つの遅延線だけの中に存在していても差し支えない。図15は、2つのフィルタ付き遅延線として見たフィルタ付き導波管を示す。
等価的には、フィルタ付き導波管は何れかの、もしくは全ての入力及び出力にフィルタを付加することによってフィルタ無し導波管から構成することができる。従ってこの要素の群の計算は、得られたフィルタ付き導波管全体の1計算サイクル内に統合される。図16は、右側ポートにフィルタを有する導波管として見たフィルタ付き導波管を示す。
【0020】
20.フィルタ付き散乱用接合
フィルタ付き散乱用接合はフィルタ付き導波管と類似の方法で構成することができる。フィルタは散乱用接合の何れかの、もしくは全ての入力及び出力に配置することができる。群全体をフィルタ付き散乱用接合として考え、一緒に計算することができる。
また接合の内部計算では、段階1においてvJ を遂行する時に、段階2の計算が完了する前にvJ 値をディジタルフィルタを通して供給することができる。フィルタは計算の如何なる点にも配置することができ、計算中のその点における値はフィルタの入力に供給され、計算されたフィルタの出力及び古い計算値はそのフィルタの出力によって置換される。次いで接合計算が続行される。
21.ディジタルフィルタを有する導波管の終端
図17において、右向きの遅延線の出力は入力i(n) から計算され、フィルタの入力に提示され、そしてフィルタの出力はこの入力と、その過去の入力及び出力とから計算される。フィルタ出力は出力信号o(n) の計算のために左向き遅延線の入力に提示される。図17には略記法も示されている。
22.理想的な反射を有する導波管の終端
これはディジタルフィルタによって終端される導波管の特別な場合である。この場合、終端用フィルタは差方程式o(n) =−i(n) によって定義される理想反射フィルタである。図18を参照されたい。
23.フィルタを有する二次元ディジタルメッシュの終端
この構造では、メッシュの外側境界はディジタルフィルタによって終端されている導波管からなる。図19を参照されたい。
24.理想的な反射を有する二次元ディジタルメッシュの終端
これは、フィルタが理想反射フィルタであることを除いて、フィルタで終端されている二次元ディジタル導波管の特別な場合である。図20を参照されたい。
【0021】
25.2及び3ポート散乱用接合を有するメッシュの終端
メッシュの境界を画定する代替方法は、最も外側の4ポート散乱用接合を2及び3ポート散乱用接合に置換し、これらの接合以遠では導波管がさらなる終端を必要としないようにすることである。図21において、散乱用接合は導波管要素への接続の数によって表された2、3、もしくは4ポートである。2及び3ポート境界接合は、メッシュの境界における挙動をモデル化するためにフィルタ付き散乱用接合に置換することができる。
26.メッシュの互換性
二次元ディジタル導波管メッシュ内の回路網要素は2つの分類に入る。即ち、(1)散乱用接合及び導波管終端フィルタを含む接合要素と、(2)導波管及び双方向単位遅延を含む遅延要素とに分類される。上述したように適切に構成されたメッシュでは、各接合要素の計算は、もし入力が知られていれば他の何れの要素にも依存しない。同様に遅延要素の計算は、もし入力が知られていれば他の何れの要素にも依存しない。遅延要素の入力は隣接する接合の出力だけに依存し、接合の入力は隣接する遅延要素の出力だけに依存する。従って計算サイクルは2つのフェーズ、即ち(1)接合計算フェーズと、(2)遅延計算フェーズとに分割することができる。
【0022】
フェーズ1.接合計算
メッシュ回路網内の全ての接合への全ての入力が知られているものとする。従って接合の出力は各接合毎にこれらの入力から直接計算することができる。各接合の計算順序は任意である。この計算の後、接合の全ての出力が決定される。
フェーズ2.遅延計算
フェーズ1が完了すると、接合の全ての出力が分かる。これらの出力は適切な遅延要素入力と一致するので、全ての遅延要素への全ての入力が知られる。従って遅延を計算することができ、遅延要素の全ての出力が決定される。この遅延計算はメッシュ回路網に入ってくる、それから出て行く、及びそれを通して走る全ての信号に対する1サンプルの時間増分を表す。このフェーズ中、時間指標nがn+1にインクリメントされる。
フェーズ1への復帰
フェーズ2が完了すると、遅延要素の全ての出力が分かる。これらは隣接する接合の適切な入力と一致するから、全ての接合への全ての入力が分かる。従って計算サイクルはフェーズ1へ進むことができる。これら2つのフェーズの完了は、1時間サンプルの経過を表す。メッシュはそれが持ち得る何れかの各入力から1サンプル値を受け入れており、メッシュの各出力は1サンプル値を生成している。
【0023】
27.並列計算アーキテクチャの具体化
接合計算の順序付けが任意であり、遅延計算の順序付けが任意であるので、並列計算マシンを処理ユットのローカル四側連結性で実現することがメッシュアルゴリズムにとって理想的である。この場合、接合は処理ユニットにおいて計算され、データ転送サイクルを使用してデータを各処理ユニットの出力から隣接処理ユニットの入力へ転送する。このデータ転送が双方向単位遅延要素の単位遅延を構成する。
並列VLSIでは、少数のゲートを用いてハードウェア内に乗算を行わない散乱用接合を実現することができる。双方向単位遅延は特別な遅延回路で実現することができる。
28.メッシュ内への損失及び分散の導入
エネルギ損失及び周波数分散特性は、導波管をフィルタ付き導波管に置換するか、もしくは散乱用接合をフィルタ付き散乱用接合に置換することによってメッシュ内の何処へでも導入することができる。
29.損失及び分散をモデル化するためにメッシュ境界でのフィルタの合計
メッシュ方程式の計算を簡易化するために、損失及び分散フィルタをメッシュの境界において終端フィルタもしくはフィルタ付き散乱用接合内に合計( summary ) することも、またはこれらをメッシュの内部の何処かの集中点に配置することもできる。
【0024】
30.メッシュの初期状態励振方法
メッシュを初期化する一方法は、散乱用接合及び終端フィルタの全ての入力に乱数を配置することである。従ってこれらの接合は全ての入力を知ることになるから、メッシュの計算はフェーズ1から開始することができる。代替として、乱数を散乱用接合の全ての出力(もしくは等価的に、遅延要素の全ての入力)に供給し、計算を計算サイクルのフェーズ2から開始することができる。高エネルギ励振をモデル化するためのランダム励振の例を示すが、ある特定の物理状態をモデル化するために特定の数を決定しても差し支えない。この励振方法は弦の全ての点のランダム初期変位及びランダム初期速度をモデル化する弦の Karplus-Strong ランダム励振に対応する。メッシュの場合には、これは波動伝播のランダム初期変位、ランダム初期速度、及びランダム初期方向をモデル化する。
励振の代替方法は、各接合毎に1つの乱数を計算し、この数をその接合の各入力へ割り当てることである。一般的に、この方法は乱数の約 1/4の数を生成すればよい。この励振方法はメッシュ(膜)の初期変位をモデル化する。これは一次元導波管弦モデルを最初にかき鳴らした(はじいた)時の形状に対応する。メッシュ膜モデルの特定変位をモデル化するために特定の初期化値を選択することもできる。図1は特定の初期たわみ形状の時間的展開を示す。
【0025】
他の代替は、全ての点のvJ の合計が0になるように、しかし全ての、もしくは若干の入力が0ではないように全ての散乱用接合への入力を選択することである。この励振方法は、膜に対する初期の打撃に対応し、また一次元の場合には弦を叩くことに対応する。
31.入力信号を使用するメッシュの駆動
メッシュを複数の値で初期化するのに加えて、もしくはその代わりとして、メッシュは外部の源から、またはある内部源からの入力信号によって駆動することができる。この場合、到来信号はメッシュ内の何処かにおいて何等かの値に加え合わされる。例えば図22に示すように、到来信号は双方向単位遅延要素内へ加え合わせることができる。この図では、入力信号はx(n) で表されている。信号x(n) は、右出力が計算される前に双方向単位遅延の左入力に加えられている。即ち、Ro =Li (n−1)+x(n−1)
他の例として図23に示すように、入力信号は終端フィルタへ加算することができる。この図では、フィルタの出力fは、それが左向き単位遅延の入力に印加される前に入力信号x(n) に加算されている。
【0026】
一般的に、入力信号はメッシュ上の代数的に可能な如何なる場所の如何なる点に加え合わせることもできる。
【0027】
32.メッシュからの個々の出力信号
メッシュからの出力信号は、メッシュの何処かの点の値を読み取ることによって得ることができる。計算の各サイクルにおいてこの値は更新され、これらの値が出力信号を構成する。一般的に、この出力はメッシュ上の如何なる場所の如何なる点からも、もしくはその計算アルゴリズムの内側から取り出し得る。
実際には、例えば1つの散乱用接合におけるvJ の値を監視するように選択することができる。これらの値から得た出力信号は、その点に位置する観測者が見る速度、変位、圧力等に対応する。
33.メッシュからの出力信号の合計
個々の出力信号の如何なる組合わせも基準化し加え合わせてそのメッシュからの合計出力信号を形成させることができる。メッシュのある領域内の全てのvJ を加え合わせることは、そのメッシュから遠い距離に位置する観測者が聞く合計音圧をモデル化することである。
34.メッシュの任意入力及び出力の表記法
図24において、丸付き+符号は入力信号i(n) をメッシュ内の任意計算点に加え合わせることを意味している。出力信号o(n) は任意点、もしくはメッシュ計算中に発生する一時値から取り出されることを表している。Mで示された箱は任意二次元メッシュを表し、またZO はそのメッシュがZO に等しい波動インピーダンスを有する双方向単位遅延を使用して構成されていることを表す。
【0028】
35.メッシュへのポート
メッシュを入力で駆動し、メッシュ計算中の値を監視することによって出力信号を抽出する代わりに、もしくはそれに加えて、メッシュとの通信の別の方法をポートを通して構成することができる。前述したように、ポートは何等かの回路網要素の入力・出力対として定義される。
図25及び26において、ディジタル導波管がそれぞれ、メッシュ内の4及び5ポート散乱用接合に接続されている。何れの場合も、この導波管内の左向きの波がメッシュへの入力であり、右向きの波がメッシュからの出力である。何れの場合も、接続用導波管の波動インピーダンスが必ずしもメッシュ内部の導波管の波動インピーダンスと同一である必要はない。接続用の散乱用接合における波動インピーダンスの関係が、メッシュによって吸収される入力信号の量、メッシュから接続用導波管へ戻される出力信号の量、及び入力信号から出力信号へ直接反射して戻される入力信号の量を決定する。
図27は、反射フィルタfによって終端され、波動インピーダンスZ1 、Z2 及びZ3 をそれぞれ有している3つの導波管に、5ポート散乱用接合(3個の黒丸で示す)を介して接続されている双方向単位遅延波動インピーダンスZ0 を有するメッシュMの概要図である。
36.メッシュと他の物理的モデル要素との相互接続
メッシュと別の回路網要素との相互接続は、一般に、上記35項で説明したポートを通して行われる。メッシュは図27に示すように種々の導波管に接続したり、もしくは1つのメッシュを別のメッシュに接続したり(図28)、または導波管を介してそれ自身に接続したり(図29)することができる。
【0029】
この最後の例(図29)では、接続用導波管はメッシュ回路網そのものの外側に位置しているものと見做され、黒丸で示されている6つの5ポート散乱用接合においてのみメッシュを叩く。
37.方形のドラムの皮
ドラムの皮は、縁に締め付けられている膜としてモデル化することができる。方形のドラムの場合には、方形メッシュを任意の寸法で構成する。このメッシュを、ディジタルフィルタで終端された双方向単位遅延によって終端する。終端用フィルタは特性的に低域通過とすべきである。例えばそれらはa0 =0.5 、b1 =−0.5 を有する前記1極フィルタとすることができる。
図30に方形ドラムの皮を概要図で示す。膜をマレットで打つのをモデル化する入力信号i(n) でこのメッシュを駆動する。例えば、雑音バーストを使用することができる。この場合、i(n) は、指定されたサンプル数のための乱数のシーケンスと、それに続く残余の時間のための全て0とからなる。
ドラムを鳴らす代替方法は上記30項「メッシュの初期状態励振方法」で説明したように、全ての値を乱数で満たし、全ての入力信号をまとめて除去することである。初期励振及び入力信号駆動の組合わせを使用することもできる。
【0030】
38.金属板
金属板は、より高い周波数を通すことができるように終端用フィルタを調整することを除いて、方形ドラムに類似する。例えば、a0 =0.5 、a1 =0.5 を有する前記1・0フィルタを使用することができる。金属板では、メッシュをドラムにおけるような入力信号で駆動するか、もしくはポートを通してそれを駆動することが望ましい。板の終端フィルタは、メッシュに分散を導入する若干の全域通過特性を含むことができる。これは、板のこわさをモデル化する。図31は、入力信号によって、もしくはポート接続によって駆動される板モデルを示す。
39.非直線性
非直線性もしくは非線形度は、1つの信号もしくは幾つかの信号に対して演算の直線性が保存されないようにこれらの信号を組合わせたり、または多少変更したりすることによって特徴付けられる。簡単な場合として、図32に示すようにo(n) はi(n) からo(n) =i(n) 2 で計算することができる。丸付き星印は乗算を表す。
非直線性の別の形状は、入力値が任意の表を索引し、出力がその索引に対応して表から直接読み出されるルックアップテーブルである。他の多くの非直線性が存在する。非直線性の本質的な特性は、信号が定数によって拡大・縮小されるか、もしくは幾つかの信号を互いに加算するのではなく、信号を組合わせたり、幾分変更したりすることである。
【0031】
40.メッシュへの非直線性の導入
図33は、単位遅延に非直線性を導入することを示す図である。出力RO は入力Li からRO (n) =Li (n−1)2 として計算される。
非直線性は、代数計算が行われる如何なる点においてもメッシュ内へ導入することができる。如何なる点の値も非直線性を通過することができ、古い値は計算を続行する前に新しい値に置換される。
41.ゴング
ゴング(銅鑼)は、図34に丸付き星印(*)で示してある種々の点においてメッシュ内に非直線性が導入されることを除いて、金属板に類似している。これらの非直線性は、信号内に新しい周波数成分を導入するためにメッシュ内の周波数展開に影響を与える。
42.反響板
図35に示す反響板( soaund board )は、信号を互いに混合し分散させるための反響( reverberant ) 環境をもたらすように設計されている。反響板は入力信号によって駆動することも、またはポートを通して他の回路網要素に接続することによって励振することもできる。出力は、前述したように如何なる点からも取り出すことができる。反響板は前述した1極もしくは1・0フィルタのような低域通過周波数応答を呈する反射性終端用フィルタを有する任意形状のメッシュからなっている。金属板におけるように、周波数の分散をモデル化するために終端フィルタ内に全域通過特性を導入することもできる。図(図35)は、入力信号i(n) によって駆動され、波動インピーダンスZ1 を有する導波管に接続されている反響板を示す。出力信号o(n) はメッシュ内の任意の点から取り出される。
43.効率的な反響板
図36において、f1 は前述した1極フィルタのような低域通過フィルタであり、f2 は前述した1・0・1極フィルタのような高域通過フィルタであり、そしてf3 は合計フィルタもしくは反響板の高周波数モードを効率的にモデル化するルックアップテーブルである。低域通過濾波された周波数が反響板内へ注入され、反響板の低周波数出力は合計高域通過周波数と合計されて出力信号を形成する。双方向単位遅延をより長い導波管によって置換するか、もしくはサンプリングレート変換によって、必要に応じて実効メッシュサンプリングレートを低速化することができる。この方法は、メッシュの必要寸法を縮小させ、従って必要な総合計算能力を低下させる。
44.8弦ピアノモデル
図37に示すピアノモデルは、ポートを介してメッシュまでの長さ及び波動インピーダンスが異なる8つの導波管弦モデルに接続された反響板からなる。任意の出力はメッシュから取り出される。最も簡単な場合には、導波管は理想反射フィルタで終端される。より複雑な場合には、導波管及び終端フィルタを弦モデルを基にした任意に複雑な導波管に置換することができる。弦の励振は弦モデルによって決定されることが理解されよう。例えば関連導波管の左向き及び右向きの遅延線を時間n=0における初期たわみ形状でロードすることができる。このエネルギはメッシュ内に散乱し、このメッシュに取り付けられている他の弦モデル内へ戻される。この構造は明らかに弦ダンパが持ち上げられた状態のピアノをモデル化している。特定の弦のダンパを下げた効果を得るには、その弦の導波管を一時的に計算ループ、5ポートから4ポートに減少させた接続用接合、及び内容を全て0にした導波管遅延線から切り離せばよい。
【0032】
45.3弦ハープモデル
図38に示すハープモデルは、導波管弦モデルの両端がメッシュ内へ取り付けられていることを除けば、ピアノモデルに類似する。
46.三次元拡張
導波管メッシュの三次元拡張は、二次元メッシュを重ね合わせて隣接する散乱用接合を導波管で相互接続することによって構成される。これで散乱用接合は6ポートになる。図39に示す立方体は6ポート散乱用接合を、また相互接続線は導波管を表している。垂直に配向された導波管の波動インピーダンスの大きさを水平に配向された導波管の波動インピーダンスの大きさの2倍に設定することによって、三次元メッシュの無乗算バージョンを作成することができる。
明らかに導波管メッシュは、同様プロセスによって如何なる数のディメンジョンにも拡張することができる。
47.ディジタル導波管メッシュのための代替トポロジ
上記46項の例では4ポートメッシュモデルを使用しているが、有用であると考えられる他の多くの配列が存在する。以下に幾つかの例を挙げる。
【0033】
i)6ポート散乱用接合のハニカム配列(図40参照):この場合には全ての散乱用接合は6ポートである。
ii)脈動斜行形波動インピーダンスを有する無乗算ハニカム配列(図41参照):図示配列において指示されていない波動インピーダンスはZ1 であり、Z2 =2Z1 である。散乱用接合の段階1におけるvJ の計算がvJ =( 1/4 )(i1+i2+i3+i4+2i5+2i6) の形まで縮小することは明白である。2の乗算、4による除算は、固定小数点2進演算においては符号保存けた送りによって実現することができる。従ってこの計算に乗算は必要としない。
iii )横紋形波動インピーダンスを有する無乗算ハニカム配列(図42参照):図示配列において指示されていない波動インピーダンスはZ1 であり、Z2 =2Z1 である。散乱用接合の段階1におけるvJ の計算がvJ =( 1/4 )(i1+i2+i3+i4+2i5+2i6) の形まで縮小することは明白である。2の乗算、4による除算は、固定小数点2進演算においては符号保存けた送りによって実現することができる。従ってこの計算に乗算は必要としない。
iv)対角線十字形8ポートレイアウト(図43参照):もし全ての波動インピーダンスを等しく選択すれば、散乱用接合の計算は無乗算計算に縮小される。
【0034】
v)無乗算三次元バージョンを形成するための積み重ね形6ポートメッシュ(図示してない):ハニカム配列は明らかに、上記46項で説明した4ポートの場合と同様に、積み重ねて双方向単位遅延によって相互接続することができる。これにより散乱用接合は8ポートになり、等インピーダンスメッシュを計算するのに乗算は必要としない。
【0035】
48.円筒形殻メッシュレイアウト
矩形メッシュは反対側を互いに接続して円筒形メッシュ(図44参照)に形成させることができる。これは円筒形の殻をモデルできる。
49.音響管モデルに結合された円筒形メッシュ
円筒形メッシュは音響管を取り囲む殻をモデル化するために使用することができる。図45においては、波動インピーダンスZ0 を有する円筒形メッシュが種々の点において、波動インピーダンスZ1 を有する導波管を通して波動インピーダンスZ2 を有する音響管に結合されている。
50.シンバル:メッシュのための放射状トポロジ
代替トポロジがメッシュのために使用されている例を図46に示す。図46に小円で表されている散乱用接合は同心円状に配列されており、図には半径方向及び円周方向に示されている湾曲もしくは直線のセグメントで表されている導波管で相互接続されている。波動インピーダンスは円周方向にはより小さく、半径方向にはより大きくして円周方向に進行する波をより容易にモデルすることができる。通常入力及び出力は半径方向のメッシュに設けられ、メッシュは前述した方法の一つで外側の円において終端することができる。
51.1弦ギター
図47においてM1 で示されている二次元メッシュはギターの「こま」を表し、M2 はギターの胴を表している。M2 は上及び下側の二次元メッシュを、胴の側を構成している円筒形メッシュに結合してなる。M3 は胴の内部の空気ばねをモデルするギター胴の内部の三次元メッシュを表している。
【0036】
52.三次元ドラムモデル
図48にM1 で示す二次元メッシュはドラムボディを表す。これは上及び下側の二次元メッシュ膜モデルを、側パネルをモデルしている円筒形に構成されたメッシュに結合することによって構成されている。括弧内に示されているM2 は、ドラム空洞内の空気ばねを表す三次元メッシュを表している。入力及び出力信号が示されている。
53.スネアドラムの皮膜/ばねモデル
図49においてM1 で示す二次元メッシュはドラムの縁にまたがって張られた皮(膜)を表す。図示の2本のスネアばねは膜を横切って張られており、始めは膜に接触している。膜が励振すると、ばねと膜とは互いに弾き合って多くの非弾性衝突を形成する。ばねは導波管、二次元メッシュを有する膜によってモデル化されている。1つのばねのある点と膜とが、それらの計算された変位値が一致することによって接触すると、ばね及び膜はその点において非線形接合計算を介して互いにリンクされる。これらの接合は、ばね及び膜が接触しない時には各構造内の信号が非線形相互作用を受けることなく流れることを許されるようにゲートされる。これらの接触点が回路網内の信号に新しい周波数を導入する。
【0037】
図50を参照する。本発明は、モトローラ製 68040のようなCPU 202と、典型的にはモニタ、キーボード、マウスポインタ装置、及びプリンタを含むユーザインタフェース204とを有する普通のコンピュータシステム200で実現することができる。システムメモリ209内のアレイ205−208内に記憶されている一組のユーザ指定パラメタは、接合間の相互接続の指定、各散乱用接合によって使用される散乱関数、回路網及び/または回路網の初期入力状態を駆動する励振信号、及び出力信号指定を含む導波管回路網の構成を指定する。出力信号指定208は、回路網の被監視ノードと、出力信号として使用すべきこれらの被監視ノード上の信号の組合わせ(例えば、指定されたノード上の信号の平均)とを指定することができる。これらのパラメタを使用して回路網実行プログラム210は各被監視ノードにおける信号を計算するために必要な計算を実行し、必要な全ての信号値と中間値とをその目的のための記憶装置アレイ212内に記憶する。
図51図を参照する。指定された二次元導波管回路網を実時間で実行するためには、ホストCPU 202及び特注ディジタル信号プロセッサ(DSP)222を含むシステム220を使用することが好ましい。好ましい特注DSPは、回路網の散乱用接合が発生した信号を計算するための並列計算回路のアレイ224と、中間信号値を記憶するためのレジスタアレイ226と、散乱用接合間に信号値を輸送するための適切な接続マトリクス228とを含む。DSP 222はホストコンピュータに対する計算補佐として動作する。前述したように、多くの二次元導波管回路網では、加算だけを使用し乗算は使用せずに多数の散乱用接合を実現することができるから、特注ディジタル信号プロセッサは多くの並列加算専用計算回路で実現される。乗算(数は少ないことが多い)を必要とする散乱用接合は、ホストCPU 202、もしくは小さい乗算回路アレイ230の何れかによって実行することができる。
【0038】
以上に本発明を幾つかの特定実施例に関して説明したが、この説明は本発明の例示であり、本発明を限定するものではない。当業者ならば、特許請求の範囲に記載されている本発明の真の思想及び範囲から逸脱することなく種々の変更を考案できよう。
【図面の簡単な説明】
【図1】最初のたわみによって励振された二次元導波管メッシュ内を伝播する波の3つの図形的なスナップショットである。
【図2】単位遅延要素の構造を示す図である。
【図3】遅延線の構造を示す図である。
【図4】ディジタル導波管の構造を示す図である。
【図5】ディジタル導波管を1本の線で略記する表記法の説明図である。
【図6】双方向単位遅延とその略記法を示す図である。
【図7】2ポート散乱用接合と2つの導波管へのその接続を示す図である。
【図8】2ポート散乱用接合と2つの導波管の入力と出力の関係を示す図である。
【図9】2ポート散乱用接合と導波管とを略記する表記法の説明図である。
【図10】異なる波動インピーダンスを有する導波管とN(N=3、4、5)ポート散乱用接合との接続例を示す図である。
【図11】等インピーダンス4ポート散乱用接合を示す図である。
【図12】二次元ディジタル導波管メッシュを示す図である。
【図13】ディジタルフィルタの構造を示す図である。
【図14】ディジタルフィルタと、遅延を基にする要素との相互接続を示す図である。
【図15】2つのフィルタ付き遅延線として見たフィルタ付き導波管を示す図である。
【図16】右側ポートにフィルタを有する導波管として見たフィルタ付き導波管を示す図である。
【図17】ディジタルフィルタを有する導波管の終端法と、その略記法を示す図である。
【図18】理想的な反射を有する導波管の終端法と、その略記法を示す図である。
【図19】フィルタを有する二次元ディジタルメッシュの終端法を示す図である。
【図20】理想的な反射を有する二次元ディジタルメッシュの終端法を示す図である。
【図21】2及び3ポート散乱用接合を有するメッシュの終端法を示す図である。
【図22】入力信号を使用してメッシュを駆動する方法を示す図である。
【図23】入力信号を使用してメッシュを駆動する別の方法を示す図である。
【図24】メッシュの任意入力及び出力の表記法を説明する図である。
【図25】メッシュとの通信に4ポートを通して行う方法を示す図である。
【図26】メッシュとの通信に5ポートを通して行う方法を示す図である。
【図27】メッシュと他の物理的モデル要素との相互接続を示すものであって、メッシュと複数の導波管との接続を示す図である。
【図28】メッシュと他の物理的モデル要素との相互接続を示すものであって、メッシュと別のメッシュとの接続を示す図である。
【図29】メッシュと他の物理的モデル要素との相互接続を示すものであって、メッシュと導波管を介するそれ自身との接続を示す図である。
【図30】二次元メッシュを使用して方形ドラムの皮をモデル化する図である。
【図31】入力信号によって、もしくはポート接続によって駆動される金属板モデルを示す図である。
【図32】非直線性動作の一例を示す図である。
【図33】非直線性動作の別の例を示す図である。
【図34】入力信号によって、もしくはポート接続によって駆動されるゴングモデルを示す図である。
【図35】入力信号によって、もしくはポート接続によって駆動される反響板モデルを示す図である。
【図36】入力信号によって、もしくはポート接続によって駆動される効率的な反響板モデルを示す図である。
【図37】ポートを介してメッシュまでの長さ及び波動インピーダンスが異なる8つの導波管弦モデルに接続された反響板からなる8弦ピアノモデルを示す図である。
【図38】図37のピアノモデルに類似する3弦ハープモデルを示す図である。
【図39】三次元ディジタル導波管メッシュを示す図である。
【図40】二次元メッシュの代替としての6ポート散乱用接合のハニカム配列構造を示す図である。
【図41】二次元メッシュの代替としての脈動斜行形波動インピーダンスを有する無乗算ハニカム配列を示す図である。
【図42】二次元メッシュの代替としての横紋形波動インピーダンスを有する無乗算ハニカム配列を示す図である。
【図43】二次元メッシュの代替として8ポート散乱用接合を使用した対角線十字形8ポートレイアウトを示す図である。
【図44】円筒形殻メッシュを示す図である。
【図45】音響管モデルに結合された円筒形メッシュを示す図である。
【図46】シンバルをモデルするメッシュの放射状バージョンを示す図である。
【図47】二次元メッシュ、三次元メッシュ及び他の回路網要素を使用する1弦ギターのモデルを示す図である。
【図48】二次元メッシュ、三次元メッシュ及び他の回路網要素を使用するドラムのモデルを示す図である。
【図49】二次元メッシュ、三次元メッシュ及び他の回路網要素を使用するスネアドラムの皮膜/ばねのモデルを示す図である。
【図50】単一の合成装置として考え得る本発明の一実施例を示す図である。
【図51】指定された二次元導波管回路網を実時間で実行するために、ホストCPU及び特注ディジタル信号プロセッサを含む装置を使用する本発明の別の実施例を示す図である。
【符号の説明】
200 コンピュータシステム
202 CPU
204 ユーザインタフェース
205 メッシュ構成指定記憶アレイ
206 散乱用接合及び遅延パラメタ記憶アレイ
207 入力信号指定記憶アレイ
208 出力信号指定記憶アレイ
209 システムメモリ
210 回路網実行プログラム記憶アレイ
212 波動関数記憶アレイ
220 コンピュータシステム
222 特注ディジタル信号プロセッサ(DSP)
224 並列計算回路アレイ
226 レジスタアレイ
228 接続マトリクス
230 乗算回路アレイ

Claims (10)

  1. 複数の接合によって相互接続されている複数の導波管区分のM次元マトリックスを含むディジタル導波管回路網を具備する信号合成装置であって、
    Mは2以上の整数であり、各導波管区分は信号を逆方向に伝播させるために互いに並行する2つのディジタル遅延線を含み、各接合は、上記接合に接続された導波管区分内の信号の反射及び伝播を制御するため、関連付けられた反射及び伝播係数を有し、多数の上記接合及び上記接合に接続されている導波管区分が、乗算用の要素を含まないことを特徴とする信号合成装置。
  2. 上記多数の接合は、四方向散乱用接合からなる請求項1に記載の信号合成装置。
  3. 信号を合成する方法であって、
    励振信号を指定するための信号源パラメタと、上記励振信号をどのように濾波するかを指定するための導波管制御パラメタとを各々が含む制御パラメタの集合をコンピュータメモリ内に記憶させる段階と、
    時間的に変化する励振信号を生成する段階と、
    複数の接合によって相互接続されている複数の導波管区分のM次元マトリクスを含むディジタル導波管回路網を用いて上記励振信号を濾波する段階と、
    上記記憶された制御パラメタの選択された集合を使用して上記信号源及び上記ディジタル導波管回路網を動作させる段階と
    を具備し、
    Mは2以上の整数値であり、
    各導波管区分は信号を逆方向に伝播させるために互いに並行する2つのディジタル遅延線を含み、上記各接合は関連付けられた反射及び伝播係数を有する導波管区分の間に接続されていてその接合に接続されている導波管区分内の信号の反射及び伝播を制御し、多数の上記接合及び上記接合に接続されている導波管区分が乗算用の要素を含まず、
    上記記憶された制御パラメタの選択された組を使用して上記信号源及び上記ディジタル導波管回路網を動作し、そして
    上記制御パラメタの各集合は上記制御パラメタによってモデル化されるあるシステムの動作を上記ディジタル導波管回路網に模擬させることを特徴とする方法。
  4. 上記多数の上記接合の各々が、7回の加算もしくは減算と1回のシフトもしくは2による除算とを使用して、4つの入力信号から4つの出力信号を発生する四方向散乱用接合である請求項1記載の信号発生装置。
  5. 上記多数の上記接合が、エネルギ保存の、乗算を使用しない、四方向散乱用接合である請求項1記載の信号合成装置。
  6. 上記ディジタル導波管回路網の特定の接合に接続され、上記ディジタル導波管回路網に励起信号を提供する少なくとも一つの信号源、
    上記ディジタル導波管回路網が該回路網を伝播する信号をどの様に濾波するかを制御するための導波管制御パラメタ及び上記少なくとも一つの信号源によって発生された励起信号を支配する信号源パラメタを各々含む制御パラメタの複数の組を記憶するパラメタ記憶装置であって、制御パラメタの各組の上記導波管制御パラメタが、上記制御パラメタによってモデル化された物理系の動作を上記導波管回路網に模擬させるパラメタ記憶装置、及び
    上記制御パラメタの選択された組を使用して、上記信号源及び上記ディジタル導波管回路網を動作するための制御手段を更に備えることを特徴とする請求項1記載の信号合成装置。
  7. 上記多数の上記接合が、4つの入力信号i1、i2、i3及びi4から4つの出力信号o1、o2、o3及びo4を各々発生するエネルギ保存の、乗算を使用しない複数の四方向散乱用接合であり、且つ
    乗算を使用しない四方向散乱用接合の各々毎に、上記4つの入力信号i1、i2、i3、i4を加算して、第1の一時値を発生し、上記第1の一時値の最下位ビットが1に等しいか否かを決め、上記第1の一時値を1ビット位置シフトすることにより、上記第1の一時値を2によって除算して、第2の一時値を発生し、上記第2の一時値から第1の入力信号i1を減算することによって第1の出力信号o1を発生し、上記第2の一時値から第2の入力信号i2を減算することによって第2の出力信号o2を発生し、上記第2の一時値から第3の入力信号i3を減算し、上記第1の一時値の最下位ビットが1に等しい時に、1加算することによって第3の出力信号o3を発生し、第4の入力信号i4を上記第2の一時値から減算し、上記第1の一時値が1に等しい時に、1加算することによって第4の出力信号o4を発生することを特徴とする請求項6記載の信号合成器。
  8. 上記多数の上記接合が四方向散乱用接合であり、上記動作させる段階が、上記四方向散乱用接合に対して、7つの加算もしくは減算と1回のシフトもしくは2による除算とを使用して、4つの入力信号i1、i2、i3及びi4から4つの出力信号o1、o2、o3及びo4を発生することを含む請求項3記載の信号合成装置。
  9. 上記四方向散乱用接合は、エネルギ保存の、乗算を使用しない四方向散乱接合であることを特徴とする請求項8記載の信号合成方法。
  10. 上記四方向散乱用接合が、エネルギ保存の、乗算を使用しない四方向散乱用接合であり、
    上記動作させる段階が、乗算を使用しない四方向散乱用接合の各々毎に、上記4つの入力信号i1、i2、i3、i4を加算して、第1の一時値を発生し、上記第1の一時値の最下位ビットが1に等しいか否かを決め、上記第1の一時値を1ビット位置シフトすることにより、上記第1の一時値を2によって除算して、第2の一時値を発生し、上記第2の一時値から上記第1の入力信号i1を減算することによって上記第1の出力信号o1を発生し、上記第2の一時値から上記第2の入力信号i2を減算することによって上記第2の出力信号o2を発生し、上記第2の一時値から上記第3の入力信号i3を減算し、上記第1の一時値の最下位ビットが1に等しい時に、1加算することによって上記第3の出力信号o3を発生し、上記第4の入力信号i4を上記第2の一時値から減算し、上記第1の一時値が1に等しい時に、1加算することによって上記第4の出力信号o4を発生することを特徴とする請求項8記載の信号合成器。
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