JP3638190B2 - 光ヘッド装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ヘッド装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
高密度・大容量の記憶媒体として、ピット状パターンを有する光ディスクを用いる光メモリ技術は、ディジタルオーディオディスク、ビデオディスク、文書ファイルディスク、さらにはデータファイルなどその応用が拡大しつつある。この光メモリ技術では、情報は微小に絞られた光ビームを介して光ディスクへ高い精度と信頼性をもって記録再生される。この記録再生動作は、ひとえにその光学系に依存している。
【0003】
その光学系の主要部である光ヘッド装置の基本的な機能は、回折限界の微小スポットを形成する収束、前記光学系の焦点制御とトラッキング制御及びピット信号の検出、に大別される。これらの機能は、その目的と用途に応じて各種の光学系と光電変換検出方式の組み合わせによって実現されている。
【0004】
一方、近年、DVDと称する高密度・大容量の光ディスクが実用化され、動画のような大量の情報を扱える情報媒体として脚光を浴びている。このDVD光ディスクは従来の光ディスクであるコンパクトディスク(以下CDと略記する)と比較して記録密度を大きくするために、情報記録面でのピットサイズを小さくしている。従ってDVD光ディスクを記録再生する光ヘッド装置に於いては、スポット径を決定する光源の波長や、収束レンズの開口数(Numerical Aperture:以下NAと略記する)がCDの場合と異なっている。因みに、CDでは、光源の波長は略0.78μm、NAは略0.45であるのに対し、DVD光ディスクでは光源の波長は略0.63〜0.65μm、NAは略0.6である。従って、CDとDVD光ディスクの2種類の光ディスクを一つの光ディスクドライブで記録再生しようとすると、2つの光学系を有する光ヘッド装置が必要になる。一方、光ヘッド装置の小型化、薄型化、低コスト化の要求からは、CDとDVDの光学系はできる限り共用化する方向にあり、たとえば、光源はDVD用の光源を用いて、収束用レンズだけを、DVD光ディスク用とCD用の2種類の収束用レンズを用いたり、収束用レンズも共用化してNAだけをDVD光ディスクの時は大きく、CDの時には小さくするように機械的または、光学的に変えるなどの方式がとられている。
【0005】
以下、上述した光ヘッド装置の内、光学的に収束用レンズのNAを変える方式について図面を参照しながら説明する。なお、各図の左下部に表示したxyz座標において、同一座標軸が図面上で同一方向を示す。
【0006】
図8は従来の光ヘッド装置の光学系の構成を示すものである。図8において1は半導体レーザであって、波長は略0.65μmである。半導体レーザ1は図8の左下に図示したxyz座標のx軸方向に偏光した光ビームを出射するように配置されている。2は光ビームであって、半導体レーザ1から出射する。3はコリメータレンズであって、光ビーム2を平行光に変換する。4は偏光異方性ホログラムであって、図8のxz面内に偏光面を有する偏光を透過し、yz面内に偏光面を有する偏光を回折するように配置されている。偏光異方性ホログラム4のホログラムパターンは中央部と外周部で回折方向が異なり、且つ、中央部からの回折光が焦点位置の異なる複数の光ビームに変換されるように形成されている。5は4分の1波長板であって、直線偏光を円偏光に変換する。6は対物レンズであり、対物レンズ6のNAは0.6である。7は光ディスクである。9は第1の回折光であり、偏光異方性ホログラム4の中央部によって回折された光である。8は第2の回折光であり、偏光異方性ホログラム4によって回折されたもう一つの光である。第1の回折光9と、第2の回折光8とでは、第1の回折光9のほうが、コリメーターレンズ3側に収束位置を有する。10は光検出器であり、複数の光検出領域からなっている。
【0007】
以上のように構成された光ヘッド装置について、以下その動作について説明する。図8において先ず、半導体レーザ1から出射した光ビーム2は同図左下部に図示したxyz座標のxz面内に偏光面を有する直線偏光光である。光ビーム2はコリメータレンズ3により平行光に変換された後、偏光異方性ホログラム4に入射する。偏光異方性ホログラム4はxz面内に偏光面を有する偏光光を透過し、yz面内に偏光面を有する偏光光を回折するので、光ビーム2はそのまま偏光異方性ホログラム4を透過して、次に4分の1波長板5によって円偏光に変換される。この円偏光は対物レンズ6によって収束され、光ディスク7の情報記録面に微小なスポットを形成する。しかし、CDとDVD光ディスクとでは、基板表面から情報記録面までの厚みが異なるため、光ディスク7がDVD光ディスクの時には、殆ど収差のない微小スポットが形成できるが、光ディスク7がCDの時には収差が発生するため、CDの再生に十分なスポットが得られない。CDの再生には対物レンズ6を通過する光の内、NAにして、約0.38以内の光だけを用いると収差が少なくなり、良好なスポットが得られることが知られている。光ディスク7の情報記録面で反射された光は対物レンズ6と4分の1波長板5を通過してyz面内に偏光面を有する直線偏光光となり、偏光異方性ホログラム4によって回折される。偏光異方性ホログラムは、反射してきた光ビームの内、対物レンズ6のNAにして約0.38以内の光が通過する中央部の領域と外周部の領域とでは回折方向が異なり、中央部の領域の光は回折光9、8となってコリメータレンズ3によって収束される。このとき、回折光9と回折光8とでは収束位置が異なり、回折光9の方が回折光8よりもコリメータレンズ3に近い位置に収束する。回折光9、8は光検出器10に入射して検出される。この光検出器10の出力を演算することによってフォーカスエラー信号が得られる。また、情報信号は、DVD光ディスクの場合には偏光異方性ホログラム4の中央部の領域と外周部の領域から回折するすべての回折光から得られ、CDの場合には偏光異方性ホログラム4の中央部から回折する回折光9、8から得られる。このようにCDの場合には、情報記録面から反射してきた光の内、対物レンズ6のNAにして約0.38以内の収差の少ない光線を情報信号の検出に用いることにより、良好に信号検出が可能となる。
【0008】
フォーカスエラー信号の検出方法はたとえば、特開平2−185722号公報に開示されている公知のSSD(スポットサイズ検出)法であり、図9と図10を用いて詳述する。
【0009】
図9はフォーカスエラー信号の検出方法を説明するための図であって、同図において図8と同一物については同一番号を付して説明を省略する。図9(a)では、光ディスク7の情報記録面の位置は対物レンズ6の焦点位置よりも対物レンズ6から遠ざかる向きにあり、回折光9と回折光8の焦点位置はコリメータレンズ3に近づく。同図(b)では光ディスク7の情報記録面の位置は対物レンズ6の焦点位置に一致している。回折光9と回折光8の焦点位置は光検出器10の表面に対して対称位置になり、結果、光検出器10上での回折光9、8のビームサイズは同じになる。同図(c)では光ディスク7の情報記録面の位置は対物レンズ6の焦点位置よりも対物レンズ6に近づく向きにあり、回折光9と回折光8の焦点位置はコリメータレンズ3から遠ざかる。図9(a)、(b)、(c)それぞれの状態の時の光検出器10上での回折光のスポットを図10(a)、(b)、(c)に示す。図10において10は光検出器であり、8a〜8d及び、9a〜9dは図9における回折光9と回折光8の分割された光である。この分割はホログラム素子4を領域分割することによって行われている。11〜14は光検出器10の一部の検出領域であり、検出領域11と検出領域14の出力の和をFE1で示し、検出領域12と検出領域13の出力の和をFE2で示す。図10(a)は図9(a)に対応する図であって図10(a)においては、回折光スポット8a〜8dの寸法は回折光スポット9a〜9dの寸法よりも小さくなる。図10(b)は図9(b)に対応する図であって、図10(b)においては、回折光スポット8a〜8dの寸法は回折光スポット9a〜9dの寸法と等しくなる。図10(c)は図9(c)に対応する図であって、図10(c)においては回折光スポット8a〜8dの寸法は回折光スポット9a〜9dの寸法よりも大きくなる。説明を容易にするために分割された回折光スポット8a〜8d及び9a〜9dの各4分の1円を仮想的に合成して図11に示す。図11(a)は図10(a)に対応する図であって15、16は回折光スポットであり、それぞれ、図10に示した回折光スポット8a〜8d、9a〜9dを合成したものである。17〜22は検出領域であり、検出領域17は図10に示した検出領域11に、検出領域18は検出領域12と13に、検出領域19は検出領域14に、検出領域20は検出領域13に、検出領域21は検出領域11と14に、検出領域22は検出領域12にそれぞれ対応している。フォーカスエラー信号は検出領域の出力FE1とFE2の差(FE1−FE2)によって得られ、図11(a)の時には負になり、図11(b)の時には0になり、図11(c)の時には正になる。従ってフォーカスエラー信号が0になるように対物レンズ6を動かすことによって対物レンズ6の焦点位置と光ディスク7の情報記録面の位置を一致させることが可能となる。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記の従来の構成では、CDの光ディスクを記録再生する場合にフォーカスエラー信号が0の位置と情報信号のジッター(時間軸変動の値)が最小になる位置とは必ずしも一致しないという課題があった。以下図面を参照しながらこの課題について説明する。図12は対物レンズの収束状態の模式図である。図12(a)はDVD光ディスクに収束するときの様子を示しており、23はDVD光ディスク基板であり、24は情報記録面である。DVD光ディスクでは基板表面から情報記録面までの距離は0.6mmである。25は収束光の光線群である。図12(b)はCDの光ディスクに収束するときの様子を示しており、26はCD光ディスク基板、27は情報記録面である。CD光ディスクでは基板表面から情報記録面までの距離は1.2mmである。28は収束光の光線群である。図12(a)に示すようにDVD光ディスクの場合には収束光の光線群25はDVD光ディスク基板23に入射して情報記録面24に収差なく収束する。しかしながら、同じ対物レンズでCD光ディスクに収束するときには基板表面から情報記録面までの距離がDVD光ディスクと異なるために球面収差が発生し、図12(b)に示すように光軸から離れた光線ほど、対物レンズから離れた位置に収束するようになり、収束光の光線群28は1点に絞れなくなる。本発明者らは光学解析の結果、情報信号のジッターが最小になるのは、ほぼ平均焦点距離の位置に情報記録面がある時、即ち、情報記録面上での収束光スポットの波面収差がほぼ最小の時であることを見いだしたが、上述したSSD方式による従来のフォーカスエラー信号の検出に利用する、光検出器10の検出領域18、21の大きさは、その幅が同一の寸法であり、しかも、図11に示したように回折光スポット15、16が取り得る最小径よりも大きく設定されている。従って、その様な場合には、フォーカスエラー信号が0になるのは、対物レンズ6により収束された光のスポットサイズ(図9(b)参照)が情報記録面上で最小になるときであり、それは平均焦点距離の位置とは異なる。
【0011】
即ち、従来の光ヘッド装置では、DVD光ディスクを使用する時には対物レンズにより収束された光は一点に絞られるので光検出器10の検出領域の大きさによらず、情報信号のジッター最小位置を検出することが可能であるが、CD光ディスクを使用する時には球面収差のために、光検出器10の検出領域の大きさによって、SSD方式によるフォーカスエラー信号が0の位置と情報信号のジッター最小位置が異なり、情報信号の時間軸変動を小さくすることが出来ないと言う課題を有していた。
【0012】
本発明は、従来の光ヘッド装置のこの様な課題を考慮し、情報媒体の種類に関わらず情報信号の時間軸変動を従来に比べてより小さく出来る光ヘッド装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
第1の本発明は、光ビームを収束させる第1の収束光学系と、
前記第1の収束光学系の焦点近傍に設けられる情報媒体により反射される光ビームを回折する回折素子と、
前記回折素子により回折された回折光を収束させる第2の収束光学系と、
前記第2の収束光学系により収束された回折光を検出する、複数の光検出領域を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は、回折光の収束位置がそれぞれ異なる第1の領域と第2の領域に分割されており、
前記複数の光検出領域は、前記第1の領域から発生した第1の回折光を検出する第1の光検出グループと、前記第2の領域から発生した第2の回折光を検出する第2の光検出グループとに分割されており、
前記第1の光検出グループと、前記第2の光検出グループはそれぞれ第1の光検出領域と第2の光検出領域を有し、
前記第1の回折光の光量分布と前記第2の回折光の光量分布とが異なる場合において、(1)前記第1の光検出グループに含まれた前記第1の光検出領域と、前記第2の光検出グループに含まれた前記第2の光検出領域が検出した光量の和と、(2)前記第1の光検出グループに含まれた前記第2の光検出領域と、前記第2の光検出グループに含まれた前記第1の光検出領域が検出した光量の和とが、等しくなるように、前記光検出器の光検出領域の面積を規定したことを特徴とする光ヘッド装置である。
【0014】
また、第2の本発明は、前記第1の光検出グループに含まれた前記第1の光検出領域は、前記第1の回折光の主光線を含む光を検出し、前記第2の光検出グループに含まれた前記第1の光検出領域は、前記第2の回折光の主光線を含む光を検出することを特徴とする上記第1の本発明の光ヘッド装置である。
【0015】
また、第3の本発明は、前記第1の収束光学系は、前記第2の収束光学系を兼ねていることを特徴とする上記第1又は第2の本発明の光ヘッド装置である。
【0016】
また、第4の本発明は、前記回折素子は、偏光異方性を有するホログラム素子であることを特徴とする上記第1から3の何れか一つの本発明の光ヘッド装置である。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明する。
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態の光ヘッド装置の光学系の構成を示す図である。同図に示す構成は、従来例で示した光ヘッド装置の構成と以下に述べる点を除いては同じであり、図8と同一のものについては同一番号を付して説明を省略する。ここで、図8と異なるのは、光検出器29と偏光異方性ホログラム100であって、光検出器29は、図8の光検出器10とは光検出領域のパターン寸法が異なっている。又、偏光異方性ホログラム100のホログラムパターンも図8の偏光異方性ホログラム4のホログラムパターンと異なっている。
【0018】
半導体レーザ1の波長は0.65μmであり、半導体レーザ1から出射した光ビーム2は同図左下部に図示したxyz座標のxz面内に偏光面を有する直線偏光光である。光ビーム2はコリメータレンズ3により平行光に変換された後、偏光異方性ホログラム100に入射する。偏光異方性ホログラムはたとえば、ニオブ酸リチウムを基板として、一部のリチウムをプロトンと交換して作製される。偏光異方性ホログラム100はxz面内に偏光面を有する偏光光を透過し、yz面内に偏光面を有する偏光光を回折するように配置されており、光ビーム2はそのまま偏光異方性ホログラム100を透過して、次に4分の1波長板5によって円偏光に変換される。この円偏光は対物レンズ6によって収束され、光ディスク7の情報記録面に微小なスポットを形成する。対物レンズ6のNAは0.6とした。光ディスク7がCDの場合、発明が解決しようとする課題の項で述べたごとく、収差が発生する。光ディスク7の情報記録面で反射された円偏光は対物レンズ6と4分の1波長板5を通過してyz面内に偏光面を有する直線偏光光となり、偏光異方性ホログラム100によって回折される。偏光異方性ホログラム100は、反射してきた光ビームの内、対物レンズ6のNAにして約0.38以内の光が通過する中央部の領域と外周部の領域とでは回折方向が異なるように作製されており、中央部の領域の光は回折光9、8となってコリメータレンズ3によって収束される。このとき、回折光9と回折光8とでは収束位置が異なり、回折光9の方が回折光8よりもコリメータレンズ3に近い位置に収束する。回折光9、8は光検出器29に入射して検出される。この光検出器29の出力を演算することによってフォーカスエラー信号が得られる。また、情報信号は、DVD光ディスクの場合には偏光異方性ホログラム100の中央部の領域と外周部の領域から回折するすべての回折光から得られ、CDの場合には偏光異方性ホログラム100の中央部から回折する回折光9、8から得られる。このようにCDの場合には、情報記録面から反射してきた光の内、対物レンズ6のNAにして約0.38以内の収差の少ない光線を情報信号の検出に用いることにより、良好に信号検出が可能となる。図2に光検出器29の光検出領域のパターンの一例と、光ディスク7がCDの時の回折光スポットを示す。図2は対物レンズ6と光ディスク7との距離が対物レンズ6の平均焦点距離よりも大きい場合で、30、31は回折光スポットであり、それぞれ、図1に示した回折光9、8が収束したスポットである。32〜37は検出領域であり、フォーカスエラー信号は検出領域32、34、36の出力FE1と、検出領域33、35、37の出力FE2の差(FE1−FE2)によって得られる。図1における光ディスク7がCDの場合は、対物レンズ6による収束光は球面収差を持つので、光軸に近い光の収束位置と光軸から遠い光の収束位置とは異なる。球面収差の量は一般に近軸光(光軸に近い光)の結像点(近軸像点)の位置からの他の光線の結像点のずれ量(縦収差)として示される。この縦収差の発生量は、対物レンズ6を通過する光線の光軸からの高さが大きくなるほど、大きくなる。レンズ面の曲率半径が大きくなるためである。従って、発明が解決しようとする課題の欄で述べた平均焦点位置は、近軸像点の位置と、光軸から一番離れた光線の結像する位置との中央ではなく、近軸像点よりになる。
【0019】
次に、図3に光検出器29における第1の回折光9と第2の回折光8のスポットの詳細図を示す。図3は、光ディスク7の情報記録面が対物レンズ6の平均焦点位置にある場合であって、30a〜30c及び、31a〜31cはそれぞれ特定の光線が形成するスポットである。スポット30bとスポット31bは、対物レンズ6で収束される光束のうち、情報記録面上で一点に収束される光線が反射・回折されて光検出器29上に形成するスポットで、同じ大きさである。スポット30aとスポット31aは上記の情報記録面上で一点に収束される光線よりも光軸に近い光線が反射・回折されて光検出器29上に形成するスポットであり、スポット30aはスポット30bよりも大きくなり、スポット31aはスポット31bよりも小さくなる。上述したように平均焦点位置は近軸像点よりにあるために、スポット30a、31aの大きさはスポット30b、31bの大きさとあまり変わらない。スポット30cとスポット31cは上記の情報記録面上で一点に収束される光線よりも光軸から遠い光線が反射・回折されて光検出器29上に形成するスポットであり、この光線は近軸像点に比べて平均焦点位置から遠い位置に収束するのでスポット30cとスポット31cとも、スポット30b、31bよりも大きなスポットを形成し、且つ、スポット31cはスポット30cよりも大きくなる。従って、スポット30a〜30cの光強度分布(光量分布)に比して、スポット31a〜31cの光強度分布は中心部の強度が高くなっている。この結果、光検出領域33の出力は光検出領域36の出力よりも小さくなる。他方、光検出領域32、34の出力は、光検出領域35、37の出力よりも小さいので、光検出領域33と36の最小寸法(図3のx軸方向の長さ)を、最小スポットの直径よりも小さい範囲で、適当に選ぶとFE1−FE2を0にすることが出来る。
【0020】
本願の発明者による実験では、光検出器29の面上で回折光9、8の最小スポット径が略40μmの時、検出領域33、36の最小寸法を20μmにすると、フォーカスエラー信号が0の時に情報信号のジッターを最小にすることができた。
(実施の形態2)
次に、本発明の第2の実施の形態の光ヘッド装置について説明する。図4は第2の実施の形態の光ヘッド装置の構成を示す図であって、同図において図1と同一物については同一番号を付して説明を省略する。第1の実施の形態の光ヘッド装置と異なるのは38の偏光異方性ホログラムと39の光検出器であり、以下、偏光異方性ホログラム38と光検出器39について詳述する。図5は偏光異方性ホログラム38のホログラムパターンを示す図である。図5において、40はホログラムパターンである。ホログラムパターン40は第1の実施の形態で述べたものと同様にニオブ酸リチウム基板をプロトン交換して作製した。ホログラムパターン40は図に示すように領域A1〜A3、領域B1〜B3、領域C1〜C3、領域D1〜D3に分割されている。領域A3、B3、C3、D3に対物レンズ6のNAにして0.38〜0.6の領域の光線が通過し、領域A1、A2、B1、B2、C1、C2、D1、D2に対物レンズ6のNAにして0.38以内の光線が通過するようにホログラムパターンの大きさと配置を決めた。領域A1と領域A2とからは+1次回折光として、それぞれ光検出器39の前側と後ろ側に焦点を持つ2つの回折光が回折するように設計されている。尚、光検出器39の前側とは、光検出器39の位置を基準として、光ディスク7がセットされている側を言い、光検出器39の後ろ側とは、その反対側を言う。領域B1、B2、C1、C2、D1、D2についても同様である。これらA1,A2〜D1,D2の領域が、ホログラムパターン上において、A〜Dの4つのグループに分割され、各グループが1/4円の形状となっていることにより、次の様な偏光異方性が実現出来る。即ち、この4分割されたホログラムパターンを通った回折光は、光検出器39上において、その回折光による像が1/4円に分割された状態で形成される(図6(a)参照)。
【0021】
また、領域A3、B3、C3、D3からは+1次回折光として、それぞれ光検出器39の面上に焦点を有する4つの回折光が回折するように設計されている。図4において光ディスク7から反射する光ビームは4分の1波長板5を通過することにより、YZ面内に偏光面を有する直線偏光となって偏光異方性ホログラム38に入射する。偏光異方性ホログラム38からは、上述したように複数の回折光が発生し、これら回折光はコリメータレンズ3によって収束される。図4においては、簡略のため、偏光異方性ホログラム38の領域A1、B1、C1、D1から発生する、光検出器39の前側に焦点を有する回折光をまとめて回折光41と表記し、領域A2、B2、C2、D2から発生する、光検出器39の後ろ側に焦点を有する回折光をまとめて回折光42と表記した。図6に光検出器39の光検出領域と回折光スポットを示す。同図において、43〜46は光検出領域であり、41a〜41dは、それぞれ、偏光異方性ホログラム38の領域A1、B1、C1、D1から発生する回折光が形成する回折光スポットであり、42a〜42dは、それぞれ、偏光異方性ホログラム38の領域A2、B2、C2、D2から発生する回折光のスポットである。光検出領域43と光検出領域46の出力の和をFE1で示し、光検出領域44と光検出領域45の出力の和をFE2で示す。図4の回折光41,42は、それぞれ図6で示した、分割された回折光スポット41a〜41d,42a〜42dに対応する。図6(a)は、光ディスク7の情報記録面の位置が対物レンズ6の焦点位置よりも対物レンズ6から遠ざかる向きにある場合を示しており、同図(b)は光ディスク7の情報記録面の位置が対物レンズ6の平均焦点位置とほぼ一致している場合を示している。同図(c)では光ディスク7の情報記録面の位置は対物レンズ6の焦点位置よりも対物レンズ6に近づく向きにある場合を示している。図6において回折光スポット41a〜41d及び42a〜42dがそれぞれ形成する4分の1円の中心、即ち、各回折光の主光線が光検出器39に入射する位置を光検出領域43、44の境界線、及び光検出領域45、46の境界線から10μmだけ離すように偏光異方性ホログラムを設計した。説明を容易にするために分割された回折光スポット41a〜41d及び42a〜42dの各4分の1円を仮想的に合成して図7に示す。図7は図6(a)に対応する図であって47、48は回折光スポットであり、それぞれ、図6(a)に示した回折光スポット42a〜42d、41a〜41dを合成したものである。図7において、49〜54は検出領域であり、検出領域49は図6に示した検出領域43に、検出領域50は検出領域44と45に、検出領域51は検出領域46に、検出領域52は検出領域45に、検出領域53は検出領域43と46に、検出領域54は検出領域44にそれぞれ対応している。フォーカスエラー信号は検出領域49、51、53の出力FE1と、検出領域50、52、54の出力FE2の差(FE1−FE2)によって得られる。言うまでもなく、図7に示した各検出領域の出力を用いて上述の様に算出したFE1−FE2の値と、図6に示した各検出領域の出力を用いて図6に示すFE1とFE2より算出したFE1−FE2の値は、等価である。
【0022】
光ディスク7としてCDを用いた場合、第1の発明の実施の形態と同様に光検出器38の面上での回折光スポットを仮想的に合成した円の直径は約40μmであった。図7において、仮想的な光検出領域50の最小寸法は20μmとなるので、第1の発明の実施の形態において説明したように、フォーカスエラー信号が0の時に情報信号のジッターを最小にすることができた。
【0023】
なお、以上の説明ではホログラム素子として偏光異方性ホログラムを用いた例を説明したが、偏光異方性を有しないホログラム素子を用いても、同様に実施可能である。また、光ディスクについてもっぱら説明したが、光磁気ディスクについても同様に実施可能である。
【0024】
以上述べた様に、本発明は、光ディスクあるいは光カードなど、光媒体もしくは光磁気媒体上に情報の記録・再生あるいは消去を行う光ヘッド装置に関するものであって、特に、基板表面から情報記録面までの寸法が異なる各種の光媒体もしくは光磁気媒体上に、情報の記録・再生あるいは消去を行うことができる光ヘッド装置に関するものであり、次のような効果を発揮する。
【0025】
即ち、本発明の第1の発明によれば、光検出領域の最小寸法を回折光スポットの最小径よりも小さくすることによって、基板表面から情報記録面までの距離が異なる情報媒体に対して、情報信号のジッターを最小にするように記録再生スポットの焦点位置制御を行えるという顕著な効果が得られる。
【0026】
また、本発明の第2の発明によれば、分割された回折光スポットの主光線の位置を光検出領域の境界に近づけることにより、光検出領域の大きさを小さくすることなく第1の発明と同等の効果が得られるので、情報信号の利得の周波数特性を劣化させないために光検出領域を余り小さくできない場合に顕著な効果が得られる。
【0027】
尚、本発明の第1の光検出グループと第2の光検出グループは、上記実施の形態1では、検出領域32〜34と、検出領域35〜37にそれぞれ対応したが、これに限らず、これとは異なる数の検出領域を有していても良い。
【0028】
又、本発明の第1の光検出領域と第2の光検出領域は、上記実施の形態1では、検出領域33と検出領域36にそれぞれ対応し、又、それぞれの最小寸法は、長方形状の各検出領域33、36の、それぞれの短い方の幅寸法に対応する。
【0029】
又、本発明の回折素子の第1の領域と第2の領域は、上記実施の形態2では、例えば、領域A1,B1,C1,D1のグループと、領域A2,B2,C2,D2のグループにそれぞれ対応する。
【0030】
又、本発明の回折素子と回折光を分割する手段は、上記実施の形態2では、偏光異方性ホログラム38において一体的に構成されている場合について説明したがに限らず、例えば、それぞれ別体として構成しても良い。
【0031】
又、本発明の第1の回折光の分割回折光と第2の回折光の分割回折光は、上記実施の形態2の、例えば、4分の1円の回折光スポット41aと4分の1円の回折光スポット42aに対応するものであるが、これに限らず例えば、更に細かく分割されていても良く、それら回折光の分割の数は問わない。
【0032】
又、本発明の第1及び第2の光検出グループの境界位置は、上記実施の形態2の検出領域43と44との境界と、検出領域45と46との境界とに対応するものである。
【0033】
又、上記実施の形態では、光量分布を利用してフォーカス制御をする場合について説明したが、これに限らず例えば、次のような構成としてもかまわない。即ち、この場合の光ヘッド装置は、光ビームを放射する放射光源と、前記光ビームを収束させる第1の収束光学系と、前記第1の収束光学系の焦点近傍に設けられる情報媒体により反射される光ビームを回折する回折素子と、前記回折された回折光を収束させる第2の収束光学系と、前記収束された回折光を検出する、複数の光検出領域を有する光検出器とを備え、前記回折素子は、各領域から発生する回折光の各収束位置が異なる少なくとも第1の領域と第2の領域に分割されており、前記複数の光検出領域は、前記第1の領域から発生した第1の回折光を検出する第1の光検出グループと、前記第2の領域から発生した第2の回折光を検出する第2の光検出グループとに分割されており、前記第1の光検出グループに含まれた、前記第1の回折光の主光線を含む第1の光検出領域の最小寸法が、前記第2の光検出グループに含まれた、前記第2の回折光の主光線を含む第2の光検出領域の最小寸法よりも小さいものである。つまり、図2において、領域33の短い方の寸法の方が、領域36の対応する寸法に比べて、より小さく構成するものである。この場合も、上記と同様の効果をえることが出来る。但し、この場合、DVDを使用する際に上記と同様の効果を発揮出来る様にする為に、領域33の出力と領域36の出力等にそれぞれ異なる重み付けを行う様に重み付けの切換制御を行う必要がある。
又、光量分布を利用しない、別の例として、例えば、次のような構成としてもかまわない。即ち、この場合の光ヘッド装置は、光ビームを放射する放射光源と、前記光ビームを収束させる第1の収束光学系と、前記第1の収束光学系の焦点近傍に設けられる情報媒体により反射される光ビームを回折する回折素子と、前記回折された回折光を分割する手段と、前記分割された回折光を収束する第2の収束光学系と、前記収束された回折光を検出する、複数の光検出領域を有する光検出器とを備え、前記回折素子は、各領域から発生する回折光の各収束位置が異なる少なくとも第1の領域と第2の領域に分割されており、前記複数の光検出領域は、前記第1及び第2の領域から発生した第1及び第2の回折光の前記分割された複数の分割回折光の内、一部の分割回折光を検出する第1の光検出グループと、残りの分割回折光を検出する第2の光検出グループとに分けられており、前記第1の光検出グループにおける前記第1の回折光の前記分割回折光の主光線の位置と、前記第1の光検出グループの内の光検出領域同士の境界位置との間隔が、前記第2の回折光の前記分割回折光の主光線の位置と、前記境界位置との間隔よりも小さく、且つ、前記第2の光検出グループにおける前記主光線と前記境界が、前記位置関係と同じ関係にあるものである。つまり、図6において、例えば、4分の1円のスポット42aの主光線と領域43と44との境界との距離の方が、4分の1円のスポット41aの主光線と領域43と44との境界との距離よりも小さいと言う構成である。この場合も、上記と同様の効果をえることが出来る。但し、この場合、DVDを使用する際に上記と同様の効果を発揮出来る様にする為に、領域33の出力と領域36の出力等にそれぞれ異なる重み付けを行う様に重み付けの切換制御を行う必要がある。
【0034】
【発明の効果】
以上述べたところから明らかなように本発明は、情報媒体の種類に関わらず情報信号の時間軸変動を従来に比べてより小さく出来ると言う長所を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の光ヘッド装置の光学系の構成を示す図
【図2】同実施の形態の光検出器の光検出領域のパターンの一例と回折光スポットを示す図
【図3】同実施の形態の光検出器上の回折光スポットの詳細図
【図4】本発明の第2の実施の形態の光ヘッド装置の構成を示す図
【図5】同実施の形態の偏光異方性ホログラムのホログラムパターンを示す図
【図6】(a)〜(c):それぞれ同実施の形態の光検出器の光検出領域と回折光スポットを示す図
【図7】同実施の形態の回折光スポットを仮想的に合成して示す図
【図8】従来の光ヘッド装置の光学系の構成を示す図
【図9】(a)〜(c):それぞれフォーカスエラー信号の検出方法を説明するための図
【図10】(a)〜(c):それぞれ光検出器の光検出領域と回折光スポットを示す図
【図11】(a)〜(c):それぞれ回折光スポットを仮想的に合成して示す図
【図12】(a)〜(b):それぞれ対物レンズの収束状態の模式図
【符号の説明】
1 半導体レーザ
2 光ビーム
3 コリメーターレンズ
5 4分の1波長板
6 対物レンズ
7 光ディスク
39 光検出器
40 回折光
42 回折光
100 偏光異方性ホログラム
Claims (4)
- 光ビームを収束させる第1の収束光学系と、
前記第1の収束光学系の焦点近傍に設けられる情報媒体により反射される光ビームを回折する回折素子と、
前記回折素子により回折された回折光を収束させる第2の収束光学系と、
前記第2の収束光学系により収束された回折光を検出する、複数の光検出領域を有する光検出器とを備え、
前記回折素子は、回折光の収束位置がそれぞれ異なる第1の領域と第2の領域に分割されており、
前記複数の光検出領域は、前記第1の領域から発生した第1の回折光を検出する第1の光検出グループと、前記第2の領域から発生した第2の回折光を検出する第2の光検出グループとに分割されており、
前記第1の光検出グループと、前記第2の光検出グループはそれぞれ第1の光検出領域と第2の光検出領域を有し、
前記第1の回折光の光量分布と前記第2の回折光の光量分布とが異なる場合において、(1)前記第1の光検出グループに含まれた前記第1の光検出領域と、前記第2の光検出グループに含まれた前記第2の光検出領域が検出した光量の和と、(2)前記第1の光検出グループに含まれた前記第2の光検出領域と、前記第2の光検出グループに含まれた前記第1の光検出領域が検出した光量の和とが、等しくなるように、前記光検出器の光検出領域の面積を規定したことを特徴とする光ヘッド装置。 - 前記第1の光検出グループに含まれた前記第1の光検出領域は、前記第1の回折光の主光線を含む光を検出し、前記第2の光検出グループに含まれた前記第1の光検出領域は、前記第2の回折光の主光線を含む光を検出することを特徴とする請求項1記載の光ヘッド装置。
- 前記第1の収束光学系は、前記第2の収束光学系を兼ねていることを特徴とする請求項1又は2に記載の光ヘッド装置。
- 前記回折素子は、偏光異方性を有するホログラム素子であることを特徴とする請求項1から3の何れか一つに記載の光ヘッド装置。
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