JP3630854B2 - 系統連系電源システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ACモジュールと単相3線式の配電線とを接続してなる系統連系電源システム及びそれに用いられるACモジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年において、太陽電池をインバータ装置を介して単相3線式の商用電力系統と連系し、太陽電池の発電電力を家電製品などの負荷に供給する系統連系電源システムが実用化されている(特開平5−308780号)。
【0003】
例えば、約30Vの直流電圧を出力する太陽電池モジュールを6枚直列にして180Vとし、これを入力電圧とするインバータ装置によってAC100Vの単相交流電力に変換し、単相3線式の配電線のR相又はT相に連系接続する。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の系統連系電源システムでは、インバータ装置への直流入力電圧を180V又は360V程度とするために、複数枚数、例えば6枚又は12枚程度の太陽電池モジュールが直列に接続されて用いられる。しかしその場合には、1枚の太陽電池モジュールが故障すると、それと直列に接続された全部の太陽電池モジュールが使用不能となる。
【0005】
また、太陽電池モジュールの設置場所にもよるが、時間帯によって複数枚の太陽電池モジュールの内の一部が建物などの陰となって出力が低下することがある。その場合には、各太陽電池モジュールの発電状況が互いに異なってしまうので、最適動作点追尾制御を行っても各太陽電池モジュールから最大電力を引き出すことができず、変換効率が低下する。
【0006】
本発明は、上述の問題に鑑みてなされたもので、一部の太陽電池モジュールが故障した場合に、故障していない太陽電池モジュールによる運転を継続することができるとともに、各太陽電池モジュールの発電状況が互いに異なっている場合であっても各太陽電池モジュールから最大電力を引き出すことができて高い変換効率の得られる系統連系電源システムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明に係るシステムは、太陽電池モジュール及び単相交流を出力するインバータ装置から構成されるACモジュールと、2つの電圧線及び1つの中性線で構成されるR相とT相とからなる単相3線式の配電線とを接続してなる系統連系電源システムであって、前記R相及び前記T相のそれぞれに、複数個の前記ACモジュールが接続されてなり、前記各ACモジュールには、前記インバータ装置の出力を前記R相または前記T相に接続するための、少なくとも3個の接続極を有し且つ互いに並列的に接続された2個の固定側コネクタと、前記出力と前記固定側コネクタの接続極との間の接続を切り換えることによって前記R相または前記T相のいずれかに選択的に接続するための切り換え手段が設けられてなる。
【0008】
請求項2の発明に係るシステムは、前記各ACモジュールどうしが、前記固定側コネクタに接続されるケーブル側コネクタが両端に設けられた接続ケーブルによって、順次互いに接続され、いずれか1つの前記ACモジュールが、前記ケーブル側コネクタが少なくとも一端に設けられた連系接続ケーブルによって、前記配電線に接続されてなる。
【0010】
請求項3の発明に係るシステムは、前記R相及び前記T相に接続された総ての前記ACモジュールの前記出力が互いに同一の仕様であり、前記R相に接続されたACモジュールの個数と前記T相に接続されたACモジュールの個数とが同数である。
【0011】
請求項4の発明に係るACモジュールは、太陽電池モジュール及びインバータ装置から構成され、2つの電圧線及び1つの中性線で構成されるR相とT相とからなる単相3線式の配電線との接続による系統連系電源システムのためのACモジュールであって、前記インバータ装置の出力を前記R相または前記T相に接続するための、少なくとも3個の接続極を有し且つ互いに並列的に接続された2個の固定側コネクタが設けられており、前記出力と前記固定側コネクタの接続極との間の接続を切り換えることによって前記R相又は前記T相のいずれかに選択的に接続するための切り換え手段が設けられてなる。
【0012】
1枚の太陽電池モジュールは例えば約30Vの直流電圧を出力する。インバータ装置は、例えば太陽電池モジュールの出力をDC/DCコンバータで180V程度の直流に変換した後、電圧形電流制御方式のインバータによって50/60Hz100Vの交流電力に変換する。多数のACモジュールを、配電線3のR相又はT相に互いに同じ個数ずつ接続することによって、商用電力系統との連系が図られる。
【0013】
ACモジュールに2個の固定側コネクタを設けた場合には、接続ケーブルによって隣合うACモジュールを順次接続し、端のACモジュールを連系接続ケーブルによって配電線に接続する。
【0014】
ACモジュールに切り換え手段を設けた場合には、配電線との接続を変更する工事を行うことなく、ACモジュールをR相用又はT相用に簡単に切り換えることができる。したがって、R相用又はT相用のACモジュールの配置及び個数を容易に設定することができる。切り換え手段として、例えばジャンパー線回路又は切り換えスイッチなどが用いられる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は本発明に係る系統連系電源システム1の回路を示すブロック図、図2はACモジュール5の概観図、図3はACモジュール5の回路を示すブロック図、図4はACモジュール5の接続状態を説明するためのブロック図、図5はACモジュール5の接続状態を説明するための図、図6はACモジュール5の配置状態を示す図である。
【0016】
図1において、系統連系電源システム1は、商用電力系統の一形態である単相3線式の配電線3、連系保護装置4、ACモジュール5a,5b,5c…、独立運転制御装置6、及びパーソナルコンピュータ7から構成されている。ACモジュール5a,5b,5c…の全部又は一部をACモジュール5と記載することがある。
【0017】
配電線3は、2つの電圧線R,T及び1つの中性線Nで構成されるR相とT相とからなる。R相及びT相はいずれも単相AC100Vであり、電圧線R,Tの間は単相AC200Vである。
【0018】
連系保護装置4は、開閉器11、系統異常検出回路12、及び連系制御回路13などからなる。
開閉器11は、系統異常検出回路12からの信号に応じて閉じ又は開き、ACモジュール5と配電線3とを接続して連系状態とし、又は切り離して解列状態とする。
【0019】
系統異常検出回路12は、OVR/UVR、OFR/UFRを備え、商用電力系統の電圧及び周波数の異常の有無を監視し、それらの異常が検出された場合には開閉器11を開くための信号を出力する。系統異常検出回路12は、また、受動方式及び能動方式の単独運転防止機能を備え、商用電力系統の停電などによってACモジュール5が単独運転状態となったときにそれを検出し、開閉器11を開く信号を出力する。
【0020】
連系制御回路13は、連系保護装置4の全体の制御を行う。連系制御回路13は、RS−232Cのインタフェースによる通信機能を備える。連系制御回路13は、系統異常検出回路12が異常を検出して開閉器11を開いたときには、総てのACモジュール5に対してゲートブロック指令信号を出力し、それらの運転を停止させる。開閉器11の状態を示す開閉状態信号SKを受信し、独立運転制御装置6に対して出力する。連系制御回路13は、各ACモジュール5からそれぞれの発電状態及び運転状態の情報を受信する。
【0021】
連系制御回路13はパーソナルコンピュータ7との間で通信を行う。パーソナルコンピュータ7では、連系保護装置4からの情報を受信することによって、各ACモジュール5の発電状態又は故障有無の検知などのモニタリングが行われる。
【0022】
ACモジュール5は、図2に示すように、1枚の太陽電池モジュールPVMと1つのインバータユニットVTUとを一体化して構成される。1枚の太陽電池モジュールPVMは約30Vの直流電圧を出力する。インバータユニットVTUは、太陽電池モジュールPVMの出力をDC/DCコンバータ(コンバータ回路21)で180V程度の直流に変換した後、電圧形電流制御方式のインバータ(インバータ回路23)によって50/60Hzの交流電力に変換する。
【0023】
このように構成される多数のACモジュール5を、配電線3のR相又はT相に互いに同じ個数ずつ接続し、商用電力系統との連系を図る。各ACモジュール5は、例えば図6に示されるように配置され、屋外に設置される。このような連系システムでは次の利点を有する。
(1)太陽電池モジュールPVMの1枚1枚が各々の条件に応じた発電を行うため、各太陽電池モジュールPVMに対する方位、影、温度などの環境条件の差異による影響を最小限に抑えることができ、各太陽電池モジュールPVMに対してMPPT制御(最適動作点追尾制御)を行うことができてシステム全体の効率が向上する。
(2)R相又はT相について複数の太陽電池モジュールPVMを並列接続することによりシステムの構築が可能であるので、設置スペース全面の有効利用が図れるとともに、設計施工が容易である。
(3)1個のACモジュール5の出力が100W程度と小さいので、ACモジュール5の個数を増減することによって、100W程度の小規模のシステムから数KW程度の中規模のシステムまで容易に対応可能である。配電線3のR相とT相との間で相平衡を保つためには基本的に偶数個のACモジュール5が必要であるが、奇数個の場合であっても不平衡は最大で100Wであり実用上ほとんど無視できる範囲となる。
(4)直流回路がないので逆流防止ダイオードなどが不要であり、それによる直流損失がない。また、配線の工事は交流回路のみであり、通常の屋内配線工事によって行える。
(5)インバータユニットVTUの使用個数が増大し、例えば3KWのインバータ装置の場合と比較して使用個数が10倍以上になるので、量産効果によるコストダウンが図られる。
(6)ACモジュール5には自己保護機能のみを内蔵し、制御が複雑で高度な連系保護機能及び独立運転制御機能を内蔵しないので、ACモジュール5の回路構成が簡単となり、部品点数の減少による低コスト化と高信頼性化を図ることができる。
(7)ACモジュール5の主要回路を厚膜ICなどによってIC化し、小型化を図ることができる。
(8)インバータユニットVTUの出力電圧が100Vとなり、配電線3の電圧線間に接続する場合(出力電圧が200V)と比較して2分の1であるため、インバータユニットVTUの総合変換効率が高い。
【0024】
図3において、インバータユニットVTUは、コンバータ回路21、MPPT回路22、インバータ回路23、ゲート制御回路24、演算増幅器25、乗算器26、演算増幅器27,28、バンドパスフィルタ29、インタフェース30、変流器31、及び変圧器32などからなる。
【0025】
コンバータ回路21は、高周波スイッチングによって太陽電池モジュールPVMから出力される30V程度の直流電圧を180V程度の直流電圧に変換する。その際に、MPPT回路22によって、太陽電池モジュールPVMから最大電力を取り出すための公知の最適動作点追尾制御が行われる。
【0026】
インバータ回路23は、ブリッジ接続された複数のスイッチング素子から構成されている。ゲート制御回路24は、マイクロプロセッサを有しており、パルス幅変調されたスイッチング制御信号をインバータ回路23に与える。
【0027】
インバータ回路23に入力される電圧V11は、演算増幅器25に入力され、電圧指令値Vrefとの差である入力誤差信号Saが生成される。入力誤差信号Saは、乗算器26の一方の入力信号となる。乗算器26の他方の入力信号として信号S12が入力される。信号S12は、バンドパスフィルタ29によって抽出された連系点電圧V3の基本周波数成分S11と、信号SCによって与えられる電圧制御信号S13とが演算増幅器28で加算されたものである。入力誤差信号Saと信号S12との乗算によって制御の目標値を示す電流指令値信号Siが生成される。電流指令値信号Siと、変流器31によって検出された実際の出力電流値と、信号SCによって与えられる電流制御信号S14とが演算増幅器27に入力され、電流誤差信号SΔiが生成される。この電流誤差信号SΔiはゲート制御回路24に入力される。
【0028】
ゲート制御回路24では、電流誤差信号SΔiと20kHz程度の基準三角波信号との比較により、パルス幅を調整したスイッチング信号が生成されてインバータ回路23へ出力される。
【0029】
インタフェース30は、RS−232Cのインタフェースを介して外部の機器とデジタルによるシリアル通信を行い、上述した電圧制御信号S13及び電流制御信号S14を外部から入力する他、インバータユニットVTUの動作状態に関する情報を外部に出力する。
【0030】
このようなフィードバック制御により、適当に設定された電流値で且つ系統電圧と同一の電流位相の力率1の交流電力が、インバータ回路23から配電線3のR相又はT相の負荷へ出力される。
【0031】
上述の説明で理解できるように、連系点電圧V3が零であっても、つまり例えば連系保護装置4の開閉器11が開いている場合であっても、連系点電圧V3に代わる電圧制御信号S13によって制御が行える。また、電流制御信号S14によって出力電流の大きさを制御することができる。
【0032】
次に、配電線3(又は配電線3a)とACモジュール5との配線接続方法について説明する。
図4において、各インバータユニットVTUには、インバータ回路23の出力をR相又はT相に接続するための、5個の接続極R,N,T,PO,Eを有し、且つ互いに並列的に接続された2個の固定側コネクタ41a,41bが取り付けられている。
【0033】
なお、ここで固定側コネクタ41a,41bは、3個の接続極R,N,Tのみを有するものを用い、他の2個の接続極PO,Eは別系統のラインで接続するようにしてもよい。又は、極PO,Eのみでなく複数の極を有するようにしてもよい。
【0034】
インバータ回路23の出力と接続極R,Tとの間には、ジャンパー線回路42が設けられており、ジャンパー線42aの接続を変更することによって、インバータ回路23の出力をR相又は前記T相のいずれかに選択的に接続することができる。
【0035】
図5も参照して、各インバータユニットVTUの相互間は、ケーブル側コネクタ51a,51bが両端に設けられた接続ケーブル50によって、順次互いに接続されている。すなわち、各ケーブル側コネクタ51a,51bは、固定側コネクタ41a,41bと連結可能な5個の接続極R,N,T,PO,Eを有しており、各ケーブル側コネクタ51a,51bが隣合うインバータユニットVTUに設けられた各固定側コネクタ41b,41aに差し込まれて接続され、これによって全部のインバータユニットVTUつまりACモジュール5が互いに順次接続されている。
【0036】
第1番のインバータユニットVTU1の固定側コネクタ41aには、一端にケーブル側コネクタ51aが設けられた連系接続ケーブル55が接続されている。連系接続ケーブル55は、その内の3本の電線R,N,Tが配電線3に接続され、2本の電線PO,Eが連系保護装置4及び独立運転制御装置6のインタフェース回路に接続されている。
【0037】
これによって、各ACモジュール5の出力は配電線3のR相又はT相に接続され、各ACモジュール5のインタフェース30の信号SCは電線又は極PO,Eを介して連系保護装置4及び独立運転制御装置6に接続される。
【0038】
図6(A)に示すように、多数(本例では24個)のACモジュール5がマトリクス状に配列されており、それぞれのACモジュール5は、図に鎖線で示すように隣合うACモジュール5どうしが接続ケーブル50によって順次接続されている。各ACモジュール5は、それぞれのジャンパー線42aの選択的な接続によって、R相に接続されるACモジュール5とT相に接続されるACモジュール5とが千鳥状に配列されている。
【0039】
図6(A)に示すように千鳥状に配列した場合には、太陽光が建物などの陰になったときであっても、R相用とT相用とがほぼ平均して影になるので、R相とT相との間に大きな不平衡が生じない。
【0040】
このように、R相用又はT相用に係わらず共通の接続ケーブル50によって隣合うACモジュール5どうしを順次接続する共通コネクタ方式を採用することによって、ACモジュール5を配電線3aに接続するための配線工事が極めて容易であり、工事を短時間に行うことができ、誤配線の恐れもない。しかも、各ACモジュール5のジャンパー線42aの接続を変更することによって、R相用又はT相用のいずれかに容易に変更することができるので、ACモジュール5の実際の位置を変更することなくそれらの配列を任意に設定することができる。
【0041】
図6(B)では、上方のACモジュール5をR相用とし、下方のACモジュール5をT相用としてある。このように配列した場合には、R相用及びT相用がそれぞれかたまっているので管理が容易であるが、R相用又はT相用のいずれかに片寄って影になる可能性が高く、その場合にはR相とT相との間に不平衡が生じる。
【0042】
また、いずれかのACモジュール5が故障した場合、負荷が不平衡である場合、ACモジュール5の個数を増減した場合などにおいて、いずれかのACモジュール5のジャンパー線42aの接続を変更して全体的な平衡をとることができる。
【0043】
さらに、図6から理解できるように、全部のACモジュール5の接続が、接続ケーブル50の内の3本の電線によって最短の距離を順次接続することで行われるので、必要な電線の長さが短くなり、それだけ低コスト化、高信頼性化、メンテナンスの容易化を図ることができる。実際、例えば図6(A)の配列を実現するために、R相用又はT相用の各ACモジュール5をそれぞれ別個に接続した場合には、R相用とT相用の各2本計4本の電線が全面にわたって張りめぐらされることとなるので、必要な電線が長くなり、誤配線の可能性が高くメンテナンスも容易ではなくなる。
【0044】
独立運転制御装置6は、連系保護装置4の開閉器11が開いて連系が解除されたときに、商用電力系統からは独立した状態でACモジュール5を運転させ、その出力を非常用電源として利用するためのものである。独立運転制御装置6は、基準信号供給部61、充電器62、非常用インバータ63、統括制御部64、バッテリー65、出力切り換えスイッチ66、及びコンセント67からなる。
【0045】
基準信号供給部61は、連系が解除されたときに、ACモジュール5に対して連系点電圧V3の基本周波数成分S11を与えるために、配電線3aに商用電力系統と同じ電圧及び周波数の信号を供給する。したがって、基準信号供給部61は、連系点電圧V3と同じ波形のみを出力すればよく、電力を供給する必要はないが、配電線3a及びその他の浮遊容量を充電する程度の電力、例えば数十〜数百mW程度の電力を出力可能であることが好ましい。
【0046】
充電器62は、ACモジュール5の出力を整流して直流に変換し、バッテリー65を充電する。充電器62の入力電流、入力電圧、出力電流、出力電圧の各値は、図示しない検出機器によって検出され、統括制御部64に入力されている。充電器62は、連系が解除されているときにのみ動作するよう、内部に配電線3aとの間の開閉を行う電磁開閉器が設けられている。このような電磁開閉器を設けることなく、電子的に動作を制御するものであってもよい。充電器62は、バッテリー65を過充電することのないように、統括制御部64によって制御されている。
【0047】
非常用インバータ63は、バッテリー65に蓄えられた直流電力を単相AC100Vの商用電力に変換し、出力切り換えスイッチ66の接続に応じてコンセント67又は配電線3bに供給する。非常用インバータ63は、サージ対応タイプのものであり、瞬時的に定格電流値の10倍程度のサージ電流を出力することが可能である。したがって、電動機などのように起動電流の大きい誘導負荷をも運転することが可能であり、冷蔵庫、洗濯機、エアコンなどをコンセント66又は配電線3bに接続することができる。
【0048】
統括制御部64は、開閉器11が開いて商用電力系統とACモジュール5との連系が解除されたときに、ACモジュール5が独立状態で動作するように独立運転制御装置6の全体を制御する。統括制御部64は、バッテリー65の充電電流が適切となるように、各ACモジュール5の出力電流を制御するための電流制御信号S14の基となる指令信号SC1を出力する。指令信号SC1は、RS−232Cのインタフェースを介し、各ACモジュール5に対して例えば1秒毎に出力される。各ACモジュール5は、指令信号SC1に基づいて電流制御信号S14を生成する。
【0049】
このように、ACモジュール5の出力電流を制御するための指令信号SC1は、秒のオーダーの緩慢な速度で出力すればよいので、シリアル通信によって十分に制御を行うことが可能である。
【0050】
上述の説明で理解できるように、独立運転制御装置6は、商用電力系統の停電などによって連系が解除されたときに、ACモジュール5の発電電力を非常用電源として利用するためのものである。太陽光による発電のみでは電源装置として不安定であるため、それによってバッテリー65を充電し、バッテリー65に蓄えられた電力を商用電力に変換して負荷に供給している。これによって、太陽電池モジュールPVMによる発電電力が安定的に負荷に供給され、太陽光の有効利用が図られる。また、配電線3又は3aに接続された電気製品例えば家庭用のコンピュータを、連系の解除と同時に配電線3bに接続を切り換えることによって、コンピュータに対する無停電電源システムとして利用することもできる。しかも、このような複雑な制御は独立運転制御装置6によって行われるので、各ACモジュール5の回路構成を複雑にすることなく実現される。
【0051】
上述の実施形態によると、一部の太陽電池モジュールPVMが故障した場合でも、故障に係るACモジュール5の運転を停止させ、ジャンパー線回路42によってR相とT相との平衡を取ることにより、故障していない太陽電池モジュールPVMによる運転を継続することができる。各太陽電池モジュールPVMは互いに独立して動作するので、各太陽電池モジュールPVMの発電状況が互いに異なっている場合であっても各太陽電池モジュールPVMから最大電力を引き出すことができ、全体として高い変換効率を得ることができる。
【0052】
上述の実施形態においては、連系保護装置4、ACモジュール5、及び独立運転制御装置6の間をRS−232Cのインタフェースによって接続し、双方向に信号SCの授受を行うようにしたが、RS−232C以外のインタフェースによってもよく、アナログ信号を用いることとしてもよい。ジャンパー線回路42として、切り換えスイッチを設けてもよい。商用電力系統とACモジュール5との連系が行われている通常時に、商用電力系統からわずかな電力を得てバッテリー65をトリクル充電するようにしてもよい。商用電力系統とACモジュール5との連系が解除されたときに、独立運転制御装置6による独立運転制御を自動的に行うようにしてもよく、又はスイッチなどを設けて独立運転制御を手動で起動するようにしてもよい。手動とした場合には、連系が解除されたことを示す表示灯や警告音発生装置などを設けておけばよい。
【0053】
上述の実施形態において、太陽電池モジュールPVMの出力電圧、インバータユニットVTUの構成、ACモジュール5の全体の個数、連系保護装置4の構成、独立運転制御装置6の構成、これらの間の通信方法、系統連系電源システム1の全体の構成、動作内容、動作順序などは、本発明の主旨に沿って適宜変更することができる。
【0054】
【発明の効果】
請求項1乃至請求項4の発明によると、一部の太陽電池モジュールが故障した場合に、故障していない太陽電池モジュールによる運転を継続することができるとともに、各太陽電池モジュールの発電状況が互いに異なっている場合であっても各太陽電池モジュールから最大電力を引き出すことができて高い変換効率を得ることができる。
また、ACモジュールをR相用又はT相用のいずれかに容易に変更することができるので、ACモジュールの実際の位置を変更することなくR相又はT相の配列を任意に設定することができる。
【0055】
請求項2及び請求項4の発明によると、ACモジュール間の配線接続が簡単であり、電線の長さが短くなってそれだけ低コスト化、高信頼性化、メンテナンスの容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る系統連系電源システムの回路を示すブロック図である。
【図2】ACモジュールの概観図である。
【図3】ACモジュールの回路を示すブロック図である。
【図4】ACモジュールの接続状態を説明するためのブロック図である。
【図5】ACモジュールの接続状態を説明するための図である
【図6】ACモジュールの配置状態を示す図である。
【符号の説明】
1 系統連系電源システム
3 配電線
5 ACモジュール
41a,41b 固定側コネクタ
42 ジャンパー線回路(切り換え手段)
50 接続ケーブル
51a,51b ケーブル側コネクタ
55 連系接続ケーブル
PVM 太陽電池モジュール
VTU インバータユニット(インバータ装置)
Claims (4)
- 太陽電池モジュール及び単相交流を出力するインバータ装置から構成されるACモジュールと、2つの電圧線及び1つの中性線で構成されるR相とT相とからなる単相3線式の配電線とを接続してなる系統連系電源システムであって、
前記R相及び前記T相のそれぞれに、複数個の前記ACモジュールが接続されてなり、
前記各ACモジュールには、前記インバータ装置の出力を前記R相または前記T相に接続するための、少なくとも3個の接続極を有し且つ互いに並列的に接続された2個の固定側コネクタと、
前記出力と前記固定側コネクタの接続極との間の接続を切り換えることによって前記R相または前記T相のいずれかに選択的に接続するための切り換え手段が設けられてなる、
ことを特徴とする系統連系電源システム。 - 前記各ACモジュールどうしが、前記固定側コネクタに接続されるケーブル側コネクタが両端に設けられた接続ケーブルによって、順次互いに接続され、
いずれか1つの前記ACモジュールが、前記ケーブル側コネクタが少なくとも一端に設けられた連系接続ケーブルによって、前記配電線に接続されてなる、
請求項1記載の系統連系電源システム。 - 前記R相及び前記T相に接続された総ての前記ACモジュールの前記出力が互いに同一の仕様であり、前記R相に接続されたACモジュールの個数と前記T相に接続されたACモジュールの個数とが同数である、
請求項1又は請求項2記載の系統連系電源システム。 - 太陽電池モジュール及びインバータ装置から構成され、2つの電圧線及び1つの中性線で構成されるR相とT相とからなる単相3線式の配電線との接続による系統連系電源システムのためのACモジュールであって、
前記インバータ装置の出力を前記R相または前記T相に接続するための、少なくとも3個の接続極を有し且つ互いに並列的に接続された2個の固定側コネクタが設けられており、
前記出力と前記固定側コネクタの接続極との間の接続を切り換えることによって前記R相又は前記T相のいずれかに選択的に接続するための切り換え手段が設けられてなる、
ことを特徴とする系統連系電源システムのためのACモジュール。
Priority Applications (5)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP16280896A JP3630854B2 (ja) | 1996-06-24 | 1996-06-24 | 系統連系電源システム |
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