JP3629296B2 - 詰替用のプッシュプル容器蓋 - Google Patents

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、詰替用の容器蓋、特にその外観がキャラクターヘッドとなっているプッシュプル容器蓋で、通常は内蓋に対して外蓋が自由回転して容器から取外すことはできないが、内容物詰替時には外蓋から内蓋に回転力を伝えて簡単に取外すことができるようにした詰替用のプッシュプル容器蓋に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プッシュプル容器蓋は、例えば、実開昭52−171555号公報に示すように、内蓋と外蓋との2ピースから構成され、内蓋は開口部に栓体を有してボトルにねじ嵌合され、外蓋は前記栓体が嵌合する注出口を有し、該外蓋に対して上下変位可能に嵌合して、上下に変位させることにより、前記栓体が注出口に嵌合又は離脱することによって、注出口の開閉が可能となっている。前記外蓋は、内蓋に対して自由に回転可能に打ち込まれており、外蓋を回転させても内蓋を回転させることはできず、プッシュプル容器蓋をボトルから取外すためには、内蓋を直接回転させなければならない。
【0003】
ところで、近時この種の容器蓋の商品価値を高めるために、プラスチックやゴム等で形成された動物や人形等のキャラクターヘッドを、外蓋に被せたもの又は外蓋が直接キャラクターの形態となっているものが要求されている。このようなキャラクターヘッドを有する容器蓋は、通常の容器蓋と比べて高価であるので、使い捨てでなく、内容液が詰替できて繰り返し使用できるのが望ましい。しかしながら、キャラクターヘッドを有する容器蓋は、一般にその外観上外蓋が内蓋を完全に覆っている状態にあるので、直接内蓋に触れることができず、キャラクターヘッドを回転させても、外蓋のみが回転するだけで、内蓋とボトルとの螺合を解くことはできず、内容液を詰替することができない。そのため、キャラクターヘッドを有するプッシュプル容器蓋は内容液がなくなると容器ごと廃棄処理せざるを得ないのである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、内蓋と外蓋との2ピースから構成され内蓋に対して外蓋が自由に回転するように構成されているプッシュプル容器蓋、特にキャラクターヘッドを有するプッシュプル容器蓋において、詰替時に容易に容器から取外して内容液の詰替ができて繰り返し使用することができるようにした詰替用のプッシュプル容器蓋を提供することを目的とする。
【0005】
上記問題点を解決する本発明の詰替用のプッシュプル容器蓋は、容器口部に螺子嵌合し、その上部開口中央部に突設した栓体を有する内蓋と、該内蓋の外周部に上下変位可能且つ回転自在に嵌合し、その上端に前記栓体により開閉する注出口を有する外蓋とからなるプッシュプル容器蓋において、前記内蓋に形成された注出筒の外周面及び前記外蓋に形成された栓筒の内周面の何れか一方に外蓋の上昇位置及び下降位置を規制する上部ストッパーリングと下部ストッパーリングを設け、他方に前記上部ストッパーリングと下部ストッパーリングに係合する係合リングを設け、且つ外蓋と内蓋の間に外蓋を内蓋に対して上下に変位させることによって、係脱して外蓋の回転力を内蓋に伝えることができる係合手段を有してなり、少なくとも前記係合リングが前記下部ストッパーリングと係合している位置では、前記注出口が閉塞状態にあって前記内蓋に対して前記外蓋が回転自在であり、前記位置から外蓋を内蓋に対して上方向又は前記下部ストッパーリングを超えて下方向に変位させることによって前記係合手段が噛み合い可能状態となり、前記外蓋の回転力を内蓋に伝えることができるようにしてなることを特徴とするものである。
【0006】
前記プッシュプル容器蓋は、外蓋の外周部にゴムやプラスチック等で形成されたキャラクターヘッドを装着するか、又は外蓋が直接キャラクターヘッドを構成することができ、外観全体として動物や人形等のキャラクターの形態をなし、通常のキャラクターヘッドの外観形態を損なうことなく、構成することができる。
【0007】
前記係合手段として、前記内蓋の頂壁外周面に形成された複数個のラグと、前記外蓋の天壁内周面に形成された複数個のラグとから構成することができ、その場合、前記外蓋に設けたラグ又は内蓋に設けたラグ同士が突き当たったとき、前記内蓋が締まる方向に回転力を受けるように、何れか一方又は両方のラグ先端部を外蓋を押し下げたとき内蓋が締まる方向に作用するように傾斜状に形成するのが望ましい。さらに、前記外蓋の天壁内周面に前記ラグよりも長く且つ弾性力のあるスプリングタブを設け、ある一定以上のプッシュプル力でないと開栓できないようにすることが望ましい。
【0008】
前記係合手段の他の形態として、内蓋の筒壁外周面に設けられた係合突起と前記外蓋の内周面に設けられた係合突起とから構成することができる。その際、前記係合突起を、通常使用時における前記注出口の閉塞状態から外蓋を内蓋に対して上方向に変位した位置で前記係合突起が開栓方向の回転力のみ内蓋に伝え、且つ閉塞状態から外蓋を内蓋に対して下方向に変位した位置で前記係合突起が閉栓方向の回転力のみ内蓋に伝えることができるように構成されているラチェット歯状に形成することによって、回転力を伝える回転方向に方向性を持たせることができる。また係合突起はローレット状に形成しても良い。
【0009】
【作用】
通常の使用状態では、外蓋は注出口を閉塞する位置と開口する2位置間を上下に変位する。その際、外蓋の上下の2位置を規制するための位置決め用のストッパーを外蓋と内蓋間に設けることが望ましい。通常の使用状態での少なくとも前記注出口が閉塞している状態では、外蓋の回転力を内蓋に伝える係合手段は互いに離れている状態にあり、外蓋は内蓋に対して自由に回転し、容器と内蓋の螺子嵌合を解くことはできない。
【0010】
係合手段が内蓋の頂壁外周面及び外蓋の内周面に形成された複数個のラグからなる場合、通常の使用状態からさらに外蓋を強制的に下方に変位させることにより、ラグ同士が係合する状態となり内蓋も一体に回転でき、容器から取外すことができる。従って、キャラクターヘッド付きプッシュプル蓋であっても、詰替時に容易に蓋を取外すことができ、しかも流通段階等通常の状態では内蓋を回転させることができないので、不用意な開口等の事故を確実に防ぐことができる。また、キャラクターヘッドの外面に変更を加える必要はないので、キャラクターのデザインを損なうことなく、繰り返し使用が可能となる。
【0011】
さらに、外蓋及び内蓋に形成した前記ラグ同士が突き当たったとき、内蓋が締まる方向に回転力を受けるように、何れか一方又は両方のラグ先端部を傾斜状に形成することによって、流通過程で誤ってキャラクターヘッドが強く押圧されてラグ同士が突き当たっても、内蓋が閉栓方向に回転して逃げるため、ラグが破損する事故を防ぐことができると共に、内蓋の螺子が緩むことを防止することができる。
【0012】
また、外蓋の天壁からラグよりも丈が長いスプリングタブを傾斜状に設けることによって、キャラクターヘッドの押し下げに対して該スプリングタブが、抵抗を与えるので、不用意な開栓を防止することができる。さらに、スプリングタブは、外蓋を押し下げるとき、内蓋が締まる方向の分力を発生させるように傾斜して形成することによって、たとえキャラクターヘッドを強く押圧しても、内蓋の螺子嵌合が不用意に緩む畏れはない。
【0013】
前記係合手段が、内蓋の筒壁外周面に設けられた係合突起と前記外蓋の内周面に設けられた係合突起で構成されている場合、該係合突起をラチェット歯に形成することによって、例えば通常の閉塞状態から外蓋を引き上げることによって、内蓋を開栓方向にのみ係合突起同士が噛み合い状態になり、外蓋の回転力を内蓋に伝えて内蓋を外すことが可能となる。また、閉塞状態から外蓋を内蓋に対して下方向に押し下げることにより、該押し下げた位置で、前記係合突起が閉栓方向の回転力のみ内蓋に伝えるように噛み合い、該位置での外蓋の回転は内蓋の閉栓方向のみ作用し、開栓方向に対しては空回りする。
【0014】
以上のように、本発明の詰替用のプッシュプル容器蓋では、少なくとも通常の使用時における閉塞状態から、外蓋を上下に変位させる動作と、且つ回転させる動作の2動作を経ることによって、内蓋を容器口から取外すことができ、流通段階での不用意な開口を防ぐことができると共に、詰替時には確実に取外すことができる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて詳細に説明する。
図1〜図3は本発明に係る詰替用のプッシュプル容器蓋の第1実施例を示している。図中、1は内蓋、2は外蓋であり、これらはプラスチックで成形され、外蓋2の外周面にゴム製のキャラクターヘッド3が嵌合装着されている。内蓋2は、図2(a)に示すように、容器口部50に螺合する筒壁4を有し、その内周面に容器口部に形成されたねじに螺合するねじ5が形成され、容器に螺合できるようになっている。
【0016】
内蓋1の頂壁5の中央部は筒状に立ち上がって注出筒7となっており、その頂部に栓体8が複数の連結片を介して突設支持されている。また、頂壁6の肩部には等間隔に複数個(図の実施例では8個)のラグ9が設けられ、後述する外蓋に形成されたラグと係合できるようになっている。さらに、注出筒7の外周部には、下部ストッパーリング10及び上部ストッパーリング12が形成され、外蓋の内周面に形成された係合リング19と係合するようになっている。
【0017】
一方、外蓋2は、図2(b)に示すように、内蓋1の筒壁4の外周部に嵌合するスカート壁15の天壁16の中央部に注出筒7に外嵌する栓筒17が突設され、その上部開口部が栓体8が嵌合することにより閉鎖される注出口18となっている。栓筒17の内周部には下部ストッパーリング10及び上部ストッパーリング12と係合する係合リング19が形成されている。また、天壁16の内側周面には図2(b)及び(c)に示すように、ラグ9と噛み合うラグ20がラグ9と同様に8個形成されている。なお、図中21、22は、外筒2にキャラクターヘッド3を係合保持するために形成されたキャラクターヘッド係止用リングである。
【0018】
本実施例の詰替用のプッシュプル容器蓋は、以上のように形成され、内蓋1が容器口部50に螺合され、内蓋の外周部にキャラクターヘッド3を被せた外蓋2が回転自在に嵌合しており、図1に示すように、容器の口部をキャラクターヘッドで覆っている外観を呈している。外蓋2は内蓋1に対して上下変位可能に嵌合しており、図1の状態は、外蓋を最上位に引き上げた状態であり、外蓋2の栓筒17の内周面に形成された係合リブ19が内蓋1の注出筒7の最上部に形成された上部ストッパーリング12に係合して、それ以上の上昇を阻止して位置決めしている。この状態では、栓体8が注出口18から抜けて注出口が開口した状態にあり、内容液の注出が可能である。また、この状態では、ラグ9とラグ20は離れているので、キャラクターヘッドを回転させて外蓋を回転させても、回転力は内蓋に伝達されずに内蓋は、容器蓋に螺着した状態を維持している。
【0019】
次に、図1の状態からキャラクターヘッドを押し下げることにより、外蓋の係合リング19は内蓋1の注出筒7外周面に沿って下降し、図3(a)に示すように、下部ストッパーリング10と係合して抵抗が大きくなりその状態で位置決めされて保持される。この状態では、栓体8は注出口18に嵌合して、注出口を閉塞した状態にある。即ち、通常使用時の注出口閉塞状態にある。この状態でもラグ20とラグ9は離れた状態にあり、外蓋は内蓋に対して自由に回動する状態にある。従って、通常使用時には、図3の状態からキャラクターヘツドを上部に引き上げることにより、図1の状態になって注出が可能になり、注出が終了するとキャラクターヘッドを押し下げることによって、図3(a)の状態になり閉栓される。また、流通時には図3(a)に示すように下部ストッパーリング10により、不用意に内蓋が回って蓋が容器から取外される事故が防止される。
【0020】
内容液の詰替を行う場合、図3(a)の状態から係合リブ19と下部ストッパーリングとの係合に抗して、キャラクターヘッドを押し下げることにより、内蓋と外蓋の弾性変形で係合リブ19が下部ストッパーリング10を乗り越えて下降する。その結果、ラグ20がラブ9の回動軌跡内に下降し、図3(c)に示すように、外蓋を回転させたとき、ラグ同士が係合して内蓋も一体に回転できる状態となる。
【0021】
なお、図3(a)の状態から外蓋が下降して図3(c)の状態となる過程において、外蓋の回転角度によって外蓋に形成したラグと内蓋に形成されたラグが互いに突き当たる場合もあるが、本実施例では、同図(b)に拡大して示すように、ラグ9の頂面13をラグ20が突き当たったとき内蓋が締まる方向に回転力を受けるように傾斜状に形成してある。それにより、流通過程中に誤ってキャラクターヘッドが強く押圧されてラグ同士が突き当たっても、傾斜面に案内されて内蓋1が回転して逃げるため、ラグ同士が破損する事故を防ぐことができる。しかも、内蓋の回転方向は、螺子が締まる方向に回転するので、螺子が緩むことを防止することができる。本実施例では傾斜面は内蓋に設けたラグに形成してあるが、必ずしもそれに限るものでなく、外蓋又は両方のラグに内蓋が締まる方向の回転力を付与するような傾斜面を形成することが好ましい。
【0022】
図3(c)に示すように、ラグ20とラグ9が係合する位置にある状態でキャラクタヘッドを把持して外蓋を反時計方向に回転させると、ラグ20、9の噛み合いにより、内蓋が開栓方向に回転して容器から詰替用蓋を簡単に取外すことができ、内容液を補充充填することができる。また、詰替後は同様な状態で時計方向に回転させることによって、内蓋が容器口部に螺着される。以上のように、本実施例によれば、キャラクターヘッド付きプッシュプル蓋であっても、詰替時に容易に蓋を取外すことができ、しかも流通段階等で不用意に螺子が緩むことがない。また、キャラクターヘッドの外面には何の変化もないので、キャラクターのデザインを損なうことなく、繰り返し使用が可能となる。詰替後は、再びキャラクターヘッドを引き上げることによって、図3(a)に示す状態に復帰し、通常の使用態様状態を保つことができる。
【0023】
上記実施例では、内蓋に下部ストッパーリングは1段しか設けてないが、例えば図4に示すように、下部ストッパーリング10の上方に外蓋に形成された係合リング19が嵌合できる程度の間隔を有して中間ストッパーリング11を設けることが好ましい。中間ストッパーリング11を形成することによって、例えば流通段階において、外蓋の係合リングを下部ストッパーリング10と中間ストッパーリング11との間に嵌合係止させ、その状態を維持することができる。従って、流通段階で不用意に外蓋が上昇して注出口が開口したり、又は図3(c)に示すようにラグ同士が噛み合った状態にまで外蓋が下がって内蓋が回転してしまうような事故を防ぐことができる。
【0024】
図5及び図6は、本発明に係る詰替用のプッシュプル容器蓋の第2実施例を示している。本実施例は、前記第1実施例を改良したものであり、前記実施例と同様な個所は前記実施例と同じ参照符号を付し、詳細な説明は省略する。本実施例の詰替用のプッシュプル容器蓋は、前記実施例と比較して、外蓋25の天壁26からラグ20よりも丈が長い弾性体で形成されたスプリングタブ27を傾斜状に複数個(本実施例では4個)設けてある点が相違している。
【0025】
本実施例によれば、通常の状態では、係合リブ19が内蓋の下部ストッパーリングに係合している状態にあり、しかもスプリングタブ27が内蓋の頂壁6面に接触した状態にある。従って、キャラクターヘッドを押し下げるのに、抵抗を与えて簡単にラグ同士が係合して内蓋の螺着を解くことを防止している。また、前記スプリングタブの傾斜方向は、外蓋を押し下げるとき、スプリングタブの先端が内蓋の頂面を内蓋が締まる方向の分力を発生させる方向に傾斜して形成してあるので、たとえキャラクターヘッドを強く押圧しても、内蓋の螺子が締まる方向に回転力を与えることになり、不用意にねじが緩む畏れはない。詰替時はキャラクターヘッドを強く押圧して、スプリングタブを撓ませることにより、外蓋が下降して、ラブ20とラグ9が係合することにより、前記実施例と同様にタブ同士が係合して開栓することができる。勿論、本実施例においても図4に示すように、中間ストッパーリング11を設けることが望ましい。
【0026】
図7〜図9は、本発明に係る詰替用のプッシュプル容器蓋の第3実施例を示している。本実施例では、内蓋30と外蓋35の頂壁及び天壁にラグを設ける代わりに、内蓋の筒壁の外周部及び外蓋のスカート壁内周面に互いに係合するようにラチェット歯状の係合突起を形成してある。即ち、内蓋30の筒壁31に上下2段に上ラチェット32、下ラチェット33を形成してあり、上ラチェット32は外蓋を反時計方向に回転させたとき、外蓋のラチェットと噛み合い、内蓋を開栓方向に回転させることができるようになっている。逆に下ラチェット33は、外蓋を時計方向に回転させたときのみ外蓋のラチェットと噛み合い、内蓋を閉栓方向に回転させることができるようになっている。
【0027】
外蓋35は上下に変位できるように内蓋30に嵌合しており、特に、外蓋のスカート壁37(図9)の内周面に形成したラチェット36が前記上ラチェット32と下ラチェット33と噛み合う2位置に変位できるように、内蓋の注出筒の外周面に形成された下部ストッパーリング10及び上部ストッパーリング12と外蓋の栓筒17の内周部に形成された係合リング19との位置関係が決められている。
【0028】
即ち、図7(a)(b)に示すように、キャラクターヘッドが引き上げられて外蓋の係合リング19が内蓋の上部ストッパーリング12に係止している状態では、外蓋に形成されたラチェット36と上ラチェット32が噛み合う状態にあり、この状態で外蓋を反時計方向に回転させると、両ラチェットが噛み合い、内蓋を開栓方向に回転させることができ、蓋全体を容器から取外して内容液を補充することができる。また、この状態では栓体は注出口から離脱している状態にあり、容器を傾けることによって内容液を注出することもできる。従って、通常の液注出時には、この状態にして液を注出する。
【0029】
図7(a)の状態からキャラクターヘッドを押圧することによって、図7(c)に示すように係合リング19が下部ストッパーリング10に係合した状態に位置する。この状態では、ラチェット36は上下何れのラチェットとも噛み合ってない状態であり、外蓋を回転させても内蓋は回転しない。また、この状態は、通常使用における注出口閉栓状態を示している。さらに、図7(c)の状態からキャラクターヘッドを強く押圧すると、図8(a)に示すように係合リング19が下部ストッパーリング10を乗り越えて下降し、外蓋の天壁38内面が内蓋の頂壁39外面に接触した状態となる。この状態では、図8(b)に示すようにラチェット36と下ラチェット33が対向した状態となり、キャラクターヘッドを時計方向に回転せると両ラチェットが噛み合って内蓋を締める方向に回転させる。また、この状態では、キャラクターヘッドを反時計方向に回転させても、ラチェット36と下ラチェット33は係合しないので、内蓋を回転させることはできず、内蓋の螺合を解くことはできない。
【0030】
従って、本実施例では通常使用状態では、図7(a)又は図7(c)の状態に移動させ、注出口の開閉を行う。また、流通段階では、係合リングが下部ストッパーリングの下方に位置するように外蓋を押し下げておくことによって、外蓋の上昇が阻止れ、不用意な開栓が阻止され容器が横倒しになっても、液漏れすることがない。しかもこの状態でキャラクターヘッドを回転させても内蓋を締める方向への回転のみが可能であるので、内蓋の螺合が緩むこともなく、安全である。
【0031】
以上本発明の詰替用のプッシュプル容器蓋の種々の実施例を示したが、本発明は上記実施例に限るものでなく、その技術的思想の範囲内で種々の設計変更が可能である。例えば、上記の各実施例では、上部及び下部の各ストッパーリングや中間ストッパーリングを内蓋の注出口外周面に形成し、係合リングを外蓋の栓筒の内周面に形成してあるが、これらの各ストッパーリングを内蓋の筒壁外周面に設け、係合リングを外蓋のスカート壁内周面に形成することも可能である。さらに、前記の各実施例とは逆に、上部及び下部の各ストッパーリングや中間ストッパーリングを外蓋の栓筒内周面に設け、係合リングを内蓋の注出外周面に設けることも可能である。
【0032】
また、図7〜図9に示す実施例では、内蓋の筒壁外周面に噛み合い方向が相違する2段のラチェットからなる係合突起を設けたが、必ずしも2段の係合突起を設ける必要はなく、何れの回転方向にも噛み合うように形成した係合突起を1段だけ形成することも可能である。また、その場合、係合突起はローレット状等適宜の形状に形成することができる。
【0033】
さらに、図7〜図9に示す実施例では、係合突起は、外蓋を上下に変位させるだけで、噛み合い位置に位置させることができるが、必ずしもそれに限るものではない。例えば外蓋のスカート壁を半径方向に容易に変形する構造にすれば、係合突起が互いに対向する位置に外蓋を上下変位させるだけでは噛み合い状態とならず、キャラクターヘッドを介して外蓋のスカート壁を半径方向に押圧することによって、外蓋に形成された係合突起と内蓋の筒壁外周面に形成した係合突起が始めて噛み合い可能となるように形成することもできる。従って、この場合、外蓋のスカート壁を半径方向に押圧した状態で外蓋を回転させなければ、内蓋の着脱ができないので、流通段階での不用意な開栓を防止することができる。外蓋のスカート壁が半径方向に容易に変形する構造としては、例えば、外蓋を弾性に富んだ材料で形成するとか、スカート壁の下部を薄く形成するとか、あるいは、スカート壁の下部に軸心に沿って複数個のスリットを形成するとか、種々の手段を採用することができる。
【0034】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明は次のような格別の効果を奏するものである。
本発明の詰替用のプッシュプル容器蓋では、少なくとも通常の使用時における閉塞状態から、外蓋を上下に変位させる動作と、且つ回転させる動作の2動作を経ることによって、内蓋を容器口から取外すことができ、流通段階での不用意な開口を防ぐことができると共に、詰替時には確実に取外すことができ、キャラクターヘッドを有するプッシュプル容器蓋において簡単に詰替が可能となった。
【0035】
また、キャラクターヘッドの外面に変更を加える必要はないので、キャラクターのデザインを損なうことなく、繰り返し使用が可能となり、経済的である。また、構造が簡単であり、製造に際して従来の金型の変更部分が少ない。
【0036】
係合手段が内蓋の頂壁外周面及び外蓋の内周面に形成された複数個のラグからなる場合、何れか一方又は両方のラグ先端部を傾斜状に形成することによって、流通過程で誤ってキャラクターヘッドが強く押圧されても、ラグが破損する事故を防ぐことができと共に、螺子が緩むことを防止することができる。
【0037】
また、外蓋の天壁からラグよりも丈が長いスプリングタブを傾斜状に設けることによって、キャラクターヘッドの押し下げに対してスプリングタブが抵抗を与えるとともに内蓋が締まる方向の分力を発生させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る詰替用のプッシュプル容器蓋の注出口開栓状態での一部断面側面図である。
【図2】(a)はその内蓋の一部断面側面図、(b)はその外蓋の一部断面側面図、(c)外蓋の底面図である。
【図3】(a)は通常使用時又は流通段階で注出口が閉塞している状態の一部断面側面図、(b)はその要部拡大図、(c)は内蓋回転状態での一部断面側面図である。
【図4】内蓋の他の実施例の一部断面側面図である。
【図5】本発明の第2実施例に係る詰替用のプッシュプル容器蓋の注出口閉栓状態での一部断面側面図である。
【図6】(a)はその外蓋の一部断面側面図、(b)は外蓋の底面図である。
【図7】本発明の第3実施例に係る詰替用のプッシュプル容器蓋であり、(a)は内容物が注出でき、且つ内蓋を開栓方向に回転できる状態の一部断面側面図、(b)はそのA−A断面図、(c)は内容液が注出できない状態の一部断面側面図、(d)はそのB−B断面図である。
【図8】本発明の第3実施例に係る詰替用のプッシュプル容器蓋の流通段階で状態を示し、(a)は一部断面側面図、(b)はそのC−C断面図である。
【図9】(a)は第3実施例の外蓋の一部断面側面、(b)はその内蓋の一部断面側面ある。
【符号の説明】
1、26、30 内蓋 2、25、35 外蓋
3 キャラクターヘッド 4、31 筒壁
7 注出筒 9、20 ラグ
10 下部ストッパーリング 11 中間ストッパーリング
12 上部ストッパーリング 15、37 スカート壁
16、38天壁 17 栓筒
18 注出口 19 係合リング
27 スプリングリング 32 上ラチェット
33 下ラチェット

Claims (8)

  1. 容器口部に螺子嵌合し、その上部開口中央部に突設した栓体を有する内蓋と、該内蓋の外周部に上下変位可能且つ回転自在に嵌合し、その上端に前記栓体により開閉する注出口を有する外蓋とからなるプッシュプル容器蓋において、前記内蓋に形成された注出筒の外周面及び前記外蓋に形成された栓筒の内周面の何れか一方に外蓋の上昇位置及び下降位置を規制する上部ストッパーリングと下部ストッパーリングを設け、他方に前記上部ストッパーリングと下部ストッパーリングに係合する係合リングを設け、且つ外蓋と内蓋の間に、外蓋を内蓋に対して上下方向に変位させることによって、噛み合い可能状態となり外蓋の回転力を内蓋に伝えることができる係合手段を有してなり、少なくとも前記係合リングが前記下部ストッパーリングと係合している位置では、前記注出口が閉塞状態にあって前記内蓋に対して前記外蓋が回転自在であり、前記位置から外蓋を内蓋に対して上方向又は前記下部ストッパーリングを超えて下方向に変位させることによって前記係合手段が噛み合い可能状態となり、前記外蓋の回転力を内蓋に伝えることができるようにしてなることを特徴とする詰替用のプッシュプル容器蓋。
  2. 前記外蓋の外周部にキャラクターヘッドが装着されている請求項1記載のプッシュプル容器蓋。
  3. 前記外蓋がキャラクターヘッドを構成している請求項1記載のプッシュプル容器蓋。
  4. 前記係合手段が、前記内蓋の頂壁外周面に形成された複数個のラグと、前記外蓋の天壁内周面に形成された複数個のラグとからなる請求項1、2又は3記載のプッシュプル容器蓋。
  5. 前記外蓋に設けたラグ又は内蓋に設けたラグの何れか一方又は両方のラグ先端部を外蓋を押し下げたとき内蓋が締まる方向に作用するように傾斜状に形成した請求項4記載のプッシュプル容器蓋。
  6. 前記外蓋の天壁内周面に前記ラグよりも長く且つ弾性力のあるスプリングタブを設けた請求項4又は5記載のプッシュプル容器蓋。
  7. 前記係合手段が、内蓋の筒壁外周面に設けられた係合突起と前記外蓋の内周面に設けられた係合突起とから構成されている請求項1、2又は3記載のプッシュプル容器蓋。
  8. 前記係合突起がラチェット歯であり、前記注出口の閉塞状態から外蓋を内蓋に対して上方向に変位した位置で前記係合突起が開栓方向の回転力のみ内蓋に伝え、且つ前記閉塞状態から外蓋を内蓋に対して下方向に変位した位置で前記係合突起が閉栓方向の回転力のみ内蓋に伝える形状に構成されている請求項7記載のプッシュプル容器蓋。
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