JP3600487B2 - 可変長復号器及びこれを用いた動画像復号装置 - Google Patents

可変長復号器及びこれを用いた動画像復号装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、可変長符号を復号する可変長復号器及びこれを用いたMPEGデコーダのような動画像復号装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
動画像圧縮の国際標準であるMPEG(Moving Picture Experts Group)方式が規格化され、この方式に基づく動画像符号化装置(MPEGエンコーダ)及び動画像復号装置(MPEGデコーダ)がDVDシステムなどの蓄積系や、伝送系で実用化されている。
【0003】
MPEGエンコーダにおいては、動画像信号が動き補償適応予測と離散コサイン変換(DCT)及び可変長符号化の組み合わせによって符号化される。予測モードには大きく分けてフレーム内予測モードとフレーム間予測モードとがあり、予測信号(但し、フレーム内予測モードでは予測信号=0)と入力画像信号との差である予測誤差信号について離散コサイン変換器によりDCT係数が生成される。
【0004】
これらのDCT係数が量子化された後、可変長符号化器により可変長符号化される。さらに、動き補償予測に使用する動きベクトル、予測モード、量子化ステップサイズ及びマクロブロックタイプなどのヘッダ情報も、可変長符号化器により可変長符号化される。各可変長符号は多重化され、符号化ビットストリームとしてMPEGエンコーダから出力される。
【0005】
MPEGエンコーダから出力される符号化ビットストリームは、蓄積媒体や伝送路を経てMPEGデコーダに入力される。MPEGデコーダにおいては、入力された符号化ビットストリームに多重化されている可変長符号が可変長復号器により復号され、量子化DCT係数及びヘッダ情報が生成される。量子化DCT係数は逆量子化され、さらに逆離散コサイン変換器を経て予測誤差信号が生成される。予測誤差信号から予測信号が生成され、この予測信号から復号画像信号が得られる。
【0006】
ここで、可変長復号器では量子化DCT係数やヘッダ情報を情報シンボルとして、これらの各情報シンボルと可変長符号を対応付けた可変長符号テーブルを用いて復号が行われる。図9、図10に従来の可変長復号器の構成を示す。
【0007】
図9の可変長復号器では、可変長符号テーブルは(n+1)個のテーブルC0〜Cnを有する第1のテーブル群と(m+1)個のテーブルD0〜Dmを有する第2のテーブル群から構成されている。可変長符号からなる被参照データInputの全ビット(Iビット)が可変長符号テーブルの全てのテーブルC0〜Cn,D0〜Dmに共通に入力され、可変長符号テーブルから入力の可変長符号に対応する情報シンボルが出力される。そして、後段の(n+m+2):1の選択器MUXでテーブル選択データSelectに従って一つのテーブルの出力(Nビット)が選択され、可変長復号データが得られる。
【0008】
このような構成では、可変長符号テーブルのテーブル数(n+m+2)が多くなると、選択器MUXが大規模なものとなる。従って、可変長復号器全体の回路規模も増大し、それに伴い動作周波数が低下してしまう。
【0009】
図10の可変長復号器においても、可変長符号テーブルはテーブルE0〜Enを有する第1のテーブル群とテーブルF0〜Fmを有する第2のテーブル群から構成されている。被参照データInput(Iビット)とテーブル指定データSelect(Jビット)が可変長符号テーブルの全テーブルE0〜En,F0〜Fmに共通に入力され、テーブル指定データSelectによって指定された一つのテーブルから入力の可変長符号に対応した情報シンボルが可変長復号データとして出力される。
【0010】
この構成の場合には、図9と異なり可変長符号テーブルの後段に大規模な選択器が不要であるが、可変長符号テーブルのテーブル数(n+m+2)が多くなると、テーブル指定データSelectのビット幅Jが大きくなる。従って、テーブルの入力ビット幅(I+J)も大きくなるので、回路規模が増大し、それに伴って動作周波数が低下する。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上述したように、従来の可変長復号器では可変長符号テーブルの出力側に大規模な選択器を必要とするか、可変長符号テーブルの入力ビット幅が大きくなることによって、全体の回路規模が増大し、またこれに伴い動作周波数が低下してしまうという問題点があった。
【0012】
本発明は、回路規模が小さく、高速動作の可能な可変長復号器及びこれを用いた動画像復号装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するため、本発明は複数の可変長符号に対応付けて複数の情報シンボルを格納すると共に、符号語長が相対的に長い可変長符号に対応する情報シンボルを格納したテーブル群ほど少ない数のテーブルを有するように構成された複数のテーブル群に分割された可変長符号テーブルを用いて、入力される可変長符号に対応する情報シンボルを可変長復号データとして得る可変長復号器において、可変長符号テーブルの各テーブル群に対して可変長符号からなる被参照データと該被参照データが参照されるべきテーブルを指定するテーブル指定データとの組を入力する際、符号語長が最も長い可変長符号に対応する情報シンボルを格納したテーブル群の入力ビット幅を基準として、他のテーブル群の入力ビット幅が該基準の入力ビット幅以下となるように、各テーブル群に入力する被参照データ及びテーブル指定データのビット幅を異ならせたことを特徴とする。
【0015】
より具体的には、可変長符号テーブルを第1及び第2の二つのテーブル群に分割した場合は、可変長符号からなる被参照データの全ビットと該被参照データが参照されるべきテーブルを指定するテーブル指定データの一部のビットとの組を第1のテーブル群に、被参照データの一部のビットとテーブル指定データの全ビットとの組を第2のテーブル群にそれぞれ入力し、第1及び第2のテーブル群のいずれかのテーブル群の出力を選択することによって、可変長復号データが得られる。
【0016】
ここで、第1のテーブル群は符号語長がより長い可変長符号に対応する情報シンボルを第2のテーブル群より多く格納し、かつそのテーブル数は第2のテーブル群より少ない。また、第1のテーブル群の入力ビット幅を基準として、第2のテーブル群の入力ビット幅が該基準の入力ビット幅以下となるように第2のテーブル群に入力する被参照データのビット幅を設定することが望ましい。
【0017】
このように本発明では可変長符号テーブルの各テーブル群に入力する被参照データのビット幅を異ならせることによって、可変長符号テーブルの出力側に大規模な選択器を必要とせず、また可変長符号テーブルの入力ビット幅があまり大きくなることがないので、小さな回路規模で高速動作の可能な可変長復号器が実現される。
【0018】
さらに、本発明によると、上述した可変長復号器を用いて、動画像信号を符号化した符号化ビットストリームの可変長符号を復号する動画像復号装置を提供することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る可変長復号器の構成を示している。この可変長復号器は、第1及び第2のテーブル群11,12からなる可変長符号テーブル10と、この可変長符号テーブル10に後述する被参照データ及びテーブル指定データを入力する図示しない入力回路と、第1、第2のテーブル群11,12のいずれか一方のテーブル群の出力を選択する2:1(2入力、1出力)の選択器13と、これらを制御する図示しないコントローラから構成される。
【0020】
可変長符号テーブル10は、具体的には論理回路の組み合わせ(ランダムロジック)で構成され、複数の可変長符号にそれぞれ対応する複数の情報シンボルが格納されている。なお、可変長符号テーブル10をROMで構成してもよい。ここで、第1のテーブル群11と第2のテーブル群12とは、対応する可変長符号の符号語長の分布の性質が異なっている。第1のテーブル群11は(n+1)個のテーブルA0〜Anを有し、第2のテーブル群12は(m+1)個のテーブルB0〜Bmを有する。
【0021】
第1のテーブル群11の各テーブルA0〜Anは、第2のテーブル群12の各テーブルB0〜Bmよりも対応する可変長符号の符号数が多く、かつ長い符号語長により多く対応している。また、テーブル群11,12のテーブル数の関係は(n+1)<(m+1)である。すなわち、テーブル群11,12は、符号数が多くかつ符号語長が長い可変長符号により多く対応するテーブル群ほどテーブル数が少ない。
【0022】
可変長符号テーブル10には、可変長復号器の入力部に設けられた入力回路から、可変長符号のビットストリームであるIビットの被参照データInputとJビットのテーブル指定データSelectが入力される。ビットストリームはコントローラによる制御で頭出しが行われ、第1、第2のテーブル群11,12に対して以下のように配分されてアドレスデータとして入力される。
【0023】
第1のテーブル群11には、被参照データInputの全ビット(Iビット)と、テーブル指定データSelectの一部のビット(jビット)の計(I+j)ビットが入力される。jは第1のテーブル群11のテーブル数(n+1)に依存する値であり、j<Jである。一方、第2のテーブル群12には、被参照データInputの一部のビット(iビット)と、テーブル指定データSelectの全ビット(Jビット)の計(i+J)ビットが入力される。
【0024】
ここで、第2のテーブル群12への被参照データInputの入力ビット数iは、i<Iであり、第1のテーブル群11の入力ビット幅(I+j)を基準にして、第2のテーブル群12の入力ビット幅(i+J)が(i+J)≦(I+j)となるように最適化される。
【0025】
但し、iを小さくしすぎると、第2のテーブル群12に対するテーブル参照能力が低下するので、第1、第2のテーブル群11,12のテーブル参照能力が同等となるようにiを選定することが望ましい。テーブル参照能力とは、被参照データのテーブルへの一回の入力で参照される、つまりテーブルに一回入力するだけで対応するシンボル情報を出力することができる可変長符号の符号数である。iを小さくするということは、比較的符号語長の短い可変長符号でも複数回に分けて第2のテーブル群12に入力することになるので、テーブル参照能力は低下し、処理速度も低下することになる。
【0026】
次に、本実施形態の可変長復号器の動作を説明する。
図示しない入力回路から、Iビットの被参照データInputとJビットのテーブル指定データSelectが可変長符号テーブル10に入力されるとき、第1のテーブル群11には、被参照データInputの全ビットであるIビットと、テーブル指定データSelectの一部のビットであるjビットが入力される。これにより第1のテーブル群11においては、テーブル指定データSelectのjビットで選択される一つのテーブルから、被参照データInputのIビット(符号語長のより長い可変長符号)に対応する情報シンボルが出力される。
【0027】
一方、第2のテーブル群12には、被参照データInputの一部のビットであるiビットと、テーブル指定データSelectの全ビットであるJビットが入力される。これにより第2のテーブル群12においては、テーブル指定データSelectのJビットで指定される一つのテーブルから、被参照データInputのiビット(符号語長のより短い可変長符号)に対応する情報シンボルが出力される。
【0028】
選択器13には、テーブル群選択データSelが入力される。これにより、第1のテーブル群11のテーブル指定データSelectのjビットに従って指定された一つのテーブルから出力される情報シンボル、または第2のテーブル群12のテーブル指定データSelectのJビットに従って指定された一つのテーブルから出力される情報シンボルのいずれかが選択器13で選択され、これが最終的に可変長復号データOutputとして出力される。このようにして可変長符号の復号が行われる。
【0029】
次に、本実施形態の可変長復号器の効果を図9、図10に示した従来の可変長復号器と対比して説明する。
まず、図9に示した可変長復号器では、各テーブルC0〜Cn,D0〜Dmの入力ビット幅はいずれもIビットであるから、第1のテーブル群11(テーブルA0〜An)の入力ビット幅が(I+j)ビット、第2のテーブル群12(テーブルB0〜Bm)の入力ビット幅が(i+J)ビットである本実施形態の可変長符号テーブル10に比較して、テーブルC0〜Cn,D0〜Dmで構成される可変長符号テーブル全体の回路規模は若干小さくなる可能性がある。
【0030】
しかし、図9の構成では可変長符号テーブルの後段に、テーブル数(n+m+2)に比例して規模が大きくなる(n+m+2):1の選択器を設ける必要があるため、テーブル数(n+m+2)が多くなるほど、可変長符号テーブルと選択器を含めた可変長復号器全体の回路規模は増大してしまう。
【0031】
これに対して、本実施形態の可変長復号器では、可変長テーブル10自体は図9の構成に比較して規模が若干大きくなることはあっても、テーブル数(n+m+2)によらず選択器13は2:1の選択器でよく、非常に規模の小さなものでよいため、可変長復号器全体の回路規模としては図9に比較して小さくなる。この効果は、テーブル数(n+m+2)が大きくなるほど顕著である。
【0032】
次に、図10に示した可変長復号器では、可変長符号テーブルの全てのテーブルE0〜En,F0〜Fmの入力ビット幅が(I+J)ビットである。テーブル数(n+m+2)が多くなると、図10の構成ではテーブル指定データSelectのビット幅Jの増大により可変長符号テーブルの入力ビット幅が大きくなり、回路規模が増大してゆく。
【0033】
これに対して、本実施形態の可変長復号器では可変長符号テーブル10の第1のテーブル群11の入力ビット幅は(I+j)ビット、第2のテーブル群12の入力ビット幅は(i+J)ビットである。ここで、i<I、i<Jであるので、(I+J)>(I+j)≧(i+J)となり、第1のテーブル群11及び第2のテーブル群12共に、入力ビット幅は図10の構成よりも小さい。従って、テーブル数(n+m+2)が多くなっても、図10の場合より回路規模の増大は抑えられる。
【0034】
また、本実施形態では図10と異なり、可変長符号テーブル10の後段に選択器13が必要であるが、これは前述したように2:1の選択器であり、可変長符号テーブルの回路規模に比べはるかに小さい。従って、可変長復号器全体として見たときの回路規模も、図10の場合より格段に小さくでき、高速化を図ることができる。
【0035】
さらに、iの値を調整することで第2のテーブル群12の入力ビット幅(i+J)を第1のテーブル群11の入力ビット幅(I+j)と等しいか、もしくはこれ以下となるように最適化することによって、第2のテーブル群12のテーブル参照能力を第1のテーブル群11のそれとほぼ同等にすることができる。
【0036】
すなわち、第2のテーブル群12のテーブル参照能力はiによって決まり、これが小さすぎるとテーブル参照能力が低下するが、第2のテーブル群12に格納されているシンボル情報は、もともと符号語長の長い可変長符号にはあまり多く対応していない。従って、iがIより小さくとも、上記(i+J)≦(I+j)の条件を満たす範囲であれば、より符号長の長い可変長符号に多く対応しているシンボル情報が格納された第1のテーブル群11と同等のテーブル参照能力が得られる。
【0037】
このように本発明によれば、回路規模が小さく、かつ高速動作の可能な可変長復号器を実現することができる。
【0038】
次に、本発明の可変長復号器の典型的な応用例である動画像復号装置について説明する。図2は、動画像復号装置の代表例であるMEPGデコーダの概略的な構成を示すブロック図である。
【0039】
入力端子101には、蓄積系または伝送系から送られてきた符号化ビットストリーム111が入力される。この符号化ビットストリーム111は、図示しないMPEGエンコーダにより動画像信号を符号化して得られた可変長符号を含んだビットストリームであり、バッファ102に一時蓄積される。
【0040】
バッファ102から読み出された符号化ビットストリームは、図1で説明した被参照データInputとして、テーブル指定データSelectと共に本発明に基づく可変長復号器103への入力112となる。また、図2では示されていないテーブル群選択データselも可変長復号器103への入力112となる。テーブル指定データSelect及びテーブル群選択データselは、符号化ビットストリーム112中に多重化されている情報とMPEG規格に基づいて図示しないデコーダコントローラにより生成される。
【0041】
符号化ビットストリームは主として可変長符号で構成されており、デコーダコントローラは可変長復号器103内の可変長符号テーブルを参照して、符号化ビットストリーム中の可変長符号と一致した可変長符号があれば、その可変長符号の符号長を管理し、符号化ビットストリームの頭出しを行う。
【0042】
このようにして可変長復号器103で可変長符号が復号され、MPEGエンコーダにおいて可変長符号化された量子化DCT係数情報113やヘッダ情報が再生される。ヘッダ情報としては、量子化ステップサイズ情報114、予測モード/動きベクトル/マクロブロックタイプ情報115などがある。なお、可変長復号器103の出力は、実際には量子化DCT係数情報113またはヘッダ情報と、符号長の組み合わせからなっている。
【0043】
量子化DCT係数情報113は、逆量子化器104により量子化ステップサイズ情報114に基づき逆量子化されることにより、DCT係数情報116が生成される。DCT係数情報116は逆離散コサイン変換器105により逆離散コサイン変換され、予測誤差信号117が生成される。予測誤差信号117は、加算器106によって予測器107からの予測信号118と加算され、局部復号信号119が生成される。局部復号信号119は予測器107に入力され、次画面の予測に用いられる。
【0044】
予測器107は、局部復号信号119を複数画面分(例えば、MPEG2の場合は4フィールド分)記憶する画像メモリを有し、予測モード/動きベクトル/マクロブロックタイプ情報115を用いて予測信号118を生成する。そして、予測器107内の画像メモリを介して復号動画像信号120が生成され、出力端子108から取り出される。
【0045】
このMPEGデコーダの構成は、既に良く知られているので詳細な説明は省くが、ここでは可変長復号器103に用いられる可変長符号テーブルの具体例について詳細に述べる。図3〜図8は、可変長符号テーブルの具体例を説明するための図である。
【0046】
まず、図1中の可変長符号テーブル10のうち、第1のテーブル群11は図3(a)(b)(c)に示す量子化DCT係数に関する可変長符号テーブルからなる。図3(a)は、INTRA(フレーム内符号化)のDCT係数のAC成分(ブロックの2番目以降のDCT係数)について、情報シンボルであるRUN(非零係数までの零ランの数)及びLEVEL(係数の絶対値)を可変長符号VLCに対応付けたテーブルであり、MPEG2専用である。図3(b)(c)は、それぞれINTER(フレーム間符号化)のDCT係数のAC成分(ブロックの2番目以降のDCT係数)及びDC成分(ブロックの最初のDCT係数)について、情報シンボルであるRUN及びLEVELを可変長符号に対応付けたテーブルであるり、MPEG1,MPEG2に共通である。
【0047】
一方、図1中の可変長符号テーブル10のうち、第2のテーブル群12は図4〜図8に示す可変長符号テーブルからなる。図4は、情報を必要としないマクロブロック(MB)をスキップするためのマクロブロックアドレス(MBA)のインクリメント値を情報シンボルとして、可変長符号VLCに対応付けたテーブルである。
【0048】
図5は、マクロブロックタイプ(MBタイプ)に関する可変長符号化テーブルであり、(a)はIピクチャ(フレーム内符号化画像)、(b)はPピクチャ(フレーム間順方向予測符号化画像)、(c)はBピクチャ(フレーム間双方向予測符号化画像)、そして(d)はDピクチャ(DC成分のみのフレーム内符号化画像)の場合をそれぞれ示している。図5(a)(b)(c)はMPEG1,MPEG2に共通で、図5(d)はMPEG1専用である。図5において、「MBQUANT」は対応するマクロブロックの量子化ステップサイズの更新の有無(“1”で更新)、「MB順方向予測」は対応するマクロブロックの順方向予測の有無、MB逆方向予測は対応するマクロブロックの逆方向予測の有無、「MBイントラ」は対応するマクロブロックのフレーム内符号化の有無(“1”でフレーム内符号化)、「MBパターン」はマクロブロックブロックパターンをそれぞれ表し、これらのマクロブロックタイプを表す情報シンボルを可変長符号VCに対応付けている。「MBパターン」については、後述する。
【0049】
図6は、マクロブロックパターン(MBパターン)に関する可変長符号テーブルであり、マクロブロックタイプがイントラマクロブロック以外のMC Coded(動き補償予測符号化要)タイプのとき、そのマクロブロックに含まれる6個のブロック(輝度ブロック4個、色差ブロック2個)の各々がDCT係数を持つか否か(MC Codedブロックか否か)を表すパターン(CBP:Coded Block Pattern)をシンボル情報として、これらを可変長符号VCに対応付けたテーブルである。
【0050】
図7は、動きベクトル(MV)に関する可変長符号テーブルであって、(a)はMC Codedマクロブロックブロックと左隣(時間的に一つ前)のマクロブロックの動きベクトルとの差分のコードをシンボル情報として、可変長符号VLCに対応付けたテーブルであり、(b)は予測モードの一つであるデュアルプライム予測における二つの参照フィールドについて動きベクトルの差分のコードをシンボル情報として、可変長符号VLCに対応付けたテーブルである。なお、デュアルプライム予測とは、MPEG2で知られているように符号化対象フィールドと二つの参照フィールドとの間のそれぞれの動きベクトルの方向が近いときに採用される予測モードであり、これら二つの動きベクトルの差分ベクトル(dMV)を可変長符号として伝送する。
【0051】
図8(a)(b)は、それぞれ輝度及び色差についてのDC成分サイズに関する可変長符号テーブルであり、輝度に関するDCT係数のDC成分のサイズ及び色差に関するDCT係数のDC成分のサイズをシンボル情報として、可変長符号VLCに対応付けたテーブルである。
【0052】
ここで、第1のテーブル群11と第2のテーブル群12をテーブル数、対応する可変長符号の符号数及び符号語長について比較すると、次の通りである。
まず、テーブル数に関しては、第1のテーブル群11は図3に示した量子化DCT係数に関する可変長符号テーブルのみからなり、テーブル数(n+1)は図3(a)(b)(c)の3個である。これに対し、第2のテーブル群12は図4に示したMBAに関する可変長符号テーブル、図5(a)(b)(c)(d)に示したMBタイプに関する4つの可変長符号化テーブル、図6に示したMBパターンに関する可変長符号テーブル、図7(a)(b)に示したMVに関する可変長符号テーブル、及び図8(a)(b)に示した輝度及び色差についてのDC成分サイズに関する可変長符号テーブルからなり、テーブル数(m+1)は10個と多い。
【0053】
次に、対応する可変長符号の符号数に関しては、第1のテーブル群11である図3(a)(b)(c)に示した量子化DCT係数に関する可変長符号テーブルは、(a)(b)(c)のいずれも符号数が100個以上と非常に多いのに対して、第2のテーブル群12である図4に示したMBAに関する可変長符号テーブルは符号数が例えば35個、図5(a)(b)(c)(d)に示したMBタイプに関する可変長符号化テーブルは符号数がそれぞれ2個、4個、11個、1個、図6に示したMBパターンに関する可変長符号テーブルは符号数が60数個、図7(a)(b)に示したMVに関する可変長符号テーブルは符号数がそれぞれ30数個と3個、図8(a)(b)に示した輝度及び色差についてのDC成分サイズに関する可変長符号テーブルは符号数がそれぞれ12個と、量子化DCT係数に関する可変長符号テーブルでの符号数に比較すると格段に少ない。
【0054】
また、対応する可変長符号の符号語長に関しても、第1のテーブル群11である量子化DCT係数に関する可変長符号テーブルは、十数ビットの符号語長を多く含んでおり、最長で符号(極性)ビットを含めて17ビット長である。これに対し、第2のテーブル群12であるMBAに関する可変長符号テーブル、MBタイプに関する可変長符号化テーブル、MBパターンに関する可変長符号テーブル、MVに関する可変長符号テーブル、輝度及び色差についてのDC成分サイズに関する可変長符号テーブルに含まれる符号語長は、いずれもほとんどが10ビット長以下であり、10ビット長を越えるものでも高々11ビット程度であり、その割合は非常に少ない。
【0055】
さらに、この例では図1で説明した被参照データInputのビット幅Iとi、テーブル指定データSelectのビット幅Jとjは、例えばI=8、i=6、J=4、j=2であり、前述した(i+J)≦(I+j)の条件を満たしている。前述したように、量子化DCT係数に関する可変長符号の符号語長は最長で17ビットであるが、符号ビットを別に扱えば16ビットとなるので、I=8とすることにより、可変長符号テーブルの参照回数は最大2回でよい。
【0056】
また、前述したように符号化ビットストリームは符号語長が比較的長い量子化DCT係数に関する可変長符号が大部分を占めているので、被参照データInputの第1のテーブル群11に入力されるビット幅Iを大きくとることにより、テーブル参照能力が向上し、全体の復号処理能力が向上する。但し、量子化DCT係数に関する可変長符号は、符号語長がより長いとはいっても、確率的に最大符号語長やそれに近い符号語長のものがそれほど多く含まれるわけではないので、Iの値をあまり大きくしすぎることは、必要以上に回路規模を増大させ、動作周波数を下げることになるので、好ましくない。
【0057】
一方、符号化ビットストリームに含まれるヘッダ情報の割合は小さいので、被参照データInputの第2のテーブル群12に入力されるビット幅iが小さくとも、全体の復号処理能力への影響は小さい。
このような観点から、前述した(i+J)≦(I+j)の条件を満たすことが望ましい。
【0058】
なお、以上の実施形態では可変長符号テーブルを2つのテーブル群に分割した場合について述べたが、3つ以上のテーブル群に分割した場合にも本発明は有効である。要するに、本発明では複数の可変長符号に対応付けて複数の情報シンボルを格納すると共に、符号語長がより長い可変長符号に対応する情報シンボルをより多く格納したテーブル群ほど少ない数のテーブルで構成された複数のテーブル群に分割され、入力される可変長符号に対応する情報シンボルを出力する可変長符号テーブルを構成し、この可変長符号テーブルの各テーブル群に対して可変長符号からなる被参照データ、あるいは被参照データと被参照データが参照されるべきテーブルを指定するテーブル指定データとの組を入力して、入力の可変長符号を復号して可変長符号に対応した情報シンボルを出力する場合に、符号語長がより長い可変長符号に最も多く対応するテーブル群の入力ビット幅を基準として、他のテーブル群の入力ビット幅が該基準の入力ビット幅より小さくなるように、各テーブル群に入力する被参照データのビット幅を異ならせることによって所期の課題を解決することができる。
【0059】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば符号語長がより長い可変長符号に対応する情報シンボルをより多く格納したテーブル群ほど少ない数のテーブルで構成された複数のテーブル群に分割された可変長符号テーブルの各テーブル群に可変長符号からなる被参照データを入力する際に、符号語長がより長い可変長符号に最も多く対応するテーブル群の入力ビット幅を基準として、他のテーブル群の入力ビット幅が該基準の入力ビット幅より小さくなるように、各テーブル群に入力する被参照データのビット幅を異ならることによって、回路規模が小さく、従って高速動作の可能な可変長復号器及びこれを用いた動画像復号装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る可変長復号器の構成を示すブロック図
【図2】本発明に係る可変長復号器を用いた動画像符号化装置であるMPEGデコーダの構成を示すブロック図
【図3】同実施形態における可変長符号テーブルの第1のテーブル群に含まれる量子化DCT係数に関する可変長符号テーブルを示す図
【図4】同実施形態における可変長符号テーブルの第2のテーブル群に含まれるマクロブロックアドレスに関する可変長符号テーブルを示す図
【図5】同実施形態における可変長符号テーブルの第2のテーブル群に含まれるマクロブロックタイプに関する可変長符号テーブルを示す図
【図6】同実施形態における可変長符号テーブルの第2のテーブル群に含まれるマクロブロックパターンに関する可変長符号テーブルを示す図
【図7】同実施形態における可変長符号テーブルの第2のテーブル群に含まれる動きベクトルに関する可変長符号テーブルを示す図
【図8】同実施形態における可変長符号テーブルの第2のテーブル群に含まれる輝度及び色差についてのDC成分サイズに関する可変長符号テーブルを示す図
【図9】従来の可変長復号器の例を示すブロック図
【図10】従来の可変長復号器の他の例を示すブロック図
【符号の説明】
10…可変長符号テーブル
11…第1のテーブル群
12…第2のテーブル群
13…選択器
Input…被参照データ(可変長符号)
Select…テーブル指定データ
Sel…テーブル群選択データ
Output…可変長復号データ

Claims (5)

  1. 複数の可変長符号に対応付けて複数の情報シンボルを格納すると共に、符号語長が相対的に長い可変長符号に対応する情報シンボルを格納したテーブル群ほど少ない数のテーブルを有するように構成された複数のテーブル群に分割され、入力される可変長符号に対応する情報シンボルを出力する可変長符号テーブルと、
    前記可変長符号テーブルの各テーブル群に対して可変長符号からなる被参照データと該被参照データが参照されるべきテーブルを指定するテーブル指定データとの組を入力する入力手段と
    前記複数のテーブル群のいずれかのテーブル群の出力を選択する選択手段とを備え、
    前記入力手段は、前記符号語長が最も長い可変長符号に対応する情報シンボルを格納したテーブル群の入力ビット幅を基準として、他のテーブル群の入力ビット幅が該基準の入力ビット幅以下となるように、前記各テーブル群に入力する被参照データ及びテーブル指定データのビット幅を異ならせたことを特徴とする可変長復号器。
  2. 複数の可変長符号に対応付けて複数の情報シンボルを格納すると共に、第1及び第2のテーブル群に分割された可変長符号テーブルと、
    可変長符号からなる被参照データの全ビットと該被参照データが参照されるべきテーブルを指定するテーブル指定データの一部のビットとの組を前記第1のテーブル群に入力し、前記被参照データの一部のビットと前記テーブル指定データの全ビットとの組を前記第2のテーブル群に入力する入力手段と、
    前記第1及び第2のテーブル群のいずれかのテーブル群の出力を選択する選択手段と
    を有することを特徴とする可変長復号器。
  3. 前記第1のテーブル群は符号語長が相対的に長い可変長符号に対応する情報シンボルを前記第2のテーブル群より多く格納し、かつそのテーブル数は前記第2のテーブル群より少ないことを特徴とする請求項記載の可変長復号器。
  4. 前記第1のテーブル群の入力ビット幅を基準として、前記第2のテーブル群の入力ビット幅が該基準の入力ビット幅以下となるように前記第2のテーブル群に入力する被参照データのビット幅を設定したことを特徴とする請求項記載の可変長復号器。
  5. 請求項1乃至のいずれか1項記載の可変長復号器を用いて、動画像信号を符号化した符号化ビットストリームの可変長符号を復号することを特徴とする動画像復号装置。
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