JP3599532B2 - 電磁型発音体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁型発音体に関し、特に落下時の外部衝撃とりわけ側面から加えられる外部衝撃による振動板の塑性変形を阻止する機能を具備する電磁型発音体の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電磁型発音体は近年普及が目覚ましい携帯電話やポケットベルなどペジャ−の呼び出しに多く用いられている。このような携帯用の機器に用いる場合、落下その他で外部から強い衝撃をうけることがある。その為、従来から電磁型発音体の振動板が外部衝撃によって大きく変位しないようにするための構造が種々提案されて来た。
【0003】
図3は従来の電磁型発音体の構造の断面図である。プラスチック材料で成形された放音孔1aを有する円筒状の発音体ケ−ス1には、外周部を発音体ケ−ス1の内周部に固着された磁性材料から成るヨ−クベ−ス2と、ヨ−クベ−ス2の中央部に設けられた柱状の鉄心3と、ヨ−クベ−ス2の周囲に配置された円筒形マグネット4と、弾性を有する磁性材料から成る振動板5を備え、振動板5はマグネット4と鉄心3とヨ−クベ−ス2とで磁気回路を形成している。又、マグネット4の外周部は発音体ケ−ス1の内周部1との間に殆ど隙間がなく取り付けられている。振動板5はマグネット4に吸着固定され、振動板5の中心部には鉄心3との磁気的結合を蜜にすると共に振動質量を高めるために鉄片9が取り付けられている。又、振動板5を駆動するために鉄心3の周囲に配置された励磁コイル6と、励磁コイル6の末端を外部に導くために基板7に設けられた2つの外部接続端子8a,8bを有している。そして、振動板5は外部接続端子8a,8bに印加される電気信号に依って電磁的に駆動される。
【0004】
発音体ケ−ス1の放音孔1a側と振動板5とでできる空間は振動空間として共鳴室10を形成している。強い外部衝撃が加わると、振動板5はマグネット4に吸着固定であるために、マグネット4から離脱し、又、極薄の板材料から成る振動板5が変形したり、振動板5にスポット溶接されている鉄片9が脱落する恐れがある。従って、この従来例では共鳴室10の発音体ケ−ス1の内周部にケ−ス突き出し部1cを設けて、振動板5の外周部が共鳴室10の方向に許容範囲を越えて移動しないように規制されている。
【0005】
図4は図3に示す従来の電磁型発音体の発音体ケ−ス1の内周部に設けたケ−ス突き出し部1cと振動板及びマグネットとの取り付け構造の要部拡大断面図である。振動板5はその外周部がケ−ス突き出し部1cで規制されているために外部衝撃によって移動し、マグネットより離脱することはない。しかし、この従来例では、振動板5の中央部の移動が規制されていないために、強い外部衝撃に対しては振動板5の防護としては不十分であった。
【0006】
そこで、上記従来例の欠点を改良するものとして特開平6−1659293号「電気音響変換器」に外部衝撃から振動板5を防護する構造が提案されている。図5はその特開平6−1659293号に開示されている電磁型発音体の構造の断面図である。図5に於いて、図3と同じ符号は同じ機能作用をするものである。
【0007】
図5に示す電磁型発音体の構造に於いては振動板5の一方面側に形成された共鳴室10の内壁部に、振動板5の中央部に取り付けられた鉄片9の部分で外部衝撃による前記振動板5の移動許容範囲を規制する移動制限手段を設けたものである。即ち、共鳴室10の音を外部に導く放音筒を長くして放音孔突き出し部1bを設けて移動制限手段として用い、放音孔突き出し部1bの端部と鉄片9の間隔を通常の振動許容範囲と同等か若しくはそれより僅かに大きく設定したものである。また振動板5の外周部の移動規制については、図3の場合と同様に発音体ケ−ス1の内周部に突き出し部1cを設けて振動板5の外周部が共鳴室10の方向に許容範囲を越えて移動しないように規制したものである。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特開平6−165293号に開示の電磁型発音体の構造に於いては、振動板5に対する垂直方向からの外部衝撃に対しては振動板5の移動を一定許容範囲に規制するという点では効果があるが、振動板5に対する側面からの強い外部衝撃を受けた場合、図3、図5に示した上記いずれの従来例に於いても外部衝撃力が図3では発音体ケ−ス1とマグネット4を経て、又、図5では発音体ケ−ス1から直接振動板5に伝わるので振動板5が大きく変位して塑性変形し、振動特性が不良になるという問題があった。
【0009】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたもので、その目的は、振動板に対する側面からの強い外部衝撃を受けても、その衝撃力を阻止し振動板の塑性変形を防止し安定した振動特性を持続する電磁型発音体を提供するものである。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の電磁型発音体に於いては、放音孔を有する共鳴室と磁気回路収容室とを有する発音体ケ−スと、磁性部材から成るヨ−クベ−スと、前記ヨ−クベ−スの中央部に設けられた鉄心と、前記ヨ−クベ−スの外周上に配置されたマグネットと、前記発音体ケ−スの内部にあって前記マグネットと前記鉄心と前記ヨ−クベ−スにより磁気回路を形成するように、前記マグネット上に配置された振動板と、前記鉄心の周囲に配置された励磁コイルと、前記励磁コイルの端末を外部に導くための外部接続端子とを有する電磁型発音体に於いて、前記発音体ケ−スの内周部であって、前記振動板の周辺近傍に、剛性リングを配設し、外部衝撃による前記振動板の塑性変形を阻止するようにしたことを特徴とするものである。
【0011】
又、本発明の電磁型発音体に於いては、前記剛性リングは前記発音体ケ−スの内周部であって、前記共鳴室と前記磁気回路収容室との段差部の下端面と前記マグネットの上端面とによって形成される空隙部に配設したことを特徴とするものである。
【0012】
又、本発明の電磁型発音体に於いては、前記剛性リングの内周下端部をテ−パ−状に形成したことを特徴とするものである。
【0013】
又、本発明の電磁型発音体に於いては、前記剛性リングの内周下端部を円弧状に形成したことを特徴とするものである。
【0014】
又、本発明の電磁型発音体に於いては、前記剛性リングは金属、硬質プラスチック、セラミック等の硬質部材で形成したことを特徴とするものである。
【0015】
又、本発明の電磁型発音体に於いては、前記剛性リングを形成する金属は鉄材であることを特徴とするものである。
【0016】
又、本発明の電磁型発音体に於いては、前記剛性リングを形成する金属は真鍮材であることを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施の形態を図面に示す実施例に基づいて説明する。尚、図に於いて、従来技術と同一部材は同一符号で示し、説明を省略する。図1は本発明の第1実施例の電磁型発音体の要部の構造を示す断面図である。又、図2は図1に於ける振動板の取り付け部分の要部拡大断面図である。
【0018】
円筒状の発音体ケ−ス1の内部は上部の共鳴室10と下部の磁気回路収容室11に分けられており、上部の共鳴室10の内径は下部の磁気回路収容室11の内径より小さく形成して段差を設けこの段差を有する磁気回路収容室11側のケ−ス1内周部に剛性リング12を嵌着し、剛性リング12を段差部の下端面とマグネット4の上端面とで挟み込む構造にした。 剛性リング12の振動板5に対抗する内周下端部12aはテ−パ−状又は円弧状に形成した。材料は鉄、真鍮等の金属で形成したが剛性を有するものであれば材質は特にこれに限定されるものではなく、硬質プラスチック、セラミック等の硬質部材でも同様の機能を果たすことができる。またこの剛性リング12の嵌入位置及び個数はこの実施例では1個共鳴室10と磁気回路収容室11との段差部のケ−ス1内周部に嵌着したがケ−ス1の内周部であれば構造によってこれ以外の場所に必要個数嵌着してもよいことは言うまでもない。またこの実施例では円筒状の発音体ケ−ス1は振動板5の中央部に取り付けられた鉄片9部分で振動板5と垂直方向の外部衝撃による振動板5の移動許容範囲を規制する移動制限部材として、共鳴室10の音を外気に導く放音孔突き出し部1bを長くして、放音孔突き出し部1bの端部と鉄片の間隔を通常の振動許容範囲と同等か若しくはそれより僅かに大きく設定している。この振動板の垂直方向の衝撃に対する規制方法は基本的に従来構造(図5)と同じである。
【0019】
剛性リング12を発音体ケ−ス1の内周部に配設することにより発音体ケ−ス1の側面に加えられ、マグネット4を経由して振動板5の外周部に伝達される衝撃力はこの剛性の大きいリング12によって大幅に負担され、阻止される。従って発音体ケ−ス1と、マグネット4だけでは負担しきれない側面から加えられる衝撃力でも剛性の大きいリング12によって阻止され極小に抑えられるので振動板5は塑性変形することはなく安定した振動特性を持続することができる。また剛性リング12の振動板5に対抗する内周下端部12aはテ−パ−状又は円弧状に形成してあるので振動板5が外部衝撃によって剛性リング12に接触しても角がないので衝撃は緩和され、振動板5に塑性変形を生ずることはない。 またこの実施例では本発明の剛性リング12による水平方向衝撃規制方法を、共鳴室10の音を外気に導く放音孔突き出し部1bを長くして、放音孔突き出し部1bの端部と鉄片の間隔を通常の振動許容範囲と同等か若しくはそれより僅かに大きく設定する垂直方向衝撃規制方法(図5)と共用しているが、本発明の剛性リング12による水平方向衝撃規制方法を放音孔突き出し部のない従来例(図3)に共用することができることは言うまでもない。
【0020】
【発明の効果】
以上に述べたことから明らかなように、本発明によれば、発音体ケ−ス1の内周であって、振動板5外周近傍に剛性リング12を設けるだけの極めて単純な構造によって特に発音体ケ−ス1側面から落下追突等によって加えられる衝撃力をこの剛性の大きいリング12に負担させ、衝撃力のマグネット4及び振動板5への伝達を阻止し、振動板5の塑性変形を防止することができるので安定した振動特性を持続することが可能であり、従来の方法と合わせ用いることによって更に相乗効果を得ることができ、その効果は甚大である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の要部の構造を示す断面図である。
【図2】図1に於ける振動板の取り付け部分の要部拡大断面図である。
【図3】従来例の電磁型発音体の構造の断面図である。
【図4】図3の振動板及びマグネットの取り付け構造の要部拡大断面図である。
【図5】他の従来例の電磁型発音体の構造の断面図である。
【符号の説明】
1 発音体ケ−ス
1a 放音孔
1b 放音孔突き出し部
1c ケ−ス突き出し部
2 ヨ−クベ−ス
3 鉄心
4 マグネット
5 振動板
6 励磁コイル
7 基板
8a 外部接続端子
8b 外部接続端子
9 鉄片
10 共鳴室
11 磁気回路収容室
12 剛性リング
12a 剛性リング内周下端部

Claims (7)

  1. 放音孔を有する共鳴室と磁気回路収容室とを有する発音体ケ−スと、磁性部材から成るヨ−クベ−スと、前記ヨ−クベ−スの中央部に設けられた鉄心と、前記ヨ−クベ−スの外周上に配置されたマグネットと、前記発音体ケ−スの内部にあって前記マグネットと前記鉄心と前記ヨ−クベ−スにより磁気回路を形成するように、前記マグネット上に配置された振動板と、前記鉄心の周囲に配置された励磁コイルと、前記励磁コイルの端末を外部に導くための外部接続端子とを有する電磁型発音体に於いて、前記発音体ケ−スの内周部であって、前記振動板の周辺近傍に、剛性リングを配設し、外部衝撃による前記振動板の塑性変形を阻止するようにしたことを特徴とする電磁型発音体。
  2. 前記剛性リングは前記発音体ケ−スの内周部であって、前記共鳴室と前記磁気回路収容室との段差部の下端面と前記マグネットの上端面との間に配設したことを特徴とする請求項1記載の電磁型発音体。
  3. 前記剛性リングの内周下端部をテ−パ−状に形成したことを特徴とする請求項2記載の電磁型発音体。
  4. 前記剛性リングの内周下端部を円弧状に形成したことを特徴とする請求項2記載の電磁型発音体。
  5. 前記剛性リングは金属、硬質プラスチック、セラミック等の硬質部材で形成したことを特徴とする請求項1記載の電磁型発音体。
  6. 前記金属は鉄材であることを特徴とする請求項5記載の電磁型発音体。
  7. 前記金属は真鍮材であることを特徴とする請求項5記載の電磁型発音体。
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